1 00:03:12,985 --> 00:03:17,056 張飛が街で拾った謎の男 単福の作戦は 2 00:03:17,056 --> 00:03:21,427 曹操軍の拠点 樊城の曹仁を破った 3 00:03:21,427 --> 00:03:27,232 玄徳は単福こそ 噂の軍師 伏竜かと見誤るほどであった 4 00:03:27,232 --> 00:03:30,936 単福が優れた兵法家の 徐庶元直であることを 5 00:03:30,936 --> 00:03:32,871 知った丞相 曹操は 6 00:03:32,871 --> 00:03:37,271 参謀 程イクに 徐庶を呼び寄せる策を命じた 7 00:03:48,087 --> 00:03:50,989 一方 単福は 樊城攻略の殊勲者として 8 00:03:50,989 --> 00:03:56,395 玄徳に厚遇され 軍師として 武将たちからも信頼されていた 9 00:03:56,395 --> 00:04:01,195 だが まだ誰も その本当の素性を知らなかった 10 00:04:04,703 --> 00:04:08,503 阿斗様は健やかに育ち 先が楽しみですな 11 00:04:10,509 --> 00:04:15,781 乱世に生まれた子 強く育ってほしいと願っているが 12 00:04:15,781 --> 00:04:17,716 ええ 13 00:04:17,716 --> 00:04:21,620 単福殿も いつまでもお独りでは お寂しいでしょう 14 00:04:21,620 --> 00:04:24,490 そろそろ奥方を お迎えになられては? 15 00:04:24,490 --> 00:04:27,192 いや これはどうも 16 00:04:27,192 --> 00:04:32,030 年老いた田舎の母親のためにもと 考えたこともございますが 17 00:04:32,030 --> 00:04:34,666 どうも… それはいけない 18 00:04:34,666 --> 00:04:37,102 母君をこちらへ呼び寄せては? 19 00:04:37,102 --> 00:04:40,973 私も できるだけのお世話は させていただきますわ 20 00:04:40,973 --> 00:04:43,442 ありがとうございます 21 00:04:43,442 --> 00:04:47,312 弟が死んでから たった独りきりで 寂しく暮らしておりますが 22 00:04:47,312 --> 00:04:51,083 そのお言葉を伝えたら どんなに喜ぶことか 23 00:04:51,083 --> 00:04:54,620 誰か使いを出して 早速 お招きしよう 24 00:04:54,620 --> 00:04:57,520 ええ それがよろしゅうございます 25 00:04:59,591 --> 00:05:03,996 まあ この子までうれしそうに 26 00:05:03,996 --> 00:05:08,367 だが徐庶の母は すでに曹操の手の内にあった 27 00:05:08,367 --> 00:05:11,270 丞相である曹操の言葉は 絶対であり 28 00:05:11,270 --> 00:05:14,270 逆らうことは できなかったのである 29 00:05:28,420 --> 00:05:31,820 丞相様だ ごあいさつなされ 30 00:05:34,693 --> 00:05:39,231 わしが曹操だ そう硬くならなくともよい 31 00:05:39,231 --> 00:05:42,067 ああ いや わしが招いたのは 32 00:05:42,067 --> 00:05:46,905 他でもない そなたの子息 徐庶のことだ 33 00:05:46,905 --> 00:05:51,843 徐庶が荊州の劉備玄徳に 仕えているのを存じておるかな 34 00:05:51,843 --> 00:05:54,646 はい 聞いとります 35 00:05:54,646 --> 00:06:00,185 うむ その玄徳は いずれ征伐されるべき逆臣である 36 00:06:00,185 --> 00:06:04,590 そんな玄徳に才能のある徐庶が 仕えるとは惜しいことであろう 37 00:06:04,590 --> 00:06:07,159 どうじゃ そなたから徐庶を説き 38 00:06:07,159 --> 00:06:10,529 わしに仕えるように 取り計らってくれぬか 39 00:06:10,529 --> 00:06:12,864 承知なされ 母御殿 40 00:06:12,864 --> 00:06:16,168 徐庶は軍師として 身分の高い職に就けるのだ 41 00:06:16,168 --> 00:06:18,103 いや