1 00:00:06,053 --> 00:00:11,053 <お客様総合窓口まで お気軽にお電話ください> 2 00:00:42,155 --> 00:00:43,123 3 00:00:43,123 --> 00:00:49,029 (弥十郎)<花菖蒲は 僅か3日の命でございます> 4 00:00:49,029 --> 00:00:53,166 <ある朝 花は音もなく開き➡ 5 00:00:53,166 --> 00:00:57,037 ふと気づくと 次の花弁が開いております> 6 00:00:57,037 --> 00:01:03,176 <そして 明くる日 見違えるように 大きく広がった花は➡ 7 00:01:03,176 --> 00:01:07,047 3日目の明け方には 生育の頂点に達し➡ 8 00:01:07,047 --> 00:01:12,185 やがて花弁に さざ波のような 波紋を残したまま➡ 9 00:01:12,185 --> 00:01:17,057 その短い命を 終えるのでございます> 10 00:01:17,057 --> 00:01:21,194 <その変わり様を花の芸と申し➡ 11 00:01:21,194 --> 00:01:26,066 菖蒲作りは その花の3日の命のために➡ 12 00:01:26,066 --> 00:01:30,203 1年の苦労を苦労とも 思わぬそうでございます> 13 00:01:30,203 --> 00:01:33,106 (玄蕃)よいか 弥十郎 14 00:01:33,106 --> 00:01:38,078 この度のこと ただの花比べではない 15 00:01:38,078 --> 00:01:44,151 伊予宇和島 伊達家10万石の 面目を懸けた合戦なのだ 16 00:01:44,151 --> 00:01:47,054 (弥十郎)合戦? 17 00:01:47,054 --> 00:01:54,161 藩祖 政宗公以来 伊達家は いずれの合戦においても➡ 18 00:01:54,161 --> 00:01:56,096 敵に後れを取ったことはない 19 00:01:56,096 --> 00:02:02,035 それが伊達家の誇りであり 伊達家の面目なのだ 20 00:02:02,035 --> 00:02:08,175 先代のご本家筋よりも そのこと重ねて念押しがあった 21 00:02:08,175 --> 00:02:10,110 負けることは許されん 22 00:02:10,110 --> 00:02:15,048 どうしても 肥後の細川に 勝たねばならんのだ 23 00:02:15,048 --> 00:02:18,185 (宗紀)弥十郎 (弥十郎)はっ! 24 00:02:18,185 --> 00:02:20,120 その花 誰が作った? 25 00:02:20,120 --> 00:02:25,120 はい 父 田吹弥兵衛にございます 26 00:02:27,194 --> 00:02:29,129 弥兵衛は なぜ顔を出さぬ? 27 00:02:29,129 --> 00:02:37,204 はっ 恐れながら既に隠居の身ゆえ お目通り願うは いかがかと思い 28 00:02:37,204 --> 00:02:42,042 弥兵衛は どこにおる? はい 広尾の下屋敷に… 29 00:02:42,042 --> 00:02:44,042 玄蕃! (玄蕃)ははっ! 30 00:02:46,012 --> 00:02:50,012 馬を引け 広尾にまいる! (玄蕃)殿! 殿! 31 00:02:53,153 --> 00:03:13,173 ♬~ 32 00:03:13,173 --> 00:03:28,173 ♬~ 33 00:03:41,201 --> 00:03:46,039 (由紀)もう 5年になります (弥兵衛)もう 5年になるか 34 00:03:46,039 --> 00:03:49,009 母上が亡くなられた 明くる年ですもの 35 00:03:49,009 --> 00:03:51,011 はっきりと覚えています 36 00:03:51,011 --> 00:03:55,148 母は わしを 恨んでおったであろうなぁ 37 00:03:55,148 --> 00:04:02,022 うむ… あのころからじゃ わしの花ぐるいが始まったのは… 38 00:04:02,022 --> 00:04:07,160 5月になるとな わしは もう 家の中では➡ 39 00:04:07,160 --> 00:04:10,063 じっとは しておられんかったのじゃ 40 00:04:10,063 --> 00:04:16,169 幼いお前たちを放り出して 旅から旅へ歩き続けたのじゃ 41 00:04:16,169 --> 00:04:21,041 そうじゃ わしが初めて➡ 42 00:04:21,041 --> 00:04:29,182 この白菖蒲に会うたときを いま はっきりと覚えておるぞ 43 00:04:29,182 --> 00:04:36,056 あれはな 奥州の 深~い山の中だった 44 00:04:36,056 --> 00:04:42,128 夕暮れにな… 小さな沼の中に… 45 00:04:42,128 --> 00:04:49,002 明かりをともしたように 光り輝きおったぞ 46 00:04:49,002 --> 00:04:58,144 わしは そのとき 死んだ母に会うた気がした 47 00:04:58,144 --> 00:05:00,080 もう5年になるか… 48 00:05:00,080 --> 00:05:03,016 ≪(馬のいななき) ≪ 父上! 49 00:05:03,016 --> 00:05:05,016 (弥兵衛)殿! 50 00:05:07,153 --> 00:05:11,024 弥兵衛 大儀である (弥兵衛)恐れ入りまする 51 00:05:11,024 --> 00:05:17,163 おお! これか この花を献上するのか? 52 00:05:17,163 --> 00:05:22,035 この白菖蒲を 決めましてござりまする 53 00:05:22,035 --> 00:05:25,038 白か… 勝てるか? 54 00:05:25,038 --> 00:05:30,176 この花で肥後の菖蒲に勝てるか? (弥兵衛)勝ちまする! 55 00:05:30,176 --> 00:05:36,049 西の丸さまが まこと 花がお分かりなら➡ 56 00:05:36,049 --> 00:05:41,187 この花に 心奪われぬはずはございません 57 00:05:41,187 --> 00:05:46,993 肥後菖蒲は 人の手で作ったもの 58 00:05:46,993 --> 00:05:54,134 この白菖蒲は 自然に咲いたもの 59 00:05:54,134 --> 00:05:57,037 負けるはずはございませぬ 60 00:05:57,037 --> 00:06:00,006 申したな 弥兵衛! (弥兵衛)はい 61 00:06:00,006 --> 00:06:05,145 その言葉 覚えておく 忘れるな! 62 00:06:05,145 --> 00:06:08,048 はい 63 00:06:08,048 --> 00:06:12,018 この白菖蒲には… 64 00:06:12,018 --> 00:06:17,157 私の命が入ってござりまする 65 00:06:17,157 --> 00:06:26,166 ♬~ 66 00:06:26,166 --> 00:06:30,036 (ナレーター)<11代将軍 徳川家斉は➡ 67 00:06:30,036 --> 00:06:36,176 その長い治世の間に 側室40人を数えたという> 68 00:06:36,176 --> 00:06:42,983 <天保8年 将軍職を家慶に譲り 大御所となったが➡ 69 00:06:42,983 --> 00:06:49,122 なお政治の実権を握り 世にいう大御所時代を現出した> 70 00:06:49,122 --> 00:06:54,995 <だが晩年に至り さすがに 女色への関心は しだいに薄れ➡ 71 00:06:54,995 --> 00:06:59,132 代わって草花へ 旺盛な興味を示した> 72 00:06:59,132 --> 00:07:05,005 <そのため 諸国大名は 争って自慢の花を献上> 73 00:07:05,005 --> 00:07:08,141 <大御所の機嫌を取り結んだ> 74 00:07:08,141 --> 00:07:15,015 <特に その年 伊予宇和島 10万石 伊達宗紀が➡ 75 00:07:15,015 --> 00:07:22,155 肥後熊本 54万石 細川斉護の 名花 肥後菖蒲に対抗して➡ 76 00:07:22,155 --> 00:07:28,028 無名の白菖蒲を献上したことは 人々の関心を集め➡ 77 00:07:28,028 --> 00:07:34,167 これを 「伊達・細川の花合戦」と 称して はやしたてた> 78 00:07:34,167 --> 00:07:39,039 (家斉) 斉護 今年は また一段と見事じゃ 79 00:07:39,039 --> 00:07:42,976 わしもな 吹上に 花菖蒲を植えてみたが➡ 80 00:07:42,976 --> 00:07:47,113 いや… とても このようにはまいらん 81 00:07:47,113 --> 00:07:50,016 肥後には よほどの 名人がいると見えるな 82 00:07:50,016 --> 00:07:56,122 はっ! その名人を江戸に呼び寄せ この花を咲かせましてございます 83 00:07:56,122 --> 00:07:59,025 そうか! ハハハッ… 84 00:07:59,025 --> 00:08:03,025 あっぱれ! あっぱれ! そうか 85 00:08:17,143 --> 00:08:33,159 ♬~ 86 00:08:33,159 --> 00:08:36,062 宗紀 (宗紀)はい 87 00:08:36,062 --> 00:08:40,033 これは何だ? (宗紀)はい 88 00:08:40,033 --> 00:08:46,106 奥州安積の山中に自生いたします 白菖蒲にございます 89 00:08:46,106 --> 00:08:49,976 野生のものか? (宗紀)はい 90 00:08:49,976 --> 00:08:55,115 同じ花でも… 違うものよな 91 00:08:55,115 --> 00:09:03,115 (笑い声) 92 00:09:10,130 --> 00:09:13,032 (尚古堂)ご心配でございましょう うん? 93 00:09:13,032 --> 00:09:19,139 細川さまとの花合戦 確か 今日辺りと… 94 00:09:19,139 --> 00:09:21,074 さすが 早耳だな 95 00:09:21,074 --> 00:09:27,074 どちらのお屋敷に伺いましても その噂で持ちきりでございます 96 00:09:31,151 --> 00:09:34,053 どうだ 尚古堂 はっ? 97 00:09:34,053 --> 00:09:38,024 俺が もし禄を 離れるようなことになったら➡ 98 00:09:38,024 --> 00:09:40,160 貴様の 店の手代にでもしてもらおうか 99 00:09:40,160 --> 00:09:44,030 田吹さまなら 喜んで お引き受けいたします 100 00:09:44,030 --> 00:09:47,967 ただ その前に この 『培養秘録』を➡ 101 00:09:47,967 --> 00:09:53,106 是非とも お買い上げ いただきたいものでございますな 102 00:09:53,106 --> 00:09:57,977 抜け目のない男だな ハハハッ… 恐れ入ります 103 00:09:57,977 --> 00:10:02,115 (奥村)弥十郎 殿のお帰りだ 104 00:10:02,115 --> 00:10:04,050 どうなった? 