1 00:03:30,567 --> 00:03:34,404 荊州の江陵へ向かっていた 玄徳の一行は 2 00:03:34,404 --> 00:03:37,708 孔明が援軍の要請に 赴いていた留守 3 00:03:37,708 --> 00:03:40,711 曹操軍の奇襲部隊に襲われた 4 00:03:40,711 --> 00:03:43,513 従えていた難民たちも犠牲となり 5 00:03:43,513 --> 00:03:46,483 趙雲の一命を懸けた 奮戦もむなしく 6 00:03:46,483 --> 00:03:50,921 玄徳の妻 香蘭も あえない最期を遂げた 7 00:03:50,921 --> 00:03:53,757 かろうじて危機を脱出した 玄徳たちは 8 00:03:53,757 --> 00:03:56,757 孔明の援軍に救われたのである 9 00:04:05,702 --> 00:04:08,505 玄徳は江夏を守備する 劉表の子 10 00:04:08,505 --> 00:04:12,376 劉キを頼って 既に足場を固めていた 11 00:04:12,376 --> 00:04:14,745 曹操が最も恐れたのは 12 00:04:14,745 --> 00:04:20,183 劉備の軍師 諸葛亮孔明であった 13 00:04:20,183 --> 00:04:24,087 玄徳は 呉の孫権と手を結ぶであろう 14 00:04:24,087 --> 00:04:26,957 呉の兵力を孔明が利用すれば 15 00:04:26,957 --> 00:04:28,959 事は面倒になる 16 00:04:28,959 --> 00:04:31,559 今 玄徳を破る策はないか 17 00:04:34,464 --> 00:04:36,400 丞相 こちらが先に 18 00:04:36,400 --> 00:04:39,770 孫権の元へ 使者を出してはいかがでしょう 19 00:04:39,770 --> 00:04:42,072 ほう 何と 20 00:04:42,072 --> 00:04:45,942 されば 呉の国境へ 兵を進めて威嚇し 21 00:04:45,942 --> 00:04:50,614 共に玄徳を討って 荊州を 分かち合おうと持ちかけるのです 22 00:04:50,614 --> 00:04:54,117 うむ 面白い 23 00:04:54,117 --> 00:04:58,422 孫権は腰を抜かして 降参するでしょう 24 00:04:58,422 --> 00:05:01,825 よし 使者を出そう 25 00:05:01,825 --> 00:05:05,696 同時に国境へ全軍を進めろ 26 00:05:05,696 --> 00:05:07,696 は! 27 00:05:10,000 --> 00:05:14,671 呉さえ取れば 天下はわしのものだ 28 00:05:14,671 --> 00:05:18,875 曹操軍の騎馬軍と水軍 合わせて83万 29 00:05:18,875 --> 00:05:23,180 更に投降した荊州軍を加えた 100万の大軍は 30 00:05:23,180 --> 00:05:27,984 国境の西から東にかけ 300里にわたって布陣した 31 00:05:27,984 --> 00:05:31,484 これは呉にとって 大きな脅威であった 32 00:05:33,523 --> 00:05:38,795 呉の国は温和な気候に恵まれ 地の利の多い大国であった 33 00:05:38,795 --> 00:05:43,166 太守 孫権は孫子の兵法を記した 孫武の子孫であり 34 00:05:43,166 --> 00:05:49,339 父 孫堅 兄 孫策の跡を継いだ英傑であった 35 00:05:49,339 --> 00:05:51,908 時に孫権は国境警備のため 36 00:05:51,908 --> 00:05:56,513 長江に近い 柴桑の城に駐屯していた 37 00:05:56,513 --> 00:06:00,083 だが曹操からの降伏を促す書状に 38 00:06:00,083 --> 00:06:05,489 呉の重臣たちは和戦両論で 激しく対立していたのである 39 00:06:05,489 --> 00:06:07,491 呉の存亡を思い 40 00:06:07,491 --> 00:06:11,328 孫権の憂慮は深まる一方であった 41 00:06:11,328 --> 00:06:17,200 一計を案じた孫権は 腹心の魯粛に ある密命を与えた 42 00:06:17,200 --> 