そればかりではない 42 00:06:18,103 --> 00:06:22,541 広い庭園のある豪華な屋敷に 一緒に住めるのですぞ 43 00:06:22,541 --> 00:06:26,411 わしは年寄りで 世の中のことは さっぱり分からねえ 44 00:06:26,411 --> 00:06:30,649 だけども劉備玄徳というお方の 噂は よう聞いておる 45 00:06:30,649 --> 00:06:32,951 ほう 何と? 46 00:06:32,951 --> 00:06:36,855 玄徳様は 民のために立ち上がった仁君 47 00:06:36,855 --> 00:06:38,855 英雄じゃと 48 00:06:40,792 --> 00:06:43,729 大した人気だな これ 母御 49 00:06:43,729 --> 00:06:46,632 それは世間を欺く玄徳の芝居だ 50 00:06:46,632 --> 00:06:49,401 本当は帝に背く賊なのだ 51 00:06:49,401 --> 00:06:51,970 さあ 分かったら徐庶へ 都へ来るようにと 52 00:06:51,970 --> 00:06:54,406 手紙を書きなされ 53 00:06:54,406 --> 00:06:58,677 嫌じゃ ええい 我が子の出世のためだぞ 54 00:06:58,677 --> 00:07:01,580 だから書けぬのよ この田舎ババでも 55 00:07:01,580 --> 00:07:04,316 何が正しい道かは知っておる 56 00:07:04,316 --> 00:07:07,586 逆臣は丞相様ご自身であろうが 57 00:07:07,586 --> 00:07:11,823 母親として我が子を 過った道へは行かせたくねえ 58 00:07:11,823 --> 00:07:14,559 何! お待ちください 59 00:07:14,559 --> 00:07:18,430 死ぬ覚悟で申しているのです 60 00:07:18,430 --> 00:07:21,433 いずれにせよ 母親が こちらの手にある限り 61 00:07:21,433 --> 00:07:24,733 徐庶は逆らえませぬ 私めにお任せを 62 00:07:39,217 --> 00:07:41,687 母御様 また程イク様が 63 00:07:41,687 --> 00:07:44,890 こんな立派な果物を 届けてまいりましたぞ 64 00:07:44,890 --> 00:07:49,828 おお わしの畑で出来たものより 立派な桃じゃのう 65 00:07:49,828 --> 00:07:51,963 いえいえ 程イク様は 66 00:07:51,963 --> 00:07:54,499 自分の母親のように 思っておられるんです 67 00:07:54,499 --> 00:07:58,003 たまには お礼の手紙を書いては? あ? 68 00:07:58,003 --> 00:08:02,207 人の親切には応えるのが礼儀 一筆 書かれては? 69 00:08:02,207 --> 00:08:06,712 ああ それもそうよな では筆を貸してくださらんか? 70 00:08:06,712 --> 00:08:10,916 いやあ 立派な心がけで 71 00:08:10,916 --> 00:08:13,552 いやはや もう ヘッタクソな字ですねえ 72 00:08:13,552 --> 00:08:16,054 こりゃ ひどい フン 73 00:08:16,054 --> 00:08:19,558 では お前が書いてみろ え?わ… 私がですか? 74 00:08:19,558 --> 00:08:22,761 いや 近頃 筆を持ったことが… それに血豆が指先に… 75 00:08:22,761 --> 00:08:25,361 黙って書け はい 76 00:08:28,166 --> 00:08:32,437 ヘタだから役に立つ わしの言うとおりに書け 77 00:08:32,437 --> 00:08:34,940 徐庶の母親と そっくりな字でいい 78 00:08:34,940 --> 00:08:37,743 ああ… それなら容易いことで 79 00:08:37,743 --> 00:08:39,943 えー それで何と書けば? 