1 00:00:00,900 --> 00:00:20,920 ・~ 2 00:00:20,920 --> 00:00:40,940 ・~ 3 00:00:40,940 --> 00:01:00,890 ・~ 4 00:01:00,890 --> 00:01:20,910 ・~ 5 00:01:20,910 --> 00:01:34,930 ・~ 6 00:01:34,930 --> 00:01:49,930 ・~ 7 00:01:52,940 --> 00:01:55,950 (語り)<今を去る350年前> 8 00:01:55,950 --> 00:02:01,890 <肥後熊本54万石の太守 細川越中守忠利の家中に・ 9 00:02:01,890 --> 00:02:05,890 阿部弥一右衛門という侍がいた> 10 00:02:05,890 --> 00:02:07,890 <忠利の重恩を得て・ 11 00:02:07,890 --> 00:02:12,900 軽い身分から 1100石取りの 大身にまで出世したが・ 12 00:02:12,900 --> 00:02:16,900 その子供たちも また 島原の乱の軍功によって・ 13 00:02:16,900 --> 00:02:21,910 5人のうち3人までが 新知200石を拝領するという・ 14 00:02:21,910 --> 00:02:25,910 稀に見る恩恵に浴していた> 15 00:02:30,920 --> 00:02:33,920 <忠利は 突然 病に倒れた> 16 00:02:33,920 --> 00:02:37,920 <当時の細川藩記録によれば・ 17 00:02:37,920 --> 00:02:43,930 「御下血 御小便の詰まり 御舌の すくみ ただ事ならず・ 18 00:02:43,930 --> 00:02:50,940 医師衆 寄り合い お薬・お灸など さまざま手を尽くし申し候えども 19 00:02:50,940 --> 00:02:55,940 お熱冷めず ご膳も上がり申さず候」> 20 00:02:55,940 --> 00:03:00,880 (弥一右衛門) ご病気は いかにも ご重体のごと お見受け申しまするが 21 00:03:00,880 --> 00:03:05,880 神仏のご加護で 1日でん早よう ご全快あそばすごと・ 22 00:03:05,880 --> 00:03:08,890 ご祈願 申し上げておりまする 23 00:03:08,890 --> 00:03:14,890 そっでん 恐れながら 万一と申すことがござるます 24 00:03:14,890 --> 00:03:18,900 (弥一右衛門)そんときは どうか この弥一右衛門めに・ 25 00:03:18,900 --> 00:03:25,900 お供ば仰せつけられますよう 伏して お願いつかまつります 26 00:03:25,900 --> 00:03:30,900 何とぞ… 何とぞ お許しば… 27 00:03:32,910 --> 00:03:34,910 「ならん」て? 28 00:03:36,920 --> 00:03:39,920 殉死は ならんて 仰せられるっとですか? 29 00:03:39,920 --> 00:03:48,930 (忠利)志は うれしいが もはや戦乱の世ではない 30 00:03:48,930 --> 00:03:50,930 それに… 31 00:03:50,930 --> 00:03:59,870 殉死を願い出たるは そのほうだけではないのじゃ 32 00:03:59,870 --> 00:04:08,880 数馬 十次郎 市蔵 加兵衛親子 33 00:04:08,880 --> 00:04:15,890 更には この小小姓に至るまで十数名 34 00:04:15,890 --> 00:04:19,890 たってと願い出てまいったが… 35 00:04:19,890 --> 00:04:26,900 余は 誰ひとり許さなんだ 36 00:04:26,900 --> 00:04:31,900 どうぞ 生き長らえて… 37 00:04:31,900 --> 00:04:36,910 光尚に奉公してくれ 38 00:04:36,910 --> 00:04:38,910 上さま… 39 00:04:38,910 --> 00:04:44,920 小十郎 もそっと強く もめ (小十郎)はい 40 00:04:44,920 --> 00:04:47,920 ・(泣き声) 41 00:04:47,920 --> 00:04:56,930 ・~ 42 00:04:56,930 --> 00:04:59,860 (次左衛門) 権兵衛さま 大旦那さまが… 43 00:04:59,860 --> 00:05:10,880 ・~ 44 00:05:10,880 --> 00:05:14,880 (権兵衛)父上 どぎゃんでしたか? 45 00:05:14,880 --> 00:05:20,890 お許しは出てござりますか? 出らんじゃった 46 00:05:20,890 --> 00:05:25,890 光尚公に ご奉公ば してくれっちゅうお言葉たい 47 00:05:25,890 --> 00:05:30,900 ・~ 48 00:05:30,900 --> 00:05:34,900 <それから2日ののち 忠利は死んだ> 49 00:05:34,900 --> 00:05:40,910 <享年54歳 家中の侍たちは 一様に悲嘆に暮れたが・ 50 00:05:40,910 --> 00:05:45,910 翌朝 早くも 最初の殉死者が現れた> 51 00:05:45,910 --> 00:05:48,910 ・~ 52 00:05:48,910 --> 00:05:53,920 <小小姓・太田小十郎 同じく 内藤長十郎> 53 00:05:53,920 --> 00:05:57,920 <ともに 行年17歳> 54 00:05:57,920 --> 00:06:02,860 <更に 時を置かず 宗像加兵衛 同じく吉太夫> 55 00:06:02,860 --> 00:06:07,870 <原田十次郎 田中意徳・寺本八左衛門> 56 00:06:07,870 --> 00:06:13,870 <井原十三郎・本庄喜助らが 次々に あとに続いた> 57 00:06:13,870 --> 00:06:17,880 <いずれも 殉死を願い出て 許されなかった人々であるが・ 58 00:06:17,880 --> 00:06:22,880 ひたすら死に急ぐ彼らの前に 多くの家臣たちは目を伏せ・ 59 00:06:22,880 --> 00:06:26,890 こうべを垂れて 見送るのみであった> 60 00:06:26,890 --> 00:06:29,890 <こうして 僅か数日の間に・ 61 00:06:29,890 --> 00:06:33,890 18人もの侍が殉死したが・ 62 00:06:33,890 --> 00:06:37,900 最後の1人は お犬引き・津崎五助である> 63 00:06:37,900 --> 00:06:43,900 <軽い身分のために 上役たちは 殉死には及ばぬと止めたが・ 64 00:06:43,900 --> 00:06:47,910 五助は 忠利の愛犬を刺し殺した血刀で・ 65 00:06:47,910 --> 00:06:49,910 割腹して死んだ> 66 00:06:49,910 --> 00:06:56,920 <その辞世に いわく 「家老衆は 止まれ止まれと仰せあれど・ 67 00:06:56,920 --> 00:06:59,920 止めて止まらぬ この五助かな」> 68 00:07:01,850 --> 00:07:06,860 <それから ひと月余りたった4月28日> 69 00:07:06,860 --> 00:07:11,860 <春日村・岫雲院において 忠利の遺骸が荼毘に付された> 70 00:07:11,860 --> 00:07:15,870 <江戸から 下向した新藩主・光尚の命により・ 71 00:07:15,870 --> 00:07:21,870 腹心・林外記が 式の一切を執り行った> 72 00:07:21,870 --> 00:07:41,890 (読経) 73 00:07:41,890 --> 00:07:57,910 (読経) 74 00:07:57,910 --> 00:08:08,850 ・~ 75 00:08:08,850 --> 00:08:11,860 (家臣)あっ お鷹が離れた! 76 00:08:11,860 --> 00:08:14,860 (騒ぎ声) 77 00:08:14,860 --> 00:08:16,860 (家臣たち)アアッ… 78 00:08:16,860 --> 00:08:21,860 (騒ぎ声) 79 00:08:24,870 --> 00:08:26,870 アアッ! 80 00:08:30,880 --> 00:08:36,880 (騒ぎ声) 81 00:08:36,880 --> 00:08:50,900 ・~ 82 00:08:50,900 --> 00:08:53,900 (畑)疑う余地は なか 83 00:08:53,900 --> 00:08:58,900 あん2羽のお鷹は 亡き殿の ご寵愛深かった有明と明石ばい 84 00:08:58,900 --> 00:09:02,840 こりゃ正に殉死 殉死でござるたい 85 00:09:02,840 --> 00:09:06,840 (家臣)津崎五助の犬といい こん度のことといい 86 00:09:06,840 --> 00:09:10,850 鳥や獣においてでん 「忠義」のふた文字ば忘れとらん 87 00:09:10,850 --> 00:09:13,850 いや 見事なもんでござったい 88 00:09:13,850 --> 00:09:16,850 (家臣) そんに比べて 亡き上さまから・ 89 00:09:16,850 --> 00:09:19,860 人も羨むほどの お取り立てば受けときながら 90 00:09:19,860 --> 00:09:23,860 そん大恩も忘れち ぬくぬくと長らえとる者がおる 91 00:09:23,860 --> 00:09:26,860 (畑) いかさま 成り上がりは成り上がり 92 00:09:26,860 --> 00:09:28,870 生き恥っていうこつば ご存じなか 93 00:09:28,870 --> 00:09:33,870 ご存じなかとは 腹の切りようでござろうがい 94 00:09:33,870 --> 00:09:35,870 ・(笑い声) 95 00:09:35,870 --> 00:09:38,880 ・(家臣)お世継ぎ 光尚公から 殉死差し止めの令が出されちか 96 00:09:38,880 --> 00:09:41,880 そん御仁 さぞかし ほっとしとるこっちゃろうて 97 00:09:41,880 --> 00:09:45,880 (畑)さよう ようよこし そこさん逃げおおせち 98 00:09:45,880 --> 00:09:48,890 胸ば なで下ろしてござろうて (笑い声) 99 00:09:48,890 --> 00:09:51,890 ・(数馬)おやめなされい! 100 00:09:51,890 --> 00:09:55,890 (数馬)阿部どんが 殉死ば願い出て お許しのなかったこつは・ 101 00:09:55,890 --> 00:09:58,900 周知のこつではござらんか 102 00:09:58,900 --> 00:10:01,900 (数馬) いわれなき中傷は 聞き苦しか! 103 00:10:01,900 --> 00:10:05,900 (畑)いいや 竹内どの 我らは中傷したわけじゃなか 104 00:10:05,900 --> 00:10:08,910 己の考えば 申したまでじゃ! 105 00:10:08,910 --> 00:10:10,910 (野村) 確かに お許しは出らんじゃった 106 00:10:10,910 --> 00:10:12,910 ばってん そっぱ よかこつに・ 107 00:10:12,910 --> 00:10:15,910 のうのうとしとるとは どぎゃんかと! 108 00:10:15,910 --> 00:10:19,920 お許しもなく みだりに死ねば それは 犬死にでござろうもん 109 00:10:19,920 --> 00:10:22,920 ほんなら 刺し違えて 死んだお小姓たちは 犬死にな・ 110 00:10:22,920 --> 00:10:26,920 おうさ! 親子で 腹召された宗像どんをはじめ 111 00:10:26,920 --> 00:10:29,930 18名の殉死者は皆 犬死にな・ 112 00:10:29,930 --> 00:10:32,930 お手前方に それば言う資格は なか! 113 00:10:32,930 --> 00:10:39,940 お手前方ごときに なして殉死者の心が分かっとか! 