1 00:00:29,935 --> 00:00:32,635 ・(了沢)失礼します。 2 00:00:56,628 --> 00:00:59,965 ずっと起きていらしたんですか? 3 00:00:59,965 --> 00:01:02,868 (耕助)何時ですか? 4 00:01:02,868 --> 00:01:05,771 間もなく 朝の6時です。 5 00:01:05,771 --> 00:01:08,071 そう。 6 00:01:54,153 --> 00:01:56,622 クソ! 7 00:01:56,622 --> 00:01:58,957 何なんだ! 8 00:01:58,957 --> 00:02:22,581 ・~ 9 00:02:22,581 --> 00:02:28,754 ・~ 10 00:02:28,754 --> 00:02:32,591 (竹蔵)じゃあ 傷一つなく? (了然)ああ。 11 00:02:32,591 --> 00:02:34,526 呉まで 引き取りに出向く事になるが。 12 00:02:34,526 --> 00:02:37,429 そりゃ 喜んで。 13 00:02:37,429 --> 00:02:39,364 (了然)いや~ 誰よりも先に・ 14 00:02:39,364 --> 00:02:41,600 うちの釣り鐘が復員してきよる。 15 00:02:41,600 --> 00:02:45,471 (笑い声) (竹蔵)そうじゃ 復員といえば・ 16 00:02:45,471 --> 00:02:48,474 分家の一さん 近く 復員されるそうですな。 17 00:02:48,474 --> 00:02:51,944 一が? おとつい 和尚が留守の間に・ 18 00:02:51,944 --> 00:02:54,613 一さんと同じ部隊じゃったという 復員兵が島へやって来ようて。 19 00:02:54,613 --> 00:02:57,282 一さんから 無事の知らせを 言づかってきたと。 20 00:02:57,282 --> 00:02:59,618 早苗さん そら もう大喜びで。 21 00:02:59,618 --> 00:03:02,221 その復員兵は まだ 島におるのか? 22 00:03:02,221 --> 00:03:04,556 いや 一さんが帰ってくるまでと・ 23 00:03:04,556 --> 00:03:06,492 早苗さんが 引き止めとったそうなんじゃが・ 24 00:03:06,492 --> 00:03:08,427 一晩限りで ふいっと。 25 00:03:08,427 --> 00:03:11,230 あとは 本家の千万太さんさえ 無事じゃったら・ 26 00:03:11,230 --> 00:03:13,165 何も言う事はございませんな。 27 00:03:13,165 --> 00:03:17,465 (了然)そうか 一は無事か。 (竹蔵)ええ。 28 00:03:19,104 --> 00:03:22,241 あの…。 あ…? 29 00:03:22,241 --> 00:03:24,910 今 千万太さんって おっしゃいましたけれども・ 30 00:03:24,910 --> 00:03:29,248 それは 鬼頭千万太君の事ですか? じゃったら 何じゃ? 31 00:03:29,248 --> 00:03:33,248 では こちらは 了然和尚? いかにも。 32 00:03:48,934 --> 00:03:50,969 金田一耕助と申します。 33 00:03:50,969 --> 00:03:54,806 その紹介状を認めてくれたのは 鬼頭千万太君。 34 00:03:54,806 --> 00:03:59,945 8月まで ニューギニアで同じ部隊におりました。 35 00:03:59,945 --> 00:04:04,216 島で静養されたいと。 ええ。 36 00:04:04,216 --> 00:04:08,887 復員してみたものの 東京に戻る家もなく・ 37 00:04:08,887 --> 00:04:12,224 千万太君の紹介状を頼りに 船に飛び乗った次第です。 38 00:04:12,224 --> 00:04:18,030 ご逗留されるのは 一向に構わんが 当の本人は どこにおる? 39 00:04:18,030 --> 00:04:23,235 えっ? 千万太さんは一緒ではないのか? 40 00:04:23,235 --> 00:04:27,105 (竹蔵)まさか…。 41 00:04:27,105 --> 00:04:31,109 はい。 復員船の中でした。 42 00:04:31,109 --> 00:04:34,246 あと僅かな所で…。 43 00:04:34,246 --> 00:04:39,046 願わくば 僕から ご実家に ご報告をと思いまして。 44 00:04:46,825 --> 00:04:49,795 和尚…? 45 00:04:49,795 --> 00:04:53,932 ああ 是非もない。 46 00:04:53,932 --> 00:05:43,932 ・~ 47 00:05:45,584 --> 00:05:48,920 やあ! 48 00:05:48,920 --> 00:05:52,791 (早苗)和尚様 いらっしゃいませ。 いかがでしたか? 呉は。 49 00:05:52,791 --> 00:05:55,594 いや~ せわしいだけじゃった。 50 00:05:55,594 --> 00:06:00,294 客人じゃ。 金田一耕助さん。 51 00:06:02,200 --> 00:06:06,538 よかったな 一さん。 達者だと聞いた。 52 00:06:06,538 --> 00:06:10,538 おかげさまで。 さあ。 53 00:06:20,886 --> 00:06:25,757 (了然)今のは 鬼頭早苗。 分家の 一さんの妹じゃ。・ 54 00:06:25,757 --> 00:06:29,394 この家は 本家と分家が共に暮らしておる。 55 00:06:29,394 --> 00:06:31,594 はあ。 56 00:06:33,899 --> 00:06:37,769 千万太さん 本家の長男。 57 00:06:37,769 --> 00:06:40,572 一さん 分家の長男。 58 00:06:40,572 --> 00:06:42,908 いとこ同士じゃ。 59 00:06:42,908 --> 00:06:45,577 あの方は? 60 00:06:45,577 --> 00:06:49,247 ああ 鬼頭嘉右衛門翁。 61 00:06:49,247 --> 00:06:52,584 2人の祖父君じゃ。 62 00:06:52,584 --> 00:06:59,458 一代で この家を瀬戸内有数の 網元に仕立てた剛毅なお方じゃ。 63 00:06:59,458 --> 00:07:02,194 間もなく 一周忌じゃ。 64 00:07:02,194 --> 00:07:04,529 (幸庵)また 風が出てきよった。・ 65 00:07:04,529 --> 00:07:07,199 潮が悪うていかんなあ。 66 00:07:07,199 --> 00:07:10,102 (了然)呼びたててすまんかったな。 (幸庵)ほんまやで。・ 67 00:07:10,102 --> 00:07:15,073 早苗ちゃん 酒にしてくれるか? (荒木)お茶でええで。 68 00:07:15,073 --> 00:07:18,543 千万太さんのご戦友じゃ。 69 00:07:18,543 --> 00:07:20,879 金田一と申します。 70 00:07:20,879 --> 00:07:26,551 村長の荒木真喜平。 医師の村瀬幸庵。 71 00:07:26,551 --> 00:07:33,425 近頃は あれやな ご戦友さんが 行列作って 来よるな。 72 00:07:33,425 --> 00:07:35,725 で…? ああ…。 73 00:07:37,562 --> 00:07:40,862 千万太さんの手紙じゃ。 74 00:07:45,437 --> 00:07:52,110 最期まで付き添っておりましたが 残念ながら…。 75 00:07:52,110 --> 00:07:57,582 いや 公報が届くまでは 何とも言えん。 76 00:07:57,582 --> 00:08:02,421 この事は 3人の中にとどめて…。 77 00:08:02,421 --> 00:08:04,856 ・(雪枝)誰? 鵜飼さん? 78 00:08:04,856 --> 00:08:09,194 ・(花子)や あてが見ようたのに! ・(雪枝)ちょお 押さんといてや! 79 00:08:09,194 --> 00:08:13,532 ・(月代)何じゃ鵜飼さんちゃうわ。 ・(雪枝)え~ 何じゃ。 80 00:08:13,532 --> 00:08:17,869 お~い そんなとこにおらんと こっち来て 挨拶せい! 81 00:08:17,869 --> 00:08:22,207 ・(雪枝)行ってき 花ちゃん。 ・(花子)何で あてだけ? 嫌じゃ。 82 00:08:22,207 --> 00:08:26,545 (幸庵)こらこら! ええから ええから はよ出てこんかい。・ 83 00:08:26,545 --> 00:08:31,216 ほらほら! はい はい。 84 00:08:31,216 --> 00:08:35,086 (了然)左から 月代 雪枝 花子。・ 85 00:08:35,086 --> 00:08:38,890 千万太さんの妹たちじゃ。 86 00:08:38,890 --> 00:08:41,226 あら…。 87 00:08:41,226 --> 00:08:43,161 ちょっと! 88 00:08:43,161 --> 00:08:55,461 (笑い声) 89 00:08:57,242 --> 00:08:59,177 <逗留一日目。・ 90 00:08:59,177 --> 00:09:03,515 了然和尚の勧めで千光寺に宿泊。・ 91 00:09:03,515 --> 00:09:08,854 寺は 和尚と 弟子の了沢の2人きり> 92 00:09:08,854 --> 00:09:18,530 ・~ 93 00:09:18,530 --> 00:09:22,868 必要なものがございましたら お申しつけ下さいませ。 94 00:09:22,868 --> 00:09:25,770 どうも。 95 00:09:25,770 --> 00:09:32,210 ・~ 96 00:09:32,210 --> 00:09:36,882 <逗留二日目。 島を見て回る> 97 00:09:36,882 --> 00:09:45,891 ・~ 98 00:09:45,891 --> 00:09:49,761 お世話になります。 99 00:09:49,761 --> 00:09:53,061 あっ こんにちは。 100 00:09:55,901 --> 00:09:59,771 <島民のほとんどが漁師である。・ 101 00:09:59,771 --> 00:10:01,773 彼らの暮らしは・ 102 00:10:01,773 --> 00:10:06,244 漁業権を握った網元から 船や網を借り受け・ 103 00:10:06,244 --> 00:10:08,179 取った魚と引き換えに・ 104 00:10:08,179 --> 00:10:10,916 日当を受け取る事で 成り立っている。・ 105 00:10:10,916 --> 00:10:16,588 網元と漁師の関係は 実に封建的だ> 106 00:10:16,588 --> 00:10:23,261 ・~ 107 00:10:23,261 --> 00:10:28,600 <故に 島の実質的な支配者は 網元の鬼頭家である。・ 108 00:10:28,600 --> 00:10:33,471 ただ 1年前 頭領の 鬼頭嘉右衛門の病死を境に・ 109 00:10:33,471 --> 00:10:36,274 状況は変わり始めた> 110 00:10:36,274 --> 00:10:39,611 ん? それは不思議ですね。 111 00:10:39,611 --> 00:10:41,546 嘉右衛門さんの跡を継ぐなら・ 112 00:10:41,546 --> 00:10:44,282 千万太君のご両親というのが 筋じゃないですか。 113 00:10:44,282 --> 00:10:48,620 あ? おらんわ そんなん。 亡うなっとる。 114 00:10:48,620 --> 00:10:51,523 えっ? 亡くなられてるんですか? 115 00:10:51,523 --> 00:10:54,492 ああ 亡うなっとるな。 うん。 そうだよ うん。 116 00:10:54,492 --> 00:10:57,128 なあ 亡うなっとるよな? なあ! 117 00:10:57,128 --> 00:11:00,031 痛っ! 痛…。 118 00:11:00,031 --> 00:11:06,571 ・~ 119 00:11:06,571 --> 00:11:09,474 <鬼頭千万太と3姉妹の両親。・ 120 00:11:09,474 --> 00:11:13,912 そして 分家の 一 早苗兄妹の両親。・ 121 00:11:13,912 --> 00:11:18,583 いずれも 既に他界しており 嘉右衛門亡きあとの鬼頭家は・ 122 00:11:18,583 --> 00:11:25,457 和尚 荒木村長 幸庵医師の 3長老に託されている。・ 123 00:11:25,457 --> 00:11:29,928 千万太と一の生還は 家の存続のみならず・ 124 00:11:29,928 --> 00:11:35,228 島の命運をも左右する 重大事なのである> 125 00:11:58,289 --> 00:12:02,560 そうか ここで間違えたか。 126 00:12:02,560 --> 00:12:05,230 (清水)迷うほどの道かのう。 127 00:12:05,230 --> 00:12:07,230 ハハハ…。 128 00:12:10,101 --> 00:12:13,571 ここから こう行くと…。 129 00:12:13,571 --> 00:12:17,909 <島の者は 鬼頭家を指して 本鬼頭と呼ぶ。・ 130 00:12:17,909 --> 00:12:22,781 そして 谷を隔てた場所に もう一つの網元が…> 131 00:12:22,781 --> 00:12:25,583 ぶん…? ぶんきとう? 132 00:12:25,583 --> 00:12:29,454 ああ わけ わけ。 わけきとう。 133 00:12:29,454 --> 00:12:31,456 言うても 分家じゃねえで。 134 00:12:31,456 --> 00:12:35,760 古~い親戚筋だが 本家の客人なら 寄りつく事はないわ。 135 00:12:35,760 --> 00:12:38,260 ああ…。 136 00:12:42,934 --> 00:12:45,837 <逗留三日目。・ 137 00:12:45,837 --> 00:12:48,273 長い一日となった> 138 00:12:48,273 --> 00:12:53,611 海を渡る釣り鐘。 珍しい光景ですね。 139 00:12:53,611 --> 00:12:57,949 (了然)お国のためじゃといって 無理やり取り上げておいて・ 140 00:12:57,949 --> 00:13:01,553 一刻も早う持って帰れじゃ。 141 00:13:01,553 --> 00:13:03,888 勝手なもんじゃ。 142 00:13:03,888 --> 00:13:07,759 しかし あれを山の上の寺まで 運ぶのは 難儀ですね。 143 00:13:07,759 --> 00:13:15,900 ああ 迂回して 比較的 坂の優しい 天狗の鼻を回ります。・ 144 00:13:15,900 --> 00:13:21,239 まあ それでも 一日はかかるじゃろうな。 145 00:13:21,239 --> 00:13:25,110 (荒木)お~い! 和尚! ああ。 146 00:13:25,110 --> 00:13:27,110 和尚! 147 00:13:41,559 --> 00:13:44,559 (了然)これで はっきりした。 148 00:13:48,266 --> 00:13:52,137 お悔やみ申し上げます。 149 00:13:52,137 --> 00:13:58,137 (了然) 分家が残って 本家が死んだ。 150 00:13:59,878 --> 00:14:04,215 (了然)今夜のうちに 通夜を行う。 151 00:14:04,215 --> 00:14:08,515 はい。 すぐに準備に。 152 00:14:21,232 --> 00:14:23,902 せめてもの救いは・ 153 00:14:23,902 --> 00:14:29,602 お兄さんが 一さんが ご無事だった事ですか。 154 00:14:32,243 --> 00:14:36,114 救いだなんて。 155 00:14:36,114 --> 00:14:39,414 あの子たちの事を思うと…。 156 00:14:41,920 --> 00:14:45,590 千万太君を亡くされて・ 157 00:14:45,590 --> 00:14:49,290 あの3姉妹は どうなるんでしょうね。 158 00:14:51,462 --> 00:14:53,462 「どう」とは? 159 00:14:58,603 --> 00:15:02,207 私には…。 160 00:15:02,207 --> 00:15:07,078 しっかりと お世話を させて頂く以外にございません。 161 00:15:07,078 --> 00:15:09,778 失礼致します。 162 00:15:21,226 --> 00:15:25,926 そうか 分鬼頭 本鬼頭…。 163 00:15:36,574 --> 00:15:38,910 おきふ? 164 00:15:38,910 --> 00:15:41,910 芭蕉か。 165 00:15:44,582 --> 00:15:47,252 「一」? 166 00:15:47,252 --> 00:15:50,154 隙間風ぐらいは しのいで頂こうと・ 167 00:15:50,154 --> 00:15:54,592 了沢に 枕屏風を用意させたんじゃが・ 168 00:15:54,592 --> 00:15:56,928 お気に召しましたかな? 169 00:15:56,928 --> 00:16:03,201 ああ… これは ご丁寧なお心遣い。 170 00:16:03,201 --> 00:16:05,536 して 金田一さん。 