1 00:02:14,723 --> 00:02:16,391 ≪(机をたたく音) 2 00:02:16,391 --> 00:02:20,061 (ルシウス)この案が使えないとは どういうことなのか! 3 00:02:20,061 --> 00:02:23,064 (所長)ルシウス。 はっきり言わせてもらうと→ 4 00:02:23,064 --> 00:02:25,066 君のアイデアは もう古いんだよ。 5 00:02:25,066 --> 00:02:29,070 なっ… 何!? 分からないのか? 6 00:02:29,070 --> 00:02:33,074 今のローマが求めているのは 斬新さなのだ。 7 00:02:33,074 --> 00:02:36,077 だっ だから私は さらに その裏をついて→ 8 00:02:36,077 --> 00:02:39,080 こうやって 現代社会の忘れた 古き良き時代を→ 9 00:02:39,080 --> 00:02:41,082 再現しようと 思っているのではないか。 10 00:02:41,082 --> 00:02:46,087 ルシウスよ…。 見たまえ このローマを。 11 00:02:46,087 --> 00:02:48,089 ハドリアヌスが 皇帝になって以来→ 12 00:02:48,089 --> 00:02:52,093 次々と斬新な建造物が 増えだした。→ 13 00:02:52,093 --> 00:02:56,097 皇帝自身がギリシャの アクロポリスを再建したほどの→ 14 00:02:56,097 --> 00:02:58,099 優れた建築家ときた。 15 00:02:58,099 --> 00:03:00,101 いいか ルシウス。 16 00:03:00,101 --> 00:03:04,039 この現状に なじまない いいかげんなものを造れば→ 17 00:03:04,039 --> 00:03:06,041 命取りになりかねないぞ。 18 00:03:06,041 --> 00:03:10,045 いっ… いいかげんなものだと!? アテネにまで赴き→ 19 00:03:10,045 --> 00:03:14,049 最高の建築技術を習得してきた この私の案が→ 20 00:03:14,049 --> 00:03:17,052 いいかげんなものだと言うのか! そうは 言っていない。 21 00:03:17,052 --> 00:03:22,057 だが もう私の所で 君の案を採用することは→ 22 00:03:22,057 --> 00:03:26,061 できないと言っておるのだ。 うう…。 23 00:03:26,061 --> 00:03:32,061 私を失ったことで 後悔するなよ。 ≪(ドアの閉まる音) 24 00:05:28,049 --> 00:05:33,054 (マルクス)まあ ルシウス。 そんな腐るなって。 25 00:05:33,054 --> 00:05:38,059 いや 私は もう この業界では お払い箱なんだよ マルクス。 26 00:05:38,059 --> 00:05:42,063 まあ そう言わず こうやって ひとっ風呂 浴びれば→ 27 00:05:42,063 --> 00:05:47,068 いい考えも浮かぶって。 (子供)ギャハハ! 28 00:05:47,068 --> 00:05:49,070 ギャハハハ! ハハハッ! 29 00:05:49,070 --> 00:05:54,075 菓子! 菓子は いらんかねー。 おいしい菓子は いらんかねー。 30 00:05:54,075 --> 00:05:58,079 脱毛! 脇の下 奇麗になるよ。 31 00:05:58,079 --> 00:06:02,083 それにしても 騒々しい風呂だと 思わないか? マルクス。 32 00:06:02,083 --> 00:06:04,085 あっ 俺 今日 脱毛してもらおう。 33 00:06:04,085 --> 00:06:06,087 はい はい はーい! 俺 脱毛 頼みます。 34 00:06:06,087 --> 00:06:09,090 こっち 頼みますよ! (脱毛屋さん)はい 毎度ー! 35 00:06:09,090 --> 00:06:14,090 《風呂は 本来 リラックスするために あるべきものなのに》 36 00:06:16,097 --> 00:06:19,100 《湯の中に入るしか 静けさを感じられないなんて→ 37 00:06:19,100 --> 00:06:21,102 とんでもない浴場ではないか》 38 00:06:21,102 --> 00:06:23,104 ≪(水音) 《ん?》 39 00:06:23,104 --> 00:06:27,041 《何だ? 