80 00:08:41,913 --> 00:08:46,551 うむ 「この度 身寄りもなく 困り果てておりましたが」 81 00:08:46,551 --> 00:08:49,087 「図らずも丞相様に召し出され」 82 00:08:49,087 --> 00:08:51,990 「そなたが謀反者だと 責められました」 83 00:08:51,990 --> 00:08:57,129 「程イク様のお情けで 何とか命をつないでおります」 84 00:08:57,129 --> 00:09:00,332 「そなたが こちらへ参り 丞相様に仕え…」 85 00:09:00,332 --> 00:09:02,267 「…私も救われるのです」 86 00:09:02,267 --> 00:09:06,004 「早く都へ来て 孝行を尽くしてくだされ」 87 00:09:06,004 --> 00:09:11,676 「私の命は 細い糸に つり下げられたような心細いもの」 88 00:09:11,676 --> 00:09:15,547 「そなたの来るのを 一日千秋の思いで」 89 00:09:15,547 --> 00:09:17,547 「待っております」 90 00:09:21,119 --> 00:09:24,456 母上 ご苦労なされて 91 00:09:24,456 --> 00:09:26,556 申し訳ございませぬ 92 00:09:37,769 --> 00:09:40,105 単福 どこへ行くんだ 93 00:09:40,105 --> 00:09:44,443 いや これは失礼 今では我らが誇る軍師殿 94 00:09:44,443 --> 00:09:47,879 久しぶりに一杯どう? いや 今日は… 95 00:09:47,879 --> 00:09:49,815 ふーん 96 00:09:49,815 --> 00:09:52,417 元気がないけど どうかしたんですかい? 97 00:09:52,417 --> 00:09:55,320 いや 別に… 98 00:09:55,320 --> 00:09:57,889 殿にお会いしたいのだが 99 00:09:57,889 --> 00:10:00,725 殿なら離れの書斎にいるけど 100 00:10:00,725 --> 00:10:02,725 では 101 00:10:08,467 --> 00:10:11,267 あんな顔 初めてだ 102 00:10:18,143 --> 00:10:22,013 改まって何か? 103 00:10:22,013 --> 00:10:24,316 おわびに参りました 104 00:10:24,316 --> 00:10:27,352 わびる? はい 105 00:10:27,352 --> 00:10:31,423 我が名 単福とは 仮の名でございます 106 00:10:31,423 --> 00:10:35,093 実の名は徐庶元直と申します 107 00:10:35,093 --> 00:10:39,431 徐庶元直?私も そなたが ただ者ではないと 108 00:10:39,431 --> 00:10:42,767 見ておったのだが やはり 109 00:10:42,767 --> 00:10:46,304 恐れ入ります 我が師 水鏡先生から 110 00:10:46,304 --> 00:10:50,108 殿へお仕えするようにと勧められ 参りました 111 00:10:50,108 --> 00:10:52,611 おお 水鏡先生に 112 00:10:52,611 --> 00:10:57,816 はい 殿のために死ぬ覚悟で お仕えしてまいりましたが 113 00:10:57,816 --> 00:11:01,052 今では それも… 何と 114 00:11:01,052 --> 00:11:03,121 母からの頼りでございます 115 00:11:03,121 --> 00:11:06,021 先程 都の者が届けてくれました 116 00:11:10,061 --> 00:11:12,831 このまま母1人にはできませぬ 117 00:11:12,831 --> 00:11:14,766 身寄りのない哀れな母 118 00:11:14,766 --> 00:11:19,037 寂しい思いをしているに 違いございませぬ 119 00:11:19,037 --> 00:11:22,374 うん… 身に余る もてなしを受けたうえ 120 00:11:22,374 --> 00:11:25,410 勝手なことは 百も承知でございますが 121 00:11:25,410 --> 00:11:28,010 お暇を頂きとう存じます 122 00:11:30,081 --> 00:11:32,551 老い先短い母 123 00:11:32,551 --> 00:11:36,087 せめて老後を 安心させとうございます 124 00:11:36,087 --> 00:11:40,892 うん 単福… いや 徐庶 行っておあげなさい 125 00:11:40,892 --> 00:11:42,861 では お許しを? 126 00:11:42,861 --> 00:11:47,165 母が子を思い 子が母を思うのは当然のこと 127 00:11:47,165 --> 00:11:50,135 母上を安心させてあげなさい 128 00:11:50,135 --> 00:11:52,337 ありがとうございます 129 00:11:52,337 --> 00:11:55,237 このご恩 決して忘れませぬ 130 00:11:59,678 --> 00:12:04,916 殿 徐庶殿を曹操の元へ やるっていうのは本当で? 