1 00:00:10,240 --> 00:00:29,600 ・~ 2 00:00:29,600 --> 00:00:34,470 ・「若い人 白い夢」 3 00:00:34,470 --> 00:00:38,310 ・「真昼の空に ふんわりと」 4 00:00:38,310 --> 00:00:43,780 ・「浮んだ雲より デッかくて」 5 00:00:43,780 --> 00:00:50,220 ・「ヨットの帆よりも まだ白い」 6 00:00:50,220 --> 00:00:55,090 ・「若い人 白い夢」 7 00:00:55,090 --> 00:01:01,730 ・「ヨットの帆よりも まだ白い」 8 00:01:01,730 --> 00:01:15,240 ・~ 9 00:01:15,240 --> 00:01:20,580 ・「若い人 青い花」 10 00:01:20,580 --> 00:01:24,380 ・「二つ並んだ 足跡を」 11 00:01:24,380 --> 00:01:29,590 ・「消さないようにと 風が吹く」 12 00:01:29,590 --> 00:01:35,930 ・「月夜の唄より まだ青い」 13 00:01:35,930 --> 00:01:41,100 ・「若い人 青い花」 14 00:01:41,100 --> 00:01:50,780 ・「月夜の唄より まだ青い」 15 00:01:50,780 --> 00:01:53,050 (生徒)おはようございます。 16 00:01:53,050 --> 00:01:54,980 (生徒)おはようございます。 (生徒)おはよう。 17 00:01:54,980 --> 00:01:57,350 (生徒)おはよう。 (生徒)おはよう。 (生徒)おはよう。 18 00:01:57,350 --> 00:02:00,720 (生徒)おはよう! (生徒)おはよう! 19 00:02:00,720 --> 00:02:06,360 (間崎)<南の国の港町の小高い丘に 我々の学校がある。・ 20 00:02:06,360 --> 00:02:10,230 校長は ミス・ケートという アメリカ婦人。・ 21 00:02:10,230 --> 00:02:13,130 私は 数学担当の教師である> 22 00:02:13,130 --> 00:02:18,740 (鐘の音) 23 00:02:18,740 --> 00:02:20,770 (クラス委員)起立!・ 24 00:02:20,770 --> 00:02:23,910 礼! (一同)おはようございます。 25 00:02:23,910 --> 00:02:25,910 おはよう。 26 00:02:37,390 --> 00:02:40,260 何ですか? 先生。 何ですか? 27 00:02:40,260 --> 00:02:42,760 試験だ。 (生徒たちのざわめき) 28 00:02:42,760 --> 00:02:45,400 先生 約束が違うわ! ずるいわ! 29 00:02:45,400 --> 00:02:47,330 うるさいぞ! 30 00:02:47,330 --> 00:02:50,540 さあ みんな 教科書や ノートをしまう。 31 00:02:50,540 --> 00:02:52,870 (騒ぐ声) 32 00:02:52,870 --> 00:02:55,780 黙って 後ろに回しなさい。 33 00:02:55,780 --> 00:02:58,580 たかが試験ぐらいで騒ぐんじゃない。 34 00:03:00,350 --> 00:03:02,350 誰だ? ここは。 35 00:03:12,560 --> 00:03:15,600 こら! 江波 また遅刻だぞ! 36 00:03:15,600 --> 00:03:18,400 遅いぞ! もっと速く走れ! 37 00:03:31,750 --> 00:03:35,920 こらこら! みんな 自分の席に帰って。 (生徒たち)はい。 38 00:03:35,920 --> 00:03:37,850 今は 試験中だぞ。 39 00:03:37,850 --> 00:03:40,390 何よ 自分だって3年前まで 学生だったくせに。 40 00:03:40,390 --> 00:03:43,260 自分が 試験で苦しめられたもんだから 私たちを いじめたいのよ。 41 00:03:43,260 --> 00:03:45,260 どうだろ あのうれしそうな顔。 42 00:03:53,700 --> 00:03:55,640 (恵子)間崎先生。 何だ? 43 00:03:55,640 --> 00:03:59,040 私が遅刻する度に バカみたいに 大きな声で どならないでください。 44 00:03:59,040 --> 00:04:02,080 恥かいちゃうわ。 (笑い声) 45 00:04:02,080 --> 00:04:04,210 そんなに恥ずかしかったら 遅刻してくるな。 46 00:04:04,210 --> 00:04:06,880 先生は どうして 私だけに どなるんですか? ん? 47 00:04:06,880 --> 00:04:08,820 そんなに どなりたかったら みんなに どなりなさい。 48 00:04:08,820 --> 00:04:10,750 誰かが 遅刻してくるたんびに バカみたいに 大きな声で・ 49 00:04:10,750 --> 00:04:12,750 どなってればいいんだわ。 先生には似合ってる! 50 00:04:12,750 --> 00:04:16,220 ああ 分かった 分かった。 もういい。 そんな怖い顔しないで 席 着け。 51 00:04:16,220 --> 00:04:18,160 ああ… これ。 52 00:04:18,160 --> 00:04:20,860 何ですか? 試験だ。 53 00:04:31,070 --> 00:04:33,010 (せきばらい) 54 00:04:33,010 --> 00:04:36,210 (生徒たちの せきばらい) 55 00:04:43,580 --> 00:04:46,250 名前を落とさないように。 56 00:04:46,250 --> 00:04:52,030 早くできた者も 慌てて出さないで もう一度 よく見直してみる。 57 00:04:52,030 --> 00:04:54,730 いいね! 58 00:04:56,700 --> 00:05:07,870 ・~ 59 00:05:07,870 --> 00:05:09,870 (橋本)あっ…。 60 00:05:14,350 --> 00:05:19,220 何を見てるんだ! (生徒たちの せきばらい) 61 00:05:19,220 --> 00:05:22,720 さあ あと8分20秒しかないぞ。 62 00:05:42,380 --> 00:05:44,310 落書きの試験じゃないぞ。 63 00:05:44,310 --> 00:05:46,310 (生徒の笑い声) 64 00:06:01,700 --> 00:06:05,030 (畠中)はあ~ どうも 女ばかりの学校ってのは・ 65 00:06:05,030 --> 00:06:08,700 何となく うっとうしくて かなわんなあ。 同感ですね。 66 00:06:08,700 --> 00:06:13,540 (山形)でも 私なんか 男女共学なんて 何だか 怖いような気がしますね。 67 00:06:13,540 --> 00:06:16,040 いや~ 男がいる方が 風通しがよくて いいですよ。 68 00:06:16,040 --> 00:06:19,710 そのかわり 我々は 今みたいに モテなくなるかもしれんがね。 69 00:06:19,710 --> 00:06:22,410 ハハハ! そりゃそうだ。 同感ですな。 ハハハ! 70 00:06:25,220 --> 00:06:27,720 お返しします。 ああ わざわざ どうも。 71 00:06:27,720 --> 00:06:32,060 授業中 おふざけになっては困りますわ。 すいません。 72 00:06:32,060 --> 00:06:34,900 大体 間崎先生は 日常生活と教師としての生活を・ 73 00:06:34,900 --> 00:06:36,830 混同なさり過ぎると思いますわ。 74 00:06:36,830 --> 00:06:41,770 僕はね 教師としての僕と 日頃の僕と 区別が つかないたちでね。 75 00:06:41,770 --> 00:06:44,600 まあ それはそれで いいんじゃないかと 思ってんです。 76 00:06:44,600 --> 00:06:46,900 それにしても 限度があります。 77 00:06:49,410 --> 00:06:51,680 橋本先生。 何でしょう? 78 00:06:51,680 --> 00:06:54,710 僕が この学校に入ってきて みんなの先生に紹介された時ね・ 79 00:06:54,710 --> 00:06:56,850 あなたは さっきのような…。 80 00:06:56,850 --> 00:06:59,520 いや 今のような目つきで 僕のこと にらんでましたね。 81 00:06:59,520 --> 00:07:03,190 僕は なんて恐ろしい目をした…。 82 00:07:03,190 --> 00:07:05,530 その割には きれいな人だなと 思ったんですよ。 83 00:07:05,530 --> 00:07:09,030 ここは職員室です。 そんなお話をなさるとこじゃありません。 84 00:07:15,870 --> 00:07:18,340 うわ~。 (舌打ち) 85 00:07:18,340 --> 00:07:20,340 台風の影響かなあ。 86 00:07:23,040 --> 00:07:25,710 さすがは橋本先生だ。 用意が いいですね。 87 00:07:25,710 --> 00:07:28,050 あ どうも…。 何ですの? 88 00:07:28,050 --> 00:07:30,080 入れてくれないんですか? 先生みたいな大きな体・ 89 00:07:30,080 --> 00:07:32,080 この傘には入りません。 90 00:07:40,560 --> 00:07:43,600 もっと 中に入らないと ぬれますよ。 構いません。 91 00:07:43,600 --> 00:07:46,730 あ 橋本先生。 