妙な排水溝だな》 40 00:06:27,041 --> 00:06:29,043 《どんな仕組みに なっているのだ?》 41 00:06:29,043 --> 00:06:34,043 《うわっ! ああ…。 何なんだ この吸引力は》 42 00:06:42,056 --> 00:06:45,059 《うう… ああ 光が》 43 00:06:45,059 --> 00:06:47,061 《あそこが出口か?》 44 00:06:47,061 --> 00:06:50,064 《ああ… ああっ 光が!》 45 00:06:50,064 --> 00:06:54,068 《あーっ!》 46 00:06:54,068 --> 00:07:02,076 ハァ ハァ…。 47 00:07:02,076 --> 00:07:07,081 (ざわめき) 48 00:07:07,081 --> 00:07:10,081 《こっ ここは…》 49 00:07:15,089 --> 00:07:17,089 《どこなんだー!》 50 00:07:20,094 --> 00:07:25,099 《ん? これは… ポンペイの ヴェスビオス火山ではないか!》 51 00:07:25,099 --> 00:07:30,038 なあ あんた ずーっと 湯船の底に沈んどったのか? 52 00:07:30,038 --> 00:07:32,040 気付かんかったよ。 53 00:07:32,040 --> 00:07:35,043 《そして ローマ人じゃない!》 54 00:07:35,043 --> 00:07:37,045 《顔が平たい!》 55 00:07:37,045 --> 00:07:40,048 《そうか ここは おそらく 奴隷用の公衆浴場で→ 56 00:07:40,048 --> 00:07:43,051 私は うっかり 入り込んでしまったのか》 57 00:07:43,051 --> 00:07:48,056 うっ… こっ 言葉 わっ 分からんみたいじゃのう。 58 00:07:48,056 --> 00:07:51,059 困ったなぁ 連れはいないのかな。 59 00:07:51,059 --> 00:07:54,062 《なるほど。 あそこで排水した湯が→ 60 00:07:54,062 --> 00:07:56,064 この平たい顔の 奴隷の漬かる風呂に→ 61 00:07:56,064 --> 00:07:59,067 流されるという仕組みなのだな》 62 00:07:59,067 --> 00:08:01,069 ちょっと あんた 湯あたりすっから→ 63 00:08:01,069 --> 00:08:03,071 外に出た方が いいんじゃないの? 64 00:08:03,071 --> 00:08:07,075 《ここは ローマ人の入る 風呂じゃないということか》 65 00:08:07,075 --> 00:08:11,079 ねっ 外 出る。 えーと…。 66 00:08:11,079 --> 00:08:13,081 《まあ それも最もであろう》 67 00:08:13,081 --> 00:08:17,085 《ここは 奴隷たちが 唯一 くつろげる場所なのだからな》 68 00:08:17,085 --> 00:08:19,087 《それにしても ずいぶんと→ 69 00:08:19,087 --> 00:08:22,090 文明の発達した様子のものが あるではないか》 70 00:08:22,090 --> 00:08:24,092 《今まで 見たこともない素材》 71 00:08:24,092 --> 00:08:28,029 《そして 何て美しい黄色なのだ》 72 00:08:28,029 --> 00:08:31,032 アッハッハッハ! それ 珍しいのかい? 73 00:08:31,032 --> 00:08:35,036 《この男は 何を へらへらと 笑いながら訴えているのだ》 74 00:08:35,036 --> 00:08:37,038 《世界に名だたる ローマ人のくせに→ 75 00:08:37,038 --> 00:08:41,042 こんなものを作る技術もないと バカにしているのだな》 76 00:08:41,042 --> 00:08:45,046 さっ ここの主人 俺の幼なじみだからさ→ 77 00:08:45,046 --> 00:08:48,049 こんな おけぐらい もらってやるよ。 78 00:08:48,049 --> 00:08:51,049 《奴隷の分際で ローマ人をバカにするとは…》 79 00:08:54,055 --> 00:08:56,055 おおっ! 80 00:08:58,059 --> 00:09:01,062 おお…。 81 00:09:01,062 --> 00:09:05,066 (さだ)ちわーっす。 