1 00:01:54,043 --> 00:01:58,047 どいてくれ ちきしょう 2 00:01:58,047 --> 00:02:00,449 御用だ 御用だ 3 00:02:00,449 --> 00:02:02,651 親分 伝次 4 00:02:02,651 --> 00:02:05,751 何をぼやぼやしてんだ お前 向こう回れ 5 00:02:41,557 --> 00:02:44,026 どなたですか シッ 6 00:02:44,026 --> 00:02:48,330 決して怪しいもんじゃねえんで 7 00:02:48,330 --> 00:02:51,734 お嬢さん お一人ですかい? 8 00:02:51,734 --> 00:02:53,936 あの… 何のご用ですか 9 00:02:53,936 --> 00:02:57,172 お一人ですね? じゃ ちょうどいいや 10 00:02:57,172 --> 00:03:00,175 実はこれなんですよ 11 00:03:00,175 --> 00:03:02,511 ちょいと預かっといてやって おくんなせえ 12 00:03:02,511 --> 00:03:05,414 決してご迷惑はかけません すぐ もらいに来ますから 13 00:03:05,414 --> 00:03:07,983 でもあの… いえいえ どっかその辺に 14 00:03:07,983 --> 00:03:11,086 置いていただけりゃ結構なんです じゃ お願いいたしましたよ ねっ 15 00:03:11,086 --> 00:03:13,986 あの いけません ちょっと待ってください 16 00:03:16,925 --> 00:03:21,325 (呼び子笛の音) 17 00:03:25,300 --> 00:03:27,300 野郎 18 00:03:40,249 --> 00:03:42,349 娘 19 00:03:44,987 --> 00:03:48,190 その包みを渡せ 20 00:03:48,190 --> 00:03:51,827 その包みを俺に渡せ 21 00:03:51,827 --> 00:03:54,897 いけません お役人に渡します 22 00:03:54,897 --> 00:03:57,097 役人? 23 00:05:04,099 --> 00:05:06,635 邪魔する気か 24 00:05:06,635 --> 00:05:10,035 人殺しを 黙って見逃すわけにはいかん 25 00:05:29,591 --> 00:05:31,891 下がっていなさい 26 00:05:56,852 --> 00:05:59,152 (猫の鳴き声) 27 00:06:08,263 --> 00:06:10,666 念を押しとくが 28 00:06:10,666 --> 00:06:15,666 俺の邪魔立てをする者は 何人といえども許さんぞ 29 00:06:20,442 --> 00:06:23,779 その女も同じだ 30 00:06:23,779 --> 00:06:25,979 いいな 31 00:06:36,558 --> 00:06:39,858 ぎゃーっ! 32 00:07:12,294 --> 00:07:16,498 やりやがったな ちきしょう また銭酸漿だ 33 00:07:16,498 --> 00:07:20,269 よし 追え おう おめえはすぐ手配しろ 34 00:07:20,269 --> 00:07:22,271 この辺一帯 しらみつぶしにするんだ 35 00:07:22,271 --> 00:07:24,371 合点だ 36 00:07:31,113 --> 00:07:33,148 ああ 37 00:07:33,148 --> 00:07:35,717 とっさのことで失礼した 38 00:07:35,717 --> 00:07:39,288 いいえ こちらこそ 39 00:07:39,288 --> 00:07:42,324 どうやら ただ事ではないようですな 40 00:07:42,324 --> 00:07:46,862 はい 不意に見ず知らずの人に 41 00:07:46,862 --> 00:07:49,998 こんな物を預けられたばっかりに 42 00:07:49,998 --> 00:07:53,902 目明かしは確か 銭酸漿とか申していたが 43 00:07:53,902 --> 00:07:57,205 はい 何が何やら 44 00:07:57,205 --> 00:08:00,342 ただもう恐ろしいばかりで 45 00:08:00,342 --> 00:08:04,279 ご異存なければ この包みの中を拝見したい 46 00:08:04,279 --> 00:08:08,779 はい どうぞ おあらためくださいまし 47 00:08:28,036 --> 00:08:31,640 たかが黒猫1匹 48 00:08:31,640 --> 00:08:34,409 やくざ浪人 目明かしまでが 血眼になっているとは 49 00:08:34,409 --> 00:08:38,313 尋常のことではない 50 00:08:38,313 --> 00:08:42,113 これは面倒なことに 巻き込まれましたな 51 00:08:45,053 --> 00:08:49,358 どなたか ご家族の方に相談しよう 52 00:08:49,358 --> 00:08:54,796 いいえ あのう… 誰もおりません 53 00:08:54,796 --> 00:08:57,966 誰も? 54 00:08:57,966 --> 00:09:01,503 長い浪人暮らしの父に 55 00:09:01,503 --> 00:09:05,703 つい先日 死に別れたばかりでございます 56 00:09:08,944 --> 00:09:11,880 そうでしたか 57 00:09:11,880 --> 00:09:14,280 それはお気の毒に 58 00:09:16,485 --> 00:09:20,422 いずれはこの包みを 取り戻しに来るでしょうが 59 00:09:20,422 --> 00:09:25,994 あの銭酸漿とかいう浪人や 目明かしまでが狙っていては 60 00:09:25,994 --> 00:09:28,594 どうしたらよいので ございましょう 61 00:09:31,066 --> 00:09:34,503 ここを通りかかったのも 何かの縁でしょう 62 00:09:34,503 --> 00:09:39,541 あっ 申し遅れましたが 私の名は神奈三四郎 63 00:09:39,541 --> 00:09:42,010 差し支えなかったら 今夜だけなりと 64 00:09:42,010 --> 00:09:45,247 私の所へ案内しましょう えっ… 65 00:09:45,247 --> 00:09:48,750 でも それではあまりに… 66 00:09:48,750 --> 00:09:52,354 お気遣いならばご無用です 67 00:09:52,354 --> 00:09:55,257 私の家というわけではないが 68 00:09:55,257 --> 00:09:59,461 大勢の者が寝泊まりしているし それに 69 00:09:59,461 --> 00:10:03,398 面白い女中どもも たくさんいますぞ 70 00:10:03,398 --> 00:10:06,868 こんな物騒な預かり物を持って 一人でいたら 71 00:10:06,868 --> 00:10:10,272 これからどんな目に遭うか 分かりませんぞ 72 00:10:10,272 --> 00:10:13,108 でも… さあ 73 00:10:13,108 --> 00:10:15,944 参りましょう 74 00:10:15,944 --> 00:10:20,982 あの ではせめて 父の位牌だけなりとも 75 00:10:20,982 --> 00:10:25,654 ああ なるほど 76 00:10:25,654 --> 00:10:28,454 じゃ 急ぎましょう 77 00:11:05,694 --> 00:11:08,530 逃げたようですな 78 00:11:08,530 --> 00:11:10,732 いよいよ ここにいては 危ないようだ 79 00:11:10,732 --> 00:11:13,401 さあ 行きましょう 80 00:11:13,401 --> 00:11:18,006 はい お願いいたします 81 00:11:18,006 --> 00:11:23,044 父ともども とんだご迷惑を おかけいたします 82 00:11:23,044 --> 00:11:25,144 小夜と申します 83 00:11:27,516 --> 00:11:30,116 さあ 参ろう 84 00:12:15,430 --> 00:12:18,630 ごめんなさい あら お嬢さん 85 00:12:20,769 --> 00:12:24,072 お嬢様 86 00:12:24,072 --> 00:12:26,041 ごちそうさまでございました 87 00:12:26,041 --> 00:12:28,743 あら ごっつぉさまって はや 済んじゃったんですか 88 00:12:28,743 --> 00:12:30,979 はい たくさんに頂きました 89 00:12:30,979 --> 00:12:35,150 嫌ですね 私はおかわりの おはち持ってきたんですよ 90 00:12:35,150 --> 00:12:37,185 まあ そんなに? 91 00:12:37,185 --> 00:12:41,590 だって若えうちは もりもり食べなくちゃ 92 00:12:41,590 --> 00:12:44,960 あら?これっぼっこしか 食べてないなんて 93 00:12:44,960 --> 00:12:48,830 まあ なんてお嬢さんは 小食なんでしょう 94 00:12:48,830 --> 00:12:52,734 私なんてね このおはち 2つずつ食べるんですよ 95 00:12:52,734 --> 00:12:56,905 それでいて 腹八分目 病なし 96 00:12:56,905 --> 00:13:00,709 どうです このあふれる若さに みなぎる元気 97 00:13:00,709 --> 00:13:02,777 まあ 98 00:13:02,777 --> 00:13:06,848 でも お嬢様 私 うらやましいわ 99 00:13:06,848 --> 00:13:09,017 あら?