1 00:00:59,250 --> 00:01:19,270 ♬~ 2 00:01:19,270 --> 00:01:39,290 ♬~ 3 00:01:39,290 --> 00:01:59,243 ♬~ 4 00:01:59,243 --> 00:02:11,255 ♬~ 5 00:02:11,255 --> 00:02:14,158 (仙太)右の手首に数珠を巻いた 渡世人を➡ 6 00:02:14,158 --> 00:02:16,127 見掛けませんでしたかい? (渡世人)右の手首? 7 00:02:16,127 --> 00:02:20,264 (仙太)へい。 野洲は河内郡 乙井村の生まれで➡ 8 00:02:20,264 --> 00:02:23,167 乙井の姫四郎。 人呼んで 乙姫ってんで。 9 00:02:23,167 --> 00:02:28,139 乙姫? そんな呼び名の渡世人を 聞いたことはありやすがね。 10 00:02:28,139 --> 00:02:30,274 乙姫? (多三郎)へい。 何でも➡ 11 00:02:30,274 --> 00:02:32,209 この東海道を西に向かったのを 見たって➡ 12 00:02:32,209 --> 00:02:34,145 聞いたもんで。 (渡世人)乙姫なら 2日ばかり前➡ 13 00:02:34,145 --> 00:02:36,147 浜松の雷神一家の賭場で 見掛けやしたが。 14 00:02:36,147 --> 00:02:39,283 (多三郎)浜松で? そうでございますか。 15 00:02:39,283 --> 00:02:41,218 すげえ ばくちの腕を 見せてもらったが➡ 16 00:02:41,218 --> 00:02:45,089 医術の腕にしろ 人斬りにしろ 大したものだという噂で。 17 00:02:45,089 --> 00:02:48,089 (多三郎)そうなんで。 いや どうも。 18 00:02:51,228 --> 00:02:53,164 (仙太)おい 多三郎 どうだった? (多三郎)兄貴➡ 19 00:02:53,164 --> 00:02:57,101 あの渡世人が 2日前 浜松で乙姫を見掛けたそうで。 20 00:02:57,101 --> 00:02:59,103 (仙太)2日前に浜松で? (多三郎)まともなら 今日あたり➡ 21 00:02:59,103 --> 00:03:01,238 この山中に。 (仙太)うん。 22 00:03:01,238 --> 00:03:04,141 何としても乙姫を口説いて 助っ人に引き込むんだ。 23 00:03:04,141 --> 00:03:08,112 乙姫が助っ人に付いてくれりゃ ケンカは勝ったも同然で。 24 00:03:08,112 --> 00:03:13,250 乙姫って野郎 右手で人を生かし 左手で人を殺す。 25 00:03:13,250 --> 00:03:16,153 そのどっちも道楽なんて 言ってるそうだが➡ 26 00:03:16,153 --> 00:03:19,153 あいつを助っ人に引き込むのは 骨だって噂だぜ。 27 00:03:26,263 --> 00:03:28,263 (役人)どいた どいた どいた! 28 00:03:30,134 --> 00:03:32,136 (役人)神妙にして 娘を渡せ! 29 00:03:32,136 --> 00:03:34,138 (源)面白え。➡ 30 00:03:34,138 --> 00:03:36,273 俺をお縄にできるもんなら してみろい。➡ 31 00:03:36,273 --> 00:03:39,176 この娘の命はねえぞ! 32 00:03:39,176 --> 00:03:41,145 (男)青鬼は 刈谷宿で5人殺してるんだ。 33 00:03:41,145 --> 00:03:44,145 (男)それも 女や乳飲み子まで! 34 00:04:03,234 --> 00:04:05,234 (女の悲鳴) 35 00:04:10,107 --> 00:04:14,245 (源)いいか! 十 数えるうちに 1人残らず消えねえと➡ 36 00:04:14,245 --> 00:04:17,148 この娘をぶっ殺すぞ!➡ 37 00:04:17,148 --> 00:04:19,116 てめえ 死にてえのか?➡ 38 00:04:19,116 --> 00:04:21,118 よ~し。➡ 39 00:04:21,118 --> 00:04:27,258 1つ 2つ➡ 40 00:04:27,258 --> 00:04:33,130 3つ 4つ➡ 41 00:04:33,130 --> 00:04:37,268 5つ 6つだ! 42 00:04:37,268 --> 00:04:39,203 こんな非道をよけて 通ったんじゃ➡ 43 00:04:39,203 --> 00:04:42,106 渡世人の看板が泣きまさあ。 44 00:04:42,106 --> 00:04:45,106 この場は あっしに 任してもらいやしょう。 45 00:04:50,214 --> 00:04:52,149 (源)てめえ 何のまねだ? 46 00:04:52,149 --> 00:04:54,085 ぎゃあぎゃあ ほえるのは よしにしな。 47 00:04:54,085 --> 00:04:57,088 あっさり その子を こっちへ 渡した方が身のためだぜ。 48 00:04:57,088 --> 00:04:59,223 (源)ハッ。 渡さなかったらどうなるんでえ? 49 00:04:59,223 --> 00:05:02,126 お前さんが死ぬことに なるんでさ! 50 00:05:02,126 --> 00:05:05,126 (源)ハハッ。 面白えや そら。 51 00:05:12,236 --> 00:05:16,107 (源)どうだ! 見たか? このとおりだ! 52 00:05:16,107 --> 00:05:19,110 (兵馬)何とかしてやりたいが…。 53 00:05:19,110 --> 00:05:21,245 だが 1人じゃ どうにもならぬ。 54 00:05:21,245 --> 00:05:23,180 どうしたい! ああ? はあっ! 55 00:05:23,180 --> 00:05:30,254 1人が男から娘を引き離し 1人が男を斬る。 56 00:05:30,254 --> 00:05:34,125 そうすれば何とか。 57 00:05:34,125 --> 00:05:37,128 (姫四郎)そうするほか ござんせんね。 58 00:05:37,128 --> 00:05:39,263 (源)みんな消えるんだ!➡ 59 00:05:39,263 --> 00:05:44,101 7つ 8つ! 60 00:05:44,101 --> 00:05:47,071 それで その方 いずれを望む? 61 00:05:47,071 --> 00:05:49,073 (姫四郎)あっしはどちらでも。 62 00:05:49,073 --> 00:05:53,210 男から娘を引き離す方が難しい。 63 00:05:53,210 --> 00:05:56,113 (姫四郎)じゃあ あっしが その方を。 64 00:05:56,113 --> 00:05:58,082 (源)9つ!➡ 65 00:05:58,082 --> 00:06:00,084 ハハッ おら! ハハハハ。➡ 66 00:06:00,084 --> 00:06:03,084 ハハハハハ おう。 67 00:06:05,222 --> 00:06:07,158 (源)何でえ! 何でえ 何でえ!➡ 68 00:06:07,158 --> 00:06:11,095 てめえも この二の舞に なりてえのか?➡ 69 00:06:11,095 --> 00:06:15,095 てめえも一緒に死にたいのか? はっ? 70 00:06:23,240 --> 00:06:25,176 (姫四郎)あっしは その娘の連れでござんす。 71 00:06:25,176 --> 00:06:27,111 (源)それがどうだってんだ! 72 00:06:27,111 --> 00:06:31,115 その娘には 心の臓に持病がござんす。 73 00:06:31,115 --> 00:06:35,115 せめて 薬だけは 飲ませてやりてえんで。 74 00:06:42,193 --> 00:06:45,095 お前さんにとっちゃ 大事な人質でござんしょう。 75 00:06:45,095 --> 00:06:49,066 (源)てめえ 丸腰だな? へい。 76 00:06:49,066 --> 00:06:54,205 (源)よ… よし。 薬だけは飲ませてやろう。 77 00:06:54,205 --> 00:06:56,205 ありがとうござんす。 78 00:06:58,075 --> 00:07:00,077 (源)ちょっと待て!➡ 79 00:07:00,077 --> 00:07:05,077 (源)かっぱの中を開けて見ろ。 何か隠してるかもしれねえ。 80 00:07:16,227 --> 00:07:18,227 (源)うわっ! 81 00:07:28,239 --> 00:07:30,239 (源)野郎! 82 00:07:35,112 --> 00:07:37,112 (源)うわっ! 83 00:07:49,193 --> 00:07:53,193 ケガはありやせんかい? (お光)ええ。 84 00:07:56,066 --> 00:08:00,204 (役人)どうやら 一件落着したようだな。➡ 85 00:08:00,204 --> 00:08:05,075 おっ その方らは別に問題はない。 86 00:08:05,075 --> 00:08:09,213 問題はない? (役人)お構いなしだ。 87 00:08:09,213 --> 00:08:11,148 取り合っても仕方のねえことで ござんすよ。 88 00:08:11,148 --> 00:08:13,148 いや しかし。 89 00:08:16,086 --> 00:08:18,222 (役人)おい 娘。➡ 90 00:08:18,222 --> 00:08:22,222 一応 いきさつを聞かしてくれ。 91 00:08:35,239 --> 00:08:37,174 右手首に数珠を巻いた渡世人の 噂を➡ 92 00:08:37,174 --> 00:08:39,174 耳にしたことがある。 93 00:08:41,111 --> 00:08:43,111 確か 人呼んで 乙姫…。 94 00:08:48,185 --> 00:08:52,056 いかにも。 あっしは乙井の姫四郎と申しやす。 95 00:08:52,056 --> 00:08:54,058 拙者は小田切 兵馬だ。 96 00:08:54,058 --> 00:08:59,196 お武家さまも ずいぶんと長旅を 重ねておいでのようで。 97 00:08:59,196 --> 00:09:02,099 諸国を巡って もう10年になる。 98 00:09:02,099 --> 00:09:04,099 10年? 99 00:09:06,070 --> 00:09:09,206 と申しますと➡ 100 00:09:09,206 --> 00:09:12,109 もしや 敵持ちじゃ。 いかにも。 101 00:09:12,109 --> 00:09:17,081 越後の高田15万石 榊原家の 家中の者だが。 102 00:09:17,081 --> 00:09:22,219 その方 江田 武太夫なる者の名を 耳にしたことはないか? 103 00:09:22,219 --> 00:09:24,154 さあ。 104 00:09:24,154 --> 00:09:27,091 父上を闇討ちにして 行方をくらましたのだが➡ 105 00:09:27,091 --> 00:09:29,091 消息さえもつかめぬ。 106 00:09:33,230 --> 00:09:38,102 越後高田を後にしたとき 拙者は まだ18だった。 107 00:09:38,102 --> 00:09:42,102 顔も知らぬ敵を求めて 春の盛りを。 108 00:09:44,174 --> 00:09:47,174 江田 武太夫は もう この世の者ではないのかもしれぬ。 109 00:09:51,048 --> 00:09:53,048 ≪(お光)あの…。 110 00:09:57,187 --> 00:09:59,123 (お光)お光と申します。➡ 111 00:09:59,123 --> 00:10:04,123 ありがとうございました。 おかげさまで助かりました。 112 00:10:08,198 --> 00:10:11,101 一人旅のようだが。 113 00:10:11,101 --> 00:10:16,073 (お光)はい。 伊勢の桑名に戻る途中です。 114 00:10:16,073 --> 00:10:18,208 伊勢の桑名まで1人で? 115 00:10:18,208 --> 00:10:21,208 むちゃなことをするもんだ。 116 00:10:23,080 --> 00:10:30,220 (お光)あの お二人に お礼をしなければなりません。 117 00:10:30,220 --> 00:10:33,123 (お光)お待ちください。 118 00:10:33,123 --> 00:10:35,092 そんな気遣いは無用でござんすよ。 119 00:10:35,092 --> 00:10:38,095 (お光)お願いです。 そうだとも。 120 00:10:38,095 --> 00:10:40,230 拙者たちが勝手にやったことだ。 