1 00:00:01,100 --> 00:00:15,100 Thanks for downloading, this file is only for mystery fans, it has original subtitles, you can use pot-player or any other player with translation-function to translate it into your language immediately. 2 00:00:15,100 --> 00:00:21,577 You can share it with friends but please don't use it in online-watching or other purpose, thank you. 3 00:00:21,577 --> 00:00:31,130 ♬~ 4 00:00:31,130 --> 00:00:33,130 あ~。 5 00:00:36,130 --> 00:00:38,130 分からないのか? 6 00:00:38,130 --> 00:00:41,140 こうなったら もう 殺すしかないんだ。 7 00:00:41,140 --> 00:00:43,140 腹をくくるんだ。 8 00:00:43,140 --> 00:00:45,140 他に手はない。 本気とは思えないわ。 9 00:00:45,140 --> 00:00:47,140 冗談で こんなことが言えるか!? 10 00:00:47,140 --> 00:00:51,150 いいか? 俺たちがやらないと あいつは 永遠に生き続けるんだ。 11 00:00:51,150 --> 00:00:54,150 やるしかないんだ。 12 00:00:54,150 --> 00:01:19,110 ♬~ 13 00:01:19,110 --> 00:01:21,110 すみません。 14 00:01:21,110 --> 00:01:23,110 はい。 15 00:01:27,120 --> 00:01:30,120 熊野古道は いかがですか? 16 00:01:30,120 --> 00:01:35,120 気に入りましたかな? 17 00:01:35,120 --> 00:01:40,130 ご一緒してよいですか? あっ どうぞ。 18 00:01:40,130 --> 00:01:42,130 不思議なところですね。 19 00:01:42,130 --> 00:01:45,130 ここにいると 神様が身近に感じます。 20 00:01:45,130 --> 00:01:47,140 この世に 神がいるかどうか 21 00:01:47,140 --> 00:01:50,140 私の知るところでは ありませんが 22 00:01:50,140 --> 00:01:57,150 少なからず 熊野古道には いるような気がします。 23 00:01:59,150 --> 00:02:02,080 勝呂 武尊さんですよね? はい。 24 00:02:02,080 --> 00:02:05,090 新聞で 何度か お顔は拝見しています。 25 00:02:05,090 --> 00:02:07,090 探偵さん。 26 00:02:07,090 --> 00:02:11,090 名探偵です。 沙羅と申します。 27 00:02:11,090 --> 00:02:15,760 ご職業は お医者さまですね? どうして お分かりに? 28 00:02:15,760 --> 00:02:20,100 耳の後ろに 聴診器の痕が。 えっ? 29 00:02:20,100 --> 00:02:23,100 冗談です。 表紙が目に入りました。 30 00:02:23,100 --> 00:02:26,110 あっ。 31 00:02:26,110 --> 00:02:29,110 休暇ですか? ええ。 ちょっと息抜きに。 32 00:02:29,110 --> 00:02:31,110 よい考えです。 33 00:02:31,110 --> 00:02:35,120 私も 1つ 難事件を解決するたびに 34 00:02:35,120 --> 00:02:39,120 こちらで 骨を休めています。 お疲れですか? 35 00:02:39,120 --> 00:02:43,120 まあ 生きていると 色々ありますから。 36 00:02:46,130 --> 00:02:49,130 いつものセットを。 はい。 かしこまりました。 37 00:02:49,130 --> 00:02:53,130 ゆで卵は 大きさを揃えて ゆで時間は 8分きっかりで。 38 00:02:53,130 --> 00:02:55,140 承知しております。 39 00:02:55,140 --> 00:02:57,140 お伺いしてもいいですか? はい。 40 00:02:57,140 --> 00:03:00,140 ここは 天狗村ですよね? ええ。 41 00:03:00,140 --> 00:03:03,080 天狗が出るんですか? 天狗村の由来は 42 00:03:03,080 --> 00:03:07,080 昔 天の宮と書いて 天宮村と 呼ばれておりましたのが 43 00:03:07,080 --> 00:03:10,090 いつしか 天狗村に転じたと 44 00:03:10,090 --> 00:03:12,090 いわれております。 そうなんですか。 45 00:03:12,090 --> 00:03:14,090 ただし 霊峰といわれる山には 46 00:03:14,090 --> 00:03:17,090 必ず 天狗が出ると いわれております。 47 00:03:17,090 --> 00:03:20,100 熊野でも 以前から 天狗の目撃談が 後を絶ちません。 48 00:03:20,100 --> 00:03:24,100 「人にて 人にあらず」 「鳥にて 鳥にあらず」 49 00:03:24,100 --> 00:03:29,100 「犬にて 犬にあらず」 『平家物語』でございますね。 50 00:03:29,100 --> 00:03:33,100 ひょっとしたら 会えるかもしれませんよ。 51 00:03:41,120 --> 00:03:43,120 おはようございます。 52 00:03:48,120 --> 00:03:51,130 あそこにしましょう。 53 00:03:51,130 --> 00:03:53,130 誰かいるんじゃないかな? お母さん。 54 00:03:53,130 --> 00:03:55,130 片付けさせなさい。 いやいや…。 55 00:03:55,130 --> 00:03:57,800 片付けさせなさい! 56 00:03:57,800 --> 00:04:00,140 すみません あそこのテーブル よろしいですか? 57 00:04:00,140 --> 00:04:03,140 申し訳ございません。 すぐに 片付けます。 58 00:04:06,070 --> 00:04:09,070 メニューを お願いします。 かしこまりました。 59 00:04:12,080 --> 00:04:14,080 兄さん。 60 00:04:14,080 --> 00:04:18,090 さてと 熊野古道と一口に…。 まだ早い。 61 00:04:18,090 --> 00:04:20,090 注文が先だろ? 62 00:04:20,090 --> 00:04:24,090 せっかち! せっかち! あ~! あ~ あ~! 63 00:04:24,090 --> 00:04:26,090 すみません お母さん。 64 00:04:26,090 --> 00:04:29,100 お待たせいたしました。 メニューでございます。 65 00:04:29,100 --> 00:04:32,100 コーヒーを ブラックで。 かしこまりました。 66 00:04:32,100 --> 00:04:36,100 この子たちには 何もいらないわ。 承知いたしました。 67 00:04:38,110 --> 00:04:40,110 失礼いたします。 68 00:04:40,110 --> 00:04:43,110 地図! 69 00:04:43,110 --> 00:04:46,110 一口に 熊野古道といっても 70 00:04:46,110 --> 00:04:50,120 かなり広い地域に お宮が分散しているみたいで 71 00:04:50,120 --> 00:04:52,790 ここから 一番近いのは 熊野本宮大社。 72 00:04:52,790 --> 00:04:55,120 熊野三山の 1つです。 あとの 2つは? 73 00:04:55,120 --> 00:04:59,130 えっと… 熊野速玉大社が ここで 74 00:04:59,130 --> 00:05:02,730 熊野那智大社が ここ。 結構 ばらばらね。 75 00:05:02,730 --> 00:05:05,070 でも どうせ来たんだから 全部 回りたいですよね。 76 00:05:05,070 --> 00:05:08,070 全部 回らないと 御利益はないの? 77 00:05:08,070 --> 00:05:12,070 どうなの? 1つで 十分じゃないの? 78 00:05:12,070 --> 00:05:17,080 1つで 十分だね? うん。 ええ。 79 00:05:17,080 --> 00:05:19,080 すみません 遅くなって。 80 00:05:19,080 --> 00:05:23,080 何やってんのよ!? あんたらは いつだって ちんたら ちんたら。 81 00:05:23,080 --> 00:05:25,080 すみません。 82 00:05:27,090 --> 00:05:29,090 本堂さんの ご一家です。 83 00:05:29,090 --> 00:05:32,090 皆さんで 日本中を回ってるんですって。 84 00:05:32,090 --> 00:05:34,100 お知り合いですか? 85 00:05:34,100 --> 00:05:37,100 実は 下の息子さんと 昨日 偶然 お会いして。 86 00:05:37,100 --> 00:05:41,100 なかなか 個性的な 母親のようですね。 87 00:05:41,100 --> 00:05:43,100 まるで 独裁者だ。 88 00:05:43,100 --> 00:05:47,110 私に言わせれば 子供たちにも 問題があると思うんです。 89 00:05:47,110 --> 00:05:51,110 よしましょう。 私たちには 関係のないこと。 90 00:05:51,110 --> 00:05:55,120 では これから 取りあえず 本宮大社に向かいましょう。 91 00:05:55,120 --> 00:05:59,120 平安時代は 歴代天皇が 必ず お参りに来ていたっていう 92 00:05:59,120 --> 00:06:01,060 由緒正しいところらしいですよ。 93 00:06:01,060 --> 00:06:04,060 フン。 本当かどうか 分かりゃしない。 94 00:06:04,060 --> 00:06:08,060 楽しみね。 どこが? 95 00:06:08,060 --> 00:06:12,060 何? たばこを買ってきます。 96 00:06:15,070 --> 00:06:18,070 昨日は 失礼しました。 いえ。 97 00:06:18,070 --> 00:06:20,070 今日は 皆さんで お出掛けですか? 98 00:06:20,070 --> 00:06:23,080 ええ。 これから 母を連れて 本宮大社に。 99 00:06:23,080 --> 00:06:26,080 実は 私も行こうと 思ってたんです。 100 00:06:26,080 --> 00:06:28,080 そうなんですか? ええ。 101 00:06:28,080 --> 00:06:30,080 あっ 勝呂さんも いかがですか? 102 00:06:30,080 --> 00:06:34,090 えっ? あっ… お付き合いしましょう。 103 00:06:34,090 --> 00:06:37,090 先生は いつまで いらっしゃるんですか? 104 00:06:37,090 --> 00:06:42,100 主水? 主水? 105 00:06:42,100 --> 00:06:45,100 母が呼んでいるので また ゆっくり。 106 00:06:49,100 --> 00:06:52,110 何だか 情けない。 107 00:06:52,110 --> 00:06:56,110 あの青年は あなたに 夢中のようですよ。 108 00:06:56,110 --> 00:06:58,110 やめてください。 109 00:06:58,110 --> 00:07:01,050 ゆうべは 私の方から 話し掛けたんです。 110 00:07:01,050 --> 00:07:05,050 ロビーで ぽつんと 立ってらしたんで。 111 00:07:05,050 --> 00:07:08,060 こんばんは。 観光ですか? 112 00:07:08,060 --> 00:07:10,060 えっ? 113 00:07:10,060 --> 00:07:15,730 そうしたら あの方 首筋まで真っ赤になってしまって。 114 00:07:15,730 --> 00:07:18,070 すみません 115 00:07:18,070 --> 00:07:22,070 誤解しないでくださいね 勝呂さん。 私 旅先では 116 00:07:22,070 --> 00:07:25,070 なるべく 知らない人に 話し掛けるようにしているんです。 117 00:07:25,070 --> 00:07:27,080 男女問わず。 118 00:07:27,080 --> 00:07:30,080 それも 旅の楽しさだと思うから。 はい。 119 00:07:30,080 --> 00:07:36,080 沙羅 絹子と申します 本堂 主水です 120 00:07:36,080 --> 00:07:38,090 すみません 121 00:07:38,090 --> 00:07:41,090 きっと 普段から ずっと おさえつけられているんです。 122 00:07:41,090 --> 00:07:43,090 あの母親に。 123 00:07:46,090 --> 00:07:48,090 見られていますよ。 124 00:07:50,770 --> 00:07:52,770 意地悪そうな目。 125 00:07:52,770 --> 00:07:55,770 母親は だいたい そういう目をするものです。 126 00:07:55,770 --> 00:08:03,040 息子が 若くて 魅力的な女性に 心 引かれたときは。 127 00:08:03,040 --> 00:08:07,720 ずいぶん 捜しましたよ。 十文字さん。 128 00:08:07,720 --> 00:08:10,050 やはり こちらに お泊まりでしたか? 129 00:08:10,050 --> 00:08:12,720 この かいわいじゃ 一番ですからね。 130 00:08:12,720 --> 00:08:14,720 お体の調子は いかがです? 131 00:08:14,720 --> 00:08:18,060 これ以上 悪くなりようが ないです。 132 00:08:18,060 --> 00:08:22,730 速玉大社には 行かれました? 再建したばかりで 実に美しい。 133 00:08:22,730 --> 00:08:24,730 行ってみたいわ。 そういう私も 134 00:08:24,730 --> 00:08:26,730 まだ 見てないんですけどね 135 00:08:26,730 --> 00:08:29,070 本宮大社から 川を 舟で下るんです。 136 00:08:29,070 --> 00:08:31,070 よかったら 一緒にどうです? 137 00:08:31,070 --> 00:08:35,080 舟なんて 冗談じゃありませんよ。 138 00:08:35,080 --> 00:08:37,080 みんなは どうなの? 139 00:08:37,080 --> 00:08:40,080 黙ってないで 答えなさい。 140 00:08:40,080 --> 00:08:44,750 僕は 遠慮しておこう。 そうね。 舟は ちょっと…。 141 00:08:44,750 --> 00:08:47,760 あんた? 主人に従います。 142 00:08:47,760 --> 00:08:50,760 どうなんだい? 嫁は 行きたいらしいけど。 143 00:08:50,760 --> 00:08:53,090 一言も言ってません。 144 00:08:53,090 --> 00:08:57,100 舟は やめておこう。 危ないし。 145 00:08:57,100 --> 00:09:00,100 ということです。 聞いてましたか? 146 00:09:00,100 --> 00:09:03,040 かしこまりました。 舟は なしということで。 147 00:09:03,040 --> 00:09:08,040 じゃあ 出掛けましょうか。 はい。 148 00:09:12,050 --> 00:09:14,050 遅れていこう。 149 00:09:14,050 --> 00:09:18,050 同じ車に乗ると 息が詰まる。 150 00:09:18,050 --> 00:09:22,060 あなた 言ってきて。 いや 任せる。 151 00:09:22,060 --> 00:09:24,060 カフィー。 152 00:09:26,060 --> 00:09:30,060 礼一郎は? 何だか 仕事の電話を 153 00:09:30,060 --> 00:09:32,070 しなくちゃいけないので 遅れてくるそうです。 154 00:09:32,070 --> 00:09:34,070 仕事? ええ。 155 00:09:34,070 --> 00:09:37,070 そんなもの あるわけないじゃない。 156 00:09:37,070 --> 00:09:42,080 絢奈。 あなたは 疲れているから 今日は 部屋にいなさい。 157 00:09:42,080 --> 00:09:46,080 私 疲れてなんかいません。 いいえ。 158 00:09:46,080 --> 00:09:48,080 あなたは 疲れています。 159 00:09:48,080 --> 00:09:50,080 お母さまが おっしゃってるんだから 160 00:09:50,080 --> 00:09:52,090 そうしよう。 私が部屋まで送ってあげる。 161 00:09:52,090 --> 00:09:55,090 1人で行かせなさい。 162 00:09:55,090 --> 00:09:58,090 ありがとう お姉さん。 163 00:09:58,090 --> 00:10:02,090 私 1人で行きます。 参りましょう。 164 00:10:11,110 --> 00:10:13,110 あっ! 165 00:10:19,110 --> 00:10:21,120 遅い! 166 00:10:21,120 --> 00:10:27,120 まったく あんたたちは もう ちんたら ちんたら…。 167 00:10:33,130 --> 00:10:37,130 すみません。 はい? 168 00:10:37,130 --> 00:10:41,470 ええ。 僕は 本堂一家とは 古い付き合いでしてね 169 00:10:41,470 --> 00:10:43,470 ご主人が まだ 生きてらっしゃったころから 170 00:10:43,470 --> 00:10:46,140 お世話になってます。 特に 凪子さんとは 171 00:10:46,140 --> 00:10:49,140 彼女が結婚する前から ご縁がありましてね。 172 00:10:49,140 --> 00:10:52,810 変わったご家族ですね? そうなんです。 173 00:10:52,810 --> 00:10:55,150 非常に興味があります。 174 00:10:55,150 --> 00:11:00,150 本堂夫人の旦那さんは 彼女とは 二度目の結婚でした。 175 00:11:00,150 --> 00:11:04,090 礼一郎君と 主水君と 鏡子さんは 先妻の子供。 176 00:11:04,090 --> 00:11:07,090 夫人とは 血がつながっていない。 177 00:11:07,090 --> 00:11:10,100 一番下の 絢奈ちゃんだけが 自分の娘。 178 00:11:10,100 --> 00:11:13,100 亡くなった 本堂氏は 相当なお金持ちで 179 00:11:13,100 --> 00:11:16,100 家族が 一生 遊んで暮らしていけるだけの 180 00:11:16,100 --> 00:11:18,110 金を残した。 181 00:11:18,110 --> 00:11:21,110 それで 彼らは ああやって 日本中を旅して歩けるんです。 182 00:11:21,110 --> 00:11:24,110 お子さんたちは 働いてないんですか? 183 00:11:24,110 --> 00:11:26,110 働く必要がありませんからね。 184 00:11:26,110 --> 00:11:29,120 うらやましい話です。 185 00:11:29,120 --> 00:11:33,120 凪子さんというのは? 長男の嫁です。 186 00:11:33,120 --> 00:11:36,120 以前は 病院で働いてました。 187 00:11:36,120 --> 00:11:39,130 もとは 看護婦として 夫人に ついていたんですが 188 00:11:39,130 --> 00:11:43,130 気に入られて 半ば強制的に 礼一郎さんと結婚させられた。 189 00:11:43,130 --> 00:11:45,130 彼女も また 犠牲者です。 190 00:11:45,130 --> 00:11:50,140 あんなに魅力的な人が… もったいない話ですよ。 191 00:11:50,140 --> 00:11:53,140 誰も 家からは 出ようとはしないんですか? 192 00:11:53,140 --> 00:11:56,140 そんなやつらじゃないですから。 193 00:11:56,140 --> 00:12:01,420 戦争の傷も癒えて サンフランシスコ条約も調印されて 194 00:12:01,420 --> 00:12:03,420 これから この国は 195 00:12:03,420 --> 00:12:05,750 頑張っていかなくては ならないって時期に 196 00:12:05,750 --> 00:12:11,050 家族 揃って 熊野古道。 優雅な話ですよ。 197 00:12:13,090 --> 00:12:18,100 あなた もしかして 勝呂 武尊さんじゃないですか? 198 00:12:18,100 --> 00:12:20,100 日本一の名探偵の。 199 00:12:20,100 --> 00:12:22,100 世界一です。 200 00:12:22,100 --> 00:12:25,110 何か事件ですか? 201 00:12:25,110 --> 00:12:29,110 十文字さん 1つ質問なんですが。 202 00:12:29,110 --> 00:12:31,110 何でも どうぞ。 203 00:12:31,110 --> 00:12:34,120 あなたは 誰なんですか? 204 00:12:34,120 --> 00:12:38,120 誰なんでしょうね。 フフフ。 205 00:12:57,090 --> 00:13:00,090 熊野三山は 神様と仏様が 同居しているみたい。 206 00:13:00,090 --> 00:13:02,030 神仏習合っていうんですって。 207 00:13:02,030 --> 00:13:07,030 ちなみに この 熊野本宮大社は…。 もう 分かったよ。 208 00:13:07,030 --> 00:13:10,040 休憩。 209 00:13:10,040 --> 00:13:12,040 休憩しよう。 210 00:13:12,040 --> 00:13:17,040 あ~ 頭が痛くなってきた。 211 00:13:17,040 --> 00:13:20,050 直射日光に 当たり過ぎたかもしれないですね。 212 00:13:20,050 --> 00:13:23,050 どこか 日陰はないかしら? 213 00:13:23,050 --> 00:13:26,050 ぐずぐずしないで 探すんだよ。 214 00:13:26,050 --> 00:13:29,060 私を殺す気か!? あ~。 取りあえず お母さんは 215 00:13:29,060 --> 00:13:33,060 ここにいてください。 うん。 216 00:13:33,060 --> 00:13:35,730 あ~。 ハァー。 217 00:13:35,730 --> 00:13:39,030 私 お茶屋さんないか 探してくるね。 218 00:13:43,070 --> 00:13:46,070 どうせ 仮病に決まってる。 219 00:13:46,070 --> 00:13:50,080 さっきまで 元気に歩いてた。 220 00:13:50,080 --> 00:13:53,080 あっ あ~。 221 00:13:56,080 --> 00:14:00,080 見てください。 謎の男。 222 00:14:02,020 --> 00:14:05,690 人の家のことについては 興味が尽きないものです。 223 00:14:05,690 --> 00:14:07,990 しかしながら…。 分かってます。 224 00:14:10,030 --> 00:14:13,030 あの すみません。 225 00:14:13,030 --> 00:14:17,040 私? お話ししたいことが。 226 00:14:17,040 --> 00:14:21,040 あ~ 向こうに 宝物殿があるようです。 227 00:14:21,040 --> 00:14:24,040 そちらを見てきます。 すぐに 追い掛けます。 228 00:14:26,050 --> 00:14:31,050 きっと 兄のことを 失礼な男だと 思ってらっしゃるんじゃないかって。 229 00:14:31,050 --> 00:14:33,050 そんなことないですけど。 230 00:14:33,050 --> 00:14:36,060 私たちの母は ちょっと変わっていて 231 00:14:36,060 --> 00:14:39,060 私たちが 外の誰かと話すのを 喜ばないんです。 232 00:14:39,060 --> 00:14:44,060 でも 兄は あなたと話したがっている。 233 00:14:44,060 --> 00:14:48,070 あっ 駄目。 私 行かなくちゃ。 みんなが心配するから。 234 00:14:48,070 --> 00:14:52,070 もう少し。 話したいけど 母が。 235 00:14:52,070 --> 00:14:56,080 あっ 今夜 私の部屋に来て。 えっ? 236 00:14:56,080 --> 00:14:59,080 あなたが話したいこと 全部 聞いてあげる。 