1 00:00:06,434 --> 00:00:08,934 走り出せ前向いて 2 00:00:09,033 --> 00:00:11,567 かじかむ手で空に描いた 3 00:00:11,834 --> 00:00:16,834 君の未来に祝福の灯りともす 4 00:00:17,067 --> 00:00:19,467 切り開け その手で 5 00:00:19,534 --> 00:00:22,100 聞こえてるかい?この声が 6 00:00:22,167 --> 00:00:24,501 素直に笑える事 抱きしめ 7 00:00:24,567 --> 00:00:30,334 今 走り出せ 8 00:00:38,033 --> 00:00:43,100 少しだけ大人の色に染まる指先 9 00:00:43,334 --> 00:00:48,200 照れくさそうに そっと隠して 10 00:00:48,701 --> 00:00:53,734 頬杖ついた君 見つめてる視線の先に 11 00:00:53,968 --> 00:00:59,267 小さな蕾が ゆらゆら 12 00:00:59,501 --> 00:01:00,000 ねぇ 13 00:01:00,067 --> 00:01:04,567 僕なんて 今も“迷い”ばかりで 14 00:01:04,868 --> 00:01:09,667 あの日贈った言葉 今さら思い出す 15 00:01:09,834 --> 00:01:12,334 “君色に未来染めて…” 16 00:01:12,400 --> 00:01:14,901 走り出せ前向いて 17 00:01:14,968 --> 00:01:17,501 かじかむ手で空に描いた 18 00:01:17,767 --> 00:01:22,868 君の未来に祝福の灯りともす 19 00:01:23,033 --> 00:01:25,400 切り開け その手で 20 00:01:25,501 --> 00:01:28,000 聞こえてるかい?この声が 21 00:01:28,067 --> 00:01:30,501 素直に笑える事 抱きしめ 22 00:01:30,567 --> 00:01:33,300 今 走り出せ 23 00:01:54,501 --> 00:01:55,067 あ… 24 00:01:57,367 --> 00:01:58,000 んっ 25 00:01:59,334 --> 00:02:00,100 夏目! 26 00:02:00,801 --> 00:02:01,334 あ? 27 00:02:03,133 --> 00:02:04,000 ここだ 28 00:02:04,167 --> 00:02:04,667 あ! 29 00:02:08,000 --> 00:02:09,033 先生 30 00:02:09,501 --> 00:02:10,634 どうしたのだ? 31 00:02:10,834 --> 00:02:14,934 グラタン皿を買いに来たんだ 塔子さんと滋さんと俺の分 32 00:02:15,200 --> 00:02:16,968 ふうーん うん 33 00:02:19,000 --> 00:02:19,834 -って -あ? 34 00:02:19,901 --> 00:02:21,167 私の分も 35 00:02:21,567 --> 00:02:23,033 -でっ! -買わんかいー! 36 00:02:23,167 --> 00:02:24,133 ニャンポリン! 37 00:02:24,834 --> 00:02:25,801 ぐっ う! 38 00:02:26,167 --> 00:02:30,334 もう1枚皿を買わせてくれる さあ立て 立つんだ夏目! 39 00:02:30,400 --> 00:02:32,234 う うう… 40 00:02:33,801 --> 00:02:34,300 あ… 41 00:02:34,834 --> 00:02:35,367 あ! 42 00:02:40,901 --> 00:02:44,200 何だ? 今なにか妙な気配が… 43 00:03:01,601 --> 00:03:02,968 この絵からか 44 00:03:04,734 --> 00:03:05,701 気に入ったの? 45 00:03:05,901 --> 00:03:06,400 え? 46 00:03:06,868 --> 00:03:09,234 もう店閉めんだけど残っちゃってさあ 47 00:03:09,801 --> 00:03:11,033 よかったら あげるよ 48 00:03:12,567 --> 00:03:13,100 あ… 49 00:03:20,968 --> 00:03:22,267 飾るのか? 50 00:03:22,567 --> 00:03:25,234 枝ばっかりの つまらん絵だなあ 51 00:03:25,400 --> 00:03:28,567 そうか? 