1 00:00:08,508 --> 00:00:11,311 (扉が開く音) 2 00:00:14,181 --> 00:00:19,019 《ターニャ:転職する人の気分が 嫌というほど よくわかる》 3 00:00:19,019 --> 00:00:21,521 ⸨ルーデルドルフ:イルドアの制圧…。 4 00:00:21,521 --> 00:00:26,026 最高統帥府は 真剣に検討を始めおったわ⸩ 5 00:00:26,026 --> 00:00:30,531 《ジリ貧を避けようと 無謀な大博打を望む上層部。 6 00:00:30,531 --> 00:00:33,200 ジリ貧どころかドカ貧だ。 7 00:00:33,200 --> 00:00:38,372 上が白昼夢を見ての戦争だと? つきあいきれん。 8 00:00:38,372 --> 00:00:41,208 問題は 抜け方か。 9 00:00:41,208 --> 00:00:46,213 存在Xが あざ笑うような結末は 受け入れがたい。 10 00:00:46,213 --> 00:00:50,217 さりとて 犠牲の羊もごめん被る。 11 00:00:50,217 --> 00:00:53,620 さて どうしたものか…》 12 00:02:35,022 --> 00:02:37,024 (レルゲン)検討の結果です。 13 00:02:37,024 --> 00:02:40,360 (レルゲン)やはり イルドア侵攻に 成算はありません。 14 00:02:40,360 --> 00:02:45,532 開戦劈頭 戦略的奇襲の第一撃に 全てを賭し➨ 15 00:02:45,532 --> 00:02:49,369 国境部にて 敵野戦軍主力を撃滅。 16 00:02:49,369 --> 00:02:53,540 もって 電撃的な進撃で イルドア北部を制圧。 17 00:02:53,540 --> 00:02:56,543 これで限界です。 18 00:02:56,543 --> 00:02:59,212 (ルーデルドルフ)全てが 非現実的なまでに➨ 19 00:02:59,212 --> 00:03:02,315 我がほうに都合よく運んで だな? 20 00:03:02,315 --> 00:03:05,986 はい 極度に楽観的な想定でも➨ 21 00:03:05,986 --> 00:03:09,322 兵力は イルドア北部に拘束されます。 22 00:03:09,322 --> 00:03:14,661 (ルーデルドルフ)イルドアの無力化により 南方の兵力を東部へ投入など➨ 23 00:03:14,661 --> 00:03:18,665 夢のまた夢か。 はい。 24 00:03:18,665 --> 00:03:22,669 だが すでに 兵力が 拘束されているではないか。 25 00:03:22,669 --> 00:03:25,672 イルドアの不義理によってだ。 26 00:03:25,672 --> 00:03:29,509 東部で苦労する ゼートゥーアのアホへ➨ 27 00:03:29,509 --> 00:03:32,345 種銭を作ってやりたいのだが。 28 00:03:32,345 --> 00:03:38,351 お言葉ですが イルドア国境部からの 兵力削減は 厳しいかと…。 29 00:03:38,351 --> 00:03:40,520 わかっている。 30 00:03:40,520 --> 00:03:43,023 連中は 徹底した風見鶏だ。 31 00:03:43,023 --> 00:03:46,526 同盟国としての 友情をうたっておきながら➨ 32 00:03:46,526 --> 00:03:51,198 南方軍撤兵の際は 受け入れを徹底拒否。 33 00:03:51,198 --> 00:03:53,867 ええい いまいましい! 34 00:03:53,867 --> 00:03:59,539 イルドアは中立国として どこまでも 国家理性に忠誠なのでしょう。 35 00:03:59,539 --> 00:04:01,475 (立ち上がる音) 36 00:04:01,475 --> 00:04:05,479 帝国が拮抗状態を保つ限りは よい隣人だな。 37 00:04:05,479 --> 00:04:10,817 だが もし 我々が 弱りきったら? 38 00:04:10,817 --> 00:04:13,153 その瞬間 やつらは どう出る? 39 00:04:13,153 --> 00:04:16,490 失礼ですが イルドア流なら➨ 40 00:04:16,490 --> 00:04:20,827 実力行使よりも先に 口舌かと。 41 00:04:20,827 --> 00:04:22,996 イルドアとは話せる。 42 00:04:22,996 --> 00:04:25,999 ならば 対話で 活路を見いだしうるわけだ。 43 00:04:25,999 --> 00:04:28,001 はい。 