92 00:07:46,730 --> 00:07:50,000 先生は 江波恵子のことを どう思いますか? 93 00:07:50,000 --> 00:07:52,910 どうって? 僕は どうも苦手なんですよ。 94 00:07:52,910 --> 00:07:55,310 私も苦手ですわ。 95 00:07:55,310 --> 00:07:58,010 でも 先生のおっしゃるのとは 違う意味ででしょうけど。 96 00:07:58,010 --> 00:07:59,950 どういう意味ですか? 97 00:07:59,950 --> 00:08:05,520 私 あの子と向かい合ってると 教師と生徒っていう気がしませんの。 98 00:08:05,520 --> 00:08:09,320 何だか 対等の女同士のような気がして 息苦しいみたいな…。 99 00:08:09,320 --> 00:08:12,190 でも あの子は 先生の前じゃ おとなしいそうですね。 ええ。 100 00:08:12,190 --> 00:08:15,200 わざと おとなしくしてるんだってことが よ~く分かるんです。 101 00:08:15,200 --> 00:08:18,530 それが 私 嫌ですわ。 はあ…。 102 00:08:18,530 --> 00:08:21,570 江波さん 先生が好きなんですわ。 はっ? 何か言いました? 103 00:08:21,570 --> 00:08:24,870 いえ 何でもありません。 先生 怒りませんか? 104 00:08:24,870 --> 00:08:27,210 何ですの? いや 今日ね・ 105 00:08:27,210 --> 00:08:29,210 江波が 試験の時間に 落書きしましてね。 106 00:08:29,210 --> 00:08:31,710 ちょうど こういうスタイルに 相合い傘でね。 107 00:08:31,710 --> 00:08:35,550 片っぽに 橋本スミ子先生 片っぽに 間崎慎太郎のバカときた。 108 00:08:35,550 --> 00:08:37,880 ハハハハ! あっ! 109 00:08:37,880 --> 00:08:41,720 怒ったんですか? やっぱり。 怒りませんわ。 110 00:08:41,720 --> 00:08:43,660 あなたは 僕と一緒にいる時は・ 111 00:08:43,660 --> 00:08:46,360 何か 怒ったんだか怒んないんだか 分かんないような顔してるな。 112 00:08:46,360 --> 00:08:50,230 生まれつきの顔なんです。 なるほど。 113 00:08:50,230 --> 00:08:52,170 先生は 私と話す時・ 114 00:08:52,170 --> 00:08:55,000 冗談とも本気ともつかぬ顔して おっしゃいますのね。 115 00:08:55,000 --> 00:08:58,040 あ そうですか? きっと 冗談とも本気とも分からぬままに・ 116 00:08:58,040 --> 00:09:01,170 おふくろの腹から出てきたんだな。 そういえば そんな気がするな。 117 00:09:01,170 --> 00:09:03,840 私 何でも冗談にしてしまう方 嫌いです。 118 00:09:03,840 --> 00:09:06,510 ああ ぬれますよ。 構いません。 119 00:09:06,510 --> 00:09:09,020 (ミス・ケート)オー ミス・ハシモト! ミスター・マサキ! 120 00:09:09,020 --> 00:09:12,520 モウ 雨ハ ヤミマシタデス。 デハ ゴメン。 121 00:09:12,520 --> 00:09:15,320 ああ ほんとだ。 あっ さよなら! 122 00:09:19,860 --> 00:09:21,860 どうも。 123 00:09:27,200 --> 00:09:29,700 これ 江波さんの答案なんです。 124 00:09:29,700 --> 00:09:31,740 いつか 歴史の試験に みんなに書かせたものです。 125 00:09:31,740 --> 00:09:33,870 江波さん ほんとは私じゃなく・ 126 00:09:33,870 --> 00:09:36,210 先生に読んでほしいと思って 書いたんじゃないかと思うんです。 127 00:09:36,210 --> 00:09:39,510 お読みになってください。 失礼します。 128 00:10:18,250 --> 00:10:22,450 「原始社会における家族形態について」か。 129 00:10:27,760 --> 00:10:30,260 「私には 父がない。・ 130 00:10:30,260 --> 00:10:35,770 昔なら 私の戸籍謄本には こう書かれてあるところだ。・ 131 00:10:35,770 --> 00:10:41,410 ハツ私生児 江波恵子。・ 132 00:10:41,410 --> 00:10:43,480 キリストにも 父はない。・ 133 00:10:43,480 --> 00:10:46,610 マリアは 聖霊に感じて おはらみになった。・ 134 00:10:46,610 --> 00:10:49,220 けれども 私の母は…。・ 135 00:10:49,220 --> 00:10:53,050 母は若い時から たくさんの男のお友達に頼って・ 136 00:10:53,050 --> 00:10:55,890 一家の生計を支えてきた。・ 137 00:10:55,890 --> 00:10:58,560 私の父と呼ばれるはずの人も・ 138 00:10:58,560 --> 00:11:03,060 恐らく そのお友達の中の一人に違いない。・ 139 00:11:03,060 --> 00:11:06,730 私の母に たった いっぺん訪れた幸せ。・ 140 00:11:06,730 --> 00:11:09,240 それが 私の父であった。・ 141 00:11:09,240 --> 00:11:12,910 なんて 考える権利は私にはない。 私が生まれたことは・ 142 00:11:12,910 --> 00:11:19,580 私の父と母との愛情などということには 無関係なことだ。・ 143 00:11:19,580 --> 00:11:22,380 私は母を愛している。・ 144 00:11:22,380 --> 00:11:27,920 そして それと同じくらい 母を憎んでいる。・ 145 00:11:27,920 --> 00:11:33,090 母は そのことを知っている。・ 146 00:11:33,090 --> 00:11:35,760 『お母様は 幸せだったことがあるの?』・ 147 00:11:35,760 --> 00:11:38,600 いつか 私が尋ねたことがある。・ 148 00:11:38,600 --> 00:11:41,500 『分からないわ。 何が幸せで何が不幸なのか・ 149 00:11:41,500 --> 00:11:44,770 お母さんには考える力がなくなったの。・ 150 00:11:44,770 --> 00:11:47,270 お母さん お前が そばにいてくれなければ・ 151 00:11:47,270 --> 00:11:50,540 このまま ぼうっとして きちがいになるんじゃないかと思うわ。・ 152 00:11:50,540 --> 00:11:53,350 朝から晩まで 誰にも分からない歌を歌ってるような・ 153 00:11:53,350 --> 00:11:56,220 おとなしい きちがいにね。・ 154 00:11:56,220 --> 00:11:59,050 そしたら お前は どうなるだろうね』・ 155 00:11:59,050 --> 00:12:04,050 お酒を飲んでいた母は すぐ興奮して泣きだした」。 156 00:12:06,230 --> 00:12:10,900 「私の母が 世間からは 娼婦と呼ばれる人であったことを・ 157 00:12:10,900 --> 00:12:14,570 私は 不幸だとも幸せだとも思わない。・ 158 00:12:14,570 --> 00:12:17,900 そんなことは 私には関係のないことだ。・ 159 00:12:17,900 --> 00:12:22,580 たとえ 私の父である人が 私の母を侮辱することによって・ 160 00:12:22,580 --> 00:12:26,910 私の生命が この世に送り出されたものであっても・ 161 00:12:26,910 --> 00:12:34,110 私は 神様を父に持つよりは 人間の父を持つことを欲する」。 162 00:12:37,560 --> 00:12:40,390 「私は 男が知りたい。・ 163 00:12:40,390 --> 00:12:44,260 その男を通して 私の父を感じたい。・ 164 00:12:44,260 --> 00:12:50,540 私の父… 父の肌… 父の匂い…。・ 165 00:12:50,540 --> 00:12:54,040 夜の海に 私はひかれる。・ 166 00:12:54,040 --> 00:13:00,350 あの黒い海の中には 秘密が隠されているような気がする。・ 167 00:13:00,350 --> 00:13:05,550 私の知らない たくさんの秘密が…」。 168 00:13:07,120 --> 00:13:12,360 ・「娘さん よく聞けよ」 169 00:13:12,360 --> 00:13:17,060 ・「山男にゃ惚れるなよ」 170 00:13:17,060 --> 00:13:21,370 ・(フミ)先生。 ・「山で吹かれりゃよ」 171 00:13:21,370 --> 00:13:23,300 (窓をたたく音) ・(フミ)間崎先生! 172 00:13:23,300 --> 00:13:25,570 はい! あっ びっくりした。 173 00:13:25,570 --> 00:13:27,910 そんな大きな声 出さなくても 聞こえますよ! 174 00:13:27,910 --> 00:13:29,840 ・どうもすいません。 175 00:13:29,840 --> 00:13:32,780 お風呂の加減は いかがですか? ・ええ ちょうどいいですよ。 