1 00:00:25,540 --> 00:00:45,520 ・~ 2 00:00:45,520 --> 00:01:05,510 ・~ 3 00:01:05,510 --> 00:01:25,530 ・~ 4 00:01:25,530 --> 00:01:45,520 ・~ 5 00:01:45,520 --> 00:01:52,420 ・~ 6 00:02:02,530 --> 00:02:07,540 (騒ぎ声) 7 00:02:07,540 --> 00:02:10,540 (同心)ええい どけどけ! (同心)どいた どいた! 8 00:02:12,510 --> 00:02:14,510 (同心)早く歩く! (同心)行け! 9 00:02:14,510 --> 00:02:16,510 (町人)子供じゃねえか おい (同心)歩け! 10 00:02:16,510 --> 00:02:19,520 (町人)どうしたんだ? (町人)仇討ちだとさ 11 00:02:19,520 --> 00:02:21,520 (町人) 仇討ち? そば屋の でっちがか? 12 00:02:21,520 --> 00:02:23,520 (町人)旦那が 風呂屋で殴られたってんで・ 13 00:02:23,520 --> 00:02:26,520 この間から狙っていたんだそうだ (町人)ふ~ん 14 00:02:26,520 --> 00:02:30,530 (女性)討ち入り以来 江戸は 仇討ちが はやりとか聞きましたが 15 00:02:30,530 --> 00:02:32,530 ほんとでございますね 16 00:02:32,530 --> 00:02:35,530 (女性)昨日も本郷と神田に それも みんな町人だそうでございますよ 17 00:02:35,530 --> 00:02:37,530 (浪人)フン! はやりとは恐ろしい 18 00:02:37,530 --> 00:02:40,540 赤穂の痩せ浪人も 今や 浪人どころか義士だ 19 00:02:40,540 --> 00:02:44,540 (浪人)見ろ 葛餅まで「義士餅」になっとる 20 00:02:44,540 --> 00:02:47,510 (口上人) …で その46人の方たちは・ 21 00:02:47,510 --> 00:02:52,520 即日 仙石伯耆守様の役宅において 一様に尋問を受けたるのち 22 00:02:52,520 --> 00:02:57,520 46人を分かちて 細川越中守様の屋敷に17人 23 00:02:57,520 --> 00:03:03,530 毛利 松平 両邸に おのおの10人 水野様へ残りの9人が・ 24 00:03:03,530 --> 00:03:06,530 それぞれ お預けと相なりたる次第 25 00:03:06,530 --> 00:03:09,530 (藩士)お上は 何ゆえ 早く義士の処置を決めんのだ? 26 00:03:09,530 --> 00:03:12,540 (藩士)あとあとの例にもなるゆえ なかなか決まるまい 27 00:03:12,540 --> 00:03:14,540 まさか死罪にするようなことは… (藩士)当たり前じゃ 28 00:03:14,540 --> 00:03:17,540 (藩士)ご老中の意見は ことごとく ご赦免に一致してるそうだ 29 00:03:17,540 --> 00:03:19,540 (藩士) しかし 義士を預かる大名らの・ 30 00:03:19,540 --> 00:03:22,510 あの ものものしい警戒ぶりは どうじゃ? まるで罪人ではないか 31 00:03:22,510 --> 00:03:24,510 (藩士)まったく けしからん! 32 00:03:24,510 --> 00:03:26,520 とりわけ 大石殿のおられる細川家などは・ 33 00:03:26,520 --> 00:03:28,520 よほど心を遣ってもらわんと 34 00:03:30,520 --> 00:03:42,530 ・~ 35 00:03:42,530 --> 00:03:54,430 ・~ 36 00:03:58,510 --> 00:04:05,520 (堀内)とにかく ご一同に対する 市中の評判は大したもので 37 00:04:05,520 --> 00:04:12,530 「赤穂浪人は武士のかがみじゃ 天下の義士じゃ」などと申して 38 00:04:12,530 --> 00:04:14,530 (堀内) ご赦免の日の早からんことを・ 39 00:04:14,530 --> 00:04:16,530 祈らぬ者はありません 40 00:04:16,530 --> 00:04:19,540 (大石) ほほう 世間では そんなことを 41 00:04:19,540 --> 00:04:23,540 何しろ 当家の扱いがいいの悪いのと・ 42 00:04:23,540 --> 00:04:27,540 そんなことまで いろいろ 取り沙汰いたしておるしだいで 43 00:04:27,540 --> 00:04:32,520 いやはや 世間は正直 人気というものは恐ろしいもの… 44 00:04:32,520 --> 00:04:34,520 伝右衛門殿 45 00:04:34,520 --> 00:04:38,520 世間で そのように 言われれば言われるほど・ 46 00:04:38,520 --> 00:04:41,520 我らは心苦しゅうございます 47 00:04:41,520 --> 00:04:43,530 …と おっしゃると? 48 00:04:43,530 --> 00:04:49,530 討ち入りまでは苦心といっても 人目を避けてのこと 49 00:04:49,530 --> 00:04:53,540 今は 一挙一動 世間の目を浴びているだけに・ 50 00:04:53,540 --> 00:04:55,540 かえって つらい 51 00:04:55,540 --> 00:04:57,540 これに比べると・ 52 00:04:57,540 --> 00:05:01,540 まだしも 仇討ちのほうが 楽だったかもしれません 53 00:05:01,540 --> 00:05:04,510 ・(大石) 若い者も大勢おることですし・ 54 00:05:04,510 --> 00:05:07,520 中には世間の評判などを聞いて・ 55 00:05:07,520 --> 00:05:10,520 つい 気の緩む者も ないとも言えません 56 00:05:10,520 --> 00:05:15,530 どうか 以後 そのような お話は なさらぬように 57 00:05:15,530 --> 00:05:17,530 いや しかし… 58 00:05:17,530 --> 00:05:19,530 手前が こんなことを言うのも・ 59 00:05:19,530 --> 00:05:25,530 つまりは 有終の美を飾りたい ただ それだけなのだ 60 00:05:47,520 --> 00:05:50,520 いや… そのまま… 61 00:05:52,530 --> 00:05:56,530 内蔵助殿に叱られました 62 00:05:56,530 --> 00:06:02,540 いや それは手前にも内蔵助殿の お気持ちが分からぬこともないが 63 00:06:02,540 --> 00:06:08,540 手前は やっぱり ご一同が ご助命になるのが当然のことと… 64 00:06:08,540 --> 00:06:12,550 いや そうあるべきです 65 00:06:12,550 --> 00:06:17,520 …でなければ もう とうに 何とか ご裁断があるはず 66 00:06:17,520 --> 