今日も暑くて嫌んなるね。 82 00:09:05,066 --> 00:09:08,066 あら さだちゃん。 いらっしゃい。 83 00:09:10,071 --> 00:09:16,077 おおっ! 巨大な一枚板の鏡。 こんな大きな鏡が…。 84 00:09:16,077 --> 00:09:20,081 さらに この… この催し物の 告知の絵の完璧さ。 85 00:09:20,081 --> 00:09:24,085 あんた あべ ひろすに ちょっと似てんじゃないの? 86 00:09:24,085 --> 00:09:26,104 ん? 87 00:09:26,104 --> 00:09:29,023 はっ! 何なのだ これは…。 88 00:09:29,023 --> 00:09:32,026 気持ちいい風が 湯上がりの火照った体に→ 89 00:09:32,026 --> 00:09:34,028 気持ち良く吹き付けてくる。 90 00:09:34,028 --> 00:09:37,031 あー…。 91 00:09:37,031 --> 00:09:42,036 《そして なぜ 私は 「あー」と言ってしまうのか》 92 00:09:42,036 --> 00:09:46,040 《この奴隷風呂 使える》 93 00:09:46,040 --> 00:09:50,044 《大きさや豪華さだけが 重要視されている 今の浴場から→ 94 00:09:50,044 --> 00:09:53,047 よりシンプルに そして 多機能に》 95 00:09:53,047 --> 00:09:58,052 服… 見つかんないのかなぁ。 96 00:09:58,052 --> 00:10:02,056 《そして 温浴室には 美しい ヴェスビオス火山の壁画を用い→ 97 00:10:02,056 --> 00:10:06,060 脱衣場には 巨大な一枚鏡と 催し物の告知》 98 00:10:06,060 --> 00:10:09,063 《これは 斬新さを求めている 今のローマに→ 99 00:10:09,063 --> 00:10:10,732 ぴったりではないか!》 100 00:10:10,732 --> 00:10:12,967 《それにしても この者たちは→ 101 00:10:12,967 --> 00:10:15,970 なぜ ここまで進んだ技術を 持っているのだ》 102 00:10:15,970 --> 00:10:18,973 《それに比べて 長い年月 アテネにまで赴き→ 103 00:10:18,973 --> 00:10:22,977 学んできた私は 何であったのか…》 104 00:10:22,977 --> 00:10:25,980 あんた! 具合悪いのかい? 105 00:10:25,980 --> 00:10:29,917 《いや この平たい顔族が 高い技術を持ち→ 106 00:10:29,917 --> 00:10:32,687 かつ 風呂文化を ことのほか 大切にしていることは→ 107 00:10:32,687 --> 00:10:34,355 よく分かった》 108 00:10:34,355 --> 00:10:38,025 《しかし こうして ローマの一部になったからには→ 109 00:10:38,025 --> 00:10:42,029 われわれ ローマ人が その文化を 吸収する権利があることを→ 110 00:10:42,029 --> 00:10:44,031 彼らに 知らしめなくてはならない》 111 00:10:44,031 --> 00:10:46,033 なあ。 112 00:10:46,033 --> 00:10:48,035 ん? 113 00:10:48,035 --> 00:10:50,037 ほら フルーツ牛乳。 114 00:10:50,037 --> 00:10:54,041 日本の銭湯に来たら これは 飲んでおかねえと。→ 115 00:10:54,041 --> 00:10:58,045 よっ。 ほら 兄さんの 栓 抜いたよ。→ 116 00:10:58,045 --> 00:11:02,049 これ飲んだら すっきりするよ。 117 00:11:02,049 --> 00:11:05,052 《何だ 飲めというのか?》 