1 00:00:08,300 --> 00:00:10,400 (下駄が落ちる音) 2 00:00:10,400 --> 00:00:12,400 (野江・澪)あっ! 3 00:00:14,390 --> 00:00:20,390 (澪)野江ちゃん どないしよう! こないな事したら きっと罰が…。 4 00:00:23,330 --> 00:00:25,400 (下駄が落ちる音) 野江ちゃん! 5 00:00:25,400 --> 00:00:29,400 (野江)叱られるんも 罰当たるんも 一緒や。 6 00:00:34,310 --> 00:00:36,310 (女郎)あんたら! 7 00:00:36,310 --> 00:00:38,330 ちょっと こっちゃ おいなはれ。 8 00:00:38,330 --> 00:00:41,310 すんまへん! (女郎)悪い事してからに! 9 00:00:41,310 --> 00:00:45,330 (女郎)やいと 据えたるしな ほんまに。 はよ来い! 10 00:00:45,330 --> 00:00:49,330 (女郎)やいと 据えたるしな! はよ! 11 00:00:50,270 --> 00:00:52,310 すんまへん! (女郎)ほら! 12 00:00:52,310 --> 00:01:02,300 ♪♪~ 13 00:01:02,300 --> 00:01:08,410 (すすり泣き) 14 00:01:08,410 --> 00:01:11,410 澪ちゃん 弱味噌やな。 15 00:01:12,430 --> 00:01:14,430 涙は来ん来ん。 16 00:01:16,350 --> 00:01:18,350 野江ちゃん…。 17 00:01:22,320 --> 00:01:26,360 東西先生。 今日は お忙しい中 占っていただき→ 18 00:01:26,360 --> 00:01:28,360 ありがとうございました。 19 00:01:44,290 --> 00:01:48,410 (水原東西)名は なんという? 20 00:01:48,410 --> 00:01:50,410 野江。 21 00:01:53,220 --> 00:01:57,320 これは まさに天下取り。 22 00:01:57,320 --> 00:01:59,420 太閤はんにも勝る→ 23 00:01:59,420 --> 00:02:03,420 旭日昇天の相や! 24 00:02:10,300 --> 00:02:12,400 旭日昇天や! 25 00:02:12,400 --> 00:02:14,400 天下取りや! 天下取りの相が出たで! 26 00:02:16,410 --> 00:02:20,410 おまはんは この子の友達か? 27 00:02:29,350 --> 00:02:33,350 雲外蒼天の相やな。 28 00:02:34,410 --> 00:02:37,410 うんがいそうてん? 29 00:02:39,430 --> 00:02:44,430 (東西)頭上に雲が垂れ込めて 真っ暗に見える。 30 00:02:45,300 --> 00:02:49,320 可哀想やが おまはんの人生には→ 31 00:02:49,320 --> 00:02:52,360 艱難辛苦が降り注ぐやろう。 32 00:02:52,360 --> 00:02:55,200 かんなんしんく? 33 00:02:55,200 --> 00:03:02,300 けんど その苦労に耐えて 精進を重ねれば→ 34 00:03:02,300 --> 00:03:06,390 必ずや 真っ青な空を 望む事が出来る。 35 00:03:06,390 --> 00:03:13,390 他の誰にも拝めんほど 澄んだ きれいな空をな。 36 00:03:15,420 --> 00:03:18,420 雲外蒼天…。 37 00:03:20,410 --> 00:03:26,410 (雷鳴) 38 00:03:37,320 --> 00:03:40,310 〈享和二年 水無月二十七日〉 39 00:03:40,310 --> 00:03:43,330 〈その日 降り始めた雨は→ 40 00:03:43,330 --> 00:03:46,310 夜半過ぎて ますます激しくなった〉 41 00:03:46,310 --> 00:03:50,340 〈そして 翌 文月一日〉 42 00:03:50,340 --> 00:03:54,440 〈ついに淀川の堤防が 次々決壊〉 43 00:03:54,440 --> 00:03:58,440 〈大坂の町は 多くの犠牲者を出したのである〉 44 00:04:03,360 --> 00:04:17,360 (せみの鳴き声) 45 00:04:19,300 --> 00:04:24,390 ?大丈夫だったかい? 大丈夫だったかい? 46 00:04:24,390 --> 00:04:27,390 怖かっただろう…。 47 00:04:45,390 --> 00:04:48,390 (店主)このガキ! 何すんねや! 48 00:04:50,330 --> 00:04:52,330 (芳)やめなはれ! 49 00:04:54,400 --> 00:04:56,400 子ども相手に…。 50 00:04:58,320 --> 00:05:01,320 食べなはれ。 51 00:05:06,390 --> 00:05:11,390 もう 何日も なんも食べてないんやろ? 52 00:05:13,320 --> 00:05:17,340 さあ そっと。 そっとやで。 53 00:05:17,340 --> 00:05:32,300 ♪♪~ 54 00:05:32,300 --> 00:05:34,310 おいしい…。 55 00:05:34,310 --> 00:06:00,410 ♪♪~ 56 00:06:00,410 --> 00:06:04,410 〈所変わって 文化九年 江戸〉 57 00:06:06,300 --> 00:06:11,340 〈その頃 江戸の町は 十一代将軍 徳川家斉のもと→ 58 00:06:11,340 --> 00:06:15,360 世界に類を見ぬ 百万人都市として→ 59 00:06:15,360 --> 00:06:18,360 文化芸術の爛熟期を迎えていた〉 60 00:06:19,280 --> 00:06:21,300 〈絵画 文学はもとより→ 61 00:06:21,300 --> 00:06:27,330 人々は食にも精通し 至るところに店屋が開かれ→ 62 00:06:27,330 --> 00:06:31,280 屋台 煮売り屋から 高級料亭まで→ 63 00:06:31,280 --> 00:06:34,400 所狭しと立ち並んでいた〉 64 00:06:34,400 --> 00:06:36,400 ありがとう ありがとう。 65 00:06:44,240 --> 00:06:47,300 (客)なんだい こりゃ。 66 00:06:47,300 --> 00:06:51,380 せっかくの深川牡蠣を こんな むごい事しやがって。 67 00:06:51,380 --> 00:06:53,380 食えたもんじゃねえや。 68 00:06:54,290 --> 00:06:58,310 おう! 大体 女が作る料理なんてな→ 69 00:06:58,310 --> 00:07:00,410 食えねえっつってんだよ! 70 00:07:00,410 --> 00:07:02,410 (種市)あいすいません。 71 00:07:17,330 --> 00:07:20,410 (小松原)こんなに うめえのに 箸もつけずに→ 72 00:07:20,410 --> 00:07:23,410 なんて野郎だ… か? 73 00:07:25,300 --> 00:07:27,400 こうまで わかりやすく 考えてる事が→ 74 00:07:27,400 --> 00:07:29,400 顔に出る女も珍しいな。 75 00:07:30,350 --> 00:07:32,310 すいません。 76 00:07:32,310 --> 00:07:34,410 (小松原)どれ よこせ。 77 00:07:34,410 --> 00:07:37,410 いやいや これはいくらなんでも 小松原様。 78 00:07:51,330 --> 00:07:53,310 面白い。 79 00:07:53,310 --> 00:08:10,390 ♪♪~ 80 00:08:10,390 --> 00:08:12,390 お待ちくださいまし! 81 00:08:16,300 --> 00:08:18,320 教えていただけませんか。 82 00:08:18,320 --> 00:08:22,360 うちの料理は どこが駄目なのでしょう? 83 00:08:22,360 --> 00:08:24,290 あの店に雇われて三月。 84 00:08:24,290 --> 00:08:28,230 初めて作らせていただいた お料理が あの有り様です。 85 00:08:28,230 --> 00:08:31,350 これでは 旦那さんに申し訳がのうて…。 86 00:08:31,350 --> 00:08:35,290 せやから どこが…。 (小松原)お前は上方の生まれか? 87 00:08:35,290 --> 00:08:37,290 はい。 88 00:08:37,290 --> 00:08:43,290 上方では 奉公人が客をつかまえて 教えを請うのか? 89 00:08:43,290 --> 00:08:54,320 ♪♪~ 90 00:08:54,320 --> 00:08:56,310 小松原様か? 91 00:08:56,310 --> 00:08:59,330 さあな。 どっかのお武家様か→ 92 00:08:59,330 --> 00:09:02,410 多分 ご浪人だろうな。 ご浪人? 93 00:09:02,410 --> 00:09:07,410 うん。 時々ふらりと現れちゃ 酒を飲んでいかれるんだ。 94 00:09:13,410 --> 00:09:16,410 お澪坊 食べてみな。 95 00:09:31,290 --> 00:09:34,310 手は込んじゃいねえが ちょいと うまいだろ。 96 00:09:34,310 --> 00:09:37,350 江戸じゃあ 小振りで味の濃い深川牡蠣は→ 97 00:09:37,350 --> 00:09:40,500 こうやって食うもんだと 思い込んでんだ。 98 00:09:40,500 --> 00:09:45,500 上方風に 白味噌で煮た牡蠣なんぞ 食った事もねえんだろうよ。 99 00:09:46,410 --> 00:09:49,410 おい。 もう一個 食ってみな。 100 00:10:10,310 --> 00:10:12,450 ただ今 帰りました。 101 00:10:12,450 --> 00:10:14,450 おかえり。 102 00:10:19,410 --> 00:10:21,410 ご寮さん…。 103 00:10:22,360 --> 00:10:25,410 無理せんといておくれやす。 104 00:10:25,410 --> 00:10:28,410 心配せんかて大丈夫や。 105 00:10:29,330 --> 00:10:33,330 さ そろそろ しまいにしよか。 106 00:10:43,400 --> 00:10:46,400 何を めそめそしてるんや。 107 00:10:47,370 --> 00:10:53,410 せやかて やっとの思いで 江戸へ出てきたのに→ 108 00:10:53,410 --> 00:10:59,410 ご寮さんに こないな暮らしをさせてしもて…。 109 00:11:00,360 --> 00:11:03,360 悪いのは あんたやない。 110 00:11:04,300 --> 00:11:07,300 これは運命や。 111 00:11:07,300 --> 00:11:11,230 天満一兆庵が火事で焼けたんも→ 112 00:11:11,230 --> 00:11:14,450 あの人が のうなってしもたんも 運命。 113 00:11:14,450 --> 00:11:17,450 うちは そう思うてる。 114 00:11:22,300 --> 00:11:24,310 澪。 115 00:11:24,310 --> 00:11:29,330 あんたの泣き虫は 子どもの頃から いっこも直らへんな。 116 00:11:29,330 --> 00:11:46,310 ♪♪~ 117 00:11:46,310 --> 00:11:49,300 (嘉兵衛)おまはんの包丁や。 118 00:11:49,300 --> 00:12:02,330 ♪♪~ 119 00:12:02,330 --> 00:12:09,400 (嘉兵衛)いつか 天満一兆庵の暖簾を→ 120 00:12:09,400 --> 00:12:11,320 江戸に…。 121 00:12:11,320 --> 00:12:15,440 (嘉兵衛)それが出来るのは→ 122 00:12:15,440 --> 00:12:20,440 澪 お前だけや。 123 00:12:23,310 --> 00:12:26,320 (おりょう)へえ。 あの人が 上方の料理屋の女将さん? 124 00:12:26,320 --> 00:12:28,350 (はる)大坂じゃ 有名な店だったらしいよ。 125 00:12:28,350 --> 00:12:30,390 けど ご寮さん ご寮さんって。 126 00:12:30,390 --> 00:12:33,310 上方じゃ 料理屋の女将の事 そういうんだよ。 127 00:12:33,310 --> 00:12:35,310 (きん)へえ! 128 00:12:35,310 --> 00:12:38,310 それが 火事で焼けちまって 旦那も死んじまって→ 129 00:12:38,310 --> 00:12:40,280 息子頼って 江戸へ来たのはいいけど→ 130 00:12:40,280 --> 00:12:42,350 その息子ってのが どこへ行ったか行方知らず! 131 00:12:42,350 --> 00:12:45,220 おやまあ 気の毒だねえ。 132 00:12:45,220 --> 00:12:49,310 一緒に住んでる澪って子も 娘じゃなく 奉公人らしい。 133 00:12:49,310 --> 00:12:51,310 ああ どうりで気取ってるわけだ。 134 00:12:51,310 --> 00:12:54,330 へえ そうどすなあ。 135 00:12:54,330 --> 00:12:57,410 ちょっと もう! あんたたち いいかげんにしときなよ もう。 136 00:12:57,410 --> 00:13:04,320 (3人の笑い声) 137 00:13:04,320 --> 00:13:06,410 おはようございます。 138 00:13:06,410 --> 00:13:09,410 (おりょう)あ… おはよう。 139 00:13:21,410 --> 00:13:23,410 何 食べてるん? 140 00:13:27,310 --> 00:13:30,310 (太一の泣き声) (おりょう)太一 大丈夫かい! 141 00:13:30,310 --> 00:13:33,370 ごめんな。 堪忍な。 痛くない 痛くない。 142 00:13:33,370 --> 00:13:36,300 話しかけないでおくれよ! この子はね 口が利けないんだよ! 143 00:13:36,300 --> 00:13:38,320 (おりょう)ほら よいしょ…。 144 00:13:38,320 --> 00:13:40,390 すいません。 145 00:13:40,390 --> 00:13:44,390 (おりょう)ほらほら 知らない人に 声かけられたらね 知らん顔! 146 00:14:04,400 --> 00:14:06,400 食えたもんじゃねえな。 147 00:14:07,400 --> 00:14:12,320 上方だかなんだか知らねえが 見た目も味も 薄ぼんやりして! 148 00:14:12,320 --> 00:14:16,330 おい おやじ! 殻付きの牡蠣ねえのか? 149 00:14:16,330 --> 00:14:19,430 すいません。 今日は このしぐれ煮だけで。 150 00:14:19,430 --> 00:14:22,430 おい。 ここ 来てみろ。 151 00:14:24,300 --> 00:14:26,320 おめえの事だよ! 152 00:14:26,320 --> 00:14:28,320 (客)主人に色目でも使って 雇ってもらったか? 153 00:14:28,320 --> 00:14:31,390 お客さん 冗談よしてください。 154 00:14:31,390 --> 00:14:34,330 この子は 上方の料理屋で きちんと修業を積んで…。 155 00:14:34,330 --> 00:14:38,350 こんな味のねえもん出しといて 何が料理人だい! 156 00:14:38,350 --> 00:14:41,340 謝れ。 旦那…。 157 00:14:41,340 --> 00:14:44,200 (客)ここで手ついて 謝んな。 158 00:14:44,200 --> 00:14:47,310 食えねえ料理を作って すいませんと謝れってんだよ! 159 00:14:47,310 --> 00:14:49,410 旦那 勘弁してやってください。 160 00:14:49,410 --> 00:14:52,410 しぐれ煮を作っていいって 言ったのは このあっしで…。 161 00:14:54,380 --> 00:14:56,380 あいすいませんでした。 162 00:14:58,440 --> 00:15:02,440 堪忍して… おくれやす。 163 00:15:06,410 --> 00:15:08,410 わかりゃいいんだよ。 