何がですか 100 00:13:09,017 --> 00:13:11,419 あら そらっとぼけて 101 00:13:11,419 --> 00:13:14,489 嫌ですね あれですよ 102 00:13:14,489 --> 00:13:16,925 三四郎の旦那ですよ 103 00:13:16,925 --> 00:13:20,362 まあ… そんな 104 00:13:20,362 --> 00:13:26,001 あら 噂をすれば影ですわ まあ 私 どうしよう 105 00:13:26,001 --> 00:13:29,738 おはようございます いろいろお世話になりまして 106 00:13:29,738 --> 00:13:32,207 どうでした 眠れましたかな 107 00:13:32,207 --> 00:13:34,275 はい おかげさまで 108 00:13:34,275 --> 00:13:36,878 何か用事があったら 遠慮なく言ってくださいよ 109 00:13:36,878 --> 00:13:39,514 人手も余ってるし いいえ 110 00:13:39,514 --> 00:13:41,716 もうこんなにしていただいて 111 00:13:41,716 --> 00:13:45,854 私こそ 何かこちら様の お手伝いでもいたさねば 112 00:13:45,854 --> 00:13:48,923 何をおっしゃる あー これこれ お兼 113 00:13:48,923 --> 00:13:52,494 何をぼんやりしとる 下げる物を早く下げなさい 114 00:13:52,494 --> 00:13:55,664 向こうはもう片づいたのか すみません 115 00:13:55,664 --> 00:13:58,533 ちょっとごめんなせえ 116 00:13:58,533 --> 00:14:01,403 何だろうね 今 人手が 余ってるって言ったくせに 117 00:14:01,403 --> 00:14:04,603 何をぶつぶつ言っとる 何でもねえ こっちのこってす 118 00:14:07,208 --> 00:14:10,712 お小夜さん 私の部屋は 向こうの離れなんだが 119 00:14:10,712 --> 00:14:13,912 昨夜の風呂敷包みも そのままになっている 120 00:14:22,457 --> 00:14:24,957 さあ どうぞ 121 00:14:33,635 --> 00:14:38,239 おい 仙太 何をしておる 出てこい 122 00:14:38,239 --> 00:14:40,508 びっくりさせようと思ったの お見通しですかい 123 00:14:40,508 --> 00:14:42,777 まあいいや 旦那 どうもご無沙汰です 124 00:14:42,777 --> 00:14:46,047 しばらく顔を見せなかったな どこへ行ってたんだ 125 00:14:46,047 --> 00:14:48,817 あのちょっと小伝馬町の 別宅のほうで 126 00:14:48,817 --> 00:14:51,619 小伝馬町?捕まったのか 127 00:14:51,619 --> 00:14:54,089 何ね いつも 御用風ばかり吹かしてる 128 00:14:54,089 --> 00:14:56,991 感じの悪い役人がいたもんで カーッときちゃってね 129 00:14:56,991 --> 00:14:59,227 八丁堀へ忍び込んで 十手を盗んだんで 130 00:14:59,227 --> 00:15:03,198 よしゃ いいのに みんなに 見せびらかしたもんだから つい 131 00:15:03,198 --> 00:15:07,202 八丁堀から十手をか あきれた奴だ 132 00:15:07,202 --> 00:15:11,806 旦那 あの ちょっと旦那 水臭いんじゃありませんか 133 00:15:11,806 --> 00:15:14,776 何? そうじゃありませんか 旦那 134 00:15:14,776 --> 00:15:17,445 こう見えても いたちの仙太 旦那の一の子分 135 00:15:17,445 --> 00:15:19,714 無二の親友のつもりなんですぜ 136 00:15:19,714 --> 00:15:22,884 旦那が奥さん もらう時には はばかりながらこの仙太 137 00:15:22,884 --> 00:15:27,489 鯛の10匹もずらりと並べて… もし懐が寂しかったらさ 138 00:15:27,489 --> 00:15:29,657 魚屋に行って がっぽり かっぱらってきて 139 00:15:29,657 --> 00:15:32,761 お届けしようと思ってたのに 何? 140 00:15:32,761 --> 00:15:35,330 奥様? 141 00:15:35,330 --> 00:15:39,067 この人がか 142 00:15:39,067 --> 00:15:42,737 ハハハハ… 143 00:15:42,737 --> 00:15:46,541 あの… 違うんですか 144 00:15:46,541 --> 00:15:49,841 いけね またしくじっちゃったなあ 145 00:16:00,789 --> 00:16:02,957 バカめ 146 00:16:02,957 --> 00:16:06,494 役に立たねえ野郎たちだ 147 00:16:06,494 --> 00:16:12,167 いいか あの黒猫は確かに 銭酸漿の飼っていた黒猫だ 148 00:16:12,167 --> 00:16:15,537 あの猫が腹の中にのみ込んだ 髑髏銭が3枚そろえば 149 00:16:15,537 --> 00:16:18,072 日本中が買えるぐらいの 財宝が見つかるんだ 150 00:16:18,072 --> 00:16:20,108 そりゃもう よく 承知しております 151 00:16:20,108 --> 00:16:22,477 分かってるなら グズグズしねえで捜してこい 152 00:16:22,477 --> 00:16:26,314 それが あの娘 どこ行きやがった 何を言ってやんで 153 00:16:26,314 --> 00:16:30,218 草の根を分けてでも捜してこい へい 154 00:16:30,218 --> 00:16:32,921 黒木さんも 黒木さんだ 155 00:16:32,921 --> 00:16:36,024 酒ばかり飲んでねえで せいぜい 焼きを入れてやっておくんなせえ 156 00:16:36,024 --> 00:16:38,524 心得ておる 157 00:16:42,030 --> 00:16:44,030 おう 158 00:16:49,804 --> 00:16:53,541 どいつもこいつも 無駄飯ばかり食いやがって 159 00:16:53,541 --> 00:16:55,710 ハハッ 160 00:16:55,710 --> 00:16:58,179 大変なご機嫌だこと 161 00:16:58,179 --> 00:17:01,049 ん?師匠来ていたのか 162 00:17:01,049 --> 00:17:03,218 朝っぱらから何ですね 163 00:17:03,218 --> 00:17:05,253 大店のお旦那らしくもない 164 00:17:05,253 --> 00:17:07,689 ああ どなりたくもならあな 165 00:17:07,689 --> 00:17:10,291 銭酸漿の野郎の黒猫を やっとにとっ捕まえて 166 00:17:10,291 --> 00:17:12,660 絞め殺したまではよかったが 167 00:17:12,660 --> 00:17:15,930 目明かしには追われる 身内は2人も殺される 168 00:17:15,930 --> 00:17:19,067 肝心の黒猫は横取りされる ざまあねえんだ 169 00:17:19,067 --> 00:17:22,170 フフフフ 170 00:17:22,170 --> 00:17:24,973 ちょいと旦那 何がおかしいんだ 171 00:17:24,973 --> 00:17:28,877 あたしゃね 十六夜のお銀ですよ 172 00:17:28,877 --> 00:17:32,647 押さえるところは ちゃんと押さえてありますって 173 00:17:32,647 --> 00:17:36,317 何だって?じゃ 師匠 おめえは… 174 00:17:36,317 --> 00:17:39,220 ハハッ そうか 175 00:17:39,220 --> 00:17:41,422 そうだったのか 176 00:17:41,422 --> 00:17:43,558 じゃ おめえはゆうべ… 177 00:17:43,558 --> 00:17:48,062 今頃 あの黒猫には ちゃんと小さなお墓が立って 178 00:17:48,062 --> 00:17:50,662 お花が上がってますって 179 00:18:05,747 --> 00:18:08,750 あら 三四郎様 180 00:18:08,750 --> 00:18:10,985 子供みたいなまねをして 181 00:18:10,985 --> 00:18:13,388 でも ほっておいたら かわいそうですから 182 00:18:13,388 --> 00:18:16,157 いや あなたに こうしてもらって 183 00:18:16,157 --> 00:18:19,727 猫もきっと喜んでるでしょう 184 00:18:19,727 --> 00:18:24,065 どうしてこんな目に遭った猫か 知らんが 185 00:18:24,065 --> 00:18:27,435 あの… わたくし 186 00:18:27,435 --> 00:18:31,773 このままここに お邪魔していて よろしいんでしょうか 187 00:18:31,773 --> 00:18:35,376 見ず知らずのお方に こんなにまで お世話になっていて 188 00:18:35,376 --> 00:18:39,580 いや そんなことなら 気にすることはない 189 00:18:39,580 --> 00:18:43,117 いましばらく ここにいたほうがいいと思う 190 00:18:43,117 --> 00:18:47,522 お宅のことも気になるだろうが 今 仙太が様子を探りに行ってる 191 00:18:47,522 --> 00:18:50,922 まあ わたくしのうちまで 192 00:19:05,940 --> 00:19:08,309 伝次 六! 193 00:19:08,309 --> 00:19:11,846 また横着しやがって こいつら すいません 194 00:19:11,846 --> 00:19:14,148 娘はまだ帰らんのかい へえ 195 00:19:14,148 --> 00:19:16,818 ずっと張り込んでんですがね 196 00:19:16,818 --> 00:19:19,520 おかしいな 197 00:19:19,520 --> 00:19:24,158 娘一人 夜遊び 男遊びを する柄じゃねえし 198 00:19:24,158 --> 00:19:27,996 第一 近所じゃ 泊まりがけでいく 付き合いはなかったと言ってる 199 00:19:27,996 --> 00:19:34,702 親分 やっぱし黒猫は ここの娘が預かってるんですぜ 200 00:19:34,702 --> 00:19:39,140 銅座の身内は 確かに ここに逃げ込んだはずだ 201 00:19:39,140 --> 00:19:42,844 そこへ銭酸漿が現れやがった 202 00:19:42,844 --> 00:19:45,480 とすると 203 00:19:45,480 --> 00:19:48,880 この娘も銭酸漿が 連れていきやがったかな 204 00:19:51,519 --> 00:19:55,523 いずれにしても このままじゃ 柳澤の御前に顔向けができねえ 205 00:19:55,523 --> 00:19:57,823 誰だ! 206 00:20:00,228 --> 00:20:03,197 あっ 待ちやがれ 御用だ 207 00:20:03,197 --> 00:20:07,097 待ちやがれ!