176 00:13:32,780 --> 00:13:36,080 ちょっと出かけてきますから お願いしますよ! ・はいはい。 177 00:13:36,080 --> 00:13:40,950 宿六は いるんですけれどもね 何しろ 本を読み始めると・ 178 00:13:40,950 --> 00:13:44,590 泥棒が「ごめんください」って入ってきても 気が付かないんだから。 179 00:13:44,590 --> 00:13:46,630 そんなに面白いかな? 180 00:13:46,630 --> 00:13:50,330 ・裸の女が 風呂場で殺されるような 小説ばっかりなんですよ! 181 00:13:50,330 --> 00:13:53,230 ええっ!? 182 00:13:53,230 --> 00:13:56,040 (善吉)「彼は 思わず目をそらせた」。 183 00:13:56,040 --> 00:13:59,540 行ってくるよ とうちゃん。 行ってくるよ! 184 00:13:59,540 --> 00:14:02,880 ああ! 185 00:14:02,880 --> 00:14:05,710 「向こう向きではあるが 見事な肉体をたたせた・ 186 00:14:05,710 --> 00:14:10,550 十分に均斉の取れた 魅力的な女盛りの女体である」。 187 00:14:10,550 --> 00:14:12,490 すばらしい年増だなあ。 188 00:14:12,490 --> 00:14:15,220 (口笛) 189 00:14:15,220 --> 00:14:20,360 (間崎の鼻歌) 190 00:14:20,360 --> 00:14:25,200 (戸が開く音) ・ごめんください。 191 00:14:25,200 --> 00:14:28,900 (小説を読む善吉の声) ・ごめんください。 192 00:14:28,900 --> 00:14:31,240 「その時 突然 女のうめき声が聞こえた。・ 193 00:14:31,240 --> 00:14:35,070 『く 苦しい! ああ~!』 水の中の白い肉体の上で・ 194 00:14:35,070 --> 00:14:37,110 引き締まった乳房…」。 ・ごめんください! 195 00:14:37,110 --> 00:14:39,110 は はい。 196 00:14:41,950 --> 00:14:44,080 ああ どうも…。 197 00:14:44,080 --> 00:14:48,920 (ハツ)あの… こちらに 間崎先生 おいででしょうか? 198 00:14:48,920 --> 00:14:51,320 はあ 僕ですが。 199 00:14:51,320 --> 00:14:53,860 おや ホホホ! 200 00:14:53,860 --> 00:14:56,530 きっと そうでしょうと思いましたけど…。 201 00:14:56,530 --> 00:15:00,200 もし 間違えましたら 失礼と存じまして…。 202 00:15:00,200 --> 00:15:03,700 私 あの 江波恵子の母親でございます。 203 00:15:03,700 --> 00:15:06,040 あっ…。 204 00:15:06,040 --> 00:15:08,340 恵子。 恵子。 205 00:15:08,340 --> 00:15:10,280 いらっしゃい。 先生 おいでですよ。 206 00:15:10,280 --> 00:15:12,280 あの すみません。 ちょっと待ってください。 207 00:15:16,220 --> 00:15:20,890 いや どうも失礼しました。 あっ どうぞ どうぞ。 208 00:15:20,890 --> 00:15:23,590 江波君。 はい。 209 00:15:30,060 --> 00:15:33,100 先生は 私が想像してたとおりの方。 210 00:15:33,100 --> 00:15:35,370 いや ハハッ。 211 00:15:35,370 --> 00:15:39,740 これが もう 始終 先生の うわさばっかり 申しましてね。 212 00:15:39,740 --> 00:15:42,240 今夜も 一人では 先生のお宅に上がれないから・ 213 00:15:42,240 --> 00:15:44,180 私が ついていくなり・ 214 00:15:44,180 --> 00:15:48,050 先生をうちにお呼びするなりしてくれって まあ 聞かないんでございますよ。 215 00:15:48,050 --> 00:15:51,680 見かけは大人でも からっきし子どもなんでございましてね。 216 00:15:51,680 --> 00:15:54,320 ハハハ…! お母さん! あっ…。 217 00:15:54,320 --> 00:15:58,190 あの これ お粗末なんでございますけど・ 218 00:15:58,190 --> 00:16:02,060 恵子が もう 是非 先生に 差し上げてくれと申しますもんで…。 219 00:16:02,060 --> 00:16:06,870 あっ どうも。 しかし 僕は 若い先生方と話し合いましてね・ 220 00:16:06,870 --> 00:16:09,900 生徒の家からの贈り物は 一切 辞退することにしてるんです。 221 00:16:09,900 --> 00:16:13,210 あっ あの…。 222 00:16:13,210 --> 00:16:16,110 ですが これは頂きます。 223 00:16:16,110 --> 00:16:18,340 僕は日頃 江波君には 随分 世話 焼かされてるんで・ 224 00:16:18,340 --> 00:16:20,710 頂いてもいいと思うんです。 そうだろう? 225 00:16:20,710 --> 00:16:22,650 ええ。 頂いてもいいわ。 226 00:16:22,650 --> 00:16:25,550 遠慮なく頂きます。 227 00:16:25,550 --> 00:16:27,590 しかし これ 何ですか? 228 00:16:27,590 --> 00:16:31,060 フフッ。 どうぞ お開けになってくださいまし。 229 00:16:31,060 --> 00:16:34,060 ああ…。 お気に入りますか どうか。 230 00:16:37,830 --> 00:16:40,770 先生 人から もらったものは もっと丁寧に開けるもんです。 231 00:16:40,770 --> 00:16:42,770 私が開けてあげます。 232 00:16:45,910 --> 00:16:48,670 はい。 やあ すまんすまん。 233 00:16:48,670 --> 00:16:51,170 ああ ジャーマン・シューズか。 234 00:16:53,310 --> 00:16:55,250 いや これは すごいや。 235 00:16:55,250 --> 00:16:57,520 この子は 先生の靴のこと・ 236 00:16:57,520 --> 00:16:59,450 あれじゃあ 先生は かわいそうじゃないけど・ 237 00:16:59,450 --> 00:17:03,390 靴の方が かわいそうだって 申しましてね。 238 00:17:03,390 --> 00:17:06,860 寸法は ちゃんと 測ってまいりましたんですけど。 239 00:17:06,860 --> 00:17:10,200 失礼かと存じましたけど。 いや ほんとに ありがとうございました。 240 00:17:10,200 --> 00:17:12,500 ありがとう! 241 00:17:16,970 --> 00:17:19,340 いや~ ぴったりだ。 まあ! 242 00:17:19,340 --> 00:17:22,710 それは ようございましたわ。 ほんとに。 243 00:17:22,710 --> 00:17:26,350 靴なんてもの 履いてみてから 買うものなんでしょうけど・ 244 00:17:26,350 --> 00:17:29,050 これが 「心配ない 心配ない」って 申しますもんで。 245 00:17:30,720 --> 00:17:33,350 えっ? お母さん お店 忙しいでしょ。 246 00:17:33,350 --> 00:17:35,420 行ってもいい。 もう 私一人で大丈夫だから。 247 00:17:35,420 --> 00:17:38,890 あら さっきは あんなについてきてくれって頼んどいて。 248 00:17:38,890 --> 00:17:41,790 フフッ 今度は追い立てるの? 249 00:17:41,790 --> 00:17:43,760 まあ ごゆっくり。 お茶でも いれますから。 250 00:17:43,760 --> 00:17:47,370 いえ もう結構でございます。 私 これで失礼いたします。 251 00:17:47,370 --> 00:17:49,300 でも…。 いいんです 先生。 ねっ。 252 00:17:49,300 --> 00:17:52,170 ええ ええ。 帰りますよ。 253 00:17:52,170 --> 00:17:56,670 じゃ ほんとに失礼いたします。 そうですか。 じゃ…。 254 00:17:58,310 --> 00:18:00,310 恵子さん うちでは よほど わがままなんでしょうね。 255 00:18:02,010 --> 00:18:03,950 わがままって…。 256 00:18:03,950 --> 00:18:07,890 私たちは 友達みたいに 暮らしてるもんですから。 ねっ 恵子。 257 00:18:07,890 --> 00:18:09,890 わがままです。 258 00:18:09,890 --> 00:18:13,630 わがままも わがまま。 世界一の わがままです。 259 00:18:13,630 --> 00:18:19,870 先生 人間の わがままなんて たかが知れたもんでございますわ。 260 00:18:19,870 --> 00:18:22,700 自分では この上ない わがまましたつもりでも・ 261 00:18:22,700 --> 00:18:28,880 あとになって考えてみると ほんのちっぽけな欲を遂げているだけで・ 262 00:18:28,880 --> 00:18:31,780 いっそ 自分のおとなしさが 情けなくなりますわ。 