114 00:10:39,940 --> 00:10:42,940 それがしには分かる 115 00:10:42,940 --> 00:10:47,950 過ぐる島原合戦の折 原城 乗っ取りの段になってか 116 00:10:47,950 --> 00:10:52,950 それがしは 「どうぞ お先手さん お遣わしくだされ」と 117 00:10:52,950 --> 00:10:55,950 亡き上さまに お願い申した 118 00:10:55,950 --> 00:10:59,890 まだ16歳であった それがしの 身ば ご案じ召されてか 119 00:10:59,890 --> 00:11:03,900 上さまは ようと お聞き入れに なんなはらんだったばってん 120 00:11:03,900 --> 00:11:05,900 しまいにゃ 腹ば立てられて 121 00:11:05,900 --> 00:11:10,900 「小せがれ 勝手に うせおれ」と叫ばれた 122 00:11:10,900 --> 00:11:13,910 「はっ」と言いざま 駆け出した それがしの背中に・ 123 00:11:13,910 --> 00:11:20,910 上さまは 「けがば すんなよ」って お声ば かけられたと 124 00:11:20,910 --> 00:11:23,920 そんお声は 今でん忘れん 125 00:11:23,920 --> 00:11:27,920 ・(数馬)じゃけん それがしも 真っ先に殉死ば願い出た 126 00:11:27,920 --> 00:11:33,930 ばってん お許しのなかったために こぎゃん生き残っとっとたい 127 00:11:33,930 --> 00:11:36,930 殉死者18名の心も… 128 00:11:36,930 --> 00:11:42,930 また 阿部どんの心も それがしには分かる よう分かる 129 00:11:42,930 --> 00:11:44,940 お手前方は どぎゃんか? 130 00:11:44,940 --> 00:11:47,940 ・(数馬)ええ? どぎゃんか・ 131 00:11:47,940 --> 00:12:01,890 ・~ 132 00:12:01,890 --> 00:12:03,890 (門弟)ヤーッ! 133 00:12:06,890 --> 00:12:09,890 (弥五兵衛)ヤーッ! 134 00:12:12,900 --> 00:12:15,900 ヤッ! (門弟)ウワッ! 135 00:12:15,900 --> 00:12:17,900 (弥五兵衛)次! 136 00:12:39,920 --> 00:12:41,920 (又七郎)ヤーッ! 137 00:12:54,940 --> 00:12:56,940 ヤーッ! 138 00:12:58,940 --> 00:13:01,940 (気合い声) 139 00:13:11,890 --> 00:13:13,890 ンンッ! 140 00:13:17,900 --> 00:13:21,900 七之丞! (七之丞)はい 兄上 141 00:13:21,900 --> 00:13:24,900 お前 不思議と思わんや? 142 00:13:24,900 --> 00:13:29,910 こん又七郎よか 俺のほうが背丈もある 腕も長か 143 00:13:29,910 --> 00:13:32,910 ばってん 幾度 やり合うても五分と五分 144 00:13:32,910 --> 00:13:35,910 どぎゃんわけじゃ? 知れたこったい 145 00:13:35,910 --> 00:13:39,920 ぬしゃ 無禄のやっかい者 俺は 城勤めの200石たい 146 00:13:39,920 --> 00:13:43,920 冷や飯と200石じゃ ふだんの心がけが違うと 147 00:13:43,920 --> 00:13:46,920 言うたな そいでは 真槍で勝負といくか? 148 00:13:46,920 --> 00:13:48,930 おう いつでん 受けて立つばい! 149 00:13:48,930 --> 00:13:50,930 (2人)おりゃ! (笑い声) 150 00:13:50,930 --> 00:13:54,930 ・(門弟)フン… せがれは 武芸達者かもしらんばってんが 151 00:13:54,930 --> 00:13:56,930 ・ あん親父どんな 言いなはったげな 152 00:13:56,930 --> 00:13:59,870 ・「殉死は嫌ばい 腹ば切ったら痛かけん」って 153 00:13:59,870 --> 00:14:02,870 (門弟)「痛かけん」は よかったばい (笑い声) 154 00:14:02,870 --> 00:14:07,880 ・(門弟)痛かけん切れんとなら 瓢箪に 油ば塗って切ればよかくさ 155 00:14:07,880 --> 00:14:09,880 (門弟)そりゃ どぎゃん意味な? 156 00:14:09,880 --> 00:14:12,880 (門弟)「扇子腹」っていうもんが あっども あっと一緒たい 157 00:14:12,880 --> 00:14:16,890 瓢箪ば 刀に見立てて 腹の皮ば なで回す 158 00:14:16,890 --> 00:14:20,890 すかさず 介錯が 首ば落とす そんなら 痛うなかろうもん 159 00:14:20,890 --> 00:14:23,900 ・(門弟)そりゃよか 扇子腹じゃのうて 瓢箪腹たい 160 00:14:23,900 --> 00:14:26,900 (笑い声) 161 00:14:26,900 --> 00:14:45,920 ・~ 162 00:14:45,920 --> 00:14:51,920 (吾平)お帰り~! 大旦那さまのお帰り~! 163 00:14:51,920 --> 00:15:07,920 ・~ 164 00:15:14,880 --> 00:15:18,880 権兵衛は帰っとるか? (キヌ)はい 先ほど 165 00:15:18,880 --> 00:15:21,890 弥五兵衛と七之丞は? 166 00:15:21,890 --> 00:15:26,890 槍のお稽古に出とりますばってん 程なく戻りましょう 167 00:15:26,890 --> 00:15:31,900 なら 市太夫と五太夫が家に 使いば出しちくれ 168 00:15:31,900 --> 00:15:35,900 みんなが そろうたとこっで ちいと話のあるけん 169 00:15:35,900 --> 00:15:37,900 (キヌ)はい… 170 00:15:37,900 --> 00:15:57,920 ・~ 171 00:15:57,920 --> 00:16:07,920 ・~ 172 00:16:13,900 --> 00:16:19,910 夜陰に呼びにやったところて みんな よう来てくれた 173 00:16:19,910 --> 00:16:21,910 家中一般の噂じゃっちゅうけん 174 00:16:21,910 --> 00:16:24,920 お前たちも 聞いたこつのあっじゃろう 175 00:16:24,920 --> 00:16:31,860 こん弥一右衛門な 死ぬこつも でけん卑怯者じゃそうな 176 00:16:31,860 --> 00:16:33,860 腹の切り道も分からんけん 177 00:16:33,860 --> 00:16:38,860 瓢箪に油ば塗って 切ればよかそうな 178 00:16:38,860 --> 00:16:40,870 ほっじゃけん 179 00:16:40,870 --> 00:16:46,870 俺は 今から 瓢箪に油ば塗って 腹ば切ろうち思う 180 00:16:46,870 --> 00:16:51,880 そぎゃん思うてか 集まってもろうた 181 00:16:51,880 --> 00:16:57,880 みんなで しっかり見届けてくれろ 182 00:16:57,880 --> 00:17:11,900 ・~ 183 00:17:11,900 --> 00:17:14,900 親父どん 184 00:17:14,900 --> 00:17:19,900 親父どんが死なれんじゃった訳は 俺だち兄弟 よう分かっとる 185 00:17:19,900 --> 00:17:22,910 言いたか奴には 言わせときなっせ 186 00:17:22,910 --> 00:17:25,910 目ん先しか 見えんごたる近目どもんば・ 187 00:17:25,910 --> 00:17:27,910 相手にすっこと なか 188 00:17:27,910 --> 00:17:32,850 いや 俺は やっぱ死ぬべきじゃった 189 00:17:32,850 --> 00:17:38,860 上さまが何ち仰せられてん 真っ先に腹ば切るべきじゃったつ 190 00:17:38,860 --> 00:17:42,860 世の中の変わっと 人も変わ 191 00:17:42,860 --> 00:17:46,860 お城ん中で 侍どもが寄り合うて 人の悪口ば言いよる 192 00:17:46,860 --> 00:17:51,870 あぎゃんこつば こん耳で 聞こうとは思わんじゃった 193 00:17:51,870 --> 00:17:56,870 俺は こぎゃん世の中に 生きておりとうはなか 194 00:17:56,870 --> 00:18:01,880 また 生き残るべき人間じゃ なかったとばい 195 00:18:01,880 --> 00:18:04,880 わがままば許しちくれ 196 00:18:07,890 --> 00:18:09,890 いやぁ 死ぬち決めたら 197 00:18:09,890 --> 00:18:13,890 俺が気持ちも ようよこし落ち着いた 198 00:18:13,890 --> 00:18:18,900 重か荷物ば 肩から下ろして くつろいだ気分じゃ 199 00:18:18,900 --> 00:18:21,900 フッ… よか気分ばい 200 00:18:21,900 --> 00:18:24,900 (市太夫)ばってん 親父どん お世継ぎ 光尚公からは・ 201 00:18:24,900 --> 00:18:27,910 殉死差し止めのお触れが 出とうます 202 00:18:27,910 --> 00:18:31,840 今んなってかんの殉死は その禁ば破るこつになんますが… 203 00:18:31,840 --> 00:18:36,850 なんの 既に 亡き殿さまのお申しつけば破って 204 00:18:36,850 --> 00:18:43,850 死ぬ覚悟ば決めた身じゃ 何のほどのこつも なかたい 205 00:18:43,850 --> 00:18:46,860 よかか 権兵衛 206 00:18:46,860 --> 00:18:51,860 俺が亡きあとは おぬしが 一族の頭領ばい 207 00:18:53,860 --> 00:18:59,860 皆ば しっかり束ねていけよ はっ! 208 00:19:05,880 --> 00:19:08,880 死なんはずの俺が死んだら 209 00:19:08,880 --> 00:19:11,880 お許しんなかった俺ん子じゃと いうて・ 210 00:19:11,880 --> 00:19:15,890 おぬしたちば 侮る者も おっじゃろう 211 00:19:15,890 --> 00:19:20,890 俺ん子に生まれたつは 運じゃ しかたんなかこつ 212 00:19:20,890 --> 00:19:28,900 恥ば受くるときは一緒に受けれ 兄弟げんかば すんなよ 213 00:19:28,900 --> 00:19:31,900 権兵衛の言うこつば よう聞いてか 214 00:19:31,900 --> 00:19:37,900 どぎゃんこつのあってん 心ば ひとつにしていけよ 215 00:19:39,910 --> 00:19:48,920 (七之丞の泣き声) 216 00:19:48,920 --> 00:19:56,920 さあ 俺は 瓢箪で腹ば切る そん前に ひと差しじゃ 217 00:20:04,940 --> 00:20:11,940 おお 来たか来たか ハハハハッ… 218 00:20:11,940 --> 00:20:17,950 じいさま得意の 『八島』ばい お前たちも よう見とれよ 219 00:20:17,950 --> 00:20:19,950 (方太郎・るり)はい 220 00:20:19,950 --> 00:20:28,960 ♪ 思いぞ出ずる壇ノ浦の 221 00:20:28,960 --> 00:20:34,900 ♪(息子たち)その船軍 今は早や 222 00:20:34,900 --> 00:20:41,910 ♪ その船軍 今は早や 223 00:20:41,910 --> 00:20:48,910 ♪ 閻浮に帰る生き死にの 224 00:20:48,910 --> 00:20:56,920 ♪ 海山一同に震動して 225 00:20:56,920 --> 00:21:02,930 ♪ 船よりは鬨の声 226 00:21:02,930 --> 00:21:09,930 ♪ 陸には波の盾 227 00:21:09,930 --> 00:21:13,940 ♪ 月に白むは 228 00:21:13,940 --> 00:21:16,940 ♪ 剣の光 229 00:21:16,940 --> 00:21:21,950 ♪ 潮に映るは 230 00:21:21,950 --> 00:21:30,890 ♪ 兜の 星の影 231 00:21:30,890 --> 00:21:42,900 ♪ 水や空々 行くもまた雲の波の 232 00:21:42,900 --> 00:21:52,910 ♪ 打ち合い 刺し違わる 船軍の駆け引き 233 00:21:52,910 --> 00:21:55,910 ・♪ 浮き沈むと… 234 00:21:55,910 --> 00:21:58,920 (たえ)もし あなた 千代が おやすみのご挨拶が… 235 00:21:58,920 --> 00:22:00,920 (又七郎)しっ! 236 00:22:00,920 --> 00:22:04,920 ・♪~ 237 00:22:04,920 --> 00:22:09,930 ♪ 敵と見えしは 群れいる かもめ 238 00:22:09,930 --> 00:22:14,930 ♪ 鬨の声と聞こえしは 239 00:22:14,930 --> 00:22:26,940 ♪ 浦風なりけり高松の 浦風なりけり高松の 240 00:22:26,940 --> 00:22:36,890 ♪ 朝嵐とぞ なりにける 241 00:22:36,890 --> 00:22:39,890 ♪ よ~っ! 242 00:22:43,890 --> 00:22:46,900 もうよか ゆっくり休め 243 00:22:46,900 --> 00:22:54,900 ・~ 244 00:23:07,920 --> 00:23:19,930 ・~ 245 00:23:19,930 --> 00:23:31,880 ・~ 246 00:23:31,880 --> 00:23:38,880 兄貴… 兄貴と市太夫 五太夫は 島原ん合戦で功名のあって 247 00:23:38,880 --> 00:23:43,890 既に200石ずつ ご知行ば もろうてお役に就いとる 248 00:23:43,890 --> 00:23:47,890 七之丞は元服前じゃけん 別じゃが 249 00:23:47,890 --> 00:23:51,900 俺は 持ち場が悪うして ご知行も もらえんで 250 00:23:51,900 --> 00:23:53,900 今まで 親父どんの すねっかじりじゃった 251 00:23:53,900 --> 00:23:58,900 じゃけん これかっは おぬしの やっかいになっじゃろう 252 00:23:58,900 --> 00:24:01,910 ばってん 何ごつが あってん 253 00:24:01,910 --> 00:24:06,910 おぬしん手の中に 確かな槍1本がある… 254 00:24:06,910 --> 00:24:08,910 そう思っとってくれ 255 00:24:08,910 --> 00:24:14,920 知れたこったい どぎゃんなるか知れんが 256 00:24:14,920 --> 00:24:19,920 お定めんとおりなら 親父どんが いただいとった1100石のご知行は 257 00:24:19,920 --> 00:24:22,930 俺が継ぐこつんなる 258 00:24:22,930 --> 00:24:29,930 俺が もらうっていうこつは おぬしが もらうも同じじゃ 259 00:24:31,870 --> 00:24:36,870 (五太夫)じゃが 気がかりなこつは 「今んなっての追い腹は・ 260 00:24:36,870 --> 00:24:40,880 殉死とは違う」なぞと言う奴が おっかもしれんこつじゃ 261 00:24:40,880 --> 00:24:44,880 (市太夫) いや おる… そら 目に見えとる 262 00:24:44,880 --> 00:24:48,890 どぎゃん目に遭うてん 相手にならんで 263 00:24:48,890 --> 00:24:55,890 兄弟 離れ離れにならんで 固まっていくばい 264 00:24:55,890 --> 00:24:57,900 うむ… 265 00:24:57,900 --> 00:24:59,900 (七之丞)兄さま方の そろうて おいでなさるけん 266 00:24:59,900 --> 00:25:04,900 父上の悪口は もう 誰も言われますまい 267 00:25:07,910 --> 00:25:10,910 (権兵衛) 父上がこつ お城にお届けの書状ば 268 00:25:10,910 --> 00:25:13,910 したためてまいります 269 00:25:26,920 --> 00:25:31,930 (光尚)またしても殉死か… これで何名に相なった? 270 00:25:31,930 --> 00:25:37,940 (佐渡守)19名にござりまする (光尚)19名か… 271 00:25:37,940 --> 00:25:42,940 (光尚)どう考えればよい? この殉死者の数の多さを 272 00:25:42,940 --> 00:25:48,950 (佐渡守)故殿さまのご人徳 祝着至極に存じまする 273 00:25:48,950 --> 00:25:51,950 (たたきつける音) (光尚)じゃが そのようなことで 274 00:25:51,950 --> 00:25:54,950 わしは 父上に代わって この国を治めていけようか? 275 00:25:54,950 --> 00:25:58,960 わしは 父上のように 戦場に出たこともない 276 00:25:58,960 --> 00:26:01,890 家臣どもと 生き死にを共にしたことがない 277 00:26:01,890 --> 00:26:03,890 (佐渡守) それは ご心配には及びますまい 278 00:26:03,890 --> 00:26:07,900 徳川の御代も 既に3代将軍ば いただき 279 00:26:07,900 --> 00:26:10,900 そん天下は 盤石の重きば なしております 280 00:26:10,900 --> 00:26:15,910 されば おのずから治世の仕切りも 変わらねばなりまっせん 281 00:26:15,910 --> 00:26:19,910 では どうする? この19名の殉死者の始末 282 00:26:19,910 --> 00:26:22,910 殊に 問題は最後の1人 283 00:26:22,910 --> 00:26:28,920 余じきじきの殉死差し止めの命に 背いた阿部弥一右衛門ぞ 284 00:26:28,920 --> 00:26:30,920 どうする? 佐渡 285 00:26:30,920 --> 00:26:33,920 (光尚)弥一右衛門がことも 笑うて済ますか? 286 00:26:33,920 --> 00:26:37,920 それでよいのか・ (佐渡守)ははっ… 287 00:26:40,930 --> 00:26:44,940 外記 そのほうの考えは どうじゃ? 288 00:26:44,940 --> 00:26:47,940 (外記)恐れながら それがしは・ 289 00:26:47,940 --> 00:26:50,940 全て平穏に 扱うがよろしかろうと存じまする 290 00:26:50,940 --> 00:26:52,940 (佐渡守)「平穏に」とは? 291 00:26:52,940 --> 00:26:57,950 殉死者は 全て一様に 跡式を安堵し 嫡子なき遺族には・ 292 00:26:57,950 --> 00:27:01,890 相応の扶持を与えるが よろしかろうと存じまする 293 00:27:01,890 --> 00:27:05,890 なぜじゃ? (外記)人心掌握のため 294 00:27:05,890 --> 00:27:10,890 (監物)人心掌握? (外記)ご家老衆の申されたごとく 295 00:27:10,890 --> 00:27:13,900 我が藩には いまだ 先君を慕う者 296 00:27:13,900 --> 00:27:17,900 昔ながらの侍ぶりを喜ぶ者が 数多く おりまする 297 00:27:17,900 --> 00:27:20,900 もしも 厳しき処断を下されたならば 298 00:27:20,900 --> 00:27:22,910 その者たちばかりでなく 299 00:27:22,910 --> 00:27:26,910 藩士全体の心が 上さまから離れましょう 300 00:27:26,910 --> 00:27:31,920 ここは ひとつ 大いなる度量を示されて 301 00:27:31,920 --> 00:27:37,920 「慈悲深き殿よ 名君よ」との衆望を 得ることこそ肝要でござりまする 302 00:27:37,920 --> 00:27:42,930 しかし 阿部は どうじゃ? わしの命に背いた弥一右衛門まで 303 00:27:42,930 --> 00:27:45,930 ほかの者と一様に扱うては 示しがつくまい 304 00:27:45,930 --> 00:27:51,940 いかにも そこは難しきところ 厳しすぎては反発を買い・ 305 00:27:51,940 --> 00:27:56,940 手ぬるうては 上さまへの侮りを生みまする 306 00:27:56,940 --> 00:28:01,880 行き届いた細やかなる対応が 必要かと… 307 00:28:01,880 --> 00:28:07,880 細やかなる対応? (外記)はい 308 00:28:19,900 --> 00:28:21,900 (外記)殉死者ご遺族の方々に・ 309 00:28:21,900 --> 00:28:26,900 跡目相続についての お上のご処置を申し上げる 310 00:28:30,910 --> 00:28:34,910 「寺本八左衛門 嫡子 杢之助」 311 00:28:34,910 --> 00:28:39,920 「本知1000石を安堵 跡式相続 差し許され候こと」 312 00:28:39,920 --> 00:28:41,920 「宗像加兵衛 妻 しげ」 313 00:28:41,920 --> 00:28:47,920 「養子縁組み 相整うまで 2人扶持10石 下しおかれ候こと」 314 00:28:47,920 --> 00:28:54,930 「阿部弥一右衛門 嫡子 権兵衛 3男 市太夫 4男 五太夫」 315 00:28:54,930 --> 00:28:58,930 「本地1100石 安堵下され候こと」 316 00:29:00,940 --> 00:29:02,940 「ただし」… 317 00:29:02,940 --> 00:29:22,960 ・~ 318 00:29:22,960 --> 00:29:36,970 ・~ 319 00:29:36,970 --> 00:29:40,970 ・(戸の開く音) ・(女中たち)おかえりなはいませ 320 00:29:44,980 --> 00:29:50,990 兄貴… 市太夫 五太夫も そろうて 何の支度ですか? 321 00:29:50,990 --> 00:29:52,990 まあ 座れ 322 00:29:55,990 --> 00:29:59,930 祝い酒たい おぬしたち2人のな 323 00:29:59,930 --> 00:30:03,930 祝い酒? そうたい 324 00:30:03,930 --> 00:30:06,940 おぬしたちな もう やっかい者じゃなかぞ 325 00:30:06,940 --> 00:30:08,940 立派に一人前ばい 326 00:30:08,940 --> 00:30:12,940 いち さあ ついでやれ 腹いっぱい飲ませてやれ 327 00:30:12,940 --> 00:30:19,950 (笑い声) 328 00:30:19,950 --> 00:30:21,950 お城で 何か あったつですか? 329 00:30:21,950 --> 00:30:25,960 うむ… 本日 お呼び出しのあってな 330 00:30:25,960 --> 00:30:28,960 おぬしは 新知200石 331 00:30:28,960 --> 00:30:31,960 市太夫 五太夫は 今までんとおり200石 332 00:30:31,960 --> 00:30:34,970 七之丞は 元服前じゃけん 10人扶持じゃが 333 00:30:34,970 --> 00:30:37,970 元服すっと 200石にすっていうお達しじゃ 334 00:30:37,970 --> 00:30:41,970 そっで 兄貴は? 335 00:30:41,970 --> 00:30:46,980 俺も 今までん200石から 100石増えて300石じゃ 336 00:30:46,980 --> 00:30:50,980 めでたかこったい おう めでたか めでたか 337 00:30:50,980 --> 00:30:53,980 そっじゃ 父上が いただいとった 1100石のご知行は? 