00:06:20,520 ご公議の ご沙汰が これまで延びているというのも・ 67 00:06:20,520 --> 00:06:23,530 聞くところによれば・ 68 00:06:23,530 --> 00:06:27,530 将軍家ご自身が ご一同の お身を案じられて・ 69 00:06:27,530 --> 00:06:33,540 なるべく軽い処置をと 学者に尋ね 故実にただして・ 70 00:06:33,540 --> 00:06:38,540 先例などをお取り調べ中の ためだという話も 確かに 71 00:06:38,540 --> 00:06:43,550 (赤埴)いや それは… 伝右衛門殿 我々は もう覚悟の上ですから 72 00:06:43,550 --> 00:06:47,550 なあ? みんな (近松)そうだとも 73 00:06:47,550 --> 00:06:50,520 今更 うろたえるような奴も おらんだろうよ 74 00:06:50,520 --> 00:06:54,520 いや 決して そんなつもりで申したのでは… 75 00:06:56,530 --> 00:07:00,530 今日は どちらへ行っても小言ばかりで 76 00:07:11,540 --> 00:07:13,540 (近松) しかし 今の話 ほんとかな? 77 00:07:13,540 --> 00:07:15,550 うん? 何が? 78 00:07:15,550 --> 00:07:18,550 将軍家が我々を助けようという 79 00:07:18,550 --> 00:07:21,550 うむ… まんざら お追従でもあるまい 80 00:07:21,550 --> 00:07:24,520 (浪士)そういえば さっき 小者から聞いたが 81 00:07:24,520 --> 00:07:27,520 ご当家の太守様も… (近松)ご当家の太守も? 82 00:07:27,520 --> 00:07:30,520 ・(大石) 伝右衛門殿は おられるか? 83 00:07:34,530 --> 00:07:36,530 出ていかれましたが 84 00:07:42,540 --> 00:07:44,540 (浪士)今日は幾日だ? 85 00:07:46,540 --> 00:07:48,540 確か 2月2日だな 86 00:07:48,540 --> 00:07:51,550 いや 3日だ 87 00:07:51,550 --> 00:07:53,550 うむ… 88 00:07:56,550 --> 00:07:59,550 すると 討ち入りから もう50日か 89 00:08:03,530 --> 00:08:09,530 あのとき 泉岳寺で ひと思いに 切腹してしまえばよかったのだ 90 00:08:09,530 --> 00:08:11,530 なまじ生き延びたばかりに… 91 00:08:11,530 --> 00:08:13,540 文句を言うな 92 00:08:13,540 --> 00:08:16,540 毎日 うまい物を食って のんきにしていられるんだから・ 93 00:08:16,540 --> 00:08:19,540 こんな ありがたいことは ないじゃないか 94 00:08:19,540 --> 00:08:24,550 それが たまらないんだ 俺は こうしていると… 95 00:08:24,550 --> 00:08:28,550 とにかく まだ 死罪とは決まったわけじゃない 96 00:08:28,550 --> 00:08:31,550 世間でも いろいろと取り沙汰してるし 97 00:08:31,550 --> 00:08:35,520 ひょっとすると ご赦免とは いかぬまでも 遠島という… 98 00:08:35,520 --> 00:08:39,530 (笑い声) 99 00:08:39,530 --> 00:08:42,530 (磯貝)ばかばかしい想像ですな 100 00:08:42,530 --> 00:08:46,540 (磯貝)とかく 「我が上の星は 見えぬ」というが いやはや 101 00:08:46,540 --> 00:08:48,540 磯貝 102 00:08:48,540 --> 00:08:51,540 我々は死罪に決まっています 103 00:08:51,540 --> 00:08:54,540 一味徒党は天下のご法度 104 00:08:54,540 --> 00:09:00,550 よくて切腹 まかり間違えば 磔 獄門 105 00:09:00,550 --> 00:09:04,550 しかし 今も伝右衛門殿が 言われたように 将軍家も… 106 00:09:04,550 --> 00:09:07,550 そんなことは気休めです 気休め? 107 00:09:09,530 --> 00:09:13,530 貴公らは この花をどう思います? 108 00:09:13,530 --> 00:09:16,530 ご当家 太守様からは・ 109 00:09:16,530 --> 00:09:19,540 今まで 数々の くださり物がありましたが・ 110 00:09:19,540 --> 00:09:23,540 お花を賜ったのは 今日が初めて 111 00:09:23,540 --> 00:09:26,540 …というと? 112 00:09:26,540 --> 00:09:31,550 つまり これは仏花ですよ 113 00:09:31,550 --> 00:09:33,550 この花をくだされただけでも・ 114 00:09:33,550 --> 00:09:37,550 成り行きは はっきり分かろうというもの 115 00:09:37,550 --> 00:09:42,550 恐らく 今日か明日 ご上使が 下がるのではないでしょうか 116 00:09:48,530 --> 00:09:50,530 ・(氏家)ごめんください 117 00:09:53,540 --> 00:09:55,540 (氏家)堀内様は? 118 00:09:55,540 --> 00:09:59,540 ご上使か? (氏家)いえ 119 00:09:59,540 --> 00:10:03,540 今 出ていかれたが (氏家)では 120 00:10:11,550 --> 00:10:13,550 (切る音) 121 00:10:35,540 --> 00:10:37,550 なに・ 乙女田と申す者? 122 00:10:37,550 --> 00:10:40,550 はっ 是非 お目にかかりたいと 123 00:10:40,550 --> 00:10:43,550 困った奴だ とうとう来たか 124 00:10:43,550 --> 00:10:45,550 はあ? (堀内)あっ… 125 00:10:53,530 --> 00:10:55,530 (おみの)あの… 126 00:10:55,530 --> 00:10:59,540 お気の毒ながら 「帰るように」と申されました 127 00:10:59,540 --> 00:11:02,540 (おみの)ほんとに おじ様が そう おっしゃいましたか? 