御用だ この野郎 208 00:20:11,739 --> 00:20:14,439 野郎!待ちやがれ 209 00:20:18,446 --> 00:20:21,546 バカ野郎 バカ野郎! 210 00:20:39,634 --> 00:20:44,272 姐御… じゃねえ 師匠 脅かすじゃねえか 211 00:20:44,272 --> 00:20:47,408 バカだね あんな所 いつまで張ってたって 212 00:20:47,408 --> 00:20:50,578 黒猫どころかネズミの死骸1匹 出てきやしないよ 213 00:20:50,578 --> 00:20:53,047 じゃ 姐御… いや 師匠はもう 214 00:20:53,047 --> 00:20:55,116 いいから みんな集めておいで 215 00:20:55,116 --> 00:20:57,785 あたしゃノドが渇いたから あの辺で待ってるからね 216 00:20:57,785 --> 00:20:59,985 いいかい? へい 217 00:21:06,661 --> 00:21:09,263 いらっしゃい 奥 空いてる? 218 00:21:09,263 --> 00:21:11,632 連れが3~4人 後から来るけど どうぞ 219 00:21:11,632 --> 00:21:14,135 お座敷 ご案内 はい 220 00:21:14,135 --> 00:21:17,238 おまちどおさま 221 00:21:17,238 --> 00:21:19,807 あら 仙太さん 222 00:21:19,807 --> 00:21:23,144 どうしたのよ しばらく 見えなかったじゃない 223 00:21:23,144 --> 00:21:26,047 あっ 分かった また格子のはまったお屋敷で 224 00:21:26,047 --> 00:21:30,685 ちょっと臭いご飯 食べてきたんじゃないの?フフフ 225 00:21:30,685 --> 00:21:35,690 ねえ どうしたのよ 黙りこくってさ 226 00:21:35,690 --> 00:21:39,160 あっ お酒?それともご飯? うっせえな 227 00:21:39,160 --> 00:21:41,562 べちゃくちゃ べちゃくちゃ よくしゃべるなあ 228 00:21:41,562 --> 00:21:45,299 俺はな 今 考え事してんの そっとしといてくれよ いいか 229 00:21:45,299 --> 00:21:47,568 あら 考え事 230 00:21:47,568 --> 00:21:51,368 へえ 珍しい 雨が降るんじゃないかしら 231 00:21:57,145 --> 00:21:59,881 ひえーっ 232 00:21:59,881 --> 00:22:02,917 ううー とうとう降り出しやがった おう 233 00:22:02,917 --> 00:22:07,421 何をぼやぼやしてんだい 手ぬぐいでも貸さねえかい 234 00:22:07,421 --> 00:22:10,758 伝次!六! 235 00:22:10,758 --> 00:22:14,061 しょうがねえな またさぼってやがんな ちきしょう 236 00:22:14,061 --> 00:22:16,861 伝次!六! 237 00:22:25,439 --> 00:22:30,044 あっ… 銭酸漿だ 238 00:22:30,044 --> 00:22:32,644 (猫の鳴き声) 239 00:22:35,550 --> 00:22:38,085 バカめ 240 00:22:38,085 --> 00:22:40,221 なまじ手向かいをして この男たちと 241 00:22:40,221 --> 00:22:42,421 同じようになりたいのか 242 00:22:49,330 --> 00:22:52,066 銭酸漿 御用だ 243 00:22:52,066 --> 00:22:55,136 御用風を吹かせる柄か 244 00:22:55,136 --> 00:22:59,207 柳澤に使われる犬めが 245 00:22:59,207 --> 00:23:02,810 殺された俺の黒猫の 腹の中にある物は 246 00:23:02,810 --> 00:23:05,146 貴様らごときには渡せん 247 00:23:05,146 --> 00:23:07,715 銅座にも渡さぬ 248 00:23:07,715 --> 00:23:12,320 それよりも柳澤が持ち 銅座が持っている髑髏銭は 249 00:23:12,320 --> 00:23:16,123 この俺が必ず手に入れる 250 00:23:16,123 --> 00:23:19,126 肝に銘じておけ 251 00:23:19,126 --> 00:23:25,333 それを邪魔する者は 何人といえども俺が倒す 252 00:23:25,333 --> 00:23:29,333 柳澤といえども必ず倒す 253 00:23:48,923 --> 00:23:52,627 そうか 確かに目明かしは 柳澤と言ったんだな 254 00:23:52,627 --> 00:23:55,263 へい 柳澤御前というからには 旦那 255 00:23:55,263 --> 00:23:58,563 将軍様 御側用人の柳澤保明ですぜ 256 00:24:00,568 --> 00:24:05,873 柳澤に銅座瀧右衛門 257 00:24:05,873 --> 00:24:09,610 それに銭酸漿か 258 00:24:09,610 --> 00:24:12,947 三四郎様 もしかすると 259 00:24:12,947 --> 00:24:15,447 銭酸漿も髑髏銭を 260 00:24:18,886 --> 00:24:20,886 猫だ 261 00:24:23,124 --> 00:24:25,524 庭に埋めた猫だ 262 00:24:27,762 --> 00:24:30,662 あっ 待て 263 00:24:42,310 --> 00:24:45,713 米五郎 264 00:24:45,713 --> 00:24:47,913 赤造 265 00:24:50,985 --> 00:24:53,020 やったね 266 00:24:53,020 --> 00:24:55,320 どこだい? 267 00:25:11,138 --> 00:25:13,738 (猫の鳴き声) 268 00:25:44,638 --> 00:25:46,738 待て 269 00:25:50,644 --> 00:25:55,144 その黒猫の死骸 貴様には渡さん 270 00:25:58,219 --> 00:26:00,988 何? そのほうら 271 00:26:00,988 --> 00:26:06,260 血眼になってその死骸を 争い求めているところを見ると 272 00:26:06,260 --> 00:26:12,060 その黒猫の腹中にある物は 髑髏銭だな 273 00:27:46,160 --> 00:27:48,360 ううっ ぐっ… 274 00:28:30,704 --> 00:28:33,474 玉よ 275 00:28:33,474 --> 00:28:37,711 誤って髑髏銭を のみ込んだばっかりに 276 00:28:37,711 --> 00:28:42,149 とんだ苦労をしてしまったな 277 00:28:42,149 --> 00:28:47,555 だが そのかたきは取ってやったぞ 278 00:28:47,555 --> 00:28:52,555 ゆっくり 静かに眠ってくれ 279 00:28:58,065 --> 00:29:02,165 今夜はここで墓守をしてやろう 280 00:29:04,805 --> 00:29:07,575 チビ公 281 00:29:07,575 --> 00:29:13,347 お前もとうとう独りぼっちに なってしまったな 282 00:29:13,347 --> 00:29:17,384 (猫の鳴き声) 俺と同じように 283 00:29:17,384 --> 00:29:19,420 俺も 284 00:29:19,420 --> 00:29:24,258 あの頃は大勢の友に囲まれていた 285 00:29:24,258 --> 00:29:26,894 銅座もそうであった 286 00:29:26,894 --> 00:29:30,631 お銀もいい女だった 287 00:29:30,631 --> 00:29:34,568 だが 1人去り 288 00:29:34,568 --> 00:29:37,304 2人 去り 289 00:29:37,304 --> 00:29:42,042 みんな 髑髏銭の財宝に 魂を奪われて 290 00:29:42,042 --> 00:29:44,445 去っていった 291 00:29:44,445 --> 00:29:49,883 そして俺の敵となってしまった 292 00:29:49,883 --> 00:29:52,386 チビ公 (猫の鳴き声) 293 00:29:52,386 --> 00:29:55,756 お前はどんなに寂しくても 294 00:29:55,756 --> 00:29:59,560 こんな物をのみ込むんじゃないぞ 295 00:29:59,560 --> 00:30:01,729 いいか 296 00:30:01,729 --> 00:30:04,029 分かったな 297 00:30:33,494 --> 00:30:36,930 何? 298 00:30:36,930 --> 00:30:39,767 何?銭酸漿を取り逃がした? 