1 00:00:02,002 --> 00:00:04,004 (羽貫)うわっ。 何だかこれ うにょうにょしてる! 2 00:00:04,004 --> 00:00:07,007 (小津)何ですか? これは。 エイリアンの へその緒ですか? 3 00:00:07,007 --> 00:00:09,009 (私)どうせ お前が入れたんだろ。 4 00:00:09,009 --> 00:00:11,011 お前が 食え! (小津)嫌です。 5 00:00:11,011 --> 00:00:14,014 (樋口)諸君 食べ物を 粗末にしてはいけない。 6 00:00:14,014 --> 00:00:17,017 小津 てめえ! 茶きんに チョコ入れやがったな! 7 00:00:17,017 --> 00:00:19,019 (小津)イヒヒ…。 8 00:00:19,019 --> 00:00:21,021 (小津)羽貫さん ビール入れたでしょ? 9 00:00:21,021 --> 00:00:24,024 (羽貫)バレた? でも 味に深みが出るでしょ。 10 00:00:24,024 --> 00:00:27,027 もはや 深過ぎて 何が何の味だか分かりません。 11 00:00:27,027 --> 00:00:31,031 すいませんが 一度 カーテンを 開けても よろしいでしょうか? 12 00:00:31,031 --> 00:00:33,033 (樋口)しょうがないな。 13 00:00:42,042 --> 00:00:45,045 (樋口)あーん。 14 00:00:45,045 --> 00:00:47,047 (小津)さすがだな 師匠は。 15 00:00:47,047 --> 00:00:51,051 (私)ところで これは いったい 何の修行なのですか? 16 00:00:51,051 --> 00:00:53,053 人生 一寸先は闇である。➡ 17 00:00:53,053 --> 00:00:55,055 われわれは その底知れぬ闇の中から➡ 18 00:00:55,055 --> 00:01:00,060 自分の益となるものを あやまたず つかみ出さねばならない。 19 00:01:01,995 --> 00:01:05,999 (樋口)そういう哲学を 実地で学ぶ訓練だ。 20 00:01:09,002 --> 00:01:13,006 (羽貫)ふはーっ。 暗闇で飲むと 全然ビールっぽくない。 21 00:01:13,006 --> 00:01:15,008 (私)<羽貫さんは 樋口師匠の下へ出入りしている➡ 22 00:01:15,008 --> 00:01:17,010 謎の歯科衛生士である> 23 00:01:17,010 --> 00:01:20,013 <好物は エチルアルコールとカステラで 酔うと人の顔を なめる癖がある> 24 00:01:20,013 --> 00:01:23,016 <羽貫さんと飲むならば 地獄の エンドレスナイトを 覚悟するがよい> 25 00:01:23,016 --> 00:01:25,018 (羽貫)ヒー! ハー! 26 00:01:25,018 --> 00:01:27,020 <わたしは かつて 木屋町から 縦横無尽に引きずり回され➡ 27 00:01:27,020 --> 00:01:30,023 気が付くと 独りぼっちで 夷川発電所のそばに➡ 28 00:01:30,023 --> 00:01:32,025 倒れ伏していたことがある> 29 00:01:32,025 --> 00:01:34,027 へくしょん! 30 00:01:34,027 --> 00:01:37,030 あーん。 31 00:01:37,030 --> 00:01:40,033 <そして 小津は およそ 褒めるべきところが一つもなく➡ 32 00:01:40,033 --> 00:01:42,035 人の不幸で 飯が3杯 食える男である> 33 00:01:42,035 --> 00:01:45,038 <わたしより15分早いだけの 樋口師匠の一番弟子であり➡ 34 00:01:45,038 --> 00:01:48,041 無意義な暮らしぶりを 謳歌してた> 35 00:01:48,041 --> 00:01:50,043 明石さんは どうして来ないのですか? 36 00:01:50,043 --> 00:01:52,045 外せないリポートがあるらしい。 37 00:01:52,045 --> 00:01:55,048 わたしだって 外せないリポートが あったのに。 うー! 38 00:01:55,048 --> 00:01:57,718 <この いかにも 不毛なメンツに囲まれて➡ 39 00:01:57,718 --> 00:01:59,987 学問そっちのけで 様々な修行に明け暮れた結果➡ 40 00:01:59,987 --> 00:02:02,990 わたしは 2年間の学生生活を 棒に振った> 41 00:02:02,990 --> 00:02:04,992 <何故 こんなことに なってしまったのか➡ 42 00:02:04,992 --> 00:02:08,996 責任者に問いただす必要がある 責任者は どこか?