結構 綺麗だと思うけどな 52 00:03:28,667 --> 00:03:29,734 えー? だ 53 00:03:34,467 --> 00:03:36,634 でも そうだな 54 00:03:37,834 --> 00:03:40,534 いっそ花でも咲いていたら よかったのに 55 00:03:40,767 --> 00:03:42,300 んー 56 00:03:42,567 --> 00:03:43,734 ううーん 57 00:03:44,167 --> 00:03:45,467 ううー 58 00:03:45,868 --> 00:03:47,167 ううー 59 00:03:47,267 --> 00:03:48,534 うー 60 00:03:48,634 --> 00:03:49,634 かあー 61 00:03:49,701 --> 00:03:50,968 くうー 62 00:03:54,067 --> 00:03:54,667 ん… 63 00:03:55,234 --> 00:03:56,801 あ あ… あ! 64 00:04:00,267 --> 00:04:01,868 何だ こりゃ… 65 00:04:05,133 --> 00:04:06,000 あ… 66 00:04:07,033 --> 00:04:07,901 ああ 67 00:04:08,701 --> 00:04:10,467 どこから舞い込んできたんだろう 68 00:04:11,400 --> 00:04:14,734 ふにゃ ふふふ かあ うーんにゃ? 69 00:04:15,200 --> 00:04:16,133 う… 70 00:04:20,601 --> 00:04:21,667 うーん 71 00:04:21,801 --> 00:04:22,868 うー 72 00:04:23,200 --> 00:04:24,434 うー 73 00:04:24,534 --> 00:04:25,400 くうー 74 00:04:26,100 --> 00:04:27,400 不思議なことに 75 00:04:28,067 --> 00:04:29,467 うわっ またか! 76 00:04:30,000 --> 00:04:31,000 翌朝も 77 00:04:34,234 --> 00:04:36,300 ええっ また今日もか! 78 00:04:36,934 --> 00:04:40,133 その翌朝も 枕元に花が落ちていた 79 00:04:42,167 --> 00:04:45,334 酔ってどっかから むしってきてるんじゃないだろうなあ 先生 80 00:04:45,434 --> 00:04:48,801 え? 失礼な 花なんぞに興味はない! 81 00:04:49,434 --> 00:04:51,267 ぷいだ! ぷいっ! ぷいー! 82 00:04:52,334 --> 00:04:54,167 これを飾った日からだな… 83 00:04:56,801 --> 00:05:00,834 もし妖怪かなにかの仕業なら 早めに手を打たなければ 84 00:05:01,834 --> 00:05:05,234 ありがとー! この大きさのが欲しかったの 85 00:05:05,501 --> 00:05:08,667 この家に訪れる災いは俺が退けるんだ 86 00:05:08,734 --> 00:05:10,868 ん にゃむにゃ う! にゃ 87 00:05:10,934 --> 00:05:13,234 ぬへっ はっ はっ はっ はっ… 88 00:05:16,234 --> 00:05:18,534 にゃーにゃにゃーん! 89 00:05:18,601 --> 00:05:20,000 ん んん んん 90 00:05:20,200 --> 00:05:22,200 勝手に入ってくるなよ 先生 91 00:05:23,033 --> 00:05:24,567 なんで網なんか持ってるんだ? 92 00:05:24,901 --> 00:05:27,300 妖精(フェアリー)の 仕業かもしれんだろ? 93 00:05:28,133 --> 00:05:28,934 にゃ 94 00:05:29,968 --> 00:05:31,901 捕まえてやるのだー! 95 00:05:32,467 --> 00:05:35,467 いないぞ そんな非科学的なもん 96 00:05:35,667 --> 00:05:38,868 ふん! ふーん! 言い切れるか ほれ ほれ 97 00:05:38,934 --> 00:05:41,868 どの口が言い切れるか? ほれ どの口だ? 98 00:05:41,934 --> 00:05:42,634 ん… 99 00:05:44,734 --> 00:05:45,267 ん? 100 00:05:51,267 --> 00:05:51,801 あ… 101 00:05:55,734 --> 00:05:56,300 あ! 102 00:06:06,067 --> 00:06:06,968 はあ… 103 00:06:10,934 --> 00:06:11,434 う! 104 00:06:12,067 --> 00:06:12,868 うわっ! 105 00:06:13,300 --> 00:06:14,868 -とおおーっ! -だはっ! 106 00:06:16,434 --> 00:06:17,934 あうっ う… 107 00:06:18,601 --> 00:06:19,234 ぬっ 108 00:06:19,334 --> 00:06:22,667 私の縄張りに入るとは不愉快な奴め! 