338 00:30:53,980 --> 00:30:57,990 じゃけん 兄弟合わすっと そん知行高んなる 339 00:30:57,990 --> 00:31:01,930 俺が300石で あとん4人が 200石ずつになっけん・ 340 00:31:01,930 --> 00:31:05,930 計800石… 全部で1100石じゃろう? 341 00:31:05,930 --> 00:31:08,930 冗談じゃなかばい 親父どんが1100石は・ 342 00:31:08,930 --> 00:31:12,940 ご定法どおり 兄貴1人が 相続するもんじゃろうがい 343 00:31:12,940 --> 00:31:18,940 そっが筋たい! ほかの 200石 300石は関係なかどもん 344 00:31:18,940 --> 00:31:22,950 俺は こん祝い酒は飲まれまっせん 345 00:31:22,950 --> 00:31:25,950 頭領の兄貴が300石じゃ 俺たちと変わらん 346 00:31:25,950 --> 00:31:29,950 兄弟5人 どんぐりの背比べたい 347 00:31:29,950 --> 00:31:32,960 なんで こぎゃんこつになったつか ええ・ 348 00:31:32,960 --> 00:31:34,960 親父どんが 許されん殉死ば したせいな・ 349 00:31:34,960 --> 00:31:36,960 (おいち)弥五兵衛さま 言え 兄貴! 350 00:31:36,960 --> 00:31:39,960 言うちくれ! 弥五兵衛さま! 351 00:31:41,970 --> 00:31:46,970 盃ば 取ってくだはりまっせ 352 00:31:46,970 --> 00:31:52,980 200石取りになったこつば 祝うてやるて言いよんなさります 353 00:31:52,980 --> 00:31:57,980 そんお心ば 受けてくだはりまっせ 354 00:32:10,930 --> 00:32:15,930 (権兵衛)もうよかばい 弥五兵衛 355 00:32:15,930 --> 00:32:19,940 (権兵衛) 飲みとうなかなら 飲まんでよか 356 00:32:19,940 --> 00:32:25,940 おぬしの言うたとおり 家の格は ずんと落ちた 357 00:32:25,940 --> 00:32:31,940 これかっは 上の扱いも違うてくる 358 00:32:34,950 --> 00:32:36,950 (盃を放る音) 359 00:32:38,960 --> 00:32:42,960 足軽 中間 小者どもも 今の人数は要らん 360 00:32:42,960 --> 00:32:45,960 半分以下でよか 361 00:32:45,960 --> 00:32:50,970 300石に ふさわしかごつ ヘヘッ… 362 00:32:50,970 --> 00:32:55,970 今の俺のぶんざいには 荷の重か… 363 00:33:02,910 --> 00:33:07,920 (又七郎)親父どのの知行が 分割されたつは俺も聞いた 364 00:33:07,920 --> 00:33:13,920 言いにくかばってん やっぱ 処罰の意味の あっとじゃろうな 365 00:33:13,920 --> 00:33:18,930 ほかん殉死者の遺族には そぎゃん例な なか 366 00:33:18,930 --> 00:33:21,930 やっぱ 親父どのが・ 367 00:33:21,930 --> 00:33:24,930 差し止めのお触れに背いたこつが たたったっじゃろう 368 00:33:24,930 --> 00:33:27,940 先君から お許しが 出らんじゃったこつは皆同じたい 369 00:33:27,940 --> 00:33:31,880 親父は むしろ 先君のお言葉ば守ったけんがこそ 370 00:33:31,880 --> 00:33:35,880 死に遅れただけじゃ そうじゃろうが? ああ… 371 00:33:35,880 --> 00:33:39,880 親父ん死は 誰が何ちゅうたっちゃ 立派な殉死たい 372 00:33:39,880 --> 00:33:42,890 なんで処罰ば受けなならん? 373 00:33:42,890 --> 00:33:44,890 上さまには なんで そっが分からんとか… 374 00:33:44,890 --> 00:33:49,890 おい 弥五 上さまじゃなかぞ うん? 375 00:33:49,890 --> 00:33:55,900 こん度の差配は 大目付の林外記ていう男ばい 376 00:33:55,900 --> 00:33:59,900 光尚公の部屋住みんころからの 中小姓でな 377 00:33:59,900 --> 00:34:05,910 光尚公が お世継ぎと決まった今 にわかに頭角ば現したと 378 00:34:05,910 --> 00:34:07,910 小才覚は あるばってん 379 00:34:07,910 --> 00:34:10,910 大局ば 見るには及ばんところが あっとぞ 380 00:34:10,910 --> 00:34:14,920 そぎゃん男ば 側近くに重用されたんも・ 381 00:34:14,920 --> 00:34:18,920 結局は 上さまの罪じゃろうがい おい 弥五兵衛 382 00:34:18,920 --> 00:34:23,930 ぬしは もはや 今までんごたる 冷や飯食いじゃなか 383 00:34:23,930 --> 00:34:26,930 上さまから 200石ば ちょうだいする身ばい 384 00:34:26,930 --> 00:34:29,930 物言いや振る舞いに 気ば つけな 385 00:34:31,870 --> 00:34:35,870 そぎゃん言うてもたい 386 00:34:35,870 --> 00:34:40,880 時代が 妙に気色悪う 変わっていきよるとも確かばい 387 00:34:40,880 --> 00:34:44,880 じゃけん 外記のごたる男が のし上がってくる 388 00:34:44,880 --> 00:34:50,890 そん被害の いちばんが 阿部一族たい 389 00:34:50,890 --> 00:34:58,900 ・~ 390 00:34:58,900 --> 00:35:03,900 (そろばんの音) 391 00:35:03,900 --> 00:35:21,920 ・~ 392 00:35:21,920 --> 00:35:26,920 権兵衛兄さんの なさるこつ 俺には いっちょん分かりまっせん 393 00:35:26,920 --> 00:35:29,860 いかに格式が落ちたとはいうてん 394 00:35:29,860 --> 00:35:34,860 奉公人が半数以上 辞めてった今 更に道具類まで… 395 00:35:34,860 --> 00:35:38,870 なんも ここまで なさるこつは なかて思うとですが 396 00:35:38,870 --> 00:35:43,870 ・(そろばんの音) 397 00:35:43,870 --> 00:35:54,880 ・~ 398 00:35:54,880 --> 00:36:05,900 ・~ 399 00:36:05,900 --> 00:36:07,900 <そして 1年後> 400 00:36:07,900 --> 00:36:12,900 <寛永19年3月19日 向陽院において・ 401 00:36:12,900 --> 00:36:19,910 先代の忠利 および殉死者19名の 1周忌法要が執り行われた> 402 00:36:19,910 --> 00:36:39,860 (読経) 403 00:36:39,860 --> 00:36:59,880 (読経) 404 00:36:59,880 --> 00:37:19,900 (読経) 405 00:37:19,900 --> 00:37:39,860 (読経) 406 00:37:39,860 --> 00:37:51,870 (読経) 407 00:37:51,870 --> 00:38:04,880 (読経) 408 00:38:04,880 --> 00:38:24,900 ・~ 409 00:38:24,900 --> 00:38:36,910 ・~ 410 00:38:36,910 --> 00:38:38,920 兄貴! 411 00:38:38,920 --> 00:38:45,920 ・~ 412 00:38:45,920 --> 00:38:47,920 (高見)阿部どん! (家臣)待たれい! 413 00:38:47,920 --> 00:38:49,930 (高見)お待ちなされ! 414 00:38:49,930 --> 00:38:54,930 (家臣たち)お待ちなされ! (家臣)権兵衛どん お待ちなされ! 415 00:38:54,930 --> 00:38:57,930 (家臣) お目付の方々 お出合い召され! 416 00:38:57,930 --> 00:39:00,940 阿部権兵衛どんが 乱心でござたい! 417 00:39:00,940 --> 00:39:04,940 お出合い召され お出合い召され! 418 00:39:21,960 --> 00:39:24,960 (外記) 乱心の沙汰 委細 申し述べたか? 419 00:39:24,960 --> 00:39:29,900 (畑)いや そっが まだ… (権兵衛)乱心じゃなか! 420 00:39:29,900 --> 00:39:34,900 (外記) ほう… 先君1周忌のご大礼の折柄 421 00:39:34,900 --> 00:39:37,910 しかも 上さまのご面前での わけの分からぬ振る舞い 422 00:39:37,910 --> 00:39:40,910 それが乱心ではないと申すのか? (権兵衛)乱心じゃなか 423 00:39:40,910 --> 00:39:44,910 熟慮の末 ほかに道なしと思うたからこそ 424 00:39:44,910 --> 00:39:49,920 この挙に及び申した (外記)何ゆえに? 425 00:39:49,920 --> 00:39:55,930 我が父 弥一右衛門は 一生 瑕瑾の中 ご奉公ば したればこそ 426 00:39:55,930 --> 00:39:58,930 お差し止めの禁ば破って 切腹しても 427 00:39:58,930 --> 00:40:01,930 殉死者のお仲間入りば 許されたものと存ずる 428 00:40:01,930 --> 00:40:03,930 ばってん お上には… 429 00:40:03,930 --> 00:40:09,940 この権兵衛には 父同様のご奉公が かなわずと おぼし召されてか 430 00:40:09,940 --> 00:40:13,940 ご知行ば割って 弟どもに お遣わしくだされた 431 00:40:13,940 --> 00:40:16,950 それがしは 先君にも ご当代にも 432 00:40:16,950 --> 00:40:21,950 亡き父にも 一族の者どもにも 朋輩にも 面目の立ち申さん! 433 00:40:21,950 --> 00:40:24,950 それゆえ 今日… 434 00:40:24,950 --> 00:40:27,960 亡き上さまのご霊牌に対し 身の不徳ば わび 435 00:40:27,960 --> 00:40:32,900 併せて 武士たる身分ば捨てようて思うて 436 00:40:32,900 --> 00:40:40,900 髻ば 切り落とした次第 (外記)武士を捨てる? 437 00:40:40,900 --> 00:40:44,910 誰のお許しを得て さようなことが言えるのだ・ 438 00:40:44,910 --> 00:40:47,910 いやしくも 御身の体は 上さまに ささげたものであろう 439 00:40:47,910 --> 00:40:50,910 それを 何のお許しもなく 440 00:40:50,910 --> 00:40:55,920 しかも ご法要の行われる公の場で 面当てがましく 髻を切れば 441 00:40:55,920 --> 00:40:57,920 それで 武士を捨てたことに なるとでも申すのか・ 442 00:40:57,920 --> 00:41:00,920 お場所柄ば顧みざる おとがめは 甘んじて お受け申す 443 00:41:00,920 --> 00:41:03,920 それでは答えにならん! 