1 00:00:42,294 --> 00:00:43,261 2 00:00:43,261 --> 00:00:54,306 ♬~ 3 00:00:54,306 --> 00:00:56,241 ウリャーッ! 4 00:00:56,241 --> 00:01:03,315 ♬~ 5 00:01:03,315 --> 00:01:05,250 (河加部)デヤーッ! 6 00:01:05,250 --> 00:01:15,327 ♬~ 7 00:01:15,327 --> 00:01:18,327 (金八)ダッ! アアア! 8 00:01:21,199 --> 00:01:23,201 おい! 猪之! (猪之松)金八! 9 00:01:23,201 --> 00:01:25,337 (猪之松)大丈夫か!? (金八)どうしよう どうしよう! 10 00:01:25,337 --> 00:01:27,272 甘之助! (金八)そうだ! それ急げ! 11 00:01:27,272 --> 00:01:30,208 ちょっと待て 腰が抜けた (猪之松)ああ 乗った! 12 00:01:30,208 --> 00:01:32,210 重てえな この野郎 (金八)急げ! 13 00:01:32,210 --> 00:01:35,347 おい! ちょっと降ろせ 降ろせ! (猪之松)おう… 14 00:01:35,347 --> 00:01:38,249 駄目だ お前 遅くて 早く来いよ ほら! 15 00:01:38,249 --> 00:01:40,218 通るよ! (猪之松)どけって! 16 00:01:40,218 --> 00:01:43,154 大変だ! お~い 先生! (猪之松)旦那! 17 00:01:43,154 --> 00:01:45,156 (金八)お~い 先生! (猪之松)旦那! 18 00:01:45,156 --> 00:01:47,156 (金八)せんせ… えっ? 19 00:01:49,294 --> 00:01:52,197 (五十)何だい? 先生 何やってるんですか!? 20 00:01:52,197 --> 00:01:55,166 早く助けてやってくださいよ! (猪之松)そこの辻で斬り合いが 21 00:01:55,166 --> 00:01:57,168 ほう 斬り合い? ええ 1人を5人がかりでねえ 22 00:01:57,168 --> 00:02:00,305 だけど その1人っていうのも もう 恐ろしく強え野郎で! 23 00:02:00,305 --> 00:02:02,240 あれじゃ みんなやられちまうよな (猪之松)先生 助けてやって 24 00:02:02,240 --> 00:02:05,176 拙者は忙しいんだ そんなことには… 25 00:02:05,176 --> 00:02:08,179 先生 腰巻きなんざ 洗ってる場合じゃねえでしょう! 26 00:02:08,179 --> 00:02:11,316 ええ!? その斬られてるってのがね お城のお侍なんですよ! 27 00:02:11,316 --> 00:02:14,219 加勢したら仕官が できるかもしんねえんだい! 28 00:02:14,219 --> 00:02:18,189 仕官? そうこなくっちゃ! 29 00:02:18,189 --> 00:02:20,325 いや… やめとこう (金八)えっ? 30 00:02:20,325 --> 00:02:23,228 拙者には 関わりのないことだ そんなことしてるから➡ 31 00:02:23,228 --> 00:02:25,196 ぐずだの 女房に甘之助だなんて 言われんでさぁ 32 00:02:25,196 --> 00:02:27,198 (金八)さあ 行きましょう ああ よしよし 行く 離せ 33 00:02:27,198 --> 00:02:30,198 早く早く! (金八)ほら 早く早く 先生! 34 00:02:37,342 --> 00:02:50,288 ♬~ 35 00:02:50,288 --> 00:03:08,306 ♬~ 36 00:03:08,306 --> 00:03:11,209 ヤーッ! (河加部)ターッ! 37 00:03:11,209 --> 00:03:13,178 ≪(金八)おい どけどけどけ! ≪(猪之松)どいたどいた! 38 00:03:13,178 --> 00:03:16,181 ≪(猪之松) ほれ どけどけ! それ! ほら! 39 00:03:16,181 --> 00:03:18,181 ダーッ! 40 00:03:21,319 --> 00:03:23,319 (犬飼)ウッ グアア! 41 00:03:25,190 --> 00:03:28,193 慮外ながら もの申す この果たし合いはいかなる意趣か 42 00:03:28,193 --> 00:03:32,330 じょ… 上意討ち! 上意討ち? 43 00:03:32,330 --> 00:03:34,265 どけい! 失礼ながら➡ 44 00:03:34,265 --> 00:03:38,203 お手間を取ってはならぬと お見受けいたす ご助勢! 45 00:03:38,203 --> 00:03:41,339 無用! ウワッ! アア! 46 00:03:41,339 --> 00:03:45,210 上意討ちと聞いてまかり出た 当ご領内に住む浪人 47 00:03:45,210 --> 00:03:47,145 ヌアッ! ウッ テイ! 48 00:03:47,145 --> 00:03:49,147 (藩士)ワーッ! 49 00:03:49,147 --> 00:04:04,295 ♬~ 50 00:04:04,295 --> 00:04:07,198 ヤアッ ウッ アア! 51 00:04:07,198 --> 00:04:09,167 (おその)先生 やめて! 52 00:04:09,167 --> 00:04:12,167 ウッ アア! 53 00:04:14,305 --> 00:04:16,305 (新山)お見事! 54 00:04:18,176 --> 00:04:22,180 差し出がましい振る舞い ご容赦くだされ 55 00:04:22,180 --> 00:04:32,323 ♬~ 56 00:04:32,323 --> 00:04:35,226 (猪之松)ヘヘ 驚いたぁ! 強えんだね 先生は! 57 00:04:35,226 --> 00:04:38,196 まったくだな おい! 大したもんだな おい! 58 00:04:38,196 --> 00:04:40,198 それをてめえは くずだの腰抜けだの➡ 59 00:04:40,198 --> 00:04:43,268 女房 甘之助だ 何て言いやがって (猪之松)俺じゃねえやい 60 00:04:43,268 --> 00:04:46,170 近所の連中が… お前が 最初に言いだしたんじゃねえか! 61 00:04:46,170 --> 00:04:48,139 馬鹿野郎! そんなこと はっきり 言うんじゃねえ! しかしね➡ 62 00:04:48,139 --> 00:04:50,141 5人がかりだったのを 先生は たったひとりでねえ 63 00:04:50,141 --> 00:04:52,277 刀も抜かずに 「エイ! ヤア!」 64 00:04:52,277 --> 00:04:55,179 大したもんだなぁ 見直しちゃった 65 00:04:55,179 --> 00:04:57,148 (子供)先生! おう! 66 00:04:57,148 --> 00:05:01,286 (女性たち)おかえりなさい 67 00:05:01,286 --> 00:05:03,221 (金八)興奮しちゃったなぁ 68 00:05:03,221 --> 00:05:06,221 (金八)先生 お願いします 弟子にしてください! 69 00:05:09,160 --> 00:05:12,297 せん… 70 00:05:12,297 --> 00:05:14,232 おいおいおい! 見せもんじゃねえんだ おい! 71 00:05:14,232 --> 00:05:18,169 ねえ 先生 手習いだとか 子供に剣術なんか教えてねえでさ 72 00:05:18,169 --> 00:05:22,307 ねっ 俺たちに! この辺は街道筋で気が荒え 73 00:05:22,307 --> 00:05:25,209 俺たちだって やっとうの ひとつくらい覚えてなくちゃねえ 74 00:05:25,209 --> 00:05:28,179 そりゃ そうだよ! ねえ 先生… 75 00:05:28,179 --> 00:05:30,181 この野郎! 分からねえのか! 76 00:05:30,181 --> 00:05:33,318 (猪之松) 人の長屋へ黙って入りやがると! 77 00:05:33,318 --> 00:05:36,220 駄目だって! せっかく いいところ見せたのに➡ 78 00:05:36,220 --> 00:05:40,191 それじゃ まるっきり… (おその)先生! あたしが! 79 00:05:40,191 --> 00:05:43,127 うん? いやぁ いいんだいいんだ これは拙者の仕事だからな 80 00:05:43,127 --> 00:05:48,266 でも 奥様をご覧にならないと うむ… そうか… じゃ 頼むか 81 00:05:48,266 --> 00:05:51,169 いや まだ浴衣もあるんだ はい いただきに上がります 82 00:05:51,169 --> 00:05:53,169 いつも すまんな 83 00:06:01,279 --> 00:06:03,214 椙江 84 00:06:03,214 --> 00:06:09,153 少し暑くなってきた どうだ? 拭こうか 体を 85 00:06:09,153 --> 00:06:11,289 (椙江)いいんです… 86 00:06:11,289 --> 00:06:15,159 すいません あなた 何が? 87 00:06:15,159 --> 00:06:22,300 何もできず 何もかも あなたに… また! 夫婦の間で何を言う 88 00:06:22,300 --> 00:06:24,235 気を遣うのが いちばんよくないと 89 00:06:24,235 --> 00:06:28,172 言っておられたではないか 玄庵先生も でも… 90 00:06:28,172 --> 00:06:31,309 静かに寝ておれば 必ずよくなる 91 00:06:31,309 --> 00:06:34,309 顔色だって だんだんよくなっている 92 00:06:36,180 --> 00:06:40,318 何だか そんな気が… 93 00:06:40,318 --> 00:06:44,188 もう少ししたら 起きられますからね 94 00:06:44,188 --> 00:06:51,262 すいません それまで… 涼しい所へ行こうな よくなったら 95 00:06:51,262 --> 00:06:57,135 浜名湖だ 舟に乗って涼しいぞ 96 00:06:57,135 --> 00:07:01,272 早く よくなりたい 早く… 97 00:07:01,272 --> 00:07:06,144 それと そなたが大好きな 蒸し菓子を食べなければな 98 00:07:06,144 --> 00:07:08,146 ハハハッ… 腹いっぱい 99 00:07:08,146 --> 00:07:13,146 駄目だぞ 今のように食が細うては はい 100 00:07:17,288 --> 00:07:22,160 そなたには… 本当に すまぬと思ってる 101 00:07:22,160 --> 00:07:25,163 何がでございます? 102 00:07:25,163 --> 00:07:31,302 仕官さえできれば このような… 何をおっしゃるのでございます 103 00:07:31,302 --> 00:07:34,302 さぞ 不甲斐ないと 思ってるだろうな 104 00:07:38,176 --> 00:07:45,176 あなた… 私は 今の暮らしで十分でございます 105 00:07:47,251 --> 00:07:54,125 だって いつも あなたが そばにいてくださるんですもの 106 00:07:54,125 --> 00:07:58,262 このように幸せな女は ございません 107 00:07:58,262 --> 00:08:01,165 本当に そう思ってくれるのか? 108 00:08:01,165 --> 00:08:06,137 これ以上 何を望めとおっしゃるのです? 109 00:08:06,137 --> 00:08:13,137 無理なことを… ばちが… そうか 110 00:08:15,279 --> 00:08:18,182 さあ そろそろ 子供たちが集まる時刻だ 111 00:08:18,182 --> 00:08:20,182 行ってくるか 112 00:08:24,288 --> 00:08:27,191 (せきこみ) 113 00:08:27,191 --> 00:08:30,191 椙江!? 椙江! 114 00:08:34,298 --> 00:08:36,234 椙江! (せきこみ) 115 00:08:36,234 --> 00:08:42,106 大丈夫です 何ともありません… 椙江! 116 00:08:42,106 --> 00:08:45,106 何とも… ハアハアハア… 117 00:08:47,245 --> 00:08:49,245 よしよし 118 00:08:51,115 --> 00:08:54,115 おっ よくなったな 119 00:08:58,256 --> 00:09:02,126 (おその)あ… 先生 うむ… 120 00:09:02,126 --> 00:09:07,265 では… 余命いくばくもないと? 121 00:09:07,265 --> 00:09:09,200 (玄庵)まあ 風通しをよくして➡ 122 00:09:09,200 --> 00:09:13,137 せいぜい お好きな物を 差し上げていただきたい 123 00:09:13,137 --> 00:09:19,137 手は尽くしたが 何せ労咳は 不治の病でなぁ 先生… 124 00:09:22,280 --> 00:09:28,280 ハアハア… ハアハア… 125 00:09:33,291 --> 00:09:38,291 アア… ハアハアハア… 126 00:09:43,100 --> 00:09:46,237 椙江! あなた お使者が… 127 00:09:46,237 --> 00:09:50,107 表に お使者が… 使者が? 何を言う 128 00:09:50,107 --> 00:09:52,109 誰も来てはおらん さあ 静かに寝ていなければ… 129 00:09:52,109 --> 00:09:55,246 あなた! 椙江! 130 00:09:55,246 --> 00:10:01,118 このような むさ苦しい所へ… どうぞ まずお上がりくださいませ 131 00:10:01,118 --> 00:10:03,118 椙江! 132 00:10:05,256 --> 00:10:07,191 お… お召し抱えのお使者➡ 133 00:10:07,191 --> 00:10:11,128 主人ともども お待ち申し上げておりました 134 00:10:11,128 --> 00:10:16,267 椙江! あなた お召し抱えのお使者よ! 