00:06:19,402 呉の命運を担った使者として 43 00:06:19,402 --> 00:06:24,002 魯粛は曹操軍の目を盗み 江夏へと上ったのである 44 00:06:30,914 --> 00:06:33,683 私は曹操を許せません 45 00:06:33,683 --> 00:06:36,953 亡き劉表の子として 面目が立ちません 46 00:06:36,953 --> 00:06:39,523 恐らく 弟の劉宗も 47 00:06:39,523 --> 00:06:43,393 曹操の手の者に 殺されたのでしょう 48 00:06:43,393 --> 00:06:45,729 劉キ殿の悔しさは分かる 49 00:06:45,729 --> 00:06:50,967 曹操は天下最大の荊州の水軍を 全部かっぱらったんだからな 50 00:06:50,967 --> 00:06:54,704 殿 夏口の関羽兄貴には水軍1万 51 00:06:54,704 --> 00:06:57,607 劉キ殿に1万の兵がいる 52 00:06:57,607 --> 00:07:00,911 この2万で 曹操軍に奇襲をかけては? 53 00:07:00,911 --> 00:07:05,182 曹操軍は 降伏した荊州の兵も加えると 54 00:07:05,182 --> 00:07:08,985 総勢100万を超えるであろう とても勝ち目はない 55 00:07:08,985 --> 00:07:12,656 といって グズグズしてたら 向こうから攻めてくる 56 00:07:12,656 --> 00:07:15,656 こんな時どうする?孔明軍師 57 00:07:17,961 --> 00:07:21,798 呉の孫権と 同盟を結んではいかがでしょう 58 00:07:21,798 --> 00:07:25,435 え?孫権と? しかし… 59 00:07:25,435 --> 00:07:30,240 戦わずして勝利を得る これも兵法の1つです 60 00:07:30,240 --> 00:07:35,645 孫権と結べば 当然 曹操と孫権の決戦となるでしょう 61 00:07:35,645 --> 00:07:38,448 もし孫権が勝てば荊州を取り戻し 62 00:07:38,448 --> 00:07:42,652 また もし曹操が勝てば 隙を見て呉を取ることも可能です 63 00:07:42,652 --> 00:07:47,190 しかし 呉の国も大国 優れた臣下も多いという 64 00:07:47,190 --> 00:07:49,793 果たして同盟に応じるであろうか 65 00:07:49,793 --> 00:07:54,631 殿 今 曹操の大軍は 国境に布陣しています 66 00:07:54,631 --> 00:07:58,368 呉の孫権が これを黙って見過ごすでしょうか 67 00:07:58,368 --> 00:08:01,004 うむ… 68 00:08:01,004 --> 00:08:03,907 呉は実戦の経験に乏しい 69 00:08:03,907 --> 00:08:08,545 必ず この江夏へ使者を送り 様子を探るに違いありません 70 00:08:08,545 --> 00:08:12,415 その時こそ この孔明が呉へ赴き 71 00:08:12,415 --> 00:08:15,318 三寸の舌をもって口説き落とし 72 00:08:15,318 --> 00:08:20,023 曹操と孫権を 戦わせてご覧に入れます 73 00:08:20,023 --> 00:08:22,859 しかし… 74 00:08:22,859 --> 00:08:25,295 でも使者が来るかどうか 75 00:08:25,295 --> 00:08:28,198 向こうの都合だからな 76 00:08:28,198 --> 00:08:32,369 申し上げます 劉表殿の弔問の使者として 77 00:08:32,369 --> 00:08:35,305 呉の魯粛殿の船が 到着したとのことです 78 00:08:35,305 --> 00:08:37,305 え? 79 00:08:40,210 --> 00:08:42,479 策が かないましたかな 80 00:08:42,479 --> 00:08:44,481 敵同士のような呉から 81 00:08:44,481 --> 00:08:47,984 弔問の使者が来るのは初めてです 82 00:08:47,984 --> 00:08:50,220 弔問とは表向きのこと 83 00:08:50,220 --> 00:08:52,856 