1 00:00:08,008 --> 00:00:12,012 (馬締)⟨茫漠とした言葉の海⟩ 2 00:00:18,018 --> 00:00:21,939 (馬締)⟨海を渡るすべを持たない 僕たちは→ 3 00:00:22,022 --> 00:00:24,942 そこで ただ たたずむ⟩ 4 00:00:25,025 --> 00:00:32,950 ⟨誰かに届けたい思いを 言葉を 胸の奥底にしまったまま⟩ 5 00:00:33,033 --> 00:00:40,040 ⟨辞書とは その海を渡る 一艘の舟だ⟩ 6 00:00:42,042 --> 00:00:52,052 ♪~ 7 00:02:19,265 --> 00:02:23,227 (荒木) 松本先生が 最初に手にした辞書は何ですか? 8 00:02:23,269 --> 00:02:25,229 (松本) 祖父の遺品として譲り受けた→ 9 00:02:25,271 --> 00:02:28,232 大槻 文彦の “言海”ですね。→ 10 00:02:28,274 --> 00:02:30,234 多大な困難を乗り越え→ 11 00:02:30,276 --> 00:02:33,237 大槻が 1人で編さんした辞書だと知り→ 12 00:02:33,279 --> 00:02:37,241 子供心に 大いに感銘を受けたものです。 13 00:02:37,283 --> 00:02:39,243 (荒木) 感銘を受けつつ→ 14 00:02:39,285 --> 00:02:42,162 ちょっと色っぽい言葉を 引いてみたりもしたでしょう。 15 00:02:42,246 --> 00:02:44,164 (松本) しませんよ そんなこと。 16 00:02:44,248 --> 00:02:46,166 (荒木) そうですか? 17 00:02:46,250 --> 00:02:50,170 私は中学のころの “岩波 国語辞典”が最初でしたが→ 18 00:02:50,254 --> 00:02:53,173 しもがかった言葉を 引きまくりましたよ。 19 00:02:53,257 --> 00:02:57,177 しかし あれは極めて 端正で上品な辞書だ。 20 00:02:57,261 --> 00:02:59,179 さぞかし がっかりしたことでしょうね。 21 00:02:59,263 --> 00:03:01,181 そうそう そうなんですよね。 22 00:03:01,265 --> 00:03:03,183 って 先生も 引いてみたんじゃないですか。 23 00:03:03,267 --> 00:03:05,269 (松本) フフフ。 24 00:03:08,272 --> 00:03:11,191 荒木君とは ずいぶん たくさんの辞書を→ 25 00:03:11,275 --> 00:03:15,279 一緒に作りました。 どれも 思い出深い…。 26 00:03:19,283 --> 00:03:22,202 (荒木) 最後まで お手伝いすることができず→ 27 00:03:22,286 --> 00:03:24,204 ホントに申し訳ないです。 28 00:03:24,288 --> 00:03:28,208 やはり 編集部に残ることは できませんか。 29 00:03:28,292 --> 00:03:31,211 できるだけ 顔を出すつもりではいますが→ 30 00:03:31,295 --> 00:03:35,215 女房の具合が どうも芳しくないんです。 31 00:03:35,299 --> 00:03:38,218 これまで 辞書づけで 何にも してやれませんでしたから→ 32 00:03:38,302 --> 00:03:41,138 せめて 定年後は そばに ついていてやりたく…。 33 00:03:41,221 --> 00:03:43,140 それが いいでしょう。 34 00:03:43,223 --> 00:03:48,228 今度は 荒木君が 奥さんを 支えてさしあげる番だ。 35 00:03:53,233 --> 00:03:57,154 (荒木) 定年までに何としても 私の後継となる社員を探します。→ 36 00:03:57,237 --> 00:04:02,159 先生を万全の態勢でお助けし 辞書編集部を統率し→ 37 00:04:02,242 --> 00:04:04,161 私たち二人で立てた→ 38 00:04:04,244 --> 00:04:07,164 新しい辞書の企画を 推進していける→ 39 00:04:07,247 --> 00:04:11,168 若く有能な人材を! 40 00:04:11,251 --> 00:04:16,173 (松本) 君のような編集者とは もう巡り合えないでしょう。