135 00:10:16,267 --> 00:10:19,170 うれしゅうございます あなた… 136 00:10:19,170 --> 00:10:22,139 この日を どんなに 待ちわびておりましたやら… 137 00:10:22,139 --> 00:10:26,277 おめでとうございます! うれしゅうございます あなた 138 00:10:26,277 --> 00:10:30,147 粗茶を… お使者の方に お茶をお出ししなければ! 139 00:10:30,147 --> 00:10:35,286 何もござりませんが… あなた あの蒸し菓子を! 140 00:10:35,286 --> 00:10:39,156 お使者のために あのお菓子を! 椙江… 141 00:10:39,156 --> 00:10:43,160 あなた… うれしゅうございます 142 00:10:43,160 --> 00:10:47,298 あなたの晴れの姿を ひと目見て 死にとうございました 143 00:10:47,298 --> 00:10:54,171 もう思い残すことは… うれしゅうございます あなた! 144 00:10:54,171 --> 00:10:57,171 椙江… あなた… 145 00:10:59,310 --> 00:11:02,213 そうだったのか… 146 00:11:02,213 --> 00:11:06,183 それほどまでに仕官を… 147 00:11:06,183 --> 00:11:11,322 そうだったのか 椙江… 148 00:11:11,322 --> 00:11:14,225 アア… 椙江… 149 00:11:14,225 --> 00:11:26,225 ♬~ 150 00:11:28,339 --> 00:11:33,339 (足音) 151 00:11:35,212 --> 00:11:37,212 ≪ 待て 152 00:11:40,351 --> 00:11:42,351 ≪ 抜くな! 153 00:11:44,221 --> 00:11:49,160 誰だ? 何者だ!? 衣服と大小を置いていけ 154 00:11:49,160 --> 00:11:53,297 なにぃ? その衣服と大小が必要なのだ 155 00:11:53,297 --> 00:12:00,171 貴様… 夜盗だな? そうではない だが是非とも… 156 00:12:00,171 --> 00:12:02,306 抜くな! 拙者のほうが強い 157 00:12:02,306 --> 00:12:05,209 お互いに けがをしては つまらんではないか 158 00:12:05,209 --> 00:12:08,179 つまらんとは ほざいたな 岡崎の家中には 手もなく➡ 159 00:12:08,179 --> 00:12:10,181 追い剥ぎにかかるような 武士は1人もおらぬ 160 00:12:10,181 --> 00:12:14,318 貴様 悪い所へ出たぞ 待て 抜くな! 161 00:12:14,318 --> 00:12:18,189 黙って脱いでいくほうがよい おとなしく 162 00:12:18,189 --> 00:12:22,193 貴様! むっ!? 危ないだろう! 163 00:12:22,193 --> 00:12:28,332 けがをするぞ 危ないではないか! や… やめろ! 164 00:12:28,332 --> 00:12:30,267 ンン! 165 00:12:30,267 --> 00:12:35,206 出てこい! 頼む 夜盗ではないのだ 166 00:12:35,206 --> 00:12:38,342 貴様… 167 00:12:38,342 --> 00:12:41,245 そこもとを 武士と見込んで頼むのだ 168 00:12:41,245 --> 00:12:44,148 どうか その衣服と大小を 貸してくれ 169 00:12:44,148 --> 00:12:46,150 なにぃ? 170 00:12:46,150 --> 00:12:50,287 長くとは言わぬ 2~3日の間 貸してほしいのだ 171 00:12:50,287 --> 00:12:55,159 貸せと? 妻が… もう死ぬ 172 00:12:55,159 --> 00:12:59,296 せめて ひと目だけでも 安心させてやりたいのだ 173 00:12:59,296 --> 00:13:03,296 頼むから 2~3日の間 貸してくれ 174 00:13:05,169 --> 00:13:08,169 こちらへ 出られい 175 00:13:11,308 --> 00:13:13,308 こちらへ! 176 00:13:19,183 --> 00:13:23,320 そこもとは… あ… あなたは… 177 00:13:23,320 --> 00:13:28,192 アッ 待たれい! 「妻が死ぬ」と申されたな? 178 00:13:28,192 --> 00:13:35,192 何か子細ありげなご様子だが よかったら 事情を承ろう 179 00:13:37,334 --> 00:13:43,140 拙者は 岡崎藩家老職 新山信十郎と申す 180 00:13:43,140 --> 00:13:48,279 拙者は 五十三右衛門と申します 181 00:13:48,279 --> 00:13:54,151 「いそ」は 浜辺の磯ではなく 数の「五十」と書きます 182 00:13:54,151 --> 00:13:59,290 ほ~う… 五十で 「いそ」? お珍しい 183 00:13:59,290 --> 00:14:02,193 「さんえもん」も数の 「三」 184 00:14:02,193 --> 00:14:06,163 文字に書くと 「五十三右衛門」 となるので➡ 185 00:14:06,163 --> 00:14:09,300 実に紛らわしくて困ります 186 00:14:09,300 --> 00:14:15,172 お内儀が ご病気なのかな? はい… 187 00:14:15,172 --> 00:14:21,312 長く患い はや 余命いくばくもなく 188 00:14:21,312 --> 00:14:26,183 それは… しかし それと拙者の衣服と➡ 189 00:14:26,183 --> 00:14:30,321 いかなる関わり合いが あるのかな? 190 00:14:30,321 --> 00:14:32,256 お笑いください 191 00:14:32,256 --> 00:14:36,193 せめて嘘でもいい 武士らしい姿をつくり➡ 192 00:14:36,193 --> 00:14:40,331 お召し抱えになったと ひと目見せれば➡ 193 00:14:40,331 --> 00:14:45,169 妻も安堵して黄泉路の旅に まいるであろうと… 194 00:14:45,169 --> 00:14:52,276 お頼み申す 何とぞ この理不尽なる申し条 195 00:14:52,276 --> 00:14:57,148 拙者が いま妻にしてやれることは それだけしかなく… 196 00:14:57,148 --> 00:15:01,285 思い余って 武士にもあるまじき 夜盗の振る舞い 197 00:15:01,285 --> 00:15:05,285 五十どのと申されたな? はい 198 00:15:07,158 --> 00:15:13,297 いかにも お役に立つならば 大小 衣服たりともお貸し申そう 199 00:15:13,297 --> 00:15:19,170 だが… 何ゆえ そうまで 思い至るしだいに相成ったか➡ 200 00:15:19,170 --> 00:15:21,172 お聞かせいただけまいか? 201 00:15:21,172 --> 00:15:25,309 いや そこもとが嘘を 申されていると言うのではない 202 00:15:25,309 --> 00:15:31,182 お見受けしたところ 元は由緒あるお方のように思える 203 00:15:31,182 --> 00:15:37,182 もし お差し支えなければ… ありがとう存じます 204 00:15:39,323 --> 00:15:45,129 詳しく訳をと申されるのは 当然のこと …とはいえ➡ 205 00:15:45,129 --> 00:15:49,133 いかにして かような仕儀に 相成ったかお話しすればよいのか 206 00:15:49,133 --> 00:15:53,133 切羽詰っておりますために 一体 何から… 207 00:15:55,272 --> 00:15:59,143 失礼ながら 元は いずれのご家中の? 208 00:15:59,143 --> 00:16:04,281 はい… 出羽20万5000石 秋田藩 209 00:16:04,281 --> 00:16:08,152 佐竹少将義昭さまの 家中にて江戸詰め 210 00:16:08,152 --> 00:16:11,155 代々 武道指南役を 務めておりました 211 00:16:11,155 --> 00:16:19,296 しかしながら 6年前に父が 死去いたし 跡を継ぎましたが… 212 00:16:19,296 --> 00:16:25,169 半年もたたぬうちに 浪々の身の上と相成りました 213 00:16:25,169 --> 00:16:27,169 (気合い声) 214 00:16:29,306 --> 00:16:32,209 ((テヤーッ!)) 215 00:16:32,209 --> 00:16:36,180 (家老)((勝負!)) (藩士)((まいりました)) 216 00:16:36,180 --> 00:16:39,316 (義昭) ((何じゃ 口ほどにもないのぅ)) 217 00:16:39,316 --> 00:16:42,219 ((家中に立ち合える者は もう おらんのか)) 218 00:16:42,219 --> 00:16:45,122 ((どうじゃ 五十! 父 金右衛門の 跡を継いだ指南役)) 219 00:16:45,122 --> 00:16:49,122 ((その腕を見せてくれんか?)) ((御意)) 220 00:16:55,266 --> 00:16:57,201 ((よいな?)) ((はっ?)) 221 00:16:57,201 --> 00:17:00,137 ((よいな!)) ((はい…)) 222 00:17:00,137 --> 00:17:02,137 ((では)) 223 00:17:08,279 --> 00:17:13,150 ((殿 この三右衛門 手心は加えませんぞ)) 224 00:17:13,150 --> 00:17:16,150 ((念には及ばん 来い!)) 225 00:17:26,297 --> 00:17:28,297 (気合い声) 226 00:17:32,169 --> 00:17:34,171 ((ンンッ!)) ((テヤッ!)) 227 00:17:34,171 --> 00:17:37,308 (審判)((勝負!)) 228 00:17:37,308 --> 00:17:41,178 ((まだだ! デヤーッ!)) 229 00:17:41,178 --> 00:17:44,114 ((ターッ!)) ((アア!)) 230 00:17:44,114 --> 00:17:48,252 ((待て! それまで!)) (義昭)((まだだ!)) 231 00:17:48,252 --> 00:17:53,123 ((デヤーッ!)) ((ンン… ンン…)) 232 00:17:53,123 --> 00:17:59,123 ((ンン!)) ((ウワーッ ダーッ)) 233 00:18:03,267 --> 00:18:06,170 ((フフフ…)) 234 00:18:06,170 --> 00:18:09,170 ((ぶ… 無礼者!)) 235 00:18:13,277 --> 00:18:16,180 ((笑いおったな! 笑いおったな 五十!)) 236 00:18:16,180 --> 00:18:20,150 いかに藩士たちが 勝ちを譲るさまを見て➡ 237 00:18:20,150 --> 00:18:22,286 あれではいかんと思ったにせよ➡ 238 00:18:22,286 --> 00:18:26,156 あれほど激しく 打ち合うことはありませなんだ 239 00:18:26,156 --> 00:18:29,159 まだ拙者も 腕を誇るところがあったのです 240 00:18:29,159 --> 00:18:32,296 すべては拙者の未熟さから… 241 00:18:32,296 --> 00:18:38,168 …とはいえ それで 浪人されたのだな? はい 242 00:18:38,168 --> 00:18:44,241 しかし 江戸育ちのため 国元へ帰りましてもなじみが薄く 243 00:18:44,241 --> 00:18:48,112 3年ほどは 僅かな蓄えを費やしながら➡ 244 00:18:48,112 --> 00:18:52,112 仕官の道を探して 諸国を歩き回りましたが… 245 00:18:54,251 --> 00:19:00,124 もとより つてがなくては かなうわけもなく 246 00:19:00,124 --> 00:19:04,261 この岡崎まで まいりましたが 247 00:19:04,261 --> 00:19:09,133 そのころから妻が労咳にかかり… 248 00:19:09,133 --> 00:19:13,270 労咳? それは… 249 00:19:13,270 --> 00:19:18,142 そのまま 病の床に就きまして 早や3年 250 00:19:18,142 --> 00:19:22,279 病は よくなるどころか進むばかり 251 00:19:22,279 --> 00:19:27,151 ついには 医者にも さじを投げられました 252 00:19:27,151 --> 00:19:30,154 妻は今夜も意識が混濁して➡ 253 00:19:30,154 --> 00:19:36,293 拙者の仕官がかなったものと 幻覚を起こし… 254 00:19:36,293 --> 00:19:43,100 いや… ついぞ 口には出さねど 心の中では➡ 255 00:19:43,100 --> 00:19:48,238 いかばかりか 晴れて仕官の日を 待ち望んでおったのでしょう 256 00:19:48,238 --> 00:19:53,110 いや 相分かったわ 257 00:19:53,110 --> 00:19:57,247 いかにも拙者の衣服 258 00:19:57,247 --> 00:20:04,121 明日 改めて 使いの者を 差し上げよう はい! 259 00:20:04,121 --> 00:20:09,259 だが… 五十どの そこもとほどのお腕前なら➡ 260 00:20:09,259 --> 00:20:12,259 あるいは 拙者を倒すこともできたはず 261 00:20:14,131 --> 00:20:19,269 なぜ 斬ろうとはされなんだ? それは… 262 00:20:19,269 --> 00:20:24,141 あの上意討ちの 犬飼という者を倒したごとく➡ 263 00:20:24,141 --> 00:20:28,278 血を見ることなく 討ち伏せることもできたものを 264 00:20:28,278 --> 00:20:30,214 なぜ!? 265 00:20:30,214 --> 00:20:34,151 新山どの 是非とも それを話せと申されますか 266 00:20:34,151 --> 00:20:40,151 聞こう! 