1 00:00:34,249 --> 00:00:45,660 ♬~ 2 00:00:45,660 --> 00:00:52,834 <時は 天保の時代。 ここは 上総国 搗根藩> 3 00:00:52,834 --> 00:00:56,034 はあ~ 読めた! 4 00:01:01,543 --> 00:01:08,543 <ここに 古橋笙之介という若侍が おりました> 5 00:01:15,223 --> 00:01:17,923 (犬の鳴き声) うわっ! 6 00:01:24,699 --> 00:01:30,872 <笙之介は 侍とはいうものの 剣術は 大の苦手で➡ 7 00:01:30,872 --> 00:01:39,981 書物を読んだり 文章を書いたりと 学問を よく好みました> 8 00:01:39,981 --> 00:01:42,484 や~っ! や~っ! 9 00:01:42,484 --> 00:01:45,820 や~っ! 次! 10 00:01:45,820 --> 00:01:49,157 <一方 その兄の勝之介は➡ 11 00:01:49,157 --> 00:01:54,963 若いうちから 藩の道場の 師範代を務める 腕自慢。➡ 12 00:01:54,963 --> 00:02:02,704 搗根の麒麟児と呼ばれ 周りからも 一目置かれる存在でありました> 13 00:02:02,704 --> 00:02:05,704 よし! 次 来い! 14 00:02:13,381 --> 00:02:17,519 <2人の父 古橋宗左右衛門は➡ 15 00:02:17,519 --> 00:02:23,191 お城の日用品を調える小納戸役。➡ 16 00:02:23,191 --> 00:02:29,491 健やかに育った2人の息子を 頼もしく思っておりました> 17 00:02:33,001 --> 00:02:37,201 (門が 閉まる音) 18 00:02:39,474 --> 00:02:44,312 <その父が 突然 賄賂を受け取った疑いで➡ 19 00:02:44,312 --> 00:02:47,812 蟄居閉門を命ぜられました> 20 00:02:50,652 --> 00:02:54,322 <宗左右衛門直筆の受取証文が➡ 21 00:02:54,322 --> 00:03:00,322 藩主御用達の道具屋から 見つかったのでございます> 22 00:03:03,998 --> 00:03:11,798 なぜ こんな事に…。 父上殿が 賄賂の罪など…。 23 00:03:14,008 --> 00:03:16,508 大丈夫です 母上。 24 00:03:21,349 --> 00:03:24,686 これは 濡れ衣です。 事が明らかになれば➡ 25 00:03:24,686 --> 00:03:27,486 すぐに 元の暮らしに 戻れますとも。 26 00:03:30,358 --> 00:03:34,629 (雇い人)大変でございます! 旦那様が…。 27 00:03:34,629 --> 00:03:37,298 旦那様が! 28 00:03:37,298 --> 00:03:44,639 ♬~ 29 00:03:44,639 --> 00:03:46,939 父上! 30 00:03:55,650 --> 00:03:59,153 父上…。 31 00:03:59,153 --> 00:04:01,153 あ…。 32 00:04:08,496 --> 00:04:11,165 父上! 33 00:04:11,165 --> 00:04:24,865 ♬~ 34 00:04:27,181 --> 00:04:33,888 <そして 数か月がたち 家を無くした笙之介は➡ 35 00:04:33,888 --> 00:04:39,588 恩師のもとで 下働きをして 暮らしておりました> 36 00:04:46,300 --> 00:04:48,600 母上…。 37 00:04:52,974 --> 00:04:55,810 私が 江戸にですか? 38 00:04:55,810 --> 00:05:01,149 はい。 江戸留守居役の坂崎重秀様が➡ 39 00:05:01,149 --> 00:05:04,652 あなたを 江戸によこすようにと おっしゃっているのです。 40 00:05:04,652 --> 00:05:08,156 坂崎様が? 41 00:05:08,156 --> 00:05:13,027 <江戸留守居役とは 常に 江戸藩邸にあって➡ 42 00:05:13,027 --> 00:05:18,499 幕府や他の大名との交渉に当たる 重要な役職で➡ 43 00:05:18,499 --> 00:05:22,370 とりわけ 今の坂崎重秀は➡ 44 00:05:22,370 --> 00:05:28,509 知恵も人脈も豊かな 切れ者として 知られておりました> 45 00:05:28,509 --> 00:05:32,480 笙之介 行ってこい。 46 00:05:32,480 --> 00:05:36,117 坂崎様ほどの方が お力添え下さるなら➡ 47 00:05:36,117 --> 00:05:38,953 こんなに ありがたい事はないぞ。 48 00:05:38,953 --> 00:05:46,153 そうです。 古橋家の再興も かなうかもしれません。 49 00:05:48,629 --> 00:05:55,629 しかし 母上 私は 父上の汚名を すすぎたいのです。 50 00:06:00,241 --> 00:06:05,079 父上は 決して 罪など犯していない。 51 00:06:05,079 --> 00:06:08,015 そのような事ができるお方では なかったでは ありませんか。 52 00:06:08,015 --> 00:06:15,857 分かっていますよ。 でも たとえ 濡れ衣が晴れたとしても➡ 53 00:06:15,857 --> 00:06:18,993 もう お父上は…。 54 00:06:18,993 --> 00:06:22,663 母上…。 55 00:06:22,663 --> 00:06:29,537 笙之介 俺たちは 前を向かねばならん。 56 00:06:29,537 --> 00:06:32,173 俺たちが身を立てれば➡ 57 00:06:32,173 --> 00:06:37,612 それが 父上への供養になるとは 思わないか? 58 00:06:37,612 --> 00:06:51,626 ♬~ 59 00:06:51,626 --> 00:06:55,126 ささらほうさら…。 60 00:06:58,499 --> 00:07:06,974 甲州のお国言葉です。 おばあ様が よく言っていました。 61 00:07:06,974 --> 00:07:10,311 あれこれ大変だった➡ 62 00:07:10,311 --> 00:07:15,011 もう 「泣きっ面に蜂」だって いうような時にね。 63 00:07:16,651 --> 00:07:19,851 ささらほうさら…。 64 00:07:22,323 --> 00:07:26,661 (勝之介)さあ 行きましょう 母上。 65 00:07:26,661 --> 00:07:41,943 ♬~ 66 00:07:41,943 --> 00:07:46,113 <「ささらほうさら」。➡ 67 00:07:46,113 --> 00:07:49,150 つらく苦しい その言葉は➡ 68 00:07:49,150 --> 00:07:56,850 なぜか 笙之介の傷ついた心に 柔らかく響いたのでした> 69 00:08:01,462 --> 00:08:07,635 (ウグイスの鳴き声) 70 00:08:07,635 --> 00:08:16,978 ♬~ 71 00:08:16,978 --> 00:08:20,815 <そして 笙之介が江戸に出て➡ 72 00:08:20,815 --> 00:08:23,815 ひと月がたちました> 73 00:08:25,987 --> 00:08:30,287 (ウグイスの鳴き声) 74 00:08:35,663 --> 00:08:58,886 ♬~ 75 00:08:58,886 --> 00:09:00,886 あっ…。 76 00:09:03,624 --> 00:09:05,924 失礼致しました。 77 00:09:07,495 --> 00:09:10,298 来ないで下さい! 78 00:09:10,298 --> 00:09:14,168 すみません。 盗み見した訳では…。 79 00:09:14,168 --> 00:09:17,638 桜の…➡ 80 00:09:17,638 --> 00:09:21,142 桜の化身かと。 81 00:09:21,142 --> 00:09:23,978 あまりに お美しかったもので…。 82 00:09:23,978 --> 00:09:26,978 からかわないで下さいませ! 83 00:09:32,687 --> 00:09:34,922 (鹿蔵)よいしょ! (おしか)よっしゃ。 さあ 行こう! 84 00:09:34,922 --> 00:09:37,591 おう 笙さん! 笙さん! 85 00:09:37,591 --> 00:09:40,494 行ってらっしゃい! 行ってくるよ! 86 00:09:40,494 --> 00:09:44,365 (お秀)あ~ 笙さん お帰りなさい。 (おかよ)お帰りなさい! 87 00:09:44,365 --> 00:09:46,300 ただいま! お秀さん おかよちゃん。 88 00:09:46,300 --> 00:09:51,939 ≪(おたつ)あ~あ~あ! 虫も殺さぬ顔して! 女たらしが! 89 00:09:51,939 --> 00:09:54,842 今日も元気ね おたつばあさんったら! 90 00:09:54,842 --> 00:09:57,142 (くしゃみ) あら 笙さん。 91 00:09:59,280 --> 00:10:01,615 肩…。 92 00:10:01,615 --> 00:10:04,615 ねっ。 ありがとう。 93 00:10:06,487 --> 00:10:16,964 ≪(物音) 94 00:10:16,964 --> 00:10:20,264 おう 太一! 何やってんだ? 95 00:10:21,836 --> 00:10:25,473 (太一)うるせえ! 言いつけたら どうなるか 分かってんな! 96 00:10:25,473 --> 00:10:27,975 行くぞ! えっ? 97 00:10:27,975 --> 00:10:31,479 15も下の子どもに 脅されるとはね。 98 00:10:31,479 --> 00:10:35,349 笙さんは これでも 二本差しのお侍様ですよ。 99 00:10:35,349 --> 00:10:37,818 (お秀)おかよ 気を付けて 行っといで! どうぞ。 100 00:10:37,818 --> 00:10:40,855 (おかよ)行ってきます! 101 00:10:40,855 --> 00:10:42,855 治兵衛さん。 102 00:10:44,992 --> 00:10:48,329 写本 お待たせしました。 103 00:10:48,329 --> 00:10:53,501 これが 元本です。 はいはい ご苦労さまです。 104 00:10:53,501 --> 00:10:55,501 失礼。 105 00:11:08,682 --> 00:11:11,185 治兵衛さん。 106 00:11:11,185 --> 00:11:14,221 この辺りで 切り髪姿の娘さんを ご存じですか? 107 00:11:14,221 --> 00:11:18,926 切り髪…。 まさか 和香さんだろうか。 108 00:11:18,926 --> 00:11:20,895 和香さん? ええ。 109 00:11:20,895 --> 00:11:25,032 仕立屋の和田屋のお嬢さんで… いや 違うな。 110 00:11:25,032 --> 00:11:27,701 和香さんは 家から 外に出ないからな。 