1 00:01:15,992 --> 00:01:18,953 (ナレーター:東出(ひがしで)昌大(まさひろ)) 駒場(こまば)の東大(とうだい)900番教室には 2 00:01:19,037 --> 00:01:22,415 1000人を超える学生が 1人の男の到着を 3 00:01:22,499 --> 00:01:24,667 今や遅しと待ち構えていた 4 00:01:26,377 --> 00:01:31,424 彼らは反体制 反権力の急進的左翼学生 5 00:01:31,508 --> 00:01:32,967 東大全共闘 6 00:01:35,386 --> 00:01:39,390 敵地に単身やって来たのは 三島(みしま)由紀夫(ゆきお) 7 00:01:39,474 --> 00:01:42,102 日本を代表する若き文豪であり 8 00:01:42,185 --> 00:01:45,772 右翼的天皇主義者として 知られていた男だ 9 00:01:45,855 --> 00:01:48,900 (木村(きむら))だから 何か覚悟している まなざし 10 00:01:48,983 --> 00:01:52,320 (内田)この1000人を 説得しようと思ってんですよね 11 00:01:52,403 --> 00:01:53,738 (瀬戸内(せとうち))天才だと思いましたね 12 00:01:53,822 --> 00:01:55,365 (平野) 非常に鋭いことを言ってますね 13 00:01:55,448 --> 00:01:56,491 (椎根(しいね))スーパースター 14 00:01:56,574 --> 00:01:59,828 (宮澤) 一番 輝いていたときじゃないかな 15 00:01:59,911 --> 00:02:01,079 (三島) とにかく 共産主義というものを 16 00:02:01,162 --> 00:02:02,413 敵にすることを決めたんです 17 00:02:02,497 --> 00:02:04,791 (小阪(こさか))三島にとっての天皇と… 18 00:02:04,874 --> 00:02:08,461 その難しさの中でだね 諸君は戦い 僕だって戦ってるんだ 19 00:02:08,545 --> 00:02:10,713 (芥(あくた))あなたは だから 日本人であるという限界を 20 00:02:10,797 --> 00:02:12,507 超えることはできなくなって しまうということでしょう? 21 00:02:12,590 --> 00:02:13,967 ああ できなくていいんだよ 22 00:02:14,592 --> 00:02:16,302 (ナレーター)左翼と右翼 23 00:02:16,386 --> 00:02:20,348 まるで正反対の思想を 持つ者たちの激論 24 00:02:20,431 --> 00:02:24,144 のちに 伝説の討論と言われる 知の戦いが 25 00:02:24,227 --> 00:02:26,563 ここに始まろうとしていた 26 00:02:27,647 --> 00:02:32,819 これはTBSのみが保管する 50年前の貴重なフィルムと 27 00:02:32,902 --> 00:02:35,780 13人の当事者らの 証言によって 28 00:02:35,864 --> 00:02:39,951 討論を現代に よみがえらせようと するものである 29 00:03:00,096 --> 00:03:01,848 1960年代後半 30 00:03:03,016 --> 00:03:06,352 日本で戦争は まだ身近な存在だった 31 00:03:07,979 --> 00:03:09,814 ベトナム戦争反対 32 00:03:11,149 --> 00:03:12,066 さらには 33 00:03:12,150 --> 00:03:17,947 大学改革を訴える大学生の反乱が 全国に広がっていた 34 00:03:18,031 --> 00:03:22,827 (学生たちの抗議する声) 35 00:03:26,039 --> 00:03:27,290 {\an8}(ナレーター) 各大学には 36 00:03:27,373 --> 00:03:30,084 {\an8}新左翼の セクト主導ではなく 37 00:03:30,168 --> 00:03:32,086 {\an8}自立した闘争を求める— 38 00:03:32,170 --> 00:03:35,715 {\an8}全学共闘会議 全共闘が形成された 39 00:03:36,549 --> 00:03:40,053 その学生らが展開した運動が 全共闘運動である 40 00:03:42,680 --> 00:03:45,850 学生たちは 学費値上げ反対や 41 00:03:45,934 --> 00:03:49,729 大学施設の管理運営権などを 主張しながら先鋭化 42 00:03:50,313 --> 00:03:52,982 大学当局と対立していった 43 00:03:56,694 --> 00:03:58,404 若者たちの反乱は 44 00:03:58,488 --> 00:04:02,450 反戦平和を訴える 街頭闘争としても展開していた 45 00:04:03,576 --> 00:04:08,873 (学生と機動隊のもみ合う声) 46 00:04:12,502 --> 00:04:16,089 (ナレーター)東京は 学生と機動隊による戦争状態だった 47 00:04:36,442 --> 00:04:39,612 {\an8}68年は“政治の季節”と 呼ばれ 48 00:04:40,405 --> 00:04:43,616 日本にも革命が 起こるのではないかという— 49 00:04:43,700 --> 00:04:46,202 期待と不安を人々は抱いていた 50 00:04:56,838 --> 00:05:02,260 そんな状況に危惧の念を持ち 現場を偵察する男がいた 51 00:05:03,636 --> 00:05:06,806 小説家 三島由紀夫だ 52 00:05:09,892 --> 00:05:13,229 1925年に三島は誕生 53 00:05:14,272 --> 00:05:18,860 学習院(がくしゅういん)中等科在学中に 「花ざかりの森」を書き 54 00:05:18,943 --> 00:05:22,071 早熟の天才ぶりを 発揮した三島は 55 00:05:22,155 --> 00:05:26,909 太平洋戦争の最中に 東大法学部に入学 56 00:05:27,535 --> 00:05:31,497 小説執筆を続けながら 戦争を生き延びた 57 00:05:34,125 --> 00:05:36,252 日本は敗戦を迎え 58 00:05:36,336 --> 00:05:40,298 天皇は人間宣言をして 象徴となった 59 00:05:43,468 --> 00:05:48,514 三島は大蔵省に勤務したのち 作家活動に専念 60 00:05:51,893 --> 00:05:56,230 自伝的要素を強く押し出した 「仮面の告白」 61 00:05:57,940 --> 00:06:03,946 青年僧の屈折した内面を描く 「金閣寺」などの名作を次々発表 62 00:06:05,740 --> 00:06:08,493 25年間の執筆活動期間に 63 00:06:08,576 --> 00:06:12,955 全集42巻におよぶ 大量の作品を書いた 64 00:06:13,539 --> 00:06:17,960 その多くは翻訳され 国際的な知名度も非常に高かった 65 00:06:18,961 --> 00:06:21,422 やはり芸術のためですから これは 66 00:06:21,506 --> 00:06:22,757 (笑い声) 67 00:06:26,469 --> 00:06:29,680 (ナレーター) 行動する作家 三島の活動は 68 00:06:29,764 --> 00:06:32,141 文学作品にとどまらなかった 69 00:06:33,518 --> 00:06:37,396 肉体を鍛え上げ 鋼の体を手に入れ 70 00:06:37,480 --> 00:06:41,567 その見事な体躯(たいく)を誇示して 写真集のモデルとなり 71 00:06:42,151 --> 00:06:45,822 歌舞伎や戯曲を書き その演出をし… 72 00:06:47,448 --> 00:06:51,452 もっと意味深に いやらしく もっと うんと ねちっこく 73 00:06:52,620 --> 00:06:55,540 (ナレーター) ヤクザ映画には自ら主演した 74 00:06:57,208 --> 00:06:59,544 ボクシングや空手 75 00:07:00,878 --> 00:07:05,466 稽古を重ねた剣道は四段を取得 76 00:07:07,969 --> 00:07:09,971 文武両道を実践した 77 00:07:12,140 --> 00:07:16,686 さらには 自衛隊に 幾度となく体験入隊を繰り返し 78 00:07:18,104 --> 00:07:22,316 戦闘機による 超音速飛行体験まで行った 79 00:07:25,736 --> 00:07:31,492 三島は60年代に入ると 政治的発言を積極的に行い始め 80 00:07:32,201 --> 00:07:37,039 同時に政治色の強い作品を 次々発表する 81 00:07:41,669 --> 00:07:44,338 1968年10月 82 00:07:44,422 --> 00:07:46,674 三島は ある組織を立ち上げる 83 00:07:48,009 --> 00:07:51,429 {\an8}その名は“楯(たて)の会” 84 00:07:53,181 --> 00:07:56,517 {\an8}右翼 民族派の 大学生らからなる 85 00:07:56,601 --> 00:07:58,561 {\an8}私的民兵組織だ 86 00:08:02,064 --> 00:08:05,359 楯の会は 左翼学生らが唱えた— 87 00:08:05,443 --> 00:08:09,739 共産主義革命に対抗し 反革命を標ぼう 88 00:08:11,699 --> 00:08:14,494 三島は隊員たちを引き連れ 89 00:08:14,577 --> 00:08:17,747 さらなる 自衛隊体験入隊を繰り返し 90 00:08:17,830 --> 00:08:19,916 来たるべき戦いに備えた 91 00:08:19,999 --> 00:08:22,835 銃を取って立ち上がれるだけの 訓練を経た人間が 92 00:08:22,919 --> 00:08:26,339 青年の中に 1人でも多くならなきゃいかん 93 00:08:26,422 --> 00:08:29,383 (ナレーター) それは自身の集大成となる 94 00:08:29,467 --> 00:08:32,845 「豊饒(ほうじょう)の海」4部作に着手し 95 00:08:32,929 --> 00:08:34,347 川端(かわばた)康成(やすなり)と 96 00:08:34,430 --> 00:08:38,684 日本で最初のノーベル文学賞を 争ったころだった 97 00:08:42,897 --> 00:08:45,608 1969年 春 98 00:08:46,192 --> 00:08:49,779 三島由紀夫は 1本の電話を受け取った 99 00:08:50,947 --> 00:08:54,825 相手は東大全共闘だった 100 00:08:58,329 --> 00:09:02,333 {\an8}前年に誕生した 東大全学共闘会議は 101 00:09:02,416 --> 00:09:04,961 {\an8}大学の 根本的変革を求めて 102 00:09:05,044 --> 00:09:07,672 {\an8}過激な 学園闘争を戦っていた 103 00:09:10,049 --> 00:09:13,636 {\an8}69年1月18日 104 00:09:13,719 --> 00:09:17,348 {\an8}安田(やすだ)講堂を占拠した 全共闘に対して 105 00:09:17,431 --> 00:09:19,558 機動隊が出動 106 00:09:21,686 --> 00:09:25,147 全共闘はガレキと火炎瓶で これを迎え撃ったが 107 00:09:25,940 --> 00:09:28,943 催涙弾と放水攻撃の前に敗北 108 00:09:35,741 --> 00:09:38,619 安田講堂は陥落した 109 00:09:40,746 --> 00:09:45,084 旧体制変革のためには 暴力も辞さない東大全共闘が 110 00:09:46,669 --> 00:09:50,965 保守反動 三島由紀夫を 討論に招きたいという 111 00:09:51,048 --> 00:09:53,718 一体 目的は何なのか 112 00:10:01,267 --> 00:10:06,897 真っ向から主張の異なる二者が 壇上で直接対決するという 113 00:10:06,981 --> 00:10:09,734 危険でスリリングな提案だった 114 00:10:11,986 --> 00:10:13,654 三島が呼ばれたのは 115 00:10:13,738 --> 00:10:17,283 安田講堂のある 本郷(ほんごう)の東大ではなく 116 00:10:18,159 --> 00:10:24,081 駒場にある東大教養学部の 大講堂900番教室だった 117 00:10:26,334 --> 00:10:28,711 入り口には“近代ゴリラ”と 118 00:10:28,794 --> 00:10:32,048 三島をやゆするポスターが 張り出され 119 00:10:32,798 --> 00:10:36,177 “飼育料100円”と うたわれていた 120 00:10:37,511 --> 00:10:42,558 “三島を論破して立往生させ 舞台上で切腹させる”と 121 00:10:42,642 --> 00:10:46,437 全共闘がいきまいているという 物騒な声も聞こえてきていた 122 00:10:49,649 --> 00:10:54,654 三島も東大全共闘も 見守る学生たちも 123 00:10:54,737 --> 00:10:59,367 討論が始まる前から 異様な緊張に包まれていた 124 00:11:03,663 --> 00:11:05,206 午後2時5分 125 00:11:05,998 --> 00:11:07,375 討論の幕が開いた 126 00:11:16,425 --> 00:11:20,346 三島は1000人の敵対する 観衆を前に 127 00:11:20,429 --> 00:11:24,767 決意表明ともいえる 10分間のスピーチを行った 128 00:11:25,893 --> 00:11:29,772 その言葉は 挑発と驚きに満ちていた 129 00:11:31,982 --> 00:11:36,487 私を壇上に立たせるのは反動的だ という意見があったそうで 130 00:11:36,570 --> 00:11:40,533 えー まあ 反動が反動的なのは 131 00:11:40,616 --> 00:11:41,909 不思議は ございませんので 132 00:11:41,992 --> 00:11:44,286 立たして いただきましたが 133 00:11:44,370 --> 00:11:47,957 えー 私は 134 00:11:48,040 --> 00:11:51,794 “男子 門をいずれば七人の敵あり” というんで 135 00:11:51,877 --> 00:11:56,632 今日は7人じゃきかないようで 大変 気概を持って参りました 136 00:11:56,716 --> 00:11:59,301 {\an8}えー あの日の午前中 137 00:11:59,385 --> 00:12:02,346 {\an8}諸君の いわゆる体制側の人と 138 00:12:02,430 --> 00:12:03,305 {\an8}ちょっと 会っておりました 139 00:12:03,389 --> 00:12:04,682 {\an8}それほど 偉い人じゃないんですが 140 00:12:04,765 --> 00:12:06,559 {\an8}優秀なる体制側の 141 00:12:08,936 --> 00:12:12,606 {\an8}(ナレーター) 1969年4月28日 142 00:12:13,315 --> 00:12:15,985 {\an8}沖縄反戦デー闘争では 143 00:12:16,068 --> 00:12:20,489 {\an8}東京をはじめ日本全国で 大規模なデモが行われた 144 00:12:21,907 --> 00:12:26,537 {\an8}学生ら約1000人が 逮捕される事態となった 145 00:12:29,457 --> 00:12:31,125 えー この人が言うには 146 00:12:31,208 --> 00:12:32,751 “どうも困ったもんです” 147 00:12:32,835 --> 00:12:35,588 “あんなキチガイみたいな連中が 騒いでいる” 148 00:12:35,671 --> 00:12:38,090 えー まあ “こういうものはホントに” 149 00:12:38,174 --> 00:12:41,051 “バカバカしいことでございますね” と言うんで 150 00:12:41,135 --> 00:12:43,220 私は ちょっと嫌な気がしたんで 151 00:12:43,304 --> 00:12:46,640 これは諸君に 阿諛(あゆ)するわけではない 152 00:12:46,724 --> 00:12:49,435 えー キチガイが騒いで困ると 言うんならば 153 00:12:49,518 --> 00:12:51,520 キチガイ病院 入れればいいんで 154 00:12:51,604 --> 00:12:55,357 えー キチガイというのを相手にして 155 00:12:55,441 --> 00:12:58,778 政府が騒ぐなんて そっちのほうが みっともないじゃないか 156 00:12:59,653 --> 00:13:05,409 えー 大体 キチガイというものは 大事に看護して 薬を与えて 157 00:13:05,493 --> 00:13:08,496 このごろ精神病の薬も 発達しておりますから 158 00:13:08,579 --> 00:13:11,332 えー 大事におりに入れて 看護すべきもので 159 00:13:11,415 --> 00:13:13,209 キチガイをケガをさせたり 160 00:13:13,292 --> 00:13:15,461 キチガイを 殺したりするというのは 161 00:13:15,544 --> 00:13:20,132 これは もう非常に非人道的で けしからんと私は思います 162 00:13:20,216 --> 00:13:22,051 私は やはり えー… 163 00:13:22,134 --> 00:13:25,054 諸君をキチガイとは 思いませんので 164 00:13:25,137 --> 00:13:28,516 えー やはり こうして出てまいりましても 165 00:13:28,599 --> 00:13:31,852 えー とにかく言葉というものが 166 00:13:31,936 --> 00:13:34,271 {\an8}まだ ここで 何ほどかの有効性が 167 00:13:34,355 --> 00:13:37,024 {\an8}あるかもしれない ないかもしれない 168 00:13:37,107 --> 00:13:39,151 {\an8}まあ 試しに 来てみようぐらいな 169 00:13:39,235 --> 00:13:40,820 {\an8}気持ちは持っております 170 00:13:47,910 --> 00:13:49,328 {\an8}冒頭でね 言葉っていうのが 171 00:13:49,411 --> 00:13:51,372 {\an8}今でも通じるのかどうか っていうことを 172 00:13:51,455 --> 00:13:52,998 {\an8}その有効性を 確かめたいってことは 173 00:13:53,082 --> 00:13:54,291 {\an8}言ってましたけど 174 00:13:54,375 --> 00:13:55,835 {\an8}全く違う立場の中でね 175 00:13:55,918 --> 00:13:57,878 {\an8}果たして その言葉ってのが 176 00:13:57,962 --> 00:14:02,091 つまり それが彼のさっきの 本質的な問題なんですけど 177 00:14:02,174 --> 00:14:05,386 アクチュアルな機能を果たすのか どうかってことが 178 00:14:05,469 --> 00:14:07,596 やっぱり 彼にとって 問題だったんですよね 179 00:14:07,680 --> 00:14:10,015 自分の言葉が 現実に触れるのかどうか 180 00:14:10,099 --> 00:14:12,851 そういう意味では 全く反対の立場にいる人たちに 181 00:14:12,935 --> 00:14:16,522 自分の言葉が通じるのかどうか っていうことに 182 00:14:16,605 --> 00:14:18,941 やっぱり強い関心を持っていたし 183 00:14:20,776 --> 00:14:22,069 えー 184 00:14:22,152 --> 00:14:26,365 そのとき私は 政府当局者の顔を見ていて 185 00:14:26,448 --> 00:14:27,783 ふと思ったのですが 186 00:14:27,866 --> 00:14:31,036 {\an8}4月28日の午前中に 彼らの目の中には 187 00:14:31,120 --> 00:14:33,414 {\an8}何ら不安が ありませんでした 188 00:14:33,497 --> 00:14:36,667 {\an8}これは私も非常に 敬服したんですが 189 00:14:36,750 --> 00:14:40,254 {\an8}えー もし 私が全学連だったら 190 00:14:40,337 --> 00:14:42,339 {\an8}どう感じるだろうか 191 00:14:42,423 --> 00:14:44,884 {\an8}私は モーリヤックの書いた 192 00:14:44,967 --> 00:14:46,218 {\an8}「テレーズ・デケイルゥ」 という小説を 193 00:14:46,302 --> 00:14:47,886 {\an8}よく思い出すんです 194 00:14:47,970 --> 00:14:49,471 {\an8}あん中に えー 195 00:14:49,555 --> 00:14:52,349 {\an8}亭主を毒飲まして 殺そうとする 196 00:14:52,433 --> 00:14:55,102 {\an8}テレーズっていう 女の話が出てまいります 197 00:14:55,185 --> 00:14:58,647 {\an8}これは 何だって 亭主を毒殺しようとしたか 198 00:14:58,731 --> 00:15:02,651 {\an8}愛してなかったのか これもハッキリ言えない 199 00:15:02,735 --> 00:15:05,863 えー 憎んでいたのか これもハッキリ言えない 200 00:15:05,946 --> 00:15:07,448 ハッキリ言えないけれども 201 00:15:07,531 --> 00:15:10,034 どうしても 亭主に毒を盛りたかった 202 00:15:10,117 --> 00:15:14,705 そして その心理をモーリヤックが いろいろ追究してるんですが 203 00:15:14,788 --> 00:15:16,707 えー 最後にテレーズは 204 00:15:16,790 --> 00:15:18,834 “亭主の目の中に 不安を見たかったからだ” 205 00:15:18,918 --> 00:15:21,921 と言うんであります えー 諸君も 206 00:15:22,004 --> 00:15:25,924 とにかく 日本の権力構造 体制の目の中に 207 00:15:26,008 --> 00:15:27,801 不安を見たいに違いない 208 00:15:28,469 --> 00:15:32,556 私も実は見たい 別の方向から見たいんだ 209 00:15:32,640 --> 00:15:35,893 私は安心してる人間が嫌いなんで 210 00:15:35,976 --> 00:15:38,896 えー 実は こんな所で私が無事に 211 00:15:38,979 --> 00:15:41,565 こんなことしてられるという 状況があんまり好きじゃない 212 00:15:42,524 --> 00:15:44,610 えー 側聞しますところによりますと 213 00:15:44,693 --> 00:15:47,821 {\an8}これは何か100円以上の カンパを出して 214 00:15:47,905 --> 00:15:50,491 {\an8}集まってるそうですが 私は図らずも 215 00:15:50,574 --> 00:15:53,744 {\an8}諸君のカンパの この資金集めに 216 00:15:53,827 --> 00:15:54,870 {\an8}協力してることに なってしまう 217 00:15:54,953 --> 00:15:56,789 (観衆の笑い声) 218 00:15:56,872 --> 00:15:59,833 私はこういうような政治的状況が 好きじゃない 219 00:15:59,917 --> 00:16:01,961 できれば そのカンパの半分を もらってって 220 00:16:02,044 --> 00:16:04,672 私の楯の会に突っ込みたい 221 00:16:02,044 --> 00:16:04,672 {\an8}(観衆の笑い声) 222 00:16:04,755 --> 00:16:07,508 私は つい最近も 223 00:16:07,591 --> 00:16:11,929 ある自民党の政治家から 頼まれて 224 00:16:12,012 --> 00:16:15,766 “暴力反対決議というのをやるから 署名をしてくれ”というような 225 00:16:15,849 --> 00:16:18,227 (観衆の笑い声) 226 00:16:18,310 --> 00:16:21,313 “私は生まれてから一度も 暴力に反対したことがないから” 227 00:16:21,397 --> 00:16:23,315 “署名はできません”と返事をした 228 00:16:21,397 --> 00:16:23,315 {\an8}(観衆の笑い声) 229 00:16:23,399 --> 00:16:25,609 私は右だろうが左だろうが 230 00:16:25,693 --> 00:16:28,112 暴力に反対したことなんか 一度もない 231 00:16:28,654 --> 00:16:33,242 これは 私が暴力というものの 効果というものが 232 00:16:33,325 --> 00:16:36,912 現在 非常にアイロニカルな構造を 持ってるから 233 00:16:36,995 --> 00:16:39,456 {\an8}えー ただ無限定 234 00:16:39,540 --> 00:16:42,835 {\an8}あるいは無前提に 暴力否定という考えは 235 00:16:42,918 --> 00:16:45,713 {\an8}まあ たまたま 共産党の戦略に 236 00:16:45,796 --> 00:16:47,423 {\an8}乗るだけだと 考えているんで 237 00:16:47,506 --> 00:16:49,049 {\an8}好かないんです 238 00:16:49,133 --> 00:16:51,719 私は東大問題を全般を見まして 239 00:16:51,802 --> 00:16:55,764 えー 自民党と共産党が 非常に接点になる時点を見まして 240 00:16:55,848 --> 00:16:59,309 これなるかな 実に恐ろしい世の中だと思った 241 00:17:00,436 --> 00:17:04,106 私は あのとき 東大問題全体を見て 242 00:17:04,189 --> 00:17:06,817 暴力というものに対して 恐怖を感じたとか 243 00:17:06,900 --> 00:17:09,319 暴力はいかんということは 言ったつもりもないし 244 00:17:09,403 --> 00:17:12,322 私の書いたものを全部 読んでいただきゃ分かるんです 245 00:17:12,406 --> 00:17:14,074 どこにも書いてない 246 00:17:14,158 --> 00:17:16,618 私が一番恐ろしいと思ったのは 247 00:17:16,702 --> 00:17:18,996 {\an8}えー 秩父宮(ちちぶのみや)ラグビー場の 248 00:17:19,079 --> 00:17:22,750 {\an8}ああいう集会のあった あとあたりで 249 00:17:22,833 --> 00:17:26,045 {\an8}えー 入試復活という 動きが非常に見えてきた 250 00:17:27,504 --> 00:17:31,383 {\an8}(ナレーター)1969年 1月10日に開催された 251 00:17:31,467 --> 00:17:37,306 {\an8}東大七学部学生集会で 加藤(かとう)一郎(いちろう)総長代行は 252 00:17:37,389 --> 00:17:40,726 {\an8}共産党系学生や ノンポリ学生らと交渉し 253 00:17:42,144 --> 00:17:45,564 {\an8}東大の全学スト収拾を 目指した 254 00:17:49,735 --> 00:17:51,779 そのときに 自民党も共産党も 255 00:17:51,862 --> 00:17:54,531 入試復活の線で 折り合いそうになった 256 00:17:54,615 --> 00:17:58,410 そして大体 学生の厭戦(えんせん)思想につけ込んで 257 00:17:58,494 --> 00:18:01,205 えー とにかく ここらで 手を打とうじゃないかという 258 00:18:01,288 --> 00:18:03,373 気分が濃厚になった 259 00:18:03,457 --> 00:18:06,210 この気分は 日本全国に瀰漫(びまん)している 260 00:18:06,293 --> 00:18:08,212 イデオロギーなんか どうでもいいじゃないか 261 00:18:08,295 --> 00:18:10,380 筋や論理は どうでもいいじゃないか 262 00:18:10,464 --> 00:18:12,424 とにかく秩序が大切である 263 00:18:12,508 --> 00:18:16,595 我々の生きている この社会の ただ当面の秩序が大切である 264 00:18:16,678 --> 00:18:18,514 そのために警察があるんだ 265 00:18:18,597 --> 00:18:21,141 警察は その当面の秩序を 維持すればいいんだし 266 00:18:21,225 --> 00:18:23,852 その当面の秩序が 維持されさえすれば 267 00:18:23,936 --> 00:18:26,980 自民党と共産党も あるとき 手を握ったっていいんだと 268 00:18:27,564 --> 00:18:30,526 私は 今そこの入り口で 269 00:18:30,609 --> 00:18:33,070 {\an8}近代ゴリラとかという絵が 描いてあったが 270 00:18:33,153 --> 00:18:35,447 {\an8}そういう点じゃ プリミティブな人間だから 271 00:18:35,531 --> 00:18:38,200 筋が立たない所で 272 00:18:35,531 --> 00:18:38,200 {\an8}(観衆の笑い声) 273 00:18:38,283 --> 00:18:40,494 そういうことをやられると 気持ちが悪い 274 00:18:40,577 --> 00:18:43,705 私は 自民党はもっと 反動的であってほしいし 275 00:18:43,789 --> 00:18:46,041 共産党はもっと 暴力的であってほしいのに 276 00:18:46,125 --> 00:18:47,960 どっちもモタモタしてる 277 00:18:49,253 --> 00:18:52,798 この点が私がイライラしてる 一番の原因です 278 00:18:52,881 --> 00:18:56,218 私は えー 全学連の諸君の中で 279 00:18:56,301 --> 00:18:58,929 どの派と戦おうとか どの派 相手にしよう 280 00:18:59,012 --> 00:19:00,973 なんていうことは まだ分からないんで 281 00:19:01,056 --> 00:19:04,393 私は大きなこと方々に書いたり 言ったりしておりますが 282 00:19:04,476 --> 00:19:07,437 えー 人間やるときには やらなきゃならんと思ってます 283 00:19:07,521 --> 00:19:13,777 私は この大体に合法的に えー 人間を殺すということが 284 00:19:13,861 --> 00:19:15,362 あんまり好きじゃないんです 285 00:19:15,445 --> 00:19:17,698 {\an8}私は死刑廃止論者で 286 00:19:17,781 --> 00:19:19,700 {\an8}必ずしも ありませんけれども 287 00:19:19,783 --> 00:19:23,162 {\an8}合法的に人間を殺す という立場に立って 288 00:19:23,245 --> 00:19:25,330 {\an8}自分がやりたいとは 思ってない 289 00:19:25,414 --> 00:19:29,001 私は諸君から見りゃ 体制側の 人間かもしれないけれども 290 00:19:29,084 --> 00:19:32,838 合法的に暴徒を鎮圧し 暴徒に対して射撃するのは 291 00:19:32,921 --> 00:19:36,633 自衛隊の任務である 私は自衛隊の一員じゃありません 292 00:19:36,717 --> 00:19:39,094 自衛隊には大変お世話になって 尊敬してるけれども 293 00:19:39,178 --> 00:19:40,929 (観衆の笑い声) 294 00:19:41,013 --> 00:19:45,309 私は1人の民間人であります 私が行動を起こすときは 295 00:19:45,392 --> 00:19:48,520 結局 諸君とおんなじ 非合法でやるほかないんだ 296 00:19:48,604 --> 00:19:50,063 {\an8}非合法で 297 00:19:50,147 --> 00:19:52,357 {\an8}決闘の思想において 人をやれば 298 00:19:52,441 --> 00:19:53,984 {\an8}それは殺人犯だから 299 00:19:54,067 --> 00:19:55,652 {\an8}そうなったら自分も 300 00:19:55,736 --> 00:19:57,446 {\an8}お巡(まわ)りさんに 捕まらないうちに 301 00:19:57,529 --> 00:20:00,449 {\an8}自決でも何でもして 死にたいと思うんです 302 00:20:00,532 --> 00:20:03,619 しかし そういう時機が いつ来るかは分からないから 303 00:20:03,702 --> 00:20:07,706 そういう時機に合わして 身体を鍛錬して 304 00:20:07,789 --> 00:20:10,417 近代ゴリラとして 立派なゴリラになりたい 305 00:20:10,500 --> 00:20:11,752 (観衆の笑い声) 306 00:20:11,835 --> 00:20:13,337 そういう気持ちでいるわけです 307 00:20:15,756 --> 00:20:20,010 (ナレーター)当時 三島は 非合法の暴力を肯定していた 308 00:20:20,802 --> 00:20:25,223 前年行われた一橋(ひとつばし)大学での 討論集会においても 309 00:20:26,224 --> 00:20:29,811 一対一の決闘の思想を もってすれば 310 00:20:29,895 --> 00:20:33,482 {\an8}政敵の暗殺もいとわない という発言をして 311 00:20:33,565 --> 00:20:35,943 {\an8}物議をかもしていた 312 00:20:38,612 --> 00:20:42,282 それで 今日たまたま 私がここへ出てくる前に 313 00:20:42,366 --> 00:20:43,992 ちょっと お話がありましたが 314 00:20:44,076 --> 00:20:46,828 {\an8}“お前とは接点がある” というお話があった 315 00:20:46,912 --> 00:20:49,957 {\an8}どんなふうな接点が あるのかと言いますと 316 00:20:50,040 --> 00:20:52,751 {\an8}“お前も 暴力というものについて” 317 00:20:52,834 --> 00:20:54,962 {\an8}“えー つまり 全学連の諸氏が” 318 00:20:55,045 --> 00:20:59,174 {\an8}“えー 思想を通じ この思想を通じて” 319 00:20:59,258 --> 00:21:02,511 “肉体 肉体から さらに暴力というものを” 320 00:21:02,594 --> 00:21:04,429 “論理的につなげている”と 321 00:21:04,513 --> 00:21:07,391 “そのことについては お前も認めるだろう”と 322 00:21:07,474 --> 00:21:11,103 “そのとおりだ”と申しました その接点において 323 00:21:11,186 --> 00:21:15,774 “お前とは どこか話が合うとこが あるかもしれんじゃないか” 324 00:21:15,857 --> 00:21:17,859 というんで 私はここへ来てるらしい 325 00:21:17,943 --> 00:21:22,114 そして えー その政治的思想においては 326 00:21:22,197 --> 00:21:26,743 私と諸君とは 正反対だということになってる 327 00:21:26,827 --> 00:21:29,746 えー まさに正反対でありましょうが 328 00:21:29,830 --> 00:21:34,376 ただ私は今まで どうしても 日本の知識人というものが 329 00:21:34,459 --> 00:21:36,837 {\an8}えー 思想というものに 力があって 330 00:21:36,920 --> 00:21:38,797 {\an8}知識というものに 力があって 331 00:21:38,880 --> 00:21:40,799 {\an8}えー それだけで 332 00:21:40,882 --> 00:21:43,301 {\an8}人間の上に 君臨してるという形が 333 00:21:43,385 --> 00:21:45,512 {\an8}嫌いで嫌いで たまらなかった 334 00:21:46,138 --> 00:21:48,724 で これは具体的に例を挙げれば 335 00:21:48,807 --> 00:21:51,268 いろんな 立派な先生方がいるんで 336 00:21:51,351 --> 00:21:55,314 そういう先生方の顔を見るのが 私は嫌でたまらなかった 337 00:21:55,397 --> 00:21:59,317 これは 自分に知識や思想が ないせいかもしれないが 338 00:21:59,401 --> 00:22:03,113 とにかく 東大という学校全体に 339 00:22:03,196 --> 00:22:06,575 そういう 私はいつも においを嗅ぎつけていたから 340 00:22:06,658 --> 00:22:11,663 えー 全学連の諸君のやったことの 全部は肯定しないけれども 341 00:22:11,747 --> 00:22:16,251 ある日本の大正教養主義から来た 知識人のうぬぼれというものの 342 00:22:16,335 --> 00:22:19,921 鼻をたたき割ったという功績は 絶対に認めます 343 00:22:20,005 --> 00:22:21,923 (観衆の笑い声と拍手) 344 00:22:22,007 --> 00:22:27,763 そして えー 私は そういうものの 反知性主義というものが 345 00:22:27,846 --> 00:22:31,349 実際 知性の極致から 来るものであるか 346 00:22:31,433 --> 00:22:33,643 あるいは 反知性主義というものは 347 00:22:33,727 --> 00:22:36,480 一番低い知性から 来るものであるか 348 00:22:37,189 --> 00:22:38,732 このへんが まだよく分からない 349 00:22:38,815 --> 00:22:42,527 (観衆の笑い声) 350 00:22:42,611 --> 00:22:44,696 もし丸山(まるやま)眞男(まさお)先生が 351 00:22:44,780 --> 00:22:48,116 自ら肌脱ぎになって 反知性主義を唱えれば 352 00:22:48,200 --> 00:22:51,078 これは 世間を 納得させるんでしょうけれども 353 00:22:51,161 --> 00:22:53,580 丸山先生は いつまでたっても 知性主義の立場に 354 00:22:53,663 --> 00:22:55,499 立ってらっしゃるんで 殴られちゃった 355 00:22:56,583 --> 00:22:58,043 {\an8}(ナレーター) 丸山眞男は 356 00:22:58,126 --> 00:23:00,337 {\an8}戦後 民主主義思想の 展開に 357 00:23:00,420 --> 00:23:02,381 {\an8}指導的役割を 果たした 358 00:23:02,464 --> 00:23:05,550 {\an8}政治学者 思想史家である 359 00:23:05,634 --> 00:23:07,302 {\an8}全共闘から 360 00:23:07,385 --> 00:23:09,638 {\an8}東大教授という立場に 寄りかかった 361 00:23:09,721 --> 00:23:12,974 {\an8}権威主義者であるとして 批判されていた 362 00:23:15,102 --> 00:23:17,479 そして えー 反知性主義というものは 363 00:23:17,562 --> 00:23:20,899 一体 人間の精神の どういうところから出てきて 364 00:23:20,982 --> 00:23:23,360 どういう人間が 反知性主義というものの 365 00:23:23,443 --> 00:23:25,946 本当の資格者であるのか 366 00:23:26,029 --> 00:23:29,950 これが 私には久しい間 疑問でありました 367 00:23:35,163 --> 00:23:36,998 {\an8}あの こん中で 三島由紀夫は 368 00:23:37,082 --> 00:23:38,667 {\an8}反知性主義っていう言葉を 使ってて 369 00:23:38,750 --> 00:23:41,336 {\an8}自分は反知性主義者である って言ってるわけですよね 370 00:23:41,420 --> 00:23:43,547 {\an8}その大正教養主義以来の 知性主義 371 00:23:43,630 --> 00:23:44,881 {\an8}それで 全共闘の運動ってのは 372 00:23:44,965 --> 00:23:47,384 知性主義を壊したところ そこを 評価するっていうところから 373 00:23:47,467 --> 00:23:49,386 話 始まるわけですからね 374 00:23:52,973 --> 00:23:57,018 (ナレーター)討論のマイクは 全共闘側へと渡された 375 00:23:58,812 --> 00:24:02,274 (木村)残念ながら 僕らのほうの提起するところの 376 00:24:02,357 --> 00:24:03,650 暴力というものは 377 00:24:03,733 --> 00:24:06,403 単にそうした 感覚的な原点だけに 378 00:24:06,486 --> 00:24:09,322 頼ってるんではない ということなんです 379 00:24:09,406 --> 00:24:13,160 つまり それは確かに さっき 戦後知識人の問題として 380 00:24:13,243 --> 00:24:14,995 さっき三島先生が その 三島さんが… 381 00:24:15,078 --> 00:24:17,747 あの… ここで先生という言葉を まあ 思わず使っちゃったのは 382 00:24:17,831 --> 00:24:18,915 若干問題あるわけですけども 383 00:24:18,999 --> 00:24:19,833 (観衆の笑い声) 384 00:24:19,916 --> 00:24:23,253 しかしながら! 学校の教師よりは少なくとも… 385 00:24:23,336 --> 00:24:25,922 しかしながら 少なくとも この東大に 386 00:24:26,006 --> 00:24:28,133 現実に そこら辺にウロウロしてる 東大の教師よりは 387 00:24:28,216 --> 00:24:31,595 三島さんのほうが 僕は先生と呼ぶに値するだろうと 388 00:24:32,137 --> 00:24:34,764 まあ それで僕は使ったと いうことを評価していただきたい 389 00:24:34,848 --> 00:24:37,017 (観衆の笑い声) 390 00:24:37,100 --> 00:24:39,394 で まあ そういうものに対する 三島さんの批判というのは 391 00:24:39,478 --> 00:24:43,315 実に当たってると思います しかしながら まだこれだけでは… 392 00:24:43,398 --> 00:24:45,817 (ナレーター) この討論会の主催者であり 393 00:24:45,901 --> 00:24:48,987 当日の司会を務めたのが この青年 394 00:24:49,070 --> 00:24:53,033 東京大学教養学部 木村 修(おさむ)である 395 00:24:55,202 --> 00:24:58,330 これは 僕がうっかり“先生”と 言っちゃったぐらいなもんで 396 00:24:58,413 --> 00:25:01,583 非常に語り口が丁寧ですよね 397 00:25:02,125 --> 00:25:08,381 で 乱暴な言い方は 全然 三島さんはされてない 398 00:25:08,465 --> 00:25:12,802 いや それでまあ それが ちょっと驚きの理由でしたね 399 00:25:15,222 --> 00:25:16,848 (ナレーター) 安田講堂の陥落で 400 00:25:16,932 --> 00:25:20,018 大きな打撃を受けていた 東大全共闘は 401 00:25:20,101 --> 00:25:23,521 次の一手をどう打つかが 問われていた 402 00:25:25,857 --> 00:25:30,362 駒場の東大教養学部を拠点にする 木村たちは 403 00:25:30,445 --> 00:25:33,114 {\an8}東大焚祭(ふんさい)委員会を 結成し 404 00:25:33,949 --> 00:25:38,203 {\an8}900番教室での 大討論会を開くことにした 405 00:25:39,287 --> 00:25:43,917 そして 三島由紀夫に 白羽の矢を立てたのだった 406 00:25:46,419 --> 00:25:50,548 だから 安田講堂の 攻防戦があったあと 407 00:25:51,132 --> 00:25:56,304 だから 火を消しちゃいけないみたいな 408 00:25:56,930 --> 00:26:00,850 全共闘の組織を潰したり 409 00:26:00,934 --> 00:26:05,605 運動をゼロに還元したら いけないっていうのがあって 410 00:26:05,689 --> 00:26:10,151 これから まだ何をするべきか みたいな話の中で 411 00:26:10,235 --> 00:26:13,947 まあ 焚祭委員会を… 焚祭って名付けたのは小阪ですね 412 00:26:17,617 --> 00:26:19,661 {\an8}政治闘争は 敗れたけれども 413 00:26:19,744 --> 00:26:20,912 {\an8}文化闘争で 414 00:26:20,996 --> 00:26:22,706 {\an8}もう一旗揚げよう っていうふうに 415 00:26:22,789 --> 00:26:25,709 {\an8}何か面白いことやろうって 思われたと思う 416 00:26:25,792 --> 00:26:26,876 {\an8}焚祭 これはまあ 417 00:26:26,960 --> 00:26:28,253 {\an8}宗教的意味が あるんだろうけども 418 00:26:28,336 --> 00:26:30,422 {\an8}要するに お祭りってことだと思う 419 00:26:31,464 --> 00:26:35,218 古くさい知性を 全部燃やしちゃえ みたいな気分というのは 420 00:26:35,302 --> 00:26:37,679 あったように思いますね 421 00:26:38,972 --> 00:26:41,182 まあ そういう流れの中で 422 00:26:41,266 --> 00:26:44,978 まあ 三島さんを呼んだ ということでしょうか 423 00:26:45,061 --> 00:26:48,690 お昼に電話したんです で 奥さま出られて 424 00:26:48,773 --> 00:26:51,026 “三島は昼間は寝てます”と 425 00:26:51,109 --> 00:26:57,115 “夜起きて執筆をやりますから 夜 電話をしてください” 426 00:26:57,198 --> 00:27:00,869 ということで 夜の… だから 何時ごろかな 427 00:27:00,952 --> 00:27:03,288 夜中の1時ぐらいに 428 00:27:03,830 --> 00:27:06,124 これなら まあいいだろう っていうんで 429 00:27:06,207 --> 00:27:09,169 電話をしたら本人が出られて 430 00:27:10,045 --> 00:27:13,131 {\an8}「文化防衛論」 読んでたからね 431 00:27:13,214 --> 00:27:15,383 {\an8}日本を論じることを 432 00:27:15,467 --> 00:27:17,260 {\an8}やってみないかと いうのを 433 00:27:17,344 --> 00:27:19,804 {\an8}三島さんに 申し込んだわけ 434 00:27:22,807 --> 00:27:25,560 いや 最初は だから 全共闘なんていうのは 435 00:27:25,644 --> 00:27:29,439 ろくでもない連中だぐらいにしか 思ってなかったから 436 00:27:29,522 --> 00:27:32,317 ホントに… 言葉どおりでしょ 437 00:27:32,400 --> 00:27:36,196 単身一人 決闘の精神で やって来たというのは 438 00:27:38,531 --> 00:27:40,367 三島さんに お聞きしたいのは 439 00:27:40,450 --> 00:27:42,702 人間にとって他人というものは どういうものであるのか 440 00:27:42,786 --> 00:27:45,288 そのときにですね その まあ さっき 441 00:27:45,372 --> 00:27:46,831 近代ゴリラと まあ 自分は言ってるわけです 442 00:27:46,915 --> 00:27:49,376 しかしながら 僕らにとってゴリラと いうのは やっぱり怖いわけですよ 443 00:27:49,459 --> 00:27:51,336 体はでっかいし 毛むくじゃらだし 444 00:27:51,419 --> 00:27:54,339 まあ ここで三島さんをやじってる わけじゃありませんけれどもね 445 00:27:54,422 --> 00:27:57,634 一つの まあ暴力の表現として 自己は不安感に落とされる 446 00:27:58,176 --> 00:28:02,639 で だから そのような存在を ただ志向することだけがですね 447 00:28:02,722 --> 00:28:05,850 果たして まあ 僕らの側からすれば 448 00:28:05,934 --> 00:28:07,852 政治的に有効であるか それとも また 449 00:28:07,936 --> 00:28:10,438 社会的に有効であるかと いうことになるわけですけれども 450 00:28:10,522 --> 00:28:12,857 その 三島先生が… 三島さんが 451 00:28:12,941 --> 00:28:14,109 そうした問題提起を 抱えてるのは 452 00:28:14,192 --> 00:28:16,361 {\an8}他人の問題をどう 考えていらっしゃるのか 453 00:28:16,444 --> 00:28:17,404 {\an8}例えば その 454 00:28:17,487 --> 00:28:19,572 {\an8}相手を殺すということは 非常に簡単です 455 00:28:19,656 --> 00:28:21,825 {\an8}しかしながら自己が 殺されるっていう状態も 456 00:28:21,908 --> 00:28:23,451 {\an8}やっぱり 考えてみなければならない 457 00:28:23,535 --> 00:28:26,704 そうした場合において 自己は暴力にかける 458 00:28:26,788 --> 00:28:29,499 最終極限形態においても 暴力にかけるといった場合 459 00:28:29,582 --> 00:28:30,834 他人というのは どこに置かれるのか 460 00:28:30,917 --> 00:28:32,877 それを三島さんに お聞きしたいと思います 461 00:28:35,338 --> 00:28:37,715 えー 私の大嫌いなサルトルが 462 00:28:37,799 --> 00:28:40,343 {\an8}「存在と無」の中で 言っておりますけれども 463 00:28:40,427 --> 00:28:41,302 {\an8}えー 464 00:28:41,386 --> 00:28:44,055 {\an8}一番わいせつなものは 何かといってですな 465 00:28:44,139 --> 00:28:46,057 {\an8}一番わいせつなもの っていうのは 466 00:28:46,141 --> 00:28:48,685 {\an8}縛られた女の体だと 言ってるんです 467 00:28:48,768 --> 00:28:51,563 {\an8}これはサルトルが あの 「存在と無」の中で 468 00:28:51,646 --> 00:28:54,357 {\an8}えー まあ 自と他の関係を 469 00:28:54,441 --> 00:28:57,360 {\an8}非常に 分析しておりますけれども 470 00:28:57,444 --> 00:28:59,195 えー エロティシズムは 471 00:28:59,279 --> 00:29:01,865 他者に対してしか 発動しないですね 472 00:29:01,948 --> 00:29:03,324 今 暴力の話が出ましたが 473 00:29:03,408 --> 00:29:06,744 暴力とエロティシズムってのは 深いとこで非常に関係があるんで 474 00:29:06,828 --> 00:29:10,540 他者に対してしか発現しないのが 本来のエロティシズムの姿です 475 00:29:10,623 --> 00:29:12,375 {\an8}ところが その他者というものは 476 00:29:12,459 --> 00:29:14,252 {\an8}意思を持った 主体であると 477 00:29:14,335 --> 00:29:15,295 {\an8}これは エロティシズムにとっちゃ 478 00:29:15,378 --> 00:29:17,213 {\an8}非常に 邪魔者になるんです 479 00:29:17,297 --> 00:29:19,132 {\an8}ですから とにかく 480 