299 00:30:39,767 --> 00:30:42,067 はっ 300 00:30:47,841 --> 00:30:51,912 戸田能登守 町奉行たるそのほうが 何たることだ 301 00:30:51,912 --> 00:30:55,315 銭酸漿は髑髏銭を確かに 302 00:30:55,315 --> 00:30:57,317 銅座が持っておると 申したのだな 303 00:30:57,317 --> 00:30:59,753 御意にござりまする 304 00:30:59,753 --> 00:31:04,725 目明かし庄助が銭酸漿より 直接に聞いたと申しております 305 00:31:04,725 --> 00:31:10,297 殿 銅座も髑髏銭を 持っていたとすると あるいは 306 00:31:10,297 --> 00:31:14,234 殿のお手持ちの1枚を 307 00:31:14,234 --> 00:31:16,870 銅座の奴め 308 00:31:16,870 --> 00:31:19,270 長年の間 とぼけおって 309 00:31:21,475 --> 00:31:26,180 銅座 そのほう 当家に出入りいたして 310 00:31:26,180 --> 00:31:28,782 何年になったかな 311 00:31:28,782 --> 00:31:33,487 へえ もうかれこれ10年に あいなりましょうか 312 00:31:33,487 --> 00:31:36,623 手前どもの今日ございますのは ひとえに 313 00:31:36,623 --> 00:31:39,159 御前様のお引き立てのたまものと 314 00:31:39,159 --> 00:31:42,196 日夜 夢にも忘れたことは ございません 315 00:31:42,196 --> 00:31:45,766 殊勝な心がけじゃ 316 00:31:45,766 --> 00:31:50,471 それほどに申すなら そのほうに頼みがある 317 00:31:50,471 --> 00:31:53,974 ハハハッ ありがたき幸せに ござりまする 318 00:31:53,974 --> 00:31:56,677 御前様のおために なりえますれば 319 00:31:56,677 --> 00:31:59,747 何なりとお申し付けくださりませ 320 00:31:59,747 --> 00:32:04,618 そのほう なかなか骨董に 造詣があるそうじゃの 321 00:32:04,618 --> 00:32:08,188 とんでもございません ほんのガラクタを少々ばかり 322 00:32:08,188 --> 00:32:10,224 お目にかけるほどでは いや よい 323 00:32:10,224 --> 00:32:14,495 ガラクタでよい 1つ所望がある 324 00:32:14,495 --> 00:32:16,630 そのほう 325 00:32:16,630 --> 00:32:20,267 髑髏銭を1枚持っておるな 326 00:32:20,267 --> 00:32:23,070 持っておろう 327 00:32:23,070 --> 00:32:26,140 恐れながら 何かのお間違いかと 328 00:32:26,140 --> 00:32:28,175 そのような古銭は手前どもには 329 00:32:28,175 --> 00:32:30,577 ないと申すか はい 330 00:32:30,577 --> 00:32:32,980 家へ帰って捜してみよ 331 00:32:32,980 --> 00:32:35,315 必ずあるはずじゃ 332 00:32:35,315 --> 00:32:39,887 捜し出して持参いたせ よいな 333 00:32:39,887 --> 00:32:42,356 持参いたさぬ時は 334 00:32:42,356 --> 00:32:44,858 当家への出入りも差し止める 335 00:32:44,858 --> 00:32:48,929 引き続いての商いも かなわぬと思え 336 00:32:48,929 --> 00:32:51,729 よいな 下がれ 337 00:33:14,154 --> 00:33:16,924 柳澤と銅座 338 00:33:16,924 --> 00:33:19,526 待てよ 339 00:33:19,526 --> 00:33:22,629 ここが思案のしどころか 340 00:33:22,629 --> 00:33:26,029 よーし いっちょ潜り込んでやるか 341 00:34:13,513 --> 00:34:16,213 ごちそうさま ありがとうございました 342 00:34:18,952 --> 00:34:22,022 あっ 仙太さん 今日もまた考え事? 343 00:34:22,022 --> 00:34:24,524 当たりめえよ しゃべんなよ この野郎 344 00:34:24,524 --> 00:34:26,793 でもね よく言うじゃないの 345 00:34:26,793 --> 00:34:29,496 下手な考えは 休んでるのと同じだってさ 346 00:34:29,496 --> 00:34:32,496 何を!このおたふく! 347 00:34:34,501 --> 00:34:39,301 (爆竹の音) 348 00:34:42,075 --> 00:34:45,279 うるさい!静かにしろ! 349 00:34:45,279 --> 00:34:48,248 兄貴じゃねえか よう どうしてたんだ 350 00:34:48,248 --> 00:34:52,386 おうおう いつ出てきたんだよ 兄貴 することが違うじゃねえかよ 351 00:34:52,386 --> 00:34:55,122 心配するな 俺はピンピンしてるよ 352 00:34:55,122 --> 00:34:57,391 ねえ 兄貴 こっちは てんでシケてんだ 353 00:34:57,391 --> 00:34:59,426 兄貴がいねえと からっきしダメなんだ 354 00:34:59,426 --> 00:35:01,929 兄貴 お湯割り1杯 おごってくんなよ 355 00:35:01,929 --> 00:35:05,098 シケた がん首そろえやがって よし 俺に任せとけ 356 00:35:05,098 --> 00:35:07,501 おう みんなに1本つけてやんな 357 00:35:07,501 --> 00:35:10,103 そう来なくっちゃ おう 兄貴のおごりだい 358 00:35:10,103 --> 00:35:14,875 俺はどんぶりからいくからな 早いとこ持ってきなよ 359 00:35:14,875 --> 00:35:16,877 ちょっと待った! 360 00:35:16,877 --> 00:35:19,413 飲むのはいいけどな ひと言もしゃべんなよ 361 00:35:19,413 --> 00:35:22,316 え?ひと言も? そうよ 俺を見ろ 362 00:35:22,316 --> 00:35:24,985 俺は今 考え事してるんだ 考えてんだ 363 00:35:24,985 --> 00:35:27,487 だからそばでガヤガヤ ガヤガヤしやがったら 364 00:35:27,487 --> 00:35:29,787 はっ倒すぞ! 365 00:35:38,265 --> 00:35:40,334 おや 何ですね 急に 366 00:35:40,334 --> 00:35:44,705 お銀 わしは今日 柳澤様に呼ばれた 367 00:35:44,705 --> 00:35:46,707 それで? 368 00:35:46,707 --> 00:35:49,409 御前様はわしが髑髏銭を 持ってるのをご存じだった 369 00:35:49,409 --> 00:35:53,280 ええっ… そいつを差し出せって 370 00:35:53,280 --> 00:35:57,384 大名だって ひとひねりできる 柳澤ににらまれたんじゃ 371 00:35:57,384 --> 00:35:59,586 今までの苦心も水の泡だ 372 00:35:59,586 --> 00:36:02,856 どうする気? 1日や2日なら 373 00:36:02,856 --> 00:36:06,994 捜してますって ごまかしもできようが 374 00:36:06,994 --> 00:36:09,096 偽物でも作って 出したらどうだい 375 00:36:09,096 --> 00:36:11,999 そんな手に乗る 甘い殿様じゃねえ 376 00:36:11,999 --> 00:36:15,168 それじゃ… お銀 377 00:36:15,168 --> 00:36:18,038 こうなりゃ 銭酸漿の持ってるやつを 378 00:36:18,038 --> 00:36:21,942 どうしても奪って 柳澤に出すより ほかねえ 379 00:36:21,942 --> 00:36:25,846 どうせ3枚そろわなきゃ 意味のねえ髑髏銭だ 380 00:36:25,846 --> 00:36:28,515 柳澤のほうに2枚だけ そろえておいて 381 00:36:28,515 --> 00:36:34,087 それから先はまた別の手を 考えることだ 382 00:36:34,087 --> 00:36:37,591 銭酸漿に会えるのは お銀 383 00:36:37,591 --> 00:36:40,160 昔なじみのおめえだけだ 384 00:36:40,160 --> 00:36:42,660 で 物は相談だが 385 00:36:59,446 --> 00:37:02,849 ねえ 旦那 386 00:37:02,849 --> 00:37:05,018 相手は柳澤ですよ 387 00:37:05,018 --> 00:37:08,488 敵に回して得なことが ないじゃありませんか 388 00:37:08,488 --> 00:37:10,957 俺に銅座と組めというのか 389 00:37:10,957 --> 00:37:13,627 ええ 今までのように 390 00:37:13,627 --> 00:37:16,530 1枚ずつ持って にらみ合っていたんじゃ 391 00:37:16,530 --> 00:37:20,267 結局 髑髏銭は いつまでたっても意味がないし 392 00:37:20,267 --> 00:37:23,637 意味がなくてもいいのだ 393 00:37:23,637 --> 00:37:27,007 俺が1枚を持っている限り 394 00:37:27,007 --> 00:37:30,677 たとえ柳澤であろうと 銅座であろうと 395 00:37:30,677 --> 00:37:34,147 髑髏銭の謎を解くことは できぬのだ 396 00:37:34,147 --> 00:37:36,516 だって つまんないじゃ ありませんか 397 00:37:36,516 --> 00:37:41,488 旦那だって こんなご不自由な お暮らしを続けて 398 00:37:41,488 --> 00:37:45,158 お家崩壊のどさくさに紛れて 399 00:37:45,158 --> 00:37:48,095 髑髏銭を盗み出したまでは 400 00:37:48,095 --> 00:37:55,235 銅座瀧右衛門 抜け目のない男だと思ったが 401 00:37:55,235 --> 00:38:00,907 どうやら人を見る目は 狂ったようだな 402 00:38:00,907 --> 00:38:02,907 お銀 403 00:38:12,552 --> 00:38:16,723 あたしゃ 知らないよ ただ旦那に話しに来ただけだから 404 00:38:16,723 --> 00:38:22,195 お銀 俺はたとえ草を噛み 