111 00:11:27,701 --> 00:11:29,637 家から 外に出ないとは? 112 00:11:29,637 --> 00:11:34,475 あざがあるんですよ お顔とお体の左半分に。 113 00:11:34,475 --> 00:11:39,146 ですから 外に出る時は 必ず 頭巾をかぶっているはずで…。 114 00:11:39,146 --> 00:11:41,982 あっ 頭巾なら していました。 115 00:11:41,982 --> 00:11:46,320 本当ですか? それなら 和香さんだ。 116 00:11:46,320 --> 00:11:48,823 あざには 気付きませんでしたが…。 117 00:11:48,823 --> 00:11:52,993 そうですか。 それは 笙さんの目が➡ 118 00:11:52,993 --> 00:11:56,330 まことの美しさが分かる 証拠ですよ。 119 00:11:56,330 --> 00:11:59,233 何だ 笙さんも 隅に置けないね! 120 00:11:59,233 --> 00:12:01,669 いえ あの そのような…。 よし! 和香さんと➡ 121 00:12:01,669 --> 00:12:04,171 いま一度 会えるように この私が引き受けましょう。 122 00:12:04,171 --> 00:12:06,574 いやねえ 和香さんは 事情が事情なんで➡ 123 00:12:06,574 --> 00:12:08,843 多少 すねたようなところも ありますが➡ 124 00:12:08,843 --> 00:12:12,346 読み物が大好きで 物知りで 心優しい方で…。 125 00:12:12,346 --> 00:12:14,346 いいえ なりません! 126 00:12:18,853 --> 00:12:21,755 ありがたいですが 私が 江戸に来たのは…。 127 00:12:21,755 --> 00:12:26,955 あっ そうだ そうだ! 今日は その事で来たんでした。 128 00:12:28,562 --> 00:12:33,262 先ほど 使いの方が 見えましてね…。 はあ。 129 00:12:34,969 --> 00:12:50,818 ♬~ 130 00:12:50,818 --> 00:12:56,991 おいでなさいませ。 古橋笙之介様でございますね。 131 00:12:56,991 --> 00:13:00,191 はい。 どうぞ。 132 00:13:06,500 --> 00:13:09,336 いらっしゃいませ。 133 00:13:09,336 --> 00:13:22,536 ♬~ 134 00:13:24,351 --> 00:13:30,691 (坂崎)何だ。 もっと近くに来い。 それでは 飯も食えまい。 135 00:13:30,691 --> 00:13:35,991 いえ 飯など頂く訳には…。 (梨枝)そう おっしゃらず どうぞ。 136 00:13:45,639 --> 00:13:48,976 今日の菜飯は 坂崎様が➡ 137 00:13:48,976 --> 00:13:51,812 ご自分で えっ? 炊かれたのですよ。 138 00:13:51,812 --> 00:13:56,612 梨枝 余計な事を! 失礼しました。 139 00:13:58,319 --> 00:14:02,619 まあ そう硬くなるな 笙之介。 140 00:14:04,658 --> 00:14:13,667 私は 知っておる。 そなたの父 古橋宗左右衛門は 無実だ。 141 00:14:13,667 --> 00:14:18,505 賄賂の証拠となった証文の事は 聞いておるな? 142 00:14:18,505 --> 00:14:22,376 はい。 そこに 父 宗左右衛門の筆跡があったと。 143 00:14:22,376 --> 00:14:25,176 これが その証文だ。 144 00:14:46,567 --> 00:14:52,806 (宗左右衛門)なぜだ! あれは 私の字だ。 確かに 私の字だ。 145 00:14:52,806 --> 00:14:57,311 こんな事があろうか…。 146 00:14:57,311 --> 00:15:04,084 父上。 父上に書いた覚えが ないなら その証文は偽物です。 147 00:15:04,084 --> 00:15:10,858 それが 偽物とは思えんのだ! 148 00:15:10,858 --> 00:15:18,499 父は 「文字は まさに その 人となりを表す。➡ 149 00:15:18,499 --> 00:15:22,002 たとえ 巧みに まねる事は できても➡ 150 00:15:22,002 --> 00:15:28,302 全く同じに書く事は 決して できぬのだ」と…。 151 00:15:34,581 --> 00:15:37,284 しかし これは…。 152 00:15:37,284 --> 00:15:41,455 いるのだ。 己を全く滅し去り➡ 153 00:15:41,455 --> 00:15:45,793 そなたの父になりきって 偽文書を書いた人物がな。 154 00:15:45,793 --> 00:15:48,295 しかし なぜ そんな事を…。 155 00:15:48,295 --> 00:15:51,799 賄賂相手の道具屋も 死罪になった。 156 00:15:51,799 --> 00:15:55,135 代わりに お家御用達の後釜についたのは➡ 157 00:15:55,135 --> 00:15:58,639 近頃 羽振りのいい波野千だ。 158 00:15:58,639 --> 00:16:03,143 ♬~ 159 00:16:03,143 --> 00:16:08,015 では この謀は 道具屋の波野千が? 160 00:16:08,015 --> 00:16:12,319 まあ 商人だけで 仕組める事ではない。 161 00:16:12,319 --> 00:16:18,659 波野千と組んで 甘い汁を吸った 黒幕がいるんだろう。 162 00:16:18,659 --> 00:16:21,328 その黒幕は 味を占め➡ 163 00:16:21,328 --> 00:16:25,833 今にも 次なる悪事を 企てているのかもしれない。 164 00:16:25,833 --> 00:16:30,671 よいか 笙之介。 その偽文書作りを見つけ出せ。 165 00:16:30,671 --> 00:16:34,274 えっ? 父の敵を探すのだ! 166 00:16:34,274 --> 00:16:37,945 私は そのために そなたを 江戸に呼んだ。 167 00:16:37,945 --> 00:16:40,881 では 的は 江戸にいると? 168 00:16:40,881 --> 00:16:43,884 そりゃ そうだ。 搗根のような田舎に➡ 169 00:16:43,884 --> 00:16:48,655 そんな腕を持つやつがいたら 目立って しかたがないからな。 170 00:16:48,655 --> 00:16:54,361 梨枝 早く上げろ。 魚が硬くなってるじゃないか。 171 00:16:54,361 --> 00:16:58,232 川魚は これくらいが ちょうどよいのです。 172 00:16:58,232 --> 00:17:01,168 さあ やれるか? 笙之介。 173 00:17:01,168 --> 00:17:06,468 やるのであれば 返事はいらん。 さっさと食べて 精をつけい。 174 00:17:09,009 --> 00:17:21,522 ♬~ 175 00:17:21,522 --> 00:17:28,228 [ 心の声 ] この町に 父の敵がいる。 176 00:17:28,228 --> 00:17:40,274 ♬~ 177 00:17:40,274 --> 00:17:42,974 ありがとうございました。 178 00:17:49,616 --> 00:17:52,953 偽文書ですか。 179 00:17:52,953 --> 00:17:56,290 それなら きっと 代書屋でしょうな。 180 00:17:56,290 --> 00:17:59,326 はい。 江戸の代書屋を 片っ端から あたります。 181 00:17:59,326 --> 00:18:01,462 えっ? 江戸中 探してたら➡ 182 00:18:01,462 --> 00:18:04,298 一生かかっても 足りませんよ! しかし…。 183 00:18:04,298 --> 00:18:08,802 うっせえな! 眠れねえじゃねえか! 184 00:18:08,802 --> 00:18:13,140 (治兵衛)あ~ あ~! ちょ… ちょっと!➡ 185 00:18:13,140 --> 00:18:17,644 押込さん ここは 宿屋じゃなくて 本屋ですよ! 186 00:18:17,644 --> 00:18:19,680 くだらねえ読み物ばかりじゃ ねえか! 187 00:18:19,680 --> 00:18:25,519 あ~ あ~! ちょっと ちょっと! あ~ もう! ちょっと! 188 00:18:25,519 --> 00:18:30,657 すいませんね どうも。 はあ~ もう これ…。 189 00:18:30,657 --> 00:18:34,094 すごい 酒の匂いだ。 誰ですか? あれは。 さあ…。 190 00:18:34,094 --> 00:18:37,865 どこぞの浪人のようですが 何度も 読み物を書いては➡ 191 00:18:37,865 --> 00:18:42,803 うちに持ってくるんですよ。 これなんですけどもね…。 192 00:18:42,803 --> 00:18:46,940 せっかくの忠義話なんですけど 出てくる悪党が ひどすぎて➡ 193 00:18:46,940 --> 00:18:49,610 とても貸し出せるもんじゃ なくてね。➡ 194 00:18:49,610 --> 00:18:52,446 おい 太吉! はい! 急げ! 195 00:18:52,446 --> 00:18:54,781 「押込御免郎」。 196 00:18:54,781 --> 00:18:59,119 (治兵衛)ふざけた名前でしょ。 はあ~ もう! 197 00:18:59,119 --> 00:19:04,958 あっ そうだ! 笙さん その読み物 直してくれませんかね? 198 00:19:04,958 --> 00:19:07,828 どぎついところを取っ払って 子どもでも読めるように➡ 199 00:19:07,828 --> 00:19:11,698 ちょいと書き足したりしてね。 えっ? うん それがいい! 200 00:19:11,698 --> 00:19:15,669 お父上の敵も大切ですが 江戸中 探し回るんじゃ➡ 201 00:19:15,669 --> 00:19:19,439 お金だって 入り用でしょうしね。➡ 202 00:19:19,439 --> 00:19:23,239 おい 太吉! そこ ほこり残ってるよ! 203 00:19:27,147 --> 00:19:30,484 ヘヘ ヘッ! 204 00:19:30,484 --> 00:19:34,354 (いびき) 205 00:19:34,354 --> 00:19:39,293 ♬~ 206 00:19:39,293 --> 00:19:42,596 すみません。 代書屋を探しているのですが…。 207 00:19:42,596 --> 00:19:45,499 まあ この商いで食っとる者なら➡ 208 00:19:45,499 --> 00:19:54,308 大体のものは まねできると思うが 本人も見間違うほどとはね…。 209 00:19:54,308 --> 00:19:58,608 いや~ 聞いた事も ございませんね。 はあ…。 210 00:20:00,447 --> 00:20:03,784 そこまで そっくりじゃ なかったんじゃないですか? 