171 00:16:05,536 --> 00:16:12,210 いや~ 通夜の前に 一つ頼みたい事があるんじゃが。 172 00:16:12,210 --> 00:16:14,210 はあ。 173 00:16:19,083 --> 00:16:23,554 ああ 竹蔵さん どちらへ? 和尚を迎えに。 あんたは? 174 00:16:23,554 --> 00:16:27,425 ああ 分鬼頭へ 和尚の使いで。 175 00:16:27,425 --> 00:16:29,427 分鬼頭へ? 176 00:16:29,427 --> 00:16:32,563 あっ そうだ。 釣り鐘は どうなりましたか? 177 00:16:32,563 --> 00:16:35,900 葬儀が落ち着くまで 天狗の鼻に仮置く事に。 178 00:16:35,900 --> 00:16:39,200 ああ… では…。 179 00:16:43,574 --> 00:16:45,574 ごめんくだ…。 180 00:16:52,583 --> 00:16:57,922 あ… 金田一と申します。 181 00:16:57,922 --> 00:17:01,192 鬼頭千万太君の戦友でして 今は 千光寺の方に…。 182 00:17:01,192 --> 00:17:03,528 和尚さんの言づけとは? 183 00:17:03,528 --> 00:17:05,863 あっ はい。 184 00:17:05,863 --> 00:17:09,734 実は 今夜 本鬼頭の方で 千万太君の通夜がございまして。 185 00:17:09,734 --> 00:17:12,537 あら。 えっ? 186 00:17:12,537 --> 00:17:14,572 その事じゃったら 昼間 早苗さんから・ 187 00:17:14,572 --> 00:17:16,874 お知らせ頂きましたが…。 188 00:17:16,874 --> 00:17:20,545 でも 何しろ こちら 主人が寝込んでおりまして。 189 00:17:20,545 --> 00:17:23,214 いずれ ようなりましたら ご挨拶に伺いますと・ 190 00:17:23,214 --> 00:17:26,117 お返事差し上げたはずなんですが。 191 00:17:26,117 --> 00:17:31,556 嫌じゃわ あの子 和尚さんに ご報告せんかったんかしら。 192 00:17:31,556 --> 00:17:34,459 ああ そうですか。 193 00:17:34,459 --> 00:17:37,895 では きっと 和尚さんが お忘れになったんでしょう。 194 00:17:37,895 --> 00:17:39,931 大変 失礼致しました。 195 00:17:39,931 --> 00:17:42,233 はあ。 196 00:17:42,233 --> 00:17:47,233 あっ 申し遅れました 鬼頭志保と申します。 197 00:17:49,907 --> 00:17:52,744 どうも。 198 00:17:52,744 --> 00:17:55,044 (戸が開く音) 199 00:18:00,852 --> 00:18:05,523 あら お知り合い? いえ。 200 00:18:05,523 --> 00:18:09,193 鵜飼と申します。 201 00:18:09,193 --> 00:18:12,864 金田一です。 202 00:18:12,864 --> 00:18:14,799 ・(ベル) 203 00:18:14,799 --> 00:18:17,201 ごめんなさい 主人が。 204 00:18:17,201 --> 00:18:20,872 今 参ります! 205 00:18:20,872 --> 00:18:25,543 では 金田一さん また。 206 00:18:25,543 --> 00:18:27,543 (戸の開閉音) 207 00:18:30,415 --> 00:18:32,715 (戸の開閉音) 208 00:18:37,555 --> 00:18:40,892 (了然)ああ 金田一さん。 209 00:18:40,892 --> 00:18:44,762 ああ お三方 おそろいで。 210 00:18:44,762 --> 00:18:48,766 早苗さんが先に 通夜の事をお伝えしてたようです。 211 00:18:48,766 --> 00:18:52,766 ああ じゃあ 参りましょう。 212 00:18:55,907 --> 00:19:01,512 <鬼頭千万太とは ニューギニアの小さな島で出会った。・ 213 00:19:01,512 --> 00:19:04,182 そのころのアメリカにとって・ 214 00:19:04,182 --> 00:19:10,521 小さな南方の小島など もはや 眼中になかった。・ 215 00:19:10,521 --> 00:19:14,859 我々は 戦う事もなく 熱病と栄養失調で・ 216 00:19:14,859 --> 00:19:18,529 一人 また一人と死んでいった。・ 217 00:19:18,529 --> 00:19:21,199 彼が僕に 故郷の島で体を休めるよう・ 218 00:19:21,199 --> 00:19:23,134 勧めてくれたのは・ 219 00:19:23,134 --> 00:19:27,538 終戦の知らせが届く 少し前の事。・ 220 00:19:27,538 --> 00:19:31,876 痩せ細った手で 紹介状を書いてくれた。・ 221 00:19:31,876 --> 00:19:36,214 僕一人でも たどりつけるように。・ 222 00:19:36,214 --> 00:19:44,088 だが 本土を目指す復員船の中で 彼の本意を知る> 223 00:19:44,088 --> 00:19:48,788 [ 回想 ] 千万太君 ほら 水だ。 224 00:20:00,238 --> 00:20:02,907 (千万太)殺される…。 225 00:20:02,907 --> 00:20:07,245 妹が 殺される…。 226 00:20:07,245 --> 00:20:09,180 え…? 227 00:20:09,180 --> 00:20:14,180 俺が 帰らんと…。 228 00:20:17,889 --> 00:20:23,889 千万太君 日本は あともう少しだ。 229 00:20:25,930 --> 00:20:29,800 た… 頼む…。 230 00:20:29,800 --> 00:20:34,100 妹が 殺される…。 231 00:20:41,479 --> 00:20:44,615 いかがですか? 金田一さん。 232 00:20:44,615 --> 00:20:49,815 あっ いや 僕は…。 じゃあ…。 233 00:20:51,489 --> 00:20:54,292 花子が消えた? 234 00:20:54,292 --> 00:20:58,292 (竹蔵)全く あのおてんばが! 235 00:21:00,565 --> 00:21:03,467 ・(竹蔵)お~ お前 お前! 花子は どこだ? 236 00:21:03,467 --> 00:21:06,237 離してよ! 237 00:21:06,237 --> 00:21:08,906 (雪枝)だから 知らんて あてら! なあ お姉ちゃん! 238 00:21:08,906 --> 00:21:10,841 (月代) 静かで ちょうどええぐらいじゃ。 239 00:21:10,841 --> 00:21:13,244 (雪枝)このまま 帰ってこんじゃったらええのに。 240 00:21:13,244 --> 00:21:16,914 (荒木)これ! (笑い声) 241 00:21:16,914 --> 00:21:19,817 申し訳ございません。 私が目を離したばかりに。 242 00:21:19,817 --> 00:21:23,588 (了然)ああ いやいやいや。 243 00:21:23,588 --> 00:21:25,888 あの~。 244 00:21:27,925 --> 00:21:32,625 花子さんの姿を最後に見たのは どなたですか? 245 00:21:35,266 --> 00:21:37,602 私です。 246 00:21:37,602 --> 00:21:40,938 それは いつの事ですか? 247 00:21:40,938 --> 00:21:43,274 いつ…。 248 00:21:43,274 --> 00:21:49,947 ああ 毎晩 ラジオの復員放送を聞いております。 249 00:21:49,947 --> 00:21:52,617 花ちゃんを最後に見かけたのは・ 250 00:21:52,617 --> 00:21:55,519 ちょうど 復員放送が 始まった頃でしたので…。 251 00:21:55,519 --> 00:21:59,219 では 6時半だ。 とすると…。 252 00:22:01,892 --> 00:22:05,763 姿を消して もう 4時間近くになる。 253 00:22:05,763 --> 00:22:09,233 奥を見てまいります。 僕も 外を。 254 00:22:09,233 --> 00:22:11,168 あ~ ちょっと待って下さい! 255 00:22:11,168 --> 00:22:13,104 客人に そんな事させる訳には。 まあまあまあ。 256 00:22:13,104 --> 00:22:15,906 (月代)そのうち ふら~っと帰ってくるじゃろ。 257 00:22:15,906 --> 00:22:18,242 (雪枝)そうそう。 ですが…。 258 00:22:18,242 --> 00:22:22,580 兄上の通夜にも姿を見せない というのは 何か訳が…。 259 00:22:22,580 --> 00:22:25,483 兄上じゃって! (月代)フフフ! 260 00:22:25,483 --> 00:22:27,918 そんな思っちょったかいな 花ちゃん! 261 00:22:27,918 --> 00:22:30,588 (了然)もうええ!・ 262 00:22:30,588 --> 00:22:34,258 みんなで手分けして。 竹蔵と了沢は…。 263 00:22:34,258 --> 00:22:36,258 ・キャ~! 264 00:22:40,131 --> 00:22:43,267 ああ~ ちょっと まあまあ まあまあ!・ 265 00:22:43,267 --> 00:22:47,138 竹蔵! (竹蔵)へえ! 266 00:22:47,138 --> 00:22:50,941 エテ公。 し~っ! (笑い声) 267 00:22:50,941 --> 00:22:54,812 (幸庵)あっ せや せやせや! 268 00:22:54,812 --> 00:22:58,616 何や? しっかりせい このやぶ医者が! 269 00:22:58,616 --> 00:23:02,219 わし 見たで! (荒木)えっ? 270 00:23:02,219 --> 00:23:08,092 分鬼頭の色男が 寺に上って行きよんを。 271 00:23:08,092 --> 00:23:10,895 (荒木)鵜飼章三か。 272 00:23:10,895 --> 00:23:15,195 (幸庵)せや。 わし 目ぇは確かやで。 273 00:23:16,767 --> 00:23:20,905 夕方 わしが ここへ来る途中・ 274 00:23:20,905 --> 00:23:27,244 やつが つづら折りの坂 上って行きよんを見た! 275 00:23:27,244 --> 00:23:29,180 なぜ それを早く言わん? (幸庵)見た。 276 00:23:29,180 --> 00:23:32,116 全く もう…。 (幸庵)見た。 277 00:23:32,116 --> 00:23:36,587 鵜飼が 花子を呼び出したか。 278 00:23:36,587 --> 00:23:39,256 はあ? それはないじゃろ! 279 00:23:39,256 --> 00:23:43,256 鵜飼さんが花ちゃんの事なんて 構う訳ねえわ。 280 00:23:45,129 --> 00:23:48,933 大丈夫か? いつもの事ですので…。 281 00:23:48,933 --> 00:23:51,933 (了然)…で 花子は? 282 00:23:55,272 --> 00:23:58,943 竹蔵と了沢は 分鬼頭へ行ってくれ。 283 00:23:58,943 --> 00:24:02,546 村長は村へ わしは寺へ行く。 284 00:24:02,546 --> 00:24:05,449 早苗さんは あの2人を見ててくれ。 285 00:24:05,449 --> 00:24:11,222 金田一さん すまんが 幸庵を お願いしますよ。 286 00:24:11,222 --> 00:24:14,558 よし! おい はよ! 287 00:24:14,558 --> 00:24:21,899 ・~ 288 00:24:21,899 --> 00:24:24,568 (いびき) 289 00:24:24,568 --> 00:24:52,568 ・~ 290 00:25:15,553 --> 00:25:21,425 ・ああああ…。 291 00:25:21,425 --> 00:25:24,562 ・(月代と雪枝の笑い声) 292 00:25:24,562 --> 00:25:27,398 ・ああああ…。 293 00:25:27,398 --> 00:25:31,902 (物音と笑い声) 294 00:25:31,902 --> 00:25:37,241 (雪枝)見て あれ! 目ぇ真っ赤じゃ! アハハハハ! 295 00:25:37,241 --> 00:25:41,912 (月代)娘の顔も忘れて…。 ほんまに お父上じゃろか。 296 00:25:41,912 --> 00:25:45,783 (笑い声) お化けやん。 297 00:25:45,783 --> 00:25:47,785 [ 回想 ] 嘉右衛門さんの跡を継ぐなら・ 298 00:25:47,785 --> 00:25:50,588 千万太君のご両親っていうのが 筋じゃないですか。 299 00:25:50,588 --> 00:25:53,491 おらんわ そんなん。 亡うなっとる。 300 00:25:53,491 --> 00:25:59,191 (物音と笑い声) 301 00:26:00,865 --> 00:26:02,800 了沢さん 了沢さん。 302 00:26:02,800 --> 00:26:05,369 (竹蔵)あんた 屋敷におれと言われとったろう。 303 00:26:05,369 --> 00:26:08,405 それより 今は 花子さんです。 分鬼頭は? 304 00:26:08,405 --> 00:26:12,543 いや 何も知らんの一点張りで。 鵜飼氏は? 305 00:26:12,543 --> 00:26:15,212 在宅でしたが 酔い潰れておって…。 306 00:26:15,212 --> 00:26:17,147 えっ? 307 00:26:17,147 --> 00:26:20,084 あっ 和尚さんじゃ。 308 00:26:20,084 --> 00:26:23,888 (竹蔵)お~い 和尚~! 309 00:26:23,888 --> 00:26:29,560 ・~ 310 00:26:29,560 --> 00:26:32,229 お~い!・ 311 00:26:32,229 --> 00:26:35,566 おっ おい!・ 312 00:26:35,566 --> 00:26:37,501 ちょっと待て。 313 00:26:37,501 --> 00:26:47,912 ・~ 314 00:26:47,912 --> 00:26:50,814 (了然)うわ~! 315 00:26:50,814 --> 00:27:07,865 ・~ 316 00:27:07,865 --> 00:27:09,865 うわ~! 317 00:27:13,203 --> 00:27:17,875 きちがいじゃが しかたがない。 318 00:27:17,875 --> 00:27:26,550 ・~ 319 00:27:26,550 --> 00:27:28,485 (念仏を唱える声) 320 00:27:28,485 --> 00:27:31,422 駐在さんに知らせないと。 321 00:27:31,422 --> 00:27:36,226 駄目です。 不在なんです。 322 00:27:36,226 --> 00:27:38,562 本署の招集じゃそうで・ 323 00:27:38,562 --> 00:27:40,898 昼過ぎに船で出ていかれるのを 見ております。 324 00:27:40,898 --> 00:27:43,198 え…? 325 00:27:45,235 --> 00:27:48,572 (了然)中を見てくる。・ 326 00:27:48,572 --> 00:27:50,908 おい 竹蔵。 へえ。 327 00:27:50,908 --> 00:27:56,246 (了然)早苗さんに知らせてこい。 花子が見つかったと。・ 328 00:27:56,246 --> 00:27:59,917 それだけでいい。 へえ。 329 00:27:59,917 --> 00:28:04,755 ・~ 330 00:28:04,755 --> 00:28:07,725 (鉄如意を落とす音) 331 00:28:07,725 --> 00:28:09,727 どうしました? 332 00:28:09,727 --> 00:28:17,401 えっ? ああ いや さすが 手につかんわ。 333 00:28:17,401 --> 00:28:21,538 (了沢)私は 庫裏を見てきます。 334 00:28:21,538 --> 00:28:29,213 (雷鳴) 335 00:28:29,213 --> 00:28:34,885 (雨の音) 336 00:28:34,885 --> 00:28:38,885 まずい… 証拠が流れる…。 337 00:28:40,758 --> 00:28:51,435 (激しい雨の音) 338 00:28:51,435 --> 00:28:55,572 [ 回想 ] (千万太)妹が… 殺される…。 339 00:28:55,572 --> 00:29:00,572 (雷鳴) 340 00:29:02,846 --> 00:29:07,546 私が戸締まりをした時には こんな事には…。 341 00:29:12,523 --> 00:29:16,193 まだ新しいな。 342 00:29:16,193 --> 00:29:19,530 これ 傷でしょうか? ああ…。 