164 00:15:10,360 --> 00:15:12,360 (戸が閉まる音) 165 00:15:13,270 --> 00:15:15,350 お澪坊…。 166 00:15:15,350 --> 00:15:19,210 すいません。 お使いに行ってきます。 167 00:15:19,210 --> 00:15:52,310 ♪♪~ 168 00:15:52,310 --> 00:15:55,290 (小松原)化け物稲荷? ええ。 169 00:15:55,290 --> 00:15:57,440 ご存じありやせんか? 170 00:15:57,440 --> 00:16:02,440 神田明神のすぐ手前にある 小さなお稲荷さんでさあ。 171 00:16:03,330 --> 00:16:07,350 関わると 祟りがあるって噂でね。 172 00:16:07,350 --> 00:16:09,320 ちょっと前まで草ぼうぼうで→ 173 00:16:09,320 --> 00:16:13,230 誰も寄り付きやしなかった 稲荷なんですが…。 174 00:16:13,230 --> 00:16:16,310 ある日 ふと そこを通りかかると→ 175 00:16:16,310 --> 00:16:22,440 若い娘が汗流して 草を引いてるじゃありやせんか。 176 00:16:22,440 --> 00:16:24,440 痛っ…。 177 00:16:31,310 --> 00:16:36,400 翌日も その翌日も その娘は たった一人で→ 178 00:16:36,400 --> 00:16:41,400 草を引き 祠を掃除して…。 179 00:16:45,240 --> 00:16:50,310 ついには お参り出来るまでにしちまった。 180 00:16:50,310 --> 00:16:53,350 我慢出来ずに 思わず おらぁ→ 181 00:16:53,350 --> 00:16:55,390 その子に声をかけた。 182 00:16:55,390 --> 00:16:57,290 あの…。 183 00:16:57,290 --> 00:17:05,380 ♪♪~ 184 00:17:05,380 --> 00:17:07,300 だって その日は→ 185 00:17:07,300 --> 00:17:13,440 十七で死んだ あっしの おつるっていう娘の→ 186 00:17:13,440 --> 00:17:15,440 命日だったんです。 187 00:17:17,310 --> 00:17:23,330 ああ おつるだ。 おつるが俺んとこへ帰ってきた。 188 00:17:23,330 --> 00:17:25,350 そう思ったら おら…。 189 00:17:25,350 --> 00:17:28,400 悪いが 湿っぽい話は よしてくれ。 190 00:17:28,400 --> 00:17:31,400 そういう話は 不得手だ。 191 00:17:33,310 --> 00:17:37,310 娘を亡くした おめえさんの気持ちは→ 192 00:17:37,310 --> 00:17:41,300 わからねえでもねえが しかし だからといってよ→ 193 00:17:41,300 --> 00:17:45,320 なぜ そこまで あの娘に肩入れをする? 194 00:17:45,320 --> 00:17:48,340 無論 それだけじゃありやせん。 195 00:17:48,340 --> 00:17:51,390 こう見えて あっしも そば打ちだ。 196 00:17:51,390 --> 00:17:54,390 料理の勘はあるつもりです。 197 00:17:55,330 --> 00:18:01,370 旦那 あの子は八つの年に 両親を洪水で亡くして→ 198 00:18:01,370 --> 00:18:07,370 大坂の名店 天満一兆庵の女将に 拾われたんです。 199 00:18:10,310 --> 00:18:15,420 そして 女だてらに その舌を買われて→ 200 00:18:15,420 --> 00:18:18,420 わずか十二で板場修業に入った。 201 00:18:20,300 --> 00:18:23,290 あっしはね 旦那…。 202 00:18:23,290 --> 00:18:26,310 あの子が いつか→ 203 00:18:26,310 --> 00:18:29,210 何か しでかすような気がして ならないんでさあ。 204 00:18:29,210 --> 00:18:42,340 ♪♪~ 205 00:18:42,340 --> 00:18:48,300 泣いている暇があったら 己の力で どうにかするんだな。 206 00:18:48,300 --> 00:18:50,320 どんな事情があるにせよ→ 207 00:18:50,320 --> 00:18:56,340 あの店のあるじは 心底 お前の事を大切に思ってる。 208 00:18:56,340 --> 00:18:59,310 あるじを大事にしろ。 209 00:18:59,310 --> 00:19:08,390 ♪♪~ 210 00:19:08,390 --> 00:19:13,390 ほんまに そのお侍さんの言うとおりや。 211 00:19:15,310 --> 00:19:19,330 ご寮さんとは名ばかりの うちに代わって→ 212 00:19:19,330 --> 00:19:21,300 澪を守ってくだはる。 213 00:19:21,300 --> 00:19:25,400 ほんまに ありがたい事や。 感謝せな。 214 00:19:25,400 --> 00:19:31,400 せやのに うちは 何度も 牡蠣を無駄にしてしもうて。 215 00:19:35,300 --> 00:19:42,340 才のないもんには 恥かかんように 盛大に 手 貸したり。 216 00:19:42,340 --> 00:19:48,240 才のあるもんには 手 貸さんと 盛大に恥かかしたり。 217 00:19:48,240 --> 00:19:50,330 え? 218 00:19:50,330 --> 00:19:53,330 のうなった嘉兵衛が よう言うとった言葉や。 219 00:19:53,330 --> 00:19:56,480 旦那さんが? 220 00:19:56,480 --> 00:20:01,480 澪 明日から 板場へ入んなはれ。 221 00:20:02,290 --> 00:20:09,380 その代わり おなごやからいうて 容赦はせんぞ。 222 00:20:09,380 --> 00:20:11,350 嘉兵衛は どうやった? 223 00:20:11,350 --> 00:20:16,320 あんたに 手取り足取り 料理の仕方 教えてくれはったか? 224 00:20:16,320 --> 00:20:18,210 いいえ。 225 00:20:18,210 --> 00:20:20,270 つる家の旦那さんも同じ。 226 00:20:20,270 --> 00:20:22,330 それだけ あんたに→ 227 00:20:22,330 --> 00:20:26,310 期待をかけてくだはってる という事やないのか? 228 00:20:26,310 --> 00:20:30,270 せなら あんたはあんたの力で→ 229 00:20:30,270 --> 00:20:34,320 江戸のお客さんの お口に合うもんを考え出さな。 230 00:20:34,320 --> 00:20:37,220 けど ご寮さん→ 231 00:20:37,220 --> 00:20:41,330 江戸と上方では 水の味が違います。 232 00:20:41,330 --> 00:20:45,320 大坂と同じように 昆布でだしを取ろうと思うても→ 233 00:20:45,320 --> 00:20:47,200 思うようになれへんのです。 234 00:20:47,200 --> 00:20:50,340 それに ほんまの事を言えば→ 235 00:20:50,340 --> 00:20:54,320 江戸風に 鰹で引くだし汁にも 濃い醤油の味にも→ 236 00:20:54,320 --> 00:20:57,290 よう慣れしまへん。 237 00:20:57,290 --> 00:21:00,280 もちろん そんな事 言うてる時やない事は→ 238 00:21:00,280 --> 00:21:02,300 わかってます。 239 00:21:02,300 --> 00:21:04,320 つる家の旦那さんにも ようしていただいて→ 240 00:21:04,320 --> 00:21:07,400 料理まで作らせていただいて。 241 00:21:07,400 --> 00:21:11,400 けど 何をどうしたらええのか…。 242 00:21:13,410 --> 00:21:16,410 ご寮さん? 大丈夫どすか? 243 00:21:17,300 --> 00:21:22,250 心配する事ない。 こうしていれば じきに楽に…。 244 00:21:22,250 --> 00:21:26,310 ご寮さん ここにいておくれやす。 今 水を…。 245 00:21:26,310 --> 00:21:32,300 ♪♪~ 246 00:21:32,300 --> 00:21:35,320 ご寮さん! ご寮さん! 大丈夫どすか? 247 00:21:35,320 --> 00:21:38,290 ご寮さん しっかりしておくれやす。 248 00:21:38,290 --> 00:21:40,300 ご寮さん! ご寮さん! 249 00:21:40,300 --> 00:21:42,410 どないしよう…。 (永田源斉)どうなさいましたか? 250 00:21:42,410 --> 00:21:46,410 あの ご寮さんが 胸が苦しいと…。 251 00:21:48,250 --> 00:21:51,310 ご寮さんは うちの大切なお方なんです。 252 00:21:51,310 --> 00:21:54,300 ご寮さんに… ご寮さんに もしもの事があったら…。 253 00:21:54,300 --> 00:21:57,440 落ち着いてください。 私は医者です。 254 00:21:57,440 --> 00:22:01,440 神田旅籠町の永田源斉と申します。 255 00:22:02,310 --> 00:22:05,310 (源斉)心配せずとも 大丈夫です。 256 00:22:05,310 --> 00:22:09,380 血虚という症状ですが 命に関わるものではありません。 257 00:22:09,380 --> 00:22:12,300 そうですか。 よかった。 258 00:22:12,300 --> 00:22:15,310 恐らく 心労から きているものでしょうから→ 259 00:22:15,310 --> 00:22:17,340 なるべく滋養になるものを 食べさせてあげてください。 260 00:22:17,340 --> 00:22:19,360 はい。 261 00:22:19,360 --> 00:22:22,380 ご親切に どうも ありがとうございました。 262 00:22:22,380 --> 00:22:25,380 大丈夫ですから。 横になっていてください。 263 00:22:26,300 --> 00:22:29,320 それでは 私は これで。 264 00:22:29,320 --> 00:22:32,320 お待ちくださいまし。 265 00:22:32,320 --> 00:22:38,310 薬代代わりと言ってはなんですが お礼に 何か作らせてください。 266 00:22:38,310 --> 00:22:40,330 そんな…。 いただくわけにはいきませぬ。 267 00:22:40,330 --> 00:22:44,450 (源斉のおなかが鳴る音) 268 00:22:44,450 --> 00:22:46,450 (笑い声) 269 00:22:54,310 --> 00:22:58,330 これは 変わった形の握り飯ですね。 270 00:22:58,330 --> 00:23:17,320 ♪♪~ 271 00:23:17,320 --> 00:23:20,320 これは? 272 00:23:20,320 --> 00:23:23,310 上方の 牡蠣のしぐれ煮でございます。 273 00:23:23,310 --> 00:23:26,290 はあ…。 274 00:23:26,290 --> 00:23:34,350 ♪♪~ 275 00:23:34,350 --> 00:23:39,310 いやあ…。 ごちそうさまでした。 276 00:23:39,310 --> 00:23:42,310 久々に 寿命が延びた心地がしました。 277 00:23:43,330 --> 00:23:46,310 (源斉)しかし 上方のしぐれ煮は→ 278 00:23:46,310 --> 00:23:49,270 随分 色白で 味が控えめなのですね。 279 00:23:49,270 --> 00:23:54,300 江戸は 塩辛い料理が 多おますなあ。 280 00:23:54,300 --> 00:23:57,290 こちらへ来たばかりの時は 往生しました。 281 00:23:57,290 --> 00:24:00,360 (源斉)江戸は職人が多いですから。 282 00:24:00,360 --> 00:24:04,330 (源斉)例えば 大工などは 体を駆使して 年中 大汗をかく。 283 00:24:04,330 --> 00:24:07,300 汗をかくと 体から 塩気が抜けてしまいますから→ 284 00:24:07,300 --> 00:24:09,320 自然と 塩気の多い 味の濃いものを→ 285 00:24:09,320 --> 00:24:11,370 好むようになるのです。 286 00:24:11,370 --> 00:24:32,370 ♪♪~ 287 00:24:47,320 --> 00:24:49,320 どうでしょうか? 288 00:24:49,320 --> 00:24:52,360 お澪坊…。 289 00:24:52,360 --> 00:24:54,390 これは 一体 どうしちまったんだい。 290 00:24:54,390 --> 00:24:56,310 え…? 291 00:24:56,310 --> 00:25:00,310 こいつは うまい。 色もまた いい。 292 00:25:00,310 --> 00:25:03,300 こらあ いけるぜ お澪坊。 293 00:25:03,300 --> 00:25:06,220 鰹の濃いだしに 味付けのお醤油も→ 294 00:25:06,220 --> 00:25:08,300 思い切って 余計に入れてみたんです。 295 00:25:08,300 --> 00:25:10,420 おいおい 大事なだしも 鞍替えかい。 296 00:25:10,420 --> 00:25:13,420 こいつは豪気だ。 297 00:25:17,380 --> 00:25:20,380 うん。 うまい。 298 00:25:27,320 --> 00:25:30,330 おお。 珍しく口に合うもんが 出てきたじゃねえか。 299 00:25:30,330 --> 00:25:33,380 意外といけるな こりゃ。 うん うめえ。 300 00:25:33,380 --> 00:25:36,330 いけるでしょう? うちの あの子が作ったんでさあ。 301 00:25:36,330 --> 00:25:38,280 (客)おやじ 里芋! (客)こっちも。 302 00:25:38,280 --> 00:25:40,300 お澪坊 里芋 二つ追加だ。 303 00:25:40,300 --> 00:25:42,360 はい。 304 00:25:42,360 --> 00:25:45,230 あの これ うちが煮た里芋です。 305 00:25:45,230 --> 00:25:47,340 へえ そう。 306 00:25:47,340 --> 00:25:51,340 もし よかったら。 いや でも…。 307 00:25:55,320 --> 00:25:57,400 一つ 食べてみる? 308 00:25:57,400 --> 00:26:00,400 (おりょう)あっ こら! 行儀悪い! 太一 こら! 309 00:26:06,310 --> 00:26:09,320 やだ もう。 全く この子ときたら…。 310 00:26:09,320 --> 00:26:11,300 (おりょうの笑い声) 311 00:26:11,300 --> 00:26:13,370 (伊佐三)何を そんなに笑ってんだよ。 312 00:26:13,370 --> 00:26:16,410 おかえり おかえり。 今晩 とびきりうまい おかずが出るよ。 313 00:26:16,410 --> 00:26:18,410 ねえ 太一。 314 00:26:19,410 --> 00:26:21,410 ほう…。 315 00:26:22,330 --> 00:26:26,320 ああ… こないだは 怒鳴ったりして悪かったね。 316 00:26:26,320 --> 00:26:29,420 もう 私 太一の事となると ついね…。 317 00:26:29,420 --> 00:26:34,420 いえ うちが悪いんです。 坊やを怖がらせてしまって。 318 00:26:35,330 --> 00:26:38,380 あの子 まあ 確かに うちの息子なんだよ。 319 00:26:38,380 --> 00:26:42,380 けどね 血のつながりはないんだよ。 320 00:26:43,320 --> 00:26:48,350 あの子の家 火事で燃えちまって 両親 死んじまったんだよ。 