131 00:12:04,916 --> 00:12:07,185 うん 殿 132 00:12:07,185 --> 00:12:09,888 恐らく これは曹操の謀略です 133 00:12:09,888 --> 00:12:14,225 徐庶殿の口から こちらの情報が 漏れるかもしれません 134 00:12:14,225 --> 00:12:16,261 徐庶を信じるしかない 135 00:12:16,261 --> 00:12:19,831 しかし殿… 私も反対です 136 00:12:19,831 --> 00:12:23,034 むしろ徐庶殿を ここに留めておくべきです 137 00:12:23,034 --> 00:12:26,438 さすれば曹操は 母親を必ず殺すでしょう 138 00:12:26,438 --> 00:12:29,341 ああ 奴ならやるさ 139 00:12:29,341 --> 00:12:32,577 そうなれば徐庶殿は ますます曹操に 140 00:12:32,577 --> 00:12:35,177 復讐心を燃やします 黙りなさい! 141 00:12:37,415 --> 00:12:39,351 何ということを 142 00:12:39,351 --> 00:12:44,151 母親を人の手にかけさせておき その感情を利用するとは 143 00:12:47,926 --> 00:12:50,762 たとえ この玄徳が滅びようとも 144 00:12:50,762 --> 00:12:55,066 親子の愛の絆を切ることだけは 断じてできぬ 145 00:12:55,066 --> 00:12:57,002 申し訳ございませぬ 146 00:12:57,002 --> 00:12:59,437 愚かなことを申しました 147 00:12:59,437 --> 00:13:02,040 謝るよ 心から 148 00:13:02,040 --> 00:13:05,243 うん 分かってくれたら もうよい 149 00:13:05,243 --> 00:13:10,515 さっ 今宵は徐庶と酒を酌み交わし 気持ちよく送ってやろう 150 00:13:10,515 --> 00:13:12,515 はい 151 00:13:37,342 --> 00:13:42,013 殿 ここまでで結構でございます 152 00:13:42,013 --> 00:13:44,916 いよいよ別れねばならぬか 153 00:13:44,916 --> 00:13:49,854 未練だろうが そなたのような 人物を手放したくはない 154 00:13:49,854 --> 00:13:52,657 見に余る光栄です 155 00:13:52,657 --> 00:13:55,360 私が去るのは母のためです 156 00:13:55,360 --> 00:13:59,064 曹操に仕えるためではありませぬ 157 00:13:59,064 --> 00:14:01,766 徐庶 達者でな 158 00:14:01,766 --> 00:14:04,666 はい では これにて 159 00:14:07,172 --> 00:14:12,143 さらば 徐庶殿 さよなら 単福 160 00:14:12,143 --> 00:14:15,413 どうしても俺には 徐庶とは呼べない 161 00:14:15,413 --> 00:14:18,213 おふくろさんを大事にしろよ 162 00:14:31,930 --> 00:14:34,766 惜しい 163 00:14:34,766 --> 00:14:36,866 あ? 164 00:14:40,171 --> 00:14:44,008 おお 戻ってきた 気が変わったんだ 165 00:14:44,008 --> 00:14:46,711 徐庶 166 00:14:46,711 --> 00:14:49,914 大事なことを忘れておりました 167 00:14:49,914 --> 00:14:55,720 襄陽の西20里 隆中という村に 大賢人が住んでおります 168 00:14:55,720 --> 00:15:00,492 これが私の置き土産でございます では 169 00:15:00,492 --> 00:15:05,330 待て 徐庶 そのような噂 聞いたこともないが 170 00:15:05,330 --> 00:15:08,233 限られた者としか交遊しませぬ 171 00:15:08,233 --> 00:15:10,802 私も その1人 172 00:15:10,802 --> 00:15:15,640 どれほどの人物か そなたと比べて 173 00:15:15,640 --> 00:15:19,210 私が蛍なら 彼は月 174 00:15:19,210 --> 00:15:21,146 ほう ただし 175 00:15:21,146 --> 00:15:23,481 呼ばれて来る人ではございませぬ 176 00:15:23,481 --> 00:15:26,384 殿自ら迎えに行くことです 177 00:15:26,384 --> 00:15:29,187 うむ して その人の名は? 178 00:15:29,187 --> 00:15:32,090 諸葛亮 字は孔明 179 00:15:32,090 --> 00:15:36,294 村人たちは 伏竜先生と呼んでいます 180 00:15:36,294 --> 00:15:39,864 おお 水鏡先生の言われた伏竜とは 181 00:15:39,864 --> 00:15:42,567 その諸葛亮孔明のことであったか 182 00:15:42,567 --> 00:15:46,037 はい 当代の大天才でございます 183 00:15:46,037 --> 00:15:50,375 では もう1人の大天才 鳳雛とは お主のこと? 184 00:15:50,375 --> 00:15:53,044 ハハ… とんでもございません 185 00:15:53,044 --> 00:15:57,982 鳳雛とは名をホウ統 字を士元という者のことです 186 00:15:57,982 --> 00:16:02,787 今日 初めて 伏竜 鳳雛を知ることができた 187 00:16:02,787 --> 00:16:07,592 殿 必ず孔明を訪ね お味方に付けることです 188 00:16:07,592 --> 00:16:11,092 うむ 分かった では これにて 189 00:16:19,037 --> 00:16:22,937 伏竜 諸葛亮孔明 190 00:16:50,468 --> 00:16:54,305 孔明殿は ご在宅かな? 191 00:16:54,305 --> 00:16:56,241 まあ 徐庶様 192 00:16:56,241 --> 00:17:01,212 おお しばらく見ぬうちに すっかり娘らしゅうなられて 193 00:17:01,212 --> 00:17:04,312 ウフッ どうぞ 兄上 194 00:17:08,820 --> 00:17:13,758 これは徐庶殿 珍しいお越しで 195 00:17:13,758 --> 00:17:18,062 都へ参る途中ですが 寄り道して伺いました 196 00:17:18,062 --> 00:17:21,499 都へ? 197 00:17:21,499 --> 00:17:23,499 お茶の用意をしてまいります 198 00:17:25,436 --> 00:17:30,208 実は新野城の劉備玄徳様に 仕えていたのですが 199 00:17:30,208 --> 00:17:34,012 母より呼び出しの手紙が 参りました 200 00:17:34,012 --> 00:17:37,649 母は丞相 曹操の部下に 捕らえられております 201 00:17:37,649 --> 00:17:41,953 私は主君に暇を頂き これから迎えに参るところです 202 00:17:41,953 --> 00:17:44,289 それは母上がご心配でしょう 203 00:17:44,289 --> 00:17:47,892 そこで お願いがあるのです 孔明殿 204 00:17:47,892 --> 00:17:50,862 どんなことでしょう? ここに大賢人がおられると 205 00:17:50,862 --> 00:17:53,364 主君にあなたを推薦いたしました 206 00:17:53,364 --> 00:17:56,267 主君 玄徳が あなたを訪ねてまいるはずです 207 00:17:56,267 --> 00:17:58,767 その時は何とぞ よい返事を 208 00:18:03,541 --> 00:18:06,444 何かお気に障りましたか 209 00:18:06,444 --> 00:18:10,315 あなたの代わりに 私を押しつけるつもりですか 210 00:18:10,315 --> 00:18:13,217 いや 別にそういうつもりでは… 211 00:18:13,217 --> 00:18:17,188 この孔明 仕官の口があるからと申して 212 00:18:17,188 --> 