1 00:00:08,008 --> 00:00:10,928 (男性) 片面に16ページずつ→ 2 00:00:11,011 --> 00:00:14,932 両面 合わせて 32ページが 印刷されています。→ 3 00:00:15,015 --> 00:00:17,935 この紙を 4回 半分に折ると→ 4 00:00:18,018 --> 00:00:20,938 ページ順に 上下左右も揃った形で→ 5 00:00:21,021 --> 00:00:23,941 1ページ大の紙が 16枚 重なります。 6 00:00:24,024 --> 00:00:28,946 (荒木) 背の部分を残して 三方を裁断したものが一折り。 7 00:00:29,029 --> 00:00:31,949 つまり 32ページで 一折り。 8 00:00:32,032 --> 00:00:34,952 約3,000ページに及ぶ“大渡海”は→ 9 00:00:35,035 --> 00:00:39,957 90以上の折りを重ね束ねて 1冊の本となる。 10 00:00:40,040 --> 00:00:42,960 皆さんの思いを形にするため→ 11 00:00:43,043 --> 00:00:47,047 微力ながら われわれも 全力を尽くします。 12 00:00:51,051 --> 00:00:53,053 (馬締) 温かい…。 13 00:00:58,058 --> 00:00:59,977 (馬締) 明かり…。 14 00:01:00,060 --> 00:01:04,899 明かりという言葉には 光 灯だけでなく→ 15 00:01:04,982 --> 00:01:06,901 証しという意味もある。→ 16 00:01:06,984 --> 00:01:10,905 先生と われわれの 十数年にわたる言葉との格闘は→ 17 00:01:10,988 --> 00:01:14,909 無為ではなかった。→ 18 00:01:14,992 --> 00:01:17,995 これが まさに その証しだ。 19 00:01:20,998 --> 00:01:31,008 ♪~ 20 00:02:56,176 --> 00:02:58,095 (荒木) 奥さまに電話で→ 21 00:02:58,178 --> 00:03:01,098 “大渡海”の刷り出しが できましたと お伝えしたら→ 22 00:03:01,181 --> 00:03:04,101 すぐに先生が電話口に出られたよ。 23 00:03:04,184 --> 00:03:08,105 (馬締) お元気なんですね? >> うん。 ホントにうれしそうで→ 24 00:03:08,188 --> 00:03:13,193 一刻も早く見たいと おっしゃっていた。 25 00:03:13,193 --> 00:03:50,147 ♪~ 26 00:03:50,147 --> 00:03:53,067 (千恵) 今 ちょっと横になってまして。→ 27 00:03:53,150 --> 00:03:55,069 すぐに 呼んできますから。 28 00:03:55,152 --> 00:03:57,071 (荒木) お休みでしたら ご無理なさらず。 29 00:03:57,154 --> 00:03:59,073 (千恵) 大丈夫ですよ。→ 30 00:03:59,156 --> 00:04:04,078 お二人を追い返したりしたら 後で叱られます。 どうぞ。 31 00:04:04,161 --> 00:04:08,082 (荒木) それでは…。 (馬締) お邪魔いたします。 32 00:04:08,165 --> 00:04:11,085 \(足音) 33 00:04:11,168 --> 00:04:15,089 (松本) どうも ご足労いただいて。 ああ そのまま。→ 34 00:04:15,172 --> 00:04:18,175 皆さんに お茶を。 (千恵) はい。 35 00:04:21,178 --> 00:04:25,182 今日は 冬にしては 暖かく感じます。 36 00:04:27,184 --> 00:04:29,103 先生 ご覧ください。 37 00:04:29,186 --> 00:04:31,105 お~! 38 00:04:31,188 --> 00:04:35,109 (荒木) この春には 予定どおり 刊行できる見通しです。 39 00:04:35,192 --> 00:04:38,112 待ち遠しいですね。→ 40 00:04:38,195 --> 00:04:42,074 しかし 辞書は 完成してからが本番です。