1 00:00:15,753 --> 00:00:18,089 (佐城)あっ そういえば 夏休み終わって 2 00:00:18,089 --> 00:00:21,092 俺がバイト辞めたあとって どうするんです? 3 00:00:21,092 --> 00:00:25,096 (店長)雇うよ。 実はもう 募集かけてんだ。 4 00:00:25,096 --> 00:00:30,101 そういえば 入り口に貼り紙が。 ああ。 後輩が入ったら 5 00:00:30,101 --> 00:00:32,437 佐城くんも 先輩になるんだからな。 6 00:00:32,437 --> 00:00:35,440 まあ そっすね。 なんだ その気の抜けた返事は! 7 00:00:35,440 --> 00:00:38,443 うっ! じゃ 残りも頼んだよ。 8 00:00:38,443 --> 00:00:40,445 あいあいさ~。 9 00:00:40,445 --> 00:00:45,783 「河島嶺二」… ここか? (戸の開閉音) 10 00:00:45,783 --> 00:00:48,783 (深那)あっ あの…。 あっ はい。 11 00:00:52,123 --> 00:00:54,125 (深那)あっ…。 12 00:00:54,125 --> 00:00:57,825 《ん…? この感じ どっかで…》 13 00:01:01,132 --> 00:01:03,134 《一ノ瀬さん!?》 14 00:01:03,134 --> 00:01:07,138 ええと 何か? 入り口の 募集を見て…。 15 00:01:07,138 --> 00:01:11,743 ああ。 えっ! バイトの!? 16 00:01:11,743 --> 00:01:14,343 《大丈夫か…!?》 17 00:02:55,113 --> 00:02:59,450 おお! そりゃ 深那ちゃんだ! えっ 知り合いなんすか? 18 00:02:59,450 --> 00:03:02,120 常連のお嬢さんだよ。 19 00:03:02,120 --> 00:03:07,125 くぅ! マジか 深那ちゃんか。 わしは幸せ者だな。 20 00:03:07,125 --> 00:03:11,125 《じいさんは テンションが上がると ヤングになる》 21 00:03:15,399 --> 00:03:17,735 深那ちゃん 採用! 22 00:03:17,735 --> 00:03:20,404 ちょっ! さすがに早くないですか? 23 00:03:20,404 --> 00:03:23,741 深那ちゃんのことは知っとるから。 はあ…。 24 00:03:23,741 --> 00:03:25,743 あっ あの…。 25 00:03:25,743 --> 00:03:30,748 妻も喜ぶよ。 ついてきて 深那ちゃん。 26 00:03:30,748 --> 00:03:34,085 《まあ これで俺も 心おきなく 抜けられるってもんよ》 27 00:03:34,085 --> 00:03:38,756 (奥さん)深那ちゃんだったのね。 ただ その前髪はねぇ…。 28 00:03:38,756 --> 00:03:40,925 なんとかならない? 29 00:03:40,925 --> 00:03:43,761 《佐城:おっと? 結構厳しいこと言うのな。 30 00:03:43,761 --> 00:03:45,763 まあ 俺も同感だけど…》 (奥さん)来てくれたのは 31 00:03:45,763 --> 00:03:47,765 うれしいんだけどねぇ…。 32 00:03:47,765 --> 00:03:50,434 そうだ! 私が切ってあげましょうか。 33 00:03:50,434 --> 00:03:52,434 《はっ!?》 あ…。 34 00:03:54,438 --> 00:03:56,774 ちょっ! ストップです 奥さん! 35 00:03:56,774 --> 00:04:00,778 あら 今 アルバイトの説明を してたところなのよ。 36 00:04:00,778 --> 00:04:02,780 そうなんですね。 37 00:04:02,780 --> 00:04:05,116 《いくら世話焼きったって焦るわ。 38 00:04:05,116 --> 00:04:08,452 てか これ どうするべきだ? 一ノ瀬さんとは 39 00:04:08,452 --> 00:04:12,390 バイト先だけのつきあい方ってんなら ここは…》 40 00:04:12,390 --> 00:04:14,392 はじめまして 佐城です。 41 00:04:14,392 --> 00:04:17,395 えっ…。 店長から聞きました。 42 00:04:17,395 --> 00:04:20,898 一ノ瀬さん かなりの本好きとか? は… はい。 43 00:04:20,898 --> 00:04:24,068 本読むときって 前髪 邪魔じゃないですか? 44 00:04:24,068 --> 00:04:26,070 いつも どうしてるんです? 45 00:04:26,070 --> 00:04:29,070 あっ… いっ いつもは…。 46 00:04:32,076 --> 00:04:34,078 こ… こうです。 