109 00:06:23,667 --> 00:06:25,801 -う… は… は… -にゃ? 110 00:06:26,934 --> 00:06:29,501 お前 この花はいったい… 111 00:06:29,601 --> 00:06:31,801 花はあの人に捧げたのだ 112 00:06:32,133 --> 00:06:35,501 お前には関係のないことだ この盗人め! 113 00:06:35,567 --> 00:06:36,100 あ は! 114 00:06:36,234 --> 00:06:38,801 盗人? 俺が何を盗んだっていうんだ 115 00:06:38,868 --> 00:06:41,734 生意気な奴め 食ってやる とりゃ! 116 00:06:41,801 --> 00:06:42,868 だああっ! 117 00:06:43,033 --> 00:06:44,734 や やめろ 先生! 118 00:06:44,801 --> 00:06:45,834 にゃんーが! ふ… 119 00:06:46,200 --> 00:06:48,701 のほっ にゃんで どうして? 120 00:06:48,801 --> 00:06:51,934 珍しく用心棒っぽいことやったのに あ… 121 00:06:52,000 --> 00:06:55,968 あの人って何のことだ? ここには先生と俺2人しか… 122 00:06:56,067 --> 00:06:58,667 何を言う ちゃんといるではないか 123 00:06:59,434 --> 00:07:00,367 あの人だ 124 00:07:00,801 --> 00:07:01,400 ああ? 125 00:07:13,634 --> 00:07:14,534 うわあー! 126 00:07:14,601 --> 00:07:18,300 でかい声を出すな 八坂様が驚くだろう 127 00:07:18,367 --> 00:07:21,634 そ そうか それに家の人も 128 00:07:22,167 --> 00:07:23,133 八坂様? 129 00:07:23,267 --> 00:07:26,567 そうだ この絵の中に住んでいるのだ 130 00:07:27,033 --> 00:07:29,934 返してもらうぞ これは私のものだ 131 00:07:30,934 --> 00:07:34,567 うっかり置き忘れたのを 人に拾われ 売られ 132 00:07:35,100 --> 00:07:37,601 ついには こんなみずぼらしい家に 133 00:07:39,300 --> 00:07:41,033 う… ん? 134 00:07:41,267 --> 00:07:42,367 家に… あ… 135 00:07:42,434 --> 00:07:42,934 あ? 136 00:07:43,033 --> 00:07:43,634 家に… 137 00:07:43,701 --> 00:07:44,200 はあ 138 00:07:44,267 --> 00:07:45,267 外れんぞ? 139 00:07:45,801 --> 00:07:46,634 んっ んっ 140 00:07:46,701 --> 00:07:49,634 ええ? なんで? う… 外れないぞ 141 00:07:49,734 --> 00:07:51,868 貴様 釘で打ち付けたのか? 142 00:07:51,934 --> 00:07:55,234 えっ 違う! お前こそ 妙なことしたんじゃないのか? 143 00:07:55,300 --> 00:07:57,767 何? うんっ うう! 144 00:07:57,834 --> 00:07:59,567 やあー はああ… 145 00:07:59,634 --> 00:08:01,667 …んくっ… うう! 146 00:08:01,801 --> 00:08:03,033 はあ… 147 00:08:03,200 --> 00:08:04,300 仕方がない 148 00:08:04,367 --> 00:08:04,968 にゃ? 149 00:08:05,334 --> 00:08:07,133 外れるまで通わせてもらう 150 00:08:07,234 --> 00:08:08,667 にゃにゃいー! 