118 00:11:05,052 --> 00:11:09,056 《うーん… 確かに 喉が渇いた》 119 00:11:09,056 --> 00:11:13,056 《取りあえず この喉の渇きを潤さねば》 120 00:11:19,066 --> 00:11:23,070 《なっ!? こっ これ…》 121 00:11:23,070 --> 00:11:29,010 《うわーっ!》 122 00:11:29,010 --> 00:11:31,012 《うまい!》 123 00:11:31,012 --> 00:11:34,015 《しかも 冷たくて 甘い!》 124 00:11:34,015 --> 00:11:37,018 《牛の乳に 温帯の甘い果実の汁が加わったかのような風味》 125 00:11:37,018 --> 00:11:39,020 《雪のような冷たさ》 126 00:11:39,020 --> 00:11:44,025 《湯上がりの火照った体に 染み込む 柔らかな味》 127 00:11:44,025 --> 00:11:46,027 《この世のものなのか?》 128 00:11:46,027 --> 00:11:52,033 ほーら おばちゃん。 やっぱり 気に入ったよ。 129 00:11:52,033 --> 00:11:57,038 《ああ… この甘味が 夢心地にさせてくれる》 130 00:11:57,038 --> 00:12:00,038 じゃあ もう1本 いっとく? 131 00:12:02,043 --> 00:12:04,043 あれ? 132 00:12:06,047 --> 00:12:08,049 ルシウス! おい ルシウス! 133 00:12:08,049 --> 00:12:13,054 あ… あれ? あの平たい顔の奴隷は? 134 00:12:13,054 --> 00:12:15,056 何 言ってんだよ。 135 00:12:15,056 --> 00:12:18,059 お前 しばらく 浴槽に 沈んでたんだぞ! 136 00:12:18,059 --> 00:12:22,063 あっ あれは 夢だったのか。 ≪(物音) 137 00:12:22,063 --> 00:12:24,063 あっ! 138 00:12:27,001 --> 00:12:31,001 夢だけど 夢じゃなかった! 139 00:12:37,011 --> 00:12:39,013 おい 聞いたか。 (男性)何を? 140 00:12:39,013 --> 00:12:42,016 近所にできた 新しい浴場だよ。 141 00:12:42,016 --> 00:12:46,020 ああ あのヴェスビオス火山が 壁に描かれてる浴場だろ。 142 00:12:46,020 --> 00:12:48,022 (男性)何でも 風呂上がりに出る飲み物が→ 143 00:12:48,022 --> 00:12:51,025 この世のものと思えないほど うまいらしいぜ。 144 00:12:51,025 --> 00:12:54,025 (男性)ほ~。 なら 今度 行ってみるか。 145 00:12:57,031 --> 00:13:02,036 ほ~ ここに脱いだ衣服を 入れておけばよいのか。 146 00:13:02,036 --> 00:13:05,039 見張りの奴隷が 台に座って見ててくれるので→ 147 00:13:05,039 --> 00:13:07,041 安心ですよ。 148 00:13:07,041 --> 00:13:09,043 (男性)あっ この喜劇 先週 俺 見たよ。 149 00:13:09,043 --> 00:13:11,643 (男性) 俺も これ行きたかったんだ。 150 00:13:13,281 --> 00:13:17,051 (男性)風流じゃの~。 151 00:13:17,051 --> 00:13:21,055 ハァ… ヴェスビオス火山には→ 152 00:13:21,055 --> 00:13:24,055 やっぱり ナポリ湾と 松の木ですよね。 153 00:13:26,077 --> 00:13:28,996 (従業員)はーい 並んで 並んで! 154 00:13:28,996 --> 00:13:33,000 こちらが 果汁入り 牛の乳 飲料ですよ! 155 00:13:33,000 --> 00:13:36,003 1人1本までで お願いします。 156 00:13:36,003 --> 00:13:39,006 いや すっげ~な ルシウス。 157 00:13:39,006 --> 00:13:41,008 ちょっと前まで 失業して 落ち込んでたのに→ 158 00:13:41,008 --> 00:13:45,012 今や 大人気の建築家ときたもんだ。 159 00:13:45,012 --> 00:13:47,014 いったい どうしたってんだよ。 160 00:13:47,014 --> 00:13:51,018 ルシウスさま! 牛を もう一頭 調達しないと→ 161 00:13:51,018 --> 00:13:56,023 乳の量が足りません。 そうか。 よろしく頼む。 162 00:13:56,023 --> 00:13:59,026 いや すっげ~なぁ。 