00:29:19,215 --> 00:29:21,050 {\an8}意思を持った主体を 愛するという形では 481 00:29:21,134 --> 00:29:22,510 {\an8}男女平等というのは 482 00:29:22,594 --> 00:29:24,804 {\an8}一つの この矛盾でありまして 483 00:29:24,888 --> 00:29:26,681 お互いの意思によって 愛するというのは 484 00:29:26,765 --> 00:29:29,684 ホントは愛の エロティシズムの形じゃない 485 00:29:29,768 --> 00:29:35,690 相手が意思を封鎖されてる 相手が主体的な動作を起こせない 486 00:29:35,773 --> 00:29:37,776 そういう状況が 一番わいせつで 487 00:29:37,859 --> 00:29:40,403 一番エロティシズムに 訴えるんであります 488 00:29:40,487 --> 00:29:44,073 で これが人間というものが 人間に対して持ってる関係の 489 00:29:44,157 --> 00:29:46,451 私は根源的なもんじゃないか と思います 490 00:29:46,534 --> 00:29:50,121 例えば佐藤(さとう)首相が縛られた状態で 491 00:29:50,205 --> 00:29:51,372 {\an8}ここにいるとすると 492 00:29:51,456 --> 00:29:53,082 {\an8}別に まあ エロティック じゃないけれども 493 00:29:53,166 --> 00:29:54,042 {\an8}(観衆の笑い声) 494 00:29:54,125 --> 00:29:55,585 {\an8}(三島)あのー 495 00:29:55,668 --> 00:29:58,296 {\an8}少なくとも それに暴力を 行使するということは 496 00:29:58,379 --> 00:30:01,841 面白くないというのは 諸君の中に 持ってる状況だろうと思う 497 00:30:01,925 --> 00:30:03,760 佐藤内閣というものが 諸君に対して 498 00:30:03,843 --> 00:30:06,054 攻撃的であると諸君は理解する 499 00:30:06,137 --> 00:30:09,891 そして その攻撃意思を 相手の主体的意思と既に認める 500 00:30:09,974 --> 00:30:13,811 この認めるところに 諸君が他者というものを 501 00:30:13,895 --> 00:30:16,523 非エロティック的に そして 502 00:30:16,606 --> 00:30:19,275 主体的に把握してるという 関係が 503 00:30:19,359 --> 00:30:22,946 生じるんじゃないかと思います しかし それはですね 504 00:30:23,029 --> 00:30:29,786 人間関係の根本的な自と他の 対立というものではないんだと 505 00:30:29,869 --> 00:30:31,412 私は理解するんです 506 00:30:31,496 --> 00:30:35,291 というのは 他者というものは 我々にとっては 507 00:30:35,375 --> 00:30:39,212 本来 どうにでも 変形されうるような 508 00:30:39,295 --> 00:30:41,798 このオブジェであるべきだと 509 00:30:41,881 --> 00:30:45,343 これが自っていうものにとっての 他者がそうあるべき状態 510 00:30:45,426 --> 00:30:48,096 あるいは そういう状態であるべき 他者というものを 511 00:30:48,179 --> 00:30:49,847 我々は欲求してるんです 512 00:30:49,931 --> 00:30:52,517 しかるに 相手が思うようにならんと 513 00:30:52,600 --> 00:30:56,604 そこに 我々と他者との関係が 難しくなってくる 514 00:30:56,688 --> 00:30:58,731 非エロティック的に なってくるんです 515 00:30:58,815 --> 00:31:01,067 そして 非エロティック的に なってくると 516 00:31:01,150 --> 00:31:05,405 ホントは暴力というものが 発生するのは ホントはおかしいんだ 517 00:31:05,488 --> 00:31:08,533 これは暴力という形じゃなくて 諸君が言うように 518 00:31:08,616 --> 00:31:11,619 {\an8}まあ 闘争という美しい 言葉がありますけれども 519 00:31:11,703 --> 00:31:16,332 {\an8}えー 暴力じゃなくて これは 既に対決の論理 520 00:31:16,416 --> 00:31:19,877 決闘の論理に立っているんだと 思われる 521 00:31:19,961 --> 00:31:22,547 えー それで私は 学生暴力というものを 522 00:31:22,630 --> 00:31:26,050 ただ暴力と考えないのは そのためなんであります 523 00:31:26,134 --> 00:31:30,430 また 向こう側から 警察権力から諸君を見た場合も 524 00:31:30,513 --> 00:31:34,183 えー 諸君というものが ただ何らの主体の意思のない 525 00:31:34,267 --> 00:31:35,894 さっきのキチガイだと思えば 526 00:31:35,977 --> 00:31:38,062 これに対して 暴力をふるう余地はない 527 00:31:38,146 --> 00:31:39,814 そう言いながらも やっぱり暴力ふるうときは 528 00:31:39,897 --> 00:31:42,525 諸君の中に 主体を認めてるからであります 529 00:31:42,609 --> 00:31:46,237 で こういうような状況をつくる 530 00:31:46,321 --> 00:31:49,782 こういう状況は 一つの自と他の関係を 531 00:31:49,866 --> 00:31:54,662 えー 無理やりに相手に対して 主体を認めようとする 532 00:31:54,746 --> 00:31:57,957 相手を物体視しないという 関係をつくる 533 00:31:58,041 --> 00:32:01,920 これは 私は関係に入っていく 自と他が関係に入っていく 534 00:32:02,003 --> 00:32:05,131 ただ唯一の方法じゃないかと 思うんです 535 00:32:05,214 --> 00:32:07,634 というのは エロティシズムというものは 536 00:32:07,717 --> 00:32:09,594 ある意味で関係じゃないんだ 537 00:32:09,677 --> 00:32:14,349 これは まったくのサルトルの言う いわゆる わいせつ感でありまして 538 00:32:14,432 --> 00:32:17,185 えー オブジェから触発される 性欲であります 539 00:32:17,268 --> 00:32:20,313 ところが 自と他が 関係に入ってくってことは 540 00:32:20,396 --> 00:32:22,440 そこに既に対立があり 戦いがあるということを 541 00:32:22,523 --> 00:32:25,735 もう すなわち 意味するんだと考えるんです 542 00:32:25,818 --> 00:32:29,155 それで えー 今の他者との 関わり合いということですが 543 00:32:29,238 --> 00:32:32,659 私も他者というものを どうしても欲しくなったんです 544 00:32:32,742 --> 00:32:35,787 私は小説家として エロティックにのみ 545 00:32:35,870 --> 00:32:38,873 世界と関わろうと 非常に願っていたんです 546 00:32:38,957 --> 00:32:40,875 そして 私の初期の小説は 547 00:32:40,959 --> 00:32:44,128 エロティックにのみ 社会に関わっていて 548 00:32:44,212 --> 00:32:46,923 えー 大江(おおえ)健三郎(けんざぶろう)と よく似てたと思うんですが 549 00:32:47,006 --> 00:32:50,927 えー そのうちに だんだんに そういうものが嫌になって 550 00:32:51,010 --> 00:32:55,348 どうしても 一つの関係に 入りたくなってったんです 551 00:32:55,431 --> 00:32:57,725 それが 当然 対立を生むことになって 552 00:32:57,809 --> 00:33:00,061 対立が他者というものの 553 00:33:00,144 --> 00:33:02,605 イリュージョンを つくっていかざるをえない 554 00:33:02,689 --> 00:33:04,774 それで 私は えー 555 00:33:04,857 --> 00:33:07,986 とにかく共産主義というものを 敵にすることを決めたんです 556 00:33:09,404 --> 00:33:12,907 ですから これから先も もう どうしようもないので 557 00:33:12,990 --> 00:33:15,702 あくまでも 共産主義を敵として戦うと 558 00:33:15,785 --> 00:33:19,789 で これは主体性ある他者 というふうに考えてるわけです 559 00:33:22,291 --> 00:33:25,795 (ナレーター)実はこのとき 三島への襲撃を恐れた 560 00:33:25,878 --> 00:33:28,214 楯の会の中心メンバーが 561 00:33:28,297 --> 00:33:32,218 護衛のため 900番教室に潜伏していた 562 00:33:36,013 --> 00:33:41,394 {\an8}(原)全共闘の 支配する場所に 563 00:33:41,477 --> 00:33:43,563 {\an8}先生が 行かれるということで 564 00:33:43,646 --> 00:33:47,066 {\an8}まあ 先生の身に 何かあってはね 565 00:33:47,150 --> 00:33:51,154 {\an8}あの 大変だなという 気持ちはあったと思います 566 00:33:51,237 --> 00:33:58,327 ある種 治外法権みたいなね こともありましたから 567 00:33:59,287 --> 00:34:02,832 (ナレーター) 反共産主義 反革命を掲げる— 568 00:34:02,915 --> 00:34:06,294 楯の会を構成する 右翼学生たちは 569 00:34:06,377 --> 00:34:10,214 左翼運動に 大いなる反感を抱いていた 570 00:34:12,508 --> 00:34:14,552 (篠原)コミュニズムも 進歩して 571 00:34:14,635 --> 00:34:17,096 共産主義社会を つくろうというのが 572 00:34:17,180 --> 00:34:22,727 あの 左翼全学連の まあ 目的っていうか… 573 00:34:23,770 --> 00:34:24,854 ですよね 574 00:34:25,563 --> 00:34:27,899 まあ だから 当然 私らとしてはね 575 00:34:27,982 --> 00:34:30,401 もう 敵以外 何物でもないし 576 00:34:32,862 --> 00:34:38,785 左翼の連中が騒いでいくのに ついていけないというか 577 00:34:38,868 --> 00:34:44,832 違和感を感じていた連中が 何人かいたわけです 578 00:34:45,541 --> 00:34:52,673 {\an8}当時 学校も 封鎖されてましたからね 579 00:34:52,757 --> 00:34:58,262 {\an8}あの 全共闘の人間が 門の所でゲートを作って 580 00:34:58,346 --> 00:35:01,891 {\an8}中に入るのをね あの 身分証見せて 581 00:35:01,974 --> 00:35:05,019 {\an8}えー… 582 00:35:05,103 --> 00:35:06,604 {\an8}それで ようやく中に入れると 583 00:35:06,687 --> 00:35:08,481 {\an8}で 中はもう 584 00:35:08,564 --> 00:35:11,776 {\an8}全共闘関係の立て看 だらけなんですけども 585 00:35:11,859 --> 00:35:12,944 (監督)共産主義革命が 586 00:35:13,027 --> 00:35:14,570 ホントに 起こるかもしれないっていう 587 00:35:14,654 --> 00:35:15,780 恐怖心は あったんでしょうか? 588 00:35:15,863 --> 00:35:17,907 それはありましたね それはありました 589 00:35:17,990 --> 00:35:19,784 あるいは 大学行ってたらね 590 00:35:19,867 --> 00:35:23,204 ホントに明日にでも 混乱が起こるんじゃないかって 591 00:35:23,287 --> 00:35:28,751 うん 大学入るたび 門くぐるたびに そう思いますよ 592 00:35:28,835 --> 00:35:31,295 当時 ホントに 内乱の危機っていうものが… 593 00:35:31,379 --> 00:35:35,967 えー 今から思うと 冗談話みたいだけど 594 00:35:36,050 --> 00:35:38,052 ホントにあったんですよ 595 00:35:39,428 --> 00:35:40,555 (ナレーター)楯の会は 596 00:35:40,638 --> 00:35:43,224 “おもちゃの軍隊”と やゆされることもあったが 597 00:35:44,267 --> 00:35:46,435 その目的は 警察が 598 00:35:46,519 --> 00:35:49,230 新左翼の暴動を 抑えきれなくなったときに 599 00:35:49,313 --> 00:35:50,982 出動することであり 600 00:35:51,607 --> 00:35:56,028 自衛隊での体験訓練は かなり本格的なものだった 601 00:35:59,407 --> 00:36:01,826 完全な軍事訓練ですよね 602 00:36:03,077 --> 00:36:07,373 だから あの まあ 603 00:36:07,456 --> 00:36:11,544 普通の体験入隊じゃ 絶対ありえないこと 604 00:36:11,627 --> 00:36:13,212 だらけだったでしょう 605 00:36:13,921 --> 00:36:18,009 もう時効だからと 思いますけれども 606 00:36:18,092 --> 00:36:23,389 あの 実弾による射撃訓練ですね 607 00:36:25,433 --> 00:36:28,311 たぶん これは 当時は本当は 608 00:36:28,394 --> 00:36:32,815 許されてなかったんじゃないかな と思うんですけれども 609 00:36:34,192 --> 00:36:38,237 実際に左翼の連中と ゲバ棒とやったって 610 00:36:38,321 --> 00:36:40,823 こっちが もし日本刀抜けば 611 00:36:40,907 --> 00:36:45,453 それまでだろみたいな感じで いたわけでしょ 612 00:36:48,372 --> 00:36:52,668 (ナレーター)一方 全共闘は 別の暴力を恐れていた 613 00:36:53,336 --> 00:36:56,589 僕らは僕らで 殴り込みがあったら 614 00:36:56,672 --> 00:36:59,467 ガードをしなきゃならんよ ということで 615 00:36:59,550 --> 00:37:02,011 壇上の周りに ちょっと集めてたんですよ 616 00:37:03,137 --> 00:37:05,097 顔の知った連中をね 617 00:37:05,181 --> 00:37:10,019 {\an8}頭の片隅では 日共 民青が頭にあって 618 00:37:10,102 --> 00:37:12,480 {\an8}彼らがゲバルトでもって 潰しに来るっていう 619 00:37:12,563 --> 00:37:15,608 {\an8}可能性を感じてたから 620 00:37:18,319 --> 00:37:21,989 {\an8}(ナレーター)“民青” 日本民主青年同盟は 621 00:37:22,073 --> 00:37:24,742 {\an8}共産党の青年組織である 622 00:37:25,368 --> 00:37:29,372 {\an8}大学当局と同盟する民青と 全共闘は 623 00:37:29,455 --> 00:37:31,749 {\an8}激しく対立していた 624 00:37:32,917 --> 00:37:37,171 当時の駒場キャンパスは 民青によって占拠されていた 625 00:37:39,173 --> 00:37:44,095 (木村)一種の こう戒厳令みたいな 雰囲気になっちゃうんですね 626 00:37:44,178 --> 00:37:48,891 ただ 彼らも 手が足らないから 627 00:37:48,975 --> 00:37:52,645 その 900番教室のほうは 628 00:37:52,728 --> 00:37:56,357 まあ ちょっと自由に歩けた みたいなことはあります 629 00:37:58,943 --> 00:38:01,445 (ナレーター) つまり 900番教室は 630 00:38:01,529 --> 00:38:05,866 奇跡的に成立した 中立地帯だったのだ 631 00:38:17,795 --> 00:38:22,258 次の全共闘の学生が 新しい議題を提示した 632 00:38:23,884 --> 00:38:25,720 (学生) ここで一つの問題提起としてのみ 633 00:38:25,803 --> 00:38:27,263 僕は それ以上展開できないから 634 00:38:27,346 --> 00:38:29,223 {\an8}自然対人間の 関係というものを ここで 635 00:38:29,306 --> 00:38:30,349 {\an8}この議論の中に 636 00:38:30,433 --> 00:38:31,892 {\an8}持ち込んだほうが いいと思う 637 00:38:31,976 --> 00:38:32,935 {\an8}というのは えーっと… 638 00:38:33,019 --> 00:38:35,938 {\an8}三島氏の言われる 自然というのは 639 00:38:36,022 --> 00:38:37,189 {\an8}一体何かっていうと 640 00:38:37,273 --> 00:38:38,733 何か僕の聞いたかぎりでは 641 00:38:38,816 --> 00:38:42,069 人間の肉体というか その人間の肉体を 642 00:38:42,153 --> 00:38:45,239 機能させる意思というか そこまでしか見ていないと 643 00:38:45,322 --> 00:38:47,366 そういうもんじゃなくて 僕は 実際にこう 644 00:38:47,450 --> 00:38:48,951 非人間的な自然というものが 645 00:38:49,035 --> 00:38:50,619 僕たちの目の前に 存在してるはずだと 646 00:38:50,703 --> 00:38:53,039 都会に住んでるかぎり そんなのは 見えないかもしれないけども 647 00:38:53,122 --> 00:38:55,583 それが 実際に都会の中にも 存在してるはずだと 648 00:38:55,666 --> 00:38:57,043 で 最終的にものを言うのは 649 00:38:57,126 --> 00:38:59,253 そういった 非人間的な自然であると 650 00:38:59,336 --> 00:39:02,423 その非人間的な自然を 僕たちが どこまで機能させうるか 651 00:39:02,506 --> 00:39:05,217 そこに僕たちの力がかかってると 652 00:39:05,301 --> 00:39:07,344 力がどこまで発揮されるか というのが かかってると思う 653 00:39:07,428 --> 00:39:09,472 ちょっと失礼しますね 654 00:39:09,555 --> 00:39:12,016 えー 今のお話では “自然”という言葉が 655 00:39:12,099 --> 00:39:14,685 いくつか多義的に使われている 感じがするんです 656 00:39:14,769 --> 00:39:17,980 1つは 和歌山県だの長野県にある 自然です 657 00:39:18,064 --> 00:39:22,026 1つは 東京にある丸(まる)ビルとか 霞(かすみ)が関(せき)ビルっていう自然です 658 00:39:22,109 --> 00:39:26,030 また あるいは 機動隊のこん棒という自然です 659 00:39:26,113 --> 00:39:26,947 {\an8}それから あるいは 660 00:39:27,031 --> 00:39:29,825 {\an8}生産行為の場としての 自然です 661 00:39:29,909 --> 00:39:31,786 {\an8}ところが 今は 662 00:39:31,869 --> 00:39:33,788 {\an8}物を通して 生産行為の場に 663 00:39:33,871 --> 00:39:36,248 {\an8}到達しなければならない ということになりますと 664 00:39:36,332 --> 00:39:37,541 {\an8}機動隊のこん棒を通して 665 00:39:37,625 --> 00:39:39,335 {\an8}生産行為の場に 到達することも 666 00:39:39,418 --> 00:39:41,003 可能なように思われる 667 00:39:41,087 --> 00:39:43,672 そうすると 機動隊は 農家出身でありますから 668 00:39:43,756 --> 00:39:47,593 機動隊のこん棒に殴られれば あの物の感覚を通して 669 00:39:47,676 --> 00:39:49,553 彼らの中にあるところの 670 00:39:49,637 --> 00:39:52,098 えー 日本の 農村共同体的な精神から 671 00:39:52,181 --> 00:39:54,016 自然に到達することが できるんじゃありませんか 672 00:39:54,100 --> 00:39:57,603 (観衆の笑い声) 673 00:39:57,686 --> 00:39:58,771 (三島)あー 誰が分からん? 674 00:39:58,854 --> 00:39:59,688 だから 675 00:39:59,772 --> 00:40:01,899 ああ? 誰が分からんというのは 676 00:40:01,982 --> 00:40:06,403 君のは日本語でね 主格が省略されて 677 00:40:06,487 --> 00:40:09,573 “いい日本語”なんだけども 誰が分からんっつってんの? 678 00:40:09,657 --> 00:40:13,077 君が分からん? 俺が分からん? (芥)だから あなたが使った 679 00:40:13,160 --> 00:40:15,538 使い方としては分かるけれどもね (三島)ああ ああ… 680 00:40:15,621 --> 00:40:18,999 そう使うことによって 何ら物事は ハッキリせんだろうという 681 00:40:19,083 --> 00:40:19,917 {\an8}あなたが 682 00:40:20,000 --> 00:40:21,293 {\an8}デマゴコスになってしまう 点においてですね 683 00:40:21,377 --> 00:40:22,753 {\an8}(三島)あー なるほどなるほど 684 00:40:22,837 --> 00:40:24,171 {\an8}うん うん 685 00:40:24,255 --> 00:40:25,548 {\an8}それじゃあ この問題どうしますか 686 00:40:25,631 --> 00:40:26,715 もっと展開しますか? それとも… 687 00:40:26,799 --> 00:40:29,844 (ナレーター)娘を連れて 壇上に上がった この男は 688 00:40:29,927 --> 00:40:35,307 東大全共闘 随一の論客 と言われた芥 正彦(まさひこ)である 689 00:40:37,852 --> 00:40:39,270 例えば この机というものは 690 00:40:39,270 --> 00:40:40,104 例えば この机というものは 691 00:40:39,270 --> 00:40:40,104 {\an8}(机をたたく音) 692 00:40:40,104 --> 00:40:40,980 例えば この机というものは 693 00:40:41,063 --> 00:40:43,065 これは つまらん 何か汚いデスクだが 694 00:40:43,149 --> 00:40:46,360 これは東大の中で 一定の先生が 695 00:40:46,443 --> 00:40:48,612 一定の講義をやるために ここに置いてあるんです 696 00:40:48,696 --> 00:40:51,782 ところが諸君は これの用途を 変更することができる 697 00:40:51,866 --> 00:40:53,242 バリケードにしてしまう 698 00:40:53,325 --> 00:40:55,536 この机は 夢にも思わなかったことですが 699 00:40:55,619 --> 00:40:57,121 バリケードにされてしまう 700 00:40:57,204 --> 00:40:59,790 そうすると 机の用途の変更ですが 701 00:40:59,874 --> 00:41:03,878 これは机の生産の もともとの 用途 目的とは関係がない 702 00:41:03,961 --> 00:41:06,172 それは 戦闘目的に使われるんですね 703 00:41:06,255 --> 00:41:10,176 そして 物が 生産関係から切り離されて 704 00:41:10,259 --> 00:41:13,762 戦闘目的のために使われて そういうものによって 705 00:41:13,846 --> 00:41:16,474 諸君は初めて物に目覚めるという 時代に生きてる 706 00:41:16,557 --> 00:41:19,101 それはなぜか 諸君自体の存在も 707 00:41:19,185 --> 00:41:21,729 生産関係から切り離されてるから じゃないですか 708 00:41:22,313 --> 00:41:25,399 そして それによって 諸君は生産関係の根本に 709 00:41:25,483 --> 00:41:28,694 労働対象としての自然に到達 しようとするんじゃないですか 710 00:41:28,777 --> 00:41:31,780 その動きが諸君がやってる 暴力の本源的衝動じゃないですか 711 00:41:31,864 --> 00:41:33,991 俺は それっていう場合 712 00:41:34,074 --> 00:41:36,619 関係づけられてない事物って おかないと 713 00:41:36,702 --> 00:41:37,536 {\an8}(三島)はあ (芥)やっぱり 714 00:41:37,620 --> 00:41:39,538 {\an8}曖昧になってきちゃうん じゃないですか? 