44 00:04:28,001 --> 00:04:33,006 とはいえ 最悪に備えるのも 参謀将校の務め。 45 00:04:33,006 --> 00:04:35,342 和戦両様だな。 46 00:04:35,342 --> 00:04:39,846 和 戦 どちらに重きを? 47 00:04:42,182 --> 00:04:44,851 (ルーデルドルフ)我々に残された 時間のなかで➨ 48 00:04:44,851 --> 00:04:49,022 外交的努力に 最大限 傾注するしかあるまい。 49 00:04:49,022 --> 00:04:51,691 だらだらと交渉している間に➨ 50 00:04:51,691 --> 00:04:54,694 前線の将兵が どれほど血を流すか? 51 00:04:54,694 --> 00:04:57,864 無駄にできる時間など 皆無だ。 52 00:04:57,864 --> 00:04:59,866 ごもっともです。 53 00:04:59,866 --> 00:05:03,470 可及的速やかに 出口が必要だ。 54 00:05:03,470 --> 00:05:08,141 外務省に コンラートという 新任の参事官がいる。 55 00:05:08,141 --> 00:05:10,810 外務省も体制を一新だ。 56 00:05:10,810 --> 00:05:12,813 協力して 事に当たれ。 57 00:05:12,813 --> 00:05:15,815 はっ 直ちに。 58 00:05:15,815 --> 00:05:18,151 我々の時間は有限だ。 59 00:05:18,151 --> 00:05:21,054 だからこそ 心して取り組んでほしい。 60 00:05:27,994 --> 00:05:29,996 急な呼び出しで すまんな。 61 00:05:29,996 --> 00:05:32,499 いえ 状況が状況ですので。 62 00:05:32,499 --> 00:05:35,001 外務省へのレクだが➨ 63 00:05:35,001 --> 00:05:37,003 外交的である必要はないぞ。 64 00:05:37,003 --> 00:05:39,606 遠慮無用だ。 はっ。 65 00:05:44,511 --> 00:05:47,013 本日は お招きいただき 感謝しております。 66 00:05:47,013 --> 00:05:49,683 コンラート参事官殿。 67 00:05:49,683 --> 00:05:52,185 はじめまして レルゲン大佐。 68 00:05:52,185 --> 00:05:55,355 っと… そちらのお嬢さんは? 69 00:05:55,355 --> 00:05:57,524 (レルゲン)ターニャ・フォン・デグレチャフ中佐です。 70 00:05:57,524 --> 00:06:00,460 現場をよく知る人間として 同席を。 71 00:06:00,460 --> 00:06:03,296 銀翼突撃持ちの英雄ですよ。 72 00:06:03,296 --> 00:06:06,132 ああ これは とんだ失礼を。 73 00:06:06,132 --> 00:06:08,301 いえ お気になさらず。 74 00:06:08,301 --> 00:06:11,972 我々は 帝国という 国家のしもべです。 75 00:06:11,972 --> 00:06:15,275 共に よい仕事ができることを 願っていますよ。 76 00:06:17,310 --> 00:06:19,312 では 率直に。 77 00:06:19,312 --> 00:06:24,317 この戦争には勝てますか? 直截にお答えいただきたい。 78 00:06:24,317 --> 00:06:28,321 《直截とはいえ 犠牲が全て無駄だったと➨ 79 00:06:28,321 --> 00:06:30,323 勝てないとは…》 80 00:06:30,323 --> 00:06:32,325 無理です 勝てません。 81 00:06:32,325 --> 00:06:34,828 これ以上は不毛と 断言してもよろしい。 82 00:06:34,828 --> 00:06:38,498 あまりに悲観的では? 83 00:06:38,498 --> 00:06:40,667 完全な勝利をご希望で? 84 00:06:40,667 --> 00:06:43,336 ならば 詐欺師にでも お尋ねください。 85 00:06:43,336 --> 00:06:47,507 知性ある軍人ならば 誰でも小官と同意見かと。 86 00:06:47,507 --> 00:06:51,011 その年で 全軍と かたるかね? 87 00:06:51,011 --> 00:06:55,849 外見はともかく デグレチャフ中佐は 確かな実績を持つ➨ 88 00:06:55,849 --> 00:07:00,620 優秀な軍人です。 発言こそ 物騒かつ極端ではありますが。 