花合戦は 分からぬ 105 00:10:04,050 --> 00:10:05,985 とにかく ご家老がお呼びだ 106 00:10:05,985 --> 00:10:13,126 弥兵衛に責任はない 殿も そう仰せられた 107 00:10:13,126 --> 00:10:16,996 弥兵衛の花は見事だった 108 00:10:16,996 --> 00:10:21,996 肥後菖蒲に 決して引けを取らぬ 気品と美しさを持っていた 109 00:10:24,137 --> 00:10:30,009 だが 大御所は その花を満座の中で あざ笑った 110 00:10:30,009 --> 00:10:34,147 これは 大御所の陰謀だ 111 00:10:34,147 --> 00:10:39,018 殿は大御所の仕掛けた罠に はまったのだ 罠に? 112 00:10:39,018 --> 00:10:46,159 たとえ 肥後菖蒲に 数倍勝る花を献上したところで➡ 113 00:10:46,159 --> 00:10:51,030 大御所は必ずや 殿を嘲弄されたに違いない 114 00:10:51,030 --> 00:10:58,171 なぜ? なぜでございますか? 分からんのか? 115 00:10:58,171 --> 00:11:01,074 伊達家お世継ぎの問題だ 116 00:11:01,074 --> 00:11:05,044 お世継ぎの? うむ… 117 00:11:05,044 --> 00:11:10,183 大御所は まだ あのことを 根に持っておられるのだ 118 00:11:10,183 --> 00:11:13,183 (ため息) 119 00:11:17,056 --> 00:11:20,193 武門の意地か… 120 00:11:20,193 --> 00:11:27,066 仮にだ 仮に来年の今ごろ 肥後と同じ花を… 121 00:11:27,066 --> 00:11:35,208 いや 肥後に勝るとも劣らぬ 花菖蒲を献上したら➡ 122 00:11:35,208 --> 00:11:42,015 大御所は何と仰せられるか… これは見ものじゃのぅ 123 00:11:42,015 --> 00:11:45,018 (又兵衛)弥十郎どの! 124 00:11:45,018 --> 00:11:48,154 おお 又兵衛か 残念です! 125 00:11:48,154 --> 00:11:50,089 言うな! いや しかし! 126 00:11:50,089 --> 00:11:53,026 それよりも俺は 親父のことが心配だ 127 00:11:53,026 --> 00:11:56,029 すまんが 今夜 顔を出してくれんか? 128 00:11:56,029 --> 00:12:02,168 親父の酒の相手をしてもらいたい 由紀も喜ぶだろう 129 00:12:02,168 --> 00:12:04,168 はっ! 130 00:12:08,041 --> 00:12:11,041 ああ! もうええ もうええ… 131 00:12:15,181 --> 00:12:21,054 戦は終わった そして負けた それだけのことじゃ 132 00:12:21,054 --> 00:12:29,195 しかし 残念なのは 大御所に 花を見る目がなかったことじゃ 133 00:12:29,195 --> 00:12:33,066 節穴… 節穴だったのじゃ 134 00:12:33,066 --> 00:12:40,206 しかしな 女子を見る目は お高いそうじゃったのぅ? 135 00:12:40,206 --> 00:12:43,206 (笑い声) 136 00:12:45,044 --> 00:12:48,014 又兵衛! (又兵衛)はっ! 137 00:12:48,014 --> 00:12:52,151 今年の菊は見事だぞ 138 00:12:52,151 --> 00:12:59,025 貴様と由紀の祝言にはな 日本一の花を咲かせてやるでのぅ 139 00:12:59,025 --> 00:13:01,160 あっ いえ せっかくでございますが➡ 140 00:13:01,160 --> 00:13:06,032 私は菊の花より 「ゆき」の白さを 愛しております (由紀)まあ 141 00:13:06,032 --> 00:13:13,172 こいつめ! のろけおって! ハハハハッ… 142 00:13:13,172 --> 00:13:20,046 由紀! 又兵衛を しっかりつかんで離すでねえぞ! 143 00:13:20,046 --> 00:13:26,185 そうじゃ 又兵衛 下手な尺八を吹け 144 00:13:26,185 --> 00:13:31,057 わしがな 前祝儀に舞うてやるでな 145 00:13:31,057 --> 00:13:35,194 恐れ入ります (弥兵衛)ハハハッ… 146 00:13:35,194 --> 00:13:37,194 よいしょ 147 00:13:44,003 --> 00:13:46,003 やるぞ! 148 00:13:49,142 --> 00:13:56,015 ♪(尺八の演奏) 149 00:13:56,015 --> 00:14:05,158 ♪ つくづくと 150 00:14:05,158 --> 00:14:12,031 ♪ 春の眺めの 151 00:14:12,031 --> 00:14:17,170 ♪ 寂しきは 152 00:14:17,170 --> 00:14:20,073 ♪ しのぶに… 153 00:14:20,073 --> 00:14:23,042 お危のぅございます! 父上 どちらへ? 154 00:14:23,042 --> 00:14:29,182 ああ 小便じゃ 小便に行ってまいって候 155 00:14:29,182 --> 00:14:40,193 ♪ 軒の玉水 ものすごく… 156 00:14:40,193 --> 00:14:44,063 (笑い声) 157 00:14:44,063 --> 00:14:51,137 あのぅ 先ほどの話ですが お世継ぎの問題というのは? 158 00:14:51,137 --> 00:14:55,007 大御所の血筋の方を ご養子に迎えなかったことだ 159 00:14:55,007 --> 00:14:57,009 しかし それは! 160 00:14:57,009 --> 00:15:02,148 徳川は 徳川家の血筋の者を 諸大名に押しつけてくる 161 00:15:02,148 --> 00:15:06,018 だが伊達には 伊達の血筋がある 162 00:15:06,018 --> 00:15:09,021 藩祖 政宗公の血筋を 絶やさぬためには➡ 163 00:15:09,021 --> 00:15:14,160 伊達一族の者を ご養子に お迎えするほかにはなかったのだ 164 00:15:14,160 --> 00:15:17,063 それが大御所のお気に召さんのだ 165 00:15:17,063 --> 00:15:20,032 チッ! くだらん! 166 00:15:20,032 --> 00:15:26,172 何が大御所だ 何が西の丸さまだ! 女ぐるいの ひひじじいめ! 167 00:15:26,172 --> 00:15:31,043 おいおい 言葉を慎めよ どこに隠密の耳があるかしれんぞ 168 00:15:31,043 --> 00:15:33,043 それより 尺八だ 169 00:15:35,181 --> 00:15:37,181 ああ… 170 00:15:41,053 --> 00:15:51,130 ♪~ 171 00:15:51,130 --> 00:16:11,150 ≪♪~ 172 00:16:11,150 --> 00:16:31,170 ≪♪~ 173 00:16:31,170 --> 00:16:51,123 ≪♪~ 174 00:16:51,123 --> 00:16:53,059 ≪♪~ 175 00:16:53,059 --> 00:16:56,059 (うめき声) 176 00:16:57,997 --> 00:17:01,997 ≪(由紀)父上! 父上! 177 00:17:04,136 --> 00:17:06,136 父上! 178 00:17:08,007 --> 00:17:10,009 由紀! どうした? (由紀)父上が! 179 00:17:10,009 --> 00:17:15,147 アッ! 父上! 父上! 180 00:17:15,147 --> 00:17:23,147 弥十郎… 介錯… 介錯! 181 00:17:26,158 --> 00:17:34,158 弥十郎 どうした! 臆したか! 182 00:17:38,170 --> 00:17:41,170 弥十郎! 183 00:17:43,976 --> 00:17:45,978 兄上! どけ! 由紀! 184 00:17:45,978 --> 00:17:47,980 兄上! (又兵衛)由紀どの! 185 00:17:47,980 --> 00:17:50,116 兄上! 186 00:17:50,116 --> 00:18:00,126 ♬~ 187 00:18:00,126 --> 00:18:03,996 父上! 御免! 188 00:18:03,996 --> 00:18:05,998 ターッ! 189 00:18:05,998 --> 00:18:07,998 (悲鳴) 190 00:18:16,142 --> 00:18:38,164 (読経) 191 00:18:38,164 --> 00:18:41,067 (男性)死に損だな これは 192 00:18:41,067 --> 00:18:43,002 (男性) 又兵衛は どうした? 又兵衛は? 193 00:18:43,002 --> 00:18:47,973 (男性)奴は目端の利く男だからな (奥村)黙れ! 静かにしろ! 194 00:18:47,973 --> 00:19:33,973 (読経) 195 00:19:42,027 --> 00:19:44,027 お待ちください 196 00:19:49,101 --> 00:19:53,973 失礼ですが お名前なりと お聞かせ願えませんか? 197 00:19:53,973 --> 00:19:56,976 しかし… 198 00:19:56,976 --> 00:20:01,113 (おりつ) 細川家ゆかりの者でございます 199 00:20:01,113 --> 00:20:04,984 細川家の? 200 00:20:04,984 --> 00:20:07,987 亡くなった父とは? 201 00:20:07,987 --> 00:20:24,987 ♬~ 202 00:20:32,077 --> 00:20:39,151 尚古堂 頼みがある 何でございましょう? 203 00:20:39,151 --> 00:20:45,024 万一のときは 妹の面倒を 見てやってはくれぬか? 204 00:20:45,024 --> 00:20:47,024 お妹さまの? 