47 00:04:34,078 --> 00:04:36,747 《初めて 一ノ瀬さんの顔見た…》 48 00:04:36,747 --> 00:04:40,751 いいわ! じゃ それでいきましょ。 はっ はい! 49 00:04:40,751 --> 00:04:43,351 じゃ 明日から よろしくお願いしま~す。 50 00:04:46,090 --> 00:04:49,427 おはようございま~ んっ? 51 00:04:49,427 --> 00:04:53,431 《てか バイトの後輩って 敬語じゃなくてもよくないか? 52 00:04:53,431 --> 00:04:55,433 同級生だしな》 53 00:04:55,433 --> 00:04:59,437 おはよう 一ノ瀬さん。 あ… おはようございます。 54 00:04:59,437 --> 00:05:02,106 《声小さっ!》 あ~ えっと…。 55 00:05:02,106 --> 00:05:06,777 隣の席の一ノ瀬さん… だよね? 56 00:05:06,777 --> 00:05:09,777 あんまり話したことないけど よろしく。 57 00:05:12,049 --> 00:05:14,051 うん…。 58 00:05:14,051 --> 00:05:18,389 《返事おっせ! うまく やっていけんのか これ…》 59 00:05:18,389 --> 00:05:21,058 おお! 来たか 佐城くん。 60 00:05:21,058 --> 00:05:23,561 おはようございます。 元気っすね。 61 00:05:23,561 --> 00:05:27,064 (店長)今日から先輩として 深那ちゃんを頼んだぞ。 62 00:05:27,064 --> 00:05:29,066 ハハ… 頑張ります。 63 00:05:29,066 --> 00:05:32,737 力仕事以外は 深那ちゃんにも 見せてやってくれ。 64 00:05:32,737 --> 00:05:36,407 くれぐれも よこしまな考えは 起こさないようにな。 65 00:05:36,407 --> 00:05:40,807 何言ってんすか。 冗談だよ。 ワッハッハッハッ! 66 00:05:42,747 --> 00:05:45,747 まずは 前髪だな。 あ…。 67 00:05:48,753 --> 00:05:52,423 そうそう バイトするときは そっちね。 68 00:05:52,423 --> 00:05:56,427 じゃあ 行こうか。 最初は 昨日売れた本のリスト見ながら➡ 69 00:05:56,427 --> 00:06:00,765 棚の整理ね。 超簡単だから。 70 00:06:00,765 --> 00:06:03,768 あ~ 俺のときは うなずくだけでいいけど 71 00:06:03,768 --> 00:06:06,771 お客さん相手には ちゃんと返事してね。 72 00:06:06,771 --> 00:06:08,773 はっ はい! 73 00:06:08,773 --> 00:06:14,045 《こうしてみると 意外とすることあるな…》 74 00:06:14,045 --> 00:06:16,714 (深那)あっ あの…。 んっ? 75 00:06:16,714 --> 00:06:19,717 ああ そこは 踏み台使ってもらうんだけど。 76 00:06:19,717 --> 00:06:21,719 やめておこうか。 77 00:06:21,719 --> 00:06:24,388 こ… このくらい できます。 78 00:06:24,388 --> 00:06:27,725 そう言って よろけて 俺に受け止められていいの? 79 00:06:27,725 --> 00:06:32,063 そっ それは… いやあ…。 (佐城)うっ…。 80 00:06:32,063 --> 00:06:36,734 あとは接客だな。 もう開店してるし 81 00:06:36,734 --> 00:06:40,404 いつお客さん来ても おかしくないから。 82 00:06:40,404 --> 00:06:44,075 とりあえず 一ノ瀬さんは さっき教えた整理整頓。 83 00:06:44,075 --> 00:06:49,080 高いとこと接客は俺やるから レジは近くで見学してよっか。 84 00:06:49,080 --> 00:06:52,750 アレもいるか…。 85 00:06:52,750 --> 00:06:55,753 ひもを通して… っと。 86 00:06:55,753 --> 00:06:59,757 《あっ… 自分で 掛けてもらえばよかったな。 87 00:06:59,757 --> 00:07:02,426 心の距離 ヤベえ…》 88 00:07:02,426 --> 00:07:07,098 あ~ 一ノ瀬さん ここまでで 何か わかんないことある? 89 00:07:07,098 --> 00:07:09,767 えと…。 特にないなら ないで 90 00:07:09,767 --> 00:07:12,036 大丈夫だけど。 あ…。 91 00:07:12,036 --> 00:07:14,705 ありま…? ないです…。 92 00:07:14,705 --> 00:07:17,375 《合わねえなあ オイ…》 93 00:07:17,375 --> 00:07:20,044 じゃっ 一とおり 業務は教えたから 94 00:07:20,044 --> 00:07:22,046 あとは慣れるだけだね。 (戸の開く音) 95 00:07:22,046 --> 00:07:24,048 おっ。 96 00:07:24,048 --> 00:07:28,052 そのうちに わかるようになんだけどさ 97 00:07:28,052 --> 00:07:31,055 冷やかすだけの客も多いんだ。 98 00:07:31,055 --> 00:07:33,724 一ノ瀬さん レジのボタン配置とか見とこうか。 99 00:07:33,724 --> 00:07:35,724 はい。 100 00:07:39,063 --> 00:07:41,065 (深那)はぅ…。 101 00:07:41,065 --> 00:07:43,734 は…。 《佐城:って 買うのかよ!》 102 00:07:43,734 --> 00:07:45,736 「三島由紀夫」がないとは 103 00:07:45,736 --> 00:07:47,738 古書店の風上にも おけませぬなあ。 104 00:07:47,738 --> 00:07:49,740 はぅ…。 105 00:07:49,740 --> 00:07:52,743 甘美な性を表現する傑作 『音楽』! 106 00:07:52,743 --> 00:07:55,413 許されぬまぐわいを 美しい芸術に変えた 107 00:07:55,413 --> 00:07:58,416 彼の存在抜きに 古書店を名乗るとは…。 108 00:07:58,416 --> 00:08:01,085 《佐城:何言ってんだ? このおっさん》 109 00:08:01,085 --> 00:08:04,755 ういっす。 こちら 2点っすね。 むっ!? 110 00:08:04,755 --> 00:08:07,425 《言ってることは 全然わかんねえけど 111 00:08:07,425 --> 00:08:10,094 商品を レジに持ってきたのは確かだ》 112 00:08:10,094 --> 00:08:12,363 ブックカバーは おつけします? 113 00:08:12,363 --> 00:08:15,699 頼めますかな。 うい~っす。 114 00:08:15,699 --> 00:08:18,299 2冊で220円っす。 115 00:08:23,374 --> 00:08:25,376 (佐城)あざした! 116 00:08:25,376 --> 00:08:28,379 はあ…。 (戸の開閉音) 117 00:08:28,379 --> 00:08:31,715 ああいった客は 隙さえ 見せなければ なんとかなるんだ。 118 00:08:31,715 --> 00:08:33,717 んっ? 119 00:08:33,717 --> 00:08:36,720 一ノ瀬さん…? 120 00:08:36,720 --> 00:08:39,390 えっ? ふぇ…。 121 00:08:39,390 --> 00:08:42,059 いったん 奥 行こっか。 122 00:08:42,059 --> 00:08:44,395 すみません 奥さん お呼びしたいっす。 123 00:08:44,395 --> 00:08:46,397 どうしたんだ? 124 00:08:46,397 --> 00:08:48,399 癖のあるお客さんに あたっちゃって 125 00:08:48,399 --> 00:08:50,401 一ノ瀬さん 泣いちゃいました。 126 00:08:50,401 --> 00:08:52,736 なにぃ!? 深那ちゃんは? 127 00:08:52,736 --> 00:08:57,074 バックヤードで休ませてます。 でも 店長は行かないでください。 128 00:08:57,074 --> 00:09:00,077 こういうのは 女の人が適してると思うんで。 129 00:09:00,077 --> 00:09:03,377 あっ… あいわかった。 どもっす。 130 00:09:05,416 --> 00:09:08,085 《佐城:俺が抜けたあと 一ノ瀬さん一人に 131 00:09:08,085 --> 00:09:11,422 任せられるのか? ていうか 132 00:09:11,422 --> 00:09:15,025 接客どころか まず 従業員同士のコミュニケーションにも 133 00:09:15,025 --> 00:09:17,695 支障が出てんだよなあ…。 134 00:09:17,695 --> 00:09:20,030 じいさんに相談してみっか。 135 00:09:20,030 --> 00:09:22,366 なんかいい案が あるかもしれないし》 136 00:09:22,366 --> 00:09:25,035 あの 店長。 ああ。 137 00:09:25,035 --> 00:09:29,707 ここのバイト ある程度 ああいうのを 相手する接客スキルって 138 00:09:29,707 --> 00:09:33,043 必須っすよね。 うむ そうだな。 139 00:09:33,043 --> 00:09:36,046 俺 一ノ瀬さん 向いてないと思うんすけど。 140 00:09:36,046 --> 00:09:39,717 何っ!? 佐城くん あの子の上っ面だけで…。 141 00:09:39,717 --> 00:09:42,720 だったら 店長が面倒見ますか? 