237 00:14:59,080 --> 00:15:01,080 205号室。 238 00:15:13,030 --> 00:15:15,030 勝呂さん? 239 00:15:19,030 --> 00:15:23,040 やっぱり 勝呂さんだ。 すぐに 分かりましたよ。 240 00:15:23,040 --> 00:15:27,040 これは これは 佐古さんではないですか。 241 00:15:27,040 --> 00:15:29,040 ご無沙汰しています。 勝呂さん! 242 00:15:29,040 --> 00:15:32,050 その名前は 禁句です。 243 00:15:32,050 --> 00:15:37,050 今は 上杉。 上杉 穂波。 244 00:15:37,050 --> 00:15:43,060 ご活躍は 新聞で読んでおります。 立派になられて。 245 00:15:43,060 --> 00:15:48,060 あっ こちら 名探偵の 勝呂 武尊さん。 246 00:15:48,060 --> 00:15:51,070 私の古くからのお友達。 フフフ。 247 00:15:51,070 --> 00:15:55,070 こちら 編集者の 飛鳥さん。 お噂は 伺ってます。 248 00:15:55,070 --> 00:15:58,070 ご旅行ですか? ええ。 249 00:15:58,070 --> 00:16:01,010 自分を見つめ直す いい機会だと思って。 250 00:16:01,010 --> 00:16:06,010 日本中を あちこち旅しながら 飛鳥さんに手伝ってもらって 251 00:16:06,010 --> 00:16:09,020 自伝のようなものを 書いているんです。 252 00:16:09,020 --> 00:16:12,020 それは ぜひ 読んでみたいです。 253 00:16:12,020 --> 00:16:16,020 ごめんなさい。 ちょっと外してもらえるかしら? 254 00:16:16,020 --> 00:16:20,030 勝呂さんと お話があるので。 ああ。 255 00:16:20,030 --> 00:16:22,700 じゃあ 宝物殿 見てきます。 256 00:16:22,700 --> 00:16:25,000 後で。 はい。 257 00:16:27,030 --> 00:16:31,040 やはり 今を時めく 上杉議員の正体は 258 00:16:31,040 --> 00:16:35,040 あなたでしたか。 いや 新聞の写真を見て 259 00:16:35,040 --> 00:16:38,050 ぴんときました。 佐古さんに間違いないと。 260 00:16:38,050 --> 00:16:41,050 ですから その名前は。 261 00:16:41,050 --> 00:16:48,060 あ~。 私には その名前の方が しっくり くるんですね。 262 00:16:48,060 --> 00:16:51,730 犯人は あなただ! 263 00:16:51,730 --> 00:16:54,060 バ… バカなこと言わないで 264 00:16:54,060 --> 00:16:56,730 あなたの正体は このところ 銀座かいわいに出没する 265 00:16:56,730 --> 00:17:00,070 宝石泥棒。 通称 猫の目 266 00:17:00,070 --> 00:17:03,070 逮捕しろ! はい 267 00:17:08,010 --> 00:17:10,010 おい 下がれ 下がれ! 268 00:17:12,010 --> 00:17:15,010 痛てて… 269 00:17:19,020 --> 00:17:22,020 うわ~! 270 00:17:24,020 --> 00:17:26,030 追え! はい! 271 00:17:26,030 --> 00:17:53,050 ♬~ 272 00:17:53,050 --> 00:17:55,060 ハァー 273 00:17:55,060 --> 00:18:07,070 ♬~ 274 00:18:07,070 --> 00:18:12,070 昔の あなたに 今の あなたの姿を見せたいです。 275 00:18:12,070 --> 00:18:16,080 国を動かす議員さんですから。 276 00:18:16,080 --> 00:18:18,080 勝呂さんのおかげです。 277 00:18:18,080 --> 00:18:21,080 勝呂さんが 親身になって 支えてくれたから 278 00:18:21,080 --> 00:18:24,080 今の私がいるんです。 279 00:18:24,080 --> 00:18:27,090 あなたが努力したからです。 280 00:18:27,090 --> 00:18:30,090 もちろん そうですけど。 281 00:18:30,090 --> 00:18:33,090 あなたは 私の誇りです。 282 00:18:33,090 --> 00:18:39,100 私が捕まえた犯人の中で 最も成功された お人だ。 283 00:18:39,100 --> 00:18:43,100 聞こえの悪いこと おっしゃらないでください。 284 00:18:43,100 --> 00:18:46,110 フフフ。 285 00:18:46,110 --> 00:18:50,110 よかったわ ここに来て。 286 00:18:50,110 --> 00:18:56,120 旅の醍醐味は 予期せぬ人に会えることです。 287 00:18:56,120 --> 00:18:59,120 では…。 288 00:18:59,120 --> 00:19:01,120 参りましょう。 289 00:19:14,090 --> 00:19:19,090 素晴らしい! 助かります。 とんでもございません。 290 00:19:21,090 --> 00:19:24,100 ハァ ハァ…。 291 00:19:24,100 --> 00:19:26,100 冗談じゃない! 292 00:19:26,100 --> 00:19:29,770 支配人を呼んでこい! 今 話したのが支配人です。 293 00:19:29,770 --> 00:19:32,770 こんな屈辱 生まれて初めてだわ! 294 00:19:32,770 --> 00:19:34,780 二度と こんなホテル 泊まってやるもんですか! 295 00:19:34,780 --> 00:19:39,110 異常な権力欲から発生する 一種の病気があってね 296 00:19:39,110 --> 00:19:43,120 いわゆる 心の病。 それに取りつかれると 297 00:19:43,120 --> 00:19:47,120 何でも 自分の言うとおりに ならないと 気が済まなくなるの。 298 00:19:49,120 --> 00:19:53,130 私の母が そうだと おっしゃるんですか? 299 00:19:53,130 --> 00:19:57,130 家を出ようと 思ったことはないの? 300 00:19:57,130 --> 00:19:59,130 できるわけないわ。 301 00:19:59,130 --> 00:20:03,070 家を出たところで どうしていいか分からないし。 302 00:20:03,070 --> 00:20:06,070 自由になる お金だって 全然ないんです。 303 00:20:06,070 --> 00:20:08,080 頼れる お友達は? 304 00:20:08,080 --> 00:20:12,080 友達は 一人もいません。 305 00:20:12,080 --> 00:20:15,080 あなたは お母さんが好き? 306 00:20:15,080 --> 00:20:19,090 母のことを好きだと思ったことは 一度もない。 307 00:20:19,090 --> 00:20:23,090 早く死んでくれないかって いつも思ってます。 308 00:20:23,090 --> 00:20:25,090 兄さんたちも同じ。 309 00:20:25,090 --> 00:20:28,090 妹は どうか分からないけど。 310 00:20:35,100 --> 00:20:41,110 ここからの夜景 神秘的で 素晴らしいでしょう? 311 00:20:41,110 --> 00:20:43,110 確かに。 312 00:20:43,110 --> 00:20:47,110 前に泊まったときも この部屋だったんです。 313 00:20:47,110 --> 00:20:52,120 この景色が忘れられなくて。 314 00:20:52,120 --> 00:20:54,790 本当は 別の方が 泊まってたんだけど 315 00:20:54,790 --> 00:20:56,790 移動してもらっちゃった。 316 00:20:56,790 --> 00:21:01,060 さすが 力をお持ちの方は 違いますね。 317 00:21:01,060 --> 00:21:06,730 勝呂さん 昔と 全然 変わらないのね。 318 00:21:06,730 --> 00:21:09,070 年齢不詳と よく言われます。 319 00:21:09,070 --> 00:21:13,070 あなたの美しさも 昔のままです。 320 00:21:13,070 --> 00:21:16,080 そんなことないですよ。 321 00:21:16,080 --> 00:21:21,080 今の方が すてきでしょ? ハハハ。 322 00:21:21,080 --> 00:21:24,080 自伝を書かれてると おっしゃってましたね? 323 00:21:24,080 --> 00:21:26,090 私は しゃべるだけですけどね。 324 00:21:26,090 --> 00:21:29,090 あのころの話は 出てくるんですか? 325 00:21:29,090 --> 00:21:33,090 まさか。 昔の話は 封印。 326 00:21:33,090 --> 00:21:35,100 政治の世界に入る前は 327 00:21:35,100 --> 00:21:39,100 アメリカで放浪していたことに なっています。 328 00:21:39,100 --> 00:21:44,100 勝呂さんも お願いしますね? もちろんです。 329 00:21:44,100 --> 00:21:47,110 お兄さんたちのことが 知りたいわ。 330 00:21:47,110 --> 00:21:50,110 礼一郎兄さんは 最近 331 00:21:50,110 --> 00:21:52,780 ほとんど 家族と 口を利きません。 332 00:21:52,780 --> 00:21:55,120 お姉さんは すごく心配してます。 333 00:21:55,120 --> 00:21:58,120 2人は 結婚して長いの? 334 00:21:58,120 --> 00:22:01,050 4年になるかな。 335 00:22:01,050 --> 00:22:03,060 家族とは 同居を? 336 00:22:03,060 --> 00:22:08,060 別居の話もあったけど 母が許さなかった。 337 00:22:08,060 --> 00:22:10,060 お姉さんは どんな人? 338 00:22:10,060 --> 00:22:12,070 フフッ。 大好きだし 339 00:22:12,070 --> 00:22:15,070 私たちのことを すごく気遣ってくれます。 340 00:22:15,070 --> 00:22:17,740 お母さんのことも 面倒 見てらっしゃるみたいね。 341 00:22:17,740 --> 00:22:19,740 もともと 看護婦さんだから 342 00:22:19,740 --> 00:22:23,080 母の体のことを 一番 分かってるのは あの人。 343 00:22:23,080 --> 00:22:26,750 それから 妹のことも すごく心配してくれてます。 344 00:22:26,750 --> 00:22:28,750 妹さん? 345 00:22:28,750 --> 00:22:33,090 昔から 虚弱体質で すごく神経質。 346 00:22:33,090 --> 00:22:36,090 母が あんまり がみがみ言うものだから 347 00:22:36,090 --> 00:22:40,090 どんどん 心を閉ざしてきて。 348 00:22:40,090 --> 00:22:44,100 やだ。 もう こんな時間。 349 00:22:44,100 --> 00:22:49,100 あっ おかしな家族だと 思ってますよね。 350 00:22:49,100 --> 00:22:52,110 私たちだって 変わりたいんです。 351 00:22:52,110 --> 00:22:55,110 見捨てたりしないでくださいね。 352 00:22:55,110 --> 00:22:59,110 特に 主水兄さんのこと。 353 00:23:01,050 --> 00:23:06,050 あなたは 勇気を持って 今夜 ここに来た。 354 00:23:06,050 --> 00:23:10,060 大丈夫よ。 きっと 変われる。 355 00:23:10,060 --> 00:23:15,060 また お話ししましょう。 今度は お兄さんも ご一緒に。 356 00:23:34,080 --> 00:23:37,080 お母さま。 357 00:23:37,080 --> 00:23:41,080 どうも 寝つけなくてね。 358 00:23:43,090 --> 00:23:47,090 ハァー。 359 00:23:47,090 --> 00:23:51,100 ずいぶんと遅い お帰りだこと。 360 00:23:51,100 --> 00:23:53,100 誰と会ってた? 361 00:23:53,100 --> 00:23:57,100 お母さまの知らない人です。 察しは つきますよ。 362 00:23:57,100 --> 00:24:01,040 あの女よ。 主水に話し掛けていた。 363 00:24:01,040 --> 00:24:03,040 おやすみなさい。 364 00:24:03,040 --> 00:24:05,050 もう 二度と会っては 駄目! 365 00:24:05,050 --> 00:24:08,050 いいですね? 366 00:24:08,050 --> 00:24:11,050 はい。 367 00:24:13,050 --> 00:24:15,050 繰り返して! 368 00:24:18,060 --> 00:24:22,060 沙羅先生とは 二度と会いません。 369 00:24:24,060 --> 00:24:26,060 おやすみなさい。 370 00:24:33,070 --> 00:24:39,080 勝呂さん。 考えたことあります? 371 00:24:39,080 --> 00:24:44,080 もし 私たちが 別の出会い方をしていたら 372 00:24:44,080 --> 00:24:47,080 今ごろ どうなっていたかって。 373 00:24:49,090 --> 00:24:53,090 考えたこともありませんでした。 374 00:24:53,090 --> 00:24:55,090 私もない。 375 00:24:57,100 --> 00:25:01,030 これまでにも 多くの犯罪者と 出会ってきました。 376 00:25:01,030 --> 00:25:03,040 女性も多くいました。 377 00:25:03,040 --> 00:25:09,040 しかし 色々な意味で 心 引かれた人物は…。 378 00:25:09,040 --> 00:25:12,340 1人しか… いない。 379 00:25:15,050 --> 00:25:17,350 その女性は…。 380 00:25:19,050 --> 00:25:24,050 5人の夫を 次々と殺して 死刑になりました。 381 00:25:28,060 --> 00:25:31,060 あ~ 痛たた…。 382 00:25:51,080 --> 00:25:53,090 お出掛けですか? 383 00:25:53,090 --> 00:25:57,090 今日は ホテルの周りを 歩いてみようと思います。 384 00:25:57,090 --> 00:26:00,090 日本で 一番古い温泉が あるみたいですよ。 385 00:26:00,090 --> 00:26:03,100 らしいですね。 386 00:26:03,100 --> 00:26:07,100 お話ししたいことがあるんですが。 387 00:26:07,100 --> 00:26:10,770 実は ゆうべ あなたの義理の妹さんと 388 00:26:10,770 --> 00:26:14,110 お話をさせていただいたんです。 絢奈と? 389 00:26:14,110 --> 00:26:16,110 鏡子さんの方です。 390 00:26:16,110 --> 00:26:19,110 どうすれば そんなことが できるんですか? 391 00:26:19,110 --> 00:26:24,120 夜中に 私の部屋に来てくれて。 392 00:26:24,120 --> 00:26:26,120 いいと思います。 393 00:26:26,120 --> 00:26:29,120 彼女には 話し相手が必要だと 思っていましたから。 394 00:26:29,120 --> 00:26:33,130 でも 今朝は 明らかに 私を避けているんです。 395 00:26:33,130 --> 00:26:35,130 それは 申し訳ありませんでした。 396 00:26:35,130 --> 00:26:38,130 きっと 母に 叱られたんだと思います。 397 00:26:40,130 --> 00:26:43,140 失礼かもしれませんが 398 00:26:43,140 --> 00:26:47,140 皆さんは もっと 自由に生きるべきですわ。 399 00:26:47,140 --> 00:26:50,140 あまり よその家庭に 口を突っ込むのは 400 00:26:50,140 --> 00:26:53,150 どうかと思うけど。 見ていられないんです。 401 00:26:53,150 --> 00:26:55,820 母は 病気なんです。 402 00:26:55,820 --> 00:26:58,820 だとしても 皆さん もう 大人なんですから。 403 00:26:58,820 --> 00:27:00,750 分かってらっしゃらないようですね。 404 00:27:00,750 --> 00:27:05,090 精神的には 子供なんです。 あそこのきょうだいは みんな。 405 00:27:05,090 --> 00:27:07,090 お姉さん。 406 00:27:09,100 --> 00:27:11,100 お母さんが呼んでます。 407 00:27:13,100 --> 00:27:16,100 これ以上 本堂家に関わるのは 408 00:27:16,100 --> 00:27:18,100 およしになった方がいいと 思いますよ。 409 00:27:18,100 --> 00:27:20,770 皆さんのためを思って…。 あなたのためを思って 410 00:27:20,770 --> 00:27:22,770 言ってるんです。 411 00:27:27,110 --> 00:27:29,120 誰と話していた? 412 00:27:29,120 --> 00:27:31,120 さあ 誰でしょう。 413 00:27:33,120 --> 00:27:36,120 あの人。 414 00:27:36,120 --> 00:27:40,130 何で いちいち うちのことに 首を突っ込むかね。 415 00:27:40,130 --> 00:27:42,130 主水。 はい。 416 00:27:42,130 --> 00:27:45,800 あの女 お前に気があるね。 417 00:27:45,800 --> 00:27:48,130 やめてください。 分かってるくせに。 418 00:27:48,130 --> 00:27:51,140 しらじらしいんだよ。 419 00:27:51,140 --> 00:27:54,140 主水ちゃん。 420 00:27:54,140 --> 00:27:58,140 水を持ってきてくださる? 421 00:27:58,140 --> 00:28:01,080 私が行きます。 この子に言ってるの。 422 00:28:01,080 --> 00:28:04,750 お母さんは 喉が渇いたの。 423 00:28:04,750 --> 00:28:09,050 早く お水を 持ってきてちょうだいな。 424 00:28:12,090 --> 00:28:15,100 凪子。 はい。 お母さま。 425 00:28:15,100 --> 00:28:22,100 私はね この旅行を とっても楽しんでますよ。 426 00:28:22,100 --> 00:28:24,100 フフフ。 427 00:28:24,100 --> 00:28:26,110 おはようございます。 428 00:28:26,110 --> 00:28:29,110 今日は どちらまで? 429 00:28:31,110 --> 00:28:34,110 優男は? 430 00:28:34,110 --> 00:28:38,120 十文字さん? 今日は 見掛けてないですけど。 431 00:28:38,120 --> 00:28:43,120 私は あの人 嫌いじゃないね。 感じのいい人だよ。 432 00:28:43,120 --> 00:28:45,130 あんたは どう思うんだい? 433 00:28:45,130 --> 00:28:49,130 私も 嫌いではありませんよ。 フフフ。 434 00:28:49,130 --> 00:28:53,130 あ~ ありがとう。 435 00:28:53,130 --> 00:28:56,140 愛想のない子だね。 436 00:28:56,140 --> 00:28:58,470 「どうぞ」ぐらい言ったら どうなんだ? 437 00:28:58,470 --> 00:29:00,410 言いましたよ。 聞こえなきゃ 438 00:29:00,410 --> 00:29:02,410 言ったことにならないんだ! どうぞ。 439 00:29:02,410 --> 00:29:04,740 そこに 置いときなさい。 440 00:29:04,740 --> 00:29:07,750 礼一郎は? 先に行っててくれって。 441 00:29:07,750 --> 00:29:11,080 旅の疲れが 出たんじゃないですか。 442 00:29:11,080 --> 00:29:14,090 近ごろ あの子は どうしたんだろうね。 443 00:29:14,090 --> 00:29:17,090 まるで 覇気がないよ。 444 00:29:17,090 --> 00:29:20,090 あの件が まだ 尾を引いてるみたいです。 445 00:29:20,090 --> 00:29:23,100 勘繰っちゃおうかね。 446 00:29:23,100 --> 00:29:29,100 ひょっとして あんたらの間で 何かあったとか? 447 00:29:29,100 --> 00:29:31,100 別に 何もありません。 448 00:29:31,100 --> 00:29:36,110 あんたに 別に好きな男が できたとか? 449 00:29:36,110 --> 00:29:41,780 あ~ ここのモーニングは 何て 脂っこいんだ! 450 00:29:41,780 --> 00:29:44,120 モーニング食べて 胃がもたれるなんて 451 00:29:44,120 --> 00:29:47,120 聞いたことないよ! ハッ。 452 00:29:47,120 --> 00:29:50,120 あっ 胃薬。 渡してあるはずですけど。 453 00:29:50,120 --> 00:29:54,460 これが ひっくり返したんだよ。 注意力散漫たらありゃしない。 454 00:29:54,460 --> 00:29:56,460 ごめんなさい。 455 00:29:56,460 --> 00:29:58,460 予備のがあったろ。 持ってきて。 456 00:29:58,460 --> 00:30:01,070 それから 礼一郎を 呼んできなさい! 457 00:30:01,070 --> 00:30:03,070 はい。 お母さま。 458 00:30:10,080 --> 00:30:13,080 お母さまの胃薬。 459 00:30:28,090 --> 00:30:30,100 お母さまが お待ちよ。 460 00:30:30,100 --> 00:30:34,100 ここで あの人を怒らせても 誰も得しないわ。 461 00:30:34,100 --> 00:30:38,100 本当に 出ていくのか? 東京に帰ったらね。 462 00:30:38,100 --> 00:30:40,110 決めたことなのか? 463 00:30:40,110 --> 00:30:44,440 無理なんです。 もう あの人と 一緒に暮らすのは。 464 00:30:44,440 --> 00:30:49,120 俺だって あの人が憎い。 465 00:30:49,120 --> 00:30:52,450 でも おふくろは 俺たちを守ってくれてる。 466 00:30:52,450 --> 00:30:54,450 それは 事実だ。 467 00:30:54,450 --> 00:30:58,120 このままだと あなた 絶対 駄目になる。 468 00:30:58,120 --> 00:31:01,060 そして 私も。 469 00:31:01,060 --> 00:31:05,730 おふくろは もう 長くない。 死ねば 父が残した金は 470 00:31:05,730 --> 00:31:08,070 みんなで分けることになってる。 471 00:31:08,070 --> 00:31:12,070 もうすぐ死ぬって言われて 何年 生きてると思うの!? 472 00:31:12,070 --> 00:31:16,080 死ぬのを待っていたら 手遅れになるわ。 473 00:31:16,080 --> 00:31:19,080 手遅れって? 474 00:31:19,080 --> 00:31:23,080 幸せになるには 遅過ぎるということ。 475 00:31:25,080 --> 00:31:28,760 分かって。 今しかないの。 そうじゃないと 私…。 476 00:31:28,760 --> 00:31:31,060 あの男と出てくのか? 477 00:31:35,090 --> 00:31:41,090 俺にできるのは 出発の時間に 遅れていくことくらいさ。 478 00:31:46,110 --> 00:31:50,110 あなたたちは みんな あの人に支配されてるけど 479 00:31:50,110 --> 00:31:52,110 私は 違う。 