151 00:08:08,734 --> 00:08:11,200 私は巳弥 明日また来る 152 00:08:11,567 --> 00:08:14,067 あ 待て! お おい! 153 00:08:15,167 --> 00:08:17,734 不気味なもん 置いていくなよ! おい! 154 00:08:19,033 --> 00:08:20,534 そして当然のように 155 00:08:24,100 --> 00:08:25,300 ごめん下さい 156 00:08:25,767 --> 00:08:28,067 翌日も巳弥はやってきた 157 00:08:29,734 --> 00:08:30,968 手を出せ小僧 158 00:08:31,534 --> 00:08:32,133 ん? 159 00:08:34,400 --> 00:08:36,667 八坂様が世話になっている礼だ 160 00:08:38,167 --> 00:08:39,067 あ! 161 00:08:41,067 --> 00:08:42,234 はあ… 162 00:08:42,734 --> 00:08:46,667 ああ! ありがたいけど 部屋で放すなよ おい! 163 00:08:46,868 --> 00:08:48,467 お ちょっと待て! あ… 164 00:08:48,534 --> 00:08:49,701 綺麗だろう? 165 00:08:49,834 --> 00:08:52,434 -ああ… -八坂様は元々人だった 166 00:08:53,167 --> 00:08:56,634 花や蝶を見るのが とても好きだったよ 167 00:08:57,467 --> 00:08:59,567 人… だった? 168 00:09:04,300 --> 00:09:04,801 ん… 169 00:09:17,901 --> 00:09:19,601 ずっと昔のこと… 170 00:09:20,868 --> 00:09:24,167 私は桜並木の上で花見をしていた 171 00:09:25,067 --> 00:09:28,834 満開の桜は私の気持ちを大きくさせた 172 00:09:29,968 --> 00:09:32,968 私は浮かれて 桜に隠れたまま 173 00:09:33,434 --> 00:09:35,367 彼に話しかけてみたんだ 174 00:09:37,067 --> 00:09:39,901 せっかくの桜よりも書物が大事か? 175 00:09:42,834 --> 00:09:45,601 花よりも文字を追うのが楽しいのか? 176 00:09:46,267 --> 00:09:48,167 桜も書物も大事です 177 00:09:48,868 --> 00:09:52,300 そして あなたと話すのも楽しそうだ 178 00:09:53,033 --> 00:09:55,067 彼は自分が八坂と言い 179 00:09:55,367 --> 00:09:58,067 体が弱いのだが名家の跡取りで 180 00:09:58,167 --> 00:10:00,868 自由になる時間が ほどんどないのだと言った 181 00:10:02,133 --> 00:10:04,701 彼は私が妖だと気づきもせずに 182 00:10:05,033 --> 00:10:06,968 通ってきては話をした 183 00:10:08,501 --> 00:10:09,567 私は… 184 00:10:10,734 --> 00:10:13,300 妖だと気づかれるのが怖くなった 185 00:10:13,434 --> 00:10:14,167 あ! 186 00:10:15,834 --> 00:10:19,033 だから 身を隠す桜のない時期は 187 00:10:19,167 --> 00:10:21,133 あの並木へは行かなくなった 188 00:10:22,601 --> 00:10:26,601 私達は花の季節にだけ語らう 友となったのだ 189 00:10:27,634 --> 00:10:31,067 巳弥 私はいつか自由になれたら 190 00:10:31,467 --> 00:10:33,400 気ままに旅をしてみたいんです 191 00:10:34,367 --> 00:10:38,701 いろんな地の美しい草花を見て回れたら きっと素敵でしょう 192 00:10:40,367 --> 00:10:42,400 巳弥 なぜだろう 193 00:10:43,334 --> 00:10:46,467 あなたには聞いてもらいたいことが いっぱいあるんです 194 00:10:48,934 --> 00:10:51,200 そんな春が幾度か過ぎて 195 00:10:51,534 --> 00:10:52,367 ある年… 196 00:10:54,267 --> 00:10:56,300 ぱたりと彼が来なくなった 197 00:10:57,501 --> 00:10:59,834 待てども 待てども 198 00:11:00,300 --> 00:11:03,334 次の春も