魯粛はこちらを探るつもりです 84 00:08:52,856 --> 00:08:56,156 どうなってんのかな 頭の中 85 00:09:01,364 --> 00:09:03,600 殿 弔問の礼が終われば 86 00:09:03,600 --> 00:09:07,304 魯粛は必ず殿との面談を 申し込んでくるはずです 87 00:09:07,304 --> 00:09:10,206 その時 曹操の動静を聞かれても 88 00:09:10,206 --> 00:09:12,909 ただ知らぬ存ぜぬで お通しください 89 00:09:12,909 --> 00:09:16,346 あとは私をお呼びになって お任せを 90 00:09:16,346 --> 00:09:20,750 うむ 分かった 91 00:09:20,750 --> 00:09:22,686 弔問の礼が終わりました 92 00:09:22,686 --> 00:09:27,590 魯粛殿が玄徳殿に お会いしたいと申しております 93 00:09:27,590 --> 00:09:29,590 会いましょう 94 00:09:32,829 --> 00:09:36,166 ご高名は かねてより 承っておりましたが 95 00:09:36,166 --> 00:09:40,070 願いかなって お会いできたことを 光栄に存じます 96 00:09:40,070 --> 00:09:43,673 恐縮に存じます わざわざのご弔問 97 00:09:43,673 --> 00:09:45,742 劉キ殿も喜んでおります 98 00:09:45,742 --> 00:09:47,742 さあ おくつろぎください 99 00:09:50,747 --> 00:09:53,183 このたびは曹操と戦われて 100 00:09:53,183 --> 00:09:56,453 大変 苦労なされたと承りました 101 00:09:56,453 --> 00:09:59,656 ところで曹操の軍勢は どれほどなのですか? 102 00:09:59,656 --> 00:10:02,659 さあ 知りませぬな 103 00:10:02,659 --> 00:10:06,429 はあ? こちらはわずかの兵力 104 00:10:06,429 --> 00:10:08,398 逃げるだけで精いっぱい 105 00:10:08,398 --> 00:10:10,834 とても曹操の軍勢などは… 106 00:10:10,834 --> 00:10:15,672 では曹操はどのような戦略を 用いるのですか? 107 00:10:15,672 --> 00:10:20,143 さあ 存じませぬ はあ? 108 00:10:20,143 --> 00:10:23,580 逃げるだけで精いっぱいでして とても… 109 00:10:23,580 --> 00:10:29,352 はて 玄徳殿には名軍師 諸葛亮孔明殿がついておられ 110 00:10:29,352 --> 00:10:34,858 二度までも曹操軍を火攻めの策で 悩ましたと聞いておりましたが 111 00:10:34,858 --> 00:10:37,594 知らぬ存ぜぬとは 112 00:10:37,594 --> 00:10:41,831 戦いのことは 全て孔明に任せてあるので 113 00:10:41,831 --> 00:10:44,431 では孔明に お聞きください 114 00:10:53,076 --> 00:10:56,846 早速 ご懸念のことにつき お答えいたしましょう 115 00:10:56,846 --> 00:10:59,749 曹操の戦略は 全て見破っております 116 00:10:59,749 --> 00:11:02,018 ほう 全てを? 117 00:11:02,018 --> 00:11:05,889 はい ただ こちらの力及ばず 118 00:11:05,889 --> 00:11:08,691 戦いはしばらく様子を見てからと 119 00:11:08,691 --> 00:11:14,097 では玄徳殿はこのまま この江夏へ滞在なされると? 120 00:11:14,097 --> 00:11:16,800 他に頼る所もございませぬ 121 00:11:16,800 --> 00:11:20,804 まあ そのうち何とか 考えねばならぬことですが 122 00:11:20,804 --> 00:11:23,106 頼るものがございます 123 00:11:23,106 --> 00:11:25,041 ほう 124 00:11:25,041 --> 00:11:27,644 そのようなお方がおられると? 