480 00:31:54,110 --> 00:31:57,120 見捨てないでくれ 凪子! 481 00:31:57,120 --> 00:32:01,050 私が いつ 見捨てた? 482 00:32:01,050 --> 00:32:06,050 全ては あなたしだいって 言ってるでしょう。 483 00:32:15,070 --> 00:32:19,070 見て。 あの山 本当に 神様がすんでいるみたい。 484 00:32:19,070 --> 00:32:23,080 本当に 神様が すんでるみたいですね。 485 00:32:23,080 --> 00:32:28,750 ハハハ。 熊野古道は 死の世界へ つながっているといわれます。 486 00:32:28,750 --> 00:32:33,090 人々は そこを歩き 黄泉の国へ着いて 487 00:32:33,090 --> 00:32:35,760 また 現世へと戻る。 488 00:32:35,760 --> 00:32:40,090 それは つまり 生まれ変わりを意味するのです。 489 00:32:40,090 --> 00:32:44,100 生まれ変わりを意味するんですね。 フフフ。 490 00:32:44,100 --> 00:32:47,100 平安時代の貴族たちは…。 491 00:32:47,100 --> 00:32:49,100 うわっ! うわっ! うわっ! 492 00:32:49,100 --> 00:32:54,110 うわ~! 493 00:32:54,110 --> 00:32:58,110 勝呂さん ごめんなさい! 494 00:33:06,050 --> 00:33:08,050 何だい? あなたは 495 00:33:08,050 --> 00:33:11,390 ずいぶん ひどい お方ですね。 はあ? 496 00:33:11,390 --> 00:33:15,060 あなたは あなたの家族と 私を遠ざけました。 497 00:33:15,060 --> 00:33:17,060 それが とっても 子供じみたことだって 498 00:33:17,060 --> 00:33:19,070 分かってらっしゃいますか? 行きなさい。 499 00:33:19,070 --> 00:33:23,070 ご自分が どれだけ 無力な存在か 理解してください。 500 00:33:23,070 --> 00:33:25,740 家族の前では 偉そうに振る舞っているけど 501 00:33:25,740 --> 00:33:29,080 一歩 外に出たら あなたは ただの哀れな おばあさん。 502 00:33:29,080 --> 00:33:33,080 息子さんたちがいなかったら 何も できないじゃないですか。 503 00:33:33,080 --> 00:33:35,080 フフフ。 504 00:33:35,080 --> 00:33:38,080 私は 本気で 忠告しているんです。 505 00:33:38,080 --> 00:33:41,090 どうして 家族を 束縛なさるんです? 506 00:33:41,090 --> 00:33:45,090 あの人たち あなたの 所有物ではないんですよ! 507 00:33:45,090 --> 00:33:47,090 どうぞ 何でも おっしゃってください。 508 00:33:47,090 --> 00:33:51,100 聞きたいわ あなたの言い分。 509 00:33:51,100 --> 00:33:57,100 私は 決して 忘れませんよ! 510 00:33:57,100 --> 00:34:00,110 はい? よく覚えときなさい。 511 00:34:00,110 --> 00:34:06,050 私は 何一つ 忘れることはないの。 512 00:34:06,050 --> 00:34:09,050 何があったか 誰に会ったか 513 00:34:09,050 --> 00:34:13,050 名前も 顔も。 514 00:34:13,050 --> 00:34:18,720 私は 生涯 忘れることはないのよ! 515 00:34:18,720 --> 00:34:24,060 アハハハ…。 516 00:34:24,060 --> 00:34:27,070 感じ悪い。 アハハハ…。 517 00:34:27,070 --> 00:34:30,740 失礼します! 最低の ばあさんだわ。 518 00:34:30,740 --> 00:34:34,040 先生! 勝呂さんが大変。 519 00:34:44,100 --> 00:34:46,110 染みる 染みる…。 本当に ごめんなさい。 520 00:34:46,110 --> 00:34:49,780 気にしないでください。 ちょっと押しただけなんですよ。 521 00:34:49,780 --> 00:34:53,110 なのに あんなに見事に 滑り落ちていくなんて。 522 00:34:53,110 --> 00:34:58,120 ご自分が思っている以上に あなたは 力持ちなんです。 523 00:34:58,120 --> 00:35:02,050 砲丸投げやってたからかしら? やってたんですか!? 524 00:35:02,050 --> 00:35:07,060 消毒しておいたから 心配ないと思います。 525 00:35:07,060 --> 00:35:10,060 旅先まで 持ち歩くんですか? 526 00:35:10,060 --> 00:35:15,070 何かあるといけないので。 まあ 職業病みたいなものですね。 527 00:35:15,070 --> 00:35:17,070 失礼します。 528 00:35:17,070 --> 00:35:20,070 はい。 おおっ。 529 00:35:22,070 --> 00:35:24,740 捻挫もしてないようです。 明日のツアーは 530 00:35:24,740 --> 00:35:26,750 行けますか? 今日 一日 531 00:35:26,750 --> 00:35:28,750 ゆっくりしていれば 問題ないでしょう。 532 00:35:28,750 --> 00:35:32,080 ツアー? 熊野古道散策。 533 00:35:32,080 --> 00:35:36,090 私は ホテルで ゆっくりしています。 534 00:35:36,090 --> 00:35:38,090 駄目。 535 00:35:38,090 --> 00:35:42,090 本宮大社には 昨日 行きました。 言ったじゃないですか。 536 00:35:42,090 --> 00:35:44,100 本宮大社は ゴールだって。 537 00:35:44,100 --> 00:35:46,100 まず 発心門王子まで バスで行って 538 00:35:46,100 --> 00:35:49,100 そこから 山道をたどって 本宮大社を目指す。 539 00:35:49,100 --> 00:35:51,770 どうして わざわざ いったん 遠くまで行ってから 540 00:35:51,770 --> 00:35:54,110 戻ってくるんですか? 無駄を楽しむのが 541 00:35:54,110 --> 00:35:56,110 旅行の醍醐味でしょ。 542 00:35:56,110 --> 00:35:59,780 何kmぐらいあるんですか? 7kmって書いてありました。 543 00:35:59,780 --> 00:36:05,080 勝呂は ここで 本を読んでます。 本なんて どこでも読めます。 544 00:36:09,060 --> 00:36:12,060 ようやく お休みになりました。 545 00:36:12,060 --> 00:36:15,730 いつも お母さんの世話 押し付けちゃって すみません。 546 00:36:15,730 --> 00:36:17,730 気にしないで。 547 00:36:19,730 --> 00:36:23,070 続けて。 とにかく 俺たちは 548 00:36:23,070 --> 00:36:25,400 このままじゃ 一生を 棒に振ることになるんだ。 549 00:36:25,400 --> 00:36:27,410 今 何とかしないと。 550 00:36:27,410 --> 00:36:30,080 兄さん。 551 00:36:30,080 --> 00:36:34,080 メニューでございます。 ジントニック。 552 00:36:34,080 --> 00:36:36,080 かしこまりました。 553 00:36:39,090 --> 00:36:42,090 私も 主水兄さんと 同じ意見です。 554 00:36:42,090 --> 00:36:45,090 だが おふくろなしでは 555 00:36:45,090 --> 00:36:48,090 俺たちは 生きてはいけない。 それを忘れるな。 556 00:36:48,090 --> 00:36:50,100 兄さんは いつまで あのことを 引きずるつもりなんだ? 557 00:36:50,100 --> 00:36:54,100 おふくろは 俺らを 社会に 適応できない人間に育て上げた。 558 00:36:54,100 --> 00:36:57,100 俺らは 普通の人間じゃないんだよ。 559 00:36:57,100 --> 00:37:00,110 否定しない。 でも これからも それでいいはずがない。 560 00:37:00,110 --> 00:37:02,040 俺たちには 未来があるんだ。 561 00:37:02,040 --> 00:37:08,050 未来なんて… フッ。 ない。 562 00:37:08,050 --> 00:37:10,720 私は 絢ちゃんのことが 心配なの。 563 00:37:10,720 --> 00:37:13,050 最近 どんどん 様子が おかしくなってる。 564 00:37:13,050 --> 00:37:16,060 感情が見えなくなってきてるのは 確かね。 565 00:37:16,060 --> 00:37:19,060 このままじゃ 本当に 手遅れになるんだよ。 566 00:37:19,060 --> 00:37:22,060 何とかしないと。 だから 何とかって 567 00:37:22,060 --> 00:37:24,060 例えば どういうことなんだ? 例えば…。 568 00:37:24,060 --> 00:37:27,070 よしましょう。 569 00:37:27,070 --> 00:37:31,070 姉さんの意見が聞きたいわ。 570 00:37:31,070 --> 00:37:33,070 私は はっきりしている。 571 00:37:33,070 --> 00:37:38,080 あの人のために 自分の人生を 犠牲にすることはできないの。 572 00:37:38,080 --> 00:37:41,080 みんなには 申し訳ないけど。 573 00:37:41,080 --> 00:37:45,080 皆さん お揃いですね。 574 00:37:45,080 --> 00:37:47,750 僕は 皆さんの味方です。 575 00:37:47,750 --> 00:37:50,090 できることがあったら 何でも 言ってください。 576 00:37:50,090 --> 00:37:53,090 ありがとう。 十文字さん。 577 00:37:53,090 --> 00:37:58,100 これ以上 話しても 無駄だ。 578 00:37:58,100 --> 00:38:00,100 兄さん。 579 00:38:03,040 --> 00:38:05,040 もう 行っちゃうんですか? 580 00:38:09,040 --> 00:38:12,040 全員 揃ってますか? 581 00:38:12,040 --> 00:38:15,050 点呼。 582 00:38:15,050 --> 00:38:18,050 揃ってます。 うん。 583 00:38:18,050 --> 00:38:21,720 主水 窓を開けなさい。 風を入れるんだ。 584 00:38:21,720 --> 00:38:25,060 何で 全部 説明しなきゃ 分からないんだ? 585 00:38:25,060 --> 00:38:29,060 礼一郎 そっちもだよ。 気を利かせろ! 586 00:38:29,060 --> 00:38:32,060 あの人は 行かないのかと 思ってた。 587 00:38:32,060 --> 00:38:34,070 今日は 機嫌がいいみたい。 ハァー。 588 00:38:34,070 --> 00:38:36,740 気持ち悪い。 酔った。 589 00:38:36,740 --> 00:38:38,740 まだ 走りだしても いないんですから。 590 00:38:38,740 --> 00:38:41,070 この臭いよ 車の。 591 00:38:41,070 --> 00:38:43,740 何? あの女。 だから 592 00:38:43,740 --> 00:38:46,410 早く開けなさいって 言ってるでしょう! 593 00:38:46,410 --> 00:38:51,080 固いんです! 私やります。 594 00:38:51,080 --> 00:38:55,090 あんた 薬は持ってるだろうね? 何の薬ですか? 595 00:38:55,090 --> 00:38:57,090 ここのに決まってるだろう。 596 00:38:57,090 --> 00:38:59,090 お渡ししたので 最後ですよ。 597 00:38:59,090 --> 00:39:01,030 どうするんだよ!? 心臓発作 起こしたら。 598 00:39:01,030 --> 00:39:03,030 そんなに 死んでほしいのか? 599 00:39:03,030 --> 00:39:06,030 あれだけあれば 大丈夫ですよ。 不安なんだよ。 600 00:39:06,030 --> 00:39:08,030 予備がないと 特に 旅先は。 601 00:39:08,030 --> 00:39:11,040 何という お薬ですか? ジギトキシンです。 602 00:39:11,040 --> 00:39:14,040 私 持ってますけど 取ってきましょうか? 603 00:39:14,040 --> 00:39:17,040 そうしてくれるかい? 必要ありません お母さま。 604 00:39:17,040 --> 00:39:19,040 ご心配なく。 605 00:39:19,040 --> 00:39:22,050 いつまで 待たせるのかしら。 606 00:39:22,050 --> 00:39:25,050 運転手さん いつ 出るんですか? 607 00:39:25,050 --> 00:39:29,050 あと もう一人 いらっしゃることに なってるんです。 608 00:39:32,060 --> 00:39:38,060 すみません。 勝呂さんですか? 名探偵の。 609 00:39:38,060 --> 00:39:41,070 そうですが。 610 00:39:41,070 --> 00:39:44,070 誰にも言わないで。 611 00:39:44,070 --> 00:39:49,070 イザナギノミコトと イザナミノミコトっていますよね? 612 00:39:49,070 --> 00:39:55,070 ええ。 私 イザナミの生まれ変わりなんです。 613 00:39:57,080 --> 00:40:01,020 家族は 誰も信じてくれない。 614 00:40:01,020 --> 00:40:06,030 その話をすると 母は 私を たたくんです。 615 00:40:06,030 --> 00:40:08,030 でも 本当なんです。 616 00:40:08,030 --> 00:40:11,030 勝呂さんは 信じてくれますよね? 617 00:40:11,030 --> 00:40:16,040 絢奈 戻ってきなさい。 618 00:40:16,040 --> 00:40:18,040 今度 詳しく 話を聞いて。 619 00:40:21,040 --> 00:40:25,710 あっ 虫刺されの軟こう 買うの 忘れた。 620 00:40:25,710 --> 00:40:29,050 誰か 持ってないかい? 早く言ってください。 621 00:40:29,050 --> 00:40:33,050 私が虫に刺されやすいの 知ってるだろ。 買ってきて。 622 00:40:33,050 --> 00:40:35,050 いってきます。 近くにあるかな? 623 00:40:35,050 --> 00:40:39,060 急ぎなさい。 車が出る前に 早く。 624 00:40:39,060 --> 00:40:42,390 私 部屋にあるので 取ってきます。 625 00:40:42,390 --> 00:40:46,070 あら すみませんね。 626 00:40:46,070 --> 00:40:50,070 いいんですよ。 気にしないで。 627 00:40:50,070 --> 00:40:53,070 ここにいたら どうにかなりそう。 628 00:40:53,070 --> 00:40:56,080 遅くなりました。 失礼。 629 00:40:56,080 --> 00:40:58,080 急ぎで お願いしますよ。 630 00:41:35,130 --> 00:41:37,130 いらっしゃい。 631 00:41:41,130 --> 00:41:43,800 天気が悪くなりそう。 632 00:41:43,800 --> 00:41:48,100 やはり 勝呂は帰ります。 付き合いなさい。 633 00:41:52,140 --> 00:41:55,150 絢奈。 あんたは 疲れてるから 634 00:41:55,150 --> 00:41:57,150 ホテルへ戻りなさい。 635 00:41:57,150 --> 00:42:00,150 待ってください。 顔色が悪いわ。 636 00:42:00,150 --> 00:42:03,760 この子の顔 見てごらんなさい。 637 00:42:03,760 --> 00:42:06,760 ナスビの漬物みたいな色。 638 00:42:06,760 --> 00:42:09,090 車が揺れたから 少し酔ったんです。 639 00:42:09,090 --> 00:42:11,100 車のせいにするんじゃない! 640 00:42:11,100 --> 00:42:14,100 あのバス ホテルに戻るらしいですよ。 641 00:42:14,100 --> 00:42:17,100 いつ 戻るのかしら? 出るのは 642 00:42:17,100 --> 00:42:19,100 昼すぎになるって聞いたけど。 行きなさい! 643 00:42:19,100 --> 00:42:21,110 絢ちゃんは 私が面倒 見ますから。 644 00:42:21,110 --> 00:42:23,110 余計なことは しなくていい! 645 00:42:36,120 --> 00:42:39,120 あっ あそこにも カラスの絵が。 646 00:42:39,120 --> 00:42:41,130 あそこにも カラス。 647 00:42:41,130 --> 00:42:43,800 ここは カラスが多いのかしら。 648 00:42:43,800 --> 00:42:48,130 八咫烏といって この山の守り神のようなものです。 649 00:42:48,130 --> 00:42:51,800 八咫烏? 八咫烏は 足が3本あると 650 00:42:51,800 --> 00:42:54,140 いわれています。 651 00:42:54,140 --> 00:42:57,140 ホントだわ。 3本ありますね。 652 00:42:57,140 --> 00:42:59,810 へぇ~。 飛鳥さん。 653 00:42:59,810 --> 00:43:02,080 えっ? 顔色悪いけど 大丈夫? 654 00:43:02,080 --> 00:43:07,090 えっ? 顔色悪いですか? 私。 655 00:43:07,090 --> 00:43:10,760 バスに酔ったんじゃないですか? 大丈夫? 656 00:43:10,760 --> 00:43:13,760 気持ち悪い。 バスに酔ったみたい。 657 00:43:13,760 --> 00:43:16,760 少し休んだ方がいいかも。 無理しないで。 658 00:43:16,760 --> 00:43:18,760 あっ ありがとうございます。 659 00:43:18,760 --> 00:43:21,100 うっ…。 あっ。 660 00:43:21,100 --> 00:43:23,770 風通しのいいところで しばらく 座っていれば 661 00:43:23,770 --> 00:43:26,100 治ると思います。 よろしいですか? 662 00:43:26,100 --> 00:43:30,780 ええ。 参りましょう 勝呂さん。 はい。 663 00:43:30,780 --> 00:43:33,780 すぐ行きますから。 分かりました。 664 00:43:33,780 --> 00:43:36,080 お大事に。 ありがとう。 665 00:43:40,790 --> 00:43:44,090 うっ…。 うっ…。 666 00:43:46,120 --> 00:43:48,130 ストップ。 667 00:43:48,130 --> 00:43:50,130 どうしました? お母さん。 668 00:43:50,130 --> 00:43:53,130 やはり 山道は疲れます。 669 00:43:53,130 --> 00:43:57,140 あそこのベンチで しばらく 休むわ。 670 00:43:57,140 --> 00:43:59,470 まだ 5分しか歩いてない。 671 00:43:59,470 --> 00:44:03,080 私は 年寄りなんだ! 何回 言ったら 分かるんだ! 672 00:44:03,080 --> 00:44:07,080 お前たちは 先に行ってなさい。 673 00:44:07,080 --> 00:44:09,750 いや… だったら 僕らもいますよ。 674 00:44:09,750 --> 00:44:12,080 大きな お世話だ! 行けったら! 675 00:44:12,080 --> 00:44:14,090 お母さん しかし…。 676 00:44:14,090 --> 00:44:17,090 あ~ ほら 行って 行って! 677 00:44:17,090 --> 00:44:21,090 また 何か騒いでる。 放っておきましょう。 678 00:44:23,100 --> 00:44:26,100 後から ゆっくり 歩いていく。 679 00:44:26,100 --> 00:44:28,100 でも…。 あ~ もう たまには 680 00:44:28,100 --> 00:44:30,100 私を 1人にさせて! 681 00:44:30,100 --> 00:44:34,110 いつも 金魚のふんみたいに 付きまとって 目障りなんだよ! 682 00:44:34,110 --> 00:44:38,110 ハァー。 びっくり。 683 00:44:38,110 --> 00:44:42,110 いいんじゃない。 そう おっしゃっているんだから。 684 00:44:42,110 --> 00:44:45,120 お言葉に甘えたら どうですか? 685 00:44:45,120 --> 00:44:49,120 急ごう。 あまり 天気が良くない。 686 00:44:51,120 --> 00:44:54,120 じゃあ いってきます。 687 00:45:02,070 --> 00:45:07,070 勝呂さんは 相変わらず おしゃれですね。 688 00:45:07,070 --> 00:45:09,070 ありがとうございます。 フフフ。 689 00:45:09,070 --> 00:45:11,080 時計なんかも おしゃれなもの 690 00:45:11,080 --> 00:45:16,080 いいもの お持ちなんでしょうね。 スイス製です。 691 00:45:16,080 --> 00:45:19,750 あっ すごい。 692 00:45:19,750 --> 00:45:23,090 先生。 主水さん。 693 00:45:23,090 --> 00:45:26,090 ご一緒させていただいても よろしいでしょうか? 694 00:45:26,090 --> 00:45:29,760 お母さまは? 1人になりたいらしくて 695 00:45:29,760 --> 00:45:32,100 追い払われました。 696 00:45:32,100 --> 00:45:34,100 参りましょう。 697 00:45:36,100 --> 00:45:41,100 あっ。 お… お地蔵さまが!? 勝呂さん。 698 00:45:47,110 --> 00:45:52,780 僕のこと 軽蔑してませんか? あっ そんな…。 699 00:45:52,780 --> 00:45:56,120 ずっと あなたに 失礼な態度を取ってきた。 700 00:45:56,120 --> 00:46:00,130 でも あれは 本当の僕ではないんです。 701 00:46:00,130 --> 00:46:02,060 分かってます。 本当は もっと 702 00:46:02,060 --> 00:46:05,060 お話がしたい。 703 00:46:05,060 --> 00:46:07,070 でも それができない自分が いるんです。 704 00:46:07,070 --> 00:46:11,070 全ては…。 分かっていますから。 705 00:46:11,070 --> 00:46:14,070 すみません。 706 00:46:14,070 --> 00:46:18,080 自分の話をしますね。 ええ。 707 00:46:18,080 --> 00:46:22,080 4カ月前に 婚約者と別れたんです。 708 00:46:22,080 --> 00:46:25,080 他に付き合ってる人がいたのが 分かって 709 00:46:25,080 --> 00:46:27,090 顔面を ぶん殴ってやりました。 710 00:46:27,090 --> 00:46:31,090 それは 手厳しい。 フフッ。 711 00:46:31,090 --> 00:46:35,090 人を好きになるのは やめようと思っていたときに 712 00:46:35,090 --> 00:46:38,100 あなたが現れたの。 713 00:46:38,100 --> 00:46:43,100 心が動いたのは さみしかったせいかもしれません。 714 00:46:45,100 --> 00:46:50,100 私には分からない。 これから どうなるかも。 715 00:46:53,110 --> 00:46:57,120 僕しだいってことですか? 716 00:46:57,120 --> 00:47:01,050 あなたは 新しい一歩を 踏み出すべき。 717 00:47:01,050 --> 00:47:06,050 そして あなたは それが できる人。 718 00:47:12,060 --> 00:47:14,060 勇気を出して。 