128 00:11:02,540 --> 00:11:04,540 はい 129 00:11:04,540 --> 00:11:07,540 そんなはずは… 130 00:11:07,540 --> 00:11:09,550 何もかも ご存じなのに 131 00:11:09,550 --> 00:11:12,550 でも 私は そう申しつけられただけで 132 00:11:12,550 --> 00:11:15,550 是非 もう一度 お取り次ぎを 133 00:11:15,550 --> 00:11:17,550 このままでは帰れません 134 00:11:17,550 --> 00:11:19,560 しかし… 135 00:11:19,560 --> 00:11:25,530 表門からとは申しません 裏木戸からでも そっと… 136 00:11:25,530 --> 00:11:27,530 どうぞ お願い申します 137 00:11:27,530 --> 00:11:30,530 いや どうか もう お帰りください 138 00:11:33,540 --> 00:11:36,540 あの… もし! 139 00:11:50,550 --> 00:11:54,560 十郎左殿… はっ 何か? 140 00:11:54,560 --> 00:11:57,560 十郎左殿 はあ? 141 00:11:57,560 --> 00:12:03,530 つかぬことをお尋ねするが 貴殿 乙女田の娘をご存じで? 142 00:12:03,530 --> 00:12:06,540 乙女田… 143 00:12:06,540 --> 00:12:09,540 ああ… おみの殿 144 00:12:12,540 --> 00:12:17,550 知っていますが それが どうかなさいましたか? 145 00:12:17,550 --> 00:12:20,550 実は それについて… 146 00:12:20,550 --> 00:12:23,550 伝右衛門殿は どうして おみの殿を? 147 00:12:23,550 --> 00:12:27,560 あれの父と手前とは竹馬の友で ほう 148 00:12:27,560 --> 00:12:31,560 実は それについて お願いが 149 00:12:33,530 --> 00:12:35,530 どうなされた? 150 00:12:35,530 --> 00:12:37,530 いや 別に… 151 00:12:37,530 --> 00:12:42,530 生け花が あまり 見事な お手並みなので 152 00:12:54,550 --> 00:12:58,550 (赤埴)今まで何の ご沙汰もないところを見ると・ 153 00:12:58,550 --> 00:13:01,560 今日ではなさそうだな 154 00:13:01,560 --> 00:13:04,560 1日 生き延びたかな? 155 00:13:08,530 --> 00:13:12,540 まだ分からん しかし こうなったら早いほうがいい 156 00:13:12,540 --> 00:13:17,540 俺は ゆうべ せがれの夢を見てな 157 00:13:17,540 --> 00:13:22,550 貴公のところでは 確か 去年 生まれたばかりであろう? 158 00:13:22,550 --> 00:13:26,550 よちよち歩き始めたころ 別れたきりだ 159 00:13:35,560 --> 00:13:37,560 (近松)さあ 160 00:13:44,530 --> 00:13:49,540 (奥田)どなたか 切腹の作法をご存じないかな? 161 00:13:49,540 --> 00:13:52,540 実は 拙者 恥ずかしながら・ 162 00:13:52,540 --> 00:13:57,550 57歳にもなって まだ見たことも 聞いたこともないのだが 163 00:13:57,550 --> 00:14:00,550 そういえば 俺も知らん 164 00:14:00,550 --> 00:14:04,550 赤埴 おぬしは知ってるか? 165 00:14:04,550 --> 00:14:06,560 詳しいことは知らん 166 00:14:06,560 --> 00:14:08,560 伝右衛門殿にでも聞いたら 分かるかもしれんぞ 167 00:14:08,560 --> 00:14:11,560 そうか 聞くは いっときの恥というからな 168 00:14:11,560 --> 00:14:14,560 勘六殿 およしなさい! (近松)どうして? 169 00:14:14,560 --> 00:14:18,530 他家の人に みっともない いっときの恥では済みませぬ 170 00:14:18,530 --> 00:14:20,540 じゃ おぬしは知ってるのか? 171 00:14:20,540 --> 00:14:25,540 さあ? やってみなければ分かりませぬが 172 00:14:25,540 --> 00:14:28,540 たとえ 腹は切り損ねても・ 173 00:14:28,540 --> 00:14:31,550 死に損なわねば それでよいのでしょう 174 00:14:31,550 --> 00:14:33,550 なに・ (浪士)まあまあ 175 00:14:33,550 --> 00:14:35,550 ・(近松) 貴様 俺を馬鹿にすんのか? 176 00:14:35,550 --> 00:14:37,550 ・(浪士)おい よせ やめぬか 177 00:14:39,560 --> 00:14:45,560 ご当家のお取り計らい 我ら一同 ただ恐れ入るばかりですが 178 00:14:45,560 --> 00:14:48,560 とりわけ お手前には ひとかたならぬ お世話に 179 00:14:48,560 --> 00:14:51,560 いや さようなこと… 180 00:14:54,540 --> 00:15:00,540 ところで 先刻 何か 磯貝に尋ねておられたようだが 181 00:15:00,540 --> 00:15:02,540 いや 別に 182 00:15:02,540 --> 00:15:06,550 磯貝は 1代かぎりの ご奉公でしてな 183 00:15:06,550 --> 00:15:08,550 我らとは なじみも浅いせいか・ 184 00:15:08,550 --> 00:15:12,550 何を考えているのやら 一向に分かりかねます 185 00:15:12,550 --> 00:15:19,560 いやあ お若いに似合わず よくできた御仁と常々… 186 00:15:19,560 --> 00:15:25,570 伝右衛門殿 本当に そう お思いですか? 187 00:15:25,570 --> 00:15:29,540 他の者と違って あの男だけ・ 188 00:15:29,540 --> 00:15:32,540 1人 悟りきったような 様子をしておりますが 189 00:15:32,540 --> 00:15:37,550 あれが本心からと お思いですか? 190 00:15:37,550 --> 00:15:42,550 いや しかし それは お覚悟が… 191 00:15:42,550 --> 00:15:46,560 その覚悟というのが 当てにならぬもので 192 00:15:46,560 --> 00:15:49,560 正直言って 我々でさえ時々… 193 00:15:49,560 --> 00:15:54,560 ましてや 若い者が迷うのは当然 194 00:15:57,570 --> 00:16:03,540 あの男の様子を見ていると 何やら わざと肩を怒らせているようで 195 00:16:03,540 --> 00:16:07,540 かえって 危なかしく思われてなりません 196 00:16:07,540 --> 00:16:12,550 重ねて お伺いするが 磯貝に何をお尋ねでしたか? 197 00:16:12,550 --> 00:16:16,550 あっ それは… 198 00:16:16,550 --> 00:16:18,550 ・ ろうぜき者! ろうぜき者! 199 00:16:18,550 --> 00:16:20,550 ・ 待て! 