→ 41 00:04:16,256 --> 00:04:18,175 辞書の編集作業は→ 42 00:04:18,258 --> 00:04:23,180 単行本や雑誌とは違う 大変 特殊な世界です。→ 43 00:04:23,263 --> 00:04:26,183 気長で細かい作業をいとわず→ 44 00:04:26,266 --> 00:04:30,187 言葉に耽溺し しかし 溺れきらず 広い視野をも併せ持つ。→ 45 00:04:30,270 --> 00:04:36,193 そういう若者が 今の時代に果たして…。 46 00:04:36,276 --> 00:04:39,196 (荒木) 必ずいるはずです。→ 47 00:04:39,279 --> 00:04:42,157 私が何としても→ 48 00:04:42,199 --> 00:04:44,201 見つけ出します! 49 00:04:55,212 --> 00:04:59,174 (荒木) 佐々木さん。 西岡は? (佐々木) まだ 帰っていませんよ。 50 00:04:59,216 --> 00:05:02,177 (荒木) まったく あいつは ふらふら ほっつき歩きおって。→ 51 00:05:02,219 --> 00:05:06,181 佐々木さん 頼みがあるんですが。 (佐々木) はい? 52 00:05:06,223 --> 00:05:09,184 辞書編集に向いた人間に 心当たりがあれば→ 53 00:05:09,226 --> 00:05:13,188 どの部署の誰でもいい。 俺に教えてくれませんか? 54 00:05:13,230 --> 00:05:15,190 (佐々木) あっ はあ…。 55 00:05:15,232 --> 00:05:20,237 “大渡海”を作るため 絶対に必要なんです。 56 00:05:42,217 --> 00:05:47,139 \(馬締) 玄武書房から参りました 馬締 光也と申します。 57 00:05:47,222 --> 00:05:50,142 このたびは弊社の新刊を 置いていただきまして→ 58 00:05:50,225 --> 00:05:52,144 ありがとうございます。 59 00:05:52,227 --> 00:05:54,146 (馬締) つきましては 本日→ 60 00:05:54,229 --> 00:05:57,149 販売促進用のちらしを お持ちしましたので…。 61 00:05:57,232 --> 00:06:01,153 あ~ ここレジなので そっちに回ってもらえます? 62 00:06:01,236 --> 00:06:04,156 (馬締) あっ はい…。 (西岡) んっ? 63 00:06:04,239 --> 00:06:07,159 (馬締) あの これ ご活用いただけますと 幸いです。 64 00:06:07,242 --> 00:06:10,162 はいはい ご苦労さまです。 65 00:06:10,245 --> 00:06:15,167 頂きましたんで もう。 はい。 (馬締) また よろしくお願いします! 66 00:06:15,250 --> 00:06:20,172 (店員) はいはい それじゃ。 (馬締) では 失礼します! 67 00:06:20,255 --> 00:06:24,176 いらっしゃいませ。 こちら 680円になります。 68 00:06:24,259 --> 00:06:28,180 (西岡) あの… 今の人 何書房って言ってましたっけ? 69 00:06:28,263 --> 00:06:30,182 ああ 玄武書房さんですよ。 70 00:06:30,265 --> 00:06:33,185 大声で驚かせてすみませんね。 71 00:06:33,268 --> 00:06:35,187 (西岡) こちらこそ すみません! >> えっ? 72 00:06:35,270 --> 00:06:38,190 (西岡) うちの営業が 大変な失礼をいたしまして→ 73 00:06:38,273 --> 00:06:40,192 誠に申し訳ありませんでした。 74 00:06:40,275 --> 00:06:44,154 この俺… いえ 私が ビシッと 言い聞かせておきますんで→ 75 00:06:44,196 --> 00:06:46,156 今後とも 玄武書房を何とぞ→ 76 00:06:46,198 --> 00:06:49,159 何とぞ よろしくお願いいたします。 77 00:06:49,201 --> 00:06:52,204 はっ はあ…。 どうも ご丁寧に。 78 00:06:55,207 --> 00:06:58,168 (西岡) おいおい うちの営業部に あんなやつ いたのかよ。 