343 00:29:19,530 --> 00:29:22,866 軍靴ですよね。 344 00:29:22,866 --> 00:29:25,769 近くにいるかもしれません。 345 00:29:25,769 --> 00:29:55,766 ・~ 346 00:29:55,766 --> 00:29:58,569 英語の字引だ。 347 00:29:58,569 --> 00:30:01,238 島で英字引を手に入れる者は? 348 00:30:01,238 --> 00:30:05,109 この島では 本鬼頭ぐらいにしか。 349 00:30:05,109 --> 00:30:08,112 では 本鬼頭で タバコを吸う方は? 350 00:30:08,112 --> 00:30:11,582 いや 誰も。 351 00:30:11,582 --> 00:30:14,918 3姉妹の父親もですか? 352 00:30:14,918 --> 00:30:19,590 なぜ 与三松の事を? 353 00:30:19,590 --> 00:30:24,928 勝手なまねをして 申し訳ありませんでした。 354 00:30:24,928 --> 00:30:33,604 与三松は… あの子らの父親は 心の病を患っております。 355 00:30:33,604 --> 00:30:40,944 故に 外の方には いないものと なっております。 356 00:30:40,944 --> 00:30:46,283 その与三松さんの事で 確かめておきたい事があります。 357 00:30:46,283 --> 00:30:51,155 和尚 あなた 先ほど こう おっしゃいましたよね。 358 00:30:51,155 --> 00:30:54,625 きちがいじゃが しかたがない。 359 00:30:54,625 --> 00:30:59,325 あれは 与三松さんの事を おっしゃったんでしょうか? 360 00:31:02,900 --> 00:31:10,240 金田一さん この世には・ 361 00:31:10,240 --> 00:31:16,540 あんたの思いも及ばぬ 恐ろしい事がある。 362 00:31:18,582 --> 00:31:21,582 それは どういう意味ですか? 363 00:31:23,921 --> 00:31:25,856 和尚。 364 00:31:25,856 --> 00:31:30,594 ・(幸庵)お~い! わしじゃあ。 荒木もおるで! 365 00:31:30,594 --> 00:31:36,894 おう さすが 酔いも覚めたようじゃ。 よし…。 366 00:31:46,143 --> 00:31:55,619 (幸庵) う~ん… 直接の死因は絞殺や。 首に絞められた跡がある。 367 00:31:55,619 --> 00:32:01,225 ただ その前に 何かで殴られとるなあ。 368 00:32:01,225 --> 00:32:05,095 ああ 頭に大きい裂傷あるわ。 369 00:32:05,095 --> 00:32:09,900 殺された時間 分かりますか? えっ? え~…。 370 00:32:09,900 --> 00:32:13,770 大体 5~6時間は たっとる。 371 00:32:13,770 --> 00:32:19,243 え~ 6時半から 7時半の間っちゅうところやな。 372 00:32:19,243 --> 00:32:21,578 う~ん? 373 00:32:21,578 --> 00:32:25,249 生きている花子さんを 最後に見たのは・ 374 00:32:25,249 --> 00:32:29,119 復員放送が始まる およそ6時半。 375 00:32:29,119 --> 00:32:34,258 その後 花子さんは家を抜け出し そして 寺へ向かった。 376 00:32:34,258 --> 00:32:39,596 だが 僕が分鬼頭へ出向いた 6時35分から・ 377 00:32:39,596 --> 00:32:42,933 本鬼頭に到着した 6時50分までの間は・ 378 00:32:42,933 --> 00:32:48,272 常に誰かが本鬼頭と千光寺の間を 行き来していた事になる。 379 00:32:48,272 --> 00:32:51,942 なのに 花子さんを目撃した人は 誰もいない。 380 00:32:51,942 --> 00:32:57,814 (荒木) …という事は 家を出た花子は いったん どっかに立ち寄り・ 381 00:32:57,814 --> 00:33:02,886 皆が出払った事を見計らって 寺へ登ったと。 382 00:33:02,886 --> 00:33:06,223 ええ。 花子さんが どこへ立ち寄ったのか。 383 00:33:06,223 --> 00:33:09,126 それが 1つ目の疑問です。 そして もう一つ・ 384 00:33:09,126 --> 00:33:12,562 なぜ 花子さんは 寺へ向かったのか。 385 00:33:12,562 --> 00:33:17,862 ん? 手紙や。 懐に入っとった。 386 00:33:21,571 --> 00:33:26,243 「今宵七時 千光寺境内にて相待ち候。・ 387 00:33:26,243 --> 00:33:28,578 寺は無人となるはずにつき・ 388 00:33:28,578 --> 00:33:35,252 こころおきなく つもる話を。 月代さま 御存じより」。 389 00:33:35,252 --> 00:33:37,187 鵜飼のやり口や。 390 00:33:37,187 --> 00:33:41,591 あいつが寺へ登っていくのも 見とる。 ああ 間違いないなぁ。 391 00:33:41,591 --> 00:33:45,929 幸庵先生が 鵜飼氏を目撃したのは 何時の事ですか? 392 00:33:45,929 --> 00:33:50,600 時計なんか 見んわ。 確か 幸庵先生は・ 393 00:33:50,600 --> 00:33:53,937 我々よりも少し遅れて 通夜に行きましたね。 394 00:33:53,937 --> 00:33:57,808 仮に その到着が 6時55分だとすると・ 395 00:33:57,808 --> 00:34:01,545 鵜飼氏を目撃したのは それよりも前。 396 00:34:01,545 --> 00:34:03,880 とすると 鵜飼氏は・ 397 00:34:03,880 --> 00:34:08,552 僕が分鬼頭を出たあと すぐに 家を出た事になる? 398 00:34:08,552 --> 00:34:13,423 そんな事は どうでもええわ。 鵜飼は鵜飼。 あれの仕業や。 399 00:34:13,423 --> 00:34:17,227 だけど 妙です。 あ? 400 00:34:17,227 --> 00:34:21,565 そもそも この手紙は 月代さんに宛てた手紙です。 401 00:34:21,565 --> 00:34:24,468 それを なぜ 花子さんが 持っていたんでしょうか。 402 00:34:24,468 --> 00:34:26,436 うん? 403 00:34:26,436 --> 00:34:31,736 (了沢)和尚さん とられたものが分かりました。 404 00:34:34,911 --> 00:34:37,814 半分 残しておいたのに。 405 00:34:37,814 --> 00:34:39,814 ん? 406 00:34:42,786 --> 00:34:51,928 こんな状況じゃ 千万太さんの本葬 先に延ばそうと思う。 407 00:34:51,928 --> 00:34:55,228 誰が こんなむごい事を。 408 00:34:58,602 --> 00:35:02,602 まだ 何も分からん。 409 00:35:04,207 --> 00:35:06,207 分からない? 410 00:35:08,078 --> 00:35:11,548 決まってるじゃないですか! 411 00:35:11,548 --> 00:35:14,217 この島の人間です。 412 00:35:14,217 --> 00:35:17,888 この島の人間が…。 413 00:35:17,888 --> 00:35:21,224 今 この島にいる人間が 花ちゃんを…。 414 00:35:21,224 --> 00:35:25,224 早苗! めったな事を言うもんじゃない。 415 00:35:32,235 --> 00:35:34,171 結構です。 416 00:35:34,171 --> 00:35:39,171 いえ これは 千光寺の境内で 見つけたものです。 417 00:35:41,578 --> 00:35:45,449 誰のものだか お分かりですね。 418 00:35:45,449 --> 00:35:48,452 会わせて頂けませんか? 与三松さんに。 419 00:35:48,452 --> 00:35:51,588 ああ… 見知らぬ者を見ると 興奮します。 420 00:35:51,588 --> 00:35:53,588 早苗さん お願いします。 金田一さん。 421 00:35:59,262 --> 00:36:03,133 今 眠ってらっしゃいます。 早苗。 422 00:36:03,133 --> 00:36:06,133 ありがとうございます。 423 00:36:13,210 --> 00:36:16,113 ここで お待ち下さい。 424 00:36:16,113 --> 00:36:20,884 ご静養の身には いささか 刺激が強すぎやしませんかな? 425 00:36:20,884 --> 00:36:25,184 千万太君の友人としては 見過ごす訳にはいきません。 426 00:36:33,230 --> 00:36:36,230 立派なお庭ですね。 427 00:36:39,569 --> 00:36:42,906 あれは何ですか? 428 00:36:42,906 --> 00:36:48,245 ああ 祈祷所です。 祈祷所? 429 00:36:48,245 --> 00:36:51,581 フフッ。 はっ? 430 00:36:51,581 --> 00:36:53,517 ん? 431 00:36:53,517 --> 00:37:00,257 だって 今 笑ったじゃないですか。 何か妙な事でも申しましたか。 432 00:37:00,257 --> 00:37:06,530 ああ… いや。 いや あんたが笑いよったから。 433 00:37:06,530 --> 00:37:10,400 この暗澹たる状況で 何を笑う事が? 434 00:37:10,400 --> 00:37:17,100 さて… 笑ったのは あんた自身じゃ。 435 00:37:19,876 --> 00:37:22,546 どうぞ。 436 00:37:22,546 --> 00:37:45,569 ・~ 437 00:37:45,569 --> 00:37:48,269 たった一つ…。 438 00:38:01,051 --> 00:38:04,351 (小声で)お願いします。 439 00:38:43,560 --> 00:38:45,860 英語の字引だ。 440 00:38:48,231 --> 00:38:50,900 (小声で)同じ Dの文字から 始まっています。 441 00:38:50,900 --> 00:38:53,236 この境内のタバコは・ 442 00:38:53,236 --> 00:38:57,936 ここから持ち出された可能性が 限りなく高いです。 443 00:38:59,909 --> 00:39:03,179 あ… おじ様。 444 00:39:03,179 --> 00:39:08,852 与三松 具合は どうじゃ? 445 00:39:08,852 --> 00:39:12,188 おじ様 落ち着いて。 大丈夫だから。 446 00:39:12,188 --> 00:39:16,526 ほら! ここだ タバコは。 ほら。 447 00:39:16,526 --> 00:39:20,196 ここだ タバコは。 ここに ほら ほら! 448 00:39:20,196 --> 00:39:22,866 (与三松)うわ~! 449 00:39:22,866 --> 00:39:28,204 おじ様 落ち着いて。 おじ様! ああ あっ あ~! 450 00:39:28,204 --> 00:39:30,140 なぜ あんな事をした? 451 00:39:30,140 --> 00:39:33,543 いたずらに かき乱すような まねは よせ! 452 00:39:33,543 --> 00:39:38,882 (幸庵)何や? どないしたん?・ 453 00:39:38,882 --> 00:39:42,218 あっ 事情は話しといた。 454 00:39:42,218 --> 00:39:45,555 あっ 清水巡査 見て下さい。 455 00:39:45,555 --> 00:39:49,225 こちらが 境内で見つけた 吸い殻です。 見て下さい。 456 00:39:49,225 --> 00:39:54,564 与三松さんの手元にあったものと ほぼ一致しています。 457 00:39:54,564 --> 00:39:59,903 それは後で。 それより ちょっと。 手 はい。 458 00:39:59,903 --> 00:40:02,572 えっ 何ですか? これ。 来い! 459 00:40:02,572 --> 00:40:04,908 えっ ちょっと待って…。 何の冗談ですか? 460 00:40:04,908 --> 00:40:08,778 いいから来い! 来い! 何だよ? ちょっと待て…。 461 00:40:08,778 --> 00:40:11,478 清水さん? 来い! 462 00:40:16,920 --> 00:40:18,855 私が何をしたっていうんですか? 463 00:40:18,855 --> 00:40:21,791 貴様が現れて数日後 事件は起きた。 464 00:40:21,791 --> 00:40:26,262 しかるに 貴様が容疑者である 可能性が 限りなく高い。 465 00:40:26,262 --> 00:40:30,133 そんなの根拠でも何でもない! 黙れ! よそもんが! 466 00:40:30,133 --> 00:40:33,603 手続きが済みしだい 本部に引き渡す。 467 00:40:33,603 --> 00:40:38,475 望みどおり ここで じっくり静養すりゃあいい。 468 00:40:38,475 --> 00:40:40,944 ちょっと待て! ちょっと待てって! 469 00:40:40,944 --> 00:40:42,879 清水さん あんたなら分かるでしょうが! 470 00:40:42,879 --> 00:40:46,616 ちょっと 出してよ! おい 出せって ほら! 471 00:40:46,616 --> 00:40:50,916 俺は狭いとこ 苦手なんだよ! もっ… 清水さん! 472 00:41:09,239 --> 00:41:14,239 (千万太)君 探偵じゃったんか…。 473 00:41:22,252 --> 00:41:26,589 探偵なんて…。 474 00:41:26,589 --> 00:41:30,289 ただ 事件の手助けをしただけだ…。 475 00:41:33,263 --> 00:41:36,933 探偵か…。 476 00:41:36,933 --> 00:41:41,604 (雷鳴) 477 00:41:41,604 --> 00:41:46,904 なぜ 手助けした? 怖なかったんか? 478 00:41:51,948 --> 00:41:54,648 なぜ? 479 00:41:56,619 --> 00:42:02,319 だって… 知りたいだろ。 480 00:42:04,227 --> 00:42:06,927 人が人を殺すんだ。 481 00:42:08,898 --> 00:42:14,598 知りたいじゃないか… その訳を。 482 00:42:22,445 --> 00:42:28,251 知りたいだろ? 君だって。 483 00:42:28,251 --> 00:42:32,951 (雷鳴) 484 00:42:50,273 --> 00:42:54,143 (たたく音) おい! 起きろ こら! 485 00:42:54,143 --> 00:42:57,947 大変じゃ! はっ? 早う! 486 00:42:57,947 --> 00:42:59,883 (開ける音) 487 00:42:59,883 --> 00:43:03,883 早う! 早うせえ! 488 00:43:07,757 --> 00:43:11,457 雪枝さんの振り袖じゃ。 489 00:43:15,231 --> 00:43:20,570 (千万太)殺される… 妹が…。 490 00:43:20,570 --> 00:43:26,270 「むざんやな 冑の下の きりぎりす」。 491 00:43:29,245 --> 00:43:31,180 (竹蔵)ああ…。 492 00:43:31,180 --> 00:43:33,917 出して下さい。 出して 早く! 493 00:43:33,917 --> 00:43:35,852 櫓の準備をしております。 どうか 今しばらく…。 494 00:43:35,852 --> 00:43:38,588 櫓? 495 00:43:38,588 --> 00:43:58,274 ・~ 496 00:43:58,274 --> 00:44:00,209 何じゃ おい。 497 00:44:00,209 --> 00:44:02,879 何か 棒みたいなものは ないですか? 498 00:44:02,879 --> 00:44:07,550 できるだけ丈夫な。 499 00:44:07,550 --> 00:44:09,886 (漁師)これは? 500 00:44:09,886 --> 00:44:12,555 どこにありました? そこに。 501 00:44:12,555 --> 00:44:16,225 いや 港で船をつなぐための 丸太なんじゃが・ 502 00:44:16,225 --> 00:44:18,161 何で こんなとこに? 503 00:44:18,161 --> 00:44:23,099 見つかっても問題はない という訳か。 504 00:44:23,099 --> 00:44:25,902 ちょっと貸して下さい。 505 00:44:25,902 --> 00:44:27,902 あっと…。 506 00:44:36,546 --> 00:44:38,481 櫓を組む必要は ないようです。 507 00:44:38,481 --> 00:44:41,451 竹蔵さん ちょっと この棒を 下に押して下さい。 