89 00:07:00,620 --> 00:07:04,457 なるほど 私も頭が固い。 90 00:07:04,457 --> 00:07:06,960 ちなみに 根拠は? 91 00:07:06,960 --> 00:07:09,296 帝国軍は強力ですが➨ 92 00:07:09,296 --> 00:07:13,800 世界を単独で殴り殺せるほど 強力ではありません。 93 00:07:13,800 --> 00:07:16,469 協商連合と共和国は 退けましたが➨ 94 00:07:16,469 --> 00:07:21,308 連邦や連合王国は 依然として 我々に牙をむき続け➨ 95 00:07:21,308 --> 00:07:24,811 合州国参戦の可能性も 無視できません。 96 00:07:24,811 --> 00:07:27,647 いやはや敵だらけです。 97 00:07:27,647 --> 00:07:30,150 これでは 勝ちきれません。 98 00:07:30,150 --> 00:07:34,487 出口なきジリ貧と評すのが 論理的必然では? 99 00:07:34,487 --> 00:07:37,657 はぁ… 出口。 100 00:07:37,657 --> 00:07:41,161 それを あなたは 外交に望むのですな。 101 00:07:41,161 --> 00:07:44,497 勝利できぬ軍の恥を さらすようですが➨ 102 00:07:44,497 --> 00:07:48,835 まさしく損切に入るべき段階です。 103 00:07:48,835 --> 00:07:53,006 野戦帰りの軍人さんが そこまで言えるとは。 104 00:07:53,006 --> 00:07:58,011 レルゲン大佐 我らが帝国軍の教育は 大したものですな。 105 00:07:58,011 --> 00:08:01,614 《この化け物は 勝手に育ったのだが…》 106 00:08:01,614 --> 00:08:05,118 しかし 中佐 損切と言っても➨ 107 00:08:05,118 --> 00:08:07,454 守るべきラインはあるだろう。 108 00:08:07,454 --> 00:08:10,757 軍の肌感覚では どこまで受容できるのだ? 109 00:08:13,126 --> 00:08:17,130 《正直 何と答えたものか…。 110 00:08:17,130 --> 00:08:19,799 あいにく 現場ですら 意見が異なる。 111 00:08:19,799 --> 00:08:22,135 肌感覚と言われても…。 112 00:08:22,135 --> 00:08:25,472 ああも鬱屈した世論ほどではない。 113 00:08:25,472 --> 00:08:29,976 だが 軍ほど 死者への負債に 引きずられる集団も まれだ。 114 00:08:29,976 --> 00:08:34,481 かといって グダグダと時間を 浪費した挙句の降伏も…。 115 00:08:34,481 --> 00:08:37,817 国家さえも滅びうるのだ。 116 00:08:37,817 --> 00:08:40,320 その自覚があれば➨ 117 00:08:40,320 --> 00:08:43,323 たいていのことは 損切できるはずだが…》 118 00:08:43,323 --> 00:08:46,659 しょせん 小官は 野戦将校です。 119 00:08:46,659 --> 00:08:50,997 戦略次元の視座からの提言には おのずと制約が…。 120 00:08:50,997 --> 00:08:54,167 中佐 そこをあえて頼む。 121 00:08:54,167 --> 00:08:57,003 たたき台を作ってもらえないか。 122 00:08:57,003 --> 00:08:59,005 大佐殿? 123 00:08:59,005 --> 00:09:02,609 最高統帥府からの要望は 願望のホッチキス。 124 00:09:02,609 --> 00:09:06,112 ですが 参謀本部ですら まとまりません。 125 00:09:06,112 --> 00:09:10,517 (コンラート)フッ フハハハ…。 126 00:09:14,454 --> 00:09:16,623 ふぅ…。 127 00:09:16,623 --> 00:09:21,461 奇遇ですね 我々も我々で 一枚岩とは程遠い。 128 00:09:21,461 --> 00:09:24,798 なっ… つ つまり行政も➨ 129 00:09:24,798 --> 00:09:26,800 誰も音頭を取れていない? 130 00:09:26,800 --> 00:09:28,968 ふぅ…。 131 00:09:28,968 --> 00:09:34,307 くだらない派閥争いに 信念のないポピュリズム…。 