聞きたい! なぜ倒そうとしなかった!? 267 00:20:45,295 --> 00:20:47,231 御免! 268 00:20:47,231 --> 00:20:59,309 ♬~ 269 00:20:59,309 --> 00:21:02,212 妻の薬料を求めるため➡ 270 00:21:02,212 --> 00:21:09,319 貧苦のうちに ある物 全ては 売り尽くし ついには脇差しも… 271 00:21:09,319 --> 00:21:12,319 この太刀も竹光に… 272 00:21:14,191 --> 00:21:18,328 武士の魂たる この太刀も… 273 00:21:18,328 --> 00:21:26,328 ♬~ 274 00:21:30,340 --> 00:21:34,211 遅くなった (おその)おかえりなさい 275 00:21:34,211 --> 00:21:36,213 よく お休みになって… 276 00:21:36,213 --> 00:21:39,349 さっき ちょっと目を覚まされて どこへいらっしゃったかと 277 00:21:39,349 --> 00:21:42,252 所用があってな すぐに戻るつもりだったんだが 278 00:21:42,252 --> 00:21:44,187 フフッ… 心配なさって➡ 279 00:21:44,187 --> 00:21:48,158 待ちくたびれちゃったんだわ きっと そうか 280 00:21:48,158 --> 00:21:51,295 ああ もう遅い すまなかったね 遅くまで 281 00:21:51,295 --> 00:21:55,165 ああ いいんです 今夜は 薬も煎じなければならないし➡ 282 00:21:55,165 --> 00:21:57,167 うんと遅くなるって 言ってあるんです 283 00:21:57,167 --> 00:21:59,169 いやぁ それはいかん 284 00:21:59,169 --> 00:22:02,306 おそのちゃんには 何とお礼を言っていいか分からん 285 00:22:02,306 --> 00:22:05,208 これ以上 迷惑をかけたら 店賃もたまっているし➡ 286 00:22:05,208 --> 00:22:08,178 七兵衛どのに申し訳がない ああ いいんです そんなこと 287 00:22:08,178 --> 00:22:11,315 それより 先生 あたし いいこと聞いちゃった 288 00:22:11,315 --> 00:22:14,217 何を? 先生 奥さまをもらうとき➡ 289 00:22:14,217 --> 00:22:18,188 三日三晩も お家の前で粘って 座り込んだんですってね 290 00:22:18,188 --> 00:22:23,327 ハハハッ… そんなことを 言ったのか 椙江が はい! 291 00:22:23,327 --> 00:22:28,198 好き合っていたのに 親同士が反対で うむ… 292 00:22:28,198 --> 00:22:32,336 両方の親とも 頑固で仲が悪くてなぁ 293 00:22:32,336 --> 00:22:34,271 どっちも 「やらぬ!」 「もらわん!」って言うし➡ 294 00:22:34,271 --> 00:22:38,208 こうなったら 本人が頼むより しかたないと思ってな 295 00:22:38,208 --> 00:22:42,145 4日目になって さすがの お父さまも根負けして➡ 296 00:22:42,145 --> 00:22:45,282 「よし! 嫁にやる」と おっしゃったら先生は… 297 00:22:45,282 --> 00:22:47,217 「かたじけのぅござる」 298 00:22:47,217 --> 00:22:50,153 「…ですが ついでに もうひとつお願いがござる」 299 00:22:50,153 --> 00:22:53,156 「おにぎりを… ご飯を食べさせてください」って 300 00:22:53,156 --> 00:22:58,295 ハハハッ… 何しろ腹が減って しかたがなかったんだ 301 00:22:58,295 --> 00:23:02,165 三日三晩も 飲まず食わずで 頑張ったんだからな 302 00:23:02,165 --> 00:23:04,167 奥さまも お家の中で➡ 303 00:23:04,167 --> 00:23:09,306 「どうしても お嫁に行く!」って 頑張ったんですってね フフ… 304 00:23:09,306 --> 00:23:15,178 でも 羨ましいなぁ そんな ご夫婦なんて… 305 00:23:15,178 --> 00:23:17,178 あたしにも そんな人がいないかなぁ 306 00:23:19,316 --> 00:23:23,186 あっ それじゃ 煎じ薬が台所に すまんな 307 00:23:23,186 --> 00:23:27,186 いいえ おやすみなさい おやすみ 308 00:23:41,338 --> 00:23:43,273 椙江… 309 00:23:43,273 --> 00:23:45,208 《許してくれよ》 310 00:23:45,208 --> 00:23:52,282 《せめて そなたが元気なうちに 晴れの姿を見せたいと思ったが》 311 00:23:52,282 --> 00:23:55,282 《許してくれな 椙江》 312 00:24:02,292 --> 00:24:06,163 大変だ大変だ 先生! 先生! (おいせ)何だい あんた忘れ物かい 313 00:24:06,163 --> 00:24:11,301 馬鹿野郎 それどころじゃねえや! いま 先生の所へな… 314 00:24:11,301 --> 00:24:14,204 あそこなんですよ まあ ちょっと 傷んでやんすけどもねえ➡ 315 00:24:14,204 --> 00:24:16,173 でも あっしたちの せいじゃないんですよ 316 00:24:16,173 --> 00:24:18,175 大家の七兵衛って野郎が けちでしてねえ 317 00:24:18,175 --> 00:24:20,310 あんな あばら家でも 店賃取ろうってんだから➡ 318 00:24:20,310 --> 00:24:22,245 あきれて ものが言えねえや 319 00:24:22,245 --> 00:24:24,181 いや あたしは大して ためてませんよ 猪之の野郎がね 320 00:24:24,181 --> 00:24:27,184 (およし)どうしたんだい お前さん (金八)お使者だよ お使者! 321 00:24:27,184 --> 00:24:29,319 甘之助んとこの… (河加部)こちらだな? 322 00:24:29,319 --> 00:24:32,222 当たりです (猪之松)さあ どうぞ! 323 00:24:32,222 --> 00:24:37,194 (金八)おい… あいててて! おい 猪之! 早く呼べよ 先生を! 324 00:24:37,194 --> 00:24:42,265 先生! お客さま! (河加部)あ… あのぅ 昨日は… 325 00:24:42,265 --> 00:24:44,265 いや… 326 00:24:46,136 --> 00:24:51,274 あ… 拙者は当地 水野家の中老 新山信十郎の家臣にて➡ 327 00:24:51,274 --> 00:24:54,177 河加部郷介と申します 328 00:24:54,177 --> 00:24:58,148 本日は 主人の使者として 参上つかまつりました 329 00:24:58,148 --> 00:25:03,286 それは… ご苦労に存じます 330 00:25:03,286 --> 00:25:06,189 むさ苦しい所ではござるが まずは お通りを… 331 00:25:06,189 --> 00:25:11,189 いやいや! これにて 口上を申し述べます 332 00:25:15,298 --> 00:25:20,170 昨日のお見事なる お働き 是非とも当家にご仕官をと➡ 333 00:25:20,170 --> 00:25:25,308 役向きにて種々協議の結果 貴殿をお召し抱えと➡ 334 00:25:25,308 --> 00:25:28,211 決定つかまってございます (金八)おい 先生! やった! 335 00:25:28,211 --> 00:25:30,180 (歓声) 336 00:25:30,180 --> 00:25:32,182 (せきばらい) (金八)はいはい… 337 00:25:32,182 --> 00:25:36,319 ついては 時服ひと組 お差料 支度金を➡ 338 00:25:36,319 --> 00:25:38,255 これに持参つかまつりました 339 00:25:38,255 --> 00:25:42,125 明朝 巳の刻 拙者 主人宅まで お運びあるよう➡ 340 00:25:42,125 --> 00:25:45,128 口上 右のごとくでございます 341 00:25:45,128 --> 00:25:52,269 かたじけなき ご沙汰 ありがたく承知つかまつりました 342 00:25:52,269 --> 00:25:56,139 また これは 内々の お知らせながら職禄の儀は➡ 343 00:25:56,139 --> 00:25:59,142 200石とやら承りました お含みおきくださいませ 344 00:25:59,142 --> 00:26:04,281 重ね重ねのご厚志 ご主人によろしゅう 345 00:26:04,281 --> 00:26:10,153 ≪(椙江)あなた… あなた… 346 00:26:10,153 --> 00:26:13,290 では これにて失礼つかまつります 347 00:26:13,290 --> 00:26:17,160 明朝 巳の刻に 必ず 御免 348 00:26:17,160 --> 00:26:20,163 (金八)どうも どうも おかまいもしませんで どうも 349 00:26:20,163 --> 00:26:22,163 (金八)お送りしなさい! 350 00:26:24,301 --> 00:26:29,172 お使者を… お使者を お迎えしなければ… 椙江 351 00:26:29,172 --> 00:26:33,310 もう戻られた 寝ていなければ 352 00:26:33,310 --> 00:26:39,182 それより… ほれ 仕官の支度 このように届けてくだされたぞ 353 00:26:39,182 --> 00:26:43,119 ほれ 見せて! 見せてくださいませ… 354 00:26:43,119 --> 00:26:48,119 おお 開けてみよう どのような… 355 00:26:50,260 --> 00:26:57,133 おお 見事な! ほれ 麻裃に紋服 356 00:26:57,133 --> 00:27:04,274 ああ… 本当に 見事な! ああ! 357 00:27:04,274 --> 00:27:12,148 ♬~ 358 00:27:12,148 --> 00:27:17,287 (新山)《お約束の品々 お届けつかまつり候》 359 00:27:17,287 --> 00:27:22,158 《差添え候 金子のことは 拙者の寸志に候えば➡ 360 00:27:22,158 --> 00:27:25,161 遠慮なく お使い捨てくださるべく候》 361 00:27:25,161 --> 00:27:28,298 《また お内儀 ご快方にも向かわれ候わば➡ 362 00:27:28,298 --> 00:27:35,171 拙宅まで ご入来のほど 待ち入り候 新山信十郎》 363 00:27:35,171 --> 00:27:44,247 ♬~ 364 00:27:44,247 --> 00:27:47,150 椙江! 椙江!? 365 00:27:47,150 --> 00:27:52,122 ほら 椙江! 椙江! 366 00:27:52,122 --> 00:27:54,122 あなた… 367 00:27:56,259 --> 00:28:02,259 椙江は… 幸せでございました 368 00:28:04,134 --> 00:28:10,273 本望でございます… 何を言う!? ほれ 椙江! 369 00:28:10,273 --> 00:28:17,147 気を確かに! 椙江! あなた… 370 00:28:17,147 --> 00:28:21,147 ご立派なお姿… 371 00:28:23,286 --> 00:28:26,286 うれしゅう… 372 00:28:28,158 --> 00:28:32,295 椙江! 椙江! 373 00:28:32,295 --> 00:28:34,230 おい これは えれえこっちゃ おい 医者 医者! 374 00:28:34,230 --> 00:28:38,168 あのやぶ 首に縄をくくりつけてでも! 375 00:28:38,168 --> 00:28:43,168 椙江! 目を開けるんだ… 椙江 376 00:28:45,241 --> 00:28:47,241 椙江… 377 00:28:50,113 --> 00:28:52,115 椙江… 378 00:28:52,115 --> 00:29:12,268 ♬~ 379 00:29:12,268 --> 00:29:19,142 (七兵衛)そろそろ長屋のほうに… 町内の者も集まっていますので 380 00:29:19,142 --> 00:29:30,286 ♬~ 381 00:29:30,286 --> 00:29:33,189 (金八)さあ 先生 (猪之松)先生 382 00:29:33,189 --> 00:29:35,189 (七兵衛)さあ… 383 00:29:40,296 --> 00:29:53,243 ♬~ 384 00:29:53,243 --> 00:29:55,178 殿! 385 00:29:55,178 --> 00:29:59,178 おお お見えになられたか さあ これへ 386 00:30:03,253 --> 00:30:08,253 かような姿で御免こうむる 拙者こそ 387 00:30:14,264 --> 00:30:19,135 先日は ぶしつけなるお願いに お怒りもなく➡ 388 00:30:19,135 --> 00:30:23,273 ご口上 お礼の 申し上げようもございません 389 00:30:23,273 --> 00:30:30,146 いや ささいなこと …して ご内儀のご様子は? 