508 00:44:41,451 --> 00:44:43,751 おう。 509 00:44:46,589 --> 00:44:51,260 あっ 手伝わないで! 1人で できるものか 確かめている。 510 00:44:51,260 --> 00:44:55,932 竹蔵さん その棒を この枝に引っ掛けて下さい。 511 00:44:55,932 --> 00:44:58,267 そうそう そうです。 512 00:44:58,267 --> 00:45:13,216 ・~ 513 00:45:13,216 --> 00:45:20,089 ハハハハハッ ハハハハハッ! 514 00:45:20,089 --> 00:45:22,558 さすがは 女役者の娘。 515 00:45:22,558 --> 00:45:28,231 「道成寺」の鐘入りとは 大した見せ物じゃわ。 ハハハハハッ。 516 00:45:28,231 --> 00:45:34,103 ええ? 何の酔興じゃ これは。 いくら あれが茶人じゃからて・ 517 00:45:34,103 --> 00:45:38,574 人騒がせも 大概にしてくれんかね。 518 00:45:38,574 --> 00:45:43,446 ええか? よそもん。 この島には 悪魔がおるぞ。 519 00:45:43,446 --> 00:45:47,583 海賊や罪人の血で できとる 悪魔の島じゃけんなぁ! 520 00:45:47,583 --> 00:45:50,920 ハハハハハッ ハハハハハッ! (鵜飼)お志保さん…。 521 00:45:50,920 --> 00:45:53,589 ハハハハハッ ハハハハハッ! 522 00:45:53,589 --> 00:46:00,263 ・~ 523 00:46:00,263 --> 00:46:02,532 (清水)お志保は・ 524 00:46:02,532 --> 00:46:06,402 巴屋という小さな網元の 一人娘じゃったんじゃが・ 525 00:46:06,402 --> 00:46:11,541 あの女 千万太さんを 執拗に追いかけとって。 526 00:46:11,541 --> 00:46:14,877 まあ 千万太さんも まんざらじゃなかったんじゃが。 527 00:46:14,877 --> 00:46:19,215 嘉右衛門さんに反対されてな。 別れさせられて。 528 00:46:19,215 --> 00:46:21,884 すると 今度は 分家の一さんに 言い寄ったんじゃが・ 529 00:46:21,884 --> 00:46:24,787 それも無理筋で。 530 00:46:24,787 --> 00:46:29,559 それで 敵対する分鬼頭に嫁いだ。 531 00:46:29,559 --> 00:46:32,895 さあ 本音は よう分からんが。 532 00:46:32,895 --> 00:46:36,232 分鬼頭の旦那さんも 随分な年でな。 533 00:46:36,232 --> 00:46:41,104 30歳も年の離れた男のところに 嫁いだ お志保の節操のなさを・ 534 00:46:41,104 --> 00:46:44,107 島中が笑いものにしよったわ。 535 00:46:44,107 --> 00:46:51,407 結局 実家の網元は潰れ 親も 早くに亡くなった。 536 00:46:56,252 --> 00:46:58,952 分からないんです。 537 00:47:00,857 --> 00:47:04,727 なぜ わざわざ犯人は 梅の木に死体をつるしたり・ 538 00:47:04,727 --> 00:47:10,867 釣り鐘に押し込めたり するんでしょうか? 539 00:47:10,867 --> 00:47:14,737 あんた 何で こんな事に首突っ込む? 540 00:47:14,737 --> 00:47:17,540 (磯川)金田一さん! 541 00:47:17,540 --> 00:47:19,475 磯川警部。 542 00:47:19,475 --> 00:47:25,882 いや~ 久しぶりじゃ。 その駐在から報告を受けまして。 543 00:47:25,882 --> 00:47:29,752 奇妙な男が島に現れ 事件が起きたと。 544 00:47:29,752 --> 00:47:31,754 いや ところが 男の特徴を 聞けば聞くほど・ 545 00:47:31,754 --> 00:47:34,223 ある人物しか 思い浮かばん。 546 00:47:34,223 --> 00:47:37,894 まさかと思い 駆けつけてみれば ハハハハッ! 547 00:47:37,894 --> 00:47:41,230 いや 私の勘も なかなかのもんじゃったわ。 548 00:47:41,230 --> 00:47:44,901 知り合い? ええ。 549 00:47:44,901 --> 00:47:51,901 どうじゃったかな? 留置場の布団は。 ハハハハハハッ。 550 00:47:55,912 --> 00:47:59,582 復員して早々 こんな現場に出くわすとは・ 551 00:47:59,582 --> 00:48:03,186 これも 一つの才能ですな。 よして下さい。 552 00:48:03,186 --> 00:48:06,886 僕は 未然に防ぐつもりで ここへ来てるんですから。 553 00:48:10,059 --> 00:48:13,529 お手上げですか? 554 00:48:13,529 --> 00:48:17,200 実は うちも 手を焼いておりまして・ 555 00:48:17,200 --> 00:48:21,070 こちらの事件と 何か関連があるやもしれん。 556 00:48:21,070 --> 00:48:23,072 というと? 557 00:48:23,072 --> 00:48:26,542 おととい 近隣の警察を総動員して・ 558 00:48:26,542 --> 00:48:29,879 ここら一体の海賊の 一斉捜査を行ったんですが・ 559 00:48:29,879 --> 00:48:33,749 その際に1人 海へ逃げた者がおって。 560 00:48:33,749 --> 00:48:37,220 それが 潮の流れから考えると・ 561 00:48:37,220 --> 00:48:44,560 この獄門島に泳ぎ着いた可能性が 高いようなんですな。 う~ん…。 562 00:48:44,560 --> 00:48:46,495 心当たりは? 563 00:48:46,495 --> 00:48:48,898 いや 関係があるかどうか 分かりませんが・ 564 00:48:48,898 --> 00:48:53,569 1つ 気になる事があるんですね。 565 00:48:53,569 --> 00:48:55,504 花子さんが殺害された晩・ 566 00:48:55,504 --> 00:49:00,843 和尚は 確かに 何かを目撃しているんです。 567 00:49:00,843 --> 00:49:06,716 それが 磯川警部の言う 賊であったとしたら…。 568 00:49:06,716 --> 00:49:09,185 いやいやいや 駄目だ 駄目だ。 569 00:49:09,185 --> 00:49:12,521 仮に もし その賊が 花子さんを殺し・ 570 00:49:12,521 --> 00:49:16,192 死体発見時に 和尚に 目撃されていたんだとしたら・ 571 00:49:16,192 --> 00:49:19,528 不自然なほど長く 現場にいた事になります。 572 00:49:19,528 --> 00:49:22,431 とすると? せかさないで。 573 00:49:22,431 --> 00:49:54,897 ・~ 574 00:49:54,897 --> 00:49:58,567 そうだ 靴跡。 屋敷の庭に1つだけ・ 575 00:49:58,567 --> 00:50:02,438 傷のついた靴跡が 残っていたんです たった一つ。 576 00:50:02,438 --> 00:50:06,242 それは つまり それ以外を 誰かが消したと? 577 00:50:06,242 --> 00:50:10,112 そうです。 そして 1つだけ消し忘れた。 578 00:50:10,112 --> 00:50:13,115 消さなければならない 理由があり・ 579 00:50:13,115 --> 00:50:17,253 かつ あの屋敷で そんな事ができる人物…。 580 00:50:17,253 --> 00:50:20,156 よし! まずは その靴跡を当たってみます。 581 00:50:20,156 --> 00:50:23,125 その前に ちょっと 確かめたい事があります。 582 00:50:23,125 --> 00:50:26,262 清水巡査。 申し訳ありませんが・ 583 00:50:26,262 --> 00:50:28,597 ここに竹蔵さんを 呼んでもらえますか。 あ…。 584 00:50:28,597 --> 00:50:31,500 すぐ すぐ すぐ! あっ 失礼します。 585 00:50:31,500 --> 00:50:34,270 ちょっと待って。 586 00:50:34,270 --> 00:50:36,605 おい 早く行け。 はい。 お茶は? 587 00:50:36,605 --> 00:50:38,541 いや いい。 588 00:50:38,541 --> 00:50:40,841 早く! 失礼します。 589 00:50:44,280 --> 00:50:46,949 花子さん殺しの聞き取りのため・ 590 00:50:46,949 --> 00:50:50,619 清水巡査が 本鬼頭を訪れたのは6時半。 591 00:50:50,619 --> 00:50:53,956 やがて 雪枝さんの姿が 見えない事に気が付いた。 592 00:50:53,956 --> 00:50:59,295 ええ。 それで手分けして 捜す事になったのが 8時半で。 593 00:50:59,295 --> 00:51:03,899 私と村長で 分鬼頭へ向かいました。 594 00:51:03,899 --> 00:51:07,570 わしと了沢さんは 寺へ。 595 00:51:07,570 --> 00:51:11,440 和尚は本鬼頭に残り 早苗さんと月代さんを見ていた。 596 00:51:11,440 --> 00:51:13,442 幸庵医師は? 597 00:51:13,442 --> 00:51:16,442 例のごとく酔い潰れていたので そのまま…。 598 00:51:18,581 --> 00:51:22,251 清水巡査と村長が 分鬼頭に向かうには・ 599 00:51:22,251 --> 00:51:25,588 途中 天狗の鼻を 通過しなければなりませんが。 600 00:51:25,588 --> 00:51:28,491 もちろん 釣り鐘はありました。・ 601 00:51:28,491 --> 00:51:31,260 懐中電灯を照らして 異常がないか確認もしましたが・ 602 00:51:31,260 --> 00:51:33,195 何も問題は ありませんでした。 603 00:51:33,195 --> 00:51:35,895 行こう。 はい。 604 00:51:37,933 --> 00:51:42,271 そばまで寄ってみたのか。 あっ いえ あの そこまでは。 605 00:51:42,271 --> 00:51:44,206 先を急いでおりましたので。 606 00:51:44,206 --> 00:51:46,609 ただ 振り袖が はみ出ていない事は 絶対。 607 00:51:46,609 --> 00:51:49,278 村長も 一緒に確認しております。 608 00:51:49,278 --> 00:51:51,947 それから? それで・ 609 00:51:51,947 --> 00:51:56,819 私と村長が 分鬼頭へ着いた頃・ 610 00:51:56,819 --> 00:52:02,892 幸庵医師の叫び声が 谷の方向から聞こえまして。 611 00:52:02,892 --> 00:52:06,228 ん? 待って 待って。 幸庵医師は 酔い潰れていたんでは? 612 00:52:06,228 --> 00:52:10,099 それは 自分も捜す言うて聞かず 飛び出したそうで。 613 00:52:10,099 --> 00:52:13,102 心配になって 声のする方へ向かったんです。 614 00:52:13,102 --> 00:52:15,571 鵜飼も 志保さんも ついてきました。 615 00:52:15,571 --> 00:52:19,442 みんな疑心暗鬼で 1人でいるのが 恐ろしかったようです。 616 00:52:19,442 --> 00:52:23,913 では もう一度 釣り鐘のそばを通過した? 617 00:52:23,913 --> 00:52:27,249 ええ。 ただ その時は・ 618 00:52:27,249 --> 00:52:29,585 改めて確認するような事は しませんでした。 619 00:52:29,585 --> 00:52:33,456 そのころには 本降りの雨が来ておりまして。 620 00:52:33,456 --> 00:52:35,925 最初に釣り鐘を確かめてから・ 621 00:52:35,925 --> 00:52:38,828 もう一度 釣り鐘の前を 通り過ぎるまで・ 622 00:52:38,828 --> 00:52:41,263 どれぐらいの時間が たっていましたか? 623 00:52:41,263 --> 00:52:43,933 せいぜい 15分…。 624 00:52:43,933 --> 00:52:48,604 15分で 釣り鐘は動かせますか? 可能だが・ 625 00:52:48,604 --> 00:52:53,943 わざわざ その時間に 無理を犯す理由はない。 626 00:52:53,943 --> 00:52:56,612 わしらも 声を聞いて 寺を降りました。 627 00:52:56,612 --> 00:52:59,281 つづら折れの下で 清水さんたちと合流して。 なあ? 628 00:52:59,281 --> 00:53:03,552 うん。 それで みんなで よくよく捜してみますと・ 629 00:53:03,552 --> 00:53:08,424 幸庵先生が 谷の途中に 引っ掛かって うめいておられて。 630 00:53:08,424 --> 00:53:13,424 (竹蔵)骨が折れて 身動きがとれんと。 631 00:53:15,564 --> 00:53:20,264 骨折? 見知らぬ男と格闘したそうで。 632 00:53:23,906 --> 00:53:27,576 (磯川)男の顔は見えず 分かった事は・ 633 00:53:27,576 --> 00:53:31,247 靴を履いていた事 風呂敷包みを持っていた事・ 634 00:53:31,247 --> 00:53:34,150 本鬼頭の方角から やって来た事。 635 00:53:34,150 --> 00:53:39,588 興味深いのは そのあとの事です。 幸庵先生を救い出した一行は・ 636 00:53:39,588 --> 00:53:42,925 全員一緒に 本鬼頭で夜を明かしている。 637 00:53:42,925 --> 00:53:44,860 分鬼頭の2人まで一緒とは・ 638 00:53:44,860 --> 00:53:48,597 島の人間には 信じ難い事でしょうなあ。 639 00:53:48,597 --> 00:53:51,934 皆不安だったんですなあ。 640 00:53:51,934 --> 00:53:56,605 雪枝さんを発見したのは 翌朝…。 641 00:53:56,605 --> 00:54:04,413 雨が上がったところで 分鬼頭の2人は 先に屋敷を出た。 642 00:54:04,413 --> 00:54:08,551 そして すぐに血相を変えて 戻ってきた。 643 00:54:08,551 --> 00:54:11,887 この時に 2人が釣り鐘の中に 遺体を入れた可能性は? 644 00:54:11,887 --> 00:54:16,559 それはない。 問題は雨です。 雪枝さんの遺体は・ 645 00:54:16,559 --> 00:54:21,430 表に出ていた振り袖の先以外 ほぼ濡れていなかった。 646 00:54:21,430 --> 00:54:27,203 つまり 雨が降る前に 釣り鐘の中に押し込められたか・ 647 00:54:27,203 --> 00:54:31,574 仮に もし 雨がやんだあと 中に入れたんだとしたら・ 648 00:54:31,574 --> 00:54:33,509 それまで 雪枝さんの遺体を・ 649 00:54:33,509 --> 00:54:36,445 どこか濡れない場所に 隠しておかなければならない。 650 00:54:36,445 --> 00:54:39,915 だが あの辺りに そんな場所はない。 う~ん…。 651 00:54:39,915 --> 00:54:44,253 ああ そうだ。 あの質問は何だったんですか? 652 00:54:44,253 --> 00:54:46,553 えっ? ラジオの事です。 653 00:54:50,125 --> 00:54:54,897 ところで 清水巡査 昨夜 最初に 聞き取りで本鬼頭に訪れた時・ 654 00:54:54,897 --> 00:54:58,801 ラジオの声は聞こえていましたか? ラジオ? 655 00:54:58,801 --> 00:55:05,541 6時半なら 復員便りが 放送されていたはずなんですが。 656 00:55:05,541 --> 00:55:08,541 いや… 静かなもんでした。 657 00:55:15,551 --> 00:55:17,486 えっ? 658 00:55:17,486 --> 00:55:20,422 まだ 確かな事は言えません。 659 00:55:20,422 --> 00:55:25,722 結構。 では こちらは 一気に あぶり出すとしよう。 660 00:55:31,567 --> 00:55:33,502 皆 ご苦労。 661 00:55:33,502 --> 00:55:55,502 (読経) 662 00:56:03,866 --> 00:56:07,536 島のてっぺんに 防空監視所の跡がある。 663 00:56:07,536 --> 00:56:12,875 潜んでいるには絶好の場所じゃ! ここを目標に進む。 664 00:56:12,875 --> 00:56:16,545 敵は武器を持っている可能性が 高いので くれぐれも…。 