→ 41 00:04:42,116 --> 00:04:44,076 より精度と確度を上げるため→ 42 00:04:44,118 --> 00:04:47,079 刊行後も用例採集に努め→ 43 00:04:47,121 --> 00:04:50,082 改訂 改版に 備えなければなりません。 44 00:04:50,124 --> 00:04:53,085 (馬締) 永遠に 完成はない。 45 00:04:53,127 --> 00:04:55,087 (松本) うん。 46 00:04:55,129 --> 00:04:57,131 (馬締) 心します。 47 00:05:07,141 --> 00:05:10,102 (松本) お~。 48 00:05:10,144 --> 00:05:12,146 (松本) 庭を見ませんか。 49 00:05:16,150 --> 00:05:20,112 (松本) どうです? 馬締君。 (馬締) はい。 50 00:05:20,154 --> 00:05:22,114 (松本) 枯れた草花も→ 51 00:05:22,156 --> 00:05:26,118 その種子を受け継がれ 新しく芽吹く。→ 52 00:05:26,160 --> 00:05:28,120 循環する命の営みほど→ 53 00:05:28,162 --> 00:05:33,125 われわれにとって 励みになるものはありません。 54 00:05:33,167 --> 00:05:35,127 (馬締) 循環…。 55 00:05:35,169 --> 00:05:37,171 命の循環…。 56 00:05:39,173 --> 00:05:43,052 (千恵) また 日が出てきましたね。 (松本) うん。 57 00:05:43,135 --> 00:05:45,054 (千恵) お土産を頂きましたよ。 58 00:05:45,137 --> 00:05:50,059 (松本) ほう。 どうも 結構なものを。→ 59 00:05:50,142 --> 00:05:54,063 私は この店の洋菓子が 特に好きでしてね。 60 00:05:54,146 --> 00:05:57,066 (千恵) 玄武書房さんからの帰りは→ 61 00:05:57,149 --> 00:06:00,069 いつも 食べきれないほど 買ってきちゃって。 62 00:06:00,152 --> 00:06:05,074 (一同の笑い声) 63 00:06:05,157 --> 00:06:08,077 (松本) 時に 馬締君。 (馬締) あっ はい。 64 00:06:08,160 --> 00:06:11,080 (松本) 海外では 自国語の辞書を→ 65 00:06:11,163 --> 00:06:16,085 時の権力者が主導して 編さんすることが多い。 66 00:06:16,168 --> 00:06:22,091 なぜ 公金を使って 辞書を編むのだと思いますか? 67 00:06:22,174 --> 00:06:24,093 (馬締) 自国語の辞書編さんは→ 68 00:06:24,176 --> 00:06:28,097 国家の威信をかけて なされるべき→ 69 00:06:28,180 --> 00:06:31,100 という考えからでしょうか? >> そのとおり。→ 70 00:06:31,183 --> 00:06:33,102 翻って 日本では→ 71 00:06:33,185 --> 00:06:39,108 公的機関が主導して編んだ 国語辞書は皆無です。→ 72 00:06:39,191 --> 00:06:44,071 “言海”も 大槻 文彦が 生涯をかけて私的に編さんし→ 73 00:06:44,113 --> 00:06:48,075 私費で刊行されました。 74 00:06:48,117 --> 00:06:51,078 私は それを知ったとき→ 75 00:06:51,120 --> 00:06:57,084 日本の官公庁の文化に対する 感度の鈍さに憤ったものですが。 76 00:06:57,126 --> 00:07:03,090 (松本) しかし 今は これで 良かったのだと考えています。 77 00:07:03,132 --> 00:07:05,092 (馬締) それは なぜでしょうか? 78 00:07:05,134 --> 00:07:07,094 (松本) 公金が投入されれば→ 79 00:07:07,136 --> 00:07:12,099 内容に口出しされる可能性も ないとは言えないでしょう。→ 80 00:07:12,141 --> 00:07:15,102 権威付けと支配の道具として→ 81 00:07:15,144 --> 00:07:18,105 言葉が位置付けられては いけません。 82 00:07:18,147 --> 00:07:22,109 言葉は… 言葉を紡ぐ人の心は→ 83 00:07:22,151 --> 00:07:25,112 自由であるべきです。 