1 00:03:24,350 --> 00:03:26,280 これ 松島 2 00:03:26,280 --> 00:03:29,150 はい 3 00:03:29,150 --> 00:03:34,090 あれなる山三を舞うているのは いずれの部屋子じゃ 4 00:03:34,090 --> 00:03:38,930 恐れながら これなる藤尾殿の部屋子 5 00:03:38,930 --> 00:03:41,330 浪路と申します 6 00:03:41,330 --> 00:03:43,400 確かな手さばき 7 00:03:43,400 --> 00:03:47,240 舞いも巧みなれば姿も美しい 8 00:03:47,240 --> 00:03:49,240 恐れ入ります 9 00:03:51,610 --> 00:03:53,710 阿国もよう舞うぞ 10 00:03:56,110 --> 00:03:59,680 ありがたき幸せにござりまする 11 00:03:59,680 --> 00:04:05,220 あの者は この浅岡の 実の妹にございます 12 00:04:05,220 --> 00:04:07,990 何?そちの妹か 13 00:04:07,990 --> 00:04:11,590 はい 阿紀と申しまする 14 00:04:13,800 --> 00:04:16,500 (拍手) 15 00:04:33,650 --> 00:04:35,650 お立ち 16 00:05:21,130 --> 00:05:23,500 お阿紀様のお体 17 00:05:23,500 --> 00:05:26,770 これにて すべて 検めましてございます 18 00:05:26,770 --> 00:05:29,870 ご苦労 では着衣を 19 00:06:17,420 --> 00:06:21,860 あざ ふすべ 傷痕ひとつなく 20 00:06:21,860 --> 00:06:25,230 なめらかなお肌であられまする 21 00:06:25,230 --> 00:06:28,430 不浄不備なるもの すべて見当たらず 22 00:06:28,430 --> 00:06:32,200 無垢なお体は 上様のお世継ぎをもうけるに 23 00:06:32,200 --> 00:06:35,600 ふさわしき方と お見受けいたしまする 24 00:06:37,610 --> 00:06:41,080 上様のおしとねを頂いた上は 25 00:06:41,080 --> 00:06:45,080 お湯殿 手水 お身の回りのすべては 26 00:06:45,080 --> 00:06:49,290 御三の間に お任せなされますように 27 00:06:49,290 --> 00:06:52,090 はい よろしいな 28 00:07:09,240 --> 00:07:11,540 これ 妙心殿 29 00:07:19,550 --> 00:07:21,550 これを 30 00:07:27,860 --> 00:07:29,860 お姉様 31 00:07:35,400 --> 00:07:38,640 将軍様の御寝所に上がるなど 32 00:07:38,640 --> 00:07:42,510 お話には伺っておりましたなれど 33 00:07:42,510 --> 00:07:45,810 この私が… 34 00:07:45,810 --> 00:07:48,710 お阿紀様 35 00:07:48,710 --> 00:07:53,120 あなた様は お手つき中臈のお部屋様 36 00:07:53,120 --> 00:07:58,590 今宵からは 秋江の方様と申されます 37 00:07:58,590 --> 00:08:02,490 もはや姉でも妹でもありませぬ 38 00:08:02,490 --> 00:08:06,630 この浅岡は あなた様の ご出世にあやかって 39 00:08:06,630 --> 00:08:09,570 お仕えもうす身の上 40 00:08:09,570 --> 00:08:12,100 出世? 41 00:08:12,100 --> 00:08:14,470 そうです 42 00:08:14,470 --> 00:08:16,970 女一代の光栄です 43 00:08:16,970 --> 00:08:18,970 この上の立身はない 44 00:08:20,880 --> 00:08:23,750 美しく生まれた者の幸せを 45 00:08:23,750 --> 00:08:26,120 独り占めされるがよい 46 00:08:26,120 --> 00:08:29,620 私は ただ 行儀見習いとして大奥へ… 47 00:08:31,690 --> 00:08:36,060 平凡な妻になり 子をもうけて 48 00:08:36,060 --> 00:08:39,030 その幸せを得るために 49 00:08:39,030 --> 00:08:41,900 ひょうたんから駒が出た 50 00:08:41,900 --> 00:08:45,070 お阿紀様がお手つき中臈となれば 51 00:08:45,070 --> 00:08:47,970 姉にも高い身分が保証されよう 52 00:08:47,970 --> 00:08:51,740 お父様とて 町人から士分に取り立てられ 53 00:08:51,740 --> 00:08:55,240 末の妹は大名に お輿入れできるかもしれぬ 54 00:08:57,280 --> 00:08:59,380 これで何もかも うまくゆく 55 00:09:01,150 --> 00:09:04,450 今日あるを考えぬでもなかったが 56 00:09:07,090 --> 00:09:09,290 お阿紀様 57 00:09:09,290 --> 00:09:13,590 ゆめ この浅岡を 姉などと申されませぬように 58 00:09:45,730 --> 00:09:50,630 ただ今 お阿紀様のお髪検めを 終えましてございます 59 00:09:50,630 --> 00:09:53,240 変わりはあるまいな 60 00:09:53,240 --> 00:09:55,570 はい 危ういもの 61 00:09:55,570 --> 00:09:59,340 また お文など いかがわしきものは何ひとつ 62 00:09:59,340 --> 00:10:04,150 おしとねの作法 また 御法度の数々 63 00:10:04,150 --> 00:10:08,750 この浅岡より しかと申してござりますれば 64 00:10:08,750 --> 00:10:13,590 浅岡殿も よい妹御を持たれて重畳 65 00:10:13,590 --> 00:10:16,490 まあ 異なことを 66 00:10:16,490 --> 00:10:20,800 この大奥にては 血は水よりも薄きもの 67 00:10:20,800 --> 00:10:24,770 ただ部屋子の誉れ 満足に存じまする 68 00:10:24,770 --> 00:10:28,540 阿紀殿が 上様のお気に召さるることが 69 00:10:28,540 --> 00:10:33,010 そなたにとって 大年寄への出世の糸口 70 00:10:33,010 --> 00:10:36,250 まあ 何を仰せられまする 71 00:10:36,250 --> 00:10:39,150 したが 72 00:10:39,150 --> 00:10:44,290 亡きお富久の方様に いまだご執心の上様 73 00:10:44,290 --> 00:10:48,160 幼き頃より 西の丸で起居を共にされ 74 00:10:48,160 --> 00:10:51,460 末を誓われたお仲であれば 75 00:10:51,460 --> 00:10:54,460 はかなくおなり あそばしたのちもなお 76 00:10:54,460 --> 00:10:58,240 忘れがたきお慈しみ 77 00:10:58,240 --> 00:11:01,870 お察しもうすに余りある 78 00:11:01,870 --> 00:11:05,340 おいたわしきは御台所様 79 00:11:05,340 --> 00:11:07,710 この数年 80 00:11:07,710 --> 00:11:12,320 ぉしとねを 共にせられたことがない 81 00:11:12,320 --> 00:11:16,890 年が明けて三十路を迎えられる 82 00:11:16,890 --> 00:11:20,260 となれば しきたりにより 83 00:11:20,260 --> 00:11:25,800 御台様といえども おしとねを ご辞退いたさねばなるまい 84 00:11:25,800 --> 00:11:28,630 おいたわしゅうございます 85 00:11:28,630 --> 00:11:32,270 ほんに そう思いやるか 86 00:11:32,270 --> 00:11:35,270 上様 お成りにござりまする 87 00:11:42,550 --> 00:11:45,280 今日の花見の趣向はどうじゃ 88 00:11:45,280 --> 00:11:48,020 はい 殊の外 面白く 89 00:11:48,020 --> 00:11:50,990 うん いつぞや鷹狩りの帰り 90 00:11:50,990 --> 00:11:54,790 余が飛鳥山で見た 町人どもの趣向じゃ 91 00:11:54,790 --> 00:11:57,490 町人どもの花見の様を 92 00:11:57,490 --> 00:12:01,670 この大奥にて 行わせられるとは前代未聞 93 00:12:01,670 --> 00:12:05,140 ハハハハハ 94 00:12:05,140 --> 00:12:09,740 表向きの者どもが知ったら さぞうるさいであろうな 95 00:12:09,740 --> 00:12:14,580 しかしながら 上様たってのお望みゆえ 96 00:12:14,580 --> 00:12:19,420 馬上より遠く眺めた 町人どもの姿はのびやかに 97 00:12:19,420 --> 00:12:22,750 桜の枝に打掛を掛け連ね 98 00:12:22,750 --> 00:12:26,950 酒をくみ交わし 遊芸を楽しんでおった 99 00:12:29,030 --> 00:12:33,200 花の色も ことさら美しゅう見えたぞ 100 00:12:33,200 --> 00:12:36,170 大奥の花には命がない 101 00:12:36,170 --> 00:12:38,440 掟に縛られ 102 00:12:38,440 --> 00:12:42,610 限られた垣の中で哀れに咲く 103 00:12:42,610 --> 00:12:48,110 野辺に見た花の色は 余の心をとらえたぞ 104 00:12:48,110 --> 00:12:50,450 死んだお富久は 105 00:12:50,450 --> 00:12:55,290 いたずら盛りを 共に西の丸で過ごした 106 00:12:55,290 --> 00:12:57,590 いわば野の花か 107 00:13:00,120 --> 00:13:02,220 お阿紀様 108 00:13:04,790 --> 00:13:06,790 お下帯を 109 00:14:26,080 --> 00:14:28,510 名は? 110 00:14:28,510 --> 00:14:31,450 阿紀… と申します 111 00:14:31,450 --> 00:14:34,020 浅岡の妹とな 112 00:14:34,020 --> 00:14:36,920 はい 参れ 113 00:14:45,060 --> 00:14:47,000 お阿紀様 おしとねに 114 00:14:47,000 --> 00:14:49,000 申すな 115 00:14:57,140 --> 00:14:59,640 参れ 116 00:14:59,640 --> 00:15:01,740 冷たい手じゃな 117 00:15:03,580 --> 00:15:07,350 人形が震えておるわい 118 00:15:07,350 --> 00:15:10,390 はっ… 119 00:15:10,390 --> 00:15:12,390 あっ 120 00:15:58,640 --> 00:16:03,470 誰ぞ 思うおのこがおるのか 121 00:16:03,470 --> 00:16:05,470 い… いいえ 122 00:16:08,240 --> 00:16:12,120 浅岡は町家の出と聞いたが 123 00:16:12,120 --> 00:16:14,120 はい 124 