665 00:56:16,545 --> 00:56:20,215 (清水)磯川警部! 666 00:56:20,215 --> 00:56:25,554 昼間 墓堀りに出向いた漁師が 山の中で これを拾ったそうで。 667 00:56:25,554 --> 00:56:29,892 風呂敷か… この家紋は? 668 00:56:29,892 --> 00:56:32,592 本鬼頭の家紋です。 669 00:56:37,566 --> 00:56:41,566 間もなく 山狩りが始まります。 670 00:56:45,240 --> 00:56:51,580 誰も無事に逃げおおす事は できないでしょうね。 671 00:56:51,580 --> 00:56:54,917 そうですか。 672 00:56:54,917 --> 00:56:57,917 いいんですか? 673 00:56:59,788 --> 00:57:03,488 何の事でしょう? 674 00:57:06,195 --> 00:57:10,195 (鈴の音) 675 00:57:12,067 --> 00:57:15,767 早苗ちゃん ほな あて 行くわ。 676 00:57:17,539 --> 00:57:20,876 ハハハッ 驚いとる。 677 00:57:20,876 --> 00:57:25,748 アッハハハハッ。 678 00:57:25,748 --> 00:57:27,750 月代さん どちらへ? 679 00:57:27,750 --> 00:57:32,488 ご祈祷よ。 あてのご祈祷 よう効くんよ。 680 00:57:32,488 --> 00:57:37,226 雪 花殺したもん 呪い殺したるんじゃ! 681 00:57:37,226 --> 00:57:41,897 ついでに 山狩りがうまくいくよう ご祈祷しといたるわ! 682 00:57:41,897 --> 00:57:45,197 アハハハハッ ハハハハハッ。 683 00:57:49,772 --> 00:57:52,541 (島民たち)オ~! 684 00:57:52,541 --> 00:57:54,910 よ~し 出発! 685 00:57:54,910 --> 00:57:57,610 (島民たち)オ~! 686 00:58:01,183 --> 00:58:03,183 僕も参ります。 687 00:58:06,522 --> 00:58:08,457 お気を付けて。 688 00:58:08,457 --> 00:58:19,535 ・~ 689 00:58:19,535 --> 00:58:27,876 (祈祷) 690 00:58:27,876 --> 00:59:01,576 ・~ 691 00:59:10,185 --> 00:59:20,185 (磯川)止まれ! しばし待機。 警察隊 前へ! 692 00:59:25,200 --> 00:59:28,537 清水さん 聞きたい事が。 693 00:59:28,537 --> 00:59:30,873 お志保さんが 釣り鐘の前で言ってた言葉で・ 694 00:59:30,873 --> 00:59:32,808 1つ 分からない事があるんです。 695 00:59:32,808 --> 00:59:36,545 何の酔興じゃ これは。 いくら あれが茶人じゃからて・ 696 00:59:36,545 --> 00:59:39,448 人騒がせも 大概にしてくれんかね。 697 00:59:39,448 --> 00:59:42,885 あの人が言っていた 茶人というのは・ 698 00:59:42,885 --> 00:59:46,555 一体 誰の事だったんでしょうか? 茶人…。 699 00:59:46,555 --> 00:59:50,425 ああ そりゃ あれです 嘉右衛門さんの事です。 700 00:59:50,425 --> 00:59:54,429 嘉右衛門さん。 ええ。 嘉右衛門さんというのは…。 701 00:59:54,429 --> 00:59:59,134 <鬼頭嘉右衛門は 風流を気取る男だった。・ 702 00:59:59,134 --> 01:00:02,104 俳句や芝居に入れ込む 嘉右衛門は・ 703 01:00:02,104 --> 01:00:07,843 ある時 お小夜という 女役者の一座を島に呼び寄せた> 704 01:00:07,843 --> 01:00:26,595 ・~ 705 01:00:26,595 --> 01:00:32,267 <お小夜は 「道成寺」の踊りが得意だった。・ 706 01:00:32,267 --> 01:00:37,606 そして 与三松が お小夜に入れ揚げた。・ 707 01:00:37,606 --> 01:00:41,276 当時の与三松は まだ無事で・ 708 01:00:41,276 --> 01:00:44,613 先の妻を亡くし 独り身であった。・ 709 01:00:44,613 --> 01:00:47,282 既に千万太は生まれていた> 710 01:00:47,282 --> 01:00:49,618 お待ち下さい! え~い! 711 01:00:49,618 --> 01:00:53,288 <与三松は お小夜を 後添えにしようとしたが・ 712 01:00:53,288 --> 01:00:56,959 それに嘉右衛門が強く反対した。・ 713 01:00:56,959 --> 01:01:04,066 島の人間は 他国の人間と 縁組みする事を好まない。・ 714 01:01:04,066 --> 01:01:08,937 加えて お小夜の素性に 問題があった。・ 715 01:01:08,937 --> 01:01:13,575 お小夜は 祈祷師を自称していた。・ 716 01:01:13,575 --> 01:01:17,446 旅役者が 全国各地を回るうちに 身につけた・ 717 01:01:17,446 --> 01:01:23,251 信仰も流派も あやふやな 独自の加持祈祷である。・ 718 01:01:23,251 --> 01:01:27,589 だが その祈祷は 不思議と効いた。・ 719 01:01:27,589 --> 01:01:32,260 島の人間は 病気の時 漁が不漁の時・ 720 01:01:32,260 --> 01:01:38,133 お小夜にすがった。 その事に腹を立てたのが…・ 721 01:01:38,133 --> 01:01:44,840 了然和尚。 それまで 何かにつけ 寺へ駆け込んでいた島民が・ 722 01:01:44,840 --> 01:01:48,276 見向きもしなくなったのだ。・ 723 01:01:48,276 --> 01:01:54,149 了然と嘉右衛門は同盟を結び お小夜を孤立させた。・ 724 01:01:54,149 --> 01:02:00,288 旗色が悪くなるにつれ お小夜も 妙な事を言うようになる。・ 725 01:02:00,288 --> 01:02:05,560 山が割れ 火の雨が降ると 島民を脅かし・ 726 01:02:05,560 --> 01:02:12,260 性根を直すためと 幼子に火箸を押しつけた> 727 01:02:13,902 --> 01:02:15,902 (うめき声) 728 01:02:19,574 --> 01:02:25,914 <やがて 誰も お小夜に寄り付かなくなる。・ 729 01:02:25,914 --> 01:02:29,785 嘉右衛門は 屋敷に座敷牢を作り・ 730 01:02:29,785 --> 01:02:33,588 そこに お小夜を閉じ込めた。・ 731 01:02:33,588 --> 01:02:37,926 このころには お小夜は 与三松との間に・ 732 01:02:37,926 --> 01:02:43,265 月 雪 花の 3姉妹を授かっており・ 733 01:02:43,265 --> 01:02:45,934 娘にも会えない苦しみが・ 734 01:02:45,934 --> 01:02:51,273 憔悴しきった体に追い打ちをかけ やがて お小夜は一人・ 735 01:02:51,273 --> 01:02:55,944 牢の中で命を絶った。・ 736 01:02:55,944 --> 01:03:03,752 愛する女を失った与三松は 泣き わめき のたうち回り・ 737 01:03:03,752 --> 01:03:07,556 やがて 我を失った。・ 738 01:03:07,556 --> 01:03:12,856 これが 彼が座敷牢に入れられた経緯だ> 739 01:03:14,429 --> 01:03:18,567 了沢 もう一本。 740 01:03:18,567 --> 01:03:21,903 やめましょう 先生。 741 01:03:21,903 --> 01:03:28,243 何を言うか…。 夜は これから! 742 01:03:28,243 --> 01:03:32,581 なあ? 村長。 あ… あれ? 村長は? 743 01:03:32,581 --> 01:03:36,918 和尚? 和尚さんは 寺へ戻りました。 744 01:03:36,918 --> 01:03:39,588 村長は 山狩りを 手伝いに行っております。 745 01:03:39,588 --> 01:03:42,491 あ そう。 先生 先ほど 挨拶しておりましたよ。 746 01:03:42,491 --> 01:03:45,460 は~い。 あ そう。 747 01:03:45,460 --> 01:03:50,599 え~ とにかく 了沢 もう一本。 な? 748 01:03:50,599 --> 01:03:53,502 早苗さ~ん! 749 01:03:53,502 --> 01:03:56,802 すいません お代わりを。 750 01:04:01,209 --> 01:04:03,909 早苗さん! 751 01:04:07,883 --> 01:04:11,553 早苗さん! ・(祈祷) 752 01:04:11,553 --> 01:04:13,889 (了沢)早苗さん? 753 01:04:13,889 --> 01:04:17,225 先生。 ん? 幸庵先生。 754 01:04:17,225 --> 01:04:19,895 うん…。 早苗さんが見当たりません。 755 01:04:19,895 --> 01:04:23,565 うん? ん!? さ… 早苗さんが。 756 01:04:23,565 --> 01:04:26,468 早苗が お… おらん? 757 01:04:26,468 --> 01:04:28,768 えっ…。 758 01:04:35,177 --> 01:04:40,582 あっ さ… 早苗を捜せ! 捜せとは どこを? 759 01:04:40,582 --> 01:04:44,452 そんな事 知るか! 手分け! 手分け手分け。 760 01:04:44,452 --> 01:04:48,452 お前は あ… あっち。 あっちを捜しなさい! はい。 761 01:04:54,596 --> 01:04:56,531 (銃声) 762 01:04:56,531 --> 01:04:59,831 (磯川)兵隊服の男と遭遇! 763 01:05:05,874 --> 01:05:11,174 (念仏を唱える声) 764 01:05:15,550 --> 01:05:19,421 やめろ! 抵抗は無駄だ! 765 01:05:19,421 --> 01:05:21,423 (銃声) 766 01:05:21,423 --> 01:05:24,893 包囲! 威嚇射撃を許可! 767 01:05:24,893 --> 01:05:29,593 磯川さん 当てないで! 生け捕りです 生け捕り。 768 01:05:31,233 --> 01:05:33,233 (銃声) 769 01:05:34,903 --> 01:05:36,903 (銃声) 770 01:05:38,573 --> 01:05:41,273 (千万太)殺される。 771 01:05:43,912 --> 01:05:46,815 (千万太)殺される! 772 01:05:46,815 --> 01:05:56,925 ・~ 773 01:05:56,925 --> 01:05:59,594 殺される! 774 01:05:59,594 --> 01:06:02,594 あっ… うっ…! 775 01:06:04,199 --> 01:06:07,535 (銃声) (海賊)あっ! 776 01:06:07,535 --> 01:06:10,205 クソ! 777 01:06:10,205 --> 01:06:12,205 あ~! 778 01:06:20,548 --> 01:06:23,885 磯川さん! 当てちゃ駄目だって 言ってるでしょ! 779 01:06:23,885 --> 01:06:27,756 弾は当たってない! 後頭部に裂傷が。 780 01:06:27,756 --> 01:06:31,559 後ろから殴られ 崖を転落したようじゃ。・ 781 01:06:31,559 --> 01:06:36,898 あの暗がりに 誰か潜んでおったという事か…。 782 01:06:36,898 --> 01:06:38,833 (足音) 783 01:06:38,833 --> 01:06:51,913 ・~ 784 01:06:51,913 --> 01:06:54,249 あ イッ! 785 01:06:54,249 --> 01:07:13,201 ・~ 786 01:07:13,201 --> 01:07:15,537 (了沢)月代さん? 787 01:07:15,537 --> 01:07:18,873 ・(鈴の音) (了沢)出てきて下さい。 788 01:07:18,873 --> 01:07:24,746 変なんです。 誰もいない…。 早苗さんも! 789 01:07:24,746 --> 01:07:28,746 ・(鈴の音) 月代さん! 790 01:07:34,222 --> 01:07:36,222 (叫び声) 791 01:07:42,097 --> 01:07:44,566 (鈴の音) 792 01:07:44,566 --> 01:08:20,402 ・~ 793 01:08:20,402 --> 01:08:23,204 萩…。 794 01:08:23,204 --> 01:08:45,894 ・~ 795 01:08:45,894 --> 01:08:51,566 (磯川)凶器は 日本手拭い。 鬼頭家の家紋が入っていた。 796 01:08:51,566 --> 01:08:54,903 漁師が墓で拾った 風呂敷と同じものですが・ 797 01:08:54,903 --> 01:08:58,239 ただ一つ 妙な特徴が。 798 01:08:58,239 --> 01:09:01,509 布自体には 使い込んだ様子があるんですが・ 799 01:09:01,509 --> 01:09:04,412 切れ端が ほら… 新しいんです。 800 01:09:04,412 --> 01:09:07,412 切り取ったばかりのように見える。 801 01:09:11,186 --> 01:09:18,059 祈祷に熱中しているところを 後ろから くびられたようです。 802 01:09:18,059 --> 01:09:22,797 山で死んだ男の方は? 島の人間ではありませんでした。 803 01:09:22,797 --> 01:09:26,534 賊の一味と見て 間違いない。 804 01:09:26,534 --> 01:09:39,834 ・~ 805 01:09:42,550 --> 01:09:44,850 (施錠音) 806 01:09:46,888 --> 01:09:51,188 おじ様 おやすみなさい。 807 01:10:10,912 --> 01:10:17,212 あなたの服の切れ端です。 やぶの中で発見しました。 808 01:10:19,921 --> 01:10:25,260 わざわざ 山狩りの現場に 駆けつけた あなたの その執念。 809 01:10:25,260 --> 01:10:29,597 それを知って 僕は確信しました。 810 01:10:29,597 --> 01:10:34,469 あなたは あの海賊の事を 一さん…・ 811 01:10:34,469 --> 01:10:39,469 お兄さんだと 思い込まれていたんですね。 812 01:10:42,177 --> 01:10:47,148 千万太君の通夜の日 花子さんが姿を消し・ 813 01:10:47,148 --> 01:10:52,620 あなたは屋敷の奥で悲鳴を上げた。 そこに居合わせた人たちは皆・ 814 01:10:52,620 --> 01:10:55,957 与三松さんが暴れたものと 思っていたが・ 815 01:10:55,957 --> 01:11:00,257 あなたは あの時 海賊に出くわしていたんです。 816 01:11:01,763 --> 01:11:07,235 島で一番大きな屋敷に目をつけた 海賊は タバコを見つけ・ 817 01:11:07,235 --> 01:11:11,573 盗もうとしたとこに あなたに出くわした。 818 01:11:11,573 --> 01:11:14,475 なぜ あの時・ 819 01:11:14,475 --> 01:11:20,582 あなたは 我々に 真実を伝えなかったのか。 820 01:11:20,582 --> 01:11:27,582 それは あなたが あの男を 一さんだと思い込まれたからです。 821 01:11:29,257 --> 01:11:33,127 間もなく 復員する知らせを 聞いていた あなたには・ 822 01:11:33,127 --> 01:11:37,932 復員兵姿の男が 一さんにしか見えなかった。 823 01:11:37,932 --> 01:11:44,272 ところが その男は あなたを見るなり逃げ出した。 824 01:11:44,272 --> 01:11:48,142 なぜ 逃げたのか…・ 825 01:11:48,142 --> 01:11:53,948 なぜ ひそかに帰ったのか? 826 01:11:53,948 --> 01:11:59,621 兄の事情をおもんぱかり あなたは とっさに うそをつきました。 827 01:11:59,621 --> 01:12:03,621 大丈夫か? いつもの事ですので…。 828 01:12:05,226 --> 01:12:10,098 あの日 千光寺で 花子さんが殺され・ 829 01:12:10,098 --> 01:12:14,902 寺には 軍靴の跡が見つかった。 830 01:12:14,902 --> 01:12:17,902 そこで あなたは確信する。 