125 00:11:27,644 --> 00:11:30,647 我が主人 孫権でございます 126 00:11:30,647 --> 00:11:33,116 孫権殿が? 127 00:11:33,116 --> 00:11:36,586 はい 我が主人 孫権は六郡を治め 128 00:11:36,586 --> 00:11:39,289 軍勢は強力 兵糧はあり余り 129 00:11:39,289 --> 00:11:42,192 長江の英雄たちが 参集しております 130 00:11:42,192 --> 00:11:45,095 こちらから使者を送り 呉と結ばれ 131 00:11:45,095 --> 00:11:48,465 共に曹操に当たることが よろしかろうと存じます 132 00:11:48,465 --> 00:11:51,901 しかし 我が方は 呉とのよしみもなく 133 00:11:51,901 --> 00:11:54,871 使者と申されても 適任者もおりませんので 134 00:11:54,871 --> 00:11:57,740 いやいや 孔明殿の兄上 135 00:11:57,740 --> 00:12:01,377 諸葛瑾殿は 呉の参謀でございましょう 136 00:12:01,377 --> 00:12:04,280 立派によしみが あるではありませんか 137 00:12:04,280 --> 00:12:08,184 どうでしょう 孔明殿が使者となられては? 138 00:12:08,184 --> 00:12:10,887 兄とは久しぶり 139 00:12:10,887 --> 00:12:12,922 会いとうはございますが 140 00:12:12,922 --> 00:12:15,058 私と呉へ参られ 141 00:12:15,058 --> 00:12:18,094 主人 孫権と 今後の大事を諮られることが 142 00:12:18,094 --> 00:12:20,230 最上と存じます 143 00:12:20,230 --> 00:12:24,100 お言葉ではございますが 孔明は我が軍師です 144 00:12:24,100 --> 00:12:27,003 主人から離れて 他国へ行くことは許されませぬ 145 00:12:27,003 --> 00:12:29,906 しかし そこを何とか 146 00:12:29,906 --> 00:12:32,809 いや こればかりは 147 00:12:32,809 --> 00:12:36,212 殿 事は急を要することです 148 00:12:36,212 --> 00:12:40,183 この孔明を呉へお遣わしください 149 00:12:40,183 --> 00:12:42,183 うむ… 150 00:12:55,131 --> 00:12:57,600 いいんですか?1人でやって 151 00:12:57,600 --> 00:13:01,004 呉には荒っぽい武将も 多いと聞いております 152 00:13:01,004 --> 00:13:04,607 まかり間違えば 命だって狙われるんですよ 153 00:13:04,607 --> 00:13:07,177 孔明なら やる 154 00:13:07,177 --> 00:13:10,677 必ず 孫権と曹操を戦わせる 155 00:13:15,018 --> 00:13:18,788 呉へ向かう孔明は 死を覚悟していた 156 00:13:18,788 --> 00:13:22,325 今 玄徳が生きる道は 呉と結束して 157 00:13:22,325 --> 00:13:25,425 曹操の大軍に打ち勝つことだった 158 00:13:29,465 --> 00:13:33,870 魯粛は孔明を伴い 柴桑城へと帰還した 159 00:13:33,870 --> 00:13:35,805 だが 呉の文官たちは 160 00:13:35,805 --> 00:13:39,676 張昭 顧雍を中心に 降伏論に傾いていた 161 00:13:39,676 --> 00:13:45,576 彼らは自らの保身のために 孫権に降伏を迫る考えであった 162 00:13:54,023 --> 00:13:57,894 城内は降伏賛成に 傾いているようだな 163 00:13:57,894 --> 00:14:01,831 この呉の国は三代にわたって いくたびかの合戦を経て 164 00:14:01,831 --> 00:14:07,303 ようやく六郡の土地を得たのです 断じて降伏してはなりませぬ 165 00:14:07,303 --> 00:14:13,109 