715 00:41:39,622 --> 00:41:41,165 {\an8}(三島)何が? (芥)だから 716 00:41:41,248 --> 00:41:44,084 {\an8}大学という 1つの生活形態の中で 717 00:41:44,168 --> 00:41:45,669 {\an8}机は机であるけれど 718 00:41:45,753 --> 00:41:48,005 大学が壊れたら 机でも何でもないわけで 719 00:41:48,088 --> 00:41:50,966 (三島)ああ 物だね そうですね (芥)それは1つの事物ですよね 720 00:41:51,050 --> 00:41:54,136 それらの事物に対して 我々が一方的に関係づけた場合 721 00:41:54,220 --> 00:41:56,722 身の回りの全てが 武器にもなりうるし 722 00:41:56,805 --> 00:41:58,349 それは 何にでもなりうるわけです (三島)なりうるわけですね 723 00:41:58,432 --> 00:42:00,434 むしろ そこの関係の逆転に 724 00:42:00,518 --> 00:42:03,103 革命が恐らくあるんだろうと (三島)ああ ああ… 725 00:42:03,187 --> 00:42:05,272 そのとき 初めて空間が生まれる ってことですよね 726 00:42:05,356 --> 00:42:08,025 (三島)うんうん (芥)物書きの場合 その場合 727 00:42:08,108 --> 00:42:12,112 文字と机が同じ重さをもって 作品 作らないと 728 00:42:12,196 --> 00:42:13,030 {\an8}一向に 729 00:42:13,113 --> 00:42:14,365 {\an8}レシになったりロマンに なったりしてしまうんで 730 00:42:14,448 --> 00:42:15,324 {\an8}(三島)そういうことだ そういうことだ うん 731 00:42:15,407 --> 00:42:16,825 三島さんは 敗退してしまった— 732 00:42:16,909 --> 00:42:17,826 ということに なるんですけれど 733 00:42:17,910 --> 00:42:19,370 (三島) ああ まだ敗退してないぞ 734 00:42:19,453 --> 00:42:20,538 (一同の笑い声) 735 00:42:20,621 --> 00:42:22,957 (芥)まあ 僕にはそう思えますけれど (三島)ああ ああ 736 00:42:23,040 --> 00:42:24,333 (平野)三島はですね 737 00:42:24,416 --> 00:42:26,585 {\an8}認識か行動か っていう対立 738 00:42:26,669 --> 00:42:29,421 {\an8}二元対立に 非常にこだわったんですね 739 00:42:30,089 --> 00:42:32,049 第二次大戦末期に 740 00:42:32,132 --> 00:42:34,885 青年時代を過ごした 彼にとっては 741 00:42:34,969 --> 00:42:38,889 認識が先だって言ってる人たちは 結局うだうだ言って 742 00:42:38,973 --> 00:42:42,893 生き残ったじゃないかっていう 感覚があるんですよね 743 00:42:42,977 --> 00:42:45,354 {\an8}ところが やっぱり彼の中では 744 00:42:45,437 --> 00:42:48,857 {\an8}行動が先であるべき じゃないかっていう 745 00:42:48,941 --> 00:42:52,403 {\an8}あの そうして認識はね ずるずるずるずる こう 746 00:42:52,486 --> 00:42:54,280 {\an8}いつまでも 認識を語ってるままでね 747 00:42:54,363 --> 00:42:56,949 {\an8}結局 現実に触れないん じゃないかっていう 748 00:42:57,032 --> 00:42:59,034 {\an8}だからこそ自分は 生き残ったんじゃないか 749 00:42:59,118 --> 00:43:01,370 {\an8}っていう思いが ずっとあるわけですよね 750 00:43:01,453 --> 00:43:04,540 だから 芥氏が “敗退してる”って言ったのは 751 00:43:04,623 --> 00:43:08,210 まあ そういう意味で三島の 問題意識をついてるわけですね 752 00:43:08,294 --> 00:43:10,796 結局 認識を ずるずる語ってるだけでね 753 00:43:10,879 --> 00:43:13,507 あなたの言ってることは 僕たちに現実に響いてませんよ 754 00:43:13,590 --> 00:43:14,758 みたいなことを言って まあ ちょっと 755 00:43:14,842 --> 00:43:17,261 彼は挑発するわけですよね 756 00:43:18,762 --> 00:43:21,390 (三島)しかし やっぱり物書きは そういう 物というものをね 757 00:43:21,473 --> 00:43:23,392 作品の中へ 作っていかなきゃならんですね 758 00:43:23,475 --> 00:43:26,895 実際は 物書きの仕事としてはね (芥)実際はええ ですよね 同じ… 759 00:43:26,979 --> 00:43:30,441 しかし これは生産とは 直接関係ないことは確かだな 760 00:43:30,524 --> 00:43:31,775 (芥)そうです (三島)ああ 761 00:43:31,859 --> 00:43:34,987 最初から生産から疎外されていた ということ自体 762 00:43:35,070 --> 00:43:36,780 一つの実存主義の流れの あれですからね 763 00:43:36,780 --> 00:43:38,032 一つの実存主義の流れの あれですからね 764 00:43:36,780 --> 00:43:38,032 {\an8}(三島)ああ ああ 765 00:43:38,032 --> 00:43:38,115 {\an8}(三島)ああ ああ 766 00:43:38,115 --> 00:43:39,158 僕らには関係ないですけれども 767 00:43:38,115 --> 00:43:39,158 {\an8}(三島)ああ ああ 768 00:43:39,241 --> 00:43:40,534 (三島)そう うん 769 00:43:40,617 --> 00:43:42,953 今 空間って問題 出てきましたね その空間… 770 00:43:43,037 --> 00:43:47,082 それは形態の暴力なんですよね (三島)うん うん うん 771 00:43:47,166 --> 00:43:49,209 うん 少し話聞きましょうか (芥)だから 僕が… 772 00:43:49,293 --> 00:43:52,630 僕が あなたが敗退された と言ったところは 773 00:43:52,713 --> 00:43:54,089 そこにあったわけですよ (三島)ああ ああ… 774 00:43:54,173 --> 00:43:57,301 あなたの その形態 とり得た形態が 775 00:43:57,384 --> 00:43:58,886 一向に暴力的に 僕らにはもう 776 00:43:58,969 --> 00:44:02,056 何ら差し迫らない ということですね 777 00:44:02,139 --> 00:44:04,516 僕らの行為そのものは 778 00:44:04,600 --> 00:44:07,519 {\an8}形態が即内容であり 内容が即形態になる 779 00:44:07,603 --> 00:44:09,897 {\an8}これは一つの まあ革命でなくて 780 00:44:09,980 --> 00:44:11,899 {\an8}決して 一つの 表現なんですけれどもね 781 00:44:11,982 --> 00:44:14,735 {\an8}ただ空間自体は 恐らくそこに 782 00:44:14,818 --> 00:44:18,280 歴史の可能性そのものという 空間が現出しうるということ 783 00:44:19,239 --> 00:44:21,950 だから そういうところへ来て 物書きが何かをおっしゃると 784 00:44:22,034 --> 00:44:26,038 僕は何か とても恥ずかしいような 気がするわけです 785 00:44:26,121 --> 00:44:29,333 まあ あなたはゲームをデマゴコスに 変えようとしてるわけですけれど 786 00:44:29,416 --> 00:44:30,959 まあ 日本がなければ 存在しない人間 787 00:44:31,043 --> 00:44:33,462 (三島)うんうん それは僕だ (芥)ですね 788 00:44:33,545 --> 00:44:37,049 (観衆の笑い声と拍手) 789 00:44:37,132 --> 00:44:41,595 ところが 僕の祖先は一向に 日本の中にも見つからんし 790 00:44:41,679 --> 00:44:43,514 どこにも見つからん (三島)ああ そう 791 00:44:43,597 --> 00:44:45,224 期せずしていたら 792 00:44:45,307 --> 00:44:46,934 僕が異邦人に なっていたんじゃなくて 793 00:44:47,017 --> 00:44:49,269 周りが異邦であったわけだから (三島)なるほど 794 00:44:49,353 --> 00:44:51,772 これで すんなり21世紀に 入っちゃうわけですけれどもね 795 00:44:51,855 --> 00:44:53,232 (三島)なるほどね うん (芥)我々は 796 00:44:53,982 --> 00:44:57,111 文化を守るために 何で殺人するんだよ? 797 00:45:03,409 --> 00:45:06,036 天皇の文化的側面って何だい? 798 00:45:08,330 --> 00:45:12,251 その2つを ちゃんと 説明がないところで 799 00:45:12,334 --> 00:45:14,878 デマゴコスするのはダメです 800 00:45:18,757 --> 00:45:21,927 (ナレーター) 芥は 前衛劇団を主宰し 801 00:45:22,010 --> 00:45:27,850 自ら作 演出 主演を務める 演劇人だった 802 00:45:29,476 --> 00:45:34,815 寺山(てらやま)修司(しゅうじ)と演劇理論誌 「地下演劇」を発行するなど 803 00:45:34,898 --> 00:45:37,985 アングラ演劇活動を展開していた 804 00:45:38,861 --> 00:45:40,946 俺は演劇一本やりだけどね 805 00:45:45,868 --> 00:45:48,120 {\an8}人間の諸芸術を 変革することだし 806 00:45:48,203 --> 00:45:49,830 {\an8}これこそ前衛であって 807 00:45:50,372 --> 00:45:52,040 芸術が変革されないところで 808 00:45:52,124 --> 00:45:54,960 世の中なんか変革されっこない! というさ 809 00:45:55,753 --> 00:46:00,924 {\an8}革命とは最高級の 大いなる詩なのであって 810 00:46:01,508 --> 00:46:06,305 {\an8}その超越性を どう一般理論にし 811 00:46:06,388 --> 00:46:07,764 {\an8}現実化するかだから 812 00:46:07,848 --> 00:46:09,933 まず演劇からだ! っていうね 813 00:46:10,851 --> 00:46:16,857 芥君の場合には もう 何て言うんだろうな 814 00:46:16,940 --> 00:46:21,612 その 既成概念を 全部ぶっ壊していくわけですよ 815 00:46:21,695 --> 00:46:24,782 まあ 超前衛というか 816 00:46:24,865 --> 00:46:26,492 (笑い声) 817 00:46:26,575 --> 00:46:30,913 {\an8}彼は絵を描く才能もあって 818 00:46:30,996 --> 00:46:34,958 {\an8}で えっと 表現者であって 819 00:46:36,001 --> 00:46:38,045 みんな認めていたと思います 820 00:46:44,885 --> 00:46:47,513 {\an8}思考っていうのは 解放区なんだよ そもそも 821 00:46:47,596 --> 00:46:50,307 {\an8}だから 真のインテリを 大事にしないと 822 00:46:50,390 --> 00:46:51,975 {\an8}美しい解放区は 生まれないから 823 00:46:52,059 --> 00:46:53,769 {\an8}東大全共闘が 824 00:46:53,852 --> 00:46:56,813 {\an8}真の知の活用っていうのを 825 00:46:56,897 --> 00:46:58,106 {\an8}見せなきゃいかん! ってことで 826 00:46:58,190 --> 00:47:02,528 {\an8}我々が三島を呼んで 知の活用の場を作った 827 00:47:03,111 --> 00:47:04,696 {\an8}解放区は 当然やんなきゃいけない 828 00:47:04,780 --> 00:47:07,950 {\an8}新しい知と 古い知と 829 00:47:09,409 --> 00:47:12,829 あのね 今 問題をね 少し次元を下げましょう 830 00:47:12,913 --> 00:47:14,831 例えばね 解放区の問題は 831 00:47:14,915 --> 00:47:17,292 つまり非常に分かりやすい 問題だと思うから 832 00:47:17,376 --> 00:47:19,294 解放区の問題を 論じたいと思うんだが 833 00:47:19,378 --> 00:47:21,296 んー 解放区というものは 834 00:47:21,380 --> 00:47:26,134 一定の物に 瞬間的にぶつかった瞬間に 835 00:47:26,218 --> 00:47:30,514 その空間に発生するもんであると 考えていいですか? 836 00:47:32,057 --> 00:47:33,267 (芥)いいです (三島)いいですね 837 00:47:35,394 --> 00:47:37,020 {\an8}(ナレーター) 解放区とは 838 00:47:37,104 --> 00:47:40,941 {\an8}革命勢力が国家権力の 統制を排除して 839 00:47:41,024 --> 00:47:42,901 {\an8}支配する地区 840 00:47:43,694 --> 00:47:46,697 {\an8}東大紛争においては 安田講堂が 841 00:47:46,780 --> 00:47:50,242 {\an8}全共闘にとっての 解放区の一つであった 842 00:47:51,618 --> 00:47:54,454 その空間 あるいは ゆがめられた空間か 843 00:47:54,538 --> 00:47:58,375 作られた空間か知らんが その空間が一定時間持続する… 844 00:47:58,458 --> 00:48:01,962 (芥)空間には時間もなければ 関係もないわけですから 845 00:48:02,045 --> 00:48:03,672 ゆがめられるとか… 846 00:48:03,755 --> 00:48:05,882 だから本来の形が 出てきたっていうところで 847 00:48:05,966 --> 00:48:08,510 彼が 自然に戻ったと恐らく幼稚な 言葉で言ったんじゃないかと思う 848 00:48:08,594 --> 00:48:11,680 (三島)自然に戻ったと なるほど そうするとだね 849 00:48:11,763 --> 00:48:14,433 えー それがね 持続する しないってことはね 850 00:48:14,516 --> 00:48:17,227 あの それの本質的な問題では ないわけだ? 851 00:48:17,936 --> 00:48:18,770 時間がないんだから 852 00:48:18,854 --> 00:48:20,898 持続という概念自体 おかしいんじゃないですか? 853 00:48:20,981 --> 00:48:24,067 (三島)そうするとだね それが3分間しか持続しなくても 854 00:48:24,151 --> 00:48:27,821 あるいは1週間 あるいは10日間 持続してもですね 855 00:48:27,905 --> 00:48:31,116 その間の本質的な差は 全然 次元としての差すらないですね? 856 00:48:31,199 --> 00:48:32,951 ええ だって それは あの… 857 00:48:33,035 --> 00:48:35,871 比較すること自体が おかしいわけですよ 858 00:48:35,954 --> 00:48:37,247 (三島)それの つまり次元が違うから (芥)ええ 859 00:48:37,331 --> 00:48:39,583 例えば あなたの作品と この現実の 860 00:48:39,666 --> 00:48:41,877 ずーっと何万年っていうのを 比べろっつって 861 00:48:41,960 --> 00:48:45,088 これはナンセンスでしょ 恐らく (三島)ところがだね 俺の作品は 862 00:48:45,172 --> 00:48:48,717 何万年という時間の持続との 間にある 一つの持続なんだ 863 00:48:48,800 --> 00:48:50,135 (芥)だから そういう… (三島)僕は空間をね 864 00:48:50,218 --> 00:48:52,638 空間をね 意図しないけども 時間を意図してる 865 00:48:52,721 --> 00:48:55,432 そしてね 解放区ってのは 空間を意図するもんだからね 866 00:48:55,515 --> 00:48:57,392 それが どこで時間に フラッターするかってことは 867 00:48:57,476 --> 00:48:59,186 僕は興味を持って あなたに聞きたい 868 00:48:59,269 --> 00:49:02,439 ところがだね 革命戦術としてだ ちょっと聞いてくださいね 869 00:49:02,522 --> 00:49:05,067 例えば 解放区が 1週間もったことは 870 00:49:05,150 --> 00:49:08,528 大したことだと思うんですね 革命戦術としてね 871 00:49:08,612 --> 00:49:11,698 ところが それが3時間か4時間しか もたんということはだね 872 00:49:11,782 --> 00:49:15,160 もたなかったのか あるいは もたなくてもいいのか 873 00:49:15,243 --> 00:49:18,205 本質的に革命にとって それは もたなくてもいいものなのか 874 00:49:18,288 --> 00:49:21,625 (芥)まあ 僕は直接首謀者 じゃないからハッキリ言えば 875 00:49:21,708 --> 00:49:24,419 だから 出てきた事物に 逆にやった連中のほうが 876 00:49:24,503 --> 00:49:26,380 やられてしまうってことですよね 877 00:49:26,463 --> 00:49:28,090 そうすると あの 解放区がやられちゃったのは 878 00:49:28,173 --> 00:49:30,550 事物であって機動隊じゃないのか (芥)そうでしょ 879 00:49:30,634 --> 00:49:33,553 あれは事物が 事物が解放区を崩壊させた 880 00:49:33,637 --> 00:49:35,806 それは時間と考えてもいいわけだ 881 00:49:35,889 --> 00:49:37,933 むしろ時間… まあ 時間じゃなくて 882 00:49:38,016 --> 00:49:41,478 むしろ だから その現象形態の 事物なり空間でしょう 883 00:49:41,561 --> 00:49:43,772 現象形態の事物なり空間なりは 884 00:49:43,855 --> 00:49:46,441 単なる そういう瞬間的に発生した 空間というものを 885 00:49:46,525 --> 00:49:48,443 いつも押し潰す働きしか しないじゃない 886 00:49:48,527 --> 00:49:50,195 (芥)えっ? (三島)押し潰す働きしかしないでしょ 887 00:49:50,278 --> 00:49:51,947 現象形態としての 事物ないし空間は 888 00:49:52,030 --> 00:49:53,573 じゃないでしょう だって それは関係をもって 889 00:49:53,657 --> 00:49:56,785 そこに対処するからですよね 文明をもってしたり 890 00:49:56,868 --> 00:49:59,413 自らの存在をもって 事物に対処することから 891 00:49:59,496 --> 00:50:01,790 恐らく人間の歴史は 始まってるわけで 892 00:50:01,873 --> 00:50:03,542 歴史ってのは持続でしょ 時間がそこにある 893 00:50:03,625 --> 00:50:05,419 持続じゃないでしょう むしろ 894 00:50:06,795 --> 00:50:08,422 可能性そのものの 空間のことでしょう 895 00:50:08,505 --> 00:50:09,923 恐らく自由そのもの 896 00:50:10,007 --> 00:50:13,301 ところが普通 人間っていうのは 自由に直面すると 897 00:50:14,094 --> 00:50:18,181 そこで敗退してしまうっていう まあ そういう文明の習慣が 898 00:50:18,265 --> 00:50:20,100 身についてしまった ということでしょうね 899 00:50:20,183 --> 00:50:21,935 あの 全共闘のバリケードにしろ 何にしろ 900 00:50:22,018 --> 00:50:25,439 一つの まあ歴史の認識の 一形態としてですね 901 00:50:25,522 --> 00:50:28,066 {\an8}だから 狙撃銃的な 認識じゃなくて 902 00:50:28,150 --> 00:50:30,318 {\an8}散弾銃による 走りながらの認識 903 00:50:30,402 --> 00:50:32,654 {\an8}サルトル以後の 認識の形態だと思う 904 00:50:33,196 --> 00:50:36,074 あれが 非常に新しい 認識の形態だとすると 905 00:50:36,158 --> 00:50:38,994 それに もし持続というものを 加えたいっていう気は 906 00:50:39,077 --> 00:50:40,746 全く初めから毛頭ない 907 00:50:40,829 --> 00:50:43,039 そこで意思の介入する余地は ないわけですか? 908 00:50:43,123 --> 00:50:45,917 例えばですね 1つのこの物 作るとしますね 909 00:50:46,001 --> 00:50:48,128 このタバコ作った瞬間にですね 910 00:50:48,211 --> 00:50:50,464 このタバコが消えちまったら のめないでしょう 911 00:50:50,547 --> 00:50:53,091 どうしたってタバコというものは 専売局から僕の手元に入るまで 912 00:50:53,175 --> 00:50:55,343 一定時間を経過して ここへ来るわけですなあ 913 00:50:55,427 --> 00:50:58,096 そして 僕はタバコをのんで 皆さんの前で 914 00:50:58,180 --> 00:50:59,514 努めて余裕を見せてるわけですな 915 00:50:59,514 --> 00:51:00,182 努めて余裕を見せてるわけですな 916 00:50:59,514 --> 00:51:00,182 {\an8}(観衆の笑い声) 917 00:51:00,182 --> 00:51:00,265 {\an8}(観衆の笑い声) 918 00:51:00,265 --> 00:51:01,516 それで これがね 919 00:51:00,265 --> 00:51:01,516 {\an8}(観衆の笑い声) 920 00:51:01,516 --> 00:51:02,059 それで これがね 921 00:51:02,142 --> 00:51:04,144 これもすでに 時間の恩恵をこうむって 922 00:51:04,227 --> 00:51:05,645 生産関係がずっと我々の所に… 923 00:51:05,729 --> 00:51:07,939 むしろ 時間が保ち得ないからでしょう? 