1 00:01:17,662 --> 00:01:19,662 あっ 2 00:01:30,208 --> 00:01:32,208 うあーっ! 3 00:03:47,378 --> 00:03:51,382 今日中に追いつけましょうか 何事も長殿がお悪いのです 4 00:03:51,382 --> 00:03:55,486 家来の者が捕らわれたとて 兼親などの甘言にたぶらかされ 5 00:03:55,486 --> 00:03:57,922 我から館へ お出向きなさるなど 6 00:03:57,922 --> 00:03:59,922 急ぎましょう 7 00:04:04,762 --> 00:04:08,132 館様が日向の二階堂兼親様から お買い取りになった 8 00:04:08,132 --> 00:04:10,468 隼人族の男たちじゃ すると あの者たちも 9 00:04:10,468 --> 00:04:13,905 鉾立山の奥深く送られて 石を切り出すのじゃな 10 00:04:13,905 --> 00:04:16,507 そうじゃろう 切り出した その石と一緒に 11 00:04:16,507 --> 00:04:19,777 浪速とやらへ送られて 城作りに使われるとのことじゃ 12 00:04:19,777 --> 00:04:23,881 なるほど そういえば どれも屈強の者たちじゃが 13 00:04:23,881 --> 00:04:26,050 あっ あのむごい仕打ちはどうじゃ 14 00:04:26,050 --> 00:04:29,754 立たんか!福間様のお館だ 15 00:04:29,754 --> 00:04:31,754 力を入れて早う歩め 16 00:04:36,260 --> 00:04:40,331 威張るな 何? 17 00:04:40,331 --> 00:04:43,668 貴様! 18 00:04:43,668 --> 00:04:47,672 威張るなと言ってるのだ 19 00:04:47,672 --> 00:04:49,672 分からんか 20 00:04:56,147 --> 00:04:58,147 退け 21 00:05:09,494 --> 00:05:12,697 日限りを違えて 申し訳もござらぬ 何の 何の 22 00:05:12,697 --> 00:05:16,434 遠路のところ大儀でござった まっ 今宵はゆるりと 23 00:05:16,434 --> 00:05:18,469 お言葉ながら さような暇はござらん 24 00:05:18,469 --> 00:05:21,472 とはまた? このたびの輩の中には 25 00:05:21,472 --> 00:05:24,709 木之宮隼人の長が 交じっておりますれば 26 00:05:24,709 --> 00:05:27,445 留守中 いかような騒動が 起きるやもしれず 27 00:05:27,445 --> 00:05:30,548 よって すぐさま なれば たってとは申すまい 28 00:05:30,548 --> 00:05:33,584 では参って 館様にお目通りいたされ 29 00:05:33,584 --> 00:05:35,584 それでは後刻 30 00:05:37,989 --> 00:05:41,526 柴橋 取り急ぎ 酌女を5~6人集めろ 31 00:05:41,526 --> 00:05:43,995 はっ 今の方々を ご接待いたしますので? 32 00:05:43,995 --> 00:05:48,195 さようではない 京の都より お客人がお見えになるんだ 33 00:05:57,642 --> 00:06:00,344 あっ ちょっと 34 00:06:00,344 --> 00:06:02,344 まあ! 35 00:06:30,708 --> 00:06:33,778 馬扱いとは何事だ 肥後猿めが 36 00:06:33,778 --> 00:06:36,578 隼人をなめるにも程があるぞ シーッ 37 00:06:49,093 --> 00:06:51,896 おのれたちは 今日から当家の奴隷だ 38 00:06:51,896 --> 00:06:54,999 神妙にお指図に従わねば 逆吊りの罰に遭うぞ 39 00:06:54,999 --> 00:06:57,499 くっ… フフフ 40 00:07:09,347 --> 00:07:11,549 おい 佐多彦 41 00:07:11,549 --> 00:07:14,085 別れのはなむけに これをくれてやる 42 00:07:14,085 --> 00:07:16,085 受けろ! 43 00:07:21,359 --> 00:07:23,594 こら!おのれ 長殿を 44 00:07:23,594 --> 00:07:25,594 やめろ! 45 00:07:40,812 --> 00:07:43,881 兵衛 46 00:07:43,881 --> 00:07:48,252 忘れぬぞ おう 忘れるな 47 00:07:48,252 --> 00:07:50,752 息絶える時まで覚えとけ 48 00:07:53,591 --> 00:07:56,494 明朝早く鉾立山の石切り場へ発つ 49 00:07:56,494 --> 00:07:58,694 夕餉を済ませたら早く寝ろ 50 00:08:04,335 --> 00:08:08,539 長殿 お許しくださいませ 51 00:08:08,539 --> 00:08:11,375 次郎めに はかられたとはいえ 52 00:08:11,375 --> 00:08:14,278 我らの油断から 長殿までそのような 53 00:08:14,278 --> 00:08:16,278 申すな 54 00:08:21,953 --> 00:08:25,690 この佐多彦が単身 二階堂の館へ推参いたしたのは 55 00:08:25,690 --> 00:08:27,790 何のゆえだと? 56 00:08:30,394 --> 00:08:33,698 滅びるも栄えるも 57 00:08:33,698 --> 00:08:37,998 苦しみも楽しみも その方たちと 共にいたそうとの存念だぞ 58 00:08:39,971 --> 00:08:42,471 今さら さような愚痴を申すでない 59 00:08:49,313 --> 00:08:54,151 道はまだある 望みはまだ絶たれてはおらん 60 00:08:54,151 --> 00:08:57,451 泣くな 泣くでない 61 00:09:07,198 --> 00:09:09,300 兄たちの所在が知れました どこに? 62 00:09:09,300 --> 00:09:13,337 里人の噂では水俣の福間の館に 売られたとか 63 00:09:13,337 --> 00:09:16,037 まあ 福間の館 64 00:09:33,291 --> 00:09:35,927 あれから何年になりましょうかな 65 00:09:35,927 --> 00:09:41,699 うん 早いもので もう17年じゃ 66 00:09:41,699 --> 00:09:45,099 思えば長い世の乱れであった 67 00:09:48,072 --> 00:09:53,311 しかし秀吉公が 天下平定の糸口をつけられたで 68 00:09:53,311 --> 00:09:55,313 まずは やれやれというところじゃ 69 00:09:55,313 --> 00:09:57,581 まったくでござりまするな 70 00:09:57,581 --> 00:10:00,217 我々 豪族も これで安泰 71 00:10:00,217 --> 00:10:02,954 枕高く眠れまするが 72 00:10:02,954 --> 00:10:07,091 して あなた様 このたびの日向ご下向は 73 00:10:07,091 --> 00:10:10,995 うむ そのことじゃが 実はのう… 74 00:10:10,995 --> 00:10:13,898 申し上げます 何じゃ 75 00:10:13,898 --> 00:10:16,634 遊行女を 呼び込みましてござりまするが 76 00:10:16,634 --> 00:10:19,136 これはよい機転じゃ すぐさま これへ通せ 77 00:10:19,136 --> 00:10:21,136 はっ 78 00:10:25,543 --> 00:10:27,543 通れ はい 79 00:10:34,719 --> 00:10:37,621 そなたは今夜は拙者のものだ 80 00:10:37,621 --> 00:10:40,391 誰の所望にも応じてはならんぞ 81 00:10:40,391 --> 00:10:42,391 よいな はい 82 00:11:04,415 --> 00:11:09,215 (呼子笛) 83 00:11:15,626 --> 00:11:17,795 阿久根だ 84 00:11:17,795 --> 00:11:19,795 阿久根が来ている 85 00:12:09,080 --> 00:12:11,082 隼人の女だ 隼人の歌だ 86 00:12:11,082 --> 00:12:13,284 隼人の女たちが館の中にいます 87 00:12:13,284 --> 00:12:15,284 どうしたっていうのでしょう 88 00:13:04,368 --> 00:13:07,738 エッシャ コッシャ 89 00:13:07,738 --> 00:13:10,608 エッシャ コッシャ! 90 00:13:10,608 --> 00:13:13,408 エッシャ コッシャ… 91 00:13:33,464 --> 00:13:36,133 何事じゃな 隼人でござる 92 00:13:36,133 --> 00:13:38,602 隼人だと? 93 00:13:38,602 --> 00:13:42,940 奴隷の隼人どもが何か 騒いでいるものと思われまするが 94 00:13:42,940 --> 00:13:46,210 松川 手配りに 抜かりはあるまいの? 95 00:13:46,210 --> 00:13:48,279 ござりませぬ 96 00:13:48,279 --> 00:13:52,283 鎖の鍵はこうして 拙者が所持しておりまするゆえ 97 00:13:52,283 --> 00:13:54,785 いや それにしても せっかくの興がそがれる 98 00:13:54,785 --> 00:13:57,087 柴橋 取り静めてまいれ はっ 99 00:13:57,087 --> 00:14:00,387 エッシャ コッシャ エッシャ コッシャ… 100 00:14:11,202 --> 00:14:13,637 静まれ!やめろ やめんか 101 00:14:13,637 --> 00:14:15,839 やめろ 102 00:14:15,839 --> 00:14:19,476 京の高貴のお方様が お泊まりになっていられるのだ 103 00:14:19,476 --> 00:14:22,379 この上 騒ぎ立てると逆さづりだぞ 104 00:14:22,379 --> 00:14:24,481 面白い やってくれ 何! 105 00:14:24,481 --> 00:14:26,881 何? 