831 01:12:19,774 --> 01:12:23,244 兄が ひそかに帰った理由は・ 832 01:12:23,244 --> 01:12:27,915 あの3姉妹を殺すためだと…。 833 01:12:27,915 --> 01:12:34,615 だから あなたは 庭に残っていた靴跡を消した。 834 01:12:38,559 --> 01:12:44,265 そして 復員便りを聞く事も やめました。 835 01:12:44,265 --> 01:12:50,565 もう 消息を確かめる必要が なくなったんですからね。 836 01:12:52,940 --> 01:12:59,240 あの男に 風呂敷包みを渡したのも あなたですね? 837 01:13:01,549 --> 01:13:06,888 いつでも取りに来られるように 置いておいただけですから。 838 01:13:06,888 --> 01:13:09,791 せめて…・ 839 01:13:09,791 --> 01:13:14,762 その男が本当に お兄さんかどうか 確かめてさえいてくれたら! 840 01:13:14,762 --> 01:13:17,532 そうしなかったせいで 月代さんまで! 841 01:13:17,532 --> 01:13:21,235 あなたのうそが 僕を惑わしたんです! 842 01:13:21,235 --> 01:13:25,907 私が悪いと おっしゃるんですか!? あなたは 随分と無駄な事をした。 843 01:13:25,907 --> 01:13:30,244 何の縁もない男を かばっていたんですからね。 844 01:13:30,244 --> 01:13:35,116 おかげで僕も 何の関係もない男を 追いかけてしまった! 845 01:13:35,116 --> 01:13:38,920 花子さんや雪枝さんを殺したのは あの男じゃない。 846 01:13:38,920 --> 01:13:43,257 やつには 死体を木につるす必要も 鐘の下に伏せる必要もない。 847 01:13:43,257 --> 01:13:45,593 いわんや月代さんが殺された時・ 848 01:13:45,593 --> 01:13:49,931 我々と銃撃戦を 繰り広げていたんだ! 849 01:13:49,931 --> 01:13:54,802 だが あの海賊 この事件と何の関係もないとは・ 850 01:13:54,802 --> 01:13:57,802 言い切れないんですよ。 851 01:14:00,274 --> 01:14:04,145 興味を示しましたね。 852 01:14:04,145 --> 01:14:07,548 ご存じ あの海賊は・ 853 01:14:07,548 --> 01:14:12,887 闇の中で 何者かに頭を殴られて 死んだんです。 854 01:14:12,887 --> 01:14:17,558 花子さんと同じ傷口でした。 855 01:14:17,558 --> 01:14:22,230 つまり 同じ人間が 同じ凶器を使って・ 856 01:14:22,230 --> 01:14:25,133 賊を襲ったんですよ。 857 01:14:25,133 --> 01:14:28,903 (笑い声) 858 01:14:28,903 --> 01:14:33,574 あなたの言ったとおりだ! この島の人間ですよ。 859 01:14:33,574 --> 01:14:37,912 たった3日で 3姉妹と1人の海賊を・ 860 01:14:37,912 --> 01:14:42,583 きれい さっぱりに始末したのは 間違いない この島の人間だ! 861 01:14:42,583 --> 01:14:45,253 和尚さんも言ってたじゃ ないですか 悪魔ですよ。 862 01:14:45,253 --> 01:14:48,589 悪魔がいるんですよ この島には! 863 01:14:48,589 --> 01:14:53,928 島の人間も あなたも 少なからず 予感してたんですよね? 864 01:14:53,928 --> 01:14:56,597 あの子たちが死ぬ事を。 865 01:14:56,597 --> 01:15:00,468 だから あなたは 必死で兄をかくまい・ 866 01:15:00,468 --> 01:15:05,406 島中が この事件を受け入れようとした。 867 01:15:05,406 --> 01:15:07,542 どうして あの3姉妹は・ 868 01:15:07,542 --> 01:15:09,877 殺されなければ ならなかったんですか? 869 01:15:09,877 --> 01:15:12,577 ねえ 何なんですか? この島は! 870 01:15:17,752 --> 01:15:20,052 あなたには分からない。 871 01:15:23,424 --> 01:15:26,124 私にだって 分からないんですから! 872 01:15:42,777 --> 01:15:45,077 <逗留六日目> 873 01:15:50,518 --> 01:15:52,518 ・(了沢)失礼します。 874 01:15:57,258 --> 01:16:00,862 ずっと起きていらしたんですか? 875 01:16:00,862 --> 01:16:03,764 何時ですか? 876 01:16:03,764 --> 01:16:08,202 間もなく 朝の6時です。 そう。 877 01:16:08,202 --> 01:16:59,487 ・~ 878 01:16:59,487 --> 01:17:01,422 クソ! 879 01:17:01,422 --> 01:17:03,422 何なんだ! 880 01:17:05,860 --> 01:17:07,860 どうぞ。 881 01:17:14,201 --> 01:17:16,201 失礼します。 882 01:17:18,539 --> 01:17:23,210 当主の鬼頭儀兵衛です。 883 01:17:23,210 --> 01:17:26,881 こんな格好で ご無礼をお許し下さい。 884 01:17:26,881 --> 01:17:28,881 あっ いえ…。 885 01:17:42,430 --> 01:17:46,233 花子さんの懐にあったものです。 886 01:17:46,233 --> 01:17:49,570 この手紙の宛名は 月代さん。 887 01:17:49,570 --> 01:17:54,270 鵜飼さん あなたは 月代さんに 手紙を出されましたね? 888 01:17:58,913 --> 01:18:00,913 言いなさい。 889 01:18:04,719 --> 01:18:08,019 私が書いたものです。 890 01:18:10,524 --> 01:18:15,824 この手紙は なぜ 花子さんの手に 渡ってしまったんでしょう? 891 01:18:24,872 --> 01:18:29,543 つづら折れの坂の下に 大ぶりな木があります。 892 01:18:29,543 --> 01:18:32,446 私と月代さんは その木の うろの中に・ 893 01:18:32,446 --> 01:18:35,883 手紙を 入れ合うようにしておりました。 894 01:18:35,883 --> 01:18:37,883 あった! 895 01:18:40,554 --> 01:18:43,457 ほう… それは ロマンチックだ。 ふっ…。 896 01:18:43,457 --> 01:18:46,427 月代さんです! 月代さんの発案で…。 897 01:18:46,427 --> 01:18:48,429 ああ 結構。 898 01:18:48,429 --> 01:18:53,134 だが この手紙が 月代さんに渡る事はなかった。 899 01:18:53,134 --> 01:18:57,104 その木の事を 花子さんが知っていた可能性は? 900 01:18:57,104 --> 01:18:59,907 知っていました。 901 01:18:59,907 --> 01:19:02,176 よく 付きまとわれていたので。 902 01:19:02,176 --> 01:19:06,514 では 花子さんが手紙を横取りした? 903 01:19:06,514 --> 01:19:09,417 ええ 恐らく。 904 01:19:09,417 --> 01:19:11,385 ・(お志保)嫌~っ! 905 01:19:11,385 --> 01:19:18,526 ハハハハハハハハッ! 悪魔… 悪魔が ハハハハハッ! 906 01:19:18,526 --> 01:19:21,826 早う 奥へ。 (お志保)ハハハハハッ。 907 01:19:23,397 --> 01:19:28,697 あ~っ! ハハハハハハッ…! 908 01:19:32,873 --> 01:19:40,748 この手紙 正しくは お志保が書かせたものでしょう。 909 01:19:40,748 --> 01:19:46,448 鵜飼と月代さんを必ず取り持つと いきまいとりました。 910 01:19:48,889 --> 01:19:52,760 鵜飼氏とは 一体 何者なんです? 911 01:19:52,760 --> 01:20:01,469 鵜飼は この島に駐留しておった 復員兵です。 912 01:20:01,469 --> 01:20:07,575 この島のてっぺんの防空監視所。 913 01:20:07,575 --> 01:20:11,575 そこに派遣された一兵卒でした。 914 01:20:14,915 --> 01:20:21,789 監視所の兵隊どもが 物資の徴発と言って・ 915 01:20:21,789 --> 01:20:30,264 町へ降りてきては 島の食料を強奪しよった。・ 916 01:20:30,264 --> 01:20:35,136 漁師たちは皆 腹に据えかねていた。・ 917 01:20:35,136 --> 01:20:41,609 ところが あの鵜飼が 町に降りてきた時だけは・ 918 01:20:41,609 --> 01:20:46,909 女連中が進んで あれこれ差し出しとった。 919 01:20:49,283 --> 01:20:56,283 やがて 鬼頭の3姉妹が 鵜飼に入れ揚げた。 920 01:20:57,958 --> 01:21:03,564 (儀兵衛)3人の方から 山へ押しかけていくありさまで。・ 921 01:21:03,564 --> 01:21:07,434 そら もう わやですよ。・ 922 01:21:07,434 --> 01:21:13,240 それを聞いた嘉右衛門さんも 鬼のように怒り狂い…。・ 923 01:21:13,240 --> 01:21:18,940 じゃが それに手を差し伸べたのが お志保です。 924 01:21:21,115 --> 01:21:24,585 (儀兵衛)鵜飼に 3姉妹を操らせ・ 925 01:21:24,585 --> 01:21:29,924 本鬼頭を骨抜きにしようという 腹だったんでしょう。・ 926 01:21:29,924 --> 01:21:34,595 嘉右衛門さんが 卒中で倒れたのも・ 927 01:21:34,595 --> 01:21:36,931 鵜飼が ここに 寝泊まりするようになって・ 928 01:21:36,931 --> 01:21:39,631 すぐでした。 929 01:21:41,802 --> 01:21:46,273 あなたは 黙って見過ごされた? 930 01:21:46,273 --> 01:21:53,948 お志保は もともと 千万太と結ばれるはずじゃった。・ 931 01:21:53,948 --> 01:21:57,818 今 あの女が生きてる理由は・ 932 01:21:57,818 --> 01:22:02,756 本鬼頭への復讐だけです。 933 01:22:02,756 --> 01:22:08,462 私に それを とがめる事はできない。 934 01:22:08,462 --> 01:22:13,762 あの女と共におる事が 私の生きる理由です。 935 01:22:15,903 --> 01:22:22,776 釣り鐘の一件以来 あいつも調子が悪うなって。 936 01:22:22,776 --> 01:22:27,514 私も痛風じゃいうのに…。 937 01:22:27,514 --> 01:22:32,214 本家も大変じゃが こちらも大変です。 938 01:22:39,927 --> 01:22:44,627 ありがとうございます。 お邪魔致しました。 939 01:22:47,801 --> 01:22:55,943 「一つ家に 遊女も寝たり 萩と月」か。 940 01:22:55,943 --> 01:22:58,279 は? 941 01:22:58,279 --> 01:23:03,117 嘉右衛門さんが よう読んどった句です。 942 01:23:03,117 --> 01:23:08,417 月代の死にざまを鵜飼から聞いて すぐに思い出しました。 943 01:23:12,559 --> 01:23:17,431 何ですって? ほら 話せ。 944 01:23:17,431 --> 01:23:21,431 (梅吉)みんな笑うじゃろう! 笑わんから…。 945 01:23:24,171 --> 01:23:27,574 釣り鐘が歩いたとしか 思えんのじゃ。 おとといの晩。 946 01:23:27,574 --> 01:23:31,445 雪枝さんが殺された夜? え… ええ。 947 01:23:31,445 --> 01:23:33,914 舟で沖へ出たんじゃが・ 948 01:23:33,914 --> 01:23:35,849 島への帰りがけ・ 949 01:23:35,849 --> 01:23:38,786 この ちょっと下の坂道の辺りに・ 950 01:23:38,786 --> 01:23:40,788 妙なものが見えて。 951 01:23:40,788 --> 01:23:44,558 よ~く見ると 釣り鐘なんです。 952 01:23:44,558 --> 01:23:47,928 崖の上ではなくて? ええ! 953 01:23:47,928 --> 01:23:50,831 下の この辺です。・ 954 01:23:50,831 --> 01:23:55,269 変じゃなあとは思いながら そのまま漕いで岬を回ると・ 955 01:23:55,269 --> 01:23:58,172 今度は 天狗の鼻の上に・ 956 01:23:58,172 --> 01:24:01,472 ちゃ~んと釣り鐘があるんです! 957 01:24:07,214 --> 01:24:09,214 ええっ!? 958 01:24:12,086 --> 01:24:15,556 ね? 釣り鐘が歩いたんです。 959 01:24:15,556 --> 01:24:19,226 それは しかし ありえんじゃろう。 960 01:24:19,226 --> 01:24:24,565 釣り鐘が 2つあったとは 考えられませんか? 961 01:24:24,565 --> 01:24:27,901 いや~ この島の寺は 千光寺だけじゃし。 962 01:24:27,901 --> 01:24:30,201 釣り鐘は 1つです。 963 01:24:35,242 --> 01:24:38,579 いや… あれは どうじゃ? 964 01:24:38,579 --> 01:24:42,449 あの ほら 「道成寺」の。 ああ…。 965 01:24:42,449 --> 01:24:46,920 あ~ 昔 お小夜さんが 「道成寺」を踊った時の・ 966 01:24:46,920 --> 01:24:49,590 張り子の釣り鐘なら 見た事がありますな。 967 01:24:49,590 --> 01:24:52,590 まっ 今は どうなっとるか 知りませんが。 968 01:24:56,930 --> 01:25:00,534 歩いたんじゃって! うるさいわ もう 本当に…。 969 01:25:00,534 --> 01:25:03,437 張り子の釣り鐘…。 970 01:25:03,437 --> 01:25:06,874 それなら 本鬼頭の蔵にあるはずだが…。 971 01:25:06,874 --> 01:25:09,209 凝った造りでしてな・ 972 01:25:09,209 --> 01:25:12,112 真ん中から2つに割れるんです。 973 01:25:12,112 --> 01:25:19,112 そこから お小夜が飛び出してきて あれが一番の盛り上がりでした。 974 01:25:21,789 --> 01:25:24,789 やれ 探偵さんも大変じゃ。 975 01:25:27,227 --> 01:25:29,163 なぜ それを? 976 01:25:29,163 --> 01:25:32,900 村長が新聞記事で調べたそうです。 977 01:25:32,900 --> 01:25:39,239 金田一 珍しいですからな 聞き覚えがあったんでしょう。 978 01:25:39,239 --> 01:25:44,578 戦前に有名な殺人事件を 解決したそうですな。 979 01:25:44,578 --> 01:25:48,278 皆 あなたが探偵だと 知っとります。 980 01:25:51,919 --> 01:25:53,854 <見られていた> 981 01:25:53,854 --> 01:26:03,864 ・~ 982 01:26:03,864 --> 01:26:06,564 <全て見られていた> 983 01:26:09,203 --> 01:26:11,138 (竹蔵)ありました! 984 01:26:11,138 --> 01:26:26,553 ・~ 985 01:26:26,553 --> 01:26:28,853 釣り鐘じゃ~! 986 01:26:34,428 --> 01:26:39,128 金田一さん これは 一体 どういう事なんでしょうか? 987 01:26:44,104 --> 01:26:46,240 (小声で)そのあとが どうなっているかという事だ…。・ 988 01:26:46,240 --> 01:26:48,175 それに なぜ そのあと そういうふうにしたのか・ 989 01:26:48,175 --> 01:26:51,578 全く分からん。 その理由は何なのか…。 990 01:26:51,578 --> 01:26:53,914 時に旦那。 991 01:26:53,914 --> 01:26:56,250 一つ家の方は 何か分かったんですかい? 992 01:26:56,250 --> 01:26:58,585 ああ そっちなら 磯川警部が・ 993 01:26:58,585 --> 01:27:01,488 本土に 応援を頼んでくれとってじゃ。 