79 00:06:58,210 --> 00:07:01,171 って もう いねえし。 あっ。 80 00:07:01,213 --> 00:07:04,216 待て! 待てよ 営業! 81 00:07:08,220 --> 00:07:10,222 (西岡) そう! お前! 82 00:07:12,224 --> 00:07:15,185 (馬締) 辞書編集部の方ですか。 83 00:07:15,227 --> 00:07:20,190 同じ玄武書房の方と気付かず す… すみませんでした。 84 00:07:20,232 --> 00:07:24,194 (西岡) 違えって。 そんなこと言ってんじゃなくてさ。 85 00:07:24,236 --> 00:07:26,196 書店の営業回りに→ 86 00:07:26,238 --> 00:07:28,198 そんなライバル書店の袋 ぶら下げてったら→ 87 00:07:28,240 --> 00:07:30,200 店員さんも あきれるっつうの。 88 00:07:30,242 --> 00:07:34,204 (馬締) ああ 色が落ち着いていて 奇麗だなと思いまして。 89 00:07:34,246 --> 00:07:36,206 (西岡) そういうんじゃねえだろ。 90 00:07:36,248 --> 00:07:40,210 うちの商品をお預けする それぞれの書店さんに→ 91 00:07:40,252 --> 00:07:45,215 気持ち良く売っていただけるよう 常に相手の立場になって考える。 92 00:07:45,257 --> 00:07:49,219 これな。 これが営業の心構えだろうが。 93 00:07:49,261 --> 00:07:52,222 分かってんの? お前。 え~っと…。 94 00:07:52,264 --> 00:07:54,224 「馬締 光也」? 95 00:07:54,266 --> 00:07:58,228 (馬締) はい 馬締です。 (西岡) 馬締なあ…。 96 00:07:58,270 --> 00:08:01,231 真面目っつうか天然なのも 結構だけど→ 97 00:08:01,273 --> 00:08:04,234 要するに もう少し 空気 読めってこと。 98 00:08:04,276 --> 00:08:07,237 (馬締) 空気…。 (西岡) あっ? 何だよ? 99 00:08:07,279 --> 00:08:10,240 (馬締) 読むということは→ 100 00:08:10,282 --> 00:08:14,244 西岡さんの おっしゃる空気は 呼吸するものではなく→ 101 00:08:14,286 --> 00:08:20,250 場の状況 雰囲気を表す際に用いる 空気ですね。 102 00:08:20,292 --> 00:08:22,252 (西岡) はっ? (馬締) ああ…。 103 00:08:22,294 --> 00:08:25,255 空気が重いという 使い方もありますね。 104 00:08:25,297 --> 00:08:27,257 居心地が悪い。 105 00:08:27,299 --> 00:08:31,261 その場を立ち去りたいような 思いに 駆られること。 106 00:08:31,303 --> 00:08:35,265 (西岡) 俺 ちょうど そんな気分になってきたよ。 107 00:08:35,307 --> 00:08:39,269 まっ 頑張れよな。 108 00:08:39,311 --> 00:08:41,188 (馬締) あの…。 (西岡) んっ? 109 00:08:41,271 --> 00:08:46,193 (馬締) ご教示 ありがとうございました。 110 00:08:46,276 --> 00:08:50,280 (西岡) いや ハハハ…。 111 00:08:50,280 --> 00:09:07,297 ♪~ 112 00:09:07,297 --> 00:09:10,300 (馬締) ただ今 帰りました。 113 00:09:10,300 --> 00:09:35,325 ♪~ 114 00:09:35,325 --> 00:09:37,327 (馬締) ハァ…。 115 00:09:40,330 --> 00:09:42,249 (馬締) トラさん。 116 00:09:44,251 --> 00:09:47,170 夕飯を作らなきゃな。 117 00:09:47,254 --> 00:09:50,257 トラさん 煮干しでいいかな。 118 00:10:00,267 --> 00:10:04,187 \(タケ) みっちゃん 帰ってたのかい? 119 00:10:04,271 --> 00:10:07,190 (馬締) はい。 