321 00:26:48,350 --> 00:26:50,490 (おりょう) 独りぼっちでいるところをね→ 322 00:26:50,490 --> 00:26:52,490 うちの人が引き取ってきたのさ。 323 00:26:54,430 --> 00:26:59,430 (おりょう)火事がもとで 口が利けなくなっちまったのさ。 324 00:27:02,390 --> 00:27:06,390 おい 太一! 風呂行くぞ。 325 00:27:09,290 --> 00:27:11,280 じゃあ 私も ひとっ風呂 浴びてこようかな。 326 00:27:11,280 --> 00:27:13,330 (おりょう) これ どうもありがとう。 327 00:27:13,330 --> 00:27:47,410 ♪♪~ 328 00:28:09,340 --> 00:28:33,430 ♪♪~ 329 00:28:33,430 --> 00:28:38,430 (せみの鳴き声) 330 00:28:41,300 --> 00:28:44,300 〈葉月の一日 通称 八朔は→ 331 00:28:44,300 --> 00:28:48,360 吉原の遊女が 白無垢姿で客を迎える→ 332 00:28:48,360 --> 00:28:50,310 特別の日である〉 333 00:28:50,310 --> 00:28:53,330 〈日頃は 吉原と縁がない 町の女たちにも→ 334 00:28:53,330 --> 00:28:56,300 その日だけは 出入りが許され→ 335 00:28:56,300 --> 00:29:00,270 廓の中は見物客であふれ返った〉 336 00:29:00,270 --> 00:29:03,240 こりゃ すごい人だなあ。 むせ返りそうだ。 337 00:29:03,240 --> 00:29:05,310 お澪坊 はぐれねえようにしろよ。 338 00:29:05,310 --> 00:29:09,380 噂には聞いていましたが こんな人混みは 初めてです。 339 00:29:09,380 --> 00:29:12,320 まあまあ そう言わないで。 俺は どうしても→ 340 00:29:12,320 --> 00:29:16,300 お澪坊に 吉原名物の 俄を見せてやりたくてよ。 341 00:29:16,300 --> 00:29:19,470 おっ 源斉先生! 源斉先生はいるかい? 342 00:29:19,470 --> 00:29:21,470 はい はい! ここに。 343 00:29:22,330 --> 00:29:25,280 ♪♪~(お囃子) 344 00:29:25,280 --> 00:29:27,430 ほら。 345 00:29:27,430 --> 00:29:39,430 ♪♪~(お囃子) 346 00:29:40,390 --> 00:29:42,390 すいません…。 347 00:29:44,310 --> 00:29:54,320 ♪♪~(お囃子) 348 00:29:54,320 --> 00:29:58,330 よっ! 待ってました! ほら 花魁だぜ お澪坊。 349 00:29:58,330 --> 00:30:00,330 ええ。 350 00:30:00,330 --> 00:30:07,320 ♪♪~(お囃子) 351 00:30:07,320 --> 00:30:12,260 〈吉原の遊女の中でも 最高位にあたる 花魁〉 352 00:30:12,260 --> 00:30:15,340 〈その扱いは 遊女の中でも別格で→ 353 00:30:15,340 --> 00:30:18,300 客は 大金をはたかねば→ 354 00:30:18,300 --> 00:30:22,420 花魁と 寝屋をともにする事はおろか→ 355 00:30:22,420 --> 00:30:25,420 会う事すら出来なかった〉 356 00:30:26,210 --> 00:30:29,260 (見物客たちのどよめき) 357 00:30:29,260 --> 00:30:33,310 (幇間)お狐さん こおんこん! 358 00:30:33,310 --> 00:30:36,300 (見物客)こいつは たまげた! 扇屋の緋扇じゃねえか! 359 00:30:36,300 --> 00:30:38,300 (幇間)お狐さん こおんこん! 360 00:30:38,300 --> 00:30:40,340 (見物客)見ろ! 松葉屋の染路だ! 361 00:30:40,340 --> 00:30:42,310 (幇間)お狐さん こおんこん! 362 00:30:42,310 --> 00:30:45,260 (見物客)大文字屋の 胡蝶までいるぜ! 363 00:30:45,260 --> 00:30:59,240 ♪♪~(お囃子) 364 00:30:59,240 --> 00:31:02,260 源斉先生 最後の一匹は まさか→ 365 00:31:02,260 --> 00:31:04,430 翁屋のあさひ太夫じゃ…。 366 00:31:04,430 --> 00:31:07,430 (源斉)さあ どうでしょう。 367 00:31:11,320 --> 00:31:13,400 さあ ご一緒に! 368 00:31:13,400 --> 00:31:16,400 (見物客たち) お狐さん こおんこん! 369 00:31:28,300 --> 00:31:34,420 (見物客たちの歓声) 370 00:31:34,420 --> 00:31:37,420 (見物客)よっ! あさひ太夫! 371 00:31:41,400 --> 00:31:43,400 (見物客)待ってました! 372 00:31:44,350 --> 00:31:47,290 (見物客)日本一! 373 00:31:47,290 --> 00:32:10,280 ♪♪~ 374 00:32:10,280 --> 00:32:13,300 旦那さん あさひ太夫というのは? 375 00:32:13,300 --> 00:32:18,370 え? さっきの 最後の一人の。 376 00:32:18,370 --> 00:32:22,220 ああ あさひ太夫ってのはな→ 377 00:32:22,220 --> 00:32:24,260 吉原一と噂されてる花魁の事さ。 378 00:32:24,260 --> 00:32:27,310 なあ 源斉先生。 ええ。 379 00:32:27,310 --> 00:32:29,300 吉原一…。 380 00:32:29,300 --> 00:32:31,260 その美しさは ただならず→ 381 00:32:31,260 --> 00:32:34,330 牡丹の花も 恥じて しおれるほどとか。 382 00:32:34,330 --> 00:32:38,240 その歌声に うぐいすまでが 聴きほれるとか。 383 00:32:38,240 --> 00:32:41,310 その扱いは 花魁の中でも 別格といわれてるんだがな→ 384 00:32:41,310 --> 00:32:44,310 実際 その姿を見た者は いねえんだよ。 385 00:32:44,310 --> 00:32:47,360 だから ひょっとすると 廓ぐるみででっち上げた→ 386 00:32:47,360 --> 00:32:50,400 幻の花魁じゃねえかって…。 387 00:32:50,400 --> 00:32:53,400 旦那さん! 先生! (張り番)切手はどうした! 388 00:32:54,520 --> 00:32:56,520 (張り番)さあ こっちへ来い! 389 00:32:57,360 --> 00:32:59,360 旦那 旦那…。 旦那さん! 390 00:33:00,340 --> 00:33:02,310 この子は うちのそば屋で 働いてる娘です。 391 00:33:02,310 --> 00:33:04,310 切手のねえ者を 見逃すわけにはいかねえんだ。 392 00:33:04,310 --> 00:33:07,320 けど 旦那…。 おい どこの店のもんだ? 393 00:33:07,320 --> 00:33:12,320 うちは見物に来ただけです。 確か 切手は… 切手はここに…。 394 00:33:12,320 --> 00:33:15,320 (源斉)でしたら…。 395 00:33:15,320 --> 00:33:20,400 翁屋楼主の伝右衛門殿に この永田源斉の名を伝えて→ 396 00:33:20,400 --> 00:33:22,400 ここに来ていただいてください。 397 00:33:26,290 --> 00:33:30,320 すいません。 うちが切手をなくしたばっかりに。 398 00:33:30,320 --> 00:33:33,340 それにしても 源斉先生が→ 399 00:33:33,340 --> 00:33:35,340 吉原の大見世のあるじと 顔見知りとはね。 400 00:33:35,340 --> 00:33:39,320 (源斉)楼主の伝右衛門殿も お内儀も 私の患者なのです。 401 00:33:39,320 --> 00:33:41,420 俺はまた 翁屋の花魁たちとも→ 402 00:33:41,420 --> 00:33:44,420 顔なじみかと思いましたよ。 (源斉)いや 全く そんな事は…。 403 00:33:45,320 --> 00:33:47,320 お澪坊。 この くそ真面目な先生を→ 404 00:33:47,320 --> 00:33:49,290 どうにかしてくれよ。 405 00:33:49,290 --> 00:33:52,360 さすがは 天下の御典医の息子さんだ。 406 00:33:52,360 --> 00:33:54,350 育ちが違うね。 御典医? 407 00:33:54,350 --> 00:33:59,340 ああ。 源斉先生の父上は 将軍様に仕えるお医者さんでな。 408 00:33:59,340 --> 00:34:02,440 永田陶斉といって…。 ご主人! 409 00:34:02,440 --> 00:34:05,440 父と私は関係ありません。 410 00:34:06,430 --> 00:34:09,430 (店主)へい お待ちどおさま。 おお きたきた。 411 00:34:11,280 --> 00:34:13,320 暑い時は これが一番だ。 412 00:34:13,320 --> 00:34:16,390 すいません お箸が一本しか…。 (店員)へい。 413 00:34:16,390 --> 00:34:21,390 お澪坊。 ところてんは 一本箸で食うもんだろうが。 414 00:34:24,330 --> 00:34:28,430 あ! 旦那さん 何かけてはるんです? 415 00:34:28,430 --> 00:34:31,430 何って 酢醤油だろ? 416 00:34:33,300 --> 00:34:38,340 うちらの方では ところてんには お砂糖です。 417 00:34:38,340 --> 00:34:42,330 砂糖? 砂糖をかけて 食うのかい? ところてんに。 418 00:34:42,330 --> 00:34:44,310 そういや 花魁たちも そうして食べると→ 419 00:34:44,310 --> 00:34:48,400 聞いた事がありますぜ。 (源斉)私も聞いた事があります。 420 00:34:48,400 --> 00:34:50,400 砂糖ねえ…。 421 00:34:53,320 --> 00:34:58,330 子どもの頃 とろりと煮詰めたお砂糖を→ 422 00:34:58,330 --> 00:35:01,480 冷たい ところてんにかけて 食べるのんが→ 423 00:35:01,480 --> 00:35:04,480 夏の一番のごちそうでした。 424 00:35:06,390 --> 00:35:11,390 亡くなったお母さんが よう作ってくれはって。 425 00:35:13,310 --> 00:35:15,410 ところてんいうと→ 426 00:35:15,410 --> 00:35:22,410 大坂の暑い夏と お母さんの白い手 思い出します。 427 00:35:24,320 --> 00:35:27,320 それから…。 428 00:35:27,320 --> 00:35:34,280 ♪♪~ 429 00:35:34,280 --> 00:35:36,320 おいしい。 430 00:35:36,320 --> 00:35:45,340 ♪♪~ 431 00:35:45,340 --> 00:35:49,430 うちの育った家の近くにも→ 432 00:35:49,430 --> 00:35:52,430 新町いう遊郭がありました。 433 00:35:57,320 --> 00:35:59,420 幼なじみの野江ちゃんと→ 434 00:35:59,420 --> 00:36:04,420 足洗いの井戸に下駄を落として 叱られた事も。 435 00:36:05,310 --> 00:36:11,370 野江ちゃんは 高麗橋淡路屋いう 大店のこいさんで。 436 00:36:11,370 --> 00:36:17,420 漆職人のうちの家とは 別世界の お金持ちのお嬢さんやったのに→ 437 00:36:17,420 --> 00:36:22,420 うちらは ほんまに仲がようて…。 438 00:36:23,430 --> 00:36:27,430 不思議やな…。 (源斉)え? 439 00:36:29,250 --> 00:36:33,420 思い出いうんは 一つ思い出したら→ 440 00:36:33,420 --> 00:36:37,420 次々 浮かんできてしまいます。 441 00:36:39,410 --> 00:36:43,410 その子は 今も 大坂にいるのかい? 442 00:36:48,270 --> 00:36:53,440 淀川の洪水で 家も家族も流されて→ 443 00:36:53,440 --> 00:36:56,440 行方知らずです。 444 00:36:59,260 --> 00:37:05,440 きっと どっかで生きてると 信じてるんやけど。 445 00:37:05,440 --> 00:37:20,440 ♪♪~ 446 00:37:52,320 --> 00:37:55,450 (あさひ太夫) 真っ白くて さらさらで→ 447 00:37:55,450 --> 00:37:58,450 雪のようでありんすね。 448 00:38:00,430 --> 00:38:04,430 ほんに 八朔の雪。 449 00:38:07,400 --> 00:38:14,400 (物売りの声) 450 00:38:19,280 --> 00:38:23,330 旦那さん 今日は 来る途中で ええ あさりが…。 451 00:38:23,330 --> 00:38:27,370 (うめき声) 452 00:38:27,370 --> 00:38:29,440 旦那さん! お澪坊…。 453 00:38:29,440 --> 00:38:34,440 腰… 腰が…。 旦那さん! 454 00:38:35,340 --> 00:38:37,300 ?今日も休みかい。 455 00:38:37,300 --> 00:38:39,470 もう 七日にも なるんじゃねえのかな。 456 00:38:39,470 --> 00:38:41,470 どうしたんですかね。 仕方ねえな 行こう。 457 00:38:42,330 --> 00:38:44,270 うちに この店を? 458 00:38:44,270 --> 00:38:50,430 ああ。 俺に代わって この店をやっちゃくれまいか。 459 00:38:50,430 --> 00:38:52,330 けど 旦那さん…。 460 00:38:52,330 --> 00:38:57,430 いや 単なる思い付きで 言ってるわけじゃねえんだ。 461 00:38:57,430 --> 00:39:01,430 俺なりに この数日 考え抜いた答えだ。 462 00:39:03,420 --> 00:39:07,420 どうやら この腰は もう 使いものにならねえらしいんだよ。 463 00:39:08,260 --> 00:39:11,300 そんな まさか…。 464 00:39:11,300 --> 00:39:16,470 これ以上 この腰で そばを打つのは無理だと→ 465 00:39:16,470 --> 00:39:20,470 源斉先生に はっきりと言われちまった。 466 00:39:21,320 --> 00:39:25,330 仕入れや もろもろの銭は 俺が持つ。 467 00:39:25,330 --> 00:39:28,500 そば屋でなくたっていいんだ。 468 00:39:28,500 --> 00:39:33,500 お澪坊の好きなものを作って 商いにしてくれればいいんだよ。 469 00:39:35,420 --> 00:39:39,420 ただ 一つだけ…。 470 00:39:41,330 --> 00:39:45,380 つる家という この店の名前だけは→ 471 00:39:45,380 --> 00:39:47,380 そのままにしちゃくれまいか。 472 00:39:50,320 --> 00:39:56,480 おつるは 俺の死んだ娘の名だ。 473 00:39:56,480 --> 00:40:03,480 その名前だけは 残してやりてえんだよ。 474 00:40:42,390 --> 00:40:45,390 (小松原)よう。 475 00:40:46,430 --> 00:40:48,430 久しぶりだな。 476 00:40:54,270 --> 00:40:57,290 旦那さんが そう言うてくださる事は→ 477 00:40:57,290 --> 00:41:00,340 ほんまに嬉しいのです。 