待たんか! 200 00:16:22,560 --> 00:16:24,560 あっ! 201 00:16:24,560 --> 00:16:28,560 (小姓たち)待て! 待たんか! おい! 待たんか! 202 00:16:30,570 --> 00:16:33,570 あっ 失礼いたす 203 00:16:43,550 --> 00:16:45,550 (浪士たちの笑い声) 204 00:16:45,550 --> 00:16:49,550 (浪士)その女の素性は? (浪士)いや よくは知らんが 205 00:16:49,550 --> 00:16:52,550 どうやら 我々の中の誰かに ゆかりの者らしい 206 00:16:52,550 --> 00:16:56,550 誰だろう? 思い当たる奴は いないか? 207 00:17:02,560 --> 00:17:04,570 (せきばらい) 208 00:17:04,570 --> 00:17:09,570 いや 何を隠そう実は俺の女だ 209 00:17:09,570 --> 00:17:11,540 討ち入り前に ちょっと できてな 210 00:17:11,540 --> 00:17:15,540 (近松) 嘘をつけ それが女のできる顔か 211 00:17:15,540 --> 00:17:18,550 貴様は女より酒のほうだろう? 212 00:17:18,550 --> 00:17:20,550 (笑い声) 213 00:17:20,550 --> 00:17:25,550 いや 酒は表芸で 裏は その… ハハ… 何だ… 214 00:17:25,550 --> 00:17:29,560 (近松)ほんとか? それは (赤埴)うん 「能ある鷹は爪を隠す」 215 00:17:29,560 --> 00:17:32,560 のう? 平馬殿 (氏家)まさか… 違います 216 00:17:32,560 --> 00:17:37,570 (赤埴)違う? ハハハッ… 知らんな おぬしは 217 00:17:37,570 --> 00:17:39,570 あの方は 磯貝様に会いに来たんです 218 00:17:39,570 --> 00:17:43,570 (赤埴)磯貝? ほんとか? 219 00:17:43,570 --> 00:17:46,570 「能ある鷹は爪を隠す」 220 00:17:48,540 --> 00:17:53,550 いやあ そうだろう 貴公なら まさに 表芸じゃ 221 00:17:53,550 --> 00:17:55,550 (笑い声) 222 00:17:55,550 --> 00:17:59,560 何しろ 討ち入りの折 弓の弦を 片っ端から切ってしまうという・ 223 00:17:59,560 --> 00:18:02,560 すばしっこい男だからな 手は早い 224 00:18:02,560 --> 00:18:05,560 まったくだ… あっ そうそう 磯貝 225 00:18:05,560 --> 00:18:08,560 いつか 貴公を追い回していた そば屋の女中は どうした? 226 00:18:08,560 --> 00:18:10,570 あれは すぐ切れました 227 00:18:10,570 --> 00:18:13,570 そういえば あそこのそばは 打ちが悪かったぞ 228 00:18:13,570 --> 00:18:17,570 (笑い声) 229 00:18:17,570 --> 00:18:23,550 ・♪(琴) 230 00:18:23,550 --> 00:18:42,560 ・♪~ 231 00:18:42,560 --> 00:18:59,550 ♪~ 232 00:18:59,550 --> 00:19:01,550 やめぬか! 233 00:19:01,550 --> 00:19:03,550 (乙女田)伝右衛 234 00:19:03,550 --> 00:19:05,550 (堀内)貴公は知らんのか? (乙女田)うん? 235 00:19:05,550 --> 00:19:08,560 (堀内)真っ昼間 屋敷へ忍び込み… 236 00:19:08,560 --> 00:19:13,560 いずれ わしが よいように 計らおうと思うていたのに 237 00:19:13,560 --> 00:19:16,570 人の気も知らずに 238 00:19:16,570 --> 00:19:20,570 この姿で 屋敷の庭先へ忍び込んだのだ 239 00:19:20,570 --> 00:19:24,570 おみの… 琴の稽古に行くのだと申して 240 00:19:24,570 --> 00:19:29,540 ♪~ 241 00:19:29,540 --> 00:19:34,550 さあ 磯貝 残らず話してくれ 242 00:19:34,550 --> 00:19:39,550 とがめるのではない おぬしの心が知りたいのだ 243 00:19:47,560 --> 00:19:52,570 どういう女だ? 言えんのか? 244 00:19:52,570 --> 00:19:54,570 磯貝 245 00:19:54,570 --> 00:20:03,550 ♪~ 246 00:20:03,550 --> 00:20:05,550 やめろと言うに! 247 00:20:05,550 --> 00:20:11,550 ♪~ 248 00:20:11,550 --> 00:20:14,560 ええい! 249 00:20:14,560 --> 00:20:18,560 せめて 琴ぐらい弾かせてくだすっても… 250 00:20:18,560 --> 00:20:20,560 琴を弾いて どうなるんじゃ 251 00:20:41,550 --> 00:20:56,570 ♪~ 252 00:20:56,570 --> 00:20:58,570 おじ様 253 00:21:00,570 --> 00:21:08,580 これは あの方と 爪弾きをした恋慕の曲 254 00:21:08,580 --> 00:21:14,550 ♪~ 255 00:21:14,550 --> 00:21:19,550 伝右衛… わしは不憫で見ておれぬ 256 00:21:23,560 --> 00:21:27,560 おじ様 どうぞ会わせてくださいませ 257 00:21:27,560 --> 00:21:31,570 あの方のお気持ち ひと言 聞くだけでいいのですから 258 00:21:31,570 --> 00:21:34,570 今更 聞くまでもあるまい 259 00:21:34,570 --> 00:21:38,570 そなたは 敵の目を欺くために 利用されたのだ 260 00:21:38,570 --> 00:21:41,580 始めから 祝言などする気はなかったのだ 261 00:21:41,580 --> 00:21:45,580 考えてもみろ 磯貝殿ほどの御仁が・ 262 00:21:45,580 --> 00:21:49,550 こんな浪人ふぜいの家へ 婿になど来るはずがない 263 00:21:49,550 --> 00:21:53,560 でも それは… 祝言を前にして お姿が見えなくなったのは・ 264 00:21:53,560 --> 00:21:55,560 討ち入りが近づいたからで 265 00:21:55,560 --> 00:21:58,560 おみのをお嫌いになったからでは ございません 266 00:21:58,560 --> 00:22:02,560 まだ そのようなこと… お前は だまされたのだ 267 00:22:02,560 --> 00:22:06,570 いいや 私には そうは思えません 268 00:22:06,570 --> 00:22:09,570 勝手にせい 269 