1 00:00:02,002 --> 00:00:04,004 ⚟(羽貫)どうしたの? 出てきて! ⚟(ノック) 2 00:00:04,004 --> 00:00:08,008 ⚟(ノック) 3 00:00:08,008 --> 00:00:10,010 (私)<華やかさとは無縁の わが人生が ここへきて➡ 4 00:00:10,010 --> 00:00:12,012 最高潮を迎えている> 5 00:00:12,012 --> 00:00:14,014 (私)はっ! (ジョニー)決まりだろ! 6 00:00:14,014 --> 00:00:16,016 (羽貫)ねえ 出てきて! 7 00:00:16,016 --> 00:00:19,019 <羽貫さんは 心情的にも ビジュアル的にも➡ 8 00:00:19,019 --> 00:00:22,022 申し分ない女性だが こよいの彼女は あまりにも…> 9 00:00:22,022 --> 00:00:25,025 (香織)わたしをさらって。 あの人が来る前に。 10 00:00:25,025 --> 00:00:28,028 <香織さんは 無口で かれんな乙女> 11 00:00:28,028 --> 00:00:31,031 <しかし 彼女とわたしは 結ばれぬ運命> 12 00:00:31,031 --> 00:00:34,034 (景子)「会えなければ これ以上 関係を続けることは できません」 13 00:00:34,034 --> 00:00:37,037 <景子さんは 古風で しとやかな女性> 14 00:00:37,037 --> 00:00:39,039 <しかし 彼女には おいそれと 会えない> 15 00:00:44,044 --> 00:00:48,048 (私)わたしは香織さんを選ぶ! (ジョニー)何で? 16 00:00:50,050 --> 00:01:00,060 ♬~ 17 00:02:25,012 --> 00:02:28,015 <当時 ぴかぴかの大学1回生で あった わたしの目の前には➡ 18 00:02:28,015 --> 00:02:30,017 個人の情報量を はるかに凌駕する 無数のサークルの➡ 19 00:02:30,017 --> 00:02:32,019 チラシが差し出され そのどれもが➡ 20 00:02:32,019 --> 00:02:35,022 ばら色のキャンパスライフへの 扉で あるかのように見えた> 21 00:02:43,030 --> 00:02:45,032 <4年間のモラトリアム。 時に アグレッシブに➡ 22 00:02:45,032 --> 00:02:48,035 子供の夢を かなえるのも よいかもしれぬ> 23 00:02:48,035 --> 00:02:50,037 <少年の心を理解する 黒髪の乙女が➡ 24 00:02:50,037 --> 00:02:52,039 現れるかもしれぬ> 25 00:02:55,042 --> 00:02:59,046 (怪人)ターッ! うわっ!➡ 26 00:02:59,046 --> 00:03:00,981 心を洗われました。 改心します。 27 00:03:00,981 --> 00:03:03,984 (司会)よし よし! ワッハッハ! 28 00:03:03,984 --> 00:03:07,988 (歓声・拍手) 29 00:03:07,988 --> 00:03:09,990 さあ みんなで! 30 00:03:09,990 --> 00:03:13,994 (子供たち)♬「そーれ そーれ モチグマン」➡ 31 00:03:13,994 --> 00:03:18,999 ♬「誰も倒さず 誰も傷つけず」➡ 32 00:03:18,999 --> 00:03:23,003 ♬「いつの間にか もめ事 鎮め」➡ 33 00:03:23,003 --> 00:03:32,012 ♬「だけど 強いし 広い心 太い真心」 34 00:03:32,012 --> 00:03:34,014 あっ! モチグマンを助けろ! 35 00:03:34,014 --> 00:03:37,017 あらら。 どうしたの?➡ 36 00:03:37,017 --> 00:03:40,020 お姉さんを かどわかそうとした 悪者たちね。 37 00:03:40,020 --> 00:03:43,023 さあ! みんなで 改心させよう! 38 00:03:43,023 --> 00:03:47,027 (子供たち)改心しろ! 改心しろ! 改心しろ!➡ 39 00:03:47,027 --> 00:03:50,030 改心しろ! 改心しろ! 改心しろ! 40 00:03:50,030 --> 00:03:53,033 見て! 逃げてくぞ!➡ 41 00:03:53,033 --> 00:03:58,038 よかった よかった! また モチグマンが とりなしたね。➡ 42 00:03:58,038 --> 00:04:00,640 さすがだね! モチグマン! 43 00:04:02,309 --> 00:04:05,979 痛てて…。 結構 本気で小突きやがって。 44 00:04:05,979 --> 00:04:10,984 ワンステ 3,000円なのに。 