泥水を吸っても 405 00:38:22,195 --> 00:38:25,966 髑髏銭だけは人には渡さぬ 406 00:38:25,966 --> 00:38:29,366 これだけは肝に銘じておくがいい 407 00:39:26,993 --> 00:39:33,793 お殿様のおかえりーっ 408 00:39:37,170 --> 00:39:41,070 (女たちの笑い声) 409 00:39:47,581 --> 00:39:50,181 あっ お父上様 410 00:39:55,622 --> 00:39:59,526 今 町方で評判の錦絵で 411 00:39:59,526 --> 00:40:01,761 それよりな 檜 412 00:40:01,761 --> 00:40:05,265 今日 お城でまた上様から 413 00:40:05,265 --> 00:40:08,902 あのお話があったのじゃ 414 00:40:08,902 --> 00:40:12,505 檜 415 00:40:12,505 --> 00:40:14,905 皆の者は下がれ 416 00:40:25,151 --> 00:40:28,154 のう 檜 417 00:40:28,154 --> 00:40:31,524 そちの申すことも 分からぬではないが 418 00:40:31,524 --> 00:40:35,095 何分にも上様の思し召しじゃ 419 00:40:35,095 --> 00:40:37,731 そこを聞き分けてくれねば困る 420 00:40:37,731 --> 00:40:39,933 お父上様は 421 00:40:39,933 --> 00:40:42,469 お父上様のご出世のためならば 422 00:40:42,469 --> 00:40:44,704 檜はどうなっても構わないと おっしゃるのですね 423 00:40:44,704 --> 00:40:48,508 そうではない 上様 お召しとは 424 00:40:48,508 --> 00:40:52,545 女の身にとって このうえもない名誉ではないか 425 00:40:52,545 --> 00:40:57,250 将軍家のおそばへ上がり 上様のお子様でもできれば 426 00:40:57,250 --> 00:41:00,553 そなたが次なる将軍家の 427 00:41:00,553 --> 00:41:03,657 御母君にもなろうことじゃ 428 00:41:03,657 --> 00:41:10,363 いいえ お父上様 これをよくご覧くださいませ 429 00:41:10,363 --> 00:41:12,766 この者たちのお芝居を 430 00:41:12,766 --> 00:41:17,637 お父上様もわたくしと一緒に ご覧なされたではありませんか 431 00:41:17,637 --> 00:41:22,776 貧しい者でも男と女が 互いに信じ合い 432 00:41:22,776 --> 00:41:26,813 愛し合うあのお芝居を どうご覧なされました? 433 00:41:26,813 --> 00:41:30,550 あのようなことは 下賤の者たちの話じゃ 434 00:41:30,550 --> 00:41:33,153 いいえ 男と女に 435 00:41:33,153 --> 00:41:36,756 下賤も高貴も あろうはずがありません 436 00:41:36,756 --> 00:41:41,728 檜は上様のおそばに上がるよりも 437 00:41:41,728 --> 00:41:45,999 たとえ身分卑しくとも まことに檜の心と 438 00:41:45,999 --> 00:41:49,803 心を通じた者の元へ 参りとうございます 439 00:41:49,803 --> 00:41:52,038 のう 檜 440 00:41:52,038 --> 00:41:54,341 そちはいつもそのような 441 00:41:54,341 --> 00:41:57,077 愚にもつかぬ たわ言を 申しておるが 442 00:41:57,077 --> 00:42:01,114 たわ言でも何でも構いませぬ 443 00:42:01,114 --> 00:42:04,050 屋敷の中に 自分の愛している者がおれば 444 00:42:04,050 --> 00:42:06,386 手に手をとって走ります 445 00:42:06,386 --> 00:42:11,124 それが… 女の幸せでございましょ 446 00:42:11,124 --> 00:42:16,096 そのような不義を働く者があれば 手打ちにいたす 447 00:42:16,096 --> 00:42:19,966 ではわたくしも お父上様からお手討ちになって 448 00:42:19,966 --> 00:42:23,536 上様のおそばに上がらぬまでです 449 00:42:23,536 --> 00:42:26,136 困った娘じゃ 450 00:42:41,121 --> 00:42:46,021 殿 戸田様が お見えにござりまする 451 00:42:49,095 --> 00:42:51,865 天下に怖い物なしの柳澤様も 452 00:42:51,865 --> 00:42:54,534 檜様だけは お苦手と見えまするな 453 00:42:54,534 --> 00:42:57,170 何分にも一人娘 454 00:42:57,170 --> 00:43:00,570 わがままいっぱいに 育てたからのう 455 00:43:09,015 --> 00:43:14,053 御前もこの際 上様のお心を しかとつかまねばならず 456 00:43:14,053 --> 00:43:16,523 痛いところだな 457 00:43:16,523 --> 00:43:20,593 どうだ ここ一番が お手前の忠義のしどころ 458 00:43:20,593 --> 00:43:23,263 出世のはかりどころではないかな 459 00:43:23,263 --> 00:43:26,499 フフフ… うまくまいりますれば 460 00:43:26,499 --> 00:43:29,899 それに越したことは ございませんがな 461 00:43:38,211 --> 00:43:42,015 このたび 柳澤家 お出入りのご用 462 00:43:42,015 --> 00:43:44,050 そのほうに 仰せ付けくだされた 463 00:43:44,050 --> 00:43:47,020 ありがたく お受けいたすように 464 00:43:47,020 --> 00:43:51,124 筑紫屋卯蔵 一世一代の光栄でございます 465 00:43:51,124 --> 00:43:53,724 ありがたくお受けいたします 466 00:44:11,911 --> 00:44:15,648 ほう そんな娘がおったか 467 00:44:15,648 --> 00:44:17,984 はあ 468 00:44:17,984 --> 00:44:21,287 それとなく 聞き出しましたるところ 469 00:44:21,287 --> 00:44:27,026 筑紫屋が預かりおりまする 身寄りのない武家娘とか 470 00:44:27,026 --> 00:44:32,065 殿 この際 ご養女に お召しだしなされませ 471 00:44:32,065 --> 00:44:35,602 養女にか?しかし 472 00:44:35,602 --> 00:44:38,104 檜の身代わりとして 473 00:44:38,104 --> 00:44:40,940 上様がご承知なさるかな 474 00:44:40,940 --> 00:44:43,810 はい 手前 475 00:44:43,810 --> 00:44:47,313 この腹を懸けましても 保証いたしまする 476 00:44:47,313 --> 00:44:50,817 うん まあ よしよし これでひとつ 477 00:44:50,817 --> 00:44:54,317 肩の重荷が下りたわ はっ 478 00:45:11,738 --> 00:45:14,807 お小夜さん 479 00:45:14,807 --> 00:45:18,311 筑紫屋が喜んでいた 柳澤の用人に 480 00:45:18,311 --> 00:45:21,781 お茶を出してくれたと言って 481 00:45:21,781 --> 00:45:25,218 あんなことで… 何か 482 00:45:25,218 --> 00:45:30,056 もっとお手伝いしなくてはと 思っておりますのに 483 00:45:30,056 --> 00:45:32,959 女中たちも噂しておる 484 00:45:32,959 --> 00:45:37,830 一日ごとにお小夜さんが 元気になっていくと 485 00:45:37,830 --> 00:45:42,230 それも みんな 三四郎様のおかげです 486 00:45:48,374 --> 00:45:51,344 お小夜さん 487 00:45:51,344 --> 00:45:55,014 そのうち お父上の お墓参りに行こうか 488 00:45:55,014 --> 00:45:57,584 まあ 父の? 489 00:45:57,584 --> 00:46:01,220 うん 490 00:46:01,220 --> 00:46:06,826 父も どんなに 安心してくれますことやら 491 00:46:06,826 --> 00:46:11,698 思えばあの日の夜 ふとしたご縁で 492 00:46:11,698 --> 00:46:14,498 こんなにまでしていただいて 493 00:46:18,371 --> 00:46:22,575 悲しいことや嫌なことは 忘れることだ 494 00:46:22,575 --> 00:46:25,975 我慢をしていれば きっといいことがある 495 00:46:29,015 --> 00:46:34,187 お小夜さん 分かりますか 496 00:46:34,187 --> 00:46:36,487 はい 497 00:46:50,803 --> 00:46:53,706 何でえ せっかく来たのに 498 00:46:53,706 --> 00:46:56,706 俺がいたら邪魔になりそうだな 消えてやるか 499 00:47:06,786 --> 00:47:10,323 これはこれは 磯崎様 わざわざ恐れ入ります 500 00:47:10,323 --> 00:47:12,558 はい あの 例の物は 501 00:47:12,558 --> 00:47:15,328 ただ今 手を尽くしまして うちの中を捜しておりますので 502 00:47:15,328 --> 00:47:19,928 もう一日だけ… いえ 二日のご猶予のほどを 503 00:47:27,840 --> 00:47:31,577 お銀 おめえ 本当に 504 00:47:31,577 --> 00:47:36,549 銭酸漿をやる気があるのか そんなこと言ったって 505 00:47:36,549 --> 00:47:39,619 どこへ逃げたか分からないもの 仕方ないじゃないか 506 00:47:39,619 --> 00:47:43,019 そいつを見つけてやるのが おめえの仕事だ 507 00:47:45,124 --> 00:47:49,128 奴はな 昔はおめえに 惚れてたっていう噂だ 508 00:47:49,128 --> 00:47:51,397 何とか手は打てるだろう 509 00:47:51,397 --> 00:47:56,436 冗談じゃないよ あの男がそんな男かよ 510 00:47:56,436 --> 00:47:59,539 とにかく頼むぜ ああ? 511 00:47:59,539 --> 00:48:01,874 何しろ役人たちも 512 00:48:01,874 --> 00:48:04,677 銭酸漿を血眼になって捜してる 513 00:48:04,677 --> 00:48:08,377 そいつを横取りすりゃいい ハハハハ 514 00:48:11,284 --> 00:48:15,655 何しろ柳澤の横車だ 515 00:48:15,655 --> 00:48:20,660 一度言い出されたら どうにもならねえ相手だからな 516 00:48:20,660 --> 00:48:23,860 まあ 見つけしだいに ぶっ放すんだ 517 00:48:28,868 --> 00:48:31,804 え… 小夜様をお屋敷へ? 