その次の春も… 199 00:11:06,968 --> 00:11:08,968 私は彼を捜し回った 200 00:11:09,934 --> 00:11:13,100 どこを捜せばいいのかも 分からぬまま駆けずり回った 201 00:11:13,667 --> 00:11:17,234 そしてついに あの絵を見つけたのだ 202 00:11:19,634 --> 00:11:23,734 聞けば 絵師として 有名な妖が描いたものだという 203 00:11:24,968 --> 00:11:29,300 人の世が疎ましくなって 絵の中へ逃げ込んでしまったのだろう 204 00:11:30,567 --> 00:11:32,467 だから私は それをもらい 205 00:11:32,701 --> 00:11:36,133 彼を慰めるため 共に旅を始めたのだ 206 00:11:37,167 --> 00:11:40,167 いつの日か 彼の心が癒えたら 207 00:11:40,801 --> 00:11:43,033 きっと中から出てきてくれるだろう 208 00:11:44,501 --> 00:11:48,300 そうしたら また再び彼と語らうのだ 209 00:11:50,300 --> 00:11:50,901 う… 210 00:12:00,300 --> 00:12:04,334 確かにこの絵は 名のある妖が描いたものらしい 211 00:12:05,234 --> 00:12:07,167 しかし これはただの絵だ 212 00:12:07,434 --> 00:12:09,501 冬の並木道とそこに立っていた 213 00:12:09,567 --> 00:12:13,300 八坂という男の姿が 描かれただけのものだ 214 00:12:13,634 --> 00:12:17,834 どんなに待っても 男が出てくることなどあるまい 215 00:12:20,200 --> 00:12:23,701 それでも毎日 巳弥は花を持って訪れた 216 00:12:24,601 --> 00:12:28,267 毎日 毎日 毎日… 217 00:12:28,367 --> 00:12:32,133 おほっ おほっ おほっ おほっ… 218 00:12:32,234 --> 00:12:33,501 妙な咳だな 219 00:12:33,601 --> 00:12:36,200 あは… なんか とまらなくて 220 00:12:36,367 --> 00:12:38,000 えふっ あ… 221 00:12:38,801 --> 00:12:39,801 ああ! 222 00:12:46,534 --> 00:12:47,567 にゃんろん! 223 00:12:48,801 --> 00:12:49,901 にょにょにょ にょっにょっ… 224 00:12:49,968 --> 00:12:51,767 こら先生 荒らすなよ 225 00:12:51,834 --> 00:12:52,334 にゃっ 226 00:12:54,400 --> 00:12:57,767 こんな風に 何気なく美しい風景を追って 227 00:12:58,567 --> 00:13:01,367 巳弥はずっと旅をしていたのだろうか 228 00:13:02,367 --> 00:13:04,067 ただの絵を抱えて1人… 229 00:13:07,467 --> 00:13:09,634 拝見 拝見 230 00:13:10,400 --> 00:13:10,901 あ? 231 00:13:14,234 --> 00:13:14,868 わ! 232 00:13:15,267 --> 00:13:17,133 そいつは春地蔵だ 233 00:13:17,234 --> 00:13:22,100 春先に出回って修行のために 吉凶を占って回る妖だ 234 00:13:22,801 --> 00:13:27,234 お前様に不吉な影が 絡み付いておりまする 235 00:13:27,467 --> 00:13:32,133 お前様の屍から 木が生えているのが見えまする 236 00:13:32,934 --> 00:13:33,634 あ あ… 237 00:13:37,601 --> 00:13:39,701 あ 待って! 屍って どういう… 238 00:13:39,801 --> 00:13:40,701 貴志君? 239 00:13:40,767 --> 00:13:42,634 あ… と 塔子さん 240 00:13:43,367 --> 00:13:47,000 どうしたの? 