うん!? 45 00:04:10,984 --> 00:04:12,986 《「君をスカウトしたい 高額保証」》 46 00:04:12,986 --> 00:04:14,988 《「明日 正午 工学部の学食で➡ 47 00:04:14,988 --> 00:04:16,990 好きなものを頼んで 待っていたまえ」》 48 00:04:16,990 --> 00:04:18,992 《何とも いかがわしい》 49 00:04:18,992 --> 00:04:20,994 フン! えいっ! 50 00:04:20,994 --> 00:04:22,996 あっ…。 51 00:04:35,008 --> 00:04:38,011 (明石)先ほどは どうも。 52 00:04:43,016 --> 00:04:46,019 <わたしが起居しているのは えいざん出町柳裏にある➡ 53 00:04:46,019 --> 00:04:48,021 下鴨幽水荘という下宿である> 54 00:04:48,021 --> 00:04:50,023 <今にも倒壊しそうな 木造 3階建て> 55 00:04:50,023 --> 00:04:52,025 <見る者を やきもきさせる おんぼろぶりは もはや➡ 56 00:04:52,025 --> 00:04:54,027 重要文化財の境地だが これが焼失して気にする人は➡ 57 00:04:54,027 --> 00:04:58,031 誰も いないだろうことは 想像に難くない> 58 00:04:58,031 --> 00:05:00,300 <視聴者諸君 驚くなかれ わたしは ひょんなことから➡ 59 00:05:00,300 --> 00:05:01,968 ある女性と文通しているのだ> 60 00:05:01,968 --> 00:05:03,970 <文通で肝心なのは 必ず手書きであるということ> 61 00:05:03,970 --> 00:05:05,972 <地獄の釜が開こうとも 相手に会っては➡ 62 00:05:05,972 --> 00:05:07,974 ならないということである。 大切に培ってきた➡ 63 00:05:07,974 --> 00:05:10,977 優雅な関係が一瞬にして 水泡に帰すること大だ> 64 00:05:10,977 --> 00:05:12,979 <彼女の名前は 樋口 景子さんといい➡ 65 00:05:12,979 --> 00:05:14,981 文面から 知性と教養が におい立つ➡ 66 00:05:14,981 --> 00:05:17,984 わたしの理想像と いうべき女性である> 67 00:05:17,984 --> 00:05:20,987 <さて どうしたものか> 68 00:05:20,987 --> 00:05:22,989 (ジョニー)どうだって いいんじゃね! 69 00:05:29,996 --> 00:05:32,999 うん!? 70 00:05:32,999 --> 00:05:37,003 (男性)これは 絶対 他言無用 最高機密で お願いしたいんだが➡ 71 00:05:37,003 --> 00:05:40,006 君に ある女性の ボディーガードを頼みたい。 72 00:05:40,006 --> 00:05:44,010 ボ… ボディーガード? (男性)危険な仕事ではない。➡ 73 00:05:44,010 --> 00:05:47,013 わたしの留守を 守ってくれさえすればいいんだ。➡ 74 00:05:47,013 --> 00:05:50,016 特に最近 何かと物騒だ。➡ 75 00:05:50,016 --> 00:05:54,020 わたしを陥れようとしている 人間も ごまんといる。➡ 76 00:05:54,020 --> 00:05:57,023 君なら安心して この仕事を任せられる。➡ 77 00:05:57,023 --> 00:05:59,025 筋金入りの 安全パイだろう?➡ 78 00:05:59,025 --> 00:06:02,963 石橋を粉々に たたき壊してしまう 奥手と聞いている。➡ 79 00:06:02,963 --> 00:06:04,965 妙な気を 起こす心配もないわけだ。 80 00:06:04,965 --> 00:06:09,970 フン! (男性)やってくれるかい? 81 00:06:09,970 --> 00:06:11,972 うわっ! 82 00:06:17,978 --> 00:06:21,982 (男性)紹介しよう。 香織だ。 83 00:06:23,984 --> 00:06:26,987 (男性)香織は とても エレガントな女性だ。➡ 84 00:06:26,987 --> 00:06:28,989 丁重に接してほしい。➡ 85 00:06:28,989 --> 00:06:30,991 しかし われわれの プライバシーが 広く世間に➡ 86 00:06:30,991 --> 00:06:33,994 流布することは好まん!➡ 87 00:06:33,994 --> 00:06:37,998 もし このことを他言したら 君など…➡ 88 00:06:37,998 --> 00:06:39,100 シャッ! あっ…。 