控えろ 106 00:14:31,322 --> 00:14:34,225 明日は早いそうだ 107 00:14:34,225 --> 00:14:36,825 寝ろ はっ 108 00:15:37,187 --> 00:15:39,487 さあ早く 早く支度をおし 109 00:16:09,386 --> 00:16:12,089 阿久根か いえ 110 00:16:12,089 --> 00:16:14,224 川上の志乃です 111 00:16:14,224 --> 00:16:16,827 何? 112 00:16:16,827 --> 00:16:19,027 川上の志乃? 113 00:16:23,167 --> 00:16:25,267 鍵です 114 00:16:57,735 --> 00:17:00,771 馬だ 馬に乗れ! 115 00:17:00,771 --> 00:17:02,771 三郎次 馬だ 116 00:17:07,411 --> 00:17:09,913 お待ち 117 00:17:09,913 --> 00:17:12,816 村は違っても同じ隼人じゃないか お礼の一言ぐらい 118 00:17:12,816 --> 00:17:15,386 よせ 119 00:17:15,386 --> 00:17:17,521 この者たちを二階堂兼親に売り 120 00:17:17,521 --> 00:17:21,625 引いては俺を このような目に 遭わせた男を誰だと思う 121 00:17:21,625 --> 00:17:23,994 川上隼人のおぬしの一門 次郎だぞ 122 00:17:23,994 --> 00:17:25,994 えっ… 123 00:17:29,700 --> 00:17:33,270 京から来た身分高い客というのは 桂原様とか 124 00:17:33,270 --> 00:17:35,773 何 桂原? 125 00:17:35,773 --> 00:17:38,208 ええ 親子二人連れで日向の国へ 126 00:17:38,208 --> 00:17:41,745 長 早うせんと 館の者に気取られますぞ 127 00:17:41,745 --> 00:17:43,745 うむ よし 128 00:17:45,749 --> 00:17:50,521 長居は無用だ どさくさに紛れて山へ逃げろ 129 00:17:50,521 --> 00:17:52,721 捕られたとて俺は知らんぞ 130 00:17:57,094 --> 00:18:00,464 兄様 おお 阿久根 施鹿文 131 00:18:00,464 --> 00:18:02,864 さあ 早う早う 132 00:18:07,204 --> 00:18:09,204 さあ 続け! 133 00:18:13,844 --> 00:18:16,647 誰ぞおらぬか 出合え 出合え! 134 00:18:16,647 --> 00:18:19,082 誰ぞおらぬか 出合え 135 00:18:19,082 --> 00:18:21,082 出合え! 136 00:18:32,796 --> 00:18:34,796 こっちへおいで 137 00:18:50,948 --> 00:18:54,418 石切り場は足場が悪く 死人の絶え間がないと聞くが 138 00:18:54,418 --> 00:18:56,854 つつがなく山を下る隼人は 数少なかろう 139 00:18:56,854 --> 00:19:00,057 しかし いずれも劣らぬ 屈強の者どもばかりゆえ 140 00:19:00,057 --> 00:19:02,559 なに 無事に山を下ったところで 141 00:19:02,559 --> 00:19:05,796 すぐさま石とともに 浪速に送られてしまうのだ 142 00:19:05,796 --> 00:19:09,096 あいつらが生まれ故郷に 立ち返ることは もはや… 143 00:19:18,275 --> 00:19:20,375 あっ 144 00:19:22,880 --> 00:19:24,948 おい 兵衛 145 00:19:24,948 --> 00:19:28,318 俺は昨日 忘れぬぞと言ったはずだ 146 00:19:28,318 --> 00:19:30,318 覚えているか 147 00:19:34,825 --> 00:19:36,927 なるほどのう 148 00:19:36,927 --> 00:19:40,197 それが おのれの返答か 149 00:19:40,197 --> 00:19:42,397 黙れ たあー! 150 00:20:37,087 --> 00:20:39,087 おのれ! 151 00:21:06,650 --> 00:21:09,453 あの山の尾根の向こうが木之宮だ 152 00:21:09,453 --> 00:21:12,356 よくここまで帰れたものだ まったくじゃ 153 00:21:12,356 --> 00:21:14,891 福間の馬置き場に 放り込まれた時には 154 00:21:14,891 --> 00:21:18,929 生きて在所の土が踏めるとは 思わなんだ 155 00:21:18,929 --> 00:21:21,832 うーん 156 00:21:21,832 --> 00:21:25,335 阿久根 そなたはしばし 白縫橋の辺りで待て 157 00:21:25,335 --> 00:21:29,039 待って何を? 京の都から参る2人の旅人の 158 00:21:29,039 --> 00:21:32,309 素性を確かめるのだ 159 00:21:32,309 --> 00:21:34,309 はい 160 00:21:58,402 --> 00:22:01,038 お待ちなされませ 161 00:22:01,038 --> 00:22:03,240 その道は危のうございます 162 00:22:03,240 --> 00:22:06,443 何 危ない? 心良からぬ隼人の者が 163 00:22:06,443 --> 00:22:09,880 昨日 その先で旅のお方を 164 00:22:09,880 --> 00:22:12,280 まことか はい 165 00:22:14,718 --> 00:22:17,320 私が途中まで 道案内をつかまつります 166 00:22:17,320 --> 00:22:19,320 この道をおいでなされませ 167 00:22:37,340 --> 00:22:39,910 いずれまで おいでになります? 168 00:22:39,910 --> 00:22:41,912 二階堂兼親殿のお館じゃ 169 00:22:41,912 --> 00:22:44,781 いずれから おいでなさいました? 京の都から 170 00:22:44,781 --> 00:22:46,783 初めての ご下向でございますか? 171 00:22:46,783 --> 00:22:50,954 拙者はそうだ しかし父は かつては日向の国司であった 172 00:22:50,954 --> 00:22:53,423 まあ ご記憶はござらぬか 173 00:22:53,423 --> 00:22:55,459 それは あるまいよ 174 00:22:55,459 --> 00:22:57,561 17年も前のことじゃ 175 00:22:57,561 --> 00:23:01,331 この老いぼれは桂原忠通 176 00:23:01,331 --> 00:23:03,731 拙者は主税介と申す 177 00:23:05,736 --> 00:23:08,505 私は佐野郷に住む 178 00:23:08,505 --> 00:23:11,475 玉尾と申しまする者 179 00:23:11,475 --> 00:23:13,543 佐野郷の玉尾殿 180 00:23:13,543 --> 00:23:15,846 はい 181 00:23:15,846 --> 00:23:18,448 して このたびは また何のご用で? 182 00:23:18,448 --> 00:23:21,952 帝が我が国司としての 功を嘉せられ 183 00:23:21,952 --> 00:23:24,121 その節 田地をくだされたのじゃ 184 00:23:24,121 --> 00:23:28,558 遠国のことではあるし 土地の豪族どもに任せておいたが 185 00:23:28,558 --> 00:23:32,829 戦乱も収まったので我が所領を 確かめておこうと思っての 186 00:23:32,829 --> 00:23:37,467 さようでございましたか それはご足労さまにございます 187 00:23:37,467 --> 00:23:40,367 どうやら難所を過ぎました それでは これで 188 00:24:10,901 --> 00:24:12,901 刀根様! 189 00:24:14,905 --> 00:24:18,605 刀根様 刀根様 190 00:24:20,677 --> 00:24:24,347 何じゃ 長殿が 長殿が帰ってみえました 191 00:24:24,347 --> 00:24:26,747 えっ 佐多彦が? 192 00:24:36,326 --> 00:24:39,529 佐多彦 よく 伯母御 193 00:24:39,529 --> 00:24:41,598 よくお帰りでした 194 00:24:41,598 --> 00:24:43,598 ええ 195 00:24:46,970 --> 00:24:50,941 早速じゃが川上の次郎についての 噂を聞かれぬか 196 00:24:50,941 --> 00:24:54,411 聞きました 次郎は二階堂兼親から 197 00:24:54,411 --> 00:24:56,479 田代の陣屋をあてがわれ 198 00:24:56,479 --> 00:24:59,149 豊かに暮らしているとのこと 199 00:24:59,149 --> 00:25:03,420 裏切り者め 長 これよりすぐさま田代の陣屋へ 200 00:25:03,420 --> 00:25:06,990 襲えば どうでも兼親を 相手に回さねばならんが 201 00:25:06,990 --> 00:25:09,092 覚悟があるか あるとも 202 00:25:09,092 --> 00:25:14,831 ならばよし もはや隠忍自重の時ではあるまい 203 00:25:14,831 --> 00:25:17,033 玄蕃 玄蕃はおらぬか 204 00:25:17,033 --> 00:25:19,033 ははっ 205 00:25:26,209 --> 00:25:29,512 お呼びで? 忠通様のお話によれば 206 00:25:29,512 --> 00:25:32,916 肥後へ送った隼人どもが 福間の館を脱走し 207 00:25:32,916 --> 00:25:36,586 鷹の巣峠で平岩兵衛らを 皆殺しにしたとのことじゃ 208 00:25:36,586 --> 00:25:39,189 えっ 恐らくは その足で 209 00:25:39,189 --> 00:25:42,092 木之宮の山中へ 立ち戻ったと思えるが 210 00:25:42,092 --> 00:25:44,527 いつ何時 不意を襲ってくるかも 分からん 211 00:25:44,527 --> 00:25:46,730 西崎豊後 大内備前 212 00:25:46,730 --> 00:25:50,467 並びに田代陣屋の次郎へ この旨を申し伝えい 213 00:25:50,467 --> 00:25:52,467 ははっ 214 00:26:25,035 --> 00:26:27,437 兼親の手の者だ 215 00:26:27,437 --> 00:26:29,637 押し包んで ひっ捕らえろ 216 00:26:44,354 --> 00:26:46,354 待て あっ 217 00:27:23,293 --> 00:27:26,997 兼親様お使者として 箕輪玄蕃様がお見えにござります 218 00:27:26,997 --> 00:27:29,666 何 玄蕃殿が? 219 00:27:29,666 --> 00:27:32,366 はい お客間に ふーん 220 00:27:34,371 --> 00:27:37,140 おお これは玄蕃殿 221 00:27:37,140 --> 00:27:39,876 何用あって いらせられた? 