478 00:41:00,340 --> 00:41:05,310 けど 店をやるいうたら 責任ある事やし→ 479 00:41:05,310 --> 00:41:11,470 それより何より うちが一人で お客さんにお料理を出すなんて→ 480 00:41:11,470 --> 00:41:14,470 そんな自信は…。 481 00:41:16,410 --> 00:41:18,410 道は一つ。 482 00:41:20,430 --> 00:41:22,310 種市がその気になれば→ 483 00:41:22,310 --> 00:41:25,410 腕の立つ料理人を 雇えばいいだけの話。 484 00:41:25,410 --> 00:41:29,410 お前に頭を下げる必要が どこにある? 485 00:41:30,420 --> 00:41:33,420 お前の身が立つように。 486 00:41:35,440 --> 00:41:39,440 つる家のあるじは その事しか考えちゃいねえ。 487 00:41:40,300 --> 00:41:47,390 その思いに報いたいと思うのなら おのずと答えは出るはずだ。 488 00:41:47,390 --> 00:41:50,420 けど… もし うまくいかへんかったら…。 489 00:41:50,420 --> 00:41:56,420 あれこれと考え出せば 道は分かれる一方だぞ。 490 00:41:57,410 --> 00:41:59,410 よいか。 491 00:42:00,420 --> 00:42:03,420 道は一つきりだ。 492 00:42:04,400 --> 00:42:06,400 その事を忘れるな。 493 00:42:07,360 --> 00:42:23,320 ♪♪~ 494 00:42:23,320 --> 00:42:26,310 (小松原の声) お前の身が立つように。 495 00:42:26,310 --> 00:42:29,330 (小松原の声)つる家のあるじは その事しか考えちゃいねえ。 496 00:42:29,330 --> 00:42:32,300 すいません。 今日は このしぐれ煮だけで。 497 00:42:32,300 --> 00:42:34,330 この子は 上方の料理屋で きちんと修業を積んで…。 498 00:42:34,330 --> 00:42:36,270 こらあ いけるぜ お澪坊。 499 00:42:36,270 --> 00:42:38,300 いけるでしょう? うちの あの子が作ったんでさあ。 500 00:42:38,300 --> 00:42:42,320 つる家という この店の名前だけは→ 501 00:42:42,320 --> 00:42:45,410 そのままにしちゃくれまいか。 502 00:42:45,410 --> 00:42:47,410 澪…。 503 00:42:48,350 --> 00:42:50,330 ご寮さん。 504 00:42:50,330 --> 00:42:54,330 あんたの気持ちは もう決まってるんやないのか。 505 00:43:06,310 --> 00:43:10,400 それじゃあ 受けてくれるんだな。 506 00:43:10,400 --> 00:43:12,400 はい。 507 00:43:13,490 --> 00:43:17,490 何とぞ 澪を よろしゅうお願いいたします。 508 00:43:22,410 --> 00:43:27,410 承知しました。 こちらこそ よろしくお願いします。 509 00:43:31,410 --> 00:43:33,410 で お澪坊。 510 00:43:34,460 --> 00:43:37,460 何を売りにするつもりだい? 511 00:43:38,330 --> 00:43:42,280 (澪の声)まずは 毎日 日替わりで三品を作り→ 512 00:43:42,280 --> 00:43:45,340 お客さんに 召し上がって いただこうと思います。 513 00:43:45,340 --> 00:43:48,420 初日は 栗飯に 秋鯖の山椒煮。 514 00:43:48,420 --> 00:43:52,420 それに きのこ汁で しめて三十文です。 515 00:43:53,330 --> 00:43:55,410 おそばもお酒も出さず→ 516 00:43:55,410 --> 00:43:58,410 まずは これでやってみようと思います。 517 00:44:04,270 --> 00:44:06,410 うまい。 518 00:44:06,410 --> 00:44:08,410 うまいよ お澪坊。 519 00:44:12,410 --> 00:44:14,410 うん。 これも いける。 520 00:44:18,220 --> 00:44:21,320 そば屋で そばが食えねえってのは どういう了見なんだい。 521 00:44:21,320 --> 00:44:24,310 おいらな おやじの打つそばを 食いたくて来てるんだぜ。 522 00:44:24,310 --> 00:44:28,330 旦那 とにかく一度 食ってみちゃくれませんか? 523 00:44:28,330 --> 00:44:31,400 おらぁ あんたの打ったそばなら 食いてえが→ 524 00:44:31,400 --> 00:44:34,400 小娘の作った料理は ごめんだな! 525 00:44:35,500 --> 00:44:37,500 ?そば打ってくれよ。 526 00:44:41,410 --> 00:44:43,410 どうしたもんかな こりゃ。 527 00:44:45,210 --> 00:44:47,350 持って帰ります。 528 00:44:47,350 --> 00:44:50,350 あの 栗飯を握ったんですけど…。 529 00:44:51,370 --> 00:44:53,320 あららら… うちに? 530 00:44:53,320 --> 00:45:10,310 ♪♪~ 531 00:45:10,310 --> 00:45:14,310 よかったら 食べてください。 えー? 532 00:45:14,310 --> 00:45:16,430 豆ご飯です。 また? 533 00:45:16,430 --> 00:45:18,430 (はる・おりょう)悪いわね。 534 00:45:27,320 --> 00:45:40,320 (すすり泣き) 535 00:45:40,320 --> 00:45:42,320 (野江の声)澪ちゃん 弱味噌やな。 536 00:45:42,320 --> 00:45:57,320 ♪♪~ 537 00:45:57,320 --> 00:46:00,410 涙は来ん来ん。 538 00:46:00,410 --> 00:46:17,410 ♪♪~ 539 00:46:23,410 --> 00:46:25,410 ?ばか野郎! 540 00:46:27,220 --> 00:46:29,370 こんな猫またぎ 押し付けようってのか? 541 00:46:29,370 --> 00:46:31,370 とっとと 帰れ! 542 00:46:41,350 --> 00:46:43,350 何 売ってるの? 543 00:46:44,450 --> 00:46:47,450 お姉ちゃんに見して。 544 00:46:51,310 --> 00:48:12,320 ♪♪~ 545 00:48:12,320 --> 00:48:14,320 おお…。 546 00:48:14,320 --> 00:48:18,330 今日は また 一段といいにおいじゃねえか。 547 00:48:18,330 --> 00:48:20,450 旦那さん! 548 00:48:20,450 --> 00:48:34,450 ♪♪~ 549 00:48:37,310 --> 00:48:39,400 うめえ。 550 00:48:39,400 --> 00:48:41,400 こらあ うめえよ お澪坊。 551 00:48:42,380 --> 00:48:47,370 確かに うめえが これは戻り鰹じゃねえのか? 552 00:48:47,370 --> 00:48:49,370 はい。 553 00:48:51,390 --> 00:48:53,310 なんてこった。 554 00:48:53,310 --> 00:48:56,260 猫またぎをうめえと思うたあ この俺も焼きが回ったもんだ。 555 00:48:56,260 --> 00:49:00,390 お澪坊 これは出しても無駄だ。 556 00:49:00,390 --> 00:49:03,420 なんでですか? 江戸じゃあ 戻り鰹は→ 557 00:49:03,420 --> 00:49:07,420 猫またぎといってな 誰も見向きもしねえんだよ。 558 00:49:08,290 --> 00:49:12,300 〈江戸っ子の初物好きは有名で→ 559 00:49:12,300 --> 00:49:17,350 特に初鰹は どんな大金を積んでも 競って手に入れようとした〉 560 00:49:17,350 --> 00:49:21,320 〈ところが 旬が過ぎた戻り鰹となると→ 561 00:49:21,320 --> 00:49:27,400 やれ 脂っこいだ 季節外れだのと 見向きもしなかったのだ〉 562 00:49:27,400 --> 00:49:31,400 うちには ようわかりません。 563 00:49:32,300 --> 00:49:35,270 戻り鰹かて 同じ鰹やないですか。 564 00:49:35,270 --> 00:49:38,360 わからなくても 江戸じゃ そういう事なんだ。 565 00:49:38,360 --> 00:49:40,390 自分がおいしいと思うもんを お客さんに出したら→ 566 00:49:40,390 --> 00:49:42,410 なんで あかんのんですか? お澪坊…。 567 00:49:42,410 --> 00:49:44,410 旦那さん。 568 00:49:45,350 --> 00:49:48,270 うちは この鰹飯 おいしいと思います。 569 00:49:48,270 --> 00:49:51,350 旦那さんかて 今 おいしい 言うてくれはったやないですか。 570 00:49:51,350 --> 00:49:55,350 それに 最初は 鰹やと 気 付かんと…。 571 00:49:59,310 --> 00:50:02,360 さあさ つる家の振る舞い飯ですよ! 572 00:50:02,360 --> 00:50:04,360 はてなの飯は いかが? 573 00:50:05,370 --> 00:50:08,270 はてなの飯 どうぞ お味をみてくださいな。 574 00:50:08,270 --> 00:50:11,290 どうぞ…。 はてなの飯? 575 00:50:11,290 --> 00:50:13,310 はてなの飯は いかが? 576 00:50:13,310 --> 00:50:16,390 すいません いかが? 577 00:50:16,390 --> 00:50:18,410 はてなの飯は…。 578 00:50:18,410 --> 00:50:21,410 お味 みてってください。 579 00:50:22,500 --> 00:50:27,500 はてなの飯 一つ 味見をさせてくださいな。 580 00:50:28,420 --> 00:50:30,420 お代は おいくら? 581 00:50:32,280 --> 00:50:36,310 いえ いただきません。 お味をみていただくだけですから。 582 00:50:36,310 --> 00:50:39,380 では 遠慮なく。 583 00:50:39,380 --> 00:50:45,380 ♪♪~ 584 00:50:51,410 --> 00:50:54,410 うん! とても おいしい! 585 00:50:55,430 --> 00:50:59,320 けど はてな? これは なんの魚でしょう? 586 00:50:59,320 --> 00:51:03,310 お口に合いましたら 中で ご注文よろしくお願いします。 587 00:51:03,310 --> 00:51:05,380 さあさ 中に入って。 飯の具をあっちで見てくんねえ。 588 00:51:05,380 --> 00:51:07,230 俺にも 一つ くんな! 589 00:51:07,230 --> 00:51:10,260 〈江戸っ子は しゃれが好き〉 590 00:51:10,260 --> 00:51:14,320 〈はてなの飯の正体が 戻り鰹と知っても→ 591 00:51:14,320 --> 00:51:19,310 腹を立てる事なく かえって その趣向を面白がった〉 592 00:51:19,310 --> 00:51:24,310 〈そうして 噂を聞いた客たちが 次々 店に押し寄せたのだった〉 593 00:51:24,310 --> 00:51:27,230 こっちは まだかよ! いつまで待たせる気なんだよ。 594 00:51:27,230 --> 00:51:30,280 お待たせしました。 おい 早くしてくれよ! 595 00:51:30,280 --> 00:51:32,320 すいません。 お待ちどおさま。 596 00:51:32,320 --> 00:51:35,440 ?こっちに鰹飯 もう一つ 頼むよ。 はい。 597 00:51:35,440 --> 00:51:39,440 お澪坊 鰹飯 一つ 追加だ。 はーい ただ今! 598 00:51:42,310 --> 00:51:45,320 勘定 ここ置いとくよ。 ありがとうございます。 599 00:51:45,320 --> 00:51:49,300 お待たせいたしました。 (おりょう)澪ちゃん 澪ちゃん…。 600 00:51:49,300 --> 00:51:51,410 芳さんに頼まれてね 手の空いてるもんで→ 601 00:51:51,410 --> 00:51:53,410 助っ人に来たよ。 602 00:51:55,340 --> 00:51:57,310 いらっしゃいませ! ああ いらっしゃいませ! 603 00:51:57,310 --> 00:51:59,400 (おりょう)どうもどうも いらっしゃいませ。 604 00:51:59,400 --> 00:52:01,400 (おりょう)こっちだよ こっち! 605 00:52:05,320 --> 00:52:09,270 よいしょ。 澪ちゃん 洗いもんは任せて! 606 00:52:09,270 --> 00:52:11,440 はいはいはい…。 洗いもんだよ 洗いもんだよ…。 607 00:52:11,440 --> 00:52:13,440 ああー! 608 00:52:15,410 --> 00:52:17,410 なんにしましょう? ありがとうございました。 609 00:52:18,350 --> 00:52:20,440 鰹飯 一つ。 610 00:52:20,440 --> 00:52:22,440 はい! 611 00:52:23,400 --> 00:52:25,400 (おりょう)はいはい…。 612 00:52:26,290 --> 00:52:29,310 ほんまに ありがとうございました。 613 00:52:29,310 --> 00:52:31,310 助かりました。 (はる)いいんだよ。 614 00:52:31,310 --> 00:52:34,470 困った時はお互いさまってね。 (おりょう)本当 本当。 615 00:52:34,470 --> 00:52:37,470 ほんじゃ お先に。 おやすみ 太一ちゃん。 616 00:52:38,400 --> 00:52:41,400 (おりょう)ほいじゃね。 おやすみなさい。 617 00:52:45,260 --> 00:52:49,310 そうですか。 見事に完売しましたか。 618 00:52:49,310 --> 00:52:52,350 はい おかげさまで。 それはよかった。 619 00:52:52,350 --> 00:52:55,340 きっと これで また 客も戻ってきますね。 620 00:52:55,340 --> 00:52:57,310 いやいや 戻るどころか→ 621 00:52:57,310 --> 00:53:00,410 ここ数日で 倍々に増えていってまさあ。 622 00:53:00,410 --> 00:53:02,410 はい。 ああ すいません。 623 00:53:03,380 --> 00:53:06,310 せやけど…。 624 00:53:06,310 --> 00:53:09,250 ほんまに これでええんか…。 625 00:53:09,250 --> 00:53:11,320 (源斉)何を言ってるんです。 626 00:53:11,320 --> 00:53:14,220 澪さんの腕があれば きっと  このつる家は やっていけます。 627 00:53:14,220 --> 00:53:18,310 ああ それに あの機転だ。 何をしでかすのかと思ったぜ。 628 00:53:18,310 --> 00:53:21,280 ハハ…。 あっ いてっ…。 629 00:53:21,280 --> 00:53:24,280 (源斉)ご主人。 旦那さん 大丈夫ですか? 630 00:53:24,280 --> 00:53:26,520 (戸が開く音) 631 00:53:26,520 --> 00:53:29,520 なんだ しまいか? 632 00:53:30,290 --> 00:53:32,320 小松原様。 633 00:53:32,320 --> 00:53:34,330 お久しぶりでございます。 634 00:53:34,330 --> 00:53:36,340 (小松原)元気そうだな。 はい。 