> 43 00:02:10,998 --> 00:02:21,008 ♬~ 44 00:03:47,027 --> 00:03:50,030 <当時ぴかぴかの大学1回生だった わたしの目の前には➡ 45 00:03:50,030 --> 00:03:53,033 ばら色のキャンパスライフへの扉が 無数に開かれていた> 46 00:03:53,033 --> 00:03:55,035 <しかし このとき わたしは 何やら悪い予感がした> 47 00:03:55,035 --> 00:03:57,037 <この いかにも うさんくさい チラシの向こうに➡ 48 00:03:57,037 --> 00:03:58,705 いかなる栄光の未来をも➡ 49 00:03:58,705 --> 00:04:01,108 思い描くことが できなかったからだ> 50 00:04:02,976 --> 00:04:04,978 <今すぐ このチラシを 手放さねば➡ 51 00:04:04,978 --> 00:04:07,981 そして できるだけ ここより遠くへ> 52 00:04:07,981 --> 00:04:10,984 <しかし 逃れることは できなかった> 53 00:04:12,986 --> 00:04:16,990 (小津)「その千里眼は 祇園の 雑踏から意中の乙女を見つけ➡ 54 00:04:16,990 --> 00:04:19,993 その地獄耳は 疎水へ桜の降り散る 音も逃さず」 55 00:04:19,993 --> 00:04:24,998 「我こそは 樋口 清太郎。 来たれ 仙才を秘めたる若者よ」➡ 56 00:04:24,998 --> 00:04:27,000 よっ! 師匠!! 57 00:04:27,000 --> 00:04:29,002 <わたしの悪い予感は 的中した> 58 00:04:29,002 --> 00:04:32,005 <決して 心を許すまいと 構えていた わたしだったが➡ 59 00:04:32,005 --> 00:04:34,007 樋口師匠が 自分と同じ下鴨幽水荘に➡ 60 00:04:34,007 --> 00:04:35,675 住んでいると聞いて 意気投合し➡ 61 00:04:35,675 --> 00:04:38,011 酒を飲める年に なったばかりなのも手伝い➡ 62 00:04:38,011 --> 00:04:41,014 やがて 大いに 羽目を外していった> 63 00:04:41,014 --> 00:04:44,017 <そして 明け方まで 乳について 熱い論争が交わされた揚げ句…> 64 00:04:44,017 --> 00:04:48,021 (樋口)本物の乳であるか 偽物の乳かが問題ではない。➡ 65 00:04:48,021 --> 00:04:51,024 信じるか 信じないかだ。 スイッチ オン。 66 00:04:51,024 --> 00:04:54,027 ワン ツー スリー。 67 00:04:54,027 --> 00:04:58,031 (小津・私)うわっ うわーっ! 68 00:04:58,031 --> 00:05:02,035 <そうして わたしは 師匠の二番弟子となった> 69 00:05:04,638 --> 00:05:06,306 <師匠から酒を おごってもらったのは➡ 70 00:05:06,306 --> 00:05:08,975 もちろん その一度きりである> 71 00:05:08,975 --> 00:05:11,978 <樋口 清太郎の弟子。 それが何の弟子であるかは➡ 72 00:05:11,978 --> 00:05:14,981 2年たっても 明らかにならなかった> 73 00:05:16,983 --> 00:05:20,987 <そして ふたを開けてみれば 樋口師匠は仙人でも何でもなく➡ 74 00:05:20,987 --> 00:05:22,989 単なる 大学の8回生であった> 75 00:05:22,989 --> 00:05:25,992 <ただ 長生きした動物が 神秘的気配を身に付けるように➡ 76 00:05:25,992 --> 00:05:28,995 師匠もまた 常人ならざる 雰囲気を まとっていた> 77 00:05:28,995 --> 00:05:31,998 <一年中 同じ浴衣と高げたで どこへでも出掛け➡ 78 00:05:31,998 --> 00:05:34,000 夏に涼める場所を 100個は 知っている> 79 00:05:34,000 --> 00:05:35,669 <日本語以外できないのに➡ 80 00:05:35,669 --> 00:05:38,004 どこの国の人とも 誰とでも仲良く話せ➡ 81 00:05:38,004 --> 00:05:40,006 常人ではない 感知力を 持ってるように見えるときがある> 82 00:05:40,006 --> 00:05:42,008 <身が軽く 体もすごいらしい> 83 00:05:42,008 --> 00:05:44,010 <かといって 何らかの行動に出るでもなく➡ 84 