222 00:27:39,876 --> 00:27:43,613 余の儀でもござらぬが 223 00:27:43,613 --> 00:27:46,816 どうなされた? いや なに 224 00:27:46,816 --> 00:27:50,487 実はその 肥後へ送られた 隼人どもが逃亡し 225 00:27:50,487 --> 00:27:55,325 えっ? 護送の者を皆殺しにいたした由 226 00:27:55,325 --> 00:27:58,995 して あやつらは今 いずれに? 227 00:27:58,995 --> 00:28:01,195 フフフフ 228 00:28:03,199 --> 00:28:05,201 ハハハハ 229 00:28:05,201 --> 00:28:07,203 ああっ! 230 00:28:07,203 --> 00:28:10,040 何を驚く? 231 00:28:10,040 --> 00:28:12,142 木之宮の隼人が おのれらごときの罠に 232 00:28:12,142 --> 00:28:14,210 はめられたまま 233 00:28:14,210 --> 00:28:17,610 遠い他国で滅び果てると 思うていたか 234 00:28:21,217 --> 00:28:25,288 ご先祖様のお遺訓を忘れ 235 00:28:25,288 --> 00:28:28,725 私欲のために 血を分けた はらからを裏切るばかりか 236 00:28:28,725 --> 00:28:31,594 我ら隼人の土地を奪い 237 00:28:31,594 --> 00:28:37,194 多くの者を殺傷した人鬼の鼻毛の チリを払うとは おのれ! 238 00:28:40,370 --> 00:28:42,370 うあー! 239 00:29:01,624 --> 00:29:03,624 おーい 240 00:29:08,131 --> 00:29:10,467 木之宮の佐多彦だ 241 00:29:10,467 --> 00:29:12,467 比古田の長はおらんか 242 00:29:20,577 --> 00:29:23,913 おじ御 聞こえるか 243 00:29:23,913 --> 00:29:27,817 ああ 聞こえるぞ 244 00:29:27,817 --> 00:29:31,888 おじ御はもうろくして物の示しが つけられぬと知ったゆえにな 245 00:29:31,888 --> 00:29:35,558 俺が代わって次郎めを成敗したぞ 246 00:29:35,558 --> 00:29:38,628 ただし死ねば もはや罪はない 247 00:29:38,628 --> 00:29:40,763 屍をここへ運んできたゆえ 248 00:29:40,763 --> 00:29:42,963 手厚く葬ってやることだ 249 00:29:45,268 --> 00:29:49,105 それからな もし志乃が帰ってきたら 250 00:29:49,105 --> 00:29:52,675 木之宮の者が礼を言っていたと 伝えてくれ 251 00:29:52,675 --> 00:29:54,677 肥後の水俣という所で 252 00:29:54,677 --> 00:29:57,777 俺たちを救ってくれたのは あの一行だった 253 00:30:00,216 --> 00:30:03,616 あれらこそは まことの隼人の娘たちだぞ 254 00:30:52,735 --> 00:30:55,505 出過ぎたまねをする奴らだ 255 00:30:55,505 --> 00:30:58,208 成敗するなら 川上隼人の我々がやる 256 00:30:58,208 --> 00:31:00,210 そうだ! 257 00:31:00,210 --> 00:31:02,410 出過ぎた奴らだ 申すな 258 00:31:08,117 --> 00:31:10,486 たわけめが 259 00:31:10,486 --> 00:31:13,623 あれほど くどく申し聞かせたに 260 00:31:13,623 --> 00:31:17,393 兼親連れの甘言に乗って 味方を売り 261 00:31:17,393 --> 00:31:20,893 かほど無残に身を滅ぼすとは 262 00:31:23,366 --> 00:31:27,437 わしの手でおのれを 成敗するは容易であった 263 00:31:27,437 --> 00:31:31,007 ただし それでは 兼親一族を敵に取り 264 00:31:31,007 --> 00:31:33,276 もし敗れた節には 265 00:31:33,276 --> 00:31:36,646 せっかく開いた この土地を奪われ 266 00:31:36,646 --> 00:31:40,950 またまた山深く追われねばならん 267 00:31:40,950 --> 00:31:45,150 それでは皆の者が不憫と思うて 268 00:31:47,290 --> 00:31:50,093 お父様 269 00:31:50,093 --> 00:31:53,830 志乃様だ 270 00:31:53,830 --> 00:31:56,466 あっ おかえりなさいませ 271 00:31:56,466 --> 00:31:58,568 先ほど あちらへ遠ざかった 騎馬の者たちは? 272 00:31:58,568 --> 00:32:01,437 木之宮の隼人どもにございます まあ 273 00:32:01,437 --> 00:32:05,742 佐多彦が次郎を討ち果たし あのように その死骸を 274 00:32:05,742 --> 00:32:07,742 えっ 275 00:32:13,516 --> 00:32:16,319 志乃 276 00:32:16,319 --> 00:32:20,623 次郎がことは知っていようの 277 00:32:20,623 --> 00:32:23,993 はい 佐多彦の処置は当然 278 00:32:23,993 --> 00:32:26,562 至極もっともなことゆえ 279 00:32:26,562 --> 00:32:28,798 恨む気などは さらさらないが 280 00:32:28,798 --> 00:32:32,235 今しばらく 耐え忍んでくれねばのう 281 00:32:32,235 --> 00:32:35,972 なぜ なぜ耐え忍ばなければ ならないのです? 282 00:32:35,972 --> 00:32:39,609 今の隼人に戦う力はない 283 00:32:39,609 --> 00:32:42,779 なければ またまた兼親に追われて… 284 00:32:42,779 --> 00:32:46,916 なぜ追われなければ ならないので? 285 00:32:46,916 --> 00:32:50,186 世は変わりました 秀吉というお方が 286 00:32:50,186 --> 00:32:52,288 天下平定の糸口をつけられ 287 00:32:52,288 --> 00:32:55,325 豊前や肥後の戦乱は 次々にやんでいます 288 00:32:55,325 --> 00:32:59,329 いずれは日向にも力が及んで 世は太平になりましょう 289 00:32:59,329 --> 00:33:01,964 その時 私たちは どうなるとお思いです? 290 00:33:01,964 --> 00:33:05,201 どうなるのじゃ 豪族が隼人から奪った土地は 291 00:33:05,201 --> 00:33:08,838 そのまま あの者たちの 所領になるのです 292 00:33:08,838 --> 00:33:11,974 もし その後で事を起こせば 謀反人として 293 00:33:11,974 --> 00:33:13,976 もっと大きな もっと強い敵を 294 00:33:13,976 --> 00:33:16,245 相手にしなければ ならないのですよ 295 00:33:16,245 --> 00:33:19,382 されば どういたせば? 296 00:33:19,382 --> 00:33:22,485 今 戦うのです 何じゃと? 297 00:33:22,485 --> 00:33:24,985 みんな あれを はい 298 00:33:34,364 --> 00:33:37,166 ご覧なさい さすらいの1年の間に 299 00:33:37,166 --> 00:33:39,766 私たちが蓄えた金銀です 300 00:33:42,772 --> 00:33:47,009 孫九郎 山づたいに 大隅の国分という所へ行けば 301 00:33:47,009 --> 00:33:50,313 そこの宅兵衛という人が 武器を整えてくれます 302 00:33:50,313 --> 00:33:53,383 これを持って皆と一緒に すぐさまお発ち 303 00:33:53,383 --> 00:33:55,383 はい 304 00:34:03,159 --> 00:34:06,359 おかえり 阿久根が帰っていますよ 305 00:34:10,633 --> 00:34:12,668 おお おかえりなさい 306 00:34:12,668 --> 00:34:16,005 阿久根 どうだった? 307 00:34:16,005 --> 00:34:19,308 お年寄りは桂原忠通様とか 308 00:34:19,308 --> 00:34:21,377 何 忠通? 309 00:34:21,377 --> 00:34:23,379 ええ この日向の 310 00:34:23,379 --> 00:34:25,815 最後の国司を務めた お方だそうです 311 00:34:25,815 --> 00:34:27,815 やっぱり 312 00:34:30,319 --> 00:34:32,422 やっぱりそうか 313 00:34:32,422 --> 00:34:35,191 してまた今さら何用あって 314 00:34:35,191 --> 00:34:37,293 ご子息の主税介様ともども 315 00:34:37,293 --> 00:34:40,296 ご自分の領地の見分に 来られたのだそうですけど 316 00:34:40,296 --> 00:34:42,298 お二人とも気さくな 品のよいお人… 317 00:34:42,298 --> 00:34:45,568 黙れ!何が気さくだ 318 00:34:45,568 --> 00:34:49,005 何が品のよいお人柄だ 319 00:34:49,005 --> 00:34:51,808 土地強奪の口火を切ったのは 誰でもない 320 00:34:51,808 --> 00:34:54,108 その忠通だぞ ええ? 321 00:35:01,684 --> 00:35:04,454 次郎の他は 誰も手にかけなかったのじゃな? 