211 00:20:03,784 --> 00:20:07,454 それを取り上せて そっくりと言ったとか…。 212 00:20:07,454 --> 00:20:20,954 ♬~ 213 00:20:23,804 --> 00:20:26,640 ≪(治兵衛)ごめんなさいよ。 214 00:20:26,640 --> 00:20:29,977 笙さん。 おや? 215 00:20:29,977 --> 00:20:34,448 笙さん? 今日は 先生ですよ。 (治兵衛)先生? 216 00:20:34,448 --> 00:20:38,652 うん。 本当の手習いの先生が はしかで倒れちゃってね➡ 217 00:20:38,652 --> 00:20:40,687 代わりに 子どもたちを教えてるんですよ。 218 00:20:40,687 --> 00:20:43,824 相生橋の とね以でね。 (おたつ)あ~あ~あ~! 219 00:20:43,824 --> 00:20:48,462 あの陰気で まずい飲み屋だよ! あら 結構 うまいよ! 220 00:20:48,462 --> 00:20:52,366 ふだんの仕事だけでも 忙しそうなのに 人がいいったら。 221 00:20:52,366 --> 00:20:56,203 あっ 村田屋さんが 働かせ過ぎなんじゃないかい? 222 00:20:56,203 --> 00:20:59,673 いやいや いやいや… 人聞きの悪い。 223 00:20:59,673 --> 00:21:02,509 おい 太一。 お前は 行かないのか? 224 00:21:02,509 --> 00:21:05,345 うん。 俺は 笙さんに教わるのは よしとく。 225 00:21:05,345 --> 00:21:09,216 どうして? 頼りないかい? そうじゃねえよ! 226 00:21:09,216 --> 00:21:13,086 読み書きなんか教わると ホントは 笙さん 俺なんかより➡ 227 00:21:13,086 --> 00:21:16,056 偉いお侍さんなんだって事 思い出しちゃうからさ。 228 00:21:16,056 --> 00:21:18,056 ほら どいた どいた! 229 00:21:26,199 --> 00:21:30,871 「空」という字は 冠を大きく書くと 上手に見えるぞ! 230 00:21:30,871 --> 00:21:34,141 伸び伸び 筆を動かして 思いっきり はらう。 231 00:21:34,141 --> 00:21:37,644 (子どもたち)は~い! 232 00:21:37,644 --> 00:21:40,313 おかよちゃん 上手だね。 清書してよし! 233 00:21:40,313 --> 00:21:42,249 やった! 私のも見て! 234 00:21:42,249 --> 00:21:46,486 いいよ 清書して! 僕のも 僕のも! 清書してよし! 235 00:21:46,486 --> 00:21:49,186 ちょっと 君は まだ早いかな。 236 00:21:51,658 --> 00:21:54,358 (子どもたち)「空」! 237 00:21:59,399 --> 00:22:02,302 先生 さようなら! 先生 さようなら! 238 00:22:02,302 --> 00:22:05,002 気を付けて 帰れよ! さようなら! 239 00:22:21,655 --> 00:22:23,724 お手伝いしましょうか? 240 00:22:23,724 --> 00:22:28,524 あっ ありがとうございます。 失礼致します。 241 00:22:38,638 --> 00:22:44,338 墨壺は どこでございますか? 墨は 私が。 袖が汚れますよ。 242 00:22:59,926 --> 00:23:02,626 これなら 汚れません。 243 00:23:09,503 --> 00:23:13,673 よく ここが分かりましたね。 244 00:23:13,673 --> 00:23:17,544 お会いできてよかった。 私も 先日の無礼を➡ 245 00:23:17,544 --> 00:23:21,348 お詫びしたいと思っておりました。 無礼は 私の方でしょ? 246 00:23:21,348 --> 00:23:23,383 私の方こそ お詫びをしなければと➡ 247 00:23:23,383 --> 00:23:27,083 村田屋さんに伺って こちらに参ったのです。 248 00:23:30,690 --> 00:23:33,593 (大きな物音) 失礼。 249 00:23:33,593 --> 00:23:36,496 なにも 和香さんが謝る事は ありません。 250 00:23:36,496 --> 00:23:39,399 それに 先ほどから そのお顔。 251 00:23:39,399 --> 00:23:42,636 少しも謝っているようには 見えませんが。 252 00:23:42,636 --> 00:23:58,485 ♬~ 253 00:23:58,485 --> 00:24:02,823 どうです? これが 私の顔です。 254 00:24:02,823 --> 00:24:06,326 あなた様も これで 私が桜の化身なんぞではなく➡ 255 00:24:06,326 --> 00:24:10,197 ただのお化けだと お気付きになったでしょ。 256 00:24:10,197 --> 00:24:13,099 (ため息) 257 00:24:13,099 --> 00:24:17,671 よくない。 全く よくない。 258 00:24:17,671 --> 00:24:19,706 あなたは いつも そうやって➡ 259 00:24:19,706 --> 00:24:23,009 自分で自分に 唾をかけるような 言い方をされるのですか? 260 00:24:23,009 --> 00:24:26,346 そうやって プンと 口をとがらせて。 261 00:24:26,346 --> 00:24:30,183 と… とがらせてなどおりません! いつ 誰と どんなふうに➡ 262 00:24:30,183 --> 00:24:32,118 お会いする時でも 私は こんなふうなんです。 263 00:24:32,118 --> 00:24:35,455 こんな なりですから…。 「こんな なり」とは 何ですか? 264 00:24:35,455 --> 00:24:38,291 私は あなたの その言いっぷりが 気に入らないんです! 265 00:24:38,291 --> 00:24:41,628 あ~ そうですか。 どれだけ 古橋様の気に入らなかろうと➡ 266 00:24:41,628 --> 00:24:44,130 私の知った事じゃありません! 知った事じゃないなら➡ 267 00:24:44,130 --> 00:24:46,466 なぜ そんなふうに 目をつり上げて 怒るんですか? 268 00:24:46,466 --> 00:24:50,337 誰が つり上げてますか! 私は もともと こういう顔なのです! 269 00:24:50,337 --> 00:24:52,806 口をプンととがらせて 目をキッとつり上げて➡ 270 00:24:52,806 --> 00:24:55,709 もともと こういう顔なのです! なんと…。 271 00:24:55,709 --> 00:24:57,978 古橋様こそ 何なんですか? そのお顔は! 272 00:24:57,978 --> 00:25:00,480 スッととがった顎に 目の下まで落ちくぼんで➡ 273 00:25:00,480 --> 00:25:03,680 よほど 日頃のお食事が 足りてないのではないですか? 274 00:25:05,318 --> 00:25:09,489 ハハハハハハハハハ! ハハハハ! 275 00:25:09,489 --> 00:25:13,326 私ったら なんて事を…。 大変 失礼致しました! 276 00:25:13,326 --> 00:25:17,831 いや… 食事が足りてないのは違いない。 277 00:25:17,831 --> 00:25:20,831 どうぞ 顔を 上げて下さい。 278 00:25:27,007 --> 00:25:31,678 こちらこそ 失礼を申し上げました。 279 00:25:31,678 --> 00:25:36,516 ただ 私は 嘘を言っておりません。 280 00:25:36,516 --> 00:25:41,488 初めて お会いした時 あなたを美しいと思いました。 281 00:25:41,488 --> 00:25:45,225 桜の化身のようだと。 282 00:25:45,225 --> 00:25:47,525 今も。 283 00:25:52,999 --> 00:25:55,802 (治兵衛)はいはい そこまで! 284 00:25:55,802 --> 00:25:58,838 まだ 昼どきですよ! 治兵衛さん…。 285 00:25:58,838 --> 00:26:02,309 さあ お昼でも ごちそうさせて下さいな。 286 00:26:02,309 --> 00:26:05,812 食事が足りずに 倒れられては 困りますからね。 287 00:26:05,812 --> 00:26:08,612 ハハハハハハハハ! はい。 いや…。 288 00:26:13,153 --> 00:26:15,822 はい いらっしゃい! いらっしゃいませ! 289 00:26:15,822 --> 00:26:19,322 あんな和香さん 初めて見たな~。 290 00:26:26,166 --> 00:26:28,501 あっ! また 昼間から 飲みに来たんですか? 291 00:26:28,501 --> 00:26:31,404 シ~ッ! おやじ 酒! はい! 292 00:26:31,404 --> 00:26:34,204 おい こっちも酒! へい! 293 00:26:44,784 --> 00:26:52,292 これ 古橋様の字ですか? はい。 294 00:26:52,292 --> 00:26:56,992 お人柄が出ていますね。 まっすぐで。 295 00:27:01,301 --> 00:27:05,171 いるのだ。 己を全く滅し去り➡ 296 00:27:05,171 --> 00:27:09,471 そなたの父になりきって 偽文書を書いた人物がな。 297 00:27:11,644 --> 00:27:15,315 和香さん。 はい。 298 00:27:15,315 --> 00:27:18,985 誰かの筆跡そっくりに 文字を書ける人など➡ 299 00:27:18,985 --> 00:27:21,488 いると思いますか? 300 00:27:21,488 --> 00:27:34,134 ♬~ 301 00:27:34,134 --> 00:27:39,606 古橋様は 書けるのですか? いいえ。 302 00:27:39,606 --> 00:27:44,444 ただ 以前 国元で 当の本人が 全く書いた覚えのない文書が➡ 303 00:27:44,444 --> 00:27:47,480 突然 出てきた事があって…。 304 00:27:47,480 --> 00:27:52,318 それは おかしいですね。 その方 本当は書いたのに➡ 305 00:27:52,318 --> 00:27:54,854 書いていないと 嘘をついたのではないですか? 306 00:27:54,854 --> 00:27:57,654 まさか! 父は 嘘など! あっ…。 307 00:28:00,460 --> 00:28:03,797 あ~ いや その…。 308 00:28:03,797 --> 00:28:07,467 ハハハハハハハ! 昼間から楽しそうじゃねえか。 309 00:28:07,467 --> 00:28:09,402 仲間に入れてくれ。 