263 00:18:31,780 --> 00:18:37,050 人間なんて せいぜい この程度のことしか できないのかしらっていう・ 264 00:18:37,050 --> 00:18:39,950 寂しい気持ちですの。 265 00:18:39,950 --> 00:18:44,720 ですから 私 恵子には できるだけのわがままを許していますの。 266 00:18:44,720 --> 00:18:47,520 (戸が開く音) 267 00:18:50,160 --> 00:18:55,670 先生 おいくつでらっしゃいますの? はっ? あっ 26です。 268 00:18:55,670 --> 00:19:01,470 私は あの子に 父親を持たせてやることが できなかったもんですから・ 269 00:19:01,470 --> 00:19:07,010 あの子は 父親の代わりになるような 男の人を欲しがってるんですの。 270 00:19:07,010 --> 00:19:10,320 どうか あの子に 親切にしてやってくださいまし。 271 00:19:10,320 --> 00:19:13,020 ご迷惑でしょうけど…。 いえ。 272 00:19:13,020 --> 00:19:16,520 でも 将来 恵子さんを どうなさるおつもりですか? 273 00:19:16,520 --> 00:19:20,190 どうって… そうね。 274 00:19:20,190 --> 00:19:25,530 私と そっくり同じ人間になるか まるっきり違った人間になるか・ 275 00:19:25,530 --> 00:19:27,870 そのどっちかですわ。 276 00:19:27,870 --> 00:19:30,700 先生 どちらがいいと お思いになります? 277 00:19:30,700 --> 00:19:33,740 さあ 僕は 肝心のあなたのこと 何も知りませんから。 278 00:19:33,740 --> 00:19:38,440 でも 違った方がいいと思います。 279 00:19:38,440 --> 00:19:41,050 あっ…。 あっ どうしました? 280 00:19:41,050 --> 00:19:46,220 あっ ごめんなさい。 ちょっと 足が しびれたもんですから。 281 00:19:46,220 --> 00:19:49,920 はあ… 時々こうなるんですの。 282 00:19:51,720 --> 00:19:54,760 先生。 はっ? 283 00:19:54,760 --> 00:20:00,070 先生は 私のような生活をしていた者を 軽蔑なさいますか? 284 00:20:00,070 --> 00:20:03,740 はあ 概念としては。 285 00:20:03,740 --> 00:20:06,640 つまり そういう生活をあらしめた 世間を軽蔑します。 286 00:20:06,640 --> 00:20:09,380 軽蔑するというより 憎みます。 287 00:20:09,380 --> 00:20:13,180 しかし 人間を軽蔑はしません。 288 00:20:19,750 --> 00:20:23,390 ・「山男 よく聞けよ」 289 00:20:23,390 --> 00:20:28,090 ・「娘さんにゃ 惚れるなよ」 290 00:20:28,090 --> 00:20:30,930 ・「娘心はよ」 291 00:20:30,930 --> 00:20:37,100 (足音) 292 00:20:37,100 --> 00:20:40,770 おっ 行儀がいいな。 293 00:20:40,770 --> 00:20:43,280 いいお母さんだな。 そうですか。 294 00:20:43,280 --> 00:20:45,280 お母さんに ついてきてもらわなきゃ 来れないなんて・ 295 00:20:45,280 --> 00:20:47,280 意気地なしだな。 意気地なしなんかじゃない! 296 00:20:47,280 --> 00:20:49,220 ほらほら いつもは そのぐらい元気なくせに。 297 00:20:49,220 --> 00:20:52,350 お菓子 買ってきたぞ。 お茶でも いれるか。 298 00:20:52,350 --> 00:20:54,850 私 したげる! ん? 299 00:20:56,890 --> 00:21:00,090 よく知ってんな。 フフッ さっき偵察しといたんだもん。 300 00:21:04,360 --> 00:21:06,300 …よっと! 301 00:21:06,300 --> 00:21:08,570 ねえ 先生。 ん? 302 00:21:08,570 --> 00:21:11,600 こないだ 私たちのクラス 好きな先生の無記名投票やったんです。 303 00:21:11,600 --> 00:21:16,310 ほう。 開票の結果 1番 先生。 304 00:21:16,310 --> 00:21:18,910 ああ。 2番 橋本先生。 305 00:21:18,910 --> 00:21:21,580 3番 校長先生のミス・ケート。 306 00:21:21,580 --> 00:21:23,620 私 誰に投票したか 先生に分かりますか? 307 00:21:23,620 --> 00:21:26,390 さあ 分からんな。 うそ! 308 00:21:26,390 --> 00:21:28,750 俺に違えねえって 今 思ったくせに。 309 00:21:28,750 --> 00:21:32,090 ハハハッ。 だけどね 残念ながら違うの。 310 00:21:32,090 --> 00:21:34,030 誰だい? 311 00:21:34,030 --> 00:21:36,760 橋本先生。 ふ~ん。 312 00:21:36,760 --> 00:21:41,100 私が どうして 橋本先生に投票したか 分かりますか? 313 00:21:41,100 --> 00:21:43,040 何だか こっちが 生徒にされちまったみたいだな。 314 00:21:43,040 --> 00:21:45,270 いや 分からん。 315 00:21:45,270 --> 00:21:48,540 先生が 橋本先生を好きだってこと 分かってたから・ 316 00:21:48,540 --> 00:21:50,880 先生のために 橋本先生に投票してあげたんです。 317 00:21:50,880 --> 00:21:52,810 何を! 318 00:21:52,810 --> 00:21:56,050 先生と橋本先生って 仲悪いみたいだけど・ 319 00:21:56,050 --> 00:21:58,880 お互いに ピッピッピッて きちゃってるってことぐらい・ 320 00:21:58,880 --> 00:22:01,550 私にだって分かるんです。 何が ピッピッピッだ。 321 00:22:01,550 --> 00:22:04,060 困るな 勝手な想像は。 勝手な想像じゃありません! 322 00:22:04,060 --> 00:22:06,360 じゃ 言ってみたまえ。 どうして 橋本先生と僕が・ 323 00:22:06,360 --> 00:22:09,260 ピッピッピッなんだ? 324 00:22:09,260 --> 00:22:12,900 橋本先生が 私を嫌ってらっしゃるからです。 325 00:22:12,900 --> 00:22:15,370 だから 橋本先生が 僕を好きだっていうのか? 326 00:22:15,370 --> 00:22:18,070 そうです。 そいつは ありがてえな。 327 00:22:18,070 --> 00:22:20,370 だけど どうも分かったような 分かんないような理屈だな。 328 00:22:20,370 --> 00:22:22,440 分からんことありません! (戸が開く音) 329 00:22:22,440 --> 00:22:25,140 ・ごめんください。 ハッ! 330 00:22:27,910 --> 00:22:31,580 ごめんください! 間崎先生 いらっしゃいますか? 331 00:22:31,580 --> 00:22:34,090 橋本先生だわ。 332 00:22:34,090 --> 00:22:36,990 はい。 333 00:22:36,990 --> 00:22:38,960 構わないから ここへ おとなしく座ってなさい。 334 00:22:38,960 --> 00:22:42,260 嫌 嫌…。 ん? 335 00:22:42,260 --> 00:22:44,200 おい こら。 336 00:22:44,200 --> 00:22:46,130 あっ…。 よいしょ! 337 00:22:46,130 --> 00:22:48,130 早く行きなさい。 338 00:23:01,210 --> 00:23:03,150 あっ こんばんは。 339 00:23:03,150 --> 00:23:05,720 いらっしゃい。 どなたか お客様ですの? 340 00:23:05,720 --> 00:23:10,060 あっ いえいえ ここの うちの親戚の娘さんか誰か…。 341 00:23:10,060 --> 00:23:14,560 あっ 私 先生に江波さんの答案を 渡したんですけど・ 342 00:23:14,560 --> 00:23:17,460 ほんとは あんなこと いけなかったと 思って 頂きにあがったんです。 343 00:23:17,460 --> 00:23:20,900 もう お読みになりました? ええ。 まあ どうぞ。 344 00:23:20,900 --> 00:23:22,840 私 すぐに失礼するつもりで…。 345 00:23:22,840 --> 00:23:25,340 ちょっと この近所に 用事があったもんですから。 346 00:23:30,610 --> 00:23:34,450 どうぞ! 347 00:23:34,450 --> 00:23:37,250 あら お湯が沸いてますわ。 ああ。 348 00:23:37,250 --> 00:23:39,250 お茶でも いれましょうかね。 349 00:23:39,250 --> 00:23:41,920 あれ? せんべい どこ…。 