132 00:09:34,307 --> 00:09:37,310 (コンラート)前任者たちによって 幾重にも凝り固められた➨ 133 00:09:37,310 --> 00:09:42,315 しがらみをほどく時間は もはや残されてはいないか…。 134 00:09:42,315 --> 00:09:45,485 ならば いっそ 逆で行きましょう! 135 00:09:45,485 --> 00:09:48,988 我々で 既成事実を 積み上げてしまうのです。 136 00:09:48,988 --> 00:09:53,326 イルドアと軍同士の交渉で 実務レベルのすり合わせを。 137 00:09:53,326 --> 00:09:55,995 前回 それは頓挫しました。 138 00:09:55,995 --> 00:10:00,166 そして 条件を釣り上げるべく 更に勝利せよと…。 139 00:10:00,166 --> 00:10:04,170 だから今に至る。 お忘れですか? 140 00:10:04,170 --> 00:10:08,508 私は 前任者がクビになったおかげで ここにいます。 141 00:10:08,508 --> 00:10:12,846 結果が欲しいのは どこの組織も同じですよ。 142 00:10:12,846 --> 00:10:15,181 つまり? ふぅ…。 143 00:10:15,181 --> 00:10:18,184 私のほうで ささやきましょう。 144 00:10:18,184 --> 00:10:22,522 これ以上 悪化すれば 更に責任問題だと。 145 00:10:22,522 --> 00:10:24,858 厳密に言えば 違法では…。 146 00:10:24,858 --> 00:10:27,861 大佐殿 軍が➨ 147 00:10:27,861 --> 00:10:31,531 国家の外交方針に容喙するのは 明白な違反です。 148 00:10:31,531 --> 00:10:35,368 しかし 軍が国会に助言するのは 義務であり➨ 149 00:10:35,368 --> 00:10:38,705 あくまでも 試案と たたき台として提示し➨ 150 00:10:38,705 --> 00:10:40,707 ご理解いただくことは…。 (コンラート)フフ…。 151 00:10:40,707 --> 00:10:45,378 ハハハ… さよう。 152 00:10:45,378 --> 00:10:48,548 官僚の ささやかな 手練手管ですからなぁ。 153 00:10:48,548 --> 00:10:51,718 外交とは 内交でもあります。 154 00:10:51,718 --> 00:10:56,556 内部の調整なくしては どんな外交も頓挫します。 155 00:10:56,556 --> 00:10:58,558 なんとしても 出口を。 156 00:10:58,558 --> 00:11:01,828 そのためには 屈辱的な譲歩すらも➨ 157 00:11:01,828 --> 00:11:06,032 ご提案いただく必要があることを ご理解いただきたい。 158 00:11:10,169 --> 00:11:12,672 論外だ! 話にならん。 159 00:11:12,672 --> 00:11:14,841 これは我が軍が出すべき 条件ではない! 160 00:11:14,841 --> 00:11:17,010 降伏でもするつもりかね! 161 00:11:17,010 --> 00:11:21,514 こんな素案が流出すれば それだけで国内は大荒れだぞ! 162 00:11:21,514 --> 00:11:25,351 戦死者に何と言うのだ! 帝国軍の名誉を何と心得る!? 163 00:11:25,351 --> 00:11:27,554 国辱だ! 敗北主義者め! 164 00:11:29,522 --> 00:11:33,860 現下においては あらゆる艱難辛苦を甘受し➨ 165 00:11:33,860 --> 00:11:37,197 耐えがたき譲歩すらも 必要悪と受忍し➨ 166 00:11:37,197 --> 00:11:40,867 出口を目指す勇を 振るわねばなりません。 167 00:11:40,867 --> 00:11:43,870 前方への脱出が必要なのです。 168 00:11:43,870 --> 00:11:48,374 我々は勝ち取るのです。 出口を 平和を! 169 00:11:48,374 --> 00:11:53,546 大佐 軍は 名誉ある出口以外を くぐることが許されん! 170 00:11:53,546 --> 00:11:57,717 国軍の尊厳にかかわる! 戦没将兵に面目が立つのか! 171 00:11:57,717 --> 00:12:00,653 帝室に これで 顔向けできるのかね!? 172 00:12:00,653 --> 00:12:04,490 勝利なき出口など 空虚でしかあるまい! 173 00:12:04,490 --> 00:12:09,162 前の条件よりも悪化しましたな。 