121 00:10:40,230 --> 00:10:43,133 (お光)いいえ。 どうしてもお礼が。➡ 122 00:10:43,133 --> 00:10:48,105 それに お二人に ぜひ 聞いていただきたいお話が➡ 123 00:10:48,105 --> 00:10:50,240 あるんです。➡ 124 00:10:50,240 --> 00:10:56,240 ただ お一人ずつ あちらで。 125 00:10:58,115 --> 00:11:00,250 1人ずつ? 126 00:11:00,250 --> 00:11:04,121 《この娘は 体で礼をしようとしてる》 127 00:11:04,121 --> 00:11:07,124 《それに 何か のっぴきならねえ訳が》 128 00:11:07,124 --> 00:11:11,124 (お光)どちらが先か これで。 129 00:11:13,263 --> 00:11:16,166 それで? 私は桑名の町屋の➡ 130 00:11:16,166 --> 00:11:19,136 武吉という やくざの 娘です。 131 00:11:19,136 --> 00:11:22,272 姫四郎殿 どうする? 132 00:11:22,272 --> 00:11:26,143 話を聞いてやっちゃ いかがなもんでござんしょう。 133 00:11:26,143 --> 00:11:29,146 しかし 順序が。 134 00:11:29,146 --> 00:11:34,146 じゃあ さいころ次第ってことに いたしやしょう。 135 00:11:45,229 --> 00:11:47,164 さあ お武家さまから どうぞ。 136 00:11:47,164 --> 00:11:50,100 いや その方から。 137 00:11:50,100 --> 00:11:53,103 あっしは この渡世で 生きておりやす者でござんす。 138 00:11:53,103 --> 00:11:56,240 口幅ったい言い方を さしていただければ➡ 139 00:11:56,240 --> 00:12:00,110 中のさいの目は見通しで。 140 00:12:00,110 --> 00:12:03,113 よし 丁だ。 141 00:12:03,113 --> 00:12:07,113 おっしゃるとおり さいの目は丁でござんす。 142 00:12:14,258 --> 00:12:16,258 では。 143 00:12:36,280 --> 00:12:40,150 ≪(亀造)さいの目は半。 勝ちをお譲りになりやしたね。➡ 144 00:12:40,150 --> 00:12:43,086 ヘヘッ。➡ 145 00:12:43,086 --> 00:12:47,224 その右手首の数珠は 乙姫の兄貴でござんすね。 146 00:12:47,224 --> 00:12:49,159 あっしゃ 亀造っていう半端者で ござんす。➡ 147 00:12:49,159 --> 00:12:53,096 いやあ 兄貴の見事な腕前 ほれぼれしましたぜ。 148 00:12:53,096 --> 00:12:56,233 お前さんに兄貴と呼ばれる 筋合いは ござんせんよ。 149 00:12:56,233 --> 00:12:58,168 (亀造)いやあ あっしが この人こそ兄貴と➡ 150 00:12:58,168 --> 00:13:00,103 そう見込んで決めたんだ。➡ 151 00:13:00,103 --> 00:13:05,242 あっ ところで あの娘 1人ずつお礼っていうのは…➡ 152 00:13:05,242 --> 00:13:07,177 アハッ。 153 00:13:07,177 --> 00:13:11,177 (亀造の笑い声) 154 00:13:13,116 --> 00:13:16,253 どうか 私を抱いてくださいまし。 155 00:13:16,253 --> 00:13:19,156 よせ! 娘の肌を大事にせい! 156 00:13:19,156 --> 00:13:23,156 お願いです。 お願いでございます! 157 00:13:33,270 --> 00:13:36,173 (亀造)どう見たって あの子はお発穂ですぜ。 158 00:13:36,173 --> 00:13:39,142 ちょっと。 やめろ! 159 00:13:39,142 --> 00:13:43,080 兄貴 見るぐらい いいじゃねえですか。 160 00:13:43,080 --> 00:13:45,080 とっととうせろ! 161 00:13:51,221 --> 00:13:56,093 <あのお光という娘 どこか 妹に似ていた> 162 00:13:56,093 --> 00:13:58,095 <妹の寿美に…> 163 00:13:58,095 --> 00:14:00,230 (了甫)《金はそれだけだ》 164 00:14:00,230 --> 00:14:02,165 (賊)《バカ言うな》➡ 165 00:14:02,165 --> 00:14:07,104 《関八州きっての名医といわれた 内藤 了甫先生の家に➡ 166 00:14:07,104 --> 00:14:10,240 こんなはした金しかねえで済むと 思うのかい!》 167 00:14:10,240 --> 00:14:14,111 (了甫)《嘘偽りはない!》 (賊)《ほ~ そうかい》 168 00:14:14,111 --> 00:14:34,264 ♬~ 169 00:14:34,264 --> 00:14:41,138 ♬~ 170 00:14:41,138 --> 00:14:44,074 《寿美… 寿美!》 171 00:14:44,074 --> 00:14:47,210 (寿美)《お兄ちゃん…》 《寿美!》 172 00:14:47,210 --> 00:14:49,146 (寿美)《姫兄ちゃん…》 173 00:14:49,146 --> 00:15:07,230 ♬~ 174 00:15:07,230 --> 00:15:11,101 <俺にとって それは 初めての手術だった> 175 00:15:11,101 --> 00:15:13,103 <特に仲の良かった妹が➡ 176 00:15:13,103 --> 00:15:16,239 俺に その機会を 与えてくれたのだ> 177 00:15:16,239 --> 00:15:20,110 <だが 傷口は急所に達していた> 178 00:15:20,110 --> 00:15:22,110 《お兄…》 179 00:15:26,249 --> 00:15:29,152 《寿美…➡ 180 00:15:29,152 --> 00:15:33,123 寿美! 寿美!➡ 181 00:15:33,123 --> 00:15:36,259 寿美!➡ 182 00:15:36,259 --> 00:15:40,130 寿美~!》 183 00:15:40,130 --> 00:15:46,069 <俺は一度に 両親と2人の兄 そして最愛の妹を失った> 184 00:15:46,069 --> 00:15:53,069 <だが お上も世間も冷たく 結局 一家は斬られ損だった> 185 00:15:55,212 --> 00:15:58,115 <乙井の姫四郎 人呼んで 乙姫> 186 00:15:58,115 --> 00:16:01,084 <野州 河内郡 乙井村に生まれ➡ 187 00:16:01,084 --> 00:16:06,223 関八州で随一の名医といわれた 父を持つ姫四郎が➡ 188 00:16:06,223 --> 00:16:08,158 一家を惨殺され➡ 189 00:16:08,158 --> 00:16:12,095 誰よりもかわいがっていた妹の 手術をしたが➡ 190 00:16:12,095 --> 00:16:15,232 手遅れで死なせたことから 世をすね➡ 191 00:16:15,232 --> 00:16:19,232 渡世人になったといわれている> 192 00:16:29,246 --> 00:16:31,246 乙姫殿。 193 00:16:44,194 --> 00:16:47,194 お光は生娘であった。 194 00:16:51,067 --> 00:16:53,067 実は…。 195 00:16:56,206 --> 00:17:00,076 お主に頼みがある。 何でござんしょう。 196 00:17:00,076 --> 00:17:05,215 お光はお主に肌を許すつもりで 向こうで待っておる。 197 00:17:05,215 --> 00:17:08,118 だが 拙者は 他の男には➡ 198 00:17:08,118 --> 00:17:10,086 お光の肌に 指一本 触れさせたくはない。 199 00:17:10,086 --> 00:17:12,086 たとえ お主でもだ。 200 00:17:14,224 --> 00:17:17,127 お光さんに情をかけてしまった って次第でござんすね。 201 00:17:17,127 --> 00:17:19,095 その通りだ。 202 00:17:19,095 --> 00:17:22,095 拙者は お光に心を引かれた。 203 00:17:24,234 --> 00:17:29,105 その心配は無用でござんすよ。 204 00:17:29,105 --> 00:17:31,107 もともと はなから お光さんを抱く気は➡ 205 00:17:31,107 --> 00:17:33,243 なかったんでござんすから。 206 00:17:33,243 --> 00:17:36,243 いや そうか。 すまぬ。 207 00:17:47,190 --> 00:17:52,062 どうして? どうして 私の所に 来てくれなかったんです? 208 00:17:52,062 --> 00:17:55,065 どうして? 209 00:17:55,065 --> 00:18:01,204 初めてお光さんを見たとき 妹を思い出したんでござんすよ。 210 00:18:01,204 --> 00:18:03,139 妹さんを? 211 00:18:03,139 --> 00:18:06,139 10年前に死にやしたが。 212 00:18:16,219 --> 00:18:19,122 キザクラソウ お好きで? 213 00:18:19,122 --> 00:18:23,093 へい いつのころからか。 214 00:18:23,093 --> 00:18:26,229 私も好きです とっても。 215 00:18:26,229 --> 00:18:46,182 ♬~ 216 00:18:46,182 --> 00:19:00,182 ♬~ 217 00:19:02,198 --> 00:19:08,071 乙姫殿 拙者は お光と一緒に 桑名に参るつもりだ。 218 00:19:08,071 --> 00:19:13,209 拙者は お光の頼みに 応じてやりたいのだ。 219 00:19:13,209 --> 00:19:17,080 乙姫殿も 一通りは聞いてやってもらいたい。 220 00:19:17,080 --> 00:19:22,218 四日市の金之助という貸元が いるんですが➡ 221 00:19:22,218 --> 00:19:26,089 おとっつぁんと その貸元とは 犬猿の仲で➡ 222 00:19:26,089 --> 00:19:31,089 2カ月ぐらい前に おとっつぁんが 金之助一家に襲われて…。 223 00:19:38,234 --> 00:19:40,170 そのとき受けた脚の傷がもとで➡ 224 00:19:40,170 --> 00:19:45,041 おとっつぁんは 歩くのも不自由になり➡ 225 00:19:45,041 --> 00:19:49,179 毎日 高い熱に襲われて 寝込んだきりのありさまで…。 226 00:19:49,179 --> 00:19:52,082 親分がこんな具合だと➡ 227 00:19:52,082 --> 00:19:56,052 10人ばかりいた子分も 次々と離れて➡ 228 00:19:56,052 --> 00:20:01,191 中には 金之助の身内に 寝返る者もいる始末。 229 00:20:01,191 --> 00:20:04,094 残った2人の子分も➡ 230 00:20:04,094 --> 00:20:09,065 金之助一家が いつ襲ってくるかも しれない毎日では落ち着かず➡ 231 00:20:09,065 --> 00:20:11,201 そこで私が おとっつぁんの言い付けで➡ 232 00:20:11,201 --> 00:20:17,073 三河の西尾にいる兄弟分に 腕貸しを頼みに行ったんですが➡ 233 00:20:17,073 --> 00:20:20,210 いくら兄弟分だといっても➡ 234 00:20:20,210 --> 00:20:24,080 落ち目のおとっつぁんには 冷たい返事で。 235 00:20:24,080 --> 00:20:26,082 けんもほろろに…。 236 00:20:26,082 --> 00:20:29,219 その三河の帰りに あの災難に遭い➡ 237 00:20:29,219 --> 00:20:32,122 拙者たちに出会ったというわけだ。 238 00:20:32,122 --> 00:20:37,093 何としても おとっつぁんを救いたい一心で。 239 00:20:37,093 --> 00:20:42,232 それに おとっつぁんに もしものことがあったら➡ 240 00:20:42,232 --> 00:20:46,102 おっかさんがかわいそうで。 