89 00:06:42,002 --> 00:06:44,004 (城ヶ崎)フン! <男は城ヶ崎といい➡ 90 00:06:44,004 --> 00:06:46,006 映画サークル 「MISOGI」の 会長なのであった> 91 00:06:46,006 --> 00:06:48,008 <香織 接待マニュアルなるものを 渡された> 92 00:06:48,008 --> 00:06:51,011 <直接 触ってはいけない。 好きな飲み物 菓子を切らさず➡ 93 00:06:51,011 --> 00:06:53,013 退屈させないように 映画を見せて あげるようになど➡ 94 00:06:53,013 --> 00:06:56,016 必須内容が指導された> 95 00:06:56,016 --> 00:07:00,020 じゃあ 留守をよろしく頼む。 変な気 起こすなよ! 96 00:07:07,961 --> 00:07:09,963 <とても 人形とは思えない> 97 00:07:09,963 --> 00:07:11,965 <彼女の髪は 奇麗に なでつけられ➡ 98 00:07:11,965 --> 00:07:13,967 きちんと 上品な服を着ていた> 99 00:07:13,967 --> 00:07:15,969 <化粧 つめの手入れ 肌艶よく➡ 100 00:07:15,969 --> 00:07:18,972 この気品のある表情は どうであろうか> 101 00:07:18,972 --> 00:07:23,977 は… 早く 城ヶ崎氏が帰ってくるといいね。 102 00:07:29,983 --> 00:07:32,986 《フン!》 あっ! 103 00:07:32,986 --> 00:07:37,991 城ヶ崎って人は ホントは単純な いい人なのかな。 104 00:07:37,991 --> 00:07:39,993 君は美しいね。 105 00:07:39,993 --> 00:07:42,996 城ヶ崎氏の気持ちが 分からぬでもない。 106 00:07:42,996 --> 00:07:45,999 わたしは生身の女性が いいと思うが。 107 00:07:56,009 --> 00:07:58,011 あっ! 108 00:08:01,948 --> 00:08:04,951 (息を吹き掛ける音) 109 00:08:06,953 --> 00:08:08,955 <そうして 城ヶ崎氏の留守を守っては➡ 110 00:08:08,955 --> 00:08:11,958 給料をもらう日々が続いた> 111 00:08:11,958 --> 00:08:13,960 <城ヶ崎氏が帰ってくると➡ 112 00:08:13,960 --> 00:08:15,962 わたしは 入れ違いに 部屋を追い出される> 113 00:08:15,962 --> 00:08:17,964 <そんな日々が> 114 00:08:19,966 --> 00:08:23,970 (小津)どうすか 最近は? 何だか 羽振りが良さそうですが。 115 00:08:23,970 --> 00:08:25,972 何もないよ。 116 00:08:25,972 --> 00:08:31,978 (小津)う~ん おおかた 香織さんのボディーガード料でしょう。 117 00:08:31,978 --> 00:08:33,980 なっ なぜ それを? 118 00:08:33,980 --> 00:08:37,984 わたしの情報網を 甘く見てはいけませんよ。 119 00:08:37,984 --> 00:08:41,988 城ヶ崎さんは ああ見えて 純情な男ですからね。 120 00:08:41,988 --> 00:08:43,990 どういうことだ。 121 00:08:43,990 --> 00:08:46,993 あれは とても高尚な愛の形なのです。➡ 122 00:08:46,993 --> 00:08:48,995 そこらのダッチワイフとは 訳が違う。 123 00:08:48,995 --> 00:08:51,998 超高級品ですぞ。 ラブドールと呼ぶのです。 124 00:08:51,998 --> 00:08:55,001 相手のことを思い 大切にめでながら➡ 125 00:08:55,001 --> 00:08:57,003 暮らすことに意味があるのです。 126 00:08:57,003 --> 00:08:59,939 あなたのように 性欲処理の 道具にしか見てない野人には➡ 127 00:08:59,939 --> 00:09:01,941 分からないでしょうが。 128 00:09:01,941 --> 00:09:04,944 今すぐ 黙れ! 未来永劫 黙れ! 129 00:09:04,944 --> 00:09:06,946 それは お断りです。 130 00:09:06,946 --> 00:09:09,949 僕は 無駄口が利けないと 寂しくて死ぬのです。 131 00:09:09,949 --> 00:09:11,951 死ねばよいのだ。 132 00:09:11,951 --> 00:09:14,954 ところがどっこい 無駄口を利いているかぎり➡ 133 00:09:14,954 --> 00:09:16,956 僕は死なないのです。 134 00:09:16,956 --> 00:09:20,960 わたしは 魂の入ってないものに 感情移入などしない。 135 00:09:20,960 --> 00:09:24,964 (小津)素直じゃないですね あなたも。 