390 00:30:30,146 --> 00:30:37,146 甲斐なく 死去つかまつりました それは… いつでござった? 391 00:30:39,289 --> 00:30:43,159 昨日が初七日でございました 392 00:30:43,159 --> 00:30:49,299 おかげにて 妻は喜んで逝きました 393 00:30:49,299 --> 00:30:54,170 最期に僅かばかりでも 安堵させることができましたのは 394 00:30:54,170 --> 00:31:00,310 皆 ご貴殿のお志 このご恩は何事にも代えて… 395 00:31:00,310 --> 00:31:03,213 いやいや そのような… 396 00:31:03,213 --> 00:31:07,183 つきましては あのとき お恵みいただいた金子について 397 00:31:07,183 --> 00:31:11,321 いや あれはお内儀への香典として 受け取っていただきたい 398 00:31:11,321 --> 00:31:15,191 いや それでは… その話は もうこれっきり 399 00:31:15,191 --> 00:31:21,331 幸い 七日の喪も明けたとあれば 差し支えあるまい 400 00:31:21,331 --> 00:31:26,331 お近づきのしるしに 一献おつきあいくださらぬか? 401 00:31:32,342 --> 00:31:39,342 さあさあ お楽に 拙者も崩そう いや 拙者は このほうが 402 00:31:43,286 --> 00:31:45,221 くどいようでございますが… 403 00:31:45,221 --> 00:31:49,159 あの金子を お返しするにつきまして➡ 404 00:31:49,159 --> 00:31:53,296 何とぞ 拙者の… それほど金のことが気になるかな 405 00:31:53,296 --> 00:31:58,168 なります 申せば ちょうだいするいわれのない金子 406 00:31:58,168 --> 00:32:04,307 まあ 本来ならば あのまま すぐに お返し申し上ぐべく筋ながら➡ 407 00:32:04,307 --> 00:32:08,178 妻の供養も 満足にできぬありさまゆえ 408 00:32:08,178 --> 00:32:15,318 今しばらくの間… いや 何としてでも ご返済いたします 409 00:32:15,318 --> 00:32:19,189 ただ… まあ 待たれよ 410 00:32:19,189 --> 00:32:25,328 それを伺う前に 拙者のほうから 改めてお願いがある 411 00:32:25,328 --> 00:32:31,201 これは過日の僅かな贈り物とは 別にお聞きいただきたいのだが… 412 00:32:31,201 --> 00:32:36,339 何でございましょう? 拙者の身にかなうことなれば 413 00:32:36,339 --> 00:32:43,146 実は… 人を1人 斬って いただきたいのだが… えっ? 414 00:32:43,146 --> 00:32:49,285 当の相手は 家中の元老にて お家を誤る奸物 415 00:32:49,285 --> 00:32:56,285 今日まで 無事に事を収めようと 苦心を重ねてまいったが… 416 00:32:58,294 --> 00:33:02,165 その者は元老の権力を 握って動かず➡ 417 00:33:02,165 --> 00:33:06,169 お家の危機は切迫するばかり 418 00:33:06,169 --> 00:33:11,307 …と まあ急に申しても お分かりには 419 00:33:11,307 --> 00:33:16,179 我が藩の実情を どこまでご存じかな? 420 00:33:16,179 --> 00:33:21,317 いえ 藩主 水野忠辰さまは まだお若く➡ 421 00:33:21,317 --> 00:33:26,189 30前と 伺っている程度にて さようか 422 00:33:26,189 --> 00:33:29,192 殿は お若くして 藩をお継ぎなされたが➡ 423 00:33:29,192 --> 00:33:31,327 なかなかの ご名君 424 00:33:31,327 --> 00:33:34,230 旧来のしきたり 家柄などは重視なされず➡ 425 00:33:34,230 --> 00:33:39,202 若くとも才能ある者は どしどし 抜擢なされて要職に就け➡ 426 00:33:39,202 --> 00:33:46,276 藩政の改革というか 刷新を計ってこられたのだが… 427 00:33:46,276 --> 00:33:49,178 これに老臣たちは ことごとく反発し➡ 428 00:33:49,178 --> 00:33:57,287 ついには 殿のご意志を押し切って 全てを旧制に戻してしまった 429 00:33:57,287 --> 00:34:02,158 そのために殿は意欲を失い… 言いにくいことだが➡ 430 00:34:02,158 --> 00:34:08,298 放蕩をお始めになる始末でなぁ 放蕩と申しますと? 431 00:34:08,298 --> 00:34:12,168 これはご内聞に していただきたいのだが… 432 00:34:12,168 --> 00:34:20,310 吉原の遊女を身請けして …とまあ このようなことでな 433 00:34:20,310 --> 00:34:23,212 このうえは その元凶を亡き者にいたし➡ 434 00:34:23,212 --> 00:34:29,212 殿をお救いする以外 手だてなしと いうところまでまいってな 435 00:34:31,321 --> 00:34:37,193 そこで 貴殿を武士と見込んで お願い申すのだが… 436 00:34:37,193 --> 00:34:42,265 いかがであろう? 貴殿であれば失礼ながらお身軽 437 00:34:42,265 --> 00:34:45,168 相手を討って立ち去れば それまで 438 00:34:45,168 --> 00:34:50,168 ご迷惑のかからぬ処置は 必ずや拙者が 439 00:34:52,275 --> 00:34:55,178 お内儀に あれほど 熱き思いを懸けられるお方なら➡ 440 00:34:55,178 --> 00:34:58,147 必ずや信義 義理にも あつきお人 441 00:34:58,147 --> 00:35:03,286 そう お信じ申し上げての お願いでござるが… 442 00:35:03,286 --> 00:35:05,286 いかがであろう? 443 00:35:08,157 --> 00:35:13,296 さようか お返事のないのは ごもっとも 444 00:35:13,296 --> 00:35:21,170 貴殿の お腕前お人柄に 思わず 故なき願いをつかまつったが… 445 00:35:21,170 --> 00:35:23,170 お忘れいただきたい 446 00:35:29,312 --> 00:35:34,183 ♬~ 447 00:35:34,183 --> 00:35:40,323 ((貴殿のお腕前と人柄に 思わず 故なきお願いをつかまつった)) 448 00:35:40,323 --> 00:35:44,323 ((どうか お忘れいただきたい)) 449 00:35:46,129 --> 00:35:50,133 ((お内儀に あれほど 熱き思いを懸けられるお方なら➡ 450 00:35:50,133 --> 00:35:54,133 必ずや信義 義理にもあつきお人)) 451 00:35:56,272 --> 00:36:00,272 ((必ずや信義 義理にも…)) 452 00:36:05,281 --> 00:36:10,281 (新山)さようか おやりくださるか 453 00:36:12,155 --> 00:36:17,293 貴殿のご厚志にて 拙者と妻は救われ申した 454 00:36:17,293 --> 00:36:19,228 そのご恩に報いる手だては➡ 455 00:36:19,228 --> 00:36:24,167 いかように考えようとも ほかにはござらん 456 00:36:24,167 --> 00:36:28,304 …して 討つべき相手と その時期は? 457 00:36:28,304 --> 00:36:32,175 相手は筆頭家老 曽我忠左衛門 458 00:36:32,175 --> 00:36:35,178 屋敷は寺町の北通り 459 00:36:35,178 --> 00:36:40,316 だが 下城登城の供廻りは 厳重にて手が出せぬ 460 00:36:40,316 --> 00:36:45,154 討つとなれば 相手の 虚をつくしかないと存ずるが… 461 00:36:45,154 --> 00:36:50,126 まず相手の面体を 確かめておかれることが肝要 462 00:36:50,126 --> 00:36:54,263 誰か心利いた者を 463 00:36:54,263 --> 00:36:59,263 ≪(鐘の音) 464 00:37:05,274 --> 00:37:07,274 何者だ? 465 00:37:10,146 --> 00:37:12,146 人に恨みを受ける覚えはない 466 00:37:14,283 --> 00:37:16,219 おぬしら… 467 00:37:16,219 --> 00:37:18,219 (桑原)トーッ! 468 00:37:22,158 --> 00:37:24,158 ヤーッ! 469 00:37:32,301 --> 00:37:34,301 (河加部)ご… ご助勢! 470 00:37:36,172 --> 00:37:39,175 ひけ! 471 00:37:39,175 --> 00:37:41,175 ま… 待て! 472 00:37:43,246 --> 00:37:49,118 いや どうも 何かあっては ならんと思いましたんで… 473 00:37:49,118 --> 00:37:54,257 では これで 待たれい 474 00:37:54,257 --> 00:37:57,159 貴公は あの者たちと 通じているんだな? 475 00:37:57,159 --> 00:38:04,267 いえいえ 違います! 拙者は… 何者だ? あれは 476 00:38:04,267 --> 00:38:09,267 分かりません 同じ藩の者でもか? 477 00:38:14,277 --> 00:38:18,277 ≪(金八)あ… おかえりなさい ああ 478 00:38:28,291 --> 00:38:32,291 (ため息) 椙江 帰ったぞ 479 00:38:45,241 --> 00:38:48,144 新山どのに引き止められてな 480 00:38:48,144 --> 00:38:54,250 椙江… 断りきれなかった 分かってくれるな? 481 00:38:54,250 --> 00:39:00,122 やらなければ 恩義に報いることができんのだ 482 00:39:00,122 --> 00:39:05,261 だが… 人ひとりを斬るということは… 483 00:39:05,261 --> 00:39:11,133 ≪(金八)先生 先生! どうした? 484 00:39:11,133 --> 00:39:13,133 どうしたじゃありませんよ 485 00:39:15,271 --> 00:39:18,174 やっぱり ひとりじゃねえですか あっしは また てっきり… 486 00:39:18,174 --> 00:39:21,143 これが出たのかと思ってよ! (猪之松)馬鹿野郎! 487 00:39:21,143 --> 00:39:23,145 だから お前は 慌て者だっていうんだよ! 488 00:39:23,145 --> 00:39:25,281 びっくりするじゃねえか お前! (金八)先生 お前➡ 489 00:39:25,281 --> 00:39:28,184 「すぎえ~」なんて お前 言うもんだからよ 490 00:39:28,184 --> 00:39:34,290 ハハハ すまんすまん どうしても 死んだとは思えんのでな 491 00:39:34,290 --> 00:39:40,162 つい 話しかけてしまうんだ (猪之松)へえ そんなもんですかね 492 00:39:40,162 --> 00:39:42,098 あっしなんか かかあが ぽっくり逝きやがったら➡ 493 00:39:42,098 --> 00:39:44,100 せいせいしますがねえ (金八)そうだよなぁ 494 00:39:44,100 --> 00:39:46,235 おめでとう おめでとうって言って よかったよかったってんでね 495 00:39:46,235 --> 00:39:49,138 長屋中に赤飯か何か ぱ~っと配ってね そのあと➡ 496 00:39:49,138 --> 00:39:51,107 色街か何かに繰り込んでよう おい 猪さん! 497 00:39:51,107 --> 00:39:53,109 お前 1杯いけよ (猪之松)悪いな金さん ハハハッ 498 00:39:53,109 --> 00:39:55,244 おい 花魁 まだかよ (猪之松)ハハハハッ… 499 00:39:55,244 --> 00:39:58,147 それが集まると あら えっさっさっさ! 500 00:39:58,147 --> 00:40:00,116 盆踊りの稽古? 501 00:40:00,116 --> 00:40:03,119 何だい… おそのちゃんこそ 今ごろ何だい? 502 00:40:03,119 --> 00:40:05,254 先生 着物直しておきました 503 00:40:05,254 --> 00:40:11,127 すまんな 面倒ばかりかけて いいえ それじゃ 504 00:40:11,127 --> 00:40:13,127 あ… 送っていこう 505 00:40:15,264 --> 00:40:19,135 ねえ 先生… いつからお城へいらっしゃるの? 