310 00:28:09,402 --> 00:28:13,339 ちょっと およしなさいよ 押込さん! もう! 311 00:28:13,339 --> 00:28:18,978 お前 誰か 人を探してるのか? わしが手伝ってやろうか? ん? 312 00:28:18,978 --> 00:28:21,815 笙さん 和香さんを お送りして。 ここは 私が。 313 00:28:21,815 --> 00:28:24,317 おいおい ちょっと待て! こら! 314 00:28:24,317 --> 00:28:26,820 駄目ですよ ちょっと! いきなり そんな! 何だよ! 315 00:28:26,820 --> 00:28:29,820 飲むなら 飲むですよ! お座りになって! さあ! 316 00:28:37,464 --> 00:28:41,164 今日は ありがとうございました。 317 00:28:43,770 --> 00:28:47,107 古橋様のお父様は…➡ 318 00:28:47,107 --> 00:28:52,278 お父様は どういうお方なのですか? 319 00:28:52,278 --> 00:28:58,785 父は 優しい人でした。 320 00:28:58,785 --> 00:29:04,985 偽文書によって 罪に問われ 自ら 命を絶ったのです。 321 00:29:06,960 --> 00:29:09,295 父は よく➡ 322 00:29:09,295 --> 00:29:13,666 「武士の誇りとは 己に恥じぬ 生き方をする事だ」と➡ 323 00:29:13,666 --> 00:29:16,266 申しておりました。 324 00:29:20,306 --> 00:29:25,606 私は 父の汚名をすすぎたい。 325 00:29:29,015 --> 00:29:32,585 すいませんでした…。 326 00:29:32,585 --> 00:29:37,557 おつらい事を 思い出させてしまって…。 327 00:29:37,557 --> 00:29:44,157 いいえ。 きっと 私も 父の話がしたかったのです。 328 00:29:52,272 --> 00:29:54,307 あら 笙さん! 329 00:29:54,307 --> 00:29:57,443 おはようございます! おはようございます。 330 00:29:57,443 --> 00:30:00,943 太一 おはよう。 ああ。 331 00:30:06,119 --> 00:30:09,622 まあ その手の危うい仕事をする 輩には➡ 332 00:30:09,622 --> 00:30:14,322 代書屋の看板を掲げていない者も 多いですからな。 333 00:30:16,496 --> 00:30:19,299 たとえ 恋文一通であれ➡ 334 00:30:19,299 --> 00:30:22,399 偽物をこしらえれば 面倒は起こる。 335 00:30:25,471 --> 00:30:30,977 それでも関わろうと思うのは…➡ 336 00:30:30,977 --> 00:30:33,777 酔狂でござるよ。 337 00:30:36,783 --> 00:30:38,983 ヘヘヘッ。 338 00:30:44,524 --> 00:30:46,993 ハハハ! 339 00:30:46,993 --> 00:30:51,331 おいおいおい! おいおい! おい ちょっと! 340 00:30:51,331 --> 00:30:54,367 俺に任せろ。 俺が連れてってやる。 なっ! 連れてってやる! 来い! 341 00:30:54,367 --> 00:30:59,205 確かに 骨董屋や瀬戸物屋に➡ 342 00:30:59,205 --> 00:31:02,742 もっともらしいお墨付きを こしらえるやつらなら➡ 343 00:31:02,742 --> 00:31:05,612 いる事は いるがね。 はい。 344 00:31:05,612 --> 00:31:07,847 まあ あんまり…。 345 00:31:07,847 --> 00:31:11,451 あっ! ちょい ちょい ちょい…。 346 00:31:11,451 --> 00:31:15,321 丁! 半! 丁! 347 00:31:15,321 --> 00:31:19,192 …って事は あんた 何かい? 348 00:31:19,192 --> 00:31:23,392 俺が筆を使って ゆすりたかりを やってるって言うのかい? 349 00:31:25,698 --> 00:31:30,036 (押込)こら! 何しやがるんだ! こら!➡ 350 00:31:30,036 --> 00:31:32,305 コンチクショー! こら! 351 00:31:32,305 --> 00:31:38,177 絞め殺されたミミズみてえな字 書きやがって! コンチクショー! 352 00:31:38,177 --> 00:31:42,482 ハハハハハハハハ! ハハハハハ! 353 00:31:42,482 --> 00:31:46,986 ハハハハハハハハハ! ハハハ! 354 00:31:46,986 --> 00:31:48,921 コンチクショー! 355 00:31:48,921 --> 00:31:51,324 (2人)ハハハハハハハ! 356 00:31:51,324 --> 00:31:55,662 もらうぞ。 おい もっと飲め。 357 00:31:55,662 --> 00:31:58,331 わしの本を直してるんだろ? はい。 358 00:31:58,331 --> 00:32:02,168 どうだ? 上品に直せたか? ん? 359 00:32:02,168 --> 00:32:07,040 いえ…。 ハハハハハハ! 当然 当然! 360 00:32:07,040 --> 00:32:13,513 わしが書きたかったのはな 悪党どもの血も涙もない汚さだ! 361 00:32:13,513 --> 00:32:18,351 そんな簡単によ 心温まる忠義話なんぞに➡ 362 00:32:18,351 --> 00:32:21,351 直されてたまるかってんだ あの村田屋! 363 00:32:24,691 --> 00:32:30,029 そもそもな お前には 恨みが足らん。 364 00:32:30,029 --> 00:32:35,802 あれは 悪党に父を殺された 若侍の話だ。 365 00:32:35,802 --> 00:32:38,705 そういう武士の無念も 分からんやつに➡ 366 00:32:38,705 --> 00:32:41,474 話など直せんだろ。 367 00:32:41,474 --> 00:32:45,978 いいえ! 私には その無念は よく分かります。 368 00:32:45,978 --> 00:32:48,278 へえ~ そうかい。 369 00:32:51,851 --> 00:32:55,321 だったら よく考えてみろよ! 370 00:32:55,321 --> 00:33:00,621 例えば 父は どんな無残な死に方をした? 371 00:33:03,996 --> 00:33:08,167 それとも 自分で腹を切ったか? 372 00:33:08,167 --> 00:33:10,667 偽物とは思えんのだ! 373 00:33:12,505 --> 00:33:15,842 切ったなら どう切った? 374 00:33:15,842 --> 00:33:17,877 グッと一刺しか? 375 00:33:17,877 --> 00:33:20,346 父上! 376 00:33:20,346 --> 00:33:27,046 それとも 恐怖に叫びながら グググググ~ッて引きずるようにか? 377 00:33:30,356 --> 00:33:33,126 血は どれほど出た? 378 00:33:33,126 --> 00:33:35,126 どんな色だ? 379 00:33:37,630 --> 00:33:40,133 家の者は どうだ? 380 00:33:40,133 --> 00:33:42,833 泣いたか? 叫んだか? 381 00:33:48,641 --> 00:33:54,313 お前が あの若侍なら 悪党に どのように 仇を返す? 382 00:33:54,313 --> 00:33:59,013 同じように無残に殺すか? ええ? 383 00:34:03,656 --> 00:34:08,528 私は…➡ 384 00:34:08,528 --> 00:34:17,003 私は 父を陥れた悪人どもを この手で殺したい。 385 00:34:17,003 --> 00:34:21,174 ヘヘヘヘ。 そうかい。 386 00:34:21,174 --> 00:34:23,676 …と まあ そういうふうに いろいろ➡ 387 00:34:23,676 --> 00:34:27,180 気持ちを想像すると 書きやすいだろ? 388 00:34:27,180 --> 00:34:29,115 どのように直しても 文句は言わねえ。 389 00:34:29,115 --> 00:34:31,851 まあ 好きにしろ。➡ 390 00:34:31,851 --> 00:34:36,289 おい 厠だ 厠! おい! 391 00:34:36,289 --> 00:35:24,289 ♬~ 392 00:35:33,279 --> 00:35:35,781 やはり 似合いだな。 393 00:35:35,781 --> 00:35:39,619 (梨枝)先ほど 坂崎様のお使いに 今日は あいにく➡ 394 00:35:39,619 --> 00:35:43,122 釣り舟は出せませんと お詫びをしておきました。 395 00:35:43,122 --> 00:35:46,959 えっ? 坂崎様? いいんですか? 396 00:35:46,959 --> 00:35:51,631 私が この店の あるじです。 397 00:35:51,631 --> 00:35:53,966 たまには ここから➡ 398 00:35:53,966 --> 00:35:57,637 私が見たい景色を見ても よござんしょ? 399 00:35:57,637 --> 00:36:03,509 おなごは 強い。 和香さんも あんなに変わるとは…。 400 00:36:03,509 --> 00:36:11,509 ええ。 恋をした おなごは 特別 強うございますから。 401 00:36:18,658 --> 00:36:23,329 いい舟日和ですね。 はい。 402 00:36:23,329 --> 00:36:26,365 少々 難儀な仕事を 抱えていたもので➡ 403 00:36:26,365 --> 00:36:31,203 おかげで 少し 気が晴れました。 そうでしたか。 404 00:36:31,203 --> 00:36:35,975 私は 一度でいいから 舟に乗ってみたくて➡ 405 00:36:35,975 --> 00:36:39,111 今日は 手習いに行くと 嘘をついて 参りました。 406 00:36:39,111 --> 00:36:43,382 えっ? 大胆な方だ。 はい? 407 00:36:43,382 --> 00:36:47,253 いえ。 私は 決して 大胆ではありません。 408 00:36:47,253 --> 00:36:51,753 でも もし そうだとすると…。 409 00:36:55,294 --> 00:36:59,594 古橋様のせいです。 えっ? 410 00:37:05,938 --> 00:37:11,138 あ~ 気持ちがいい! 411 00:37:18,317 --> 00:37:21,354 目立ちますでしょう? 412 00:37:21,354 --> 00:37:28,154 いいえ。 浅葱色の頭巾の方が よほど 目立ちます。 413 00:37:31,864 --> 00:37:33,864 はい。 414 00:37:40,272 --> 00:37:43,776 今 治兵衛さんに頼まれて➡ 415 00:37:43,776 --> 00:37:47,613 ある読み物を書き直す仕事を しているんです。 