1人で 大声出してたみたいだけど… 241 00:13:47,968 --> 00:13:49,501 いえ あの… 242 00:13:59,501 --> 00:14:01,267 何でもありません 243 00:14:01,534 --> 00:14:02,434 本当に? 244 00:14:02,901 --> 00:14:03,901 本当です 245 00:14:04,200 --> 00:14:06,033 そう… ふっ 246 00:14:06,100 --> 00:14:06,934 はい 247 00:14:08,834 --> 00:14:10,601 じゃあ 一緒に帰りましょう 248 00:14:10,834 --> 00:14:11,467 はい 249 00:14:13,801 --> 00:14:17,601 私は妖だと気づかれるのが怖くなった 250 00:14:18,534 --> 00:14:19,300 か… 251 00:14:21,100 --> 00:14:22,300 俺も同じだ… 252 00:14:26,934 --> 00:14:30,934 しかし 何だったんだろうな あの春地蔵の言葉は 253 00:14:32,067 --> 00:14:32,667 にゃ? 254 00:14:32,968 --> 00:14:33,667 夏目! 255 00:14:34,167 --> 00:14:34,834 あ? 256 00:14:35,868 --> 00:14:37,501 何だ こりゃ…? 257 00:14:38,167 --> 00:14:40,667 けほっ けほっ おほっ おほっ… 258 00:14:40,734 --> 00:14:41,234 うん? 259 00:14:41,934 --> 00:14:44,934 そうか 咳の原因が分かったぞ! 260 00:14:45,133 --> 00:14:48,300 この絵 お前の力を 吸い取っていたと見える 261 00:14:48,567 --> 00:14:51,667 枝を伸ばして さらに力を奪うつもりだ 262 00:14:52,100 --> 00:14:52,667 ど! 263 00:14:54,167 --> 00:14:54,968 先生! 264 00:14:56,133 --> 00:15:00,100 たかが絵の分際で 私の獲物を奪おうとは許せん! 265 00:15:00,400 --> 00:15:02,267 今すぐ食い破ってやる! 266 00:15:02,434 --> 00:15:03,100 ううああー! 267 00:15:03,167 --> 00:15:05,467 だめだ 先生! この絵は巳弥の! 268 00:15:06,334 --> 00:15:06,901 うっ! は… 269 00:15:07,300 --> 00:15:07,801 おお… 270 00:15:07,868 --> 00:15:08,501 き はっ 271 00:15:09,300 --> 00:15:10,300 にゃー! ぎゃっ な! 272 00:15:10,734 --> 00:15:13,767 アホ夏目! いったい何をやっとる! 273 00:15:14,033 --> 00:15:16,300 しっかりしろ アホ夏目ー! 274 00:15:25,834 --> 00:15:28,801 巳弥 私はいつか自由になれたら 275 00:15:29,033 --> 00:15:30,767 気ままに旅をしてみたいんです 276 00:15:31,300 --> 00:15:34,067 でも 1人ではきっと味気ない 277 00:15:34,467 --> 00:15:36,367 その時は一緒に行きませんか? 278 00:15:40,033 --> 00:15:41,400 やあ 巳弥 279 00:15:42,334 --> 00:15:44,167 今年も会いに来てくれたんですね 280 00:15:45,467 --> 00:15:47,701 今日は何の話をしましょうか 281 00:15:53,634 --> 00:15:55,167 んっ ああ… 282 00:15:56,467 --> 00:15:58,667 すまない 夏目 283 00:15:59,501 --> 00:16:04,367 私が長く持ち歩いたため この絵も妖力を持ってしまったようだ 284 00:16:05,367 --> 00:16:08,100 壁に根を張り もう外れまい 285 00:16:08,701 --> 00:16:11,133 このままでは お前の命も危うくなる 286 00:16:11,901 --> 00:16:16,200 だから私は妖力を使って この絵を焼いてしまおうと思う 287 00:16:16,467 --> 00:16:17,601 だめだ 巳弥! 288 00:16:18,200 --> 00:16:19,534 大切な絵なんだろ? 