635 00:53:36,340 --> 00:53:40,310 小松原様。 もう お見限りかと思いましたぜ。 636 00:53:40,310 --> 00:53:43,320 さあ どうぞ。 久しぶりに 一杯やっておくんなせえ。 637 00:53:43,320 --> 00:53:46,370 それでは… 私は これで。 638 00:53:46,370 --> 00:53:48,370 すいません 先生。 639 00:53:49,310 --> 00:53:53,330 こちらは 旅籠町で開業しておられる→ 640 00:53:53,330 --> 00:53:55,350 永田源斉先生でさあ。 641 00:53:55,350 --> 00:53:57,300 あっしの この どうにもならねえ腰を→ 642 00:53:57,300 --> 00:54:01,320 診ていただいてるんで。 ほう…。 643 00:54:01,320 --> 00:54:03,420 あの もし…。 644 00:54:03,420 --> 00:54:05,420 どこかで お会いした事は? 645 00:54:06,510 --> 00:54:10,510 さて… 私には。 646 00:54:11,310 --> 00:54:14,400 それは 失礼いたしました。 いえ。 647 00:54:14,400 --> 00:54:17,400 (源斉)では…。 648 00:54:29,310 --> 00:54:32,400 じゃあ お澪坊 あとは頼むな。 649 00:54:32,400 --> 00:54:34,400 はい。 650 00:54:40,340 --> 00:54:45,340 すいません。 鰹飯は 売り切れてしまいましたので。 651 00:54:47,330 --> 00:54:50,420 枝豆の東煮か。 趣向だな。 652 00:54:50,420 --> 00:54:53,420 関東風に煮付けてみました。 653 00:55:02,410 --> 00:55:04,410 他には? 654 00:55:05,500 --> 00:55:09,500 菊花の澄まし汁です。 召し上がりますか? 655 00:55:13,320 --> 00:55:40,380 ♪♪~ 656 00:55:40,380 --> 00:55:45,380 お前は この味に 得心しているのか? 657 00:55:48,410 --> 00:55:50,410 正直に言ってみろ。 658 00:55:55,380 --> 00:56:02,380 実は 心に つかえている事があります。 659 00:56:05,310 --> 00:56:11,370 このつる家は 旦那さんの 大切なお店です。 660 00:56:11,370 --> 00:56:14,340 旦那さんのためにも→ 661 00:56:14,340 --> 00:56:17,420 店の売りとなるような料理を 作りたい。 662 00:56:17,420 --> 00:56:20,420 その一心で やってきました。 663 00:56:21,230 --> 00:56:27,400 最初は 上方の味を通して拒まれ ならばと→ 664 00:56:27,400 --> 00:56:32,400 江戸の 濃い味付けに合わせる 努力もしてきたつもりです。 665 00:56:33,340 --> 00:56:38,380 ようやく 鰹飯が売れるようになり→ 666 00:56:38,380 --> 00:56:42,430 もちろん お客さんが おいしいと食べてくださる事は→ 667 00:56:42,430 --> 00:56:45,430 とても 嬉しいのです。 668 00:56:47,370 --> 00:56:54,370 けど ほんまに 今のままで ええんか…。 669 00:56:58,330 --> 00:57:04,320 自分の作る料理は なんか どっかが違うような気がして→ 670 00:57:04,320 --> 00:57:07,410 どないしても 自分自身→ 671 00:57:07,410 --> 00:57:10,410 納得がいかないところも あるのです。 672 00:57:11,430 --> 00:57:15,380 お前が自分の味に 得心しているなら→ 673 00:57:15,380 --> 00:57:17,380 何も言うつもりはなかった。 674 00:57:19,400 --> 00:57:21,300 俺の耳に入るくらいだ。 675 00:57:21,300 --> 00:57:26,340 恐らく 鰹飯は このあとも評判を取るだろうよ。 676 00:57:26,340 --> 00:57:30,390 だが それは いくら人気を取っても→ 677 00:57:30,390 --> 00:57:34,390 料理の本筋からは外れるものだ。 678 00:57:36,330 --> 00:57:38,420 本筋に戻れ。 679 00:57:38,420 --> 00:57:43,420 そして 己の一番の欠点から 目をそらすな。 680 00:57:46,430 --> 00:57:49,430 料理の基本がなってない。 681 00:57:57,390 --> 00:57:59,390 えらい厳しいお人やな。 682 00:58:01,330 --> 00:58:07,330 けど あのお方は ただの浪士と違う。 683 00:58:07,330 --> 00:58:10,420 料理の事も ようわかってはる。 684 00:58:10,420 --> 00:58:13,420 そのうえでの 物言いやったんやろう。 685 00:58:17,410 --> 00:58:19,410 (小松原の声) 料理の基本がなってない。 686 00:58:20,390 --> 00:58:24,270 鰹飯。 あのお方は これを→ 687 00:58:24,270 --> 00:58:27,280 料理の本筋から外れてる 言わはった。 688 00:58:27,280 --> 00:58:29,320 はい。 689 00:58:29,320 --> 00:58:33,410 そして 東煮と澄まし汁の つゆの味で→ 690 00:58:33,410 --> 00:58:36,410 基本がなってないと…。 691 00:58:38,280 --> 00:58:41,400 東煮と澄まし汁に使ていて→ 692 00:58:41,400 --> 00:58:44,400 鰹飯に使てないもんて なんや? 693 00:58:50,410 --> 00:58:53,410 だし…。 だしや! 694 00:58:54,360 --> 00:58:56,310 だしです ご寮さん。 695 00:58:56,310 --> 00:58:58,330 せや。 料理の基本は だしやと→ 696 00:58:58,330 --> 00:59:01,320 のうなった嘉兵衛は いつも言うてた。 697 00:59:01,320 --> 00:59:05,310 だしが決まれへんから 味が決まれへん。 698 00:59:05,310 --> 00:59:10,290 せやから 料理に納得が出来へんのんや。 699 00:59:10,290 --> 00:59:47,310 ♪♪~ 700 00:59:47,310 --> 00:59:51,320 もしもの時のために 取っておいた おあしや。 701 00:59:51,320 --> 00:59:53,320 次の休みに これで→ 702 00:59:53,320 --> 00:59:56,360 江戸一番の料理屋の 料理を食べとおみ。 703 00:59:56,360 --> 01:00:02,410 けど ご寮さん そないな贅沢 うちには…。 704 01:00:02,410 --> 01:00:05,410 「一文惜しみの百知らず」いう ことわざを知らへんのか? 705 01:00:07,330 --> 01:00:11,320 江戸の水で どれほどの味が出せるんか→ 706 01:00:11,320 --> 01:00:14,340 その舌で よう確かめてき。 707 01:00:14,340 --> 01:00:34,310 ♪♪~ 708 01:00:34,310 --> 01:00:36,300 〈当時の江戸には→ 709 01:00:36,300 --> 01:00:39,350 世界初といわれる 料理本や店案内が→ 710 01:00:39,350 --> 01:00:41,300 すでに存在していた〉 711 01:00:41,300 --> 01:00:45,410 〈そればかりか 中には 相撲の番付になぞらえた→ 712 01:00:45,410 --> 01:00:48,410 料理番付まで 作られていたのである〉 713 01:00:49,390 --> 01:00:52,410 〈日本橋 登龍楼は その料理番付で→ 714 01:00:52,410 --> 01:00:58,410 必ず大関に選ばれる 江戸一番と評判の料理屋だった〉 715 01:00:59,390 --> 01:01:01,390 どうぞ お気を付けて。 716 01:01:03,420 --> 01:01:05,420 ありがとうございました。 717 01:01:10,400 --> 01:01:12,400 あの…。 718 01:01:13,480 --> 01:01:15,480 はい。 719 01:01:35,310 --> 01:01:38,440 海老しん薯の お吸い物にございます。 720 01:01:38,440 --> 01:01:40,440 ごゆっくりどうぞ。 721 01:02:27,240 --> 01:02:34,350 ♪♪~ 722 01:02:34,350 --> 01:02:38,350 《今まで うちは 何やってきたんやろう…》 723 01:02:40,320 --> 01:02:44,310 《あの だしの味→ 724 01:02:44,310 --> 01:02:47,380 今まで うちが引いてきた鰹だしとは→ 725 01:02:47,380 --> 01:02:50,210 全く別もんや》 726 01:02:50,210 --> 01:02:52,420 ?ありがとうございました。 727 01:02:52,420 --> 01:02:59,420 ♪♪~ 728 01:03:03,410 --> 01:03:08,410 今まで やってきた事が 全部 逆やったなんて…。 729 01:03:09,320 --> 01:03:11,320 (鰹節商)江戸でも そば屋などでは→ 730 01:03:11,320 --> 01:03:13,290 そばつゆ用に ぐつぐつと煮立ったお湯で取った→ 731 01:03:13,290 --> 01:03:16,370 濃厚なだしを使います。 732 01:03:16,370 --> 01:03:20,330 (鰹節商)特に 血合い入りのものを 使うとよいのです。 733 01:03:20,330 --> 01:03:23,410 しかし これでは 鰹の味が強すぎて→ 734 01:03:23,410 --> 01:03:25,410 吸い物には合いません。 735 01:03:28,240 --> 01:03:32,320 (鰹節商)吸い物のだしを取る こつは 三つあります。 736 01:03:32,320 --> 01:03:36,310 まず 削りたての鰹節を使う事。 737 01:03:36,310 --> 01:03:38,410 煮えたぎる前のお湯に入れる事。 738 01:03:38,410 --> 01:03:40,410 煮立たせない事。 739 01:03:42,320 --> 01:03:44,320 (鰹節商)さっとお湯に入れ 沈んだところで→ 740 01:03:44,320 --> 01:03:47,420 すぐに ざるに移し こしてみてください。 741 01:03:47,420 --> 01:03:51,420 やわらかく 上品な 香りとうまみが出るはずです。 742 01:03:55,330 --> 01:04:00,350 〈澪の修業した大坂は 基本が昆布だしであった〉 743 01:04:00,350 --> 01:04:04,290 〈それに対して 江戸は 鰹だしが主流〉 744 01:04:04,290 --> 01:04:07,310 〈大坂の名店で修業を積んだ澪も→ 745 01:04:07,310 --> 01:04:12,480 鰹だしに関しては 素人同然だったのだ〉 746 01:04:12,480 --> 01:04:14,480 ほんまや。 747 01:04:19,400 --> 01:04:21,400 ごめんよ! 748 01:04:22,370 --> 01:04:24,370 ?危ねえじゃねえかよ! 749 01:04:32,320 --> 01:04:35,270 (伊佐三)出た出た! おい 出ちまったぞ! 750 01:04:35,270 --> 01:04:38,360 (おりょう)なんだい なんだい 幽霊でも出たのかい? 751 01:04:38,360 --> 01:04:41,330 鰹飯をまねする店が出たんだ。 (おりょう)え? 752 01:04:41,330 --> 01:04:44,280 しかも この界隈だけで 三軒だとよ。 753 01:04:44,280 --> 01:04:46,330 三軒も? (おりょう)ふん! 754 01:04:46,330 --> 01:04:48,300 まねなんかしたって こっちは 本家本元なんだよ! 755 01:04:48,300 --> 01:04:51,320 (おりょう)どーんと構えてりゃ いいのさ。 ねえ 澪ちゃん! 756 01:04:51,320 --> 01:04:58,310 ♪♪~ 757 01:04:58,310 --> 01:05:00,430 くそ…。 758 01:05:00,430 --> 01:05:03,430 うちと同じように 店の前で売ったりしてやがる。 759 01:05:04,300 --> 01:05:06,300 客が どんどん そっちへ流れてるんだ。 760 01:05:06,300 --> 01:05:35,460 ♪♪~ 761 01:05:35,460 --> 01:05:38,460 (源斉)明日の準備ですか? 762 01:05:39,250 --> 01:05:43,340 あ いえ 鰹だしの引き方を 試しているのです。 763 01:05:43,340 --> 01:05:45,390 (源斉)鰹だしの。 764 01:05:45,390 --> 01:05:49,390 あっ そうや。 源斉先生…。 765 01:05:54,360 --> 01:05:56,360 どうぞ。 766 01:06:14,250 --> 01:06:18,320 色の薄い方が 香りがいいですね。 767 01:06:18,320 --> 01:06:21,360 濃い方は うまみが強い。 そうなのです。 768 01:06:21,360 --> 01:06:25,310 香りがよいものは 吸い物に。 769 01:06:25,310 --> 01:06:27,280 うまみが強い方は 野菜の味を→ 770 01:06:27,280 --> 01:06:30,450 引き立ててくれるんやないかと 思います。 771 01:06:30,450 --> 01:06:32,450 なるほど。 772 01:06:33,320 --> 01:06:38,290 同じ鰹だしで こんな多彩な味が出せるやなんて→ 773 01:06:38,290 --> 01:06:41,360 知りませんでした。 774 01:06:41,360 --> 01:06:45,360 上方は 昆布だしばかりでしたから。 775 01:06:47,330 --> 01:06:49,320 昆布だしのうまみは→ 776 01:06:49,320 --> 01:06:53,290 まろやかで 口の中にふんわり広がります。 777 01:06:53,290 --> 01:06:57,490 けど 鰹だしは 鋭くて→ 778 01:06:57,490 --> 01:07:01,490 舌に集まってくるような気が するのです。 779 01:07:04,280 --> 01:07:07,340 しかし 澪さんは 大したもんだな。 780 01:07:07,340 --> 01:07:09,360 え? 781 01:07:09,360 --> 01:07:13,360 私は ものの味を そんな風に表現出来ません。 782 01:07:14,430 --> 01:07:21,430 (源斉)ふんわり広がる昆布だしと 鋭く舌に集まる鰹だしか…。 783 01:07:22,400 --> 01:07:31,400 ?(物音) 784 01:07:35,320 --> 01:08:40,310 ♪♪~ 785 01:08:40,310 --> 01:08:42,330 《自分のだし…》 786 01:08:42,330 --> 01:08:47,320 《せや 自分の味を作るんや》 787 01:08:47,320 --> 01:08:52,430 《誰にも まねされへん 自分のだし》 788 01:08:52,430 --> 01:09:19,430 ♪♪~ 789 01:09:55,000 --> 01:10:00,000 鰹だしと昆布だし 二つのだしを合わせてみました。 790 01:10:01,000 --> 01:10:03,000 二つのだしを合わせた? 791 01:10:05,990 --> 01:10:08,990 上品な色合いや。 792 01:10:10,000 --> 01:10:12,000 香りもすばらしい。 793 01:10:19,920 --> 01:10:21,910 なんと 典雅な…。 794 01:10:21,910 --> 01:10:27,010 お澪坊 よく ここまで 頑張り通したな。 