84 00:07:25,154 --> 00:07:27,114 (松本) たとえ 資金に乏しくとも→ 85 00:07:27,156 --> 00:07:31,118 国家ではなく 一人の人間である われわれが→ 86 00:07:31,160 --> 00:07:34,121 日々を暮らす中で 辞書を編さんする。 87 00:07:34,163 --> 00:07:38,125 そんな現状に誇りを持とう。 88 00:07:38,167 --> 00:07:42,129 今 あらためて そう思うのです。 89 00:07:42,171 --> 00:07:45,132 (松本のせき) 90 00:07:45,174 --> 00:07:47,134 先生…。 (千恵) 大丈夫です。 91 00:07:47,176 --> 00:07:52,139 ちょっと 機嫌がいいと お話が長くなるものですから。 92 00:07:52,181 --> 00:07:57,144 フフ… 調子に乗って話し過ぎましたね。 93 00:07:57,186 --> 00:08:00,147 (荒木) 先生 そろそろ われわれは おいとまします。→ 94 00:08:00,189 --> 00:08:04,151 どうか お休みになってください。 95 00:08:04,193 --> 00:08:06,153 (松本) 実は 君たちに→ 96 00:08:06,195 --> 00:08:09,156 お伝えしなければ ならないことがあるんです。 97 00:08:09,198 --> 00:08:13,202 食道に がんがあることが 分かりました。 98 00:08:15,204 --> 00:08:17,206 (荒木) えっ? 99 00:08:25,214 --> 00:08:29,176 (荒木) こんな… こんなことってあるか…。→ 100 00:08:29,218 --> 00:08:31,178 なあ 馬締。 (馬締) はい。 101 00:08:31,220 --> 00:08:34,181 俺たちは 辞書を作り続ける。 102 00:08:34,223 --> 00:08:38,185 言葉の海を渡る 一艘の舟を編み続ける。 103 00:08:38,227 --> 00:08:41,104 (馬締) はい。 >> そうやって→ 104 00:08:41,188 --> 00:08:44,191 俺たちは いったい どこへ 向かおうとしてるんだろうな。 105 00:08:46,193 --> 00:08:48,111 (馬締) どこへ向かうのか→ 106 00:08:48,195 --> 00:08:52,115 僕には 分かりません。 107 00:08:52,199 --> 00:08:55,118 辞書の編さんに 関わるようになって→ 108 00:08:55,202 --> 00:09:00,123 僕は 暗闇で 明かりを 見いだした思いでした。 109 00:09:00,207 --> 00:09:04,127 ようやく 自分が 目指すべき方角が分かったと。 110 00:09:04,211 --> 00:09:10,133 でも 今でも 時々 夢を見ます。 111 00:09:10,217 --> 00:09:14,137 暗い海で どちらへ進めばいいのか 分からず→ 112 00:09:14,221 --> 00:09:17,140 途方に暮れている夢を。 113 00:09:17,224 --> 00:09:21,144 >> 馬締…。 (馬締) ですが 今 それは→ 114 00:09:21,228 --> 00:09:24,147 自分だけじゃないことを 知っています。 115 00:09:24,231 --> 00:09:29,152 誰もが 自分の思いを伝えようと→ 116 00:09:29,236 --> 00:09:35,158 喜んだり 傷ついたり みんな 懸命に…。 117 00:09:35,242 --> 00:09:38,161 僕たちにできるのは→ 118 00:09:38,245 --> 00:09:42,082 夜の海を渡ろうとする人たちの 道を照らし→ 119 00:09:42,165 --> 00:09:45,085 たとえ 小さな歩みでも 立ち止まらず→ 120 00:09:45,168 --> 00:09:49,089 いつか 次の誰かにバトンを渡すこと。 121 00:09:49,172 --> 00:09:52,175 そう言ったら 悲し過ぎるでしょうか。 122 00:09:55,178 --> 00:09:59,099 (荒木) いや 悲しいとは思わん! (馬締) あ痛っ! 123 00:09:59,182 --> 00:10:02,102 (荒木) 馬締の言うとおりだ。 