1 00:00:29,888 --> 00:00:31,888 2 00:00:59,785 --> 00:01:19,805 ・~ 3 00:01:19,805 --> 00:01:31,750 ・~ 4 00:01:31,750 --> 00:01:43,762 ・~ 5 00:01:43,762 --> 00:01:47,766 (恵信) <安危の分かれ目と申しますか・ 6 00:01:47,766 --> 00:01:52,771 それは 元久2年に 叡山の荒法師が国と謀りまして・ 7 00:01:52,771 --> 00:01:56,775 念仏禁止令をひいたことに 始まると思います> 8 00:01:56,775 --> 00:01:59,778 <寄せては返す波のように・ 9 00:01:59,778 --> 00:02:06,785 法然上人の浄土門を対象に 弾圧が狙い撃ちをいたしました> 10 00:02:06,785 --> 00:02:12,791 <夫 善信殿も 「見せかけは 仏教の姿をとった邪道だ」> 11 00:02:12,791 --> 00:02:15,794 <「こんなことでは 仏法もさることながら・ 12 00:02:15,794 --> 00:02:20,799 世法もしまいだ」と 日々 嘆いておられました> 13 00:02:20,799 --> 00:02:23,802 <たまたま 御所の女房殿が出家したことで・ 14 00:02:23,802 --> 00:02:25,804 叡山の荒法師たちは・ 15 00:02:25,804 --> 00:02:29,741 よこしまな憎しみの 堤を切ったのです> 16 00:02:29,741 --> 00:02:34,746 <安楽殿を含め 念仏者4人の首がはねられ・ 17 00:02:34,746 --> 00:02:37,749 8人が処刑されました> 18 00:02:37,749 --> 00:02:40,752 <善信殿も そのうちの1人として・ 19 00:02:40,752 --> 00:02:45,752 越後の国に 島流しにされてしまわれたのです> 20 00:02:50,762 --> 00:02:58,770 ♪(射鹿)聖徳太子の教えには 21 00:02:58,770 --> 00:03:05,777 ♪ 長者や卑賤の身となりて 22 00:03:05,777 --> 00:03:12,784 ♪ 仏の教えを広めなん 23 00:03:12,784 --> 00:03:19,791 ♪ 縁につながる人々に 24 00:03:19,791 --> 00:03:26,798 ♪ 救いの手をば差しのべん 25 00:03:26,798 --> 00:03:29,798 ♪ 聖徳… 26 00:03:34,740 --> 00:03:36,740 うん・ 27 00:03:39,745 --> 00:03:41,747 (役人)おら! (悲鳴) 28 00:03:41,747 --> 00:03:44,750 (斬る音) (男性)ウウーッ! 29 00:03:44,750 --> 00:03:49,755 (役人)文句を言う奴は 皆殺しにしろ! 殺せ! 30 00:03:49,755 --> 00:03:51,755 (悲鳴) 31 00:03:53,759 --> 00:03:59,759 (善信)よせ! 人殺しは よせ! 32 00:04:07,773 --> 00:04:13,779 (役人)ええい ええい! ええい! (悲鳴) 33 00:04:13,779 --> 00:04:17,779 (男性)お願いでございます! 34 00:04:20,786 --> 00:04:22,788 乗れ 乗れ! (恵信)お前様も早く! 35 00:04:22,788 --> 00:04:24,790 乗れ! 36 00:04:24,790 --> 00:04:26,792 早く! 37 00:04:26,792 --> 00:04:29,792 お前様 早く! (善信)わしに構わず 先に行け! 38 00:04:31,730 --> 00:04:36,735 お前様! お前様! 39 00:04:36,735 --> 00:04:40,739 (韓鍛) 善信殿は どうした? 善信殿は? 40 00:04:40,739 --> 00:04:42,741 早く! (射鹿)どうしたんだ? 41 00:04:42,741 --> 00:04:45,744 (韓鍛)善信殿は? 42 00:04:45,744 --> 00:04:49,748 よせ! よさぬか! 43 00:04:49,748 --> 00:04:54,753 人殺しは よせ! よせ よせよせ! 44 00:04:54,753 --> 00:04:57,756 (役人)ええい! エイッ! 45 00:04:57,756 --> 00:05:00,759 (射鹿)おい! おい! 46 00:05:00,759 --> 00:05:03,759 (殴る音) 47 00:05:05,764 --> 00:05:07,766 (役人)斬れ! (悲鳴) 48 00:05:07,766 --> 00:05:10,769 (殴る音) (役人)アアッ ウウッ! 49 00:05:10,769 --> 00:05:13,772 (役人)待て待て! 50 00:05:13,772 --> 00:05:16,772 (役人)ヤーッ! (男性)ウウッ… 51 00:05:25,784 --> 00:05:29,721 (役人)斬れ斬れ! 斬れ斬れ! 52 00:05:29,721 --> 00:05:31,723 たとえ 女 子供でも 容赦は要らん! 53 00:05:31,723 --> 00:05:33,725 念仏者は つつが虫だ! 54 00:05:33,725 --> 00:05:36,728 つつが虫を 一匹たりとも生かしてはならん! 55 00:05:36,728 --> 00:05:38,730 いいか? 56 00:05:38,730 --> 00:05:41,733 (役人)俺たちは安田の手勢だ 57 00:05:41,733 --> 00:05:46,738 これからはな この島は 白倉様が預かることになった 58 00:05:46,738 --> 00:05:49,738 分かったか! 59 00:05:51,743 --> 00:05:53,745 (斬る音) (男性)アアーッ! 60 00:05:53,745 --> 00:05:56,745 (蹴る音) (役人)死ね! この 61 00:06:01,753 --> 00:06:05,757 クッ クッ! 62 00:06:05,757 --> 00:06:09,761 (男性)アッ アア… 63 00:06:09,761 --> 00:06:14,766 (善念)目をつぶるんです 今は我慢してくだされ 64 00:06:14,766 --> 00:06:16,766 (悲鳴) 65 00:06:18,770 --> 00:06:22,770 行き先は みんな 津泊しかあるめえ 66 00:06:45,730 --> 00:06:49,734 (阿藤太)言っちゃ悪いが 越後の暮らし向きは どうだ? 67 00:06:49,734 --> 00:06:53,738 ええ? 雪に おこりに つつが虫 68 00:06:53,738 --> 00:06:55,740 おっと まだあるぞ 69 00:06:55,740 --> 00:07:01,746 蒲原いっぱい のたうち回る 信濃川には阿賀野川 70 00:07:01,746 --> 00:07:03,748 日照りに洪水だ 71 00:07:03,748 --> 00:07:07,752 きんたま凍える寒い夏だんべ (笑い声) 72 00:07:07,752 --> 00:07:13,758 そんな痩せ地にしがみついて 精魂込めても知れたもんだ 73 00:07:13,758 --> 00:07:18,763 いいか? 東の国にはな 捨てられた田畑がいくらでもある 74 00:07:18,763 --> 00:07:20,765 その気になりゃ お前らは・ 75 00:07:20,765 --> 00:07:25,770 1町歩でも 2町歩でも 思いどおりの高持百姓になれんだ 76 00:07:25,770 --> 00:07:30,709 どうかね? お前さん方 米の顔 拝んだことあるかい? 77 00:07:30,709 --> 00:07:32,711 どうした どうした? 皆の衆 78 00:07:32,711 --> 00:07:34,713 ええ? (善念)追っ手が来てる 79 00:07:34,713 --> 00:07:36,715 (阿藤太)雪と泥に埋もれ 砂地に這いつくばって… 80 00:07:36,715 --> 00:07:38,717 急げ! 早く 急げと言うに! 81 00:07:38,717 --> 00:07:40,719 (阿藤太)お前さん方は 生涯を終わりてえのかい 82 00:07:40,719 --> 00:07:42,721 急がぬか 急がぬか! (阿藤太)驚いちゃいけない 83 00:07:42,721 --> 00:07:46,725 男手ひとりに なんと これ 稲束だ (善念)急げ! 84 00:07:46,725 --> 00:07:48,727 (阿藤太)おい そこのガキん子 子供だって・ 85 00:07:48,727 --> 00:07:52,731 まらに毛が生えだしとれば 買うてやるぞ 86 00:07:52,731 --> 00:07:55,734 我と我が身を売るもよし 87 00:07:55,734 --> 00:07:57,736 かかあとガキ まとめて売りたければ・ 88 00:07:57,736 --> 00:07:59,738 それもいいだろう 89 00:07:59,738 --> 00:08:02,741 ほらほら ほらほら! 米の匂いだ 90 00:08:02,741 --> 00:08:06,745 いい匂いだぞ 嗅いでみなされ 91 00:08:06,745 --> 00:08:09,748 いいか? 無事 東の国に着いたならば・ 92 00:08:09,748 --> 00:08:13,752 この稲が もうひと束ずつ おまけに もらえるぞ 93 00:08:13,752 --> 00:08:17,756 あの山 越えれば すぐ東の国だ 94 00:08:17,756 --> 00:08:20,759 光あふれる極楽が・ 95 00:08:20,759 --> 00:08:24,763 両手を広げて お前さん方を 待っとるというもんだ 96 00:08:24,763 --> 00:08:28,767 いいか? 上野は広いぞ 97 00:08:28,767 --> 00:08:30,702 どうだ? 98 00:08:30,702 --> 00:08:33,705 広い大地を耕して・ 99 00:08:33,705 --> 00:08:37,709 思うさま 作り 取り勝手の所が あるとすりゃ 100 00:08:37,709 --> 00:08:39,711 お前ら 男だろう 101 00:08:39,711 --> 00:08:44,716 よし そこへ行ってやろうって気に なんだろうが ああ? 102 00:08:44,716 --> 00:08:46,716 (笑い声) 103 00:08:53,725 --> 00:08:57,729 (役人)おい 善信! 聞いてるか? 104 00:08:57,729 --> 00:09:01,733 決して 危害を加えるつもりじゃねえ 105 00:09:01,733 --> 00:09:07,739 ただ 俺らの主人 白倉様が 話し合いをしたいと申しておる 106 00:09:07,739 --> 00:09:11,743 善信! 聞いとるか! 107 00:09:11,743 --> 00:09:14,746 ヘヘッ… 嘘こけ まったく 108 00:09:14,746 --> 00:09:16,748 (津々久)親方 109 00:09:16,748 --> 00:09:19,751 (津々久)あの死に損ないも 一緒に 連れてってけろって言ってるけど 110 00:09:19,751 --> 00:09:21,753 どうしたらええだんべ? 111 00:09:21,753 --> 00:09:25,757 雪と泥にまみれて 砂地に這いつくばってんだ 112 00:09:25,757 --> 00:09:28,760 見殺しにはできめえ 113 00:09:28,760 --> 00:09:31,696 さあ すぐ山越えだ 114 00:09:31,696 --> 00:09:34,699 おい すぐ 旅の支度させろ (男性)えがったな とと 115 00:09:34,699 --> 00:09:37,702 一緒に行けるぞ えがったな 116 00:09:37,702 --> 00:09:40,705 (津々久)さあさあ! ほら 稲束 欲しい奴 こっちさ来い 117 00:09:40,705 --> 00:09:42,705 ほれ! みんな来い ほれほれ 118 00:09:50,715 --> 00:09:52,715 フウ… 119 00:10:23,748 --> 00:10:27,752 おい 誰だ? ありゃ (津々久)誰だべかや? 120 00:10:27,752 --> 00:10:29,754 見てこい (津々久)へい 121 00:10:29,754 --> 00:10:31,754 よいしょ 122 00:10:35,760 --> 00:10:37,762 ウワッ! 123 00:10:37,762 --> 00:10:39,764 (女性の笑い声) 124 00:10:39,764 --> 00:10:43,768 痛えな… 何だ? お前 何の用だ? 125 00:10:43,768 --> 00:10:46,771 (笑い声) 126 00:10:46,771 --> 00:10:49,774 あっちさ行け 行けってば 127 00:10:49,774 --> 00:10:51,776 (笑い声) 128 00:10:51,776 --> 00:10:54,779 おい! ありゃ 誰かの知り合いか? 129 00:10:54,779 --> 00:10:56,781 (男性)うん? (阿藤太)ああ? 130 00:10:56,781 --> 00:10:59,784 おら 知らねえぞ (阿藤太)行くぞ! 131 00:10:59,784 --> 00:11:02,787 (男性)うん? (男性)父ちゃま 132 00:11:02,787 --> 00:11:05,790 (男性)おいおい おい おい 死んでるんでねえか? 133 00:11:05,790 --> 00:11:08,793 (阿藤太)さあ みんな もうすぐだ 134 00:11:08,793 --> 00:11:11,796 放っとけ そのうち 凍え死ぬさ 135 00:11:11,796 --> 00:11:13,798 行くぞ! 136 00:11:13,798 --> 00:11:21,806 (女性の笑い声) 137 00:11:21,806 --> 00:11:24,809 (津々久)よいしょ (笑い声) 138 00:11:24,809 --> 00:11:26,809 よいしょ (笑い声) 139 00:11:50,768 --> 00:11:53,771 いやあ なんちゅう連中だ 140 00:11:53,771 --> 00:11:56,774 まっすぐ 山越えするつもりらしいな 141 00:11:56,774 --> 00:11:59,777 いやあ これからじゃ とっても追いつくめえ 142 00:11:59,777 --> 00:12:01,779 なあに 心配することはねえ 143 00:12:01,779 --> 00:12:04,782 辰巳の壁に沿っていきゃ 楽に山は越せる 144 00:12:04,782 --> 00:12:06,782 さあ 行くべ 145 00:12:17,795 --> 00:12:22,800 (射鹿)こりゃ 今夜 山 荒れんな 146 00:12:22,800 --> 00:12:25,800 よし 今日は ここで休むべ 147 00:13:06,778 --> 00:13:11,783 おい! そんなとこ いつまでも 突っ立ってると凍え死ぬぞ 148 00:13:11,783 --> 00:13:14,783 早く来い おい! 149 00:13:24,796 --> 00:13:26,798 (泣き声) (男性)清作に清太 150 00:13:26,798 --> 00:13:28,800 うっちゃってこ (清作)へい 151 00:13:28,800 --> 00:13:31,736 (男性)さあ みんな 急がねえと凍え死ぬぞ 152 00:13:31,736 --> 00:13:34,736 (泣き声) 153 00:13:46,751 --> 00:13:48,751 (清作)よいしょ! 154 00:14:03,768 --> 00:14:08,773 私は あんま いだるくねえだに 155 00:14:08,773 --> 00:14:10,773 ああ 156 00:14:28,793 --> 00:14:30,728 (射鹿) あとから来る者のためにな・ 157 00:14:30,728 --> 00:14:33,731 俺らの仲間が いつも用意することになってんだ 158 00:14:33,731 --> 00:14:35,731 うめえぞ 159 00:14:43,741 --> 00:14:45,743 かねがね 恐れておりましたが・ 160 00:14:45,743 --> 00:14:51,749 こたびほど わしが恥知らずだと 思い知ったことはありません 161 00:14:51,749 --> 00:14:54,752 なにも 恥じることはねえだ 162 00:14:54,752 --> 00:14:59,757 己の意志で 仲間を 見限ったわけじゃあるめえが 163 00:14:59,757 --> 00:15:02,760 10を3つに割り切れっかね? 