どちらの意見にも一理ある 国を思うことには変わりがない 166 00:14:13,109 --> 00:14:16,446 降伏するくらいなら 死んだ方がマシです 167 00:14:16,446 --> 00:14:19,349 惑わされてはダメです 絶対に殿だけは 168 00:14:19,349 --> 00:14:21,851 降伏されてはいけません 169 00:14:21,851 --> 00:14:24,187 「私だけは」だと? 170 00:14:24,187 --> 00:14:26,623 はい 私が降伏しても 171 00:14:26,623 --> 00:14:29,559 故郷の低い官吏となるぐらいで 済みましょうが 172 00:14:29,559 --> 00:14:31,995 殿が降伏すれば国を失い 173 00:14:31,995 --> 00:14:34,731 二度と一国の太守になれません 174 00:14:34,731 --> 00:14:38,434 張昭たちは 己のことしか考えてはおりません 175 00:14:38,434 --> 00:14:41,237 私も そう考えていた 176 00:14:41,237 --> 00:14:45,108 だが 曹操の大軍に 打ち勝つ手もない 177 00:14:45,108 --> 00:14:49,379 孔明は策があると申しております 178 00:14:49,379 --> 00:14:53,249 うむ… よし 孔明とは明日 会おう 179 00:14:53,249 --> 00:14:55,249 はい 180 00:14:58,821 --> 00:15:04,321 父も兄も これほどの大難には 遭わなかったであろう 181 00:15:09,866 --> 00:15:15,338 孔明の元に文官筆頭 張昭から あいさつ状が届けられた 182 00:15:15,338 --> 00:15:18,041 ご高説拝聴とあるが 183 00:15:18,041 --> 00:15:23,846 孔明糾弾の論戦に引き込む 挑戦状に他ならなかった 184 00:15:23,846 --> 00:15:26,449 喜んで受けて立とう 185 00:15:26,449 --> 00:15:29,452 孫権に開戦を決断させるには 186 00:15:29,452 --> 00:15:33,756 まず文官降伏派を打ち砕くことだ 187 00:15:33,756 --> 00:15:38,556 この長江が曹操軍の血で 染まる日も ほど近かろう 188 00:15:45,268 --> 00:15:48,838 孔明殿 無視されても結構ですぞ 189 00:15:48,838 --> 00:15:51,338 いえ お会いいたします 190 00:16:08,658 --> 00:16:11,558 諸葛亮孔明殿でございます 191 00:16:39,589 --> 00:16:43,526 張昭です 孔明殿には ようこそ参られた 192 00:16:43,526 --> 00:16:48,331 ご意見を拝聴いたしたいと思い お待ち申しておりました 193 00:16:48,331 --> 00:16:50,600 若輩の身なれば 194 00:16:50,600 --> 00:16:54,203 ご満足とはいきませぬが 何なりと おおせください 195 00:16:54,203 --> 00:16:57,106 されば劉備玄徳殿は 196 00:16:57,106 --> 00:16:59,909 孔明殿の庵を三度も訪ねられ 197 00:16:59,909 --> 00:17:03,212 やっと ご出馬を 願ったと聞いております 198 00:17:03,212 --> 00:17:05,148 それからの玄徳軍は 199 00:17:05,148 --> 00:17:09,519 虎が翼を得たごとく 破竹の勢いで進撃しました 200 00:17:09,519 --> 00:17:13,322 ところが どうじゃ 201 00:17:13,322 --> 00:17:15,725 せっかく狙った荊州も奪えず 202 00:17:15,725 --> 00:17:17,693 曹操に追われて ネズミのように 203 00:17:17,693 --> 00:17:20,863 コソコソと江夏へ 逃げ込みましたな 204 00:17:20,863 --> 00:17:23,063 これは どういうことで? 