00:05:44,010 --> 00:05:46,012 ただ ひたすら 堂々と 暮らすことだけに専念していた> 85 00:05:46,012 --> 00:05:50,016 <それは 恐るべき紳士的態度 もしくは アホの骨頂である> 86 00:05:50,016 --> 00:05:52,018 <ただし 苦手な物もあった> 87 00:05:52,018 --> 00:05:55,021 ⚟(ノック) (樋口)ん? 88 00:05:55,021 --> 00:05:57,023 <図書館からの取り立てである> 89 00:05:57,023 --> 00:05:59,025 <1年近くも 本を返さない師匠を➡ 90 00:05:59,025 --> 00:06:01,962 図書館警察という秘密の 図書回収組織が狙っていた> 91 00:06:01,962 --> 00:06:05,966 <逃亡を手助けするのは わたしたち弟子の役目であった> 92 00:06:05,966 --> 00:06:07,968 (私・小津)ヘヘヘ…。 93 00:06:07,968 --> 00:06:10,971 (樋口)ふん! くせ者だー! 94 00:06:10,971 --> 00:06:12,973 <それと 師匠は 図書館警察だけでなく➡ 95 00:06:12,973 --> 00:06:16,977 城ヶ崎という男との 本当の戦いを 続けていたのだった> 96 00:06:16,977 --> 00:06:20,981 (樋口)何色だった? ピンクです。 97 00:06:20,981 --> 00:06:23,984 <その戦いを 師匠は自ら 「自虐的代理代理戦争」と呼び➡ 98 00:06:23,984 --> 00:06:25,986 その名称からも分かるとおり 戦争というには➡ 99 00:06:25,986 --> 00:06:28,989 いかにも みみっちい 汚い汁を 汚い汁で洗うような➡ 100 00:06:28,989 --> 00:06:30,991 みっともない争いであった> 101 00:06:33,994 --> 00:06:36,997 <約5年前 2人の間に 深刻な確執が生まれ➡ 102 00:06:36,997 --> 00:06:38,999 戦いの火ぶたが切られたらしい> 103 00:06:38,999 --> 00:06:41,001 <そして師匠の弟子である われわれも また➡ 104 00:06:41,001 --> 00:06:44,004 この不毛な戦いに 巻き込まれていた> 105 00:06:44,004 --> 00:06:46,673 <ちなみに すし20人前が 届けられたとき➡ 106 00:06:46,673 --> 00:06:49,009 師匠は留学生を集め 悠々と すしパーティーを開いたが➡ 107 00:06:49,009 --> 00:06:52,012 その代金は わたしと小津が折半した> 108 00:06:52,012 --> 00:06:56,016 <要するに 割を食っていたのは 常に われわれということになる> 109 00:06:56,016 --> 00:06:58,018 <こんな争いに加担し 貴重な青春時代を➡ 110 00:06:58,018 --> 00:06:59,953 無駄にしてよいものかと 思いつつも➡ 111 00:06:59,953 --> 00:07:02,956 今日も 今日とて 仕返しにいそしむ わたしである> 112 00:07:02,956 --> 00:07:05,959 (城ヶ崎)わっ! わーっ!! 香織! 香織!! 113 00:07:05,959 --> 00:07:07,961 <城ヶ崎とは 映画サークルを主催する➡ 114 00:07:07,961 --> 00:07:09,963 樋口師匠と同回生の 色男なのだが➡ 115 00:07:09,963 --> 00:07:11,965 かつて 2人の間に どんな遺恨があったかは➡ 116 00:07:11,965 --> 00:07:13,967 定かでない> 117 00:07:23,977 --> 00:07:26,980 旅が終わったんだ。 118 00:07:32,652 --> 00:07:34,354 んっ? 119 00:07:35,989 --> 00:07:37,991 これは…。 