241 00:20:46,102 --> 00:20:49,105 乙姫殿 どうする? 242 00:20:49,105 --> 00:20:54,244 旅人さんは 野洲河内郡 乙井村生まれの➡ 243 00:20:54,244 --> 00:20:56,179 姫四郎さんじゃ? 244 00:20:56,179 --> 00:20:58,114 へい。 245 00:20:58,114 --> 00:21:01,117 うちに わらじを脱いだ お客人さんから➡ 246 00:21:01,117 --> 00:21:04,254 よく 噂を聞かされました。 247 00:21:04,254 --> 00:21:07,157 乙井の姫四郎 人呼んで 乙姫という➡ 248 00:21:07,157 --> 00:21:09,125 変わった渡世人がいる。 249 00:21:09,125 --> 00:21:13,263 右手では人を生かし 左手では人を殺す。 250 00:21:13,263 --> 00:21:16,263 そのどちらも道楽だって。 251 00:21:19,135 --> 00:21:21,137 お願いします 乙姫さん。 252 00:21:21,137 --> 00:21:24,274 桑名まで足を延ばしてやって おくんなさいな。 253 00:21:24,274 --> 00:21:27,274 おとっつぁんの脚を 診てやってくださいまし。 254 00:21:29,145 --> 00:21:33,283 乙姫殿 拙者からも頼む! 255 00:21:33,283 --> 00:21:36,186 その殴られた脚だが➡ 256 00:21:36,186 --> 00:21:38,154 腐ったような臭いが しやしませんかい? 257 00:21:38,154 --> 00:21:43,093 はい。 臭いを嗅いだだけで 見捨てて帰った医者もおります。 258 00:21:43,093 --> 00:21:48,231 そいつは 生きながら肉や骨が腐っていく➡ 259 00:21:48,231 --> 00:21:50,166 そういう病かもしれやせん。 260 00:21:50,166 --> 00:21:55,105 それで しまいにはどうなるんです? 261 00:21:55,105 --> 00:22:00,243 そのままにしておけば 死ぬってことにもなりやしょう。 262 00:22:00,243 --> 00:22:02,178 お願いします 乙姫さん。 263 00:22:02,178 --> 00:22:04,114 おとっつぁんを助けてやって くださいまし。 264 00:22:04,114 --> 00:22:08,118 拙者も このまま 乙姫殿とは別れたくない。 265 00:22:08,118 --> 00:22:11,254 お願いします。 頼む! 266 00:22:11,254 --> 00:22:13,254 分かりやした。 267 00:22:29,272 --> 00:22:31,272 お光。 268 00:22:33,143 --> 00:22:36,146 お光。 269 00:22:36,146 --> 00:22:39,282 お前が欲しいんだ。 270 00:22:39,282 --> 00:22:41,217 お光。 271 00:22:41,217 --> 00:22:43,153 お光。 272 00:22:43,153 --> 00:23:03,239 ♬~ 273 00:23:03,239 --> 00:23:23,239 ♬~ 274 00:23:26,262 --> 00:23:28,198 (仙太)乙井の姫四郎さんと お見受けいたしやす。➡ 275 00:23:28,198 --> 00:23:32,135 手前 四日市は金之助一家の 若え者でござんす。 276 00:23:32,135 --> 00:23:34,137 よしておくんなさい。 277 00:23:34,137 --> 00:23:37,273 往来でのやりとりは 人様のご迷惑でござんしょう。 278 00:23:37,273 --> 00:23:39,209 (仙太)乙姫さん お待ち申してしておりやした。➡ 279 00:23:39,209 --> 00:23:42,111 どうか てめえ 金之助一家まで わらじを脱いでおくんなせえやし。 280 00:23:42,111 --> 00:23:45,081 (多三郎)親分 金之助も 乙姫さんがおいでになるのを➡ 281 00:23:45,081 --> 00:23:47,083 首を長くしてお待ちしてるんで ござんす! 282 00:23:47,083 --> 00:23:50,220 (仙太)礼は たっぷり 差し上げますし! 283 00:23:50,220 --> 00:23:52,155 せっかくでござんすが➡ 284 00:23:52,155 --> 00:23:56,092 あっしには もう 落ち着く先が決まっておりやす。 285 00:23:56,092 --> 00:23:58,094 (多三郎)兄貴 町屋の武吉の娘で。 286 00:23:58,094 --> 00:24:01,231 (仙太)そうか じゃあ お光が。➡ 287 00:24:01,231 --> 00:24:05,231 乙姫! てめえ 町屋一家にわらじを? 288 00:24:23,253 --> 00:24:27,253 乙姫さん ありがとうございます。 289 00:24:33,263 --> 00:24:38,134 <桑名の宿は 松平11万石のご城下で➡ 290 00:24:38,134 --> 00:24:41,137 「その手は桑名の焼きはまぐり」と あるように➡ 291 00:24:41,137 --> 00:24:44,207 伊勢の海で取れる その はまぐりは➡ 292 00:24:44,207 --> 00:24:48,077 旅人たちに知られた 名物であった> 293 00:24:48,077 --> 00:25:02,225 ♬~ 294 00:25:02,225 --> 00:25:06,095 本当は おとっつぁん 私の実の親じゃないんです。 295 00:25:06,095 --> 00:25:09,098 実の親じゃない? 296 00:25:09,098 --> 00:25:14,237 そのことを お二人に 話しておいた方がいいと思って。 297 00:25:14,237 --> 00:25:17,140 8年前に 小料理屋をやってた おっかさんが➡ 298 00:25:17,140 --> 00:25:20,109 お店のお客だった おとっつぁんを 好きになって➡ 299 00:25:20,109 --> 00:25:22,111 それで めおとになったんです。 300 00:25:22,111 --> 00:25:25,248 お光は ずいぶん 父親思いだな。 301 00:25:25,248 --> 00:25:28,151 それほどまでに義理の父のために。 302 00:25:28,151 --> 00:25:32,121 私 ホントのおとっつぁんだと 思ってます。 303 00:25:32,121 --> 00:25:35,258 おとっつぁんに もしものことがあったら➡ 304 00:25:35,258 --> 00:25:41,130 おっかさんだけじゃなくて 私も生きてはいられません。 305 00:25:41,130 --> 00:25:45,068 ≪(亀造)兄貴? 乙姫の兄貴じゃ…。 306 00:25:45,068 --> 00:25:47,203 あっ やっぱり兄貴だ。 307 00:25:47,203 --> 00:25:50,106 こんなとこで会えるとは 思いませんでしたよ。 308 00:25:50,106 --> 00:25:52,075 あっ 兄貴も やっぱり 助っ人で? 309 00:25:52,075 --> 00:25:55,078 いや あっしはね これになってるんですよ。 310 00:25:55,078 --> 00:25:58,214 四日市の金之助一家にわらじを。 311 00:25:58,214 --> 00:26:03,086 あっ 乙姫の兄貴だったら たっぷり 助っ人料 出やすぜ。➡ 312 00:26:03,086 --> 00:26:08,224 何なら あっしが金之助親分に 口 利いて あげやしょうか? 313 00:26:08,224 --> 00:26:10,159 乙姫さん 金之助一家が おとっつぁんに➡ 314 00:26:10,159 --> 00:26:13,096 殴り込みをかけるために。 315 00:26:13,096 --> 00:26:15,098 おそらく そうでござんしょう。 316 00:26:15,098 --> 00:26:19,235 では 乙姫殿。 へい。 317 00:26:19,235 --> 00:26:21,170 (亀造)兄貴。➡ 318 00:26:21,170 --> 00:26:24,107 じゃあ 兄貴 町屋一家に? 319 00:26:24,107 --> 00:26:28,244 兄貴とあの浪人が相手じゃ➡ 320 00:26:28,244 --> 00:26:30,244 いくつ命があったって足んねえや こりゃ。 321 00:26:32,115 --> 00:26:35,118 どうぞ。 322 00:26:35,118 --> 00:26:38,254 ただいま。 323 00:26:38,254 --> 00:26:41,157 (為吉)あっ お嬢さん。 お帰りなさいまし。 324 00:26:41,157 --> 00:26:43,092 お客人さんをお部屋にご案内して。 325 00:26:43,092 --> 00:26:46,062 私はおとっつぁんに。 (為吉)へい。 326 00:26:46,062 --> 00:26:50,199 (武吉)何 乙姫さんが? 327 00:26:50,199 --> 00:26:54,070 (お福)お前さん 無理しちゃ。 328 00:26:54,070 --> 00:26:58,074 それに もう1人 腕の立つお武家さまが。 329 00:26:58,074 --> 00:27:02,211 (武吉)それにしても 乙姫さんが よく。 330 00:27:02,211 --> 00:27:05,114 おとっつぁんの脚の具合も 診てくださるそうよ。 331 00:27:05,114 --> 00:27:09,114 (お福)乙姫さんが 来てくれたんなら心強いよ。 332 00:27:11,220 --> 00:27:13,156 乙姫殿➡ 333 00:27:13,156 --> 00:27:17,093 拙者 ここへ来るまでの間中 ずっと考え続けてきたのだが…。 334 00:27:17,093 --> 00:27:20,229 お光さんのことですかい? 335 00:27:20,229 --> 00:27:22,229 女々しい武士だと笑ってくれ。 336 00:27:25,101 --> 00:27:29,238 拙者 もう武士を捨ててもいいと 思ってる。 337 00:27:29,238 --> 00:27:31,174 それほどまでに お光さんのことを。 338 00:27:31,174 --> 00:27:35,174 ああ。 あだ討ちも断念する。 339 00:27:38,247 --> 00:27:44,247 正直 言って 敵を捜すことに もう拙者は疲れた。 340 00:27:46,055 --> 00:27:48,057 武士を捨てて町人となり➡ 341 00:27:48,057 --> 00:27:52,195 お光を妻として この桑名に骨を埋めたい。 342 00:27:52,195 --> 00:27:56,065 そう決めた心は 二度と変わらねえでしょうね。 343 00:27:56,065 --> 00:27:59,068 じゅうぶんに考えた揚げ句の 決意だ。 344 00:27:59,068 --> 00:28:02,205 乙姫殿➡ 345 00:28:02,205 --> 00:28:06,075 たった今 拙者はあだ討ちを断念したぞ。 346 00:28:06,075 --> 00:28:11,214 そう聞いて 人ごとながら ほっといたしやした。 347 00:28:11,214 --> 00:28:23,226 ♬~ 348 00:28:23,226 --> 00:28:25,161 おとっつぁんに会ってください。 349 00:28:25,161 --> 00:28:30,099 こんなざまで 失礼さしてもらいますよ。 350 00:28:30,099 --> 00:28:33,236 いやあ 乙姫さん。 351 00:28:33,236 --> 00:28:36,139 あんたみたいに名の通った 渡世人に➡ 352 00:28:36,139 --> 00:28:38,107 わらじを脱いでもらって➡ 353 00:28:38,107 --> 00:28:41,110 俺も心強えよ。 354 00:28:41,110 --> 00:28:43,045 恐れ入りやす。 おとっつぁん➡ 355 00:28:43,045 --> 00:28:47,183 こちらのお武家さまが 小田切 兵馬さまよ。 356 00:28:47,183 --> 00:28:53,055 (武吉)お二人には 娘が 大変 お世話になりましたそうで➡ 357 00:28:53,055 --> 00:28:56,192 ありがとうごぜえやした。 (お福)ありがとうございました。 358 00:28:56,192 --> 00:28:59,095 早速ですが 脚の具合を 診さしていただきやしょうか。 