518 00:48:31,804 --> 00:48:34,307 御前 じきじきのお言いつけじゃ 519 00:48:34,307 --> 00:48:39,112 嫌と申せば 柳澤家ご用のことは なかったと思え 520 00:48:39,112 --> 00:48:41,112 よいな 521 00:48:44,784 --> 00:48:47,620 そうか 522 00:48:47,620 --> 00:48:50,857 で お小夜さんは 何と答えてきた? 523 00:48:50,857 --> 00:48:54,557 何もおっしゃらずに お部屋にお下がりになりました 524 00:49:02,201 --> 00:49:04,837 三四郎様 うん? 525 00:49:04,837 --> 00:49:11,043 せっかくここまで柳澤に 近づいてきましたのに 526 00:49:11,043 --> 00:49:15,348 しかし いかに大事の前とはいえ 527 00:49:15,348 --> 00:49:17,948 お小夜さんに 万一のことがあってはならん 528 00:49:20,086 --> 00:49:23,986 よし 私が話してこよう 529 00:50:01,561 --> 00:50:03,561 ご免 530 00:50:07,767 --> 00:50:10,967 お小夜さん 何をする! 531 00:50:22,548 --> 00:50:25,551 何をするのだ 532 00:50:25,551 --> 00:50:27,751 お小夜さん 533 00:50:33,426 --> 00:50:35,526 わたくしさえ… 534 00:50:38,097 --> 00:50:41,797 わたくしさえ いなければ 何を言うのだ 535 00:50:48,274 --> 00:50:50,674 お小夜さん 536 00:50:59,085 --> 00:51:01,285 お小夜さん 537 00:51:04,724 --> 00:51:07,860 わたくしはもう 538 00:51:07,860 --> 00:51:11,264 あなた様のおそばを離れて 539 00:51:11,264 --> 00:51:14,433 生きてはゆけません 540 00:51:14,433 --> 00:51:16,633 天にも地にも 541 00:51:18,671 --> 00:51:22,541 あなた様よりほかに 542 00:51:22,541 --> 00:51:25,841 おすがりできるお方は ございません 543 00:51:32,551 --> 00:51:34,921 でも 544 00:51:34,921 --> 00:51:40,259 柳澤様のお申し付けを お断りすれば 545 00:51:40,259 --> 00:51:45,031 お世話になった筑紫屋さんが どんなにお困りになるか 546 00:51:45,031 --> 00:51:49,231 は… それを思いますと わたくし… 547 00:51:56,509 --> 00:51:58,609 お小夜さん 548 00:52:01,180 --> 00:52:05,051 それほどまでに 549 00:52:05,051 --> 00:52:08,551 この私のことを 思っていてくれたのか 550 00:52:14,593 --> 00:52:17,129 お小夜さん 551 00:52:17,129 --> 00:52:19,829 私はもう隠しはしまい 552 00:52:27,139 --> 00:52:29,308 筑紫屋は 553 00:52:29,308 --> 00:52:31,908 どうしても柳澤に 近づかねばならない 554 00:52:34,146 --> 00:52:36,882 どうしてもだ 555 00:52:36,882 --> 00:52:39,452 それも 556 00:52:39,452 --> 00:52:41,852 この私のために 557 00:52:45,024 --> 00:52:50,029 柳澤の屋敷には髑髏銭がある 558 00:52:50,029 --> 00:52:56,029 そして更に 柳澤は 最も将軍に近い立場だ 559 00:52:58,771 --> 00:53:02,074 お小夜さん 560 00:53:02,074 --> 00:53:05,945 それほど この三四郎のことを 思ってくれるならば 561 00:53:05,945 --> 00:53:08,145 私からお願いする 562 00:53:10,282 --> 00:53:12,882 柳澤の屋敷に入ってくれ 563 00:53:14,987 --> 00:53:21,387 お小夜さんが柳澤の屋敷に 入った以上 決して一人にはせん 564 00:53:23,329 --> 00:53:27,629 この三四郎が必ず守り通す 565 00:53:30,002 --> 00:53:33,072 生きるも死ぬも 566 00:53:33,072 --> 00:53:35,841 2人はいつも一緒だ 567 00:53:35,841 --> 00:53:38,611 三四郎様 568 00:53:38,611 --> 00:53:40,713 行ってくれるか 569 00:53:40,713 --> 00:53:45,813 参ります あなた様のためならどこへでも 570 00:53:48,054 --> 00:53:51,954 お小夜さん 三四郎様 571 00:54:04,203 --> 00:54:06,603 三四郎様 572 00:54:16,515 --> 00:54:18,551 よしよし 573 00:54:18,551 --> 00:54:21,654 上様も お気に召されるであろう 574 00:54:21,654 --> 00:54:24,690 ハハハハ… 575 00:54:24,690 --> 00:54:29,728 明日の宵は お月見のお忍びと称して 576 00:54:29,728 --> 00:54:32,631 この屋敷へお成りじゃ 577 00:54:32,631 --> 00:54:34,767 明日の月は 578 00:54:34,767 --> 00:54:39,004 これで一段と さえ渡ろう 579 00:54:39,004 --> 00:54:41,304 磯崎 はっ 580 00:55:06,432 --> 00:55:09,032 しばらくこちらでお待ちを 581 00:55:24,617 --> 00:55:27,820 お小夜さん お小夜さん 582 00:55:27,820 --> 00:55:30,120 仙太さん 583 00:55:35,728 --> 00:55:39,198 旦那も外に来てますぜ 584 00:55:39,198 --> 00:55:41,400 三四郎様にお伝えください 585 00:55:41,400 --> 00:55:44,670 明日の夜 将軍がこのお屋敷へお成りです 586 00:55:44,670 --> 00:55:46,870 何?将軍が? 587 00:55:49,175 --> 00:55:51,475 人が来ます 588 00:56:01,587 --> 00:56:06,687 小夜様 お姫様が お呼びでございます 589 00:56:10,863 --> 00:56:12,863 姫様 590 00:56:30,015 --> 00:56:32,918 小夜にございます 591 00:56:32,918 --> 00:56:35,454 柳澤の養女になれば 592 00:56:35,454 --> 00:56:39,458 上様からお召しに あずかるかもしれません 593 00:56:39,458 --> 00:56:44,758 そなた それを知って 柳澤家に上がってきたのですか 594 00:56:48,100 --> 00:56:50,102 はい 595 00:56:50,102 --> 00:56:54,640 そうなれば そなたは うれしいと思いますか? 596 00:56:54,640 --> 00:56:57,910 姫様 こちら様はただもう 597 00:56:57,910 --> 00:57:02,810 栄耀栄華に憧れて 気もそぞろでございましょう 598 00:57:07,686 --> 00:57:11,886 そなた 本当に そう思っているのですか 599 00:57:16,962 --> 00:57:19,362 下がるがよい 600 00:57:21,600 --> 00:57:24,603 くせ者! 出あえ! 601 00:57:24,603 --> 00:57:26,603 くせ者だ 602 00:57:29,742 --> 00:57:32,344 ちきしょう いたちの仙太 603 00:57:32,344 --> 00:57:35,247 一世一代の大ドジだ 604 00:57:35,247 --> 00:57:37,483 おい くせ者じゃ 出あえ 出あえ! 605 00:57:37,483 --> 00:57:39,583 出あえ 出あえ 606 00:57:42,288 --> 00:57:45,591 出あえ 出あえ! 607 00:57:45,591 --> 00:57:47,691 くせ者だ! 608 00:57:57,303 --> 00:58:00,306 くせ者だ! 