お前に それを→ 124 00:10:02,185 --> 00:10:05,105 思い出させてもらう日が 来るとはな。 125 00:10:05,188 --> 00:10:08,191 よし やるか! (馬締) はい。 126 00:10:13,155 --> 00:10:16,074 (海くん) 僕の体が光ってる! 127 00:10:16,158 --> 00:10:19,077 (泉くん) これは! (リン太) 海くん ついに! 128 00:10:19,161 --> 00:10:24,082 (ヒロシ) ああ… 時が来たのです! (海くん) 僕 どうなっちゃうの? 129 00:10:24,166 --> 00:10:28,045 誕生の時が来たのです! (泉くん) 僕ら辞書の新しい仲間! 130 00:10:28,086 --> 00:10:30,088 そして よきライバル! 131 00:10:32,090 --> 00:10:36,053 (海くん) でも 僕 みんなみたいに 立派な辞書になれるかな? 132 00:10:36,094 --> 00:10:38,055 (リン太) なれるとも! 133 00:10:38,096 --> 00:10:40,057 大勢の人たちの力が集まって→ 134 00:10:40,098 --> 00:10:44,061 君は君だけの個性を備えた 辞書になる! 135 00:10:44,102 --> 00:10:48,065 大勢の人の力が集まった個性…。 136 00:10:48,106 --> 00:10:51,068 (ヒロシ) うんうん。 (リン太・泉くん) ヘヘヘ。 エヘヘ。 137 00:10:51,109 --> 00:10:54,112 (海くん) みんな~! 138 00:11:02,120 --> 00:11:06,124 (馬締) じゃあ 行こうか。 (香具矢) うん。 あっ。 139 00:11:10,128 --> 00:11:13,131 (香具矢) うん OK。 (馬締) ありがとう。 140 00:11:19,137 --> 00:11:23,100 (香具矢) あ~! 見て ほら。 (馬締) つぼみですね。 141 00:11:23,141 --> 00:11:26,019 (香具矢) ねえ みっちゃんの仕事が 一段落したころ→ 142 00:11:26,103 --> 00:11:29,022 お花見に行こうか。 143 00:11:29,106 --> 00:11:31,024 (香具矢) お茶とサンドイッチ 持ってね。→ 144 00:11:31,108 --> 00:11:35,028 歩いて 疲れたら一休みして また歩いて。 145 00:11:35,112 --> 00:11:39,032 ゆっくり ゆっくり 見て歩こう。 146 00:11:39,116 --> 00:11:41,118 (馬締) いいですね。 147 00:11:47,124 --> 00:11:50,043 (娘たち) ヘヘヘ! 148 00:11:50,127 --> 00:11:54,047 パパ 抱っこ! (西岡) おっと! ハハハ…。 149 00:11:54,131 --> 00:11:56,049 (娘たち) 早く 早く! 150 00:11:56,133 --> 00:11:59,052 (西岡) さあ 姫君たち 今日も出掛けますか。 151 00:11:59,136 --> 00:12:04,057 (麗美) あ~あ ここにも お姫さまがいるんだけどな。 152 00:12:04,141 --> 00:12:06,059 ママは おきさきさまでしょ。 153 00:12:06,143 --> 00:12:10,063 抱っこしてもらうのは お姫さまだけなんだよ。 154 00:12:10,147 --> 00:12:13,066 (西岡) 恐れながら この上 きさきまで 抱きかかえては→ 155 00:12:13,150 --> 00:12:17,070 王の体が ペシャンコになってしまいます。 156 00:12:17,154 --> 00:12:21,074 (麗美) んっ? え~ それって どういう意味よ? 157 00:12:21,158 --> 00:12:25,996 (西岡) いかん! 急いで出発だ! ハハハハハ! 158 00:12:26,079 --> 00:12:30,000 (佐々木) どうも ご連絡 ありがとうございました。 159 00:12:30,083 --> 00:12:33,003 (佐々木) はい。 (馬締) おはようございます。 160 00:12:33,086 --> 00:12:35,005 (佐々木) 承りました。 