164 00:15:02,760 --> 00:15:04,760 割り切れめえ 165 00:15:06,764 --> 00:15:09,767 あるがままに従えというのですか 166 00:15:09,767 --> 00:15:11,767 うん… 167 00:15:13,771 --> 00:15:17,775 わしにも 「己の計らいを捨てて 真理に従う」という言葉は・ 168 00:15:17,775 --> 00:15:20,778 分かります 169 00:15:20,778 --> 00:15:24,778 だが どうやって その真理を確かめたらいいのか 170 00:15:26,784 --> 00:15:29,720 御仏は 己の心の中にいるといっても・ 171 00:15:29,720 --> 00:15:33,724 わしの心の中には いろいろな声が 聞こえてくるのです 172 00:15:33,724 --> 00:15:37,728 どれが己の声で どれが御仏の声なのか 173 00:15:37,728 --> 00:15:40,731 どうやって確かめたらいいのか 174 00:15:40,731 --> 00:15:43,734 (あくび) 175 00:15:43,734 --> 00:15:49,740 (韓鍛)そうだ そうだ! そういや お前様 常陸の生まれだってな 176 00:15:49,740 --> 00:15:51,742 いいな 故郷があるっていうのは 177 00:15:51,742 --> 00:15:54,745 何年ぶりだ? 帰るの (善念)もう忘れた 178 00:15:54,745 --> 00:15:58,749 早よう寝なされ 明日は山越えじゃ 179 00:15:58,749 --> 00:16:03,754 (いびき) 180 00:16:03,754 --> 00:16:09,754 (笑い声) 181 00:16:13,764 --> 00:16:15,766 (射鹿)それ 見てみい 182 00:16:15,766 --> 00:16:20,771 あの連中のあとをついてけば 東国までは もう 目と鼻の先じゃ 183 00:16:20,771 --> 00:16:24,775 深い ご縁にあずかり お礼の言葉もありません 184 00:16:24,775 --> 00:16:26,777 いや 185 00:16:26,777 --> 00:16:31,716 いやあ… 実はな わしも ただ 蒲原から ここまで・ 186 00:16:31,716 --> 00:16:35,716 わざわざ 道案内を 買って出たわけじゃねえんだ 187 00:16:39,724 --> 00:16:42,727 (笑い声) 188 00:16:42,727 --> 00:16:45,730 正直な人だ 189 00:16:45,730 --> 00:16:48,733 わしもな 訳あって・ 190 00:16:48,733 --> 00:16:53,738 東国には 一歩も踏み込むことが 許されねえんだ 191 00:16:53,738 --> 00:16:56,741 東国には おらの仲間がごまんといるけど・ 192 00:16:56,741 --> 00:17:01,746 ただ お太子さんに すがって どうしたらいいかと生きてんだ 193 00:17:01,746 --> 00:17:05,750 あの連中のことをよろしくと 言いてえとこだが 194 00:17:05,750 --> 00:17:10,755 アア… ああ 返事は要らねえ 195 00:17:10,755 --> 00:17:12,757 お達者でな 196 00:17:12,757 --> 00:17:20,765 ・~ 197 00:17:20,765 --> 00:17:23,768 言うこと聞けや うん? 気をつけていけよ 198 00:17:23,768 --> 00:17:26,771 どうも 199 00:17:26,771 --> 00:17:30,708 気をつけていけや うん? 気をつけれや 200 00:17:30,708 --> 00:17:34,712 どうしました? 善念殿 201 00:17:34,712 --> 00:17:54,732 ・~ 202 00:17:54,732 --> 00:18:14,432 ・~ 203 00:18:16,754 --> 00:18:21,754 (津々久)おーい! 村さ入ったぞ 204 00:18:24,762 --> 00:18:26,762 (阿藤太)数 当たっとけ (津々久)へい 205 00:18:55,726 --> 00:18:59,730 あの宿無し連中 どこまでついてくるつもりよ 206 00:18:59,730 --> 00:19:04,735 ♪(子供たち) おかしやの おかしやの 207 00:19:04,735 --> 00:19:06,737 (門番)おおっ… 208 00:19:06,737 --> 00:19:10,741 ♪ 浮いて沈んで 沈んで浮いて 209 00:19:10,741 --> 00:19:18,749 ♪ 水に沈めて土に埋め 月日の光も見せずして 210 00:19:18,749 --> 00:19:21,752 (門番)越後から みんなが帰ったぞ 211 00:19:21,752 --> 00:19:24,755 (桂図)帰ったか 212 00:19:24,755 --> 00:19:28,759 さっさと入れ ほら 213 00:19:28,759 --> 00:19:32,659 (阿藤太)アア~ くたびれた 214 00:19:34,699 --> 00:19:37,702 おいおい ちくしょうどもを ねぐらに振り分けろ 215 00:19:37,702 --> 00:19:39,704 へい 216 00:19:39,704 --> 00:19:43,708 あ~ お前ら3人が んだば あそこの小屋さ入れ 217 00:19:43,708 --> 00:19:48,713 お前らは2人だな 向こうから3番目の小屋へ行け 218 00:19:48,713 --> 00:19:51,716 童を河原のガキと遊ばすな 219 00:19:51,716 --> 00:19:53,718 殿人! 220 00:19:53,718 --> 00:19:55,720 (津々久)お前ら 河原者と遊ぶな 221 00:19:55,720 --> 00:20:00,725 鼓が! 鼓が! 222 00:20:00,725 --> 00:20:04,729 (祈とうの声) 223 00:20:04,729 --> 00:20:06,731 (阿藤太)鼓… 224 00:20:06,731 --> 00:20:11,736 (祈とうの声) 225 00:20:11,736 --> 00:20:15,740 (男巫女)触るな! 死ぬるぞ 226 00:20:15,740 --> 00:20:18,743 (祈とうの声) 227 00:20:18,743 --> 00:20:21,746 死ぬ? 228 00:20:21,746 --> 00:20:23,748 死ぬ 229 00:20:23,748 --> 00:20:25,750 これほど お頼みしても・ 230 00:20:25,750 --> 00:20:31,756 この家の守り神は よりましたまわん 231 00:20:31,756 --> 00:20:43,768 (祈とうの声) 232 00:20:43,768 --> 00:20:45,770 祈ってくだされ 233 00:20:45,770 --> 00:20:47,772 どうぞ お願いしますだ 234 00:20:47,772 --> 00:20:51,776 この子は跡取りの 一粒種だに 235 00:20:51,776 --> 00:20:53,778 拝んでくだされ! 236 00:20:53,778 --> 00:20:57,782 拝んでくだされ 拝んでくだされ! 237 00:20:57,782 --> 00:21:00,785 拝んでくだされ 祈ってくだされ! 238 00:21:00,785 --> 00:21:04,789 (陀羅尼助)汚れ! 汚れ汚れ! 239 00:21:04,789 --> 00:21:09,794 神の恵みを邪魔する汚れの正体は 彼奴らじゃ! 240 00:21:09,794 --> 00:21:11,796 (杵ノ束)ああ? 241 00:21:11,796 --> 00:21:16,801 何だ? おらたちのことか? 242 00:21:16,801 --> 00:21:21,806 しつこく付きまとって おらの子を きつねにしてしまったのは・ 243 00:21:21,806 --> 00:21:24,809 うぬらだな! (桂図)殿人! 244 00:21:24,809 --> 00:21:26,811 (叫び声) 245 00:21:26,811 --> 00:21:33,751 この家の守り神が血を吐いたぞ 246 00:21:33,751 --> 00:21:37,755 (泣き声) 247 00:21:37,755 --> 00:21:43,761 鼓 とうとう きつねにされてしもうたか 248 00:21:43,761 --> 00:21:45,763 (泣き声) 249 00:21:45,763 --> 00:21:49,767 臨 兵 闘 者 皆 陣 列 在 前 250 00:21:49,767 --> 00:21:51,769 サーク! 251 00:21:51,769 --> 00:21:57,775 怨敵退散! カンマンボロン! 252 00:21:57,775 --> 00:22:03,781 サーク! サーク! サーク! (門番)なれ合いだよ ありゃ 253 00:22:03,781 --> 00:22:06,784 (陀羅尼助)サーク! 254 00:22:06,784 --> 00:22:10,788 少々 ものをお尋ねいたすが 255 00:22:10,788 --> 00:22:12,790 (門番)えっ? 256 00:22:12,790 --> 00:22:16,794 あそこは? (門番)ああ あれかい 257 00:22:16,794 --> 00:22:21,799 あそこは 去年の増水で みんな死んじまってな 258 00:22:21,799 --> 00:22:25,803 よかったら使ってもいいんだよ 勝手に 259 00:22:25,803 --> 00:22:31,703 それに 河原は文句の出る筋じゃねえし 260 00:22:50,761 --> 00:22:53,764 (杵ノ束)何が極楽だよ 261 00:22:53,764 --> 00:22:57,768 見ると聞くとでは大違いじゃのう 262 00:22:57,768 --> 00:23:01,772 (しいな)なあに お天道さんの ぬくもりだけでも御の字よ 263 00:23:01,772 --> 00:23:03,774 (韓鍛)ほんとに ここは・ 264 00:23:03,774 --> 00:23:05,776 誰が住んでも おかまいなしってことかのう 265 00:23:05,776 --> 00:23:07,778 (杵ノ束) フン! どうせ 俺たちは・ 266 00:23:07,778 --> 00:23:12,783 河原に生えた青草か 石ころみてえなもんだ 267 00:23:12,783 --> 00:23:16,783 文句あるめえ ハハッ… 268 00:23:22,793 --> 00:23:33,737 ♪(女性)浮いて沈んで 沈んで浮いて 浮いて 269 00:23:33,737 --> 00:23:42,746 ♪ 浮いて沈んで 沈んで浮いて 270 00:23:42,746 --> 00:23:47,751 (杵ノ束・韓鍛)はい はい… ♪(子供たち)十になったら 271 00:23:47,751 --> 00:23:50,754 ♪ 隠れろや (韓鍛)よし 272 00:23:50,754 --> 00:23:53,757 ♪ つぶや つぶや むぎつぶや (杵ノ束)アア~ 273 00:23:53,757 --> 00:23:57,761 今日は 年に1度の 種もみ配りの祭りだそうだ 274 00:23:57,761 --> 00:24:02,766 ♪ 去年の春に行ったれば 275 00:24:02,766 --> 00:24:05,769 (葛洪)禊ぎ祓へ給ひし時に 276 00:24:05,769 --> 00:24:08,772 生り坐せる祓戸の大神等 277 00:24:08,772 --> 00:24:12,776 諸々の禍事 罪 穢れ 有らむをば 278 00:24:12,776 --> 00:24:16,780 祓へ給ひ清め給へと白すことを 279 00:24:16,780 --> 00:24:22,780 聞こし召せと恐み恐みも白す 280 00:24:39,737 --> 00:24:43,741 片上の弥一 (弥一)へい 281 00:24:43,741 --> 00:24:45,741 2斗まき 282 00:24:59,757 --> 00:25:02,760 矢田のいでし (いでし)へい 283 00:25:02,760 --> 00:25:04,762 1斗半 284 00:25:04,762 --> 00:25:06,762 (せきばらい) 285 00:25:08,766 --> 00:25:13,771 睦月 雨… 雨 286 00:25:13,771 --> 00:25:16,774 (阿藤太)ふなわたりの二郎 (二郎)へい 287 00:25:16,774 --> 00:25:20,778 下旬 晴るる 早生 八歩 288 00:25:20,778 --> 00:25:28,786 如月 上下 雨 少々晴るる 289 00:25:28,786 --> 00:25:31,686 中早生 八歩 290 00:25:41,732 --> 00:25:44,735 (男性)ハチよ! ほら (男性)へい 291 00:25:44,735 --> 00:25:47,735 (男性)残りの棺おけ運べよ 292 00:25:58,749 --> 00:26:01,749 (母親)あっ! (男性)馬鹿め! 293 00:26:08,759 --> 00:26:12,763 (母親)アアッ… アッ アッ アア… 294 00:26:12,763 --> 00:26:16,767 未練心に死魂が取りつくぞ 295 00:26:16,767 --> 00:26:19,770 でもよ この子が! 296 00:26:19,770 --> 00:26:24,775 この子が この子が この子が! 297 00:26:24,775 --> 00:26:28,779 早く 取り入れに行かねえか! ええ? 298 00:26:28,779 --> 00:26:31,715 おい 早くしろ (泣き声) 299 00:26:31,715 --> 00:26:37,715 棟梁に見つかったら えらい お仕置きを食らうぞ 300 00:26:43,727 --> 00:26:50,627 (泣き声) 301 00:26:59,743 --> 00:27:03,747 (男性) ぼつぼつ 4人目の童が死ぬころだ 302 00:27:03,747 --> 00:27:06,747 行くべか (男性)おう 303 00:27:24,768 --> 00:27:27,768 しっかりするんだよ 304 00:27:30,707 --> 00:27:32,707 入ってくるな! 305 00:27:48,725 --> 00:27:50,725 己己 306 00:27:54,731 --> 00:27:56,731 己己! 307 00:28:09,746 --> 00:28:12,746 焼いてくださらぬか 308 00:28:17,754 --> 00:28:20,757 すぐ 焼く用意をしろ 309 00:28:20,757 --> 00:28:23,757 身に着けた物も何ひとつ残すなよ 310 00:28:25,762 --> 00:28:38,462 (泣き声) 311 00:28:42,713 --> 00:28:46,717 お前様 せめて あの子だけは あの子だけでも! 312 00:28:46,717 --> 00:28:49,720 お前様 313 00:28:49,720 --> 00:28:53,720 己己は もう生きてはいない 314 00:29:01,732 --> 00:29:12,743 (泣き声) 315 00:29:12,743 --> 00:29:28,759 ・~ 316 00:29:28,759 --> 00:29:31,695 火をつけてくれぬか 317 00:29:31,695 --> 00:29:42,706 ・~ 318 00:29:42,706 --> 00:29:52,716 ・~ 319 00:29:52,716 --> 00:29:55,716 何をなさるんです! 320 00:29:57,721 --> 00:30:00,724 わしに渡すのだ 321 00:30:00,724 --> 00:30:04,724 己己を私の腹に戻すんです 322 00:30:06,730 --> 00:30:08,732 つる草で巻いて 土に うずめてやれば・ 323 00:30:08,732 --> 00:30:11,735 また 私の体に戻ってくれます 324 00:30:11,735 --> 00:30:14,738 幼い子供の命は死んでも・ 325 00:30:14,738 --> 00:30:17,741 住み慣れた私たちの下にとどまり 一緒に生きてくれるのです 326 00:30:17,741 --> 00:30:19,743 乱り心地なことはするな! 327 00:30:19,743 --> 00:30:22,746 私は それを信じたいのです! 328 00:30:22,746 --> 00:30:25,749 ですから お前様 この子のために・ 329 00:30:25,749 --> 00:30:29,749 せめて 念仏のひと言でも 手向けてやってくださいませ 330 00:30:31,755 --> 00:30:35,759 念仏は 決して そのようなものではない 331 00:30:35,759 --> 00:30:40,759 それが お前様の言わっしゃる 御仏のお慈悲というものですか! 