142 00:09:42,720 --> 00:09:44,722 それで 一ノ瀬さんのできないことは 143 00:09:44,722 --> 00:09:48,392 全部自分で なんて言ったら 奥さんが黙ってないっすよ。 144 00:09:48,392 --> 00:09:50,728 ああ…。 あっ すみません。 145 00:09:50,728 --> 00:09:55,065 《思ったより俺は 一ノ瀬さんに イラついているらしい。 146 00:09:55,065 --> 00:09:59,069 相性の悪さか 俺の心が狭いだけなのか》 147 00:09:59,069 --> 00:10:01,405 (店長)深那ちゃんは…。 はっ? 148 00:10:01,405 --> 00:10:05,743 深那ちゃんは この店の かわいい常連さんなんだ。 149 00:10:05,743 --> 00:10:10,080 《あっ… いつもの威勢は どうしたんだよ じいさん。 150 00:10:10,080 --> 00:10:12,416 考えろ 俺! 151 00:10:12,416 --> 00:10:15,753 学校じゃ いつも1人で…。 152 00:10:15,753 --> 00:10:18,756 だけど 少なくとも この古本屋と 153 00:10:18,756 --> 00:10:21,425 自分を気にかけてくれる じいさんは 154 00:10:21,425 --> 00:10:25,429 一ノ瀬さんにとっちゃ 居場所ってことだろ?》 155 00:10:25,429 --> 00:10:29,433 あの 俺ちょっと 一ノ瀬さんと 話をしてみますね。 156 00:10:29,433 --> 00:10:32,102 ホ… ホントか? はい。 でも 157 00:10:32,102 --> 00:10:34,438 あんま期待はしないでください。 158 00:10:34,438 --> 00:10:36,774 あいわかった。 159 00:10:36,774 --> 00:10:39,777 《佐城:この場所が 嫌いになるなんてことが 160 00:10:39,777 --> 00:10:43,781 あっちゃならない。 じいさんのためにも。 161 00:10:43,781 --> 00:10:46,450 だったら この先どうなってもいい俺が 162 00:10:46,450 --> 00:10:49,787 言うしかないよな?》 163 00:10:49,787 --> 00:10:51,956 ありがとうございます 奥さん。 (戸の開く音) 164 00:10:51,956 --> 00:10:53,958 (奥さん)いいのよ。 165 00:10:53,958 --> 00:10:57,795 今ね 深那ちゃんに お仕事の心構えを教えてたの。 166 00:10:57,795 --> 00:10:59,964 あとは任せてください。 167 00:10:59,964 --> 00:11:03,133 奥さん 帳簿まとめる 途中じゃなかったですか? 168 00:11:03,133 --> 00:11:07,833 ああ そうだったわ。 じゃあ またあとでね。 169 00:11:13,744 --> 00:11:17,414 一ノ瀬さん 聞いてくれるかな? 170 00:11:17,414 --> 00:11:21,752 さっきのお客さん 変な人だったよね。 171 00:11:21,752 --> 00:11:25,089 最初から 思うように 接客なんてできないよ。 172 00:11:25,089 --> 00:11:28,759 怖くて泣いちゃうのも しかたない。 173 00:11:28,759 --> 00:11:32,096 ああいうお客さんは ちょっとチャラい口調で話すと 174 00:11:32,096 --> 00:11:36,433 効果あるんだ。 難しい言葉が 通じないヤツって思わせると 175 00:11:36,433 --> 00:11:40,104 黙ってくれる。 一ノ瀬さんだったら 176 00:11:40,104 --> 00:11:44,441 例えば ギャルっぽく言ったら ひるんでくれたかもね。 177 00:11:44,441 --> 00:11:48,112 接客って やっぱ難しくてさ 正解がないんだ。 178 00:11:48,112 --> 00:11:51,782 でも 不正解はある。 どんなに面倒そうでも 179 00:11:51,782 --> 00:11:55,786 お客さんなら 間違った対応はしちゃいけない。 180 00:11:55,786 --> 00:11:59,790 でさ 一ノ瀬さん それできる? 181 00:11:59,790 --> 00:12:02,793 ふだんは ハキハキしゃべるのは 苦手でも 182 00:12:02,793 --> 00:12:06,630 バイト中は 「デキる人ですよ」 って見せるの できる? 183 00:12:06,630 --> 00:12:10,134 あっ…。 184 00:12:10,134 --> 00:12:13,737 できないなら向いてないね。 親御さんにもらうお小遣いで…。 185 00:12:13,737 --> 00:12:17,074 《バカ 落ち着け! 