161 00:12:35,088 --> 00:12:37,007 (岸辺) おはようございます。 (荒木) おはよう。 162 00:12:37,090 --> 00:12:39,009 (馬締) おはようございます。 (佐々木) それでは 失礼します。 163 00:12:39,092 --> 00:12:41,011 (電話を切る音) 164 00:12:41,094 --> 00:12:44,014 印刷所から 最後の刷り出しが 終わりましたって。 165 00:12:44,097 --> 00:12:47,017 (岸辺) もうすぐ… なんですね。 166 00:12:47,100 --> 00:12:49,019 俺は もう 感無量で…。 167 00:12:49,102 --> 00:12:54,024 “大渡海”が出来上がったら 私 泣いちゃうかな。 168 00:12:54,107 --> 00:12:57,027 佐々木さんが泣くところ 想像できないが…。 169 00:12:57,110 --> 00:13:00,030 (佐々木) あら ひどい。 (岸辺) そうですよ。→ 170 00:13:00,113 --> 00:13:02,032 今のは 荒木さんが悪いです。 (荒木) す… すまん 確かに。 171 00:13:02,115 --> 00:13:05,035 ☏ (佐々木) でも 楽しみね。 172 00:13:05,118 --> 00:13:09,039 (岸辺) 私もです。 (馬締) はい 玄武書房 辞書編集部。 173 00:13:09,122 --> 00:13:14,127 ああ 先日は どうも。 ありがとうございました。 174 00:13:16,129 --> 00:13:18,131 えっ!? (3人) んっ? 175 00:13:32,062 --> 00:13:34,022 (馬締) 先ほど→ 176 00:13:34,064 --> 00:13:39,069 松本先生が…。 177 00:13:41,071 --> 00:13:43,073 亡くなられたそうです…。 178 00:13:50,080 --> 00:13:55,043 (男性) 副部長 そろそろ 定例会議です。 179 00:13:55,085 --> 00:13:57,087 副部長? (男性) 西岡さん? 180 00:13:59,089 --> 00:14:04,052 (西岡) この春に発売される 新時代を象徴する辞書 “大渡海” 181 00:14:04,094 --> 00:14:07,055 ここで 最終盛り上げを前に→ 182 00:14:07,097 --> 00:14:12,060 あらためて それぞれの分担を 確認しようと思います。 183 00:14:12,102 --> 00:14:14,062 その前に→ 184 00:14:14,104 --> 00:14:18,066 皆さんには 信用して いただけないかもしれませんが→ 185 00:14:18,108 --> 00:14:23,071 こう見えて 私 辞書編さんに 関わっていた時期がございました。 186 00:14:23,113 --> 00:14:26,992 (一同の笑い声) (西岡) そのとき 学んだことがあります。 187 00:14:27,075 --> 00:14:29,995 辞書とは 人と人とが理解し合い→ 188 00:14:30,078 --> 00:14:32,998 より良い社会を 形成していくための→ 189 00:14:33,081 --> 00:14:35,000 一助となるものであると。 190 00:14:35,083 --> 00:14:40,005 “大渡海”は 現代 そして これから未来を担う人々にとって→ 191 00:14:40,088 --> 00:14:46,011 道しるべとなるようにという 願いと情熱から生まれました。 192 00:14:46,094 --> 00:14:48,013 今 この新しい辞書を→ 193 00:14:48,096 --> 00:14:53,018 1人でも多くの読者に届ける 役割の一端を担えること。 194 00:14:53,101 --> 00:14:57,105 私は 心から 誇りに思っています。 195 00:15:06,114 --> 00:15:08,116 \(香具矢) みっちゃん ご飯…。 196 00:15:23,131 --> 00:15:26,134 まだ 夜は冷えるね。 197 00:15:35,143 --> 00:15:45,070 (馬締 すすり泣く声) 198 00:15:45,153 --> 00:15:47,155 間に合わなかったよ…。 199 00:15:49,157 --> 00:15:55,163 (すすり泣く声) 200 00:16:08,176 --> 00:16:10,095 馬締主任。 