163 00:13:59,026 --> 00:14:01,028 《すまんが マルクス→ 164 00:14:01,028 --> 00:14:03,030 私にも まだ 分からないことだらけなのだ》 165 00:14:03,030 --> 00:14:05,032 《例えば この瓶》 166 00:14:05,032 --> 00:14:09,036 《あの世界で作られたものは 恐ろしいほど完璧な形》 167 00:14:09,036 --> 00:14:13,040 《なのに ローマ人の職人の業を 持ってしても これが限界だ》 168 00:14:13,040 --> 00:14:16,043 だけどよ ルシウスよ。 169 00:14:16,043 --> 00:14:18,045 これ もうちょっとだけ 冷えてると→ 170 00:14:18,045 --> 00:14:21,048 もっと うまい気がするんだけどなぁ。 171 00:14:21,048 --> 00:14:23,050 これでも 地下水を使って→ 172 00:14:23,050 --> 00:14:26,020 冷やせるだけ 冷やしてはいるのだが。 173 00:14:26,020 --> 00:14:28,889 《そして あの世界では この飲み物は→ 174 00:14:28,889 --> 00:14:31,892 なぜ あんなにまで 冷えていたのか》 175 00:14:31,892 --> 00:14:33,894 《さらに 運ぶとき 中身が こぼれぬよう→ 176 00:14:33,894 --> 00:14:36,897 瓶の口に ふたをしてみたのだが→ 177 00:14:36,897 --> 00:14:39,900 これが開けるとき どうも うまくいかない》 178 00:14:39,900 --> 00:14:43,904 《あの平たい顔の男 何を使って スッポンと→ 179 00:14:43,904 --> 00:14:46,907 いとも簡単に ふたを開けたのだろうか》 180 00:14:46,907 --> 00:14:50,911 《そして あの平たい顔の 奴隷たちの浴場》 181 00:14:50,911 --> 00:14:53,914 《その後 いくら捜しても 見つからない》 182 00:14:53,914 --> 00:14:55,916 《もう一度 あそこに行って→ 183 00:14:55,916 --> 00:14:57,916 学んでくるすべは ないのだろうか》 184 00:14:59,920 --> 00:15:04,925 そういえば ルシウス この前 お前が溺れた浴場。 185 00:15:04,925 --> 00:15:07,928 何でも 浴槽に でっかい穴が見つかって→ 186 00:15:07,928 --> 00:15:10,931 危ないからって 近く 取り壊すらしいぜ。 187 00:15:10,931 --> 00:15:16,937 えっ!? いかん! (マルクス)おっ おい!→ 188 00:15:16,937 --> 00:15:18,939 どこ行くんだ ルシウス! 189 00:15:18,939 --> 00:15:21,942 せっ せめて あのスッポンが どうなってるかだけ→ 190 00:15:21,942 --> 00:15:23,942 確かめてくる! 191 00:15:25,946 --> 00:15:35,946 ♪♪~ 192 00:18:47,047 --> 00:18:49,049 (使者)《ルシウス!》 193 00:18:49,049 --> 00:18:52,052 《ルシウス・モデストゥスは いるか!》 194 00:18:52,052 --> 00:18:54,054 《ルシウスは 私だが?》 195 00:18:54,054 --> 00:18:57,057 (使者)《私は レピドゥス執政官の使いの者だが→ 196 00:18:57,057 --> 00:19:01,057 ぜひ 貴君の力を 貸してほしいのだ!》 197 00:19:03,063 --> 00:19:05,063 はっ! 198 00:19:23,083 --> 00:19:27,755 (レピドゥス)ああ… そなたが 高名な 浴場設計技師 ルシウスか。 199 00:19:27,755 --> 00:19:29,990 (レピドゥス)遠いところ 呼び出して悪かったの。 200 00:19:29,990 --> 00:19:31,992 (せき) 201 00:19:31,992 --> 00:19:34,995 いえ… 私にできることなら。 202 00:19:34,995 --> 00:19:41,001 ああ… 実は この家の屋外に 浴場を造ってほしいのだ。 