先輩として俺がするのは 186 00:12:17,074 --> 00:12:21,078 選択肢を奪うことじゃない。 選ばせることだ!》 187 00:12:21,078 --> 00:12:24,415 悪い。 これだけでいい。 188 00:12:24,415 --> 00:12:28,085 接客する気があるかだけ 教えてくれるかな? 189 00:12:28,085 --> 00:12:30,754 あっ…。 《佐城:正直 190 00:12:30,754 --> 00:12:34,091 このまま辞めたほうがいいんじゃ ないかなって思ってしまう。 191 00:12:34,091 --> 00:12:36,760 お客さんとして来る 一ノ瀬さんに 192 00:12:36,760 --> 00:12:39,430 じいさんが かいがいしく 声をかけるくらいが 193 00:12:39,430 --> 00:12:41,765 一ノ瀬さんにとっても じいさんにとっても 194 00:12:41,765 --> 00:12:43,767 ちょうどいいんじゃないのか?》 195 00:12:43,767 --> 00:12:45,769 やです…。 えっ? 196 00:12:45,769 --> 00:12:49,106 嫌です。 辞めたくないです! 197 00:12:49,106 --> 00:12:51,108 はっ…? なんで? 198 00:12:51,108 --> 00:12:55,779 で… できるようにしますから! 辞めさせないでください! 199 00:12:55,779 --> 00:12:58,449 ちょっ!? 顔上げて! マジで! 200 00:12:58,449 --> 00:13:00,784 お… 俺 ただのバイトだから! 201 00:13:00,784 --> 00:13:04,384 一ノ瀬さんを辞めさせるとか できないから~! 202 00:13:09,460 --> 00:13:12,396 (深那)なんでも できるようにしますから! 203 00:13:12,396 --> 00:13:15,396 わかった! わかったから 顔上げて! 204 00:13:22,072 --> 00:13:25,743 何があったんだ! 店長! 一ノ瀬さん 続投です! 205 00:13:25,743 --> 00:13:28,746 なにぃ!? 明日から頑張ろうな! なっ!? 206 00:13:28,746 --> 00:13:31,749 そうか。 もう時間だし 207 00:13:31,749 --> 00:13:34,084 今日は2人とも上がりなさい。 (佐城)えっ!? 208 00:13:34,084 --> 00:13:36,754 いや まだ 業務終わってないでしょうし 209 00:13:36,754 --> 00:13:39,089 俺 残ります。 いや いい いい。 210 00:13:39,089 --> 00:13:42,092 それより 明日も ちゃんと来てくれよ。 211 00:13:42,092 --> 00:13:44,094 わっかりました。 212 00:13:44,094 --> 00:13:46,764 じゃあ… 帰るか 一ノ瀬さん。 213 00:13:46,764 --> 00:13:48,764 はっ はい! 214 00:13:54,772 --> 00:13:57,372 最低だ 俺…。 215 00:14:01,779 --> 00:14:03,781 (一ノ瀬)はあ…。 216 00:14:03,781 --> 00:14:06,450 (四ノ宮)どうした? 一ノ瀬。 元気がないな。 217 00:14:06,450 --> 00:14:11,350 すみません。 妹と最近 うまくいってなくて。 218 00:14:13,390 --> 00:14:17,090 (由梨)大丈夫よ。 ねっ? 由梨ちゃん…。 219 00:14:20,397 --> 00:14:23,097 (佐城)ん…? 220 00:14:25,068 --> 00:14:28,071 ヤベ…。 221 00:14:28,071 --> 00:14:30,407 なんで ビデオ通話? 222 00:14:30,407 --> 00:14:33,744 (田)ここ! 絶対 行きたいんだよね。 223 00:14:33,744 --> 00:14:35,913 (愛華)へえ 店内もオシャレ! 224 00:14:35,913 --> 00:14:38,415 でしょ? 写真撮りまくろ! 225 00:14:38,415 --> 00:14:42,085 また学校始まったら いろいろ忙しくなるしさ~。 226 00:14:42,085 --> 00:14:45,422 (愛華)いいけど… 圭 夏休みの宿題 終わった? 227 00:14:45,422 --> 00:14:48,425 (田)ほえ? 部活は真面目にやってるよ。 228 00:14:48,425 --> 00:14:52,429 (愛華)だと思った。 じゃあ 宿題終わったらのご褒美ね。 229 00:14:52,429 --> 00:14:54,431 わかんないところは教えるし。 230 00:14:54,431 --> 00:14:56,767 愛ち マジ愛してる! 231 00:14:56,767 --> 00:14:58,769 も~。 あっ…。 