359 00:28:59,095 --> 00:29:03,095 (武吉)へい 申し訳ねえ。 360 00:29:12,208 --> 00:29:14,208 失礼いたしやす。 361 00:29:19,081 --> 00:29:22,218 (武吉)どんな具合で? 362 00:29:22,218 --> 00:29:27,089 こいつは脱疸といいやす。 363 00:29:27,089 --> 00:29:29,091 (武吉)脱疸?➡ 364 00:29:29,091 --> 00:29:32,228 すると 乙姫さん。 365 00:29:32,228 --> 00:29:36,098 左脚を失うことになりやすが。 366 00:29:36,098 --> 00:29:38,100 (武吉)えっ? 367 00:29:38,100 --> 00:29:43,172 このままにほっときゃあ 腐った所が広がるばかりで➡ 368 00:29:43,172 --> 00:29:46,075 体中に毒が回りやす。 369 00:29:46,075 --> 00:29:52,181 (武吉)すると この左脚を 切り取るというわけですかい? 370 00:29:52,181 --> 00:29:56,052 へい。 さもねえと命を落とすことに。 371 00:29:56,052 --> 00:29:58,054 (武吉)命を? 372 00:29:58,054 --> 00:30:01,190 (お福)お前さん…。 373 00:30:01,190 --> 00:30:04,093 いかがなもんでござんしょう。 374 00:30:04,093 --> 00:30:07,063 それで いつやるんですかい? 375 00:30:07,063 --> 00:30:09,063 すぐにもやらねえと。 376 00:30:11,200 --> 00:30:14,103 (武吉)金之助の野郎が 助っ人を集めてやがんで。➡ 377 00:30:14,103 --> 00:30:17,103 いつ 殴り込みをかけて 来やがるか。 378 00:30:19,075 --> 00:30:23,212 そいつは 親分が決めておくんなせえ。 379 00:30:23,212 --> 00:30:28,084 (武吉)くそ! この俺が身動きできねえんじゃ…。 380 00:30:28,084 --> 00:30:32,221 (お福)お前さん もし 手遅れにでもなったら…。 381 00:30:32,221 --> 00:30:34,156 そうよ おとっつぁん。 ぐずぐずしてたら➡ 382 00:30:34,156 --> 00:30:37,093 それこそ 取り返しのつかないことに。 383 00:30:37,093 --> 00:30:40,096 親分 そのときはそのときだ。 384 00:30:40,096 --> 00:30:43,232 拙者がこの腕に懸けて 守ってみせる。 385 00:30:43,232 --> 00:30:46,135 さっ 乙姫殿。 386 00:30:46,135 --> 00:30:49,105 (武吉)お福 お光➡ 387 00:30:49,105 --> 00:30:53,105 すまねえが お前ら ちょっと外してくれ。 388 00:31:03,252 --> 00:31:06,155 正直 言うと この俺にゃ➡ 389 00:31:06,155 --> 00:31:11,127 渡世人のくそ度胸ってものが ねえですよ。 390 00:31:11,127 --> 00:31:15,264 俺は根っからの渡世人じゃねえ。 391 00:31:15,264 --> 00:31:22,138 この道に入って まだ8年という 駆け出しだ。 392 00:31:22,138 --> 00:31:26,275 元は流れ者の浪人でね。 393 00:31:26,275 --> 00:31:31,147 流れ流れてやって来たのが この桑名宿。 394 00:31:31,147 --> 00:31:36,285 そのうちに お福といい仲になって 一緒になったが➡ 395 00:31:36,285 --> 00:31:43,092 それを機会に大小を捨てて 渡世の道に踏み込んだって➡ 396 00:31:43,092 --> 00:31:46,095 まあ こういうわけでさ。 397 00:31:46,095 --> 00:31:49,231 では もとは武士? 398 00:31:49,231 --> 00:31:56,105 この町屋の武吉は 以前は江田という姓が。 399 00:31:56,105 --> 00:31:59,105 江田 武太夫といいやした。 400 00:32:01,243 --> 00:32:08,117 越後の高田15万石 榊原さまの 家中でね。 401 00:32:08,117 --> 00:32:14,256 ずっと江戸詰だったんだが 国元に帰ったとき➡ 402 00:32:14,256 --> 00:32:22,131 酒の上の席で 思わず 同輩と争いになり➡ 403 00:32:22,131 --> 00:32:25,267 手にかけてしまった。➡ 404 00:32:25,267 --> 00:32:30,139 今にして思えば バカなことをしたもんだと。 405 00:32:30,139 --> 00:32:43,219 ♬~ 406 00:32:43,219 --> 00:32:45,154 ≪(為吉)親分!➡ 407 00:32:45,154 --> 00:32:47,089 金之助一家が 殴り込んできやすぜ! 408 00:32:47,089 --> 00:32:50,092 (武吉)何! (為吉)このご仁が知らせに。 409 00:32:50,092 --> 00:32:53,229 (亀造)乙姫の兄貴 あっしが兄貴の向こうぶちに➡ 410 00:32:53,229 --> 00:32:56,132 回ることはできねえよ。 ねえ そうでしょう。 411 00:32:56,132 --> 00:32:58,132 (伊之助)来やしたぜ! 412 00:33:11,247 --> 00:33:13,182 乙姫殿➡ 413 00:33:13,182 --> 00:33:16,182 事もあろうに 父の敵がお光の父上とは! 414 00:33:18,120 --> 00:33:21,257 何か腹の虫が収まらぬ! 415 00:33:21,257 --> 00:33:23,192 うじ虫どもに 八つ当たりすることにしよう! 416 00:33:23,192 --> 00:33:26,128 思う存分 やっておくんなせい。 417 00:33:26,128 --> 00:33:46,215 ♬~ 418 00:33:46,215 --> 00:34:06,235 ♬~ 419 00:34:06,235 --> 00:34:26,255 ♬~ 420 00:34:26,255 --> 00:34:43,255 ♬~ 421 00:35:18,240 --> 00:35:24,113 敵を父にする そんなことが許されるのだろうか。 422 00:35:24,113 --> 00:35:31,253 そいつは 小田切さまの 心の持ちよう1つでござんすよ。 423 00:35:31,253 --> 00:35:34,156 心の持ちよう1つ… だが。 424 00:35:34,156 --> 00:35:39,128 小田切さまのあだ討ちの相手が 父親だと分かりゃ➡ 425 00:35:39,128 --> 00:35:41,263 お光さんだって つれえ立場に立たされやす。 426 00:35:41,263 --> 00:35:45,134 ましてや あだ討ちを果たしたとなりゃ。 427 00:35:45,134 --> 00:35:50,072 拙者 とても お光を捨てることはできぬ。 428 00:35:50,072 --> 00:35:52,207 全て こいつは➡ 429 00:35:52,207 --> 00:35:56,207 小田切さまの 胸の内1つってことに。 430 00:35:58,080 --> 00:36:03,218 乙姫殿の言うとおりかもしれぬ。 431 00:36:03,218 --> 00:36:06,218 あっしに手を貸して いただけますかい? 432 00:36:18,233 --> 00:36:21,136 小田切さまの腕で➡ 433 00:36:21,136 --> 00:36:25,107 武吉親分の左脚を 斬り落としてもれえてえんです。 434 00:36:25,107 --> 00:36:30,245 拙者の腕で? へえ。 435 00:36:30,245 --> 00:36:32,181 病人の苦痛を和らげるには➡ 436 00:36:32,181 --> 00:36:36,118 一刀の下に斬り落とさなきゃ なりやせん。 437 00:36:36,118 --> 00:36:38,120 それと もう1つ➡ 438 00:36:38,120 --> 00:36:40,255 あっしが ここだと注文した所を➡ 439 00:36:40,255 --> 00:36:43,158 寸分たがわず 断ち切ってもれえてえんです。 440 00:36:43,158 --> 00:36:48,158 それには 小田切さまみてえな腕前がねえと。 441 00:36:52,201 --> 00:36:58,201 武吉親分の左脚にゃ 命が懸かっておりやすんで。 442 00:37:08,217 --> 00:37:10,152 分かった。 443 00:37:10,152 --> 00:37:30,239 ♬~ 444 00:37:30,239 --> 00:37:50,192 ♬~ 445 00:37:50,192 --> 00:38:10,212 ♬~ 446 00:38:10,212 --> 00:38:30,232 ♬~ 447 00:38:30,232 --> 00:38:32,167 ♬~ 448 00:38:32,167 --> 00:38:35,104 こいつはしょうが湯で。 449 00:38:35,104 --> 00:38:38,107 少しは痛みを和らげます。 450 00:38:38,107 --> 00:38:58,193 ♬~ 451 00:38:58,193 --> 00:39:17,212 ♬~ 452 00:39:17,212 --> 00:39:19,148 ♬~ 453 00:39:19,148 --> 00:39:21,083 かんでおくんなせえ。 454 00:39:21,083 --> 00:39:41,236 ♬~ 455 00:39:41,236 --> 00:39:46,074 ♬~ 456 00:39:46,074 --> 00:39:48,043 お願いいたしやす。 457 00:39:48,043 --> 00:40:08,197 ♬~ 458 00:40:08,197 --> 00:40:28,217 ♬~ 459 00:40:28,217 --> 00:40:48,237 ♬~ 460 00:40:48,237 --> 00:40:51,139 ♬~ 461 00:40:51,139 --> 00:40:54,139 や~! 462 00:41:19,134 --> 00:41:22,137 おとっつぁん。 (お福)お前さん。 463 00:41:22,137 --> 00:41:26,275 後は もう 看病するだけで ござんすよ。 464 00:41:26,275 --> 00:41:32,147 夜になると高熱が出やすが それさえ越せば大丈夫でござんす。 465 00:41:32,147 --> 00:41:34,149 おっかさん。 466 00:41:34,149 --> 00:41:38,287 (お福)よかったね お光。➡ 467 00:41:38,287 --> 00:41:40,287 ありがとうございました。 468 00:41:47,095 --> 00:41:51,095 拙者 武士を捨て この桑名に腰を落ち着ける。 469 00:41:55,237 --> 00:41:58,237 お光 その方 異存はないな? 470 00:42:00,108 --> 00:42:04,246 少しだけ 時をください。 471 00:42:04,246 --> 00:42:08,116 その方 乙姫殿のことを…。 472 00:42:08,116 --> 00:42:11,119 やはりそうか! 473 00:42:11,119 --> 00:42:15,257 忘れさせてやる。 忘れさせてやる! 474 00:42:15,257 --> 00:42:18,257 お光… お光! 475 00:43:02,104 --> 00:43:04,106 (為吉)おっ 姉さん。➡ 476 00:43:04,106 --> 00:43:06,108 おはようございます。 (お福)おはよう。 477 00:43:06,108 --> 00:43:08,243 (為吉)どうやら 親分の熱も下がったようですね。 478 00:43:08,243 --> 00:43:10,178 (お福)そうなんだよ。➡ 479 00:43:10,178 --> 00:43:13,115 乙姫さんが もう安心だって 太鼓判 押してくだすったよ。 480 00:43:13,115 --> 00:43:17,252 (為吉)ああ よかった。 (お福)ホントに。➡ 481 00:43:17,252 --> 00:43:22,252 それにしても 乙姫さんって 噂どおりの大したお人だよ。 482 00:43:29,264 --> 00:43:35,137 乙姫さんの気持ちを… 気持ちを聞かせてください。 