00:16:20,820 --> 00:16:23,220 肌にぬくもりが差した 125 00:16:30,600 --> 00:16:32,600 野の花か 126 00:16:58,230 --> 00:17:00,500 人形に血が通うたと 127 00:17:00,500 --> 00:17:03,430 はい 上様には 128 00:17:03,430 --> 00:17:07,040 殊の外のお気に入りようにて 129 00:17:07,040 --> 00:17:10,470 その後 お試みなされましてございます 130 00:17:10,470 --> 00:17:14,140 では格別のお戯れもなく 131 00:17:14,140 --> 00:17:16,650 はい 132 00:17:16,650 --> 00:17:18,920 これなる掛川殿が 133 00:17:18,920 --> 00:17:21,820 おたらい お湯桶をお持ちなされ 134 00:17:21,820 --> 00:17:25,220 湯にて蒸したる布にて 135 00:17:25,220 --> 00:17:27,320 お下を清められた後 136 00:17:29,390 --> 00:17:31,590 お湯殿にお立ちでございました 137 00:17:33,800 --> 00:17:37,330 上様がお湯殿に お立ちなされてのち 138 00:17:37,330 --> 00:17:42,570 秋江の方様がお使いなされた お揉み紙に わずかながら… 139 00:17:42,570 --> 00:17:46,210 清浄無垢なる娘のしるしか 140 00:17:46,210 --> 00:17:51,110 はい ほんの淡き 朱の色でございました 141 00:17:51,110 --> 00:17:55,390 ほんに秋江の方様はご果報な 142 00:17:55,390 --> 00:18:01,090 おなごとして 恵まれたお方であられますな 143 00:18:03,690 --> 00:18:06,600 聞きおくことは それだけか 144 00:18:06,600 --> 00:18:08,630 なお秋江の方様には 145 00:18:08,630 --> 00:18:12,270 今朝方よりお月事の兆しあり 146 00:18:12,270 --> 00:18:14,740 上様のご所望なれど 147 00:18:14,740 --> 00:18:17,010 またご所望とな 148 00:18:17,010 --> 00:18:20,740 はい なれど ここ数日は 149 00:18:20,740 --> 00:18:24,310 では誰か代わりの者を 150 00:18:24,310 --> 00:18:27,180 さよう申し上げましたるところ 151 00:18:27,180 --> 00:18:29,650 それには及ばぬと 152 00:18:29,650 --> 00:18:32,590 それには及ばぬと? 153 00:18:32,590 --> 00:18:36,760 ありがたいことでござりまする 154 00:18:36,760 --> 00:18:41,200 して お湯殿では何とした 155 00:18:41,200 --> 00:18:43,200 はい 156 00:18:47,440 --> 00:18:49,670 近う寄れ 157 00:18:49,670 --> 00:18:51,670 はい 158 00:18:55,780 --> 00:18:58,680 余は気に入ったぞ 159 00:18:58,680 --> 00:19:01,950 ありがたき幸せ 160 00:19:01,950 --> 00:19:07,160 何ゆえ気に入ったか それは分からぬ 161 00:19:07,160 --> 00:19:10,060 ただ愛しく思う 162 00:19:10,060 --> 00:19:13,500 それだけじゃ 163 00:19:13,500 --> 00:19:15,800 あの… 164 00:19:15,800 --> 00:19:19,340 お流しいたしますか 165 00:19:19,340 --> 00:19:21,340 うん 166 00:19:38,390 --> 00:19:40,620 お富久が死んだのは 167 00:19:40,620 --> 00:19:42,720 余が16の折じゃ 168 00:19:44,790 --> 00:19:47,800 その悲しみの癒えぬうちに 169 00:19:47,800 --> 00:19:50,400 今の御台が輿入れした 170 00:19:53,140 --> 00:19:57,640 愛もなければ 心も通わぬ 171 00:19:57,640 --> 00:20:00,340 政のからくりじゃ 172 00:20:14,460 --> 00:20:19,000 長い月と日をかけて実る愛もある 173 00:20:19,000 --> 00:20:22,800 しかし とっさに燃える炎もある 174 00:20:26,370 --> 00:20:28,710 なぜ燃えたか 175 00:20:28,710 --> 00:20:31,540 分からぬ 176 00:20:31,540 --> 00:20:36,450 炎は炎を呼び ひとつとなって燃え盛る 177 00:20:36,450 --> 00:20:40,850 ここには理知もなければ まして偽善もない 178 00:20:43,150 --> 00:20:45,650 野に咲く花じゃ 179 00:20:48,830 --> 00:20:51,330 阿紀 はい 180 00:20:53,960 --> 00:20:56,060 それは そちじゃ 181 00:21:03,710 --> 00:21:07,710 余は離さぬぞ 上様 182 00:21:10,280 --> 00:21:12,720 お手つけられたるを幸いに 183 00:21:12,720 --> 00:21:16,150 上様お湯殿までお供もうすとは 184 00:21:16,150 --> 00:21:20,020 なんたることでございましょう 185 00:21:20,020 --> 00:21:22,890 お人払いを願い出た上 186 00:21:22,890 --> 00:21:27,730 大奥 中臈にもあるまじき 下賤な言葉を吐き散らし 187 00:21:27,730 --> 00:21:31,230 ご機嫌を取り結ぶとは 188 00:21:31,230 --> 00:21:33,740 これ 秋江殿 189 00:21:33,740 --> 00:21:36,640 はい それは まことか 190 00:21:36,640 --> 00:21:40,510 いいえ そのようなことは 191 00:21:40,510 --> 00:21:43,410 上様も ほんにお物好き 192 00:21:43,410 --> 00:21:47,050 身分卑しき町家の娘に お手つけられ 193 00:21:47,050 --> 00:21:50,320 万一 和子でも… 194 00:21:50,320 --> 00:21:52,920 恐れながら御台様 195 00:21:52,920 --> 00:21:57,760 徳川お家のために まこと ゆゆしき大事と存じます 196 00:21:57,760 --> 00:22:02,930 さよう そなたは 側室なれど堂上の出 197 00:22:02,930 --> 00:22:06,130 我らの言葉がよう分かる 198 00:22:11,310 --> 00:22:13,980 秋江殿 199 00:22:13,980 --> 00:22:18,510 お湯殿にては さぞや口にて申せぬような 200 00:22:18,510 --> 00:22:20,450 みだらな振る舞いを… 201 00:22:20,450 --> 00:22:23,350 何を仰せられます 202 00:22:23,350 --> 00:22:25,290 これなる飛鳥井殿が 203 00:22:25,290 --> 00:22:27,590 お上がり場にて すべてご承知のはず 204 00:22:27,590 --> 00:22:29,530 いや そうは言わせぬ 205 00:22:29,530 --> 00:22:32,300 飛鳥井 これにて 206 00:22:32,300 --> 00:22:36,270 事の次第を 披露するがよろしかろう 207 00:22:36,270 --> 00:22:40,070 はい 何やら こそばゆう 208 00:22:40,070 --> 00:22:43,070 眉の根がかゆうなるような 209 00:22:43,070 --> 00:22:45,780 申すもはばかることでございます 210 00:22:45,780 --> 00:22:48,240 飛鳥井殿 苦しゅうない 211 00:22:48,240 --> 00:22:50,650 申すがよろしかろうぞ 212 00:22:50,650 --> 00:22:54,480 されば お許しを頂きまして 213 00:22:54,480 --> 00:22:57,720 して 何とした 214 00:22:57,720 --> 00:23:01,220 はい 秋江の方様には 215 00:23:01,220 --> 00:23:04,130 上様のおせなを流しなされ 216 00:23:04,130 --> 00:23:07,000 熱いの ぬるいのと 217 00:23:07,000 --> 00:23:09,900 そりゃ 一糸もまとわずに? 218 00:23:09,900 --> 00:23:13,340 はい お二方とも 219 00:23:13,340 --> 00:23:15,940 生まれたままのお姿にて 220 00:23:15,940 --> 00:23:18,570 嘘でございます 221 00:23:18,570 --> 00:23:22,180 飛鳥井殿 なんで そのような 222 00:23:22,180 --> 00:23:24,110 続けるがよかろうぞ 223 00:23:24,110 --> 00:23:27,650 はい 秋江の方様には 224 00:23:27,650 --> 00:23:30,090 湯船が熱いの 225 00:23:30,090 --> 00:23:34,260 そりゃ何の湯船か存じませねど 226 00:23:34,260 --> 00:23:36,260 体がしびれるのと 227 00:23:36,260 --> 00:23:39,160 (含み笑い) 228 00:23:47,540 --> 00:23:51,440 さようでございました 炎が燃えるとか 229 00:23:51,440 --> 00:23:54,010 何?炎が燃える 230 00:23:54,010 --> 00:23:57,750 はい 炎は炎を呼び 231 00:23:57,750 --> 00:24:00,650 ひとつになって燃え盛る 232 00:24:00,650 --> 00:24:05,550 それはまあ さぞ 燃え盛ったでありましょうな 233 00:24:10,030 --> 00:24:13,630 その後は ご推察のとおり 234 00:24:13,630 --> 00:24:17,570 ええい 恥知らずな 235 00:24:17,570 --> 00:24:19,570 浅岡殿 236 00:24:22,440 --> 00:24:24,910 はい 237 00:24:24,910 --> 00:24:28,780 そなた 石のように 黙っておいやるが 238 00:24:28,780 --> 00:24:30,810 秋江の方様は 239 00:24:30,810 --> 00:24:34,550 元をただせば部屋子の1人 240 00:24:34,550 --> 00:24:37,050 そなたの実の妹 241 00:24:39,420 --> 00:24:43,090 おしとねの作法 御法度の数々 242 00:24:43,090 --> 00:24:46,930 しかと申したはずでは なかったのか 243 00:24:46,930 --> 00:24:51,730 浅岡殿 何ぞ申されては? 