994 01:27:01,488 --> 01:27:04,191 ちょ… ちょっと竹蔵さん。 995 01:27:04,191 --> 01:27:09,062 今 な… 何とおっしゃいました? ひと… ひと…。 996 01:27:09,062 --> 01:27:13,062 一つ家。 本鬼頭の庭にある 祈祷所の事です。 997 01:27:20,207 --> 01:27:23,110 ああっ! 998 01:27:23,110 --> 01:27:25,410 ああ~っ! おい…。 999 01:27:29,550 --> 01:27:34,850 磯川警部を千光寺へ! 今すぐ! 1000 01:27:48,902 --> 01:27:51,805 「一つ家に」…。 1001 01:27:51,805 --> 01:27:57,911 随分 達筆というか…。 芭蕉ですな。 1002 01:27:57,911 --> 01:28:00,514 そう。 1003 01:28:00,514 --> 01:28:06,186 「一つ家に 遊女も寝たり 萩と月」 ですよね? 1004 01:28:06,186 --> 01:28:08,855 うん…。 1005 01:28:08,855 --> 01:28:11,525 じゃあ これは あれか? 1006 01:28:11,525 --> 01:28:17,397 (清水 磯川)「むざんやな 冑の下の きりぎりす」。 1007 01:28:17,397 --> 01:28:19,399 もう一枚! 1008 01:28:19,399 --> 01:28:23,870 別の俳人じゃな。 其角ですよ これ。 1009 01:28:23,870 --> 01:28:26,540 何だ 詳しいのか 巡査。 はっ。 1010 01:28:26,540 --> 01:28:28,875 嘉右衛門さんが 俳句好きなもので・ 1011 01:28:28,875 --> 01:28:32,746 つきあいのある者は皆 俳句に詳しくなっております。 1012 01:28:32,746 --> 01:28:34,748 読んで! 1013 01:28:34,748 --> 01:28:36,750 (せきばらい) 1014 01:28:36,750 --> 01:28:41,750 (清水)「鶯の 身をさかさまに 初音かな」。 1015 01:28:44,891 --> 01:28:47,591 全ては ここに記されていた。 1016 01:29:07,848 --> 01:29:12,185 3つの殺人は 3つの句に見立てられていた。 1017 01:29:12,185 --> 01:29:14,185 そうです。 1018 01:29:16,523 --> 01:29:20,193 なんという異常な…。 1019 01:29:20,193 --> 01:29:23,193 この島の人間は 皆 気が…。 1020 01:29:27,534 --> 01:29:29,534 気が…。 1021 01:29:31,872 --> 01:29:34,541 きちがいじゃが しかたがない。 1022 01:29:34,541 --> 01:29:36,841 そうか…。 1023 01:29:38,879 --> 01:29:41,879 クソ~! 1024 01:29:59,566 --> 01:30:02,469 どうぞ。 1025 01:30:02,469 --> 01:30:04,769 あ…。 1026 01:30:15,115 --> 01:30:17,815 お話とは? 1027 01:30:19,886 --> 01:30:26,593 あなたを縛りに参りました。 何の とがで…? 1028 01:30:26,593 --> 01:30:34,468 鬼頭花子さんを殺し 山狩りの際 海賊の男を殺した とがです。 1029 01:30:34,468 --> 01:30:37,604 雪枝と月代は? 1030 01:30:37,604 --> 01:30:40,941 雪枝さんを殺したのは 荒木村長。 1031 01:30:40,941 --> 01:30:44,277 月代さんを殺したのは 幸庵先生です。 1032 01:30:44,277 --> 01:30:49,277 3人が 1人ずつ 3姉妹を殺しました。 1033 01:30:51,952 --> 01:30:55,822 逆さづりにされた花子さんは 当然・ 1034 01:30:55,822 --> 01:30:59,626 千光寺の境内で 殺したんだと思いました。 1035 01:30:59,626 --> 01:31:05,232 殺して すぐに 梅の木につるした。 1036 01:31:05,232 --> 01:31:07,167 うわ~! 1037 01:31:07,167 --> 01:31:12,572 そう考えていたんです。 しかし…・ 1038 01:31:12,572 --> 01:31:16,443 その間違いが 僕を 真相に たどりつかせませんでした。 1039 01:31:16,443 --> 01:31:21,581 そう 花子さんは 別の場所で殺され・ 1040 01:31:21,581 --> 01:31:25,881 そして 寺へ運ばれたんです。 1041 01:31:38,131 --> 01:31:41,601 地神様のほこらの裏で 発見しました。 1042 01:31:41,601 --> 01:31:44,601 花子さんの かんざしです。 1043 01:31:48,942 --> 01:31:53,613 あの晩 僕が 和尚に お使いを頼まれ・ 1044 01:31:53,613 --> 01:31:59,286 分鬼頭に向かった時には 既に 花子さんは ほこらの裏にいた。 1045 01:31:59,286 --> 01:32:04,124 あなたが 鵜飼を餌に 誘い出したんでしょう。 1046 01:32:04,124 --> 01:32:07,561 月代さんを出し抜きたい 花子さんにとっては・ 1047 01:32:07,561 --> 01:32:10,230 またとない機会ですからね。 1048 01:32:10,230 --> 01:32:16,102 寺を出た あなたは 1人きりになる瞬間を作った。 1049 01:32:16,102 --> 01:32:20,574 通夜へ向かう道中? ええ。 千光寺を出て・ 1050 01:32:20,574 --> 01:32:23,477 僕と合流するまでの間 いっときも 和尚さんのそばを・ 1051 01:32:23,477 --> 01:32:25,912 離れなかったと 僕は聞いているんです。 1052 01:32:25,912 --> 01:32:29,783 (了沢)いえ 和尚さんが 忘れ物をなさったと…。・ 1053 01:32:29,783 --> 01:32:32,586 私が代わりに取りに戻りました。 1054 01:32:32,586 --> 01:32:35,255 た… た… 竹蔵さんが 一緒だったんじゃ? 1055 01:32:35,255 --> 01:32:37,924 ええ… 了沢さんが忘れ物を取りに帰り・ 1056 01:32:37,924 --> 01:32:40,260 和尚と2人で 坂を下っておりましたら・ 1057 01:32:40,260 --> 01:32:43,597 和尚が 草履の鼻緒が切れたと…・ 1058 01:32:43,597 --> 01:32:46,266 先に行ってくれと おっしゃるんで わしだけ 先に。 1059 01:32:46,266 --> 01:32:48,566 そして…。 1060 01:32:51,605 --> 01:32:54,941 何をする…! ううっ…。・ 1061 01:32:54,941 --> 01:32:58,241 ああっ… ううう~っ。 1062 01:33:01,214 --> 01:33:06,086 それから 了沢君を待ち 竹蔵さんに追いつき・ 1063 01:33:06,086 --> 01:33:08,555 やがて 僕に合流した。 1064 01:33:08,555 --> 01:33:10,490 お三方 おそろいで。 1065 01:33:10,490 --> 01:33:13,226 僕にしてみれば 3人が 寺を出た時から・ 1066 01:33:13,226 --> 01:33:15,562 ずっと一緒だったと思うしかない。 1067 01:33:15,562 --> 01:33:20,233 まさか あんな 恐ろしい事を やってのけた直後だとは。 1068 01:33:20,233 --> 01:33:24,104 こうして 花子さん殺しは 成就しました。 1069 01:33:24,104 --> 01:33:29,804 だが まだ 仕事は残っている。 いや むしろ ここからが本番です。 1070 01:33:31,578 --> 01:33:38,251 梅の木に 逆さづりにする事が あなたの本懐なのですからね。 1071 01:33:38,251 --> 01:33:42,589 ここでも あなたは 大胆な策をとられた。 1072 01:33:42,589 --> 01:33:46,459 皆が手分けして 花子さんの捜索に散った時・ 1073 01:33:46,459 --> 01:33:51,264 あなたは 自ら 寺に戻る事を選ばれました。 1074 01:33:51,264 --> 01:33:53,600 実に自然でした。 1075 01:33:53,600 --> 01:33:57,270 竹蔵と了沢は 分鬼頭へ行ってくれ。 1076 01:33:57,270 --> 01:34:00,874 村長は 村へ。 わしは 寺へ行く。 1077 01:34:00,874 --> 01:34:05,211 そして あなたは わざと 僕たちに・ 1078 01:34:05,211 --> 01:34:08,548 坂を上るご自身のお姿を お見せになった。 1079 01:34:08,548 --> 01:34:12,218 いや 正確には 僕たちは あなたの姿は見ていない。 1080 01:34:12,218 --> 01:34:15,121 見たのは ちょうちんの明かりだけです。 1081 01:34:15,121 --> 01:34:21,227 その時 あなたは その背中に 花子さんの死体を・ 1082 01:34:21,227 --> 01:34:25,565 担がれていたんです。 闇が 全てを包み・ 1083 01:34:25,565 --> 01:34:30,437 僕らの目を欺いた。 まさか そこに 死体があるなんて・ 1084 01:34:30,437 --> 01:34:34,240 思いもしなかった。 1085 01:34:34,240 --> 01:34:39,112 程よい間隔を保ちながら あなたは 山門をくぐり・ 1086 01:34:39,112 --> 01:34:42,582 そして 梅の木に 花子さんを つるしました。 1087 01:34:42,582 --> 01:34:45,282 (了然)うわ~! 1088 01:34:50,457 --> 01:34:55,595 ところが たった一つ 筋書きにない事が起こった。 1089 01:34:55,595 --> 01:34:58,498 (鉄如意を落とす音) 1090 01:34:58,498 --> 01:35:01,201 どうしました? 1091 01:35:01,201 --> 01:35:06,539 えっ? ああ いや さすが 手につかんわ。 1092 01:35:06,539 --> 01:35:12,212 僕は それを あなたが知っている 人間を見たんだと考えました。 1093 01:35:12,212 --> 01:35:16,549 何も言わなかったのは その男をかばったんだと思った。 1094 01:35:16,549 --> 01:35:22,222 だが 逆でした。 その男は 事件とは何の関係もない・ 1095 01:35:22,222 --> 01:35:26,559 逃亡中の海賊だった。 そして その男に・ 1096 01:35:26,559 --> 01:35:29,462 自分の仕業を見られた 可能性があった。 1097 01:35:29,462 --> 01:35:33,233 そう察した あなたは その場をごまかし 逃がし・ 1098 01:35:33,233 --> 01:35:36,136 そして 殺す機会を待った。 1099 01:35:36,136 --> 01:35:39,906 磯川さん 当てないで! 生け捕りです 生け捕り。 1100 01:35:39,906 --> 01:35:44,778 (銃声) 1101 01:35:44,778 --> 01:35:47,781 うっ… うわっ! 1102 01:35:47,781 --> 01:35:49,781 うっ…! 1103 01:35:51,518 --> 01:35:55,255 なぜ 僕は こんなにも 真相に たどりつけなかったのか。 1104 01:35:55,255 --> 01:35:57,555 それは あなたの あの言葉のせいだ。 1105 01:35:59,125 --> 01:36:03,125 きちがいじゃが しかたがない。 1106 01:36:06,866 --> 01:36:10,737 僕は あの言葉を 額面どおりに受け取りました。 1107 01:36:10,737 --> 01:36:13,206 つまり 与三松さんの事を言ったのだと。 1108 01:36:13,206 --> 01:36:15,875 与三松さんが この事件に関わっている。 1109 01:36:15,875 --> 01:36:18,211 そう思い込まされたんです。 1110 01:36:18,211 --> 01:36:21,548 しかし あの言葉には 本当の意味があった。 1111 01:36:21,548 --> 01:36:26,219 花子さんの命を使って見立てた句。 1112 01:36:26,219 --> 01:36:30,890 「鶯の 身をさかさまに 初音かな」。 1113 01:36:30,890 --> 01:36:35,228 これは 明らかに 春の句です。 だが 今は秋。 1114 01:36:35,228 --> 01:36:40,100 つまり 「季節は違っているが しかたがない」。 1115 01:36:40,100 --> 01:36:46,239 「き」とは 俳句の「季」 季題の事だったんです。 1116 01:36:46,239 --> 01:36:54,114 フフフッ… 思わず 口をついて出た 言葉に 僕は惑わされてしまった。 1117 01:36:54,114 --> 01:36:58,818 次に雪枝さん。 この事件の鍵は 雪枝さんが いつ・ 1118 01:36:58,818 --> 01:37:02,518 釣り鐘の中に押し込められたか という事でした。 1119 01:37:04,190 --> 01:37:07,093 清水巡査によれば 8時40分ごろには・ 1120 01:37:07,093 --> 01:37:11,064 まだ 振り袖は出ていなかった。 そして 雨が降った。 1121 01:37:11,064 --> 01:37:14,200 雪枝さんの体は 濡れていなかったので・ 1122 01:37:14,200 --> 01:37:16,870 雨が降ってから 押し込めたとは考えにくい。 1123 01:37:16,870 --> 01:37:21,207 つまり 死体は 清水巡査と 村長が 釣り鐘を確かめるより・ 1124 01:37:21,207 --> 01:37:23,877 ずっと前に 中に押し込められていたんです。 1125 01:37:23,877 --> 01:37:27,547 なのに なぜ 振り袖が 出ていなかったのか。 1126 01:37:27,547 --> 01:37:31,217 僕が つかんだのは あの晩 もう一つの釣り鐘が・ 1127 01:37:31,217 --> 01:37:34,888 坂の途中にあった という情報です。 1128 01:37:34,888 --> 01:37:38,558 そして 3姉妹の母親である お小夜さんが・ 1129 01:37:38,558 --> 01:37:43,229 昔 「道成寺」の芝居で使った 張り子の釣り鐘が・ 1130 01:37:43,229 --> 01:37:46,929 島に残っているという証言です。 1131 01:37:57,777 --> 01:38:00,713 それが これです。 1132 01:38:00,713 --> 01:38:05,852 犯人は あらかじめ 釣り鐘の中に 死体を押し込め・ 1133 01:38:05,852 --> 01:38:08,521 わざと 振り袖を はみ出させておいた。 1134 01:38:08,521 --> 01:38:14,394 そうして もう一つの張り子。 それを 本物の釣り鐘にかぶせた。 1135 01:38:14,394 --> 01:38:19,532 つまり あの晩 清水巡査が見た釣り鐘は・ 1136 01:38:19,532 --> 01:38:23,203 張り子の釣り鐘だったんです。 1137 01:38:23,203 --> 01:38:26,105 なぜ こんな 手の込んだ事をしたのか。 1138 01:38:26,105 --> 01:38:28,875 それは アリバイ作りのためです。 1139 01:38:28,875 --> 01:38:33,546 では そうする事によって アリバイが 最も強固になる人物は誰か? 1140 01:38:33,546 --> 01:38:36,546 行こう。 はい。 1141 01:38:38,218 --> 01:38:41,888 それは 現場にいた村長です。 1142 01:38:41,888 --> 01:38:46,559 僕は あの日の事を 清水巡査に もう一度 聞きました。 1143 01:38:46,559 --> 01:38:50,897 はい。 確かに 村長は あの時 小便をすると言って・ 1144 01:38:50,897 --> 01:38:55,768 一回 離れました。 何で そんな事 知っとるんですか? 1145 01:38:55,768 --> 01:38:58,771 恐らく 張り子の釣り鐘に おもしをつけておき・ 1146 01:38:58,771 --> 01:39:01,507 割って 海へ落としたんでしょう。 1147 01:39:01,507 --> 01:39:05,378 最後に 月代さんの事件です。 1148 01:39:05,378 --> 01:39:11,184 あの日 本鬼頭に残っていたのは 与三松さん 早苗さん・ 1149 01:39:11,184 --> 01:39:15,855 了沢さん 幸庵先生の4人。 