483 00:43:35,137 --> 00:43:38,273 あっしの気持ちを…➡ 484 00:43:38,273 --> 00:43:41,176 そいつを聞いてどうなさるんで? 485 00:43:41,176 --> 00:43:43,111 私 心に決めてるんです。 486 00:43:43,111 --> 00:43:47,082 お光さんが どう 心に決めようと➡ 487 00:43:47,082 --> 00:43:50,082 それは あっしの知らねえことで ござんすよ。 488 00:43:55,223 --> 00:43:58,126 しょせん あっしは➡ 489 00:43:58,126 --> 00:44:03,098 ねぐらを持たねえ 流れ者でござんす。 490 00:44:03,098 --> 00:44:06,234 乙姫さん。 ≪お光➡ 491 00:44:06,234 --> 00:44:08,234 お光 どこにいる! 492 00:44:10,105 --> 00:44:12,105 お達者で。 493 00:44:22,250 --> 00:44:25,153 何だ こんなとこにいたのか。 494 00:44:25,153 --> 00:44:45,207 ♬~ 495 00:44:45,207 --> 00:44:56,218 ♬~ 496 00:44:56,218 --> 00:44:59,121 <そして 乙姫の旅は続いた> 497 00:44:59,121 --> 00:45:03,091 <人を 生かすも殺すも 道楽にすぎずという➡ 498 00:45:03,091 --> 00:45:06,091 流れ旅であった> 499 00:45:23,245 --> 00:45:26,148 (女)いかがですか? いらっしゃいませ。➡ 500 00:45:26,148 --> 00:45:28,116 あっ お一つ いかがですか? おいしいですよ。➡ 501 00:45:28,116 --> 00:45:30,118 お土産にいかがですか? 502 00:45:30,118 --> 00:45:33,255 真っ昼間っから 盗み酒でケンカか! 503 00:45:33,255 --> 00:45:36,158 てめえらのようなやつは 出ていけ! 504 00:45:36,158 --> 00:45:39,127 俺をバカにしやがって。 505 00:45:39,127 --> 00:45:41,129 杯は返してやる。 506 00:45:41,129 --> 00:45:44,199 もう親分でも子分でもねえ! 出ていけ! 507 00:45:44,199 --> 00:45:46,134 そんな… せっかく戻ってきた若い衆を。 508 00:45:46,134 --> 00:45:49,134 お前の出る幕じゃねえ! 引っ込んでろ! 509 00:45:53,208 --> 00:45:56,111 待ってください! 私が何とか話をつけますから。 510 00:45:56,111 --> 00:45:58,079 (子分)盗み酒やったぐらいで とやかく言われたんじゃ➡ 511 00:45:58,079 --> 00:46:01,082 たまらねえ。 (子分)もう侍じゃねえんだからよ➡ 512 00:46:01,082 --> 00:46:03,218 あれじゃ 今に 誰も 付いていく者はいなくなるぜ。➡ 513 00:46:03,218 --> 00:46:07,088 なあ。 (子分)ああ 行こう行こう。 514 00:46:07,088 --> 00:46:09,090 どちらへ? (亀造)親分➡ 515 00:46:09,090 --> 00:46:13,228 あっしがお供を。 お前さん。 516 00:46:13,228 --> 00:46:15,163 (亀造)姉さん➡ 517 00:46:15,163 --> 00:46:18,099 一時は日の出の勢いだった 一家が…。 518 00:46:18,099 --> 00:46:21,102 いや あっしはね この一家が居心地が良くて➡ 519 00:46:21,102 --> 00:46:24,239 長逗留さしていただいて おりすやすが➡ 520 00:46:24,239 --> 00:46:27,239 まあ 今日このごろときたら…。 521 00:46:29,110 --> 00:46:32,113 (お福)お前さん。➡ 522 00:46:32,113 --> 00:46:37,252 二代目も少しは若い者のことを…。 523 00:46:37,252 --> 00:46:40,155 箸にも棒にもかかんない者ばかり なんだから➡ 524 00:46:40,155 --> 00:46:42,090 あんまり厳し過ぎたら 若い者だって➡ 525 00:46:42,090 --> 00:46:44,059 いられなくなりますよ。 526 00:46:44,059 --> 00:46:46,061 まだ侍っ気が抜けねえんだ。 527 00:46:46,061 --> 00:46:50,198 俺もそうだったが そのうち分かるようになるさ。 528 00:46:50,198 --> 00:46:52,133 (お福の ため息) 529 00:46:52,133 --> 00:46:55,070 (お福)お光だってかわいそうに。➡ 530 00:46:55,070 --> 00:46:58,073 何かっていうと八つ当たりされて。 531 00:46:58,073 --> 00:47:02,210 おまけに 乙姫さんのことが 忘れられないんだろうって➡ 532 00:47:02,210 --> 00:47:05,113 責められて めおとになってから それが いっそう➡ 533 00:47:05,113 --> 00:47:07,082 ひどくなるばかりですよ。 534 00:47:07,082 --> 00:47:11,219 (武吉)うん あれには困ったもんだな。 535 00:47:11,219 --> 00:47:15,090 それだけお光にほれてるってこと だろうが。 536 00:47:15,090 --> 00:47:20,228 ほれてるんなら ほれてるで もう少し やりようが。➡ 537 00:47:20,228 --> 00:47:24,099 あれは 一とおりや二とおりじゃ ありませんよ。 538 00:47:24,099 --> 00:47:44,185 ♬~ 539 00:47:44,185 --> 00:48:04,205 ♬~ 540 00:48:04,205 --> 00:48:14,215 ♬~ 541 00:48:14,215 --> 00:48:17,215 (おちか)また お光さんと 何かあったんですか?➡ 542 00:48:20,088 --> 00:48:24,225 私はその方がうれしいけど。➡ 543 00:48:24,225 --> 00:48:27,128 こうやって親分が来てくれるから。 544 00:48:27,128 --> 00:48:40,241 ♬~ 545 00:48:40,241 --> 00:48:43,241 (おちか)親分。 546 00:48:50,051 --> 00:48:52,051 (おちか)親分。 547 00:48:54,189 --> 00:48:56,124 (金之助)ヘヘヘヘヘヘ よっ。 548 00:48:56,124 --> 00:49:00,061 ≪(徳松)親分。 (金之助)ど… どかね。➡ 549 00:49:00,061 --> 00:49:02,061 何でえ? (徳松)へい。 550 00:49:04,199 --> 00:49:07,102 (徳松)町屋の所じゃ また若え者が 出ていったそうですぜ。 551 00:49:07,102 --> 00:49:09,070 (金之助)そうかい。 (徳松)へい。 552 00:49:09,070 --> 00:49:13,208 兵馬が二代目を継いだときには 20人から集まった若え者も➡ 553 00:49:13,208 --> 00:49:16,111 1人減り 2人減りして 今じゃ たったの5~6人で。 554 00:49:16,111 --> 00:49:20,081 (留五郎)あの様子じゃ 今に 1人もいなくなりますぜ。 555 00:49:20,081 --> 00:49:23,218 (金之助)だいたい あんな侍くずれに➡ 556 00:49:23,218 --> 00:49:26,121 一家の束ねができるわけが ねえんでえ。 557 00:49:26,121 --> 00:49:30,091 まあ 親分ってものは そんな 生やさしいもんじゃねえんだ。 558 00:49:30,091 --> 00:49:34,229 (徳松)ここらで1つ ケンカを持ち込んで➡ 559 00:49:34,229 --> 00:49:36,164 決着を着けたらどうです? 560 00:49:36,164 --> 00:49:38,099 そうだな。 561 00:49:38,099 --> 00:49:43,037 <折から桑名では 桑名神社 改築寄進の花会を➡ 562 00:49:43,037 --> 00:49:49,177 伊勢の貸元で売り出し中の 穴太 徳次郎が勧進元となり➡ 563 00:49:49,177 --> 00:49:54,177 近在の親分衆を集めて 開かれることになっていた> 564 00:49:58,186 --> 00:50:00,121 花会なんて厄介なことを。 565 00:50:00,121 --> 00:50:04,058 (伊之助)親分 花金ですが 50両は包まねえと。 566 00:50:04,058 --> 00:50:06,060 50両? 567 00:50:06,060 --> 00:50:08,196 (伊之助)四日市一家よりか 少ねえんじゃ 安目を売ることに➡ 568 00:50:08,196 --> 00:50:10,131 なりやすぜ。 何も四日市一家に➡ 569 00:50:10,131 --> 00:50:12,066 見え張ることはねえ。 30両で十分だ。 570 00:50:12,066 --> 00:50:14,068 ですけど。 うるせえ! 571 00:50:14,068 --> 00:50:17,205 俺の言う通りにしろ。 へい。 572 00:50:17,205 --> 00:50:19,140 だけど お前さん 渡世の付き合いってもんが。 573 00:50:19,140 --> 00:50:22,076 俺のすることに口出しするな! 574 00:50:22,076 --> 00:50:24,078 ≪(武吉)婿殿。 575 00:50:24,078 --> 00:50:27,215 ハッハッハッハッハッハッ。➡ 576 00:50:27,215 --> 00:50:30,118 いや 俺も初めはそうだったがな➡ 577 00:50:30,118 --> 00:50:35,089 やくざの決まりなんてものは 納得のいかねえことだらけ。 578 00:50:35,089 --> 00:50:37,225 ずいぶんと むかっ腹 立てたもんだ。 579 00:50:37,225 --> 00:50:41,095 だがな 郷に入れば郷に従えだ。 580 00:50:41,095 --> 00:50:43,097 お前さん。 581 00:50:43,097 --> 00:50:47,235 (武吉)伊之助 50両 用意してやれ。 (伊之助)へい。 582 00:50:47,235 --> 00:50:49,170 おとっつぁん。 583 00:50:49,170 --> 00:50:53,107 なあに そのうち 渡世の水に慣れるさ。 584 00:50:53,107 --> 00:50:57,245 (お福)だけど もう1年になるんだからねえ。 585 00:50:57,245 --> 00:51:03,117 (世話役)今岡の 山吹屋 新左衛門親分 30両。➡ 586 00:51:03,117 --> 00:51:09,257 刈谷の中村屋 半三郎親分 50両。➡ 587 00:51:09,257 --> 00:51:16,130 伊勢の松田屋 清太郎親分 50両。➡ 588 00:51:16,130 --> 00:51:22,270 桑名の町屋 兵馬親分 50両。➡ 589 00:51:22,270 --> 00:51:29,143 四日市の金之助親分 100両。 590 00:51:29,143 --> 00:51:33,281 (親分)さすが地元だ 心得てる。 591 00:51:33,281 --> 00:51:36,184 (親分)それに引き換え 町屋が50両とはな。 592 00:51:36,184 --> 00:51:39,153 (親分)二代目は 付き合いって ものを知らなさ過ぎる。 593 00:51:39,153 --> 00:51:42,090 (親分)しょせん 侍崩れの駆け出しさ。 594 00:51:42,090 --> 00:51:44,225 (親分たちの笑い声) 595 00:51:44,225 --> 00:51:46,160 (徳次郎)町屋の➡ 596 00:51:46,160 --> 00:51:51,160 これじゃ 四日市と釣り合いが とれねえんじゃねえか? 597 00:52:04,245 --> 00:52:06,180 何! 金之助が100両? 598 00:52:06,180 --> 00:52:08,116 (伊之助)ええ もう明らかに 親分に対する嫌がらせで➡ 599 00:52:08,116 --> 00:52:10,118 親分は満座の中で恥を。 