174 00:12:09,162 --> 00:12:11,831 (どよめき) 175 00:12:11,831 --> 00:12:15,001 (ルーデルドルフ)時間と機会を 浪費するたびに➨ 176 00:12:15,001 --> 00:12:18,171 帝国が得られる条件は 悪化していく。 177 00:12:18,171 --> 00:12:21,174 時間は我々の味方ですかな? 178 00:12:21,174 --> 00:12:23,509 我々は負けていない。 179 00:12:23,509 --> 00:12:25,845 世界に認めさせましょう。 180 00:12:25,845 --> 00:12:29,849 我々こそは 世界に冠たる帝国軍だ。 181 00:12:29,849 --> 00:12:33,019 同時に 認めましょう。 182 00:12:33,019 --> 00:12:38,324 世界を相手取るには いくぶん力が及ばなかったと。 183 00:12:40,526 --> 00:12:43,029 (ルーデルドルフ)我々の拳は 傷だらけですが➨ 184 00:12:43,029 --> 00:12:45,531 まだ世界を殴り飛ばせる。 185 00:12:45,531 --> 00:12:49,202 しかし 殴り殺すには 力が足りません。 186 00:12:49,202 --> 00:12:52,538 振り上げた拳を収め損なわば➨ 187 00:12:52,538 --> 00:12:57,043 世界を殴り殺すまで 戦うはめになる。 188 00:12:57,043 --> 00:12:59,879 残された時間は有限です。 189 00:12:59,879 --> 00:13:05,151 だからこそ 出口を探すべきでは ありませんかな? 190 00:13:05,151 --> 00:13:07,487 世界を相手取る前に➨ 191 00:13:07,487 --> 00:13:10,990 抗う努力のひとつも 行うべきでしょう。 192 00:13:17,664 --> 00:13:21,000 外交とは 無から有を生み出す という点で➨ 193 00:13:21,000 --> 00:13:23,670 錬金術に似ています。 194 00:13:23,670 --> 00:13:26,339 肝心なのは 信用という素材。 195 00:13:26,339 --> 00:13:28,508 その原則は…。 196 00:13:28,508 --> 00:13:33,513 正当性と等価交換。 あるいは 両者がそう信じること。 197 00:13:33,513 --> 00:13:37,183 戦争が究極の現実だとすれば➨ 198 00:13:37,183 --> 00:13:40,019 外交は究極の非現実です。 199 00:13:40,019 --> 00:13:44,023 見ているものが同じでも 解釈が往々にして異なる。 200 00:13:44,023 --> 00:13:46,859 折り合うのは たやすくありません。 201 00:13:46,859 --> 00:13:50,196 譲歩が譲歩と 受け止められないこともある。 202 00:13:50,196 --> 00:13:54,867 だからこそ 大胆な譲歩が必要ですが…。 203 00:13:54,867 --> 00:13:59,872 賠償の要求放棄 事実上の白紙講和…。 204 00:13:59,872 --> 00:14:04,310 今 帝国が出せる 最高の条件ですな。 205 00:14:04,310 --> 00:14:06,813 軍は 本当に承認を? 206 00:14:08,815 --> 00:14:11,484 ええ。 207 00:14:11,484 --> 00:14:14,487 ゴールが見えましたな。 208 00:14:22,829 --> 00:14:27,333 <帝国軍は 戦争の終わらせ方を 明確に意識し➨ 209 00:14:27,333 --> 00:14:29,335 2つの攻勢に転じる。 210 00:14:29,335 --> 00:14:32,505 苦戦を強いられた 東部戦線だったが➨ 211 00:14:32,505 --> 00:14:37,510 ゼートゥーア将軍の指導により 大胆な機動戦を敢行。 212 00:14:37,510 --> 00:14:42,682 作戦次元の鮮烈な勝利でもって 帝国の強さを誇示。 213 00:14:42,682 --> 00:14:46,352 西方では ロメール将軍の発案により➨ 214 00:14:46,352 --> 00:14:50,523 連合王国本土への 奇襲による直撃を試行。 215 00:14:50,523 --> 00:14:53,860 敵国世論を狙う 政治的な攻勢であった。 216 00:14:53,860 --> 00:14:59,699 しかし 敵艦隊主力との 偶発的遭遇により 作戦は頓挫。 