232 00:14:58,769 --> 00:15:00,771 (田)な~んか 女の子やってるとさ 233 00:15:00,771 --> 00:15:03,440 たまにカロリーとんなきゃじゃん? 234 00:15:03,440 --> 00:15:06,777 ねっ。 低脂肪のカスタムも ありそうだし。 235 00:15:06,777 --> 00:15:09,446 えっ? 話聞いてる? 236 00:15:09,446 --> 00:15:11,715 でも トッピングは絶対… 237 00:15:11,715 --> 00:15:14,384 あっ さじょっち やっぱバイトだったみたい。 238 00:15:14,384 --> 00:15:16,386 (愛華)そ… そうなんだ。 239 00:15:16,386 --> 00:15:19,389 (田)うん 今すぐ来いって 送ったら既読ついた。 240 00:15:19,389 --> 00:15:22,726 えっ!? ちょっ ちょっと待って! 241 00:15:22,726 --> 00:15:26,396 さじょっち! 話すの久しぶりじゃん。 242 00:15:26,396 --> 00:15:29,733 お~! あっ 夏川は ビデオじゃないのか。 243 00:15:29,733 --> 00:15:31,735 ってか なんか疲れてない? 244 00:15:31,735 --> 00:15:34,738 俺にだって いろいろあんだよ。 そうなの? 245 00:15:34,738 --> 00:15:39,076 吐いちゃえ 吐いちゃえ。 じゃあ 相談なんだけどさ 246 00:15:39,076 --> 00:15:41,745 今日 バイト先で 女の子を土下座させちゃって…。 247 00:15:41,745 --> 00:15:43,747 (愛華/田)はあ!? 248 00:15:43,747 --> 00:15:47,084 (田)ギルティすぎない? あの 聞かなかったことに…。 249 00:15:47,084 --> 00:15:49,419 無理よ! (愛華)無理だから! 何したの? 250 00:15:49,419 --> 00:15:52,756 あの… えっと 内気な子で 251 00:15:52,756 --> 00:15:56,426 性格を考慮しなかったゆえの 悲劇といいますか…。 252 00:15:56,426 --> 00:15:59,096 つまりは さじょっちが悪いわけ? 253 00:15:59,096 --> 00:16:01,098 まあ それはなんというか…。 254 00:16:01,098 --> 00:16:06,436 は… 話しなさいよ。 その 私たち には…。 255 00:16:06,436 --> 00:16:08,836 実は…。 256 00:16:13,043 --> 00:16:15,379 (佐城)まっ これが悩みっていうか。 257 00:16:15,379 --> 00:16:18,048 明日から どうしよっかなって。 258 00:16:18,048 --> 00:16:20,717 明日 その子 来るかな…。 259 00:16:20,717 --> 00:16:24,054 来ないに一票! うっ! いっそ殺せ~! 260 00:16:24,054 --> 00:16:27,391 さ… さじょっち 元気出して~。 (愛華)アンタだけが 261 00:16:27,391 --> 00:16:29,726 悪いんじゃないわよ。 へ…? 262 00:16:29,726 --> 00:16:33,063 そもそも その子が ちゃんとコミュニケーションできたら 263 00:16:33,063 --> 00:16:35,732 そんなことには ならなかったわけじゃない? 264 00:16:35,732 --> 00:16:39,403 バイトの先輩として ハッパをかけたってことでしょ? 265 00:16:39,403 --> 00:16:42,072 まあ… そう だな。 266 00:16:42,072 --> 00:16:45,075 アンタには ちゃんと 理由があったんだから…。 267 00:16:45,075 --> 00:16:47,077 おう。 (愛華)うん。 268 00:16:47,077 --> 00:16:49,413 わかってるってば~。 269 00:16:49,413 --> 00:16:52,749 ごめ~ん! お風呂入れってさ。 じゃあね~! 270 00:16:52,749 --> 00:16:55,752 (愛華)えっ!? お~! いきなりだな。 271 00:16:55,752 --> 00:16:57,754 ニッヒヒーン。 272 00:16:57,754 --> 00:17:02,092 あれ? もしかして さっきのって励ましだった? 273 00:17:02,092 --> 00:17:04,094 なっ! なんで そんなこと…。 274 00:17:04,094 --> 00:17:07,097 いや 客観的な意見だった っていうか…。 275 00:17:07,097 --> 00:17:10,434 (愛華)気のせい! ご… ごめん。 276 00:17:10,434 --> 00:17:13,370 (佐城)それより 夏川は 最近どう? 277 00:17:13,370 --> 00:17:15,372 どうって 何が? 278 00:17:15,372 --> 00:17:18,709 (佐城)いや 夏休み入って しばらく会ってないからさ。 