00:18:20,488 喜んで誰にでも仕えると お思いですか 213 00:18:24,362 --> 00:18:26,597 私としたことが… 214 00:18:26,597 --> 00:18:30,201 いや 孔明殿は大きい 215 00:18:30,201 --> 00:18:35,401 驚天動地の世にでもならない限り 動くような人間ではない 216 00:18:40,812 --> 00:18:42,847 徐庶元直にございます 217 00:18:42,847 --> 00:18:45,650 おお よくぞ参った 218 00:18:45,650 --> 00:18:49,554 そう改まっていては話にならぬ くつろぐがいいぞ 徐庶 219 00:18:49,554 --> 00:18:51,889 ははっ 220 00:18:51,889 --> 00:18:55,827 そなたの母御は この程イクが世話をしておるが 221 00:18:55,827 --> 00:18:59,564 幸せに暮らしているから安心せい はっ 222 00:18:59,564 --> 00:19:02,467 のう 徐庶 これから わしに長く仕え 223 00:19:02,467 --> 00:19:04,535 母に孝養を尽くせよ 224 00:19:04,535 --> 00:19:06,535 はっ 225 00:19:08,840 --> 00:19:13,478 よし 今宵は 徐庶の歓迎の宴を開こう 226 00:19:13,478 --> 00:19:16,848 して 母は? おお そうであったな 227 00:19:16,848 --> 00:19:19,083 早く会いたいであろう 228 00:19:19,083 --> 00:19:21,083 はい 229 00:19:24,655 --> 00:19:28,192 そりゃもう 至れり尽くせりの待遇で 230 00:19:28,192 --> 00:19:30,228 ああ ここが母御の屋敷です 231 00:19:30,228 --> 00:19:32,930 どうです 豪邸でしょうが 232 00:19:32,930 --> 00:19:35,433 我々のあばら家とは雲泥の差 233 00:19:35,433 --> 00:19:39,633 食事だって この国の山海珍味が もうゾロゾロ… あれ? 234 00:19:46,077 --> 00:19:48,177 母上 235 00:19:52,183 --> 00:19:54,118 お懐かしゅうございます 236 00:19:54,118 --> 00:19:57,989 元直 どうして ここへ来たのじゃ 237 00:19:57,989 --> 00:19:59,991 は? 238 00:19:59,991 --> 00:20:02,927 お前 新野の劉備玄徳様に 239 00:20:02,927 --> 00:20:05,463 お仕えしていたのでは なかったのか 240 00:20:05,463 --> 00:20:08,266 はい そのとおりです しかし… 241 00:20:08,266 --> 00:20:12,136 それを聞いて わしは どんなに喜んでいたことか 242 00:20:12,136 --> 00:20:15,473 それを なんでこんな所へ 243 00:20:15,473 --> 00:20:20,445 ですが母上は捕らえられて 寂しいと 244 00:20:20,445 --> 00:20:22,445 このような手紙を 245 00:20:32,890 --> 00:20:36,461 これは偽手紙じゃ わしの字ではないわい 246 00:20:36,461 --> 00:20:39,664 え?偽手紙 247 00:20:39,664 --> 00:20:41,599 情けなや 248 00:20:41,599 --> 00:20:45,699 このわしが こんな手紙を 書くかどうかも分からんとは 249 00:20:50,074 --> 00:20:54,612 母上 長い間 お前が旅をしていても 250 00:20:54,612 --> 00:20:57,315 きっと学問に励んでいると思うて 251 00:20:57,315 --> 00:21:00,952 独りぼっちでも 寂しゅうはなかった 252 00:21:00,952 --> 00:21:04,652 それだけが わしの生きがいじゃった 253 00:21:06,757 --> 00:21:13,431 お前が玄徳様に仕えていると 聞いて どんなにうれしかったか 254 00:21:13,431 --> 00:21:16,467 人質になっても 恐ろしゅうはなかった 255 00:21:16,467 --> 00:21:20,204 