出あえ 出あえ! 609 00:58:00,306 --> 00:58:03,876 追え! 610 00:58:03,876 --> 00:58:05,976 ちきしょう 611 00:58:16,055 --> 00:58:18,055 待て! 612 00:58:21,593 --> 00:58:24,093 旦那 旦那! 613 00:58:35,574 --> 00:58:37,874 旦那!旦那 614 00:58:40,112 --> 00:58:42,612 旦那 すいません よし 走れ 615 00:58:47,953 --> 00:58:49,953 旦那! 616 00:58:57,296 --> 00:58:59,298 逃げろ へい 617 00:58:59,298 --> 00:59:01,298 待て! 618 01:00:52,044 --> 01:00:55,013 旦那 もう大丈夫らしいですよ 619 01:00:55,013 --> 01:00:58,550 ヘヘッ とんだドジを踏みやして 620 01:00:58,550 --> 01:01:01,353 お小夜さんに会ったか? へえ 将軍は明日の晩 621 01:01:01,353 --> 01:01:04,256 この屋敷へ来るらしいですぜ 何じゃ 明日? 622 01:01:04,256 --> 01:01:06,325 へえ 623 01:01:06,325 --> 01:01:08,894 そうか 624 01:01:08,894 --> 01:01:11,196 よし ヘヘッ 旦那 625 01:01:11,196 --> 01:01:13,665 それだけで逃げ出しゃ よかったんですがね 626 01:01:13,665 --> 01:01:16,268 行きがけの駄賃でこれを 627 01:01:16,268 --> 01:01:19,238 うん? 628 01:01:19,238 --> 01:01:21,440 おお 髑髏銭 629 01:01:21,440 --> 01:01:24,776 (呼び子笛の音) 630 01:01:24,776 --> 01:01:26,776 旦那 呼び子ですぜ 631 01:01:28,881 --> 01:01:31,181 どけ!どけどけ 632 01:01:49,902 --> 01:01:52,402 御用だ 御用だ 633 01:02:48,093 --> 01:02:50,295 おお おお 龍吉 どうだった 634 01:02:50,295 --> 01:02:52,564 へい 銭酸漿は大川端に逃げましたぜ 635 01:02:52,564 --> 01:02:55,233 よし おう 追いかけてたたき斬れ! 636 01:02:55,233 --> 01:02:57,233 へい! 637 01:03:01,440 --> 01:03:04,476 おう お銀 今夜こそ逃がすんじゃねえぞ 638 01:03:04,476 --> 01:03:06,476 しっかり狙え 639 01:03:21,059 --> 01:03:25,359 (呼び子笛の音) 640 01:04:29,294 --> 01:04:31,994 お銀 早く 早く狙って撃て 641 01:04:46,311 --> 01:04:48,411 野郎! 642 01:04:52,050 --> 01:04:56,350 早く撃て 奴は髑髏銭を 持ってるんだ 早くしろ 643 01:05:03,729 --> 01:05:08,266 へへへへ 銭酸漿 素浪人の分際で 644 01:05:08,266 --> 01:05:10,969 口はばったいことを 抜かしてたらしいが 645 01:05:10,969 --> 01:05:16,308 どうやら年貢の納め時が来たぞ 髑髏銭はもらったぜ 646 01:05:16,308 --> 01:05:22,547 犬めが!駿河大納言家の恩を忘れ しかる財宝を狙う人非人めが! 647 01:05:22,547 --> 01:05:25,751 へへへ… 何とでも抜かせ 648 01:05:25,751 --> 01:05:28,251 おう お銀 何してやがる 649 01:05:37,763 --> 01:05:40,763 どうしたんだ 貸しやがれ 650 01:06:57,542 --> 01:07:00,812 やめて! お銀 何しやがる 651 01:07:00,812 --> 01:07:02,912 この野郎 652 01:07:06,551 --> 01:07:08,851 くそーっ 653 01:07:14,125 --> 01:07:17,062 旦那 654 01:07:17,062 --> 01:07:19,965 旦那 髑髏銭がここに 655 01:07:19,965 --> 01:07:22,667 何っ! 656 01:07:22,667 --> 01:07:24,867 くそ 657 01:07:52,063 --> 01:07:55,163 心ある者はよく聞け 658 01:08:01,907 --> 01:08:07,479 駿河大納言家の遺臣 有村左馬頭の一子 大藏 659 01:08:07,479 --> 01:08:13,479 父の志を受け継ぎ 大納言家の財宝を守って敵を倒す 660 01:08:33,405 --> 01:08:36,541 待て! 661 01:08:36,541 --> 01:08:39,941 何だ 貴様は この邪魔者を斬れ! 662 01:08:57,095 --> 01:08:59,631 貴様に何の因縁があるんだ 663 01:08:59,631 --> 01:09:02,031 先生 先生 664 01:09:07,605 --> 01:09:09,705 貴様! 665 01:09:30,161 --> 01:09:33,331 銭酸漿 666 01:09:33,331 --> 01:09:36,968 有村大藏と申すのか 667 01:09:36,968 --> 01:09:40,705 おぬしの苦労は 決して無駄ではなかったぞ 668 01:09:40,705 --> 01:09:45,905 この三四郎が必ず 守り通してみせる 669 01:09:59,924 --> 01:10:03,724 銭酸漿 銭酸漿! 670 01:10:17,809 --> 01:10:20,209 (猫の鳴き声) 671 01:11:10,995 --> 01:11:14,695 ほう そちが保明の養女か 672 01:11:16,701 --> 01:11:19,501 よし 近う進め 673 01:11:22,841 --> 01:11:24,941 あっ 674 01:11:31,783 --> 01:11:33,983 うわーっ ハハハッ 675 01:11:43,995 --> 01:11:46,364 おう 兄貴 おい お前ら いいか 676 01:11:46,364 --> 01:11:50,401 遠慮しねえで お前ら ばばーんと… 677 01:11:50,401 --> 01:11:53,501 小夜とやら 杯を取らせる 678 01:11:56,808 --> 01:12:00,908 遠慮いたすな 近う進め 679 01:12:14,893 --> 01:12:18,129 (爆発音) 680 01:12:18,129 --> 01:12:20,429 保明 何事じゃ 681 01:12:40,552 --> 01:12:42,720 おい みんな 遠慮することねえんだぞ 682 01:12:42,720 --> 01:12:44,889 どんどんどんどん投げろ おい 頓吉 683 01:12:44,889 --> 01:12:48,489 へい 早く投げるんだよ 684 01:12:54,332 --> 01:12:57,602 ケチケチするな 頓吉 おう!合点だい 685 01:12:57,602 --> 01:13:00,438 この野郎! 686 01:13:00,438 --> 01:13:02,938 もっと派手にやるんだよ 687 01:13:13,851 --> 01:13:17,222 磯崎 磯崎 688 01:13:17,222 --> 01:13:21,159 磯崎 何事じゃ 689 01:13:21,159 --> 01:13:24,862 はあ 邸内に十数ヵ所 爆薬を投げ込みましたる様子 690 01:13:24,862 --> 01:13:26,965 いずれも子供だましの火薬玉にて 691 01:13:26,965 --> 01:13:29,200 ええい!上様のお成りを 何と心得とる 692 01:13:29,200 --> 01:13:31,500 急遽 くせ者を取り押さえい! はっ 693 01:13:35,740 --> 01:13:38,240 上様のお身が 694 01:13:41,579 --> 01:13:45,379 いいぞ いいぞ どんどんどんどん やるんだ 695 01:13:51,789 --> 01:13:54,692 帰城いたす 参れ 696 01:13:54,692 --> 01:13:56,692 しばらく 697 01:14:07,438 --> 01:14:09,538 何者じゃ 698 01:14:16,614 --> 01:14:19,050 徳川三四郎にござりまする 699 01:14:19,050 --> 01:14:22,754 何? 駿河大納言 忠長が 700 01:14:22,754 --> 01:14:25,590 世に隠れた末にござりまする 701 01:14:25,590 --> 01:14:27,792 何? 702 01:14:27,792 --> 01:14:30,328 忠長卿の孫と申すか 703 01:14:30,328 --> 01:14:32,430 御意 黙れ! 704 01:14:32,430 --> 01:14:35,230 目通りかなわぬ!下がれ! 705 01:14:39,137 --> 01:14:42,373 無礼者 動くな! 706 01:14:42,373 --> 01:14:44,709 一歩たりとも動けば 707 01:14:44,709 --> 01:14:48,609 将軍 綱吉公の御首 抜き打ちに頂戴いたすまで 708 01:14:52,517 --> 01:14:56,120 駿河大納言 忠長の孫として 709 01:14:56,120 --> 01:14:59,691 将軍綱吉公にお尋ねいたしまする 710 01:14:59,691 --> 01:15:02,660 何事の訴えじゃ 申せ 711 01:15:02,660 --> 01:15:06,631 されば かって家光公 712 01:15:06,631 --> 01:15:09,434 3代将軍家を継がせたまひし時 713 01:15:09,434 --> 01:15:12,904 弟君たる忠長に 人望多く集まるのを知り 714 01:15:12,904 --> 01:15:16,808 待て 将軍家自らの指揮をもって 715 01:15:16,808 --> 01:15:20,144 弟君たる忠長に 事実無根の罪をかぶせ 716 01:15:20,144 --> 01:15:23,047 待て!