244 00:24:51,730 --> 00:24:56,330 ハッ… しぶといおなごで ございますな 245 00:25:02,980 --> 00:25:05,080 何ぞ申しゃ 246 00:25:07,320 --> 00:25:09,920 いかなるお仕置きを 受けましょうとも 247 00:25:09,920 --> 00:25:12,820 申し上ぐべき言葉はござりませぬ 248 00:25:12,820 --> 00:25:18,530 なれば若年寄の職を ご辞退もうすと言われるのか 249 00:25:18,530 --> 00:25:20,830 はい 250 00:25:20,830 --> 00:25:22,770 上様の仰せなれば 251 00:25:22,770 --> 00:25:25,000 何? 252 00:25:25,000 --> 00:25:27,940 上様の? 253 00:25:27,940 --> 00:25:29,970 秋江の方様には 254 00:25:29,970 --> 00:25:33,710 上様のご寵愛を 受けられたお身の上 255 00:25:33,710 --> 00:25:36,080 御台様の仰せとはもうせ 256 00:25:36,080 --> 00:25:38,650 みだりに職を引くわけには まいりません 257 00:25:38,650 --> 00:25:40,580 黙りゃ 258 00:25:40,580 --> 00:25:43,380 御台様の御前で恐れある雑言 259 00:25:47,360 --> 00:25:51,660 はっ これは 上様のお成りでござりまする 260 00:26:08,480 --> 00:26:10,780 お出迎えもいたしませず 261 00:26:10,780 --> 00:26:14,120 ご無礼つかまつりました 262 00:26:14,120 --> 00:26:17,820 だいぶ にぎやかじゃのう 263 00:26:17,820 --> 00:26:19,760 これ 妙心 はい 264 00:26:19,760 --> 00:26:23,460 上様 お成りなれば なぜ声をかけぬ 265 00:26:23,460 --> 00:26:26,930 おかけいたしましたなれど 266 00:26:26,930 --> 00:26:29,470 かけなんだぞ 267 00:26:29,470 --> 00:26:31,430 とがめるな 268 00:26:31,430 --> 00:26:33,830 代わりに座興を見た 269 00:26:36,710 --> 00:26:39,940 浅岡 はい 270 00:26:39,940 --> 00:26:42,240 その額の血は? 271 00:26:44,710 --> 00:26:48,950 私の粗相ゆえ お廊下にて昏倒いたし… 272 00:26:48,950 --> 00:26:51,790 そこにたまたま 273 00:26:51,790 --> 00:26:55,190 松島の扇子があったと申すのか 274 00:27:02,800 --> 00:27:05,300 阿紀 はい 275 00:27:07,300 --> 00:27:09,300 面を上げい 276 00:27:16,710 --> 00:27:18,780 泣いておるのか 277 00:27:18,780 --> 00:27:22,080 いいえ そのような 278 00:27:25,550 --> 00:27:27,550 ぬれておるぞ 279 00:27:30,190 --> 00:27:32,890 この広座敷に雨が降るか 280 00:27:35,500 --> 00:27:37,500 涙の雨か 281 00:27:41,840 --> 00:27:44,140 松島 はい 282 00:27:44,140 --> 00:27:49,040 ただ今をもって 大年寄の役を免ずる 283 00:27:49,040 --> 00:27:51,750 何と仰せられまする 284 00:27:51,750 --> 00:27:54,650 隠居の身が楽でよかろう 285 00:27:54,650 --> 00:27:57,550 御台の香合わせの相手 286 00:27:57,550 --> 00:28:01,150 さぞ話に花が咲くであろうな 287 00:28:03,360 --> 00:28:05,960 大年寄の儀 追って沙汰する 288 00:28:09,170 --> 00:28:11,430 お待ちなされませ 289 00:28:11,430 --> 00:28:14,300 その儀 御台として 承知いたしかねまする 290 00:28:14,300 --> 00:28:17,910 いたさずともよい いえ こと大奥に関しての転職 291 00:28:17,910 --> 00:28:20,680 たとえ上様の仰せといえども… 余が決めたぞ 292 00:28:20,680 --> 00:28:23,980 なりませぬ 293 00:28:23,980 --> 00:28:27,180 よし 294 00:28:27,180 --> 00:28:30,790 松島に代わる大年寄 295 00:28:30,790 --> 00:28:33,790 浅岡局 296 00:28:33,790 --> 00:28:37,560 この浅岡が? 297 00:28:37,560 --> 00:28:40,260 浅岡 はい 298 00:28:40,260 --> 00:28:42,560 しかと申しつけたぞ 299 00:28:45,730 --> 00:28:48,230 ありがたき幸せ 300 00:29:05,490 --> 00:29:08,090 阿紀 参れ 301 00:29:08,090 --> 00:29:10,030 上様 302 00:29:10,030 --> 00:29:12,090 大年寄の儀 303 00:29:12,090 --> 00:29:15,500 浅岡 一命に代えましても 304 00:29:15,500 --> 00:29:18,300 相務めましてござりまする 305 00:29:25,940 --> 00:29:27,940 秋江の方様 306 00:30:09,050 --> 00:30:13,420 おみ足を踏まれませぬよう お気をつけくださいまし 307 00:30:13,420 --> 00:30:16,330 うまく忍び出ることができた 308 00:30:16,330 --> 00:30:18,730 浅岡なればこその才覚じゃ 309 00:30:50,190 --> 00:30:52,390 うん 似合うぞ 310 00:31:54,020 --> 00:31:56,930 のう 阿紀 今宵の余は 311 00:31:56,930 --> 00:31:59,260 将軍 家斉ではない 312 00:31:59,260 --> 00:32:01,730 幼名の豊千代じゃ 313 00:32:01,730 --> 00:32:05,300 私は町の娘 お阿紀でございます 314 00:32:05,300 --> 00:32:07,300 うん 315 00:32:10,140 --> 00:32:15,940 城の内で祭りの囃子を 遠く聞いたことはあったが 316 00:32:15,940 --> 00:32:18,410 なれどその源が 317 00:32:18,410 --> 00:32:21,110 このように 楽しいものであろうとは 318 00:32:24,620 --> 00:32:28,120 上様は お寂しい方 319 00:32:30,190 --> 00:32:35,800 このように のびのびと 温かい気持ちになったのは 320 00:32:35,800 --> 00:32:38,600 ああ 生まれて初めてじゃ 321 00:32:42,570 --> 00:32:45,770 阿紀 そちと2人きりじゃのう 322 00:32:47,810 --> 00:32:49,810 うん 323 00:32:52,410 --> 00:32:55,710 お迎えに上がりました お時刻にござりますれば 324 00:33:22,410 --> 00:33:24,980 いかがでございましたか 325 00:33:24,980 --> 00:33:27,050 うん 326 00:33:27,050 --> 00:33:30,790 秋江とそちを 宿下がりにいたしたのは 327 00:33:30,790 --> 00:33:33,490 ああ… 余の果報じゃ 328 00:33:38,960 --> 00:33:42,760 お忍びのこと 御台様方に知れてはと 329 00:33:42,760 --> 00:33:45,670 心を痛めました 330 00:33:45,670 --> 00:33:50,410 思いがけないお出ましゆえ 申し遅れましたなれど 331 00:33:50,410 --> 00:33:53,640 このたびは 士分にお取り立ていただき 332 00:33:53,640 --> 00:33:57,550 和泉屋重兵衛 身に余る幸せ 333 00:33:57,550 --> 00:34:00,020 礼は秋江に言うがよいぞ 334 00:34:00,020 --> 00:34:01,950 は… はい 335 00:34:01,950 --> 00:34:04,550 なかなかに見事な滝じゃのう 336 00:34:08,260 --> 00:34:13,230 これなるは末娘にて町と申します 337 00:34:13,230 --> 00:34:16,130 ほう 3人姉妹か 338 00:34:16,130 --> 00:34:18,500 はい 339 00:34:18,500 --> 00:34:22,370 私が上の姉にて篠と申し 340 00:34:22,370 --> 00:34:25,210 お方様は お阿紀 341 00:34:25,210 --> 00:34:28,510 末の妹は町と申しまする 342 00:34:30,580 --> 00:34:33,080 のう 町とやら 343 00:34:33,080 --> 00:34:37,590 そちも大奥へ上がるか? 344 00:34:37,590 --> 00:34:39,960 はい 345 00:34:39,960 --> 00:34:41,890 まこと望むか 346 00:34:41,890 --> 00:34:46,600 はい 大姉様が 大奥へ上がられました時より 347 00:34:46,600 --> 00:34:49,530 心ひそかに これ 348 00:34:49,530 --> 00:34:51,530 そなたが考えるように 349 00:34:51,530 --> 00:34:54,840 大奥は気楽な暮らしではない 350 00:34:54,840 --> 00:35:00,380 でも あのきらびやかなお掻取を 羽織ってみたいのでございます 351 00:35:00,380 --> 00:35:04,310 阿紀姉様が お旗本の中野様を仮親に 352 00:35:04,310 --> 00:35:07,550 大奥へ上がられましたのを見て 353 00:35:07,550 --> 00:35:11,090 夢は ひとしお強くなりました 354 00:35:11,090 --> 00:35:13,560 それはなりません 355 00:35:13,560 --> 00:35:16,590 何ゆえじゃ 356 00:35:16,590 --> 00:35:20,700 いいえ 女3人 357 00:35:20,700 --> 00:35:25,100 姉妹のことごとくが 大奥に上がってしもうては 358 00:35:25,100 --> 00:35:27,140 お父様が… 359 00:35:27,140 --> 00:35:30,040 その鈴は? はい 360 00:35:32,910 --> 00:35:35,610 阿紀とそろいか 361 00:35:35,610 --> 00:35:38,610 はい 362 00:35:38,610 --> 00:35:41,910 母の形見でございます 363 00:35:44,120 --> 00:35:46,960 私も 364 00:35:46,960 --> 00:35:49,590 このように 365 00:35:49,590 --> 00:35:51,990 ほう 3つの鈴か 366 00:35:54,100 --> 00:35:58,400 たとえ離れていようとも 血の温かみは通うもの 367 00:36:00,440 --> 00:36:04,140 姉妹3人 仲ようするがよいぞ 368 00:36:20,320 --> 00:36:22,720 大年寄様 369 00:36:22,720 --> 00:36:25,030 ええっ 飛鳥井が? 370 00:36:25,030 --> 00:36:27,730 お家の裏手に 371 00:36:27,730 --> 00:36:31,530 松島局の差し金で つけおったな 372 00:36:31,530 --> 00:36:34,440 お忍びのこと 御台様に知れますれば 373 00:36:34,440 --> 00:36:37,340 どのような… 374 00:36:37,340 --> 00:36:39,270 飛鳥井か 375 00:36:39,270 --> 00:36:43,650 いずれは秋江の方様にも 難儀が及びましょう 376 00:36:43,650 --> 00:36:46,350 それゆえに私は あのようにお止めもうし… 377 00:36:46,350 --> 00:36:50,650 浅はかな女と思うであろうが 騒ぐことはない 378 00:36:52,650 --> 00:36:55,520 浅岡は今宵に賭けました 379 00:36:55,520 --> 00:36:59,190 そして賭けは見事に実を結んだ 380 00:36:59,190 --> 00:37:02,100 お方へのご執心 381 00:37:02,100 --> 00:37:04,070 もはや上様のお心から 382 00:37:04,070 --> 00:37:07,370 お富久の方様は消えました 383 00:37:07,370 --> 00:37:10,570 お二方の契りは大盤石 384 00:37:10,570 --> 00:37:14,440 端で何をたくもうが 驚くには足りぬ 385 00:37:14,440 --> 00:37:18,310 して 飛鳥井殿をこのまま大奥へ? 