416 00:37:47,613 --> 00:37:51,951 それが あまりに下卑た本で…。 417 00:37:51,951 --> 00:37:55,621 もしかして それは 先日の方の? 418 00:37:55,621 --> 00:37:58,290 ご存じなのですか? はい。 419 00:37:58,290 --> 00:38:00,993 治兵衛さんが 私に やたら隠す本があったので➡ 420 00:38:00,993 --> 00:38:02,995 腹が立って 無理やり読んでしまったんです。 421 00:38:02,995 --> 00:38:06,132 やはり大胆だ 和香さんは…。 422 00:38:06,132 --> 00:38:12,004 気分が悪くなりましたが 悲しくもなりました。 423 00:38:12,004 --> 00:38:15,841 あんなに醜く汚い事ばかり 書くなんて➡ 424 00:38:15,841 --> 00:38:20,141 今まで よほど ひどい人生だったんだろうと…。 425 00:38:23,149 --> 00:38:26,986 すいません。 また 出過ぎた事を…。 426 00:38:26,986 --> 00:38:29,786 いいえ。 もう慣れました。 427 00:38:34,593 --> 00:38:39,293 古橋様 もう一つ お話があるのです。 428 00:38:40,933 --> 00:38:44,603 私の母に会って頂けませんか? 429 00:38:44,603 --> 00:38:48,274 えっ? そ… それは! 430 00:38:48,274 --> 00:38:50,609 あああああ! 431 00:38:50,609 --> 00:38:56,115 あ… それは…。 フフフ! 432 00:38:56,115 --> 00:38:58,718 笙さん 珍しく めかし込んでるじゃねえか! 433 00:38:58,718 --> 00:39:02,121 誰に会いに行くんだろうね! 434 00:39:02,121 --> 00:39:08,894 はあ~! ああすると 笙さんも なかなか立派じゃない! 435 00:39:08,894 --> 00:39:12,465 (太一)ケッ! 俺の方が よっぽど 男らしいや! 436 00:39:12,465 --> 00:39:16,335 あ~あ 武士にさえ 生まれてりゃあな! 何だ? 437 00:39:16,335 --> 00:39:19,135 ト~ッ! お前 何やってんだ! 438 00:39:21,974 --> 00:39:26,474 かっこいい…。 439 00:39:28,647 --> 00:39:32,918 (お秀 おしか)わ~! 行ってらっしゃい! 440 00:39:32,918 --> 00:39:50,469 ♬~ 441 00:39:50,469 --> 00:39:55,941 まっ 先生 お硬くならずに。 いえ 先生とは…。 442 00:39:55,941 --> 00:40:00,813 和香から聞いております。 村田屋さんで 仕事をしながら➡ 443 00:40:00,813 --> 00:40:06,452 手習い所の先生もされている 立派なお方だと。 いや…。 444 00:40:06,452 --> 00:40:11,123 私も 本当に感謝しておるのです。 445 00:40:11,123 --> 00:40:14,994 家に閉じ籠もりっきりの すね者だった娘が➡ 446 00:40:14,994 --> 00:40:18,798 このように生き生きと 先生の お役に立とうとするなんて…。 447 00:40:18,798 --> 00:40:21,133 もう おっ母さん 余計な話は いいから! 448 00:40:21,133 --> 00:40:26,639 はいはい そうですね。 それから 先生は…➡ 449 00:40:26,639 --> 00:40:30,476 他人の文字を そっくり まねする事のできる者を➡ 450 00:40:30,476 --> 00:40:33,276 お探しとか。 えっ? 451 00:40:37,149 --> 00:40:40,786 はあ…。 お役に立てればと思うのですが➡ 452 00:40:40,786 --> 00:40:44,590 何分 ほかのお店に関わる話で ございまして…。 453 00:40:44,590 --> 00:40:46,992 もう 何よ まどろっこしい! 454 00:40:46,992 --> 00:40:51,831 私は 浪々の身ではありますが それでも 武士の端くれ。 455 00:40:51,831 --> 00:40:54,333 決して 他言は しないと お約束致します。 456 00:40:54,333 --> 00:40:57,333 ≪ほれ 早くしなさい! はいはい! 457 00:41:00,840 --> 00:41:03,340 分かりました。 458 00:41:07,012 --> 00:41:09,682 フフフ…。 459 00:41:09,682 --> 00:41:16,856 私の実家の近くに ふくという 幼なじみがおりましてね。 460 00:41:16,856 --> 00:41:20,726 20年前 その おふくちゃんの家の 瀬戸物屋で➡ 461 00:41:20,726 --> 00:41:23,926 跡目争いが起こったんです。 462 00:41:25,564 --> 00:41:30,202 (かなえ)おふくちゃんには 兄さんが 2人おりました。➡ 463 00:41:30,202 --> 00:41:34,974 長男の方は 道楽に染まって 勘当され➡ 464 00:41:34,974 --> 00:41:39,478 しっかり者の次男が 跡取りに決まったんですが➡ 465 00:41:39,478 --> 00:41:41,814 お父っさんが亡くなった途端➡ 466 00:41:41,814 --> 00:41:47,486 その長男が ずうずうしく 帰ってきたんです。➡ 467 00:41:47,486 --> 00:41:52,992 借金だらけの長男には 博打仲間のごろつきや何かが➡ 468 00:41:52,992 --> 00:41:58,497 たくさん 巻きついておりまして…。➡ 469 00:41:58,497 --> 00:42:04,370 「勘当されたなんていう証拠は ない。 店は自分が継ぐのだ」と➡ 470 00:42:04,370 --> 00:42:09,141 店に入り浸るようになったんです。 471 00:42:09,141 --> 00:42:13,012 そういう連中には 筋を通さない訳には➡ 472 00:42:13,012 --> 00:42:15,281 らちが明かないという事に なりまして…。 473 00:42:15,281 --> 00:42:17,216 どんな筋を通すって言うの? 474 00:42:17,216 --> 00:42:20,686 もしかして 先代の遺言状ですか? 475 00:42:20,686 --> 00:42:26,191 そうです! 「長男は 勘当。 跡目は 次男に譲る」という➡ 476 00:42:26,191 --> 00:42:32,631 お父っつぁんの遺言状を とある 代書屋に頼んだそうなんです。 477 00:42:32,631 --> 00:42:35,968 その字は もう お父っさんそっくりで➡ 478 00:42:35,968 --> 00:42:38,804 長男も ようやく諦めたとか。 479 00:42:38,804 --> 00:42:44,476 おふくちゃんも 家の人たちも そりゃ 喜んでいましたよ。 480 00:42:44,476 --> 00:42:49,815 でもね その代書屋が どこの誰かまでは…。 481 00:42:49,815 --> 00:42:53,319 何だ おっ母さん 知らないの? 482 00:42:53,319 --> 00:42:57,489 お内儀 その店の名を教えて頂けますか? 483 00:42:57,489 --> 00:42:59,992 はい。 484 00:42:59,992 --> 00:43:04,496 神田伊勢町の加野屋。 485 00:43:04,496 --> 00:43:06,999 加野屋…。 はい。 486 00:43:06,999 --> 00:43:36,028 ♬~ 487 00:43:36,028 --> 00:43:38,797 こちらの壺なんか いかがですか? 488 00:43:38,797 --> 00:43:41,467 こちらが 気になるわ。 こちらの大皿ですか。 489 00:43:41,467 --> 00:43:44,803 こちらの大皿なんですけどね 花の色が とても きれいなんです。 490 00:43:44,803 --> 00:43:47,603 どうですか? お客様 こちらの皿も どうですかね。 491 00:43:49,308 --> 00:43:51,243 いらっしゃいませ! いらっしゃいませ! どうぞ! 492 00:43:51,243 --> 00:43:53,178 どうぞ 手に取って見て下さい! 493 00:43:53,178 --> 00:44:09,995 ♬~ 494 00:44:09,995 --> 00:44:14,500 お客さん 何か ご入り用ですか? いえ…。 495 00:44:14,500 --> 00:44:40,125 ♬~ 496 00:44:40,125 --> 00:44:43,796 確かに 骨董屋や瀬戸物屋に➡ 497 00:44:43,796 --> 00:44:48,634 もっともらしいお墨付きを こしらえるやつらなら いるがね。 498 00:44:48,634 --> 00:45:22,334 ♬~ 499 00:45:22,334 --> 00:45:29,007 ≪よいしょ! よいしょ! よいしょ! よいしょ! 500 00:45:29,007 --> 00:45:32,444 よいしょ! よいしょ! よいしょ! よいしょ! 501 00:45:32,444 --> 00:45:34,480 ≪ほらよ! 502 00:45:34,480 --> 00:45:38,480 ≪よいしょ! よいしょ! よいしょ! よいしょ! 503 00:45:42,788 --> 00:45:46,458 代わりに お家御用達の後釜についたのは➡ 504 00:45:46,458 --> 00:45:49,958 最近 羽振りのいい波野千だ。 505 00:45:53,332 --> 00:45:56,168 やはり…。 506 00:45:56,168 --> 00:46:08,168 ♬~ 507 00:46:10,649 --> 00:46:12,584 押込さん…。 508 00:46:12,584 --> 00:46:14,884 コソコソ 何を見とる? 509 00:46:17,523 --> 00:46:21,160 こんな高価な瀬戸物屋で 品を見る余裕があるなら➡ 510 00:46:21,160 --> 00:46:26,331 酒でも おごれ。 ハハハハハハ! 511 00:46:26,331 --> 00:46:38,911 (雷鳴) 512 00:46:38,911 --> 00:46:44,283 なあ もしかして あんたが お探しの代書屋っていうのは➡ 513 00:46:44,283 --> 00:46:48,453 あの加野屋の筋だったって事か? はい。 514 00:46:48,453 --> 00:46:50,956 ほほう~! 515 00:46:50,956 --> 00:46:55,794 まだ分かりませんが 加野屋が 取り引きのある搗根の波野千に➡ 516 00:46:55,794 --> 00:46:59,298 引き合わせたのかもしれません。 517 00:46:59,298 --> 00:47:02,634 見つけたら 殺すんだろう? 