332 00:30:43,767 --> 00:30:46,770 生きる者ひとりひとりが・ 333 00:30:46,770 --> 00:30:50,774 己の生き様を はっきりと受け止めることが・ 334 00:30:50,774 --> 00:30:52,776 慈悲の心なのだ 335 00:30:52,776 --> 00:30:58,782 ・~ 336 00:30:58,782 --> 00:31:01,785 (泣き声) 337 00:31:01,785 --> 00:31:21,805 ・~ 338 00:31:21,805 --> 00:31:27,811 ・~ 339 00:31:27,811 --> 00:31:31,748 (韓鍛)アイゴー! 340 00:31:31,748 --> 00:31:33,750 (泣き声) 341 00:31:33,750 --> 00:31:37,754 アイゴー! 342 00:31:37,754 --> 00:31:46,763 (泣き声) 343 00:31:46,763 --> 00:32:06,783 ・~ 344 00:32:06,783 --> 00:32:20,797 ・~ 345 00:32:20,797 --> 00:32:25,802 ♪(猿楽) 346 00:32:25,802 --> 00:32:32,742 ♪~ 347 00:32:32,742 --> 00:32:34,744 (明寅)行仙… 348 00:32:34,744 --> 00:32:41,751 田楽などには もう 世の中は 見向きもしなくなっておる 349 00:32:41,751 --> 00:32:49,759 くそ面白くもない田楽に比べれば やはり 猿楽は美しいのう 350 00:32:49,759 --> 00:32:53,763 誠に美麗じゃ 351 00:32:53,763 --> 00:32:57,767 時の流れを心得ておる 352 00:32:57,767 --> 00:33:02,772 (明寅)何といってもな 相手のいることじゃ 353 00:33:02,772 --> 00:33:09,779 多少は世間に おもねっていかねば 生きられぬぞ 354 00:33:09,779 --> 00:33:12,782 (行仙)恐れ入りました 355 00:33:12,782 --> 00:33:18,788 ♪~ 356 00:33:18,788 --> 00:33:21,791 あっ! 357 00:33:21,791 --> 00:33:29,733 時に ほれ あの悪党崩れ 何というたかのう 358 00:33:29,733 --> 00:33:32,736 長田義重めにございます 359 00:33:32,736 --> 00:33:34,738 (明寅)いや いや いや 違う違う 360 00:33:34,738 --> 00:33:37,741 そやつの連れのことじゃ 361 00:33:37,741 --> 00:33:41,745 ああ~ 近頃 噂に聞いておる 善信のことでございますか 362 00:33:41,745 --> 00:33:44,748 ハハハッ… そやつじゃ 363 00:33:44,748 --> 00:33:47,751 だがな… 364 00:33:47,751 --> 00:33:55,759 そやつに この上野辺りで うろちょろされると気になってな 365 00:33:55,759 --> 00:34:01,759 その辺りは この行仙が抜かりなく 366 00:34:25,789 --> 00:34:29,726 だいぶ手元が暗うなりましたのう 367 00:34:29,726 --> 00:34:33,730 すまぬが ほりこの明かりを もう少し強うしてくださらぬか? 368 00:34:33,730 --> 00:34:35,730 うん 369 00:34:46,743 --> 00:34:48,743 (ため息) 370 00:35:16,773 --> 00:35:22,773 明日は どうあっても 筑波の山に行かれますのか? 371 00:35:25,782 --> 00:35:28,785 人に うつる山病みが 怖くありませぬか? 372 00:35:28,785 --> 00:35:31,721 山病みなど うつる気遣いはない 373 00:35:31,721 --> 00:35:33,721 (足音) 374 00:35:39,729 --> 00:35:41,729 まさ 375 00:35:46,736 --> 00:35:57,747 (泣き声) 376 00:35:57,747 --> 00:36:00,750 何にも心配せんでいいよ 377 00:36:00,750 --> 00:36:10,650 (泣き声) 378 00:36:25,775 --> 00:36:28,775 ハア ハア ハア… 379 00:36:55,739 --> 00:36:57,741 (風の音) 380 00:36:57,741 --> 00:37:02,741 (こうもりの鳴き声) 381 00:37:08,752 --> 00:37:13,757 ・(餓鬼たち)月山 葉山 382 00:37:13,757 --> 00:37:19,763 ・ 羽黒の大権現 383 00:37:19,763 --> 00:37:29,663 ・ ならびに 湯殿の大権現 384 00:37:32,709 --> 00:37:39,716 (風の音) 385 00:37:39,716 --> 00:37:45,722 ・ 月山 葉山 386 00:37:45,722 --> 00:37:49,726 ・ 羽黒の大権現 387 00:37:49,726 --> 00:38:00,626 ・ ならびに 湯殿の大権現 388 00:38:09,746 --> 00:38:13,750 ・ 月山 葉山… 389 00:38:13,750 --> 00:38:19,756 自然の道理とは あるがままということだ 390 00:38:19,756 --> 00:38:26,763 一切のものは 生まれては滅び 生滅を繰り返す 391 00:38:26,763 --> 00:38:30,700 道は 仏がつくったものではない 392 00:38:30,700 --> 00:38:35,705 あるがままの道を悟ったのだ 393 00:38:35,705 --> 00:38:40,710 人は 自力の計らいを捨てることだ 394 00:38:40,710 --> 00:38:48,718 己の才覚に とらわれては 己の本当の声は聞けまい 395 00:38:48,718 --> 00:38:51,721 南無阿弥陀仏 南無阿弥陀仏 南無阿弥陀仏 396 00:38:51,721 --> 00:38:55,725 煩悩悪障の身をごまかすな! 397 00:38:55,725 --> 00:39:00,730 よく 己を見据えて 生きることだ 398 00:39:00,730 --> 00:39:06,736 ・(宝輪)懺悔懺悔 六根大聖… 399 00:39:06,736 --> 00:39:10,740 ・ おしめに八大金剛童子 400 00:39:10,740 --> 00:39:15,745 ・(餓鬼たち)月山 葉山 401 00:39:15,745 --> 00:39:20,750 ・ 羽黒の大権現 402 00:39:20,750 --> 00:39:25,755 (宝輪) 南は東方浄瑠璃世界 薬師瑠璃光 403 00:39:25,755 --> 00:39:28,755 如来心 礼拝心 404 00:39:32,695 --> 00:39:37,700 ・(餓鬼たち)月山 葉山 405 00:39:37,700 --> 00:39:42,705 ・ 羽黒の大権現 406 00:39:42,705 --> 00:39:53,605 ・ ならびに 湯殿の大権現 407 00:39:56,719 --> 00:40:00,723 ・(読経) 408 00:40:00,723 --> 00:40:06,723 ・ ああかいたいしょう かあしきすいしょう いちじ礼拝 409 00:40:09,732 --> 00:40:13,736 (餓鬼たち)月山 葉山 (笑い声) 410 00:40:13,736 --> 00:40:17,740 羽黒の大権現 411 00:40:17,740 --> 00:40:22,745 (男性)よく わしの姿を見るがよい 412 00:40:22,745 --> 00:40:30,753 人は結果に向かって 己を運び去るものだ 413 00:40:30,753 --> 00:40:35,758 ・(宝輪)懺悔懺悔 六根大聖 414 00:40:35,758 --> 00:40:37,760 ・ おしめに八大金剛童子 415 00:40:37,760 --> 00:40:40,763 南は東方浄瑠璃世界 薬師瑠璃光 416 00:40:40,763 --> 00:40:42,765 如来心 礼拝心 417 00:40:42,765 --> 00:40:45,768 (読経) 418 00:40:45,768 --> 00:40:50,773 ああかいたいしょう かあしきすいしょう いちじ礼拝 419 00:40:50,773 --> 00:40:53,773 ええい! エイッ! (切る音) 420 00:41:00,783 --> 00:41:04,783 (鹿の鳴き声) 421 00:41:17,800 --> 00:41:21,804 (行仙)死ぬまで業病に むしばまれた己の身を恥じ・ 422 00:41:21,804 --> 00:41:26,809 悲しむべきだと 率直に言ってやったほうが・ 423 00:41:26,809 --> 00:41:30,747 どれだけ功徳になりますか 424 00:41:30,747 --> 00:41:37,754 彼奴らに安心をなどと あられもないことですわ 425 00:41:37,754 --> 00:41:45,654 いや わしはな 行仙と申す山上の住人じゃが 426 00:41:47,764 --> 00:41:53,770 実は 善念について お伝えしたいことがござってな 427 00:41:53,770 --> 00:41:56,773 善念が? 428 00:41:56,773 --> 00:41:58,775 どうかいたしましたか? 429 00:41:58,775 --> 00:42:05,782 あれはな 鎌倉殿に命を狙われた重罪人じゃ 430 00:42:05,782 --> 00:42:07,784 まあまあ 431 00:42:07,784 --> 00:42:14,791 善念のことは心配されずとも わしに任せておきなさい 432 00:42:14,791 --> 00:42:17,794 それよりも・ 433 00:42:17,794 --> 00:42:26,694 同じ徒党と にらまれた おぬしの 身の振り方じゃが 434 00:42:30,740 --> 00:42:35,745 (行仙)向こうに たなびく かすみの下に・ 435 00:42:35,745 --> 00:42:41,751 ぽっかり浮かぶ島が見えるな? 436 00:42:41,751 --> 00:42:43,753 はい 437 00:42:43,753 --> 00:42:45,755 あそこじゃ 438 00:42:45,755 --> 00:42:49,759 元は下妻広幹の所領でござった 439 00:42:49,759 --> 00:42:55,765 フン! 誠 広幹は愚か者よ 440 00:42:55,765 --> 00:42:58,768 常陸の平氏を振り切って・ 441 00:42:58,768 --> 00:43:03,773 志田義広とともに 頼朝に逆らってはみたが・ 442 00:43:03,773 --> 00:43:08,778 味方と固く信じた小山殿に 裏切られ・ 443 00:43:08,778 --> 00:43:12,782 あげくは 北条時政に盾ついてな 444 00:43:12,782 --> 00:43:16,786 常陸守護職 八田知家の手にかかって・ 445 00:43:16,786 --> 00:43:19,789 さらし首になってしまった 446 00:43:19,789 --> 00:43:24,794 じゃから 今 あそこに主はおらぬ 447 00:43:24,794 --> 00:43:26,796 おぬしのためじゃ 448 00:43:26,796 --> 00:43:31,696 一刻も早く 移られたほうがいいと思う 449 00:43:41,744 --> 00:43:45,748 もう 筑波を無事に越えたでしょうか? 450 00:43:45,748 --> 00:43:48,748 善念殿は 451 00:44:02,765 --> 00:44:06,765 この先 当てがあるのけ? 452 00:44:09,772 --> 00:44:14,777 鬼が出るか 蛇が出るか 行ってみりゃ分かることよ 453 00:44:14,777 --> 00:44:17,780 (杵ノ束)ほら しっかりせんか 454 00:44:17,780 --> 00:44:21,784 筑波を越せば 目と鼻の先じゃ 455 00:44:21,784 --> 00:44:23,786 (まつり)目と鼻の先は どこじゃ? 456 00:44:23,786 --> 00:44:27,786 (杵ノ束)そんなことが 分かってりゃ苦労はしねえよ 457 00:45:20,776 --> 00:45:26,782 ・(鳥の鳴き声) 458 00:45:26,782 --> 00:45:29,719 (小黒)ここには 人っ子ひとりもおらんぞ! 459 00:45:29,719 --> 00:45:31,721 アッ! 460 00:45:31,721 --> 00:45:41,621 (明信の泣き声) 461 00:45:48,738 --> 00:45:51,741 何かあったんでしょうか? 462 00:45:51,741 --> 00:45:56,746 (泣き声) 463 00:45:56,746 --> 00:45:59,749 明信 464 00:45:59,749 --> 00:46:01,751 先へ行くぞ 465 00:46:01,751 --> 00:46:05,751 (泣き声) 466 00:46:09,759 --> 00:46:13,759 (やもりの鳴き声) 467 00:46:31,714 --> 00:46:35,718 これでは 子らが あまりにも 468 00:46:35,718 --> 00:46:37,718 うん 469 00:47:28,771 --> 00:47:36,571 (物音) 470 00:48:03,739 --> 00:48:09,745 (綾衣)南無帰命頂礼大慈大悲 救世観世音菩薩 471 00:48:09,745 --> 00:48:17,645 (綾衣)南無帰命頂礼大慈大悲 救世観世音菩薩 472 00:48:30,699 --> 00:48:36,705 南無帰命頂礼大慈大悲 救世観世音菩薩 473 00:48:36,705 --> 00:48:38,705 ははっ… 474 00:48:47,716 --> 00:48:52,721 南無帰命頂礼大慈大悲 救世観世音菩薩 475 00:48:52,721 --> 00:48:58,721 南無帰命頂礼大慈大悲 救世観世音菩薩… 476 00:49:02,731 --> 00:49:18,747 ♪(琵琶) 477 00:49:18,747 --> 00:49:20,749 (木戸番) ほれ 何をぼんやりいたしておる 478 00:49:20,749 --> 00:49:28,757 ♪(琵琶法師)身に代り 479 00:49:28,757 --> 00:49:41,704 ♪(琵琶法師)命に代らんと… 480 00:49:41,704 --> 00:49:44,707 (主人)野干しの きつね 3枚か 481 00:49:44,707 --> 00:49:46,709 うん いいべ 482 00:49:46,709 --> 00:49:53,716 ♪~ 483 00:49:53,716 --> 00:49:55,718 (木戸番)ほれ あのお方だ 484 00:49:55,718 --> 00:49:57,720 「お浄土は 誰彼 区別しねえとこだ」って・ 485 00:49:57,720 --> 00:49:59,722 よく お説きになるのは (木戸番)へえ~ 486 00:49:59,722 --> 00:50:01,724 (木戸番) 何が不足でよ 念仏のほかに・ 487 00:50:01,724 --> 00:50:03,726 お経なんか読むのかって 488 00:50:03,726 --> 00:50:06,729 (木戸番)坊さんのくせして 坊さんらしくねえ人だな 489 00:50:06,729 --> 00:50:08,731 ほれ! (殴る音) 490 00:50:08,731 --> 00:50:28,751 ♪~ 491 00:50:28,751 --> 00:50:39,762 ♪~ 492 00:50:39,762 --> 00:50:49,662 ♪~ 493 00:51:12,795 --> 00:51:14,797 ・(鳥の鳴き声) 494 00:51:14,797 --> 00:51:16,799 (明信)あれ? 495 00:51:16,799 --> 00:51:18,799 (たたく音) 496 00:51:22,805 --> 00:51:26,809 (息を吹く音) 497 00:51:26,809 --> 00:51:28,809 アッ! 498 00:51:38,754 --> 00:51:41,757 (鳥の鳴き声) 499 00:51:41,757 --> 00:51:44,757 アッ アッ… アアッ! (鳥の鳴き声) 500 00:52:16,792 --> 00:52:18,792 アアッ! 501 00:52:31,740 --> 00:52:36,745 ウッ… 骨だ 502 00:52:36,745 --> 00:52:38,745 人のですか? 503 00:52:41,750 --> 00:52:43,750 ええい! 504 00:52:46,755 --> 00:52:50,755 死人の悪霊が おらに取りつくだ 505 00:52:52,761 --> 00:53:01,661 ・(物音) 506 00:53:29,732 --> 00:53:34,737 おら じぐなしだ びしょなしだ 507 00:53:34,737 --> 00:53:37,740 お慈悲だ お慈悲だでよ 508 00:53:37,740 --> 00:53:40,743 何か語ってくれっか? 