386 00:37:18,310 --> 00:37:23,410 松島局の差し金とあらば 帰さぬわけにもゆくまいからのう 387 00:37:25,520 --> 00:37:27,520 手立てはある 388 00:38:46,400 --> 00:38:49,910 飛鳥井殿じゃ 389 00:38:49,910 --> 00:38:53,240 御台様がお待ちかねじゃ これへ 390 00:38:53,240 --> 00:38:55,240 はい 391 00:38:59,480 --> 00:39:03,290 大奥にはお廊下が多いゆえ 392 00:39:03,290 --> 00:39:07,160 お部屋を覚えるまでが なかなか はい 393 00:39:07,160 --> 00:39:09,090 秋江の方様 394 00:39:09,090 --> 00:39:12,590 大年寄 浅岡局様の 395 00:39:12,590 --> 00:39:15,400 末の妹御と聞いていたが 396 00:39:15,400 --> 00:39:18,100 はい でも姉は 397 00:39:18,100 --> 00:39:21,470 私が大奥に上がることを 固く戒めました 398 00:39:21,470 --> 00:39:24,840 ほう それは異なこと 399 00:39:24,840 --> 00:39:29,740 でも町は御台様の思し召しで 夢がかなえられ 400 00:39:29,740 --> 00:39:32,950 大変うれしゅう存じます 401 00:39:32,950 --> 00:39:36,820 大奥に上がることを 日夜 願っておりました 402 00:39:36,820 --> 00:39:39,720 それは重畳 403 00:39:39,720 --> 00:39:45,830 あろうことか 上様を 町人どもの祭りにお誘いするとは 404 00:39:45,830 --> 00:39:49,200 そこはそれ 秋江の方様と申し 405 00:39:49,200 --> 00:39:53,400 浅岡様は もともと下賤の生まれ 406 00:39:55,500 --> 00:39:59,240 いかに羽振りがよい町人とは申せ 407 00:39:59,240 --> 00:40:03,710 糠臭い米問屋の住まいに上様を 408 00:40:03,710 --> 00:40:06,680 姉妹たくんで 何ぞ おねだり申したに 409 00:40:06,680 --> 00:40:08,680 相違ございません 410 00:40:08,680 --> 00:40:11,090 フフフフ 411 00:40:11,090 --> 00:40:15,290 飛鳥井が生き証人 ゆるりと協議の末 412 00:40:15,290 --> 00:40:19,090 不届きの数々 あぶり出してやりましょうぞ 413 00:40:24,000 --> 00:40:26,700 先刻より お町と申す娘 414 00:40:26,700 --> 00:40:29,540 お部屋に待たせてござりまする 415 00:40:29,540 --> 00:40:31,470 おう 参ったか 416 00:40:31,470 --> 00:40:33,410 はい 417 00:40:33,410 --> 00:40:36,310 会うてみようぞ 418 00:40:36,310 --> 00:40:40,280 本来ならば 浅岡殿の部屋子となって 419 00:40:40,280 --> 00:40:44,750 秋江の方様にお仕えもうすが 筋目なれど 420 00:40:44,750 --> 00:40:48,260 御台様には そなたの素性を知られて 421 00:40:48,260 --> 00:40:50,760 たってのご所望 422 00:40:50,760 --> 00:40:55,060 特別のお計らいをもって 召し出した次第です 423 00:40:55,060 --> 00:40:58,930 ありがとう存じまする 424 00:40:58,930 --> 00:41:02,840 大奥にては姉も妹もない 425 00:41:02,840 --> 00:41:06,010 御台様のお心に応え 426 00:41:06,010 --> 00:41:08,910 心を締めて奉公しや 427 00:41:10,850 --> 00:41:15,050 はい よう見れば かわいい顔 428 00:41:19,050 --> 00:41:23,850 どことのう 秋江の方に生き写しじゃ 429 00:41:26,230 --> 00:41:29,030 お誓詞を申し聞かしゃ 430 00:41:42,640 --> 00:41:45,650 一つ ご奉公の儀 431 00:41:45,650 --> 00:41:48,450 忠義を第一につかまつり 432 00:41:48,450 --> 00:41:52,550 悪心をもって 申し合わせいたすまじくそうろう 433 00:42:03,430 --> 00:42:07,840 姉が止めたにもかかわらず なぜ大奥へ上がったのじゃ 434 00:42:07,840 --> 00:42:10,440 御台様からの お呼び出しでございます 435 00:42:10,440 --> 00:42:12,710 たとえ どなたであろうとも 436 00:42:12,710 --> 00:42:14,640 上様なら いざ知らず 437 00:42:14,640 --> 00:42:16,910 ご辞退はできるはず 438 00:42:16,910 --> 00:42:19,010 どうしていけないのですか 439 00:42:23,350 --> 00:42:26,350 町は大奥が夢でした 440 00:42:26,350 --> 00:42:28,490 阿紀姉様だって 441 00:42:28,490 --> 00:42:31,590 秋江の方様とお呼びするがよいぞ 442 00:42:33,460 --> 00:42:37,170 大奥へ上がれば姉妹3人仲よく 443 00:42:37,170 --> 00:42:39,370 なぜ私だけが? 444 00:42:42,100 --> 00:42:46,270 お腹黒い松島局様のこと 445 00:42:46,270 --> 00:42:49,570 お町様を 生き証人に取ったのであろう 446 00:42:53,050 --> 00:42:58,350 あの… 大年寄様 町は決して口は割りません 447 00:42:58,350 --> 00:43:00,590 ご心配ならお局様の部屋子に 448 00:43:00,590 --> 00:43:03,460 バカな 449 00:43:03,460 --> 00:43:05,730 そなたは御台様に召し出され 450 00:43:05,730 --> 00:43:08,130 既に誓詞も読まされたであろう 451 00:43:08,130 --> 00:43:10,070 はい 452 00:43:10,070 --> 00:43:14,770 今さら部屋替えは大奥の御法度 453 00:43:14,770 --> 00:43:20,440 御台様には秋江の方様のこと きついお憎しみ 454 00:43:20,440 --> 00:43:22,940 そなたと我らは敵と味方じゃ 455 00:43:25,010 --> 00:43:29,180 お忍びのこと 口を割るようなれば 456 00:43:29,180 --> 00:43:33,880 たとえ血を分けた仲とはいえ 見殺しにせずばなるまい 457 00:43:53,410 --> 00:43:55,840 そなたが中村紅雀か 458 00:43:55,840 --> 00:43:59,580 はい 中村座に勤めおりまする 459 00:43:59,580 --> 00:44:03,320 駆け出しの役者でございます 460 00:44:03,320 --> 00:44:07,190 そなた 飛鳥井とは なれ合いとか 461 00:44:07,190 --> 00:44:09,760 いえ 飛鳥井様とは 462 00:44:09,760 --> 00:44:12,990 ただ一度 芝居茶屋にて お目もじいたし 463 00:44:12,990 --> 00:44:17,270 ただお杯のお流れを ひと口 頂きましただけのことで 464 00:44:17,270 --> 00:44:19,570 そなたに ぜひとも やってもらわねばならぬことが 465 00:44:19,570 --> 00:44:21,500 あるのじゃ はい 466 00:44:21,500 --> 00:44:25,710 なれど この私めにどのような… 467 00:44:25,710 --> 00:44:29,580 大奥女中を相手取っての檜舞台 468 00:44:29,580 --> 00:44:34,180 己の命を守るためにも 一世一代 務めねばなりませぬぞ 469 00:44:36,320 --> 00:44:38,250 往来の中にて 470 00:44:38,250 --> 00:44:42,120 上様と秋江殿の姿を 見かけたと申す 471 00:44:42,120 --> 00:44:46,930 はい この飛鳥井めが しかと見届けました 472 00:44:46,930 --> 00:44:49,560 事もあろうに上様が 473 00:44:49,560 --> 00:44:51,500 何ぞのお間違えでございましょう 474 00:44:51,500 --> 00:44:53,540 間違いと思うたゆえ 475 00:44:53,540 --> 00:44:57,310 これなる飛鳥井が 後をつけたと申しております 476 00:44:57,310 --> 00:45:01,510 節穴同然の眼に 何が見えましょうぞ 477 00:45:01,510 --> 00:45:05,410 節穴なれば これに 生き証人がござりまする 478 00:45:16,590 --> 00:45:20,160 祭りの夜のもようを つまびらかに 479 00:45:20,160 --> 00:45:23,060 御台様に申し上げるがよかろうぞ 480 00:45:23,060 --> 00:45:28,000 フフフフ まだいとけなき 小娘を言いくるめ 481 00:45:28,000 --> 00:45:31,800 この浅岡を大年寄の職より 引き下ろそうとの魂胆 482 00:45:33,840 --> 00:45:36,380 これ お町とやら 483 00:45:36,380 --> 00:45:41,080 何ぞ御台様に 申し上げることがあるのか 484 00:45:44,020 --> 00:45:47,560 御台様 恐れながら この飛鳥井 485 00:45:47,560 --> 00:45:50,530 上様 秋江の方様 お忍びにて 486 00:45:50,530 --> 00:45:53,230 和泉屋重兵衛宅に入られたるを 487 00:45:53,230 --> 00:45:56,630 見定めてございまする 488 00:45:56,630 --> 