795 01:10:27,010 --> 01:10:31,940 口の中が うまみで満たされるようです。 796 01:10:31,940 --> 01:10:34,000 とんでもねえ。 797 01:10:34,000 --> 01:10:38,000 これは とんでもねえもんが 出来ちまったぜ。 お澪坊。 798 01:10:42,010 --> 01:10:48,010 けど これで 何を作ったらええんか…。 799 01:10:54,020 --> 01:10:56,020 茶碗蒸し。 800 01:10:56,960 --> 01:10:58,910 茶碗蒸しは どうやろか? 801 01:10:58,910 --> 01:11:27,010 ♪♪~ 802 01:11:27,010 --> 01:11:30,010 さあ 出来上がりました。 803 01:11:30,980 --> 01:11:33,910 おお きれいだ。 804 01:11:33,910 --> 01:11:40,940 ♪♪~ 805 01:11:40,940 --> 01:11:42,890 はてなの飯から 皆さんへ→ 806 01:11:42,890 --> 01:11:44,860 お名残惜しみの ごあいさつでございます。 807 01:11:44,860 --> 01:11:47,010 お代は いりませんぜ! 808 01:11:47,010 --> 01:11:50,010 器が熱いので さじで召し上がってくださいな。 809 01:11:55,850 --> 01:11:57,920 こりゃ なんだい? とろとろっとよ→ 810 01:11:57,920 --> 01:12:02,040 口の中で溶けちまったよ。 まるで 極楽の味だ。 811 01:12:02,040 --> 01:12:04,040 こりゃ なんていう名の 料理なんだい? 812 01:12:04,910 --> 01:12:08,000 はい。 とろとろ茶碗蒸しでございます。 813 01:12:08,000 --> 01:12:10,000 とろとろ茶碗蒸しか…。 814 01:12:11,050 --> 01:12:13,050 ?こりゃ うめえや。 815 01:12:15,910 --> 01:12:18,880 はーい 皆さん 寒い中 ごめんなさいね。 816 01:12:18,880 --> 01:12:20,930 もう少し 待ってちょうだいな。 817 01:12:20,930 --> 01:12:23,960 はい もうちょっと こちらにね 並んで こちらはこう…。 818 01:12:23,960 --> 01:12:26,900 おじさん 駄目よ ずるしちゃ。 ほら 後ろ後ろ…。 819 01:12:26,900 --> 01:12:33,920 ♪♪~ 820 01:12:33,920 --> 01:12:35,910 お澪坊 奥の席 あと二つ 追加だ。 821 01:12:35,910 --> 01:12:38,910 はい。 はい 三人さん お入りですよ! 822 01:12:38,910 --> 01:12:40,850 (おりょう) どうぞ どうぞ こちらに…。 823 01:12:40,850 --> 01:12:42,920 いらっしゃいませ。 どうぞ こちらに。 824 01:12:42,920 --> 01:12:44,920 いらっしゃいませ。 825 01:12:44,920 --> 01:13:06,970 ♪♪~ 826 01:13:06,970 --> 01:13:09,970 (又次)つる家ってのは ここか? 827 01:13:10,990 --> 01:13:13,010 はい…。 828 01:13:13,010 --> 01:13:20,010 ♪♪~ 829 01:13:23,960 --> 01:13:27,960 俺は 吉原 翁屋で 料理番をやってる又次ってもんだ。 830 01:13:29,860 --> 01:13:32,930 巷で噂の茶碗蒸しとやらを 食べてみたいと→ 831 01:13:32,930 --> 01:13:34,930 ある人に頼まれたんだが…。 832 01:13:38,970 --> 01:13:40,970 (又次)これに 詰めてもらえないか? 833 01:13:42,910 --> 01:13:45,880 お持ち帰りいただくのは 構いませんが→ 834 01:13:45,880 --> 01:13:49,950 茶碗蒸しは 蒸した茶碗のまま 食べるものですので…。 835 01:13:49,950 --> 01:13:51,950 なら 茶碗ごと。 836 01:13:54,970 --> 01:13:57,970 茶碗蒸しは 上方のものと聞いた。 837 01:13:58,890 --> 01:14:02,960 その人の故郷を偲ぶよすがに なんとしても持ち帰りてえ。 838 01:14:02,960 --> 01:14:04,960 故郷? 839 01:14:06,070 --> 01:14:08,070 花魁は かごの鳥。 840 01:14:08,970 --> 01:14:10,970 自由になれる身でもなし。 841 01:14:12,910 --> 01:14:14,840 せめてもの よすがにな。 842 01:14:14,840 --> 01:14:28,960 ♪♪~ 843 01:14:28,960 --> 01:14:30,960 これに入れてくれ。 844 01:14:33,980 --> 01:14:37,980 わかりました。 すぐに用意します。 845 01:14:42,800 --> 01:14:46,890 あの…。 なんだい? 846 01:14:46,890 --> 01:14:51,980 茶碗蒸しを届ける その方は 上方のお人なのですか? 847 01:14:51,980 --> 01:14:53,980 ああ。 848 01:14:54,930 --> 01:15:00,930 うちも 一年前に 大坂の四つ橋から出てきました。 849 01:15:02,920 --> 01:15:06,920 ふるさとの味 味わってもろてください。 850 01:15:08,980 --> 01:15:11,980 あんた 名は なんてんだ? 851 01:15:13,950 --> 01:15:16,950 澪。 澪です。 852 01:15:55,830 --> 01:15:58,960 これが 巷で噂の 茶碗蒸しでありんすか。 853 01:15:58,960 --> 01:16:02,960 澪という 上方から来た 女料理人が作ったものです。 854 01:16:05,970 --> 01:16:08,970 さようありんすか。 上方の…。 855 01:16:19,850 --> 01:16:25,990 (あさひ太夫)あちきが 上方から この翁屋に連れてこられたのは→ 856 01:16:25,990 --> 01:16:28,990 あれは 何年前の事になりんすか。 857 01:16:31,960 --> 01:16:35,960 (あさひ太夫)寒い 雪の日でありんした。 858 01:16:38,920 --> 01:16:43,920 (あさひ太夫)寒うて 心細うて…。 859 01:16:47,960 --> 01:16:52,960 調理場にいしんした あんたが 大人の男に見いしんした。 860 01:17:02,880 --> 01:17:06,980 (あさひ太夫)あれから長い事→ 861 01:17:06,980 --> 01:17:09,980 時が 流れてしもうたんでありんすな。 862 01:17:20,890 --> 01:17:22,880 はいはい 順番に並んでおくんなせえよ。 863 01:17:22,880 --> 01:17:24,860 (客)あの とろとろ茶碗蒸し 四つくださいな。 864 01:17:24,860 --> 01:17:26,930 はい。 おおきに。 865 01:17:26,930 --> 01:17:28,820 四つで八十文になります。 866 01:17:28,820 --> 01:17:31,840 (客)手土産に持っていくと 喜ばれてね。 867 01:17:31,840 --> 01:17:33,870 (客)年寄りの病気見舞いにも いいんだよ。 868 01:17:33,870 --> 01:17:36,930 (客)何しろ 歯がなくても つるっと食べられるからね。 869 01:17:36,930 --> 01:17:38,960 そうかい そりゃいいや。 870 01:17:38,960 --> 01:17:40,960 おおきに。 毎度ありがとうございます。 871 01:17:42,880 --> 01:17:45,900 ああ すいません。 今日はもう 売り切れました。 872 01:17:45,900 --> 01:17:49,900 すいまへん。 また来てくださいね。 873 01:17:51,880 --> 01:17:54,880 芳さん これで ようやく つる家にも→ 874 01:17:54,880 --> 01:17:56,860 看板料理が出来たってもんだ。 ええ。 875 01:17:56,860 --> 01:18:00,980 しかし 澪ちゃんって子 あれは 一体 どんな力を持ってるんだか。 876 01:18:00,980 --> 01:18:03,980 大した娘だな。 877 01:18:12,830 --> 01:18:19,850 ♪♪~ 878 01:18:19,850 --> 01:18:22,960 (小松原)本筋に戻れ。 879 01:18:22,960 --> 01:18:26,960 そして 己の一番の欠点から 目をそらすな。 880 01:18:27,980 --> 01:18:31,980 一番食べてほしいお方やのに…。 881 01:18:39,940 --> 01:18:42,940 (伊佐三)ごめんよ ごめんよ…。 ほいほいほい…。 882 01:18:44,880 --> 01:18:46,980 いの一番で 手に入れてきたぜ! 883 01:18:46,980 --> 01:18:48,980 よこせ おい! 884 01:18:50,850 --> 01:18:54,850 ああ! ほれ…。 ああ! 885 01:18:54,850 --> 01:18:58,840 あっ 澪ちゃん あんた すごいよ! ほらほら…。 886 01:18:58,840 --> 01:19:01,810 料理番付表に載ったんだよ! 初星取っちまったんだよ。 887 01:19:01,810 --> 01:19:04,860 ほら ここだよ ここ…。 ここ ほら! 888 01:19:04,860 --> 01:19:09,970 ♪♪~ 889 01:19:09,970 --> 01:19:11,970 ご寮さん。 澪…。 890 01:19:12,920 --> 01:19:15,860 みんな聞いてくれ。 つる家のとろとろ茶碗蒸しが→ 891 01:19:15,860 --> 01:19:19,880 番付に載ったんだ。 初登場で 関脇なんだよ! 892 01:19:19,880 --> 01:19:23,970 (一同の拍手) 893 01:19:23,970 --> 01:19:37,860 ♪♪~ 894 01:19:37,860 --> 01:19:40,930 はい 順番に 順番に。 押さなくていいよ。 895 01:19:40,930 --> 01:20:07,930 ♪♪~ 896 01:20:13,970 --> 01:20:15,970 さあさあ どうぞ。 897 01:20:38,890 --> 01:20:40,930 申し訳ありません。 898 01:20:40,930 --> 01:20:43,960 せっかく 足を運んでいただいたのに→ 899 01:20:43,960 --> 01:20:45,960 茶碗蒸しが売り切れで。 900 01:20:48,870 --> 01:20:50,870 (又次)こいつは なんだ? 901 01:20:50,870 --> 01:20:52,860 おぼろ昆布です。 902 01:20:52,860 --> 01:20:55,880 上方の人やったら 懐かしいんやないかと思うて。 903 01:20:55,880 --> 01:20:58,880 なあ あんたが そんなに 入れ込む花魁ってのは→ 904 01:20:58,880 --> 01:21:00,780 一体 どんな女なんだい? 905 01:21:00,780 --> 01:21:02,980 さぞかし いい女なんだろうな。 906 01:21:02,980 --> 01:21:05,980 余計な詮索はよしな。 ろくな事はねえぜ。 907 01:21:09,970 --> 01:21:11,970 すまぬ。 つい…。 908 01:21:14,040 --> 01:21:16,040 ありがとよ。 909 01:21:19,820 --> 01:21:27,870 ♪♪~ 910 01:21:27,870 --> 01:21:29,980 又次さん! 911 01:21:29,980 --> 01:21:31,980 お忘れ物です。 912 01:21:40,870 --> 01:21:42,840 あっ おぼろ昆布は→ 913 01:21:42,840 --> 01:21:45,980 お椀に入れて 醤油を少しさして→ 914 01:21:45,980 --> 01:21:48,980 お湯を注げば お吸い物になります。 915 01:21:49,930 --> 01:21:55,930 その… 上方の花魁に よろしゅう お伝えください。 916 01:22:00,960 --> 01:22:04,960 この弁当を届ける相手は あさひ太夫さ。 917 01:22:06,880 --> 01:22:08,870 あさひ太夫…。 918 01:22:08,870 --> 01:22:14,970 ♪♪~ 919 01:22:14,970 --> 01:22:17,970 あさひ太夫は 幻でも でっち上げでもねえ。 920 01:22:18,980 --> 01:22:21,980 本当にいるのさ。 921 01:22:27,970 --> 01:22:56,970 ♪♪~(琴と笛の演奏) 922 01:23:01,870 --> 01:23:04,970 今日は 一体 どうしちまったんだい。 923 01:23:04,970 --> 01:23:08,970 こんな事 茶碗蒸しを出して以来 初めてじゃねえか。 924 01:23:13,850 --> 01:23:16,820 ちょっと…。 どいて! 925 01:23:16,820 --> 01:23:18,890 訳がわかったよ! 926 01:23:18,890 --> 01:23:22,870 日本橋 登龍楼が 神田須田町に 新しい店を出したんだそうだ。 927 01:23:22,870 --> 01:23:24,870 本当か? そりゃ。 本店と違って→ 928 01:23:24,870 --> 01:23:26,860 値段をぐっと下げてるんだけど→ 929 01:23:26,860 --> 01:23:28,880 味をちっとも 落としちゃいないんだそうだよ。 930 01:23:28,880 --> 01:23:33,900 店の中もね 本店さながらの 豪華さだっていうじゃないか。 931 01:23:33,900 --> 01:23:37,870 (おりょう)おまけに厄介なのが その店の名物料理が→ 932 01:23:37,870 --> 01:23:41,890 茶碗蒸しだっていうんだよ。 そんな…。 933 01:23:41,890 --> 01:23:49,880 ♪♪~ 934 01:23:49,880 --> 01:23:55,890 お澪坊 もう閉めようか。 はい。 935 01:23:55,890 --> 01:24:14,970 ♪♪~ 936 01:24:14,970 --> 01:24:16,970 小松原様。 937 01:24:19,900 --> 01:24:25,870 なんだ おい。 初星を取った割には閑古鳥だな。 938 01:24:25,870 --> 01:24:28,870 はい…。 (小松原)熱いのをつけてくれ。 939 01:24:28,870 --> 01:24:31,960 はい。 (小松原)ああ それから→ 940 01:24:31,960 --> 01:24:36,960 噂の茶碗蒸しとやら もらおうか。 941 01:24:37,910 --> 01:24:39,910 はい。 942 01:24:41,020 --> 01:24:43,020 お待たせいたしました。 943 01:25:33,970 --> 01:25:35,970 どうしようもねえな。 944 01:25:38,840 --> 01:25:42,880 (小松原)どうしようもなく→ 945 01:25:42,880 --> 01:25:44,880 うめえじゃねえかよ。 946 01:25:44,880 --> 01:25:55,960 ♪♪~ 947 01:25:55,960 --> 01:25:57,960 (小松原)どうした? 948 01:26:00,080 --> 01:26:03,080 せやかて うれしゅうて。 949 01:26:03,980 --> 01:26:07,980 お褒めの言葉をいただいたの 初めてですから。 950 01:26:11,890 --> 01:26:17,900 初登場で関脇を取っちまったんだ。 ねたみ そねみは買って当然。 951 01:26:17,900 --> 01:26:20,870 (小松原)寄ってたかって 引きずり下ろそうとするのが→ 952 01:26:20,870 --> 01:26:22,870 世の常だ。 