何か? 350 00:23:41,920 --> 00:23:45,420 あっ いや いいんです。 お茶を いれますね。 351 00:23:51,730 --> 00:23:55,200 ああ なるほどな。 352 00:23:55,200 --> 00:23:57,140 嫌だわ。 何 感心してらっしゃるの? 353 00:23:57,140 --> 00:24:02,880 いや さっきも玄関に出てきてね 一瞬 どなたかと思いましたよ。 354 00:24:02,880 --> 00:24:04,810 男の人って 女が 着物着ると・ 355 00:24:04,810 --> 00:24:08,750 すぐ 訳もなくニコニコと うれしがりますのね。 356 00:24:08,750 --> 00:24:12,550 女が 着物を着てるのを見ると その中身まで 男に盾をつかない・ 357 00:24:12,550 --> 00:24:15,590 従順な人間になったみたいに 勝手に錯覚して うれしがるんですわ。 358 00:24:15,590 --> 00:24:19,060 ハハハ…! いや~ でもいい。 とってもいいですよ。 359 00:24:19,060 --> 00:24:21,090 あっ… 嫌だわ。 360 00:24:21,090 --> 00:24:23,930 もう これから 先生の前では 絶対に 着物は着ません。 361 00:24:23,930 --> 00:24:26,800 あっ これ…。 何ですか? 362 00:24:26,800 --> 00:24:29,070 何だか分かります? 363 00:24:29,070 --> 00:24:31,740 靴かな? はあ? いや 何でもないです。 364 00:24:31,740 --> 00:24:33,770 ケーキだ! いいえ。 365 00:24:33,770 --> 00:24:36,070 じゃあ 果物? いいえ。 366 00:24:38,080 --> 00:24:40,910 アイスクリーム! アハッ 残念でした。 367 00:24:40,910 --> 00:24:42,910 お口に入るようなものじゃ ございません。 368 00:24:44,750 --> 00:24:46,790 何だ。 でも 先生が こないだ 私に・ 369 00:24:46,790 --> 00:24:49,020 貸してほしいっておっしゃった 本ばっかりですわ。 370 00:24:49,020 --> 00:24:52,860 お忘れになりました? いや わざわざ どうも ありがとう。 371 00:24:52,860 --> 00:24:57,200 (物音) 372 00:24:57,200 --> 00:24:59,870 あっ ネズミ? えっ? ええ ネズミです。 373 00:24:59,870 --> 00:25:02,900 大きなネズミでね 僕が野放ししとくもんだから・ 374 00:25:02,900 --> 00:25:05,040 うろちょろして困るんです。 まあ。 375 00:25:05,040 --> 00:25:11,540 (食べる音) 376 00:25:11,540 --> 00:25:13,480 先生 ネズミが 何か かんでますわ。 377 00:25:13,480 --> 00:25:16,180 ああ しょうがねえな。 378 00:25:19,420 --> 00:25:22,050 こら ネズミ うるさいぞ! 379 00:25:22,050 --> 00:25:24,250 (せきばらい) 380 00:25:27,360 --> 00:25:30,060 まあ 先生んとこのネズミ よく言うこと聞きますのね。 381 00:25:30,060 --> 00:25:32,000 ええ もう そりゃあ…。 382 00:25:32,000 --> 00:25:35,940 (食べる音) 383 00:25:35,940 --> 00:25:38,770 ねえ 橋本先生 よかったら コーヒー 飲みに行きませんか? 384 00:25:38,770 --> 00:25:40,770 この近所に ちょっとした喫茶店が出来たんですよ。 385 00:25:40,770 --> 00:25:44,240 そうですの。 行きましょう。 386 00:25:44,240 --> 00:25:46,240 (せきばらい) 387 00:25:50,020 --> 00:26:12,400 (食べる音) 388 00:26:12,400 --> 00:26:15,170 いくつ? 1つ。 389 00:26:15,170 --> 00:26:18,540 橋本先生らしいな。 はっ? いやいや。 390 00:26:18,540 --> 00:26:23,350 僕は3つだ。 フフッ 間崎先生らしいわ。 391 00:26:23,350 --> 00:26:25,350 あっ どうも。 392 00:26:27,720 --> 00:26:31,060 先生 江波さんの答案 どうでした? 393 00:26:31,060 --> 00:26:33,960 いや どうって ちょっとショックでしたよ。 394 00:26:33,960 --> 00:26:36,560 僕は今まで あの子を もっと単純に考えてた。 395 00:26:36,560 --> 00:26:39,600 私 先生に お見せしていいかどうか 迷ったんです。 396 00:26:39,600 --> 00:26:43,340 でも 先生 江波さんを 少し甘やかしすぎると思ったんです。 397 00:26:43,340 --> 00:26:45,570 だから お見せしましたの。 398 00:26:45,570 --> 00:26:47,610 これから もっと 甘やかすことになるかもしれませんよ。 399 00:26:47,610 --> 00:26:50,540 いけませんわ! いや 僕はね・ 400 00:26:50,540 --> 00:26:53,850 今まで 自分が どうってことなく いい気に育ってきたもんだから・ 401 00:26:53,850 --> 00:26:55,780 ああいう苦しみを持った子に 弱いんです。 402 00:26:55,780 --> 00:26:58,680 私も 江波さんの苦しみは分かります。 403 00:26:58,680 --> 00:27:00,620 だからこそ 甘やかしすぎることは・ 404 00:27:00,620 --> 00:27:04,560 かえって あの子のために よくないと思うんです。 405 00:27:04,560 --> 00:27:08,390 でも たった一つ 条件をつければ 別ですけど。 406 00:27:08,390 --> 00:27:11,700 何ですか? その条件っていうのは。 407 00:27:11,700 --> 00:27:14,330 あの子を 先生のお嫁さんにしてあげることですわ。 408 00:27:14,330 --> 00:27:16,330 えっ? 409 00:27:21,210 --> 00:27:24,010 <江波恵子。 私は この時から・ 410 00:27:24,010 --> 00:27:28,710 いやでも この一人の生徒を 意識しなければならなくなった> 411 00:27:28,710 --> 00:27:31,510 (戸が開く音) ただいま。 412 00:27:36,220 --> 00:27:38,890 ただいま。 413 00:27:38,890 --> 00:27:42,090 先生! お世話さま! 414 00:27:45,060 --> 00:27:47,900 「こんなすばらしい肉体の女は どんな顔をしているのだろうかと・ 415 00:27:47,900 --> 00:27:51,300 ちらっと彼女の顔を見た。 その瞬間 彼は はっとした。・ 416 00:27:51,300 --> 00:27:53,240 見知らぬばばあが入ってきたのだ」。 417 00:27:53,240 --> 00:27:56,010 ただいま! ただいま! 418 00:27:56,010 --> 00:27:58,840 はあ? 先生 どっかへいらしたのかい? 419 00:27:58,840 --> 00:28:00,880 ええ!? お客様? 420 00:28:00,880 --> 00:28:03,520 誰も来ないよ。 あら! 421 00:28:03,520 --> 00:28:05,850 「いつも 肝心な時に あのばばあが現れるのだ」。 422 00:28:05,850 --> 00:28:08,320 先生…。 423 00:28:08,320 --> 00:28:10,390 あら? 424 00:28:10,390 --> 00:28:12,390 (物音) 425 00:28:40,550 --> 00:28:42,550 はあっ! 426 00:28:50,000 --> 00:28:53,500 お嬢さん。 お嬢さん! 427 00:28:55,500 --> 00:28:57,440 お母さん まだ早い…。 428 00:28:57,440 --> 00:28:59,840 お母さんじゃありませんよ。 429 00:28:59,840 --> 00:29:03,510 間崎先生 どこ行ったんです? 430 00:29:03,510 --> 00:29:07,310 お嬢さん! 起きてくださいよ。 431 00:29:07,310 --> 00:29:09,850 先生 どこ行ったんです? 432 00:29:09,850 --> 00:29:12,850 先生? 433 00:29:17,520 --> 00:29:20,020 先生…。 434 00:29:28,530 --> 00:29:31,030 あ… 危ないですよ お嬢さん。 ええ? 435 00:29:32,870 --> 00:29:35,910 先生 私 もう帰る…。 えっ? 436 00:29:35,910 --> 00:29:50,220 ・~ 437 00:29:50,220 --> 00:29:53,920 先生 さようなら。 438 00:30:13,250 --> 00:30:15,580 来た来た… 先生が来たわよ~! 439 00:30:15,580 --> 00:30:24,590 (生徒たちの騒ぐ声) 440 00:30:24,590 --> 00:30:28,260 (畠中)静かに! 