00:45:59,430 お町 489 00:45:59,430 --> 00:46:02,930 それは まことであろうな 490 00:46:05,740 --> 00:46:09,540 これ きりきり申し上げるが よかろうぞ 491 00:46:25,090 --> 00:46:29,690 顔に似合わず しぶといおなごでござりまするな 492 00:46:47,350 --> 00:46:49,820 ご免なされませ 火急のことゆえ 493 00:46:49,820 --> 00:46:52,150 何とした はい 494 00:46:52,150 --> 00:46:54,890 これなる飛鳥井殿のお部屋に… 495 00:46:54,890 --> 00:46:56,820 私の部屋に何ぞ 496 00:46:56,820 --> 00:47:00,060 はい 年若き河原者が 497 00:47:00,060 --> 00:47:02,460 河原者? めっそうもない 498 00:47:02,460 --> 00:47:05,060 忍びおりましてござります 499 00:47:09,170 --> 00:47:12,410 はあ… ああっ 500 00:47:12,410 --> 00:47:15,410 あっ そなたは よくも 501 00:47:17,610 --> 00:47:19,550 男子禁制の大奥にて 502 00:47:19,550 --> 00:47:22,520 役者ごとき河原者と通じ合うとは 503 00:47:22,520 --> 00:47:25,350 日頃 お気の強い飛鳥井殿のこと 504 00:47:25,350 --> 00:47:28,860 優しい河原者が お好みなのでございましょう 505 00:47:28,860 --> 00:47:31,260 これ 飛鳥井 506 00:47:31,260 --> 00:47:35,230 ご禁制を犯した罪は 絵島殿の例もあること 507 00:47:35,230 --> 00:47:37,570 覚悟はできておろうな 508 00:47:37,570 --> 00:47:41,200 身に覚えはござりません 潔白でござりまする 509 00:47:41,200 --> 00:47:45,040 潔白とな 浅岡殿 510 00:47:45,040 --> 00:47:47,980 そなたが仕組んだ猿芝居 511 00:47:47,980 --> 00:47:50,480 打ち止めにされるがよろしかろう 512 00:47:52,650 --> 00:47:56,480 これ 紅雀とやら 513 00:47:56,480 --> 00:48:00,920 はい そなたが睦み合うたというは 514 00:48:00,920 --> 00:48:03,830 この飛鳥井に違いはあるまいな 515 00:48:03,830 --> 00:48:09,230 はい 長持の中に身を隠し 夜な夜な忍んでまいりました 516 00:48:09,230 --> 00:48:11,970 嘘じゃ 嘘でござりまする 517 00:48:11,970 --> 00:48:14,700 それは つれないお言葉 518 00:48:14,700 --> 00:48:18,270 そなたのためならば 命はいらぬと仰せられたは 519 00:48:18,270 --> 00:48:20,740 ざれ言でござりますのか 520 00:48:20,740 --> 00:48:22,740 妙心殿 521 00:48:24,650 --> 00:48:26,650 立ちませい 522 00:48:32,350 --> 00:48:35,160 藤尾様 お信じくださいませ 523 00:48:35,160 --> 00:48:39,030 天地神明に誓って この飛鳥井は… 524 00:48:39,030 --> 00:48:42,800 あっ お局様 525 00:48:42,800 --> 00:48:46,630 後生でございます どうぞ私の身の潔白を 526 00:48:46,630 --> 00:48:49,230 あっ あ… えい 偽りを申すな 527 00:48:51,310 --> 00:48:54,610 あっ むごいことを 528 00:48:59,180 --> 00:49:01,320 (打ちつける音) あっ ああ… 529 00:49:01,320 --> 00:49:05,190 あの役者が生き証人 言い逃れはできぬぞ 530 00:49:05,190 --> 00:49:08,590 さあ 申せ 大年寄様に すべて白状いたすのじゃ 531 00:49:08,590 --> 00:49:12,190 ああっ う… 532 00:49:12,190 --> 00:49:16,900 お町殿 上様のお忍びのこと 533 00:49:16,900 --> 00:49:20,570 この飛鳥井が見届けてある 534 00:49:20,570 --> 00:49:25,410 言うてくだされ 真実を言うてくだされ 535 00:49:25,410 --> 00:49:28,240 あっ あ… あっ あ 536 00:49:28,240 --> 00:49:30,480 うう… 537 00:49:30,480 --> 00:49:33,010 お願いじゃ お町殿 538 00:49:33,010 --> 00:49:35,350 あっ… 539 00:49:35,350 --> 00:49:37,790 そなたは和泉屋のうちにいて 540 00:49:37,790 --> 00:49:40,390 すべてを見し 知っておるはず 541 00:49:40,390 --> 00:49:43,260 (打ちつける音) あっ あ… 542 00:49:43,260 --> 00:49:46,260 助けてくだされ 後生じゃ 543 00:49:48,200 --> 00:49:52,600 この飛鳥井を 飛鳥井の無実の罪を… 544 00:49:52,600 --> 00:49:56,900 (打ちつける音) (飛鳥井のうめき声) 545 00:50:00,480 --> 00:50:03,540 フハハハハ… 546 00:50:03,540 --> 00:50:06,450 たわ言を 547 00:50:06,450 --> 00:50:08,480 大年寄様 548 00:50:08,480 --> 00:50:12,720 あなた様は己の罪を消そうとして 549 00:50:12,720 --> 00:50:15,590 このような卑劣な芝居を 550 00:50:15,590 --> 00:50:19,690 あっ うっ ああ… あっ 551 00:50:23,460 --> 00:50:27,870 お町とて知らぬことを 申し開きもなるまい 552 00:50:27,870 --> 00:50:31,570 まして御台様が特にお目かけられ 553 00:50:31,570 --> 00:50:35,580 召し出された藤尾殿の部屋子 554 00:50:35,580 --> 00:50:38,580 忠義一途に励みおろうほどに 555 00:50:42,220 --> 00:50:45,790 祭りの夜のこと 事実なれば隠すことはない 556 00:50:45,790 --> 00:50:47,990 申し述べるがよかろうぞ 557 00:50:50,220 --> 00:50:52,890 まっ それはそれ 558 00:50:52,890 --> 00:50:57,290 さればとて 不義密通の咎は消えはせぬ 559 00:51:04,240 --> 00:51:08,140 松島殿 藤尾殿 この者の仕置き 560 00:51:08,140 --> 00:51:10,180 大年寄の名において 561 00:51:10,180 --> 00:51:12,880 浅岡が直々に検分いたす 562 00:51:16,380 --> 00:51:18,320 あっ 563 00:51:18,320 --> 00:51:23,590 飛鳥井殿 この期に及んで しらを切ってもせんないこと 564 00:51:23,590 --> 00:51:27,130 大奥の掟は生半可なことでは 済まされませんぞ 565 00:51:27,130 --> 00:51:31,970 白は白 黒は黒と はっきり決めた上で 566 00:51:31,970 --> 00:51:34,870 ご定法に従うがよかろうぞ 567 00:51:34,870 --> 00:51:38,140 このような卑劣な罠にかけるとは 568 00:51:38,140 --> 00:51:42,410 浅岡様もさすが下賤の生まれ 569 00:51:42,410 --> 00:51:45,850 覚悟はよろしかろうな 570 00:51:45,850 --> 00:51:47,780 はっ 571 00:51:47,780 --> 00:51:52,590 白と申しても 黒に染めてしまわねば 572 00:51:52,590 --> 00:51:54,520 毒グモの手は止まりますまい 573 00:51:54,520 --> 00:51:56,590 毒グモとな 574 00:51:56,590 --> 00:52:01,430 フフフフ クモが そなたの血を吸いたがっている 575 00:52:01,430 --> 00:52:05,730 この白い肌を はい上ってゆく 576 00:52:14,580 --> 00:52:18,810 恨んでやる 一生呪ってやる 577 00:52:18,810 --> 00:52:20,750 浅岡 お阿紀 578 00:52:20,750 --> 00:52:24,550 あの小娘のお町め 579 00:52:24,550 --> 00:52:27,820 もがけばもがくほど あがけばあがくほど 580 00:52:27,820 --> 00:52:29,890 毒は回るぞよ 581 00:52:29,890 --> 00:52:32,030 鬼じゃ 582 00:52:32,030 --> 00:52:34,530 ああーっ 583 00:52:34,530 --> 00:52:37,530 そなたは河原者と禁を犯した 584 00:52:37,530 --> 00:52:39,670 役者を長持に封じ込み 585 00:52:39,670 --> 00:52:43,170 夜な夜な 己の部屋に引き入れて 睦み合うた 586 00:52:43,170 --> 00:52:47,480 鬼 あなた様はきちがいじゃ 587 00:52:47,480 --> 00:52:49,980 しぶとい女め 588 00:52:49,980 --> 00:52:52,380 ああーっ 589 00:52:59,650 --> 00:53:01,990 この美しい顔の血を 590 00:53:01,990 --> 00:53:04,730 池の水で洗うてやりましょう 591 00:53:04,730 --> 00:53:06,730 はい 592 00:53:18,370 --> 00:53:20,870 えいっ あっ ああ… 593 00:53:33,750 --> 00:53:35,750 ああっ 594 00:53:42,060 --> 00:53:44,500 お方様 お待ちなさりませ 放して 595 00:53:44,500 --> 00:53:48,000 いえ 上様とお方様の上にひびが 596 00:53:51,010 --> 00:53:54,340 あっ ああ… 597 00:53:54,340 --> 00:53:57,240 ああっ う… ああっ 598 00:54:03,050 --> 00:54:06,090 アハハハハハ 599 00:54:06,090 --> 00:54:11,330 ハハハハハ アハハハハ… 600 00:54:11,330 --> 00:54:13,830 源様 601 00:54:13,830 --> 00:54:16,230 恋しい源様 602 00:54:22,670 --> 00:54:26,270 私は大奥が嫌いじゃ 603 00:54:31,350 --> 00:54:34,820 気がふれてしもうた 604 00:54:34,820 --> 00:54:37,650 昔の男の名を呼んでおりまするな 605 00:54:37,650 --> 00:54:41,150 (飛鳥井の笑い声) 606 00:54:59,240 --> 00:55:01,280 ご苦労であったな 607 00:55:01,280 --> 00:55:04,580 あの… 帰していただけますので? 