00:22:09,570 --> 00:22:14,580 大体 こんな物をいつまでも 飾っておくから悪いのだ 270 00:22:14,580 --> 00:22:18,580 ばかばかしい こんな物に なけなしの金をかけて 271 00:22:18,580 --> 00:22:22,550 いや しかし ものは考えようだ 272 00:22:22,550 --> 00:22:24,550 祝言こそしないが・ 273 00:22:24,550 --> 00:22:27,560 赤穂義士の1人と これこれの 話があったというだけで・ 274 00:22:27,560 --> 00:22:29,560 そなたの誉れではないか 275 00:22:29,560 --> 00:22:32,560 そんな誉れは欲しくありません 276 00:22:32,560 --> 00:22:39,460 私は あの方の 誠の心が知りとうございます 277 00:22:41,570 --> 00:22:45,570 (笑い声) 278 00:22:45,570 --> 00:22:49,580 私は始めから 計略で あの女を利用したに過ぎません 279 00:22:49,580 --> 00:22:52,580 計略? 本当か? 280 00:22:52,580 --> 00:22:56,580 死に臨んだ人間が 偽りなど申せましょうか? 281 00:22:59,550 --> 00:23:02,560 しかし… では 伺いますが・ 282 00:23:02,560 --> 00:23:06,560 お頭が 伏見 島原などで 酒色に親しまれたのも・ 283 00:23:06,560 --> 00:23:10,570 敵を欺く計略では ございませんでしたか? 284 00:23:10,570 --> 00:23:12,570 うむ… 285 00:23:14,570 --> 00:23:18,570 私も それと同様 286 00:23:18,570 --> 00:23:21,580 だが… 287 00:23:21,580 --> 00:23:25,580 わしの場合は 今だから言うが・ 288 00:23:25,580 --> 00:23:32,550 計略とは言いながら 真実 楽しいときがないでもなかった 289 00:23:32,550 --> 00:23:36,560 己が そうであっただけに… ご心配には及びませぬ 290 00:23:36,560 --> 00:23:41,560 殿ご切腹ののちは仇討ちだけが 十郎左の全てでございました 291 00:23:41,560 --> 00:23:44,570 それを果たした今は… 292 00:23:44,570 --> 00:23:47,570 死ぬことだけが全てでございます 293 00:23:47,570 --> 00:23:49,570 うむ… 294 00:23:52,570 --> 00:23:56,580 ほかに 何か ご用が? いや 295 00:23:56,580 --> 00:23:59,580 では 296 00:23:59,580 --> 00:24:02,580 どうぞ お願いでございます ひと目だけでも… 297 00:24:02,580 --> 00:24:05,580 それを 確かめるだけでいいのですから 298 00:24:07,560 --> 00:24:10,560 伝右衛 武士の情けだ 299 00:24:10,560 --> 00:24:15,560 わしからも このとおり 頼む! 会わせてやってくれ 300 00:24:15,560 --> 00:24:17,570 しかし・ 301 00:24:17,570 --> 00:24:22,570 ご一党は庭へ出ることさえも 許されていないのだ 302 00:24:22,570 --> 00:24:26,580 そ… それを一体 どうして… 303 00:24:26,580 --> 00:24:30,580 大石様にお願いして 何とか… 304 00:24:30,580 --> 00:24:35,580 馬鹿! そんなことが お願いできるか 305 00:24:35,580 --> 00:24:38,590 無理を言って わしを困らせんでくれ 306 00:24:38,590 --> 00:24:41,560 (おみの)お願いでございます お願いでございます 307 00:24:41,560 --> 00:24:45,560 伝右衛! 頼む 頼む 308 00:24:47,560 --> 00:24:59,460 ・~ 309 00:25:05,580 --> 00:25:10,590 首が落ち申した 嫌なこと言うな 310 00:25:10,590 --> 00:25:12,590 いよいよか 311 00:25:12,590 --> 00:25:15,560 (戸が開く音) 312 00:25:15,560 --> 00:25:17,560 どうも いよいよらしい 313 00:25:17,560 --> 00:25:19,560 伝右衛門殿が ひどく思い詰めた顔で・ 314 00:25:19,560 --> 00:25:22,560 お頭と一緒に 詰め所のほうに行かれたそうだ 315 00:25:22,560 --> 00:25:24,570 (近松たち) えっ? お頭と? 詰め所へ? 316 00:25:24,570 --> 00:25:29,570 ガタガタするな (近松)誰もガタガタはせん 317 00:25:29,570 --> 00:25:31,570 なっ? 318 00:25:31,570 --> 00:25:34,580 どうなっても覚悟はできてるわ 319 00:25:34,580 --> 00:25:39,580 要するに 笑われんように 死ねばいいんだろう 死ねば 320 00:25:39,580 --> 00:25:42,580 腹ぐらい切れるわ 321 00:25:59,570 --> 00:26:03,570 …で 改まって お話というのは? 322 00:26:03,570 --> 00:26:05,570 はっ… 323 00:26:05,570 --> 00:26:11,580 実は ご一同の お身の周りの お世話をする者を・ 324 00:26:11,580 --> 00:26:15,580 1人 増やしたいと存じますが いかがでございましょう? 325 00:26:15,580 --> 00:26:18,590 そんなことでしたか ハハハ… 326 00:26:18,590 --> 00:26:21,590 しかし また どうして? 327 00:26:21,590 --> 00:26:27,560 手前の知り合いの者が 「是非 義士の皆様方にあやかりたい」 328 00:26:27,560 --> 00:26:31,570 「後世への語りぐさに 1日だけでよいから・ 329 00:26:31,570 --> 00:26:35,570 おそばで仕えたい」と申しまして 330 00:26:35,570 --> 00:26:40,580 かえって失望なさらねばよいが お望みならば 331 00:26:40,580 --> 00:26:44,580 ありがたい では 早速 332 00:26:44,580 --> 00:26:48,580 ・(戸の開閉音) 333 00:26:52,590 --> 00:26:58,590 ・(ほととぎすの鳴き声) 334 00:27:07,570 --> 00:27:11,570 ・(戸の開閉音) 335 00:27:19,580 --> 00:27:22,580 内蔵助殿 これなる者で 336 00:27:22,580 --> 00:27:25,580 乙女田志津馬と申します 337 00:27:32,560 --> 00:27:34,560 お茶を 338 00:27:34,560 --> 00:27:36,560 はい 339 00:28:00,590 --> 00:28:04,590 あっ 勝手ながら 手前 急に ご用を思い出しましたので 340 00:28:04,590 --> 00:28:06,560 ちょっと失礼を 341 00:28:06,560 --> 00:28:08,560 伝右衛門殿 (堀内)はっ 342 00:28:08,560 --> 00:28:11,560 この御仁は女ではないか 343 00:28:13,570 --> 00:28:15,570 あっ… 申し訳ございません 344 00:28:15,570 --> 00:28:19,570 何のためのお戯れじゃ? 