444 00:41:11,930 --> 00:41:17,940 聞くが そのほうの今日の決心は 一族の者 皆 知っておったのか? 445 00:41:17,940 --> 00:41:21,940 それがし1人の考えでござるけん 誰も知りまっせん 446 00:41:21,940 --> 00:41:26,940 しかし ご知行分割の処置には 皆が不満を持っておったのだな? 447 00:41:28,950 --> 00:41:30,950 どうだ? 448 00:41:32,890 --> 00:41:35,890 ええい 阿部どん ご返答召され! 449 00:41:37,890 --> 00:41:42,900 そのほうごときには分かるまいが ご知行分割は・ 450 00:41:42,900 --> 00:41:46,900 今 そのほうが申したような 意味合いによるものではない 451 00:41:46,900 --> 00:41:49,900 お上における せめてものご配慮じゃ 452 00:41:51,910 --> 00:41:54,910 弥一右衛門どのは 禁を破って死んだのじゃから 453 00:41:54,910 --> 00:41:59,920 本来ならば 真の殉死者の方々との 間には 境界を置かずばなるまい 454 00:41:59,920 --> 00:42:03,920 しかしながら 死者に対して その処置は不憫と・ 455 00:42:03,920 --> 00:42:06,920 上さまが仰せられてな 代わりに・ 456 00:42:06,920 --> 00:42:10,930 それがしが献じた知行分割の策を 入れられたのじゃ 457 00:42:10,930 --> 00:42:15,930 分割と申しても もともとの知行が 減ったわけではない 458 00:42:15,930 --> 00:42:18,940 不満を持つのは心得違いであろう 459 00:42:18,940 --> 00:42:23,940 (権兵衛の笑い声) 460 00:42:23,940 --> 00:42:30,880 なるほど 知行分割の愚策は お手前の裁量でござったな 461 00:42:30,880 --> 00:42:32,880 なに・ 462 00:42:32,880 --> 00:42:35,890 上さまの御伽衆からの 持ち上がりと 漏れ承ったが 463 00:42:35,890 --> 00:42:38,890 なるほど 上さまに取り入る術は 巧みでん 464 00:42:38,890 --> 00:42:41,890 侍の面目 武士の意地っちゅうもんな・ 465 00:42:41,890 --> 00:42:44,890 全く ご存じなかごたるですな ハハハハッ! 466 00:42:44,890 --> 00:42:46,900 無礼者! (笑い声) 467 00:42:46,900 --> 00:42:50,900 直ちに入牢を申しつける! (家臣たち)はっ! 468 00:42:50,900 --> 00:42:53,900 (笑い声) (畑)それ! 469 00:42:53,900 --> 00:42:55,910 (笑い声) 470 00:42:55,910 --> 00:42:57,910 (光尚)なに・ 471 00:42:57,910 --> 00:43:00,910 阿部の せがれめが侍を捨てたと? (外記)ははっ! 472 00:43:00,910 --> 00:43:02,910 それは 余の家臣であることを 捨てたという意味か? 473 00:43:02,910 --> 00:43:05,920 そう申しておるのか・ (外記)御意 474 00:43:05,920 --> 00:43:09,920 明らかに お上のご裁定に対しての 抗議の振る舞いでござりまする 475 00:43:09,920 --> 00:43:13,920 わしに抗議? (外記)誠にもって不埒千万 476 00:43:13,920 --> 00:43:16,930 家臣の身でありながら 上さまを侮る不届き者 477 00:43:16,930 --> 00:43:21,930 実に 驚き入りましてござりまする 478 00:43:21,930 --> 00:43:25,940 しかしながら かくのごとき仕儀に 立ち至ったるも 479 00:43:25,940 --> 00:43:27,940 それがしの献策がもと 480 00:43:27,940 --> 00:43:30,870 その責めは それがしも 共に受けねばなりません 481 00:43:30,870 --> 00:43:33,880 切腹なりと お手討ちなりと 482 00:43:33,880 --> 00:43:36,880 ご得心のいきますよう ご処断くださりませ 483 00:43:36,880 --> 00:43:40,880 何を申す! そちに落ち度はない 責めを受けることはない 484 00:43:40,880 --> 00:43:43,890 (佐渡守)外記どの なんで お手前に非があろうか 485 00:43:43,890 --> 00:43:45,890 たとえ かの献策ば なしたとしても 486 00:43:45,890 --> 00:43:47,890 そっば入れたるは 我らじゃ 487 00:43:47,890 --> 00:43:50,890 お手前が切腹となれば 我らとて 生きてはおられん 488 00:43:50,890 --> 00:43:55,900 上さま 阿部権兵衛がこと いかが取り計らいましょうや? 489 00:43:55,900 --> 00:44:00,900 上さまご自身のお考えば お示しくださりませ 490 00:44:05,910 --> 00:44:07,910 よかろう 491 00:44:07,910 --> 00:44:11,910 侍を捨てたと申す奴… 492 00:44:11,910 --> 00:44:16,920 それなれば そのように取り計ろうてくれよう 493 00:44:16,920 --> 00:44:36,870 ・~ 494 00:44:36,870 --> 00:44:50,890 ・~ 495 00:44:50,890 --> 00:45:04,900 ・~ 496 00:45:04,900 --> 00:45:08,900 (五太夫)死罪は免れんじゃろうな (市太夫)うむ… 497 00:45:08,900 --> 00:45:13,910 先代のご位牌に対して 不敬なこつば あえて した 498 00:45:13,910 --> 00:45:17,910 お上ば恐れぬ所業じゃけんな 499 00:45:17,910 --> 00:45:21,920 (五太夫)七之丞も兄貴も 一緒に暮らしておってから 500 00:45:21,920 --> 00:45:25,920 何も気づかんじゃったとな? 権兵衛兄貴の様子に 501 00:45:25,920 --> 00:45:29,860 はい… (泣き声) 502 00:45:29,860 --> 00:45:34,860 (市太夫)権兵衛兄貴は 腹の底ば 明かさんお人じゃろうがい 503 00:45:34,860 --> 00:45:39,870 殊に 抱えとる問題が 太ければ太かほどな 504 00:45:39,870 --> 00:45:42,870 (五太夫) 権兵衛兄貴が死罪じゃとなったら 505 00:45:42,870 --> 00:45:45,880 俺たちとて ただじゃ済まん 506 00:45:45,880 --> 00:45:47,880 知行は お召し上げ 507 00:45:47,880 --> 00:45:51,880 家は断絶っちゅうこつに なっかもしれんばい 508 00:45:51,880 --> 00:45:54,880 ほんなこつ 権兵衛兄貴な・ 509 00:45:54,880 --> 00:45:57,890 なんちゅうこつば してくれたとじゃろう 510 00:45:57,890 --> 00:46:02,890 ひと言ん相談もなし 後先も考えんで 511 00:46:02,890 --> 00:46:04,890 兄貴の悪口ば言うな! 512 00:46:04,890 --> 00:46:06,900 親父どんな 言い置かれたじゃなかか 513 00:46:06,900 --> 00:46:08,900 恥ば受くるときは一緒に受けれ 514 00:46:08,900 --> 00:46:11,900 何こつがあってん 兄弟 別れ別れになんなて 515 00:46:11,900 --> 00:46:15,900 それは こんときんこつぞ 516 00:46:47,870 --> 00:46:49,870 ・ 義姉上 517 00:46:52,880 --> 00:46:58,880 過日の祝い酒 こん弥五兵衛が 飲まんじゃったこつ 518 00:46:58,880 --> 00:47:03,890 返す返すも申し訳ござるまっせん 519 00:47:03,890 --> 00:47:07,890 あんときん 兄貴の心底も 520 00:47:07,890 --> 00:47:12,900 そっば思いやる義姉上の お気持ちも分からんで 521 00:47:12,900 --> 00:47:16,900 ただただ 血気に はやって… 522 00:47:16,900 --> 00:47:24,910 もしも 義姉上ん言われたごつ あん酒ば飲んどったら 523 00:47:24,910 --> 00:47:31,850 少なくとも 今日んごたるこつは… 524 00:47:31,850 --> 00:47:38,850 そっば思うと 弥五兵衛 断腸の思いでござるます 525 00:47:38,850 --> 00:47:57,870 ・~ 526 00:47:57,870 --> 00:48:02,880 (キヌ) もう遅かけん お休みなはいまっせ 527 00:48:02,880 --> 00:48:22,900 ・~ 528 00:48:22,900 --> 00:48:34,910 ・~ 529 00:48:34,910 --> 00:48:46,920 (泣き声) 530 00:48:46,920 --> 00:48:52,930 ・(泣き声) 531 00:48:52,930 --> 00:49:05,930 ・~ 532 00:49:15,920 --> 00:49:18,920 (七之丞)兄上! 兄上! 533 00:49:20,920 --> 00:49:24,930 たった今 権兵衛兄さまへの ご沙汰が… ご沙汰が下されました 534 00:49:24,930 --> 00:49:26,930 どぎゃんしただ・ やはり死罪 535 00:49:26,930 --> 00:49:29,930 しかも しかも… しかも… (泣き声) 536 00:49:29,930 --> 00:49:32,940 どぎゃんした? どぎゃんした・ 七之丞 七之丞! 537 00:49:32,940 --> 00:49:34,940 (たたく音) どぎゃんした・ 538 00:49:34,940 --> 00:49:36,940 打ち首の極刑にござるます! 539 00:49:36,940 --> 00:49:38,940 打ち首・ (市太夫)打ち首てか? 540 00:49:38,940 --> 00:49:41,940 (五太夫) なしてじゃ! なして そぎゃん・ 541 00:49:41,940 --> 00:49:44,950 「侍ば捨てた」て 兄上が… 542 00:49:44,950 --> 00:49:48,950 そんならば そぎゃんごつ 侍でもなか者に切腹はならんと・ 543 00:49:48,950 --> 00:49:53,960 上さまが… 上さまが そぎゃん 仰せられたそうにござるます 544 00:49:53,960 --> 00:50:01,900 (七之丞の泣き声) 545 00:50:01,900 --> 00:50:21,920 ・~ 546 00:50:21,920 --> 00:50:41,940 ・~ 547 00:50:41,940 --> 00:50:43,940 (役人)下りれ! 548 00:50:43,940 --> 00:50:54,950 ・~ 549 00:50:54,950 --> 00:50:56,950 (役人)座れ! 550 00:50:56,950 --> 00:51:13,900 ・~ 551 00:51:13,900 --> 00:51:17,910 ンンッ… 斬れ! 