608 00:55:07,450 --> 00:55:10,280 その長持の中に入るがよいぞ 609 00:55:10,280 --> 00:55:13,280 はい ありがとう存じます 610 00:55:50,420 --> 00:55:52,460 ふっ ううっ! 611 00:55:52,460 --> 00:55:54,460 ああ… 612 00:55:56,660 --> 00:55:59,630 ああ… 613 00:55:59,630 --> 00:56:04,040 ちきしょう だ… だましやがったな 614 00:56:04,040 --> 00:56:06,510 くっ ううっ 615 00:56:06,510 --> 00:56:11,010 うう ああ… 616 00:57:19,080 --> 00:57:23,820 血は隈なく洗い清め 粗相のないように 617 00:57:23,820 --> 00:57:26,250 はい 飛鳥井は 618 00:57:26,250 --> 00:57:29,220 気がくるうて首をくくり 619 00:57:29,220 --> 00:57:32,220 相手の役者はこれにて消えた 620 00:57:34,360 --> 00:57:37,560 夢のような一夜でございました 621 00:57:39,600 --> 00:57:43,340 夢じゃ 622 00:57:43,340 --> 00:57:45,270 これにて大奥は無事 623 00:57:45,270 --> 00:57:50,170 この浅岡も大年寄として 全うできるというものじゃ 624 00:58:02,390 --> 00:58:04,890 (鈴の音) 625 00:58:11,800 --> 00:58:15,670 お方様 さっ あちらへ 626 00:58:15,670 --> 00:58:17,870 お香などお焚きいたしましょう 627 00:58:19,970 --> 00:58:22,810 八重 はい 628 00:58:22,810 --> 00:58:26,550 私は罪もない飛鳥井殿を 629 00:58:26,550 --> 00:58:28,480 見殺しにしてしまった 630 00:58:28,480 --> 00:58:31,280 あ… まだそのようなことを 631 00:58:33,320 --> 00:58:35,260 私は 632 00:58:35,260 --> 00:58:38,930 己の幸せのために 633 00:58:38,930 --> 00:58:40,930 阿紀姉様 634 00:58:47,630 --> 00:58:50,970 お姉様もご存じだったのですね 635 00:58:50,970 --> 00:58:53,370 飛鳥井様のこと 636 00:58:55,680 --> 00:58:57,980 あんなむごいことを 637 00:58:57,980 --> 00:59:00,580 私 みんな しゃべってしまいます 638 00:59:02,620 --> 00:59:06,890 罪もない人を なぶり殺しにしたのは私です 639 00:59:06,890 --> 00:59:09,690 私がほんとのこと 言わないからです 640 00:59:12,690 --> 00:59:15,300 お町にだけは 641 00:59:15,300 --> 00:59:19,700 このような苦しみを 味わわせとうなかった 642 00:59:33,050 --> 00:59:35,520 お方様 643 00:59:35,520 --> 00:59:37,920 お詫び申しまする 644 00:59:40,650 --> 00:59:44,090 秋江の方様のことを思うて 645 00:59:44,090 --> 00:59:47,830 ただ上様とお幸せにとのみ思うて 646 00:59:47,830 --> 00:59:49,760 己を失うてしもうた 647 00:59:49,760 --> 00:59:53,770 嘘です 大姉様は 阿紀姉様を利用して 648 00:59:53,770 --> 00:59:56,600 ご自分の 大年寄としての栄誉を守るために 649 00:59:56,600 --> 01:00:00,700 お町 大姉様に向かって 言葉が過ぎましょう 650 01:00:02,880 --> 01:00:06,480 すべては この私が弱かったからです 651 01:00:10,720 --> 01:00:13,020 お町 652 01:00:13,020 --> 01:00:16,320 この姉が大年寄として 653 01:00:16,320 --> 01:00:18,320 そなたに このとおり 654 01:00:20,230 --> 01:00:23,060 お姉様 655 01:00:23,060 --> 01:00:27,070 私やお町に いくら詫びても 656 01:00:27,070 --> 01:00:29,470 飛鳥井殿は浮かばれません 657 01:00:31,570 --> 01:00:35,670 私は この大奥が どのように汚れておりましょうと 658 01:00:37,950 --> 01:00:40,450 姉妹3人 心正しく 659 01:00:42,520 --> 01:00:46,320 この鈴の音のように きれいに生きとうございます 660 01:00:49,220 --> 01:00:53,120 それがせめてもの 飛鳥井殿への供養 661 01:00:55,400 --> 01:00:57,400 (鈴の音) 662 01:01:28,900 --> 01:01:31,100 上様 お成りでござりまする 663 01:01:44,380 --> 01:01:48,020 阿紀 今宵の星祭り 664 01:01:48,020 --> 01:01:51,250 そなたと共に過ごそうぞ 665 01:01:51,250 --> 01:01:53,190 恐れながら 御台様に 666 01:01:53,190 --> 01:01:55,190 構わぬ 667 01:02:07,730 --> 01:02:12,730 「思うこと 人に書かせて 星の恋」か 668 01:02:14,840 --> 01:02:18,750 阿紀 そなたは星に何を祈る 669 01:02:18,750 --> 01:02:23,980 はい 上様が お健やかにあられますように 670 01:02:23,980 --> 01:02:27,080 うん 余も祈ろうぞ 671 01:02:45,770 --> 01:02:48,710 「たなばたの」 672 01:02:48,710 --> 01:02:54,210 「今宵あいなば 常のごと」 673 01:02:57,380 --> 01:03:00,290 下の句は そなたが書け 674 01:03:00,290 --> 01:03:02,290 はい 675 01:03:14,740 --> 01:03:17,340 「明日をへだてて」 676 01:03:20,370 --> 01:03:22,470 「年はながけむ」 677 01:03:30,020 --> 01:03:34,720 余は豊千代と記したぞ 678 01:04:01,780 --> 01:04:04,350 将軍でもない 679 01:04:04,350 --> 01:04:06,350 側室でもない 680 01:04:08,260 --> 01:04:12,560 ただの男と女 681 01:04:12,560 --> 01:04:16,160 心と心が結びつき 682 01:04:16,160 --> 01:04:20,960 阿紀 今宵 改めて星に祈ろうぞ 683 01:04:31,210 --> 01:04:34,410 申し上げまする 684 01:04:34,410 --> 01:04:39,250 今宵の星祭り 上様には 秋江の方様とお二人にて 685 01:04:39,250 --> 01:04:41,890 何?お二人にて 686 01:04:41,890 --> 01:04:45,790 はい さよう お達しでございました 687 01:04:47,990 --> 01:04:52,000 うう… おのれ 688 01:04:52,000 --> 01:04:54,400 なんで このままに捨て置こうぞ 689 01:04:56,570 --> 01:04:58,570 この恨み 690 01:05:03,340 --> 01:05:08,320 あの小袖は そなたのものか 691 01:05:08,320 --> 01:05:12,350 はい 大奥に変事あれば 692 01:05:12,350 --> 01:05:17,120 いつにても 上様のお身代わりにと存じ 693 01:05:17,120 --> 01:05:19,990 そうはさせぬぞ 694 01:05:19,990 --> 01:05:23,590 余は常に秋江と共にあるぞ 695 01:05:28,340 --> 01:05:30,700 これ お町 696 01:05:30,700 --> 01:05:35,440 生き証人の飛鳥井が 不義密通の罪を着せられ 697 01:05:35,440 --> 01:05:38,180 気がくるうて死んだ上は 698 01:05:38,180 --> 01:05:40,880 そなただけが頼りの綱 699 01:05:42,880 --> 01:05:47,150 御台様は そなたが 殊の外のお気に入りで 700 01:05:47,150 --> 01:05:50,960 お中臈にお取り立てくださる 701 01:05:50,960 --> 01:05:54,560 ありがたき仰せなれど 私は… 702 01:05:54,560 --> 01:05:56,930 何? 703 01:05:56,930 --> 01:05:59,270 御台様のお心に背く気か 704 01:05:59,270 --> 01:06:02,470 あ… オホホ 705 01:06:02,470 --> 01:06:07,240 姉をかばう そなたの心 よう分かるが 706 01:06:07,240 --> 01:06:11,080 御台様への忠勤が第一じゃ 707 01:06:11,080 --> 01:06:13,980 はい 秋江の方様と 708 01:06:13,980 --> 01:06:16,820 浅岡局様が腹を合わせて 709 01:06:16,820 --> 01:06:21,660 上様をご城外へ お連れもうしたことは明々白々 710 01:06:21,660 --> 01:06:23,690 存じませぬ 711 01:06:23,690 --> 01:06:25,690 何? 712 01:06:33,370 --> 01:06:36,170 存ぜぬと? 713 01:06:36,170 --> 01:06:38,440 あっ あ… 714 01:06:38,440 --> 01:06:40,370 優しくすれば つけ上がり 715 01:06:40,370 --> 01:06:43,070 痛い目に遭おうぞ 716 01:06:46,650 --> 01:06:49,450 うっ う… 717 01:06:52,450 --> 01:06:54,890 お許しくださいませ 718 01:06:54,890 --> 01:06:58,430 痛いか い… あっ 719 01:06:58,430 --> 01:07:01,830 痛ければ申すがよいぞ 720 01:07:01,830 --> 01:07:04,300 これ 口を割らぬか 721 01:07:04,300 --> 01:07:06,700 あっ ああっ 722 01:07:14,740 --> 01:07:16,680 何?