136 00:09:24,964 --> 00:09:28,968 <城ヶ崎氏は 今 映画の撮影で 忙しいらしく 撮っている映画は➡ 137 00:09:28,968 --> 00:09:31,971 現代版 『アレキサンダー大王』とも いうべき➡ 138 00:09:31,971 --> 00:09:33,973 自身の集大成の映画らしい> 139 00:09:33,973 --> 00:09:36,976 <サークルでは カリスマとして通っており とてもモテるものの➡ 140 00:09:36,976 --> 00:09:39,979 やはり本命は 香織さんということだった> 141 00:09:39,979 --> 00:09:41,981 ⚟(城ヶ崎)じゃ よろしくな。 142 00:09:46,986 --> 00:09:49,989 <このところ 部屋を空ける日が 続いている城ヶ崎氏> 143 00:09:49,989 --> 00:09:52,992 <ふびんな身の上である彼女に つい 親身になってしまうが➡ 144 00:09:52,992 --> 00:09:55,995 そうはいっても 彼女は人形である> 145 00:09:55,995 --> 00:09:58,998 <わたしは 生身の女性と 文通しているのだ> 146 00:09:58,998 --> 00:10:01,000 <彼女は ちゃんと返事をくれる> 147 00:10:01,000 --> 00:10:03,002 <香織さんは 見た目が いくら美しくても➡ 148 00:10:03,002 --> 00:10:05,004 返事をしてくれることはない> 149 00:10:07,674 --> 00:10:09,342 (香織)ねえ。 はい? 150 00:10:09,342 --> 00:10:11,010 はっ! 151 00:10:11,010 --> 00:10:14,013 (香織)ねえ… ねえ。 152 00:10:21,020 --> 00:10:23,022 <作りが精巧であることと➡ 153 00:10:23,022 --> 00:10:26,025 城ヶ崎氏のつくりあげた 繊細かつ かれんな世界は➡ 154 00:10:26,025 --> 00:10:30,029 時々 彼女を 本当の人間のように思わせた> 155 00:10:35,034 --> 00:10:38,037 (羽貫)OZニュース 絶好調じゃない。 羽貫さんのおかげですよ。 156 00:10:38,037 --> 00:10:42,041 <羽貫さんは 歯科衛生士であり 英会話サークルの先輩である> 157 00:10:42,041 --> 00:10:45,044 <サークルの後 毎回 カフェで お茶をするのが習慣となっていた> 158 00:10:45,044 --> 00:10:47,046 <しかし 気の知れた人としか 酒を飲まないらしく➡ 159 00:10:47,046 --> 00:10:50,049 わたしは いまだ 飲みに誘われたことはなかった> 160 00:10:50,049 --> 00:10:53,052 <彼女は エロ歯科医 窪塚からの ひっきりなしの誘いと➡ 161 00:10:53,052 --> 00:10:56,055 ほったらかしの彼氏の間で 揺れていた> 162 00:10:56,055 --> 00:10:58,057 <文通相手の景子さんから➡ 163 00:10:58,057 --> 00:10:59,993 とうとう 「会いたい」と 手紙が来てしまった> 164 00:10:59,993 --> 00:11:01,995 <乙女の心に 火を付けてしまったのは➡ 165 00:11:01,995 --> 00:11:03,997 わたしの文才が並々ならぬことの 証しであろう> 166 00:11:03,997 --> 00:11:05,999 <しかし わたしは 会うわけにはいかなかった> 167 00:11:05,999 --> 00:11:08,001 <なぜなら 手紙の中のわたしは 少しばかり➡ 168 00:11:08,001 --> 00:11:11,004 現実の わたしに比べて 美しく飾られていたからである> 169 00:11:11,004 --> 00:11:13,006 <確かに それは わたしの理想とする男性像では➡ 170 00:11:13,006 --> 00:11:16,009 あるものの 現実のわたしが それに追い付くには➡ 171 00:11:16,009 --> 00:11:19,012 今 しばらく 時間が必要であった> 172 00:11:19,012 --> 00:11:20,680 ⚟(ノック) 173 00:11:20,680 --> 00:11:22,348 あっ。 174 00:11:22,348 --> 00:11:24,017 緊急事態だ! 175 00:11:24,017 --> 00:11:27,020 うわっ!? 臭いなあ お前んち。 176 00:11:27,020 --> 00:11:30,023 しかし 俺の下宿は どうにも物騒だ。 177 00:11:30,023 --> 00:11:33,026 香織を ここで しばらく預かってくれ。 