斬れ! (役人)はっ! 552 00:51:17,910 --> 00:51:20,910 ・ 斬り捨てい! (役人たち)へ… へい 553 00:51:20,910 --> 00:51:22,910 (役人)おのれ… 554 00:51:24,910 --> 00:51:26,920 (権兵衛)騒ぐな! 555 00:51:26,920 --> 00:51:33,920 ・~ 556 00:51:33,920 --> 00:51:35,920 やれ 557 00:51:37,930 --> 00:51:39,930 (斬る音) 558 00:51:48,940 --> 00:51:51,940 ・(物音) 559 00:52:04,890 --> 00:52:08,890 (火打ち石の音) 560 00:52:08,890 --> 00:52:16,900 ・(火打ち石の音) 561 00:52:16,900 --> 00:52:36,920 ・~ 562 00:52:36,920 --> 00:52:50,930 ・~ 563 00:52:50,930 --> 00:53:03,880 ・~ 564 00:53:03,880 --> 00:53:08,880 おっ母さま 義姉上 これから 兄貴のお迎えさん 行ってき申す 565 00:53:08,880 --> 00:53:15,890 ・~ 566 00:53:15,890 --> 00:53:17,890 ハアッ! 567 00:53:17,890 --> 00:53:26,900 ・~ 568 00:53:26,900 --> 00:53:30,900 どけどけ どけどけ! どかんか! 569 00:53:33,910 --> 00:53:39,920 阿部一族! 長兄 権兵衛が首 ちょうだいにまいった! 570 00:53:39,920 --> 00:53:51,930 ・~ 571 00:53:51,930 --> 00:53:53,930 (斬る音) 572 00:53:53,930 --> 00:53:56,930 兄上! 573 00:53:56,930 --> 00:53:58,930 うりゃ! 574 00:53:58,930 --> 00:54:03,870 ・~ 575 00:54:03,870 --> 00:54:07,880 なに・ 阿部家の兄弟どもが 井手の口の刑場へ? 576 00:54:07,880 --> 00:54:09,880 はっ! 4頭の馬にて押し込み 577 00:54:09,880 --> 00:54:13,880 さらし置きました権兵衛の首ば 持ち去ってござるます 578 00:54:13,880 --> 00:54:18,890 おのれ… 血迷うたか 阿部一族 579 00:54:18,890 --> 00:54:22,890 そのほうら 直ちに 阿部家の周囲を固めて 動静を探れ 580 00:54:22,890 --> 00:54:24,890 はっ! 581 00:54:24,890 --> 00:54:33,900 ・~ 582 00:54:33,900 --> 00:54:35,900 (供侍)奥さま さあ! 583 00:54:35,900 --> 00:54:51,900 ・~ 584 00:55:31,890 --> 00:55:35,900 (外記)横目の報告によれば 阿部家兄弟4人の者ども・ 585 00:55:35,900 --> 00:55:40,900 一族郎党を引き連れ 山崎の本邸に立てこもったる由 586 00:55:40,900 --> 00:55:44,910 上さま 聞こし召されて いたく ご立腹 587 00:55:44,910 --> 00:55:50,910 直ちに 討っ手を差し向け 誅伐せよとの ご下知を下された 588 00:55:50,910 --> 00:55:53,920 討っ手のお名前 申し上げる 589 00:55:53,920 --> 00:56:00,860 表門総大将 側者頭 竹内数馬どの 590 00:56:00,860 --> 00:56:06,860 裏門大将 側者頭 高見権右衛門どの 591 00:56:06,860 --> 00:56:10,860 戦目付 畑十太夫どの 592 00:56:14,870 --> 00:56:16,870 ・(高見)畑氏 593 00:56:16,870 --> 00:56:21,880 討っ手の役ば仰せつかるとは お互いに冥加至極のことじゃ 594 00:56:21,880 --> 00:56:25,880 御身も十分 お手柄ば なされい ハハハハッ… 595 00:56:28,880 --> 00:56:30,890 ・(佐渡守)竹内どの 596 00:56:30,890 --> 00:56:33,890 林どのも なかなかに 行き届いた配慮ば さるる 597 00:56:33,890 --> 00:56:36,890 おぬしに 表門の采配を振らするとはのぅ 598 00:56:36,890 --> 00:56:39,900 ならば こたびのお役目は 林さまが申し上げて・ 599 00:56:39,900 --> 00:56:41,900 仰せつけられたので ござるますか? 600 00:56:41,900 --> 00:56:44,900 そうじゃ 外記どのが 上さまに言われた 601 00:56:44,900 --> 00:56:47,900 「数馬は ご先代が 格別のお取り立てをなされた者」 602 00:56:47,900 --> 00:56:51,910 「ご恩報じに あの者ば おやりなされい」とな 603 00:56:51,910 --> 00:56:53,910 ご恩報じ? (佐渡守)そうじゃ 604 00:56:53,910 --> 00:56:56,910 もっけの幸いじゃなかか ハハッ… (数馬)御免! 605 00:57:00,850 --> 00:57:02,850 (数馬)林さま! 606 00:57:05,850 --> 00:57:07,860 ご当代のために働くこつが・ 607 00:57:07,860 --> 00:57:11,860 なして ご先代へのご恩報じに なっとでござるますか・ 608 00:57:11,860 --> 00:57:15,860 竹内どの 一体 何を血迷うておられる? 609 00:57:15,860 --> 00:57:18,870 殉死するはずの者が 生き延びとるけん 命懸けの場所に 610 00:57:18,870 --> 00:57:20,870 やるっちゅうことで ござっとですか・ 611 00:57:20,870 --> 00:57:23,870 いや それがしは なにも そのような意味では… 612 00:57:23,870 --> 00:57:26,880 (数馬)ほかに どぎゃん意味のござるますか・ 613 00:57:26,880 --> 00:57:28,880 (家臣)竹内氏 ご無礼であろう! 614 00:57:28,880 --> 00:57:34,880 よか! ほんなら この数馬 見事に死んでみせまっしょうたい 615 00:57:34,880 --> 00:57:38,890 命ば惜しんで生き長らえとったて 思われては心外! 616 00:57:38,890 --> 00:57:41,890 末代までの 恥辱でござるますけんな 617 00:57:41,890 --> 00:57:49,900 ・~ 618 00:57:49,900 --> 00:57:55,900 皆 こん度の いきさつ 重々 知ってのとおりたい 619 00:57:55,900 --> 00:58:01,910 わしらは一族一門 真ん丸んなって 54万石と刺し違える 620 00:58:01,910 --> 00:58:07,920 小なりというてん 侍の意地ば 押し通すつもりたい 621 00:58:07,920 --> 00:58:11,920 ばってん こらぁ あくまでん わしらだけんこつ 622 00:58:11,920 --> 00:58:16,930 罪んなか おぬしたちば 道連れんすっとは忍びん 623 00:58:16,930 --> 00:58:18,930 あっだけの金品は・ 624 00:58:18,930 --> 00:58:22,930 母上と義姉上ん手から 分け与える手はずば取った 625 00:58:22,930 --> 00:58:29,940 こっが別れじゃ みんな 長い間 よう勤めちくれた 626 00:58:29,940 --> 00:58:31,940 礼ば言うばい 627 00:58:47,960 --> 00:58:52,960 ぬしら どぎゃんしたんな? 628 00:58:52,960 --> 00:58:55,960 (次左衛門) わしらは ここに残んます 629 00:58:55,960 --> 00:58:59,900 そぎゃん決めておったとです なに? 630 00:58:59,900 --> 00:59:01,900 (次左衛門)わしらは 親子代々 631 00:59:01,900 --> 00:59:04,910 こん家に お仕え申してまいるました 632 00:59:04,910 --> 00:59:07,910 一期半期の奉公人では ござるまっせん 633 00:59:07,910 --> 00:59:10,910 阿部の家が のうなったら 634 00:59:10,910 --> 00:59:13,920 わしらも 生きちゃおられまっせんばい 635 00:59:13,920 --> 00:59:15,920 足手まといかもしれまっせんが 636 00:59:15,920 --> 00:59:19,920 どうぞ… どうぞ お供ば させてくだはりまっせ 637 00:59:21,920 --> 00:59:23,930 (吾平)若さま どうぞ お供をさせてくださりまっせ 638 00:59:23,930 --> 00:59:26,930 (次左衛門) お願いば いたしますですたい! 639 00:59:26,930 --> 00:59:30,930 (奉公人)お願いします 若さま! (奉公人)お供させてください! 640 00:59:30,930 --> 00:59:34,940 (奉公人たち) お心遣い ありがとうございました 641 00:59:34,940 --> 00:59:37,940 お別ればいたします 642 00:59:37,940 --> 00:59:41,940 長い間 ありがとうございました 643 00:59:41,940 --> 00:59:52,950 ・~ 644 00:59:52,950 --> 00:59:55,950 ・(戸の閉まる音) 645 00:59:58,890 --> 01:00:10,910 ・~ 646 01:00:10,910 --> 01:00:12,910 (七之丞)さあ! 647 01:00:12,910 --> 01:00:32,860 ・~ 648 01:00:32,860 --> 01:00:52,880 ・~ 649 01:00:52,880 --> 01:01:05,890 ・~ 650 01:01:05,890 --> 01:01:19,910 ・~ 651 01:01:19,910 --> 01:01:24,910 母子ともに 達者で暮らせ (うめ)はい 652 01:01:24,910 --> 01:01:44,870 ・~ 653 01:01:44,870 --> 01:01:48,870 (たえ) まあ まだ ご膳も召し上がらんと 654 01:01:48,870 --> 01:01:51,870 もう よか (たえ)はぁ? 655 01:01:51,870 --> 01:01:55,880 今宵 阿部が屋敷に 討ち入りと決まった 656 01:01:55,880 --> 01:01:57,880 ええっ? 657 01:01:59,880 --> 01:02:04,890 そなた これから 阿部が家に 行ってくれんな? 658 01:02:04,890 --> 01:02:06,890 はぁ? 659 01:02:06,890 --> 01:02:09,890 見舞いたい 660 01:02:09,890 --> 01:02:15,900 こんおもちゃに菓子なぞ添えち 子供たちにな 661 01:02:15,900 --> 01:02:17,900 旦那さま… 662 01:02:17,900 --> 01:02:20,900 一切の出入りは 禁じられとるばってん 663 01:02:20,900 --> 01:02:23,910 そなたは女子の身たい 664 01:02:23,910 --> 01:02:28,910 後日に発覚してん 申し訳ん立とうもん 665 01:02:28,910 --> 01:02:34,910 はい… では すぐに支度ば (又七郎)うむ… 666 01:04:27,900 --> 01:04:29,830 (次左衛門)申し上げます 667 01:04:29,830 --> 01:04:31,830 ただいま お隣の奥方さまが お見えでござるます 668 01:04:31,830 --> 01:04:34,840 なに? たえどのが? たえさまが? 669 01:04:34,840 --> 01:04:37,840 (るり) おばちゃまが おいでなはったと? 