289 00:16:20,501 --> 00:16:21,834 いいんだ 夏目 290 00:16:23,100 --> 00:16:24,801 本当は気づいていたんだ 291 00:16:25,934 --> 00:16:29,734 あの人は… 八坂様は 292 00:16:30,167 --> 00:16:32,367 もう どこにもいないのではないかと… 293 00:16:35,667 --> 00:16:38,801 けれど この絵と共に旅した日々は 294 00:16:39,200 --> 00:16:41,634 あの人と共にあったように楽しかった 295 00:16:42,601 --> 00:16:43,667 雨の日も 296 00:16:44,701 --> 00:16:45,801 風の日も 297 00:16:47,334 --> 00:16:49,000 1人ではないのだと… 298 00:16:57,200 --> 00:16:57,868 でも… 299 00:16:58,033 --> 00:16:58,634 あ! 300 00:16:59,467 --> 00:17:00,801 もういいんだ 301 00:17:01,701 --> 00:17:03,734 異形であることなど気にせずに 302 00:17:04,167 --> 00:17:08,667 一度だけでも 目を合わせて 話をしてみたかっただけなのだから 303 00:17:10,100 --> 00:17:10,767 巳弥 304 00:17:12,100 --> 00:17:12,701 あ… 305 00:17:13,367 --> 00:17:15,033 俺はまだ大丈夫だ 306 00:17:15,801 --> 00:17:17,834 もう少し外す方法を探してみよう 307 00:17:18,100 --> 00:17:18,934 しかし… 308 00:17:19,033 --> 00:17:21,300 俺も この絵好きだよ 309 00:17:21,901 --> 00:17:23,868 ふん 馬鹿馬鹿しい 310 00:17:25,400 --> 00:17:27,801 俺と巳弥は似てるんだよ 先生 311 00:17:27,868 --> 00:17:28,734 ふふ 312 00:17:29,834 --> 00:17:34,834 大切な人に本当のことを伝えるのを 怖がって 悲しくて… 313 00:17:36,167 --> 00:17:37,634 だからごめん 先生 314 00:17:38,501 --> 00:17:40,367 この絵を巳弥に残してあげたい 315 00:17:41,334 --> 00:17:45,100 この絵に描かれているのは 間違いなく八坂様なんだ 316 00:17:46,400 --> 00:17:50,033 来ないと分かっている冬の並木に それでも会いたくて 317 00:17:50,400 --> 00:17:53,667 巳弥の姿を捜している八坂様の姿なんだ 318 00:17:56,501 --> 00:18:00,367 けれど 結局何の策も講じられないまま 319 00:18:00,834 --> 00:18:02,267 数日が過ぎた 320 00:18:03,567 --> 00:18:05,701 おほっ こほっ こほっ 321 00:18:06,367 --> 00:18:07,968 ふー ふー 322 00:18:08,033 --> 00:18:09,200 -ん… -ふー 323 00:18:09,367 --> 00:18:12,234 ふー ふー ふー 324 00:18:12,334 --> 00:18:15,634 ふー ふー ふー 325 00:18:15,834 --> 00:18:20,234 あ… はあ 塔子さんには 見えないのが救いだな 326 00:18:20,701 --> 00:18:21,834 アホが 327 00:18:23,400 --> 00:18:24,067 ん? 328 00:18:26,734 --> 00:18:27,501 は… 329 00:18:31,467 --> 00:18:34,534 もう決めた この絵を焼くよ 330 00:18:35,133 --> 00:18:35,767 巳弥… 331 00:18:36,467 --> 00:18:40,267 でもその前に この木を桜で満開にしたい 332 00:18:40,934 --> 00:18:43,267 あの人と出会った時のように 333 00:18:44,634 --> 00:18:45,968 手伝ってくれるかい? 