719 00:47:22,070 --> 00:47:27,080 うっ…。 720 00:47:27,080 --> 00:47:32,080 あっ! 行きなさい! すみません。 721 00:47:32,080 --> 00:47:35,090 はい。 722 00:47:35,090 --> 00:47:38,090 熊野古道は 後白河法皇も 723 00:47:38,090 --> 00:47:42,090 藤原 定家も通ったと いわれています。 724 00:47:42,090 --> 00:47:44,100 では この景色を 725 00:47:44,100 --> 00:47:47,100 法皇も ご覧になったかも しれないんですね。 726 00:47:47,100 --> 00:47:50,100 そうなりますね。 727 00:47:50,100 --> 00:47:54,110 あっ 見て! あそこに天狗が! えっ? 728 00:47:54,110 --> 00:48:00,110 お~ あれは 山伏です。 修行をしているのだと思いますよ。 729 00:48:00,110 --> 00:48:05,050 あっ 勝呂さんは 何でも ご存じなのね。 730 00:48:05,050 --> 00:48:09,050 ウフフフ。 じゃあ…。 731 00:48:09,050 --> 00:48:12,060 このお花は? どれでしょう? 732 00:48:12,060 --> 00:48:19,060 お~ これは そうですね ノコンギクではないでしょうか。 733 00:48:19,060 --> 00:48:22,070 うわっ! あっ あっ…。 734 00:48:22,070 --> 00:48:25,070 あっ あ~! 735 00:48:25,070 --> 00:48:29,070 あ~! 勝呂さん! 736 00:48:29,070 --> 00:48:31,080 うわ~! 737 00:48:31,080 --> 00:48:33,080 あ痛たた…。 738 00:48:33,080 --> 00:48:37,080 いいかげんにしてください。 739 00:48:37,080 --> 00:48:43,090 ごめんなさい! 今度こそ 足を痛めました。 740 00:48:43,090 --> 00:48:46,090 時計が壊れました。 741 00:48:46,090 --> 00:48:51,100 勝呂の大事な時計が! あ痛たた…。 742 00:48:51,100 --> 00:48:53,100 そこにいてください。 743 00:48:53,100 --> 00:48:56,100 あっちに行って ぐるっと回ってから 744 00:48:56,100 --> 00:48:59,100 あっちに回って そっちに行きますから。 745 00:48:59,100 --> 00:49:02,040 どっち? 746 00:49:02,040 --> 00:49:06,040 とにかく そこにいてください。 動かないで。 747 00:49:08,050 --> 00:49:20,060 ♬~ 748 00:49:20,060 --> 00:49:24,060 あ痛たた…。 749 00:49:24,060 --> 00:49:27,070 勝呂さん! 750 00:49:27,070 --> 00:49:30,070 遅い! 751 00:49:30,070 --> 00:49:32,070 ハァ ハァ…。 752 00:49:32,070 --> 00:49:36,410 急いできたんですよ。 今度という 今度は 753 00:49:36,410 --> 00:49:39,080 いくら 勝呂でも怒りますよ! 754 00:49:39,080 --> 00:49:42,080 私だって 勝呂さんに 言いたいわ。 755 00:49:42,080 --> 00:49:46,080 どうして そう 面白いように 落ちていくんですか? 756 00:49:46,080 --> 00:49:48,090 ホテルへ戻ります! 757 00:49:48,090 --> 00:49:51,090 あ痛たた…。 758 00:49:51,090 --> 00:49:53,090 あなた ついてるわ。 759 00:49:53,090 --> 00:49:57,100 ほら そこに さっきのバスが止まっています。 760 00:49:57,100 --> 00:50:00,100 そんなところまで 落ちたんですか? 761 00:50:00,100 --> 00:50:02,700 行きましょう。 762 00:50:02,700 --> 00:50:05,000 あ痛たた…。 つかまって。 763 00:50:07,040 --> 00:50:11,040 おっとっと…。 あ~! 764 00:50:11,040 --> 00:50:15,050 ホテルで 読書をしていれば こんなことには…。 765 00:50:15,050 --> 00:50:20,050 運転手さん バスは いつ出ます? 昼まで出ないよ。 766 00:50:20,050 --> 00:50:24,060 どうします? ここにいます。 767 00:50:24,060 --> 00:50:28,060 せっかくなので 私は 少し歩いてきますね。 768 00:50:28,060 --> 00:50:31,060 私を 置いていくんですか? 769 00:50:31,060 --> 00:50:34,730 子供みたいなこと 言わないの。 770 00:50:34,730 --> 00:50:39,740 飛鳥さん 体調は? 私は もう 大丈夫です。 771 00:50:39,740 --> 00:50:42,070 じゃあ 付き合って。 はい。 お付き合いします。 772 00:50:42,070 --> 00:50:48,080 勝呂さん こちらで ゆっくり なさっていてくださいね。 773 00:50:48,080 --> 00:50:51,080 置いてくんですね!? 774 00:50:51,080 --> 00:51:29,120 ♬~ 775 00:51:29,120 --> 00:51:32,120 一雨 降りそうですね。 776 00:51:34,130 --> 00:51:39,130 あっ 何だ 兄さんたちも 戻ってたんですね。 777 00:51:39,130 --> 00:51:42,130 本宮大社までは 行けそうにないから 778 00:51:42,130 --> 00:51:44,140 早々に帰ってきた。 779 00:51:44,140 --> 00:51:47,140 お母さんは? 780 00:51:47,140 --> 00:51:52,140 さっきのところに 座ってた。 うたた寝してたよ。 781 00:51:52,140 --> 00:51:55,150 誰か 呼びに行かなくても いいの? 782 00:51:55,150 --> 00:51:57,150 放っておこう。 783 00:51:57,150 --> 00:51:59,150 私も それがいいと思う。 784 00:51:59,150 --> 00:52:02,150 1人になりたいと言ったのは 自分なんだから。 785 00:52:07,090 --> 00:52:09,090 姉さん? 786 00:52:09,090 --> 00:52:12,090 外の空気を吸ってくるの。 787 00:52:23,110 --> 00:52:26,110 結局 みんな 戻ってきちゃいましたね。 788 00:52:28,110 --> 00:52:30,110 ええ。 789 00:52:30,110 --> 00:52:33,120 途中で 大雨になったら 事だもんな。 790 00:52:33,120 --> 00:52:52,120 ♬~ 791 00:52:56,140 --> 00:52:58,140 雨になりそうですよ。 792 00:53:01,080 --> 00:53:03,080 あなたみたいな人でも 793 00:53:03,080 --> 00:53:07,090 風邪をひかれると 嫌な気分になるんです。 794 00:53:07,090 --> 00:53:09,090 起きてください。 795 00:53:17,100 --> 00:53:21,100 誰か…。 誰か来て! 796 00:53:40,130 --> 00:53:46,140 どうか お願いします! 私は 休暇を取りに来たのです。 797 00:53:46,140 --> 00:53:49,140 可能なかぎり 速やかに 解決したいんです。 798 00:53:49,140 --> 00:53:51,140 新聞や雑誌の記者が 押し寄せてきたら 799 00:53:51,140 --> 00:53:55,810 もう たまったもんじゃない! あなたが必要なんです! 800 00:53:55,810 --> 00:53:58,820 弱りましたな。 801 00:53:58,820 --> 00:54:02,090 古い仲ではないですか。 このとおり! 802 00:54:02,090 --> 00:54:06,090 事件解決に 力を貸してください! 803 00:54:06,090 --> 00:54:11,100 世界一の名探偵 勝呂 武尊殿! 804 00:54:11,100 --> 00:54:15,100 ハハハ…。 805 00:54:15,100 --> 00:54:18,100 しかたがない。 806 00:54:18,100 --> 00:54:24,110 では 勝呂に お任せあれ! 807 00:54:24,110 --> 00:54:27,110 私は 専門家ではありませんが 808 00:54:27,110 --> 00:54:29,780 すでに 死後硬直が 始まっていたので 809 00:54:29,780 --> 00:54:33,120 亡くなって 直後ということは ないと思います。 810 00:54:33,120 --> 00:54:38,120 先生が 死体を発見したのは 今朝の11時半でしたね。 811 00:54:38,120 --> 00:54:41,130 状況から考えて 死亡推定時刻は 812 00:54:41,130 --> 00:54:43,460 11時より後ということは ありません。 813 00:54:43,460 --> 00:54:46,130 それ以上のことは ごめんなさい。 814 00:54:46,130 --> 00:54:50,130 夫人が皆さんと別れて ほこらの脇のベンチに…。 815 00:54:50,130 --> 00:54:55,140 小袖のほこらです。 地元の人間は そう呼んでます。 816 00:54:55,140 --> 00:54:58,140 何時ごろだったか 覚えてらっしゃいますか? 817 00:54:58,140 --> 00:55:01,080 皆で 歩きだしたのが 10時ですから 818 00:55:01,080 --> 00:55:04,080 まあ たぶん 10時5分くらいだったと思います。 819 00:55:04,080 --> 00:55:08,090 では 犯行時刻は 10時5分から 11時の間か。 820 00:55:08,090 --> 00:55:10,090 犯行時刻? 821 00:55:10,090 --> 00:55:14,090 先生は 夫人の死を どう思われますか? 822 00:55:14,090 --> 00:55:16,090 心臓発作です。 823 00:55:16,090 --> 00:55:18,760 あの方は もともと 心臓が弱く 824 00:55:18,760 --> 00:55:23,100 普段から かなり強めの薬を 飲んでいたそうです。 825 00:55:23,100 --> 00:55:27,100 殺人だと おっしゃるんですか? 先生は 検視医ではありません。 826 00:55:27,100 --> 00:55:30,110 遺体の様子を見ることに 慣れておられない。 827 00:55:30,110 --> 00:55:35,110 ですから 被害者の腕にあった 注射の痕を見落としたとしても 828 00:55:35,110 --> 00:55:38,450 しかたのないことです。 注射の痕? 829 00:55:38,450 --> 00:55:40,450 彼女は 心臓を患っていて 830 00:55:40,450 --> 00:55:44,120 何とかという強い薬を 飲んでましたね。 831 00:55:44,120 --> 00:55:48,130 ジギトキシン。 非常に 毒性の強いものですね。 832 00:55:48,130 --> 00:55:50,130 その ジギ何とかを 833 00:55:50,130 --> 00:55:53,460 誰かが注射器で 直接 体内に入れたと? 834 00:55:53,460 --> 00:55:57,800 症状は 心臓発作で 亡くなったときと 同じです。 835 00:55:57,800 --> 00:56:01,070 信じられないわ。 しかし 許せませんな。 836 00:56:01,070 --> 00:56:05,080 この神聖なる 熊野古道を 殺人の舞台に選ぶとは。 837 00:56:05,080 --> 00:56:11,080 勝呂さん 犯人は 家族の中の誰かですか? 838 00:56:11,080 --> 00:56:15,090 誰か1人か 誰かと誰かか。 839 00:56:15,090 --> 00:56:20,090 もしくは 全員による 共同謀議か。 840 00:56:20,090 --> 00:56:24,100 先生は 本堂家とは お親しいんですか? 841 00:56:24,100 --> 00:56:27,100 こちらに来て 初めて お会いしました。 842 00:56:27,100 --> 00:56:30,100 主水さんは 感じのいい方ですし 843 00:56:30,100 --> 00:56:32,440 私に 好意を 抱いてくださっているのは 844 00:56:32,440 --> 00:56:37,110 確かですが それ以上では ありません。 845 00:56:37,110 --> 00:56:39,780 勝呂さん。 はい。 846 00:56:39,780 --> 00:56:43,110 あの人たちは 散々 ひどい目に遭ってきたんです。 847 00:56:43,110 --> 00:56:45,450 これ以上 苦しい思いを させないであげてほしいの。 848 00:56:45,450 --> 00:56:48,450 あのばあさんは ひどい独裁者で 底意地が悪くて 849 00:56:48,450 --> 00:56:51,460 むしろ 死んでよかったと あなたは そう おっしゃる。 850 00:56:51,460 --> 00:56:55,130 意地悪な言い方をするんですね。 勝呂は そうは思いません。 851 00:56:55,130 --> 00:56:57,460 どんなに 極悪非道な人物であっても 852 00:56:57,460 --> 00:56:59,460 命にかわりはないのです。 853 00:56:59,460 --> 00:57:02,070 決して 人殺しを 認めるわけにはいきません。 854 00:57:02,070 --> 00:57:05,070 だからって 殺人だって 決まったわけではないでしょう? 855 00:57:05,070 --> 00:57:07,410 注射の痕だって 今朝ついたものかどうか 856 00:57:07,410 --> 00:57:14,080 分からないじゃないですか。 実は ここに来た 最初の晩 857 00:57:14,080 --> 00:57:19,080 私は ある会話を 聞いてしまったのです。 858 00:57:19,080 --> 00:57:21,090 分からないのか? 859 00:57:21,090 --> 00:57:23,090 こうなったら もう 殺すしかないんだ 860 00:57:23,090 --> 00:57:26,090 それは 明らかに 主水さんの声でした。 861 00:57:26,090 --> 00:57:29,760 2番目の息子さんです。 では あの人が? 862 00:57:29,760 --> 00:57:35,100 彼が 殺人の計画を 立てていたことは 事実です。 863 00:57:35,100 --> 00:57:37,100 信じたくありません。 今朝 864 00:57:37,100 --> 00:57:41,110 あなたは 山道で 彼と 2人きりになられましたね? 865 00:57:41,110 --> 00:57:44,110 待ってください。 彼に関して 何か気になることは 866 00:57:44,110 --> 00:57:47,110 ありませんでしたか? お答えしたくありません! 867 00:57:47,110 --> 00:57:49,110 失礼します。 868 00:57:53,120 --> 00:57:59,120 私は 彼女に関して 1つ重要な事実を知っています。 869 00:57:59,120 --> 00:58:03,130 彼女も ジギトキシンを 持っています。 870 00:58:03,130 --> 00:58:05,130 えっ? 871 00:58:05,130 --> 00:58:09,130 主水さんが 殺人の相談をしていた相手は 872 00:58:09,130 --> 00:58:11,130 誰なんですか? 873 00:58:13,140 --> 00:58:18,140 では 容疑者の尋問に 移りましょう。 874 00:58:18,140 --> 00:58:20,140 誰から いきますか? 875 00:58:20,140 --> 00:58:25,150 そうですね バスに戻ってきた順と いきたいところですが 876 00:58:25,150 --> 00:58:28,150 まずは あの方から。 877 00:58:28,150 --> 00:58:34,160 衆議院議員の 上杉 穂波先生です。 お会いできて 光栄です。 878 00:58:34,160 --> 00:58:37,160 素晴らしいところですね。 879 00:58:37,160 --> 00:58:41,170 熊野古道は 紛れもなく わが国の財産です。 880 00:58:41,170 --> 00:58:46,170 上杉先生には ご迷惑が 掛からないようにいたしますので。 881 00:58:46,170 --> 00:58:48,170 どんな捜査を? はい。 882 00:58:48,170 --> 00:58:52,180 関係者の話を聞くだけです。 883 00:58:52,180 --> 00:58:57,180 知りたいことは 自然と 向こうから やって来るもの。 884 00:58:57,180 --> 00:59:01,120 私も協力したいですわ。 では 事件のあった 885 00:59:01,120 --> 00:59:04,120 今日の午前の動きを 聞かせてください。 886 00:59:04,120 --> 00:59:08,130 バスを降りてからは ずっと 勝呂さんと一緒でした。 887 00:59:08,130 --> 00:59:10,130 はい。 うわっ! 888 00:59:10,130 --> 00:59:12,130 勝呂さんを 崖から 突き落として 889 00:59:12,130 --> 00:59:18,140 バスに 勝呂さんを運んでからは 飛鳥さんと 近くを散歩して 890 00:59:18,140 --> 00:59:21,140 土産物屋さんへ向かいました。 891 00:59:21,140 --> 00:59:24,140 それからは ずっと 彼女と一緒です。 892 00:59:24,140 --> 00:59:26,140 あなたは? 893 00:59:26,140 --> 00:59:29,150 私は 気分が悪くなって バスに戻りまして 894 00:59:29,150 --> 00:59:33,150 その後は ずっと 先生と一緒でした。 895 00:59:33,150 --> 00:59:38,160 最後に 本堂夫人に お会いになったのは いつですか? 896 00:59:38,160 --> 00:59:40,160 今 思い出しますね。 897 00:59:40,160 --> 00:59:46,160 飛鳥さんにも 同じ質問を。 今 思い出しますね。 898 00:59:46,160 --> 00:59:52,170 上杉先生 自由党と民主党は 本当に 一つになるんでしょうか? 899 00:59:52,170 --> 00:59:57,170 ノーコメントです。 失礼いたしました! 900 00:59:57,170 --> 00:59:59,180 思い出した。 901 00:59:59,180 --> 01:00:05,120 土産物屋さんへ向かう途中 ベンチに座ってる夫人を見ました。 902 01:00:05,120 --> 01:00:08,120 遠くからでしたけど。 ねえ? 飛鳥さん。 903 01:00:08,120 --> 01:00:10,450 は… はい。 私も見ました。 904 01:00:10,450 --> 01:00:12,790 生きてらっしゃいましたか? もちろん。 905 01:00:12,790 --> 01:00:16,130 土産物屋の辺りから 小袖のほこらまでは 906 01:00:16,130 --> 01:00:18,130 80mは ありますよ。 907 01:00:18,130 --> 01:00:21,130 そんなに離れているのに なぜ 分かるのですか? 908 01:00:21,130 --> 01:00:24,140 天狗ですよ。 天狗。 天狗? 909 01:00:24,140 --> 01:00:26,140 見て! うん? 910 01:00:26,140 --> 01:00:29,140 天狗よ えっ? あっ 911 01:00:29,140 --> 01:00:31,140 どういうことでしょう? あの方 912 01:00:31,140 --> 01:00:35,150 天狗を叱りつけてました。 そうなんです。 913 01:00:35,150 --> 01:00:38,150 天狗を? つえで たたいてました。 914 01:00:38,150 --> 01:00:41,150 天狗は 走って 山の方へ逃げました。 915 01:00:41,150 --> 01:00:47,160 すごい速さだったわよね? 速かった~。 916 01:00:47,160 --> 01:00:51,160 一瞬でしたけど あれは 間違いなく 天狗でした。 917 01:00:51,160 --> 01:00:54,170 それは 山伏ということですか? ともいう。 918 01:00:54,170 --> 01:00:57,170 天狗でした。 しかし 山伏を 919 01:00:57,170 --> 01:01:00,170 つえで たたくとは 相当な女ですな。 920 01:01:00,170 --> 01:01:04,110 天狗ですけど。 そういう女性なのです。 あの方は。 921 01:01:04,110 --> 01:01:07,110 装いは どんな感じでしたか? 装い? 922 01:01:07,110 --> 01:01:11,120 山伏には 階級がございまして 梵天の色で分かるんです。 923 01:01:11,120 --> 01:01:13,120 梵天? けさに ついている 924 01:01:13,120 --> 01:01:16,790 丸いボンボンです。 赤でしたか? 紫でしたか? それとも…。 925 01:01:16,790 --> 01:01:19,120 赤でした。 ねえ? 926 01:01:19,120 --> 01:01:24,130 そうそう。 赤でした。 赤か…。 927 01:01:24,130 --> 01:01:27,800 赤の梵天は どのような 階級なのですか? 928 01:01:27,800 --> 01:01:30,130 最上級の…。 天狗? 929 01:01:30,130 --> 01:01:35,140 あ~ 信じられません。 それは 何時ごろでしたか? 930 01:01:35,140 --> 01:01:37,140 10時半 過ぎてた? 931 01:01:37,140 --> 01:01:39,140 過ぎてたと思います。 932 01:01:39,140 --> 01:01:42,150 いや 過ぎてなかったんじゃ ないかな? 933 01:01:42,150 --> 01:01:44,150 過ぎてなかったかな? 934 01:01:44,150 --> 01:01:47,150 10時20分ということで お願いします。 935 01:01:47,150 --> 01:01:51,160 ということは 10時20分の段階では 936 01:01:51,160 --> 01:01:53,160 まだ 夫人は生きていた。 937 01:01:53,160 --> 01:01:58,830 では そろそろ よろしいですか? ご協力 感謝します。 938 01:01:58,830 --> 01:02:02,100 熊野古道を汚した 憎むべき犯人。 939 01:02:02,100 --> 01:02:04,770 必ず 見つけ出してくださいね 勝呂さん。 940 01:02:04,770 --> 01:02:07,100 必ず。 941 01:02:09,110 --> 01:02:11,780 あっ カラスです。 942 01:02:11,780 --> 01:02:14,110 カラス? たまに まぬけなカラスが 943 01:02:14,110 --> 01:02:16,780 ガラスと気付かずに ぶつかってくるんです。 944 01:02:16,780 --> 01:02:20,120 あれを 見てください! えっ? 945 01:02:20,120 --> 01:02:24,120 飛んでいった あのカラス 足が3本あります。 946 01:02:24,120 --> 01:02:27,120 嘘でしょう? ほら。 947 01:02:29,130 --> 01:02:34,130 本当だ! 足が3本ある! そんなわけないでしょう? 948 01:02:34,130 --> 01:02:36,130 もう 行ってしまいました。 949 01:02:36,130 --> 01:02:39,800 本当に 見たの? 本当に 見ました。 950 01:02:39,800 --> 01:02:43,140 確かに 足が3本ありました。 951 01:02:43,140 --> 01:02:46,140 八咫烏だ! 952 01:02:46,140 --> 01:02:50,150 熊野の守り神ですね。 これは お告げだ。 953 01:02:50,150 --> 01:02:56,150 しかし 何のお告げなのか まったく 分からない。 あ~! 954 01:03:00,110 --> 01:03:04,050 このたびは 突然のことで 驚かれたことと思います。 955 01:03:04,050 --> 01:03:08,050 母の心臓のことは 前から 知っていたので 956 01:03:08,050 --> 01:03:13,060 突然という感じではないな。 