205 00:20:49,161 --> 00:20:52,064 1年… いや… 206 00:20:52,064 --> 00:20:55,064 2年 3年とかかるやもしれん 207 00:20:57,036 --> 00:21:01,036 それと 道中手形が欲しい 208 00:21:03,175 --> 00:21:08,047 「江戸の本屋 尚古堂の手代 弥助」とでも… 209 00:21:08,047 --> 00:21:13,185 いつ おたちで? 早いほうがいい 210 00:21:13,185 --> 00:21:15,185 刀を捨ててでも? 211 00:21:18,057 --> 00:21:22,194 親父の無念を晴らしたい 212 00:21:22,194 --> 00:21:26,065 肥後の菖蒲に勝るとも劣らぬ 花を咲かせたいのだ 213 00:21:26,065 --> 00:21:29,065 花隠密… 214 00:21:32,204 --> 00:21:37,076 ひとつだけ伺います 何だ? 215 00:21:37,076 --> 00:21:43,148 お妹さまには 確か ご縁談が… 216 00:21:43,148 --> 00:21:49,021 あれは流れた 今朝方 仲人から申し出があった 217 00:21:49,021 --> 00:21:53,158 妹には まだ知らせておらぬが… 218 00:21:53,158 --> 00:22:02,167 ♬~ 219 00:22:02,167 --> 00:22:09,041 (泣き声) 220 00:22:09,041 --> 00:22:11,176 由紀… 221 00:22:11,176 --> 00:22:16,176 (泣き声) 222 00:22:19,051 --> 00:22:26,191 <江戸 熊本 388里 梅雨明けに出立した弥十郎が➡ 223 00:22:26,191 --> 00:22:32,064 熊本に着いたのは 8月の猛暑の さなかであった> 224 00:22:32,064 --> 00:22:38,203 <熊本城下へは 思いもかけず 何の妨げもなく➡ 225 00:22:38,203 --> 00:22:40,139 入り込むことができた> 226 00:22:40,139 --> 00:22:48,013 <そして 栄屋という旅籠の主人 重助の世話になった> 227 00:22:48,013 --> 00:22:54,153 (重助)なるほど 貸本屋で ございますか? はい 228 00:22:54,153 --> 00:22:57,056 やあ それは よか所に お目ば おつけなすった 229 00:22:57,056 --> 00:23:01,026 何しろ熊本は あの 細川さんのお膝元じゃけん 230 00:23:01,026 --> 00:23:07,166 昔っから学問は盛んな所で 本は引っ張りだこですたい 231 00:23:07,166 --> 00:23:09,101 ただ 私のような よそ者が➡ 232 00:23:09,101 --> 00:23:12,037 そう やすやすと 商いできますかどうか 233 00:23:12,037 --> 00:23:17,176 いやいや 任せてくださりまっせ こう見えても 栄屋重助 234 00:23:17,176 --> 00:23:21,046 奉行所のほうにも いささか顔も利きますけん 235 00:23:21,046 --> 00:23:27,046 ただし こっちのほうも少々… それは もう! 心得ております 236 00:23:29,188 --> 00:23:31,123 (役人)なぜ 江戸者が 熊本くんだりまで来て➡ 237 00:23:31,123 --> 00:23:34,059 貸本屋ば開くとか? はい 238 00:23:34,059 --> 00:23:38,197 江戸の本屋は60軒限りと 定められておりますので➡ 239 00:23:38,197 --> 00:23:41,100 もう 私どもの 入り込む余地はございません 240 00:23:41,100 --> 00:23:43,035 京 大坂も同じこと 241 00:23:43,035 --> 00:23:46,005 ならいっそ 九州まで足を伸ばして 242 00:23:46,005 --> 00:23:49,141 思い切った商いを してみたいと存じましたので 243 00:23:49,141 --> 00:23:52,044 見料は いくらじゃとな? はい 244 00:23:52,044 --> 00:23:59,151 新版本は 5日期限で24文 古版は 10日期限で16文 245 00:23:59,151 --> 00:24:02,054 ちょうだいしたいと 存じております 高か! 246 00:24:02,054 --> 00:24:06,054 いえ これが日本中 尚古堂の決めでございますので… 247 00:24:15,167 --> 00:24:17,102 (役人)数馬さま どげんしましょうか? 248 00:24:17,102 --> 00:24:20,102 (安藤)う~む… 249 00:24:33,185 --> 00:24:41,994 <そして 弥十郎… いや 今は 菊屋弥助を名乗る貸本屋の商いは 250 00:24:41,994 --> 00:24:44,994 順調な滑り出しを見せた> 251 00:24:48,133 --> 00:24:51,036 (法円)江戸から300冊も? はい 252 00:24:51,036 --> 00:24:55,007 荷が着きしだい こちらに参上いたします 253 00:24:55,007 --> 00:24:59,144 それから新版本も ご注文いただければ➡ 254 00:24:59,144 --> 00:25:03,015 早速 江戸から取り寄せますので ああ それは よか 255 00:25:03,015 --> 00:25:05,017 いやぁ 助かるばい 256 00:25:05,017 --> 00:25:07,019 (新吉)おっちゃん! せみ捕ってはいよ! 257 00:25:07,019 --> 00:25:10,155 せみ? これこれ 新吉 258 00:25:10,155 --> 00:25:13,155 フフッ… どれ 貸してごらん 259 00:25:15,027 --> 00:25:18,030 ≪(せみの鳴き声) 260 00:25:18,030 --> 00:25:22,030 おっちゃん 早よう早よう! あそこ あそこ! 261 00:25:32,177 --> 00:25:35,080 おっちゃんも届かんか? 262 00:25:35,080 --> 00:25:37,080 待て 待て 263 00:25:41,186 --> 00:25:43,122 エイッ! 264 00:25:43,122 --> 00:25:46,992 やった! おっちゃんは せみ捕りの名人ばい! 265 00:25:46,992 --> 00:25:49,992 そげん 人を おだてるもんじゃなか! ハハッ 266 00:25:56,135 --> 00:25:59,135 せみ捕りには もったいない腕じゃのぅ 267 00:26:02,007 --> 00:26:05,144 貴様 まだ 旅籠住まいか? はい 268 00:26:05,144 --> 00:26:09,014 栄屋だったな? はい 269 00:26:09,014 --> 00:26:14,014 この寺の茶屋に空き部屋がある 荷物を取ってこい 270 00:26:18,157 --> 00:26:27,166 ♬~ 271 00:26:27,166 --> 00:26:32,037 ああ 弥助さん! ハハッ… これで全部ですばい 272 00:26:32,037 --> 00:26:34,039 ありがとうございます 273 00:26:34,039 --> 00:26:39,178 いやぁ よかった こいで あんたも 商売に打ち込めるちゅうもんたい 274 00:26:39,178 --> 00:26:42,080 はい 275 00:26:42,080 --> 00:26:44,016 あっ これは安藤さま 276 00:26:44,016 --> 00:26:45,984 どうも いろいろ お世話になりました 277 00:26:45,984 --> 00:26:48,987 今後とも どうぞ お引き立てのほどを… 278 00:26:48,987 --> 00:26:51,987 じゃ 私は これで ごめんください 279 00:27:04,136 --> 00:27:09,007 俺は世話好きで やってるんじゃない 280 00:27:09,007 --> 00:27:16,148 貴様を俺の目の届く所に 置いておきたい 281 00:27:16,148 --> 00:27:19,148 ただ それだけだ 282 00:27:23,021 --> 00:27:28,160 熊本にいるかぎり 俺の目が光っている 283 00:27:28,160 --> 00:27:30,160 それだけ忘れるな 284 00:27:49,114 --> 00:27:51,049 ≪(新吉)おっちゃん? 285 00:27:51,049 --> 00:27:54,987 あっ 坊や 286 00:27:54,987 --> 00:27:59,124 そろそろ帰らんと 父さんに叱られるぞ 287 00:27:59,124 --> 00:28:02,027 父ちゃんは おらん えっ? 288 00:28:02,027 --> 00:28:06,999 うちは母ちゃんだけばい ああ そうだったのか 289 00:28:06,999 --> 00:28:12,999 ≪(千代)新吉 新吉! (新吉)あっ 母ちゃんばい! 290 00:28:15,140 --> 00:28:20,140 おっちゃん この本 貸して! おう いいとも! 291 00:28:28,153 --> 00:28:35,027 ♬~ 292 00:28:35,027 --> 00:28:40,165 新吉が お邪魔しております あっ いえ… 293 00:28:40,165 --> 00:28:45,971 《似ている あまりにも似すぎている》 294 00:28:45,971 --> 00:28:47,973 《これは どういうことだ?》 295 00:28:47,973 --> 00:28:52,973 たくさん本があるんですねえ? はっ? はい 296 00:28:56,114 --> 00:28:59,985 人情本は 私 嫌い だって嘘ばっかりだもの 297 00:28:59,985 --> 00:29:03,989 さあ 新吉 帰るよ (新吉)うん! 298 00:29:03,989 --> 00:29:06,989 おっちゃん また来るばい! うん 299 00:29:30,015 --> 00:29:32,017 あの方は? (おかつ)えっ? 300 00:29:32,017 --> 00:29:35,153 ああ 寺のお千代さんですたい 301 00:29:35,153 --> 00:29:39,024 (宇兵衛)和尚さんが 世話ばしてる女ですたい 302 00:29:39,024 --> 00:29:43,962 妙なことをお尋ねしますが あの方は今年の春➡ 303 00:29:43,962 --> 00:29:47,099 江戸に行かれませんでしたか? 