670 01:04:49,850 --> 01:04:53,860 (たえ)弥五兵衛さま たえどの 671 01:04:53,860 --> 01:04:56,860 何も申しますまい お聞きしますまい 672 01:04:56,860 --> 01:04:58,860 こんまんま お引き取りくだはりまっせ 673 01:04:58,860 --> 01:05:02,860 なぜでござるますか? こん家は謀反人の家 674 01:05:02,860 --> 01:05:05,870 もし そちらが おいでんなはったこつが分かれば 675 01:05:05,870 --> 01:05:08,870 又七郎ともども ただでは済まんからです 676 01:05:08,870 --> 01:05:11,870 いいえ 殿方では言い訳の立たんこつでも 677 01:05:11,870 --> 01:05:14,880 女の身ならば 立つこともありまっしょう 678 01:05:14,880 --> 01:05:17,880 せめて お子たちに 心ばかりのお見舞いばて・ 679 01:05:17,880 --> 01:05:21,880 主人の申しつけでござるます 何とぞ… 680 01:05:21,880 --> 01:05:24,890 いや ばってん… ・(おいち)弥五兵衛さま 681 01:05:24,890 --> 01:05:28,890 お上がりいただくようにと 義母上さまが申されております 682 01:05:28,890 --> 01:05:32,830 おたえさま お礼ば申します 683 01:05:32,830 --> 01:05:36,830 こぎゃんごたっときに よくぞ よくぞ… 684 01:05:36,830 --> 01:05:39,830 さあ どうぞ お通りくだはりまっせ 685 01:05:39,830 --> 01:05:43,830 ありがとうございます 失礼ばいたします 686 01:05:45,840 --> 01:06:05,860 ・~ 687 01:06:05,860 --> 01:06:25,880 ・~ 688 01:06:25,880 --> 01:06:35,820 ・~ 689 01:06:35,820 --> 01:06:37,820 (折る音) 690 01:06:41,830 --> 01:06:45,830 ンンッ! ンンッ! 691 01:06:45,830 --> 01:07:05,850 ・~ 692 01:07:05,850 --> 01:07:25,870 ・~ 693 01:07:25,870 --> 01:07:38,890 ・~ 694 01:07:38,890 --> 01:07:43,890 おたえさま 長居は なりまっせん 695 01:07:43,890 --> 01:07:47,900 お名残惜しゅうはござるますが そろそろ お戻りば… 696 01:07:47,900 --> 01:07:50,900 いえ でも もう少し… (おいち)いいえ なりまっせん 697 01:07:50,900 --> 01:07:54,900 もしもんこつのあったら おたくに災いの降りかかるます 698 01:07:54,900 --> 01:07:58,910 そっでは あまりに申し訳のなかですけん 699 01:07:58,910 --> 01:08:03,910 お心遣い ありがとうござるました 700 01:08:03,910 --> 01:08:05,910 (たえの泣き声) 701 01:08:05,910 --> 01:08:07,910 (キヌ)おたえさま 702 01:08:09,920 --> 01:08:16,920 武家の女房は 殿方の意地に どこまっでん ついていくもんと・ 703 01:08:16,920 --> 01:08:19,930 心得てまいりましたばってん 704 01:08:19,930 --> 01:08:25,930 とうとう こぎゃんこつに なってしまいました 705 01:08:25,930 --> 01:08:32,870 神にも仏にも 見放されち死ぬるからには 706 01:08:32,870 --> 01:08:34,880 この世に 誰ひとり・ 707 01:08:34,880 --> 01:08:40,880 菩提を弔うてくるるお方も ござるますまい 708 01:08:40,880 --> 01:08:43,890 こんまでの ご縁で 709 01:08:43,890 --> 01:08:48,890 思い出していただくるこつの ござるましたら 710 01:08:48,890 --> 01:08:57,900 せめて子供らに いっぺんの回向ば お願いいたします 711 01:08:57,900 --> 01:08:59,900 ご老母さま… 712 01:08:59,900 --> 01:09:03,910 おばちゃま もう行ってしまうと? 713 01:09:03,910 --> 01:09:09,910 るりさま! お前さまば こんまま連れて帰られたら 714 01:09:09,910 --> 01:09:12,910 どぎゃん… どぎゃん よかろうか 715 01:09:12,910 --> 01:09:18,910 (泣き声) 716 01:09:20,920 --> 01:09:29,920 (泣き声) 717 01:09:33,870 --> 01:09:35,870 ハッ… 718 01:09:35,870 --> 01:09:40,880 ・~ 719 01:09:40,880 --> 01:09:42,880 旦那さま! 720 01:09:42,880 --> 01:09:47,880 情けは情け 義は義たい 721 01:09:49,880 --> 01:09:52,890 弥五兵衛とて… 722 01:09:52,890 --> 01:09:54,890 いや… 723 01:09:54,890 --> 01:10:01,900 阿部家ん人たちは みんな よう分かっとるくさ 724 01:10:01,900 --> 01:10:08,900 (泣き声) 725 01:10:08,900 --> 01:10:22,920 ・~ 726 01:10:22,920 --> 01:10:36,860 ・~ 727 01:10:36,860 --> 01:10:50,860 ・~ 728 01:12:35,850 --> 01:12:48,860 ・~ 729 01:12:48,860 --> 01:13:01,880 ・~ 730 01:13:01,880 --> 01:13:03,880 ウウッ! 731 01:13:15,890 --> 01:13:18,890 何でんなか… 732 01:13:21,900 --> 01:13:24,900 何でんなかよ 733 01:13:26,900 --> 01:13:29,840 みんなで一緒に・ 734 01:13:29,840 --> 01:13:38,850 おじじさまや お父っさまんとこさ 行くとじゃけんね 735 01:13:38,850 --> 01:13:46,850 さあ まあ一度 お手々ば合わせて 736 01:13:46,850 --> 01:14:00,870 ・~ 737 01:14:00,870 --> 01:14:02,870 (七之丞の泣き声) 738 01:14:02,870 --> 01:14:16,880 (読経) 739 01:14:16,880 --> 01:14:29,830 (読経) 740 01:14:29,830 --> 01:14:44,850 ・~ 741 01:14:44,850 --> 01:14:46,850 阿部屋敷の様子は? (足軽)はっ! 742 01:14:46,850 --> 01:14:49,850 表裏ともに門を閉ざし 静まり返ったままにござります 743 01:14:49,850 --> 01:14:52,850 よし! 744 01:14:52,850 --> 01:14:54,860 (高見)それ! 745 01:14:54,860 --> 01:15:14,880 ・~ 746 01:15:14,880 --> 01:15:34,830 ・~ 747 01:15:34,830 --> 01:15:39,830 ・~ 748 01:15:41,900 --> 01:15:57,920 ・~ 749 01:15:57,920 --> 01:16:12,920 ・~ 750 01:16:48,900 --> 01:16:51,900 (島)お待ちくださいませ 751 01:16:56,910 --> 01:17:00,910 心配無用 (討っ手たち)大将! 752 01:17:11,930 --> 01:17:19,930 ・~ 753 01:17:19,930 --> 01:17:22,940 (銃声) (数馬)ウウッ! 754 01:17:22,940 --> 01:17:24,940 ・(銃声) 755 01:17:24,940 --> 01:17:26,940 (矢を射る音) アアッ! 756 01:17:26,940 --> 01:17:28,940 (討っ手たち)総大将! 757 01:17:28,940 --> 01:17:30,940 (島)おのれ! 758 01:17:30,940 --> 01:17:33,950 (銃声) 759 01:17:33,950 --> 01:17:38,950 ・(銃声) 760 01:17:38,950 --> 01:17:43,960 (光尚)おお… 今 討ち入ったな? (外記)御意 761 01:17:43,960 --> 01:17:45,960 (討っ手たち)大将! 762 01:17:45,960 --> 01:17:54,970 ・~ 763 01:17:54,970 --> 01:17:56,970 ヤーッ! (刺す音) 764 01:17:58,970 --> 01:18:00,970 (刺す音) (討っ手)アアッ! 765 01:18:02,910 --> 01:18:05,910 (討っ手)たたき壊せ! 766 01:18:05,910 --> 01:18:07,910 よし 取れ! 767 01:18:09,920 --> 01:18:11,920 (銃声) 768 01:18:11,920 --> 01:18:13,920 (高見)鉄砲! 鉄砲隊 前へ! 769 01:18:13,920 --> 01:18:18,930 ・~ 770 01:18:18,930 --> 01:18:22,930 2番隊 庭へ回れ! (討っ手たち)はっ! 771 01:18:22,930 --> 01:18:24,930 (討っ手)ぶっ壊せ! 772 01:18:24,930 --> 01:18:29,940 ・~ 773 01:18:29,940 --> 01:18:33,940 とち 来い! はい! くそ! 774 01:18:41,950 --> 01:18:43,950 (刺す音) アアッ! 775 01:18:46,950 --> 01:18:48,950 (斬る音) 776 01:18:53,960 --> 01:18:55,960 (刺す音) アアッ! 777 01:18:59,900 --> 01:19:01,900 ヤッ! (刺す音) 778 01:19:01,900 --> 01:19:17,920 ・~ 779 01:19:17,920 --> 01:19:19,920 (刺す音) 780 01:19:19,920 --> 01:19:32,930 ・~ 781 01:19:32,930 --> 01:19:34,940 ハアッ! (七之丞)ヤーッ! 782 01:19:34,940 --> 01:19:36,940 この野郎! 783 01:19:39,940 --> 01:19:42,940 (蹴破る音) 784 01:19:42,940 --> 01:19:44,950 (七之丞)兄貴 ここば頼む! (五太夫)おう! 785 01:19:44,950 --> 01:19:47,950 吾平! お前も行け! (吾平)はい! 786 01:19:47,950 --> 01:19:57,960 ・~ 787 01:19:57,960 --> 01:20:00,890 (刺す音) (次左衛門)アアッ! 788 01:20:00,890 --> 01:20:02,900 (高見)どけ! 789 01:20:02,900 --> 01:20:04,900 (刺す音) 790 01:20:07,900 --> 01:20:09,900 (高見)ヤーッ! 791 01:20:09,900 --> 01:20:17,910 ・~ 792 01:20:17,910 --> 01:20:19,910 (刺す音) 793 01:20:22,920 --> 01:20:24,920 (刺す音) 794 01:20:24,920 --> 01:20:26,920 (高見)ヤーッ! (刺す音) 795 01:20:26,920 --> 01:20:28,920 (五太夫)ウワッ! 796 01:20:30,920 --> 01:20:34,930 (刺す音) アアーッ! 797 01:20:34,930 --> 01:20:45,940 ・~ 798 01:20:45,940 --> 01:20:47,940 ハッ・ 799 01:20:47,940 --> 01:20:49,940 (銃声) ウワッ! 800 01:20:51,950 --> 01:20:54,950 アアーッ! 801 01:20:54,950 --> 01:20:57,950 (うめき声) 802 01:20:57,950 --> 01:21:07,900 ・~ 803 01:21:07,900 --> 01:21:09,900 (畑)ウワーッ! 804 01:21:09,900 --> 01:21:14,900 (畑の悲鳴) 805 01:21:14,900 --> 01:21:17,910 (突き飛ばす音) アアッ! 806 01:21:17,910 --> 01:21:21,910 何しに来た・ (奉公人)ヤーッ! 807 01:21:21,910 --> 01:21:23,910 どけ! (市太夫)待て! 808 01:21:23,910 --> 01:21:25,910 どけって! 809 01:21:27,920 --> 01:21:30,920 イヤァーッ! 