お町が 723 01:07:16,680 --> 01:07:20,580 大年寄様 今のうちに 誰ぞ人を使うて… 724 01:07:20,580 --> 01:07:24,990 黙りゃ 要らざる差し出口 慎むがよい 725 01:07:24,990 --> 01:07:27,590 申し訳ござりません 726 01:07:41,540 --> 01:07:43,540 お町 727 01:08:25,550 --> 01:08:28,480 そなた 728 01:08:28,480 --> 01:08:32,420 大奥から消えてほしいのじゃ えっ 729 01:08:32,420 --> 01:08:35,790 姉たち2人のため 730 01:08:35,790 --> 01:08:38,590 せめて魂だけでもな 731 01:08:38,590 --> 01:08:40,590 魂… 732 01:08:43,200 --> 01:08:47,070 まさか あなた様は 733 01:08:47,070 --> 01:08:50,800 飛鳥井様を殺し いつぞやの役者も… 734 01:08:50,800 --> 01:08:55,210 あれはな 大奥を取り締まる大年寄として 735 01:08:55,210 --> 01:08:58,650 当然の処置をしたまで 736 01:08:58,650 --> 01:09:03,050 この大奥には 大義もない 名分もない 737 01:09:03,050 --> 01:09:05,050 あるのは虚飾 738 01:09:05,050 --> 01:09:07,990 女の見え 739 01:09:07,990 --> 01:09:12,460 打たねば打たれる 殺さねば殺される 740 01:09:12,460 --> 01:09:14,860 では いつぞや池のほとりで 741 01:09:14,860 --> 01:09:18,570 あれは嘘でございましたのか 742 01:09:18,570 --> 01:09:21,940 お阿紀がおしとねを頂いた 743 01:09:21,940 --> 01:09:24,870 その時から運命が開けた 744 01:09:24,870 --> 01:09:30,010 思いもせなんだ大きな夢が 正夢となった 745 01:09:30,010 --> 01:09:34,510 妹は側室 姉は大年寄 746 01:09:34,510 --> 01:09:36,510 女一代の光栄じゃ 747 01:09:38,450 --> 01:09:40,620 それもおしまいです 748 01:09:40,620 --> 01:09:45,560 あなた様の非道な行いは 神様とて… いいえ 749 01:09:45,560 --> 01:09:49,700 大奥のすべての方が お許しになりますまい 750 01:09:49,700 --> 01:09:53,300 私がいかように 口をつぐみましょうも 751 01:09:53,300 --> 01:09:55,600 犯した罪は消えませぬ 752 01:09:55,600 --> 01:09:58,000 過ぎたことは忘れてしもうた 753 01:10:00,070 --> 01:10:03,970 仮に思い出させようとする者が この目の前に現れれば… 754 01:10:05,880 --> 01:10:08,480 またお殺しなさいますか 755 01:10:12,220 --> 01:10:15,090 あなた様のお手の血は 756 01:10:15,090 --> 01:10:18,890 やがて阿紀姉様にも及びましょう 757 01:10:18,890 --> 01:10:23,730 そのために罪もないお方様が… 758 01:10:23,730 --> 01:10:26,270 止めるも聞かず 759 01:10:26,270 --> 01:10:30,270 そなたから進んで参った大奥 760 01:10:30,270 --> 01:10:34,770 さぞ楽しい毎日であろうな 761 01:10:37,480 --> 01:10:40,180 はっ 762 01:10:40,180 --> 01:10:43,550 何をなさるのです 763 01:10:43,550 --> 01:10:48,420 この先 白状いたさねば そなたの命はあるまい 764 01:10:48,420 --> 01:10:52,090 いずれない命なれば 765 01:10:52,090 --> 01:10:54,490 この姉の手で 766 01:10:56,930 --> 01:11:01,170 あなた様は妹を殺してまで 767 01:11:01,170 --> 01:11:03,570 大年寄の名誉を 768 01:11:28,290 --> 01:11:30,290 阿紀姉様 769 01:11:35,370 --> 01:11:37,470 助けて 770 01:11:46,480 --> 01:11:48,580 お姉様 771 01:11:58,990 --> 01:12:01,790 おのれ 誰じゃ 772 01:12:10,600 --> 01:12:13,200 あなたは お方様 773 01:12:21,050 --> 01:12:24,820 心外でございます 774 01:12:24,820 --> 01:12:26,920 あなた様が 775 01:12:31,590 --> 01:12:33,890 許せなんだ 776 01:12:37,400 --> 01:12:41,500 あなた様の刃で このような… 777 01:12:54,550 --> 01:12:56,850 姉を刺した 778 01:12:59,350 --> 01:13:01,650 お町を救うために 779 01:13:04,290 --> 01:13:08,990 妹のために 姉を刺したな 780 01:13:16,370 --> 01:13:18,370 お姉様 781 01:13:22,180 --> 01:13:25,910 このお町めが 782 01:13:25,910 --> 01:13:30,710 大奥へ上がったばかりに 道がくるうた 783 01:13:33,050 --> 01:13:35,420 くるうたのではない 784 01:13:35,420 --> 01:13:39,020 人にとって正しい道こそ 785 01:13:42,960 --> 01:13:48,360 百鬼夜行の大奥に 正しい道がありましょうか 786 01:13:54,410 --> 01:13:56,710 負けてなるものか 787 01:14:00,880 --> 01:14:03,650 藤尾ごときに 788 01:14:03,650 --> 01:14:05,590 松島ごときに 789 01:14:05,590 --> 01:14:07,990 この浅岡が 790 01:14:11,960 --> 01:14:14,960 お阿紀 791 01:14:14,960 --> 01:14:18,260 そなたは終生 お部屋様じゃ 792 01:14:21,300 --> 01:14:23,800 上様を離すでないぞ 793 01:14:26,970 --> 01:14:32,350 この姉の夢は… 794 01:14:32,350 --> 01:14:35,150 お姉様 近寄るでない 795 01:14:35,150 --> 01:14:38,550 血で汚れる 796 01:14:38,550 --> 01:14:43,350 お阿紀 そなたは御台様に勝った 797 01:14:45,730 --> 01:14:47,830 勝ち抜くのじゃ 798 01:14:55,900 --> 01:14:58,500 お阿紀 799 01:14:58,500 --> 01:15:02,010 姉は… 800 01:15:02,010 --> 01:15:05,210 己で命を絶ったのじゃ 801 01:15:20,190 --> 01:15:22,590 ああっ あっ 802 01:15:47,590 --> 01:15:50,490 おお 見事じゃの 803 01:15:58,030 --> 01:16:00,030 上様 804 01:16:03,370 --> 01:16:06,270 お聞きお呼びのことと 存じまするが 805 01:16:06,270 --> 01:16:09,540 今朝方 空井戸の内より 806 01:16:09,540 --> 01:16:12,410 浅岡殿の屍が上がり 807 01:16:12,410 --> 01:16:16,220 背より胸を貫いた傷痕あり 808 01:16:16,220 --> 01:16:18,220 藤尾殿の部屋子 809 01:16:18,220 --> 01:16:21,420 亡き浅岡様の妹にて 810 01:16:21,420 --> 01:16:25,360 秋江の方様にも 血を分けた間柄のお町が 811 01:16:25,360 --> 01:16:29,030 自ら訴え出ましたる末 812 01:16:29,030 --> 01:16:33,530 お局殺しの罪を 自供いたしましてござりまする 813 01:16:38,440 --> 01:16:41,410 上様直々のご裁決にて 814 01:16:41,410 --> 01:16:44,880 定まりましたる大年寄なれど 815 01:16:44,880 --> 01:16:48,750 あれは例のないことで ありましたな 816 01:16:48,750 --> 01:16:54,020 はい 浅岡様亡き後の大年寄の席 817 01:16:54,020 --> 01:16:57,920 御台様はじめ 我ら年寄 協議の末 818 01:16:57,920 --> 01:17:01,920 あれなる藤尾局に 取り決めましてござりまする 819 01:17:04,060 --> 01:17:07,570 なお松島は堂上の出なれば 820 01:17:07,570 --> 01:17:12,040 上臈に取り立て 大奥を広く 取り締まることになりました 821 01:17:12,040 --> 01:17:15,040 藤尾の大年寄に 822 01:17:15,040 --> 01:17:18,950 松島の上臈か はい 823 01:17:18,950 --> 01:17:23,220 不肖ながら この藤尾 身に余る光栄 824 01:17:23,220 --> 01:17:26,020 ありがたくお受けいたしまする 825 01:17:29,920 --> 01:17:34,730 さぞや御台も 心強いことであろうな 826 01:17:34,730 --> 01:17:38,600 そこでお願いの儀が 827 01:17:38,600 --> 01:17:41,000 何じゃ 828 01:17:41,000 --> 01:17:46,540 お局であり 己の姉でもある 浅岡を殺めましたる 829 01:17:46,540 --> 01:17:50,010 秋江の方様の妹お町 830 01:17:50,010 --> 01:17:54,980 まあ… 浅岡殿も数々の不行跡 831 01:17:54,980 --> 01:17:59,050 あれなる中臈 掛川の証言にて 832 01:17:59,050 --> 01:18:01,350 井戸の内なる白骨は 833 01:18:01,350 --> 01:18:05,560 中村座に勤めおります役者にて 834 01:18:05,560 --> 01:18:08,960 亡き飛鳥井が無実を被りました 835 01:18:08,960 --> 01:18:11,860 相方のものと知れ 836 01:18:11,860 --> 01:18:16,340 申すもはばかる 浅岡殿の悪事の数々 837 01:18:16,340 --> 01:18:20,210 白日の下に 照らし出されましてござりまする 838 01:18:20,210 --> 01:18:22,280 それが何とした 839 01:18:22,280 --> 01:18:26,950 姉の罪は妹の罪 妹の罪は姉の罪 840 01:18:26,950 --> 01:18:28,880 あれなる秋江殿を 841 01:18:28,880 --> 01:18:34,380 小伝馬町なる揚屋敷女部屋へ お移しのほどを 842 01:18:36,560 --> 01:18:39,030 ならぬ 上様 843 01:18:39,030 --> 01:18:41,590 私一存ではござりませぬ 844 01:18:41,590 --> 01:18:44,900 ならぬ 上臈 大年寄 845 01:18:44,900 --> 01:18:47,330 また若年寄をはじめ 846 01:18:47,330 --> 01:18:51,200 大奥女中全体の意思で ござりまする 847 01:18:51,200 --> 01:18:53,770 ならぬと申しておる 848 01:18:53,770 --> 01:18:56,370 秋江に罪はない 849 01:19:26,140 --> 01:19:28,340 上様 何じゃ 850 01:19:30,310 --> 01:19:35,050 秋江に死を賜りとうございます 851 01:19:35,050 --> 01:19:36,980 何? 852 01:19:36,980 --> 01:19:39,380 死を賜りたく 853 01:19:41,820 --> 01:19:44,360 何ゆえじゃ 854 01:19:44,360 --> 01:19:47,060 お町に罪はございません 855 01:19:49,100 --> 01:19:52,000 浅岡を殺したのは 856 01:19:52,000 --> 01:19:54,200 私でございます 857 