その中でも 一番疑われないのは・ 1150 01:39:15,855 --> 01:39:19,525 左腕の使えない 幸庵先生だった。 1151 01:39:19,525 --> 01:39:22,862 なぜなら 月代さんは 絞め殺されていたから。 1152 01:39:22,862 --> 01:39:26,199 では 幸庵先生は どうやったのか? 1153 01:39:26,199 --> 01:39:31,537 答えは 手拭いの切り口にありました。 1154 01:39:31,537 --> 01:39:34,440 鬼頭家の家紋が入っていた。 布自体には・ 1155 01:39:34,440 --> 01:39:39,212 使い込んだ様子があるんですけど 切れ端が ほら 新しいんです。 1156 01:39:39,212 --> 01:39:41,547 切り取ったばかりのように見える。 1157 01:39:41,547 --> 01:39:46,419 恐らく 祈祷所の吹き流しに 手拭いを交ぜておいたのでしょう。 1158 01:39:46,419 --> 01:39:49,889 それなら 片腕で首を絞められる。 1159 01:39:49,889 --> 01:39:52,558 (祈祷) 1160 01:39:52,558 --> 01:39:57,430 そして 月代さんが死んだあと 手拭いを切り・ 1161 01:39:57,430 --> 01:40:00,900 かもいに掛けてある部分を 持ち去った。 1162 01:40:00,900 --> 01:40:04,900 これが 3つの事件のあらましです。 1163 01:40:08,775 --> 01:40:11,544 終わりですか? 1164 01:40:11,544 --> 01:40:13,913 いや。 1165 01:40:13,913 --> 01:40:17,583 (了然)ほかに何か? 1166 01:40:17,583 --> 01:40:20,883 鬼頭嘉右衛門。 1167 01:40:22,455 --> 01:40:27,593 あの男こそ この おぞましい一連の殺人事件の・ 1168 01:40:27,593 --> 01:40:30,293 真犯人だ。 1169 01:40:31,931 --> 01:40:36,269 フッフッフッフ… ハッハッハッハ。 1170 01:40:36,269 --> 01:40:42,942 何を言っておる。 嘉右衛門さんは この世の人ではない。 1171 01:40:42,942 --> 01:40:47,642 あなた方3人は 嘉右衛門に 操られた 殺人機械だ。 1172 01:40:49,282 --> 01:40:51,951 千万太君が 僕のために認めてくれた・ 1173 01:40:51,951 --> 01:40:54,854 紹介状の宛名が 当主の嘉右衛門ではなく・ 1174 01:40:54,854 --> 01:41:00,760 和尚 村長 幸庵先生の連名で あった事に 大きな意味があった。 1175 01:41:00,760 --> 01:41:04,897 そこを気にかけていれば この事件の謎は・ 1176 01:41:04,897 --> 01:41:08,768 すぐに解けたはずでした。 千万太君は 恐れていたんです。 1177 01:41:08,768 --> 01:41:17,068 嘉右衛門こそ 3姉妹を殺す元凶。 そう知っていたから。 1178 01:41:22,448 --> 01:41:29,589 嘉右衛門さんの最期が いかに哀れであったか。 1179 01:41:29,589 --> 01:41:38,931 後継ぎの息子は ばかを尽くしたあげく おりの中。 1180 01:41:38,931 --> 01:41:48,274 大事な孫は 戦争に取られて 女ばかりが残った。 1181 01:41:48,274 --> 01:41:57,950 しかも 本家の娘は 3人そろって あのざまじゃ。 1182 01:41:57,950 --> 01:42:00,286 (笑い声) 1183 01:42:00,286 --> 01:42:06,092 あげく 分鬼頭の志保は 鵜飼を使って・ 1184 01:42:06,092 --> 01:42:12,865 家を乗っ取ろうとしておる。 終戦後 すぐ 卒中で倒れ・ 1185 01:42:12,865 --> 01:42:20,907 左半身が不随になった。 そんな時じゃ。 1186 01:42:20,907 --> 01:42:25,778 わしら3人が呼ばれたのは。 1187 01:42:25,778 --> 01:42:34,921 (嘉右衛門) ゆうべ… 不思議な夢を見てな。 1188 01:42:34,921 --> 01:42:39,258 フフッ…。 1189 01:42:39,258 --> 01:42:49,268 月代と雪枝と花子を殺す夢じゃ。 1190 01:42:49,268 --> 01:43:01,214 ヘッヘッヘ…。 それが なんとも美しい殺し方で…。 1191 01:43:01,214 --> 01:43:07,086 わしらは 悪い冗談じゃと思って 聞いておったが・ 1192 01:43:07,086 --> 01:43:16,086 語り終わった あの人は 涙を流し 枕元の色紙を取り出した。 1193 01:43:19,899 --> 01:43:28,908 頼む… 志を継いでくれ。 1194 01:43:28,908 --> 01:43:32,778 千万太が無事なら それでいい。 1195 01:43:32,778 --> 01:43:40,520 千万太が死に 一だけが 生きて帰ってきた時には・ 1196 01:43:40,520 --> 01:43:47,927 あの3人を… 道化の姉妹を・ 1197 01:43:47,927 --> 01:43:52,927 殺してくれ…! 1198 01:43:58,271 --> 01:44:02,141 頼まれたから殺した? 1199 01:44:02,141 --> 01:44:09,141 何の罪のない人間を殺した理由が 頼まれたから…? 1200 01:44:18,224 --> 01:44:22,224 あの鐘さえなければ…。 1201 01:44:26,098 --> 01:44:29,798 嘉右衛門さんは…。 1202 01:44:33,239 --> 01:44:38,939 鐘が戦争に取られた事を 忘れておった。 1203 01:44:43,249 --> 01:44:49,249 釣り鐘がなければ 細工は成り立たん。 1204 01:44:53,593 --> 01:44:59,265 そう たかをくくっておった。 1205 01:44:59,265 --> 01:45:02,465 だが 釣り鐘は 潰されずに戻り…。 1206 01:45:05,871 --> 01:45:10,209 千万太君は死に 一君だけが生きていると・ 1207 01:45:10,209 --> 01:45:13,112 復員兵から知らされた。 1208 01:45:13,112 --> 01:45:17,083 嘉右衛門の言う条件が 全て そろった訳だ。 1209 01:45:17,083 --> 01:45:26,225 わしは 幸庵と村長の同意を得ず 遺言を守った。 1210 01:45:26,225 --> 01:45:33,099 嘉右衛門の念と わしの覚悟に追い詰められて・ 1211 01:45:33,099 --> 01:45:36,569 2人は 事を起こしたにすぎん。・ 1212 01:45:36,569 --> 01:45:40,439 枕屏風を置いたのは・ 1213 01:45:40,439 --> 01:45:44,439 あなたが探偵だと知ったからじゃ。 1214 01:45:47,913 --> 01:45:56,922 これから果たす 世にも恐ろしい行いを・ 1215 01:45:56,922 --> 01:46:00,222 あなたに気付いてもらうために。 1216 01:46:02,728 --> 01:46:08,534 (了然) どこかで 止めてもらうために。 1217 01:46:08,534 --> 01:46:15,034 じゃが 全くの無駄じゃった。 1218 01:46:17,043 --> 01:46:19,945 申し上げたでしょう。 1219 01:46:19,945 --> 01:46:23,916 あなたの思いも及ばぬ事があると。 1220 01:46:23,916 --> 01:46:27,053 フッ フフ…。 1221 01:46:27,053 --> 01:46:30,556 フフッ ハハハハハハハハハ! フハハハハハハ! 1222 01:46:30,556 --> 01:46:32,892 何が おかしい? 1223 01:46:32,892 --> 01:46:37,563 だって… あなた ご存じか? 1224 01:46:37,563 --> 01:46:43,235 村長は 昨夜のうちに 島から逃げました。 1225 01:46:43,235 --> 01:46:47,073 幸庵も 事実を突きつけた途端 我を失った。 1226 01:46:47,073 --> 01:46:49,742 2人とも 嘉右衛門のたたりにおびえ・ 1227 01:46:49,742 --> 01:46:51,677 あなた方との約束にも おびえ・ 1228 01:46:51,677 --> 01:46:54,413 もはや 死んだも同然の状態で…。 もういい。 1229 01:46:54,413 --> 01:46:56,916 これからもずっと 何かにおびえて 生きていかなければならない。 1230 01:46:56,916 --> 01:46:59,716 もういい! 何も知らないから そんな事が言えるんだ! 1231 01:47:01,520 --> 01:47:07,026 何を言いたいんだ あなたは! じゃあ 教えてやろう。 1232 01:47:07,026 --> 01:47:10,696 本署から 巡査のところに連絡があった。 1233 01:47:10,696 --> 01:47:13,199 神戸で 復員詐欺の男が捕まったそうだ。 1234 01:47:13,199 --> 01:47:15,134 ビルマから復員した男だ。 1235 01:47:15,134 --> 01:47:17,069 いいか おい! 復員詐欺だ! 1236 01:47:17,069 --> 01:47:19,071 戦友のうちを 片っ端から回り・ 1237 01:47:19,071 --> 01:47:21,073 家の者たちに 息子は生きていると語り・ 1238 01:47:21,073 --> 01:47:23,843 家族から 飯やら土産やらを 巻き上げる手口だ。 1239 01:47:23,843 --> 01:47:27,143 死んだ戦友の事を 生きていると語ってな! 1240 01:47:29,215 --> 01:47:32,118 フッハハハハハ! ハハハハハ! 1241 01:47:32,118 --> 01:47:36,956 その顔! 幸庵と同じ顔だ! アハハハハハハ! 1242 01:47:36,956 --> 01:47:41,560 いいか おい 鬼頭 一はな 死んでいたんだ! 1243 01:47:41,560 --> 01:47:44,597 戦死していたんだよ 本当は! ハハハハハハハ! 1244 01:47:44,597 --> 01:47:46,899 み~んな 死んだんだ! うわ~! 1245 01:47:46,899 --> 01:47:48,934 ハハハハハハハハハ。 1246 01:47:48,934 --> 01:47:53,072 ご破算だ! 果たさなくてもいい 約束を 必死で果たして! 1247 01:47:53,072 --> 01:47:56,575 無駄 無駄 無駄 無駄 無駄 無駄! わ~! 1248 01:47:56,575 --> 01:48:01,414 無意味! ご苦労さまでした! ざまあみろだ! 1249 01:48:01,414 --> 01:48:06,852 ハハハハハハハハハハハ! アハハハハハハ! ハハハハハハ! 1250 01:48:06,852 --> 01:48:11,190 アハハハハハハ! アハハハハ! アハハハハハ! 1251 01:48:11,190 --> 01:48:14,860 アハハ アッアハハハハハ! 1252 01:48:14,860 --> 01:48:21,033 はあ~。 見ろ! 全部 解いてやったぞ! 1253 01:48:21,033 --> 01:48:22,968 思いも及ばぬ事? 1254 01:48:22,968 --> 01:48:25,538 そんなものはない! ない! ない! 1255 01:48:25,538 --> 01:48:28,574 そんなものはないんだ! ハハハハハハハ! 1256 01:48:28,574 --> 01:48:34,046 アハハハハハハ! アハッ アハハハハハハハ! 1257 01:48:34,046 --> 01:48:40,386 アハハハハハハ! アハハハハ! あっ あっ あ~。 1258 01:48:40,386 --> 01:48:45,886 アハッ アハハハハ。 あっ あっ…。 1259 01:48:57,803 --> 01:49:05,003 はあ はあ…。 1260 01:49:22,695 --> 01:49:28,395 (嗚咽) 1261 01:49:33,873 --> 01:49:35,808 (足音) 1262 01:49:35,808 --> 01:49:50,422 ・~ 1263 01:49:50,422 --> 01:50:04,236 ・~ 1264 01:50:04,236 --> 01:50:06,572 (鈴の音) 1265 01:50:06,572 --> 01:50:26,572 ・~ 1266 01:50:57,623 --> 01:51:02,623 一緒に行きませんか? 僕と。 1267 01:51:11,070 --> 01:51:14,740 出ましょう 島を。 1268 01:51:14,740 --> 01:51:18,740 あなたなら どこへ行っても やっていける。 1269 01:51:27,086 --> 01:51:30,586 お断り致します。 1270 01:51:36,595 --> 01:51:44,937 私が とどまらなければ この島は終わってしまいます。 1271 01:51:44,937 --> 01:51:52,137 本鬼頭を守り 育てていくのが 私の役目です。 1272 01:51:57,516 --> 01:52:00,516 守るほどの島でしょうか? 1273 01:52:03,889 --> 01:52:08,689 全ては 定めです。 1274 01:52:10,763 --> 01:52:13,963 逆らうつもりはございません。 1275 01:52:29,581 --> 01:52:32,381 戦争は…。 1276 01:52:34,253 --> 01:52:40,753 戦争は 本当に ひどいものでした。 1277 01:52:45,597 --> 01:52:52,797 目の前で たくさんの人間が死にました。 1278 01:52:56,241 --> 01:53:01,041 たくさんという言葉では 言い表せないほど たくさんです。 1279 01:53:04,550 --> 01:53:07,550 何も できないまま…。 1280 01:53:10,723 --> 01:53:14,423 ただ 死んでいきました。 1281 01:53:18,063 --> 01:53:22,234 それが 今更…。 1282 01:53:22,234 --> 01:53:27,573 娘の2人や3人を救うために・ 1283 01:53:27,573 --> 01:53:30,873 こんなに必死になるなんて。 1284 01:53:35,447 --> 01:53:39,247 妙な話ですね。 1285 01:53:44,923 --> 01:53:48,794 本当は…。 1286 01:53:48,794 --> 01:53:55,794 本当は… 救う気なんか なかったのかもしれません。 1287 01:53:58,771 --> 01:54:04,771 僕は ただ 訳が欲しかったんです。 1288 01:54:08,213 --> 01:54:11,913 今日を生きる訳が…。 1289 01:54:19,558 --> 01:54:22,558 そう。 1290 01:54:29,234 --> 01:54:32,234 はい。 1291 01:54:49,555 --> 01:54:55,255 どうか お元気で。 1292 01:55:30,562 --> 01:55:35,262 (汽笛) 1293 01:55:40,906 --> 01:55:43,906 金田一さん? 1294 01:55:46,078 --> 01:55:48,013 ええ。 よかった。 1295 01:55:48,013 --> 01:55:49,948 ついさっき 東京から届いたそうで・ 1296 01:55:49,948 --> 01:55:53,648 局員から 渡すよう 言づかりました。 1297 01:56:18,710 --> 01:56:23,048 お払い箱ですか? 1298 01:56:23,048 --> 01:56:28,921 もとより 長くいるつもりは ありませんでした。 1299 01:56:28,921 --> 01:56:34,226 その細腕では 兵隊を務めるのは 大変だったでしょう? 1300 01:56:34,226 --> 01:56:38,226 あなたこそ よく生きてこられたもんだ。 1301 01:56:40,732 --> 01:56:44,532 どうして 私なんかが生き残ったのか…。 1302 01:56:51,443 --> 01:56:55,443 世のことわりとは 妙なもんです。 1303 01:56:58,150 --> 01:57:00,419 これから どちらへ? 1304 01:57:00,419 --> 01:57:06,419 故郷に帰ります。 何も ありゃあしませんが。 1305 01:57:08,026 --> 01:57:11,530 お故郷があるだけ羨ましい。 1306 01:57:11,530 --> 01:57:16,401 (鐘の音) 1307 01:57:16,401 --> 01:57:22,541 あっ 了沢君か。 1308 01:57:22,541 --> 01:57:27,041 (鵜飼)あなたは? どちらへ? (鐘の音) 1309 01:57:41,226 --> 01:57:48,026 さて… どこに参りましょうか。 1310 01:57:52,571 --> 01:59:57,571 ・~