334 00:18:47,067 --> 00:18:48,767 ん… うん 335 00:19:18,100 --> 00:19:18,801 できた 336 00:19:19,501 --> 00:19:20,434 あ… 337 00:19:29,234 --> 00:19:29,801 はあ… 338 00:19:29,868 --> 00:19:30,701 夏目! 339 00:19:33,567 --> 00:19:36,133 綺麗だね… 巳弥 340 00:19:36,367 --> 00:19:37,400 は… 341 00:19:37,934 --> 00:19:38,801 巳弥 342 00:19:39,434 --> 00:19:40,701 八坂様はね 343 00:19:41,868 --> 00:19:44,167 ありがとう… 夏目 344 00:19:45,767 --> 00:19:47,100 おやすみ 345 00:19:48,734 --> 00:19:50,667 おやすみ 346 00:19:54,200 --> 00:19:54,801 あ! 347 00:20:01,734 --> 00:20:05,267 そうか ここはあの絵の… 348 00:20:41,934 --> 00:20:42,968 目覚めると 349 00:20:43,567 --> 00:20:46,367 伸びきった枝も根も 描き込んだ桜も 350 00:20:46,934 --> 00:20:48,400 綺麗に消えていた 351 00:20:49,634 --> 00:20:51,000 絵をのぞいてみると 352 00:20:51,534 --> 00:20:54,834 もうどこにも八坂様の姿はなかった 353 00:20:57,334 --> 00:21:00,334 手をかけると 絵は簡単に外れた 354 00:21:02,634 --> 00:21:06,434 その日以来 巳弥はもう訪ねてこなかった 355 00:21:07,901 --> 00:21:08,534 巳弥 356 00:21:09,167 --> 00:21:13,634 いつしか この絵には あの人の心が宿ったのかもしれないね 357 00:21:14,701 --> 00:21:18,033 この絵が俺の力を吸い取って 枝を伸ばしたのは 358 00:21:18,667 --> 00:21:23,133 もう一度 きみに会うために 花を咲かせたかったからかも 359 00:21:24,801 --> 00:21:28,567 あの2人はまだ満開の桜に 埋まっているのだろうか? 360 00:21:29,467 --> 00:21:31,200 それとも絵から解放されて 361 00:21:31,734 --> 00:21:34,467 2人仲良く旅に出ただろうか 362 00:21:35,033 --> 00:21:36,267 貴志君ー! 363 00:21:36,334 --> 00:21:36,968 あ… 364 00:21:39,801 --> 00:21:41,567 あ! あ… 365 00:21:42,901 --> 00:21:43,534 あ… 366 00:21:44,801 --> 00:21:47,601 巳弥は本当のことを話せたかな? 367 00:21:47,701 --> 00:21:48,868 あ んー? 368 00:21:49,200 --> 00:21:51,167 なんか言ったか 夏目? 369 00:21:51,501 --> 00:21:54,501 いや 何でもないよ 先生 370 00:21:58,467 --> 00:21:59,400 あ… 371 00:21:59,968 --> 00:22:01,767 さようなら 巳弥 372 00:22:04,534 --> 00:22:07,067 花の季節に出会えた友人… 373 00:22:11,567 --> 00:22:18,400 ねぇ もう少しだけ もう少しだけ 374 00:22:18,634 --> 00:22:22,701 聞いていてほしい 375 00:22:24,334 --> 00:22:31,234 ねぇ もう少しだけ もう少しだけ 376 00:22:31,467 --> 00:22:35,334 わがままいいですか? 377 00:22:36,467 --> 00:22:43,267 手に入れた途端に消えてしまいそう 378 00:22:43,434 --> 00:22:47,868 言葉をくれませんか? 379 00:22:48,067 --> 00:22:54,067 あなたがいる それだけでもう 380 00:22:54,334 --> 00:23:01,434 世界が変わってしまう 381 00:23:02,400 --> 00:23:13,267 モノトーンの景色が ほら鮮やかに映る 382 00:23:13,634 --> 00:23:27,067 いつの間にか 離れていた手を つないで歩いてく 383 00:23:28,100 --> 00:23:39,634 上手く愛せているかなぁ あの空に聞いてみるの 384 00:23:41,667 --> 00:23:45,734 不思議な足跡を見た日から 家の中で怪現象が始まった 385 00:23:45,934 --> 00:23:48,067 小さい頃 同じようなことがあったよ 386 00:23:48,167 --> 00:23:49,100 滋さん 387 00:23:49,200 --> 00:23:51,801 でも あの人が来たら ぴたりとやんだ 388 00:23:51,901 --> 00:23:55,100 少し変わっていたけれど 美しい女の人だった