509 00:53:40,743 --> 00:53:43,746 このとおりだよ 語れ! 510 00:53:43,746 --> 00:53:47,750 頼むから 人の声 聞かしてくれや 511 00:53:47,750 --> 00:53:49,752 頼むでよ 512 00:53:49,752 --> 00:53:51,754 (泣き声) 513 00:53:51,754 --> 00:53:57,760 頼むでよ 聞かせてくれや 514 00:53:57,760 --> 00:54:03,760 (泣き声) 515 00:54:11,774 --> 00:54:16,779 池には魚が泳いでいるし 木々には鳥が飛んでいる 516 00:54:16,779 --> 00:54:20,779 草むらには 虫がいっぱいいるでしょう 517 00:54:22,785 --> 00:54:25,788 「生きているものは みんな親兄弟だ」と・ 518 00:54:25,788 --> 00:54:27,788 御仏は教えておられる 519 00:54:30,726 --> 00:54:33,729 でも そんなはずはないと思うでしょう 520 00:54:33,729 --> 00:54:37,729 実はな わしも 長いこと分からんかったのです 521 00:54:39,735 --> 00:54:42,738 でも このごろになりまして やっと・ 522 00:54:42,738 --> 00:54:49,745 わしが わし自身を中心にしてしか ものを見られないせいだなと・ 523 00:54:49,745 --> 00:54:54,750 淡い光が漏れるように 見えてきたのです 524 00:54:54,750 --> 00:54:59,755 アア! アア~ いい話だなや 525 00:54:59,755 --> 00:55:04,755 五臓六腑に しみ渡る響きがすっと 526 00:55:09,765 --> 00:55:14,770 めあきのお前様には 斟酌つくめえが 527 00:55:14,770 --> 00:55:21,777 アア~… おら 久しぶりで 人の声 聞いたような気がする 528 00:55:21,777 --> 00:55:26,782 どこの誰か知んねえが 529 00:55:26,782 --> 00:55:31,720 アア… ありがてえ 530 00:55:31,720 --> 00:55:35,720 ありがてえこった 531 00:55:38,727 --> 00:55:44,727 なんか こう 生き返らして もらったみてえな気がする 532 00:55:50,739 --> 00:55:57,746 おら 見えねえ目が 明るくなったような気がすっと 533 00:55:57,746 --> 00:56:15,764 ・~ 534 00:56:15,764 --> 00:56:20,769 この西の端が 関戸 津泊で・ 535 00:56:20,769 --> 00:56:27,776 この太子堂まで ずっと 石畳を敷いた道がありやんした 536 00:56:27,776 --> 00:56:31,713 その両側に いっぱい 市が立ち並んで・ 537 00:56:31,713 --> 00:56:35,717 そりゃ 大した にぎわいだった 538 00:56:35,717 --> 00:56:38,720 漁師が 魚 運んで・ 539 00:56:38,720 --> 00:56:42,724 米や麦を 山の連中と取り引きすっだが・ 540 00:56:42,724 --> 00:56:47,729 けちのつけっこして 駆け引きすっだによ ハハハ… 541 00:56:47,729 --> 00:56:49,731 明信… 542 00:56:49,731 --> 00:56:54,736 ハハハッ! おら その文句まで ちゃんと覚えちまっただよ 543 00:56:54,736 --> 00:56:58,740 (笑い声) 544 00:56:58,740 --> 00:57:03,745 でもよ いつだったか忘れちまったが・ 545 00:57:03,745 --> 00:57:09,751 地頭の下妻様が 塩の取り引きで 相手に不義理したとかで・ 546 00:57:09,751 --> 00:57:13,755 鎌倉から お仕置きを受けちまった 547 00:57:13,755 --> 00:57:18,760 そんで この市も こんなふうになって… 548 00:57:18,760 --> 00:57:23,760 (一斗) おばば 食い物 届けに来たど 549 00:57:25,767 --> 00:57:29,705 どこ行ったかと思って 島中 捜したど 550 00:57:29,705 --> 00:57:32,605 ほれ 行くど 551 00:57:37,713 --> 00:57:39,715 お前 誰だや? 552 00:57:39,715 --> 00:57:42,718 あっ はい 553 00:57:42,718 --> 00:57:45,721 善信と名乗る旅の者です 554 00:57:45,721 --> 00:57:47,723 (一斗)へえ~ 555 00:57:47,723 --> 00:57:51,727 「わけ分かんねえ連中に 心 許すな」って言ってっぺ 556 00:57:51,727 --> 00:57:53,729 ほれ 557 00:57:53,729 --> 00:58:01,737 お前 この年寄りを この島に 放っぽって 山さ行く気か? 558 00:58:01,737 --> 00:58:04,740 食うためだっぺや しかたあんめえに! 559 00:58:04,740 --> 00:58:08,744 山には 面一尺 鼻三寸・ 560 00:58:08,744 --> 00:58:14,750 口は耳まで裂け その耳は 一尺ばかり垂れ下がった・ 561 00:58:14,750 --> 00:58:17,753 ひとつ目の たたら親方がいて 562 00:58:17,753 --> 00:58:21,757 人の肉を肴に 酒 食らってるというでねえか 563 00:58:21,757 --> 00:58:24,760 ほんなことは嘘っ話だっぺ 564 00:58:24,760 --> 00:58:30,660 現によ 土盛も万留も 立派に山で稼いでっぺよ 565 00:58:40,709 --> 00:58:43,712 ほしたら… うん? 566 00:58:43,712 --> 00:58:45,712 お前様が あの 567 00:58:50,719 --> 00:58:55,724 それにしても ご領家の仕打ちは無体だなや 568 00:58:55,724 --> 00:58:59,728 お前様のような お人に 破戒僧の汚名を着せるとはよ 569 00:58:59,728 --> 00:59:01,728 それは… 570 00:59:09,738 --> 00:59:13,742 それは 起こるべくして 起こったことなんです 571 00:59:13,742 --> 00:59:16,742 ンンッ ンッ! 572 00:59:23,752 --> 00:59:26,752 おばばのことは 心配しなくていいですよ 573 00:59:40,702 --> 00:59:51,713 ・~ 574 00:59:51,713 --> 01:00:01,723 (せき込み) 575 01:00:01,723 --> 01:00:04,726 (奥方)あの… (定家)何ぞ用か? 576 01:00:04,726 --> 01:00:07,729 心寂房殿が 見舞いにまいっておりますが 577 01:00:07,729 --> 01:00:11,733 そうか すぐ行くと伝えてくれ 578 01:00:11,733 --> 01:00:15,737 証空殿 579 01:00:15,737 --> 01:00:20,742 (聖覚)拱手傍観のお立場を 聖覚 心より ご同情 申し上げます 580 01:00:20,742 --> 01:00:22,744 ああ いや 痛み入ります 581 01:00:22,744 --> 01:00:24,746 身は年を追って老い・ 582 01:00:24,746 --> 01:00:28,750 家は 日にしたがって 貧しゅうなるばかり 583 01:00:28,750 --> 01:00:33,755 部屋は暗く 風は漏れて寒いのう 584 01:00:33,755 --> 01:00:36,758 聖覚殿 585 01:00:36,758 --> 01:00:38,760 (聖覚)あっ はあ 586 01:00:38,760 --> 01:00:45,767 親父殿には 変わりがないか聞いてくだされ 587 01:00:45,767 --> 01:00:49,771 はあ? (定家)せがれ 為家の女房 588 01:00:49,771 --> 01:00:51,773 ほれ あれの親父… 589 01:00:51,773 --> 01:00:53,775 (せき込み) 590 01:00:53,775 --> 01:00:55,777 ああ… 591 01:00:55,777 --> 01:00:57,779 なあ? 宝来 592 01:00:57,779 --> 01:01:00,782 (宝来)ははっ 593 01:01:00,782 --> 01:01:04,786 宇都宮の入道殿は お変わりないか? 594 01:01:04,786 --> 01:01:07,789 (宝来)はい ますます お盛んで 595 01:01:07,789 --> 01:01:11,793 恩師 証空殿に よろしくとのことでございます 596 01:01:11,793 --> 01:01:17,799 また 定家様には お体のこと 殊のほかに ご案じ申しておられ・ 597 01:01:17,799 --> 01:01:21,803 何とぞ よろしくとのことでございました 598 01:01:21,803 --> 01:01:23,803 はい 599 01:01:25,807 --> 01:01:33,748 (せき込み) 600 01:01:33,748 --> 01:01:36,751 (証空)ウーン… 珍味 珍味 601 01:01:36,751 --> 01:01:40,755 (おならの音) (証空)あっ! 近頃は年のせいか・ 602 01:01:40,755 --> 01:01:46,761 屁ばかり出おりましてな 腹が張って どうにもならん 603 01:01:46,761 --> 01:01:50,765 それには この鮒寿司が何より効くと・ 604 01:01:50,765 --> 01:01:53,765 かねがね 聞いておりました 605 01:01:55,770 --> 01:01:59,774 (笑い声) 606 01:01:59,774 --> 01:02:04,779 ああ~ あれは 何という男だったかな 607 01:02:04,779 --> 01:02:08,783 そうそう 無射信とか申したな 608 01:02:08,783 --> 01:02:13,788 わざわざ 善信を越後から迎えた張本人だと 609 01:02:13,788 --> 01:02:15,790 なっ? 宝来 610 01:02:15,790 --> 01:02:18,793 この前は そう聞いた 611 01:02:18,793 --> 01:02:21,796 …が その後の様子 どうしておる? 612 01:02:21,796 --> 01:02:26,801 (宝来)無射信は 今 射鹿と名乗っておりますとか 613 01:02:26,801 --> 01:02:28,803 いずれにしても 所払いの身 614 01:02:28,803 --> 01:02:32,741 東国には 足一歩たりとも 踏み込むことはできません 615 01:02:32,741 --> 01:02:35,744 今は あの善信が 616 01:02:35,744 --> 01:02:39,748 (聖覚)いやあ その善信のことなら よく知っておる 617 01:02:39,748 --> 01:02:44,753 あれは 徒党を組んで世に逆らい 権門に矛を向けるほど・ 618 01:02:44,753 --> 01:02:47,756 大それた男ではない 619 01:02:47,756 --> 01:02:52,761 ただ 僅かな苦痛に己の胸を痛め続ける 620 01:02:52,761 --> 01:02:54,763 その程度の者よ あれは 621 01:02:54,763 --> 01:03:00,763 (証空)しかし 万にひとつ ということもありまするぞ 622 01:03:02,771 --> 01:03:04,771 (聖覚)うん… 623 01:03:08,777 --> 01:03:14,783 宝来 明日にでも 安居院の わしの所に寄ってくれ 624 01:03:14,783 --> 01:03:16,785 念のためだ 625 01:03:16,785 --> 01:03:23,792 日々 わしが考えを記した物を 善信に渡し 機先をそげ 626 01:03:23,792 --> 01:03:27,792 これからも 精を惜しむでないぞ 627 01:03:29,731 --> 01:03:31,631 ほれ (お金の音) 628 01:03:44,746 --> 01:03:50,746 (せみの声) 629 01:04:42,737 --> 01:04:49,637 ・(風の音) 630 01:04:55,750 --> 01:04:59,754 ハハハ… 風だよ 631 01:04:59,754 --> 01:05:03,758 向こうの山から 寒い冬を運んでくる風でね 632 01:05:03,758 --> 01:05:09,764 ほら よく聞いてごらん 人の話し声のように聞こえるから 633 01:05:09,764 --> 01:05:13,768 昔の人は あの風に よく だまされたそうだよ 634 01:05:13,768 --> 01:05:15,768 ・(物音) 635 01:05:25,780 --> 01:05:27,780 (五郎太)ほれ 636 01:05:30,718 --> 01:05:32,718 (五郎太)しばらく 637 01:05:37,725 --> 01:05:39,727 あれ ハハハッ… 638 01:05:39,727 --> 01:05:42,730 横曽根の性信殿の所の 639 01:05:42,730 --> 01:05:45,733 五郎太ですだ ハハハハッ… 640 01:05:45,733 --> 01:05:48,736 この夜更けに何ぞ? 641 01:05:48,736 --> 01:05:51,739 女房 子持ちの善信殿に・ 642 01:05:51,739 --> 01:05:53,741 ひもじい思いを させてはなんねえと・ 643 01:05:53,741 --> 01:05:58,746 性信殿に きつく言いつかっておりやすでな 644 01:05:58,746 --> 01:06:00,748 ここへ 645 01:06:00,748 --> 01:06:03,751 あっ はい 646 01:06:03,751 --> 01:06:06,754 久しぶりに 四ツ辻の市に商いがありまして 647 01:06:06,754 --> 01:06:09,757 帰りしなに ちょっくら 寄らせていただきました 648 01:06:09,757 --> 01:06:12,760 浜で取れた わかめと昆布だ 649 01:06:12,760 --> 01:06:14,762 (笑い声) 650 01:06:14,762 --> 01:06:17,765 性信殿には相変わらず 651 01:06:17,765 --> 01:06:22,770 はい 元気で飛び回っておりやんす 652 01:06:22,770 --> 01:06:24,772 (笑い声) 653 01:06:24,772 --> 01:06:28,776 どうぞ おもてなしも かないませぬが 654 01:06:28,776 --> 01:06:30,712 ちょっと ひと休み 俺たちだったら かまわねえ 655 01:06:30,712 --> 01:06:32,714 すぐ 船に帰らにゃならねえで 656 01:06:32,714 --> 01:06:34,714 おう (男性)へい 657 01:06:36,718 --> 01:06:41,723 (五郎太)そうだっけ 大事なことを忘れるとこでした 658 01:06:41,723 --> 01:06:44,723 性信殿が これを 659 01:06:47,729 --> 01:06:49,729 ほんじゃ 660 01:06:51,733 --> 01:06:54,736 (性信)《既に ご承知のことと思いますが・ 661 01:06:54,736 --> 01:06:56,738 宇都宮の入道蓮生は・ 662 01:06:56,738 --> 01:07:01,743 かねて 鎌倉幕府に謀反の疑いを 受けたことがございました》 663 01:07:01,743 --> 01:07:06,748 《しかし 如才なく 吉水の法然殿にすがり・ 664 01:07:06,748 --> 01:07:12,754 一族60余人とともに遁俗し 命拾いをいたしました》 665 01:07:12,754 --> 01:07:14,756 《そのような蓮生のことゆえ・ 666 01:07:14,756 --> 01:07:17,759 何をするか 知れたものではありません》 667 01:07:17,759 --> 01:07:22,764 《関東の念仏衆を 盾にするぐらい朝飯前です》 668 01:07:22,764 --> 01:07:26,764 《重々 ご用心くださいますように》 669 01:07:52,727 --> 01:07:57,727 (明信)姉 どこへ行く? (小黒)小便だ 670 01:08:26,761 --> 01:08:30,661 (千代)哀れというべき さがでしょうか 671 01:08:32,700 --> 01:08:36,700 見知らぬ男に肌を許す度に… 672 01:08:38,706 --> 01:08:40,708 千代は この世に何をしに・ 673 01:08:40,708 --> 01:08:44,712 生まれてきたのだろうかと 思うのです 674 01:08:44,712 --> 01:08:51,719 千代は この世を憎み 恨んで 今日まで生きてまいりました 675 01:08:51,719 --> 01:08:54,722 実を申しますと・ 676 01:08:54,722 --> 01:09:00,728 この恐ろしい恨み心を鎮め 後世の救いにあやかりたく・ 677 01:09:00,728 --> 01:09:04,728 毎日 こうして 六角堂にお参りしておりますが 678 01:09:06,734 --> 01:09:10,738 千代のような罪深い女子に・ 679 01:09:10,738 --> 01:09:14,742 心の安らぎなど あろうはずはございませんよね 680 01:09:14,742 --> 01:09:19,747 それにつけても あなた様の 己をさいなむ お姿を見るにつけ・ 681 01:09:19,747 --> 01:09:23,747 千代は 胸をつかれました 682 01:09:25,753 --> 01:09:31,693 同じように 苦しみ 悩む お人がいると・ 683 01:09:31,693 --> 01:09:34,696 改めて知らされました 684 01:09:34,696 --> 01:09:37,699 千代は 恥ずかしゅうございます 685 01:09:37,699 --> 01:09:51,713 ・~ 686 01:09:51,713 --> 01:09:54,716 私を 好きなようにしてもよいのです 687 01:09:54,716 --> 01:09:58,720 抱いてくだされ 善信殿 688 01:09:58,720 --> 01:10:00,722 なぜ 抱いてくださらぬ? 