203 00:19:41,001 --> 00:19:42,937 屋外に!? 204 00:19:42,937 --> 00:19:45,940 (レピドゥス)レグルス そこの よろい戸を開けてくれ。 205 00:19:45,940 --> 00:19:48,940 ≪(戸の開く音) あっ? こ… これは! 206 00:19:51,946 --> 00:19:55,950 (レピドゥス)ああ。 本物のヴェスビオス火山じゃよ。→ 207 00:19:55,950 --> 00:19:59,954 わしは ここで この山を 見ながら育ったんじゃ。 208 00:19:59,954 --> 00:20:04,959 数カ月前 まだ 自由に歩けるころ。(せき) 209 00:20:04,959 --> 00:20:08,963 (レピドゥス)そなたの造った 壁にヴェスビオス山の絵が→ 210 00:20:08,963 --> 00:20:12,967 描かれた ローマの浴場に いたく感激してな。→ 211 00:20:12,967 --> 00:20:15,970 わしの命は 残すところ あとわずか。 212 00:20:15,970 --> 00:20:17,972 (せき) 213 00:20:17,972 --> 00:20:22,977 できれば その余生で 大好きな山を眺めながら→ 214 00:20:22,977 --> 00:20:26,981 外で 風呂に漬かりたいのだ。 215 00:20:26,981 --> 00:20:30,985 ルシウスよ。 わしの その ささやかな願い→ 216 00:20:30,985 --> 00:20:32,985 かなえてはもらえないか? 217 00:20:36,991 --> 00:20:40,995 ここに水道を引いて 湯を沸かすとなると 一大事だな。 218 00:20:40,995 --> 00:20:44,932 別荘の水は カンパニア州を巡る アウグスタ水道から引いているのか。 219 00:20:44,932 --> 00:20:49,937 (レグルス)はい。 でも ルシウス殿 水なら水道管など引かなくても→ 220 00:20:49,937 --> 00:20:52,940 湧いておりますが。 何!? 湧き水があるのか! 221 00:20:52,940 --> 00:20:54,940 あ… はい。 222 00:20:57,945 --> 00:21:01,949 これは また 大した水量ではないか! 223 00:21:01,949 --> 00:21:03,951 うん? 温かいぞ。 224 00:21:03,951 --> 00:21:06,954 ヴェスビオスが 噴火したときから湧き出してるみたいでして。 225 00:21:06,954 --> 00:21:08,956 魚も泳いでいないし→ 226 00:21:08,956 --> 00:21:11,959 ただの水ではないと 思っていたんですが。 227 00:21:11,959 --> 00:21:13,961 もし この水が 風呂に使えるなら…。 228 00:21:13,961 --> 00:21:15,963 なぬ!? ルシウス殿 何を? 229 00:21:15,963 --> 00:21:18,966 この イタリア半島には 何カ所か→ 230 00:21:18,966 --> 00:21:21,969 火山で沸かされた地下水があると 聞いていたが→ 231 00:21:21,969 --> 00:21:23,971 まさか こんな所にも あったとはな。 232 00:21:23,971 --> 00:21:26,974 ルシウス殿 お気を付けて! 233 00:21:26,974 --> 00:21:28,976 これは 使える。 234 00:21:28,976 --> 00:21:31,979 この 湯の湧き立つ 源泉を突き止めることができれば。 235 00:21:31,979 --> 00:21:33,981 おわっ! 236 00:21:33,981 --> 00:21:35,981 ルシウス殿! 237 00:21:37,985 --> 00:21:39,987 《水面より 底の方が熱い》 238 00:21:39,987 --> 00:21:42,987 《これは そのまま 浴場に引いて使えるぞ!》 239 00:21:44,925 --> 00:21:49,925 すごいぞ! この湯があれば 湯たきの奴隷はいらぬかもしれぬ。 240 00:21:51,932 --> 00:21:53,932 おい レグルスか。 どうした? 241 00:21:58,939 --> 00:22:01,942 うわーっ! 何だ 貴様らは! 242 00:22:01,942 --> 00:22:05,946 ここから 出ていけ! なっ 何をするか! 