そんな状態で 家族旅行とは 957 01:03:13,060 --> 01:03:16,060 いささか 問題があったのでは ないですか? 958 01:03:16,060 --> 01:03:19,060 母が 自分で決めたことですから。 959 01:03:19,060 --> 01:03:23,070 あの 私が ここに呼ばれた理由を 伺いましょう。 960 01:03:23,070 --> 01:03:25,070 変死事件が起きますと 961 01:03:25,070 --> 01:03:28,070 関係者の証言が 必要になってくるのです。 962 01:03:28,070 --> 01:03:32,740 心臓発作ではないと? 殺人の可能性もあります。 963 01:03:32,740 --> 01:03:35,080 まさか。 バスを降りてからの 964 01:03:35,080 --> 01:03:37,750 今朝の行動を 教えていただけますか? 965 01:03:37,750 --> 01:03:41,080 家族全員で 本宮大社に向かって 歩きました。 966 01:03:41,080 --> 01:03:45,090 全員というのは? 967 01:03:45,090 --> 01:03:51,090 私と 妻と 弟と 上の妹。 968 01:03:51,090 --> 01:03:56,100 下の妹は バスに残り 母は あのベンチに。 969 01:03:56,100 --> 01:04:01,710 それから 彼を忘れていませんか? 奥さんのお友達の。 970 01:04:01,710 --> 01:04:05,040 あ~ そう。 あの男も 一緒でした。 971 01:04:05,040 --> 01:04:08,050 それから どうなさいました? 972 01:04:08,050 --> 01:04:13,050 しばらく… そうだな 10分ほど 歩いていましたが 973 01:04:13,050 --> 01:04:16,390 雨が降りそうになったので 私は バスに戻りました。 974 01:04:16,390 --> 01:04:19,060 ベンチのお母さまに お会いになりましたか? 975 01:04:19,060 --> 01:04:21,060 ええ。 お元気でしたか? 976 01:04:21,060 --> 01:04:23,060 元気でしたよ。 何時か 分かりますか? 977 01:04:23,060 --> 01:04:25,060 10時30分。 978 01:04:25,060 --> 01:04:28,730 ずいぶんと はっきり 覚えてらっしゃるんですね? 979 01:04:28,730 --> 01:04:30,730 母に 時間を聞かれたんです。 980 01:04:30,730 --> 01:04:33,740 あの人の腕時計 たまに 止まるんですよ。 981 01:04:33,740 --> 01:04:37,070 その後は? バスの中にいました。 982 01:04:37,070 --> 01:04:42,080 しばらくして 妻が戻ってきました。 983 01:04:42,080 --> 01:04:45,080 ちょっ… ちょっと待って。 984 01:04:45,080 --> 01:04:50,080 私を疑っているのかな? 疑われる理由があるのですか? 985 01:04:52,090 --> 01:04:55,090 誰に聞いたか知らないが 986 01:04:55,090 --> 01:04:58,100 確かに 去年 私は 事業を起こし 987 01:04:58,100 --> 01:05:01,030 見事に しくじりました。 聞いています。 988 01:05:01,030 --> 01:05:06,040 自信が おありでしたのに 残念な結果になりましたね。 989 01:05:06,040 --> 01:05:09,040 運がなかっただけです。 ちなみに 何のお仕事を? 990 01:05:09,040 --> 01:05:11,040 絵の売買を。 991 01:05:11,040 --> 01:05:14,040 母は 反対していました。 992 01:05:14,040 --> 01:05:17,050 まあ 結局 母が 全ての借金を 肩代わりしてくれて 993 01:05:17,050 --> 01:05:20,050 それで ますます 逆らえなくなりました。 994 01:05:20,050 --> 01:05:25,050 お母さまを 憎んでらっしゃった。 しかし 殺してはいない。 995 01:05:27,060 --> 01:05:30,730 なぜなら 母なしでは 生きていけないことを 996 01:05:30,730 --> 01:05:33,730 私は 誰よりも よく知っているから。 997 01:05:33,730 --> 01:05:36,070 面白いですな~。 998 01:05:36,070 --> 01:05:42,070 殺人と決まってもいないのに この人は 犯行を否認されている。 999 01:05:42,070 --> 01:05:44,070 失礼。 1000 01:05:50,080 --> 01:05:53,080 事業のこと 誰に聞いたのですか? 1001 01:05:53,080 --> 01:05:55,090 誰にも。 1002 01:05:55,090 --> 01:05:57,090 自信があったことを ご存じのようでしたが。 1003 01:05:57,090 --> 01:06:02,760 だいたい どんな事業でも 始めるときは自信があるものです。 1004 01:06:02,760 --> 01:06:06,100 なるほど。 お分かりになったでしょう。 1005 01:06:06,100 --> 01:06:11,100 こちらが知りたいことは 向こうから やって来るものです。 1006 01:06:11,100 --> 01:06:17,110 私は 義理の母の死を まったく 悲しんでおりません。 1007 01:06:17,110 --> 01:06:19,780 彼女に みじんの愛情も 感じてませんでした。 1008 01:06:19,780 --> 01:06:23,780 正直に答えていただいて 感謝します。 1009 01:06:23,780 --> 01:06:27,120 ただし 後悔はしています。 後悔? 1010 01:06:27,120 --> 01:06:31,120 彼女を死に至らしめたのは 私ですから。 1011 01:06:31,120 --> 01:06:33,120 どういうことでしょう? 1012 01:06:33,120 --> 01:06:37,130 彼女の死の原因は 私にあると言っているんです。 1013 01:06:37,130 --> 01:06:39,130 お~。 1014 01:06:39,130 --> 01:06:43,130 私の結婚生活は はっきり 申し上げて 1015 01:06:43,130 --> 01:06:46,140 破綻しております。 1016 01:06:46,140 --> 01:06:49,140 全て 夫のせいだとは言いません。 1017 01:06:49,140 --> 01:06:52,140 でも そこに 義理の母の存在があったのは 1018 01:06:52,140 --> 01:06:55,150 間違いないこと。 1019 01:06:55,150 --> 01:06:57,810 ずいぶん前から 自分の今の生活に 1020 01:06:57,810 --> 01:07:01,080 見切りをつけたいと 思っていました。 1021 01:07:01,080 --> 01:07:05,090 私には 友人が…。 1022 01:07:05,090 --> 01:07:09,090 とても 信頼している友人が 1人いまして 1023 01:07:09,090 --> 01:07:13,100 その方は 私に 生涯を共にしたいと 1024 01:07:13,100 --> 01:07:15,100 何度も言ってくれました。 1025 01:07:15,100 --> 01:07:20,100 そして 今朝 私は 1つの決断をしたんです。 1026 01:07:20,100 --> 01:07:24,110 つまり ご主人の元から 離れる決意を? 1027 01:07:24,110 --> 01:07:26,110 いったん 気持ちが固まると 1028 01:07:26,110 --> 01:07:29,110 ぐずぐずしてはいられない 性格で 1029 01:07:29,110 --> 01:07:34,120 ツアーの途中で 私は みんなと別れて 先に戻りました。 1030 01:07:34,120 --> 01:07:37,790 主人と 義理の母に 打ち明けるのは 1031 01:07:37,790 --> 01:07:40,790 今しかないと思ったんです。 1032 01:07:40,790 --> 01:07:43,130 まず 夫に話しました。 1033 01:07:43,130 --> 01:07:47,460 俺を見捨てないでくれ 凪子! 私が出ていくしかないの! 1034 01:07:47,460 --> 01:07:49,470 理解はしてくれました。 1035 01:07:49,470 --> 01:07:52,470 それから 母に打ち明けました。 1036 01:07:52,470 --> 01:07:56,140 夫人は 驚かれたことでしょうね。 1037 01:07:56,140 --> 01:07:58,140 かんかんになって 怒りました。 1038 01:07:58,140 --> 01:08:00,410 時間は 分かりますか? 1039 01:08:00,410 --> 01:08:03,080 10時40分ごろだったと 思います。 1040 01:08:03,080 --> 01:08:07,080 つまり あなたは そのときのショックで 1041 01:08:07,080 --> 01:08:09,090 夫人が亡くなられたと 1042 01:08:09,090 --> 01:08:12,760 そう考えてらっしゃるんですね。 はい。 1043 01:08:12,760 --> 01:08:16,090 ちなみに あなたの相手の方というのは 1044 01:08:16,090 --> 01:08:19,100 十文字さんですね? ご想像に お任せします。 1045 01:08:19,100 --> 01:08:22,100 あなたは 注射器を お持ちですか? 1046 01:08:22,100 --> 01:08:24,100 持ってます。 夫人の飲んでいた心臓の薬は 1047 01:08:24,100 --> 01:08:26,770 何でしたか? ジギトキシン。 1048 01:08:26,770 --> 01:08:29,110 量を誤ると 命に関わるものですね? 1049 01:08:29,110 --> 01:08:32,780 たいていの薬は そうです。 勝呂さん よろしいですか? 1050 01:08:32,780 --> 01:08:35,780 どうぞ。 あなたは なぜ 1051 01:08:35,780 --> 01:08:39,120 この問題に 立ち入らなければ ならないのですか? 1052 01:08:39,120 --> 01:08:41,790 私が お願いしたんです。 私たちは 長い間 1053 01:08:41,790 --> 01:08:45,460 苦しみ続けてきました。 そして 今 ようやく 1054 01:08:45,460 --> 01:08:48,130 平和と幸福の光が 差そうとしているんです。 1055 01:08:48,130 --> 01:08:52,800 それなのに あなたは なぜ それを 踏みにじろうとするのですか? 1056 01:08:52,800 --> 01:08:55,800 私に どうしろというのです? 1057 01:08:55,800 --> 01:08:59,140 義理の母は 心臓の病で 死んだんです。 1058 01:08:59,140 --> 01:09:02,740 あなたは これが 計画殺人である ということを知っていて 1059 01:09:02,740 --> 01:09:06,410 その上で 見逃してくれと 言っておられるわけですか? 1060 01:09:06,410 --> 01:09:08,410 どう捉えようが結構です。 1061 01:09:08,410 --> 01:09:10,410 あなたが殺したんですか? そんなこと言ってません。 1062 01:09:10,410 --> 01:09:14,750 どんなに 悪逆非道な人物でも 生きる権利はあるのです! 1063 01:09:14,750 --> 01:09:17,090 では 勝手にすればいいわ。 1064 01:09:17,090 --> 01:09:23,090 罪のない人たちを 破滅と悲惨の どん底へ突き落としなさい! 1065 01:09:23,090 --> 01:09:26,100 これ以上 話すことはありません。 1066 01:09:26,100 --> 01:09:29,100 マダム。 1067 01:09:29,100 --> 01:09:34,100 あなたには まだ 話すべきことがあるはずです。 1068 01:09:34,100 --> 01:09:36,110 いいえ ありません。 1069 01:09:36,110 --> 01:09:40,110 あなたは 夫人と別れた後 1070 01:09:40,110 --> 01:09:45,120 彼女の身に 何が起こったんです? 1071 01:09:45,120 --> 01:09:48,120 私が どうして それを知っていると? 1072 01:09:48,120 --> 01:09:50,120 あなたは 知っている。 1073 01:09:50,120 --> 01:09:54,120 そうでなければ…。 1074 01:09:54,120 --> 01:09:56,120 感づいている。 1075 01:10:08,090 --> 01:10:10,090 家族で 山道を歩きました。 途中までは 1076 01:10:10,090 --> 01:10:15,100 みんな一緒でしたけど 途中で ばらばらになって 1077 01:10:15,100 --> 01:10:19,100 雨になりそうだったので 私は バスに戻りました。 1078 01:10:19,100 --> 01:10:22,110 私よりも 少し後でしたね? 1079 01:10:22,110 --> 01:10:25,110 途中で お母さまに 会いましたか? 1080 01:10:25,110 --> 01:10:28,110 ベンチに座ってました。 1081 01:10:28,110 --> 01:10:30,110 そのときの お母さまの様子は? 1082 01:10:30,110 --> 01:10:33,120 普通でした。 お話をされた? 1083 01:10:33,120 --> 01:10:35,120 しました。 どんな? 1084 01:10:35,120 --> 01:10:38,790 「雨になりそうですよ」 「あ~ そうかい」とか。 1085 01:10:38,790 --> 01:10:43,130 様子は 普段とは 違っていませんでしたか? 1086 01:10:43,130 --> 01:10:47,130 別に。 時間は 分かりますか? 1087 01:10:47,130 --> 01:10:49,130 いいえ。 1088 01:10:49,130 --> 01:10:53,140 あなたが バスに戻ったのは 私より後で 1089 01:10:53,140 --> 01:10:55,810 11時より 少し前でした。 1090 01:10:55,810 --> 01:11:00,810 小袖のほこらから バスまでは 歩いて 5分ですから 1091 01:11:00,810 --> 01:11:04,150 だいたい 10時50分くらいでしょうか。 1092 01:11:04,150 --> 01:11:07,750 その段階で 夫人は 生きていた。 1093 01:11:07,750 --> 01:11:09,750 死亡推定時刻とも合います。 1094 01:11:09,750 --> 01:11:16,090 つまり 10時50分から 11時の間に殺されたんだ。 1095 01:11:16,090 --> 01:11:23,100 お母さまが亡くなったと聞いて どう思われましたか? 1096 01:11:23,100 --> 01:11:25,100 びっくりしました。 1097 01:11:25,100 --> 01:11:27,440 お兄さんが言葉どおり 1098 01:11:27,440 --> 01:11:30,440 本当に殺してしまったと 思ったからですか? 1099 01:11:30,440 --> 01:11:33,110 意味が。 3日前の夜 1100 01:11:33,110 --> 01:11:36,110 お兄さんの 主水さんと そこのテラスで 1101 01:11:36,110 --> 01:11:39,120 夜遅くまで 語り合っておられましたね。 1102 01:11:39,120 --> 01:11:44,120 あなた方は 殺人の計画を立てていた。 1103 01:11:44,120 --> 01:11:49,130 まさか。 たまたま 聞いてしまったのです。 1104 01:11:49,130 --> 01:11:52,800 では 主水さんの 相手というのは? 1105 01:11:52,800 --> 01:11:57,800 主水さんが 敬語を使わない女性は 2人しかいません。 妹たちです。 1106 01:11:57,800 --> 01:12:01,140 一番下の子が 相手になる可能性は まず ありません。 1107 01:12:01,140 --> 01:12:03,140 分からないのか? 1108 01:12:03,140 --> 01:12:05,140 こうなったら もう 殺すしかないんだ 1109 01:12:05,140 --> 01:12:07,080 本気とは思えないわ 冗談で こんなことが 1110 01:12:07,080 --> 01:12:12,080 言えるか! いいか? やるしかないんだ 1111 01:12:12,080 --> 01:12:16,090 どうかしていたんです 私たち。 どうかしていましたね。 1112 01:12:16,090 --> 01:12:20,090 兄も 私も追い詰められていて 他のみんなも そうです。 1113 01:12:20,090 --> 01:12:23,090 みんな 母を憎んでいました。 あの人さえいなければ。 1114 01:12:23,090 --> 01:12:27,100 そして お兄さんと 殺害計画を練った。 1115 01:12:27,100 --> 01:12:29,100 考えただけです。 1116 01:12:29,100 --> 01:12:31,100 鏡子さん。 1117 01:12:31,100 --> 01:12:34,100 この神聖なる山々を前に 1118 01:12:34,100 --> 01:12:37,110 お母さまを殺したのは 自分たちではないと 1119 01:12:37,110 --> 01:12:41,110 誓うことができますか? 1120 01:12:41,110 --> 01:12:46,120 私は 決して 私は 母を殺していません! 1121 01:12:46,120 --> 01:12:48,120 ありがとうございます。 1122 01:12:48,120 --> 01:12:52,120 主水さんを 呼んできてもらえますか? 1123 01:13:03,130 --> 01:13:05,130 勝呂さん。 1124 01:13:08,070 --> 01:13:12,080 これだけは分かってください。 1125 01:13:12,080 --> 01:13:18,080 うちの家族に 悪い人なんて 誰もいないんです。 1126 01:13:18,080 --> 01:13:22,090 あなたが 誰よりも 家族を大事に思っていることは 1127 01:13:22,090 --> 01:13:24,750 よく分かっています。 1128 01:13:24,750 --> 01:13:32,050 しかし 真実を導き出すのが 私の仕事なんです。 1129 01:13:36,100 --> 01:13:40,100 あの会話を聞かれているとは 思いませんでした。 1130 01:13:40,100 --> 01:13:44,110 でも 分かってください。 本気じゃなかったんです。 1131 01:13:44,110 --> 01:13:48,110 ただ 頭に浮かんだというか。 1132 01:13:48,110 --> 01:13:53,780 まさか 本気で 母を殺そうなんて 思うはずがないじゃないですか。 1133 01:13:53,780 --> 01:14:00,120 この間 夜 遅く お母さまと ロビーで 何かもめていましたね? 1134 01:14:00,120 --> 01:14:04,130 あれも 見てたんですか。 何があったんですか? 1135 01:14:04,130 --> 01:14:06,130 母が泊まっていた部屋を 急に移るようにって 1136 01:14:06,130 --> 01:14:08,730 ホテルの支配人から 言われたんです。 1137 01:14:08,730 --> 01:14:11,070 別の客の予約が 入っていたらしくて 1138 01:14:11,070 --> 01:14:13,740 母は 散々 抗議したけど 駄目でした。 1139 01:14:13,740 --> 01:14:16,070 それは 気の毒でした。 1140 01:14:16,070 --> 01:14:20,080 それが もう一人の客っていうのが 1141 01:14:20,080 --> 01:14:25,080 有名な議員さんで さすがの母も 歯が立ちませんでした。 1142 01:14:28,080 --> 01:14:31,090 今朝の話を お願いします。 1143 01:14:31,090 --> 01:14:36,090 ええ。 皆と別れて それから 沙羅先生と 一緒に歩きました。 1144 01:14:36,090 --> 01:14:40,100 母に 最後に会ったのは 11時20分ごろです。 1145 01:14:40,100 --> 01:14:44,100 あのベンチに座ってました。 11時20分? 1146 01:14:44,100 --> 01:14:47,100 少しだけ話して 僕は バスに戻りました。 1147 01:14:47,100 --> 01:14:50,110 あとは ずっと バスにいました。 11時20分に 1148 01:14:50,110 --> 01:14:52,110 お母さまと話したんですね? 1149 01:14:52,110 --> 01:14:55,110 バスに戻ったのが 11時半だから そう…。 1150 01:14:55,110 --> 01:14:57,780 だいたい それぐらいです。 死亡推定時刻は 1151 01:14:57,780 --> 01:14:59,780 11時より前なんです。 1152 01:14:59,780 --> 01:15:03,120 沙羅先生が そう証言しています。 それは 彼女の間違いです。 1153 01:15:03,120 --> 01:15:06,720 11時20分の段階で 母は 生きていました。 1154 01:15:06,720 --> 01:15:08,730 どういうことなんでしょうか? 1155 01:15:08,730 --> 01:15:13,060 面白いですね。 ハハハ。 1156 01:15:13,060 --> 01:15:15,060 勝呂さん あんたは職業柄 1157 01:15:15,060 --> 01:15:17,730 人が死ぬと すぐに 犯罪のにおいを嗅ぎつける。 1158 01:15:17,730 --> 01:15:19,740 でも そうじゃない場合だってある。 1159 01:15:19,740 --> 01:15:22,740 毎日 多くの人が 心臓の病気で亡くなっている。 1160 01:15:22,740 --> 01:15:27,080 それを いちいち怪しんでいたら バカだと思われますよ。 1161 01:15:27,080 --> 01:15:30,410 あなたは 私に 生き方を説いているのですか? 1162 01:15:30,410 --> 01:15:32,080 先入観に とらわれ過ぎだと 言ってるんです。 1163 01:15:32,080 --> 01:15:35,750 お母さまの腕に 注射の痕がありましてね 1164 01:15:35,750 --> 01:15:41,090 毒物を注入された可能性が 高いんです。 1165 01:15:41,090 --> 01:15:45,090 ちなみに あなたの計画では 1166 01:15:45,090 --> 01:15:48,100 どうやって 殺すつもりだったんですか? 1167 01:15:48,100 --> 01:15:52,100 ですから 具体的なことは何も。 1168 01:15:52,100 --> 01:15:55,100 お引き取りください。 1169 01:15:57,110 --> 01:15:59,110 ハァー。 1170 01:16:03,110 --> 01:16:08,050 これで 家族全員の話を 聞きました。 1171 01:16:08,050 --> 01:16:10,720 待ってください。 まだ 末の妹がいます。 1172 01:16:10,720 --> 01:16:12,720 彼女は いいでしょう。 1173 01:16:12,720 --> 01:16:17,060 まともに 話をしてくれるとは 思えません。 1174 01:16:17,060 --> 01:16:20,060 これまでに分かったことを 読み上げてみましょうか? 1175 01:16:20,060 --> 01:16:24,070 お願いします。 はい。 「10時10分」 1176 01:16:24,070 --> 01:16:28,070 「一行は 夫人をベンチに残して ツアーへと参加する」 1177 01:16:28,070 --> 01:16:30,070 「10時20分」 1178 01:16:30,070 --> 01:16:35,080 「夫人が 天狗をつえで たたくのを 上杉先生たちが目撃」 1179 01:16:35,080 --> 01:16:37,080 「10時30分」 1180 01:16:37,080 --> 01:16:41,080 「礼一郎が戻ってきて 夫人と話す」 1181 01:16:41,080 --> 01:16:43,090 「10時40分」 1182 01:16:43,090 --> 01:16:47,090 「凪子が 夫人と話す。 