江戸へ? 304 00:29:47,099 --> 00:29:49,034 そげんな話ば聞いちょりません 305 00:29:49,034 --> 00:29:52,971 いやぁ 江戸へは行かんですばい ず~っと寺におりましたけん 306 00:29:52,971 --> 00:29:54,971 そうですか 307 00:30:03,115 --> 00:30:10,989 ♬~ 308 00:30:10,989 --> 00:30:19,131 <夏は ようやく終わり 秋の風が 熊本の町を通り過ぎるころ➡ 309 00:30:19,131 --> 00:30:26,004 弥十郎は 執ように彼を 追い詰める男の視線に気づいた> 310 00:30:26,004 --> 00:30:45,004 ♬~ 311 00:30:48,160 --> 00:30:52,030 <その見えない手は 弥十郎の部屋にも➡ 312 00:30:52,030 --> 00:30:56,034 侵入した気配があった> 313 00:30:56,034 --> 00:31:00,172 <今朝方 張りつけておいた 髪の毛が取れ➡ 314 00:31:00,172 --> 00:31:06,172 中を開けた形跡が そこには歴然と残されていた> 315 00:31:21,193 --> 00:31:29,067 《あの男だ… 間違いない 何を狙っているのだ?》 316 00:31:29,067 --> 00:31:33,205 《俺の一体 何を見破ったのだ?》 317 00:31:33,205 --> 00:31:38,076 <弥十郎の行動は慎重だった> 318 00:31:38,076 --> 00:31:43,014 <花菖蒲のことは おくびにも出さなかった> 319 00:31:43,014 --> 00:31:47,152 <だが 思いがけぬ機会が訪れた> 320 00:31:47,152 --> 00:31:50,055 (幸助) お前さんも花ば作りなさっと? 321 00:31:50,055 --> 00:31:55,026 はい 江戸におりますころ 主人が 菊作りに凝っておりましたので 322 00:31:55,026 --> 00:32:00,165 いやいや 菊はつまらん 花は何ちゅうても菖蒲ばい 323 00:32:00,165 --> 00:32:05,036 肥後の花菖蒲ばい! ほう 花菖蒲ですか? 324 00:32:05,036 --> 00:32:09,174 はぁ こいじゃけん 江戸者は困ると ハハハッ… 325 00:32:09,174 --> 00:32:12,077 ほら こいが花菖蒲の株たい 326 00:32:12,077 --> 00:32:16,047 どげんね! この しっかり踏ん張った根元は 327 00:32:16,047 --> 00:32:20,185 来年の春が楽しみばい ハハハッ… 328 00:32:20,185 --> 00:32:24,055 ああ この町には 月光会っちゅうてな 329 00:32:24,055 --> 00:32:28,059 町じゅうの 花自慢の集まりがあるとよ 330 00:32:28,059 --> 00:32:32,197 侍も町人も百姓も 何の分け隔てもなか 331 00:32:32,197 --> 00:32:36,067 みんな 花菖蒲だけが 生きがいという連中でな 332 00:32:36,067 --> 00:32:41,206 ああ それも お前さんがおらす法念寺でばい 333 00:32:41,206 --> 00:32:44,109 法念寺? 334 00:32:44,109 --> 00:32:49,109 <そして 月光会の日が来た> 335 00:32:56,154 --> 00:32:58,089 おお これはこれは 永井さま 336 00:32:58,089 --> 00:33:01,026 今日は また 早か お出ましでございますな? 337 00:33:01,026 --> 00:33:06,164 (永井)ああ 少し早すぎた まあ 1杯やれ 338 00:33:06,164 --> 00:33:09,164 ああ いやいや 今日は ちょっと連れがありますけん 339 00:33:13,038 --> 00:33:16,174 お待ち申しておりました やあ 弥助さん 340 00:33:16,174 --> 00:33:18,109 どうね こないだの菖蒲は 植えてくれたと? 341 00:33:18,109 --> 00:33:21,046 はい 毎日 大切に水をやっております 342 00:33:21,046 --> 00:33:23,048 うん 毎日 ひなたに出さないかんたい 343 00:33:23,048 --> 00:33:26,184 日陰に置いとけば 花に勢いがなくなるけんねえ 344 00:33:26,184 --> 00:33:28,119 それは もう! 345 00:33:28,119 --> 00:33:30,055 (永井)鶴屋! (幸助)はい? 346 00:33:30,055 --> 00:33:35,193 その男に花株を分けたのか? (幸助)はい 347 00:33:35,193 --> 00:33:38,096 どこだ? 鉢は どこにある! 348 00:33:38,096 --> 00:33:41,096 持ってこい! はい 349 00:33:43,001 --> 00:33:46,001 永井さま… 何か? 350 00:33:57,148 --> 00:34:00,148 それだけか? はい 351 00:34:06,157 --> 00:34:13,031 ♬~ 352 00:34:13,031 --> 00:34:15,166 永井さま!? 353 00:34:15,166 --> 00:34:20,038 よそ者に花株を分けることは 先日のご重役会で禁止された 354 00:34:20,038 --> 00:34:25,176 月光会に顔出しも相成らん! さよう心得ろ! 355 00:34:25,176 --> 00:34:33,051 ♬~ 356 00:34:33,051 --> 00:34:35,051 永井さま! 357 00:34:39,190 --> 00:34:42,093 金上げ侍め! えっ? 358 00:34:42,093 --> 00:34:44,996 あの男は 元金貸しじゃ 359 00:34:44,996 --> 00:34:49,000 人の金ば むしり取って その金ば役所に積んで➡ 360 00:34:49,000 --> 00:34:52,137 侍の株ば手に入れた 成り上がり者じゃけん 361 00:34:52,137 --> 00:34:56,007 ここじゃ 「金上げ侍」と呼んどるんじゃ 362 00:34:56,007 --> 00:35:01,146 何ちゅう むごかことばすっとか! せっかくの花株ば! 363 00:35:01,146 --> 00:35:12,146 ♬~ 364 00:35:38,049 --> 00:35:41,186 (吉田) 他人への贈与 売買はもとより➡ 365 00:35:41,186 --> 00:35:44,089 子孫への相伝も 一切厳禁された 366 00:35:44,089 --> 00:35:48,993 栽培ば中止するとき または本人死亡の場合は➡ 367 00:35:48,993 --> 00:35:52,130 直ちに花株ば 藩に返上していただく 368 00:35:52,130 --> 00:35:56,000 これは ご家老じきじきのお達しだ 369 00:35:56,000 --> 00:35:58,002 (法円)こりゃ 大事ばい! 370 00:35:58,002 --> 00:36:03,141 いや! 肥後菖蒲は ただの花菖蒲ではござらん 371 00:36:03,141 --> 00:36:07,011 江戸表 大御所が名付け親と なられた名花である以上➡ 372 00:36:07,011 --> 00:36:12,150 これだけの取り締まりは 当然のことと心得ていただきたい 373 00:36:12,150 --> 00:36:15,053 (吉田)さて 次に 来年春➡ 374 00:36:15,053 --> 00:36:19,023 江戸屋敷に派遣する者を 入れ札によって決めていただく 375 00:36:19,023 --> 00:36:21,159 ほれ (男性)ははっ! 376 00:36:21,159 --> 00:36:25,029 (喜左)吉田さんば! 入れ札は もうよかじゃなかろうか? 377 00:36:25,029 --> 00:36:27,031 うん? なんでじゃ? 378 00:36:27,031 --> 00:36:30,168 来年も永井さまより ほかにはございません 379 00:36:30,168 --> 00:36:36,040 私どもには とても 将軍家に献上する花は作れません 380 00:36:36,040 --> 00:36:39,177 来年も どうか 永井さまに… 381 00:36:39,177 --> 00:36:44,015 いやいや 私は もう 2年続きでございますから➡ 382 00:36:44,015 --> 00:36:47,986 どなたか ほかのお方に… (喜左)いやいや 永井さまじゃ 383 00:36:47,986 --> 00:36:51,122 のぅ 皆の衆? わしらには荷が重すぎる 384 00:36:51,122 --> 00:36:54,993 (男性)そうですとも 永井さま どうでしょう? 385 00:36:54,993 --> 00:36:57,996 お考え直しば… 386 00:36:57,996 --> 00:37:05,136 《そうか あの男が… あの男の花が父を…》 387 00:37:05,136 --> 00:37:25,156 ♬~ 388 00:37:25,156 --> 00:37:36,156 ♬~ 389 00:38:08,132 --> 00:38:11,035 (安藤)田上 笛だ! 390 00:38:11,035 --> 00:38:16,007 (呼子の音) 391 00:38:16,007 --> 00:38:19,143 (吉田)追え! (役人たち)はっ! 392 00:38:19,143 --> 00:38:34,158 ♬~ 393 00:38:34,158 --> 00:38:36,094 (吉田)いたか? (役人)おりません! 394 00:38:36,094 --> 00:38:38,029 (吉田)いたか? (役人)いません! 395 00:38:38,029 --> 00:38:41,032 逃がすな! お前たちは 山門へ行け! ≪(役人たち)はっ 396 00:38:41,032 --> 00:38:42,967 ≪(吉田)お前たちは裏手だ ≪(役人たち)はっ! 397 00:38:42,967 --> 00:38:59,117 ♬~ 398 00:38:59,117 --> 00:39:04,117 静かにしてください 子供が眠っております 399 00:39:14,132 --> 00:39:17,132 行こう (田上)はっ! 400 00:39:31,149 --> 00:39:36,149 (千代)大丈夫… 待って! 401 00:39:47,098 --> 00:39:49,033 ≪(足音) 402 00:39:49,033 --> 00:39:51,033 ≪(役人)どうした? ≪(役人)逃げたか? 403 00:39:52,971 --> 00:39:56,971 フフフ… おかしな人 404 00:40:04,115 --> 00:40:07,115 もう逃げられませんよ 405 00:40:13,124 --> 00:40:16,995 <不思議な女だった> 406 00:40:16,995 --> 00:40:25,136 <弥十郎には ゆうべのことが 夢の中のことのように思えた> 407 00:40:25,136 --> 00:40:29,007 <気づいたのか? それとも➡ 408 00:40:29,007 --> 00:40:34,007 気づいていながら そしらぬふりを装っているのか?