506 00:40:19,135 --> 00:40:23,139 うん? うむ… 507 00:40:23,139 --> 00:40:28,139 やはり四十九日が済まないと 駄目なんですか? うむ… 508 00:40:30,279 --> 00:40:33,182 なあ おそのちゃん… 509 00:40:33,182 --> 00:40:40,289 椙江は 「思い残すことは何もない 幸せだ」と言ってくれた 510 00:40:40,289 --> 00:40:44,160 だが本当に そうだったのだろうかな… 511 00:40:44,160 --> 00:40:47,163 あっ… 512 00:40:47,163 --> 00:40:52,301 椙江のためには 何ひとつしてやれなかった 513 00:40:52,301 --> 00:40:55,204 精一杯してやりたいと思っていた 514 00:40:55,204 --> 00:40:59,175 できるだけのことは してやったつもりだった 515 00:40:59,175 --> 00:41:03,312 でもな… こうして死なれてみると➡ 516 00:41:03,312 --> 00:41:06,215 拙者のような男に ついてきたことが➡ 517 00:41:06,215 --> 00:41:09,185 果たして 本当に幸せだったのか… 518 00:41:09,185 --> 00:41:11,187 拙者の世間知らずが➡ 519 00:41:11,187 --> 00:41:15,187 あの人の一生を あんなふうにしてしまったんだ 520 00:41:17,326 --> 00:41:23,199 悲しいもんだな 人間なんて… まったくむなしい 521 00:41:23,199 --> 00:41:28,337 ≪(馬が駆ける音) 522 00:41:28,337 --> 00:41:48,290 ♬~ 523 00:41:48,290 --> 00:41:54,163 ♬~ 524 00:41:54,163 --> 00:41:56,163 どうしたのかしら 一体… 525 00:42:11,313 --> 00:42:15,184 殿が急に帰られたんです 参勤交代の帰りで➡ 526 00:42:15,184 --> 00:42:18,187 まだ 浜松辺りだろうと 言い合っていたんですが 527 00:42:18,187 --> 00:42:20,322 すると ゆうべの… 528 00:42:20,322 --> 00:42:23,225 ご覧になられたんですか? うむ… 529 00:42:23,225 --> 00:42:27,196 早駕籠だった 騎馬の侍たちを先導に… 530 00:42:27,196 --> 00:42:32,334 だが 供侍が 少なかったところを見ると➡ 531 00:42:32,334 --> 00:42:36,205 行列より先に戻られたのかな… どうも そのようです 532 00:42:36,205 --> 00:42:39,208 重臣たちも 急ぎ登城いたしましたし… 533 00:42:39,208 --> 00:42:43,208 ハッ 来ました! あれです! 534 00:42:58,294 --> 00:43:00,229 なるほど 535 00:43:00,229 --> 00:43:05,167 意地の悪そうな面構えだな でも 小房どのは きれいです 536 00:43:05,167 --> 00:43:09,305 小房? 何だ それは? 曽我さまの末娘です 537 00:43:09,305 --> 00:43:12,208 ほう 家中随一の美人という評判で… 538 00:43:12,208 --> 00:43:16,178 それは もう美しいお方です それで? 539 00:43:16,178 --> 00:43:22,318 いえ… 若い侍で 小房どのを 思わぬ者はありませんので 540 00:43:22,318 --> 00:43:26,318 おぬしもか? 大好きです 541 00:43:29,191 --> 00:43:32,328 ハァ… でも心配です 桑原たちがいますから 542 00:43:32,328 --> 00:43:37,199 桑原? あの先頭にいる侍です 543 00:43:37,199 --> 00:43:45,274 ほう… あれと後ろの2人は ゆうべ襲ってきた連中だな 544 00:43:45,274 --> 00:43:49,144 すいません 昨日は知らないと言いましたが➡ 545 00:43:49,144 --> 00:43:53,148 3人とも藩校で 机を並べて勉強した仲間です 546 00:43:53,148 --> 00:43:56,285 白状したな 547 00:43:56,285 --> 00:43:59,188 もう ひとつ白状していいですか? なに? 548 00:43:59,188 --> 00:44:01,156 あなたが 曽我さまを斬りそうなので➡ 549 00:44:01,156 --> 00:44:03,158 桑原たちに 知らせたのは私ですが… 550 00:44:03,158 --> 00:44:09,298 桑原たちは あなたを騙して 連れてこいと言っています ほう 551 00:44:09,298 --> 00:44:11,233 私は あんまり 人を騙したりするのは➡ 552 00:44:11,233 --> 00:44:13,233 好きではないんで白状しますが… 553 00:44:15,170 --> 00:44:18,307 やめてくれませんか 曽我さまを斬るのは 554 00:44:18,307 --> 00:44:21,210 なぜだ? 小房どのが悲しむからです 555 00:44:21,210 --> 00:44:23,178 それは とても つらいことです 556 00:44:23,178 --> 00:44:29,318 それに… 誰が次の藩主になろうと➡ 557 00:44:29,318 --> 00:44:32,221 私たちには あまり関係がありませんので 558 00:44:32,221 --> 00:44:35,190 次の藩主? 559 00:44:35,190 --> 00:44:39,328 いま当藩では お世継ぎの問題で 2つに別れて争っています 560 00:44:39,328 --> 00:44:42,231 御主君 忠辰さまには お子さまがないので➡ 561 00:44:42,231 --> 00:44:46,135 遠縁の旗本 水野平十郎さまの 次男の長十郎さまを➡ 562 00:44:46,135 --> 00:44:49,138 お迎えすることは 数年前に決まっていました 563 00:44:49,138 --> 00:44:51,273 今のお殿さまのご意志なんです 564 00:44:51,273 --> 00:44:55,144 でも 「それはいかん 弟君の 兵庫さまを立てるべきだ」と➡ 565 00:44:55,144 --> 00:44:57,146 頑張り始めた人たちがおりまして 566 00:44:57,146 --> 00:45:01,283 曽我忠左衛門か? いえ 私の主人たちです 567 00:45:01,283 --> 00:45:03,218 何だと!? 568 00:45:03,218 --> 00:45:06,155 どちらも 自分たちの推す 次の藩主を立てて➡ 569 00:45:06,155 --> 00:45:08,157 権力を握りたいためでしょう 570 00:45:08,157 --> 00:45:12,294 だから 私たちには関係がないし 桑原たちも そう言ってるんです 571 00:45:12,294 --> 00:45:16,165 しかし おぬしたちは 斬ろうとしたではないか 拙者を 572 00:45:16,165 --> 00:45:20,169 だから それは 小房どのを 悲しませたくないからです 573 00:45:20,169 --> 00:45:25,307 ≪(馬が駆ける音) 574 00:45:25,307 --> 00:45:27,242 小房どのです ほう 575 00:45:27,242 --> 00:45:31,242 あれが家中随一の美人か そうです 576 00:45:37,319 --> 00:45:41,190 桑原たちは曽我派なので 近くで小房どのを見られますが➡ 577 00:45:41,190 --> 00:45:44,126 私は そうはいかないんで こうして 毎日 木の陰から 578 00:45:44,126 --> 00:45:47,129 毎日!? ええ 579 00:45:47,129 --> 00:45:51,266 馬だけではなく 長刀も小太刀も 使うという偉丈夫です 580 00:45:51,266 --> 00:45:55,137 でも お花やお茶も 当家随一だというし➡ 581 00:45:55,137 --> 00:45:59,141 あんな人を妻に迎えられたら 私は もう死んでも… 582 00:45:59,141 --> 00:46:01,141 (小房)ハイ! ハッ! 583 00:46:09,284 --> 00:46:12,187 ど… どこへ? 曽我に会おう 584 00:46:12,187 --> 00:46:16,158 やはり 斬るのですか!? 曽我さまを 585 00:46:16,158 --> 00:46:19,294 帰れ帰れ! 貴様のような奴に用はない 586 00:46:19,294 --> 00:46:22,197 拙者のほうにある 曽我忠左衛門どのに御意を得たい 587 00:46:22,197 --> 00:46:27,197 (杉田)帰れ! 帰らんと… ≪(小房)何を騒いでいるのです? 588 00:46:37,312 --> 00:46:46,121 ♬~ 589 00:46:46,121 --> 00:46:48,257 (小房)お通しなさい 590 00:46:48,257 --> 00:46:52,127 会いたいと申されてる者を 失礼であろう (武藤)しかし… 591 00:46:52,127 --> 00:46:55,130 私がお通しなさいと 申しているのです! 592 00:46:55,130 --> 00:46:58,267 これへ どうぞ 593 00:46:58,267 --> 00:47:12,281 ♬~ 594 00:47:12,281 --> 00:47:15,184 父上 (曽我)分かっておる 595 00:47:15,184 --> 00:47:18,184 あれほど大きな声で やり合うてはな 596 00:47:24,293 --> 00:47:27,196 拙者は 名もなき浪人です 597 00:47:27,196 --> 00:47:30,196 あなたのお命を ちょうだいしに まいった 598 00:47:34,303 --> 00:47:37,206 (曽我) そう正面から乗り込むようでは➡ 599 00:47:37,206 --> 00:47:44,113 よほど愚かか 自信があるのだな 真実が知りたいからです 600 00:47:44,113 --> 00:47:49,251 あなたは当岡崎藩にとって 忠臣であるか悪臣であるか 601 00:47:49,251 --> 00:47:51,186 なに? 602 00:47:51,186 --> 00:47:55,124 愚かな尋ね方ですが それよりほかに方法がない 603 00:47:55,124 --> 00:47:58,260 武士として 偽らぬご返事を伺いたい 604 00:47:58,260 --> 00:48:02,131 新山から いくらもらった? 605 00:48:02,131 --> 00:48:04,133 では 伺うが➡ 606 00:48:04,133 --> 00:48:09,271 当岡崎藩 お世継ぎのことにつき 曽我どのや新山どのが➡ 607 00:48:09,271 --> 00:48:13,271 2派に別れて争われていることは 事実でございますな? 608 00:48:15,144 --> 00:48:18,280 そのとおりだ もう ひとつ 609 00:48:18,280 --> 00:48:22,151 藩主 忠辰さまの 行わんとした藩の改革を➡ 610 00:48:22,151 --> 00:48:25,154 ことごとく旧制に復し 抑え込まれたのは➡ 611 00:48:25,154 --> 00:48:31,293 曽我どのでございますな? ことごとくとは言わんが わしだ 612 00:48:31,293 --> 00:48:34,196 ために忠辰さまが 政を投げ出され➡ 613 00:48:34,196 --> 00:48:36,165 放埒な毎日を送るように なられたのは… 614 00:48:36,165 --> 00:48:39,168 放埒までは勧めん! 615 00:48:39,168 --> 00:48:43,238 勧めたのは新山だ 新山どのが!? 616 00:48:43,238 --> 00:48:46,141 信じる信じないは そのほうの勝手だが 617 00:48:46,141 --> 00:48:51,113 それでまだ そのほうの目に わしは悪臣と映るかな? 618 00:48:51,113 --> 00:48:56,251 それが分からぬから お尋ねしているのです 619 00:48:56,251 --> 00:48:58,187 人ひとりの命を奪うからには➡ 620 00:48:58,187 --> 00:49:01,123 はっきり それを知ったうえでなければ 621 00:49:01,123 --> 00:49:05,260 ハハハハッ… 分かった 斬られるのは困る 622 00:49:05,260 --> 00:49:09,260 では斬られないために 説明するといたそう 623 00:49:12,134 --> 00:49:14,269 どうだ? 裏山を歩かんか 624 00:49:14,269 --> 00:49:17,172 歩きながら ゆっくり (桑原)ご家老! 625 00:49:17,172 --> 00:49:20,172 小房 誰も来てはならぬぞ 626 00:49:28,283 --> 00:49:32,154 確かに どちらも 正しいといえば正しいし➡ 627 00:49:32,154 --> 00:49:35,157 正しくないといえば どちらもそうだ 628 00:49:35,157 --> 00:49:37,292 2つに 別れる意見などというものは➡ 629 00:49:37,292 --> 00:49:40,292 えてして そういうものではないのかな? 630 00:49:47,102 --> 00:49:51,240 しかし 忠辰さまは まだ 30歳にも満たぬと伺いました 631 00:49:51,240 --> 00:49:55,110 それなのに なぜ そのように お世継ぎのことを? 632 00:49:55,110 --> 00:50:00,249 それはな 新山たちが 弟君 兵庫さまを推して➡ 633 00:50:00,249 --> 00:50:02,184 「忠辰さまは気がふれた」 634 00:50:02,184 --> 00:50:07,122 「発狂なされた」と幕府へ 届け出たからだ 発狂!? 635 00:50:07,122 --> 00:50:11,260 確かに そう言われても 致し方ない面はある 636 00:50:11,260 --> 00:50:15,130 遊女を身請けし 度重なる母君の おいさめにも関わらず➡ 637 00:50:15,130 --> 00:50:20,269 ご乱行は収まらん ために母君は心痛のあまり… 638 00:50:20,269 --> 00:50:24,139 江戸表にて ご自害なされた 自害!? 639 00:50:24,139 --> 00:50:28,143 その命日にも代参を立てて 墓参りもなされず➡ 640 00:50:28,143 --> 00:50:31,280 殿の不行跡が続くとあれば➡ 641 00:50:31,280 --> 00:50:34,182 「殿 発狂」と 届けられても致し方ない 642 00:50:34,182 --> 00:50:37,152 しかし その不行跡の原因は… 643 00:50:37,152 --> 00:50:42,291 確かに この曽我忠左衛門に責任がある 644 00:50:42,291 --> 00:50:45,193 それゆえ 殿のお望みどおり 水野長十郎さまを➡ 645 00:50:45,193 --> 00:50:48,163 お世継ぎに お迎えすることに決めた 646 00:50:48,163 --> 00:50:52,301 それを新山が… 647 00:50:52,301 --> 00:50:57,172 おぬし いま 殿は どこにおられると思う? 