217 00:14:59,699 --> 00:15:02,468 情報漏れも疑われる。 218 00:15:02,468 --> 00:15:04,470 完璧な成功ではない。 219 00:15:04,470 --> 00:15:09,308 しかし 帝国としては 確かな手応えを得ていた。 220 00:15:09,308 --> 00:15:11,644 帝国は願ったのだ。 221 00:15:11,644 --> 00:15:13,646 実力を示せば➨ 222 00:15:13,646 --> 00:15:18,050 対話の席に 相手を 引きずり出せるであろう… と> 223 00:15:52,518 --> 00:15:54,687 (カランドロ)ガスマン閣下が おびえておりましたよ。 224 00:15:54,687 --> 00:15:57,690 (カランドロ)またうるさいのが来ると。 225 00:15:57,690 --> 00:15:59,959 閣下には恐縮ですが➨ 226 00:15:59,959 --> 00:16:03,629 当分は 親しく おつきあいを させていただくかと。 227 00:16:03,629 --> 00:16:07,967 ほう まるで 外交官を相手にしているようだ。 228 00:16:07,967 --> 00:16:10,303 私は軍人です。 229 00:16:10,303 --> 00:16:13,973 祖国の必要が それを命じるのでしょう。 230 00:16:13,973 --> 00:16:18,311 それでは 直截に お伺いさせていただきましょう。 231 00:16:18,311 --> 00:16:21,614 あなた方の提示できる条件は? 232 00:16:24,150 --> 00:16:26,352 《決定打を用意した》 233 00:16:32,491 --> 00:16:36,996 無賠償 無併合 民族自決➨ 234 00:16:36,996 --> 00:16:39,165 この三本軸を。 235 00:16:39,165 --> 00:16:44,170 それは どうでしょう… 本当に賠償なしで➨ 236 00:16:44,170 --> 00:16:46,172 まとまると お考えですか? 237 00:16:46,172 --> 00:16:48,341 ご不安 ごもっとも。 238 00:16:48,341 --> 00:16:51,344 しかし 帝国は 甘んじて受け入れます。 239 00:16:51,344 --> 00:16:54,347 あっ… 失礼。 240 00:16:54,347 --> 00:16:57,850 今 受け入れると おっしゃいましたか? 241 00:16:57,850 --> 00:17:01,120 ええ 我々は 受け入れる用意がある。 242 00:17:01,120 --> 00:17:05,291 ね… 念のため 整理させていただきたい。 243 00:17:05,291 --> 00:17:07,793 ご提示いただいた無賠償とは➨ 244 00:17:07,793 --> 00:17:11,297 帝国に対する 請求の拒否ではなく➨ 245 00:17:11,297 --> 00:17:15,635 帝国が請求しないという理解で 間違いありませんか? 246 00:17:15,635 --> 00:17:18,638 そのとおりですが…。 247 00:17:18,638 --> 00:17:26,979 貴国が 賠償を払う意思は ないのですね? 248 00:17:26,979 --> 00:17:29,782 賠償ですと? 我々が? 249 00:17:36,155 --> 00:17:40,159 バッ バカな! 我々が請求を放棄するのですぞ! 250 00:17:40,159 --> 00:17:44,330 これほどの妥協ですら 不十分だとおっしゃるのですか? 251 00:17:44,330 --> 00:17:50,336 つまり 帝国領土の譲渡は お考えではないと? 252 00:17:52,505 --> 00:17:54,507 レルゲン大佐➨ 253 00:17:54,507 --> 00:18:00,279 貴国の提案では 正直 挑発と受け取られるでしょうな。 254 00:18:00,279 --> 00:18:02,782 い いったい どこが…。 255 00:18:02,782 --> 00:18:05,117 賠償も領土割譲も拒否。 256 00:18:05,117 --> 00:18:09,322 交戦諸国からしてみれば 露骨な挑発です。 257 00:18:13,292 --> 00:18:18,297 帝国にとっては 和を乞う 屈辱的な提案さえも➨ 258 00:18:18,297 --> 00:18:24,136 第三者にとって 傲岸不遜そのものだと? 259 00:18:24,136 --> 00:18:29,041 見ている世界が違いすぎる…。 