243 00:22:05,946 --> 00:22:09,950 こらー! ダメダメ! ほらっ! 244 00:22:09,950 --> 00:22:11,952 あ~あ もう。 ちょっと ちょっと→ 245 00:22:11,952 --> 00:22:13,954 駄目だってばよ お客さん。 246 00:22:13,954 --> 00:22:17,958 ここは 猿専用の温泉なんだから。 《こ… これは 平たい顔!》 247 00:22:17,958 --> 00:22:21,962 《私は また あの高度な 文明社会に戻ってきたのか?》 248 00:22:21,962 --> 00:22:25,966 ジス 湯 イズ モンキー オンリー! 駄目! 249 00:22:25,966 --> 00:22:27,968 人間 イズ あっち! 250 00:22:27,968 --> 00:22:30,971 《ん? 平たい顔族が 湯に 漬かっている》 251 00:22:30,971 --> 00:22:33,974 《ローマでは いまだ存在しない屋外浴場が→ 252 00:22:33,974 --> 00:22:37,978 ここ 平たい顔族の国では 当然のように定着し…》 253 00:22:37,978 --> 00:22:43,016 《しかも こんな奇妙な動物でさえ湯に親しんでいる》 254 00:22:43,016 --> 00:22:45,018 あー ちょっと… あんた 駄目だってば 駄目だってば! 255 00:22:45,018 --> 00:22:48,021 服 着てけろ! 服! 256 00:22:48,021 --> 00:22:51,024 《FUC?》 えっ? 服ないの? 257 00:22:51,024 --> 00:22:56,029 あー じゃ これ使って これ。 すかたねぇな。 258 00:22:56,029 --> 00:22:59,032 《ローマと違って この国では 裸体に対して 何らかの→ 259 00:22:59,032 --> 00:23:01,001 抵抗感が あるようだが…》 260 00:23:01,001 --> 00:23:06,039 《この肌触りのいい トーガなら 火照った体にも 心地いいな》 261 00:23:06,039 --> 00:23:09,042 どうだや? いい眺めだっぺよ! 262 00:23:09,042 --> 00:23:12,045 《こんな 風光明媚な場所に 浴場を設ける→ 263 00:23:12,045 --> 00:23:15,048 ギリシャ人も 顔負けな美的感覚》 264 00:23:15,048 --> 00:23:18,051 《私も こうしてはおれぬ》 265 00:23:18,051 --> 00:23:23,056 お~い 何だ? 風呂の入り方 分かんだべか? 266 00:23:23,056 --> 00:23:25,058 《ん? 何だ あれは?》 267 00:23:25,058 --> 00:23:32,065 《何かの 装置であろうか?》 フハハハ! 早速 温泉卵 見づげた! 268 00:23:32,065 --> 00:23:34,067 《卵?》 269 00:23:34,067 --> 00:23:39,072 ほ~ら よかったら ここに 温泉卵の中身さ出したのあんべよ。 270 00:23:39,072 --> 00:23:42,009 《これが この熱された地下水で ゆでた卵の中身なのか?》 271 00:23:42,009 --> 00:23:45,012 うんめぇぞ 温泉卵。 272 00:23:45,012 --> 00:23:48,012 スプーンで パクッとな! 273 00:23:53,020 --> 00:23:55,022 うっ…。 274 00:23:55,022 --> 00:23:57,024 うまい! 何だ この食感! 275 00:23:57,024 --> 00:24:00,027 《半熟のようでいて そうではなくこんな うまいゆで卵→ 276 00:24:00,027 --> 00:24:03,030 ローマ広しといえども 存在せぬぞ!》 277 00:24:03,030 --> 00:24:06,033 気に入ったっぺか? あっ 気に入ったっぺか? 278 00:24:06,033 --> 00:24:10,037 アハハハッ! 温泉卵 気に入ったみてーだ。 279 00:24:10,037 --> 00:24:13,040 《うむむ… もう一個 もらえないだろうか?》 