648 00:50:57,172 --> 00:51:01,310 殿は 江戸の帰りに 浜松まで戻られた 649 00:51:01,310 --> 00:51:08,183 その殿を新山は突如 襲って お城の座敷牢に押し込め奉った 650 00:51:08,183 --> 00:51:10,319 五十と申したな? 651 00:51:10,319 --> 00:51:14,189 確かに わしは 殿にとって よい家老ではなかった 652 00:51:14,189 --> 00:51:19,328 しかし 殿のご信任をあれほど得て 家老職にまで上りながら➡ 653 00:51:19,328 --> 00:51:22,230 たとえ 気休めとはいえ 放埒を勧め➡ 654 00:51:22,230 --> 00:51:26,201 あまつさえ ご乱行を理由に 押し込め奉るようなことは➡ 655 00:51:26,201 --> 00:51:28,337 わしにはできぬ 656 00:51:28,337 --> 00:51:33,208 もし わしを倒すことが 藩の大事であると思うなら 657 00:51:33,208 --> 00:51:35,210 わしならば人の手は借りぬ 658 00:51:35,210 --> 00:51:38,347 誠の心をもって 倒すべきだと思うなら➡ 659 00:51:38,347 --> 00:51:42,347 なぜ自らの一命をなげうって 当たろうとはせぬのだ!? 660 00:51:45,153 --> 00:51:50,292 血を流さずに 全てを 片づけようと思うたのになぁ 661 00:51:50,292 --> 00:51:59,301 ♬~ 662 00:51:59,301 --> 00:52:03,171 (天野)いかがなされた? 新山どのに お伝え願いたい 663 00:52:03,171 --> 00:52:07,171 曽我忠左衛門は 確かに討ち取ったと 664 00:52:13,315 --> 00:52:17,315 曽我を討ち取ったと聞いたが 誠であろうな? 665 00:52:21,189 --> 00:52:27,189 これは 先日 お貸しいただいた衣服と大小 666 00:52:29,331 --> 00:52:36,204 それと 金子50両 お受け取りくださるよう 667 00:52:36,204 --> 00:52:40,342 何を言われる これは もとより拙者から… 668 00:52:40,342 --> 00:52:44,212 いや お受け取りいただきたい 669 00:52:44,212 --> 00:52:49,151 約束どおり 曽我忠左衛門の お命は ちょうだいいたした 670 00:52:49,151 --> 00:52:55,290 また 借用した衣服 大小 金子も ご返済いたした 671 00:52:55,290 --> 00:52:59,161 このうえは ただ 当地を立ち退くだけ 672 00:52:59,161 --> 00:53:01,163 ご異存ございますまいな? 673 00:53:01,163 --> 00:53:05,300 無論 異存など あるべきはずもないが… 674 00:53:05,300 --> 00:53:07,235 これにて 過日のご恩は➡ 675 00:53:07,235 --> 00:53:11,173 相殺されたと存じて よろしゅうございますな? 676 00:53:11,173 --> 00:53:15,310 よろしければ これにて おいとまつかまつりたいが… 677 00:53:15,310 --> 00:53:18,213 いや 待たれい 678 00:53:18,213 --> 00:53:20,213 (手をたたく音) 679 00:53:34,329 --> 00:53:38,200 この者が 内通しておることが分かってな 680 00:53:38,200 --> 00:53:44,139 従って おぬしのことは全て 曽我側へ漏れておる 681 00:53:44,139 --> 00:53:50,278 その曽我が手もなく討たれるとは 到底 思えぬのだが 682 00:53:50,278 --> 00:53:56,151 察するに怖気を震い 討ち取ったと 称して 逃げるつもりだったのか? 683 00:53:56,151 --> 00:54:00,288 新山どの では拙者も伺おう 684 00:54:00,288 --> 00:54:05,160 なぜ そのように疑われる? なに? 685 00:54:05,160 --> 00:54:09,297 拙者は貴殿のお人柄 厚意を信ずればこそ➡ 686 00:54:09,297 --> 00:54:13,168 曽我どのを倒すことを承知した 687 00:54:13,168 --> 00:54:16,171 まこと拙者の その気持ちを信ずるのなら➡ 688 00:54:16,171 --> 00:54:19,171 そのようなお疑いは なされなんだはず! 689 00:54:21,309 --> 00:54:26,181 やはり 貧しい浪人と見て 金で釣ろうとされたのだな 690 00:54:26,181 --> 00:54:29,184 そうではないと申したら 何とする? 691 00:54:29,184 --> 00:54:34,322 おぬしが曽我に会い そこで 何を言われたかは知らぬが➡ 692 00:54:34,322 --> 00:54:37,225 あのような奸物の言うことを 真に受けるとは 693 00:54:37,225 --> 00:54:43,131 フッ… 所詮 浪人は浪人 頼りにならぬものよのぅ 694 00:54:43,131 --> 00:54:48,270 借りた物を返せば済んだ? それも人をたばかって! 695 00:54:48,270 --> 00:54:52,140 それで済むと思うているのか? 696 00:54:52,140 --> 00:54:56,144 もう頼まぬ 引き取るがよい 697 00:54:56,144 --> 00:55:01,283 さようか これで拙者も荷が下りた 698 00:55:01,283 --> 00:55:05,153 これにて 御免つかまつろう 699 00:55:05,153 --> 00:55:08,156 (河加部)あ… い… 五十どの! 700 00:55:08,156 --> 00:55:10,156 テヤッ! 701 00:55:15,297 --> 00:55:19,167 (新山)このまま 屋敷を 出られるとでも思うていたか 702 00:55:19,167 --> 00:55:22,170 (新山) 恐れるな! 相手は竹光だ 斬れ! 703 00:55:22,170 --> 00:55:30,312 ♬~ 704 00:55:30,312 --> 00:55:32,312 斬れ! 705 00:55:35,183 --> 00:55:37,185 逃がすな! 706 00:55:37,185 --> 00:55:57,272 ♬~ 707 00:55:57,272 --> 00:56:17,292 ♬~ 708 00:56:17,292 --> 00:56:36,311 ♬~ 709 00:56:36,311 --> 00:56:38,246 ≪(桑原)五十どの! 710 00:56:38,246 --> 00:56:40,246 (桑原)かかれ! 加勢するぞ! 711 00:56:42,117 --> 00:56:47,255 家臣を傷つけるのは本意ではない 2人だけの勝負を 712 00:56:47,255 --> 00:56:49,255 おのれ… 713 00:56:51,126 --> 00:56:53,126 待たれ! 714 00:56:55,130 --> 00:56:59,267 この者は私どもの客人 大切な者ゆえ 預かっていきます 715 00:56:59,267 --> 00:57:04,267 ひけ! 目付けの者たちが来ます ひくのです! 716 00:57:17,285 --> 00:57:19,220 おぬし… 717 00:57:19,220 --> 00:57:25,160 初めから わしも新山も 斬る気はなかったのぅ? 718 00:57:25,160 --> 00:57:28,296 わしも おぬしと 同じことを考えてのぅ 719 00:57:28,296 --> 00:57:32,167 血を見ずに新山を片づけて わしも隠居する 720 00:57:32,167 --> 00:57:39,167 つまり けんか両成敗の形で争いが 鎮まらぬものかと思うてのぅ 721 00:57:42,243 --> 00:57:46,114 おぬし なぜ 刀を抜かぬ? 722 00:57:46,114 --> 00:57:49,117 今日などは おのれの刀でのうても➡ 723 00:57:49,117 --> 00:57:54,255 相手の刀を奪ってでも 斬れたであろうに 724 00:57:54,255 --> 00:57:58,126 今まで何度か仕官が かないそうになりますと➡ 725 00:57:58,126 --> 00:58:01,129 立ち合った相手に襲われるとか➡ 726 00:58:01,129 --> 00:58:06,267 刀を抜く度に 拙者の剣が不幸を呼びました 727 00:58:06,267 --> 00:58:08,203 不幸を? 728 00:58:08,203 --> 00:58:13,141 拙者ひとりならば 何度でも耐えられます 729 00:58:13,141 --> 00:58:17,278 しかし その度に 妻を不幸せにしてまいりました 730 00:58:17,278 --> 00:58:20,181 それで? 731 00:58:20,181 --> 00:58:24,152 この度のことも 拙者だけが知らぬこととして➡ 732 00:58:24,152 --> 00:58:28,289 ご当地を立ち退けば 事は済むと… 733 00:58:28,289 --> 00:58:32,160 う~む… そうもいかんのぅ 734 00:58:32,160 --> 00:58:35,163 このままでは 血気に はやった小房らが➡ 735 00:58:35,163 --> 00:58:42,237 何をしでかすか分からんでなぁ わしは臆病者でな 血が嫌いじゃ 736 00:58:42,237 --> 00:58:48,109 血は血を呼ぶ 憎しみだけが あとに残る 737 00:58:48,109 --> 00:58:54,249 何とか血を見ぬ手だてを… おぬし 考えてくれぬか? 738 00:58:54,249 --> 00:58:56,184 拙者が? うむ… 739 00:58:56,184 --> 00:59:03,258 今日の働きや 今のおぬしの 話を聞いて わしはできると見た 740 00:59:03,258 --> 00:59:09,130 亡き妻女への思いを 踏みにじった新山への意趣返し 741 00:59:09,130 --> 00:59:13,268 血を見せずに 応えてみては どうかな? 742 00:59:13,268 --> 00:59:16,171 不思議なものでございますな… 743 00:59:16,171 --> 00:59:23,278 いや… これも何かの引き合わせかと 744 00:59:23,278 --> 00:59:27,148 小房どのと 亡くなりました拙者の妻は➡ 745 00:59:27,148 --> 00:59:33,288 その面影が… いや 面影と申すより まったくの瓜二つ 746 00:59:33,288 --> 00:59:38,159 初めてお見かけしたときは 妻が生き返ったのかと… 747 00:59:38,159 --> 00:59:43,159 ほ~う それほど似ておられたか はい 748 00:59:45,233 --> 00:59:52,106 ああ… どうであろう ご妻女の供養のためにも➡ 749 00:59:52,106 --> 00:59:57,245 血の嫌いな わしに 力を貸してくれぬか? 750 00:59:57,245 --> 01:00:00,148 もはや 新山一派の重臣たちを➡ 751 01:00:00,148 --> 01:00:03,117 ことごとく倒すより ほかありません 752 01:00:03,117 --> 01:00:06,254 誰もが分かっていて それをせぬ以上➡ 753 01:00:06,254 --> 01:00:11,125 私どもが それをやらねば… しかし 人を斬るのは よくない 754 01:00:11,125 --> 01:00:14,128 剣は そのためにあるのではなく あくまで武術は➡ 755 01:00:14,128 --> 01:00:18,266 身を守るためにあるものだ (桑原)しかし… 756 01:00:18,266 --> 01:00:21,169 重臣たちを倒せば その家来たちは➡ 757 01:00:21,169 --> 01:00:25,139 侍の面目に懸けても おぬしたちを倒すだろう 758 01:00:25,139 --> 01:00:28,276 そうなれば 争いは果てしなくなる 759 01:00:28,276 --> 01:00:31,179 では このまま新山一派の なすがままにしておれと? 760 01:00:31,179 --> 01:00:33,147 そうではない 761 01:00:33,147 --> 01:00:38,286 今の藩の争いが お世継ぎのための ものであるならば➡ 762 01:00:38,286 --> 01:00:41,189 まず 幽閉されている 忠辰さまを救い出し➡ 763 01:00:41,189 --> 01:00:44,158 それぞれの立場の者が 論を尽くして➡ 764 01:00:44,158 --> 01:00:48,296 誰に決めるかを衆議すればよい (河加部)そうは言われても➡ 765 01:00:48,296 --> 01:00:53,167 忠辰さまは城中の座敷牢に… それをどうやって? 766 01:00:53,167 --> 01:00:57,305 (忠辰)に… 新山を呼べ! 出せ! 出さんか! 767 01:00:57,305 --> 01:01:02,305 アア! 出せ! 出さんかーっ! 