> 409 00:40:40,151 --> 00:40:43,054 <傷が痛んだ> 410 00:40:43,054 --> 00:40:51,162 <だが 監視の目を欺くためには 仕事を休むわけにはいかなかった> 411 00:40:51,162 --> 00:40:58,036 <その日 弥十郎は 町なかを避け 村回りを続けた> 412 00:40:58,036 --> 00:41:01,172 おう! 栄屋さん! 413 00:41:01,172 --> 00:41:05,043 いやぁ 弥助さん! ハハハッ… 414 00:41:05,043 --> 00:41:08,046 これは 珍しか所でお目にかかりますな 415 00:41:08,046 --> 00:41:14,185 あの どちらへ? ええ いや… ちょっと 野暮用で 416 00:41:14,185 --> 00:41:16,120 …で あんたは? はい 417 00:41:16,120 --> 00:41:19,057 今日は村回りをしておりますが… 418 00:41:19,057 --> 00:41:25,196 そうそう 黒髪村の永井さまの お屋敷をご存じでしょうか? 419 00:41:25,196 --> 00:41:29,067 永井さま? 何でも 花作りの名人とか… 420 00:41:29,067 --> 00:41:32,070 その方面の本が いろいろと 入りましたものですから➡ 421 00:41:32,070 --> 00:41:35,206 お薦めしてみようと思いまして… 422 00:41:35,206 --> 00:41:37,141 おやめなせえ えっ? 423 00:41:37,141 --> 00:41:41,079 熊本の人は よっぽど用のなかかぎり➡ 424 00:41:41,079 --> 00:41:44,015 黒髪には 近寄らんごつしとりますけん 425 00:41:44,015 --> 00:41:49,015 まして よそ者のあんたが やめなせえ やめなせえ ハハハ… 426 00:41:54,158 --> 00:42:00,031 <栄屋重助の制止は逆効果だった> 427 00:42:00,031 --> 00:42:06,031 <弥十郎は夕暮れの道を 黒髪村に向かった> 428 00:42:22,186 --> 00:42:25,089 あなたは… 429 00:42:25,089 --> 00:42:27,058 お待ちください! 430 00:42:27,058 --> 00:42:37,201 ♬~ 431 00:42:37,201 --> 00:42:39,201 (乙吉)この野郎! 432 00:42:43,007 --> 00:42:46,010 ≪(おりつ)乙吉! 乙吉! 433 00:42:46,010 --> 00:43:02,010 ♬~ 434 00:43:04,162 --> 00:43:07,064 ごめんくださいませ はい 435 00:43:07,064 --> 00:43:11,035 失礼ですが 火種を いただけませんでしょうか? 436 00:43:11,035 --> 00:43:15,035 ああ… どうぞ 437 00:43:19,177 --> 00:43:23,047 つかぬことをお尋ねしますが… 何でしょう? 438 00:43:23,047 --> 00:43:27,047 黒髪村に あなたのご姉妹が いらっしゃいますでしょうか? 439 00:43:29,187 --> 00:43:33,057 おりません えっ? 440 00:43:33,057 --> 00:43:39,057 身寄りの者は1人もおりません 私… 捨て子ですから 441 00:43:41,199 --> 00:43:45,199 どうかしまして? えっ? いいえ… 442 00:43:47,004 --> 00:43:50,004 どうも ありがとうございました 443 00:43:53,144 --> 00:43:56,047 あまり詮索しないほうが 身のためですよ 444 00:43:56,047 --> 00:44:01,018 ご存じでしょうが 奉行所が あなたに目をつけてますから 445 00:44:01,018 --> 00:44:08,159 ♬~ 446 00:44:08,159 --> 00:44:11,062 (役人)どけ! 邪魔だ 邪魔だ! 447 00:44:11,062 --> 00:44:18,169 <その秋 熊本の町は 緊張に包まれていた> 448 00:44:18,169 --> 00:44:23,040 <遠い村々から 一揆の噂が風に乗って伝わり➡ 449 00:44:23,040 --> 00:44:28,040 よそ者に対する警戒が 一段と厳しさを増した> 450 00:44:30,181 --> 00:44:34,051 <ただひとりの後ろ盾だった 栄屋重助も➡ 451 00:44:34,051 --> 00:44:43,051 いつの間にか町から姿を消し 秋は足早に通り過ぎていった> 452 00:45:05,016 --> 00:45:10,016 ≪(鈴の音) 453 00:45:23,167 --> 00:45:28,167 (鈴の音) 454 00:45:35,179 --> 00:45:40,179 (鈴の音) 455 00:45:43,988 --> 00:45:45,988 由紀! 456 00:45:53,130 --> 00:45:58,130 由紀ではないか! 俺だ! 弥十郎だ! 457 00:46:00,004 --> 00:46:03,004 どうしたのだ? 458 00:46:06,143 --> 00:46:09,046 おい! 由紀 しっかりしろ! 459 00:46:09,046 --> 00:46:14,018 由紀 しっかりするんだ 由紀! 460 00:46:14,018 --> 00:46:16,018 さあ 461 00:46:18,155 --> 00:46:24,028 さあ… 由紀! 由紀! 462 00:46:24,028 --> 00:46:28,028 由紀! 由紀… 463 00:46:34,171 --> 00:46:36,171 由紀 464 00:46:39,043 --> 00:46:41,043 由紀… 465 00:46:45,116 --> 00:47:05,136 ♬~ 466 00:47:05,136 --> 00:47:18,149 ♬~ 467 00:47:18,149 --> 00:47:20,149 どうだ? 468 00:47:22,019 --> 00:47:25,022 おいしい そうか 469 00:47:25,022 --> 00:47:32,163 ♬~ 470 00:47:32,163 --> 00:47:35,163 江戸で何があった? 471 00:47:39,036 --> 00:47:42,036 なぜ 熊本へ来る気になった? 472 00:47:46,110 --> 00:47:51,110 どうしたんだ? 黙っていては 分からんではないか うん? 473 00:47:55,119 --> 00:47:58,989 寂しかったんです えっ? 474 00:47:58,989 --> 00:48:01,989 独りぼっちで… 475 00:48:08,132 --> 00:48:11,132 でも 会えてよかった 476 00:48:14,004 --> 00:48:17,141 もう 思い残すことはありません 477 00:48:17,141 --> 00:48:22,012 何を言うんだ 来年の春には必ず帰る 478 00:48:22,012 --> 00:48:25,015 それまでの辛抱ではないか 479 00:48:25,015 --> 00:48:28,152 江戸に帰っても もう家はありません! 480 00:48:28,152 --> 00:48:31,055 何だと? 481 00:48:31,055 --> 00:48:37,161 私 伊達の下屋敷を追われました 482 00:48:37,161 --> 00:48:39,161 追われた? 483 00:48:41,999 --> 00:48:44,969 馬鹿な! そんなはずはない! 484 00:48:44,969 --> 00:48:48,105 少なくとも ご家老は分かっている 485 00:48:48,105 --> 00:48:53,978 俺の帰りを待っているはずだ 一体 何があったんだ? 486 00:48:53,978 --> 00:48:58,115 お殿さまは兄上の出奔を お聞きになって➡ 487 00:48:58,115 --> 00:49:02,987 「わしへの面当てか」と 申されたそうでございます 488 00:49:02,987 --> 00:49:04,989 ご家老は? 何も… 489 00:49:04,989 --> 00:49:07,124 何も!? 490 00:49:07,124 --> 00:49:11,124 お家にとって兄上の隠密が 露見いたしたならば… 491 00:49:12,997 --> 00:49:15,997 私は邪魔な女でございます 492 00:49:18,135 --> 00:49:23,007 騙されているのです! 兄上は! 493 00:49:23,007 --> 00:49:27,144 尚古堂は どうした? 万一のときは➡ 494 00:49:27,144 --> 00:49:31,015 お前の面倒を見てくれると はっきり約束したんだ 495 00:49:31,015 --> 00:49:34,018 屋敷を追われるのを 指をくわえて見ていたのか? 496 00:49:34,018 --> 00:49:39,156 力になってはくれなかったのか!? 由紀! 497 00:49:39,156 --> 00:49:45,963 由紀は… 由紀は もう駄目です 許してください 498 00:49:45,963 --> 00:49:52,102 由紀! 由紀! どうしたんだ? 499 00:49:52,102 --> 00:50:01,111 ♬~ 500 00:50:01,111 --> 00:50:04,014 さあ こん薬ば のみなさい 501 00:50:04,014 --> 00:50:07,014 体が温まるけん ありがとうございます 502 00:50:22,132 --> 00:50:26,003 妹さんな やや子ができちょるけん 乱暴しちゃいかん 503 00:50:26,003 --> 00:50:29,003 子供が? うん 504 00:50:47,157 --> 00:50:49,157 由紀? 505 00:50:51,028 --> 00:50:53,028 由紀! 506 00:51:08,178 --> 00:51:12,049 (由紀) 《ただ ひと目だけお会いしたく➡ 507 00:51:12,049 --> 00:51:16,053 恥を忍んでまいりました》 508 00:51:16,053 --> 00:51:20,190 《この汚れ果てた体を できますことならば➡ 509 00:51:20,190 --> 00:51:25,062 花に生まれ変わらせとう ございます》 510 00:51:25,062 --> 00:51:30,200 《どうか よい菖蒲を 咲かせてくださいませ》 511 00:51:30,200 --> 00:51:33,103 《咲きますように…》 512 00:51:33,103 --> 00:51:39,209 《きっときっと 美しく咲きますように…》 513 00:51:39,209 --> 00:51:42,209 由紀! 514 00:51:44,048 --> 00:51:48,048 由紀! 