924 00:51:08,023 --> 00:51:10,776 タバコを吸うわけでしょう? (三島)ああ はあ… 925 00:51:10,859 --> 00:51:13,737 時間がもち得ない 時間は十分もってますよ 926 00:51:13,820 --> 00:51:14,821 (芥)保ち得ないってことでしょ 927 00:51:14,905 --> 00:51:16,948 時間のほうに もたれてしまうからこそ 928 00:51:17,032 --> 00:51:20,994 その てれ隠しでやるわけでしょう あなたは他志向が強いから 929 00:51:21,077 --> 00:51:24,164 {\an8}芥さんが言ってるのは あの 930 00:51:24,247 --> 00:51:28,001 {\an8}芸術至上主義的と 言えばいいのかな 931 00:51:28,085 --> 00:51:30,086 {\an8}解放区を作らなきゃ いけないっていう 932 00:51:30,170 --> 00:51:32,380 {\an8}初発の動機があってね 933 00:51:32,464 --> 00:51:34,841 {\an8}で なぜ そういうものがあるか 934 00:51:34,925 --> 00:51:37,427 {\an8}堕落して 汚れて 935 00:51:37,511 --> 00:51:42,474 人間性が ゆがめられ 損なわれて 936 00:51:42,557 --> 00:51:44,476 で そんなことでいいのだろうか 937 00:51:44,559 --> 00:51:49,356 人間の真実っていうのは そういうものではないっていう 938 00:51:49,439 --> 00:51:55,946 {\an8}その 人間の ありありとした原初の形 939 00:51:56,029 --> 00:51:57,697 {\an8}そういうものを 940 00:51:58,782 --> 00:52:01,868 {\an8}ここに実現するって いうのが解放区であり 941 00:52:01,952 --> 00:52:05,330 芸術って もともと そういうものだと うん 942 00:52:05,413 --> 00:52:09,793 だから 失敗するかも しれないけれども 943 00:52:09,876 --> 00:52:13,004 失敗したから 価値がないわけではない 944 00:52:14,548 --> 00:52:19,678 そういうことに 信頼を置けないならば 945 00:52:19,761 --> 00:52:23,557 あなたは芸術家ですかっていう そういうことを言ったんだと思う 946 00:52:25,267 --> 00:52:27,769 {\an8}僕は これは非常に重要な 場面だったと思うんですね 947 00:52:27,853 --> 00:52:30,397 {\an8}というのは 三島はですね やっぱり 948 00:52:30,480 --> 00:52:33,150 {\an8}持続っていう問題を すごく考えたんですね 949 00:52:33,233 --> 00:52:36,278 {\an8}で その 三島文学の特徴は 950 00:52:36,361 --> 00:52:40,407 {\an8}やっぱり ある瞬間的な こう エクスタシーだとか 951 00:52:40,490 --> 00:52:42,284 {\an8}瞬間的な こう 952 00:52:42,367 --> 00:52:45,328 {\an8}何かの成就を夢見る っていうようなことが 953 00:52:45,412 --> 00:52:49,040 主題になっていて 苦節何十年とかいう 954 00:52:49,124 --> 00:52:51,334 人間の努力をコツコツ描く みたいな文学は 955 00:52:51,418 --> 00:52:53,545 まずないんですね 彼の中には 956 00:52:54,296 --> 00:52:57,048 あなたの舞踏は そこまでいかない ということなんですよ 957 00:52:57,132 --> 00:52:59,050 全部 関係の中で終始してしまう ってことですよ 958 00:52:59,134 --> 00:52:59,968 関係の中で終始… 959 00:53:00,051 --> 00:53:02,470 (芥)事物には一向に触れ得ない (三島)うん うん 960 00:53:02,554 --> 00:53:04,639 それは言葉ってものの性質だな 961 00:53:04,723 --> 00:53:07,475 僕は言葉というものの特質は 事物に触れ得ないからだね 962 00:53:07,559 --> 00:53:09,519 一生懸命 行動をやってるわけで 963 00:53:09,603 --> 00:53:11,313 それも 事物に触れ得ないとするとだね… 964 00:53:11,396 --> 00:53:16,860 でも 恐らく作品が書けるのなら 何も そういう他に対しての 965 00:53:16,943 --> 00:53:19,654 デマゴコスを試みる必要も ないのではないか 966 00:53:19,738 --> 00:53:21,781 作品は 自立する空間であるわけだし 967 00:53:21,865 --> 00:53:24,534 ああ はあ 僕は自立する空間だけじゃ 968 00:53:24,618 --> 00:53:27,078 あの 満足しないと さっきから言ってますね 969 00:53:27,162 --> 00:53:27,996 そこに時間を導入しなければ… 970 00:53:28,079 --> 00:53:30,123 (芥)まあ そのへんは 開き直りでしょう 971 00:53:30,206 --> 00:53:32,208 (三島)いやいや 開き直りじゃない 972 00:53:32,292 --> 00:53:37,297 (観衆の笑い声と拍手) 973 00:53:41,593 --> 00:53:44,471 (ナレーター) TBS記者の小川(おがわ)邦雄(くにお)は 974 00:53:44,554 --> 00:53:48,016 この討論を 最前列で取材していた 975 00:53:48,099 --> 00:53:52,979 途中で あの 赤ん坊抱いた人が来ますよね 976 00:53:53,063 --> 00:53:55,357 あそこで もう みんなファーッとなって 977 00:53:55,440 --> 00:53:57,651 で ホントに あの 978 00:53:57,734 --> 00:54:00,737 あの雰囲気の 柔らかさっていうかね 979 00:54:00,820 --> 00:54:04,157 それは印象に残ってます 980 00:54:04,240 --> 00:54:07,077 三島の話もユーモアがあるし 981 00:54:07,160 --> 00:54:11,456 全体としては 最初 予想したような雰囲気とは 982 00:54:11,539 --> 00:54:14,292 また違った雰囲気に どんどん変わってって 983 00:54:14,376 --> 00:54:16,127 で 最後まで ずっと こう 聞いちゃった 984 00:54:16,211 --> 00:54:18,380 という感じなんですけどね 985 00:54:21,091 --> 00:54:23,843 (ナレーター) 芥は三島の向こうを張って 986 00:54:23,927 --> 00:54:26,388 持論を大胆に展開した 987 00:54:26,471 --> 00:54:30,433 なぜ評論しか書けないか なぜ評論的な征服しか言えないか 988 00:54:30,517 --> 00:54:32,268 お前がどこにいて 何を見てるって言われて 989 00:54:32,352 --> 00:54:34,396 君たちはどう答えるか っていうこと 990 00:54:34,479 --> 00:54:36,064 三島さんもそうだけれど 991 00:54:37,315 --> 00:54:39,985 お前どこにいると言って 大学とか そういう関係づけ 992 00:54:40,068 --> 00:54:44,531 事物について行われた 関係づけが使えない場合 993 00:54:45,323 --> 00:54:47,450 答えようがないんじゃないか ということね 994 00:54:47,534 --> 00:54:49,786 もう これを机と呼ぶことすら できない状態で 995 00:54:49,869 --> 00:54:51,288 問われるわけだから 996 00:54:51,371 --> 00:54:54,499 ここが900番教室だとか いうこと自体なくなってしまう 997 00:54:57,335 --> 00:55:01,172 そうすると 結局 一方的に 関係づけられてしまう我々 998 00:55:01,256 --> 00:55:03,300 という 変な このフェイントをかけておいて 999 00:55:03,383 --> 00:55:05,343 フェイントじゃないヤツも いるんだけれど 1000 00:55:05,927 --> 00:55:09,639 その関係を逆転することという ことだけは分かるわけですよ 1001 00:55:10,765 --> 00:55:12,225 だからバリケードを作る 1002 00:55:12,309 --> 00:55:15,979 そこに あらゆる関係づけを 排除した空間を作る 1003 00:55:16,062 --> 00:55:17,731 それに対して 我々の側が 1004 00:55:17,814 --> 00:55:19,733 そのバリケードよりも 高みに立って 1005 00:55:19,816 --> 00:55:22,944 関係づけを行わなければ いけないわけでしょう 1006 00:55:23,987 --> 00:55:25,447 まあ恐らく この次からやる場合 1007 00:55:25,530 --> 00:55:26,781 {\an8}街頭ブランキズム みたいのが 1008 00:55:26,865 --> 00:55:28,241 {\an8}たくさん出てきて 1009 00:55:28,324 --> 00:55:30,118 {\an8}恐らく アジテーターや デマゴコスが 1010 00:55:30,201 --> 00:55:32,787 {\an8}生まれる時代になるんじゃ ないかと思いますけれど 1011 00:55:34,831 --> 00:55:36,499 まあ それには 日本のための革命とか 1012 00:55:36,583 --> 00:55:38,752 っていうようなことになると またダメになるんで 1013 00:55:38,835 --> 00:55:42,756 そのへんは再び ブランキストであり 1014 00:55:42,839 --> 00:55:45,842 しかもトロツキストである連中 っていうのが出てくるんで 1015 00:55:45,925 --> 00:55:48,762 そうすると 再び現実との時間 そのへんの持続 1016 00:55:48,845 --> 00:55:51,848 さっき言ってた 三島さんの問題が出てきて 1017 00:55:51,931 --> 00:55:54,309 結局 虚構形態っていうのが 1018 00:55:56,227 --> 00:55:58,646 恐らく また支配するんじゃ ないかなと思うんでね 1019 00:55:58,730 --> 00:56:02,650 僕は芝居なんぞをチョビチョビ やってるわけですわ 1020 00:56:02,734 --> 00:56:05,779 まあ結局 絶対2つにはならない ということ 1021 00:56:05,862 --> 00:56:08,615 {\an8}「太陽と鉄」っていうのは まあ結構なんだけどね 1022 00:56:08,698 --> 00:56:10,033 {\an8}僕が“キンタマの スピリット”と 1023 00:56:10,116 --> 00:56:11,493 {\an8}言ったのと同じで 1024 00:56:11,576 --> 00:56:14,371 {\an8}価値分配体系が どこに あるかということね 1025 00:56:14,454 --> 00:56:17,332 生産剰余があふれてて 僕みたくフーテンして 1026 00:56:17,415 --> 00:56:19,376 ガキまでつくって 平気で生きてるわけで 1027 00:56:19,459 --> 00:56:21,336 一向に働かなくても 1028 00:56:22,754 --> 00:56:25,632 まあ 価値分配体系が依然 事物に対しても行われなければ 1029 00:56:25,715 --> 00:56:27,842 人間に対しても行われない 1030 00:56:29,677 --> 00:56:31,012 そのへんでしょう 恐らく 1031 00:56:31,096 --> 00:56:33,932 「太陽と鉄」っていう 幼稚な言葉で あれしたのは 1032 00:56:35,642 --> 00:56:38,103 だから そのへんの 価値分配体系の根幹 1033 00:56:38,186 --> 00:56:40,855 それは もう人間の内的持続では 1034 00:56:40,939 --> 00:56:42,565 所詮 無理である っていうことじゃないですか 1035 00:56:42,649 --> 00:56:45,402 我々がいる 事物があった それに対して 1036 00:56:45,485 --> 00:56:48,780 イマージュをもってするやり方は サルトルで潰れてるわけで 1037 00:56:49,447 --> 00:56:51,658 むしろ イマージュを 事物で乗り越えるとき 1038 00:56:51,741 --> 00:56:53,827 そこに空間が生まれるわけです 1039 00:56:56,246 --> 00:56:58,456 だから我々は どうしても苦しいから 事物に 1040 00:56:58,540 --> 00:57:00,875 イマージュを 与えつけるわけですよね 1041 00:57:00,959 --> 00:57:02,877 まあ 目をつぶった世界だけれど 1042 00:57:02,961 --> 00:57:05,797 目を見開いたまま 事物に対処する 1043 00:57:06,673 --> 00:57:11,386 そのとき訪れる1つの光に対して 事物を乗り越えさせる 1044 00:57:11,469 --> 00:57:13,346 それが その最初の形態が恐らく 1045 00:57:13,429 --> 00:57:16,474 身の回りの全てを 武器に変えるということでしょう 1046 00:57:16,558 --> 00:57:20,228 だから コップでもパッと見たとき これは使えるか使えないか 1047 00:57:20,311 --> 00:57:22,313 これだけで済む むしろ そのほうがいいっていうのは 1048 00:57:22,397 --> 00:57:24,232 それですけどもね 自分の体がある 1049 00:57:24,315 --> 00:57:28,403 これが使えるか使えないかまで それは向かわなければならない 1050 00:57:29,904 --> 00:57:33,741 だって 我々と事物の間にあるのは 何かっていうことですけれどね 1051 00:57:33,825 --> 00:57:35,869 僕は何にも見えないんで 1052 00:57:35,952 --> 00:57:38,204 そこに国家があるとか 体制権力があるとか何とか 1053 00:57:38,288 --> 00:57:39,998 いろんな 教えてくれる人は いますけれど 1054 00:57:40,081 --> 00:57:42,167 僕には分からない というようなこと 1055 00:57:42,834 --> 00:57:44,502 まあそのへんから 僕はもう一度 1056 00:57:44,586 --> 00:57:46,504 やっていきたいという ことですわね 1057 00:57:48,673 --> 00:57:51,551 えー 今のは非常に面白いお話を 伺ったんですが 1058 00:57:51,634 --> 00:57:53,928 2つだけ ちょっと疑問を提起したい 1059 00:57:54,012 --> 00:57:57,307 1つは えー 名前っていうものがない世界 1060 00:57:57,390 --> 00:57:59,726 つまり 自分が名付けられることがなく 1061 00:57:59,809 --> 00:58:02,520 名というものは 一つの伝承ですから 既に 1062 00:58:02,604 --> 00:58:04,397 その 名のない世界でもって 1063 00:58:04,481 --> 00:58:06,608 {\an8}いかにして我々は 関係づけられることが… 1064 00:58:06,691 --> 00:58:08,151 {\an8}関係づけられる ということが 1065 00:58:08,234 --> 00:58:09,611 {\an8}可能であるかということ 1066 00:58:09,694 --> 00:58:13,114 {\an8}これを1つ伺いたい それから物を 1067 00:58:13,198 --> 00:58:15,825 {\an8}自分が存在すると同時に それを利用する 1068 00:58:15,909 --> 00:58:17,076 {\an8}つまり 利用するということの中に 1069 00:58:17,160 --> 00:58:19,037 {\an8}目的論的見地が どうして入ってこないで 1070 00:58:19,120 --> 00:58:20,705 {\an8}利用ってことが ありうるか? 1071 00:58:20,788 --> 00:58:23,124 {\an8}我々はさじを… さじっていう形を見るとき 1072 00:58:23,208 --> 00:58:25,168 {\an8}そのさじは 口に物を運ぶための 1073 00:58:25,251 --> 00:58:27,712 {\an8}目的論的な道具である 1074 00:58:27,795 --> 00:58:30,381 目的論をなしにして 利用ということがありうるか? 1075 00:58:30,465 --> 00:58:32,967 この2つの問題を聞きたいんです 1076 00:58:33,927 --> 00:58:39,140 (芥)最初の その 関係づける必要があるかないか 1077 00:58:39,224 --> 00:58:41,100 これは もちろん 関係づけなくても 1078 00:58:41,184 --> 00:58:43,519 かまわないわけですよね 人によっては 1079 00:58:43,603 --> 00:58:45,021 (三島)いや あなたがね (芥)えっ? 1080 00:58:45,104 --> 00:58:48,399 (三島)名前がないのに どうして関係づけられて 1081 00:58:48,483 --> 00:58:50,902 組み込まれてしまうか それを 克服しなきゃならんかということ 1082 00:58:50,985 --> 00:58:54,447 それは文明という歩行器を 頼りすぎるからでしょう 1083 00:58:54,530 --> 00:58:57,659 結局 トロツキーがやられたのも 文明を信じすぎた罪ですからね 1084 00:58:59,327 --> 00:59:04,207 {\an8}結局はね 芥氏が あの 解放区を作ったとしてもね 1085 00:59:04,290 --> 00:59:06,125 {\an8}そこから何かを 社会全体を 1086 00:59:06,209 --> 00:59:07,502 {\an8}変えていこうとしたら 1087 00:59:07,585 --> 00:59:09,879 {\an8}徹底的に言葉によって システマチックに 1088 00:59:09,963 --> 00:59:11,923 {\an8}変革していくしか ないんですよね 1089 00:59:12,006 --> 00:59:13,841 {\an8}彼が そこで起きてることが何で 1090 00:59:13,925 --> 00:59:16,469 じゃあ そっから 食料を調達しようとしたら 1091 00:59:16,552 --> 00:59:19,138 どういう形で生産したらいいか っていうのは 1092 00:59:19,222 --> 00:59:23,309 個物に名前をつけて それを 論理的に整理していく以外に 1093 00:59:23,393 --> 00:59:26,354 そのあとの持続を 可能とするような 1094 00:59:26,437 --> 00:59:28,690 システムっていうのは 構築しようがないんですよね 1095 00:59:28,773 --> 00:59:31,651 だから三島は 持続が重要じゃないのかって 1096 00:59:31,734 --> 00:59:34,404 ことを言ってんですよね で 持続が重要であれば 1097 00:59:34,487 --> 00:59:36,114 {\an8}彼らが行動してるときに 1098 00:59:36,197 --> 00:59:38,866 {\an8}必ず言葉っていうのが 必要になるんだから 1099 00:59:38,950 --> 00:59:40,285 {\an8}彼のやってることも 1100 00:59:40,368 --> 00:59:41,828 {\an8}やっぱり 現実に触れてることなんだ 1101 00:59:41,911 --> 00:59:44,122 {\an8}っていう話に なるはずなんですよね 1102 00:59:45,415 --> 00:59:46,666 解放区ってのは だってさ 1103 00:59:46,749 --> 00:59:50,169 時間に対しての 解放でもあるわけだから 1104 00:59:52,964 --> 00:59:55,174 で 特に1つしかない時間を 持ってくるヤツが 1105 00:59:55,258 --> 00:59:57,552 一番危険なんだよ 1106 00:59:57,635 --> 00:59:59,178 (監督)歴史ってことですか? 1つしかない時間… 1107 00:59:59,262 --> 01:00:01,973 歴史だけじゃなくて 権力という時間 1108 01:00:03,641 --> 01:00:06,227 自分の正しさ以外 認めないだろ 1109 01:00:06,978 --> 01:00:08,229 ねえ 1110 01:00:08,313 --> 01:00:10,273 そんな時間で… 1111 01:00:11,524 --> 01:00:13,151 理不尽に支配されることに 1112 01:00:13,234 --> 01:00:15,945 喜びを感じるのは 三島ぐらいだろう 1113 01:00:19,282 --> 01:00:22,952 {\an8}(ナレーター)討論の最中 会場の学生から 1114 01:00:23,036 --> 01:00:25,288 {\an8}“観念的こじつけ じゃないか” 1115 01:00:25,371 --> 01:00:27,498 {\an8}“俺は三島をぶん殴る会が あるというから” 1116 01:00:27,582 --> 01:00:30,460 {\an8}“来たんだよ”と やじが上がった 1117 01:00:33,254 --> 01:00:35,048 (観衆の笑い声と拍手) 1118 01:00:35,131 --> 01:00:36,507 じゃあ 殴りなよ 1119 01:00:39,552 --> 01:00:40,928 まあ そういう所で言っても 1120 01:00:41,012 --> 01:00:44,349 結局 単なる あれになっちゃうだろうからね 1121 01:00:46,684 --> 01:00:48,353 来て やりゃあいいわけだろう やりたければ 1122 01:00:48,436 --> 01:00:50,271 ほら 出てこい おら! 1123 01:00:50,355 --> 01:00:51,397 ほら 1124 01:00:52,231 --> 01:00:55,068 おい 出てこい! ほら (三島)やるなら ここでやれよ 1125 01:00:57,111 --> 01:00:58,696 殴るんなら殴れ ほら 1126 01:01:01,157 --> 01:01:03,034 殴れよ ほら 1127 01:01:03,117 --> 01:01:05,286 そんな遠くで言うんじゃないよ 1128 01:01:08,790 --> 01:01:11,668 どっち殴る? どっち殴るの? 1129 01:01:11,751 --> 01:01:12,960 (学生)おめえじゃないよ 1130 01:01:13,044 --> 01:01:14,670 俺でもいいんだよ 1131 01:01:15,463 --> 01:01:18,549 あのな 一般的にな (男性)マイク渡せ マイク 1132 01:01:18,633 --> 01:01:19,967 一般的に そういうふうにね 1133 01:01:20,051 --> 01:01:22,595 無規定に 関係ということを捨象してね 1134 01:01:22,679 --> 01:01:26,349 その 論を立てたところで 観念界のお遊びなんだよ 1135 01:01:26,432 --> 01:01:28,017 つまりね その 人間がね… 1136 01:01:28,017 --> 01:01:30,061 つまりね その 人間がね… 1137 01:01:28,017 --> 01:01:30,061 {\an8}(観衆の拍手) 1138 01:01:30,144 --> 01:01:33,564 人間が 他者がいるってことは 事実なんだ 1139 01:01:33,648 --> 01:01:35,900 それに対して自分が どのような 論を立てるかっていうのは 1140 01:01:35,983 --> 01:01:37,568 それは君の勝手だよ 1141 01:01:40,154 --> 01:01:42,865 関係立ったところから それを 逆転するのが革命じゃねえのか 1142 01:01:42,949 --> 01:01:45,493 バカ野郎! ああ? (男性)違うよ 1143 01:01:45,576 --> 01:01:47,745 だからなあ 現実的なな 1144 01:01:47,829 --> 01:01:50,873 実在的社会的諸関係というものが まず先行する 1145 01:01:50,957 --> 01:01:54,460 で それに対して 意識において どのような展開をするか 1146 01:01:54,544 --> 01:01:56,337 ということが 問題になるわけじゃないか 1147 01:01:56,421 --> 01:01:59,465 そこで おめえさんはな 他人の空間的併存ということを 1148 01:01:59,549 --> 01:02:02,301 捨象して問題を立ててるだけに すぎねえじゃないか 1149 01:02:02,385 --> 01:02:06,097 そういうことを言ってるとな 東大全共闘の名が廃れるぜ 1150 01:02:06,180 --> 01:02:08,141 少なくとも 東大全共闘っていう名前使うな 1151 01:02:08,224 --> 01:02:11,185 (観衆の笑い声と拍手) 1152 01:02:11,269 --> 01:02:13,229 (木村)だから少なくとも さっきからの論の展開の視点というのは 1153 01:02:13,312 --> 01:02:15,398 こういうことだと僕は思うんです つまり 1154 01:02:15,481 --> 01:02:18,693 実在的諸関係がそこにあると そのときにですね 1155 01:02:18,776 --> 01:02:22,238 僕らが そこにあるものに対して 僕らがですね 1156 01:02:22,321 --> 01:02:24,949 その関係性っていうものに 注目してですね 1157 01:02:25,032 --> 01:02:29,078 その 能動主体として働いた場合には… 1158 01:02:30,204 --> 01:02:31,789 能動主体として 働いた場合にはですね 1159 01:02:31,789 --> 01:02:32,582 能動主体として 働いた場合にはですね 1160 01:02:31,789 --> 01:02:32,582 {\an8}(観衆の笑い声と拍手) 1161 01:02:32,582 --> 01:02:32,665 {\an8}(観衆の笑い声と拍手) 1162 01:02:32,665 --> 01:02:34,459 その 実存的諸関係そのものから 1163 01:02:32,665 --> 01:02:34,459 {\an8}(観衆の笑い声と拍手) 1164 01:02:34,542 --> 01:02:36,919 絶対 僕らは逃れることはできない 1165 01:02:38,546 --> 01:02:41,132 俺が2つ持ってって ショートピース 1166 01:02:41,215 --> 01:02:43,468 向こうは 4つ持ってきてたから 1167 01:02:43,551 --> 01:02:47,138 で 俺 自分の吸い終わったから 1つ取って 俺が3つ吸って 1168 01:02:47,221 --> 01:02:48,764 あいつも3つ 1169 01:02:49,348 --> 01:02:52,185 だから あいつのタバコは 返さなきゃいけないと 1170 01:02:52,268 --> 01:02:54,228 思ってるうちに返してない 1171 01:02:59,609 --> 01:03:03,112 (ナレーター)1968年は 世界同時多発的に 1172 01:03:03,196 --> 01:03:06,741 {\an8}さまざまな政治運動が 起こった年である 1173 01:03:07,992 --> 01:03:10,369 {\an8}テレビという メディアの発達により 1174 01:03:10,453 --> 01:03:13,164 {\an8}その映像は世界中に広まり 1175 01:03:13,247 --> 01:03:15,166 {\an8}互いに刺激し合ったのだ 1176 01:03:23,007 --> 01:03:25,718 (小熊) 私は思いますけれども 1177 01:03:25,802 --> 01:03:28,554 テレビというものが なかったら 1178 01:03:28,638 --> 01:03:31,641 東大の全共闘運動と いうものは 1179 01:03:31,724 --> 01:03:34,894 もしかしたら局部的な 学生運動という形で 1180 01:03:34,977 --> 01:03:37,230 終わっていたかもしれないと 思います 1181 01:03:37,313 --> 01:03:41,984 もちろん 東京大学で行われていた 闘争だったので 1182 01:03:42,068 --> 01:03:46,072 それ以前から 新聞やメディアが たくさん報道をしていました 1183 01:03:46,155 --> 01:03:48,282 ただ 東京大学以外の大学だったら 1184 01:03:48,366 --> 01:03:51,285 あれほど注目されたのかどうかは それは分からない 1185 01:03:54,831 --> 01:03:58,376 (ナレーター)900番教室にも メディアが集まっていた 1186 01:04:00,002 --> 01:04:03,172 TBSは前に言ったように 1187 01:04:03,256 --> 01:04:07,593 あの インタビューを受けてたんで 1188 01:04:07,677 --> 01:04:09,387 {\an8}連絡した ということですね 1189 