322 00:35:04,454 --> 00:35:07,857 さようにござります 本日は次郎の成敗のみ 323 00:35:07,857 --> 00:35:10,226 余の者には後日改めて見参と 324 00:35:10,226 --> 00:35:12,328 何 改めて見参? 325 00:35:12,328 --> 00:35:15,364 二階堂とて 世もこのままには捨ておくまい 326 00:35:15,364 --> 00:35:19,068 我らとて後へは退かぬ さすれば いずれは生死を懸けて 327 00:35:19,068 --> 00:35:21,304 思い上がり者めが 328 00:35:21,304 --> 00:35:23,404 よくぞ ほざきおった 329 00:35:26,809 --> 00:35:28,809 豊後様と備前様が 330 00:35:30,813 --> 00:35:33,950 次郎が討たれたとか そのことよ 331 00:35:33,950 --> 00:35:38,488 玄蕃が手抜かりをしおって まんまと奴らに虚を突かれたわ 332 00:35:38,488 --> 00:35:41,224 おぬしらも油断はならんぞ なに 333 00:35:41,224 --> 00:35:43,292 たかが隼人の40や50 334 00:35:43,292 --> 00:35:45,495 折をとらえて 一気に潰すまでのこと 335 00:35:45,495 --> 00:35:48,598 ハッ さすれば またまた 領地が増えましょう 336 00:35:48,598 --> 00:35:50,733 うーん それもそうじゃが 337 00:35:50,733 --> 00:35:53,069 して忠通様は いずれに? 338 00:35:53,069 --> 00:35:56,169 おお そうであった 案内しよう 339 00:36:07,550 --> 00:36:10,686 豊後と備前が お目通りを願いおりまする 340 00:36:10,686 --> 00:36:12,688 おお それは 久方ぶりの御拝顔 341 00:36:12,688 --> 00:36:16,359 恐悦に存じまする いや かたじけない 342 00:36:16,359 --> 00:36:18,928 おかげで年々の運上も届き 343 00:36:18,928 --> 00:36:22,331 参ってみれば田壮も 昔に勝る豊かさじゃ 344 00:36:22,331 --> 00:36:25,868 お手前方の長年の丹精 ありがたく思いまするぞ 345 00:36:25,868 --> 00:36:29,472 恐れ入ります これに控えたは 346 00:36:29,472 --> 00:36:31,774 わしの一子 主税介じゃ 347 00:36:31,774 --> 00:36:35,211 至らぬ者じゃが見知りおかれ よろしく 348 00:36:35,211 --> 00:36:37,947 いえ やつがれどもこそ幾久しく 349 00:36:37,947 --> 00:36:41,484 御前 かれこれ 酒肴の用意も整いましたら 350 00:36:41,484 --> 00:36:44,420 あちらへ 若殿もご一緒に 351 00:36:44,420 --> 00:36:48,391 いや 拙者は不調法にござれば 後刻 352 00:36:48,391 --> 00:36:50,860 まあまあ そう仰せられずと 353 00:36:50,860 --> 00:36:54,297 よいよい その上 お誘いくださるな 354 00:36:54,297 --> 00:36:57,633 一度言い出したら テコでも動かぬ気性でな 355 00:36:57,633 --> 00:37:02,133 ハハハ では こちらへ 膳を運ばせましょう 356 00:37:08,044 --> 00:37:10,644 そうじゃ 忘れていた 357 00:37:12,648 --> 00:37:16,552 これは この近郷の絵図でござるが 358 00:37:16,552 --> 00:37:19,689 いずれは若殿のものとなる領地 359 00:37:19,689 --> 00:37:22,089 とくと ご覧くだされ 360 00:37:57,360 --> 00:38:01,430 お言葉ではござりまするが そのような娘御は この里には 361 00:38:01,430 --> 00:38:03,666 おらんと申すか はい 362 00:38:03,666 --> 00:38:05,735 はてのう 363 00:38:05,735 --> 00:38:09,238 確かに佐野郷の玉尾と 名乗ったんだが 364 00:38:09,238 --> 00:38:11,238 手間を取らせた 365 00:38:36,732 --> 00:38:41,432 玉尾だ おーい!玉尾殿 366 00:39:11,133 --> 00:39:14,033 待て 待ってくれ 玉尾殿 367 00:39:15,971 --> 00:39:17,971 待て 368 00:39:20,309 --> 00:39:24,814 承ろう 何ゆえ そなたは拙者を避ける? 369 00:39:24,814 --> 00:39:27,049 そちら様こそ お聞かせなされませ 370 00:39:27,049 --> 00:39:29,819 何ゆえ あなた様は このような所まで 371 00:39:29,819 --> 00:39:32,119 私を追いかけて おいでなさいました? 372 00:39:34,156 --> 00:39:38,056 会いたかったのだ 会って 親しく語り合ってみたかったのだ 373 00:39:40,229 --> 00:39:42,898 先ほど拙者は 佐野郷まで参ってみた 374 00:39:42,898 --> 00:39:45,898 しかし そこには 玉尾という名の娘はいなかった 375 00:39:48,003 --> 00:39:51,807 そのはずです 私は佐野郷の者でもなければ 376 00:39:51,807 --> 00:39:54,443 また玉尾とも申しません 377 00:39:54,443 --> 00:39:57,146 まことの名は阿久根です 378 00:39:57,146 --> 00:39:59,146 阿久根 379 00:40:01,150 --> 00:40:04,687 聞かせてくれ そなたは いずれに住み 380 00:40:04,687 --> 00:40:07,156 どのような素性の者だ 381 00:40:07,156 --> 00:40:10,526 私は隼人です 何? 382 00:40:10,526 --> 00:40:14,063 隼人 383 00:40:14,063 --> 00:40:16,699 お分かりでしょうか 384 00:40:16,699 --> 00:40:21,070 あなたは父忠通の報いを 受けなければならないのですよ 385 00:40:21,070 --> 00:40:23,906 報い? 386 00:40:23,906 --> 00:40:27,343 報いとは何だ シーッ 387 00:40:27,343 --> 00:40:30,780 あれ あれをお聞き 388 00:40:30,780 --> 00:40:35,780 エッシャ コッシャ エッシャ コッシャ 389 00:40:39,822 --> 00:40:43,922 エッシャ コッシャ エッシャ コッシャ 390 00:40:51,700 --> 00:40:55,500 エッシャ コッシャ エッシャ コッシャ 391 00:41:26,402 --> 00:41:29,738 どうする気だ ほざくな 慮外者 392 00:41:29,738 --> 00:41:32,638 何ゆえあって このような 主税介 393 00:41:36,345 --> 00:41:40,945 何奴だ 木之宮の隼人の長 佐多彦だ 394 00:41:42,885 --> 00:41:45,785 せっかく抜いたものを 無下に収めもできまい 395 00:41:51,927 --> 00:41:53,927 俺が相手だ 来い 396 00:43:04,934 --> 00:43:09,104 兼親殿 まだどこからも 主税介の消息は? 397 00:43:09,104 --> 00:43:11,807 まあまあ 落ち着かれませ 398 00:43:11,807 --> 00:43:15,907 やがて探索の家人どもも 戻ってまいりましょうほどに 399 00:43:18,213 --> 00:43:21,550 何を申すにも不案内の土地のこと 400 00:43:21,550 --> 00:43:23,919 もし ひょっとして 401 00:43:23,919 --> 00:43:28,023 いや 若殿も わらべではござりませぬ 402 00:43:28,023 --> 00:43:31,860 加えて剣は吉岡流の皆伝とあれば 403 00:43:31,860 --> 00:43:34,360 めったなことも ござりますまい 404 00:43:40,636 --> 00:43:43,238 こりゃ 開けい! 405 00:43:43,238 --> 00:43:45,708 開けい 406 00:43:45,708 --> 00:43:47,977 開けぬか 407 00:43:47,977 --> 00:43:51,377 開けい 開けい! 408 00:44:00,990 --> 00:44:03,092 何とした 409 00:44:03,092 --> 00:44:05,094 いえ あの 410 00:44:05,094 --> 00:44:08,397 風が… 風? 411 00:44:08,397 --> 00:44:12,735 吹き荒れるのではないでしょうか 412 00:44:12,735 --> 00:44:14,737 吹き荒れるとも 413 00:44:14,737 --> 00:44:18,440 かくなっては もはや後へは引けぬ 414 00:44:18,440 --> 00:44:21,640 隼人の風は 吹いて吹いて吹きまくるのだ 415 00:44:57,880 --> 00:45:00,880 誰じゃ そこにいるのは誰じゃ 416 00:45:03,919 --> 00:45:07,189 木之宮隼人の長 417 00:45:07,189 --> 00:45:09,458 佐多彦だ 418 00:45:09,458 --> 00:45:13,158 17年前の罪の報いを 思い知ったか 419 00:45:17,499 --> 00:45:21,070 因果応報の天の思し召し 420 00:45:21,070 --> 00:45:26,141 おのれが思い知らぬ限り 主税介の一命は助からん 421 00:45:26,141 --> 00:45:28,941 我が刀のサビとなるのだ 422 00:45:32,581 --> 00:45:35,684 返答は何と 423 00:45:35,684 --> 00:45:37,984 おのれ しかと返答せい! 