先ほど帰りました。 120 00:10:07,274 --> 00:10:10,193 (タケ) 煮物を作り過ぎちゃったんだよ。 121 00:10:10,277 --> 00:10:13,196 よかったら みっちゃん 食べてって。 122 00:10:13,280 --> 00:10:17,284 (馬締) ありがとうございます。 では ご相伴にあずかります。 123 00:10:19,286 --> 00:10:21,288 いただきます。 124 00:10:23,290 --> 00:10:25,208 (タケ) こういうのもあるよ。 125 00:10:25,292 --> 00:10:28,211 (馬締) わっ いい匂いですね。 126 00:10:28,295 --> 00:10:31,214 (タケ) 肉の井の坂 自慢の新商品なんだって。→ 127 00:10:31,298 --> 00:10:35,218 今週は お試しサービスで 安くするって言うから→ 128 00:10:35,302 --> 00:10:37,220 2人分 買ってきたんだよ。 129 00:10:37,304 --> 00:10:42,184 (馬締) なるほど。 今までと香りが少し違いますね。 130 00:10:42,225 --> 00:10:46,188 井の坂のじっちゃんね 後継ぎ息子に→ 131 00:10:46,229 --> 00:10:50,192 「今のままじゃ駄目だ! 新しい商品を考えよう!」→ 132 00:10:50,233 --> 00:10:55,197 なんて言われたとかで 張り切ってるんだって。 133 00:10:55,238 --> 00:10:58,241 (馬締) 今のままじゃ…。 134 00:11:00,243 --> 00:11:02,204 (タケ) ああ そういやさ→ 135 00:11:02,245 --> 00:11:05,207 最近 また 本が ひと山ばかし 増えたじゃない。 136 00:11:05,248 --> 00:11:08,210 (馬締) あっ すみません。 お邪魔でしたか? 137 00:11:08,251 --> 00:11:11,213 廊下には はみ出さないように 整理したつもりでしたが…。 138 00:11:11,254 --> 00:11:17,219 アッハッハ 気にしなさんな。 廊下から ちらっと見えただけ。→ 139 00:11:17,260 --> 00:11:23,225 早雲荘の床は やわじゃないから まだまだ 積んでも大丈夫。 140 00:11:23,266 --> 00:11:28,230 だいたい 本好きのみっちゃんが 本を買ってこなくなったら→ 141 00:11:28,271 --> 00:11:32,234 わたしゃ よっぽど心配さ。 142 00:11:32,275 --> 00:11:34,277 (馬締) 安心しました。 143 00:11:49,251 --> 00:11:51,169 (馬締) うっ…。 144 00:11:51,253 --> 00:11:56,174 うう…。 145 00:11:56,258 --> 00:11:59,261 うっ…。 146 00:12:01,263 --> 00:12:06,184 ⟨言葉… まるで海のように広がる言葉⟩ 147 00:12:06,268 --> 00:12:08,186 ⟨思いを誰にも届けられず→ 148 00:12:08,270 --> 00:12:11,189 どちらに向かえばいいかも 分からぬまま→ 149 00:12:11,273 --> 00:12:14,192 僕は海に沈む⟩ 150 00:12:14,276 --> 00:12:18,196 ⟨海に のまれていく⟩ 151 00:12:18,280 --> 00:12:21,199 ⟨誰か 手を差し伸べて⟩ 152 00:12:21,283 --> 00:12:24,286 ⟨行く先を 照らして⟩ 153 00:12:26,288 --> 00:12:31,293 ハァ ハァ ハァ…。 154 00:12:38,300 --> 00:12:40,302 (馬締) ハァ…。 155 00:12:44,973 --> 00:12:46,892 (海くん) やあ! 僕 辞書! (ヒロシ) 私は 辞書である! 156 00:12:46,975 --> 00:12:48,894 (リン太) 俺 辞書です! (泉くん) 僕 辞書! 157 00:12:48,977 --> 00:12:50,896 (海くん) ってゆうか同じ辞書なのに→ 158 00:12:50,979 --> 00:12:53,899 どうして みんな 名前も内容も違うんだろう? 