01:04:09,470 --> 01:04:10,555 {\an8}まあ 一般的に 言われてるように 1190 01:04:10,638 --> 01:04:13,432 {\an8}東大出れば まあ 立身出世と 1191 01:04:13,516 --> 01:04:15,393 {\an8}それに コースに乗ると 言われてますね 1192 01:04:15,476 --> 01:04:16,811 {\an8}だから そういう… 1193 01:04:16,894 --> 01:04:18,980 {\an8}だから 僕らがそれに 乗っかるということはね 1194 01:04:19,063 --> 01:04:19,939 {\an8}結果的に見れば 1195 01:04:20,022 --> 01:04:21,107 {\an8}そういう 税金を払ってる人に 1196 01:04:21,190 --> 01:04:22,358 {\an8}敵対することになると 1197 01:04:22,441 --> 01:04:24,902 (木村)TBSのライトがね 1198 01:04:24,986 --> 01:04:28,906 非常に強烈なライトを 使ってたんで 1199 01:04:28,990 --> 01:04:30,992 もう ちょっと目がまぶしくてね 1200 01:04:31,617 --> 01:04:33,703 大きな社会現象でしたから 1201 01:04:33,786 --> 01:04:37,123 あの この学生運動や問題を 1202 01:04:37,206 --> 01:04:40,209 その 取材するために 学生班というのをですね 1203 01:04:40,293 --> 01:04:41,961 テレビニュース部の中に 作りまして 1204 01:04:42,044 --> 01:04:44,297 学生の中に入って どういうことを 1205 01:04:44,380 --> 01:04:47,592 これからするかっていうのを 取材するわけですね 1206 01:04:50,720 --> 01:04:53,806 (ナレーター) 三島は新潮社(しんちょうしゃ)を呼んでいた 1207 01:04:54,765 --> 01:04:59,228 カメラマンとして派遣されたのが 清水(しみず)寛(ひろし)だった 1208 01:05:00,605 --> 01:05:03,649 上手(かみて)から入って上がって 1209 01:05:03,733 --> 01:05:08,863 檀上を 三島さんの後ろを横切って 1210 01:05:08,946 --> 01:05:10,364 下手(しもて)へ回って 1211 01:05:11,032 --> 01:05:12,742 それで 寄ってきて 1212 01:05:12,825 --> 01:05:16,287 目線は来てましたね 1213 01:05:17,163 --> 01:05:20,458 たくさん撮んなさい ってな感じですよね 1214 01:05:20,541 --> 01:05:23,502 まんまと乗せられたっていうか 1215 01:05:23,586 --> 01:05:29,634 ごく自然に あの シャッター押しちゃったんですね 1216 01:05:34,472 --> 01:05:38,100 (ナレーター) こうして討論は歴史に残された 1217 01:05:38,851 --> 01:05:41,979 さまざまな媒体に登場していた 三島は 1218 01:05:42,063 --> 01:05:44,023 メディアの力を使って 1219 01:05:44,106 --> 01:05:48,069 自らを輝かせるすべを 熟知していたのだ 1220 01:05:48,945 --> 01:05:51,822 (小熊)主に写真と活字ですね 1221 01:05:51,906 --> 01:05:56,535 それを通して見た 三島の像というのは 1222 01:05:56,619 --> 01:06:01,290 恐らく文学者らしからぬ 偉い文学者 1223 01:06:01,374 --> 01:06:04,168 世界的に評価を得ている 文学者であるにもかかわらず 1224 01:06:04,251 --> 01:06:08,047 肉体を鍛えていて 旧来の教養を批判していると 1225 01:06:08,130 --> 01:06:10,591 その在り方が 格好がいいというふうに 1226 01:06:10,675 --> 01:06:13,344 映っていたのではないかなと 思います 1227 01:06:15,304 --> 01:06:17,515 (ナレーター) 「平凡パンチ」の三島担当として 1228 01:06:17,598 --> 01:06:20,309 その素顔をよく知る椎根は 1229 01:06:20,393 --> 01:06:24,522 帝国ホテルで初めて 三島に会った日のことをこう語る 1230 01:06:25,106 --> 01:06:26,983 そこへ三島が入って来るわけね 1231 01:06:27,066 --> 01:06:29,819 で 僕のほうが先に着いてて 待ってた 1232 01:06:29,902 --> 01:06:33,656 入って来て そしたら もうホントに あそこに 1233 01:06:33,739 --> 01:06:36,575 そうね 100人ぐらいの客が いたんだけど 1234 01:06:36,659 --> 01:06:39,704 ふっとさ みんな 音… 1235 01:06:39,787 --> 01:06:43,958 その視線が 三島に集中するんですよ もう 1236 01:06:44,959 --> 01:06:47,128 で ふっと音が消えちゃうの 1237 01:06:47,211 --> 01:06:50,464 で 全員のガチャガチャガチャ なんていう瀬戸物の音とか 1238 01:06:50,548 --> 01:06:54,468 一切なくなって 三島に こう集中しちゃって 1239 01:06:55,302 --> 01:07:00,182 そういうスターだったね やっぱりね 1240 01:07:05,271 --> 01:07:08,774 {\an8}(ナレーター)三島の ファンだった瀬戸内寂聴(じゃくちょう)は 1241 01:07:08,858 --> 01:07:11,318 {\an8}ファンレターを 出したことをきっかけに 1242 01:07:11,402 --> 01:07:13,112 {\an8}親交が始まったという 1243 01:07:14,113 --> 01:07:16,073 {\an8}お手紙なんか頂いてもね 1244 01:07:16,157 --> 01:07:18,409 {\an8}私の手紙に 返事くれたっていうのは 1245 01:07:18,492 --> 01:07:21,287 {\an8}“あなたの手紙は ホントに面白いから” 1246 01:07:21,370 --> 01:07:23,247 {\an8}“だから返事を書く” って言ってね 1247 01:07:23,330 --> 01:07:24,540 {\an8}そういう相手しかね 1248 01:07:24,623 --> 01:07:26,125 {\an8}だから私も もう 1249 01:07:26,208 --> 01:07:29,003 {\an8}できるだけ面白い手紙を 出しましたからね 1250 01:07:29,086 --> 01:07:31,464 だから あの ユーモアが好きな人ね 1251 01:07:31,547 --> 01:07:34,800 あー これは もうね 天才だと思いましたね 1252 01:07:34,884 --> 01:07:38,929 もうね あんな目見たことないです もう ランランとね輝いて 1253 01:07:39,013 --> 01:07:42,808 その小さい細いね 体にね 目だけがね 1254 01:07:42,892 --> 01:07:46,061 ホントにね 力強かったですよ 1255 01:07:46,145 --> 01:07:49,940 で あー これは こんな目の人はね もう見たことないと思ってね 1256 01:07:50,024 --> 01:07:53,986 あー これが天才の目かと思って 私 こう じっと見てた 1257 01:08:05,039 --> 01:08:09,752 (ナレーター)全共闘 小阪修平(しゅうへい)は 討論の矛先を 1258 01:08:09,835 --> 01:08:14,757 三島の思想の柱である天皇論へと あえて向けていった 1259 01:08:20,679 --> 01:08:22,890 まあ そのへんの関係から 話していって 1260 01:08:22,973 --> 01:08:24,934 少し何かに行きつくんじゃないか と思うんです 1261 01:08:25,017 --> 01:08:27,978 {\an8}これは例えば 真面目に言うんだけれども 1262 01:08:28,062 --> 01:08:29,814 {\an8}安田講堂で えー 1263 01:08:29,897 --> 01:08:32,191 {\an8}全学連の諸君が 立て籠もったときに 1264 01:08:32,274 --> 01:08:35,820 {\an8}天皇という言葉を ひと言 彼らが言えば 1265 01:08:35,903 --> 01:08:38,280 {\an8}私は喜んで一緒に 閉じ籠もったであろうし 1266 01:08:38,280 --> 01:08:39,073 {\an8}(観衆の笑い声) 私は喜んで一緒に 閉じ籠もったであろうし 1267 01:08:39,073 --> 01:08:39,156 {\an8}(観衆の笑い声) 1268 01:08:39,156 --> 01:08:41,283 {\an8}(観衆の笑い声) 1269 01:08:39,156 --> 01:08:41,283 喜んで一緒にやったと思う 1270 01:08:41,367 --> 01:08:43,786 これは 私はふざけて言ってるんじゃない 1271 01:08:43,869 --> 01:08:46,580 常々 言ってることである なぜなら 1272 01:08:46,664 --> 01:08:50,960 終戦前の昭和初年における 直接民主主義というものと… 1273 01:08:51,043 --> 01:08:53,712 あっ 直接民主主義じゃない 天皇親政というものと 1274 01:08:53,796 --> 01:08:54,630 {\an8}現在言われてる— 1275 01:08:54,713 --> 01:08:56,340 {\an8}直接民主主義と いうものには 1276 01:08:56,423 --> 01:08:59,677 {\an8}ほとんど政治概念上の 区別がないんです 1277 01:08:59,760 --> 01:09:02,596 {\an8}これは非常に空疎な 政治概念だが 1278 01:09:02,680 --> 01:09:06,725 {\an8}その中には 1つの共通要素がある 1279 01:09:06,809 --> 01:09:12,064 その共通要素は何かというと えー 人間の国民の意思が 1280 01:09:12,148 --> 01:09:15,860 えー 中間的な権力構造の媒介物を 経ないで 1281 01:09:15,943 --> 01:09:19,613 えー 国家意思と直結する ということを夢見ている 1282 01:09:19,697 --> 01:09:22,741 で この夢見ていることは 一度もかなえられなかったから 1283 01:09:22,825 --> 01:09:26,328 戦前のクーデターは みな失敗した しかしながら 1284 01:09:26,412 --> 01:09:29,915 えー これには天皇という二字が 戦前ついてた 1285 01:09:29,999 --> 01:09:32,793 えー それが 今はつかないのは 1286 01:09:32,877 --> 01:09:35,504 つけてもしょうがないと 諸君は思ってるだけで 1287 01:09:35,588 --> 01:09:39,884 これが ついて 日本の底辺の民衆に 1288 01:09:39,967 --> 01:09:41,343 どういう影響を与えるか ってことを 1289 01:09:41,427 --> 01:09:44,847 一度でも考えたことがあるか これは 本当に諸君が 1290 01:09:44,930 --> 01:09:47,516 心の底から考えれば それは くっついてこなきゃならんと 1291 01:09:47,600 --> 01:09:50,519 私は信じてる それが くっついたときには 1292 01:09:50,603 --> 01:09:52,897 成功しないものも 成功するかもしれないんだ 1293 01:09:52,980 --> 01:09:57,484 私が今 天皇 天皇と言うのは 今 まさに洞察されたように 1294 01:09:57,568 --> 01:10:01,906 今の天皇は 非常に私の考える天皇では 1295 01:10:01,989 --> 01:10:04,909 いらっしゃらないからこそ言える (観衆の笑い声) 1296 01:10:04,992 --> 01:10:07,328 そして この私の考える 天皇にしたいからこそ 1297 01:10:07,411 --> 01:10:10,789 私は言ってるんであって 確かに それはおっしゃるとおりだ 1298 01:10:10,873 --> 01:10:13,042 {\an8}しかし それを実現するには… 1299 01:10:14,210 --> 01:10:17,379 {\an8}うん それはそのとおりだ えー しかしだ… 1300 01:10:20,216 --> 01:10:22,676 {\an8}朕(ちん)はたらふく喰(く)っている というのはだね 1301 01:10:22,760 --> 01:10:26,388 それは共産党の諸君の嫌いな 民青なんかの考えそうな 1302 01:10:26,472 --> 01:10:30,434 非常に下劣な文章である ところが 天皇というものは 1303 01:10:30,517 --> 01:10:33,020 それほど堂々たる ブルジョアじゃないんだ 1304 01:10:33,103 --> 01:10:36,148 もし天皇が その たらふく喰っているような 1305 01:10:36,231 --> 01:10:39,485 堂々たるブルジョアであったら 革命ってのは もっと容易であった 1306 01:10:39,568 --> 01:10:42,279 それでないからこそ 革命は難しいんじゃないか 1307 01:10:42,363 --> 01:10:45,950 (学生)そうだね (三島)そして その難しさの中でだね 1308 01:10:46,033 --> 01:10:48,494 諸君は戦い 僕だって戦ってるんだ 1309 01:10:48,577 --> 01:10:51,121 {\an8}それはね 日本の民衆の 底辺にあるものなんだよ 1310 01:10:51,205 --> 01:10:54,124 {\an8}それを天皇と呼んでいいか どうかは分からない 1311 01:10:54,208 --> 01:10:56,961 たまたま僕は 天皇という名前を そこに与えるわけだ 1312 01:10:57,044 --> 01:10:59,421 それをキャッチしなければだね 諸君も成功しないし 1313 01:10:59,505 --> 01:11:00,714 僕も成功しない 1314 01:11:01,507 --> 01:11:02,675 {\an8}三島が言った 天皇っていうのは 1315 01:11:02,758 --> 01:11:04,843 {\an8}ある意味 絶対権力のことです 1316 01:11:06,011 --> 01:11:10,516 {\an8}日本社会全体の 救済概念ですね 1317 01:11:11,183 --> 01:11:14,478 {\an8}日本の文化 伝統とは何か 1318 01:11:15,020 --> 01:11:20,609 {\an8}えー その つまるところは 天皇に集約されると 1319 01:11:20,693 --> 01:11:22,194 {\an8}日本人を突き動かす— 1320 01:11:22,278 --> 01:11:24,738 {\an8}無意識的な エネルギーの源泉 1321 01:11:24,822 --> 01:11:28,242 {\an8}まあ それを一気に こう グーッと 1322 01:11:28,325 --> 01:11:30,786 {\an8}フォーカスするような象徴 っていうんでしょうかね 1323 01:11:30,869 --> 01:11:32,830 政治的表象って いうんでしょうかね 1324 01:11:32,913 --> 01:11:36,750 それを まあ三島由紀夫の場合は 天皇という言い方をしてるわけで 1325 01:11:38,127 --> 01:11:41,338 諸君にとっては 僕の行動は まったく みっともない 1326 01:11:41,422 --> 01:11:44,008 自衛隊なんか入って 何か 1327 01:11:44,091 --> 01:11:45,175 ミリタリールック 着たりなんかして 1328 01:11:45,259 --> 01:11:47,970 みっともないと言うだろうが 私に言わせれば 1329 01:11:48,053 --> 01:11:52,391 あんな覆面かぶって 大掃除の 手伝いみたいのも みっともない 1330 01:11:52,474 --> 01:11:55,102 これは私に言わせれば そうなんであって 1331 01:11:55,185 --> 01:11:57,021 {\an8}行動の無効性 ということについちゃあ 1332 01:11:57,104 --> 01:12:00,149 {\an8}五十歩百歩だと 私 今んとこ信じてる 1333 01:12:00,232 --> 01:12:02,359 {\an8}何とかして これを 有効性に持ってくときには 1334 01:12:02,443 --> 01:12:03,902 {\an8}殺し合うときだ 1335 01:12:03,986 --> 01:12:06,864 今 殺し合う時機であれば お互いに殺し合う 1336 01:12:06,947 --> 01:12:09,158 しかし そこまでいかなきゃ 最後の話は 1337 01:12:09,241 --> 01:12:12,077 つかないんじゃないか ということを私は言いたいんです 1338 01:12:19,126 --> 01:12:21,754 (内田)三島… あの人とおんなじ 問題意識持ってるのは 1339 01:12:21,837 --> 01:12:25,132 1930年代生まれの 方たちですよね 大体 1340 01:12:25,215 --> 01:12:27,843 敗戦のときにティーンエージャー だった人ですね 1341 01:12:27,926 --> 01:12:30,846 この人たちは やっぱり みんな あの 戦争で死ぬっていうこと 1342 01:12:30,929 --> 01:12:33,557 男の子の場合 みんな覚悟していたわけであって 1343 01:12:33,640 --> 01:12:35,267 そのことに対して 特にですね 1344 01:12:35,350 --> 01:12:38,812 もう 自然に受け入れていた ということが多いわけですよね 1345 01:12:38,896 --> 01:12:40,939 {\an8}国運と個人的な運命が 1346 01:12:41,023 --> 01:12:43,067 {\an8}完全にシンクロしている っていう経験を 1347 01:12:43,150 --> 01:12:44,777 {\an8}子供のころ 持ってるわけですよね 1348 01:12:44,860 --> 01:12:46,987 それが8月15日に バクッとなくなってしまって 1349 01:12:47,071 --> 01:12:49,615 国は国 個人は個人で 1350 01:12:49,698 --> 01:12:51,450 国のことは もう どうなるか 分からないってことですね 1351 01:12:51,533 --> 01:12:53,577 もう アメリカの属国に なってしまって 1352 01:12:53,660 --> 01:12:55,913 主権も持たない 国家になってしまったと 1353 01:12:55,996 --> 01:12:58,415 で それを どうやって 取り戻そうかというですね 1354 01:12:58,499 --> 01:13:02,252 あの もう一度 国の運命と 自分の個人的な運命が 1355 01:13:02,336 --> 01:13:05,714 リンクしてるという あの ある種の こう 陶酔感ですかね 1356 01:13:05,798 --> 01:13:09,760 高揚感みたいなものを もう一回 経験したいっていう 1357 01:13:09,843 --> 01:13:11,386 欠落感みたいなものってのを 1358 01:13:11,470 --> 01:13:14,181 この世代に わりと固有であるんですよね 1359 01:13:14,848 --> 01:13:19,061 三島は やっぱり 10代の一番 多感な時期を 1360 01:13:19,144 --> 01:13:22,231 第二次世界大戦の末期で 過ごしてるわけですよね 1361 01:13:22,314 --> 01:13:27,528 やっぱり天皇の名において 自分と年の変わらない人たちが 1362 01:13:27,611 --> 01:13:30,823 たくさん死んでますから その事実の中で 1363 01:13:30,906 --> 01:13:34,118 生き残ってしまった自分を どうするのかってことが 1364 01:13:34,201 --> 01:13:36,703 戦後の三島にとって 非常に大きなテーマで 1365 01:13:36,787 --> 01:13:41,792 特に彼が30代の間は 戦後社会に適応しようとする 1366 01:13:41,875 --> 01:13:46,713 まあ非常にこう 涙ぐましいまでの 努力の期間があったんですよね 1367 01:13:46,797 --> 01:13:50,300 ところがですね 彼が40代になって 1368 01:13:50,384 --> 01:13:53,178 もう一度 天皇っていうのが 復活してきたときに 1369 01:13:53,262 --> 01:13:56,140 その天皇に どういう役割を 与えるかっていうとですね 1370 01:13:56,223 --> 01:13:58,559 ここが発想の転換なんですけど 1371 01:13:58,642 --> 01:14:01,854 かつては 現実を阻害するものとして 1372 01:14:01,937 --> 01:14:04,398 自分を現実から 引き剥がしてしまうものとして 1373 01:14:04,481 --> 01:14:07,359 捉えてた天皇に そうじゃなくて 1374 01:14:07,443 --> 01:14:10,654 その 天皇が持ってる 現実との対立性を 1375 01:14:10,737 --> 01:14:14,158 {\an8}むしろ現実を 積極的に批判するための 1376 01:14:14,241 --> 01:14:17,202 {\an8}根拠というふうに 読み替えていくんですね 1377 01:14:18,078 --> 01:14:22,082 天皇に代表されるような 日本文化っていうものが 1378 01:14:22,166 --> 01:14:25,544 現実の戦後社会の堕落に対して 批判的な力を 1379 01:14:25,627 --> 01:14:27,838 能動的な力を 持ちうるんだっていうのが 1380 01:14:27,921 --> 01:14:30,549 40代以降の三島の 天皇の読み替えの 1381 01:14:30,632 --> 01:14:31,758 一つの大きなとこなんですね 1382 01:14:31,842 --> 01:14:34,761 だからこそ 現実批判をするんだったら 1383 01:14:34,845 --> 01:14:38,557 君たちは天皇の名において やらないといけないってことを 1384 01:14:38,640 --> 01:14:42,269 あの 全共闘の学生たちに 訴えるわけです 1385 01:14:43,145 --> 01:14:46,940 実際に全共闘の 観衆の人たちは 1386 01:14:47,024 --> 01:14:49,234 笑うしかなかったわけですね 1387 01:14:49,318 --> 01:14:51,695 どうして笑ったのかというと 1388 01:14:51,778 --> 01:14:54,489 怒るというほどのことでも ないほど 1389 01:14:54,573 --> 01:14:56,992 意表をつかれたのだと 思いますけれども 1390 01:14:57,075 --> 01:14:59,036 まあ ある種 一瞬 緊張がほどけてしまって 1391 01:14:59,119 --> 01:15:02,581 笑うしかなかった どう対応していいか分からないと 1392 01:15:02,664 --> 01:15:05,042 それが あの場面だったと思います 1393 01:15:07,085 --> 01:15:09,755 {\an8}私が人間天皇と 言うときには… 1394 01:15:14,593 --> 01:15:16,553 {\an8}それで どうなんですか? それで 1395 01:15:16,637 --> 01:15:19,515 だからですね 私は天皇というものに 1396 01:15:19,598 --> 01:15:23,602 その 昔の神ながらの 天皇というものの 1397 01:15:23,685 --> 01:15:25,729 えー 一つの流れをですね ええ 1398 01:15:25,812 --> 01:15:27,314 もう一度 再現したいと 思ってるわけですよね 1399 01:15:27,397 --> 01:15:29,775 {\an8}それと 自己を一体化 させたいというところに 1400 01:15:29,858 --> 01:15:31,443 {\an8}美を見いだすわけ? (三島)あっ そうですね 1401 01:15:31,527 --> 01:15:33,070 {\an8}これは単なる あれですよね 1402 01:15:33,153 --> 01:15:36,281 {\an8}一種のオナニズムだし イマージュと自己の 1403 01:15:36,365 --> 01:15:39,159 そうすると 事物に対して 何ら なすすべないわけですが 1404 01:15:39,243 --> 01:15:42,162 そうじゃなくてね 日本文化っていうものはだね 1405 01:15:42,246 --> 01:15:43,622 そういうものが… (芥)あなたは だから 1406 01:15:43,705 --> 01:15:45,541 日本人であるという限界を 超えることは 1407 01:15:45,624 --> 01:15:46,792 できなくなってしまう ってことでしょう 1408 01:15:46,875 --> 01:15:48,460 (三島)ああ できなくていいんだよ (芥)あっ いいんですね 1409 01:15:48,543 --> 01:15:51,880 僕はね 日本人であって 日本人として生まれ 1410 01:15:51,964 --> 01:15:53,882 日本人として死んで それでいいんだ 1411 01:15:53,966 --> 01:15:56,843 その限界は 全然 僕は抜けたいと思わない 1412 01:15:56,927 --> 01:15:58,929 僕自身 うん (芥)うん 1413 01:15:59,012 --> 01:16:01,181 だから まあ あなたから見りゃ かわいそうだと思うだろうが 1414 01:16:01,265 --> 01:16:02,641 非常に それは思いますよね 僕なんかは 1415 01:16:02,724 --> 01:16:05,477 しかし やっぱり 僕は日本人である以上の 1416 01:16:05,560 --> 01:16:07,646 日本人以外のものでありたいと 思わないんだな 1417 01:16:07,729 --> 01:16:09,940 しかし日本 日本人というのは 1418 01:16:10,023 --> 01:16:12,442 どこに 事物としてあるわけですか? 