280 00:24:13,040 --> 00:24:17,044 ほら せっかくだから これも 飲んでけ! 281 00:24:17,044 --> 00:24:21,048 《飲み物? かなりきつい 発酵臭がするようだが…》 282 00:24:21,048 --> 00:24:25,048 酒だよ 酒! くいっとな くいっと! 283 00:24:29,056 --> 00:24:32,059 うまい! そして 卵に すごく合う! 284 00:24:32,059 --> 00:24:36,063 (男性)おお! 結構 いける口だな。 285 00:24:36,063 --> 00:24:40,067 どら もう一杯。 286 00:24:40,067 --> 00:24:43,003 《私は ローマ人だけが この世にあり得る快楽の→ 287 00:24:43,003 --> 00:24:47,007 全てを知り尽くしているのだと 信じて疑わずいたのだが→ 288 00:24:47,007 --> 00:24:51,011 それは 間違いだったらしい》 289 00:24:51,011 --> 00:24:56,016 《何なんだ… 何なんだ このとてつもない 心地のよさは》 290 00:24:56,016 --> 00:25:00,020 ほれ 卵のお代わりだ。 291 00:25:00,020 --> 00:25:02,022 あっ… あっ…? 292 00:25:02,022 --> 00:25:08,028 (レグルス)ルシウス殿! ルシウス殿!大丈夫ですか? 293 00:25:08,028 --> 00:25:11,031 《また あっけなく 終わってしまった》 294 00:25:11,031 --> 00:25:15,035 レグルス! すぐに屋外浴場建造の準備に取り掛かるぞ! 295 00:25:15,035 --> 00:25:17,037 えっ? あっ… はい! 296 00:25:17,037 --> 00:25:20,037 《鉄は 熱いうちに たたくのだ!》 297 00:25:23,043 --> 00:25:25,045 ルシウスか! レピドゥス執政官!? 298 00:25:25,045 --> 00:25:29,049 ええっ! アッハハハッ! 299 00:25:29,049 --> 00:25:32,052 お前のおかげで 風呂で 死ぬつもりが→ 300 00:25:32,052 --> 00:25:36,056 逆に 新しい妻と 子供を増やしてしもうたわい。 301 00:25:36,056 --> 00:25:39,059 そっ… それは何よりでございます。 302 00:25:39,059 --> 00:25:41,995 (レピドゥス)お前さまのアドバイスどおりに こうやって 欠かさず→ 303 00:25:41,995 --> 00:25:44,998 温かいワインを 飲みながら 湯に漬かり→ 304 00:25:44,998 --> 00:25:50,003 この湯で ゆでた 卵を 毎日食べてるせいかのう。 アハハッ。→ 305 00:25:50,003 --> 00:25:55,008 今日 お前を呼んだのは 1つ 気になることがあってな。 306 00:25:55,008 --> 00:25:58,011 何でしょう? ほら あそこ。 307 00:25:58,011 --> 00:26:02,015 あっ? なっ!! (レピドゥス)うむ。→ 308 00:26:02,015 --> 00:26:06,019 特に 危害を加えてくるとかでは ないから いいが…。→ 309 00:26:06,019 --> 00:26:10,023 お主 あれが何なのか 存ぜぬか? 310 00:26:10,023 --> 00:26:16,029 い… いや 存じませぬな ハハハハ…。 311 00:26:16,029 --> 00:26:20,033 (レピドゥス)そうか…。 じゃあ このまま放っておくかいのう。→ 312 00:26:20,033 --> 00:26:24,037 えっ? 猿が 去るまで なんちゃって! 313 00:26:24,037 --> 00:26:28,037 《あやつ どうやって 返るつもりなのか?》 314 00:26:31,044 --> 00:26:41,044 ♪♪~ 315 00:30:35,055 --> 00:30:40,055 (ユウ)ここで お別れです。 さようなら 桜満 集。 316 00:30:43,063 --> 00:30:45,065 (涯)うっ くっ…。 317 00:30:45,065 --> 00:30:47,065 あぁ…! 318 00:30:49,069 --> 00:30:52,072 だから ほっとけないんだ お前は…。 319 00:30:52,072 --> 00:30:54,072 (集)涯…。 320 00:30:56,076 --> 00:30:59,079 (嘘界)ヴォイド? あの街 全てが?