424 00:45:55,037 --> 00:45:57,037 うあーっ! 425 00:46:09,218 --> 00:46:11,218 夢か 426 00:46:25,534 --> 00:46:27,536 お聞かせくだされ 427 00:46:27,536 --> 00:46:31,140 主税介は確かに 428 00:46:31,140 --> 00:46:34,476 確かに隼人の者に さらわれたのでござろうか 429 00:46:34,476 --> 00:46:36,745 確答は致しかねまするが 430 00:46:36,745 --> 00:46:41,083 恐らく その玉尾と名乗る女に たばかられ 山中深く 431 00:46:41,083 --> 00:46:45,154 さすれば主税介の生死 432 00:46:45,154 --> 00:46:47,422 生死のほどは何と 433 00:46:47,422 --> 00:46:51,126 それを確かめんがために 今しがた物見の者を 434 00:46:51,126 --> 00:46:53,126 兼親殿 435 00:46:55,197 --> 00:46:58,133 あれは わしの命じゃ 436 00:46:58,133 --> 00:47:00,936 あれに万一のことがあっては 437 00:47:00,936 --> 00:47:04,636 この老骨 一日たりとも 生きる瀬はござらん 438 00:47:06,642 --> 00:47:09,845 たとえ帝のご宣旨を 439 00:47:09,845 --> 00:47:12,447 隼人の者に手渡そうとも 440 00:47:12,447 --> 00:47:15,017 帝のご宣旨? 441 00:47:15,017 --> 00:47:17,719 そうじゃ ご宣旨じゃ 442 00:47:17,719 --> 00:47:21,557 17年前に帝がくだされた 443 00:47:21,557 --> 00:47:23,857 所領安渡のお書付 444 00:47:25,827 --> 00:47:29,198 これを隼人に遣わし 445 00:47:29,198 --> 00:47:31,967 我が土地は失うとも 446 00:47:31,967 --> 00:47:34,867 主税介の一命だけは 447 00:47:36,905 --> 00:47:41,410 頼み入る お願い申す! 448 00:47:41,410 --> 00:47:44,710 一刻も早く主税介を… 449 00:47:51,019 --> 00:47:53,322 どうだ 主税介 450 00:47:53,322 --> 00:47:57,159 山の夜風の冷たさが身に染みたか 黙れ! 451 00:47:57,159 --> 00:48:00,062 何ゆえ かような扱いを致すか その子細を申せ 452 00:48:00,062 --> 00:48:02,331 子細とは余の儀でもない 453 00:48:02,331 --> 00:48:04,531 とくと これを見ろ 454 00:48:10,973 --> 00:48:15,573 それはな 17年前の この辺りの見取り図だが 455 00:48:17,646 --> 00:48:20,415 当時の隼人は それだけの土地を所持して 456 00:48:20,415 --> 00:48:24,019 幸せに暮らしていたのだ 457 00:48:24,019 --> 00:48:27,723 それを桂原忠通という大盗っ人が 豪族どもを手先に使って… 458 00:48:27,723 --> 00:48:30,826 申すな!父上は さようなお人ではない 459 00:48:30,826 --> 00:48:33,996 バカこけ 俺の兄貴は その時 殺されたんだぞ 460 00:48:33,996 --> 00:48:38,100 俺の父御は捕らわれて兼親の 親方の牢内で飢え死にしたんだ 461 00:48:38,100 --> 00:48:43,071 家は焼かれ 手向かった者は 一人残らず殺されて 462 00:48:43,071 --> 00:48:46,575 私たちは散り散りに この山奥へ追われたのです 463 00:48:46,575 --> 00:48:49,275 それからの隼人の苦しみ 464 00:48:51,980 --> 00:48:55,450 食するに穀物なく 465 00:48:55,450 --> 00:48:58,787 雨露しのぐ家もなく 地獄さながらに明け暮れた 466 00:48:58,787 --> 00:49:00,787 歳月のその長さ 467 00:49:02,791 --> 00:49:05,193 おのれなどには分かるまい 468 00:49:05,193 --> 00:49:07,829 されば この身を どうしようと申すのだ 469 00:49:07,829 --> 00:49:11,300 そちらの心がけ次第よ 470 00:49:11,300 --> 00:49:14,002 おのれの父が手に収め 471 00:49:14,002 --> 00:49:17,205 豪族どもが我が所領に加えた 隼人の土地を昔に戻すなら 472 00:49:17,205 --> 00:49:19,241 罪は問わん 473 00:49:19,241 --> 00:49:22,978 すぐさま解き放してつかわそう 474 00:49:22,978 --> 00:49:26,048 かなわぬことだ 475 00:49:26,048 --> 00:49:29,651 たとえ父上が その所存でも 兼親殿が許すまい 476 00:49:29,651 --> 00:49:33,455 なれば この牢内で相果てろ 477 00:49:33,455 --> 00:49:36,558 三郎次の父御がその昔 478 00:49:36,558 --> 00:49:40,458 兼親の館の牢内で 飢え死んだようにな 479 00:49:48,637 --> 00:49:51,073 伯母御 我らはこれより 480 00:49:51,073 --> 00:49:55,310 まさかの時に備えて 狼坂の隠し砦を見て参るほどに 481 00:49:55,310 --> 00:49:58,110 留守を頼む 心得ました 482 00:50:29,544 --> 00:50:33,415 その中には焼き米が入っている 噛めば少しは救われましょう 483 00:50:33,415 --> 00:50:35,917 待て 484 00:50:35,917 --> 00:50:38,787 そなたに聞きたいことがある 何です? 485 00:50:38,787 --> 00:50:41,890 そなたも やはり我が父 486 00:50:41,890 --> 00:50:43,892 桂原忠通が憎いか 487 00:50:43,892 --> 00:50:46,495 申すまでもないこと 憎いのか 488 00:50:46,495 --> 00:50:48,795 憎い 憎みます! 489 00:50:51,099 --> 00:50:54,803 そうか 490 00:50:54,803 --> 00:50:57,973 拙者にとっては神仏にも勝る 491 00:50:57,973 --> 00:51:00,673 この世に掛け替えのない父上だが 492 00:51:07,516 --> 00:51:10,016 せっかくだが辞退しよう 493 00:51:15,123 --> 00:51:17,659 拙者の身を案じるあまり 494 00:51:17,659 --> 00:51:22,931 父上には しばしの眠りはおろか ろくにお食事も取れてはいまい 495 00:51:22,931 --> 00:51:25,131 空腹を満たしては相済まぬ 496 00:51:27,369 --> 00:51:30,405 事の理非は二の次だ 497 00:51:30,405 --> 00:51:35,243 たとえ飢え死にしようと 拙者は父上のお気持ちに殉じたい 498 00:51:35,243 --> 00:51:38,643 二度と かようなこと 強情者!勝手におし 499 00:52:08,276 --> 00:52:12,013 御前 若殿の所在が知れましたぞ 500 00:52:12,013 --> 00:52:14,983 して いずれに? 今しがた門前へ 501 00:52:14,983 --> 00:52:16,985 木之宮の佐多彦の使者推参 502 00:52:16,985 --> 00:52:19,888 桂原主税介は我が手元にありと 503 00:52:19,888 --> 00:52:23,058 それで どうせよと? 504 00:52:23,058 --> 00:52:25,060 使者の口上は何とあった? 505 00:52:25,060 --> 00:52:27,429 「当方の望みは 土地回復の他にはなし」 506 00:52:27,429 --> 00:52:30,465 「お聞き入れくだされば 若殿は 直ちにお返し申す」とのことに 507 00:52:30,465 --> 00:52:33,201 ござりました して その談合の時刻と場所は? 508 00:52:33,201 --> 00:52:35,971 今夜 子の刻 高倉山のふもとで うむ 509 00:52:35,971 --> 00:52:39,207 お聞きのとおりでございまするが 参る 510 00:52:39,207 --> 00:52:41,510 ぜひとも参って佐多彦に頼まねば 511 00:52:41,510 --> 00:52:44,846 では念のために手前どもも お供つかまつりまする 512 00:52:44,846 --> 00:52:47,446 ささっ お支度を うむ 513 00:53:00,195 --> 00:53:02,631 今夜のところは大事はあるまい 宵のうちから ゆっくり休め 514 00:53:02,631 --> 00:53:05,600 はっ 515 00:53:05,600 --> 00:53:08,470 おかえりなさい 大層 ご精が出ましたが 516 00:53:08,470 --> 00:53:11,306 さぞお疲れであろう いかにも疲れた 517 00:53:11,306 --> 00:53:14,042 あー 疲れたな しかし 518 00:53:14,042 --> 00:53:16,878 狼坂の砦は ぐんと見事になりましたぞ 519 00:53:16,878 --> 00:53:20,215 万一の場合には10人で 100人以上は相手に取れましょう 520 00:53:20,215 --> 00:53:22,450 それはまた心丈夫な 521 00:53:22,450 --> 00:53:26,855 して あいつ 土牢に変わったことはござらんか 522 00:53:26,855 --> 00:53:28,857 あろう道理がありません 523 00:53:28,857 --> 00:53:31,826 百人力でも破れぬ丸太格子じゃ 524 00:53:31,826 --> 00:53:34,029 おお 違いない 525 00:53:34,029 --> 00:53:38,300 他に尋ねることはありませぬか? 526 00:53:38,300 --> 00:53:41,803 川上の比古田殿の使いが 来られたのじゃが 527 00:53:41,803 --> 00:53:44,306 何 おじ御の使いが? 