由紀! 515 00:51:54,158 --> 00:51:56,158 由紀! 516 00:51:58,028 --> 00:52:01,031 ≪(宇兵衛)弥助さーん! 517 00:52:01,031 --> 00:52:06,170 弥助さん! 大変だ! 妹さんが! 妹さんが! 518 00:52:06,170 --> 00:52:16,180 ♬~ 519 00:52:16,180 --> 00:52:27,191 ♬~ 520 00:52:27,191 --> 00:52:33,191 由紀! 由紀… 521 00:52:35,065 --> 00:52:38,065 ≪ 由紀… 522 00:52:41,205 --> 00:52:46,205 確かに お前の妹か? はい 523 00:52:50,013 --> 00:52:54,013 間違いないな? はい 524 00:52:56,153 --> 00:53:04,027 妹が武家の娘となると やっかいなことになる 525 00:53:04,027 --> 00:53:11,168 行き倒れの変死者として届ければ 余計な詮議は省ける 526 00:53:11,168 --> 00:53:16,039 ただし その場合 寺には埋葬できん 527 00:53:16,039 --> 00:53:25,182 藩法の定めるところにより 無縁仏として奉行所が埋葬する 528 00:53:25,182 --> 00:53:30,053 どっちを選ぶか お前の勝手だ 529 00:53:30,053 --> 00:53:36,193 どうする? 墓は どちらでございましょう? 530 00:53:36,193 --> 00:53:39,193 黒髪村だ 黒髪? 531 00:54:12,029 --> 00:54:14,029 (安藤)しばらく待て 532 00:54:19,169 --> 00:54:22,072 あの ここは? 533 00:54:22,072 --> 00:54:25,042 (男性) 村方横目 永井さまのお屋敷じゃ 534 00:54:25,042 --> 00:54:30,180 永井さま? では あの花作りの? 535 00:54:30,180 --> 00:54:40,190 ♬~ 536 00:54:40,190 --> 00:54:43,093 ≪(男性)大したもんばい! 水のみ百姓のせがれが➡ 537 00:54:43,093 --> 00:54:45,996 金貸しばして ここまで のし上がってきたとばい 538 00:54:45,996 --> 00:54:50,000 夜 ここば通ると 人の泣き声がするそうじゃ 539 00:54:50,000 --> 00:54:55,000 永井さまに絞り殺された 大勢の泣き声がのぅ… 540 00:54:58,141 --> 00:55:09,152 ♬~ 541 00:55:09,152 --> 00:55:12,055 (安藤)まいるぞ (男性たち)へい 542 00:55:12,055 --> 00:55:22,165 ♬~ 543 00:55:22,165 --> 00:55:34,165 ♬~ 544 00:55:40,183 --> 00:55:43,086 (安藤)早くしろ 545 00:55:43,086 --> 00:55:47,991 俺は3年の間 ある男を張っていた 546 00:55:47,991 --> 00:55:55,132 その男は 3年の間 毛ほどの 怪しい動きも見せなかった 547 00:55:55,132 --> 00:56:00,003 だが とうとう しっぽを捕まえた 548 00:56:00,003 --> 00:56:05,142 その男は 昨日 斬られた 549 00:56:05,142 --> 00:56:11,014 ひと月の間 拷問を続け とうとう吐いたのだ 550 00:56:11,014 --> 00:56:19,156 俺は 貴様を この男の仲間と思っていたが… 551 00:56:19,156 --> 00:56:23,156 それは どうやら外れたようだ 552 00:56:26,029 --> 00:56:32,169 栄屋さん! 公儀の隠密だ 553 00:56:32,169 --> 00:56:36,039 隠密のたどる道は皆同じだ 554 00:56:36,039 --> 00:56:46,039 ♬~ 555 00:56:49,119 --> 00:56:52,022 (尚古堂) 《伊達さまお屋敷を離れてより➡ 556 00:56:52,022 --> 00:56:58,128 お妹さま 当方にて お預かりいたしおり候ところ➡ 557 00:56:58,128 --> 00:57:01,999 番頭 文吉と不義をいたし…》 558 00:57:01,999 --> 00:57:06,003 ((番頭 文吉と不義をいたし…)) 559 00:57:06,003 --> 00:57:09,139 ((不義をいたし…)) 560 00:57:09,139 --> 00:57:16,139 ((寂しかったんです 独りぼっちで…)) 561 00:58:38,161 --> 00:58:41,064 花が… 562 00:58:41,064 --> 00:58:44,968 花が人を殺すのか… 563 00:58:44,968 --> 00:58:57,114 ♬~ 564 00:58:57,114 --> 00:59:01,985 やっと帰ってきた… 565 00:59:01,985 --> 00:59:04,985 三途の川を渡りかけていたのに 566 00:59:08,125 --> 00:59:11,125 じっとしてて 567 00:59:15,999 --> 00:59:21,138 昔 子供のころ… 568 00:59:21,138 --> 00:59:28,011 天草の海辺で よく漁師が溺れて 死んだ漁師の女房は➡ 569 00:59:28,011 --> 00:59:36,153 裸になって ひと晩中 冷たい男の体を抱きしめていた 570 00:59:36,153 --> 00:59:41,153 そしたら… 死んだ男が帰ってくるって… 571 00:59:43,960 --> 00:59:48,960 本当だった 本当に あんたは帰ってきた 572 00:59:51,101 --> 00:59:55,972 駄目 私が助けたんだもの 573 00:59:55,972 --> 01:00:01,111 あんたは私のもの… そうでしょう? 574 01:00:01,111 --> 01:00:07,984 ♬~ 575 01:00:07,984 --> 01:00:11,984 月光会の… 花隠密 576 01:00:16,126 --> 01:00:21,998 フフフッ… 私は うすうす感づいていた 577 01:00:21,998 --> 01:00:26,136 でも そんなことは どうだっていいの 578 01:00:26,136 --> 01:00:29,039 私に あるのは今だけ 579 01:00:29,039 --> 01:00:35,145 2人が ここで こうしているということだけ 580 01:00:35,145 --> 01:00:37,145 それだけ… 581 01:00:47,157 --> 01:01:07,177 ♬~ 582 01:01:07,177 --> 01:01:27,197 ♬~ 583 01:01:27,197 --> 01:01:37,207 ♬~ 584 01:01:37,207 --> 01:01:48,151 ♬~ 585 01:01:48,151 --> 01:01:53,023 (あえぎ声) 586 01:01:53,023 --> 01:02:02,165 ♬~ 587 01:02:02,165 --> 01:02:09,039 <その冬 弥十郎には むなしい日々が続いた> 588 01:02:09,039 --> 01:02:15,178 <だが 翌年 天保12年春> 589 01:02:15,178 --> 01:02:19,049 <弥十郎の命運を 大きく転換させる密議が➡ 590 01:02:19,049 --> 01:02:24,187 江戸 伊達藩上屋敷で 持たれていた> 591 01:02:24,187 --> 01:02:26,122 よいか 両名とも 592 01:02:26,122 --> 01:02:31,061 熊本にまいり 必ず弥十郎を捜し出すのだ 593 01:02:31,061 --> 01:02:34,197 あの男をこのままに放置すれば➡ 594 01:02:34,197 --> 01:02:37,100 伊達の家名に またもや傷がつくやもしれん 595 01:02:37,100 --> 01:02:43,006 必ず捜し出し 江戸に連れ戻すのだ よいな? 596 01:02:43,006 --> 01:02:45,141 お言葉ではございますが➡ 597 01:02:45,141 --> 01:02:49,012 弥十郎は 花合戦の恥を そそがんがため身命を賭して➡ 598 01:02:49,012 --> 01:02:53,016 熊本に潜入したものと 噂をされております 599 01:02:53,016 --> 01:02:58,154 しかも その陰には ご家老内々のお指図があったと… 600 01:02:58,154 --> 01:03:03,026 たわけたことを申すな! わしが唆したとでもいうのか? 601 01:03:03,026 --> 01:03:07,163 奴が藩命で 動いているとでもいうのか!? 602 01:03:07,163 --> 01:03:13,036 弥十郎は あくまでも脱藩者だ 伊達家とは何の関わりもない 603 01:03:13,036 --> 01:03:19,175 黙って熊本へ行け 訳は追って熊本に知らせる 604 01:03:19,175 --> 01:03:26,049 よいか? これは君命だ 殿じきじきのご命令だ 605 01:03:26,049 --> 01:03:31,187 早々に出立の用意いたせ 606 01:03:31,187 --> 01:03:33,123 お尋ねいたします (玄蕃)何だ? 607 01:03:33,123 --> 01:03:38,061 万が一 田吹弥十郎が拒んだときは? 608 01:03:38,061 --> 01:03:41,197 藩法に何とある? 609 01:03:41,197 --> 01:03:47,003 君命を拒む者は… 死罪だ! 610 01:03:47,003 --> 01:03:54,144 <そして その年の 将軍家御花献上の大役は➡ 611 01:03:54,144 --> 01:03:58,014 御使番 吉田潤之助に回り➡ 612 01:03:58,014 --> 01:04:06,014 花作りの名人 永井喜八郎の 御役辞退が 人々の噂に上った> 613 01:04:15,165 --> 01:04:17,100 おっちゃん! これ 何じゃ? 614 01:04:17,100 --> 01:04:21,037 おお わらびじゃ これは食えるとか? 