600 00:52:10,118 --> 00:52:12,120 それで 婿殿は? 601 00:52:12,120 --> 00:52:30,271 ♬~ 602 00:52:30,271 --> 00:52:32,206 ≪ごめんください。 603 00:52:32,206 --> 00:52:35,143 (おちか)親分 おかみさんですよ。 604 00:52:35,143 --> 00:52:37,143 お光? 605 00:52:44,218 --> 00:52:46,218 (おちか)どうぞ。 606 00:52:50,091 --> 00:52:55,229 すいません お世話をかけて。 607 00:52:55,229 --> 00:52:58,132 何しに来た? おちかさんに迷惑を掛けちゃ➡ 608 00:52:58,132 --> 00:53:00,132 いけないわ。 609 00:53:02,103 --> 00:53:04,238 何を言いやがる。 610 00:53:04,238 --> 00:53:07,141 おちか。 (おちか)親分。 611 00:53:07,141 --> 00:53:11,112 お前さん。 何だ その面は。 612 00:53:11,112 --> 00:53:14,248 俺がこうなったのは みんな お前のせいだ。 613 00:53:14,248 --> 00:53:18,248 お前が いまだに 乙姫のことを 思ってんのは分かってる。 614 00:53:20,121 --> 00:53:23,257 それが分かっているから 俺は…。 615 00:53:23,257 --> 00:53:25,193 (おちか)親分 駄目ですよ。 616 00:53:25,193 --> 00:53:27,128 おちか。 617 00:53:27,128 --> 00:53:31,132 (おちか)親分。 おちか。 618 00:53:31,132 --> 00:53:35,269 おちか。 (おちか)親分 駄目ですよ。 619 00:53:35,269 --> 00:53:38,172 お光! そこにいろ。 620 00:53:38,172 --> 00:53:40,141 いるんだ! 621 00:53:40,141 --> 00:53:44,078 お前 乙姫なら➡ 622 00:53:44,078 --> 00:53:49,217 渡世のことを ちゃんとわきまえた 乙姫なら➡ 623 00:53:49,217 --> 00:53:52,120 こんなとき 抜かりなくやると 思ってるんだろう。 624 00:53:52,120 --> 00:53:55,089 そんな… 私は 決して そんなふうに。 625 00:53:55,089 --> 00:53:58,226 分かるもんか! 626 00:53:58,226 --> 00:54:01,129 いいか お光➡ 627 00:54:01,129 --> 00:54:04,098 俺は お前のために武士を捨てた。 628 00:54:04,098 --> 00:54:09,098 それに 俺はあだ討ちを断念した。 629 00:54:13,241 --> 00:54:15,241 言ってやろうか お光。 630 00:54:17,111 --> 00:54:21,115 お前の父親 武吉はな➡ 631 00:54:21,115 --> 00:54:29,257 俺が 10年間 捜し求めていた敵 江田 武太夫だったんだ。 632 00:54:29,257 --> 00:54:31,257 おとっつぁんが敵? 633 00:54:34,128 --> 00:54:41,269 俺はお前のために 敵を目の前にしながら諦めた。 634 00:54:41,269 --> 00:54:45,139 しかも その敵と 一つ屋根の下で暮らしてるんだ。 635 00:54:45,139 --> 00:54:49,077 それも親父と呼んでな! 636 00:54:49,077 --> 00:54:54,215 このように仕向けたのは あの乙姫なんだ! 637 00:54:54,215 --> 00:54:56,215 乙姫さん…。 638 00:55:00,088 --> 00:55:02,090 俺は あのとき 迷った。 639 00:55:02,090 --> 00:55:06,227 父の敵 江田 武太夫を 討ち果たせば➡ 640 00:55:06,227 --> 00:55:09,130 10年越しに 晴れて 越後高田に帰り➡ 641 00:55:09,130 --> 00:55:12,100 主君のお目見えを得て 帰参がかなう。 642 00:55:12,100 --> 00:55:14,100 禄高のご加増にもありつける。 643 00:55:17,238 --> 00:55:21,109 だが 乙姫に言われて 俺はそれを諦めた。 644 00:55:21,109 --> 00:55:23,111 それというのも➡ 645 00:55:23,111 --> 00:55:26,247 お前を捨てることが できなかったからだ。 646 00:55:26,247 --> 00:55:31,119 そのお前が乙姫のことを…。 647 00:55:31,119 --> 00:55:33,121 俺は まだ これからも➡ 648 00:55:33,121 --> 00:55:36,257 敵と 一つ屋根の下で 暮らさねばならぬ。 649 00:55:36,257 --> 00:55:39,160 敵を父と呼ばねばならぬ! 650 00:55:39,160 --> 00:55:42,160 これもみんな あの乙姫のせいだ! 651 00:55:46,067 --> 00:55:48,202 おとっつぁん…。 652 00:55:48,202 --> 00:55:50,202 (武吉)お光…。 653 00:56:00,214 --> 00:56:07,088 婿殿 話は 今 全部聞いたぜ。 654 00:56:07,088 --> 00:56:09,223 俺も もしやとは思っていたが➡ 655 00:56:09,223 --> 00:56:14,095 お光のために そんなことは 信じるわけにはいかなかった。 656 00:56:14,095 --> 00:56:20,234 だがな お前の敵は やっぱり この俺だったんだな。 657 00:56:20,234 --> 00:56:23,137 すまねえ。➡ 658 00:56:23,137 --> 00:56:25,106 お前を こんなつらい目に 遭わしたのは➡ 659 00:56:25,106 --> 00:56:27,108 俺のせいだ。 660 00:56:27,108 --> 00:56:31,245 1年前に敵として お前に討たれてりゃ➡ 661 00:56:31,245 --> 00:56:35,116 お前も こんな苦しい立場に 立たずに済んだ。 662 00:56:35,116 --> 00:56:38,119 すまねえな。 663 00:56:38,119 --> 00:56:42,190 花会の話は聞いた。 664 00:56:42,190 --> 00:56:45,092 お前が やくざ渡世の水になじもうと➡ 665 00:56:45,092 --> 00:56:47,061 一生懸命 努めてたことは➡ 666 00:56:47,061 --> 00:56:50,064 俺は 誰よりも よく分かってる。 667 00:56:50,064 --> 00:56:54,202 痛えほど よく分かってるよ。 668 00:56:54,202 --> 00:56:56,137 だがな 婿殿➡ 669 00:56:56,137 --> 00:57:00,074 ままにならねえのが この渡世だ。 670 00:57:00,074 --> 00:57:03,211 親父さん。 671 00:57:03,211 --> 00:57:06,113 四日市の金之助は➡ 672 00:57:06,113 --> 00:57:10,084 お前に恥をかかせて ケンカを売ろうっていう魂胆だ。 673 00:57:10,084 --> 00:57:16,224 なあ この落し前は 俺につけさしてくれ。 674 00:57:16,224 --> 00:57:21,095 俺の命は もともと お前のものなんだ。 675 00:57:21,095 --> 00:57:23,097 それじゃあ 親父さん! 676 00:57:23,097 --> 00:57:30,238 お光のことは くれぐれも頼んだぜ。 677 00:57:30,238 --> 00:57:32,173 それじゃあな。 678 00:57:32,173 --> 00:57:52,193 ♬~ 679 00:57:52,193 --> 00:58:10,193 ♬~ 680 00:58:20,221 --> 00:58:23,124 (為吉)あっ 親分 姉さんの姿が見えねえんで。 681 00:58:23,124 --> 00:58:25,124 お光が? へえ! 682 00:58:29,230 --> 00:58:31,165 (お福)お光の身の回りの物が ないんですよ。 683 00:58:31,165 --> 00:58:34,101 身の回りの物が? (お福)ええ。 684 00:58:34,101 --> 00:58:37,104 お光を捜すんだ。 どんなことしても見つけ出すんだ。 685 00:58:37,104 --> 00:58:39,240 (為吉)へい。 686 00:58:39,240 --> 00:58:41,175 (亀造)親分 さっき浜で➡ 687 00:58:41,175 --> 00:58:43,110 姉さんが船に乗るのを 見掛けやしたぜ。 688 00:58:43,110 --> 00:58:45,046 船に? (亀造)へえ。 いや まさか➡ 689 00:58:45,046 --> 00:58:47,048 家出だとは 気が付かなかったもんで。 690 00:58:47,048 --> 00:58:49,050 船なら東に向かったんだ。 691 00:58:49,050 --> 00:58:51,185 亀造さん 頼みがある。 692 00:58:51,185 --> 00:58:53,185 (亀造)へえ。 693 00:58:58,059 --> 00:59:02,059 (武吉)やい! 金之助 出てこい!➡ 694 00:59:04,198 --> 00:59:07,101 どうしたい 金之助は! 出てこい! 695 00:59:07,101 --> 00:59:09,070 (金之助)何か用かい? 町屋の。 696 00:59:09,070 --> 00:59:13,207 (武吉)てめえ よくも町屋一家に 恥をかかしてくれたな! 697 00:59:13,207 --> 00:59:15,142 (金之助)何のこっだい。 さっぱり分からねえな。 698 00:59:15,142 --> 00:59:18,079 (武吉)分からなきゃ 教えてやろうじゃねえか。➡ 699 00:59:18,079 --> 00:59:21,082 今日の穴太徳の花会 思い出しやがれ! 700 00:59:21,082 --> 00:59:23,217 (金之助)あれが どうかしたのかい? 701 00:59:23,217 --> 00:59:25,152 (武吉)くっそ~ もう我慢ならねえ!➡ 702 00:59:25,152 --> 00:59:28,089 てめえの その首 たたき斬ってやらあ! 703 00:59:28,089 --> 00:59:31,092 (金之助)何を言いやがる。 てめえ 死にに来たのかい? 704 00:59:31,092 --> 00:59:35,229 (武吉)はっは~ 俺は1年前に死んでるよ! 705 00:59:35,229 --> 00:59:38,132 (金之助)何だと? おい みんな 聞いたかい? 706 00:59:38,132 --> 00:59:40,101 老いぼれのせりふを。 707 00:59:40,101 --> 00:59:43,037 町屋の武吉も 焼きが回ったようだぜ。 708 00:59:43,037 --> 00:59:45,037 やっちまいな! 709 00:59:47,174 --> 00:59:49,110 (武吉)くっそ~!➡ 710 00:59:49,110 --> 00:59:52,110 何しやがる! この野郎! 711 00:59:56,183 --> 00:59:59,183 (一同の笑い声) 712 01:00:13,200 --> 01:00:16,200 (金之助)始末しろい! (子分)へい。 