953 01:26:22,870 --> 01:26:28,940 今は 見えと張りで 登龍楼へ 流れてるかもしれねえが→ 954 01:26:28,940 --> 01:26:32,940 味のわかる客は きっと戻ってくる。 955 01:26:34,980 --> 01:26:36,980 手を抜くな。 956 01:26:37,930 --> 01:26:42,870 お前は お前の味を 突き詰めればよいのだ。 957 01:26:42,870 --> 01:26:53,980 ♪♪~ 958 01:26:53,980 --> 01:26:57,980 大丈夫かい? 大丈夫? ほら こっちだよ こっち。 959 01:26:58,990 --> 01:27:01,990 ああ… 芳さん ほら ここだよ ここ。 960 01:27:06,930 --> 01:27:08,930 ありがとうございました。 961 01:27:27,970 --> 01:27:29,970 (おりょうのせき払い) 962 01:27:32,890 --> 01:27:35,880 芳さん! ああ… はい。 963 01:27:35,880 --> 01:27:40,000 板長さん! 板長さんは どこだす? 964 01:27:40,000 --> 01:27:42,000 板長さんは おりませんのんか? 965 01:27:42,850 --> 01:27:45,820 (板長)何か ご用ですかい? 966 01:27:45,820 --> 01:27:47,850 お前さんが 板長さんだすか? 967 01:27:47,850 --> 01:27:49,890 (板長)ええ。 968 01:27:49,890 --> 01:27:53,780 茶碗蒸しは もともと 上方にある料理だす。 969 01:27:53,780 --> 01:27:56,880 それを こちらで出されるのは かましません。 970 01:27:56,880 --> 01:27:59,820 けんど あの合わせだしを→ 971 01:27:59,820 --> 01:28:02,840 あの子が苦心して作り上げた 合わせだしを→ 972 01:28:02,840 --> 01:28:05,000 盗まれるのだけは 我慢出来まへん。 973 01:28:05,000 --> 01:28:08,000 (板長)なんの事やら 私には…。 今すぐ ここで謝りなはれ! 974 01:28:08,870 --> 01:28:11,840 猿まねの茶碗蒸しなど やめておくれやす! 975 01:28:11,840 --> 01:28:13,880 何を このあま…。 人聞きの悪い事→ 976 01:28:13,880 --> 01:28:15,900 言うんじゃねえや! 977 01:28:15,900 --> 01:28:17,970 うちは 客だす。 978 01:28:17,970 --> 01:28:20,970 天下の登龍楼さんは お客に手を上げはるんでっか? 979 01:28:25,880 --> 01:28:27,830 これは お代です。 980 01:28:27,830 --> 01:28:30,950 二度と猿まねは せんといておくれやす。 981 01:28:30,950 --> 01:28:34,950 さあ 帰ろうか。 (おりょう)ふん。 982 01:28:38,890 --> 01:28:42,840 (はる)えっ! 登龍楼へ? (おりょう)格好よかったよ。 983 01:28:42,840 --> 01:28:45,900 私は すかっとしたね。 芳さんの あの啖呵。 984 01:28:45,900 --> 01:28:49,870 さすが 元料理屋の女将だね。 けど そんな事して…。 985 01:28:49,870 --> 01:28:52,950 (はる)何かあったら どうすんだ。 (きん)本当だよ。 986 01:28:52,950 --> 01:28:56,950 いや 私はね 芳さんの気持ちが よくわかるんだよ。 987 01:28:57,890 --> 01:29:01,860 澪ちゃん あんたは芳さんにとって→ 988 01:29:01,860 --> 01:29:04,960 同居人でもない 奉公人でもないんだよ。 989 01:29:04,960 --> 01:29:06,960 まぎれもない 娘なのさ。 990 01:29:09,050 --> 01:29:12,050 私にとっての 太一みたいなもんだよ。 991 01:29:13,820 --> 01:29:16,840 その大事な娘が 死に物狂いで考えた→ 992 01:29:16,840 --> 01:29:20,930 だしの味を盗まれたんだよ。 かっとなって当然だろ。 993 01:29:20,930 --> 01:29:23,980 ざまあみろ ざまあみろ ざまあみろっつうんだよ! 994 01:29:23,980 --> 01:29:26,980 (おりょうの笑い声) 995 01:29:58,970 --> 01:30:01,970 ただいま。 お帰りなさい。 996 01:30:08,960 --> 01:30:10,960 ご寮さん…。 997 01:30:11,950 --> 01:30:13,970 どないしたん? 998 01:30:13,970 --> 01:30:17,970 登龍楼へ行かはったって ほんまですか? 999 01:30:19,940 --> 01:30:21,940 ああ…。 1000 01:30:22,930 --> 01:30:26,860 ほんで 板場へ…。 1001 01:30:26,860 --> 01:30:29,950 何を泣いてるんや。 1002 01:30:29,950 --> 01:30:35,950 せやかて ご寮さんが うちのために そんな事まで…。 1003 01:30:39,880 --> 01:30:43,900 あんたが あれだけの苦労して 作った だしの味を→ 1004 01:30:43,900 --> 01:30:47,950 いとも簡単に盗み まねしよったんや。 1005 01:30:47,950 --> 01:30:53,950 その事を考えると 我慢出来へんかった。 1006 01:30:54,930 --> 01:30:56,930 ご寮さん…。 1007 01:31:00,860 --> 01:31:05,890 料理は 料理人の器量次第。 1008 01:31:05,890 --> 01:31:09,760 どれだけ人気があろうと 店構えが立派であろうと→ 1009 01:31:09,760 --> 01:31:12,940 そんな事は関係ない。 1010 01:31:12,940 --> 01:31:16,940 料理を作るんは 板場の人間の心や。 1011 01:31:18,950 --> 01:31:24,950 料理人は 腕だけやなく ここを磨かな。 1012 01:31:29,960 --> 01:31:35,960 てえへんだ。 つる家が… あんたの店が燃えちまってる。 1013 01:31:36,830 --> 01:31:48,950 (半鐘の音) 1014 01:31:50,860 --> 01:31:53,950 (伊佐三)どいてくれ! 通してくれ 通してくれ…! 1015 01:31:53,950 --> 01:31:55,950 すんません…。 すんまへん…。 1016 01:31:57,040 --> 01:31:59,040 あっ… ああ…。 1017 01:32:01,860 --> 01:32:03,880 ご寮さん! 1018 01:32:03,880 --> 01:32:07,920 ああ 俺の店が…。 1019 01:32:07,920 --> 01:32:10,770 おつるが 燃えちまう 燃えちまう…。 1020 01:32:10,770 --> 01:32:18,980 (泣き声) 1021 01:32:18,980 --> 01:32:21,980 (伊佐三)旦那! 旦那さん! 1022 01:32:22,860 --> 01:32:25,770 おつる…! 旦那さん! 1023 01:32:25,770 --> 01:32:27,840 おつる…。 1024 01:32:27,840 --> 01:32:29,970 (泣き声) 1025 01:32:29,970 --> 01:32:31,970 おつる…! 1026 01:32:35,860 --> 01:32:40,830 おつるが燃えちまう! おつる…! 1027 01:32:40,830 --> 01:32:43,000 (おりょう)太一 大丈夫だよ ほら…。 1028 01:32:43,000 --> 01:32:47,000 (おりょう)太一 怖くないよ。 ほら 怖くないから…。 1029 01:32:47,860 --> 01:32:49,860 大丈夫だから。 (太一の泣き声) 1030 01:32:49,860 --> 01:32:53,910 ああ よしよし 怖くないよ。 怖くない 怖くない 太一…。 1031 01:32:53,910 --> 01:32:55,950 おつる…。 1032 01:32:55,950 --> 01:32:59,880 (泣き声) 1033 01:32:59,880 --> 01:33:01,840 旦那さん…。 1034 01:33:01,840 --> 01:33:12,880 ♪♪~ 1035 01:33:12,880 --> 01:33:14,870 何を このあま…。 人聞きの悪い事→ 1036 01:33:14,870 --> 01:33:16,870 言うんじゃねえや! 1037 01:33:16,870 --> 01:33:18,900 付け火…。 1038 01:33:18,900 --> 01:33:26,960 ♪♪~ 1039 01:33:26,960 --> 01:33:28,960 すいません…。 1040 01:33:37,890 --> 01:33:41,880 ああ… おつる…。 旦那さん…。 1041 01:33:41,880 --> 01:33:55,970 ♪♪~ 1042 01:33:55,970 --> 01:34:05,970 (泣き声) 1043 01:34:38,930 --> 01:34:44,930 余計な事をしてしもうた。 ご寮さん…。 1044 01:34:45,970 --> 01:34:48,970 これは 登龍楼の仕返しや。 1045 01:34:49,860 --> 01:34:51,880 まさか…。 1046 01:34:51,880 --> 01:35:01,840 ♪♪~ 1047 01:35:01,840 --> 01:35:06,860 もう これ以上 騒いだらあかん。 1048 01:35:06,860 --> 01:35:10,050 これ以上 うちみたいな事したら…。 1049 01:35:10,050 --> 01:35:12,050 澪…。 1050 01:35:13,980 --> 01:35:17,980 堪忍な。 ほんまに 堪忍な。 1051 01:35:18,770 --> 01:35:21,960 ご寮さんのせいなんかや ありません。 1052 01:35:21,960 --> 01:35:23,960 ご寮さんのせいなんかや…。 1053 01:35:25,860 --> 01:35:27,860 付け火たあ 気の毒だが→ 1054 01:35:27,860 --> 01:35:30,880 こっちだって 危うく 巻き添えをくうところだった。 1055 01:35:30,880 --> 01:35:32,970 すいませんでした。 1056 01:35:32,970 --> 01:35:36,970 さっさと片付けてもらわねえと こっちの商売あがったりだよ! 1057 01:35:38,930 --> 01:35:40,930 本当に 付け火の心当たりはないのか? 1058 01:35:43,880 --> 01:35:45,870 ありません。 1059 01:35:45,870 --> 01:35:53,040 ♪♪~ 1060 01:35:53,040 --> 01:35:55,040 太一ちゃん。 1061 01:35:57,860 --> 01:36:00,960 (太一の泣き声) 1062 01:36:00,960 --> 01:36:05,960 (おりょう)悪いね。 その… 思い出しちまったみたいなんだよ。 1063 01:36:06,970 --> 01:36:09,970 昔の 火事の事。 1064 01:36:10,860 --> 01:36:14,780 (おりょう)よしよし ほら 泣かない 泣かない。 ほらほら…。 1065 01:36:14,780 --> 01:36:18,880 旦那さん ちょっとだけでも 食べておくれやす。 1066 01:36:18,880 --> 01:36:51,950 ♪♪~ 1067 01:36:51,950 --> 01:36:53,950 《うちが悪いんや…》 1068 01:36:55,870 --> 01:36:59,960 《うちが茶碗蒸しなんぞ 作らへんかったら→ 1069 01:36:59,960 --> 01:37:01,960 こんな事には…》 1070 01:37:02,890 --> 01:37:07,950 お前は お前の味を 突き詰めればよいのだ。 1071 01:37:07,950 --> 01:37:09,950 《無理です》 1072 01:37:10,930 --> 01:37:15,960 《みんなを幸せにしとうて 作っているはずの料理が→ 1073 01:37:15,960 --> 01:37:18,960 人を 不幸にしてしまうやなんて…》 1074 01:37:25,920 --> 01:37:30,920 天満一兆庵の暖簾を 江戸に…。 1075 01:37:32,990 --> 01:37:35,990 旦那さん… すんまへん。 1076 01:37:37,880 --> 01:37:41,900 天満一兆庵の暖簾を継ぐなんて→ 1077 01:37:41,900 --> 01:37:47,770 最初から… 最初から 無理やったんや。 1078 01:37:47,770 --> 01:37:50,840 (泣き声) 1079 01:37:50,840 --> 01:38:07,960 ♪♪~ 1080 01:38:07,960 --> 01:38:10,960 ?旦那様 お気を付けて。 1081 01:38:11,880 --> 01:38:14,970 (釆女宗馬)何かあったら 日本橋の方へ→ 1082 01:38:14,970 --> 01:38:16,970 使いをよこしなさい。 はい。 1083 01:38:17,970 --> 01:38:21,870 (物乞い)お店も繁盛 めでたやな。 1084 01:38:21,870 --> 01:38:24,880 旦那も吉祥 めでたやな。 1085 01:38:24,880 --> 01:38:27,880 (物乞い)もうじき年越し めでたやな。 1086 01:38:27,880 --> 01:38:29,760 ?おいおい 旦那のお目汚しだ。 1087 01:38:29,760 --> 01:38:31,780 ?よそ行け。 よそへ。 1088 01:38:31,780 --> 01:38:33,970 ?しっしっ! 1089 01:38:33,970 --> 01:38:35,970 よしなさい。 1090 01:38:39,910 --> 01:38:41,910 (釆女)取っておきなさい。 1091 01:38:44,850 --> 01:38:46,880 (物乞い)ありがたや ありがたや。 1092 01:38:46,880 --> 01:38:50,930 あれが 登龍楼の旦那か。 慈悲深い事ですね。 1093 01:38:50,930 --> 01:38:54,930 ?さすが 江戸一番の 大関だけの事はある。 1094 01:38:55,890 --> 01:38:57,860 ああ おつる…。 1095 01:38:57,860 --> 01:39:00,880 これは 登龍楼の仕返しや。 1096 01:39:00,880 --> 01:39:03,930 ?あれが 登龍楼の旦那だ。 立派だねえ。 1097 01:39:03,930 --> 01:39:25,990 ♪♪~ 1098 01:39:25,990 --> 01:39:27,990 又次さん…。 1099 01:39:31,890 --> 01:39:33,890 付け火とは 災難だったな。 1100 01:39:36,980 --> 01:39:40,980 遅くにすまねえが 太夫に 何か作ってもらえないか? 1101 01:39:42,950 --> 01:39:45,950 けど うちは もう…。 1102 01:39:47,040 --> 01:39:51,040 それに 材料かて なんも…。 太夫の頼みなんだ。 1103 01:39:52,880 --> 01:39:55,880 お前さんの料理が食いたいそうだ。 1104 01:39:55,880 --> 01:40:09,930 ♪♪~ 1105 01:40:09,930 --> 01:40:11,930 わかりました。 1106 01:40:13,030 --> 01:40:16,030 太夫に喜んでいただけるなら。 1107 01:40:18,860 --> 01:40:25,930 うちの料理でよかったら 作らせていただきます。 1108 01:40:25,930 --> 01:41:08,980 ♪♪~ 1109 01:41:32,960 --> 01:41:35,960 又次さん これ…。 (又次)十両ある。 1110 01:41:36,950 --> 01:41:38,950 中に 文が添えてあるはずだ。 1111 01:41:54,870 --> 01:42:01,990 ♪♪~ 1112 01:42:01,990 --> 01:42:04,990 うんがいそうてん? 1113 01:42:05,910 --> 01:42:08,910 叱られるんも 罰当たるんも 一緒や。 