静かに! (騒ぐ声) 441 00:30:28,260 --> 00:30:30,200 (騒ぐ声) 442 00:30:30,200 --> 00:30:32,900 (机をたたく音) (畠中)静かにしなさい! 443 00:30:36,940 --> 00:30:41,270 ミナサン タイヘン ウレシソウデスネ。 444 00:30:41,270 --> 00:30:45,780 シュウガクリョコウ ワタシモ ダイスキデス。 445 00:30:45,780 --> 00:30:49,750 ミナサンノ キモチモ ヨクワカリマス。 446 00:30:49,750 --> 00:30:52,880 (拍手) 447 00:30:52,880 --> 00:31:00,560 ヨノナカニハ ガッコウデハ マナブコト デキナイコト・ 448 00:31:00,560 --> 00:31:03,460 タクサン イッパイ アリマス。 449 00:31:03,460 --> 00:31:09,570 シュウガクリョコウデ ソレヲ マナンデクダサイ。 450 00:31:09,570 --> 00:31:17,440 ミナサンガ タノシイキモチデ リョコウ デキルヨウ・ 451 00:31:17,440 --> 00:31:23,120 ワタシハ イノリマス。 ソレダケデス。 452 00:31:23,120 --> 00:31:28,250 (拍手と歓声) 453 00:31:28,250 --> 00:31:33,590 え~ では 今回の旅行中・ 454 00:31:33,590 --> 00:31:38,260 諸君の指導に当たる先生方をご紹介する。 455 00:31:38,260 --> 00:31:42,930 総指揮には 山形アツ子先生。 456 00:31:42,930 --> 00:31:44,870 (拍手) 457 00:31:44,870 --> 00:31:49,540 ならびに それぞれのクラスの責任者として・ 458 00:31:49,540 --> 00:31:53,210 A組には 吉沢泰子先生。 459 00:31:53,210 --> 00:31:55,880 (拍手) 460 00:31:55,880 --> 00:32:01,550 B組には この私 畠中 登先生。 461 00:32:01,550 --> 00:32:05,220 (まばらな拍手) え~ 拍手が 足りない。 462 00:32:05,220 --> 00:32:07,560 (拍手) 463 00:32:07,560 --> 00:32:11,230 C組には 間崎慎太郎先生。 464 00:32:11,230 --> 00:32:14,570 (大きな歓声と拍手) 465 00:32:14,570 --> 00:32:21,910 では 山形アツ子先生から ご注意などを。 466 00:32:21,910 --> 00:32:25,240 では これから いろんな準備 その他について・ 467 00:32:25,240 --> 00:32:27,250 簡単に説明します。 468 00:32:27,250 --> 00:32:30,950 えっと 今日は これからすぐ 身体検査をやります。 469 00:32:34,250 --> 00:32:36,550 (クラクション) 470 00:32:40,130 --> 00:32:42,130 ご苦労さまでございます。 (山川)やあ。 471 00:32:43,930 --> 00:32:45,860 お持ちいたしましょう。 ああ。 472 00:32:45,860 --> 00:32:47,800 氏名と生年月日を書き入れる。 473 00:32:47,800 --> 00:32:50,200 そのほかのことは 書かなくてよろしい。 474 00:32:50,200 --> 00:32:52,540 分かったか? (生徒たち)はい。 475 00:32:52,540 --> 00:32:55,540 ・次の10名だけ入って。 476 00:32:57,210 --> 00:33:00,110 はい 名前と生年月日 忘れないようにね。 477 00:33:00,110 --> 00:33:02,080 (山川)よし 次。 次 吉田さん。 (吉田)は~い。 478 00:33:02,080 --> 00:33:05,550 ねえ… あの 先生ったらね 「何 頭が痛い?・ 479 00:33:05,550 --> 00:33:08,220 そうか どれ おなかを出してみたまえ」だって! 480 00:33:08,220 --> 00:33:10,890 私 この間 おなか悪くなって 診てもらったのよ。 そしたら・ 481 00:33:10,890 --> 00:33:13,730 「おい どの程度のくだり方だ? ビリビリッとくるのか?・ 482 00:33:13,730 --> 00:33:15,760 それとも シャ~シャ~か?」だって! (生徒たち)嫌だ~! 483 00:33:15,760 --> 00:33:19,230 (山川)おい ほら 早く脱がんかい。 ああ? 484 00:33:19,230 --> 00:33:21,900 見せたくないのかね? わしだって そんな・ 485 00:33:21,900 --> 00:33:24,800 痩せっぽっちな体なんか 見たくもないぞ おい。 486 00:33:24,800 --> 00:33:27,770 早く脱ぎなさいよ~。 487 00:33:27,770 --> 00:33:33,250 おはよう! おはよう! 488 00:33:33,250 --> 00:33:35,550 (ユキ) 邦子 こんな時だけ早いんじゃない? 489 00:33:48,190 --> 00:33:51,530 ・(ハツ)恵子? 恵子かい?・ 490 00:33:51,530 --> 00:33:56,400 ああ… 今日は 修学旅行だったね。・ 491 00:33:56,400 --> 00:34:00,210 もう行くのかい? ええ。 492 00:34:00,210 --> 00:34:05,080 ・お小遣い まだだったね。 ゆうべ もらったわ。 493 00:34:05,080 --> 00:34:09,550 ・そうだったかね…。 でも 足りないといけないから・ 494 00:34:09,550 --> 00:34:12,550 もう少しあげるよ。 いらないわ! 495 00:34:23,560 --> 00:34:25,900 (生徒たち)おはようございます! おはよう! 496 00:34:25,900 --> 00:34:28,800 先生 遅いわ! 遅刻よ! おはよう! おはようございます! 497 00:34:28,800 --> 00:34:31,240 (笑い声) 498 00:34:31,240 --> 00:34:33,170 おはようございます! どうも 遅くなりまして。 499 00:34:33,170 --> 00:34:35,110 ハイハイ グッドモーニング。 は~い 整列! 500 00:34:35,110 --> 00:34:37,580 整列! 501 00:34:37,580 --> 00:34:39,580 はい 並んで~! 502 00:34:41,910 --> 00:34:44,250 C組の者は ここ! 503 00:34:44,250 --> 00:34:51,860 (生徒たちの騒ぐ声) 504 00:34:51,860 --> 00:34:58,200 (畠中)はい みんな聞いて~! 各班の責任者は みんな いるかどうか・ 505 00:34:58,200 --> 00:35:00,900 もう一度 調べてみる~。 506 00:35:02,530 --> 00:35:05,440 誰も 体の悪い者はないな? (生徒たち)は~い! 507 00:35:05,440 --> 00:35:07,410 よ~し…。 先生 おはようございます。 508 00:35:07,410 --> 00:35:09,880 おはよう。 お母さん 寝坊して 来られなかったの。 509 00:35:09,880 --> 00:35:12,210 先生によろしくって。 そうか ちゃんと並んで。 510 00:35:12,210 --> 00:35:14,150 私 ここだもん。 痛っ…。 511 00:35:14,150 --> 00:35:19,080 行ってらっしゃい お気を付けて。 ああ ありがとう。 512 00:35:19,080 --> 00:35:23,560 東京で ひょっとしたら 私の叔父が お訪ねするかもしれません。 513 00:35:23,560 --> 00:35:27,230 会ってやってください。 ああ。 いつか 若いくせに・ 514 00:35:27,230 --> 00:35:29,560 はげてるとか言ってた人。 あっ… ええ。 515 00:35:29,560 --> 00:35:32,230 面白い人ですわ。 先生と気が合うかもしれません。 516 00:35:32,230 --> 00:35:34,170 そうですか 会ってみたいな。 517 00:35:34,170 --> 00:35:36,900 全員 出発! 518 00:35:36,900 --> 00:35:41,570 元気よく乗船! 全員 出発! 519 00:35:41,570 --> 00:35:44,910 じゃ。 お元気で。 わざわざ お見送りどうも。 520 00:35:44,910 --> 00:35:47,250 私 先生だけを お見送りに来たんじゃありませんわ。 521 00:35:47,250 --> 00:35:50,150 アハハ…。 さあ 行こう! (生徒たち)は~い! 522 00:35:50,150 --> 00:35:52,080 さあ みんな 行くわよ! 523 00:35:52,080 --> 00:35:54,520 行ってらっしゃい 気を付けてね。 (生徒たち)行ってまいりま~す。 524 00:35:54,520 --> 00:35:56,520 行ってらっしゃい。 525 00:35:58,190 --> 00:36:02,530 先生 橋本先生の着物姿 すてき。 526 00:36:02,530 --> 00:36:11,200 (汽笛) 527 00:36:11,200 --> 00:36:26,500 ・~ 528 00:36:43,570 --> 00:36:46,240 (邦子)先生! 