178 00:11:43,036 --> 00:11:45,038 うわっ わっ! 179 00:11:49,042 --> 00:11:54,047 香織 ごめんね。 薄汚い所だけど しばらくの辛抱だから。 180 00:11:54,047 --> 00:11:56,049 あっ…。 181 00:11:58,051 --> 00:12:00,987 (城ヶ崎)時給は これまでと同じで 24時間分 出す。➡ 182 00:12:00,987 --> 00:12:03,990 しかし 手元にないから 銀行振り込みにさせてくれ。 183 00:12:03,990 --> 00:12:06,993 <こうして わたしと香織さんの 同棲生活が始まった> 184 00:12:06,993 --> 00:12:08,995 <それにしても 城ヶ崎氏は わたしのことを➡ 185 00:12:08,995 --> 00:12:10,997 軽んじ過ぎてやしないか?> 186 00:12:10,997 --> 00:12:12,999 <とはいえ まさか こんな甘い生活が➡ 187 00:12:12,999 --> 00:12:16,002 わたしの キャンパスライフに訪れるとは 夢にも思わなかった> 188 00:12:16,002 --> 00:12:18,004 <たんたんと暮らしてきた これまでの2年間➡ 189 00:12:18,004 --> 00:12:21,007 身辺が これだけ 華やいだことはなかった> 190 00:12:21,007 --> 00:12:25,011 これと あれと あ… それを2つずつ下さい。 191 00:12:25,011 --> 00:12:28,014 <学校から帰ってくれば 香織さんが部屋で待っている> 192 00:12:28,014 --> 00:12:31,017 <それだけでも 楽しい日々> 193 00:12:34,020 --> 00:12:36,022 <まるで彼女は わたしの部屋の一隅を借りて➡ 194 00:12:36,022 --> 00:12:40,026 小説に夢を膨らませる 知的な黒髪の乙女のようだった> 195 00:12:40,026 --> 00:12:42,028 <いつか 彼女は ここから いなくなるときが➡ 196 00:12:42,028 --> 00:12:44,030 来るのだろうか?> 197 00:12:44,030 --> 00:12:46,032 ああ…。 198 00:12:52,038 --> 00:12:54,040 <愛の形は 様々だというものの➡ 199 00:12:54,040 --> 00:12:57,043 ここまで 閉鎖的な愛の迷路に 迷いこんだら 危険である> 200 00:12:57,043 --> 00:12:59,045 <帰り道が分からなくなる恐れが ありながら➡ 201 00:12:59,045 --> 00:13:00,980 わたしは 道の奥へと 入りこんでいた> 202 00:13:00,980 --> 00:13:04,984 うう…。 203 00:13:04,984 --> 00:13:06,653 (ジョニー)決めちゃいな! 204 00:13:06,653 --> 00:13:09,055 あっ! ふーん…。 205 00:13:11,991 --> 00:13:15,995 (香織)《初めてのラーメン うれしゅうございます》 206 00:13:17,997 --> 00:13:19,999 (香織)《一度 食べてみとうございました》 207 00:13:19,999 --> 00:13:23,002 《あなたの お口に 合いますかどうか》 208 00:13:26,005 --> 00:13:29,008 《すごい 美人でしょう。 城ヶ崎さんの彼女ですが➡ 209 00:13:29,008 --> 00:13:32,011 ここへ食べにきたことは 内緒ですよ》 210 00:13:34,013 --> 00:13:36,015 《さあ 食べましょう》 211 00:13:36,015 --> 00:13:41,020 (ラーメンをすする音) 212 00:13:41,020 --> 00:13:42,622 うあ…。 213 00:13:44,357 --> 00:13:46,025 夢。 214 00:13:46,025 --> 00:13:48,027 (げっぷ) 215 00:13:48,027 --> 00:13:50,029 (かぐ音) 216 00:13:50,029 --> 00:13:54,033 おいっ! ラーメン食っただろ! においが付いてるぞ。 217 00:13:54,033 --> 00:13:56,035 うわっ うわっ! うわっ! 218 00:13:56,035 --> 00:13:59,038 家で食事するな! 外で食え! 219 00:13:59,038 --> 00:14:00,640 (城ヶ崎のため息) 220 00:14:00,640 --> 00:14:02,975 (城ヶ崎) しかし 俺も もう いい年だ。 221 00:14:02,975 --> 00:14:04,977 これまで 好き勝手なことをしてきたが➡ 222 00:14:04,977 --> 00:14:08,981 今 撮っている映画が完成したら 身を固めようと思う。