518 00:47:02,634 --> 00:47:04,934 その代書屋さ。 519 00:47:07,806 --> 00:47:11,977 あ~ こいつは 楽しみだ! あ~! なあ! 520 00:47:11,977 --> 00:47:15,847 こりゃ 切り刻むのか? なぶり殺しにするのか? 521 00:47:15,847 --> 00:47:22,047 逆さづりにして ノコギリで ひき殺すか? ハハハハハハハ! 522 00:47:24,556 --> 00:47:29,394 あとよ あの 御高祖頭巾な お前に 気があるぞ。 523 00:47:29,394 --> 00:47:33,298 御高祖頭巾? ああいう 頑そうな女ほど➡ 524 00:47:33,298 --> 00:47:36,768 無理やり 手込めにすれば もう こっちのもんよ! 525 00:47:36,768 --> 00:47:38,704 もう 手 つけたのか? ん? 526 00:47:38,704 --> 00:47:41,607 その下卑た物言いは どうにかなりませんか? 527 00:47:41,607 --> 00:47:43,642 なぜ そう いつも 醜い方 醜い方に➡ 528 00:47:43,642 --> 00:47:47,479 話を持っていくんですか? あなたの本も そうだ。 529 00:47:47,479 --> 00:47:49,948 物語を聞いてほしくて たまらないくせに➡ 530 00:47:49,948 --> 00:47:52,618 自分の方から遠ざける。 何だと!? 531 00:47:52,618 --> 00:47:54,653 わざと悪人ぶるのは もう おやめ下さい。 532 00:47:54,653 --> 00:47:57,456 だって あなた いい人じゃないですか。 533 00:47:57,456 --> 00:48:01,627 はあ? わしが いい人だ? 最初は 治兵衛さんは➡ 534 00:48:01,627 --> 00:48:05,464 なぜ こんな人と つきあうのかと 思いました。 でも 今は分かる。 535 00:48:05,464 --> 00:48:08,133 あなた 心根は優しい人だ。 536 00:48:08,133 --> 00:48:10,636 気持ち悪い事 ぬかすんじゃねえぞ! 537 00:48:10,636 --> 00:48:13,305 もしかして あなたが 本に書いているのは➡ 538 00:48:13,305 --> 00:48:15,641 あなたの身の上に起こった 出来事ですか? 539 00:48:15,641 --> 00:48:18,977 家も禄も無くし 破滅した あの若侍は もしかして…。 540 00:48:18,977 --> 00:48:22,314 つまらねえ勘ぐりは やめろ! バカ! 541 00:48:22,314 --> 00:48:25,817 お待ち下さい! 押込さん! 542 00:48:25,817 --> 00:48:27,753 押込さん! 543 00:48:27,753 --> 00:48:31,690 お前の のんきな面 見ると へどが出るわ! 544 00:48:31,690 --> 00:49:09,294 ♬~ 545 00:49:09,294 --> 00:49:11,330 お待たせしました。 546 00:49:11,330 --> 00:49:15,801 ほう。 こりゃまた 読み応えがありそうですね。 547 00:49:15,801 --> 00:49:20,972 もし 押込殿がお見えになったら 読んで頂きたいと お伝え下さい。 548 00:49:20,972 --> 00:49:24,309 それから 古橋が謝っていたと。 549 00:49:24,309 --> 00:49:28,309 何かあったんですか? はい。 550 00:49:38,590 --> 00:49:44,763 加野屋の筋にいたか。 よくやった 笙之介。 551 00:49:44,763 --> 00:49:47,666 はっ! 552 00:49:47,666 --> 00:49:54,166 殿の江戸参府の支度があり 待たせたのう。 553 00:49:59,778 --> 00:50:04,116 そろそろ そなたにも話しておこう。 554 00:50:04,116 --> 00:50:11,990 件の収賄は 我が搗根藩の お家騒動と関わりがあるのだ。 555 00:50:11,990 --> 00:50:15,293 …と おっしゃいますと? 556 00:50:15,293 --> 00:50:22,467 黒幕は 国元のご家老だ。 557 00:50:22,467 --> 00:50:26,972 知ってのとおり 我が殿には➡ 558 00:50:26,972 --> 00:50:33,478 ご正室と ご側室 それぞれに お子がある。 559 00:50:33,478 --> 00:50:40,986 どっちが跡目になるか ご家老方は 二手に分かれての にらみ合いよ。 560 00:50:40,986 --> 00:50:44,022 そこに 藪から とんでもないものが➡ 561 00:50:44,022 --> 00:50:47,492 飛び出してくる事を わしは 案じておる。 562 00:50:47,492 --> 00:50:51,363 とんでもないものとは…。 563 00:50:51,363 --> 00:50:54,366 もしや 偽の遺言状? 564 00:50:54,366 --> 00:51:00,205 さよう。 ご先代 千葉有吉様の遺言状だ。 565 00:51:00,205 --> 00:51:05,677 ご先代様が身まかられる前に➡ 566 00:51:05,677 --> 00:51:13,351 既に 跡目をお決めだったとなれば 誰も 文句はつけられまい。 567 00:51:13,351 --> 00:51:18,690 遺言状は 誰も疑わぬ出来に 仕上げねばならん。 568 00:51:18,690 --> 00:51:22,561 なまなかな腕では 務まらん。 569 00:51:22,561 --> 00:51:28,400 気の毒だが そなたの父は➡ 570 00:51:28,400 --> 00:51:34,700 偽文書作りの力の程を試すために 使われたのだろう。 571 00:51:42,481 --> 00:51:50,281 (鐘の音) 572 00:52:02,801 --> 00:52:07,101 (鐘の音) 573 00:52:13,011 --> 00:52:44,643 ♬~ 574 00:52:44,643 --> 00:52:46,578 あっ…。 575 00:52:46,578 --> 00:53:47,878 ♬~ 576 00:53:51,142 --> 00:53:54,342 おい。 こっちだ。 577 00:54:06,324 --> 00:54:08,324 はあ…。 578 00:54:12,664 --> 00:54:14,664 はあ…。 579 00:54:17,335 --> 00:54:20,005 あ~…。 580 00:54:20,005 --> 00:54:22,505 危ないところでした。 581 00:54:24,876 --> 00:54:29,714 しかし 押込殿が あのような 抜け道を知っていたとは。 582 00:54:29,714 --> 00:54:33,551 助かりました。 ありがとうございます。 583 00:54:33,551 --> 00:54:39,791 ハハッ…。 ハハハハハハハハハ! ハハハハハハ! 584 00:54:39,791 --> 00:54:45,296 わしに礼だと? どこまで お前は のんき者なんだ! 585 00:54:45,296 --> 00:54:47,232 えっ? 586 00:54:47,232 --> 00:54:51,102 いいか? よ~く聞け。 587 00:54:51,102 --> 00:54:56,908 この わしが お前のお探しの代書屋だ。 588 00:54:56,908 --> 00:55:00,645 それは どういう…? 589 00:55:00,645 --> 00:55:06,945 これが お前の字か? つまらん字だな! 590 00:55:28,673 --> 00:55:30,673 おう。 591 00:55:46,157 --> 00:56:05,977 ♬~ 592 00:56:05,977 --> 00:56:08,313 ヘッ。 593 00:56:08,313 --> 00:56:21,826 ♬~ 594 00:56:21,826 --> 00:56:27,826 なぜだ! あれは 私の字だ。 確かに 私の字だ。 595 00:56:30,535 --> 00:56:36,775 それが 偽物とは思えんのだ! 596 00:56:36,775 --> 00:56:43,548 ♬~ 597 00:56:43,548 --> 00:56:47,118 (雇い人)旦那様が…。 旦那様が! 598 00:56:47,118 --> 00:56:52,457 ♬~ 599 00:56:52,457 --> 00:56:54,457 ほれ。 600 00:56:56,961 --> 00:56:59,864 父上! 601 00:56:59,864 --> 00:57:02,133 父上! 602 00:57:02,133 --> 00:57:16,648 ♬~ 603 00:57:16,648 --> 00:57:21,820 これは…。 どうだ? 分かったか? 604 00:57:21,820 --> 00:57:27,320 まだ 腑に落ちないなら 賄賂の証文も書いてみせようか? 605 00:57:31,329 --> 00:57:36,768 貴様が あの文書を書いたのか? だから そう言ってるじゃないか。 606 00:57:36,768 --> 00:57:40,438 言え。 誰に頼まれた? 607 00:57:40,438 --> 00:57:45,276 フッ。 さあな。 もう忘れてしまったよ。 608 00:57:45,276 --> 00:57:49,147 ふざけるな! 貴様に 偽文書を書かせたのは 誰だ? 609 00:57:49,147 --> 00:57:51,616 誰だって構うもんか! 610 00:57:51,616 --> 00:57:56,554 わしはな 金さえ もらえれば 誰にだって 何だって書いてやる。 611 00:57:56,554 --> 00:58:01,854 文句あるか? おのれ…。 よくも ぬけぬけと! 612 00:58:05,797 --> 00:58:08,633 この腰抜けが! 613 00:58:08,633 --> 00:58:11,302 一つ 説教してやろう。 614 00:58:11,302 --> 00:58:14,205 確かに わしが あの文書を書いた。 615 00:58:14,205 --> 00:58:19,177 だが わしが お前の親父を陥れた訳ではない。 616 00:58:19,177 --> 00:58:22,647 お前の親父が 罪を着せられたのは➡ 617 00:58:22,647 --> 00:58:26,150 たった一枚の文書ごときで 信用をなくしてしまう➡ 618 00:58:26,150 --> 00:58:30,321 その程度の器の男だったからだ。 619 00:58:30,321 --> 00:58:33,591 おのれ…。 おのれ 父を侮辱するのか! 620 00:58:33,591 --> 00:58:35,526 侮辱なんかするもんか。 621 00:58:35,526 --> 00:58:42,300 わしはな この世の理を お前に教えてやろうっていうんだ。 622 00:58:42,300 --> 00:58:44,769 いいか 若造! 623 00:58:44,769 --> 00:58:48,606 お前の親父の命など わしが でっちあげた➡ 624 00:58:48,606 --> 00:58:51,943 たった一枚の文書の重みにも 足らなかったんだ。 