120 00:07:37,991 --> 00:07:39,993 <太平洋戦争直後の混乱期➡ 121 00:07:39,993 --> 00:07:42,996 西尾商店の亀の子束子製法を 盗んだ医科大の学生が➡ 122 00:07:42,996 --> 00:07:44,998 台湾に生息する 特殊なシュロの繊維を用い➡ 123 00:07:44,998 --> 00:07:46,100 魅惑の洗浄兵器を作りあげた> 124 00:07:46,100 --> 00:07:50,003 <強靭かつ細やかな繊維の先っぽが ファンデルワールス力によって➡ 125 00:07:50,003 --> 00:07:54,007 汚れ成分と 分子結合を作り出すらしい> 126 00:07:54,007 --> 00:07:56,009 <ところが 自社の洗剤の売れ行き低下を➡ 127 00:07:56,009 --> 00:07:58,011 懸念した企業から 圧力がかかった> 128 00:07:58,011 --> 00:07:59,679 <驚異の洗浄力を持ちながら➡ 129 00:07:59,679 --> 00:08:01,614 歴史の闇に 葬り去られてしまったが➡ 130 00:08:01,614 --> 00:08:03,283 今も どこかで ひそかに 幻のたわしは➡ 131 00:08:03,283 --> 00:08:04,985 作り続けられているらしい> 132 00:08:06,619 --> 00:08:09,956 この 幻の亀の子束子を 手に入れたい。 133 00:08:09,956 --> 00:08:11,958 えっ? 134 00:08:18,965 --> 00:08:20,967 (樋口)《これも修行の一環だ》 135 00:08:20,967 --> 00:08:23,636 <これまでも師匠は 色々な物を欲しがったが➡ 136 00:08:23,636 --> 00:08:26,973 調達するのは 常に われわれである> 137 00:08:26,973 --> 00:08:28,975 (樋口)これは最終試練だ。➡ 138 00:08:28,975 --> 00:08:32,979 明日の正午までに それを 何としても手に入れてきなさい。 139 00:08:32,979 --> 00:08:35,982 でないと破門だ。 140 00:08:35,982 --> 00:08:38,985 <おおかた四畳半の掃除でも 思い付いたのであろうが➡ 141 00:08:38,985 --> 00:08:40,987 実現する者の身にも なってほしいものだ> 142 00:08:40,987 --> 00:08:42,989 <師匠の部屋の汚れっぷりは 深窓の令嬢ならば➡ 143 00:08:42,989 --> 00:08:44,991 一瞥するだけで 卒倒するであろうことを➡ 144 00:08:44,991 --> 00:08:46,993 保証する惨状である> 145 00:08:46,993 --> 00:08:48,995 <かつて地球上に 存在しなかった生命体が➡ 146 00:08:48,995 --> 00:08:50,997 こっそりと別枠で 進化していたとしても➡ 147 00:08:50,997 --> 00:08:52,999 何ら 不思議はない> 148 00:08:59,939 --> 00:09:02,942 (シャッター音) 149 00:09:02,942 --> 00:09:04,944 <三条の橋まで来ると 昼間っから ねぎまが並んでいたので➡ 150 00:09:04,944 --> 00:09:06,946 いっそ花火でも 打ち込んでくれようかと思ったが➡ 151 00:09:06,946 --> 00:09:08,948 そういうことを かつて やっていたような気もして➡ 152 00:09:08,948 --> 00:09:11,951 なおさら 言い知れない焦燥にかられた> 153 00:09:11,951 --> 00:09:14,954 あうっ。 うっ。 あーっ。 154 00:09:17,957 --> 00:09:19,959 <気が付くと わたしは 木屋町に移動しており➡ 155 00:09:19,959 --> 00:09:21,961 そこでは まだ日が高いにもかかわらず➡ 156 00:09:21,961 --> 00:09:24,964 占いの老婆が ただならぬ妖気を 垂れ流していた> 157 00:09:24,964 --> 00:09:27,967 <こんな人物の占いが 当たらないわけがない> 158 00:09:29,969 --> 00:09:32,972 (老婆)また来なすったか? またとは 何ですか? 159 00:09:32,972 --> 00:09:35,975 あなたは不満を 抱いていらっしゃる。 160 00:09:35,975 --> 00:09:38,978 大変 まじめで 才能もおありだから。 161 00:09:38,978 --> 00:09:40,980 <老婆の慧眼に脱帽> 162 00:09:40,980 --> 00:09:43,983 とにかく 好機を逃さないことが肝心じゃ。 163 00:09:43,983 --> 00:09:49,989 あなたの目の前に ぶら下がってる 好機を つかまえてごらんなさい。 164 00:09:49,989 --> 00:09:51,991 はい 4,000円。 165 00:09:51,991 --> 00:09:53,993 どんどん はしょられてませんか? 