713 01:00:18,072 --> 01:00:38,225 ♬~ 714 01:00:38,225 --> 01:00:58,245 ♬~ 715 01:00:58,245 --> 01:01:09,245 ♬~ 716 01:01:26,273 --> 01:01:28,209 <キザクラソウ➡ 717 01:01:28,209 --> 01:01:30,144 昔 とある乙女が➡ 718 01:01:30,144 --> 01:01:33,147 かなわぬ恋を この花に託したという> 719 01:01:33,147 --> 01:01:37,284 <お光を兵馬に譲って旅に出た 姫四郎> 720 01:01:37,284 --> 01:01:41,155 <その姫四郎との 思いがけない再会に➡ 721 01:01:41,155 --> 01:01:44,091 お光の心には あつい思いが蘇り➡ 722 01:01:44,091 --> 01:01:47,094 あの懐かしい 出会いの日のことが➡ 723 01:01:47,094 --> 01:01:51,094 昨日のように 思い出されるのであった> 724 01:01:58,239 --> 01:02:01,239 《どちらが先か これで》 725 01:02:03,110 --> 01:02:08,249 《私は桑名の町屋の 武吉という やくざの 娘です》 726 01:02:08,249 --> 01:02:11,152 《姫四郎殿 どうする?》 727 01:02:11,152 --> 01:02:15,122 《話を聞いてやっちゃ いかがなもんでござんしょう》 728 01:02:15,122 --> 01:02:18,259 《しかし 順序が》 729 01:02:18,259 --> 01:02:23,130 《じゃあ さいころ次第ってことに いたしやしょう》 730 01:02:23,130 --> 01:02:43,217 ♬~ 731 01:02:43,217 --> 01:02:45,152 《どうして 私の所に 来てくれなかったんです?》 732 01:02:45,152 --> 01:02:48,088 《どうして?》 733 01:02:48,088 --> 01:02:54,228 《初めてお光さんを見たとき 妹を思い出したんでござんすよ》 734 01:02:54,228 --> 01:02:56,228 《妹さんを?》 735 01:03:02,102 --> 01:03:05,102 小田切さまは そうおっしゃったんですかい。 736 01:03:07,241 --> 01:03:12,112 私 乙姫さんに きっと会える➡ 737 01:03:12,112 --> 01:03:16,250 そう信じて飛び出してきたんです。 738 01:03:16,250 --> 01:03:19,153 やっぱり会えた。 739 01:03:19,153 --> 01:03:26,260 乙姫さん 私 もう 桑名には帰りたくない。 740 01:03:26,260 --> 01:03:29,163 いいえ 帰りません。 741 01:03:29,163 --> 01:03:33,133 バカなことを言うもんじゃ ありませんよ。 742 01:03:33,133 --> 01:03:37,271 私 乙姫さんと一緒に…。 743 01:03:37,271 --> 01:03:41,141 あっしの生き様は 前にも言ったはずでござんすよ。 744 01:03:41,141 --> 01:03:43,077 構いません。 私 付いていきます。 745 01:03:43,077 --> 01:03:45,077 そいつは…。 746 01:03:47,081 --> 01:03:50,217 あっしには迷惑ってもんで ござんすよ。 747 01:03:50,217 --> 01:03:53,120 迷惑? 748 01:03:53,120 --> 01:04:00,227 お光さん 町屋一家 二代目の おかみさんでござんしょう。 749 01:04:00,227 --> 01:04:02,162 仕方がござんせん。 750 01:04:02,162 --> 01:04:04,162 あっしが桑名まで お送りいたしやしょう。 751 01:04:16,243 --> 01:04:30,257 ♬~ 752 01:04:30,257 --> 01:04:32,257 《誰かつけてる。》 753 01:04:35,129 --> 01:04:38,129 《いや 確かにつけてる。》 754 01:04:46,206 --> 01:04:48,206 (親父)いらっしゃい。 755 01:04:50,077 --> 01:04:52,077 さっ。 756 01:04:55,215 --> 01:04:57,215 飯をおくんなせえ。 (親父)へい。 757 01:05:05,225 --> 01:05:07,161 (亀造)ふ~ 飯だ 飯 飯ちょうだい。 758 01:05:07,161 --> 01:05:10,097 (親父)へい。 759 01:05:10,097 --> 01:05:14,234 (亀造)兄貴! 姉さんもご一緒で。 760 01:05:14,234 --> 01:05:17,137 いや こんなとこで会えるとは 思いもよりませんでしたよ。 761 01:05:17,137 --> 01:05:19,106 亀造さん あんた 親分に言われて? 762 01:05:19,106 --> 01:05:21,108 (亀造)えっ?➡ 763 01:05:21,108 --> 01:05:25,245 まあ 実を申しますと そうなんで。 764 01:05:25,245 --> 01:05:27,181 見つけ次第 連れ戻せと。 765 01:05:27,181 --> 01:05:29,116 もう その心配はいらねえよ。 766 01:05:29,116 --> 01:05:31,118 (亀造)あっ じゃあ桑名へ?➡ 767 01:05:31,118 --> 01:05:33,120 あっ そうなんですか。 いや あっしは➡ 768 01:05:33,120 --> 01:05:37,120 お二人で駆け落ちかと 思いやしたよ。 769 01:05:39,259 --> 01:05:59,213 ♬~ 770 01:05:59,213 --> 01:06:19,233 ♬~ 771 01:06:19,233 --> 01:06:21,233 ♬~ 772 01:06:29,243 --> 01:06:49,196 ♬~ 773 01:06:49,196 --> 01:07:02,209 ♬~ 774 01:07:02,209 --> 01:07:05,112 (亀造)兄貴! 775 01:07:05,112 --> 01:07:07,080 今のやつらに見覚えはねえか? 776 01:07:07,080 --> 01:07:11,218 (亀造)えっ? いや 見たこともねえ面です。➡ 777 01:07:11,218 --> 01:07:14,121 それにしても どうして 兄貴が。 778 01:07:14,121 --> 01:07:17,090 そいつは俺の方が知りてえよ。 779 01:07:17,090 --> 01:07:37,244 ♬~ 780 01:07:37,244 --> 01:07:44,051 ♬~ 781 01:07:44,051 --> 01:07:48,188 (伊之助)金之助が穴太の親分と 兄弟分の縁組みをするそうですぜ。 782 01:07:48,188 --> 01:07:50,123 金之助が穴太徳と? 783 01:07:50,123 --> 01:07:53,060 (為吉)穴太が 四日市一家の後ろ盾になると➡ 784 01:07:53,060 --> 01:07:56,063 こいつは厄介なことに。 (伊之助)親分 ぐずぐずしてると。 785 01:07:56,063 --> 01:07:59,199 親父の弔い合戦をやるのは 今しかねえ。 786 01:07:59,199 --> 01:08:01,134 ≪(子分)親分➡ 787 01:08:01,134 --> 01:08:05,072 姉さんがお帰りになりましたぜ。 お光が? 788 01:08:05,072 --> 01:08:08,208 おとっつぁんが? (お福)お光…。 789 01:08:08,208 --> 01:08:10,208 先代が? 790 01:08:14,081 --> 01:08:16,081 乙姫の。 791 01:08:19,219 --> 01:08:24,091 お前さんも一緒だったのか。 しばらくでござんす。 792 01:08:24,091 --> 01:08:28,228 どうして お光と? 訳は後でお話いたしやす。 793 01:08:28,228 --> 01:08:32,228 それより 先代が思いがけねえことに。 794 01:08:57,057 --> 01:08:59,059 先代は四日市の金之助に? 795 01:08:59,059 --> 01:09:04,197 ああ。 おまけに金之助は 穴太徳と杯を交わして➡ 796 01:09:04,197 --> 01:09:06,133 のさばろうとしてるんだ。 797 01:09:06,133 --> 01:09:08,068 そうなりゃ ケンカは免れねえ。 798 01:09:08,068 --> 01:09:12,068 俺はその前に何としても この弔い合戦をするつもりでいる。 799 01:09:16,209 --> 01:09:19,209 乙姫の どこへ? 800 01:09:32,225 --> 01:09:34,161 (金之助)乙姫が舞い戻った? (寅八)へい。➡ 801 01:09:34,161 --> 01:09:38,098 先ほど 姿を見掛けた野郎がいるそうで。 802 01:09:38,098 --> 01:09:42,035 やつが舞い戻ったとなりゃ 殴り込みがあるかもしれねえ。 803 01:09:42,035 --> 01:09:47,174 よ~し こっちから先に仕掛けてやるぜ。 804 01:09:47,174 --> 01:09:49,109 おい 寅八。 お前 5~6人連れて➡ 805 01:09:49,109 --> 01:09:52,045 町屋一家へ回れ。 手薄になったところを➡ 806 01:09:52,045 --> 01:09:54,047 切り込むんだい。 (寅八)へい。 807 01:09:54,047 --> 01:09:59,047 今度こそ 町屋一家の息の根を 止めてやるぜ。 808 01:10:22,075 --> 01:10:25,075 どうしたい! (子分)へい。 809 01:10:45,232 --> 01:11:05,252 ♬~ 810 01:11:05,252 --> 01:11:25,272 ♬~ 811 01:11:25,272 --> 01:11:45,225 ♬~ 812 01:11:45,225 --> 01:12:05,245 ♬~ 813 01:12:05,245 --> 01:12:25,265 ♬~ 814 01:12:25,265 --> 01:12:44,217 ♬~ 815 01:12:44,217 --> 01:12:51,091 意趣遺恨はござんせんが 渡世の仁義でござんす。 816 01:12:51,091 --> 01:12:55,091 お命 頂戴します。 817 01:13:08,241 --> 01:13:23,256 ♬~ 818 01:13:23,256 --> 01:13:26,256 (お福)誰か! 誰か来て! 819 01:13:35,268 --> 01:13:37,204 お光! 820 01:13:37,204 --> 01:13:54,204 ♬~ 821 01:14:01,228 --> 01:14:05,098 お前さん! (亀造)親分! 822 01:14:05,098 --> 01:14:08,101 乙姫の… 乙姫の…。 823 01:14:08,101 --> 01:14:10,237 へい! お前さん! 824 01:14:10,237 --> 01:14:12,237 (お福)しっかり。 825 01:14:20,247 --> 01:14:22,182 (亀造)おお! 兄貴! 826 01:14:22,182 --> 01:14:25,118 親分が… 親分がやられたよ! 827 01:14:25,118 --> 01:14:27,118 何だと! 828 01:14:43,203 --> 01:14:45,203 無事だったのか。 829 01:14:58,218 --> 01:15:00,153 こいつは かなり深えや。 830 01:15:00,153 --> 01:15:02,088 乙姫の。 あまりしゃべらねえ方が➡ 831 01:15:02,088 --> 01:15:04,090 ようござんすよ。 832 01:15:04,090 --> 01:15:07,227 すぐにでも治療しねえと。 833 01:15:07,227 --> 01:15:11,097 ただ 治療のために どうしても必要な薬草が➡ 834 01:15:11,097 --> 01:15:14,100 今 あいにく あっしの手元にはござんせん。 835 01:15:14,100 --> 01:15:17,237 一っ走り 近江まで行ってめえりやす。 836 01:15:17,237 --> 01:15:19,172 お願いします。 837 01:15:19,172 --> 01:15:21,172 へえ。 838 01:15:34,254 --> 01:15:54,207 ♬~ 839 01:15:54,207 --> 01:15:56,142 ♬~ 840 01:15:56,142 --> 01:15:59,079 (今朝次)町屋の二代目親分さんに お目通りにあがりやした。➡ 841 01:15:59,079 --> 01:16:01,081 お取り次ぎ願いてえんで。 842 01:16:01,081 --> 01:16:03,081 (子分)へい。 843 01:16:07,220 --> 01:16:10,123 (子分)親分。 844 01:16:10,123 --> 01:16:15,095 お光 おっかさん ちょっと席を外してくれ。 845 01:16:15,095 --> 01:16:18,231 あまり口を利かないようにと 乙姫さんから言われてますから。 846 01:16:18,231 --> 01:16:20,231 いいから行くんだ! 847 01:16:29,242 --> 01:16:32,145 (今朝次)親分 どじを踏んで申し訳ありません。 