01:19:56,440 --> 01:20:00,040 妹は側室 姉は大年寄 858 01:20:00,040 --> 01:20:01,970 女一代の光栄じゃ 859 01:20:01,970 --> 01:20:06,680 あの非道な行いは 神様とて… いいえ 860 01:20:06,680 --> 01:20:09,580 大奥のすべての方が お許しになりますまい 861 01:20:09,580 --> 01:20:12,950 大奥に大義はない 名分もない 862 01:20:12,950 --> 01:20:14,890 あるのは虚飾 863 01:20:14,890 --> 01:20:17,390 女の見え 864 01:20:17,390 --> 01:20:21,390 打たねば打たれる 殺さねば殺される 865 01:20:21,390 --> 01:20:25,790 いずれない命なれば この姉の手で 866 01:20:34,770 --> 01:20:38,640 ならん ならんぞ 867 01:20:38,640 --> 01:20:42,540 阿紀 死ぬことは許さんぞ 868 01:20:56,630 --> 01:20:58,930 (鈴の音) 869 01:21:17,920 --> 01:21:19,920 お町か 870 01:21:23,090 --> 01:21:25,090 はい 871 01:21:34,470 --> 01:21:37,700 お町殿はお方様の妹御ゆえ 872 01:21:37,700 --> 01:21:40,110 大年寄様より 固く申しつけられたる 873 01:21:40,110 --> 01:21:42,110 罪人同様の身の上 874 01:21:42,110 --> 01:21:44,310 そなたに迷惑はかけません 875 01:21:46,510 --> 01:21:49,710 すべては この秋江が 876 01:21:55,290 --> 01:21:57,990 ならば ごゆるりと 877 01:22:03,860 --> 01:22:05,900 お姉様 878 01:22:05,900 --> 01:22:08,230 逃げるのです えっ 879 01:22:08,230 --> 01:22:11,740 今宵 宿下がりの者を 八重が見つけてくれました 880 01:22:11,740 --> 01:22:15,410 そなたは その御端下に なり代わるのです 881 01:22:15,410 --> 01:22:17,610 でも お姉様は? 882 01:22:19,680 --> 01:22:24,120 和泉屋は 娘の罪障によりお取り潰し 883 01:22:24,120 --> 01:22:27,350 仮親の中野様は謹慎 884 01:22:27,350 --> 01:22:32,050 お父様は所払いの刑を 申し渡されたそうな 885 01:22:34,560 --> 01:22:37,160 甲府の伯母様の元へ 行かれるのであろうが 886 01:22:39,170 --> 01:22:42,570 そなたも お父様の元へ参るがよい 887 01:22:46,270 --> 01:22:49,310 よいか 888 01:22:49,310 --> 01:22:54,110 そなたは人の妻となり 子の母となって 889 01:22:54,110 --> 01:22:58,610 安らかに女のまことの幸せを つかんでほしい 890 01:23:00,790 --> 01:23:03,390 篠姉様も 私も 891 01:23:03,390 --> 01:23:06,730 果たせなんだ夢 892 01:23:06,730 --> 01:23:11,100 そなたが かなえてくれますように 893 01:23:11,100 --> 01:23:13,970 よいな 894 01:23:13,970 --> 01:23:15,970 はい 895 01:23:21,840 --> 01:23:25,540 これは亡くなられたお姉様の鈴 896 01:23:28,110 --> 01:23:30,620 井戸のほとりに落ちてあるのを 897 01:23:30,620 --> 01:23:33,020 形見として受け取りました 898 01:23:35,390 --> 01:23:38,690 そして 899 01:23:38,690 --> 01:23:41,190 これは私の鈴 900 01:23:46,400 --> 01:23:49,100 お母様が亡くなられる折 901 01:23:49,100 --> 01:23:53,200 形見として残された3つの鈴 902 01:23:55,340 --> 01:23:59,080 再び会うことも かなうまい 903 01:23:59,080 --> 01:24:01,910 せめて鈴だけは 904 01:24:01,910 --> 01:24:05,220 3つ仲睦まじゅう 905 01:24:05,220 --> 01:24:07,420 そなたが 持っていてくれますように 906 01:24:09,460 --> 01:24:11,460 はい 907 01:24:15,260 --> 01:24:18,660 霧で顔もよう見えぬが 908 01:24:20,730 --> 01:24:23,570 お姉様 909 01:24:23,570 --> 01:24:25,910 体をいとうて 910 01:24:25,910 --> 01:24:28,810 お父様への孝養 911 01:24:28,810 --> 01:24:31,510 姉たちの分まで頼みます 912 01:24:33,610 --> 01:24:37,250 お姉様のお手は 913 01:24:37,250 --> 01:24:39,950 温こうございますね 914 01:24:42,120 --> 01:24:44,620 さあ 行くがよい 915 01:24:46,790 --> 01:24:49,190 忘れませぬ 916 01:24:49,190 --> 01:24:52,700 このお手の温かさ 917 01:24:52,700 --> 01:24:56,070 町は 918 01:24:56,070 --> 01:24:58,070 町は… 919 01:25:04,110 --> 01:25:07,310 お姉様 920 01:25:07,310 --> 01:25:09,610 お姉様! 921 01:25:27,570 --> 01:25:31,770 南蛮渡来の珍しき赤い酒なれば 922 01:25:31,770 --> 01:25:37,470 お方様に一献 献じたいとの 御台所様の思し召し 923 01:25:41,480 --> 01:25:44,380 お受けくだされまするな 924 01:25:47,850 --> 01:25:51,660 かたじけのう存じます 925 01:25:51,660 --> 01:25:55,930 なお 上様より今宵のお夜伽 926 01:25:55,930 --> 01:25:59,430 お方様にとの 固きお申しつけなれど 927 01:25:59,430 --> 01:26:02,230 ご辞退なされますように 928 01:26:06,510 --> 01:26:09,410 よろしゅうございましょうな 929 01:26:09,410 --> 01:26:15,210 御台様よりのお心尽くしのお酒 930 01:26:15,210 --> 01:26:19,690 頂きますれば いかがなりますやも 931 01:26:19,690 --> 01:26:23,560 おお そうでありましたな 932 01:26:23,560 --> 01:26:26,260 では これにて 933 01:26:59,160 --> 01:27:01,830 お指図を受けました御端下 934 01:27:01,830 --> 01:27:06,970 ただ今 お城外へ 出られましてござりまする 935 01:27:06,970 --> 01:27:10,200 ご苦労でありました 936 01:27:10,200 --> 01:27:14,500 御台様のお志 お受けなされまするか 937 01:27:19,410 --> 01:27:23,510 血のように 赤い酒 938 01:27:45,670 --> 01:27:48,270 あっ お待ちなされませ 939 01:27:55,780 --> 01:27:58,080 ど… 毒が 940 01:28:17,070 --> 01:28:19,770 そなたは 941 01:28:19,770 --> 01:28:23,680 このお酒を お方様に勧めますのか 942 01:28:23,680 --> 01:28:27,410 御台様のお心でござりますれば 943 01:28:27,410 --> 01:28:30,010 そなたまでが 八重 944 01:28:32,080 --> 01:28:34,480 誰も恨むことはない 945 01:28:37,320 --> 01:28:41,060 すべては時の流れ 946 01:28:41,060 --> 01:28:45,500 大奥に渦巻く その酒のように華やかな 947 01:28:45,500 --> 01:28:48,400 そして毒を含んだ… 948 01:28:48,400 --> 01:28:50,500 お方様 949 01:28:55,010 --> 01:28:59,810 長い間 よう仕えてくれましたな 950 01:29:03,280 --> 01:29:07,250 その真心に報いることもできず 951 01:29:07,250 --> 01:29:11,020 別れるのは心残りなれど 952 01:29:11,020 --> 01:29:12,990 私の持ち物は 953 01:29:12,990 --> 01:29:16,590 すべて そなたたちで 分けてくれますように 954 01:29:19,730 --> 01:29:22,970 八重 はい 955 01:29:22,970 --> 01:29:25,770 御台様のお心 956 01:29:25,770 --> 01:29:28,170 お受けしようぞ 957 01:29:31,480 --> 01:29:34,380 そなたがついでおくれ 958 01:29:34,380 --> 01:29:37,850 お方様 959 01:29:37,850 --> 01:29:39,850 頼みます 960 01:29:42,090 --> 01:29:44,090 はい 961 01:30:42,180 --> 01:30:44,680 御寝所に上がります 962 01:31:28,390 --> 01:31:31,890 上様 既にお成りでございます 963 01:31:56,460 --> 01:31:59,060 おお 阿紀 964 01:32:14,910 --> 01:32:18,040 何ぞ 965 01:32:18,040 --> 01:32:20,240 何ぞあったのか 966 01:32:35,090 --> 01:32:37,390 顔の色が 967 01:32:45,140 --> 01:32:47,140 阿紀 968 01:32:50,080 --> 01:32:53,450 阿紀 阿紀 969 01:32:53,450 --> 01:32:57,150 お覚悟のご自害と お見受けいたしまする 970 01:33:14,300 --> 01:33:17,500 阿紀 971 01:33:17,500 --> 01:33:20,840 会いに来たのか 972 01:33:20,840 --> 01:33:24,210 余に 973 01:33:24,210 --> 01:33:27,910 余に会いとうて 974 01:33:27,910 --> 01:33:29,910 阿紀 975 01:33:55,970 --> 01:34:00,880 そなたは人の妻となり 子の母となって 976 01:34:00,880 --> 01:34:04,980 安らかに女としての まことの幸せをつかんでほしい 977 01:34:07,120 --> 01:34:11,860 篠姉様も 私も 果たせなんだ夢 978 01:34:11,860 --> 01:34:15,730 そなたが かなえてくれますように 979 01:34:15,730 --> 01:34:17,730 よいな 980 01:34:46,120 --> 01:34:49,730 阿紀は死んだぞ 981 01:34:49,730 --> 01:34:52,230 これで… 982 01:34:52,230 --> 01:34:56,130 これで大奥が 穏やかになるというのか