先生! 先生! 529 00:36:46,240 --> 00:36:48,840 ん? …うん。 先生! (あくび) 530 00:36:48,840 --> 00:36:51,510 どうした? 増井君。 江波さんが 泣いてるんです! 531 00:36:51,510 --> 00:36:53,850 え? 今 お手洗いに行ったら・ 532 00:36:53,850 --> 00:36:56,510 車掌室で 江波さんの泣いてる声が 聞こえるんです。 533 00:36:56,510 --> 00:36:59,420 「どうしたの?」って聞いても ただ泣いてるだけなんです。 534 00:36:59,420 --> 00:37:03,420 うん。 よし 行ってみよう。 よっ…。 535 00:37:18,200 --> 00:37:21,200 どうした? 江波。 入るぞ。 536 00:37:26,080 --> 00:37:28,850 どうした? 江波。 (泣き声) 537 00:37:28,850 --> 00:37:32,220 (泣き声) 大きななりをして 泣くんじゃない。 538 00:37:32,220 --> 00:37:34,150 だって だって…。 539 00:37:34,150 --> 00:37:37,090 何が だってだ。 540 00:37:37,090 --> 00:37:41,230 お母さんがいないんだもん。 私のお母さん…。 541 00:37:41,230 --> 00:37:43,160 そりゃいないよ 君だけじゃない。 542 00:37:43,160 --> 00:37:45,560 みんなだって いないんだ。 そんなことじゃない! 543 00:37:45,560 --> 00:37:48,830 そんなことじゃないんです! 先生になんか 分かりゃしない! 544 00:37:48,830 --> 00:37:51,740 (泣き声) 分からなきゃ しょうがないじゃないか。 545 00:37:51,740 --> 00:37:57,510 なあ 江波 みんな 楽しく旅行してるんだ。 泣くんじゃない。 546 00:37:57,510 --> 00:38:01,850 (すすり泣き) 547 00:38:01,850 --> 00:38:06,720 さっき 嫌な夢見て 目覚ましたら・ 548 00:38:06,720 --> 00:38:10,860 「おや お母さんがいない」って思ったの。 549 00:38:10,860 --> 00:38:17,200 そしたら 私がいなくて泣いてる お母さんの声が聞こえてきたんです。 550 00:38:17,200 --> 00:38:22,070 でも 私は じっと我慢して 自分だけは泣かないでいようと思ったの。 551 00:38:22,070 --> 00:38:25,540 寂しいから 先生のとこ行ったら・ 552 00:38:25,540 --> 00:38:29,540 先生 福田さんにもたれて のんきな顔して眠ってるんだもん。 553 00:38:32,410 --> 00:38:35,210 うん。 554 00:38:35,210 --> 00:38:37,150 起きてる人は誰もいなかったわ。 555 00:38:37,150 --> 00:38:44,560 私 ここにいる人は みんな 将来 ちゃんとした奥さんになって・ 556 00:38:44,560 --> 00:38:51,160 ちっちゃな家庭を持って 節約して お金をためて・ 557 00:38:51,160 --> 00:38:55,500 つつましく暮らしていこうっていう たくらみを 心に持って眠ってるんだ。 558 00:38:55,500 --> 00:38:59,840 だから 私には 誰も構ってくれないって思ったの。 559 00:38:59,840 --> 00:39:05,710 そしたら ゴトンゴトンっていう汽車の音が・ 560 00:39:05,710 --> 00:39:09,850 お母さんが 「恵子 恵子」って 呼んでる声に聞こえてきたんです。 561 00:39:09,850 --> 00:39:18,190 私 たまらなくなって 車掌さんに頼んで ここで泣かしてもらったの。 562 00:39:18,190 --> 00:39:23,530 (はなをすする音) 私 一人で わんわん泣いてたんだけど・ 563 00:39:23,530 --> 00:39:28,400 だんだん つまんなくなったから 車掌さんが帰ってくるか・ 564 00:39:28,400 --> 00:39:31,870 汽車が駅に止まったら 泣くのをやめようと思ったの。 565 00:39:31,870 --> 00:39:36,740 でも 車掌さんも帰ってこないし 駅にも止まらないんだもん。 566 00:39:36,740 --> 00:39:41,880 しょうがないから ゴトンゴトンっていう 汽車の音に合わせて泣いてたの。 567 00:39:41,880 --> 00:39:44,550 フフッ 何だ じゃあ もういいんだな? 568 00:39:44,550 --> 00:39:46,890 よし 顔洗って 向こうへ行こう。 569 00:39:46,890 --> 00:39:50,760 ん? うん。 570 00:39:50,760 --> 00:40:04,240 ・~ 571 00:40:04,240 --> 00:40:06,910 ただいま~。 ただいま~。 572 00:40:06,910 --> 00:40:09,810 何? いかん? いけません。 573 00:40:09,810 --> 00:40:13,580 あらかじめ 届けのない生徒は 外泊させない規則になっています。 574 00:40:13,580 --> 00:40:15,910 規則を守るのは結構 大いに結構! 575 00:40:15,910 --> 00:40:19,580 しかし 法は人を生かすのを その 建て前としとるはずだ。 576 00:40:19,580 --> 00:40:23,250 失礼だが 君はまだ若い。 監督の先生を 呼んでくれたまえ。 ええ 君! 577 00:40:23,250 --> 00:40:25,590 (ヒデ子)伯父さん もういい 私行かない! あ~ ヒデちゃん…。 578 00:40:25,590 --> 00:40:28,260 ・ちょっと失礼。・ 579 00:40:28,260 --> 00:40:30,600 突然 飛び出して失礼でありますが・ 580 00:40:30,600 --> 00:40:34,470 私も父兄の一員として 一言 意見を述べさせていただきたい。 581 00:40:34,470 --> 00:40:38,270 よろしいでしょうか? どうぞ。 582 00:40:38,270 --> 00:40:41,170 はい。 ま 結論から申しましてね・ 583 00:40:41,170 --> 00:40:44,140 私は この問題に関しては 間崎先生の意見を・ 584 00:40:44,140 --> 00:40:46,140 絶対に支持するものであります。 585 00:40:46,140 --> 00:40:51,550 集団生活というものにおきましては 規則は絶対に守らなければなりません。 586 00:40:51,550 --> 00:40:54,890 まして この問題は ともすれば 間違いの起こりやすい・ 587 00:40:54,890 --> 00:40:57,560 旅行中のことですから…。 君は一体誰だ? 588 00:40:57,560 --> 00:40:59,890 あっ 申し遅れました え~ 私…。 589 00:40:59,890 --> 00:41:02,560 (ヒデ子のすすり泣く声) (山形)もういいの ねっ。 590 00:41:02,560 --> 00:41:05,460 野村ヒデ子さんの伯父様で いらっしゃいますか? わしです。 591 00:41:05,460 --> 00:41:08,230 今回は 特別に許可いたしましょう。 592 00:41:08,230 --> 00:41:11,140 ああ それは どうも。 やはり ご年配の方は話が分かる。 593 00:41:11,140 --> 00:41:15,440 明日の朝 ちゃんと遅れないようにね。 さあ 行こう。 594 00:41:17,580 --> 00:41:19,580 ごめん! 595 00:41:24,450 --> 00:41:28,920 先生 よろしゅうございましょう? 身元も はっきりしてるんですし。 596 00:41:28,920 --> 00:41:32,260 僕も あれほど言い張るつもりは なかったんですがね。 ハハハ。 597 00:41:32,260 --> 00:41:35,160 あっ どうも失礼しました。 あ いやいや…。 598 00:41:35,160 --> 00:41:39,600 ご挨拶が遅れまして え~ 私 橋本の父兄でございます。 599 00:41:39,600 --> 00:41:43,940 橋本? あの 失礼ですが どのクラスでしょうか? 600 00:41:43,940 --> 00:41:48,210 あら 橋本先生のことじゃありませんか? 橋本先生? 601 00:41:48,210 --> 00:41:50,880 島森と申します。 602 00:41:50,880 --> 00:41:53,180 初めまして。 603 00:41:55,210 --> 00:41:59,080 あ~ あの! いや どうも失礼しました。 604 00:41:59,080 --> 00:42:02,380 (島森)どうぞ どうぞ。 ああ どうも。 605 00:42:05,220 --> 00:42:07,890 僕は スミ子の叔父 ということになっておりますが・ 606 00:42:07,890 --> 00:42:10,560 血はひいておらんのです。 ああ。 607 00:42:10,560 --> 00:42:13,460 橋本先生にも そう伺いました。 ああ。 608 00:42:13,460 --> 00:42:20,570 間崎先生! 僕が どうして先生の旅館に のこのこ参上したか お分かりですか? 609 00:42:20,570 --> 00:42:23,240 は? 先生。 