528 00:53:44,306 --> 00:53:49,244 次郎がことには何も触れず 志乃が帰ってきたとの口上でした 529 00:53:49,244 --> 00:53:51,379 おお おお 530 00:53:51,379 --> 00:53:53,949 あとの よもやま話によれば 531 00:53:53,949 --> 00:53:57,319 志乃は昔どおり 何かといえば 532 00:53:57,319 --> 00:54:00,455 そなたの噂ばかりしているとか 533 00:54:00,455 --> 00:54:02,791 ラチもない よしなさい 534 00:54:02,791 --> 00:54:05,391 さようなこと 口にする場合ではござらぬ 535 00:54:09,564 --> 00:54:11,564 阿久根 どうした 536 00:54:14,469 --> 00:54:16,805 そなたは疲れている 537 00:54:16,805 --> 00:54:18,805 早く休め 538 00:54:53,908 --> 00:54:56,611 かかれ! 539 00:54:56,611 --> 00:54:58,847 お… お待ちくだされ! 540 00:54:58,847 --> 00:55:01,816 忠通じゃ 桂原忠通じゃ 541 00:55:01,816 --> 00:55:04,386 言うな 542 00:55:04,386 --> 00:55:07,122 あ… 無理もない 543 00:55:07,122 --> 00:55:09,891 お腹立ちは重々もっとも 544 00:55:09,891 --> 00:55:13,828 無理からぬことには存ずるが 曲げてお許し願いたい 545 00:55:13,828 --> 00:55:17,866 17年前の この忠通は 物欲の魔に魅入られ 546 00:55:17,866 --> 00:55:21,536 豪族たちの誘いに乗って お手前方の… 547 00:55:21,536 --> 00:55:23,536 ああー! 548 00:55:31,713 --> 00:55:34,913 兼親 おのれ! 549 00:55:48,096 --> 00:55:51,332 主税介 550 00:55:51,332 --> 00:55:54,335 主税介に 551 00:55:54,335 --> 00:55:56,335 ひと目… 552 00:56:23,565 --> 00:56:29,003 隼人とは無残な振る舞いを 致すものじゃな 553 00:56:29,003 --> 00:56:31,072 忠通様 ご冥福のため 554 00:56:31,072 --> 00:56:33,842 また 後日の禍根を絶つために 555 00:56:33,842 --> 00:56:37,946 この機を外さず 根絶やしにせねばなるまいて 556 00:56:37,946 --> 00:56:41,416 手分けして 隼人どもの本拠を突き止めろ 557 00:56:41,416 --> 00:56:43,416 はっ 558 00:57:23,358 --> 00:57:25,458 さっ 早く 559 00:57:28,596 --> 00:57:30,596 早くおいでなさいませ 560 00:57:32,700 --> 00:57:35,100 おいでなさいませ 早く 561 00:57:59,127 --> 00:58:01,663 この道を真っすぐ行くと 農家があります 562 00:58:01,663 --> 00:58:05,163 そこでお聞きになれば 二階堂の館が分かりましょう 563 00:58:17,245 --> 00:58:20,481 さあ 早く 564 00:58:20,481 --> 00:58:22,481 阿久根 565 00:58:25,653 --> 00:58:27,653 主税介様 566 00:58:33,194 --> 00:58:37,699 もし父上に過ちあれば 誓って拙者が改めさせよう 567 00:58:37,699 --> 00:58:39,899 その上で必ず会いに参る 568 00:58:42,604 --> 00:58:45,004 無事 息災に待っていてくれ 569 00:58:56,885 --> 00:59:00,521 どうした 何のゆえの涙だ 570 00:59:00,521 --> 00:59:03,458 その子細は? 571 00:59:03,458 --> 00:59:05,727 追っ手が 追っ手が来ます 572 00:59:05,727 --> 00:59:08,563 早く 早くお行きなさいませ 573 00:59:08,563 --> 00:59:10,563 ならば これで 574 00:59:13,601 --> 00:59:16,070 今 拙者の申したことを 忘れてはならん 575 00:59:16,070 --> 00:59:18,306 疑うてはならんぞ 576 00:59:18,306 --> 00:59:21,506 はい さらばだ 577 00:59:32,086 --> 00:59:34,886 若殿がお帰りになりました 主税介 578 00:59:43,698 --> 00:59:47,802 おお 長い間 いづくにおいででござった? 579 00:59:47,802 --> 00:59:51,439 佐野郷から帰る途中 不覚にも隼人に捕らわれ 580 00:59:51,439 --> 00:59:55,376 やはり さようでござったか それで分かった 581 00:59:55,376 --> 00:59:57,912 分かったとは? 実は今日の宵 582 00:59:57,912 --> 01:00:00,848 木之宮の佐多彦の 使者なる者が参り 583 01:00:00,848 --> 01:00:03,284 あなた様のことにつき 談合いたしたきゆえ 584 01:00:03,284 --> 01:00:07,388 高倉山のふもとまで お父上に 出向けよとのことでござった 585 01:00:07,388 --> 01:00:10,291 それで? 我らの制止も お聞き入れなく 586 01:00:10,291 --> 01:00:14,395 わずかの油断の隙に御前には ひそかに館を出られました 587 01:00:14,395 --> 01:00:17,265 それと気がついて 後を追いました時には 588 01:00:17,265 --> 01:00:19,834 すでに遅く… 何とござった? 589 01:00:19,834 --> 01:00:22,003 したたかに二太刀 590 01:00:22,003 --> 01:00:24,772 死骸となって路上にござりました 591 01:00:24,772 --> 01:00:27,141 すでに辺りに隼人どもの姿はなく 592 01:00:27,141 --> 01:00:29,841 やむなく おなきがらをこの館に 593 01:00:49,297 --> 01:00:52,333 父上 594 01:00:52,333 --> 01:00:54,333 父上! 595 01:01:00,475 --> 01:01:03,175 父上… 596 01:01:12,186 --> 01:01:15,823 お悲しみは ごもっともに存じまするが 597 01:01:15,823 --> 01:01:18,259 この上は佐多彦を討ち取って 598 01:01:18,259 --> 01:01:21,763 ご無念を晴らすよりほかに 道はござりません 599 01:01:21,763 --> 01:01:25,600 及ばずながら この兼親も 力を合わせまするゆえ 600 01:01:25,600 --> 01:01:28,870 何はともあれ木之宮隼人の所在を 601 01:01:28,870 --> 01:01:31,239 分からん 分かりませぬと? 602 01:01:31,239 --> 01:01:33,639 とはまた なぜでござります? 603 01:01:35,943 --> 01:01:38,913 土地不案内の上 604 01:01:38,913 --> 01:01:41,613 行き帰りとも目隠しをされていた 605 01:02:15,883 --> 01:02:17,952 どうした 606 01:02:17,952 --> 01:02:20,288 土牢が破られています 607 01:02:20,288 --> 01:02:22,288 しまった! 608 01:02:29,497 --> 01:02:32,197 あっ!はっ 609 01:02:38,840 --> 01:02:41,209 隠し立ては許さんぞ 610 01:02:41,209 --> 01:02:43,845 鍵を盗んで このような 裏切りを致したのは誰だ 611 01:02:43,845 --> 01:02:46,881 私です 612 01:02:46,881 --> 01:02:48,981 まっ 阿久根! 613 01:03:04,799 --> 01:03:08,102 私がいたしました 確かに おのれか 614 01:03:08,102 --> 01:03:10,102 はい 615 01:03:16,410 --> 01:03:18,679 不埒者め ついて参れ 616 01:03:18,679 --> 01:03:21,149 いえ いけません 617 01:03:21,149 --> 01:03:23,284 お控えなさい 618 01:03:23,284 --> 01:03:28,422 わしが川上の次郎を成敗したのは 何のためだとお思いじゃ? 619 01:03:28,422 --> 01:03:31,659 佐多彦は肉親には甘い うつけ者じゃと 620 01:03:31,659 --> 01:03:33,661 仲間の笑い者になされよう ご所存か 621 01:03:33,661 --> 01:03:36,764 なれども 一応 祖神様のご意向のほどを 622 01:03:36,764 --> 01:03:39,500 伺わずとも分かっている 623 01:03:39,500 --> 01:03:42,670 裏切り者は即座に成敗と 624 01:03:42,670 --> 01:03:47,175 隼人の鉄の掟を定められたは 祖神様じゃ 625 01:03:47,175 --> 01:03:49,243 さあ 来るのだ 長 626 01:03:49,243 --> 01:03:51,345 ならん! 627 01:03:51,345 --> 01:03:54,345 この上 かばい立てすれば同罪だぞ 628 01:04:06,194 --> 01:04:08,594 阿久根 阿久根様 629 01:04:22,476 --> 01:04:25,012 志乃様 どこまで おいでなさいます? 630 01:04:25,012 --> 01:04:27,014 うるさいね 木之宮ですよ 631 01:04:27,014 --> 01:04:29,014 まあ 木之宮へ? 632 01:05:07,321 --> 01:05:09,590 申してみい 633 01:05:09,590 --> 01:05:12,390 何ゆえあって あのような 大それたことをした? 634 01:05:15,529 --> 01:05:21,168 あのお方が 主税介様が 好きになったからです 635 01:05:21,168 --> 01:05:25,406 何だと? 