159 00:12:53,982 --> 00:12:55,901 (ヒロシ) 辞書というものは 編さんされた時代背景→ 160 00:12:55,984 --> 00:12:58,904 方針などによって それぞれの個性があるのです。 161 00:12:58,987 --> 00:13:00,906 (海くん) わ~! (リン太・泉くん) うんうん。 162 00:13:00,989 --> 00:13:05,911 (リン太) 俺は威厳を持ちつつ 新しい言葉にも柔軟だなあ! 163 00:13:05,994 --> 00:13:08,914 (泉くん) 僕はナウい。 いや 今 きてる言葉を→ 164 00:13:08,997 --> 00:13:11,917 多く収録してるのが 自慢だね。 165 00:13:12,000 --> 00:13:15,921 (泉くん) 君は? (海くん) えっ え~っと 僕は 僕は。 166 00:13:16,004 --> 00:13:18,924 (ヒロシ) 君は君の個性を これから見つければいい。 167 00:13:19,007 --> 00:13:23,011 (リン太・ヒロシ・泉くん) うんうん。 (海くん) 僕の… 個性。 168 00:13:27,933 --> 00:13:30,894 (男性) おい また 来てる。 (男性) 誰よ? 169 00:13:30,936 --> 00:13:34,898 (男性) 辞書編集部の荒木さん。 (男性) 辞書? 170 00:13:34,940 --> 00:13:36,900 人材を探してんだってよ。 171 00:13:36,942 --> 00:13:40,904 (男性) マジ? ヤベッ! 目 合わせないようにしないと。 172 00:13:40,946 --> 00:13:42,948 (荒木) 必ず いる。 173 00:13:42,948 --> 00:14:07,973 ♪~ 174 00:14:20,986 --> 00:14:24,948 (松本) 《気長で細かい作業をいとわず→ 175 00:14:24,990 --> 00:14:31,871 言葉に耽溺し しかし 溺れきらず 広い視野をも併せ持つ》 176 00:14:31,955 --> 00:14:34,874 そんなやつが いるはずだ。→ 177 00:14:34,958 --> 00:14:36,960 必ず。 178 00:14:41,965 --> 00:14:43,883 フゥ…。 \(西岡) 荒木さん。 179 00:14:43,967 --> 00:14:48,888 昼飯 抜きなんじゃないですか? (荒木) 昼飯なんか食ってられるか。 180 00:14:48,972 --> 00:14:50,890 (荒木) まったく お前は のんきで うらやましいよ。 181 00:14:50,974 --> 00:14:54,894 (西岡) ひどいなあ。 俺だって 探しましたよ。 182 00:14:54,978 --> 00:14:56,896 ねえ? 佐々木さん。 (佐々木) うん。 183 00:14:56,980 --> 00:14:59,899 (西岡) でもね 辞書作りに向いた人材なんて→ 184 00:14:59,983 --> 00:15:01,901 そう簡単に見つかりませんって。 185 00:15:01,985 --> 00:15:04,904 情けない。 会社は辞書というものを→ 186 00:15:04,988 --> 00:15:07,907 ないがしろにしとる。 (西岡) 仕方ありませんよ。 187 00:15:07,991 --> 00:15:12,912 辞書作りには 莫大な金と 膨大な時間がかかりますからね。 188 00:15:12,996 --> 00:15:15,915 莫大…。 (佐々木) ずっと景気悪いですしね。 189 00:15:15,999 --> 00:15:18,918 どこも すぐ売れる物しか 作ろうとしませんよ。 190 00:15:19,002 --> 00:15:20,920 (荒木) 辞書はイメージもいいし→ 191 00:15:21,004 --> 00:15:23,923 景気に左右されにくい商品だ。 192 00:15:24,007 --> 00:15:26,926 こんなときだからこそ 志を高く持ち→ 193 00:15:27,010 --> 00:15:28,928 未来を見据えようって 気概はないのか。 194 00:15:29,012 --> 00:15:31,931 (西岡) 辞書は もう何冊もありますしね。 (荒木) お前な! 195 00:15:32,015 --> 00:15:34,934 (西岡) うわっ! >> 辞書編集部員のくせに→ 196 00:15:35,018 --> 00:15:37,937 辞書は どれも 同じだと 思ってるんじゃないだろうな? 