それを… お前は 大事なご主君を捨てて 256 00:21:20,204 --> 00:21:23,174 その敵に仕えると言う 257 00:21:23,174 --> 00:21:25,910 母上 お許しください 258 00:21:25,910 --> 00:21:27,912 浅はかでした 259 00:21:27,912 --> 00:21:30,848 もう どうにもならぬわい 260 00:21:30,848 --> 00:21:35,048 わしは恥ずかしゅうて 生きておるのも つらい 261 00:21:42,894 --> 00:21:46,094 母上 申し訳ありませぬ 262 00:21:55,473 --> 00:21:57,542 キャー! 263 00:21:57,542 --> 00:21:59,642 あ? 264 00:22:08,052 --> 00:22:10,152 ああ… 265 00:22:17,728 --> 00:22:21,265 母上 母上 266 00:22:21,265 --> 00:22:24,365 母上 母上… 267 00:22:29,507 --> 00:22:31,809 母上 268 00:22:31,809 --> 00:22:34,812 皮肉にも天才軍師 徐庶元直ですら 269 00:22:34,812 --> 00:22:39,550 予想できなかった 悲しみの出来事であった 270 00:22:39,550 --> 00:22:43,421 忠と孝の両立しない 戦国の世である 271 00:22:43,421 --> 00:22:48,921 母親の 義に生きることを諭した 死の戒めであった 272 00:22:54,198 --> 00:22:57,735 偽手紙を出すとは何と卑劣な 273 00:22:57,735 --> 00:23:01,038 そこまでして徐庶を 呼び寄せようとは思わぬわ 274 00:23:01,038 --> 00:23:04,041 はっ 何とも申し訳ございませぬ 275 00:23:04,041 --> 00:23:08,512 では徐庶を玄徳の元へ 帰すことにいたします 276 00:23:08,512 --> 00:23:13,484 たわけ 一度 捨てた主人の元へ 帰る徐庶ではないわ 277 00:23:13,484 --> 00:23:15,484 はっ 確かに 278 00:23:17,755 --> 00:23:21,626 程イク 母御を丁重に弔ってやれ 279 00:23:21,626 --> 00:23:25,329 はっ 280 00:23:25,329 --> 00:23:28,532 程イク様 きついお叱り 受けましたね 281 00:23:28,532 --> 00:23:31,135 首を斬られるかと ヒヤヒヤしましたよ 282 00:23:31,135 --> 00:23:33,371 フフフフ え? 283 00:23:33,371 --> 00:23:36,674 斬られるわけがない こうでもしなければ 284 00:23:36,674 --> 00:23:39,944 徐庶を玄徳から 離すこともできなかったろう 285 00:23:39,944 --> 00:23:44,744 お手柄なのだ はあ?よく分かりませぬ 286 00:23:54,458 --> 00:23:57,328 いよいよ別れねばならぬか 287 00:23:57,328 --> 00:24:01,565 未練だろうが そなたのような 人物を手放したくはない 288 00:24:01,565 --> 00:24:03,501 お許しください 殿 289 00:24:03,501 --> 00:24:09,307 この徐庶元直 一生 他に はかりごとを授けまじ 290 00:24:09,307 --> 00:24:13,177 玄徳と曹操の宿命的な はざまにあって 291 00:24:13,177 --> 00:24:16,981 徐庶元直の運命も変転した 292 00:24:16,981 --> 00:24:20,818 名軍師が勝敗を分ける 軍略の時代が 293 00:24:20,818 --> 00:24:23,818 歴史を変えようとしていた 294 00:25:49,740 --> 00:25:54,145 野に隠れ住む伏竜 その名は諸葛亮孔明 295 00:25:54,145 --> 00:25:58,048 玄徳の大いなる説得が 孔明の心を揺さぶる時 296 00:25:58,048 --> 00:26:00,317 ついに歴史は動いた 297 00:26:00,317 --> 00:26:03,854 次回 アニメ三国志 「三顧の礼」 298 00:26:03,854 --> 00:26:06,954 誠の心が運命を開く