1419 01:16:12,526 --> 01:16:15,028 事物としてはね 外国行きゃ分かりますよ 1420 01:16:15,112 --> 01:16:17,322 あなた どんなにね 英語しゃべってると 1421 01:16:17,406 --> 01:16:19,241 自分はね 日本人じゃないような 気がするんですね 1422 01:16:19,324 --> 01:16:21,702 英語が多少うまくなると そして 道を歩いてて 1423 01:16:21,785 --> 01:16:24,997 ショーウインドーにね 姿が映ると このとおり胴長でね 1424 01:16:25,080 --> 01:16:28,166 そして 鼻もそう高くないし “あっ 日本人が歩いてる” 1425 01:16:28,250 --> 01:16:30,460 “誰だろう”と思うと てめえなんだな 1426 01:16:30,544 --> 01:16:32,504 これは どうしてもね 外国へ行くと痛感するね 1427 01:16:32,587 --> 01:16:36,758 しかし 人間すら事物にまで 行かないかぎり無理ですよ 1428 01:16:36,842 --> 01:16:38,927 あー その 国籍を脱却することは? 1429 01:16:39,011 --> 01:16:41,722 脱却っていうより むしろ 最初から国籍はないんであって 1430 01:16:41,805 --> 01:16:44,516 ああ あなた国籍がないわけだろ? 1431 01:16:44,600 --> 01:16:47,477 あなたは自由人として 僕は尊敬する それでいいよね 1432 01:16:47,561 --> 01:16:49,396 だけども 僕はだね 国籍を持って 1433 01:16:49,479 --> 01:16:51,648 日本人であることを 自分じゃ のけられないと 1434 01:16:51,732 --> 01:16:53,609 これは僕 自分の宿命であると 信じてるわけだ 1435 01:16:53,692 --> 01:16:56,194 それは意思の関係づけで やられてるわけですよね 1436 01:16:56,278 --> 01:16:57,487 そうそう 1437 01:16:57,571 --> 01:16:59,323 だから当然 歴史にもやられちゃうわけだし 1438 01:16:59,406 --> 01:17:01,617 うん やられちゃうっていうか つまり歴史にやられたい… 1439 01:17:01,700 --> 01:17:03,035 むしろ いるということに 1440 01:17:03,118 --> 01:17:05,537 ああ そういうことに喜びを感じる 1441 01:17:05,621 --> 01:17:07,080 うん (芥)幻想の中で? 1442 01:17:07,164 --> 01:17:08,874 (三島)ああ 幻想の中で (芥)うん 1443 01:17:08,957 --> 01:17:11,293 だからこそ 人殺しになったときから 1444 01:17:11,376 --> 01:17:13,879 動きだすっていうわけでしょう まあ 実際 動くか動かないか 1445 01:17:13,962 --> 01:17:15,297 分からないけれども (三島)そりゃ分からんけれどもね 1446 01:17:15,380 --> 01:17:19,509 そういうふうな つまり 精神構造になってしまうんだね 1447 01:17:19,593 --> 01:17:22,888 もう俺帰るわ 退屈だから (笑い声) 1448 01:17:22,971 --> 01:17:24,139 (芥)ごめんね (木村)あー いえいえ 1449 01:17:24,222 --> 01:17:25,807 (芥)じゃ どうも (三島)はい 1450 01:17:25,891 --> 01:17:28,143 もうちょっと この認識の 問題について話を関連して 1451 01:17:28,226 --> 01:17:30,437 まあ もうちょっと深く 掘り下げたいと思います 1452 01:17:30,520 --> 01:17:34,274 えー 三島氏はですね さっき… 時間 空間の超越としての美 1453 01:17:34,358 --> 01:17:35,609 それがまあ 創作… 1454 01:17:35,692 --> 01:17:38,403 ホントに 三島由紀夫は誠実にですね 1455 01:17:38,487 --> 01:17:42,199 この1000人を 説得しようと思ってんですよね 1456 01:17:42,282 --> 01:17:46,662 三島由紀夫はひと言も 自分の相手に対してですね 1457 01:17:46,745 --> 01:17:49,456 困らせてやろうっていうね 相手を追い詰めてやろうとか 1458 01:17:49,539 --> 01:17:52,000 絶句させてやろうとかね 論理矛盾を指摘するとかですね 1459 01:17:52,084 --> 01:17:54,753 1回もしてないんですよ ホントに 1460 01:17:54,836 --> 01:17:58,298 これは やっぱりね 大したもんだと思いますね 1461 01:18:05,305 --> 01:18:10,227 (ナレーター)この時期 三島は 青年たちと対話の時間を割いていた 1462 01:18:11,061 --> 01:18:13,939 各大学での討論集会に出向き 1463 01:18:15,816 --> 01:18:21,738 楯の会の若者たちと語り合い 汗を流し 同じ釜の飯を食った 1464 01:18:22,322 --> 01:18:24,574 もう何やるにしても その 1465 01:18:25,826 --> 01:18:27,452 もう必死になってね 1466 01:18:27,536 --> 01:18:29,079 まあ あの… 1467 01:18:30,163 --> 01:18:32,582 私らは まあ まだ二十歳そこそこですが 1468 01:18:32,666 --> 01:18:34,960 もう 先生 40も過ぎてますから 1469 01:18:35,043 --> 01:18:37,212 体力的には私らのほうが 断然あるんですけども 1470 01:18:37,295 --> 01:18:40,298 しかし あの どういう訓練やってもね 1471 01:18:40,382 --> 01:18:41,883 音を上げないでね 1472 01:18:41,967 --> 01:18:46,012 あの 最後まで あるいは学生を凌駕(りょうが)してね 1473 01:18:46,096 --> 01:18:48,223 その訓練を終えるっていう 1474 01:18:49,307 --> 01:18:51,435 まあ手を抜かないですよね 絶対ね 1475 01:18:51,518 --> 01:18:53,353 そういう姿勢に みんな— 1476 01:18:53,437 --> 01:18:55,188 ひかれたと思いますよね 1477 01:18:57,399 --> 01:19:01,319 あの 三島さんって人は 僕なんかのイメージとしては 1478 01:19:01,403 --> 01:19:03,905 あの もともと青年が 嫌いだって おっしゃって… 1479 01:19:03,989 --> 01:19:07,325 公言された方だという 認識があったんですよ 1480 01:19:07,409 --> 01:19:09,035 分かったのは 1481 01:19:09,119 --> 01:19:12,789 三島さんってのは 青年が嫌いじゃない 1482 01:19:12,873 --> 01:19:15,292 青年の物の考え方 1483 01:19:15,375 --> 01:19:19,129 あの 何ていうんですか 首から上でしか物を考えない 1484 01:19:19,212 --> 01:19:20,881 えー 1485 01:19:20,964 --> 01:19:25,218 そして 世の中の流行だとか そういうものに流れてしまう 1486 01:19:25,761 --> 01:19:27,929 流れてしまいがちな この… 1487 01:19:28,805 --> 01:19:33,226 足が こう 地についてない そういう若者は嫌いだと 1488 01:19:36,813 --> 01:19:39,858 (ナレーター)「平凡パンチ」の 若き編集者 椎根が 1489 01:19:39,941 --> 01:19:43,695 三島の剣道の腕を からかう記事を書いたとき 1490 01:19:43,779 --> 01:19:46,865 三島の反応は意外なものだった 1491 01:19:47,574 --> 01:19:52,120 ちょうど 剣道のね 実力は 1492 01:19:52,204 --> 01:19:55,832 初段だ 名誉4段だ なんていう記事を書いたあと 1493 01:19:55,916 --> 01:19:59,252 すぐ三島から 電話がかかってきて 1494 01:19:59,336 --> 01:20:03,632 あの その記事については 何も言わないで 1495 01:20:03,715 --> 01:20:07,052 “君は あの 剣道やらんかね” っていうことで 1496 01:20:07,135 --> 01:20:10,931 “あっ やります”って言ったら “じゃあ あの 弟子にしてやる” 1497 01:20:11,014 --> 01:20:12,807 “僕の弟子にしてやる”って 1498 01:20:12,891 --> 01:20:18,188 それで あの 碑文谷(ひもんや)のね 道場で 約 それから2年間 1499 01:20:18,271 --> 01:20:23,610 毎週日曜日 2時間半ぐらいね やって 1500 01:20:23,693 --> 01:20:26,905 剣道を習いに行くのに 1501 01:20:26,988 --> 01:20:31,868 あの 板橋(いたばし)警察に 行きましたけれども 1502 01:20:31,952 --> 01:20:37,290 その帰りには必ず 板橋警察の前にですね 1503 01:20:37,374 --> 01:20:39,376 おすし屋さんがありまして 1504 01:20:39,459 --> 01:20:43,630 そこで あの ホントに 1505 01:20:43,713 --> 01:20:46,925 もう その当時 学生の身分としてはね 1506 01:20:47,008 --> 01:20:51,137 もう大変なぜいたくだったと 思うんですが 1507 01:20:51,221 --> 01:20:55,976 大トロのすし 1508 01:20:56,643 --> 01:20:58,687 ドンドンドンドン 1509 01:20:59,854 --> 01:21:03,608 おいしい大トロの 食べたことのないような 1510 01:21:03,692 --> 01:21:08,738 大トロのおすしを頂きましたね 毎回毎回 1511 01:21:08,822 --> 01:21:12,784 お前ら 女性とのつきあい 知らねえから 1512 01:21:12,868 --> 01:21:13,785 ねっ 1513 01:21:14,619 --> 01:21:17,122 ちょっと来いみたいなことで 行くとね 1514 01:21:17,205 --> 01:21:19,833 どこで集めたんだか 分かんないけど 1515 01:21:19,916 --> 01:21:21,209 今でいう スッチーさんですよね 1516 01:21:21,293 --> 01:21:25,171 スチュワーデスさん 海外航空なんかのね 1517 01:21:25,255 --> 01:21:28,717 が 何人もいる所へ先生が… 1518 01:21:28,800 --> 01:21:30,844 まだ制服なんかないころですよ 1519 01:21:33,096 --> 01:21:35,432 で 一緒に夜通し遊んでくれたりね 1520 01:21:38,310 --> 01:21:39,978 (ナレーター)一方で三島は 1521 01:21:40,061 --> 01:21:42,772 厳しい一面を見せることもあった 1522 01:21:43,732 --> 01:21:48,278 日本刀か何かでね その さらしを巻いて 1523 01:21:49,779 --> 01:21:55,243 心臓を一突きにして 自決したという 1524 01:21:55,327 --> 01:21:58,830 私の先輩の 知り合いですけども 1525 01:21:58,913 --> 01:22:01,041 まあ そういう話を聞いたんで 1526 01:22:01,124 --> 01:22:03,460 で そういう話をしたんですよね 1527 01:22:03,543 --> 01:22:07,505 そしたら “理由は何だ”って聞かれたからね 1528 01:22:07,589 --> 01:22:12,385 “いやあ 何かね 神経衰弱だった みたいです”って言ったらね 1529 01:22:15,138 --> 01:22:16,848 顔 真っ赤にしてね 1530 01:22:20,852 --> 01:22:26,107 “自殺するとね すぐ 神経衰弱とか そうやって片づける” 1531 01:22:29,986 --> 01:22:32,948 “とんでもないことだ!”って 怒られましたね 1532 01:22:33,740 --> 01:22:34,616 はい 1533 01:22:35,408 --> 01:22:38,119 本気になって怒ってましたね 真っ赤になってね 1534 01:22:40,664 --> 01:22:43,500 {\an8}やっぱり あの… 1535 01:22:43,583 --> 01:22:45,877 {\an8}お若い人たちをね 好きだったじゃないですか 1536 01:22:45,961 --> 01:22:48,922 {\an8}優しいじゃないですか とても優しい目だし 1537 01:22:49,005 --> 01:22:50,924 {\an8}それから話し方もね あの 1538 01:22:51,007 --> 01:22:55,053 {\an8}よく話を聞いてあげて 丁寧に答えたでしょ 1539 01:22:55,136 --> 01:22:57,764 優しいんですよね 大体ね 1540 01:23:01,559 --> 01:23:05,230 (ナレーター) 三島は思いがけない話を始めた 1541 01:23:06,064 --> 01:23:07,649 こんなことを言うと 僕はね 1542 01:23:07,732 --> 01:23:09,609 もう 揚げ足取られるから 言いたくないんだけどもね 1543 01:23:09,693 --> 01:23:11,736 1つ 個人的な感想を聞いてください 1544 01:23:11,820 --> 01:23:12,862 というのはだね 1545 01:23:12,946 --> 01:23:15,949 {\an8}僕らは つまり 戦争中に生まれた人間でね 1546 01:23:16,032 --> 01:23:18,076 {\an8}こういうとこに 陛下が立ってて 1547 01:23:18,159 --> 01:23:19,077 {\an8}まあ 座っておられたら 1548 01:23:19,160 --> 01:23:22,205 {\an8}3時間 全然 微動もしない姿を見てる 1549 01:23:22,288 --> 01:23:23,248 {\an8}とにかく3時間 1550 01:23:23,331 --> 01:23:26,376 {\an8}全然 木像のごとく 微動もしない 卒業式で 1551 01:23:26,459 --> 01:23:29,421 で その後 天皇から私は時計をもらった 1552 01:23:31,548 --> 01:23:32,507 {\an8}(ナレーター)三島は 1553 01:23:32,590 --> 01:23:36,261 {\an8}学習院高等科を 首席で卒業した際 1554 01:23:36,344 --> 01:23:39,597 {\an8}天皇から 銀時計を授与されていた 1555 01:23:41,015 --> 01:23:41,933 {\an8}(三島) そういうね つまり 1556 01:23:42,016 --> 01:23:43,351 個人的な恩顧があるんだな 1557 01:23:43,435 --> 01:23:46,730 こんなこと言いたくないよ 俺は 言いたくないけれどもだね 1558 01:23:46,813 --> 01:23:49,983 人間の1人の個人的な歴史の中で そういうことがあるんだ 1559 01:23:50,066 --> 01:23:52,777 そしてね それは どうしても 否定できないんだ 俺の中でね 1560 01:23:52,861 --> 01:23:56,197 それは とても立派だった そのときの天皇は 1561 01:23:56,281 --> 01:23:58,783 まあ 昭和天皇自身に対する 三島の 1562 01:23:58,867 --> 01:24:02,746 非常にアンビバレントな感情が またあるんですね 1563 01:24:02,829 --> 01:24:05,039 {\an8}「英霊の聲(こえ)」を 読むかぎり 1564 01:24:05,123 --> 01:24:08,168 {\an8}あるいは この討論の 中でも言ってますけど 1565 01:24:08,251 --> 01:24:10,879 {\an8}あの 昭和天皇個人に 対してはね 1566 01:24:10,962 --> 01:24:14,924 {\an8}かなり彼は批判的な面が あるんですよね 1567 01:24:17,093 --> 01:24:18,261 {\an8}だけど もう一方で 1568 01:24:18,344 --> 01:24:21,181 {\an8}学習院に 昭和天皇が来たときにはね 1569 01:24:21,264 --> 01:24:24,726 {\an8}何時間も微動だにせず そこにいたっていうことを 1570 01:24:24,809 --> 01:24:27,979 {\an8}あの いろいろな場所で 非常に強調するんですね 1571 01:24:28,063 --> 01:24:29,814 {\an8}で それに 非常に感銘を受けたと 1572 01:24:29,898 --> 01:24:31,024 これはですね 1573 01:24:31,107 --> 01:24:32,650 なかなか聞いてる側は すんなりと 1574 01:24:32,734 --> 01:24:36,905 共感しにくいところなんですけど 三島の中には やっぱり 1575 01:24:36,988 --> 01:24:40,909 そういう あの 少年時代に経験した 1576 01:24:40,992 --> 01:24:43,328 個人としての昭和天皇 っていうものも 1577 01:24:43,411 --> 01:24:46,706 一方では存在してるんですよね 1578 01:24:48,166 --> 01:24:51,336 (ナレーター) 全共闘 小阪は反撃に出る 1579 01:24:53,004 --> 01:24:54,881 天皇という観念を 1580 01:24:54,964 --> 01:24:58,468 {\an8}三島も全共闘も 共有できるのならば 1581 01:24:58,551 --> 01:25:00,303 {\an8}わざわざ 名前をつける必要は 1582 01:25:00,386 --> 01:25:02,680 {\an8}ないだろうと問いかけた 1583 01:25:03,973 --> 01:25:05,141 {\an8}まあ 論理はさっきから 1584 01:25:05,225 --> 01:25:07,310 {\an8}一貫してると思うんです 僕の 1585 01:25:07,393 --> 01:25:10,104 {\an8}で それを 答えてもらいたいと 1586 01:25:12,440 --> 01:25:15,527 それは もうね 論理は確かに 一貫してるけれども 1587 01:25:15,610 --> 01:25:17,737 僕は論理のとおりに 行動しようと思ってない 1588 01:25:17,821 --> 01:25:20,698 つまり意地だ もうね ここまできたらだね 1589 01:25:20,782 --> 01:25:24,118 あの… 意地だ (観衆の笑い声と拍手) 1590 01:25:24,202 --> 01:25:26,246 ひとまずね えー これはね 1591 01:25:26,329 --> 01:25:29,249 あなた方に論理的に負けた ということを意味しない 1592 01:25:29,332 --> 01:25:32,502 つまりね えー 天皇を天皇と言ってだね 1593 01:25:32,585 --> 01:25:36,089 諸君がひと言 言ってくれれば 俺は喜んで諸君と手をつなぐのに 1594 01:25:36,172 --> 01:25:38,341 言ってくれないから いつまでたってもね 1595 01:25:38,424 --> 01:25:40,510 殺す殺すって 言ってるだけのことさ 1596 01:25:40,593 --> 01:25:41,636 それだけさ 1597 01:25:43,638 --> 01:25:45,932 左翼と右翼の 対立っていうのは 1598 01:25:46,015 --> 01:25:47,475 あの 本質的なもんじゃない っていうのは 1599 01:25:47,559 --> 01:25:50,103 たぶん 三島由紀夫は分かっていて 1600 01:25:50,186 --> 01:25:54,023 で 全共闘運動も それまでの あの 1601 01:25:54,107 --> 01:25:57,402 日本共産党とか社会党のような 左翼と比べると 1602 01:25:57,485 --> 01:25:59,863 そうではなくって あの… 1603 01:25:59,946 --> 01:26:02,115 本質的な対立ってのは そこじゃないと 1604 01:26:02,198 --> 01:26:03,575 もっと違うところにあると 1605 01:26:03,658 --> 01:26:07,704 あの 68年 69年までの 全共闘の運動っていうのは 1606 01:26:07,787 --> 01:26:10,957 60年安保の ほぼ直接的な延長なんですよね 1607 01:26:11,040 --> 01:26:12,250 あの 形は変わりましたけども 1608 01:26:12,333 --> 01:26:15,503 {\an8}これ 本質は 反米愛国運動なんですよね 1609 01:26:16,004 --> 01:26:19,674 {\an8}だから あの 三島は 直感力がありますから 1610 01:26:19,757 --> 01:26:21,301 {\an8}全共闘運動の本質が 1611 01:26:21,384 --> 01:26:22,760 {\an8}反米愛国の 運動であるってのが 1612 01:26:22,844 --> 01:26:24,762 分かってるんですよ ナショナリズムだってのはね 1613 01:26:24,846 --> 01:26:26,931 だから 共闘できるって 言ってるんですよね 1614 01:26:27,015 --> 01:26:31,978 そういう意味では 右と左の 議論にはなんないだろうね 1615 01:26:32,061 --> 01:26:34,355 で 三島自身は その既成右翼が全部 1616 01:26:34,439 --> 01:26:37,692 アメリカ万歳になったことに 対する怒りだから 1617 01:26:38,234 --> 01:26:41,112 で それは真の独立を目指す 1618 01:26:41,195 --> 01:26:45,825 全共闘諸君と似てるから 一緒にやってもいいが 1619 01:26:45,909 --> 01:26:48,036 ただし 天皇万歳と 言わなきゃダメだというのは 1620 01:26:48,119 --> 01:26:50,872 はなから我々を バカにしてるんだからね 1621 01:26:50,955 --> 01:26:53,041 (監督)右翼左翼の 対立じゃなかったとすると 1622 01:26:53,124 --> 01:26:56,878 {\an8}共通の敵と言えるものは 一体何になるんですか? 