夫人は 大激怒」 1183 01:16:47,090 --> 01:16:49,090 「10時50分」 1184 01:16:49,090 --> 01:16:51,430 「鏡子が 夫人と話す」 1185 01:16:51,430 --> 01:16:53,430 「11時20分」 1186 01:16:53,430 --> 01:16:55,430 「主水が 夫人と話す」 こんなところで 1187 01:16:55,430 --> 01:16:57,100 うたた寝をしてると 風邪をひきますよ 1188 01:16:57,100 --> 01:16:59,770 「11時30分」 1189 01:16:59,770 --> 01:17:03,110 「沙羅先生が 死体を発見」 1190 01:17:03,110 --> 01:17:06,110 素晴らしい。 1191 01:17:06,110 --> 01:17:09,050 問題は 沙羅先生の言葉を 信じるならば 1192 01:17:09,050 --> 01:17:11,710 死亡推定時刻は 11時より前。 1193 01:17:11,710 --> 01:17:17,050 しかし 主水は 11時20分に 生きている夫人と話をしている。 1194 01:17:17,050 --> 01:17:21,060 どういうことなんでしょうか? 簡単なことです。 1195 01:17:21,060 --> 01:17:25,060 嘘をついている人間が いるのです。 1196 01:17:37,090 --> 01:17:43,100 本堂夫人は なぜ 旅に出ようと思ったんでしょう。 1197 01:17:43,100 --> 01:17:49,110 よい質問です。 刺激が欲しかったんでしょうね。 1198 01:17:49,110 --> 01:17:53,110 屋敷の中だけで 君臨することに 飽きたのです。 1199 01:17:53,110 --> 01:17:57,110 彼女は 新しいスリルを求めた。 1200 01:17:57,110 --> 01:18:02,120 あえて 危険な道を選び そして 破滅した。 1201 01:18:02,120 --> 01:18:04,120 家族を苦しめ過ぎて 1202 01:18:04,120 --> 01:18:09,130 そして 子供たちの誰かが それに 耐えきれなくなった。 1203 01:18:09,130 --> 01:18:14,130 そういうことですか? 可能性はあります。 1204 01:18:14,130 --> 01:18:16,130 誰なんですか? 1205 01:18:18,130 --> 01:18:21,140 主水さんと話しましたよ。 1206 01:18:21,140 --> 01:18:25,470 主水さんが 11時20分に お母さまと話したと 1207 01:18:25,470 --> 01:18:28,480 言っていました。 それは あの方の勘違いです。 1208 01:18:28,480 --> 01:18:30,810 彼は あなたの方が 間違えていると。 1209 01:18:30,810 --> 01:18:33,820 あり得ないです。 では 主水さんは なぜ 1210 01:18:33,820 --> 01:18:36,120 生きていると言ったのですか? 1211 01:18:39,160 --> 01:18:43,160 実は 今朝 彼を たきつけてしまったんです。 1212 01:18:43,160 --> 01:18:47,160 もっと 勇気を持ってほしいって。 1213 01:18:47,160 --> 01:18:49,830 そうでしたか。 1214 01:18:49,830 --> 01:18:52,840 もちろん 私は お母さんから 独立してほしいと 1215 01:18:52,840 --> 01:18:54,840 そういうつもりで 言ったんですけど 1216 01:18:54,840 --> 01:19:00,510 それを 彼が取り違えていたら 私 取り返しのつかないことを。 1217 01:19:00,510 --> 01:19:03,180 申し上げたではないですか。 1218 01:19:03,180 --> 01:19:06,180 人さまの家庭に 首を突っ込んではならないと。 1219 01:19:06,180 --> 01:19:08,120 教えてください。 1220 01:19:08,120 --> 01:19:11,120 あの人が犯人なんですか? 1221 01:19:13,120 --> 01:19:15,120 名探偵さん。 1222 01:19:19,130 --> 01:19:23,130 お話ししたいことがあるんです。 1223 01:19:23,130 --> 01:19:27,140 私 大変なものを 見てしまったんです。 1224 01:19:27,140 --> 01:19:31,140 伺いましょう。 1225 01:19:31,140 --> 01:19:34,480 天狗です。 天狗? 1226 01:19:34,480 --> 01:19:38,080 バスで 1人で待ってたとき 窓の外を見てたら…。 1227 01:19:45,150 --> 01:19:47,490 あれは 間違いなく 天狗です。 1228 01:19:47,490 --> 01:19:50,160 山伏じゃないかしら? バカじゃないの? 1229 01:19:50,160 --> 01:19:54,160 山伏が あんなに速く走れる? ごめんなさい。 1230 01:19:54,160 --> 01:19:57,170 時間は 分かりますか? 分かりません。 1231 01:19:57,170 --> 01:20:00,240 まだ 誰も 戻ってなかったというなら 1232 01:20:00,240 --> 01:20:06,180 10時15分から 20分くらいですか? さあ。 1233 01:20:06,180 --> 01:20:09,780 あなた その後も バスを飛び出しましたね。 1234 01:20:09,780 --> 01:20:12,110 勝呂は 見ていましたよ。 1235 01:20:12,110 --> 01:20:14,120 うれしい。 1236 01:20:14,120 --> 01:20:19,120 私を気に留めてくれる方が この世にいたなんて。 1237 01:20:19,120 --> 01:20:21,120 そのときも 天狗を見たの? 1238 01:20:21,120 --> 01:20:27,130 と思ったけど あれは 山伏でした。 1239 01:20:27,130 --> 01:20:30,130 でも 本当に 天狗がいたんです。 1240 01:20:30,130 --> 01:20:32,130 きっと 私を捜してたんです。 1241 01:20:32,130 --> 01:20:37,140 私 言いましたよね? イザナミの生まれ変わりだって。 1242 01:20:37,140 --> 01:20:40,140 それを知って 天狗が連れ去りに来たんですよ。 1243 01:20:40,140 --> 01:20:45,150 お願い。 私を守って 名探偵さん。 1244 01:20:45,150 --> 01:20:47,150 大丈夫です。 1245 01:20:47,150 --> 01:20:50,820 勝呂が 天狗を追い払って 差し上げます。 1246 01:20:50,820 --> 01:20:53,160 あっ 追い払わなくていいの。 1247 01:20:53,160 --> 01:20:55,830 天狗にも 都合があるでしょうから 1248 01:20:55,830 --> 01:21:00,130 私に近寄らないように してもらえれば それで 十分。 1249 01:21:03,170 --> 01:21:05,170 よろしく 頼みます。 1250 01:21:14,110 --> 01:21:17,110 税理士さんでしたか。 フン。 1251 01:21:17,110 --> 01:21:20,120 本堂家の財産の管理を 任されています。 1252 01:21:20,120 --> 01:21:23,790 夫人が 財産管理ができる人を 探していて 1253 01:21:23,790 --> 01:21:27,120 それで 凪子さんが 僕を紹介してくれたんです。 1254 01:21:27,120 --> 01:21:31,130 凪子さんとは どこで 知り合われたんですか? 1255 01:21:31,130 --> 01:21:33,130 小学校の同級生ですよ。 1256 01:21:33,130 --> 01:21:38,130 彼女とは 特別なご関係と 伺いました。 1257 01:21:38,130 --> 01:21:41,140 ハハッ。 凪子が言ってましたか。 1258 01:21:41,140 --> 01:21:43,810 たぶん 僕らは 結婚するんじゃないかな。 1259 01:21:43,810 --> 01:21:46,480 凪子さんには 旦那さんが いらっしゃいます。 1260 01:21:46,480 --> 01:21:48,480 完全に 冷え切っています。 1261 01:21:48,480 --> 01:21:51,150 言っておきますが 僕のせいではないですよ。 1262 01:21:51,150 --> 01:21:53,820 僕が 彼女と そういう関係になったのは 1263 01:21:53,820 --> 01:21:56,820 夫婦関係が 悪くなった後。 これ 大事。 1264 01:21:56,820 --> 01:22:00,160 私が知りたいのは 殺人事件の方です。 1265 01:22:00,160 --> 01:22:04,160 僕のアリバイですか? お話ししましょう。 1266 01:22:04,160 --> 01:22:06,160 みんなで 熊野古道に入ってから 1267 01:22:06,160 --> 01:22:09,100 僕は 凪子さんと 2人になりました。 1268 01:22:09,100 --> 01:22:12,100 彼女は 今から 僕らのことを ご主人に話すと言いました。 1269 01:22:12,100 --> 01:22:15,770 僕も ついていくと言ったんですが 彼女は 断った。 1270 01:22:15,770 --> 01:22:18,110 そして ご主人を 追い掛けていきました。 1271 01:22:18,110 --> 01:22:20,110 僕は そのまま 後戻りして 1272 01:22:20,110 --> 01:22:22,780 1人で ぶらぶらしながら バスへ戻った。 1273 01:22:22,780 --> 01:22:24,780 バスが出るまで 間があったので 1274 01:22:24,780 --> 01:22:27,120 土産物屋に入って 時間を つぶしました。 1275 01:22:27,120 --> 01:22:30,120 店の主人が 証言してくれますよ。 1276 01:22:30,120 --> 01:22:33,120 以上。 夫人を見掛けましたか? 1277 01:22:33,120 --> 01:22:36,120 ええ。 ベンチに座ってました。 1278 01:22:38,130 --> 01:22:41,130 天狗を いじめてました。 1279 01:22:41,130 --> 01:22:43,130 また 天狗だ。 1280 01:22:43,130 --> 01:22:48,470 非常に 興味深いですね。 時間は 分かりますか? 1281 01:22:48,470 --> 01:22:52,470 10時20分くらいかな。 半には なってなかった。 1282 01:22:52,470 --> 01:22:57,150 夫人の遺産は どれくらいになるのですか? 1283 01:22:57,150 --> 01:23:00,150 かなりの額とだけ 申し上げておきましょう。 1284 01:23:00,150 --> 01:23:06,160 夫人のご主人は 何をされていた方だったんですか? 1285 01:23:06,160 --> 01:23:09,090 法務省のお役人だったそうですよ。 法務省? 1286 01:23:09,090 --> 01:23:13,100 ええ。 刑務所長を務めたことも あったみたいですよ。 1287 01:23:13,100 --> 01:23:16,100 夫人と出会ったのも そのころだったとか。 1288 01:23:16,100 --> 01:23:18,100 どうして そんなに金持ちだったかは 1289 01:23:18,100 --> 01:23:20,440 よく知りませんが 本堂家は もともと 1290 01:23:20,440 --> 01:23:23,440 大地主だったという話は 聞いてますね。 1291 01:23:32,110 --> 01:23:34,120 お話が。 1292 01:23:34,120 --> 01:23:36,120 状況が変わったの。 1293 01:23:36,120 --> 01:23:39,120 確かに 変わった。 分かるよ。 1294 01:23:39,120 --> 01:23:42,120 つまり 今 離婚したら 遺産が入ってこない。 1295 01:23:42,120 --> 01:23:44,790 まず 旦那が金を受け取り その後で 離婚。 1296 01:23:44,790 --> 01:23:47,460 そういうことだよね? 違うわ。 1297 01:23:47,460 --> 01:23:49,800 うん? どういうことかな? 1298 01:23:49,800 --> 01:23:53,140 今は 夫のそばに いてあげたいの。 1299 01:23:53,140 --> 01:23:55,140 先のことは分からない。 1300 01:23:55,140 --> 01:24:00,140 でも 今 私は あの人を 見捨てるわけにはいかない。 1301 01:24:00,140 --> 01:24:02,140 なるほど。 1302 01:24:02,140 --> 01:24:05,150 あなたには 申し訳ないと 思っています。 1303 01:24:05,150 --> 01:24:07,750 いや 僕のことは いいんだ。 1304 01:24:07,750 --> 01:24:11,090 そもそも 僕は 君を 助けてあげたかっただけなんだ。 1305 01:24:11,090 --> 01:24:15,090 君は 自分の思うとおりに 生きるべきだよ。 1306 01:24:15,090 --> 01:24:19,090 十文字さん いい人ね。 1307 01:24:19,090 --> 01:24:23,100 今朝 君は 旦那と別れると言った。 1308 01:24:23,100 --> 01:24:25,770 僕は よく決意したねと 褒めてあげたよね。 1309 01:24:25,770 --> 01:24:27,770 でも 今 分かった。 1310 01:24:27,770 --> 01:24:29,770 君は 僕と 一緒に なりたかったんじゃなくて 1311 01:24:29,770 --> 01:24:34,110 彼と別れたかっただけなんだ。 いや それで いいんだ。 1312 01:24:34,110 --> 01:24:36,780 僕が 勝手に 思い込んでいただけなんだから。 1313 01:24:36,780 --> 01:24:38,780 でも それで いい。 1314 01:24:38,780 --> 01:24:41,780 だって 僕が求めていたのは 君の幸せなんだ。 1315 01:24:41,780 --> 01:24:44,790 あのときの 君は 本当に 美しかった。 1316 01:24:44,790 --> 01:24:49,120 あれは 僕の人生の中で 最も幸福な瞬間だった。 1317 01:24:49,120 --> 01:24:52,130 僕は…。 1318 01:24:52,130 --> 01:24:55,130 残念でしたね。 1319 01:25:02,470 --> 01:25:17,090 ♬~ 1320 01:25:17,090 --> 01:25:19,090 本堂 鏡子さん。 1321 01:25:19,090 --> 01:25:24,090 今 そこに埋めたものは 1322 01:25:24,090 --> 01:25:27,100 何ですかな? 1323 01:25:27,100 --> 01:25:29,100 おい。 はい。 1324 01:25:32,100 --> 01:25:35,100 どうして 分かったんですか? 1325 01:25:35,100 --> 01:25:40,100 勝呂さんに言われて 関係者全員を マークしていたんだ。 1326 01:26:18,030 --> 01:26:21,030 間もなく 皆さん おみえになります。 1327 01:26:46,050 --> 01:26:49,060 犯人が分かったんですって? 1328 01:26:49,060 --> 01:26:52,060 早かったじゃないですか。 1329 01:26:52,060 --> 01:26:55,730 勝呂には 簡単な事件でした。 1330 01:26:55,730 --> 01:27:01,740 これから お得意の謎解き? それが 勝呂の流儀ですので。 1331 01:27:01,740 --> 01:27:03,740 拝見したいわ。 1332 01:27:03,740 --> 01:27:09,010 残念ながら 事件の関係者しか お呼びしてないのです。 1333 01:27:09,010 --> 01:27:14,020 で 私は どうして 呼ばれたの? 1334 01:27:14,020 --> 01:27:21,020 実を申しますと ぜひ あなたにも 聞いてほしくて。 1335 01:27:21,020 --> 01:27:25,030 この上が あなたの部屋に なっております。 1336 01:27:25,030 --> 01:27:31,030 窓を開けっ放しにしていると 色々な声が聞こえてきます。 1337 01:27:31,030 --> 01:27:33,040 いいんですか? 1338 01:27:33,040 --> 01:27:35,700 あなたが 聞いていてくれると思うと 1339 01:27:35,700 --> 01:27:38,710 私の推理も さえ渡ります。 1340 01:27:38,710 --> 01:27:42,710 楽しみだわ。 あ~ いた いた。 1341 01:27:42,710 --> 01:27:46,050 先生 お願いしますよ。 仕事しましょう。 1342 01:27:46,050 --> 01:27:49,720 今日は 別の用事が入ったの。 ごめんなさいね。 1343 01:27:49,720 --> 01:27:52,720 こっちに来てから 全然 進んでないじゃないですか。 1344 01:27:52,720 --> 01:27:55,060 あした 頑張るから。 1345 01:27:55,060 --> 01:27:59,060 行きなさい。 もう! 1346 01:28:04,070 --> 01:28:07,000 そろそろ 皆さんが来ます。 1347 01:28:07,000 --> 01:28:11,000 勝呂さん 私ね…。 1348 01:28:13,010 --> 01:28:16,010 あしたの朝 東京に帰るんです。 1349 01:28:18,010 --> 01:28:23,020 それは さみしいですね。 1350 01:28:23,020 --> 01:28:28,020 また お会いできるといいですね。 ぜひ。 1351 01:28:30,030 --> 01:28:32,030 佐古さん。 1352 01:28:39,030 --> 01:28:44,030 お会いできて うれしかったです。 1353 01:28:47,040 --> 01:28:49,040 私もです。 1354 01:28:49,040 --> 01:28:54,050 この再会を 心の糧にしたいのです。 1355 01:28:54,050 --> 01:29:00,050 何か 記念に残るものを 頂けませんか? 1356 01:29:08,000 --> 01:29:13,000 頑張ってね 名探偵さん。 1357 01:29:20,010 --> 01:29:22,010 こういうことではなく? 1358 01:29:24,010 --> 01:29:28,020 これは これで 結構ですが 1359 01:29:28,020 --> 01:29:33,020 何か 形に残るものを。 1360 01:29:44,030 --> 01:29:47,040 宝物にします。 1361 01:29:47,040 --> 01:29:53,040 さっき そこの売店で くすねてきたの。 1362 01:29:53,040 --> 01:30:00,040 冗談よ。 フフフ。 フフフ。 1363 01:30:14,000 --> 01:30:17,330 今日の昼前 本堂夫人が 1364 01:30:17,330 --> 01:30:23,340 ジギトキシンを 注射器で 体内に注入され 殺されました。 1365 01:30:23,340 --> 01:30:27,340 この事件には 証拠らしいものが 何一つありません。 1366 01:30:27,340 --> 01:30:29,340 しかし ご安心を。 1367 01:30:29,340 --> 01:30:33,010 勝呂は 真相に たどりつきました。 1368 01:30:33,010 --> 01:30:37,690 ここにおられる 皆さん全員に 動機があります。 1369 01:30:37,690 --> 01:30:41,020 誰もが 本堂夫人の死によって 1370 01:30:41,020 --> 01:30:45,030 利益を得る立場にありました。 1371 01:30:45,030 --> 01:30:49,030 では 全員が犯人なのか。 1372 01:30:49,030 --> 01:30:54,040 しかし 共同謀議の線は 早々に捨てました。 1373 01:30:54,040 --> 01:30:59,040 皆さんの証言が あまりに ばらばらだったからです。 1374 01:30:59,040 --> 01:31:02,040 となると 犯行は 家族の1人。 1375 01:31:02,040 --> 01:31:06,980 ないしは 2人の共謀によって なされたものか。 1376 01:31:06,980 --> 01:31:10,990 その1人とは 誰か。 1377 01:31:10,990 --> 01:31:16,990 複数なら それは 誰と誰なのか。 1378 01:31:16,990 --> 01:31:20,660 さて 私の頭をよぎったのは 1379 01:31:20,660 --> 01:31:25,000 私だけが知っている事実でした。 1380 01:31:25,000 --> 01:31:28,670 実は 殺人計画を練る 1381 01:31:28,670 --> 01:31:33,010 主水さんと 鏡子さんの会話を 聞いてしまったのです。 1382 01:31:33,010 --> 01:31:36,010 これによって 本堂 主水さんが 1383 01:31:36,010 --> 01:31:41,310 この事件の第一容疑者として 浮かび上がりました。 1384 01:31:43,020 --> 01:31:50,030 では 彼は 本当に 計画を実行したのでしょうか。 1385 01:31:50,030 --> 01:31:56,030 主水さんは 生きている夫人に 最後に会った人物とされています。 1386 01:31:56,030 --> 01:32:00,100 時間は 11時20分。 1387 01:32:00,100 --> 01:32:04,040 ところが 沙羅先生の お見立てでは 1388 01:32:04,040 --> 01:32:08,980 11時には 夫人は 亡くなっていたはず。 1389 01:32:08,980 --> 01:32:12,310 これは どういうことか。 1390 01:32:12,310 --> 01:32:16,990 どちらが 嘘をついているのでしょう? 1391 01:32:16,990 --> 01:32:22,660 まず 主水さんが 嘘をついたと 仮定して 話を進めます。 1392 01:32:22,660 --> 01:32:26,330 時間は 11時20分。 1393 01:32:26,330 --> 01:32:30,000 彼が お母さまに会ったとき 1394 01:32:30,000 --> 01:32:35,000 彼女が すでに 亡くなっていたとしたら…。 1395 01:32:35,000 --> 01:32:38,010 しかし 疑問は湧きます。 1396 01:32:38,010 --> 01:32:41,340 そうなると 主水さんは バスに戻ったとき 1397 01:32:41,340 --> 01:32:46,010 なぜ そのことを 皆に伝えなかったのか。 1398 01:32:46,010 --> 01:32:49,010 答えは 1つしかありません。 1399 01:32:51,020 --> 01:32:55,020 あなたは 死体を見た瞬間 こう 考えた。 1400 01:32:55,020 --> 01:32:57,690 自分の立てた殺人計画が 1401 01:32:57,690 --> 01:33:02,030 共謀者によって 実行されたのだと。 1402 01:33:02,030 --> 01:33:05,030 妹の 鏡子さんの手によって。 1403 01:33:05,030 --> 01:33:08,640 な… 何するんだ!? やめろ! やめるんだよ! 1404 01:33:08,640 --> 01:33:10,970 やめろ! 1405 01:33:10,970 --> 01:33:13,980 彼女は 注射器を捨てたところを 見つかっています。 1406 01:33:13,980 --> 01:33:19,980 では 夫人と会ったとされる 10時50分。 1407 01:33:19,980 --> 01:33:24,990 彼女は 夫人を殺したのでしょうか。 1408 01:33:24,990 --> 01:33:27,990 いかがですか? 1409 01:33:27,990 --> 01:33:31,990 はい。 殺したのは 私です。 それ以上 しゃべるな。 1410 01:33:31,990 --> 01:33:35,000 もう いいの 兄さん。 弁護士を呼んでください。 1411 01:33:35,000 --> 01:33:42,000 私は あなたが 犯人だとは 思っていません。 1412 01:33:45,010 --> 01:33:47,010 お座りください。 1413 01:33:52,010 --> 01:33:56,020 正直に お答えください。 1414 01:33:56,020 --> 01:34:00,690 お母さまに会ったとき 彼女は すでに 1415 01:34:00,690 --> 01:34:05,030 亡くなっていたのでは ないですか? 