810 01:21:30,920 --> 01:21:32,920 弥五兵衛! 811 01:21:34,920 --> 01:21:36,920 (刺す音) 812 01:21:36,920 --> 01:21:39,930 弥五兵衛! 813 01:21:39,930 --> 01:21:42,930 どけ! 814 01:21:42,930 --> 01:21:45,930 (斬る音) 待てー! 815 01:21:47,940 --> 01:21:50,940 (市太夫)ヤーッ! 816 01:21:50,940 --> 01:21:52,940 (刺す音) ウワッ! 817 01:21:54,940 --> 01:21:58,950 アアーッ! 818 01:21:58,950 --> 01:22:18,900 ・~ 819 01:22:18,900 --> 01:22:33,910 ・~ 820 01:22:33,910 --> 01:22:36,920 (叫び声) 821 01:22:36,920 --> 01:22:38,920 (刺す音) ウッ… 822 01:22:41,920 --> 01:22:44,930 (斬る音) 待て! 823 01:22:44,930 --> 01:22:47,930 (刺す音) アアーッ! 824 01:22:47,930 --> 01:22:50,930 (おいちの叫び声) 825 01:22:50,930 --> 01:22:55,940 ・~ 826 01:22:55,940 --> 01:22:57,940 ・ ヤーッ! 827 01:22:57,940 --> 01:22:59,940 (斬る音) 828 01:23:01,880 --> 01:23:04,880 (又七郎)待て! 待て待て! 829 01:23:04,880 --> 01:23:15,890 ・~ 830 01:23:15,890 --> 01:23:20,890 又七郎! よう来ちくれた 831 01:23:20,890 --> 01:23:25,890 ぬしが槍ん手並み 見せちもらうばい! 832 01:23:28,900 --> 01:23:30,900 承知! 833 01:23:30,900 --> 01:23:32,910 (討っ手たち)ヤーッ! (又七郎)手ば出すな! 834 01:23:32,910 --> 01:23:34,910 手ば出すな! 835 01:23:34,910 --> 01:23:37,910 ヤーッ! 836 01:23:37,910 --> 01:23:39,910 (斬る音) アアッ! 837 01:23:39,910 --> 01:23:47,920 ・~ 838 01:23:47,920 --> 01:23:49,920 手ば出すな! 839 01:23:49,920 --> 01:23:54,930 ・~ 840 01:23:54,930 --> 01:23:56,930 エーイッ! (斬る音) 841 01:23:56,930 --> 01:23:58,930 ヤーッ! 842 01:23:58,930 --> 01:24:12,880 ・~ 843 01:24:12,880 --> 01:24:16,880 エーイッ! ヤーッ! 844 01:24:16,880 --> 01:24:18,890 ヤーッ! 845 01:24:18,890 --> 01:24:28,900 ・~ 846 01:24:28,900 --> 01:24:30,900 ・(刺す音) 847 01:24:30,900 --> 01:24:32,900 (柄の折れる音) 848 01:24:38,910 --> 01:24:40,910 (倒れる音) 849 01:24:52,920 --> 01:24:54,920 ンンッ! 850 01:24:54,920 --> 01:25:14,880 ・~ 851 01:25:14,880 --> 01:25:24,880 ・~ 852 01:25:37,900 --> 01:25:40,900 (討っ手)又七郎どの! (討っ手)大事なかですか・ 853 01:25:42,900 --> 01:25:44,900 (又七郎)大事なか! 854 01:25:47,910 --> 01:25:49,910 大事なか 855 01:25:49,910 --> 01:26:09,860 ・~ 856 01:26:09,860 --> 01:26:29,880 ・~ 857 01:26:29,880 --> 01:26:49,900 ・~ 858 01:26:49,900 --> 01:27:09,920 ・~ 859 01:27:09,920 --> 01:27:20,930 ・~ 860 01:27:20,930 --> 01:27:31,950 ・~ 861 01:27:31,950 --> 01:27:34,950 権右衛門! 子細を言え! (高見)はっ… 862 01:27:34,950 --> 01:27:37,950 たかが阿部一族ごときに かくも手間取り 863 01:27:37,950 --> 01:27:39,950 総大将を失ったうえ 864 01:27:39,950 --> 01:27:42,960 更に味方の半数をなくしたのは どういうわけじゃ・ 865 01:27:42,960 --> 01:27:47,960 それが… 思いのほか頑強なる抵抗にて 866 01:27:47,960 --> 01:27:51,970 一族 相結束し 女子供ば殺し 867 01:27:51,970 --> 01:27:55,970 さまざまな防御の仕掛けば 施しての 必死の働き 868 01:27:55,970 --> 01:28:00,910 そんに引き換え 当方は かの屋敷内の様子に暗く 869 01:28:00,910 --> 01:28:06,910 かかる申し訳なき結果ば 招きましてございまする 870 01:28:09,920 --> 01:28:14,920 十太夫 そちは 戦目付として 何か 申し添えることはないか? 871 01:28:14,920 --> 01:28:17,920 はっ… それは その… それがしは… 872 01:28:17,920 --> 01:28:19,930 そちの働きは どうじゃった? 873 01:28:19,930 --> 01:28:23,930 そちは 林外記配下の目付 外記の面目をつぶさぬよう・ 874 01:28:23,930 --> 01:28:26,930 さぞかし 出精いたしたことであろうな? 875 01:28:26,930 --> 01:28:30,940 はっ… それは その… もとより その覚悟でござりましたばってん 876 01:28:30,940 --> 01:28:33,940 クッ… 不埒者め! 877 01:28:33,940 --> 01:28:35,940 (殴る音) アアッ! 申し訳ございませぬ 878 01:28:35,940 --> 01:28:37,940 そのほうの働きいかんは・ 879 01:28:37,940 --> 01:28:42,950 おのれ1人 いささかの汚れもなき この衣服が示しておる 880 01:28:42,950 --> 01:28:47,950 殿の御前に はべることは許さん ええい 下がれ! 下がれ! 881 01:28:47,950 --> 01:28:51,960 恐れ入りました 恐れ入りました! (外記)下がれ! ええい 下がれ! 882 01:28:51,960 --> 01:28:53,960 恐れ入りました… 883 01:28:57,960 --> 01:29:02,900 権右衛門 こたびの一番手柄 誰と思うか? 884 01:29:02,900 --> 01:29:04,900 はっ! そるは申すまでもなく・ 885 01:29:04,900 --> 01:29:09,910 あれなる柄本又七郎どのと 心得まする (光尚)なぜじゃ? 886 01:29:09,910 --> 01:29:12,910 討っ手のご人数には 漏れておりましたなれど 887 01:29:12,910 --> 01:29:16,920 格別の働きにて 一族の首領 阿部弥五兵衛 888 01:29:16,920 --> 01:29:21,920 ならびに 3男 市太夫ば 討ち取ってござりまする 889 01:29:21,920 --> 01:29:29,930 又七郎 あっぱれ 出精であった 褒めてとらすぞ 890 01:29:29,930 --> 01:29:32,930 なんの… 891 01:29:32,930 --> 01:29:35,940 元亀 天正のころは・ 892 01:29:35,940 --> 01:29:41,940 城攻め 野合わせが 朝夕の 飯同様であったと聞いております 893 01:29:41,940 --> 01:29:45,950 なに? (又七郎)そんに比ぶると 894 01:29:45,950 --> 01:29:52,950 阿部一族の討ち取りなぞは 茶の子の茶の子… 895 01:29:52,950 --> 01:29:55,960 朝茶の子にござるました 896 01:29:55,960 --> 01:30:06,900 ・~ 897 01:30:06,900 --> 01:30:17,910 ・~ 898 01:30:17,910 --> 01:30:22,920 <こうして この騒動は 阿部一族方18人・ 899 01:30:22,920 --> 01:30:28,920 討っ手方34人の死者を出して その幕を閉じた> 900 01:30:28,920 --> 01:30:32,930 <事件の 発端となった殉死者19名の墓は 901 01:30:32,930 --> 01:30:36,930 今なお 城下の細川家菩提寺に・ 902 01:30:36,930 --> 01:30:40,930 忠利の霊廟を 取り囲むようにして残っている> 903 01:30:40,930 --> 01:30:42,940 <そして その墓石のひとつには・ 904 01:30:42,940 --> 01:30:46,940 阿部弥一右衛門の名が はっきりと刻まれているが・ 905 01:30:46,940 --> 01:30:52,950 長男・権兵衛 次男・弥五兵衛ら 阿部一族の墓らしき物は・ 906 01:30:52,950 --> 01:30:55,950 城下の どの寺を訪ねても・ 907 01:30:55,950 --> 01:30:59,890 その痕跡さえ 発見することはできない> 908 01:30:59,890 --> 01:31:02,890 <ちなみに 騒動の10年後> 909 01:31:02,890 --> 01:31:05,890 <光尚は 31歳の若さで世を去ったが・ 910 01:31:05,890 --> 01:31:10,900 寵臣・林外記は あえて殉死の道を選ばず・ 911 01:31:10,900 --> 01:31:14,900 「卑怯者よ 臆病者よ」と 取り沙汰され・ 912 01:31:14,900 --> 01:31:18,910 まもなく 同僚の伊藤十之允によって・ 913 01:31:18,910 --> 01:31:21,910 討ち果たされたという> 914 01:31:21,910 --> 01:31:41,930 ・~ 915 01:31:41,930 --> 01:32:01,880 ・~ 916 01:32:01,880 --> 01:32:15,900 ・~ 917 01:32:15,900 --> 01:32:28,900 ・~