166 00:09:57,997 --> 00:09:59,999 <師匠は わたしたちに 修行と称して➡ 167 00:09:59,999 --> 00:10:02,001 無意義なことをさせたが ほとんど意味不明であった> 168 00:10:02,001 --> 00:10:04,003 <あのとき ああしていなければと 思うことは 無数にあれど➡ 169 00:10:04,003 --> 00:10:07,006 師匠に出会ってさえいなければ という思いは ぬぐい去れない> 170 00:10:07,006 --> 00:10:10,009 <もう いっそのこと 自主破門されてやろうか> 171 00:10:10,009 --> 00:10:13,012 うん。 あっ! (明石)先輩。 172 00:10:17,016 --> 00:10:20,019 <明石さんは 小津と同じ 工学部の1回生であり➡ 173 00:10:20,019 --> 00:10:22,021 わたしの妹弟子に当たる> 174 00:10:25,024 --> 00:10:28,027 (明石)幻の亀の子束子… ですか? 175 00:10:28,027 --> 00:10:31,030 そんな物が 存在するのかどうかも 分からないが…。 176 00:10:31,030 --> 00:10:35,034 (明石)弱気なことではいけません。 捜しましょう。 177 00:10:40,039 --> 00:10:43,042 <先ほど わたしが訪れたときは 煮だこ同然だった親父が➡ 178 00:10:43,042 --> 00:10:46,045 今度は かぐや姫を見つけた 竹とりの翁ごとき➡ 179 00:10:46,045 --> 00:10:48,047 めろめろの ありさまだ> 180 00:10:51,050 --> 00:10:55,054 (明石)錦市場にある雑貨屋さんが 知っているかもしれません。 181 00:10:55,054 --> 00:10:59,058 仏光寺通に面した 雑貨屋さんの主人ならば…。 182 00:11:01,995 --> 00:11:05,999 あそこの古本屋の親父さんなら 何か知ってるかもしれませんな。 183 00:11:05,999 --> 00:11:09,002 新京極の古道具屋は どうでっしゃろ。 184 00:11:09,002 --> 00:11:11,004 <明石さんは 実に手際良く情報を集め➡ 185 00:11:11,004 --> 00:11:13,006 たわしの在りかを 絞りこんでいった> 186 00:11:18,011 --> 00:11:20,013 <そして…> 187 00:11:20,013 --> 00:11:22,015 すいません。 幻の亀の子束子を➡ 188 00:11:22,015 --> 00:11:24,017 捜しているのですが。 189 00:11:26,019 --> 00:11:31,024 あの。 幻の亀の子束子…。 (主人)それを どこで聞きました? 190 00:11:31,024 --> 00:11:33,026 樋口師匠というお方です。 191 00:11:35,028 --> 00:11:37,030 少し 待っていなさい。 192 00:11:41,034 --> 00:11:43,036 こっ これが…。 193 00:11:43,036 --> 00:11:46,039 あの お幾らになりますか? 194 00:11:46,039 --> 00:11:49,042 10万円ほど頂きましょうか。 195 00:11:56,049 --> 00:11:58,051 せ…。 買うものか。 196 00:11:58,051 --> 00:11:59,986 たわしに10万とは 無茶な話だ。 197 00:11:59,986 --> 00:12:03,990 ヘドロにまみれた 四畳半下宿の 流し台を洗うものではない。 198 00:12:05,992 --> 00:12:07,994 もういい。 たわしのことは あきらめる。 199 00:12:07,994 --> 00:12:09,996 いよいよ わたしは破門だ。 200 00:12:09,996 --> 00:12:12,999 あの師匠が そう やすやすと 縁を切るわけがありません。 201 00:12:12,999 --> 00:12:16,002 わたしからも頼んでみます。 202 00:12:16,002 --> 00:12:21,007 ♬(ギターの演奏) 203 00:12:21,007 --> 00:12:25,345 (樋口)♬「きみと まるになれるのなら」 204 00:12:25,345 --> 00:12:27,013 あっ あれは…。 