345 00:28:19,570 --> 00:28:23,570 大石様 何もかも申し上げます 346 00:28:26,580 --> 00:28:30,590 お頭は まだ戻られんぞ 347 00:28:30,590 --> 00:28:32,590 (浪士) どうも少し長すぎやせんか? 348 00:28:32,590 --> 00:28:34,590 だから どうなんだ? 349 00:28:34,590 --> 00:28:37,590 どっちみち来るときは来るわ 350 00:28:37,590 --> 00:28:39,590 (浪士)それも そうだ 351 00:28:45,570 --> 00:28:48,570 来たのか? (得安)えっ 何が? 352 00:28:48,570 --> 00:28:50,570 ご上使だろう? (得安)吉報です 353 00:28:50,570 --> 00:28:52,570 (近松たち)吉報? 354 00:28:54,580 --> 00:28:56,580 今 聞いたばかりですけど 355 00:28:56,580 --> 00:28:59,580 日光のご門主様が 昨日 ご登城になって・ 356 00:28:59,580 --> 00:29:02,580 ご一同様のご赦免を じきじき 将軍家へ お願いなされたそうです 357 00:29:02,580 --> 00:29:04,580 (近松)ご門主が? (矢田)本当か? 358 00:29:06,590 --> 00:29:10,590 どうぞ 不憫と おぼし召して… 359 00:29:12,590 --> 00:29:18,570 おみの殿とやら せっかくながら お断り申す 360 00:29:18,570 --> 00:29:20,570 内蔵助殿… 361 00:29:20,570 --> 00:29:23,570 大石様 たって お願い申し上げます 362 00:29:23,570 --> 00:29:25,570 なりませぬ 363 00:29:25,570 --> 00:29:27,580 ほんの ひと目 364 00:29:27,580 --> 00:29:30,580 会って どうなさるというのだ? 365 00:29:30,580 --> 00:29:35,580 あの方のお気持ちが 聞きとうございます 366 00:29:35,580 --> 00:29:40,590 では申すが 十郎左は この内蔵助に・ 367 00:29:40,590 --> 00:29:46,590 「計略のため 偽りの縁を結んだ」と はっきりと申しましたぞ 368 00:29:46,590 --> 00:29:48,600 十郎左様が? 369 00:29:48,600 --> 00:29:51,570 確かに そう申した 370 00:29:51,570 --> 00:29:56,570 だから わしが言うたではないか 371 00:29:56,570 --> 00:30:01,580 内蔵助殿… はしたない さあ 372 00:30:01,580 --> 00:30:04,580 嫌でございます あの方のお口から聞くまでは 373 00:30:04,580 --> 00:30:08,580 まだ そのような… 聞き分けのない 374 00:30:08,580 --> 00:30:11,590 嫌でございます… おじ様 嫌でございます 375 00:30:11,590 --> 00:30:13,590 おみの殿! 376 00:30:18,590 --> 00:30:22,600 内蔵助の言うことを よく聞いてくだされ 377 00:30:22,600 --> 00:30:26,570 磯貝は 口でこそ そう言うが 378 00:30:26,570 --> 00:30:30,570 近ごろ しきりと何かを思い詰めています 379 00:30:30,570 --> 00:30:33,570 そなたは それをどう思われる? 380 00:30:35,580 --> 00:30:37,580 磯貝も覚悟ある侍 381 00:30:37,580 --> 00:30:42,580 どのような場合にも うろたえるとは思いませぬが 382 00:30:42,580 --> 00:30:45,590 何ぶんにも年が若い 383 00:30:45,590 --> 00:30:48,590 ふとしたことで 心中 動揺して・ 384 00:30:48,590 --> 00:30:53,600 最後の場合 不覚を取るまいものでもない 385 00:30:53,600 --> 00:30:58,600 内蔵助は それだけが気がかりなのだ 386 00:30:58,600 --> 00:31:02,570 では 女の私は・ 387 00:31:02,570 --> 00:31:06,570 一生 疑いの中に苦しみ続けろと おっしゃいますか? 388 00:31:08,580 --> 00:31:14,580 苦しかろう… 苦しかろうが それが十郎左のため 389 00:31:14,580 --> 00:31:18,590 こらえてください 頼みます 390 00:31:18,590 --> 00:31:20,590 おみの殿 391 00:31:23,590 --> 00:31:26,590 分かってくださるな? 392 00:31:26,590 --> 00:31:28,600 大石様! 393 00:31:28,600 --> 00:31:30,600 こらえてくださるか? 394 00:31:30,600 --> 00:31:32,600 はい 395 00:31:35,570 --> 00:31:43,580 (泣き声) 396 00:31:43,580 --> 00:31:49,580 そうか かたじけない 397 00:31:49,580 --> 00:31:51,580 おみの… 398 00:31:58,590 --> 00:32:01,490 ・(氏家)堀内様 堀内様! 399 00:32:06,600 --> 00:32:10,600 堀内様! 火急 表の間 ご用にございます 400 00:32:16,580 --> 00:32:21,580 内蔵助殿 ご上使が下がりました 401 00:32:24,590 --> 00:32:27,590 おっつけ ご用意願います 402 00:32:27,590 --> 00:32:29,590 (おみの)おじ様! 403 00:32:29,590 --> 00:32:32,590 (大石)お小姓殿 404 00:32:32,590 --> 00:32:34,600 (氏家)残念でございます 405 00:32:34,600 --> 00:32:38,600 (大石)磯貝十郎左衛門を ちょっと これまで お呼び出しくだされ 406 00:32:38,600 --> 00:32:41,600 (氏家)はい (大石)急ぎます 早く 407 00:32:41,600 --> 00:32:43,600 はい 408 00:32:49,580 --> 00:32:54,580 大石様 ご上使が下がれば… 409 00:32:56,580 --> 00:33:02,590 おみの殿… 十郎左の本心 しかと お聞きなされよ 410 00:33:02,590 --> 00:33:04,590 はい 411 00:33:04,590 --> 00:33:09,600 (家臣)村井様! 