1114 01:42:10,030 --> 01:42:15,030 野江ちゃん…。 生きてはった。 1115 01:42:17,960 --> 01:42:23,960 又次さん この文を書いたんは あさひ太夫なんですね? 1116 01:42:25,850 --> 01:42:28,970 会わせてください! 太夫に あさひ太夫に! 1117 01:42:28,970 --> 01:42:30,970 (又次)そいつは無理だ。 1118 01:42:31,990 --> 01:42:37,990 廓がどんなところか あんただって 知ってるだろう? 1119 01:42:43,970 --> 01:42:45,970 太夫は言ったよ…。 1120 01:42:48,870 --> 01:42:51,880 (あさひ太夫) これを持っていきんして→ 1121 01:42:51,880 --> 01:42:56,960 もしも あの子が 料理を作る気力も失せていたら→ 1122 01:42:56,960 --> 01:42:59,960 そのまま 持って帰ってきてくんなまし。 1123 01:43:01,770 --> 01:43:04,870 けんど もしも→ 1124 01:43:04,870 --> 01:43:09,990 この弁当に詰める 料理を作ったなら→ 1125 01:43:09,990 --> 01:43:11,990 あの子は きっと立ち直る。 1126 01:43:19,850 --> 01:43:23,860 その時は この十両を 用立ててほしいと→ 1127 01:43:23,860 --> 01:43:25,910 そう伝えてくんなまし。 1128 01:43:25,910 --> 01:43:36,900 ♪♪~ 1129 01:43:36,900 --> 01:43:38,900 来ん来ん。 1130 01:43:42,880 --> 01:43:44,880 おいしい…。 1131 01:43:44,880 --> 01:43:51,850 ♪♪~ 1132 01:43:51,850 --> 01:43:53,850 料理の基本がなってない。 1133 01:43:53,850 --> 01:44:01,780 ♪♪~ 1134 01:44:01,780 --> 01:44:03,880 澪…。 1135 01:44:03,880 --> 01:44:06,780 ああ… おつる…! 1136 01:44:06,780 --> 01:44:15,760 ♪♪~ 1137 01:44:15,760 --> 01:44:18,860 おう! 待て待て…。 1138 01:44:18,860 --> 01:44:21,830 お願いします! 会いたいお人がおるんです! 1139 01:44:21,830 --> 01:44:23,900 お願いします! (門番)駄目だ 駄目だ! 1140 01:44:23,900 --> 01:44:25,970 (門番)何を言ってるんだ おい! 離してください! 1141 01:44:25,970 --> 01:44:27,970 (門番)帰れ! 1142 01:44:32,880 --> 01:44:35,960 いいか。 1143 01:44:35,960 --> 01:44:39,960 ここで あそこの障子 見てろ。 1144 01:44:44,850 --> 01:44:46,970 (又次)ここから 動いちゃいけねえ。 1145 01:44:46,970 --> 01:44:48,970 (又次)あそこの障子だ。 1146 01:44:57,870 --> 01:45:53,970 ♪♪~ 1147 01:45:53,970 --> 01:45:55,970 涙は来ん来ん。 1148 01:45:58,860 --> 01:46:03,900 野江ちゃん…。 生きてはった。 1149 01:46:03,900 --> 01:46:24,870 ♪♪~ 1150 01:46:24,870 --> 01:46:26,860 わかった。 1151 01:46:26,860 --> 01:46:28,890 もう 泣けへん。 1152 01:46:28,890 --> 01:46:40,970 ♪♪~ 1153 01:46:40,970 --> 01:46:43,970 野江ちゃん おおきに。 1154 01:46:45,880 --> 01:46:50,000 ほんまに ありがとう。 1155 01:46:50,000 --> 01:47:02,000 ♪♪~ 1156 01:47:03,880 --> 01:47:06,880 なんだって? 屋台だ? はい。 1157 01:47:06,880 --> 01:47:09,950 (おりょう)でも どうして こんな 暮れも押し迫った時に? 1158 01:47:09,950 --> 01:47:13,950 八ツ小路にあるような 屋台見世を出したいんです。 1159 01:47:14,890 --> 01:47:17,890 伊佐三さん 作っていただけないでしょうか? 1160 01:47:17,890 --> 01:47:20,890 で 一体 何を売ろうっていうのさ? 1161 01:47:20,890 --> 01:47:23,860 粕汁です。 (おりょう)粕? 1162 01:47:23,860 --> 01:47:26,870 大坂にあるような 酒粕汁を作りたいんです。 1163 01:47:26,870 --> 01:47:35,960 ♪♪~ 1164 01:47:35,960 --> 01:47:37,960 粕汁か? 1165 01:47:38,880 --> 01:47:43,970 はい。 これを 屋台見世で売ろうと思います。 1166 01:47:43,970 --> 01:47:48,970 正月元日から始めたいのです。 屋台見世? 1167 01:47:50,960 --> 01:47:56,960 また 誰かに なんか 仕かけられるかもしれません。 1168 01:47:57,860 --> 01:48:01,970 嫌がらせをされて 大事な人たちに→ 1169 01:48:01,970 --> 01:48:05,970 また 嫌な思いを させてしまうかもしれません。 1170 01:48:07,860 --> 01:48:13,000 けど うちに出来る事は→ 1171 01:48:13,000 --> 01:48:15,000 これしかありませんから。 1172 01:48:17,970 --> 01:48:22,970 誰かに喜んでもらえる お料理を作る事しか…。 1173 01:48:24,870 --> 01:48:28,900 それが あの時→ 1174 01:48:28,900 --> 01:48:33,030 八つのあの日→ 1175 01:48:33,030 --> 01:48:39,030 水害から生き残った うちの つとめやと思てます。 1176 01:48:43,980 --> 01:48:49,980 ご寮さんに 命を救っていただいた うちの…。 1177 01:48:52,850 --> 01:48:57,870 澪 頼みがあります。 はい。 1178 01:48:57,870 --> 01:49:03,760 うちにも 元日からの その仕事 手伝わせておくれやす。 1179 01:49:03,760 --> 01:49:24,870 ♪♪~ 1180 01:49:24,870 --> 01:49:27,870 どうぞ 召し上がっていってくださいな。 1181 01:49:27,870 --> 01:49:31,940 酒粕汁で ほっこり 温まっておくれやす。 1182 01:49:31,940 --> 01:49:34,860 (客)酒粕汁? はい。 おいしいですよ。 1183 01:49:34,860 --> 01:49:37,930 さあさあ… とにかくね ひと口飲んでっとくれよ! 1184 01:49:37,930 --> 01:49:39,930 (おりょう)温まるよ! 1185 01:49:40,930 --> 01:49:43,070 (客)俺にも 一つくれや。 はい ただいま。 1186 01:49:43,070 --> 01:49:45,070 (客)私にも。 二十文になります。 1187 01:49:49,860 --> 01:49:52,880 これは うめえや。 確かに 温まる。 1188 01:49:52,880 --> 01:49:54,900 (客)おいしい。 1189 01:49:54,900 --> 01:49:57,950 (源斉)すいません 私にも一つ。 源斉先生。 1190 01:49:57,950 --> 01:50:00,840 明けまして おめでとうございます。 1191 01:50:00,840 --> 01:50:03,860 今年も よろしくお願いします。 こちらこそ。 1192 01:50:03,860 --> 01:50:06,980 さあ 召し上がっておくれやす。 お元気になられた様子→ 1193 01:50:06,980 --> 01:50:08,980 安心しました。 1194 01:50:09,980 --> 01:50:13,880 澪に 迷惑ばかりかけるわけには いきまへんから。 1195 01:50:13,880 --> 01:50:16,870 (おりょう)押さないで はいはい。 澪ちゃん 澪ちゃん お願いね! 1196 01:50:16,870 --> 01:50:19,910 私も 何か手伝います。 おおきに。 1197 01:50:19,910 --> 01:50:22,840 皆さん こちら… こちら 沿道の方に並んでください。 1198 01:50:22,840 --> 01:50:25,780 (客)ああ こりゃ うまいな。 (客)おいしい。 1199 01:50:25,780 --> 01:50:27,980 (客)すごい おいしい。 1200 01:50:27,980 --> 01:50:30,980 (客)おいしい。 ありがとうございます。 1201 01:50:44,900 --> 01:50:59,900 ♪♪~ 1202 01:51:07,970 --> 01:51:09,970 (地回り)うっ! ああ…。 1203 01:51:14,880 --> 01:51:16,880 (小松原)汚えまねは よすんだな。 1204 01:51:16,880 --> 01:51:49,880 ♪♪~ 1205 01:51:49,880 --> 01:51:52,850 これ以上 この店に構うな。 1206 01:51:52,850 --> 01:51:57,030 土圭の間の小野寺が そう言っていたと→ 1207 01:51:57,030 --> 01:51:59,030 采女に伝えろ。 1208 01:51:59,950 --> 01:52:02,950 土圭の間の小野寺…。 1209 01:52:18,970 --> 01:52:22,970 ああ… 気にするな。 酔っ払いの小競り合いだ。 1210 01:52:25,950 --> 01:52:28,950 あの…。 なんだ? 1211 01:52:30,970 --> 01:52:32,970 いえ…。 1212 01:52:39,880 --> 01:52:46,030 まあ それにしても 付け火でしおれてるかと思えば→ 1213 01:52:46,030 --> 01:52:51,030 屋台見世で稼いでやがる。 てえしたもんだな おめえさんも。 1214 01:52:53,890 --> 01:52:59,980 はい。 小松原様に笑われませんよう→ 1215 01:52:59,980 --> 01:53:02,980 何があっても へこたれては いられませんから。 1216 01:53:05,000 --> 01:53:09,000 あの屋台見世で 大もうけするつもりでございます。 1217 01:53:10,860 --> 01:53:17,010 ははは…。 ほう。 言うようになったな お澪坊。 1218 01:53:17,010 --> 01:53:19,010 はい。 言うようになりました。 1219 01:53:24,820 --> 01:53:28,910 道は… 一つきりですから。 1220 01:53:28,910 --> 01:53:43,870 ♪♪~ 1221 01:53:43,870 --> 01:53:47,830 ああ…。 小松原様。 1222 01:53:47,830 --> 01:53:57,890 ♪♪~ 1223 01:53:57,890 --> 01:54:00,870 (客)ごちそうさん。 うまかったよ。 (客)温まったよ。 1224 01:54:00,870 --> 01:54:02,860 ありがとうございます。 (客)ごちそうさま。 1225 01:54:02,860 --> 01:54:05,900 (客)うまかったです。 ありがとうございます。 1226 01:54:05,900 --> 01:54:17,990 ♪♪~ 1227 01:54:17,990 --> 01:54:19,990 澪。 はい。 1228 01:54:24,980 --> 01:54:26,980 旦那さん…。 1229 01:54:31,820 --> 01:54:34,890 旦那さん! 申し訳ありません! 1230 01:54:34,890 --> 01:54:38,910 旦那さんに黙って 勝手に こんな事して…。 けど…。 1231 01:54:38,910 --> 01:55:21,870 ♪♪~ 1232 01:55:21,870 --> 01:55:24,940 こいつは 俺の隠居金だ。 1233 01:55:24,940 --> 01:55:30,940 いや 本当は 死んだおつるの 嫁入り資金だ。 1234 01:55:32,950 --> 01:55:37,950 この銭で もう一度 おつるの家を造ってやりてえ。 1235 01:55:40,970 --> 01:55:43,970 もう一度 店を やっちゃくれないか。 1236 01:55:44,900 --> 01:55:49,950 お澪坊や芳さんが 懸命に 屋台見世に立ってる姿 見てたら→ 1237 01:55:49,950 --> 01:55:51,950 おら… おら…。 1238 01:55:52,940 --> 01:55:54,890 旦那さん…。 1239 01:55:54,890 --> 01:56:00,960 もう一度 いや 何度だって みんなで やり直したいんだよ。 1240 01:56:00,960 --> 01:56:02,960 頼む! 1241 01:56:03,860 --> 01:56:07,990 旦那さん 頭を上げておくれやす。 1242 01:56:07,990 --> 01:56:09,990 旦那さん! 1243 01:56:10,990 --> 01:56:12,990 やらせてください。 1244 01:56:14,990 --> 01:56:16,990 新しいお店。 1245 01:56:19,830 --> 01:56:22,880 今年こそ いい年にしましょう。 1246 01:56:22,880 --> 01:56:28,870 いいえ きっと… いい年にしてみせます! 1247 01:56:28,870 --> 01:56:42,970 ♪♪~ 1248 01:56:42,970 --> 01:56:45,970 はい どうも。 うまいよ。 1249 01:56:47,860 --> 01:56:49,890 (客)おかわり ちょうだい。 はいはい。 1250 01:56:49,890 --> 01:57:16,990 ♪♪~ 1251 01:57:16,990 --> 01:57:20,990 (客)おやじ おかわり! はいはい ただいま。 1252 01:57:22,890 --> 01:57:26,910 本当かい? あきれるね もう 嫌だよ…。 1253 01:57:26,910 --> 01:57:29,970 (伊佐三)おう 行ってくるぞ。 (おりょう)いってらっしゃい。 1254 01:57:29,970 --> 01:57:34,890 お前さん 気を付けてね。 はい いってらっしゃい。 1255 01:57:34,890 --> 01:57:36,910 先生 先日は どうも ありがとうございました。 1256 01:57:36,910 --> 01:57:38,840 (源斉)あれから どうですか? お体は。 1257 01:57:38,840 --> 01:57:40,910 すっかり よくなりました。 (源斉)ああ よかったです。 1258 01:57:40,910 --> 01:57:42,910 また 何かありましたら。 1259 01:57:42,910 --> 01:57:44,850 はい。 ありがとうございます。 1260 01:57:44,850 --> 01:57:59,860 ♪♪~ 1261 01:57:59,860 --> 01:58:02,950 おお 小野寺。 昨夜の本膳→ 1262 01:58:02,950 --> 01:58:05,950 上様も たいそうお喜びで 召し上がられたぞ。 1263 01:58:06,890 --> 01:58:08,890 ありがたく存じます。 1264 01:58:08,890 --> 01:58:19,850 ♪♪~ 1265 01:58:19,850 --> 01:58:21,990 塩みが強いな。 1266 01:58:21,990 --> 01:58:23,990 ははあ。 1267 01:58:24,910 --> 01:58:28,890 それと 色みも欲しい。 はあ。 1268 01:58:28,890 --> 01:58:37,800 ♪♪~ 1269 01:58:37,800 --> 01:58:41,810 まだ これしか返せへんけど…。 1270 01:58:41,810 --> 02:00:07,980 ♪♪~