申すな 悲惨な最期を 717 01:15:23,047 --> 01:15:26,718 遂げさせられましたること 718 01:15:26,718 --> 01:15:30,054 綱吉公には いかにお考えなされまするか 719 01:15:30,054 --> 01:15:32,423 待て 720 01:15:32,423 --> 01:15:35,126 ならば尋ねる 721 01:15:35,126 --> 01:15:40,064 今更に家光公のいたされしことを とやかく申す以上 722 01:15:40,064 --> 01:15:43,434 この綱吉に何を望まんと 申すのじゃ 723 01:15:43,434 --> 01:15:46,037 されば 724 01:15:46,037 --> 01:15:49,307 祖父 忠長の無念さを思い 725 01:15:49,307 --> 01:15:54,212 家光公 既に亡きうえは そのお血筋 すなわち 726 01:15:54,212 --> 01:15:58,249 将軍家を怨敵の1人と目して 727 01:15:58,249 --> 01:16:01,249 この綱吉を斬ると申すか 728 01:16:04,922 --> 01:16:07,122 あるいは… 729 01:16:13,431 --> 01:16:18,031 お人払い 願わしゅう存じまする 730 01:16:21,773 --> 01:16:25,109 よし 731 01:16:25,109 --> 01:16:27,509 三四郎とやら 732 01:16:33,551 --> 01:16:36,754 ついてまいるか 733 01:16:36,754 --> 01:16:39,354 お供つかまつりまする 734 01:17:04,048 --> 01:17:09,053 三四郎 なぜ余を斬らぬ 735 01:17:09,053 --> 01:17:11,622 この三四郎とて 736 01:17:11,622 --> 01:17:14,559 将軍を斬って 天下を再び 騒乱のちまたに 737 01:17:14,559 --> 01:17:16,859 落としとうはございません 738 01:17:19,497 --> 01:17:22,600 この綱吉は信じておる 739 01:17:22,600 --> 01:17:26,437 いや 信じねばならぬことは 740 01:17:26,437 --> 01:17:31,242 忠長卿の死は天下国家の 安泰のためであった 741 01:17:31,242 --> 01:17:33,878 ただそれだけのことじゃ 742 01:17:33,878 --> 01:17:38,878 まことに… まことにそうと思われまするか 743 01:17:43,020 --> 01:17:46,958 余の申すことに偽りあらば 744 01:17:46,958 --> 01:17:50,027 申すまでもございません 745 01:17:50,027 --> 01:17:55,066 忠長の恨みを込めて 一刀を抜き放つばかり 746 01:17:55,066 --> 01:17:57,502 よしんば 747 01:17:57,502 --> 01:18:02,473 三四郎 この邸内に 斬り死にいたしましょうとも 748 01:18:02,473 --> 01:18:06,310 徳川のお家を恨む 駿河大納言家が残党 749 01:18:06,310 --> 01:18:09,110 まだ全国に潜みおりまする 750 01:18:12,250 --> 01:18:15,052 その者たちを集め 751 01:18:15,052 --> 01:18:18,789 一戦を試みるに事欠かぬ 準備がございまする 752 01:18:18,789 --> 01:18:21,158 何?準備があると? 753 01:18:21,158 --> 01:18:23,558 さよう 754 01:18:28,900 --> 01:18:32,737 これをご覧くださいませ 755 01:18:32,737 --> 01:18:36,974 これは駿河大納言家に伝わる 756 01:18:36,974 --> 01:18:41,674 謎の財宝を秘めた 3枚の髑髏銭にこざりまする 757 01:18:44,115 --> 01:18:47,151 1枚は駿河家 お取り潰しの際 758 01:18:47,151 --> 01:18:50,454 柳澤保明の持ち去りました物 759 01:18:50,454 --> 01:18:53,124 1枚は駿河家 出入りの商人 760 01:18:53,124 --> 01:18:56,093 銅座瀧右衛門の 持ち去りました物 761 01:18:56,093 --> 01:18:58,496 1枚は大納言が遺臣 762 01:18:58,496 --> 01:19:00,865 有村左馬頭の一子 763 01:19:00,865 --> 01:19:04,769 大藏の守り抜きました物 764 01:19:04,769 --> 01:19:09,307 この3枚の髑髏銭に 秘められた財宝をもって 765 01:19:09,307 --> 01:19:11,642 天下を大揺れに動かし 766 01:19:11,642 --> 01:19:16,981 徳川の屋台骨を覆すのも 夢ではございません 767 01:19:16,981 --> 01:19:20,351 もしこの綱吉が 768 01:19:20,351 --> 01:19:25,523 まことに忠長卿の霊を 慰めせんとする時は 769 01:19:25,523 --> 01:19:28,593 その時は 770 01:19:28,593 --> 01:19:31,495 忠長の名において 771 01:19:31,495 --> 01:19:34,999 天下万民のために その秘宝をすべて 772 01:19:34,999 --> 01:19:39,570 ご公儀に献上つかまつる覚悟に ござりまする 773 01:19:39,570 --> 01:19:45,876 三四郎 余は駿河大納言 忠長卿の 霊をまつり 774 01:19:45,876 --> 01:19:50,214 まことに徳川の天下を守って 死なれたこと 775 01:19:50,214 --> 01:19:53,114 あまねく世の人に示そうと思う 776 01:19:55,086 --> 01:19:57,188 まことにございまするか 777 01:19:57,188 --> 01:20:02,526 そのほうが もしこの綱吉の言に 不信ありと思った時は 778 01:20:02,526 --> 01:20:04,962 いつ 何時なりとも 779 01:20:04,962 --> 01:20:09,162 その忠長卿の髑髏銭を 思いのままに使うがよい 780 01:20:15,673 --> 01:20:17,875 徳川三四郎 781 01:20:17,875 --> 01:20:22,713 このうえ 更に 申し上げる言葉はございません 782 01:20:22,713 --> 01:20:28,653 これにて 二十有余年の思いが 遂げられましてござりまする 783 01:20:28,653 --> 01:20:32,353 忠長卿はよい孫を 持たれたものよのう 784 01:20:38,062 --> 01:20:41,866 申すがよい いずこの国 785 01:20:41,866 --> 01:20:45,236 どこの土地が望みじゃ 786 01:20:45,236 --> 01:20:49,473 三百諸侯は大平の御代に 持つ土地ならば 一寸たりとも 787 01:20:49,473 --> 01:20:52,510 騒がしとうはございません 788 01:20:52,510 --> 01:20:55,913 ただ そのお言葉のみ 789 01:20:55,913 --> 01:21:00,113 忠長の墓前に ご報告 申し上げるばかりでございます 790 01:21:02,853 --> 01:21:07,992 では そちは 城も要らず 国も要らず 791 01:21:07,992 --> 01:21:09,992 これからどうする気じゃ 792 01:21:11,996 --> 01:21:17,168 忠長が残せし3枚の古銭に 刻まれた髑髏は 793 01:21:17,168 --> 01:21:20,971 日光の山 奥深き所を 指しておりまする 794 01:21:20,971 --> 01:21:26,577 我らはその地に赴き その地下に潜む大銀山を開き 795 01:21:26,577 --> 01:21:30,915 祖父 忠長に代わって 世に役立てる覚悟にござりまする 796 01:21:30,915 --> 01:21:34,615 ほう 日光の大銀山 797 01:21:37,054 --> 01:21:41,954 叔父上 さらばにござりまする 798 01:21:45,129 --> 01:21:48,229 おう 小夜殿 799 01:21:53,971 --> 01:21:57,174 上様 わたくしは 800 01:21:57,174 --> 01:22:02,079 三四郎様のお供をいたすことに 決めておる者でございます 801 01:22:02,079 --> 01:22:05,479 何… そちが 802 01:22:08,853 --> 01:22:14,125 なるほど ハハハッ そうであったか 803 01:22:14,125 --> 01:22:17,394 もしも三四郎が 斬り死にいたした時は 804 01:22:17,394 --> 01:22:23,501 そちが余に近づいて三四郎の 志を継ぐつもりであったのか? 805 01:22:23,501 --> 01:22:26,837 はい ハハハ… 806 01:22:26,837 --> 01:22:31,876 保明め 己の出世のためとは申せ 807 01:22:31,876 --> 01:22:34,776 恐ろしき娘を 余に押しつけたものじゃ 808 01:22:36,881 --> 01:22:40,981 三四郎 さらばじゃ 809 01:22:56,367 --> 01:22:59,270 三四郎様 810 01:22:59,270 --> 01:23:01,270 お小夜さん 811 01:23:07,578 --> 01:23:12,216 旦那!旦那 待ってくれよ 812 01:23:12,216 --> 01:23:14,316 旦那 813 01:23:16,620 --> 01:23:20,224 止まれ 814 01:23:20,224 --> 01:23:22,326 旦那 お約束の品だ 815 01:23:22,326 --> 01:23:24,626 目の下 3尺はありますぜ 816 01:23:27,198 --> 01:23:29,500 魚河岸から一番いいの かっぱらってきたんで 817 01:23:29,500 --> 01:23:32,937 こら 仙太 これが おいらの盗み納めでさあ 818 01:23:32,937 --> 01:23:34,939 お供いたしやす 819 01:23:34,939 --> 01:23:38,639 お立ちーっ