689 01:10:00,722 --> 01:10:06,728 ・~ 690 01:10:06,728 --> 01:10:11,733 (竜安)おぬしにとって あの千代という女子は何だ? 691 01:10:11,733 --> 01:10:15,737 わしと千代とは 何の関係もないのだ 692 01:10:15,737 --> 01:10:18,740 ハハハハッ… きれい事を言うな 693 01:10:18,740 --> 01:10:21,743 わしには よく分かっておる 694 01:10:21,743 --> 01:10:24,746 いや… おい 695 01:10:24,746 --> 01:10:29,751 どうして おぬし そうまでして 己を偽りたいのだ? 696 01:10:29,751 --> 01:10:42,764 ・~ 697 01:10:42,764 --> 01:10:52,774 ・~ 698 01:10:52,774 --> 01:10:54,776 (息を吹く音) 699 01:10:54,776 --> 01:10:56,778 (千代)アアッ! 700 01:10:56,778 --> 01:10:59,781 竜安… (叫び声) 701 01:10:59,781 --> 01:11:02,784 (竜安)善信! よく見ておけ 702 01:11:02,784 --> 01:11:05,787 これが 男と女の本当の姿だ 703 01:11:05,787 --> 01:11:07,789 やめろ! やめろ! 704 01:11:07,789 --> 01:11:13,795 (叫び声) 705 01:11:13,795 --> 01:11:30,745 ・~ 706 01:11:30,745 --> 01:11:32,747 竜安 707 01:11:32,747 --> 01:11:37,747 私を見殺しにするのですか! (竜安)ええい! 708 01:11:39,754 --> 01:11:41,754 (叫び声) (殴る音) 709 01:11:45,760 --> 01:11:48,763 (叫び声) 710 01:11:48,763 --> 01:11:54,769 (叫び声) (殴る音) 711 01:11:54,769 --> 01:12:01,776 ・~ 712 01:12:01,776 --> 01:12:05,780 (叫び声) 713 01:12:05,780 --> 01:12:18,580 ・~ 714 01:12:31,739 --> 01:12:35,739 (風の音) 715 01:12:50,758 --> 01:12:53,761 どうしました? 716 01:12:53,761 --> 01:12:55,761 眠れませんか? 717 01:13:00,768 --> 01:13:03,771 渇愛に とらわれて・ 718 01:13:03,771 --> 01:13:08,776 ただ生きてる このわしの姿は… 719 01:13:08,776 --> 01:13:11,779 (ため息) 720 01:13:11,779 --> 01:13:17,779 お前にとって わしは 一体 何なのだ? 721 01:13:19,787 --> 01:13:22,787 どうして そのように身勝手なことばかり… 722 01:13:24,792 --> 01:13:26,792 申されるのです? 723 01:13:35,736 --> 01:13:38,736 わしは なんという… 724 01:13:40,741 --> 01:13:43,741 愚かな男だ 725 01:13:57,758 --> 01:14:05,766 (雷鳴) 726 01:14:05,766 --> 01:14:16,777 (念仏を唱える声) 727 01:14:16,777 --> 01:14:22,777 (雷鳴) 728 01:14:25,786 --> 01:14:27,786 (宝来)ヤーッ! 729 01:14:31,726 --> 01:14:35,730 ええい よっしゃ! 730 01:14:35,730 --> 01:14:51,746 ・~ 731 01:14:51,746 --> 01:14:54,749 (蓮生)さすがの三浦義村も・ 732 01:14:54,749 --> 01:14:58,753 北条義時の知恵には 追いつかぬかに見える 733 01:14:58,753 --> 01:15:01,756 (宝来)今頃は京の河原に・ 734 01:15:01,756 --> 01:15:05,760 ころころ 首が 転がっていることでありましょう 735 01:15:05,760 --> 01:15:09,764 (蓮生)うん… 近頃の鎌倉・ 736 01:15:09,764 --> 01:15:13,768 どうも おかしな雲行きだと思っておった 737 01:15:13,768 --> 01:15:21,776 (宝来)はい 正月27日の夜 所は鶴岡八幡宮です 738 01:15:21,776 --> 01:15:28,783 将軍 実朝公 拝賀の列を 包む雪 また 雪 739 01:15:28,783 --> 01:15:34,722 …と 突如 将軍に襲いかかる ひとりの壮士 740 01:15:34,722 --> 01:15:39,727 見れば 八幡宮別当 公暁 阿闍梨でありました 741 01:15:39,727 --> 01:15:42,730 頭上を高々と大刀を抜き放ち・ 742 01:15:42,730 --> 01:15:45,733 おらび叫んで 実朝を斬り捨てると・ 743 01:15:45,733 --> 01:15:48,736 返す刃の とばっちり 744 01:15:48,736 --> 01:15:54,742 哀れ 文章博士まで 柄をも通れと刺し殺しました 745 01:15:54,742 --> 01:15:58,746 (蓮生)いかに 無常迅速は世の常とはいえ・ 746 01:15:58,746 --> 01:16:05,753 奸智にたけた北条義時の やりそうなことよな ハハハッ… 747 01:16:05,753 --> 01:16:09,757 (宝来) 何といっても 二十歳の浅知恵 748 01:16:09,757 --> 01:16:12,760 惨めといえば惨めでございました 749 01:16:12,760 --> 01:16:15,763 我こそ将軍と夢みたのも つかの間 750 01:16:15,763 --> 01:16:22,770 北条と三浦の汚い手にかかって 首をはねられました 751 01:16:22,770 --> 01:16:24,772 (唾を吐く音) 752 01:16:24,772 --> 01:16:27,775 これで 鎌倉幕府も・ 753 01:16:27,775 --> 01:16:34,575 北条義時の舌の先三寸に かすめ取られてしまいましょう 754 01:16:36,717 --> 01:16:39,717 (頼重)ほれ ご覧なされ! 755 01:16:43,724 --> 01:16:48,729 (蓮生)頼重 落ち着け 落ち着け 756 01:16:48,729 --> 01:16:53,734 北条義時が鎌倉を かすめ取ったからといって・ 757 01:16:53,734 --> 01:16:59,734 今すぐ このわしらに やすやすと手出しはできまい 758 01:17:02,743 --> 01:17:04,745 宝来 759 01:17:04,745 --> 01:17:12,753 鎌倉追討の院宣を下した張本人 後鳥羽上皇は どうなった? 760 01:17:12,753 --> 01:17:16,757 (宝来) はい 隠岐の島へ流されました 761 01:17:16,757 --> 01:17:21,762 なに・ 島流しか 762 01:17:21,762 --> 01:17:26,767 上皇まで島流しにする 北条でございまするぞ 763 01:17:26,767 --> 01:17:30,704 どのような奇策を持って 我ら宇都宮家に! 764 01:17:30,704 --> 01:17:35,709 (宝来)恐れながら 後鳥羽だけではありませぬ 765 01:17:35,709 --> 01:17:40,714 土御門上皇は土佐の国へ 順徳上皇は佐渡へ流されました 766 01:17:40,714 --> 01:17:44,718 しかも 従者は 僅か4人とのことでございます 767 01:17:44,718 --> 01:17:47,721 馬鹿な! 768 01:17:47,721 --> 01:17:51,721 上皇を島流しなどにしおって 769 01:17:54,728 --> 01:17:57,731 本気で 天下を 我がものにしようとする腹か 770 01:17:57,731 --> 01:17:59,733 (宝来)はい 771 01:17:59,733 --> 01:18:02,736 このうえは 一刻の猶予もなりませぬ 772 01:18:02,736 --> 01:18:04,738 して 宝来 773 01:18:04,738 --> 01:18:09,743 善恵坊証空殿や聖覚殿は どうしておられる? 774 01:18:09,743 --> 01:18:13,743 (宝来) いえ あれ以来 何のご沙汰も 775 01:18:15,749 --> 01:18:21,755 たとえ 京が念仏を嫌うても 鎌倉は鎌倉 776 01:18:21,755 --> 01:18:28,762 よもや 北条とて そこまでは手出しはしまい 777 01:18:28,762 --> 01:18:33,701 もし お2人の身に何事かあれば・ 778 01:18:33,701 --> 01:18:37,705 定家もおることだ 親戚のよしみで・ 779 01:18:37,705 --> 01:18:43,711 六波羅の動静は つぶさに知らせてくれるはず 780 01:18:43,711 --> 01:18:47,715 北条とて馬鹿ではないでのう 781 01:18:47,715 --> 01:18:52,715 念仏衆の動きぐらい すぐに斟酌する 782 01:18:54,722 --> 01:18:56,722 だが もし… 783 01:18:58,726 --> 01:19:02,730 いやいや 心配することはない 784 01:19:02,730 --> 01:19:05,733 わしにも ちゃんと 奥の手があるでな 785 01:19:05,733 --> 01:19:10,738 ともかく 頼重 おのおのの 念仏衆の棟梁たちには・ 786 01:19:10,738 --> 01:19:16,744 いかにも 心おきなく 信心に励むように伝えておけ 787 01:19:16,744 --> 01:19:21,749 ならば 横曽根の性信から鹿島の順信に 788 01:19:21,749 --> 01:19:23,751 それと… 789 01:19:23,751 --> 01:19:25,751 馬鹿! 790 01:19:31,692 --> 01:19:33,692 よく聞け 791 01:19:35,696 --> 01:19:38,696 ここを使え ここを 792 01:19:40,701 --> 01:19:44,705 間違っても 心を挟むでないぞ 793 01:19:44,705 --> 01:19:47,708 早く行け (頼重)はっ 794 01:19:47,708 --> 01:19:49,708 待て 795 01:19:53,714 --> 01:19:55,716 もしやの折にはな 796 01:19:55,716 --> 01:19:59,720 「主人 宇都宮入道 命に懸けて・ 797 01:19:59,720 --> 01:20:03,724 念仏衆はお守りするであろう」とな 798 01:20:03,724 --> 01:20:06,724 この ひと言は忘れるでないぞ 799 01:20:14,735 --> 01:20:16,737 宝来 800 01:20:16,737 --> 01:20:21,742 ところで 近頃 善信坊は どうしておる? 801 01:20:21,742 --> 01:20:25,746 (宝来)いや あれは たかの知れた 河原の ごみでございます 802 01:20:25,746 --> 01:20:27,748 いやいや 803 01:20:27,748 --> 01:20:31,748 正体 見るまでは 安心してはならぬぞ 804 01:20:52,773 --> 01:20:57,778 世の中のことが己の思いどおりに ならないからといって・ 805 01:20:57,778 --> 01:21:02,783 神や仏に祈るということは 人間の迷い心だということを・ 806 01:21:02,783 --> 01:21:04,785 わしは気がつきました 807 01:21:04,785 --> 01:21:07,785 そうした迷いから 目覚めることなのです 808 01:21:09,790 --> 01:21:14,795 御仏は 今を生きる命のよりどころを・ 809 01:21:14,795 --> 01:21:18,799 きっと 「浄土」と名付けられたのです 810 01:21:18,799 --> 01:21:21,802 我が師 法然殿は・ 811 01:21:21,802 --> 01:21:26,807 「我が命を尽くすことのできる道に 立つことこそ救いだ」と・ 812 01:21:26,807 --> 01:21:28,809 申されました 813 01:21:28,809 --> 01:21:31,745 (男性)いくら 話 聞いても 屁みてえなもんだ 814 01:21:31,745 --> 01:21:37,751 よっ! 鶏が安いぞ! 要んねえか? 