260 00:18:32,645 --> 00:18:36,148 カランドロ大佐 貴官も ご承知でしょう。 261 00:18:36,148 --> 00:18:40,653 こたびの戦争は 協商連合の越境行為が契機。 262 00:18:40,653 --> 00:18:43,656 そうだ 始めたのは連中だ。 263 00:18:43,656 --> 00:18:47,994 帝国は挑まれた戦いで 自分を守ったにすぎない。 264 00:18:47,994 --> 00:18:50,329 水掛け論でしょう それは。 265 00:18:50,329 --> 00:18:55,001 例えば 始めに宣戦布告したのは 帝国でしたな。 266 00:18:55,001 --> 00:18:57,336 始めに撃ったのも帝国だ。 267 00:18:57,336 --> 00:18:59,839 バカな! 越境侵犯に対し➨ 268 00:18:59,839 --> 00:19:02,775 当然の自衛権を 行使したまでのことで…。 269 00:19:02,775 --> 00:19:05,778 ええ 帝国の正義ですな。 270 00:19:05,778 --> 00:19:10,783 ですが 違う立場からの正義も ありましょう。 271 00:19:10,783 --> 00:19:14,453 なっ…。 帝国が相当な譲歩を申し出て➨ 272 00:19:14,453 --> 00:19:18,624 初めて 交渉の基礎ができると 理解していただきたい。 273 00:19:18,624 --> 00:19:21,794 相手方は そこまで強硬です。 274 00:19:21,794 --> 00:19:26,966 この条件を蹴ってでも 戦争を続けたいと? 275 00:19:26,966 --> 00:19:30,469 失礼ですが 流れた血が多すぎる。 276 00:19:30,469 --> 00:19:34,573 向こうは向こうで 手ぶらでは終われないのですよ。 277 00:19:36,642 --> 00:19:38,644 だから続ける… と。 278 00:19:44,650 --> 00:19:47,319 平和の回復という大義のもと➨ 279 00:19:47,319 --> 00:19:53,159 交戦国同士が歩み寄ることは 不可能なのでしょうか。 280 00:19:53,159 --> 00:19:57,663 レルゲン大佐殿 あなたは誠実な軍人だ。 281 00:19:57,663 --> 00:20:02,068 それを踏まえて ひとつ 私見をよろしいだろうか。 282 00:20:04,336 --> 00:20:06,505 要するに…。 283 00:20:06,505 --> 00:20:10,342 帝国は強すぎる。 強すぎて怖い。 284 00:20:10,342 --> 00:20:13,846 怖いやつには滅んでいただきたい。 285 00:20:41,707 --> 00:20:46,212 《ただ待つだけの身というのも つらいものだな…》 286 00:21:06,499 --> 00:21:08,667 はぁ…。 (ノック) 287 00:21:08,667 --> 00:21:10,836 (ヴィーシャ)中佐殿 参謀本部より➨ 288 00:21:10,836 --> 00:21:13,839 封緘書類が届きました。 289 00:21:13,839 --> 00:21:16,842 くっ これでは…。 290 00:21:16,842 --> 00:21:19,845 (ゼートゥーア)ふっ… 状況は最悪。 291 00:21:19,845 --> 00:21:22,348 実に素晴らしいことだ。 292 00:21:22,348 --> 00:21:26,519 ふっ 出口は やはり作れる。 293 00:21:26,519 --> 00:21:30,856 バカな… これでは 我々に選択肢など…。 294 00:21:30,856 --> 00:21:32,858 もはや…。 295 00:21:36,695 --> 00:21:39,031 《ルーデルドルフ:時間がない…。 296 00:21:39,031 --> 00:21:43,869 まだ我々の拳は頑強だ。 297 00:21:43,869 --> 00:21:48,207 まだ世界は殴り飛ばせる。 298 00:21:48,207 --> 00:21:52,378 だが いずれは 仮にイルドアを攻めようにも…。 299 00:21:52,378 --> 00:21:55,548 出口には つながらない。 300 00:21:55,548 --> 00:21:58,050 だが 今 殴らなければ…。 301 00:21:58,050 --> 00:22:02,488 我々が殴る能力さえも 喪失してしまえば➨ 302 00:22:02,488 --> 00:22:07,593 世界は 帝国をどう遇する?》