➡ 223 00:14:08,981 --> 00:14:10,983 卒業 就職する。➡ 224 00:14:10,983 --> 00:14:13,986 そして また 香織と一緒に 暮らそうと思う。 225 00:14:18,991 --> 00:14:20,993 (城ヶ崎) 君には 世話になったな。➡ 226 00:14:20,993 --> 00:14:23,996 近く 香織を迎えに来る。 じゃあな。 227 00:14:23,996 --> 00:14:28,000 ⚟(ドアの開閉音) 228 00:14:30,002 --> 00:14:32,004 あっ? 229 00:14:34,006 --> 00:14:37,009 <とうとう 景子さんから 最後通達が来てしまった> 230 00:14:37,009 --> 00:14:41,013 <これで会わなければ 今後 一切 連絡が途絶えてしまうであろう> 231 00:14:41,013 --> 00:14:46,018 <しかし わたしは まだまだ 景子さんに会える身ではなかった> 232 00:14:46,018 --> 00:14:49,021 どう? 今日 飲みに行かない? あっ…。 233 00:14:49,021 --> 00:14:52,024 今日は 大事なリポートがあって。 そっか。 234 00:14:52,024 --> 00:14:56,028 うん 分かった。 リポート 頑張ってね。 235 00:14:58,030 --> 00:14:59,966 <とうとう 待ちに待った 羽貫さんと親しい間柄という➡ 236 00:14:59,966 --> 00:15:01,968 お墨付きの 飲みの誘いなのに➡ 237 00:15:01,968 --> 00:15:03,970 わたしは 帰ってきてしまった> 238 00:15:06,973 --> 00:15:09,976 <なぜなら 城ヶ崎氏が 香織さんを引き取りに来るのも➡ 239 00:15:09,976 --> 00:15:12,979 今夜であった> 240 00:15:12,979 --> 00:15:14,981 <八面六臂の 桃色遊戯の達人でなければ➡ 241 00:15:14,981 --> 00:15:16,983 誰か 一人に 絞らねばならない> 242 00:15:16,983 --> 00:15:19,986 うーん…。 243 00:15:19,986 --> 00:15:22,989 香織さん ちょっと待ってておくれ! これは 人命救助だ! 244 00:15:22,989 --> 00:15:25,992 羽貫さんが エロ歯科医の毒牙に かかってしまいかねない! 245 00:15:28,995 --> 00:15:31,998 <しかし ホテルのラウンジでは 予想外の展開が待っていた> 246 00:15:31,998 --> 00:15:33,100 <そこには 何と 城ヶ崎氏の姿があった> 247 00:15:33,100 --> 00:15:36,002 <香織さんという人が ありながら➡ 248 00:15:36,002 --> 00:15:38,004 羽貫さんにまで手を出そうとは 純情が聞いてあきれる> 249 00:15:38,004 --> 00:15:41,007 <この飲み比べ 決して 負けるわけにはいかない!> 250 00:15:43,009 --> 00:15:45,011 <どうにか勝負には 勝った> 251 00:15:47,013 --> 00:15:49,015 <ところが…。 ところが この後➡ 252 00:15:49,015 --> 00:15:53,019 まったく 想定外の展開が 待っているのだった> 253 00:15:53,019 --> 00:15:56,022 ⚟(ノック) ⚟(羽貫)開けて! 254 00:15:56,022 --> 00:16:00,960 (ジョニー)おーい 何やってんだ! いくしかないだろ! 255 00:16:00,960 --> 00:16:04,964 千載一遇の大チャンスだろー! 256 00:16:04,964 --> 00:16:07,967 やはり わたしには 香織しかいない。 257 00:16:07,967 --> 00:16:10,970 香織! ええっ!? 258 00:16:10,970 --> 00:16:12,972 (羽貫)にゃっ!? 香織! 259 00:16:17,977 --> 00:16:19,979 ⚟(ドアの開閉音) 260 00:16:19,979 --> 00:16:21,981 ハァ ハァ ハァ…。 261 00:16:21,981 --> 00:16:25,985 ⚟(香織)今生の聞き納めとあらば あなたの声に 体が震えます。 262 00:16:25,985 --> 00:16:27,987 はっ。 263 00:16:29,989 --> 00:16:31,991 (雷鳴) 264 00:16:31,991 --> 00:16:35,995 (香織)再び 城ヶ崎にめでられれば 違う草木になりましょう。➡ 265 00:16:35,995 --> 00:16:39,999 今の わたしでいるのは あなたの 前だけです。 266 00:16:39,999 --> 00:16:42,001 (雷鳴) 香織…。 