615 01:04:21,037 --> 01:04:23,037 おう 食えるとも! 616 01:04:27,177 --> 01:04:31,047 どうするんですか? うん? 617 01:04:31,047 --> 01:04:34,050 もう肥後菖蒲は諦めたんですか? 618 01:04:34,050 --> 01:04:40,190 もう忘れた 忘れることにした 619 01:04:40,190 --> 01:04:45,995 こうして新吉と一緒に 遊び暮らすのがいちばんだ 620 01:04:45,995 --> 01:04:47,995 嘘! 621 01:04:49,999 --> 01:04:53,136 あなたは そんな人じゃない 622 01:04:53,136 --> 01:04:59,008 いつか きっと花を手に入れて 私の前から消えていくんだ 623 01:04:59,008 --> 01:05:04,147 だって お侍なんだもの お侍の仕事があるんだもの! 624 01:05:04,147 --> 01:05:08,147 忘れるなんて… 夢よ そんなこと 625 01:05:11,020 --> 01:05:17,160 消えるときは 黙って消えてくださいね 626 01:05:17,160 --> 01:05:22,160 私に分からないように… 黙って… 627 01:05:28,171 --> 01:05:39,182 ♬~ 628 01:05:39,182 --> 01:05:44,020 (乙吉)ああっ あっ… あっあっ 629 01:05:44,020 --> 01:06:04,140 ♬~ 630 01:06:04,140 --> 01:06:24,160 ♬~ 631 01:06:24,160 --> 01:06:41,160 ♬~ 632 01:06:43,112 --> 01:06:49,986 いつか言ったわね… 私には身寄りが1人もいないって 633 01:06:49,986 --> 01:06:55,124 あれは嘘 嘘の本当 634 01:06:55,124 --> 01:07:00,997 さっきの女 妹なんです 妹の おりつなんです 635 01:07:00,997 --> 01:07:02,999 だけど あんな奴… 636 01:07:02,999 --> 01:07:05,999 妹だなんて思ったこと 一度だってありゃしない! 637 01:07:08,137 --> 01:07:16,012 ううん 妹だけじゃない ここに眠ってる ふた親だって… 638 01:07:16,012 --> 01:07:20,012 親だなんて 今だって思っちゃいませんよ 639 01:07:22,151 --> 01:07:28,024 私はね 6つのときに 親に捨てられたんですよ 640 01:07:28,024 --> 01:07:32,161 天草の漁師小屋に 置き去りにされたんです 641 01:07:32,161 --> 01:07:38,034 アハハハッ… 馬鹿な話じゃありませんか 642 01:07:38,034 --> 01:07:41,170 捨てられた私は さんざん苦労して 643 01:07:41,170 --> 01:07:44,073 汚れに汚れて やっと熊本に出てみりゃ➡ 644 01:07:44,073 --> 01:07:48,978 妹は成り上がりの 村方横目の奥方さま 645 01:07:48,978 --> 01:07:53,116 そんな奴… 妹って思えますか? 646 01:07:53,116 --> 01:07:56,986 少しでも かわいいなんて思えますか? 647 01:07:56,986 --> 01:08:03,126 おっちゃん! この花 何や? 648 01:08:03,126 --> 01:08:08,998 菖蒲だ! 早咲きの肥後菖蒲だ! どこにあった? 649 01:08:08,998 --> 01:08:12,135 そこの池に たくさん咲いとるたい 650 01:08:12,135 --> 01:08:32,155 ♬~ 651 01:08:32,155 --> 01:08:54,110 ♬~ 652 01:08:54,110 --> 01:08:59,982 そう… その目! 653 01:08:59,982 --> 01:09:04,120 あなたは菖蒲を 忘れてなんかいない 654 01:09:04,120 --> 01:09:08,991 いつか私を捨てて ここを出ていってしまう 655 01:09:08,991 --> 01:09:16,991 いや! いやよ! 行かないで! 行かないで! 656 01:09:21,137 --> 01:09:38,137 ♬~ 657 01:09:40,156 --> 01:10:00,109 ♬~ 658 01:10:00,109 --> 01:10:20,129 ♬~ 659 01:10:20,129 --> 01:10:38,147 ♬~ 660 01:10:38,147 --> 01:10:47,156 《そうか これが誠の肥後菖蒲か なるほど美しい》 661 01:10:47,156 --> 01:10:52,156 《誰が… 誰が一体 この美しさを作りだしたのだ?》 662 01:10:54,030 --> 01:10:59,168 《父上 いま この花を前にして私は➡ 663 01:10:59,168 --> 01:11:02,071 初めて 父上の探し求めておられた➡ 664 01:11:02,071 --> 01:11:06,042 自然の花の美しさが 分かってきた思いです》 665 01:11:06,042 --> 01:11:12,181 《この花を己のものとし この花以上の自然の花菖蒲…》 666 01:11:12,181 --> 01:11:16,181 《白い花の美しさを 極め尽くします》 667 01:11:23,192 --> 01:11:30,066 あの男が あの永井喜八郎が この花を… 668 01:11:30,066 --> 01:11:36,205 ≪(おりつ) いいえ 永井ではございません 669 01:11:36,205 --> 01:11:40,076 ≪ その花を作ったのは 私でございます 670 01:11:40,076 --> 01:11:42,011 ≪ 来てはなりません! 671 01:11:42,011 --> 01:11:49,151 私は あなたのお父上を殺しました 672 01:11:49,151 --> 01:11:54,151 ですから今年の御花献上使は お断りしたのでございます 673 01:11:56,025 --> 01:11:59,025 本当に申し訳ないことを… 674 01:12:03,165 --> 01:12:09,038 私の両親は キリシタンでございました 675 01:12:09,038 --> 01:12:12,174 私が生まれて まもないころ➡ 676 01:12:12,174 --> 01:12:16,045 一揆を起こしたお百姓たちが キリシタンの名目で次々に➡ 677 01:12:16,045 --> 01:12:21,045 斬られるのを見るに見かねて 自訴したそうでございます 678 01:12:23,185 --> 01:12:27,056 そのとき6つだった姉だけは 生き残ってほしい… 679 01:12:27,056 --> 01:12:32,056 そう祈りつつ 死んでいったのでございます 680 01:12:34,196 --> 01:12:39,068 まだ乳飲み子だった私は ある情け深いお方に➡ 681 01:12:39,068 --> 01:12:44,068 ひそかに助けられ そこで育ちました 682 01:12:46,142 --> 01:12:50,012 姉は このことを知りません 683 01:12:50,012 --> 01:12:56,152 ですから 今もって私を恨み 会おうとはしてくれません 684 01:12:56,152 --> 01:13:03,152 どうか どうか… このことを 姉にお伝えくださいませ 685 01:13:05,161 --> 01:13:09,031 おりつどの! いけません! 686 01:13:09,031 --> 01:13:14,170 私は もう どなたにも お目にかかりません 687 01:13:14,170 --> 01:13:17,073 ≪(男性)お帰りだ! 旦那さまのお帰りだ! 688 01:13:17,073 --> 01:13:22,073 お身が危のぅございます! 早く! 早く お逃げになって! 689 01:13:26,182 --> 01:13:30,182 おかえりなさいませ (女中)おかえりなさいませ 690 01:13:39,195 --> 01:13:43,065 御花献上使は江戸に着いた 691 01:13:43,065 --> 01:13:48,004 今ごろは 大御所さまにお目通り しているかもしれんのだぞ! 692 01:13:48,004 --> 01:13:54,143 分かるか おりつ! みんな お前のおかげだ 693 01:13:54,143 --> 01:13:57,046 お前のおかげで 俺は出世の糸口を つかみ損ねたのだ! 694 01:13:57,046 --> 01:13:59,015 この恩知らずめ! 695 01:13:59,015 --> 01:14:03,152 ≪(たたく音) 696 01:14:03,152 --> 01:14:07,023 (悲鳴) 697 01:14:07,023 --> 01:14:10,026 (乙吉の叫び声) 698 01:14:10,026 --> 01:14:13,026 うるさい! 引っ込んでろ! 699 01:14:15,164 --> 01:14:18,164 やめてください! (永井)どけ! 700 01:14:21,037 --> 01:14:26,037 そうだ いいことを教えてやろう 701 01:14:28,177 --> 01:14:30,112 お前は知るまいがな… 702 01:14:30,112 --> 01:14:35,112 お前を助けた養い親を 売ったのは… この俺なんだ 703 01:14:37,186 --> 01:14:40,089 そうなんだよ! 704 01:14:40,089 --> 01:14:44,994 お前に花作りを教えた養い親を この俺が売ったんだ! 705 01:14:44,994 --> 01:14:50,132 キリシタンの娘を ひそかに 引き取って育てているとな! 706 01:14:50,132 --> 01:14:53,035 おかげで俺は たんまり賞金をいただいた! 707 01:14:53,035 --> 01:14:57,006 その金で 今の身上を築き上げたんだ 708 01:14:57,006 --> 01:14:59,141 親に感謝するがいい 709 01:14:59,141 --> 01:15:04,013 黒髪の森に眠っている両方の親へ 手を合わせろ! 