768 01:01:05,179 --> 01:01:09,317 では 父に頼んで 家臣を1か所に集め… 769 01:01:09,317 --> 01:01:15,189 まあ そうすれば いくらかでも 座敷牢の警護は手薄になるだろう 770 01:01:15,189 --> 01:01:17,191 その時をねらって… 771 01:01:17,191 --> 01:01:22,330 いや しかし 首尾よく 座敷牢から救い出したとしても➡ 772 01:01:22,330 --> 01:01:26,200 家臣のひしめく城内から どうやって殿をお城の外へ… 773 01:01:26,200 --> 01:01:30,204 それだ… できるかぎり斬り合いを避け➡ 774 01:01:30,204 --> 01:01:34,204 無事 忠辰さまを 城外へ お連れするためには… 775 01:01:38,346 --> 01:01:40,346 そうだ 776 01:01:42,216 --> 01:01:46,154 前にも あの舟が城内に入るのを… 777 01:01:46,154 --> 01:01:48,156 肥舟!? 778 01:01:48,156 --> 01:01:51,292 あのぅ… 肥舟を あっしらが こぐんで? 779 01:01:51,292 --> 01:01:55,292 頼む! 岡崎藩の 浮沈が懸かった一大事なんだ! 780 01:01:57,165 --> 01:02:01,302 何とぞ 殿のおために! 五十どのからも頼まれたんだ! 781 01:02:01,302 --> 01:02:05,173 頼む! (金八)まあ これは ご丁寧に 782 01:02:05,173 --> 01:02:07,173 あ… これは どうも 783 01:02:21,322 --> 01:02:25,322 まだ お休みには? はい 784 01:02:27,195 --> 01:02:29,195 明日のことを思うと… 785 01:02:38,339 --> 01:02:44,145 五十さま… 先ほど 父上から伺いましたが➡ 786 01:02:44,145 --> 01:02:48,149 亡くなられた奥方さまは… えっ? 787 01:02:48,149 --> 01:02:53,149 本当でございますか? 他人の空似とは思えぬと… 788 01:02:58,292 --> 01:03:05,292 嘘ではない 驚くほど似ている 不思議なほどだ 789 01:03:07,301 --> 01:03:14,301 そのお方のために 新山どのの策に 乗ぜられたことも伺いました 790 01:03:16,310 --> 01:03:18,246 明日の殿 お救い出しのことも➡ 791 01:03:18,246 --> 01:03:22,246 亡くなられた その方への 供養のためとか 792 01:03:24,185 --> 01:03:30,324 でも それほどまで 夫に思われるお方は お幸せ… 793 01:03:30,324 --> 01:03:33,324 羨ましいお方… 794 01:03:38,199 --> 01:03:40,334 小房どの 795 01:03:40,334 --> 01:03:54,282 ♬~ 796 01:03:54,282 --> 01:04:02,282 拙者は妻を 拙者のわがままゆえに 死なせてしまったのだ 797 01:04:04,292 --> 01:04:08,162 男というものは勝手なものだ 798 01:04:08,162 --> 01:04:13,301 己は己の思うように生き 恬として恥じず➡ 799 01:04:13,301 --> 01:04:18,301 つい 連れ添う者も それを 許してくれていると思い込む 800 01:04:20,174 --> 01:04:23,311 忘れているのだ… そのとき 己とは➡ 801 01:04:23,311 --> 01:04:28,311 違う血の通った人間が それに耐えようとしていることを 802 01:04:30,184 --> 01:04:37,325 いいえ… それで よろしいのではございませんか 803 01:04:37,325 --> 01:04:43,131 私なら… いいえ 亡くなられた奥方さまも➡ 804 01:04:43,131 --> 01:04:49,270 決してつらいとは お思いに なっていらっしゃらなかったと 805 01:04:49,270 --> 01:04:53,270 そうした五十さまが やはり いとおしいと… 806 01:04:55,143 --> 01:04:58,279 そう思っていらっしゃったと 807 01:04:58,279 --> 01:05:07,288 ♬~ 808 01:05:07,288 --> 01:05:13,161 明日また このように お話しすることができますように 809 01:05:13,161 --> 01:05:29,310 ♬~ 810 01:05:29,310 --> 01:05:40,310 ≪(太鼓の音) 811 01:05:43,257 --> 01:05:50,131 総登城!? 何ゆえ 今ごろ… まさか… 812 01:05:50,131 --> 01:05:54,268 (藩士たち)お待ちください! (曽我)下がらぬか! 813 01:05:54,268 --> 01:05:56,268 ≪(松原)待て待て! 待て! 814 01:05:58,139 --> 01:06:01,142 (松原)曽我どの! 何ゆえ総登城のふれを!? 815 01:06:01,142 --> 01:06:04,278 藩士一同 大広間へ! 816 01:06:04,278 --> 01:06:06,214 お世継ぎのことについて ご決定がある! 817 01:06:06,214 --> 01:06:09,150 一同 大広間へ! (牛尾)何を言われる!? 818 01:06:09,150 --> 01:06:13,287 既に大勢は… (曽我)大広間じゃ! 大広間へ! 819 01:06:13,287 --> 01:06:17,158 (坂本)曽我どの! 曽我どの! (松原)何ゆえ 総登城のふれを!? 820 01:06:17,158 --> 01:06:37,311 ♬~ 821 01:06:37,311 --> 01:06:57,265 ♬~ 822 01:06:57,265 --> 01:07:17,285 ♬~ 823 01:07:17,285 --> 01:07:37,305 ♬~ 824 01:07:37,305 --> 01:07:41,175 ♬~ 825 01:07:41,175 --> 01:07:43,175 (天野)ご家老! 826 01:07:47,114 --> 01:07:50,251 曽我の一派はいかがいたした? (井上)申し訳ありません 827 01:07:50,251 --> 01:07:54,121 何せ 突然のふれのため 我らも 急ぎ登城せねばならず… 828 01:07:54,121 --> 01:07:58,125 捜せ! 見つけしだい斬れ! (2人)はっ! 829 01:07:58,125 --> 01:08:18,279 ♬~ 830 01:08:18,279 --> 01:08:22,149 ♬~ 831 01:08:22,149 --> 01:08:25,152 (金八) ウワッ くせえ こりゃ! ウワッ 832 01:08:25,152 --> 01:08:28,289 おい 随分 深えぜ (猪之松)閉めろって! 833 01:08:28,289 --> 01:08:32,159 におって しょうがねえじゃねえか (金八)しかしよ 一体➡ 834 01:08:32,159 --> 01:08:35,162 何をやらかそうってんだろうな 甘之助の先生はよう 835 01:08:35,162 --> 01:08:37,298 何だっていいけどよ 肥舟が➡ 836 01:08:37,298 --> 01:08:39,233 お城ん中入れるとは 思わなかったぜ 837 01:08:39,233 --> 01:08:42,136 そりゃそうだよなぁ ためとくわけにはいかねえし➡ 838 01:08:42,136 --> 01:08:45,136 こうした舟で 運び出さねえ ことにはなぁ (金八)うん 839 01:08:58,252 --> 01:09:01,252 おっ! あそこだ! (猪之松)えっ!? 840 01:09:04,125 --> 01:09:06,127 (金八)ご苦労さまでございます (猪之松)どうも 841 01:09:06,127 --> 01:09:11,265 掛野郷の庄屋 清右衛門差配の 百姓でございます 842 01:09:11,265 --> 01:09:15,136 いつものように お城の下掃除に へい 843 01:09:15,136 --> 01:09:19,140 鑑札は これでございます! 844 01:09:19,140 --> 01:09:24,140 よし通れ! 上げろ! (金八)ありがとうございます 845 01:09:26,280 --> 01:09:29,183 (猪之松)よっ (金八)どうも… 846 01:09:29,183 --> 01:09:49,236 ♬~ 847 01:09:49,236 --> 01:10:09,256 ♬~ 848 01:10:09,256 --> 01:10:11,256 向こうへ回れ うむ… 849 01:10:17,131 --> 01:10:20,267 (藩士たち)いたぞ! 待て! 850 01:10:20,267 --> 01:10:23,170 (藩士たち)ウワッ! 851 01:10:23,170 --> 01:10:40,287 ♬~ 852 01:10:40,287 --> 01:10:45,159 (藩士)誰だ!? おい! ウッ グワッ 853 01:10:45,159 --> 01:10:57,304 ♬~ 854 01:10:57,304 --> 01:11:00,207 (藩士)オッ! 855 01:11:00,207 --> 01:11:04,207 斬るな! (藩士たち)ウワッ! 856 01:11:06,313 --> 01:11:10,184 (忠辰)ここだ! ここだぞ! おい! お~い! 857 01:11:10,184 --> 01:11:14,188 ≪(忠辰)ここだ! ここだぞ! ≪(藩士)ウワッ! 858 01:11:14,188 --> 01:11:18,325 (うめき声) 859 01:11:18,325 --> 01:11:20,325 (小房)鍵を早く! (藩士)はい! 860 01:11:23,197 --> 01:11:25,197 早く出せ 早く! (河加部)殿! 861 01:11:27,334 --> 01:11:30,237 おのれ! (小房)殿! 862 01:11:30,237 --> 01:11:33,207 ウワッ! 早く! 863 01:11:33,207 --> 01:11:37,344 ≪(松原)既に弟君 兵庫さまに 変更なされたはずだ! 864 01:11:37,344 --> 01:11:40,247 ≪(藩士たち)そうだ! ≪(曽我)静まれ 静まれい! 865 01:11:40,247 --> 01:11:43,150 ≪(曽我) 断じて殿のご意向に変わりはない 866 01:11:43,150 --> 01:11:47,154 ≪(松原)そのような! 既に 殿のおぼし召しは! 867 01:11:47,154 --> 01:11:50,291 ≪(藩士たち)そうだ! 868 01:11:50,291 --> 01:11:56,163 ≪(騒ぎ声) 869 01:11:56,163 --> 01:12:01,302 (天野)おりません! 庭の隅々 厠の中まで 確かめましたが… 870 01:12:01,302 --> 01:12:04,204 殿のおそばは? (井上)あそこには警固の者が… 871 01:12:04,204 --> 01:12:08,175 馬鹿者! その者たちも大方は教場の間へ 872 01:12:08,175 --> 01:12:11,312 よい! わしが行く! 873 01:12:11,312 --> 01:12:14,214 曽我から目を離すな よいな! (井上)はっ! 874 01:12:14,214 --> 01:12:34,335 ♬~ 875 01:12:34,335 --> 01:12:54,288 ♬~ 876 01:12:54,288 --> 01:13:00,160 ♬~ 877 01:13:00,160 --> 01:13:02,162 五十! 878 01:13:02,162 --> 01:13:07,301 (河加部)殿! (忠辰)おのれ 新山! ええい! 879 01:13:07,301 --> 01:13:09,301 (河加部)さあ 早く! 880 01:13:14,174 --> 01:13:17,174 出合え! 出合え! 881 01:13:19,313 --> 01:13:23,313 門を閉めろ! 大手門だ! (藩士)はっ 搦め手へ回れ! 882 01:13:26,186 --> 01:13:30,324 門を閉めろ! 早く門を閉めろ! (門番)はっ! 883 01:13:30,324 --> 01:13:33,227 早く閉めろ! 884 01:13:33,227 --> 01:13:36,196 新山さまの許しのないかぎり 誰ひとり 通すな! 885 01:13:36,196 --> 01:13:38,196 よいな! (門番)はっ! 886 01:13:43,270 --> 01:13:45,205 搦め手門を閉めろ! (門番)はっ! 887 01:13:45,205 --> 01:13:49,205 不審な者は猫1匹通すな! よいな (門番)はっ! 888 01:13:52,279 --> 01:13:55,182 ≪(藩士)待てい! 逃すな! 889 01:13:55,182 --> 01:14:06,293 ♬~ 890 01:14:06,293 --> 01:14:08,228 ≪(藩士たち)待てい! 891 01:14:08,228 --> 01:14:15,302 ♬~ 892 01:14:15,302 --> 01:14:17,237 ≪(藩士)追え! 逃がすな! (金八)来た! 893 01:14:17,237 --> 01:14:31,318 ♬~ 894 01:14:31,318 --> 01:14:33,318 さあ! 895 01:14:37,191 --> 01:14:39,193 (2人)先生! 早く! 896 01:14:39,193 --> 01:14:41,193 待て! 897 01:14:52,272 --> 01:14:55,175 大丈夫か? はい 898 01:14:55,175 --> 01:14:58,145 かたじけない (猪之松)アッ お… 奥さま! 899 01:14:58,145 --> 01:15:01,281 椙江さま…!? 900 01:15:01,281 --> 01:15:05,281 小房どの 早く! (金八)先生 その… あ… 901 01:15:09,156 --> 01:15:13,293 あの人は 一体… (猪之松)分からねえ 902 01:15:13,293 --> 01:15:16,293 早くしろ! (2人)はい! 903 01:15:25,305 --> 01:15:29,176 こちらの方へ誰か来なかったか? (門番)はっ! いえ 誰も 904 01:15:29,176 --> 01:15:33,180 いいか 怪しい者を見かけたら 誰も出すな! (門番)はっ! 905 01:15:33,180 --> 01:15:38,318 (金八)旦那! 