私 兄様のように 636 01:05:25,406 --> 01:05:28,943 あのお方を憎むことが できませんでした 637 01:05:28,943 --> 01:05:31,512 いかほど昔のことを申されても 638 01:05:31,512 --> 01:05:35,516 胸底から絶え間なく あのお方への 親しみが湧きあふれて… 639 01:05:35,516 --> 01:05:37,516 たわけめ やめろ! 640 01:05:42,957 --> 01:05:44,992 さすれば 641 01:05:44,992 --> 01:05:48,663 初手から覚悟の上で やったことだな 642 01:05:48,663 --> 01:05:52,733 はい 初めから 死ぬつもりでやりました 643 01:05:52,733 --> 01:05:55,202 ならば よし 644 01:05:55,202 --> 01:05:58,472 言い残すことがあれば聞こう 645 01:05:58,472 --> 01:06:01,409 兄と妹 646 01:06:01,409 --> 01:06:04,245 何なりと はばかりなく申せ 647 01:06:04,245 --> 01:06:06,847 それでは ただ一つ 648 01:06:06,847 --> 01:06:09,750 たとえ どのような 主義になりましょうと 649 01:06:09,750 --> 01:06:14,088 あのお方と そのお父様を お斬りくださいますな 650 01:06:14,088 --> 01:06:18,492 あのお方はもう一度 木之宮の部落へ参ります 651 01:06:18,492 --> 01:06:20,628 その時には お父様もきっと 652 01:06:20,628 --> 01:06:23,197 前非を 悔いていらっしゃいましょう 653 01:06:23,197 --> 01:06:26,334 許してあげてくださいまし 654 01:06:26,334 --> 01:06:30,037 分かった 他にはないか 655 01:06:30,037 --> 01:06:34,375 はい 確かにないのか 656 01:06:34,375 --> 01:06:37,975 ござりません されば 申し聞かせるがこの兄は 657 01:06:40,147 --> 01:06:43,247 憎くて そなたを斬るのではないぞ 658 01:06:45,820 --> 01:06:49,520 悲しさ 切なさに胸迫る 659 01:06:51,826 --> 01:06:54,326 心で泣いて斬るのだぞ 660 01:06:56,430 --> 01:06:58,733 はい 661 01:06:58,733 --> 01:07:02,733 兄様の お心はよく… 662 01:07:04,872 --> 01:07:07,541 覚悟 663 01:07:07,541 --> 01:07:10,511 離せ 何をする 664 01:07:10,511 --> 01:07:14,148 邪魔するな 離せ!離さんか 665 01:07:14,148 --> 01:07:16,784 あっ 早く 早く 阿久根殿 666 01:07:16,784 --> 01:07:18,784 離さんか! 667 01:07:31,365 --> 01:07:33,567 おのれ 668 01:07:33,567 --> 01:07:36,470 なぜ出過ぎたまねをした 669 01:07:36,470 --> 01:07:41,275 そなたに女の心を 分からせるためにじゃ 670 01:07:41,275 --> 01:07:44,378 何? とは言っても 671 01:07:44,378 --> 01:07:49,583 武骨者のそなたと この上の問答は無用だろ 672 01:07:49,583 --> 01:07:52,820 さあ お斬りなさい 673 01:07:52,820 --> 01:07:55,890 裏切り者に味方をすれば 罪は同じこと 674 01:07:55,890 --> 01:07:58,659 そなたは斬らねばなるまいし 675 01:07:58,659 --> 01:08:01,362 私もそなたに斬られるなら 本望じゃ 676 01:08:01,362 --> 01:08:03,362 さあ お斬り 677 01:08:05,866 --> 01:08:08,936 気狂いめ 勝手にしろ 678 01:08:08,936 --> 01:08:12,206 お待ち 折り入って話したいことが 679 01:08:12,206 --> 01:08:14,206 うるさい 680 01:08:34,628 --> 01:08:37,832 阿久根ではないか 何事じゃ 681 01:08:37,832 --> 01:08:41,632 委細は志乃様がご存じです 志乃様からお聞きなさいませ 682 01:08:45,806 --> 01:08:49,043 あっ お父様 今 そこで阿久根たちに会うたが 683 01:08:49,043 --> 01:08:52,079 一体 何が起こったのじゃ その子細は木之宮で 684 01:08:52,079 --> 01:08:54,748 何 木之宮で? ええ 685 01:08:54,748 --> 01:08:57,048 ついでに あのことも とくとご相談なさいまし 686 01:08:59,119 --> 01:09:02,319 村は手薄じゃ 油断はならんぞ 687 01:09:25,145 --> 01:09:28,549 あっ 奈津 はい 688 01:09:28,549 --> 01:09:31,485 鷺の原に仕掛けた罠に野ウサギが かかっているやもしれぬ 689 01:09:31,485 --> 01:09:33,485 一走り行って見ておいで はい 690 01:09:39,159 --> 01:09:41,829 くよくよなさいますな 早々悪いことばかりも 691 01:09:41,829 --> 01:09:43,864 続きますまい 692 01:09:43,864 --> 01:09:45,966 でも あの 兄が 693 01:09:45,966 --> 01:09:50,538 大丈夫です 父のとりなしで あなたはきっと許されましょう 694 01:09:50,538 --> 01:09:52,540 いいえ 695 01:09:52,540 --> 01:09:56,644 私の申すのは そのことではありません 696 01:09:56,644 --> 01:09:59,013 主税介様が 697 01:09:59,013 --> 01:10:01,248 もしや兄のために… 698 01:10:01,248 --> 01:10:03,918 それなら なおのこと 案じなさいますな 699 01:10:03,918 --> 01:10:08,418 佐多彦殿が斬る前にあの方の お気持ちはきっと変わります 700 01:10:12,326 --> 01:10:14,495 そうでしょうか 肥後の水俣で 701 01:10:14,495 --> 01:10:16,897 私も一度 お目にかかりましたけど 702 01:10:16,897 --> 01:10:18,899 あのお方なれば大丈夫 703 01:10:18,899 --> 01:10:21,399 次第によっては隼人の味方として 704 01:10:31,579 --> 01:10:34,879 どうなさいました? あの音は… 705 01:10:57,738 --> 01:11:01,342 いや よくぞ譲ってくれた 706 01:11:01,342 --> 01:11:04,912 それでは わしが阿久根を預かろう 707 01:11:04,912 --> 01:11:09,817 そう願いますれば もっとも しかし長い間ではないぞ 708 01:11:09,817 --> 01:11:13,587 孫九郎たちが 帰ってくるまでのことじゃ 709 01:11:13,587 --> 01:11:16,991 孫九郎たちはどこへ? 大隅の国分に 710 01:11:16,991 --> 01:11:20,527 武器を整えに行っておる 何 武器を? 711 01:11:20,527 --> 01:11:24,164 そなたが発てば 見過ごしにはできぬとあってな 712 01:11:24,164 --> 01:11:26,533 支度にかかったのじゃよ 713 01:11:26,533 --> 01:11:30,371 さすがは比古田のおじ御 よくぞ そのお気持ちになられました 714 01:11:30,371 --> 01:11:36,377 なになに 実を言うとこれは 志乃の計らいによることでの 715 01:11:36,377 --> 01:11:40,314 えっ どうじゃ 佐多彦 716 01:11:40,314 --> 01:11:44,351 志乃はまことの 隼人の娘であろうが 717 01:11:44,351 --> 01:11:48,822 あっ… まったくでござる 718 01:11:48,822 --> 01:11:50,822 負け申した 719 01:12:41,475 --> 01:12:45,846 孫九郎たちが帰ってくれば 改めて出かけて参るでな 720 01:12:45,846 --> 01:12:48,148 その節に とくと手はずを決めよう 721 01:12:48,148 --> 01:12:50,918 心得てござる 道中 心しておいでなされ 722 01:12:50,918 --> 01:12:52,918 うむ 723 01:13:02,162 --> 01:13:05,232 あっ しまった 不覚 724 01:13:05,232 --> 01:13:07,532 三郎次 馬を引け 725 01:13:20,314 --> 01:13:22,950 あっ 川上の方角だ 726 01:13:22,950 --> 01:13:25,050 急げ 727 01:13:58,619 --> 01:14:00,619 長! 728 01:14:02,623 --> 01:14:05,559 何事じゃ 志乃様と阿久根様が 729 01:14:05,559 --> 01:14:09,296 兼親の手の者に 730 01:14:09,296 --> 01:14:11,431 して余の者は? 731 01:14:11,431 --> 01:14:13,934 一人残らず 732 01:14:13,934 --> 01:14:16,634 討たれたか はい 733 01:14:23,043 --> 01:14:25,379 何となされました? 遅かった 734 01:14:25,379 --> 01:14:29,349 えっ? その方たちが いま一足早ければ 735 01:14:29,349 --> 01:14:31,349 愚痴を申してる場合ではござらん 736 01:14:48,869 --> 01:14:51,038 首尾よく阿久根と志乃を ひっ捕らえましてございます 737 01:14:51,038 --> 01:14:55,309 よし 牢内へ閉じ込め 厳重に見張りをせい 738 01:14:55,309 --> 01:14:58,278 玄蕃 おのれは手の者を連れて 表門を固めろ 739 01:14:58,278 --> 01:15:00,278 はっ 740 01:15:02,850 --> 01:15:06,954 やあ 大儀 いや 折よく屈強の者たちが不在で 741 01:15:06,954 --> 01:15:09,790 思いのほかに 易々と事が運びましたが 742 01:15:09,790 --> 01:15:13,460 して かの両人を いかようなされるご所存で? 