表の間 ご用にございます 村井様 412 00:33:09,600 --> 00:33:14,600 (家臣) 三宅藤兵衛様! 三宅藤兵衛様! 413 00:33:29,580 --> 00:33:31,580 (大石)これへ 414 00:33:44,600 --> 00:33:51,500 十郎左 心を静めて 最期の別れをするがよい 415 00:34:22,600 --> 00:34:28,600 十郎左様 お目にかかりとうございました 416 00:34:35,580 --> 00:34:37,580 こんな姿で… 417 00:34:46,590 --> 00:34:51,600 ご上使が下がったと お聞きしました 418 00:34:51,600 --> 00:34:57,610 十郎左様 おみのも あとを慕ってまいります 419 00:34:57,610 --> 00:35:01,580 フッ… そんなことを言いに来たのか 420 00:35:01,580 --> 00:35:03,580 私は行かねばならん 421 00:35:03,580 --> 00:35:07,580 十郎左様! あなたの ご本心をお聞かせくださいませ 422 00:35:10,590 --> 00:35:15,590 ただ ひと言 「不憫な奴」と おっしゃっていただければ・ 423 00:35:15,590 --> 00:35:17,590 よろこんで お供ができます 424 00:35:17,590 --> 00:35:24,490 何を馬鹿な… 不憫と思えば とうに契りを交わしているはずだ 425 00:35:27,600 --> 00:35:29,600 あのとき 私は・ 426 00:35:29,600 --> 00:35:33,610 吉良家の者から怪しまれて 進退 窮まっていた 427 00:35:33,610 --> 00:35:36,580 ちょうど そこへ そなたとの縁談があったので・ 428 00:35:36,580 --> 00:35:39,580 これ幸いと飛びついただけだ 429 00:35:39,580 --> 00:35:42,580 おかげで 敵の目を避けることができた 430 00:35:44,590 --> 00:35:46,590 改めて 礼を言います 431 00:35:49,590 --> 00:35:54,590 いいえ たとえ祝言はしなくとも… 432 00:35:58,600 --> 00:36:00,600 十郎左様 433 00:36:00,600 --> 00:36:02,600 おっしゃってくださいませ あなたのお心を 434 00:36:02,600 --> 00:36:04,610 まだ分からんのか? 435 00:36:04,610 --> 00:36:08,610 つまらぬ思い違いをして あたら尊い命を無駄になされるな 436 00:36:08,610 --> 00:36:12,580 いえ 思い違いではございません 437 00:36:12,580 --> 00:36:20,590 ほかの人は とにかく 私だけには分かります 438 00:36:20,590 --> 00:36:23,590 琴の爪弾きをなさったとき 439 00:36:23,590 --> 00:36:29,600 あのときの あなた様のお姿 あのときのお顔 440 00:36:29,600 --> 00:36:32,600 あれだけは 嘘や偽りとは思えませぬ 441 00:36:32,600 --> 00:36:37,610 馬鹿な では どうとも勝手にするがよい 442 00:36:37,610 --> 00:36:41,610 あとを追うと言うのなら 止めだてもいたさん 443 00:36:41,610 --> 00:36:45,580 しかし だまされた男を 慕って死ぬなどとは・ 444 00:36:45,580 --> 00:36:48,580 それこそ世の笑い者だ ハハハ… 445 00:36:48,580 --> 00:36:51,580 十郎左様! 446 00:36:55,590 --> 00:36:57,590 おみの殿 447 00:36:57,590 --> 00:37:03,600 人間 生きてさえいれば いつかは また幸せもあろうというもの 448 00:37:03,600 --> 00:37:07,600 こんなことは 今に笑い話になるかもしれん 449 00:37:07,600 --> 00:37:09,600 ごめん 450 00:37:12,610 --> 00:37:14,610 十郎左様! 451 00:37:27,590 --> 00:37:30,590 おじ様 行かせて! 452 00:37:30,590 --> 00:37:33,590 ほれ… こら! 453 00:37:36,600 --> 00:37:39,600 (大石)十郎左 はっ! 454 00:37:46,610 --> 00:37:52,610 余計なことをなさいました 十郎左は 甚だ迷惑でございます 455 00:37:52,610 --> 00:37:54,610 十郎左! 456 00:37:59,590 --> 00:38:02,590 (上使)ご上意 457 00:38:02,590 --> 00:38:09,600 「浅野内匠頭儀 勅使御馳走のご用 仰せつけられおき候ところ」 458 00:38:09,600 --> 00:38:13,600 「時節柄 殿中をもはばからず・ 459 00:38:13,600 --> 00:38:17,610 不届きのしかたにつき お仕置きを仰せつけられ」 460 00:38:17,610 --> 00:38:22,610 「吉良上野介には お構いなく差し置かれ候ところ」 461 00:38:22,610 --> 00:38:30,580 「主人の仇を報り候と申し立て 内匠頭家来46人 徒党いたす」 462 00:38:30,580 --> 00:38:33,590 「上野介宅へ押し込み・ 463 00:38:33,590 --> 00:38:38,590 飛び道具など持参し 上野介を討ち候始末」 464 00:38:38,590 --> 00:38:44,600 「公儀を恐れず候段 重々 不届きに候」 465 00:38:44,600 --> 00:38:49,600 「これによって 切腹 申しつくるものなり」 466 00:40:03,610 --> 00:40:06,610 まだ おったのか 467 00:40:06,610 --> 00:40:09,620 もう帰れ 468 00:40:09,620 --> 00:40:13,620 とうとう 来るべきものが来た 469 00:40:18,590 --> 00:40:26,490 ・ 近松勘六殿! お出なされ! 470 00:40:40,610 --> 00:40:42,610 (近松)では 471 00:41:17,620 --> 00:41:25,590 近松様 潮田様 奥田様 赤埴様 472 00:41:25,590 --> 00:41:28,600 矢田様 早水様 473 00:41:28,600 --> 00:41:33,600 それから 富森様も 474 00:41:33,600 --> 00:41:36,600 ・ 磯貝十郎左衛門殿! 