815 01:21:37,751 --> 01:21:40,754 (男性) 毎日毎日 こうして働きずくめ 816 01:21:40,754 --> 01:21:43,754 これじゃ ただ生きてるってだけだ 817 01:21:46,760 --> 01:21:51,765 (宝来)冗談じゃねえや 菩提心で腹がくちくなるか 818 01:21:51,765 --> 01:21:58,772 おーい! つるは要らんかや つるは 819 01:21:58,772 --> 01:22:01,775 そうでした 820 01:22:01,775 --> 01:22:05,775 仏法における救いとは… 821 01:22:09,783 --> 01:22:12,786 決して この現世を捨てて・ 822 01:22:12,786 --> 01:22:16,786 よりよい来世を待ち望むことでは なかったのです 823 01:22:19,793 --> 01:22:23,797 そこで わしは思うのです 824 01:22:23,797 --> 01:22:26,800 本当に我が命を 尽くすことのできる道に・ 825 01:22:26,800 --> 01:22:29,736 己を立たしめる 826 01:22:29,736 --> 01:22:31,738 そうです 827 01:22:31,738 --> 01:22:37,744 往生とは 新しい生き方が 始まるということなのです 828 01:22:37,744 --> 01:22:43,744 (念仏を唱える声) 829 01:22:50,757 --> 01:22:53,760 (宝来)善信 はい 830 01:22:53,760 --> 01:23:02,769 ・~ 831 01:23:02,769 --> 01:23:05,772 あの… ひょんなことで・ 832 01:23:05,772 --> 01:23:12,779 安居院の聖覚とかいう唱門師に 京で出会ってな 833 01:23:12,779 --> 01:23:19,786 これ… 是非 折を見て おぬしに渡してくれと頼まれた 834 01:23:19,786 --> 01:23:21,788 それはそれは 835 01:23:21,788 --> 01:23:25,792 しばらく 耳にせなんだ お名前じゃ 836 01:23:25,792 --> 01:23:28,795 拝見します 837 01:23:28,795 --> 01:23:38,739 ・~ 838 01:23:38,739 --> 01:23:41,742 うん… 839 01:23:41,742 --> 01:23:45,746 「これを見て さだめて あざけりをなさん」 840 01:23:45,746 --> 01:23:51,752 「しかれども 信謗ともに因として みな まさに 浄土にむまるべし」 841 01:23:51,752 --> 01:23:58,759 ・~ 842 01:23:58,759 --> 01:24:05,659 「承久三歳 秋 安居院の法院 聖覚」 843 01:24:09,770 --> 01:24:11,772 (宝来)誠でございます 844 01:24:11,772 --> 01:24:15,776 「たとえ 天地が踊り 川の水が逆さまに流れようと・ 845 01:24:15,776 --> 01:24:23,784 関東の念仏衆は この入道が 命に懸けても守ってみせる」などと 846 01:24:23,784 --> 01:24:25,786 (笑い声) 847 01:24:25,786 --> 01:24:29,723 大ぼらを吹いておりました ヘヘヘヘッ… 848 01:24:29,723 --> 01:24:32,726 なんと 849 01:24:32,726 --> 01:24:36,730 「命に懸けても」とか? (宝来)はい 850 01:24:36,730 --> 01:24:42,736 (笑い声) 851 01:24:42,736 --> 01:24:47,741 (明寅)そのような見え透いた嘘を よくも まあ ぬけぬけと 852 01:24:47,741 --> 01:24:50,744 (宝来) はい 宇都宮の入道でなければ・ 853 01:24:50,744 --> 01:24:52,746 浮かばぬ知恵でございます 854 01:24:52,746 --> 01:24:55,746 (笑い声) 855 01:24:57,751 --> 01:25:02,756 いや 誠 世の中は やっかいなものでございます 856 01:25:02,756 --> 01:25:04,758 やっかいついでと申しては なんですが・ 857 01:25:04,758 --> 01:25:07,761 例の ひとつ目のお化け・ 858 01:25:07,761 --> 01:25:13,767 佐竹殿に 召されました播磨の山伏・ 859 01:25:13,767 --> 01:25:17,771 弁円のことでございますが 860 01:25:17,771 --> 01:25:21,775 その弁円がいかがいたした? (宝来)はい 861 01:25:21,775 --> 01:25:26,780 こけおどしにも 面一尺 鼻の高さは三寸 口は耳まで裂け・ 862 01:25:26,780 --> 01:25:30,717 一尺余り 耳のぶら下がった ひとつ目の面をかぶって・ 863 01:25:30,717 --> 01:25:36,723 人々をたぶらかし しこたま 私腹を肥やしております はい 864 01:25:36,723 --> 01:25:39,726 かまわん かまわん 865 01:25:39,726 --> 01:25:44,731 たかの知れた里修験のいたすこと 関わり知らぬことじゃ 866 01:25:44,731 --> 01:25:47,731 いや ご苦労であった 867 01:25:52,739 --> 01:25:55,742 何ぞ まだ 話が残っておったか? 868 01:25:55,742 --> 01:25:59,746 (宝来) ええ… 少しばかり お手元を 869 01:25:59,746 --> 01:26:01,748 愚か者! 870 01:26:01,748 --> 01:26:07,748 それしきのことで 欲深いことを望むではないぞ 871 01:26:19,766 --> 01:26:23,766 (宝来)この くそったれめが 872 01:26:27,774 --> 01:26:40,721 (綾衣の泣き声) 873 01:26:40,721 --> 01:26:42,723 どうした? 874 01:26:42,723 --> 01:26:47,728 (泣き声) 875 01:26:47,728 --> 01:26:49,730 あっ… 876 01:26:49,730 --> 01:27:01,742 (泣き声) 877 01:27:01,742 --> 01:27:03,744 おばば 878 01:27:03,744 --> 01:27:07,748 (泣き声) 879 01:27:07,748 --> 01:27:10,751 よっ アア… 880 01:27:10,751 --> 01:27:13,754 食べるかな? おばば 881 01:27:13,754 --> 01:27:15,756 おばば 882 01:27:15,756 --> 01:27:18,759 (綾衣)腹いっぱい食ったがや? 883 01:27:18,759 --> 01:27:23,764 誰? ああ… わしなら もう済ました 884 01:27:23,764 --> 01:27:26,767 一斗 一斗 885 01:27:26,767 --> 01:27:32,706 ひとつ目の鬼みてえな たたら親方んとこへ 886 01:27:32,706 --> 01:27:34,708 すまねえな 一斗 887 01:27:34,708 --> 01:27:36,710 心配することはないよ 888 01:27:36,710 --> 01:27:39,713 あんなに元気で 山に出かけていったではないか 889 01:27:39,713 --> 01:27:42,716 ありゃ 何にも知らねえだ 890 01:27:42,716 --> 01:27:47,721 山は おっかねえ所だ 891 01:27:47,721 --> 01:27:54,728 あんとき行かしたのは おらが悪かった 892 01:27:54,728 --> 01:27:57,731 勘弁しろや 893 01:27:57,731 --> 01:28:01,735 何か食わねば おばばの身がもたんぞ 894 01:28:01,735 --> 01:28:04,738 窯は一代と決まったものを・ 895 01:28:04,738 --> 01:28:07,741 たたら親方 本気で・ 896 01:28:07,741 --> 01:28:13,747 五代も六代も 番子 こき使うだ 897 01:28:13,747 --> 01:28:18,752 一斗は もういねえ 一斗は もう おっ死んじまった 898 01:28:18,752 --> 01:28:20,754 おばば 899 01:28:20,754 --> 01:28:25,759 窯は 五代も六代ももたねえ 900 01:28:25,759 --> 01:28:29,696 それは昔の話だよ 901 01:28:29,696 --> 01:28:34,596 たたら親方は鬼だ 鬼にゃ今も昔もねえ 902 01:28:37,704 --> 01:28:40,707 とにかく 食う物は ちゃんと食わんと・ 903 01:28:40,707 --> 01:28:44,711 おばばのほうが 一斗に会えなくなってしまうぞ 904 01:28:44,711 --> 01:28:50,717 ・~ 905 01:28:50,717 --> 01:28:56,723 一斗は もういねえ おっ死んじまってるだ 906 01:28:56,723 --> 01:28:58,725 (泣き声) 907 01:28:58,725 --> 01:29:00,727 よし! 908 01:29:00,727 --> 01:29:06,727 (泣き声) 909 01:30:06,726 --> 01:30:08,726 ハア… 910 01:30:23,743 --> 01:30:25,743 かか様 911 01:30:57,777 --> 01:31:07,677 (歩荷たち)ハアハア ハアハア ハアハア ハアハア ハアハア… 912 01:31:25,805 --> 01:31:30,744 ・♪(たたら歌) 913 01:31:30,744 --> 01:31:41,755 ・♪~ 914 01:31:41,755 --> 01:31:52,766 ♪~ 915 01:31:52,766 --> 01:32:02,776 ♪~ 916 01:32:02,776 --> 01:32:12,786 ♪(番子たち) ヤー 朝の仕掛けのナー 917 01:32:12,786 --> 01:32:21,795 ♪ ハー 湯釜の内を… 918 01:32:21,795 --> 01:32:25,795 (村下)みんなに配ってやれ (番子)へい 919 01:32:28,802 --> 01:32:31,738 (番子)おい 湯花いただけ 920 01:32:31,738 --> 01:32:46,753 ♪~ 921 01:32:46,753 --> 01:32:51,758 (番子) おーい! ふいごが利かねえぞ 922 01:32:51,758 --> 01:33:03,770 ♪~ 923 01:33:03,770 --> 01:33:06,773 火床がおかしいぞ! 924 01:33:06,773 --> 01:33:09,776 (村下)もっと踏め もっと! 風が足りんぞ 風が 925 01:33:09,776 --> 01:33:12,779 どんどん踏め どんどん (一斗)駄目だ! 926 01:33:12,779 --> 01:33:15,782 これ以上 踏んだら 窯がもたねえ 927 01:33:15,782 --> 01:33:17,784 (殴る音) (村下)土百姓めが! 928 01:33:17,784 --> 01:33:22,789 いいか? 言いつけどおりしねえと みんな ぶっ殺すぞ! 929 01:33:22,789 --> 01:33:24,789 (番子たち)助けてくれ! 930 01:33:26,793 --> 01:33:30,693 (爆発音) 931 01:34:35,728 --> 01:34:37,728 一斗 932 01:34:53,746 --> 01:34:57,746 一斗 一斗! 933 01:35:01,754 --> 01:35:03,756 一斗… 934 01:35:03,756 --> 01:35:05,756 (すすり泣き) 935 01:35:30,717 --> 01:35:45,517 (念仏を唱える声) 936 01:35:55,742 --> 01:36:00,747 (忠家) 罪状 勧人諸人 安楽房遵西 937 01:36:00,747 --> 01:36:05,752 そのほう かねてより 党類を結び 集落に交わり・ 938 01:36:05,752 --> 01:36:10,757 みだりがわしき哀音を 発して 軽経唱礼を行い・ 939 01:36:10,757 --> 01:36:12,759 多くの愚民を惑わす 940 01:36:12,759 --> 01:36:16,763 (忠家) よって その偏執は許しがたく・ 941 01:36:16,763 --> 01:36:22,769 違勅の者として 六条河原にて さらし首に処するものなり 942 01:36:22,769 --> 01:36:26,773 検非違使庁 藤原忠家 943 01:36:26,773 --> 01:36:28,773 タアーッ! (斬る音) 944 01:36:42,722 --> 01:36:46,726 これを 御仏のおぼし召しと見るべきか 945 01:36:46,726 --> 01:36:49,729 いや そんなはずはない 946 01:36:49,729 --> 01:36:54,729 人間が引き起こした地獄絵なのだ 947 01:37:00,740 --> 01:37:11,640 (ほら貝の音) 948 01:37:17,757 --> 01:37:22,762 (山伏たち)バラオン サラオン バラオン サラオン 949 01:37:22,762 --> 01:37:27,767 バラオン サラオン バラオン サラオン 950 01:37:27,767 --> 01:37:31,667 バラオン サラオン バラオン サラオン… 951 01:37:56,729 --> 01:38:06,629 ・(読経) 952 01:38:42,708 --> 01:38:45,711 (弁円)誰か? 953 01:38:45,711 --> 01:38:49,711 「誰だ?」と聞いておるのだ 954 01:38:52,718 --> 01:38:55,721 かわいそうに 955 01:38:55,721 --> 01:38:58,724 おぬしに殺された 哀れな この なきがらを・ 956 01:38:58,724 --> 01:39:01,727 見てもらいに来たのです 957 01:39:01,727 --> 01:39:04,730 (笑い声) 958 01:39:04,730 --> 01:39:07,733 たかの知れた 河原の石ころどもには・ 959 01:39:07,733 --> 01:39:09,735 当然の報いだ 960 01:39:09,735 --> 01:39:11,737 どのように蔑まれましょうと・ 961 01:39:11,737 --> 01:39:16,742 人は 同じ命を 平等に生きているのです 962 01:39:16,742 --> 01:39:18,744 たわけが! 963 01:39:18,744 --> 01:39:22,748 この世に平等などと 964 01:39:22,748 --> 01:39:27,753 神明を無視し あまつさえ その神明を頼めば・ 965 01:39:27,753 --> 01:39:32,692 必ず 魔界に落ちると われは粗言しておるそうだが 966 01:39:32,692 --> 01:39:37,697 その うぬの魂胆は? 967 01:39:37,697 --> 01:39:40,700 魂胆などありません 968 01:39:40,700 --> 01:39:45,705 私は ただ 「念仏を極楽行きの 道具にしてはならぬ」と・ 969 01:39:45,705 --> 01:39:47,705 申しているのです 970 01:39:49,709 --> 01:39:52,712 たとえ どのように もがいてみても・ 971 01:39:52,712 --> 01:39:56,716 それこそ たかの知れた凡夫なのです 972 01:39:56,716 --> 01:40:01,716 地獄のほかに どこに その身を置かれますか! 973 01:40:11,731 --> 01:40:14,734 (面が割れる音) 974 01:40:14,734 --> 01:40:21,634 ハアハア ハアハア… 975 01:40:35,755 --> 01:40:39,755 ・(足音) 976 01:40:45,765 --> 01:40:47,767 (頼重)だから! 977 01:40:47,767 --> 01:40:51,771 だから 弁円などという 素性の知れぬ山伏は・ 978 01:40:51,771 --> 01:40:54,774 早く 佐竹の所へ お返しすべきだと・ 979 01:40:54,774 --> 01:40:57,777 申し上げておったのだ 980 01:40:57,777 --> 01:41:04,784 それにしても これを潮に ひと騒動 起きねばよいがと 981 01:41:04,784 --> 01:41:07,787 脅かさんでくだされ 982 01:41:07,787 --> 01:41:10,790 あの善信めが 今… 983 01:41:10,790 --> 01:41:12,792 いや もしもですよ 984 01:41:12,792 --> 01:41:18,798 河原の者たちを唆して 徒党を 組むようなことにでもなれば・ 985 01:41:18,798 --> 01:41:22,802 ここら辺りは朝飯前に… 986 01:41:22,802 --> 01:41:24,804 (頼重)うーん… 987 01:41:24,804 --> 01:41:26,806 そうだ 988 01:41:26,806 --> 01:41:33,746 横曽根の性信に 善信を口説かせてみる手もあるな 989 01:41:33,746 --> 01:41:36,749 そりゃ 金で済めば この際 安いものだが 990 01:41:36,749 --> 01:41:42,755 いやいや 物では とても動く男ではござらぬ 991 01:41:42,755 --> 01:41:50,655 しかし 人間には からめ手という攻め手もあるでな 992 01:41:53,766 --> 01:41:57,766 あの離れは空いていますか? 993 01:42:00,773 --> 01:42:05,778 (綾衣)面一尺 鼻の高さ三寸余り… 994 01:42:05,778 --> 01:42:09,782 (性信) 子たちの姿が見えんようだが 995 01:42:09,782 --> 01:42:12,785 はい ここでは とても暮らせませんので・ 996 01:42:12,785 --> 01:42:15,788 頸城の知人に 預かってもらいました 997 01:42:15,788 --> 01:42:18,791 ああ 恵信ですか 998 01:42:18,791 --> 01:42:21,794 あれは 結城に身を寄せております 999 01:42:21,794 --> 01:42:24,797 (綾衣) 一斗は食い殺されてしまっただ 1000 01:42:24,797 --> 01:42:26,799 (性信)おっしゃるとおり・ 1001 01:42:26,799 --> 01:42:31,737 どんな生き様をしていようと 確かに生きること 1002 01:42:31,737 --> 01:42:34,740 そのことが大事なことです 1003 01:42:34,740 --> 01:42:39,745 だが わしは なにも その澄み切った お心に・ 1004 01:42:39,745 --> 01:42:46,752 わざわざ 背を向けてくれと お勧めしてるのではないのです 1005 01:42:46,752 --> 01:42:53,759 世間というか この今の事情を のみ込んでいただいて・ 1006 01:42:53,759 --> 01:42:56,762 稲田へ移っていただければ 1007 01:42:56,762 --> 01:43:01,767 いや はっきり申し上げましょう 1008 01:43:01,767 --> 01:43:07,773 まげて 念仏衆の命をお救いいただきたい 1009 01:43:07,773 --> 01:43:10,776 ・(水の音) 1010 01:43:10,776 --> 01:43:15,776 あっ… あっ… (こだま) 1011 01:43:32,732 --> 01:43:34,732 シーッ… 1012 01:43:46,746 --> 01:43:50,750 いかがかな? 