205 00:12:27,013 --> 00:12:30,016 ♬~ 206 00:12:30,016 --> 00:12:35,021 (樋口)♬「さよなら さんかく またきて しーかーく」 207 00:12:37,023 --> 00:12:44,030 ♬「○ × △ いつも死角」 208 00:12:44,030 --> 00:12:54,040 ♬「とかく世は 四角 四面の 五角 六角 七面鳥」 209 00:12:54,040 --> 00:13:01,981 ♬「まるを探して まるを探して」 210 00:13:01,981 --> 00:13:09,989 ♬「まるになれぬの 学ぶため~」 211 00:13:09,989 --> 00:13:17,997 ♬「どこにも ないかも あるいは あるかも」 212 00:13:17,997 --> 00:13:24,003 ♬「君かもしれぬ この鴨川で~」 213 00:13:24,003 --> 00:13:30,009 ♬「まるをさがして~ まるをさがして~」 214 00:13:30,009 --> 00:13:32,011 <師匠の歌を聴きながら わたしは ふと➡ 215 00:13:32,011 --> 00:13:36,015 師匠が どこか遠い所へ 行ってしまうような気がした> 216 00:13:45,024 --> 00:13:47,026 さっきまで 樋口君と城ヶ崎君がいたのよ。 217 00:13:47,026 --> 00:13:50,029 久しぶりに 2人で会って。 218 00:13:50,029 --> 00:13:53,032 城ヶ崎さんって クールな人ですね。 219 00:13:53,032 --> 00:13:57,036 そう? 本当は 樋口君と あんまり変わらないけどね。 220 00:13:57,036 --> 00:13:59,038 信じられませんな。 221 00:13:59,038 --> 00:14:02,308 城ヶ崎君は 昔から 樋口君のほかに友達いないから。 222 00:14:02,308 --> 00:14:04,310 ねえ 樋口君は あなたに➡ 223 00:14:04,310 --> 00:14:06,979 自分の後を 継がせようとしてるみたいよ。 224 00:14:06,979 --> 00:14:08,981 わたしは もう 破門になるんです。 225 00:14:08,981 --> 00:14:13,986 それに 生き馬の目を抜くような 生き方は わたしには不向きです。 226 00:14:13,986 --> 00:14:18,324 (店主)それは 高等学校の 学生同士の恋のさや当てが発端だ。 227 00:14:18,324 --> 00:14:20,326 んっ? 228 00:14:20,326 --> 00:14:22,995 (店主)濁り酒の飲み比べだった ともいわれているが➡ 229 00:14:22,995 --> 00:14:25,998 詳しいことは すでに 歴史の闇の中だ。➡ 230 00:14:25,998 --> 00:14:28,000 ともあれ その争いは長く尾を引き➡ 231 00:14:28,000 --> 00:14:31,003 事が うやむやになることを 拒んだ。➡ 232 00:14:31,003 --> 00:14:34,006 そして 苦し紛れに 考え出されたのが「代理戦争」だ。➡ 233 00:14:34,006 --> 00:14:37,009 その 発端となった 争いの理由は忘れられ➡ 234 00:14:37,009 --> 00:14:41,013 社会の動向とは まったく無関係に 連綿と受け継がれた。 235 00:14:41,013 --> 00:14:43,015 正確には…。 236 00:14:46,686 --> 00:14:49,021 …だけどね。 237 00:14:49,021 --> 00:14:51,023 何で そんな話を? 238 00:14:51,023 --> 00:14:53,025 (店主)君が引き継ぐからさ。 239 00:15:02,969 --> 00:15:04,971 あっ? 240 00:15:04,971 --> 00:15:08,975 <部屋に戻ると なぜか 見知らぬリュックが置いてあった> 241 00:15:08,975 --> 00:15:12,979 こ… これは! 代理戦争を引き継ぐ軍資金か!? 242 00:15:12,979 --> 00:15:14,981 <もう 何が何だか分からない> 243 00:15:14,981 --> 00:15:17,984 <くしくも あの たわしが ちょうど買える額であった> 244 00:15:23,990 --> 00:15:26,993 <このまま 叡電に乗って 鞍馬で牛若丸をしのぶか➡ 245 00:15:26,993 --> 00:15:29,996 京阪に乗って黒髪の乙女と 浪速の町を駆け回るか> 246 00:15:31,998 --> 00:15:33,100 あっ! 247 00:15:36,002 --> 00:15:37,670 <それは 明石さんが➡ 248 00:15:37,670 --> 00:15:40,006 かつて なくしたと言っていた モチグマンであった> 249 00:15:40,006 --> 00:15:43,009 <5匹で一揃いなのを 1匹なくしてしまったらしい> 250 00:15:47,013 --> 00:15:49,015 (老婆)《あなたの目の前に ぶら下がってる好機を➡ 251 00:15:49,015 --> 00:15:52,018 つかまえてごらんなさい》 252 00:15:56,022 --> 00:15:58,024 (私・明石)アハハハ…。 