肥舟でございます! 今日は たっぷりございました! 906 01:15:38,318 --> 01:15:41,221 (天野)なに!? このようなときに… 早く うせろ! 馬鹿者め! 907 01:15:41,221 --> 01:15:44,221 申し訳ございません エヘッ… 908 01:15:46,126 --> 01:15:49,263 毎度 ありがとうごぜえます 909 01:15:49,263 --> 01:15:54,134 上げろ! (猪之松)よいしょ 910 01:15:54,134 --> 01:15:56,134 (金八)どうも… 911 01:15:58,272 --> 01:16:01,272 (猪之松)よいしょ! 912 01:16:03,143 --> 01:16:05,143 (猪之松)よいしょ… 913 01:16:26,300 --> 01:16:28,235 (坂本)いかん みんな寝返ったぞ! 914 01:16:28,235 --> 01:16:31,171 殿が助け出されたと知って 大方の者が! 915 01:16:31,171 --> 01:16:35,309 どうする!? (新山)うろたえるな! 916 01:16:35,309 --> 01:16:38,212 殿を奪われたとあっては 我々の負けだ 917 01:16:38,212 --> 01:16:44,212 しかし たとえ1人になろうとも! おのれ… 918 01:16:48,255 --> 01:17:08,275 ♬~ 919 01:17:08,275 --> 01:17:28,295 ♬~ 920 01:17:28,295 --> 01:17:37,304 ♬~ 921 01:17:37,304 --> 01:17:40,207 新山らは 早速 蟄居を命ぜられてのぅ 922 01:17:40,207 --> 01:17:44,111 これで藩も 元の静かな姿に戻る 923 01:17:44,111 --> 01:17:49,249 それから お世継ぎもな 正式に長十郎さまにと 昨日届けた 924 01:17:49,249 --> 01:17:54,121 ハハッ… これも貴殿のおかげじゃ いや… 925 01:17:54,121 --> 01:17:59,259 曽我さまはじめ 小房どの 藩を思う方々の… 926 01:17:59,259 --> 01:18:01,194 ハハハッ… いやいやいや 927 01:18:01,194 --> 01:18:07,134 それでな これは殿のご意向でも あるのだが 役向きと話をして➡ 928 01:18:07,134 --> 01:18:14,274 貴殿に仕官の望みがあるのなら 是非ということになってのぅ 929 01:18:14,274 --> 01:18:16,209 そこもとほどの人物を➡ 930 01:18:16,209 --> 01:18:19,146 埋もれ木のまま 放っておくのはもったいない 931 01:18:19,146 --> 01:18:22,149 まあ 初めから 十分にとはいかぬが➡ 932 01:18:22,149 --> 01:18:29,289 200石で 殿のそばをお守りする 書院番 いかがかのぅ? 933 01:18:29,289 --> 01:18:34,161 おぼし召しのほど 重々 ありがたく存じます 934 01:18:34,161 --> 01:18:36,161 しかし… 935 01:18:43,236 --> 01:19:03,256 ♬~ 936 01:19:03,256 --> 01:19:23,276 ♬~ 937 01:19:23,276 --> 01:19:25,212 ♬~ 938 01:19:25,212 --> 01:19:29,149 あのぅ… 何か? 939 01:19:29,149 --> 01:19:32,285 あ… いや… 940 01:19:32,285 --> 01:19:38,158 いや 粗末だが 小房が 吟味した物だ さあ 遠慮のぅ 941 01:19:38,158 --> 01:19:43,230 お許しください 火急の用を忘れておりました 942 01:19:43,230 --> 01:19:49,102 甚だ失礼ですが 今日は これにて いや… まあ いいではないか 943 01:19:49,102 --> 01:19:51,104 火急の用ゆえ… 944 01:19:51,104 --> 01:19:55,104 あ… お菓子は ちょうだいしてまいります 945 01:20:03,250 --> 01:20:06,250 では 御免 946 01:20:24,271 --> 01:20:26,271 先生! 947 01:20:50,297 --> 01:20:57,170 椙江 そなたの好きな蒸し菓子だぞ 948 01:20:57,170 --> 01:21:00,170 そなたの好きな… 949 01:21:04,311 --> 01:21:08,181 あれほど死ぬ前に もう一度と申していた菓子が➡ 950 01:21:08,181 --> 01:21:12,181 今になって手に入った… 951 01:21:17,324 --> 01:21:23,324 そなたがいなくなった今になって 200石の仕官… 952 01:21:25,198 --> 01:21:31,198 今になって菓子や 仕官が どうなる!? 椙江… 953 01:21:33,340 --> 01:21:41,214 6年の間 拙者はそなたの心の底を 推し量ろうとはしなかった 954 01:21:41,214 --> 01:21:45,214 苦しかった そなたの心の奥を… 955 01:21:48,288 --> 01:21:54,161 あれほど仕官を望んでいた そなたの心を感じさえしなかった 956 01:21:54,161 --> 01:22:00,161 口にさえ出さなかっただけに どれほど苦しかったことか… 957 01:22:03,303 --> 01:22:07,174 それが 今日になって仕官の糸口 958 01:22:07,174 --> 01:22:12,312 そなた亡き今となって 何のための… 959 01:22:12,312 --> 01:22:16,183 椙江… 椙江… 960 01:22:16,183 --> 01:22:22,322 (泣き声) 961 01:22:22,322 --> 01:22:34,334 ♬~ 962 01:22:34,334 --> 01:22:36,269 (七兵衛)高野山? 963 01:22:36,269 --> 01:22:41,269 椙江の位牌を納めて 供養してもらおうと思ってな 964 01:22:46,279 --> 01:22:49,182 先生 行っちゃうのね… 965 01:22:49,182 --> 01:22:52,152 おそのちゃん 先生… 966 01:22:52,152 --> 01:22:56,289 何を言うんだい 帰ってくださるよ ねえ 先生? 967 01:22:56,289 --> 01:23:03,163 ここには 椙江さまのお墓もあるし 帰ってください ねえ 先生? 968 01:23:03,163 --> 01:23:05,298 先生! どうしても 行っちまうんですかい!? 969 01:23:05,298 --> 01:23:11,298 先生! 帰ってきてください! (おその)先生 お元気で 970 01:23:16,309 --> 01:23:21,181 さようか …で 仕官の儀は? 971 01:23:21,181 --> 01:23:27,320 浪々の身をもって 新山どのたちと 争いました拙者としては➡ 972 01:23:27,320 --> 01:23:31,191 お家にとって やはり 煩わしい存在になりはせぬかと 973 01:23:31,191 --> 01:23:35,195 何を言う もう新山はのぅ… 974 01:23:35,195 --> 01:23:40,333 その儀 高野山より 帰りましたならば その折に 975 01:23:40,333 --> 01:23:46,139 帰ってまいるのぅ? では 急ぎますので これにて 976 01:23:46,139 --> 01:23:48,139 御免 977 01:23:53,280 --> 01:23:59,280 帰らんのぅ… (小房)父上も そのように? 978 01:24:02,289 --> 01:24:05,191 送らぬか 979 01:24:05,191 --> 01:24:10,163 (小房) 五十さま! お待ちくださいませ 980 01:24:10,163 --> 01:24:13,300 その辺りまで お送りさせてくださいませ 981 01:24:13,300 --> 01:24:29,316 ♬~ 982 01:24:29,316 --> 01:24:32,218 なぜ急に… いいえ 983 01:24:32,218 --> 01:24:35,188 どうして はっきり ご返事なさいませんでした? 984 01:24:35,188 --> 01:24:39,188 仕官のことですか? それもございますが… 985 01:24:41,328 --> 01:24:44,328 なぜ 私を 避けておいででございますか? 986 01:24:47,133 --> 01:24:51,137 分かっております 私をお嫌いなのでございますね? 987 01:24:51,137 --> 01:24:56,276 違う 決して そうでは では どうして あれ以来… 988 01:24:56,276 --> 01:24:58,211 いくら お招きしても お見えにならず 989 01:24:58,211 --> 01:25:02,148 こんなに急に旅立ちを… 990 01:25:02,148 --> 01:25:08,288 小房どの はっきり申し上げましょう 991 01:25:08,288 --> 01:25:13,159 そなたは あまりにも 亡き妻に瓜二つ 992 01:25:13,159 --> 01:25:16,162 だからこそ 小房どのを見るのがつらいのだ 993 01:25:16,162 --> 01:25:22,302 それは… 私とて同じでございます 994 01:25:22,302 --> 01:25:29,302 でも たとえそうであっても 私は お会いしとうございました 995 01:25:31,311 --> 01:25:37,311 いけないことでございますか? それは どうしても許されぬと? 996 01:26:00,273 --> 01:26:04,144 逃げるのか? 逃げる? 997 01:26:04,144 --> 01:26:09,282 2人だけの勝負 そう抜かしたのを忘れたか! 998 01:26:09,282 --> 01:26:12,185 全ては終わったのだ このうえ 争うことはない 999 01:26:12,185 --> 01:26:17,157 まだ終わってはおらぬ! わしは負けはせぬ 1000 01:26:17,157 --> 01:26:23,296 たとえ1人になろうと 必ずや巻き返してみせる 来い! 1001 01:26:23,296 --> 01:26:25,231 無駄だということが 分からんのか! 1002 01:26:25,231 --> 01:26:27,167 このうえ 争って何の益が… 1003 01:26:27,167 --> 01:26:33,306 妻に恋々とする男には 剣を抜く勇気もないか! 1004 01:26:33,306 --> 01:26:35,241 抜け! 1005 01:26:35,241 --> 01:26:38,178 どうしても やるのか? くどい! 1006 01:26:38,178 --> 01:26:45,251 どうしても とどまらんのだな? 抜け! まだ竹光か? 1007 01:26:45,251 --> 01:26:48,154 どうしてもと言うなら… 1008 01:26:48,154 --> 01:26:51,124 竹光で十分! なにぃ? 1009 01:26:51,124 --> 01:26:56,262 新山 貴様は 拙者の思いを踏みにじった 1010 01:26:56,262 --> 01:27:00,133 それは 亡き妻の思いを 踏みにじったのと同じだ! 1011 01:27:00,133 --> 01:27:03,136 また 妻か! 1012 01:27:03,136 --> 01:27:08,274 拙者は 人を斬らぬと 己と妻に誓ってきた 1013 01:27:08,274 --> 01:27:15,148 だが今は その誓いを破ろうと思う 椙江も分かってくれるだろう 1014 01:27:15,148 --> 01:27:18,284 問答無用! 来い! 1015 01:27:18,284 --> 01:27:38,304 ♬~ 1016 01:27:38,304 --> 01:27:44,110 ♬~ 1017 01:27:44,110 --> 01:27:46,110 ヤーッ! 1018 01:27:50,250 --> 01:28:06,250 ♬~ 1019 01:28:37,297 --> 01:28:39,297 五十さま 1020 01:28:56,249 --> 01:28:58,249 五十さま! 1021 01:29:02,121 --> 01:29:06,259 お父上に お伝え願いたい 1022 01:29:06,259 --> 01:29:10,129 拙者は新山どのを斬った 1023 01:29:10,129 --> 01:29:12,131 たとえ何であろうとも➡ 1024 01:29:12,131 --> 01:29:14,133 家老であった者を 斬ったということは➡ 1025 01:29:14,133 --> 01:29:19,272 やはり仕官の儀は ご辞退すると 曽我どのに 1026 01:29:19,272 --> 01:29:23,142 でも… 小房どの 1027 01:29:23,142 --> 01:29:29,142 拙者は椙江とともに 生きてまいるのが運命だと 1028 01:29:33,286 --> 01:29:38,286 それが亡き妻へ手向ける 精一杯の… 1029 01:29:42,095 --> 01:29:44,095 五十さま… 1030 01:29:50,236 --> 01:29:53,139 分かりました 1031 01:29:53,139 --> 01:29:58,139 どうぞ ご無事な道中を… 1032 01:30:02,248 --> 01:30:04,183 では… 1033 01:30:04,183 --> 01:30:24,270 ♬~ 1034 01:30:24,270 --> 01:30:34,270 ♬~ 1035 01:30:36,282 --> 01:30:56,302 ♬~ 1036 01:30:56,302 --> 01:31:16,322 ♬~ 1037 01:31:16,322 --> 01:31:36,342 ♬~ 1038 01:31:36,342 --> 01:31:51,342 ♬~