1416 01:34:05,030 --> 01:34:07,030 お母さま? 1417 01:34:08,960 --> 01:34:10,970 お母さま? おか… 1418 01:34:10,970 --> 01:34:12,970 キャー! 1419 01:34:12,970 --> 01:34:16,640 そして あなたは 死体を見た瞬間 こう 考えた。 1420 01:34:16,640 --> 01:34:22,980 お兄さんが ついに 殺人計画を実行したのだと。 1421 01:34:22,980 --> 01:34:25,650 だから あなたは バスに戻っても 1422 01:34:25,650 --> 01:34:29,980 一切 そのことを 口にしなかった。 1423 01:34:29,980 --> 01:34:33,990 やがて その疑念は 確信に変わります。 1424 01:34:33,990 --> 01:34:36,990 おそらく バスの中で 鏡子さんは 1425 01:34:36,990 --> 01:34:42,000 主水さんの私物の中から 注射器を見つけたのでしょう。 1426 01:34:42,000 --> 01:34:48,000 そして あなたは 兄を守るため 注射器を捨てた。 1427 01:34:48,000 --> 01:34:50,000 違いますか? 1428 01:34:52,010 --> 01:34:57,350 私が質問したときのことを 覚えていますか? 1429 01:34:57,350 --> 01:35:00,080 この神聖なる山々を前に 1430 01:35:00,080 --> 01:35:04,020 お母さまを殺したのは 自分たちではないと 1431 01:35:04,020 --> 01:35:06,020 誓うことができますか? 1432 01:35:06,020 --> 01:35:10,360 私は 決して 私は 母を殺していません! 1433 01:35:10,360 --> 01:35:14,030 「私は 決して 母を殺してはいない」 1434 01:35:14,030 --> 01:35:20,030 あなたは 「私は」と言った。 「私たち」ではなく。 1435 01:35:20,030 --> 01:35:23,710 お兄さんの犯行だと 思い込んだから 1436 01:35:23,710 --> 01:35:27,040 無意識に 「私は」と言ったのです。 1437 01:35:27,040 --> 01:35:31,050 勝呂は 言葉の端々まで 聞き逃しませんよ。 1438 01:35:31,050 --> 01:35:37,050 それでは もう一つの可能性を 検討しておきましょう。 1439 01:35:37,050 --> 01:35:42,060 今までのは 主水さんが 嘘をついた場合です。 1440 01:35:42,060 --> 01:35:45,390 では もし 沙羅先生が 1441 01:35:45,390 --> 01:35:50,060 偽証していたとしたら どうなるのか。 1442 01:35:50,060 --> 01:35:55,740 死亡推定時刻は 11時より後 ということになります。 1443 01:35:55,740 --> 01:36:00,740 その場合 11時以降 死体発見まで 夫人に会っていたのは 1444 01:36:00,740 --> 01:36:05,750 主水さんだけ。 殺したのは 主水さんということになります。 1445 01:36:05,750 --> 01:36:07,680 これで 沙羅先生が 1446 01:36:07,680 --> 01:36:13,020 死亡推定時刻を ごまかした理由が分かります。 1447 01:36:13,020 --> 01:36:18,030 彼女は 主水さんが 夫人に近づく姿を見た。 1448 01:36:18,030 --> 01:36:21,030 そして その直後に 死体を発見。 1449 01:36:21,030 --> 01:36:26,030 当然 犯人は 主水さんだと確信する。 1450 01:36:26,030 --> 01:36:29,040 そして 彼をかばうために 1451 01:36:29,040 --> 01:36:33,040 死亡推定時刻を ごまかしたんです。 1452 01:36:33,040 --> 01:36:37,050 そんなの でたらめです。 私は 嘘は言っていません。 1453 01:36:37,050 --> 01:36:39,050 ならば 答えは 1つです。 1454 01:36:39,050 --> 01:36:43,380 夫人を殺したのは 先生ご自身です。 1455 01:36:43,380 --> 01:36:45,680 あ~! 1456 01:36:47,720 --> 01:36:50,730 誰か…。 誰か! 1457 01:36:50,730 --> 01:36:54,030 分かりました 勝呂さん。 あなたの勝ちですよ。 1458 01:36:57,730 --> 01:37:01,400 嘘をついていたのは 僕です。 ありがとうございます。 1459 01:37:01,400 --> 01:37:03,400 勝呂さんの言うとおりです。 1460 01:37:03,400 --> 01:37:06,070 僕が行ったとき 母は もう 死んでいた。 1461 01:37:06,070 --> 01:37:11,010 そして 僕は やったのは 鏡子だと思い込んだ。 1462 01:37:13,010 --> 01:37:15,020 あなたの計画では 1463 01:37:15,020 --> 01:37:18,020 最初から 注射器を 使う予定だったのですか? 1464 01:37:18,020 --> 01:37:20,690 何かの本で 読んだんです。 空っぽの注射器を刺すと 1465 01:37:20,690 --> 01:37:22,690 体内に空気が入って 死んでしまうって。 1466 01:37:22,690 --> 01:37:26,030 それで 注射器を 購入したんですね? 1467 01:37:26,030 --> 01:37:29,030 違います。 1468 01:37:29,030 --> 01:37:33,030 あれは 姉の持っていた 注射器です。 1469 01:37:33,030 --> 01:37:38,040 かばんの中にあったのを 1本 拝借しました。 1470 01:37:38,040 --> 01:37:41,040 そう おっしゃっていますが。 1471 01:37:43,040 --> 01:37:46,050 私のものに似ています。 1472 01:37:46,050 --> 01:37:49,050 どうして 黙っていたんですか? 1473 01:37:49,050 --> 01:37:54,060 そもそも 注射器なんて どれも 似たり寄ったりですから。 1474 01:37:54,060 --> 01:37:58,060 この注射器は 凪子さんのかばんから 1475 01:37:58,060 --> 01:38:02,060 主水さんが盗み それを 鏡子さんが盗んで 1476 01:38:02,060 --> 01:38:04,400 埋めようとした注射器です。 1477 01:38:04,400 --> 01:38:07,340 しかし 犯罪に使われることは なかった。 1478 01:38:07,340 --> 01:38:12,010 そう 注射器は もう一本 あるのです。 1479 01:38:12,010 --> 01:38:16,010 実際に 凶器に使われた注射器が。 1480 01:38:20,010 --> 01:38:25,020 本当のことを 言っていただけますか? 1481 01:38:25,020 --> 01:38:29,690 私の部屋に忍び込み 注射器を盗んだ人間がいます。 1482 01:38:29,690 --> 01:38:32,030 盗まれたのは それだけですか? 1483 01:38:32,030 --> 01:38:35,030 ジギトキシンの瓶も なくなっていました。 1484 01:38:35,030 --> 01:38:39,030 すみません。 私は 主水さんが盗んだものと 1485 01:38:39,030 --> 01:38:41,040 勝手に思い込んでしまい…。 1486 01:38:41,040 --> 01:38:44,040 それで 黙っていたんですね? 1487 01:38:44,040 --> 01:38:46,040 はい。 1488 01:38:46,040 --> 01:38:53,050 さて 主水さんも 鏡子さんも 犯人でないとすると 1489 01:38:53,050 --> 01:38:57,050 いったい 夫人を殺したのは 誰なんでしょうか? 1490 01:38:57,050 --> 01:38:59,390 それを知るには 1491 01:38:59,390 --> 01:39:04,060 いつ 夫人が殺されたのかを 知る必要があります。 1492 01:39:04,060 --> 01:39:10,000 鏡子さんが 夫人を見掛けた 10時50分の段階で 1493 01:39:10,000 --> 01:39:13,000 夫人は 亡くなっていました。 1494 01:39:17,010 --> 01:39:21,340 凪子さんが 10時40分に 夫人と話をしています。 1495 01:39:21,340 --> 01:39:25,350 凪子さんが 嘘をついているのでなければ 1496 01:39:25,350 --> 01:39:32,020 夫人が殺されたのは 40分から 50分の間になります。 1497 01:39:32,020 --> 01:39:36,360 このとき 礼一郎さんと 凪子さんは バスの中。 1498 01:39:36,360 --> 01:39:42,030 沙羅先生は 主水さんと 山道を歩いていました。 1499 01:39:42,030 --> 01:39:50,040 となると 残った容疑者は 1人。 1500 01:39:50,040 --> 01:39:53,370 あり得ません! 私は 覚えています。 1501 01:39:53,370 --> 01:39:56,380 あなた ちょうど その時刻に 1502 01:39:56,380 --> 01:39:59,980 バスから降りて しばらく 帰ってきませんでしたね。 1503 01:40:02,720 --> 01:40:05,050 あっ! 1504 01:40:05,050 --> 01:40:07,990 不可能です! 妹に 母は殺せない! 1505 01:40:07,990 --> 01:40:10,320 言っていいことと 悪いことがあるぞ 探偵! 1506 01:40:10,320 --> 01:40:15,000 まあまあ。 本人に聞いてみましょう。 1507 01:40:15,000 --> 01:40:20,000 あのとき どちらへ 行ってたんですか? 1508 01:40:23,000 --> 01:40:26,010 だから…。 1509 01:40:26,010 --> 01:40:29,010 天狗を追い掛けてたんです。 1510 01:40:29,010 --> 01:40:33,010 あのときは 山伏だったけど 私 見たんです。 1511 01:40:33,010 --> 01:40:35,680 本当に 林の中を 天狗が走ってたんです。 1512 01:40:35,680 --> 01:40:39,020 もう よしましょう。 絢奈に 人が殺せるはずがないの。 1513 01:40:39,020 --> 01:40:42,690 そんなこと 不可能です。 あなたも 分かっているはずです。 1514 01:40:42,690 --> 01:40:45,690 ならば 必然的に あなたが 10時40分に 1515 01:40:45,690 --> 01:40:49,030 夫人と話したという証言は 嘘だったことになります。 1516 01:40:49,030 --> 01:40:51,700 よろしいのですか? 1517 01:40:51,700 --> 01:40:53,700 ええ。 何だって!? 1518 01:40:53,700 --> 01:40:56,700 その段階で 夫人は死んでいました。 1519 01:40:56,700 --> 01:41:00,040 そうですね? はい。 1520 01:41:00,040 --> 01:41:02,040 お母さま? 1521 01:41:02,040 --> 01:41:06,040 信じられん。 あっ。 1522 01:41:07,980 --> 01:41:12,650 その場合 怪しいのは ご主人か? 1523 01:41:12,650 --> 01:41:15,950 もしくは あなた自身か? 1524 01:41:19,990 --> 01:41:24,000 あなたは 夫を愛していた。 1525 01:41:24,000 --> 01:41:29,340 夫を 母親の呪縛から 救い出すためには 1526 01:41:29,340 --> 01:41:33,010 夫人を殺すしかなかった。 1527 01:41:33,010 --> 01:41:35,680 義理の母の死に 責任がないとは言いません。 1528 01:41:35,680 --> 01:41:39,350 でも…。 あなたは バスに戻ってから 1529 01:41:39,350 --> 01:41:45,020 沙羅先生が 死体を発見するまで バスから離れなかった。 1530 01:41:45,020 --> 01:41:47,020 なぜです? 1531 01:41:47,020 --> 01:41:50,020 「なぜ」とは? 1532 01:41:50,020 --> 01:41:55,030 これは 他の皆さんにも 言えることです。 1533 01:41:55,030 --> 01:41:58,030 どの方も バスに戻ってから 1534 01:41:58,030 --> 01:42:02,040 誰一人 彼女の様子を 見に行っていない。 1535 01:42:02,040 --> 01:42:05,040 なぜです? 何を言ってるんです? 1536 01:42:05,040 --> 01:42:08,980 意味が分からないわ。 実は ここが この事件の 1537 01:42:08,980 --> 01:42:10,980 最も奇っ怪なところなんです。 1538 01:42:10,980 --> 01:42:14,650 あれほど 夫人を 恐れていた人々が 1539 01:42:14,650 --> 01:42:19,650 なぜ 今日に限って 誰も 彼女を呼びに行かなかったのか。 1540 01:42:19,650 --> 01:42:21,990 バスの出発時間は 迫っているというのに 1541 01:42:21,990 --> 01:42:25,990 誰も 席を立たなかった。 1542 01:42:25,990 --> 01:42:29,000 なぜです? 1543 01:42:29,000 --> 01:42:33,000 みんな 疲れていたんです。 それだけのことです。 1544 01:42:33,000 --> 01:42:37,340 特に あなたです。 あなたは ずっと 夫人に付き添っていた。 1545 01:42:37,340 --> 01:42:40,010 彼女の面倒を 誰よりも見ていた。 1546 01:42:40,010 --> 01:42:42,010 もし 夫人の帰りが遅ければ 1547 01:42:42,010 --> 01:42:45,010 まず あなたが 様子を見に行くべきだった。 1548 01:42:45,010 --> 01:42:48,020 なぜ そうしなかったのか? 1549 01:42:48,020 --> 01:42:51,020 答えは 1つ。 1550 01:42:51,020 --> 01:42:57,020 すでに 死んでいるのを 知っていたからです。 1551 01:42:57,020 --> 01:43:01,030 あなたが殺したからだ。 1552 01:43:03,030 --> 01:43:05,030 私では ありません! 1553 01:43:05,030 --> 01:43:07,970 母を殺したのは 彼女ではない。 1554 01:43:07,970 --> 01:43:12,970 なぜ 断言できるのです? なぜなら…。 1555 01:43:12,970 --> 01:43:15,980 とっくに 母は 1556 01:43:15,980 --> 01:43:17,980 死んでいた。 えっ!? 1557 01:43:17,980 --> 01:43:20,980 つまり あなたが 戻ってきた段階で 1558 01:43:20,980 --> 01:43:23,990 すでに 夫人は 亡くなっていたというんですか? 1559 01:43:23,990 --> 01:43:27,990 そうです。 彼女を殺したのは あなたですか? 1560 01:43:30,990 --> 01:43:32,990 私は殺してない。 1561 01:43:32,990 --> 01:43:38,000 信じてもらえないかもしれないが。 いいえ。 1562 01:43:38,000 --> 01:43:41,000 信じますよ。 1563 01:43:41,000 --> 01:43:48,010 犯人は 沙羅先生のかばんから 注射器と薬品を盗んでいます。 1564 01:43:48,010 --> 01:43:54,020 あなたが 危険を冒してまで そんなことするでしょうか? 1565 01:43:54,020 --> 01:43:58,020 奥さんのかばんが 目の前にあるというのに。 1566 01:44:00,020 --> 01:44:06,030 私は 妻から 離婚を切り出され 目の前が 真っ暗になっていた。 1567 01:44:06,030 --> 01:44:09,960 妻を取り戻すには 母との関係を断ち切るしかない。 1568 01:44:09,960 --> 01:44:12,970 だから 母に会いに行ったんだ。 1569 01:44:12,970 --> 01:44:14,970 母さん? 1570 01:44:16,970 --> 01:44:19,970 母さん? 1571 01:44:19,970 --> 01:44:22,980 どうしていいか 分からなかった。 1572 01:44:22,980 --> 01:44:27,980 取りあえず バスに戻って 何も見なかったことにした。 1573 01:44:27,980 --> 01:44:31,320 なぜ みんなに言わなかったのか 1574 01:44:31,320 --> 01:44:35,990 それは 自分でも分からない。 1575 01:44:35,990 --> 01:44:39,990 衝撃的なことが 連続して起こると 1576 01:44:39,990 --> 01:44:44,000 人は 思考を停止してしまうことが あります。 1577 01:44:44,000 --> 01:44:49,000 心理学的にも よくあることです。 1578 01:44:56,010 --> 01:44:58,010 しかし そのせいで 奥さんは 1579 01:44:58,010 --> 01:45:02,020 夫人を殺したのは あなただと思い込んだ。 1580 01:45:02,020 --> 01:45:05,020 だから だんまりを決め込んだ。 1581 01:45:05,020 --> 01:45:08,020 本当に 私を疑ってたんですか? 1582 01:45:08,020 --> 01:45:11,030 ご主人に 本当のことを 言ってもらうには 1583 01:45:11,030 --> 01:45:14,030 ああするのが 一番だと思いました。 1584 01:45:14,030 --> 01:45:18,030 よくない性格ですよ 勝呂さん。 オホホホ。 1585 01:45:18,030 --> 01:45:22,040 しかし 驚いたな。 どういう家族だ? 1586 01:45:22,040 --> 01:45:24,040 みんなで かばい合って 1587 01:45:24,040 --> 01:45:27,040 涙なしには 聞いてられないじゃないか。 1588 01:45:27,040 --> 01:45:30,040 ちょっと待ってください。 ということはですよ 1589 01:45:30,040 --> 01:45:35,050 礼一郎さんが 夫人と話したと証言した 1590 01:45:35,050 --> 01:45:41,390 10時30分の段階で 被害者は もう 死んでいたと? 1591 01:45:41,390 --> 01:45:44,060 そうなります。 1592 01:45:44,060 --> 01:45:47,060 参った! 1593 01:45:47,060 --> 01:45:51,070 あっ。 バツ… バツ バツ バツ。 1594 01:45:51,070 --> 01:45:54,070 勝呂さん 教えてください。 1595 01:45:54,070 --> 01:45:57,070 本当は いったい 何が起きたんですか? 1596 01:45:57,070 --> 01:45:59,070 いいでしょう。 1597 01:45:59,070 --> 01:46:01,740 それでは 本当にあったことを 1598 01:46:01,740 --> 01:46:05,040 これより お話しいたしましょう。 1599 01:46:19,110 --> 01:46:22,110 実際は 何が起こったのでしょうか。 1600 01:46:22,110 --> 01:46:26,110 引っ掛かるのは なぜ 沙羅先生のかばんが 1601 01:46:26,110 --> 01:46:28,780 荒らされていたのか。 1602 01:46:28,780 --> 01:46:31,790 なぜ 犯人は 身内である 1603 01:46:31,790 --> 01:46:35,120 凪子さんのかばんから 盗まなかったのか。 1604 01:46:35,120 --> 01:46:39,460 元看護婦である 凪子さんが 注射器を持っていることを 1605 01:46:39,460 --> 01:46:44,130 家族なら 当然 知っていたはずです。 1606 01:46:44,130 --> 01:46:48,470 では 犯人が そうしなかった理由は? 1607 01:46:48,470 --> 01:46:53,140 犯人は 家族以外の人間か。 そもそも 家族なら 1608 01:46:53,140 --> 01:46:57,810 普段から 夫人を殺すチャンスは いくらでも あったはずです。 1609 01:46:57,810 --> 01:47:03,150 何も 危険を冒して 旅行中に殺す必要はありません。 1610 01:47:03,150 --> 01:47:06,150 外部の犯行だと おっしゃるのですか? 1611 01:47:06,150 --> 01:47:08,090 ここにきて 外部の犯行だと? 1612 01:47:08,090 --> 01:47:12,430 ここには 家族以外の人間が 2人います。 1613 01:47:12,430 --> 01:47:17,100 沙羅先生と 十文字さんです。 1614 01:47:17,100 --> 01:47:21,100 十文字さん お待たせしました。 1615 01:47:23,100 --> 01:47:27,110 しかし 十文字さんは 夫人の財産管理人として 1616 01:47:27,110 --> 01:47:31,780 普段から 彼女と接する機会が 多かった。 1617 01:47:31,780 --> 01:47:37,120 やはり 旅先で殺害する理由が ありません。 1618 01:47:37,120 --> 01:47:40,120 彼は 犯人ではありません。 1619 01:47:40,120 --> 01:47:42,120 おしまいですか? 1620 01:47:42,120 --> 01:47:44,120 おしまいです。 えっ? 1621 01:47:44,120 --> 01:47:49,130 しかし もう一人の場合は 違います。 1622 01:47:49,130 --> 01:47:53,130 沙羅先生 あなたは ここ 熊野古道に来て 1623 01:47:53,130 --> 01:47:58,810 本堂家の人々と出会った。 そして 主水さんを救うには 1624 01:47:58,810 --> 01:48:03,140 夫人を殺すしかないと 思ったとしたら 1625 01:48:03,140 --> 01:48:07,080 手元には 注射器も 毒薬もある。 1626 01:48:07,080 --> 01:48:11,090 本気で おっしゃってるんですか? しかし 10時に バスが到着して 1627 01:48:11,090 --> 01:48:13,090 あなたは 最初は 1628 01:48:13,090 --> 01:48:16,090 本堂家の皆さんや 私と山道を歩き 1629 01:48:16,090 --> 01:48:19,090 その後は 主水さんと 一緒でした。 1630 01:48:19,090 --> 01:48:24,100 10時30分までに 夫人を殺すことは 不可能です。 1631 01:48:24,100 --> 01:48:29,100 では 誰がやったんです? そうか 天狗だ! 1632 01:48:29,100 --> 01:48:32,110 僕は 夫人が 天狗を いじめてるのを見てるんですよ。 1633 01:48:32,110 --> 01:48:34,110 何時でしたっけ? 10時20分。 1634 01:48:34,110 --> 01:48:36,110 時間も ぴったり合う。 上杉先生も 1635 01:48:36,110 --> 01:48:38,110 同じ時刻に見てる。 1636 01:48:38,110 --> 01:48:42,120 そうか! 犯人は 天狗だったのか! 1637 01:48:42,120 --> 01:48:44,120 って バカな…。 1638 01:48:44,120 --> 01:48:47,120 天狗は 取りあえず 置いておきましょう。 1639 01:48:47,120 --> 01:48:51,790 ここに 1つ 奇妙な事実があります。 1640 01:48:51,790 --> 01:48:56,800 普段 夫人は 家族が他人と交際するのを 1641 01:48:56,800 --> 01:48:59,130 常に 邪魔していました。 1642 01:48:59,130 --> 01:49:06,140 にもかかわらず 今日だけは なぜ 皆さんに自由を与えたのか。 1643 01:49:06,140 --> 01:49:08,740 彼女は 1人になりたがった。 1644 01:49:08,740 --> 01:49:12,750 今日に限って なぜ? 私も それは 気になってました。 1645 01:49:12,750 --> 01:49:16,080 理由は 何だと思いますか? 