少しは ここに慣れましたかな? 1013 01:43:50,750 --> 01:43:54,754 いや よく思い切ってくださった 1014 01:43:54,754 --> 01:43:56,756 さすがじゃな 1015 01:43:56,756 --> 01:44:00,760 この頼重 身に代えて お守りいたす 1016 01:44:00,760 --> 01:44:05,765 あっ… これなるは 鹿島神社の巫女崩れで・ 1017 01:44:05,765 --> 01:44:08,768 仏子と申す はした女 1018 01:44:08,768 --> 01:44:13,773 ご不自由があらば 何なりと お申しつけくだされや 1019 01:44:13,773 --> 01:44:16,773 ハハ… あっ… 1020 01:44:19,779 --> 01:44:22,782 「主上」 1021 01:44:22,782 --> 01:44:24,784 「主上 臣下」 1022 01:44:24,784 --> 01:44:29,722 「法に背き 義に違し 念をなし 怨を結ぶ」 1023 01:44:29,722 --> 01:44:33,726 「これによりて 真宗興隆の太祖 源空法師・ 1024 01:44:33,726 --> 01:44:36,729 ならびに 門徒数輩 罪科をかんがえず」 1025 01:44:36,729 --> 01:44:39,729 「みだりがわしく死罪につみす」 1026 01:44:43,736 --> 01:44:48,741 まあ 考えられることは勝手ですし 1027 01:44:48,741 --> 01:44:54,747 貧乏無福 慳貪邪見の ともがらと 生きることも結構ですが 1028 01:44:54,747 --> 01:44:58,751 失礼ですが 子たちのこと 気にはなりませぬか? 1029 01:44:58,751 --> 01:45:03,756 あっ いや どうしろこうしろと 申し上げているのではありません 1030 01:45:03,756 --> 01:45:08,761 ただ 師ほどに法臘高い お方にしては・ 1031 01:45:08,761 --> 01:45:13,761 あまりにも ご家族が 惨めすぎやせぬかと思いましてな 1032 01:45:20,773 --> 01:45:25,773 フフフッ… わざわざ 京より取り寄せた袈裟です 1033 01:45:29,715 --> 01:45:31,615 (笑い声) 1034 01:45:37,723 --> 01:45:41,727 おお! よく似合う よく似合う 1035 01:45:41,727 --> 01:45:43,729 (笑い声) 1036 01:45:43,729 --> 01:45:49,735 ちょっと ここを開けてもよろしいかな? 1037 01:45:49,735 --> 01:45:51,737 (念仏を唱える声) 1038 01:45:51,737 --> 01:45:56,742 どうしても ひと目 善信殿に お会いしたいと申してな 1039 01:45:56,742 --> 01:46:00,746 まあ あわれんでやってくだされ 1040 01:46:00,746 --> 01:46:07,753 (念仏を唱える声) 1041 01:46:07,753 --> 01:46:09,755 この方々は? 1042 01:46:09,755 --> 01:46:14,760 (念仏を唱える声) 1043 01:46:14,760 --> 01:46:18,764 お帰りくだされ! 1044 01:46:18,764 --> 01:46:24,770 地獄よりほかに行き場のない わしのような者を拝まれても・ 1045 01:46:24,770 --> 01:46:29,708 あなた方は 救われるはずはありません 1046 01:46:29,708 --> 01:46:32,608 さあ すぐ お帰りなさい 1047 01:46:36,715 --> 01:46:38,717 今すぐにです! 1048 01:46:38,717 --> 01:46:49,728 ・~ 1049 01:46:49,728 --> 01:47:00,739 ・~ 1050 01:47:00,739 --> 01:47:02,739 でも… 1051 01:47:06,745 --> 01:47:09,748 もし 良心や仏性のひとかけらもない・ 1052 01:47:09,748 --> 01:47:12,748 わしのような悪人とでも よろしかったら… 1053 01:47:16,755 --> 01:47:18,757 ご一緒に 1054 01:47:18,757 --> 01:47:24,763 ・~ 1055 01:47:24,763 --> 01:47:27,766 うたぐっても うたぐっても 壊れない信心が・ 1056 01:47:27,766 --> 01:47:30,703 欲しいと思われるなら 1057 01:47:30,703 --> 01:47:34,707 共に 御仏の声を聞いてみませぬか? 1058 01:47:34,707 --> 01:47:36,707 (女性)あの… 1059 01:47:38,711 --> 01:47:41,714 (女性) 結城の身寄りから聞いただが・ 1060 01:47:41,714 --> 01:47:44,717 女の赤子が生まれただとよ 1061 01:47:44,717 --> 01:47:47,720 そう… ご息女が 1062 01:47:47,720 --> 01:47:50,723 こりゃ めでたい! 1063 01:47:50,723 --> 01:47:53,726 いやあ めでたい めでたい 1064 01:47:53,726 --> 01:47:59,732 (笑い声) 1065 01:47:59,732 --> 01:48:19,752 ・~ 1066 01:48:19,752 --> 01:48:35,701 ・~ 1067 01:48:35,701 --> 01:48:38,704 ・(足音) 1068 01:48:38,704 --> 01:48:51,717 ・~ 1069 01:48:51,717 --> 01:49:03,729 ・~ 1070 01:49:03,729 --> 01:49:06,729 (仏子)ねんねが生まれて うれしくないのか? 1071 01:49:14,740 --> 01:49:17,740 「はいち」って知ってるだか? 1072 01:49:19,745 --> 01:49:21,747 はいち? 1073 01:49:21,747 --> 01:49:24,750 巫女に なり損ねた女子はな・ 1074 01:49:24,750 --> 01:49:28,750 もう 元の女には戻れんのじゃ 1075 01:49:31,690 --> 01:49:37,696 神さんから捨てられた女のことだ 1076 01:49:37,696 --> 01:49:39,698 (笑い声) 1077 01:49:39,698 --> 01:49:42,701 わっちみてえな 1078 01:49:42,701 --> 01:49:45,701 (笑い声) 1079 01:50:04,723 --> 01:50:07,723 (すすり泣き) 1080 01:50:13,732 --> 01:50:16,735 生きるために 体 売ったり 1081 01:50:16,735 --> 01:50:23,742 子をはらんで 首をくくる者も中にはいる 1082 01:50:23,742 --> 01:50:30,642 子は わけも分からず この世に生まれてくる 1083 01:50:32,751 --> 01:50:39,758 それが人の命というものだべか? 1084 01:50:39,758 --> 01:50:46,658 (泣き声) 1085 01:51:10,789 --> 01:51:15,789 すまぬがの 頼重殿に この袈裟を返してきてくれぬか? 1086 01:51:55,767 --> 01:52:01,773 (せみの鳴き声) 1087 01:52:01,773 --> 01:52:06,778 ここは 身ひとつの隠居所でな 1088 01:52:06,778 --> 01:52:09,781 何もおかまいできぬが・ 1089 01:52:09,781 --> 01:52:15,787 茶を冷やしておきましたので まあ おひとつ ハハハッ… 1090 01:52:15,787 --> 01:52:23,795 (せみの鳴き声) 1091 01:52:23,795 --> 01:52:26,795 (佐竹)やかましい! 1092 01:52:33,739 --> 01:52:35,741 (笑い声) 1093 01:52:35,741 --> 01:52:43,749 いやあ もう 話にも何にもなりませんな 近頃は 1094 01:52:43,749 --> 01:52:49,755 倒幕の謀議にあずかった公家は ことごとく 六波羅に連れていき・ 1095 01:52:49,755 --> 01:52:53,759 鎌倉に下向の途中で ぶち殺すし 1096 01:52:53,759 --> 01:52:58,764 あの権中納言 藤原光親は・ 1097 01:52:58,764 --> 01:53:02,768 駿河と甲斐の境の籠坂で さらし首に… 1098 01:53:02,768 --> 01:53:06,772 アッ… 痛い! 馬鹿! 1099 01:53:06,772 --> 01:53:12,778 いや すまん… それはそれでいいとしても 1100 01:53:12,778 --> 01:53:16,782 鎌倉に あれほど好意を寄せておった・ 1101 01:53:16,782 --> 01:53:21,787 藤原能保の子 参議 信能を・ 1102 01:53:21,787 --> 01:53:28,794 美濃の国 遠山荘で 斬首に及ぶとはな 1103 01:53:28,794 --> 01:53:32,694 (佐竹) 入道 わしがお尋ねしたいのはのう 1104 01:53:34,733 --> 01:53:38,737 ほかではないが 例の念仏聖の… 1105 01:53:38,737 --> 01:53:40,739 いやいや 1106 01:53:40,739 --> 01:53:47,746 討幕の参謀を務めた 二位法印 尊長はな・ 1107 01:53:47,746 --> 01:53:53,752 今もって 行方知らずということだが 1108 01:53:53,752 --> 01:54:00,652 これほど 鎌倉方の追及を受けては 何条もって たまるまい 1109 01:54:02,761 --> 01:54:05,764 アア~ 暑いのう 1110 01:54:05,764 --> 01:54:12,771 それに 京方に参陣した 全国の悪党どもは・ 1111 01:54:12,771 --> 01:54:18,777 誰彼の見境なく 洛外で首を斬られたそうだ 1112 01:54:18,777 --> 01:54:21,780 おう 1113 01:54:21,780 --> 01:54:27,786 あっ そうじゃ 大事なことを忘れとった 1114 01:54:27,786 --> 01:54:34,726 順徳天皇の 乳母を務めた憲子だが… 1115 01:54:34,726 --> 01:54:36,728 ああ もう下がってよいぞ 1116 01:54:36,728 --> 01:54:41,733 その夫の権中納言 有雅もな・ 1117 01:54:41,733 --> 01:54:45,737 後鳥羽と親しかったという たったそれだけの理由で・ 1118 01:54:45,737 --> 01:54:49,741 誅殺されてしまったわ 1119 01:54:49,741 --> 01:54:51,743 (笑い声) 1120 01:54:51,743 --> 01:54:56,743 そこもとは心配ないがの 1121 01:55:24,776 --> 01:55:29,714 ここまで切迫した事情の中で とやこう きゅう首して・ 1122 01:55:29,714 --> 01:55:31,716 無駄な時を過ごしても 始まりません 1123 01:55:31,716 --> 01:55:33,718 そうさ 1124 01:55:33,718 --> 01:55:36,721 ひとつ間違えば こっちの首が飛ぶ 1125 01:55:36,721 --> 01:55:38,723 …で 問題は義時だが 1126 01:55:38,723 --> 01:55:45,730 伊賀局がな 兄の光宗と共謀して 毒殺したのが真相ではないかと・ 1127 01:55:45,730 --> 01:55:48,733 京では もっぱらの 噂になっているとのことだ 1128 01:55:48,733 --> 01:55:53,738 はて わしは 今 どっちに顔を向けておくべきか 1129 01:55:53,738 --> 01:55:58,743 鎌倉か京か こりゃ 正念場じゃな 1130 01:55:58,743 --> 01:56:00,745 いかなもんでしょう? 1131 01:56:00,745 --> 01:56:04,749 佐竹が信用ならぬとなれば・ 1132 01:56:04,749 --> 01:56:08,753 結城の朝光殿に 一度 相談をなされてみては? 1133 01:56:08,753 --> 01:56:11,756 馬鹿 ありゃ駄目だ あれは 1134 01:56:11,756 --> 01:56:14,759 頼朝が 伊豆に流されておったときに・ 1135 01:56:14,759 --> 01:56:18,763 その辺りの百姓女に 産ませた下賤じゃい 1136 01:56:18,763 --> 01:56:23,763 そんな奴に こっちの腹のうちを 打ち明けられるか 1137 01:56:29,708 --> 01:56:33,712 ならば いかようになさるおつもりで? 1138 01:56:33,712 --> 01:56:40,719 それには まず 天皇真筆の 額を掲げた勅願寺を興すことだ 1139 01:56:40,719 --> 01:56:45,719 そこを念仏の中心に置けば よもや… 1140 01:56:47,726 --> 01:56:49,728 この お領内の… 1141 01:56:49,728 --> 01:56:52,731 そうさ 1142 01:56:52,731 --> 01:56:57,736 鶏を殺して 猿を脅せば 効果てきめん 1143 01:56:57,736 --> 01:56:59,736 (くりがはじける音) 1144 01:57:05,744 --> 01:57:19,544 (念仏を唱える声) 1145 01:57:53,725 --> 01:57:58,730 (侍女)真壁から 真仏殿がお着きになりました 1146 01:57:58,730 --> 01:58:00,730 ・(蓮生)入れ 1147 01:58:05,737 --> 01:58:08,740 (義時)うん? そなた 椎尾春時 1148 01:58:08,740 --> 01:58:10,740 (真仏)はい 1149 01:58:15,747 --> 01:58:19,751 (真仏)家を弟に譲り 今は真仏と名乗っております 1150 01:58:19,751 --> 01:58:22,754 まさか! (蓮生)ハハッ… 1151 01:58:22,754 --> 01:58:25,757 その まさかのための当て馬じゃい 1152 01:58:25,757 --> 01:58:29,694 しかし この春時では とても… 1153 01:58:29,694 --> 01:58:32,697 関東6万ともいわれる 念仏の徒党を・ 1154 01:58:32,697 --> 01:58:34,699 抑えきれるとは思えませぬわ 1155 01:58:34,699 --> 01:58:37,702 どこまで ふぬけな男だ そなた 1156 01:58:37,702 --> 01:58:41,706 フッ… 血は争えぬと申すが 1157 01:58:41,706 --> 01:58:44,709 誰が この真仏をなどと言うた? 1158 01:58:44,709 --> 01:58:46,711 はあ? (蓮生)善信じゃ 1159 01:58:46,711 --> 01:58:51,711 善信以外に格好な者は ほかにおらんのだ 1160 01:58:55,720 --> 01:58:59,724 あとで 宝来に しかと申しつけよう 1161 01:58:59,724 --> 01:59:06,731 善信が いかにも真の心を持って 生き続けるようなら・ 1162 01:59:06,731 --> 01:59:11,736 直ちに 息の根を止めてしまえとな 1163 01:59:11,736 --> 01:59:13,738 しかし… (蓮生)フン! 1164 01:59:13,738 --> 01:59:18,738 しかしも何もないわ 殺せ 1165 02:00:08,727 --> 02:00:10,727 それじゃ… 1166 02:00:25,744 --> 02:00:28,744 どうしても分かってもらえぬか 1167 02:00:33,752 --> 02:00:37,756 ついさっきは 言うとおりにすると 言ってくれたではないか 1168 02:00:37,756 --> 02:00:42,756 でも この子と別れては… 1169 02:00:53,772 --> 02:00:55,772 恵信 1170 02:00:57,776 --> 02:01:02,776 わしの目を見て もう一度だけ 話を聞いてくれぬか? 