743 01:15:13,460 --> 01:15:16,697 相手次第よ あれをおとりに 744 01:15:16,697 --> 01:15:19,900 佐多彦めをおびき寄せてもよし 745 01:15:19,900 --> 01:15:24,972 手ひどく責めて 隼人の本拠を吐かせてもよし 746 01:15:24,972 --> 01:15:28,972 いずれにしても大事な玉じゃ 747 01:15:34,548 --> 01:15:36,548 こっちだ 748 01:15:42,389 --> 01:15:45,058 ジタバタいたすと 責め苦に遭うぞ 749 01:15:45,058 --> 01:15:47,658 身が いとしくば神妙にせい 750 01:15:53,867 --> 01:15:56,767 志乃様 阿久根殿 751 01:16:03,610 --> 01:16:06,246 阿久根に問いただしたい 一義がござる 752 01:16:06,246 --> 01:16:09,082 お通しくだされ されば館様のお許しを 753 01:16:09,082 --> 01:16:11,582 いかにも得申した では 754 01:16:26,033 --> 01:16:28,033 主税介様 755 01:16:35,976 --> 01:16:40,013 あの お父上様は? 756 01:16:40,013 --> 01:16:43,617 殺された まあ… 757 01:16:43,617 --> 01:16:46,386 殺したのは そなたの兄だ えっ 758 01:16:46,386 --> 01:16:49,957 そなたの兄の佐多彦に図られ 昨夜 759 01:16:49,957 --> 01:16:52,292 父上は無残な最期を遂げられた 760 01:16:52,292 --> 01:16:55,162 違います 佐多彦殿が そのようなことを… 761 01:16:55,162 --> 01:16:57,798 えーい 黙れ 控え! いえ 控えませぬ 762 01:16:57,798 --> 01:17:02,736 阿久根殿に今朝 あれほど固い約束をしたあの人が 763 01:17:02,736 --> 01:17:06,807 そなたの父を殺す道理はない 他の者が手にかけて その罪を… 764 01:17:06,807 --> 01:17:10,911 黙らんか!この上 さような 根も葉もないことを申し立てると 765 01:17:10,911 --> 01:17:12,911 すぐさま火あぶりだぞ 766 01:17:16,216 --> 01:17:19,119 その方どもが いかに言い開こうとも 767 01:17:19,119 --> 01:17:23,190 佐多彦の罪は明らかだ 768 01:17:23,190 --> 01:17:26,727 必ず恨みを晴らす 769 01:17:26,727 --> 01:17:28,727 覚悟しておれ 770 01:17:47,047 --> 01:17:50,217 何奴じゃ 俺だ 771 01:17:50,217 --> 01:17:52,217 佐多彦だ 772 01:17:54,688 --> 01:17:56,688 騒ぐな 773 01:18:00,727 --> 01:18:04,664 兼親殿に御意得たい 通るぞ 774 01:18:04,664 --> 01:18:06,764 門だ 門を閉めろ 775 01:18:11,838 --> 01:18:13,974 木之宮の佐多彦が 何? 776 01:18:13,974 --> 01:18:16,643 ただ一人 推参にござります 777 01:18:16,643 --> 01:18:21,114 出合え!木之宮の佐多彦だ 出合え!木之宮の佐多彦だ 778 01:18:21,114 --> 01:18:23,414 出合え 出合え 779 01:18:46,840 --> 01:18:49,176 見上げた度胸だ 780 01:18:49,176 --> 01:18:51,978 よくぞ推参いたしたな 781 01:18:51,978 --> 01:18:56,116 いたさないで何とする? 一族たちの身を案じて 782 01:18:56,116 --> 01:18:58,852 すでに一度 この館の門を くぐったほどの佐多彦が 783 01:18:58,852 --> 01:19:03,623 我が妹 ほどなく我が妻となるはずの女を 784 01:19:03,623 --> 01:19:08,829 見殺しにしては笑われよう 佐多彦 785 01:19:08,829 --> 01:19:10,831 おお 786 01:19:10,831 --> 01:19:13,266 おのれ ご宣旨を見せい! 787 01:19:13,266 --> 01:19:15,969 ご宣旨じゃと? とぼけるな 788 01:19:15,969 --> 01:19:19,272 父上を手にかけて奪い取った 帝のご宣旨じゃ 789 01:19:19,272 --> 01:19:22,342 な… 何と申した いま一度 その言葉 790 01:19:22,342 --> 01:19:24,978 卑怯者! 791 01:19:24,978 --> 01:19:27,447 昨夜 子の刻 792 01:19:27,447 --> 01:19:30,851 父上を高倉山のふもとに おびき寄せて 793 01:19:30,851 --> 01:19:33,286 殺害なしたは誰が仕業じゃ 794 01:19:33,286 --> 01:19:36,723 その一言 よも偽りではあるまいの? 795 01:19:36,723 --> 01:19:40,961 えーい くどい なるほど 読めた 796 01:19:40,961 --> 01:19:43,630 兼親 おのれ 俺をおとりに罠をかけたな 797 01:19:43,630 --> 01:19:46,867 何? 積年の極悪によって 798 01:19:46,867 --> 01:19:49,202 我ら隼人を地獄の底へ 落としながら 799 01:19:49,202 --> 01:19:53,306 この期に及んで なお性懲りもなく 800 01:19:53,306 --> 01:19:56,510 この佐多彦に無実の罪を 着せかけるとは おのれ 801 01:19:56,510 --> 01:19:59,813 黙れ ほざくな それ 802 01:19:59,813 --> 01:20:02,513 待て なぜでござる? 803 01:20:06,653 --> 01:20:08,753 父上のかたき 804 01:20:10,824 --> 01:20:13,824 人手を借りず この手にかける 805 01:20:15,996 --> 01:20:18,565 あっぱれなご心底じゃ 806 01:20:18,565 --> 01:20:20,667 お任せいたそう 807 01:20:20,667 --> 01:20:22,667 退け 808 01:20:29,676 --> 01:20:32,012 佐多彦 809 01:20:32,012 --> 01:20:35,115 広場へ参れ 810 01:20:35,115 --> 01:20:37,115 よかろう 811 01:20:57,370 --> 01:20:59,906 覚悟はよいか 812 01:20:59,906 --> 01:21:01,906 いつでも来い 813 01:21:27,367 --> 01:21:29,669 牢屋は あちらでござる お続きなされ 814 01:21:29,669 --> 01:21:33,469 うむ そのご心底 先ほどから存じていた 815 01:21:35,809 --> 01:21:37,809 あっ 追え! 816 01:21:51,791 --> 01:21:54,361 定めの刻限じゃ それ行け 817 01:21:54,361 --> 01:21:56,361 おー! 818 01:21:59,199 --> 01:22:01,199 続け! 819 01:23:23,983 --> 01:23:26,083 それ! 820 01:24:25,845 --> 01:24:28,581 佐多彦 おじ御 後を頼む 821 01:24:28,581 --> 01:24:30,581 心得た それ 822 01:24:56,242 --> 01:25:00,046 父上のかたき 隼人の恨みの刀を受けろ! 823 01:25:00,046 --> 01:25:02,546 こしゃくな 824 01:25:30,376 --> 01:25:33,179 おお 阿久根 志乃様! 825 01:25:33,179 --> 01:25:35,179 志乃様! 826 01:27:37,971 --> 01:27:41,541 兄様! おお 827 01:27:41,541 --> 01:27:44,041 無事だったか はい 828 01:27:46,879 --> 01:27:49,382 あの 主税介様は? 829 01:27:49,382 --> 01:27:51,682 聞くまでもあるまい 生きている 830 01:27:55,622 --> 01:27:58,758 命を懸けての道一筋 831 01:27:58,758 --> 01:28:02,862 そなたもまた まことの隼人の娘であったの 832 01:28:02,862 --> 01:28:04,862 はい 833 01:28:06,966 --> 01:28:09,866 佐多彦殿 おっ 834 01:28:11,871 --> 01:28:14,240 帝のご宣旨を所持する限り 835 01:28:14,240 --> 01:28:17,677 桂原忠通の所領は お手前のものでござる 836 01:28:17,677 --> 01:28:20,177 さあ お受け取りなされ 837 01:28:26,552 --> 01:28:28,821 かたじけない 838 01:28:28,821 --> 01:28:31,521 隼人族の幸せのため 頂戴しよう 839 01:28:40,266 --> 01:28:42,702 ついては拙者にも ただ一つ 840 01:28:42,702 --> 01:28:45,204 えっ 841 01:28:45,204 --> 01:28:48,274 遠慮なく申されい 願いとは? 842 01:28:48,274 --> 01:28:50,274 他でもござらん 843 01:29:24,777 --> 01:29:28,581 よい夫を持って 阿久根は幸せ者だな 844 01:29:28,581 --> 01:29:32,518 あなたは もっと幸せ者です 何? 845 01:29:32,518 --> 01:29:35,421 わしが? 846 01:29:35,421 --> 01:29:37,721 私が おそばにいる限り 847 01:29:39,759 --> 01:29:42,759 ハハハハハ…