279 00:17:18,709 --> 00:17:21,044 い… 言われてみれば そうね。 280 00:17:21,044 --> 00:17:24,047 (佐城)ハハ… まあ 田と 楽しく過ごしてんなら 281 00:17:24,047 --> 00:17:26,049 よかったわ。 282 00:17:26,049 --> 00:17:29,386 あ~ ってか なんで夏川はビデオ オフなん? 283 00:17:29,386 --> 00:17:32,723 (愛華)今 お風呂上がりだから。 えっ! あっ ごめん。 284 00:17:32,723 --> 00:17:36,727 (愛華)ねえ さっきの話だけど…。 (佐城)おっ おう。 285 00:17:36,727 --> 00:17:39,730 ちゃんと その子の話 聞いてあげてね。 286 00:17:39,730 --> 00:17:41,730 わかった。 サンキュ! 287 00:17:48,905 --> 00:17:52,409 おはようございま~。 288 00:17:52,409 --> 00:17:55,245 おっ! 289 00:17:55,245 --> 00:17:57,247 おはよう 一ノ瀬さん。 290 00:17:57,247 --> 00:17:59,916 はっ はい! おはようございます! 291 00:17:59,916 --> 00:18:03,920 その… 昨日は マジごめん。 はっ はい。 292 00:18:03,920 --> 00:18:08,091 開店まで まだあるから のんびり整理でもしようか。 293 00:18:08,091 --> 00:18:10,093 は… はい! 294 00:18:10,093 --> 00:18:13,030 《おっ? 昨日より いい返事だな。 295 00:18:13,030 --> 00:18:16,533 辞められない理由でも あるのか…?》 296 00:18:16,533 --> 00:18:20,704 開店か。 よし 表の札 返してくるわ。 297 00:18:20,704 --> 00:18:24,504 あっ… 私が! んっ じゃあ頼むよ。 298 00:18:26,543 --> 00:18:29,046 (戸の開閉音) 299 00:18:29,046 --> 00:18:32,716 やっ やりました! よくできました。 300 00:18:32,716 --> 00:18:34,885 あっ…。 301 00:18:34,885 --> 00:18:37,721 あっ… あ~! ホコリ飛んでるな~。 302 00:18:37,721 --> 00:18:41,892 《危ねえ! なんか小さい子どもに 見えるときがあんだよな》 303 00:18:41,892 --> 00:18:44,561 いらっしゃいませ! (戸の開く音) 304 00:18:44,561 --> 00:18:48,361 わ… 私がやります! ああ… えっ!? 305 00:18:55,238 --> 00:18:58,241 《無言で レジに商品置いてくるタイプか。 306 00:18:58,241 --> 00:19:01,078 一ノ瀬さんには きついかもな》 307 00:19:01,078 --> 00:19:03,080 い… いらっしゃいませ。 308 00:19:03,080 --> 00:19:07,417 ひゃ… 130円が1点… になります。 309 00:19:07,417 --> 00:19:11,088 《佐城:おっ?》 ご… 500円 お預かりいたします。 310 00:19:11,088 --> 00:19:14,858 えとっ… 370円のお返しです。 311 00:19:14,858 --> 00:19:17,194 《佐城:おおっ!?》 あっ えと…。 312 00:19:17,194 --> 00:19:19,196 ども! このサイズですと 313 00:19:19,196 --> 00:19:21,865 ブックカバーつけられますが どうします? 314 00:19:21,865 --> 00:19:24,865 あざした~! (戸の閉まる音) 315 00:19:26,870 --> 00:19:28,872 どうしたんだよ 一ノ瀬さん! 316 00:19:28,872 --> 00:19:31,041 昨日と全然違うじゃん! はわっ!? 317 00:19:31,041 --> 00:19:33,210 すごいって! 何したん? 318 00:19:33,210 --> 00:19:36,046 あっ 接客の動画とか見て…。 319 00:19:36,046 --> 00:19:39,382 偉くね!? この調子で接客してこう! 320 00:19:39,382 --> 00:19:43,386 はっ はい。 あの ひとまず奥のほうの整理だけ 321 00:19:43,386 --> 00:19:45,386 してきます…。 322 00:19:49,392 --> 00:19:51,394 《佐城:今日見てても 323 00:19:51,394 --> 00:19:54,231 本当に辞める気は なさそうなんだよな。 