205 00:17:27,170 --> 00:17:29,238 お答えいたしましょう 206 00:17:29,238 --> 00:17:32,909 荊州を取るつもりなら たやすいことでした 207 00:17:32,909 --> 00:17:37,213 しかし我が主人 玄徳は 人徳を重んじるお方です 208 00:17:37,213 --> 00:17:40,116 劉表殿は同族 まして 209 00:17:40,116 --> 00:17:42,485 その死後の弱みにつけ込んで 奪うことなど 210 00:17:42,485 --> 00:17:44,420 思いもよらぬことです 211 00:17:44,420 --> 00:17:47,723 これは また孔明殿とは思われぬ 212 00:17:47,723 --> 00:17:51,627 一度 軍師となられたからには 天下万民を救い 213 00:17:51,627 --> 00:17:55,765 賊を討伐することが 使命ではござらぬかな? 214 00:17:55,765 --> 00:17:58,367 ところが どうじゃ 215 00:17:58,367 --> 00:18:01,304 新野を捨て 樊城からも逃れ 216 00:18:01,304 --> 00:18:04,974 救うべき難民たちの 命まで奪われる始末 217 00:18:04,974 --> 00:18:09,812 そして今は身の置き所もなく 江夏へ落ち延びている 218 00:18:09,812 --> 00:18:13,449 むしろ孔明殿が 軍師となる以前の方が 219 00:18:13,449 --> 00:18:17,987 玄徳殿はよかったと申して よいのではござらぬかのう 220 00:18:17,987 --> 00:18:22,158 いやあ 思ったことを バカ正直に申したまでで 221 00:18:22,158 --> 00:18:24,858 お気に障ったら ご容赦のほどを 222 00:18:28,865 --> 00:18:33,236 大鵬は一度 飛び立てば 万里を天かける 223 00:18:33,236 --> 00:18:36,138 小鳥には その気持ちは 分かりますまい 224 00:18:36,138 --> 00:18:41,344 張昭殿も その小鳥と同じこと 何と 225 00:18:41,344 --> 00:18:44,780 重病人には薄いかゆと 弱い薬を与え 226 00:18:44,780 --> 00:18:47,984 体力が回復してから 肉と強い薬を与えるのが 227 00:18:47,984 --> 00:18:49,919 常識でございましょう 228 00:18:49,919 --> 00:18:52,555 それを いきなり強い薬を与えれば 229 00:18:52,555 --> 00:18:55,155 一命を 落とすことにもなりかねない 230 00:18:57,293 --> 00:19:01,297 されば 玄徳軍が 新野の城にいた時が重病人 231 00:19:01,297 --> 00:19:04,100 食糧も乏しく武器すら整いません 232 00:19:04,100 --> 00:19:07,670 それでも 火攻めの策によって 曹操軍を悩ませたことは 233 00:19:07,670 --> 00:19:11,570 自慢ではございませぬが 兵法の優れた証拠 234 00:19:17,346 --> 00:19:22,618 今まで江夏に頼ってきたのは ただ ただ回復を待つためであり 235 00:19:22,618 --> 00:19:25,421 これからが羽ばたく時でござる 236 00:19:25,421 --> 00:19:28,324 そもそも 国家の大計というものには 237 00:19:28,324 --> 00:19:30,293 目のつけどころがあるもの 238 00:19:30,293 --> 00:19:33,095 いたずらに弁舌を もてあそぶはやさしく 239 00:19:33,095 --> 00:19:37,095 大事に実力を発揮することこそ 肝心でござろう 240 00:19:44,307 --> 00:19:47,176 あの 1つ お伺いしたい 241 00:19:47,176 --> 00:19:51,581 曹操軍100万に対し どんな策をお考えでございます? 