誰かと会うつもりだったんじゃ。 1646 01:49:16,080 --> 01:49:19,090 誰と約束したのでしょうか? 天狗? 1647 01:49:19,090 --> 01:49:23,760 ここで 彼女の性格について 考えてみてください。 1648 01:49:23,760 --> 01:49:30,100 彼女は 人を支配することに 喜びを感じる人間です。 1649 01:49:30,100 --> 01:49:34,100 子供たちを振り回すことに 飽き足らなくなり 1650 01:49:34,100 --> 01:49:37,100 さらなる刺激を求めて 旅に出た。 1651 01:49:37,100 --> 01:49:41,110 しかし 外の世界に触れることで 1652 01:49:41,110 --> 01:49:45,110 自分の小ささを 知ることになります。 1653 01:49:45,110 --> 01:49:47,110 彼女は ホテル側の要請で 1654 01:49:47,110 --> 01:49:53,120 衆議院議員の 上杉先生に 部屋を明け渡しています。 1655 01:49:53,120 --> 01:49:56,120 屈辱だったでしょうね。 1656 01:49:56,120 --> 01:49:59,130 家族の中では 支配者でも 1657 01:49:59,130 --> 01:50:06,130 世間から見れば 何の影響力もない 1人の無力な老人。 1658 01:50:06,130 --> 01:50:09,740 彼女は それに気付いたのです。 1659 01:50:09,740 --> 01:50:15,740 その事実について 沙羅先生は 直接 彼女に突き付けました。 1660 01:50:15,740 --> 01:50:17,740 彼女の虚栄心が 1661 01:50:17,740 --> 01:50:22,080 まったく 意味のない 哀れむべきものであることを 1662 01:50:22,080 --> 01:50:24,080 本人に ぶつけたのです。 1663 01:50:24,080 --> 01:50:27,420 ご自分が どれだけ 無力な存在か 理解してください 1664 01:50:27,420 --> 01:50:30,090 家族の前では 偉そうに振る舞ってるけど 1665 01:50:30,090 --> 01:50:33,760 一歩 外に出たら あなたは ただの哀れな おばあさん 1666 01:50:33,760 --> 01:50:36,760 息子さんたちがいなかったら 何も できないじゃないですか 1667 01:50:36,760 --> 01:50:42,100 これに対して 夫人は 何と言ったか。 1668 01:50:42,100 --> 01:50:46,110 沙羅先生は 覚えてらっしゃいますか? 1669 01:50:46,110 --> 01:50:50,110 私は はっきりと覚えていますよ。 1670 01:50:50,110 --> 01:50:53,450 彼女は こう言ったのです。 1671 01:50:53,450 --> 01:50:58,450 私は 決して 忘れませんよ! 1672 01:50:58,450 --> 01:51:03,120 はい? よく覚えておきなさい 1673 01:51:03,120 --> 01:51:08,730 私は 何一つ 忘れることはないの 1674 01:51:08,730 --> 01:51:12,070 何があったか 誰と会ったか 1675 01:51:12,070 --> 01:51:16,070 名前も 顔も 1676 01:51:16,070 --> 01:51:22,080 私は 生涯 忘れることはないのよ! 1677 01:51:22,080 --> 01:51:25,080 アハハハ… このときの夫人の 激しい口調に 1678 01:51:25,080 --> 01:51:29,080 沙羅先生は 大変 びっくりされていました。 1679 01:51:29,080 --> 01:51:34,090 それ故に この言葉の 本当の意味を 1680 01:51:34,090 --> 01:51:37,090 先生は 理解できなかった。 1681 01:51:37,090 --> 01:51:39,090 どういうことですか? 1682 01:51:39,090 --> 01:51:41,090 よく考えてみてください。 1683 01:51:41,090 --> 01:51:47,100 夫人の言葉は ちょっと おかしくありませんか? 1684 01:51:47,100 --> 01:51:53,110 「あなたの無礼を 私は 決して 忘れない」 1685 01:51:53,110 --> 01:51:59,110 こう言うなら分かりますが しかし 彼女は こう言った。 1686 01:51:59,110 --> 01:52:05,120 「名前も 顔も 生涯 忘れることはない」 1687 01:52:05,120 --> 01:52:08,120 なぜ 「顔」と言ったのか。 1688 01:52:08,120 --> 01:52:15,130 この言葉は 沙羅先生に向かって 言われたように見えましたが 1689 01:52:15,130 --> 01:52:19,130 実は そうではなかった。 1690 01:52:19,130 --> 01:52:22,140 沙羅先生の後ろに立っていた 1691 01:52:22,140 --> 01:52:29,140 誰か 別の人物に対して 言ったのです。 1692 01:52:29,140 --> 01:52:32,150 誰? 1693 01:52:32,150 --> 01:52:35,150 夫人は 沙羅先生によって 1694 01:52:35,150 --> 01:52:39,150 自分の本来の姿を さらされてしまった。 1695 01:52:39,150 --> 01:52:43,160 困惑し 怒りに震えた。 1696 01:52:43,160 --> 01:52:46,830 そのとき ある人物の姿を見つけ 1697 01:52:46,830 --> 01:52:52,170 それが 誰であるか 思い出したのです。 1698 01:52:52,170 --> 01:52:57,170 彼女が新たな獲物を 見つけた瞬間でした。 1699 01:52:57,170 --> 01:53:01,170 家族を束縛することに飽きた 夫人は 1700 01:53:01,170 --> 01:53:06,180 さらなる 犠牲者を 手に入れたのです。 1701 01:53:06,180 --> 01:53:09,120 待ってください。 あのとき あの場にいたのは 1702 01:53:09,120 --> 01:53:11,120 勝呂さんと…。 1703 01:53:13,120 --> 01:53:19,120 あの人だわ。 上杉 穂波 衆議院議員です。 1704 01:53:28,100 --> 01:53:30,100 ちょっと待ってください! よく分からないな。 1705 01:53:30,100 --> 01:53:32,100 誰だ? それは。 ほら。 あの立派な 1706 01:53:32,100 --> 01:53:34,100 身なりの 背の高い女性。 あの人と 母と 1707 01:53:34,100 --> 01:53:36,100 どういう つながりがあるんです? 1708 01:53:36,100 --> 01:53:39,110 十文字さん 亡くなった夫人の ご主人は 1709 01:53:39,110 --> 01:53:43,440 法務省に勤務していたと おっしゃっていましたね? 1710 01:53:43,440 --> 01:53:45,450 そうです。 刑務所長を 1711 01:53:45,450 --> 01:53:49,120 務めていたこともあった。 そして 夫人と知り合ったのは 1712 01:53:49,120 --> 01:53:51,450 そのころだと。 合ってますよね? 1713 01:53:51,450 --> 01:53:53,450 私も そう聞いています。 1714 01:53:53,450 --> 01:53:56,120 夫人は 刑務所で 働いていたのではないでしょうか。 1715 01:53:56,120 --> 01:54:01,130 例えば 女性受刑者を監督する 女看守。 1716 01:54:01,130 --> 01:54:05,130 おっしゃるとおりです。 母は看守をしてました。 1717 01:54:05,130 --> 01:54:09,070 勝呂の勘は さえ渡っています。 1718 01:54:09,070 --> 01:54:17,080 さて ここからは 全て 勝呂のおとぎ話です。 1719 01:54:17,080 --> 01:54:22,080 実を言いますと 上杉先生は 若いころ 1720 01:54:22,080 --> 01:54:27,090 ある罪を犯して 刑に服していました。 1721 01:54:27,090 --> 01:54:34,100 そこで 看守である 本堂夫人と知り合った。 1722 01:54:34,100 --> 01:54:40,100 刑を終えた後 上杉先生は 過去を封印し 1723 01:54:40,100 --> 01:54:45,110 戦後の どさくさに紛れて 名前を変え 1724 01:54:45,110 --> 01:54:52,110 経歴を詐称し 新しい人生を歩み始めます。 1725 01:54:54,120 --> 01:55:00,120 どれほど 苦労されたことでしょう。 1726 01:55:02,120 --> 01:55:09,060 政治家と結婚し 夫の死後は 自らも 政治の世界に入り 1727 01:55:09,060 --> 01:55:13,070 今や 将来を期待される 女性議員として 1728 01:55:13,070 --> 01:55:16,070 世間から 注目されています。 1729 01:55:16,070 --> 01:55:20,070 それなのに…。 1730 01:55:20,070 --> 01:55:25,080 彼女の過去を知る人物に 会ってしまった。 1731 01:55:25,080 --> 01:55:31,090 私は 決して 忘れませんよ! 1732 01:55:31,090 --> 01:55:33,090 はい? 1733 01:55:33,090 --> 01:55:35,090 よく覚えておきなさい 1734 01:55:35,090 --> 01:55:40,090 私は 何一つ 忘れることはないの 1735 01:55:40,090 --> 01:55:44,100 家族を引き連れて 全国を旅している夫人。 1736 01:55:44,100 --> 01:55:50,770 自伝を口述しながら やはり 各地を回っていた 上杉先生が 1737 01:55:50,770 --> 01:55:56,110 この熊野古道で ばったり 再会したのです。 1738 01:55:56,110 --> 01:55:59,110 上杉先生は 窮地に陥りました。 1739 01:55:59,110 --> 01:56:04,120 輝かしい 社会的地位も キャリアも 野心も 1740 01:56:04,120 --> 01:56:07,050 全て 台無しになってしまう。 1741 01:56:07,050 --> 01:56:10,060 おそらく 2人は その夜 1742 01:56:10,060 --> 01:56:15,060 ホテルのどこかで ひそかに会って 話し合ったのでしょう。 1743 01:56:15,060 --> 01:56:20,070 上杉先生は 夫人に金を渡し 口を ふさごうとした。 1744 01:56:20,070 --> 01:56:22,070 しかし 夫人は断った。 1745 01:56:22,070 --> 01:56:25,070 ずいぶん 偉くなられたもんだね 1746 01:56:25,070 --> 01:56:28,080 金が目当てだったわけでは ないからです。 1747 01:56:28,080 --> 01:56:33,410 私に 部屋を かえさせるとはね 1748 01:56:33,410 --> 01:56:37,080 彼女は 上杉先生を なぶりものにしたかった。 1749 01:56:37,080 --> 01:56:40,090 家族たちに そうしてきたように。 1750 01:56:40,090 --> 01:56:42,090 佐古 1751 01:56:44,090 --> 01:56:52,100 お前は 一生 私の囚人なんだよ 1752 01:56:52,100 --> 01:56:59,110 あした また ゆっくり話しましょう。 フフフ 1753 01:56:59,110 --> 01:57:06,050 上杉先生としては 夫人に 死んでもらうしかなかった。 1754 01:57:06,050 --> 01:57:12,050 翌日 もう一度 会うことを約束して 1755 01:57:12,050 --> 01:57:15,060 2人は 別れました。 1756 01:57:15,060 --> 01:57:18,060 し… しかし おかしいです。 1757 01:57:18,060 --> 01:57:21,060 その人が 母の持病のこととか 1758 01:57:21,060 --> 01:57:23,060 薬のこととか 知ってるはずがない。 1759 01:57:23,060 --> 01:57:27,070 今朝の バスの中の光景を 思い出してください。 1760 01:57:27,070 --> 01:57:30,070 どうするんだよ!? 心臓発作 起こしたら 1761 01:57:30,070 --> 01:57:32,070 そんなに 私に 死んでほしいのか? 1762 01:57:32,070 --> 01:57:34,080 あれだけあれば 大丈夫です 1763 01:57:34,080 --> 01:57:37,080 予備がないと 不安なんだよ。 特に 旅先は 1764 01:57:37,080 --> 01:57:41,080 何という お薬ですか? ジギトキシンです 1765 01:57:41,080 --> 01:57:43,080 私 持ってますけど 取ってきましょうか? 1766 01:57:43,080 --> 01:57:45,090 そうしてくれるかい? 1767 01:57:45,090 --> 01:57:47,090 必要ありません 1768 01:57:47,090 --> 01:57:51,090 おそらく そのとき 彼女の 殺人計画は始まったのでしょう。 1769 01:57:51,090 --> 01:57:56,100 私が虫に刺されやすいの 知ってるだろ。 買ってきて 1770 01:57:56,100 --> 01:57:58,100 いってきます 近くにあるかな? 1771 01:57:58,100 --> 01:58:02,100 急ぎなさい。 車が出る前に 早く 1772 01:58:02,100 --> 01:58:07,100 私 部屋にあるから 取ってきます 1773 01:58:13,050 --> 01:58:17,390 かつて 彼女は 銀座の宝石店を専門に狙う 1774 01:58:17,390 --> 01:58:19,390 窃盗犯でした。 1775 01:58:19,390 --> 01:58:50,080 ♬~ 1776 01:58:50,080 --> 01:58:53,080 どうぞ 悪いわね 1777 01:58:55,090 --> 01:58:57,760 上杉先生は 夫人に 1778 01:58:57,760 --> 01:59:01,100 ほこらの脇のベンチで 待つように伝えました。 1779 01:59:01,100 --> 01:59:03,760 そして あろうことか 1780 01:59:03,760 --> 01:59:09,040 この 勝呂 武尊を アリバイに利用したのです。 1781 01:59:09,040 --> 01:59:12,040 はい 1782 01:59:12,040 --> 01:59:14,040 うわっ! あっ あっ… 1783 01:59:14,040 --> 01:59:17,040 あ~! 勝呂さん! 1784 01:59:17,040 --> 01:59:19,050 あ痛たた… 1785 01:59:19,050 --> 01:59:22,720 いいかげんにしてください 1786 01:59:22,720 --> 01:59:29,060 ごめんなさい! 今度こそ 足を痛めました 1787 01:59:29,060 --> 01:59:31,060 時計が壊れました 1788 01:59:31,060 --> 01:59:37,060 勝呂の大事な時計が! そこにいてください 1789 01:59:37,060 --> 01:59:39,730 あっちに行って ぐるっと回ってから 1790 01:59:39,730 --> 01:59:44,070 あっちに回って そっちに行きますから 1791 01:59:44,070 --> 01:59:46,070 どっち? 1792 01:59:46,070 --> 01:59:50,080 とにかく そこにいてください。 動かないで 1793 01:59:50,080 --> 02:00:42,060 ♬~ 1794 02:00:42,060 --> 02:00:47,070 はっ? 何て格好してんの? 1795 02:00:47,070 --> 02:00:50,070 な… 何するんだよ!? 1796 02:00:58,080 --> 02:01:00,080 あ~! 1797 02:01:00,080 --> 02:01:03,750 あっ! 1798 02:01:03,750 --> 02:01:05,750 時刻は 10時20分。 1799 02:01:05,750 --> 02:01:11,090 その姿を 十文字さんが 遠くから 目撃しました。 1800 02:01:11,090 --> 02:01:16,100 さらに バスの中にいた 絢奈さんにも見られています。 1801 02:01:16,100 --> 02:01:31,110 ♬~ 1802 02:01:31,110 --> 02:01:35,120 痛たた… 1803 02:01:35,120 --> 02:01:37,120 勝呂さん! 1804 02:01:37,120 --> 02:01:40,120 遅い! 1805 02:01:40,120 --> 02:01:43,120 こちらで ゆっくり なさっていてくださいね 1806 02:01:43,120 --> 02:01:45,130 置いていくんですね!? 1807 02:01:45,130 --> 02:01:49,130 そして 彼女は いずれ 十文字さんが 1808 02:01:49,130 --> 02:01:52,130 警察に 天狗の話をすると踏んで 1809 02:01:52,130 --> 02:01:57,140 それをも アリバイに 取り込もうと思い付きました。 1810 02:01:57,140 --> 02:02:01,810 自分も そのとき 天狗を見たことにしたのです。 1811 02:02:01,810 --> 02:02:04,140 あっ 見て! 天狗よ 1812 02:02:04,140 --> 02:02:06,080 彼女は いもしない 天狗が 1813 02:02:06,080 --> 02:02:11,090 夫人と口論しているのを見た という嘘をつきました。 1814 02:02:11,090 --> 02:02:15,090 時間は 10時20分より もっと後。 1815 02:02:15,090 --> 02:02:20,090 実際は そのとき もう 夫人は死んでいました。 1816 02:02:20,090 --> 02:02:22,100 しかし おかしいですよ。 1817 02:02:22,100 --> 02:02:25,100 編集者の 彼女の証言は どうなるんですか? 1818 02:02:25,100 --> 02:02:27,100 あの人も グルということですか? 1819 02:02:27,100 --> 02:02:32,110 飛鳥さんは 非常に 人の意見に 左右される性格なのです。 1820 02:02:32,110 --> 02:02:38,110 それに関しては 私は ちょっとした実験をしてみました。 1821 02:02:38,110 --> 02:02:42,120 飛んでいった あのカラス 足が3本あります 1822 02:02:42,120 --> 02:02:46,790 嘘でしょう? ほら 1823 02:02:46,790 --> 02:02:49,120 本当だ! 足が3本ある! 1824 02:02:49,120 --> 02:02:52,790 あの人は 必ず 人の意見に 同調します。 1825 02:02:52,790 --> 02:02:54,800 そういう性格なのです。 1826 02:02:54,800 --> 02:02:57,130 ベンチに座ってる夫人を 見ました 1827 02:02:57,130 --> 02:03:00,800 ねえ? 飛鳥さん は… はい。 私も見ました 1828 02:03:00,800 --> 02:03:03,800 上杉先生は 自分が見たと言えば 1829 02:03:03,800 --> 02:03:07,740 必ず 彼女も乗ると踏んだのです。 1830 02:03:07,740 --> 02:03:10,080 速かった~ 1831 02:03:10,080 --> 02:03:12,080 驚いたな。 1832 02:03:12,080 --> 02:03:18,090 しかし 上杉先生は 1つミスを犯しました。 1833 02:03:18,090 --> 02:03:23,090 彼女は 自分が見た 梵天の色について 1834 02:03:23,090 --> 02:03:25,430 こう 答えました。 1835 02:03:25,430 --> 02:03:27,430 赤でしたか? 紫でしたか? それとも… 1836 02:03:27,430 --> 02:03:30,100 赤でした。 ねえ? 1837 02:03:30,100 --> 02:03:34,100 そうそう。 赤でした 赤か… 1838 02:03:34,100 --> 02:03:36,770 しかし 実際には あの距離ですよ。 1839 02:03:36,770 --> 02:03:43,070 梵天の色など はっきりと 分かるはずがありません。 1840 02:03:45,110 --> 02:03:49,120 彼女は 言い過ぎました。 1841 02:03:49,120 --> 02:04:02,130 ♬~ 1842 02:04:02,130 --> 02:04:06,730 これに 上杉 穂波の 指紋が付いています。 1843 02:04:06,730 --> 02:04:10,070 本堂夫人が 看守をしていた 刑務所には 1844 02:04:10,070 --> 02:04:15,080 囚人たちの登録された指紋が 残っているはずです。 1845 02:04:15,080 --> 02:04:20,080 何かの役に立つかもしれません。 1846 02:04:20,080 --> 02:04:23,080 ありがとうございます。 1847 02:04:23,080 --> 02:04:45,100 ♬~ 1848 02:04:49,100 --> 02:04:51,100 結局 僕らは 1849 02:04:51,100 --> 02:04:56,040 見ず知らずの女性に 人生を切り開いてもらったのか。 1850 02:04:56,040 --> 02:04:59,040 誰の手も汚さずに。 1851 02:05:01,040 --> 02:05:05,040 上杉先生に感謝だな。 1852 02:05:08,050 --> 02:05:11,050 よかったんじゃない? 1853 02:05:17,060 --> 02:05:19,060 何よ。 1854 02:05:22,730 --> 02:05:25,070 何よ。 1855 02:05:25,070 --> 02:05:29,070 何で みんな そんな ほっとしてるの? 1856 02:05:31,070 --> 02:05:33,080 お母さんが かわいそう。 1857 02:05:33,080 --> 02:05:38,080 悲しんであげる人が 誰もいない。 1858 02:05:38,080 --> 02:05:40,750 こんなの ひど過ぎる! あんまりだわ! 1859 02:05:40,750 --> 02:05:42,750 絢ちゃん! 1860 02:05:46,090 --> 02:05:49,090 あの子は もう 大丈夫。 1861 02:05:49,090 --> 02:05:53,100 でも。 あのお嬢さんが感情を出すのを 1862 02:05:53,100 --> 02:05:57,100 私は 初めて見ました。 1863 02:06:04,040 --> 02:06:10,050 本宮大社には 阿弥陀如来が 祭られております。 1864 02:06:10,050 --> 02:06:16,050 それが 意味するものは 未来です。 1865 02:06:16,050 --> 02:06:20,060 忌まわしい過去とは 決別して 1866 02:06:20,060 --> 02:06:24,060 先へ進むのです。 1867 02:06:24,060 --> 02:07:02,030 ♬~ 1868 02:07:02,030 --> 02:07:06,040 ありがとうございました。 勝呂さん。 1869 02:07:06,040 --> 02:07:41,060 ♬~ 1870 02:07:53,080 --> 02:07:56,090 事故の線で 捜査は 進んでいます。 1871 02:07:56,090 --> 02:08:01,090 私の申し出を 受け入れてくださって 1872 02:08:01,090 --> 02:08:03,090 ありがとうございます。 1873 02:08:03,090 --> 02:08:06,100 この神聖なる場所には 1874 02:08:06,100 --> 02:08:10,100 殺人も 自殺も 似つかわしくない。 1875 02:08:10,100 --> 02:08:12,100 感謝します。 1876 02:08:15,110 --> 02:08:18,110 ハァー。 1877 02:08:18,110 --> 02:08:21,110 勝呂さん 1つ聞いても よろしいですか? 1878 02:08:21,110 --> 02:08:23,110 何でしょう? 1879 02:08:23,110 --> 02:08:29,120 上杉先生とは どういった ご関係だったんでしょうか? 1880 02:08:29,120 --> 02:08:31,120 ひょっとして…。 1881 02:08:33,120 --> 02:08:38,130 古い… 知り合いです。 1882 02:08:38,130 --> 02:09:57,120 ♬~