253 00:16:02,962 --> 00:16:04,964 <自主破門させてもらおう> 254 00:16:04,964 --> 00:16:07,967 <この10万円で あるべき人生へと舞い戻るのだ> 255 00:16:12,972 --> 00:16:14,974 (樋口)ハハハハ。 よくやった。 256 00:16:14,974 --> 00:16:18,978 これで君は 晴れて 最終試練クリアだ。 257 00:16:18,978 --> 00:16:20,980 <わたしは この笑顔 見たさに 2年間➡ 258 00:16:20,980 --> 00:16:23,983 師匠の言い付けを 聞いてきた だけなのかもしれない> 259 00:16:23,983 --> 00:16:25,985 (ため息) 260 00:16:25,985 --> 00:16:29,989 これから儀式がある。 貴君も ついてきたまえ。 261 00:16:29,989 --> 00:16:31,991 師匠! 折り入って話が…。 262 00:16:31,991 --> 00:16:36,996 賀茂大橋の決闘だ。 代理代理戦争を貴君に引き継ぐ。 263 00:16:36,996 --> 00:16:39,999 ああ… 待ってください! (樋口)よう ご両人。 264 00:16:39,999 --> 00:16:42,001 あっ…。 265 00:16:42,001 --> 00:16:45,004 見届けさせてもらうわよ。 266 00:16:48,007 --> 00:16:50,009 よし 行こう。 267 00:16:58,017 --> 00:16:59,952 <そして 決戦の 火ぶたが切られた> 268 00:16:59,952 --> 00:17:02,955 <西詰より 城ヶ崎氏が歩いてくる> 269 00:17:02,955 --> 00:17:05,958 <やがて 2人は 賀茂大橋の中央で相まみえた> 270 00:17:05,958 --> 00:17:08,961 (城ヶ崎)おや 明石さん。 (明石)どうも。 271 00:17:10,630 --> 00:17:12,298 えっ? (羽貫)ええ? 272 00:17:12,298 --> 00:17:13,100 おわっ! 273 00:17:16,969 --> 00:17:19,972 よく会うわね。 具合は いかが? 274 00:17:19,972 --> 00:17:22,975 (城ヶ崎)おかげさまで 健康そのものさ。 275 00:17:24,977 --> 00:17:26,979 君は 樋口一門だったのか。 276 00:17:26,979 --> 00:17:30,983 はい。 去年の秋に 弟子入りしました。 277 00:17:30,983 --> 00:17:33,986 それは わが弟子 小津ではないかい? 278 00:17:33,986 --> 00:17:37,990 ああ。 これが 俺の後を継ぐ うちの代理人だ。 279 00:17:37,990 --> 00:17:40,993 お前は 自分の弟子だと 思っていただろうが➡ 280 00:17:40,993 --> 00:17:43,996 こいつは 俺のスパイだったわけさ。 だまされただろ? 281 00:17:46,999 --> 00:17:51,003 やられたなぁ。 (小津)師匠 すいませんでした。 282 00:17:51,003 --> 00:17:55,007 (樋口)自虐的代理代理戦争 史上 前代未聞の出来事だよ。➡ 283 00:17:55,007 --> 00:17:58,010 お前は 歴史に名を残す。 (小津)ネヘヘ。 284 00:17:58,010 --> 00:18:01,948 (城ヶ崎)今回は 長引いたな。 5年か… もっとか? 285 00:18:01,948 --> 00:18:04,951 (樋口)忘れたよ。 何せ 長い戦いだったからね。 286 00:18:04,951 --> 00:18:06,953 <小津は 八面六臂の活躍で➡ 287 00:18:06,953 --> 00:18:09,956 城ヶ崎氏の 暴露ドキュメンタリーを撮る一方➡ 288 00:18:09,956 --> 00:18:11,958 樋口師匠の浴衣を 桃色に染めるという 意味不明な➡ 289 00:18:11,958 --> 00:18:15,962 あきれた二重スパイぶりを 発揮していたらしい> 290 00:18:15,962 --> 00:18:17,964 そっちの代理人は 彼かい? 291 00:18:17,964 --> 00:18:20,967 ああ よろしく頼むよ。 292 00:18:20,967 --> 00:18:22,635 いや… ちょっと待ってください! 293 00:18:22,635 --> 00:18:25,972 じゃあ やるかね。 (城ヶ崎)ああ。 294 00:18:25,972 --> 00:18:27,974 さっさと やって! 295 00:18:29,976 --> 00:18:32,979 <勝負は あまりにも 気の抜けた せりふで始まった> 296 00:18:36,983 --> 00:18:38,985 <息を詰めるような一瞬の後 2人は 激突した!