242 00:19:51,581 --> 00:19:53,516 100万といえども 243 00:19:53,516 --> 00:19:57,053 袁紹軍 劉表軍の降参した烏合の衆 244 00:19:57,053 --> 00:19:59,789 恐れることはありません 245 00:19:59,789 --> 00:20:02,725 よく言うわ さんざん打ち破られた上 246 00:20:02,725 --> 00:20:07,263 人のところへ加勢を 頼みに来たのに強がりばかり 247 00:20:07,263 --> 00:20:10,099 ホラを吹くのも いい加減になさい 248 00:20:10,099 --> 00:20:12,799 早くお帰りあれ 引っ込め 249 00:20:15,738 --> 00:20:18,274 玄徳軍の兵馬は数千 250 00:20:18,274 --> 00:20:20,776 100万の曹操軍には敵せず 251 00:20:20,776 --> 00:20:23,713 ゆえに江夏で時を待っている 252 00:20:23,713 --> 00:20:28,517 しかるに この呉の国は 精兵をそろえ 兵糧も蓄え 253 00:20:28,517 --> 00:20:30,586 その上 長江の要害がありながら 254 00:20:30,586 --> 00:20:33,689 主君を曹操に ひざまずかせようとしている 255 00:20:33,689 --> 00:20:37,460 これこそ天下の笑い者でござる 256 00:20:37,460 --> 00:20:39,929 そう言われれば そう 257 00:20:39,929 --> 00:20:41,864 失礼 258 00:20:41,864 --> 00:20:43,799 では お尋ねします 259 00:20:43,799 --> 00:20:47,336 孔明殿は戦国の昔に 論客として名高い 260 00:20:47,336 --> 00:20:51,674 張儀 蘇秦をまねて 遊説に参られたのですか 261 00:20:51,674 --> 00:20:55,311 貴公は張儀 蘇秦を論客としてしか ご存じないようだが 262 00:20:55,311 --> 00:20:59,181 とんでもないこと 2人とも立派な豪傑です 263 00:20:59,181 --> 00:21:03,386 張儀は秦の宰相 蘇秦は六国の宰相を務めて 264 00:21:03,386 --> 00:21:06,355 国家を背負って立った人物です 265 00:21:06,355 --> 00:21:08,958 曹操のこけおどしに震え上がり 266 00:21:08,958 --> 00:21:12,928 降伏を考える貴公たちとは 訳が違い申そう 267 00:21:12,928 --> 00:21:17,667 すみませぬ 不勉強でした 268 00:21:17,667 --> 00:21:19,667 次 269 00:21:23,039 --> 00:21:25,274 では お答え願いたい 270 00:21:25,274 --> 00:21:28,077 曹操は帝を盾にしているとはいえ 271 00:21:28,077 --> 00:21:31,914 先祖は漢の高祖に仕えた 宰相であった 272 00:21:31,914 --> 00:21:34,583 それに比べ劉備玄徳殿は 273 00:21:34,583 --> 00:21:37,520 中山靖王の末えいと 称しているものの 274 00:21:37,520 --> 00:21:39,522 確かな証拠はない 275 00:21:39,522 --> 00:21:42,091 はっきりしているのは 田舎に埋もれ 276 00:21:42,091 --> 00:21:45,961 むしろを売っていた小僧に過ぎぬ 277 00:21:45,961 --> 00:21:49,231 その玄徳殿が 丞相 曹操に盾突くとは 278 00:21:49,231 --> 00:21:54,070 大それたことだと思うが これを いかに思われるか 279 00:21:54,070 --> 00:21:56,038 お答えいたそう 280 00:21:56,038 --> 00:21:59,408 確かに曹操は 漢の宰相の血を引く者 281 00:21:59,408 --> 00:22:02,311 しかるに今は帝をないがしろにし 282 00:22:02,311 --> 00:22:06,248 己の野望のために 天下を騒乱に巻き込んでいる 283 00:22:06,248 --> 00:22:09,248 これは明らかに逆賊であろう 284 00:22:11,721 --> 00:22:15,024 我が主人 玄徳は 帝自らの手で系譜を確かめられ 285 00:22:15,024 --> 00:22:17,660 爵位まで賜れたのである 286 00:22:17,660 --> 