267 00:16:42,001 --> 00:16:46,005 (香織)わたしを連れて 逃げてください! お願い お願い。 268 00:16:46,005 --> 00:16:50,009 (雨音) 269 00:16:50,009 --> 00:16:54,013 (小津)「かけおちします 今まで ありがとう。 香織」ね~。 270 00:16:54,013 --> 00:16:58,017 📱(呼び出し音) (小津)あっ 城ヶ崎さん? 271 00:16:58,017 --> 00:17:03,956 (雨音) 272 00:17:03,956 --> 00:17:06,959 ハァ ハァ ハァ…。 273 00:17:06,959 --> 00:17:09,962 香織さん ぬれてしまう。 274 00:17:15,968 --> 00:17:17,970 (雷鳴) 275 00:17:17,970 --> 00:17:23,976 ハァ ハァ ごめんね 香織さん。 276 00:17:23,976 --> 00:17:26,979 (香織)ううん いいの。 わたし うれしいの。➡ 277 00:17:26,979 --> 00:17:29,982 雨にぬれるのは 初めてなんですもの。 278 00:17:29,982 --> 00:17:31,984 香織さん…。 279 00:17:31,984 --> 00:17:33,986 ん~。 280 00:17:33,986 --> 00:17:35,988 (老婆)学生さん。 うわあ! 281 00:17:35,988 --> 00:17:37,990 お… おばあ! 282 00:17:37,990 --> 00:17:41,994 (老婆)学生さん 何を お聞きになりたいんでしょう? 283 00:17:41,994 --> 00:17:44,997 わたしは 何も 尋ねていない! なるほど。 284 00:17:44,997 --> 00:17:46,999 あなたは不満なのですね。 285 00:17:46,999 --> 00:17:49,001 だから わたしは 知らんと言っている! 286 00:17:49,001 --> 00:17:51,003 とにかく 好機は いつでも➡ 287 00:17:51,003 --> 00:17:54,006 あなたの 目の前に ぶら下がってございます。 288 00:17:54,006 --> 00:17:58,010 それを つかまえてごらんなさい。➡ 289 00:17:58,010 --> 00:18:02,014 はい 7,000円。 おい 何をする! 290 00:18:07,954 --> 00:18:09,956 <雨がやんだら 京都駅へ行って➡ 291 00:18:09,956 --> 00:18:12,959 ここから 一番 遠く離れた駅まで 切符を買おう> 292 00:18:12,959 --> 00:18:15,962 <そこから 最果ての国へ行き 小さな町の 小さな家に住もう> 293 00:18:15,962 --> 00:18:18,965 <慣れない土地での 仕事は大変だろうが➡ 294 00:18:18,965 --> 00:18:20,967 君の笑顔を見れば 元気が出る> 295 00:18:20,967 --> 00:18:22,969 <やがて 子供ができたら➡ 296 00:18:22,969 --> 00:18:25,972 反対していた両親も きっと 認めてくれるだろう> 297 00:18:25,972 --> 00:18:28,975 <月日は流れて やがて わたしにも 孫ができる> 298 00:18:28,975 --> 00:18:30,977 <この日のために 生きてきたのだと気付き➡ 299 00:18:30,977 --> 00:18:32,979 涙するのだ。 最高に 幸せな日々> 300 00:18:32,979 --> 00:18:36,983 <でも 突然 君が病気になり わたしは手を握り 看病し続ける> 301 00:18:36,983 --> 00:18:39,986 <君は 笑って こう言う。 「あなたに 出会えて よかった」> 302 00:18:39,986 --> 00:18:41,988 <それは まさに わたしのせりふだ> 303 00:18:41,988 --> 00:18:43,990 <わたしが 先にいく 約束ではなかったのか> 304 00:18:43,990 --> 00:18:46,993 しかし 君と一緒になれてよかった。 305 00:18:46,993 --> 00:18:50,997 こ… これを 好機と言わずして 何と 言おうか? 306 00:18:50,997 --> 00:18:53,100 おい おい! これ 100% 好機到来じゃん! 307 00:18:53,100 --> 00:18:56,002 彼女の顔 見てみろよ? 待ってるぜ! 308 00:18:56,002 --> 00:18:58,004 香織さんは そんな人じゃない! 309 00:18:58,004 --> 00:18:59,939 いくら 品のいい顔をしてても➡ 310 00:18:59,939 --> 00:19:03,943 心の中は 熱くたぎって お前と同じ思いなんだ! 