475 00:41:36,600 --> 00:41:38,610 おじ様! 476 00:41:38,610 --> 00:41:43,610 何か言うことはないか? わしから言ってやろう 477 00:41:47,620 --> 00:41:56,590 ・ 磯貝十郎左衛門殿! お出なされ! 478 00:41:56,590 --> 00:42:03,390 ・~ 479 00:42:39,600 --> 00:42:43,600 では お先へ 480 00:43:40,590 --> 00:43:42,590 (堀内)磯貝殿! 481 00:43:47,600 --> 00:43:51,600 何か おみのに ひと言 482 00:44:30,610 --> 00:44:38,510 ・ 吉田忠左衛門殿! お出なされ! 483 00:44:49,600 --> 00:44:51,600 (吉田)内蔵助殿 484 00:44:51,600 --> 00:44:54,600 おっつけまいります 485 00:45:30,600 --> 00:45:35,600 おお… 伝右衛門殿 よいところへ 486 00:45:37,610 --> 00:45:40,610 もう一度 お目にかかりたかった 487 00:45:40,610 --> 00:45:44,620 何か お言葉は? 488 00:45:44,620 --> 00:45:49,620 この期に及んで もはや ただ… 489 00:45:49,620 --> 00:45:54,630 ご安心なされませ 皆様 ご立派に 490 00:45:54,630 --> 00:45:57,600 磯貝は? 十郎左は? 491 00:45:57,600 --> 00:46:04,610 作法どおりの お見事な ご最期で 492 00:46:04,610 --> 00:46:07,610 そうでしたか 493 00:46:09,610 --> 00:46:11,610 内蔵助殿 494 00:46:11,610 --> 00:46:19,510 実は 手前 十郎左殿から これを 495 00:46:27,630 --> 00:46:33,600 おみのが 所持いたしました品でございます 496 00:46:33,600 --> 00:46:36,600 それを十郎左が… 497 00:46:36,600 --> 00:46:42,610 今日まで肌身離さず お持ちなされたとのことで・ 498 00:46:42,610 --> 00:46:47,610 是非 あなた様に お目にかけてくれと 499 00:46:49,620 --> 00:46:51,620 そうか 500 00:46:53,620 --> 00:46:55,620 そうであろうな 501 00:46:55,620 --> 00:47:03,630 計略などと言うたが やっぱり そうであろうな 502 00:47:03,630 --> 00:47:11,610 内蔵助殿… 十郎左殿は おみのを 死なせたくないばっかりに 503 00:47:11,610 --> 00:47:15,610 うん… うん… 504 00:47:15,610 --> 00:47:22,620 十郎左の奴 計略などと申して 最後まで担ぎおって 505 00:47:22,620 --> 00:47:25,620 小憎い奴め 506 00:47:25,620 --> 00:47:29,620 あれが知ったら どんなに喜ぶことか 507 00:47:29,620 --> 00:47:31,630 伝右衛門殿 508 00:47:31,630 --> 00:47:36,630 これを おみの殿に 渡してやってくださらぬか? 509 00:47:36,630 --> 00:47:39,630 しかし… (大石)いや そうしてくだされ 510 00:47:39,630 --> 00:47:44,610 だが 「くれぐれも 磯貝の気持ちを無にするな」 511 00:47:44,610 --> 00:47:49,610 「末永く幸せに生きよ」と お伝えください 512 00:47:49,610 --> 00:47:51,610 はい 513 00:47:51,610 --> 00:47:54,610 一刻も早く (堀内)はい 514 00:48:09,630 --> 00:48:11,630 あっ… 515 00:48:14,640 --> 00:48:19,610 ああっ! おみの! 516 00:48:19,610 --> 00:48:22,610 馬鹿… 517 00:48:22,610 --> 00:48:25,610 なぜ 早まったことを… 518 00:48:25,610 --> 00:48:28,620 おみの! 519 00:48:28,620 --> 00:48:31,620 これ… これを見ろ 520 00:48:31,620 --> 00:48:38,630 十郎左殿は これを 肌身離さず持っておられたのだぞ 521 00:48:38,630 --> 00:48:41,630 おみの! 522 00:48:41,630 --> 00:48:48,640 そなたは なぜ 十郎左殿の 志を無にしてくれたんだ 523 00:48:48,640 --> 00:48:50,600 せっかくの… 524 00:48:50,600 --> 00:48:55,600 せっかくの心を… おみの! 525 00:48:57,610 --> 00:48:59,610 聞こえぬか? 526 00:48:59,610 --> 00:49:01,620 おみの! 527 00:49:01,620 --> 00:49:16,630 ・~ 528 00:49:16,630 --> 00:49:18,630 あっ… 529 00:49:18,630 --> 00:49:38,620 ・~ 530 00:49:38,620 --> 00:49:51,630 ・~ 531 00:49:51,630 --> 00:49:55,630 ・ 大石内蔵助殿! 532 00:50:23,630 --> 00:50:26,630 (堀内)内蔵助殿! 533 00:50:28,640 --> 00:50:30,640 お渡しくださったか? 534 00:50:30,640 --> 00:50:36,610 あれは… おみのは 十郎左殿のあとを追って… 535 00:50:36,610 --> 00:50:38,610 なに・ 536 00:50:38,610 --> 00:50:41,610 不憫な奴でございました 537 00:50:43,620 --> 00:50:47,620 十郎左の心も及ばなかったな 538 00:50:47,620 --> 00:50:52,630 しかし あの娘もなら さもあろう 539 00:50:52,630 --> 00:51:00,530 気のせいか 琴の爪を握らせますと 何やら うれしそうに… 540 00:51:04,640 --> 00:51:06,640 伝右衛門殿 541 00:51:06,640 --> 00:51:12,610 思い詰めた若い者の 気持ちというものは・ 542 00:51:12,610 --> 00:51:18,610 誰の力でも どうすることも できぬものでござるな 543 00:51:21,620 --> 00:51:29,520 ・ 大石内蔵助殿! お出なされ! 544 00:51:54,620 --> 00:52:14,640 ・~ 545 00:52:14,640 --> 00:52:34,630 ・~ 546 00:52:34,630 --> 00:52:54,510 ・~ 547 00:52:54,510 --> 00:53:12,210 ・~