1171 02:01:05,784 --> 02:01:07,786 よいか? 1172 02:01:07,786 --> 02:01:12,791 わしが 専修念仏の道を歩み続ければ・ 1173 02:01:12,791 --> 02:01:16,795 この子は きっと憂き目に遭う 1174 02:01:16,795 --> 02:01:21,800 だからといって わしは ほかに歩く道を知らぬ 1175 02:01:21,800 --> 02:01:25,804 幸い 京には たったひとり身寄りがおる 1176 02:01:25,804 --> 02:01:27,806 その大谷の照阿弥殿に・ 1177 02:01:27,806 --> 02:01:30,742 この子を預かってもらおうと 申しておるのだ 1178 02:01:30,742 --> 02:01:34,746 どうして それまでして・ 1179 02:01:34,746 --> 02:01:39,751 そのような専修念仏の道を お選びになるのですか? 1180 02:01:39,751 --> 02:01:41,751 恵信! 1181 02:01:47,759 --> 02:01:51,759 わしはな わしは ただ… 1182 02:01:54,766 --> 02:01:59,771 あの川人足をして生涯を送られた 沙弥教信殿のように・ 1183 02:01:59,771 --> 02:02:05,777 生きる場所を失った人々と 一緒に歩いていきたいんだ 1184 02:02:05,777 --> 02:02:10,777 いや たとえ 牛盗っ人と 世間から呼ばれようと… 1185 02:02:12,784 --> 02:02:14,786 決して あの人は 1186 02:02:14,786 --> 02:02:16,788 後世を願う聖だ・ 1187 02:02:16,788 --> 02:02:21,793 御仏の法に 命を懸けた立派な僧侶だと・ 1188 02:02:21,793 --> 02:02:24,796 そのように呼ばれたくないのだ 1189 02:02:24,796 --> 02:02:32,737 (泣き声) 1190 02:02:32,737 --> 02:02:36,741 (女の子の泣き声) 1191 02:02:36,741 --> 02:02:40,745 ととはな 幼い そなたに・ 1192 02:02:40,745 --> 02:02:44,749 これ以上 ひもじい思いを させとうないので・ 1193 02:02:44,749 --> 02:02:47,749 京にいる身寄りに そなたを 1194 02:02:49,754 --> 02:02:55,760 そりゃ このかかも 一緒に行きたい 1195 02:02:55,760 --> 02:02:58,763 行きたいのは やまやまじゃが・ 1196 02:02:58,763 --> 02:03:05,770 そうなると 残された このととが 寂しがるじゃろう 1197 02:03:05,770 --> 02:03:07,772 ねっ? 1198 02:03:07,772 --> 02:03:12,777 だから 分かっておくれ ねっ? 1199 02:03:12,777 --> 02:03:18,783 (泣き声) 1200 02:03:18,783 --> 02:03:32,730 ・~ 1201 02:03:32,730 --> 02:03:39,737 (泣き声) 1202 02:03:39,737 --> 02:03:48,637 ・~ 1203 02:03:50,748 --> 02:03:55,748 ・(足音) 1204 02:04:14,772 --> 02:04:16,772 宝来 1205 02:04:21,779 --> 02:04:23,779 宝来 1206 02:04:33,725 --> 02:04:37,725 (女の子)ハハ… とと 1207 02:04:39,731 --> 02:04:43,735 ととちゃん (宝来)えっ? 1208 02:04:43,735 --> 02:04:45,737 うん? 1209 02:04:45,737 --> 02:04:47,739 (笑い声) 1210 02:04:47,739 --> 02:04:49,741 いやあ 1211 02:04:49,741 --> 02:04:53,745 (笑い声) 1212 02:04:53,745 --> 02:04:57,749 やめた やめたよ 1213 02:04:57,749 --> 02:05:02,754 俺には人殺しはできねえや ハハッ… 1214 02:05:02,754 --> 02:05:06,758 えっ… ほれ 1215 02:05:06,758 --> 02:05:10,762 よし おおっ… ほら 1216 02:05:10,762 --> 02:05:12,764 (笑い声) 1217 02:05:12,764 --> 02:05:15,767 よしよし よしよし… ハハハ… 1218 02:05:15,767 --> 02:05:18,770 約束どおり この子は・ 1219 02:05:18,770 --> 02:05:24,770 俺が確かに 京の照阿弥殿に お届けするよ 1220 02:05:26,778 --> 02:05:31,716 ご厚意に甘えるが この子をよろしく 1221 02:05:31,716 --> 02:05:38,723 ただ ちょっとだけ あんたに 聞いておきたいことがあるんだ 1222 02:05:38,723 --> 02:05:44,729 何なりと わしで お相手がかなうことなら 1223 02:05:44,729 --> 02:05:46,731 いいかい? 1224 02:05:46,731 --> 02:05:50,735 人間の皮を剥ぎ取られて・ 1225 02:05:50,735 --> 02:05:54,739 異類の者だなんて 世間から差別を受けてる・ 1226 02:05:54,739 --> 02:05:58,743 俺たちの痛みは どうなるんだ? 1227 02:05:58,743 --> 02:06:01,746 それは… 1228 02:06:01,746 --> 02:06:05,750 浄穢の忌みが貴賤の差別を 生んでいるとすれば・ 1229 02:06:05,750 --> 02:06:08,753 世間の常識に準じていては 癒やされません 1230 02:06:08,753 --> 02:06:10,755 冗談じゃねえよ 1231 02:06:10,755 --> 02:06:13,758 身分なんて境界を 勝手に作っときやがって 1232 02:06:13,758 --> 02:06:15,760 俺たちを 異類呼ばわりするなんてのは・ 1233 02:06:15,760 --> 02:06:19,764 聞いてあきれるよ お前たちだろ てめえたちじゃねえか! 1234 02:06:19,764 --> 02:06:24,764 生き馬の目ぇ抜いて ぶくぶく肥えた化け物は 1235 02:06:27,772 --> 02:06:29,707 確かに そのとおりです 1236 02:06:29,707 --> 02:06:32,710 宇宙万物の真実を捨て・ 1237 02:06:32,710 --> 02:06:36,714 己の先入観で ものを判断するかぎりは 1238 02:06:36,714 --> 02:06:41,714 じゃあ 俺たちゃ どうなるんだ ええ? 1239 02:06:43,721 --> 02:06:49,727 わしらは みんな等しく 如来の子供なのです 1240 02:06:49,727 --> 02:06:51,727 そうかい 1241 02:06:55,733 --> 02:07:01,739 (宝来)じゃあ 俺の この面 一体 どうなるんだ? 1242 02:07:01,739 --> 02:07:03,739 ええ? 1243 02:07:05,743 --> 02:07:07,745 (笑い声) 1244 02:07:07,745 --> 02:07:09,747 まあ いいや 1245 02:07:09,747 --> 02:07:11,749 (笑い声) 1246 02:07:11,749 --> 02:07:15,753 (女の子の泣き声) よしよし よしよし… 1247 02:07:15,753 --> 02:07:18,756 心配するな 1248 02:07:18,756 --> 02:07:25,763 この子は 俺が命に懸けて 無事に届けてやるよ 1249 02:07:25,763 --> 02:07:30,701 (笑い声) 1250 02:07:30,701 --> 02:07:32,701 よし よし よし 1251 02:07:36,707 --> 02:07:40,711 フッ… 俺か? 1252 02:07:40,711 --> 02:07:43,714 俺だったら大丈夫だよ 1253 02:07:43,714 --> 02:07:49,720 フフッ… きっと生きてやるさ 1254 02:07:49,720 --> 02:08:09,740 ・~ 1255 02:08:09,740 --> 02:08:26,757 ・~ 1256 02:08:26,757 --> 02:08:34,699 《これが 私たち親子が 選んだ道でございます》 1257 02:08:34,699 --> 02:08:37,702 《あなたは 思う存分に・ 1258 02:08:37,702 --> 02:08:41,702 ご自分の選んだ道を 歩まれますよう》 1259 02:08:43,708 --> 02:08:48,713 《たとえ あなたが どんな道を歩まれましょうと・ 1260 02:08:48,713 --> 02:08:52,717 あなたが 私の体に生きているかぎり・ 1261 02:08:52,717 --> 02:08:56,721 決して裏切りにはなりません》 1262 02:08:56,721 --> 02:09:01,726 《もう二度と お目にかかることがなくとも・ 1263 02:09:01,726 --> 02:09:04,729 決して後悔はいたしません》 1264 02:09:04,729 --> 02:09:11,736 《私の中の あなたは もう 誰に奪われることもないのです》 1265 02:09:11,736 --> 02:09:16,741 《誰にも奪われることのない 殿御を抱いた今・ 1266 02:09:16,741 --> 02:09:22,741 私は 人間として自由なのです》 1267 02:09:25,750 --> 02:09:31,689 《これからは あの凍えそうな越後の空の下で・ 1268 02:09:31,689 --> 02:09:34,692 その新しい自由を・ 1269 02:09:34,692 --> 02:09:39,697 しっかりと温めながら 生きていきたいと思っています》 1270 02:09:39,697 --> 02:09:44,702 《恵信より 善信殿》 1271 02:09:44,702 --> 02:09:50,708 (磬子の音) 1272 02:09:50,708 --> 02:09:53,711 (僧侶)至心に祈念し奉る 1273 02:09:53,711 --> 02:09:57,715 まさに 一大伽藍建立の功徳によって 1274 02:09:57,715 --> 02:10:00,718 一天四海 風雨順時 1275 02:10:00,718 --> 02:10:03,721 五穀豊穣 萬民快楽 1276 02:10:03,721 --> 02:10:06,724 仏法興隆 仏日増輝 1277 02:10:06,724 --> 02:10:09,727 伽藍安穏 信心堅固 1278 02:10:09,727 --> 02:10:12,730 殊には 本日参詣の面々 1279 02:10:12,730 --> 02:10:15,733 息災延命 福寿円満 1280 02:10:15,733 --> 02:10:19,733 乃至法界 平等利益 1281 02:10:38,756 --> 02:10:40,756 (せきばらい) 1282 02:10:51,769 --> 02:10:57,775 この度 勅願寺の綸旨を かたじけのういたしまして・ 1283 02:10:57,775 --> 02:11:03,781 ここ 専修阿弥陀寺の 慶讃法要 結願の日を迎えました 1284 02:11:03,781 --> 02:11:10,788 (念仏を唱える声) 1285 02:11:10,788 --> 02:11:17,795 これは ひとえに 旦那方のお力の たまもの 1286 02:11:17,795 --> 02:11:22,800 (念仏を唱える声) 1287 02:11:22,800 --> 02:11:24,800 (蓮生)真仏 1288 02:11:26,804 --> 02:11:31,742 善信殿におかれては このところ ご気分 すぐれあそばされず・ 1289 02:11:31,742 --> 02:11:35,742 本日は ご出仕になりませぬが 1290 02:11:39,750 --> 02:11:42,750 ご出仕になりませぬが… 1291 02:11:55,766 --> 02:12:03,774 善信殿は あの真仏をもって 我が身の名代とし・ 1292 02:12:03,774 --> 02:12:08,779 今後 棟梁と仰ぐべしとのこと 1293 02:12:08,779 --> 02:12:14,785 これは いささかも 師の意志に 背くものではありませぬ 1294 02:12:14,785 --> 02:12:20,791 よって 当寺を師一流の本寺と相定め・ 1295 02:12:20,791 --> 02:12:26,791 水田12町 山林7町を付して 寺の永財となす 1296 02:12:38,742 --> 02:12:41,742 しばらく! しばらく お待ちください 1297 02:12:53,757 --> 02:12:56,757 しばらく しばらく お待ちください 1298 02:12:59,763 --> 02:13:02,766 腐りきった この現実に 身を置いておりますと・ 1299 02:13:02,766 --> 02:13:09,773 やりきれぬ不安に 今にも 押し潰されるような気がして・ 1300 02:13:09,773 --> 02:13:12,776 とても恐ろしいのです 1301 02:13:12,776 --> 02:13:18,782 真仏殿 何も恐れることはありません 1302 02:13:18,782 --> 02:13:24,788 その日々を 暗闇の中で むなしく古びていく我が命を・ 1303 02:13:24,788 --> 02:13:28,788 光に向かって生き返るのです 1304 02:13:35,733 --> 02:13:38,736 でも こんな… こんな私でも・ 1305 02:13:38,736 --> 02:13:41,739 御仏は 本当に お見捨てになりませぬか? 1306 02:13:41,739 --> 02:13:43,741 はい 1307 02:13:43,741 --> 02:13:47,745 その道に ご自身を呼び返しさえすれば・ 1308 02:13:47,745 --> 02:13:53,745 必ず 不安が 重い意味を持ってくれるのです 1309 02:14:00,758 --> 02:14:05,763 そうすれば きっと 御仏は… 1310 02:14:05,763 --> 02:14:11,769 御仏は 罪深い わしたちの ありのままの姿を・ 1311 02:14:11,769 --> 02:14:15,769 見抜かれたうえで お救いくださるのです 1312 02:14:20,778 --> 02:14:33,478 (念仏を唱える声) 1313 02:15:12,763 --> 02:15:17,768 (男性)ウッ ウンッ… 1314 02:15:17,768 --> 02:15:19,768 ウンッ! 1315 02:15:24,775 --> 02:15:28,779 (男性)アア~ 1316 02:15:28,779 --> 02:15:31,715 ああ? 1317 02:15:31,715 --> 02:15:33,717 (宝来)シッ! (蹴る音) 1318 02:15:33,717 --> 02:15:36,717 (蹴る音) (犬の鳴き声) 1319 02:15:49,733 --> 02:15:51,735 (死体が落ちる音) 1320 02:15:51,735 --> 02:16:03,747 (読経) 1321 02:16:03,747 --> 02:16:14,647 (読経) 1322 02:16:40,718 --> 02:17:00,738 ・~ 1323 02:17:00,738 --> 02:17:20,758 ・~ 1324 02:17:20,758 --> 02:17:40,711 ・~ 1325 02:17:40,711 --> 02:18:00,731 ・~ 1326 02:18:00,731 --> 02:18:20,751 ・~ 1327 02:18:20,751 --> 02:18:40,704 ・~ 1328 02:18:40,704 --> 02:19:00,724 ・~ 1329 02:19:00,724 --> 02:19:20,744 ・~ 1330 02:19:20,744 --> 02:19:40,697 ・~ 1331 02:19:40,697 --> 02:19:47,597 ・~