> 297 00:18:38,985 --> 00:18:41,988 (樋口・先人たち)いくぞ! (城ヶ崎・先人たち)いいとも! 298 00:18:43,990 --> 00:18:45,992 (城ヶ崎・樋口・先人たち) じゃんけんぽん! 299 00:18:45,992 --> 00:18:47,994 はい おしま~い! 城ヶ崎君が勝ったから➡ 300 00:18:47,994 --> 00:18:49,996 次は 小津君が先攻ね。 301 00:18:55,001 --> 00:18:58,004 ようやく 肩の荷が下りたよ。 302 00:19:01,941 --> 00:19:03,943 これから どうするんだ? 303 00:19:03,943 --> 00:19:06,946 旅に出る。 (明石・私)あっ…。 304 00:19:06,946 --> 00:19:10,950 おいおい 羽貫。 樋口が 訳の分からないことを言ってるぞ。 305 00:19:10,950 --> 00:19:13,953 (樋口)取りあえず 世界一周してくるつもりだ。➡ 306 00:19:13,953 --> 00:19:17,957 羽貫も一緒に行くかい? 君は 英語がしゃべれるからな。 307 00:19:17,957 --> 00:19:20,960 無茶言わないでよ。 バカバカしい。 308 00:19:20,960 --> 00:19:23,963 金は あるのか? 309 00:19:23,963 --> 00:19:26,966 しまなみ杯の賞金があるからね。➡ 310 00:19:26,966 --> 00:19:30,970 貴君 すまないが あの部屋を これで 掃除しておいてくれ。 311 00:19:32,972 --> 00:19:34,974 ああ…。 312 00:19:50,990 --> 00:19:53,993 <そして 師匠は 風と共に消えていった> 313 00:19:56,996 --> 00:19:58,998 ああ…。 314 00:19:58,998 --> 00:20:00,100 (羽貫)飲みに行こうか。 315 00:20:00,100 --> 00:20:03,002 (城ヶ崎)おっ。 やっと その気になったかい? 316 00:20:03,002 --> 00:20:05,004 (羽貫)ラブドールに 入れ揚げてるんでしょ。 317 00:20:05,004 --> 00:20:07,006 (城ヶ崎)どこから その情報を…。 318 00:20:07,006 --> 00:20:10,009 (羽貫)小津君。 何でも話してくれるわよ。 319 00:20:10,009 --> 00:20:13,012 (城ヶ崎)あいつめ…。 いったい どういうやつなんだ。 320 00:20:18,017 --> 00:20:21,020 あっ!? 嫌だ~! 321 00:20:28,027 --> 00:20:31,030 <いっそ 一思いに 鴨川へ飛び込んでしまおうか> 322 00:20:31,030 --> 00:20:34,033 <京都から落ち延びて 室戸岬で悟りを開いてこようか> 323 00:20:37,036 --> 00:20:41,040 (小津)「今後とも よろしく お願いします」 324 00:20:41,040 --> 00:20:44,043 こっ これは…。 325 00:20:44,043 --> 00:20:46,045 うわっ! 326 00:20:48,047 --> 00:20:51,050 (小津)「そちらが 先攻でしたら失礼」➡ 327 00:20:51,050 --> 00:20:54,053 「これからは ダーティープレイで行きましょう」 328 00:20:54,053 --> 00:20:55,721 えっ…。 329 00:20:55,721 --> 00:20:57,423 うわっ! 330 00:20:59,058 --> 00:21:01,994 <すでに 代理代理戦争の 火ぶたは切られていた> 331 00:21:01,994 --> 00:21:03,996 <やはり あの時計台前で 樋口師匠に捕まったことが➡ 332 00:21:03,996 --> 00:21:05,998 運命の分かれ目であったろう> 333 00:21:05,998 --> 00:21:08,000 <もし ほかのサークルを 選んでいれば➡ 334 00:21:08,000 --> 00:21:11,003 わたしは もっと別の2年間を 送っていたに違いない> 335 00:21:11,003 --> 00:21:12,671 <何より 小津と 出会ってしまったことが➡ 336 00:21:12,671 --> 00:21:14,340 一番の失敗であった> 337 00:21:14,340 --> 00:21:16,041 ああ…。 338 00:21:25,017 --> 00:21:35,027 ♬~