00:22:21,997 これを証拠がないと 何で申されようか 287 00:22:21,997 --> 00:22:24,900 漢の高祖も元は低い身分 288 00:22:24,900 --> 00:22:28,771 我が主人 玄徳が 田舎に潜んでいて 何が恥であろう 289 00:22:28,771 --> 00:22:33,371 顧雍 ここでは大人げない見方は 通用しませんぞ 290 00:22:37,413 --> 00:22:41,413 少々 お尋ねしたいのですが 孔明殿は… 291 00:22:43,352 --> 00:22:46,856 貴公たち 黙らっしゃい 292 00:22:46,856 --> 00:22:51,060 当世 最高の天才 まして賓客の孔明殿に対して 293 00:22:51,060 --> 00:22:53,896 いらざる議論を吐くとは何事か 294 00:22:53,896 --> 00:22:58,096 口論よりも 国境の敵の対策が先であろう 295 00:23:02,605 --> 00:23:05,207 失礼をお詫びいたします 296 00:23:05,207 --> 00:23:07,843 時勢を知らぬ方々の質問に 297 00:23:07,843 --> 00:23:09,779 やむを得ず お答えしてしまいました 298 00:23:09,779 --> 00:23:13,149 いや こちらこそ見苦しいことを 299 00:23:13,149 --> 00:23:15,949 我が主人 孫権が待っております 300 00:23:22,258 --> 00:23:24,894 亮 301 00:23:24,894 --> 00:23:27,730 おお 兄上 302 00:23:27,730 --> 00:23:30,199 おお 303 00:23:30,199 --> 00:23:32,134 お久しぶりです 304 00:23:32,134 --> 00:23:34,770 お元気そうで安心いたしました 305 00:23:34,770 --> 00:23:38,941 ここへ来ているなら なぜ すぐに知らせなかったのだ 306 00:23:38,941 --> 00:23:42,211 私は主君 劉備玄徳に仕えている身 307 00:23:42,211 --> 00:23:45,681 お役目が終わってから 訪ねるつもりでおりました 308 00:23:45,681 --> 00:23:48,651 ほう これは気がつかなかった すまぬ 309 00:23:48,651 --> 00:23:51,854 終わったら ゆっくり飲みながら 語り明かそう 310 00:23:51,854 --> 00:23:54,754 はい 楽しみにしております 311 00:24:01,530 --> 00:24:04,166 弟は大役を担ってきている 312 00:24:04,166 --> 00:24:08,971 玄徳と殿が同盟すれば 曹操との決戦は免れぬ 313 00:24:08,971 --> 00:24:11,874 私は断じて降伏論の推進者 314 00:24:11,874 --> 00:24:16,074 兄弟が相反する立場とは 何と皮肉なことか 315 00:24:20,082 --> 00:24:25,321 孔明にとって呉との同盟は 避けては通れぬ問題であった 316 00:24:25,321 --> 00:24:27,556 天下三分の実現には 317 00:24:27,556 --> 00:24:32,228 孫権と曹操の力を弱めることが 第一歩となる 318 00:24:32,228 --> 00:24:34,964 同盟なるか ならぬか 319 00:24:34,964 --> 00:24:37,766 それは孫権を説得するか 否か 320 00:24:37,766 --> 00:24:41,066 孔明の弁舌ひとつにかかっていた 321 00:26:07,523 --> 00:26:09,458 同盟か 降伏か 322 00:26:09,458 --> 00:26:11,894 決断の鍵は孫権軍名将 323 00:26:11,894 --> 00:26:14,263 周瑜公瑾が握っていた 324 00:26:14,263 --> 00:26:16,198 降伏を決意した周瑜に 325 00:26:16,198 --> 00:26:18,267 孔明は罠を仕掛けた 326 00:26:18,267 --> 00:26:21,971 次回 アニメ三国志 「美丈夫・周瑜」 327 00:26:21,971 --> 00:26:24,271 策略が逆転を呼ぶ