625 00:58:51,943 --> 00:58:58,449 だから 捨て駒にされたんだ! 恨むんなら それを恨め! 626 00:58:58,449 --> 00:59:03,288 わしはな 何も知らずに のんきに わしに笑いかける お前が➡ 627 00:59:03,288 --> 00:59:06,190 愉快で たまらなかったぞ。 628 00:59:06,190 --> 00:59:10,962 あなたは そんな事が言いたくて わざわざ 私に近づいたのですか? 629 00:59:10,962 --> 00:59:16,134 ハハハハハハハハハハ! 630 00:59:16,134 --> 00:59:20,972 捨て駒の親父を恋しがる 腑抜の顔を➡ 631 00:59:20,972 --> 00:59:24,842 近くで拝みたくなってのう。 632 00:59:24,842 --> 00:59:29,042 では 拝んでみて どうでしたか? 633 00:59:32,150 --> 00:59:34,850 確かに 父は 捨て駒だったかもしれない。 634 00:59:37,422 --> 00:59:41,926 しかし 父は 誇り高い武士でした。 635 00:59:41,926 --> 00:59:46,264 己に恥ずべき事を 決して許さぬ人でした。 636 00:59:46,264 --> 00:59:51,135 だから 私は 父を信じた。 今も信じてる。 637 00:59:51,135 --> 00:59:54,605 だから あなたを探していたのです。 638 00:59:54,605 --> 00:59:59,944 父の無念を晴らし 真実を知りたいと。 639 00:59:59,944 --> 01:00:05,944 あなたに そのような者が 一人でもおりますか!? 640 01:00:08,953 --> 01:00:10,953 ケッ! 641 01:00:14,292 --> 01:00:16,292 待って下さい! 642 01:00:21,165 --> 01:00:25,003 あなたは もっと大きな仕事を 頼まれているはずだ。 643 01:00:25,003 --> 01:00:30,308 あなたを雇った黒幕は 誰ですか? 644 01:00:30,308 --> 01:00:32,808 教えて下さい! 645 01:00:37,982 --> 01:00:43,321 ハハッ。 ハハハ…。 646 01:00:43,321 --> 01:00:48,321 ハハハハハハハハハハハ! ハハッ! 647 01:00:54,932 --> 01:00:57,835 お前の兄も➡ 648 01:00:57,835 --> 01:01:03,641 親父殿の死を 惜しんでおいでかね? 649 01:01:03,641 --> 01:01:05,710 兄? 650 01:01:05,710 --> 01:01:11,015 真実が知りたいなら 兄に聞け。 651 01:01:11,015 --> 01:01:25,029 ♬~ 652 01:01:25,029 --> 01:01:28,533 私は 兄に 全てを聞かねばなりません。 653 01:01:28,533 --> 01:01:33,733 坂崎様に お会いし すぐにも 国元に戻るつもりです。 654 01:01:35,807 --> 01:01:38,607 そうですか…。 655 01:01:40,311 --> 01:01:44,182 偽文書作りが すぐそばにいたというのに➡ 656 01:01:44,182 --> 01:01:47,882 私は どこまで バカで役立たずなんだ! 657 01:01:50,021 --> 01:01:53,324 国元に帰ったら➡ 658 01:01:53,324 --> 01:01:57,662 もう二度と 江戸に戻ってくる事は ないでしょう。 659 01:01:57,662 --> 01:02:02,333 しかし 私は…。 660 01:02:02,333 --> 01:02:07,171 かしこまりました。 661 01:02:07,171 --> 01:02:11,509 古橋様が そう おっしゃるのなら➡ 662 01:02:11,509 --> 01:02:18,015 私が とやかく言う筋合いでは ございません。 663 01:02:18,015 --> 01:02:23,715 でも 一つだけ 申し上げたい事がございます。 664 01:02:28,025 --> 01:02:30,061 古橋様は 今➡ 665 01:02:30,061 --> 01:02:33,831 ご自分を 役立たずだと おっしゃいましたが➡ 666 01:02:33,831 --> 01:02:38,302 それは違います! 667 01:02:38,302 --> 01:02:46,978 私は 幼い頃から 家に引きこもり 隠れるように暮らしていたのに➡ 668 01:02:46,978 --> 01:02:52,783 古橋様のおかげで こうして 外に出る勇気が湧きました。 669 01:02:52,783 --> 01:02:56,988 人と関わる楽しさを知りました。 670 01:02:56,988 --> 01:03:03,494 押込さんだって きっと 古橋様に 心を動かされたのでしょう。 671 01:03:03,494 --> 01:03:07,194 でなければ 本当を話すはずがありません。 672 01:03:09,834 --> 01:03:18,534 古橋様には ほかの人にはない 特別なお力があるのです。 673 01:03:21,546 --> 01:03:28,219 ですから お命だけは…➡ 674 01:03:28,219 --> 01:03:32,919 お命だけは お大事に…。 675 01:03:39,630 --> 01:03:42,930 和香さんに会えてよかった。 676 01:03:49,140 --> 01:03:51,809 よかった…。 677 01:03:51,809 --> 01:05:15,309 ♬~ 678 01:05:56,967 --> 01:05:58,967 笙之介。 679 01:06:01,138 --> 01:06:07,311 兄上… どうして ここに? 680 01:06:07,311 --> 01:06:11,311 お前は どこまで 俺の邪魔をする! 681 01:06:14,819 --> 01:06:21,019 兄上が 父上を陥れたのですか? 682 01:06:26,330 --> 01:06:33,137 この企ての生け贄に 父上を差し出したのですか? 683 01:06:33,137 --> 01:06:38,609 ああ そうだ。 684 01:06:38,609 --> 01:06:40,809 何が悪い? 685 01:06:51,956 --> 01:06:56,827 古橋の家を潰せば 取り立ててやると言われたのだ。 686 01:06:56,827 --> 01:07:01,298 あの家がある限り 俺は 小間物なんぞをいじくる➡ 687 01:07:01,298 --> 01:07:04,635 小納戸役で 行き止まりだったからな。 688 01:07:04,635 --> 01:07:10,508 ハハハ! 小納戸役だぞ? 689 01:07:10,508 --> 01:07:14,979 なぜ 俺が そんな つまらぬ役に 就かねばならん! 690 01:07:14,979 --> 01:07:21,318 俺は 家中に名を知られた剣士だ! 691 01:07:21,318 --> 01:07:24,618 搗根藩の麒麟児だ! 692 01:07:29,493 --> 01:07:33,364 俺は ずっと あの家で我慢をしてきた! 693 01:07:33,364 --> 01:07:37,601 爪を切られた虎のようにな。 694 01:07:37,601 --> 01:07:42,440 母上も 俺の出世を 心待ちにしておられた。 695 01:07:42,440 --> 01:07:50,181 あと少し… あと少しで 母上を喜ばせる事ができるのだ。 696 01:07:50,181 --> 01:07:52,181 なんという事を! 697 01:07:55,152 --> 01:07:58,456 手を引け 笙之介。 698 01:07:58,456 --> 01:08:01,256 手を引くのだ! 699 01:08:05,629 --> 01:08:09,500 お前などに してやられて たまるか! 700 01:08:09,500 --> 01:09:02,453 ♬~ 701 01:09:02,453 --> 01:09:04,955 あ~! 702 01:09:04,955 --> 01:09:06,955 ああ…。 703 01:09:28,646 --> 01:09:33,250 そんなに…➡ 704 01:09:33,250 --> 01:09:37,450 家族が憎かったのですか? 705 01:09:41,926 --> 01:09:46,096 私たち家族は…➡ 706 01:09:46,096 --> 01:09:49,296 そんなに不幸でしたか? 707 01:09:53,604 --> 01:09:58,943 火事だ! みんな 出てきてくれ! 出てきてくれ! 708 01:09:58,943 --> 01:10:08,285 (騒ぐ声) 709 01:10:08,285 --> 01:10:11,188 笙さん 大丈夫か!? 笙さん!➡ 710 01:10:11,188 --> 01:10:14,091 おい 笙さん! 笙さん! 711 01:10:14,091 --> 01:10:16,627 (一同)笙さん! 712 01:10:16,627 --> 01:10:22,327 あ… ああ…。 713 01:10:37,915 --> 01:10:39,915 うむ。 714 01:10:44,488 --> 01:10:57,835 ♬~ 715 01:10:57,835 --> 01:11:00,671 あ…。 (舌打ち) 716 01:11:00,671 --> 01:11:11,315 ♬~ 717 01:11:11,315 --> 01:11:14,518 や~っ! 718 01:11:14,518 --> 01:11:16,453 兄上! 719 01:11:16,453 --> 01:11:19,690 何を… 何をしていますか! 720 01:11:19,690 --> 01:11:38,976 ♬~ 721 01:11:38,976 --> 01:11:43,647 古橋様…。 古橋様! 722 01:11:43,647 --> 01:11:46,684 (かなえ) まぶたが動いておりますよ。 さあ もっと呼びかけて! 723 01:11:46,684 --> 01:11:48,986 お父様のとこに いらしては いけません! 724 01:11:48,986 --> 01:11:53,323 まだ いけませんよ! しっかりして下さい! 725 01:11:53,323 --> 01:12:04,935 ♬~ 726 01:12:04,935 --> 01:12:09,235 どうやら 峠を越えたようです。 727 01:12:12,342 --> 01:12:18,015 笙さん 何ですか? 何ですか? 728 01:12:18,015 --> 01:12:26,690 あ… 兄… 上は? 729 01:12:26,690 --> 01:12:30,027 お兄様の行方は 分かりません。 730 01:12:30,027 --> 01:12:34,865 でも 和香は… 和香は ここにおります。 731 01:12:34,865 --> 01:12:39,703 治兵衛さんも 長屋の皆さんも みんな ついてます。 732 01:12:39,703 --> 01:12:44,541 大丈夫。 