848 01:16:32,145 --> 01:16:34,114 俺も四日市一家とのケンカに かこつけて➡ 849 01:16:34,114 --> 01:16:36,116 始末しようとしたんだが➡ 850 01:16:36,116 --> 01:16:38,251 果たせなかった。 (捨三)へい。➡ 851 01:16:38,251 --> 01:16:41,154 この次は 必ず 乙姫を。 852 01:16:41,154 --> 01:16:45,058 ああ。 他にやり方はある。 853 01:16:45,058 --> 01:17:02,208 ♬~ 854 01:17:02,208 --> 01:17:05,111 乙姫の始末だが。 (今朝次)へい。 855 01:17:05,111 --> 01:17:11,217 2日後には また舞い戻ってくる。 俺の治療の薬を持ってな。 856 01:17:11,217 --> 01:17:14,120 (今朝次)誠にめでてえ話で。 857 01:17:14,120 --> 01:17:16,089 だが 帰ってこねえ。 858 01:17:16,089 --> 01:17:19,092 (今朝次)では 乙姫は帰ってこねえって寸法で。 859 01:17:19,092 --> 01:17:21,227 そういうことだ。 860 01:17:21,227 --> 01:17:25,098 (今朝次)だけど 親分さんも 恐ろしいお人ですぜ。➡ 861 01:17:25,098 --> 01:17:28,101 兄弟分同然の乙姫のことを。 862 01:17:28,101 --> 01:17:31,237 お前たちには 心のない人形を抱き続けた➡ 863 01:17:31,237 --> 01:17:33,173 俺の気持ちは分かるまい! 864 01:17:33,173 --> 01:17:53,193 ♬~ 865 01:17:53,193 --> 01:18:13,213 ♬~ 866 01:18:13,213 --> 01:18:33,233 ♬~ 867 01:18:33,233 --> 01:18:53,186 ♬~ 868 01:18:53,186 --> 01:19:13,206 ♬~ 869 01:19:13,206 --> 01:19:33,226 ♬~ 870 01:19:33,226 --> 01:19:53,179 ♬~ 871 01:19:53,179 --> 01:20:03,189 ♬~ 872 01:20:03,189 --> 01:20:06,092 兄貴 お迎えにあがりやしたよ。 873 01:20:06,092 --> 01:20:09,062 俺を迎えに? (亀造)へえ。 874 01:20:09,062 --> 01:20:11,064 小田切さまの具合はどうなんだ? 875 01:20:11,064 --> 01:20:13,199 (亀造)へえ もう だいぶ 熱も下がったようで。 876 01:20:13,199 --> 01:20:17,070 亀造 俺の迎えなんか どうだって構わねえ。 877 01:20:17,070 --> 01:20:19,072 だが まず 何より先に 小田切さまの➡ 878 01:20:19,072 --> 01:20:22,208 具合を話すのが 当たり前ってもん…。 879 01:20:22,208 --> 01:20:24,208 (悲鳴) 880 01:20:34,220 --> 01:20:39,220 (亀造)あ~ 兄貴! 助けてよ~! 881 01:20:43,229 --> 01:20:46,229 (亀造)兄貴~! 882 01:20:51,104 --> 01:20:56,104 (今朝次)乙姫! (亀造)おっ おう 助けてくれよ! 883 01:21:01,247 --> 01:21:04,150 (亀造)何やってんだよ お前ら! 884 01:21:04,150 --> 01:21:07,150 やめてくれ~! 885 01:21:10,256 --> 01:21:14,127 やめろよ~! 886 01:21:14,127 --> 01:21:17,130 亀造 お前もくたばっちまいな! 887 01:21:17,130 --> 01:21:19,130 うわ~! 888 01:21:23,269 --> 01:21:25,204 (今朝次)これで 乙姫も 生き返れねえ。 889 01:21:25,204 --> 01:21:27,140 (捨三)えっ 確かめなくてもいいのかい? 890 01:21:27,140 --> 01:21:31,144 (今朝次)ああ。 左手のつぶれた 乙姫は 死んだも同然だ。 891 01:21:31,144 --> 01:21:33,144 (五郎吉)まったくだ。 892 01:21:49,228 --> 01:21:53,228 (亀造)チキショー あの野郎! 893 01:22:00,239 --> 01:22:05,111 ううっ… うっ。 894 01:22:05,111 --> 01:22:09,248 (亀造)兄貴 勘弁してくれ。➡ 895 01:22:09,248 --> 01:22:12,151 このとおりだ。 896 01:22:12,151 --> 01:22:14,120 気の済むようにしてくれ。 897 01:22:14,120 --> 01:22:17,123 殺されたって構わねえよ。 898 01:22:17,123 --> 01:22:20,123 お前を斬るような どすは 持ち合わしちゃいねえ。 899 01:22:22,261 --> 01:22:26,261 今度のことは みんなしゃべるよ。 洗いざらい しゃべるよ。 900 01:22:28,134 --> 01:22:32,134 (亀造)痛…。 俺は50両って金に目がくらんでよ。 901 01:22:35,274 --> 01:22:40,274 (亀造)今度のことは みんな 親分が仕組んだことなんだ! 902 01:22:44,083 --> 01:22:47,083 小田切さまが? へい。 903 01:23:00,233 --> 01:23:02,168 (今朝次)仮に死にはぐれたって➡ 904 01:23:02,168 --> 01:23:07,106 左手が役立たずじゃ 赤子も同然でさあ。 905 01:23:07,106 --> 01:23:11,244 うむ。 亀造も始末して ちょうどよかった。 906 01:23:11,244 --> 01:23:15,114 あの野郎 いつ寝返るか 分かったもんじゃねえ。 907 01:23:15,114 --> 01:23:17,116 だが 万一ってことがある。 908 01:23:17,116 --> 01:23:20,253 見張りだけは ちゃんとしておけ! (今朝次)へい。 909 01:23:20,253 --> 01:23:22,188 (亀造)じゃあ 兄貴 どうしても親分を? 910 01:23:22,188 --> 01:23:25,124 道楽にも限りってもんがある。 911 01:23:25,124 --> 01:23:27,126 だって その左手で どうやって? 912 01:23:27,126 --> 01:23:30,263 殺されちまいますぜ! 913 01:23:30,263 --> 01:23:33,166 兄貴 右手で? いや そうはいかねえ。 914 01:23:33,166 --> 01:23:35,134 どうしてなんで。 915 01:23:35,134 --> 01:23:38,137 右手は人を生かすもんで➡ 916 01:23:38,137 --> 01:23:41,274 殺すためには 金輪際 使わねえことになってる。 917 01:23:41,274 --> 01:23:44,177 だから こうやって数珠を。 918 01:23:44,177 --> 01:23:46,112 だって親分は 兄貴を裏切ったやつですぜ。 919 01:23:46,112 --> 01:23:51,083 人は人 俺は俺の道を行くだけだ。 920 01:23:51,083 --> 01:23:54,220 じゃあ たとえ殺されても 右手は使わねえんですか? 921 01:23:54,220 --> 01:23:57,123 それが俺の信念ってもんだ。 922 01:23:57,123 --> 01:24:00,092 信念を捨ててまで生きたくはねえ。 923 01:24:00,092 --> 01:24:15,241 ♬~ 924 01:24:15,241 --> 01:24:17,176 (亀造)それじゃあ 殺されちまうよ! 925 01:24:17,176 --> 01:24:21,113 亀造 ちょいと手伝ってもらいてえ。 926 01:24:21,113 --> 01:24:24,113 へい。 俺のどすを抜いてくれ。 927 01:24:28,254 --> 01:24:30,254 よし 前へ出せ。 928 01:24:43,202 --> 01:25:03,222 ♬~ 929 01:25:03,222 --> 01:25:07,222 ♬~ 930 01:25:18,237 --> 01:25:21,140 (お福)お光 どうしたんだい? 931 01:25:21,140 --> 01:25:24,110 (せき) 932 01:25:24,110 --> 01:25:29,110 (お福)お光 お前 きっと おめでただよ。 933 01:25:39,258 --> 01:25:41,193 (子分)おっ! 934 01:25:41,193 --> 01:26:01,213 ♬~ 935 01:26:01,213 --> 01:26:13,225 ♬~ 936 01:26:13,225 --> 01:26:18,097 俺の欲しい命は たった1つだ! 937 01:26:18,097 --> 01:26:38,250 ♬~ 938 01:26:38,250 --> 01:26:58,204 ♬~ 939 01:26:58,204 --> 01:27:14,220 ♬~ 940 01:27:14,220 --> 01:27:18,220 ただいま戻りやした。 941 01:27:23,229 --> 01:27:26,132 生き返らせた俺を 殺しに来たのか! 942 01:27:26,132 --> 01:27:28,100 おっしゃるとおりで。 943 01:27:28,100 --> 01:27:30,100 何! 944 01:27:36,242 --> 01:27:38,242 死んでもらいやす。 945 01:27:55,194 --> 01:27:59,194 俺は お光の全てを 俺のものにしたかったんだ! 946 01:28:01,067 --> 01:28:04,203 いまさら それを言って どうなるんでござんす? 947 01:28:04,203 --> 01:28:09,203 たとえ地獄へ落ちようと お光は俺のもんだ! 948 01:28:17,216 --> 01:28:19,216 やめて! 949 01:28:22,088 --> 01:28:25,091 どけ! 殺さないで。 950 01:28:25,091 --> 01:28:28,091 うちの人を殺さないでください! 951 01:28:35,234 --> 01:28:39,105 私のおなかには赤ちゃんが…➡ 952 01:28:39,105 --> 01:28:41,105 赤ちゃんがいるんです! 953 01:28:50,182 --> 01:28:53,085 うちの人を殺さないで。 954 01:28:53,085 --> 01:28:55,054 うちの人を許してください。 955 01:28:55,054 --> 01:29:15,207 ♬~ 956 01:29:15,207 --> 01:29:35,227 ♬~ 957 01:29:35,227 --> 01:29:47,173 ♬~ 958 01:29:47,173 --> 01:29:50,075 《やめて!》 959 01:29:50,075 --> 01:29:52,044 《殺さないで》 960 01:29:52,044 --> 01:29:55,044 《うちの人を 殺さないでください!》 961 01:29:57,183 --> 01:30:01,053 《私のおなかには赤ちゃんが…➡ 962 01:30:01,053 --> 01:30:05,057 赤ちゃんがいるんです!》 963 01:30:05,057 --> 01:30:08,194 《うちの人を殺さないで》 964 01:30:08,194 --> 01:30:10,194 《うちの人を許してください》 965 01:30:14,066 --> 01:30:18,204 <右手で人を生かし 左手で人を殺すという➡ 966 01:30:18,204 --> 01:30:21,106 乙井の姫四郎 人呼んで 乙姫の➡ 967 01:30:21,106 --> 01:30:24,076 生きて明日なき 流れ旅> 968 01:30:24,076 --> 01:30:28,214 <その行く手は 情けに咲いて涙に散った➡ 969 01:30:28,214 --> 01:30:33,214 キザクラソウの花だけが 知っていたのかもしれない> 970 01:30:38,224 --> 01:30:58,244 ♬~ 971 01:30:58,244 --> 01:31:18,264 ♬~ 972 01:31:18,264 --> 01:31:38,284 ♬~ 973 01:31:38,284 --> 01:31:58,237 ♬~ 974 01:31:58,237 --> 01:32:02,237 ♬~