201 00:16:10,178 --> 00:16:13,098 “大渡海” 刊行 おめでとうございます。 202 00:16:13,181 --> 00:16:16,101 お疲れさま 馬締さん。 203 00:16:16,184 --> 00:16:18,103 (馬締) 皆さん お疲れさまでした。 204 00:16:18,186 --> 00:16:22,107 私 まだ 全然 実感が湧かなくて。 205 00:16:22,190 --> 00:16:26,069 こんなとき 何て言えばいいのか。 (佐々木) 私だって そうよ。 206 00:16:26,111 --> 00:16:30,073 えっ? 佐々木さんも? (佐々木) 荒木さんもですか? 207 00:16:30,115 --> 00:16:34,077 (馬締) あっ それ 僕もです。 (一同の笑い声) 208 00:16:34,119 --> 00:16:36,079 (岸辺) みんなで お祝いしましょう。 209 00:16:36,121 --> 00:16:38,081 松本先生のためにも。 210 00:16:38,123 --> 00:16:40,083 月の裏の お座敷 予約済みです。 211 00:16:40,125 --> 00:16:44,087 西岡君も 呼んでありますから。 (荒木) 西岡か。 212 00:16:44,129 --> 00:16:48,091 あの宣伝マスコット あいつじゃなきゃ思い付かんよな。 213 00:16:48,133 --> 00:16:52,095 カワイイですよね。 書店さんでも人気みたいですよ。 214 00:16:52,137 --> 00:16:55,098 (荒木) じゃ たまには 労をねぎらってやるか。 215 00:16:55,140 --> 00:16:59,102 じゃ 向かいましょうか。 (岸辺・荒木) はい。 行きましょう。 216 00:16:59,144 --> 00:17:04,107 (馬締) あの 僕 ちょっと この辺 整理していきますので。 217 00:17:04,149 --> 00:17:06,109 整理なら私が。 218 00:17:06,151 --> 00:17:09,112 気持ちの整理ってやつでしょ。 (岸辺) あっ。 219 00:17:09,154 --> 00:17:12,157 (馬締) すみません。 すぐ追い掛けます。 220 00:17:27,130 --> 00:17:29,048 \(ドアの開く音) \(西岡) よう。 221 00:17:29,132 --> 00:17:31,050 (馬締) 西岡さん! 222 00:17:31,134 --> 00:17:35,054 (西岡)“大渡海”の後書きに 俺の名前が載ってるじゃないか。 223 00:17:35,138 --> 00:17:40,059 (馬締) はい。 あっ まさか お名前に誤植でもありましたか? 224 00:17:40,143 --> 00:17:45,064 (西岡) そうじゃない。 俺なんか ほとんど 何も…。 225 00:17:45,148 --> 00:17:48,067 あっ。 226 00:17:48,151 --> 00:17:51,070 ホントに お前ってやつは…。 227 00:17:51,154 --> 00:17:54,073 覚えてるか? 俺ら二人で→ 228 00:17:54,157 --> 00:17:57,076 西行の項目について 話し合ったときのこと。 229 00:17:57,160 --> 00:17:59,078 (馬締) 覚えています。 230 00:17:59,162 --> 00:18:02,081 (西岡) あのとき 松本先生 言ってたな。 231 00:18:02,165 --> 00:18:06,085 俺たちは 互いに支え合い 補う者同士だって。 232 00:18:06,169 --> 00:18:08,087 (馬締) はい。 (西岡) あの言葉→ 233 00:18:08,171 --> 00:18:12,091 今の方が分かる気がするよ。 234 00:18:12,175 --> 00:18:14,093 俺たちだけじゃない。 235 00:18:14,177 --> 00:18:17,096 人ってのは 支え合ったり 補い合ったりしないと→ 236 00:18:17,180 --> 00:18:22,101 海を渡れない。 (馬締) そう思います。 そして…。 237 00:18:22,185 --> 00:18:26,105 (西岡) その一助となるべく “大渡海”はある。 238 00:18:29,108 --> 00:18:34,030 (西岡) お疲れ。 