710 01:15:04,013 --> 01:15:07,016 「おりつは 幸せに暮らしています」とな! 711 01:15:07,016 --> 01:15:12,154 (笑い声) 712 01:15:12,154 --> 01:15:14,090 おりつが そんな目に遭ってるなんて➡ 713 01:15:14,090 --> 01:15:21,163 夢にも思わなかったよ… 早く会ってやりゃよかった 714 01:15:21,163 --> 01:15:26,035 会って もっと親の話を聞きたかった 715 01:15:26,035 --> 01:15:32,174 もう手遅れかもしれない おりつは私が救いだす 716 01:15:32,174 --> 01:15:36,045 あのままでは 必ず永井に責め殺される 717 01:15:36,045 --> 01:15:40,049 力ずくでも奪って連れ出す 718 01:15:40,049 --> 01:15:45,049 あの花作りの才を むざむざ 滅ぼすわけにはいかんのだ 719 01:15:50,126 --> 01:15:54,997 ≪♪(尺八の演奏) 720 01:15:54,997 --> 01:16:02,997 ♪~ 721 01:16:18,154 --> 01:16:23,025 ≪♪(尺八の演奏) 722 01:16:23,025 --> 01:16:43,112 ♪~ 723 01:16:43,112 --> 01:17:03,132 ♪~ 724 01:17:03,132 --> 01:17:09,132 ♪~ 725 01:17:11,006 --> 01:17:17,146 弥十郎 しばらくだった (又兵衛)田吹さん 726 01:17:17,146 --> 01:17:21,016 どういうわけだ? 2人そろって? 727 01:17:21,016 --> 01:17:25,020 (奥村)花は どうした? 肥後菖蒲は手に入ったか? 728 01:17:25,020 --> 01:17:31,020 いや まだだ だが必ず手に入れる その当てもある 729 01:17:33,162 --> 01:17:37,032 催促か? 俺の尻をたたきに来たのか? 730 01:17:37,032 --> 01:17:41,971 (奥村) 弥十郎 貴様を連れ戻しに来た 731 01:17:41,971 --> 01:17:45,107 連れ戻す? 732 01:17:45,107 --> 01:17:50,980 田吹さん 我々と一緒に 江戸に引き揚げてください 733 01:17:50,980 --> 01:17:52,982 今すぐに! 734 01:17:52,982 --> 01:17:57,982 情勢が変わった 花は もう無用なのだ 735 01:18:00,122 --> 01:18:07,997 無用? 無用とは何だ? 分からん 訳を聞こうではないか 736 01:18:07,997 --> 01:18:11,133 なぜ 花が無用なのだ! はっきりと言え! 737 01:18:11,133 --> 01:18:16,005 大御所は 病の床にある えっ? 738 01:18:16,005 --> 01:18:21,143 恐らく 夏までの ご寿命だろうという噂だ 739 01:18:21,143 --> 01:18:29,018 昨夜 届いた密書によれば 今年の御花献上は中止と決まった 740 01:18:29,018 --> 01:18:34,156 お役目は終わったのです もう危ない橋を渡ることもない 741 01:18:34,156 --> 01:18:37,059 江戸に帰ってください 742 01:18:37,059 --> 01:18:43,966 (奥村)お前の無念は分かる だが 戦は終わったのだ 743 01:18:43,966 --> 01:18:49,104 伊達と細川は 二度と争うこともないのだ 744 01:18:49,104 --> 01:18:52,975 黙って江戸に帰れ 745 01:18:52,975 --> 01:18:58,113 必ず俺たちが お家帰参をとりなす 746 01:18:58,113 --> 01:19:02,985 ご家老の指図か? そうなのか? 747 01:19:02,985 --> 01:19:04,985 弥十郎! 748 01:19:07,122 --> 01:19:11,994 俺は帰らぬ! 二度と再び 伊達家に戻るつもりはない! 749 01:19:11,994 --> 01:19:13,996 弥十郎どの! 750 01:19:13,996 --> 01:19:17,132 花は手に入れる… 俺がこの手で➡ 751 01:19:17,132 --> 01:19:21,003 花合戦に決着をつける! ご家老に そう伝えてくれ 752 01:19:21,003 --> 01:19:23,005 それは許さぬ なぜだ? 753 01:19:23,005 --> 01:19:27,142 万一 貴様が捕まったら 伊達家の家名に傷がつく 754 01:19:27,142 --> 01:19:32,014 殿が また天下の笑い者になる それだけは断じて許さぬ! 755 01:19:32,014 --> 01:19:37,152 家名だ? 伊達の家名だ? 756 01:19:37,152 --> 01:19:40,152 そんなものが 今の俺に何の関わりがある!? 757 01:19:42,958 --> 01:19:49,098 俺の父親は 伊達の家名のために死んだのだ 758 01:19:49,098 --> 01:19:53,969 殿の恥をそそぐために 腹を切ったのだ 759 01:19:53,969 --> 01:19:58,969 俺が この手で… この手で首を落としたのだ 760 01:20:01,110 --> 01:20:04,013 由紀は屋敷を追われた 761 01:20:04,013 --> 01:20:09,013 江戸を追われて この川に身を投げて死んだのだ 762 01:20:11,120 --> 01:20:13,120 由紀が? 763 01:20:14,990 --> 01:20:20,129 貴公らが江戸をたつとき ご家老は何と言われた? 764 01:20:20,129 --> 01:20:24,129 なぜ 藩中指折りの使い手を 2人も よこした!? 765 01:20:26,001 --> 01:20:29,138 それも家名を守るためか? 766 01:20:29,138 --> 01:20:33,008 俺が細川に捕らえられ 口を割るとでも思ったのか 767 01:20:33,008 --> 01:20:36,011 伊達の家名を 口にするとでも思ったのか 768 01:20:36,011 --> 01:20:42,151 それほど俺を見くびっていたのか もういい 帰ってくれ 769 01:20:42,151 --> 01:20:45,054 帰れ! 770 01:20:45,054 --> 01:20:48,023 (又兵衛)問答無用だ 771 01:20:48,023 --> 01:20:56,165 (奥村)弥十郎 これは君命だ 江戸に帰れ… 花を捨てろ! 772 01:20:56,165 --> 01:21:01,165 断る! 上意だ! 殿のご命令だぞ 773 01:21:04,039 --> 01:21:07,039 断る! 上意を拒むのか! 774 01:21:13,182 --> 01:21:15,117 断る! 775 01:21:15,117 --> 01:21:27,196 ♬~ 776 01:21:27,196 --> 01:21:29,131 ヤーッ! 777 01:21:29,131 --> 01:21:49,151 ♬~ 778 01:21:49,151 --> 01:21:58,160 ♬~ 779 01:21:58,160 --> 01:22:00,160 ウウッ! 780 01:22:03,031 --> 01:22:05,031 くそっ! 781 01:22:08,170 --> 01:22:14,042 (悲鳴) 782 01:22:14,042 --> 01:22:16,042 くそーっ! 783 01:22:39,134 --> 01:22:42,134 (悲鳴) 784 01:23:03,158 --> 01:23:05,158 ググッ… 785 01:23:10,032 --> 01:23:12,167 グアーッ! 786 01:23:12,167 --> 01:23:18,167 ≪(永井のうめき声) 787 01:23:54,142 --> 01:23:59,014 ≪♪(歌声) 788 01:23:59,014 --> 01:24:19,167 ♪~ 789 01:24:19,167 --> 01:24:39,187 ♪~ 790 01:24:39,187 --> 01:24:41,123 ♪~ 791 01:24:41,123 --> 01:24:43,123 おりつどの 792 01:25:08,150 --> 01:25:10,085 りつどの 793 01:25:10,085 --> 01:25:28,170 ♬~ 794 01:25:28,170 --> 01:25:30,105 おりつは… 795 01:25:30,105 --> 01:25:35,105 きっと この花だけは あなたに 残しときたかったんでしょう 796 01:25:48,123 --> 01:25:50,058 ありがとう 797 01:25:50,058 --> 01:26:10,145 ♬~ 798 01:26:10,145 --> 01:26:25,160 ♬~ 799 01:26:25,160 --> 01:26:30,160 (鳥のさえずり) 800 01:27:00,996 --> 01:27:07,135 花盗っ人め! 隠密を斬るのは各藩の習わし 801 01:27:07,135 --> 01:27:13,135 俺と貴様とが対決せねば ならんのは 承知のはず 802 01:27:45,974 --> 01:27:47,974 いくぞ! 803 01:27:53,114 --> 01:27:56,985 《この男 二天流か》 804 01:27:56,985 --> 01:27:59,988 イヤァーッ! 805 01:27:59,988 --> 01:28:20,141 ♬~ 806 01:28:20,141 --> 01:28:40,161 ♬~ 807 01:28:40,161 --> 01:29:00,115 ♬~ 808 01:29:00,115 --> 01:29:11,115 ♬~ 809 01:29:32,047 --> 01:29:37,018 待て! このまま 生きて➡ 810 01:29:37,018 --> 01:29:40,018 熊本を逃げ出せるとでも 思っているのか? 811 01:29:44,092 --> 01:29:46,995 運のいい奴だ 812 01:29:46,995 --> 01:29:53,101 (笑い声) 813 01:29:53,101 --> 01:29:55,101 負けた! 814 01:30:00,976 --> 01:30:06,114 <その日 江戸表よりの早馬が➡ 815 01:30:06,114 --> 01:30:10,986 大御所 徳川家斉の死を 熊本に告げた> 816 01:30:10,986 --> 01:30:19,127 <だが 田吹弥十郎は まだ そのことを知らない> 817 01:30:19,127 --> 01:30:23,999 <しかし 今の弥十郎には それを知る必要もなくなった> 818 01:30:23,999 --> 01:30:29,137 <そして 花菖蒲を手に➡ 819 01:30:29,137 --> 01:30:32,040 いずこともなく 去っていくのだった> 820 01:30:32,040 --> 01:30:52,160 ♬~ 821 01:30:52,160 --> 01:31:12,180 ♬~ 822 01:31:12,180 --> 01:31:32,200 ♬~ 823 01:31:32,200 --> 01:31:52,200 ♬~