1623 01:26:56,961 --> 01:26:58,046 だから… 1624 01:27:10,850 --> 01:27:14,145 (ナレーター)真っ向から 対立すると思われた両者は 1625 01:27:14,229 --> 01:27:17,106 実は同じ敵と戦っていたのだ 1626 01:27:27,450 --> 01:27:30,036 さまざまな議論が 交わされた討論も 1627 01:27:30,119 --> 01:27:32,163 終わりを迎えようとしていた 1628 01:27:32,956 --> 01:27:35,541 で 一応 まあ 討論はこれで終わりにして 1629 01:27:35,625 --> 01:27:38,336 あとは三島さんのほうから 若干の感想を述べていただいて 1630 01:27:38,419 --> 01:27:40,880 それで一応 この集会を まあ 終わりたいと思います 1631 01:27:40,964 --> 01:27:42,256 (ナレーター)そのとき 1632 01:27:42,340 --> 01:27:45,218 (学生)あの これは会場の諸君とは 関係ないんですけど 1633 01:27:45,301 --> 01:27:47,512 僕から 三島氏への呼びかけですけど 1634 01:27:50,014 --> 01:27:51,683 {\an8}それで さっき あなたは 1635 01:27:51,766 --> 01:27:52,850 {\an8}こういうことを おっしゃった 1636 01:27:52,934 --> 01:27:55,270 “安田講堂に入るにあたって もし諸君が” 1637 01:27:55,353 --> 01:27:59,649 “天皇という言葉を口にしたならば 喜んで戦う”と 1638 01:28:00,900 --> 01:28:02,777 (ナレーター)彼はこう続けた 1639 01:28:19,877 --> 01:28:24,507 いやあ 今の言葉は 非常に えー 感銘が深く聞きました 1640 01:28:24,590 --> 01:28:27,260 私はここで あの… 1641 01:28:27,343 --> 01:28:30,346 つまり 既成概念の破壊 ということについては 1642 01:28:30,430 --> 01:28:35,310 私も えー 長いこと 多少とも 1643 01:28:35,393 --> 01:28:38,813 えー 文学者として多少 やってきたつもりでありますが 1644 01:28:38,896 --> 01:28:42,650 それが いつの間にか 既成概念の何と言いますか 1645 01:28:42,734 --> 01:28:47,238 権化のように扱われたことに えー ある… 1646 01:28:47,322 --> 01:28:51,242 えー 何というか うれしさ… うれしさじゃないな 1647 01:28:51,326 --> 01:28:53,453 何ほどかを感じて ここに立っている 1648 01:28:53,536 --> 01:29:00,585 それで えー 今 天皇ということを 口にしただけで共闘すると言った 1649 01:29:00,668 --> 01:29:04,088 えー これは言霊というものの 働きだと思うんですね 1650 01:29:04,172 --> 01:29:06,174 それで えー 彼が天皇ということを 1651 01:29:06,257 --> 01:29:08,217 口にするのも けがらわしかったのが 1652 01:29:08,301 --> 01:29:13,473 この2時間のシンポジウムの間に あんなに大勢の人間が 1653 01:29:13,556 --> 01:29:17,060 たとえ悪口にしろ 天皇なんて たくさん言ったはずがない 1654 01:29:17,143 --> 01:29:22,148 言葉は言葉を呼んで 翼を持って この部屋の中を飛び回ったんです 1655 01:29:22,231 --> 01:29:24,192 で この言霊が どっかに 1656 01:29:24,275 --> 01:29:26,569 どんなふうに残るかは 知りませんけれども 1657 01:29:26,652 --> 01:29:28,613 その言葉を 言霊を 1658 01:29:28,696 --> 01:29:32,742 私はここに とにかく残して ここを去ってくんで 1659 01:29:32,825 --> 01:29:34,702 これも問題提起にすぎない 1660 01:29:34,786 --> 01:29:39,874 私は諸君の熱情は信じます これだけは信じます 1661 01:29:39,957 --> 01:29:41,501 他のものは 一切信じないにしても 1662 01:29:41,584 --> 01:29:44,337 これだけは信じるということを 分かっていただきたい 1663 01:29:49,300 --> 01:29:50,885 共闘するか しないか… 1664 01:29:59,727 --> 01:30:02,230 (観衆の笑い声と拍手) 1665 01:30:02,313 --> 01:30:03,981 では これで終わります 1666 01:30:08,861 --> 01:30:10,655 それでは… 1667 01:30:15,409 --> 01:30:16,577 {\an8}(ナレーター)三島は 1668 01:30:16,661 --> 01:30:21,749 {\an8}“概して私の全共闘訪問は 愉快な経験であった”と 1669 01:30:21,833 --> 01:30:23,334 {\an8}振り返っている 1670 01:30:24,293 --> 01:30:27,922 三島は 1000人の全共闘を相手取り 1671 01:30:28,005 --> 01:30:30,591 堂々と討論を戦い抜いた 1672 01:30:31,926 --> 01:30:34,971 {\an8}文学畑では あの えー 1673 01:30:35,054 --> 01:30:37,140 {\an8}非常な ビッグネームであるね 1674 01:30:37,223 --> 01:30:41,894 {\an8}えー 三島由紀夫という 人がわざわざ会いに来て 1675 01:30:41,978 --> 01:30:46,816 {\an8}で 討論しよう 同じ土俵に乗ってくれて 1676 01:30:46,899 --> 01:30:51,779 で 勝つか負けるか 説得するかされるか 1677 01:30:51,863 --> 01:30:54,699 真剣に一応やっているって 1678 01:30:55,408 --> 01:30:59,328 意見の違いはともあれ これは私たちに対する 1679 01:30:59,412 --> 01:31:00,997 リスペクトであり 1680 01:31:01,080 --> 01:31:03,958 ビッグプレゼントである っていうふうに 1681 01:31:04,041 --> 01:31:05,960 みんな思ったんじゃないだろうか 1682 01:31:06,043 --> 01:31:10,756 いや それはもう痛快だったと 面白かったと 1683 01:31:10,840 --> 01:31:14,927 あの ひたすら そう言ってましたね 1684 01:31:15,011 --> 01:31:18,181 先生も満足してらした みたいですよ 1685 01:31:18,973 --> 01:31:22,059 諸君の熱情を信じたいと で 応えてくれと 1686 01:31:22,143 --> 01:31:24,228 僕の期待に応えてくれないか という こう 1687 01:31:24,312 --> 01:31:26,189 オープンエンドなんですよね あれね 1688 01:31:26,272 --> 01:31:30,526 俺のために あと一歩 踏み込んでくれないかっていう 1689 01:31:30,610 --> 01:31:35,448 あれは挑発っていうかですね あの 誘いというかですね 1690 01:31:35,531 --> 01:31:36,741 あるいは何でしょうね 1691 01:31:36,824 --> 01:31:39,493 ラブコールというかね だと思いますね 1692 01:31:39,577 --> 01:31:42,580 結局ね どこまで行っても 1693 01:31:42,663 --> 01:31:43,748 社会というのを 変えていくのは 1694 01:31:43,831 --> 01:31:45,666 言葉なんですよね 1695 01:31:45,750 --> 01:31:47,335 言葉がないかぎりは 1696 01:31:47,418 --> 01:31:50,254 やっぱり社会システムって 絶対変わらないですから 1697 01:31:50,338 --> 01:31:51,172 だから やっぱり 1698 01:31:51,255 --> 01:31:55,301 言葉を突き詰めていく っていうことの 1699 01:31:55,384 --> 01:31:57,136 重要さっていうのが 1700 01:31:57,220 --> 01:32:00,932 まあ あそこの議論の 核心だったと思いますね 1701 01:32:01,015 --> 01:32:06,020 僕たちは その 一方的に どっちかの立場に立ってね 1702 01:32:06,103 --> 01:32:09,398 相手を敵だとして 討論を見るんじゃなくって 1703 01:32:09,482 --> 01:32:11,359 やっぱり この部分では 1704 01:32:11,442 --> 01:32:14,487 あの こっちが核心を突いたことを 言ってるなとかね 1705 01:32:14,570 --> 01:32:16,656 こっちは やっぱ ちょっと 1706 01:32:16,739 --> 01:32:19,408 理解できてないな とかいうことを 1707 01:32:19,492 --> 01:32:23,204 あの 客観的に見ながら 1708 01:32:23,287 --> 01:32:25,790 自分自身の こう 思想ってのも 1709 01:32:26,374 --> 01:32:30,086 解きほぐしていくっていうことが 重要じゃないかなと思いますね 1710 01:32:30,169 --> 01:32:32,713 俺は 学生っていうあれがないから… 1711 01:32:32,797 --> 01:32:35,341 いち芸術… 売れる売れないは別にして 1712 01:32:35,424 --> 01:32:38,135 芸術家としての自負はあるし 1713 01:32:39,345 --> 01:32:40,846 それは向こうだってね 1714 01:32:42,556 --> 01:32:45,518 やっぱり ちゃんと名前を こういう くだらない世の中で 1715 01:32:45,601 --> 01:32:48,479 作り上げるというのは 大変なことだし 1716 01:32:48,563 --> 01:32:50,523 ねえ 鉛筆一本で 1717 01:32:52,149 --> 01:32:53,442 なのに 1718 01:32:55,486 --> 01:32:59,282 お前らと同調はするが 何かが違うぞっていう形で 1719 01:32:59,365 --> 01:33:01,325 来てるんだから それなりに… 1720 01:33:05,538 --> 01:33:09,292 敬意を表し合うっていうことも 会話の一つですよ 1721 01:33:10,126 --> 01:33:13,587 ホントに憎んでたら 会話する必要ないから ねえ 1722 01:33:13,671 --> 01:33:16,882 {\an8}人間と人間の間に 媒体として言葉が 1723 01:33:16,966 --> 01:33:19,927 {\an8}力があった時代の 最後だとは思ってる 1724 01:33:20,011 --> 01:33:21,846 {\an8}僕はね うん (監督)媒体として 1725 01:33:28,352 --> 01:33:33,274 (ナレーター)司会の木村は 討論ののち 三島に電話をかけた 1726 01:33:34,191 --> 01:33:37,737 そのとき 思わぬ誘いを受けた 1727 01:33:37,820 --> 01:33:39,363 そのときに 1728 01:33:39,447 --> 01:33:41,949 “楯の会に お前入らんか”と 言われて 1729 01:33:43,492 --> 01:33:45,369 で そのときに あの… 1730 01:33:46,454 --> 01:33:49,373 返事のしかたが ちょっと おかしかったんですね 1731 01:33:49,457 --> 01:33:55,171 いや 立場が違うからというふうな 返事のしかたをしたんだけど 1732 01:33:55,254 --> 01:34:01,135 何か すっきり拒否っていう… 言えなかったんですよ 1733 01:34:01,218 --> 01:34:05,181 何かこう 回りくどい言い方を したように覚えてます 1734 01:34:05,264 --> 01:34:08,100 そうすると 三島さんがね さすがだねえ 1735 01:34:08,184 --> 01:34:10,227 “お前どっから電話してる?”って 1736 01:34:12,146 --> 01:34:14,523 つまり 第三者がそばに いるんじゃないかということを 1737 01:34:14,607 --> 01:34:16,275 パーッと気がついた 1738 01:34:16,359 --> 01:34:19,987 そのとき 僕の隣には 女房がいたんですよ 1739 01:34:20,071 --> 01:34:22,865 だから“どこの家からか” って言うから 1740 01:34:22,948 --> 01:34:25,493 “ガールフレンドの家からです” っつったら 1741 01:34:27,286 --> 01:34:28,412 “替われ”って 1742 01:34:28,954 --> 01:34:31,624 で 女房と5分間ぐらい話 してた 1743 01:34:33,334 --> 01:34:35,127 で 何を聞かれたかね うちの奥さん 1744 01:34:35,211 --> 01:34:37,254 ずっと黙ってたんですよ 1745 01:34:37,963 --> 01:34:41,926 つい最近になってね 結婚50年近くたって 1746 01:34:42,009 --> 01:34:45,429 三島さんに言われたことをね 思い出したようで 1747 01:34:49,475 --> 01:34:52,103 “旦那を愛してますか?”と 聞いたんだね 1748 01:34:52,812 --> 01:34:55,439 で うちの奥さん “愛してます”と返事してる 1749 01:34:55,523 --> 01:34:57,566 そのこと黙ってたの ずっと 1750 01:34:57,650 --> 01:35:00,528 このごろになって やっと言うようになった 1751 01:35:10,538 --> 01:35:13,416 (三島)お前ら聞け! 聞け! 1752 01:35:13,499 --> 01:35:18,337 (ナレーター)三島は 陸上自衛隊 市ヶ谷(いちがや)駐屯地にて 1753 01:35:18,421 --> 01:35:21,632 東部方面総監を人質に取り 1754 01:35:22,216 --> 01:35:24,760 憲法改正を主張し 1755 01:35:24,844 --> 01:35:28,806 1000人の自衛隊員に 決起を呼びかけた 1756 01:35:28,889 --> 01:35:30,850 (三島) 自衛隊が国軍になる日はない! 1757 01:35:31,350 --> 01:35:36,355 (ナレーター) しかし その言葉は届かなかった 1758 01:35:38,858 --> 01:35:43,529 三島は“天皇陛下万歳”を叫び 切腹した 1759 01:35:46,323 --> 01:35:49,952 三島を介錯(かいしゃく)し そのあとを追ったのは 1760 01:35:50,035 --> 01:35:52,997 あの討論会に 警護役として来ていた— 1761 01:35:53,080 --> 01:35:54,999 森田(もりた)必勝(まさかつ)だった 1762 01:36:01,297 --> 01:36:05,801 (報道官)2人が状況では 自決したようなもようです 1763 01:36:05,885 --> 01:36:08,345 (記者)どこで? (報道官)これは総監室の中ですね 1764 01:36:08,429 --> 01:36:12,725 で 2人はお互いに 自決したもようです これはまだ… 1765 01:36:12,808 --> 01:36:13,976 (記者)どんな様子で? (報道官)はあ? 1766 01:36:14,059 --> 01:36:15,394 (記者) どんな様子で自決してんの? 1767 01:36:15,478 --> 01:36:16,729 斬ってんの? 腹 斬ってんの? 1768 01:36:24,403 --> 01:36:25,988 あの時点でね 1769 01:36:28,449 --> 01:36:31,035 ああいう状況になるとは ハッ… 1770 01:36:31,118 --> 01:36:33,287 想像した人はいないですよね 1771 01:36:36,916 --> 01:36:38,959 ラジオを聞いてたら 1772 01:36:40,419 --> 01:36:44,590 その 市ヶ谷の決起のね 1773 01:36:44,673 --> 01:36:46,759 えーっ てね 1774 01:36:47,259 --> 01:36:52,139 ビックリして もう すぐ東京に飛んで帰ってね 1775 01:36:52,223 --> 01:36:54,517 いざとなったら 死んじゃうんだみたいなこと 1776 01:36:54,600 --> 01:36:56,977 もう しょっちゅう言ってたし 1777 01:36:57,895 --> 01:36:59,563 だから… 1778 01:37:03,526 --> 01:37:05,819 うーん 1779 01:37:06,570 --> 01:37:09,532 とにかく 僕の顔面は真っ青というか 1780 01:37:09,615 --> 01:37:10,866 (笑い声) 1781 01:37:10,950 --> 01:37:13,619 そう白になったようです 1782 01:37:13,702 --> 01:37:15,538 もう本当に ビックリしました 1783 01:37:15,621 --> 01:37:16,914 本当にビックリしました 1784 01:37:16,997 --> 01:37:20,167 それで もったいない ことをしたと思って 1785 01:37:20,251 --> 01:37:24,046 えー もう涙が出ましたね 1786 01:37:24,129 --> 01:37:25,756 何て言うのかな 1787 01:37:26,882 --> 01:37:30,970 あんまり落胆も悲惨な感じも 何にもない 1788 01:37:31,053 --> 01:37:33,514 何となく えー… 1789 01:37:34,515 --> 01:37:36,767 あの 無っていうの 1790 01:37:36,850 --> 01:37:39,979 何にもなくなったんだなあ という感じはね 1791 01:37:40,062 --> 01:37:42,481 三島が何か演説してた ハチマキしてさ 1792 01:37:42,565 --> 01:37:44,775 あー またバカやってんなあと 思って 1793 01:37:44,859 --> 01:37:45,901 そしたら そのあと 死んだっていうんで 1794 01:37:45,985 --> 01:37:48,320 あー ついにやったか よかったよかったと思ってた 1795 01:37:48,404 --> 01:37:49,780 (監督)よかったよかった? 1796 01:37:49,863 --> 01:37:51,865 だってさ 大願成就じゃん 1797 01:37:52,825 --> 01:37:56,662 一世一代の大芝居を 打ったんだから 1798 01:38:01,292 --> 01:38:04,211 (ナレーター) 900番教室の あの討論会で 1799 01:38:04,295 --> 01:38:08,924 既に三島は 予言めいた言葉を残していた 1800 01:38:09,008 --> 01:38:10,968 私が行動を起こすときは 1801 01:38:11,051 --> 01:38:14,221 結局 諸君とおんなじ 非合法でやるほかないんだ 1802 01:38:14,305 --> 01:38:19,727 非合法で 決闘の思想において 人をやれば それは殺人犯だから 1803 01:38:19,810 --> 01:38:23,147 そうなったら自分も お巡りさんに捕まらないうちに 1804 01:38:23,230 --> 01:38:25,941 自決でも何でもして 死にたいと思うんです 1805 01:38:28,068 --> 01:38:29,945 (ナレーター)三島は自決した 1806 01:38:30,821 --> 01:38:34,825 政治の季節とは およそ不釣り合いな 1807 01:38:34,908 --> 01:38:38,746 大阪万博の陽気な大騒ぎの 直後の死だった 1808 01:38:40,664 --> 01:38:44,752 過激化した新左翼セクトの 内ゲバが続き 1809 01:38:44,835 --> 01:38:48,839 連合赤軍は あさま山荘事件を起こした 1810 01:38:51,383 --> 01:38:55,387 急進的学生運動は 急速に支持を失い 1811 01:38:55,471 --> 01:38:59,516 {\an8}全共闘運動も 敗北を迎えていた 1812 01:39:01,435 --> 01:39:05,689 {\an8}その運動の総括は どう果たされたのだろうか 1813 01:39:07,191 --> 01:39:12,404 それは 今回 出てる人たちに聞きたい 1814 01:39:12,488 --> 01:39:14,156 全共闘の人たち 1815 01:39:14,239 --> 01:39:19,244 どういうふうにね こう 革命を志向した人たちは 1816 01:39:19,328 --> 01:39:20,996 考えたのかなって 気になりますよね 1817 01:39:21,080 --> 01:39:24,041 気になるっていうか ぜひ聞きたいですよね 1818 01:39:24,792 --> 01:39:26,919 70年代中頃とかって 居酒屋とか行くと 1819 01:39:27,002 --> 01:39:30,798 こう 目をドロンとね 赤く濁らせた新入社員がさ 1820 01:39:31,340 --> 01:39:32,174 “バカ野郎!”とか言って 1821 01:39:32,257 --> 01:39:33,967 “俺ら革命やろうと 思ってんだ!”とか言って 1822 01:39:34,051 --> 01:39:36,679 何かこう くだ巻いてるわけですよ 1823 01:39:36,762 --> 01:39:40,015 ど真ん中にいた 90何%っていうのは 1824 01:39:40,099 --> 01:39:43,936 やましさと向上心を 両方持ちながら 1825 01:39:44,019 --> 01:39:46,730 そのまま スーッと大人になっていった 1826 01:39:46,814 --> 01:39:49,858 だから この人たちが 一体何を考えていて 1827 01:39:49,942 --> 01:39:53,737 ねえ どういうような あの 規範に基づいて行動していって 1828 01:39:53,821 --> 01:39:58,117 彼らの青春を どう総括してるのか っていうのは謎なんですよね 1829 01:39:58,200 --> 01:39:59,952 (監督)敗北という言葉で 言われたりすることも 1830 01:40:00,035 --> 01:40:01,704 あると思うんですけども 1831 01:40:04,581 --> 01:40:05,958 敗北したって僕は思ってない 1832 01:40:06,041 --> 01:40:10,546 一般的な社会風潮に 拡散しちゃったと思う 1833 01:40:11,296 --> 01:40:13,215 いや 時間かかりましたね 1834 01:40:14,800 --> 01:40:17,136 うーん しばらくは 1835 01:40:17,928 --> 01:40:19,346 うーん… 1836 01:40:20,806 --> 01:40:21,807 何やってんだろう 1837 01:40:21,890 --> 01:40:24,018 自分自身で 自分の人生 何やってんだろう 1838 01:40:24,101 --> 01:40:26,145 みたいなところありましたし 1839 01:40:26,645 --> 01:40:27,730 うーん 1840 01:40:33,902 --> 01:40:34,987 うん 1841 01:40:43,746 --> 01:40:46,248 {\an8}運動は 成功しても失敗しても 1842 01:40:46,331 --> 01:40:48,208 {\an8}必ず終わるじゃないですか 1843 01:40:49,626 --> 01:40:51,003 {\an8}でも 終わったあと 1844 01:40:51,086 --> 01:40:54,006 {\an8}運動に加わっていた人は 生き残るわけですよ 1845 01:40:54,798 --> 01:40:56,925 {\an8}社会も続くわけですよ 1846 01:40:57,009 --> 01:41:03,056 で 運動に加わった結果 挫折したり失望したり 1847 01:41:03,140 --> 01:41:04,433 打撃を受けたりなんかして 1848 01:41:04,516 --> 01:41:07,895 人生めちゃめちゃになっちゃう っていうこともあるかもしれない 1849 01:41:07,978 --> 01:41:12,900 運動に限界を見てね 運動は大したことないと思ったり 1850 01:41:12,983 --> 01:41:14,651 運動を乗り越えてね 1851 01:41:14,735 --> 01:41:19,782 で 別なことをやって生きていく っていう人もいるかもしんないね 1852 01:41:19,865 --> 01:41:23,452 正解はなく どんなやり方でも かまわないと思う 1853 01:41:24,453 --> 01:41:26,997 でも何があったかは 覚えてなきゃいけない 1854 01:41:29,124 --> 01:41:33,837 で 死んじゃうと 覚えてられないんだよね うん 1855 01:41:33,921 --> 01:41:36,465 で 全共闘は 自殺しなかったでしょ 1856 01:41:36,548 --> 01:41:38,842 そこが終わりじゃないからです 1857 01:41:39,426 --> 01:41:42,930 残されたとしたらば 負けることが必然であれば 1858 01:41:43,013 --> 01:41:44,890 負けたあと どうなるかってことを 1859 01:41:44,973 --> 01:41:47,434 考えきらなきゃ いけないわけですよ 1860 01:41:48,143 --> 01:41:52,189 で まあ 見方によっては 私は それをやっているわけだな 1861 01:41:54,358 --> 01:41:57,236 (監督)あの時期を経て 敗北したと言われていて 1862 01:41:57,319 --> 01:41:57,861 知らないよ そんなこと 1863 01:41:57,861 --> 01:41:59,154 知らないよ そんなこと 1864 01:41:57,861 --> 01:41:59,154 {\an8}(監督)収束していく わけですよね 1865 01:41:59,238 --> 01:42:00,948 君たちの国では そういうふうにしたんだろ 1866 01:42:01,031 --> 01:42:02,032 (監督)我々の国では そうかもしれない… 1867 01:42:02,115 --> 01:42:03,826 俺の国では そうなってないもん 1868 01:42:03,909 --> 01:42:04,868 (監督)それは えーっと 芥さん… 1869 01:42:04,952 --> 01:42:06,578 だって証拠がいるんだから ここに 1870 01:42:06,662 --> 01:42:08,997 (監督)どういう… (芥)私の国には私という証拠がある 1871 01:42:09,081 --> 01:42:12,793 (監督)はあ はあ (芥)君たちの国には私がいないからね 1872 01:42:12,876 --> 01:42:14,628 (監督)私という証拠というのは 1873 01:42:14,711 --> 01:42:16,755 えー… (芥)ここで私が息をしてる 1874 01:42:17,673 --> 01:42:18,841 言葉をしゃべってる 1875 01:42:18,924 --> 01:42:21,593 で 誰のまねもしないで しゃべっている 1876 01:42:22,427 --> 01:42:23,428 分かる? 1877 01:42:34,314 --> 01:42:37,901 (ナレーター)900番教室は いまだに存在する 1878 01:42:39,444 --> 01:42:44,032 あの日 この900番教室に 満ちていたのは 1879 01:42:44,825 --> 01:42:49,037 三島由紀夫と 1000人の東大全共闘らの 1880 01:42:49,580 --> 01:42:54,376 熱と敬意と言葉だった 1881 01:42:57,546 --> 01:43:00,132 自分は どう世界と対峙(たいじ)し 1882 01:43:00,215 --> 01:43:03,969 どう生きるのか という問いを前に 1883 01:43:04,052 --> 01:43:07,723 彼らは真摯(しんし)に言葉を交換した 1884 01:43:09,808 --> 01:43:11,977 あれから50年がたった 1885 01:43:21,820 --> 01:43:25,949 三島は私たちに どんな言葉を投げかけるだろうか 1886 01:43:30,078 --> 01:43:33,498 (三島の声) 私は諸君の熱情は信じます 1887 01:43:33,582 --> 01:43:35,083 これだけは信じます 1888 01:43:35,167 --> 01:43:36,793 他のものは 一切信じないにしても 1889 01:43:36,877 --> 01:43:39,588 これだけは信じるということを 分かっていただきたい 1890 01:43:43,133 --> 01:43:47,179 (ナレーター)時代が変わっても 世界を変えようとする熱情が 1891 01:43:47,262 --> 01:43:49,097 尽きることはないはずだ 1892 01:43:50,724 --> 01:43:52,851 私たちに必要なのは 1893 01:43:53,518 --> 01:43:58,148 熱と敬意と言葉だ 1894 01:43:59,816 --> 01:44:06,698 それが 900番教室 50年目の真実 1895 01:45:53,305 --> 01:45:58,310 {\an8}♪~ 1896 01:48:04,853 --> 01:48:09,858 ~♪