197 00:15:38,021 --> 00:15:41,941 (西岡) いや 俺だって…。 (荒木) 語釈 収録語の傾向など→ 198 00:15:42,025 --> 00:15:43,943 辞書には それぞれ 個性がある。 199 00:15:44,027 --> 00:15:46,946 一つとして同じ辞書はないんだ。→ 200 00:15:47,030 --> 00:15:49,949 これからの未来にふさわしい 新しい辞書を→ 201 00:15:50,033 --> 00:15:52,952 松本先生と共に われわれが作るんだ。 202 00:15:53,036 --> 00:15:54,954 (西岡) 俺だって 分かってますよ。 203 00:15:55,038 --> 00:15:57,957 だけど 俺みたいに 優秀なやつなんて→ 204 00:15:58,041 --> 00:15:59,959 うちには なかなか いませんって。 (佐々木) プッ。 205 00:16:00,043 --> 00:16:02,962 (西岡) 昨日だって 外で営業部の人間と→ 206 00:16:03,046 --> 00:16:04,964 ばったり 会いましてね これが…。 207 00:16:05,048 --> 00:16:08,968 (荒木) フッ どうせ売り上げばっかり 考えてるやつなんだろう。 208 00:16:09,052 --> 00:16:11,971 (西岡) いや~ それが 全然 営業に向いてないやつで。 209 00:16:12,055 --> 00:16:15,975 俺 説教してやったんですけどね。 210 00:16:16,059 --> 00:16:17,977 (馬締)《空気…》 211 00:16:18,061 --> 00:16:20,980 《読むということは…》 212 00:16:21,064 --> 00:16:22,982 《呼吸するものではなく→ 213 00:16:23,066 --> 00:16:30,949 場の状況 雰囲気を表す際に 使われる 空気ですね》 214 00:16:30,990 --> 00:16:32,951 (西岡) あと何だったっけな。 215 00:16:32,992 --> 00:16:34,953 居心地が悪いとか→ 216 00:16:34,994 --> 00:16:38,957 その場を立ち去りたいと 思うこととか何とか…。 217 00:16:38,998 --> 00:16:41,960 (荒木) その場で すぐに そう言ったのか? そいつが。 218 00:16:42,001 --> 00:16:44,963 (佐々木) へ~ そんな 営業いるんだ。→ 219 00:16:45,004 --> 00:16:46,965 妙に親近感あるわね。 220 00:16:47,006 --> 00:16:49,968 (西岡) え~ 佐々木さんだって 会ったら 引きますよ。 221 00:16:50,009 --> 00:16:52,971 何しろ こう… 空気読めないやつだったんすから。 222 00:16:53,012 --> 00:16:54,973 (荒木) 会おう! (西岡) へっ? 223 00:16:55,014 --> 00:16:57,976 (荒木) 営業部の何てやつだ? ああ じれったい!→ 224 00:16:58,017 --> 00:16:59,978 お前も ついてこい! (西岡) えっ? 225 00:17:00,019 --> 00:17:04,983 ちょっと! 待ってくださいよ! 荒木さん! 226 00:17:05,024 --> 00:17:08,987 一つの言葉が持つ多様な意味を 瞬時に思い浮かべる。→ 227 00:17:09,028 --> 00:17:12,991 それは 辞書を作るために 重要な素質だ。 228 00:17:13,032 --> 00:17:17,996 (西岡) 会ったって無駄ですよ。 ホント 天然で くそ真面目な…。 229 00:17:18,037 --> 00:17:20,039 あっ こいつだ。 