311 00:19:03,943 --> 00:19:05,945 嘘だ。 嘘なもんか! 312 00:19:05,945 --> 00:19:08,948 なぜ 彼女はお前に ついてきた? ずっと ついてきたぞ! 313 00:19:08,948 --> 00:19:11,951 ほら。 ずっと お前を見ている! 314 00:19:11,951 --> 00:19:15,955 (香織)お別れする前に あなたの ぬくもりを 分けてください。➡ 315 00:19:15,955 --> 00:19:19,959 わたしを 愛した証しを 感じさせてくださいまし。 316 00:19:19,959 --> 00:19:21,961 香織さん しかし。 317 00:19:21,961 --> 00:19:23,963 (香織)あなたにとって 身を焦がすような➡ 318 00:19:23,963 --> 00:19:25,965 恋ではないことは 知っておりました。➡ 319 00:19:25,965 --> 00:19:27,967 しかし 今はあなたの 手のぬくもりが➡ 320 00:19:27,967 --> 00:19:30,970 唯一 わたしが 今 生きていることを➡ 321 00:19:30,970 --> 00:19:32,972 感じさせてくれます。➡ 322 00:19:32,972 --> 00:19:35,975 駄目? わたしが 生身の人間ではないから?➡ 323 00:19:35,975 --> 00:19:38,978 心のない人形だから? いや 香織さん。 324 00:19:38,978 --> 00:19:41,981 そんなことはないんだ! わたしだって。 325 00:19:41,981 --> 00:19:44,984 わたしは わたしは…。 326 00:19:54,994 --> 00:19:56,996 美し過ぎる! 327 00:19:56,996 --> 00:19:58,998 逃げるな 腰抜けが! 328 00:19:58,998 --> 00:20:00,100 ずっと 貧弱奥手野郎のままで いいのか? 329 00:20:00,100 --> 00:20:03,002 安全パイと 呼ばれ続けていいのか? 330 00:20:03,002 --> 00:20:05,004 彼女に恥をかかせるな! 331 00:20:05,004 --> 00:20:07,006 お前のたぎる情熱を ぶつけてほしいと思ってるんだ! 332 00:20:07,006 --> 00:20:10,009 ずっと 待ってるんだぞ! 333 00:20:10,009 --> 00:20:13,012 (香織)いいの ごめんなさい。 しょせん わたしは 人形。 334 00:20:13,012 --> 00:20:16,015 (ジョニー)彼女を女にしてやれ! 335 00:20:16,015 --> 00:20:19,018 駄目だ わたしにはできない! 336 00:20:19,018 --> 00:20:22,021 (ジョニー) じゃあ あなたが 来て! 337 00:20:22,021 --> 00:20:25,024 分かった。 俺が 代わりにやってやる。 338 00:20:25,024 --> 00:20:27,026 (ジョニー)来て! 339 00:20:29,028 --> 00:20:31,030 よせ! 何をする! 340 00:20:31,030 --> 00:20:32,698 (ジョニー)来てよー! 341 00:20:32,698 --> 00:20:35,034 香織さん! やめろジョニー! 342 00:20:35,034 --> 00:20:42,041 (ジョニー)ハァ ハァ ハァ…。➡ 343 00:20:42,041 --> 00:20:45,044 ん~。 344 00:20:45,044 --> 00:20:47,046 (城ヶ崎)チェスト~! 345 00:20:47,046 --> 00:20:50,049 ぐはっ! 346 00:20:50,049 --> 00:20:56,055 香織! 香織 香織。 347 00:20:56,055 --> 00:20:58,057 この 変態野郎ー! 348 00:20:58,057 --> 00:21:00,993 <これで いいのだ 危うく 純潔を失うところだった> 349 00:21:00,993 --> 00:21:02,995 <わたしは きっと 香織さんを 清らかに 愛しきれない> 350 00:21:02,995 --> 00:21:05,998 <これは やはり 凡人には 踏み入れられない 領域なのだ> 351 00:21:05,998 --> 00:21:11,003 <城ヶ崎氏と 香織さん そのまま あなた方の道を進め!> 352 00:21:11,003 --> 00:21:13,005 <景子さんは 待ち合わせの場所で 待っていたのか?> 353 00:21:13,005 --> 00:21:16,008 <やはり 一番 優先するべきは 彼女ではなかったか?> 354 00:21:16,008 --> 00:21:20,012 <もう一度 あのシーンへ戻りたい リテーク 景子さんに会いたい!> 355 00:21:25,017 --> 00:21:35,027 ♬~