大丈夫ですからね。 733 01:12:44,541 --> 01:13:00,324 ♬~ 734 01:13:00,324 --> 01:13:07,498 (泣き声) 735 01:13:07,498 --> 01:13:12,669 どうして… 泣くのですか? 736 01:13:12,669 --> 01:13:27,017 ♬~ 737 01:13:27,017 --> 01:13:34,291 あなた様が 泣いておられるからです。 738 01:13:34,291 --> 01:13:38,162 古橋様は 泣き虫ですね。 739 01:13:38,162 --> 01:14:00,317 ♬~ 740 01:14:00,317 --> 01:14:06,990 (坂崎)お前の母は 髪を下ろして 寺に入った。 741 01:14:06,990 --> 01:14:14,331 お前は 抜擢を餌に 黒幕に操られていただけなのだ。 742 01:14:14,331 --> 01:14:20,204 そのために 父を差し出すなど…。 743 01:14:20,204 --> 01:14:23,040 (勝之介)早く殺して下さい! 744 01:14:23,040 --> 01:14:26,240 勝之介! 745 01:14:28,178 --> 01:14:31,878 弟は まだ生きておるぞ。 746 01:14:35,619 --> 01:14:42,619 お前も まだ 違う生き方を 見つける事ができる。 747 01:14:45,629 --> 01:14:49,929 (雷鳴) 748 01:14:51,969 --> 01:14:57,641 人には 大きな口をたたかず➡ 749 01:14:57,641 --> 01:15:03,313 一途に生きる道がある。 750 01:15:03,313 --> 01:15:06,216 険しい道だ。 751 01:15:06,216 --> 01:15:08,752 そしられようが 見下されようが➡ 752 01:15:08,752 --> 01:15:13,690 決して揺るがぬ強い心がなければ 歩いてゆけぬ。 753 01:15:13,690 --> 01:15:25,669 お前の父は 誰に褒められずとも その道を まっすぐ歩いていた。 754 01:15:25,669 --> 01:15:30,669 権勢をつかむ事だけが 人の誉れではない! 755 01:15:35,479 --> 01:15:40,617 お前が敬うべきだったのは➡ 756 01:15:40,617 --> 01:15:44,917 そのようなお人では なかったのか? 757 01:15:46,790 --> 01:15:53,964 (泣き声) 758 01:15:53,964 --> 01:16:07,244 (泣き声と雷鳴) 759 01:16:07,244 --> 01:16:09,646 岡っ引き! こっちだ! こっち こっち! 760 01:16:09,646 --> 01:16:16,346 ♬~ 761 01:16:19,823 --> 01:16:24,695 あの人の事だから 酔っ払って 川に落ちたのかと思いましたが➡ 762 01:16:24,695 --> 01:16:29,833 袈裟懸けに一太刀 ざっくりと斬られておりました。 763 01:16:29,833 --> 01:16:35,272 おおかた 辻斬りの仕業だろうと。 764 01:16:35,272 --> 01:16:41,972 懐にね これが入っていたそうですよ。 765 01:17:00,297 --> 01:17:19,097 ♬~ 766 01:17:24,821 --> 01:17:47,778 (風の音) 767 01:17:47,778 --> 01:17:52,278 笙之介 よう参ったな。 768 01:17:54,951 --> 01:18:00,290 まだ つらそうだのう。 無理をするなよ。 769 01:18:00,290 --> 01:18:04,461 昨日 藩邸に お戻りになったと 聞きました。 770 01:18:04,461 --> 01:18:08,298 わしの方から出向こうと 思っていたのだ。 771 01:18:08,298 --> 01:18:16,173 この度は そなたの働きにより 黒幕を 無事 退治する事ができた。 772 01:18:16,173 --> 01:18:22,846 そなたを国元へ戻し しかるべき役職に就かせたい。 773 01:18:22,846 --> 01:18:30,987 まだ 時は かかるが 必ずと約束する。 774 01:18:30,987 --> 01:18:37,260 坂崎様。 うん? 775 01:18:37,260 --> 01:18:39,960 代書屋は…。 776 01:18:45,602 --> 01:18:51,302 押込御免郎殿は 誰に殺されたのでしょう? 777 01:18:55,112 --> 01:19:02,285 この度の件 お上に知れれば お咎めは 必定。 778 01:19:02,285 --> 01:19:07,958 事が露見する前に 片づけた。 779 01:19:07,958 --> 01:19:12,258 これが落としどころだったのだ。 780 01:19:18,468 --> 01:19:25,976 御免郎殿は かつては その腕を➡ 781 01:19:25,976 --> 01:19:30,176 人助けに使った事もあるそうです。 782 01:19:33,416 --> 01:19:45,428 それから 彼が どのような道を 歩いてきたのかは知りません。 783 01:19:45,428 --> 01:19:54,938 しかし 何があったにせよ 何をしたにせよ➡ 784 01:19:54,938 --> 01:20:03,238 人は 決して 虫けらのように 殺されるべきではないんだ! 785 01:20:07,284 --> 01:20:14,624 私は… 御免郎殿の始末を命じた人物を➡ 786 01:20:14,624 --> 01:20:18,124 決して許す事はできません! 787 01:20:22,966 --> 01:20:28,266 仕官のお話 ありがたく存じます。 788 01:20:30,840 --> 01:20:37,314 しかし 私は 国元には 戻りません! 789 01:20:37,314 --> 01:20:43,186 己に恥じぬ道を 探したいと思います! 790 01:20:43,186 --> 01:20:55,165 ♬~ 791 01:20:55,165 --> 01:20:58,668 そうか…。 792 01:20:58,668 --> 01:21:13,216 ♬~ 793 01:21:13,216 --> 01:21:19,055 そうか…。 794 01:21:19,055 --> 01:21:26,696 分かった。 好きに生きよ。 795 01:21:26,696 --> 01:21:29,532 はっ! 796 01:21:29,532 --> 01:21:44,481 ♬~ 797 01:21:44,481 --> 01:21:49,152 (梨枝)こら! 子どもが入っては駄目よ! 798 01:21:49,152 --> 01:21:53,990 俺さ ずっと お侍さんに憧れてたんだ。 799 01:21:53,990 --> 01:22:00,330 でもさ 俺は やっぱ これでいいや! 800 01:22:00,330 --> 01:22:04,200 うん! 今のままでいいよ! 801 01:22:04,200 --> 01:22:54,484 ♬~ 802 01:22:54,484 --> 01:22:57,520 あっ! あ~! 803 01:22:57,520 --> 01:22:59,989 笙さん! 笙さん! 804 01:22:59,989 --> 01:23:02,789 お帰りなさい! 笙さん! 805 01:23:04,661 --> 01:23:06,596 お~ 危ない 危ない! 806 01:23:06,596 --> 01:23:10,166 ちょっと ちょっと! お帰り…。 お帰り! 807 01:23:10,166 --> 01:23:14,003 おたつばあさん! 歩ける! 808 01:23:14,003 --> 01:23:15,939 (子どもたち)先生! 809 01:23:15,939 --> 01:23:18,239 先生 お帰り! 810 01:23:21,678 --> 01:23:23,678 太一! 811 01:23:30,353 --> 01:23:34,153 すごい上手だな! 上手だ! 812 01:23:42,632 --> 01:23:47,971 押込様は 古橋様が直された本を読まれて➡ 813 01:23:47,971 --> 01:23:51,808 どう思ったんでしょうね。 814 01:23:51,808 --> 01:23:55,678 きっと 喜ばれた事でしょう。 815 01:23:55,678 --> 01:23:59,315 いいえ。 あの方の事ですから➡ 816 01:23:59,315 --> 01:24:02,819 どれだけ ひどい悪態をつかれたか 分かりませんよ。 817 01:24:02,819 --> 01:24:04,754 フフフ。 818 01:24:04,754 --> 01:24:07,490 や~っ! や~っ! 819 01:24:07,490 --> 01:24:12,662 や~っ! や~っ! 820 01:24:12,662 --> 01:24:19,362 不思議な事に 兄への怒りは 微塵もないのです。 821 01:24:23,840 --> 01:24:33,283 兄上も 父上や御免郎殿と同じ 捨て駒の一つだったんだ。 822 01:24:33,283 --> 01:24:40,083 今は ただ 健やかな気持ちで 生きてくれる事を祈るだけです。 823 01:24:42,625 --> 01:24:48,298 全く! 古橋様は 本当に お人よしです! 824 01:24:48,298 --> 01:24:52,135 そうでしょうか? ええ! 825 01:24:52,135 --> 01:24:59,642 きっと 兄上様には 笙之介様というお人は➡ 826 01:24:59,642 --> 01:25:03,313 まぶしすぎたのでございましょう。 827 01:25:03,313 --> 01:25:06,349 私が まぶしい? 828 01:25:06,349 --> 01:25:12,849 ええ。 もしかすると 押込様にも。 829 01:25:19,662 --> 01:25:21,962 私には…。 830 01:25:25,001 --> 01:25:28,701 私には 和香さんが まぶしくて たまりません。 831 01:25:30,340 --> 01:25:45,788 ♬~ 832 01:25:45,788 --> 01:25:48,488 ささらほうさら。 833 01:25:52,128 --> 01:25:57,300 いろいろあって 大変だったという 意味だそうです。 834 01:25:57,300 --> 01:26:08,811 そうですか。 でも 私たちの場合は 少し違うみたい。 835 01:26:08,811 --> 01:26:15,585 桜ほうさら …ではありませんか? 836 01:26:15,585 --> 01:26:19,885 なるほど。 和香さんらしい。 837 01:26:22,992 --> 01:26:30,667 今度の春は 一緒に あの桜を見に行きましょう。 838 01:26:30,667 --> 01:26:35,505 はい。 必ず。 839 01:26:35,505 --> 01:26:55,825 ♬~ 840 01:26:55,825 --> 01:27:08,304 (ウグイスの鳴き声) 841 01:27:08,304 --> 01:28:28,304 ♬~