完成 おめでとう。 (馬締) 西岡さんも。 239 00:18:34,113 --> 00:18:37,033 (西岡) だけど これで終わったと思うなよ。 240 00:18:37,116 --> 00:18:41,037 俺の仕事は これからが 本番だ。 (馬締) 分かっています。 241 00:18:41,120 --> 00:18:45,041 僕たちの仕事に 終わりなんて永遠にありません。 242 00:18:45,124 --> 00:18:49,045 (西岡) はっ? 永遠? そりゃ 勘弁してくれよ。 243 00:18:49,128 --> 00:18:54,050 (馬締) どうしてですか? (西岡) お前 松本先生に似てきたよな。 244 00:18:54,133 --> 00:18:57,053 (馬締) えっ? 西岡さんこそ。 (西岡) 俺が? 245 00:18:57,136 --> 00:19:01,057 バカ そんな… そうか? ハハ! 246 00:19:01,140 --> 00:19:04,060 (馬締) 行きましょうか。 皆さんが待っています。 247 00:19:04,143 --> 00:19:07,146 (西岡) そうだな。 ビシッと行くか。 248 00:19:20,159 --> 00:19:29,043 (拍手) 249 00:19:29,085 --> 00:19:39,095 ♪~ 250 00:20:55,129 --> 00:21:00,051 (松本)「最後の最後に 責任を果たせなかったことを→ 251 00:21:00,134 --> 00:21:03,054 辞書編集部の皆さんに おわびします」→ 252 00:21:03,137 --> 00:21:06,057 「“大渡海”完成の暁には→ 253 00:21:06,140 --> 00:21:09,060 私は もう この世には いないでしょう」→ 254 00:21:09,143 --> 00:21:13,064 「しかし 今は 不安も後悔もありません」 255 00:21:13,147 --> 00:21:15,066 (馬締)「“大渡海”が→ 256 00:21:15,149 --> 00:21:20,071 言葉という宝をたたえた 大海原を行く姿が→ 257 00:21:20,154 --> 00:21:23,074 まざまざと見えるからです」 258 00:21:23,157 --> 00:21:26,035 「荒木君 一つだけ訂正します」 259 00:21:26,077 --> 00:21:29,038 「私は 以前 君のような編集者には→ 260 00:21:29,080 --> 00:21:34,043 二度と出会えないと言いましたが あれは 間違いでした」 261 00:21:34,085 --> 00:21:38,047 「君が連れてきてくれた 馬締君のおかげで→ 262 00:21:38,089 --> 00:21:44,053 私は 再び 辞書の道に まい進することができたのです」 263 00:21:44,095 --> 00:21:49,058 「君と馬締君のような編集者に 出会えて 本当によかった」 264 00:21:49,100 --> 00:21:51,060 「あなたたちのおかげで→ 265 00:21:51,102 --> 00:21:56,065 私の生は この上なく 充実したものになりました」 266 00:21:56,107 --> 00:21:59,068 「感謝という言葉以上の 言葉がないか→ 267 00:21:59,110 --> 00:22:05,074 あの世があるなら あの世で用例採集するつもりです」 268 00:22:05,116 --> 00:22:10,079 「“大渡海”編さんの日々は 何と楽しいものだったでしょう」 269 00:22:10,121 --> 00:22:18,129 「皆さんの“大渡海”の 末永く幸せな航海を祈ります」 270 00:22:23,134 --> 00:22:25,094 (馬締)⟨時々 思う⟩ 271 00:22:25,136 --> 00:22:29,015 ⟨僕らは旅人なのだと⟩ 272 00:22:29,098 --> 00:22:36,022 ⟨そして辞書は 僕ら旅人の行く先を照らす灯だ⟩ 273 00:22:36,105 --> 00:22:41,027 ⟨人が旅を続けるかぎり それは受け継がれ→ 274 00:22:41,110 --> 00:22:47,033 繰り返し書き換えられて 旅人の行く先を照らすだろう⟩ 275 00:22:47,116 --> 00:22:50,036 ⟨そう信じて⟩ 276 00:22:50,119 --> 00:22:53,122 ⟨僕らは繰り返し 舟を編む⟩