324 00:19:54,231 --> 00:19:57,067 家庭の事情には 首 突っ込まないにしても 325 00:19:57,067 --> 00:20:01,071 一ノ瀬さんの辞めたくない 理由ってなんだ…?》 326 00:20:01,071 --> 00:20:03,240 佐城くん 深那ちゃん 327 00:20:03,240 --> 00:20:05,540 そろそろ休憩。 ういっす。 328 00:20:09,246 --> 00:20:12,249 《んっ? 一ノ瀬さんと 世間話できるタイミングって 329 00:20:12,249 --> 00:20:14,251 今しかないんじゃね?》 330 00:20:14,251 --> 00:20:17,754 あっ 一ノ瀬さん 今日 来たんだね。 えっ…。 331 00:20:17,754 --> 00:20:22,092 《何言ってんの 俺! めっちゃ嫌味みたい!》 332 00:20:22,092 --> 00:20:25,428 辞めるわけには いかなかったので…。 333 00:20:25,428 --> 00:20:31,768 ほ~ん。 そもそも 一ノ瀬さんって なんで バイトしようと思ったん? 334 00:20:31,768 --> 00:20:34,938 自立 したいから。 335 00:20:34,938 --> 00:20:36,940 えっ! 何それ すごくね!? 336 00:20:36,940 --> 00:20:40,277 俺 そんなの 考えたこともないんだけど。 337 00:20:40,277 --> 00:20:44,114 でも 早くない? 俺ら まだ高1だよ? 338 00:20:44,114 --> 00:20:46,616 兄離れを したくて。 339 00:20:46,616 --> 00:20:49,452 へえ…。 一ノ瀬さん お兄さんいるんだ。 340 00:20:49,452 --> 00:20:54,624 風紀委員の3年に。 えっ? 風紀委員に男子? 341 00:20:54,624 --> 00:20:57,460 《あの クマさんっぽい先輩か! 342 00:20:57,460 --> 00:21:01,631 似てねえ…。 サイズ感から何まで…》 343 00:21:01,631 --> 00:21:04,968 でも なんで? 甘えたらいいのに。 344 00:21:04,968 --> 00:21:10,307 あ~。 甘えたくても 甘えられない? 345 00:21:10,307 --> 00:21:13,577 《てか これって もう 家庭の話になってくるよな。 346 00:21:13,577 --> 00:21:16,913 俺とは そこまで 話せる仲じゃないと思うし 347 00:21:16,913 --> 00:21:19,082 このくらいにしとくか》 348 00:21:19,082 --> 00:21:22,752 私 お兄ちゃんが大好きなんです。 349 00:21:22,752 --> 00:21:26,423 へっ!? 家で本を読むときは いつも… 350 00:21:26,423 --> 00:21:30,093 座ってるお兄ちゃんの 脚の間に入って 351 00:21:30,093 --> 00:21:32,762 おなかを背もたれにして 読むんです。 352 00:21:32,762 --> 00:21:37,100 温かくて 心地よくて…。 353 00:21:37,100 --> 00:21:40,437 《何それ! すっごい和む!》 354 00:21:40,437 --> 00:21:44,608 でも あるとき お兄ちゃんが 女の人を連れてきたんです。 355 00:21:44,608 --> 00:21:49,779 そこから お兄ちゃんと話せる 時間も少なくなってきて…。 356 00:21:49,779 --> 00:21:52,616 《えっ! これ 俺が聞いていい話!? 357 00:21:52,616 --> 00:21:55,285 俺 相手に話す内容じゃなくない? 358 00:21:55,285 --> 00:21:58,121 ちょっと待って! 嫌な予感してきた。 359 00:21:58,121 --> 00:22:01,291 聞きたくない… けど 聞きたい!》 360 00:22:01,291 --> 00:22:05,629 (深那)学校から帰ったら 家族以外の靴がありました。 361 00:22:05,629 --> 00:22:08,465 それが 由梨さんのものであることは 362 00:22:08,465 --> 00:22:10,634 すぐに気づきました。 363 00:22:10,634 --> 00:22:14,571 でも そのときは なりふり構っていられなくて…。 364 00:22:14,571 --> 00:22:19,743 お兄ちゃんの部屋に向かい ノックもせずに ドアを開けました。 365 00:22:19,743 --> 00:22:22,245 そしたら…。 そしたら…!? 366 00:22:22,245 --> 00:22:24,414 そっ そしたら…! 367 00:22:24,414 --> 00:22:29,753 そしたら ゆっ… 由梨さんが お兄ちゃんに覆いかぶさって 368 00:22:29,753 --> 00:22:31,753 チューしてて…!