230 00:17:22,041 --> 00:17:28,006 (荒木)「第一営業部 馬締」 行くぞ! 231 00:17:50,028 --> 00:17:51,946 (松本)《辞書の編集作業は→ 232 00:17:52,030 --> 00:17:57,035 単行本や雑誌とは違う 大変 特殊な世界です》 233 00:17:57,035 --> 00:18:26,981 ♪~ 234 00:18:26,981 --> 00:18:29,901 (松本) 《気長で細かい作業をいとわず→ 235 00:18:29,984 --> 00:18:38,910 言葉に耽溺し しかし 溺れきらず 広い視野をも併せ持つ》→ 236 00:18:38,993 --> 00:18:43,998 《そういう若者が 今の時代に果たして…》 237 00:18:43,998 --> 00:18:56,010 ♪~ 238 00:18:56,010 --> 00:18:58,930 (荒木) 辞書編集部の荒木だ。 239 00:18:59,013 --> 00:19:02,934 (馬締) あっ 第一営業部の馬締です。 240 00:19:03,017 --> 00:19:06,938 (荒木) 馬締とは珍しい名字だな。 どこの出身だ? 241 00:19:07,021 --> 00:19:11,943 (馬締) 僕は東京ですが 両親の出身は和歌山です。 242 00:19:12,026 --> 00:19:14,946 問屋場のことを 馬締ともいったそうで。 243 00:19:15,029 --> 00:19:20,952 (荒木) 旅人に馬の手配をする。 馬の元締ということか。 244 00:19:21,035 --> 00:19:22,954 ああ 話の途中ですまんな。 245 00:19:23,037 --> 00:19:26,916 (馬締) いえ 名字の由来を聞かれたことは 何度もありますが→ 246 00:19:26,958 --> 00:19:30,920 書き留められるのは初めてです。 247 00:19:30,962 --> 00:19:34,924 (荒木) 君は 右を説明しろと 言われたら どうする? 248 00:19:34,966 --> 00:19:36,926 (馬締) 右…。 249 00:19:36,968 --> 00:19:41,931 方向としての右ですか? それとも思想としての。 250 00:19:41,973 --> 00:19:43,975 方向の右だ。 251 00:19:49,981 --> 00:19:52,942 (馬締) 箸を使う方と言うと→ 252 00:19:52,984 --> 00:19:55,945 左利きの人を無視することに なりますし→ 253 00:19:55,987 --> 00:19:57,947 心臓のない方と言っても→ 254 00:19:57,989 --> 00:20:00,992 心臓が右にある人も いるそうですから…。 255 00:20:02,994 --> 00:20:08,958 体を北へ向けたとき 東に当たる方角。 256 00:20:09,000 --> 00:20:11,961 では 島は どう表す? 257 00:20:12,003 --> 00:20:14,964 (馬締) ストライプ アイランド 地名の志摩。 258 00:20:15,006 --> 00:20:16,966 アイランドの島だ。 259 00:20:17,008 --> 00:20:21,971 (馬締) 周りを水に囲まれた 比較的 小さな陸地でしょうか。 260 00:20:22,013 --> 00:20:24,974 いや それじゃ 足りない。 261 00:20:25,016 --> 00:20:28,895 江の島は 一部が 陸とつながっていながら 島だ。 262 00:20:28,978 --> 00:20:32,899 となると…。 (荒木) もういい 十分だ。 263 00:20:32,982 --> 00:20:38,905 馬締君。 君の力を“大渡海”に… 新しい辞書作りに注いでほしい。 264 00:20:38,988 --> 00:20:41,991 (西岡) へっ? 冗談でしょ? 265 00:20:43,993 --> 00:20:45,995 (馬締) 辞書? 266 00:20:52,001 --> 00:20:58,925 (馬締)⟨言葉の海を前にたたずむ人の 心を 思いを運ぶために→ 267 00:20:59,008 --> 00:21:02,929 僕たちは 舟を編む⟩ 268 00:21:03,012 --> 00:21:10,019 ⟨言葉の海を渡る “大渡海”という舟を⟩ 269 00:21:10,019 --> 00:21:20,029 ♪~ 270 00:22:39,984 --> 00:22:41,903 (馬締)《せりふは完璧に覚えてきたぞ》 271 00:22:41,986 --> 00:22:43,905 《落ち着け 落ち着け》 272 00:22:43,988 --> 00:22:45,990 《おつつけ かんだ!》 273 00:22:49,994 --> 00:22:52,997 (馬締) はっ! 覚えてきた せりふまで 真っ白に…。