610 00:42:23,240 --> 00:42:29,910 スミ子のやつは 先生の前で いつでも 怒ってるような 怒ってないような・ 611 00:42:29,910 --> 00:42:32,580 顔ばかりしとるでしょ? ハハハ。 612 00:42:32,580 --> 00:42:34,920 まさに そのとおりです。 うん。 613 00:42:34,920 --> 00:42:40,590 あいつは 昔から自分の気持ちを 素直に表現できん女でしてね。 614 00:42:40,590 --> 00:42:43,930 殊に自分の好きな男の前では・ 615 00:42:43,930 --> 00:42:46,760 殊更 そういう かたくなな表情しか できんのです。 616 00:42:46,760 --> 00:42:51,740 う~ん そのために 学生時代に 一度 恋に破れております。 617 00:42:51,740 --> 00:42:55,470 橋本先生が 失恋したんですか? はい そうです。 618 00:42:55,470 --> 00:43:01,410 え~ ところが その恋に破れた橋本先生に 私は 恋に破れたのです。 619 00:43:01,410 --> 00:43:05,150 は? アハハ まあ 私のことなど どうでもいいが。 620 00:43:05,150 --> 00:43:07,890 ついでに言っとけば 今や 私とスミ子とは・ 621 00:43:07,890 --> 00:43:11,220 単なる この 友達として つきあっております。 622 00:43:11,220 --> 00:43:14,560 悲しいことです。 あ… 分かります。 623 00:43:14,560 --> 00:43:16,890 ところがです! 624 00:43:16,890 --> 00:43:21,570 橋本先生 つまりスミ子からの 最近の便りには・ 625 00:43:21,570 --> 00:43:26,240 しばしば 間崎先生なる男が登場する! 626 00:43:26,240 --> 00:43:31,580 分かります。 いや 光栄です。 627 00:43:31,580 --> 00:43:34,250 ある場合には厚かましい男として・ 628 00:43:34,250 --> 00:43:37,150 ある場合には 腹の立って しょうのない男として・ 629 00:43:37,150 --> 00:43:40,590 ある場合には どこか間の抜けた・ 630 00:43:40,590 --> 00:43:44,460 子どものような おかしみを持った男として。 631 00:43:44,460 --> 00:43:46,460 はあ? そこです。 632 00:43:46,460 --> 00:43:52,860 スミ子が あなたに惚れとると 私がにらんだのは。 お分かりかな? 633 00:43:52,860 --> 00:43:56,200 はあ…。 分かるような気がします。 634 00:43:56,200 --> 00:44:00,070 気がするのではない。 これは 決定的事実です! 635 00:44:00,070 --> 00:44:02,870 フン! 飲んでください。 636 00:44:02,870 --> 00:44:05,210 いや! 旅行中 酒に酔うことは その…。 637 00:44:05,210 --> 00:44:08,110 (しゃっくり) 絶対に 禁じられてますんで。 638 00:44:08,110 --> 00:44:12,880 ハハハハ…。 規則などというものは 破るために存在するようなもの。 639 00:44:12,880 --> 00:44:15,550 法は人を生かすことを 建て前としとるはずです。 640 00:44:15,550 --> 00:44:18,850 さあ 飲んでください。 641 00:44:28,130 --> 00:44:33,100 間崎先生 スミ子を頼みます! 642 00:44:33,100 --> 00:44:36,570 あの やわらかい胸のうちの かたくなな心を・ 643 00:44:36,570 --> 00:44:42,450 そっと解きほぐしてやるのは 間崎さん あなたよりほかにいない。 644 00:44:42,450 --> 00:44:44,450 いや しかし…。 いやいやいや…。 645 00:44:44,450 --> 00:44:47,220 お願いいたします。 646 00:44:47,220 --> 00:44:51,090 頼みます! 647 00:44:51,090 --> 00:44:55,860 (間崎の鼻歌) 648 00:44:55,860 --> 00:44:58,530 (しゃっくり) (番頭)お帰りなさいまし。 649 00:44:58,530 --> 00:45:00,470 ああ ただいま。 何か変わったことはありませんでしたか? 650 00:45:00,470 --> 00:45:02,870 いいえ ございません 別に。 651 00:45:02,870 --> 00:45:05,540 ただいま。 652 00:45:05,540 --> 00:45:09,410 おやすみなさいませ。 おやすみ~。 653 00:45:09,410 --> 00:45:16,880 (鼻歌) 654 00:45:16,880 --> 00:45:18,820 (しゃっくり) 655 00:45:18,820 --> 00:45:23,750 (鼻歌) 656 00:45:23,750 --> 00:45:26,560 先生! え? 657 00:45:26,560 --> 00:45:28,490 はい。 658 00:45:28,490 --> 00:45:31,230 何だ? 喉 渇いてるでしょ? 659 00:45:31,230 --> 00:45:33,900 よいしょ。 何だ その格好は。 660 00:45:33,900 --> 00:45:36,570 いけませんか? いかん いかん! 661 00:45:36,570 --> 00:45:39,900 うら若き娘が男の前に のこのこ出てくる格好じゃない。 662 00:45:39,900 --> 00:45:43,570 先生 どこ行ってたの? 先生か? 先生はな・ 663 00:45:43,570 --> 00:45:46,910 君たちが あまり 世話 焼かせるから・ 664 00:45:46,910 --> 00:45:48,850 ちょっと 気晴らしにな…。 (しゃっくり) 665 00:45:48,850 --> 00:45:51,750 引率の先生が 酔っ払ってはいけないことになってます。 666 00:45:51,750 --> 00:45:57,520 何? 規則なんていうものはね 破るために存在してる。 667 00:45:57,520 --> 00:46:01,390 法は人を生かすことを その 建て前としとるわけだ。 668 00:46:01,390 --> 00:46:04,400 先生 楽しそうね。 うん? 楽しい! 669 00:46:04,400 --> 00:46:09,530 いや~ 実に楽しいぞ 江波! 670 00:46:09,530 --> 00:46:12,440 橋本先生の叔父様と 何か いいお話でもあったんですか? 671 00:46:12,440 --> 00:46:16,410 うん。 あったといえば あったな。 672 00:46:16,410 --> 00:46:18,540 どんなお話ですか? うん? 673 00:46:18,540 --> 00:46:22,210 こら もう寝なさい! 嫌です! 674 00:46:22,210 --> 00:46:26,080 嫌だ? 寝なさい! 675 00:46:26,080 --> 00:46:28,080 (ふすまを閉める音) 676 00:46:35,760 --> 00:46:37,760 (ユキ)女性の部屋をのぞくのは誰ですか! 677 00:46:37,760 --> 00:46:40,570 さあ みんな もう寝なさい! 明日の朝 早いぞ! 678 00:46:40,570 --> 00:46:42,900 酔っ払い! スケベ! エッチ! 679 00:46:42,900 --> 00:46:45,240 最低! お母様! 痴漢! 出ていけ! 680 00:46:45,240 --> 00:46:53,040 (悲鳴と罵声) 681 00:46:53,040 --> 00:47:21,870 ・~ 682 00:47:21,870 --> 00:47:25,210 こらこら みんな 窓から物を投げるんじゃない! 683 00:47:25,210 --> 00:47:27,550 (生徒たち)は~い。 684 00:47:27,550 --> 00:47:30,210 (バスガイド)皆様 右前方をご覧くださいませ。 685 00:47:30,210 --> 00:47:35,550 右手に見えてまいりましたのが かの文豪 泉 鏡花の名作・ 686 00:47:35,550 --> 00:47:38,890 「婦系図」で有名な湯島天神でございます。 687 00:47:38,890 --> 00:47:41,230 (生徒たちのしゃべり声) 688 00:47:41,230 --> 00:47:50,500 (バスガイド)・「湯島通れば思い出す」 689 00:47:50,500 --> 00:47:54,170 「おつた 俺と別れてくれ」。 690 00:47:54,170 --> 00:47:58,840 「ええっ そりゃ 本気なんですか?」。 (生徒たちのしゃべり声) 691 00:47:58,840 --> 00:48:01,750 「嫌です 嫌なこってす。・ 692 00:48:01,750 --> 00:48:05,720 切れるの 別れるのって そんなこと 芸者のうちに言うもんです」。 693 00:48:05,720 --> 00:48:09,550 「何事も真砂町の先生の お言いつけなんだよ」。 694 00:48:09,550 --> 00:48:11,560 あっ! おっ! (生徒たちの歓声) 695 00:48:11,560 --> 00:48:14,860 (生徒たちの歓声) 先生 うれしいくせに。 696 00:48:14,860 --> 00:48:18,200 (間崎のせきばらい) いつの世にも悲しきものは・ 697 00:48:18,200 --> 00:48:21,500 義理と人情のしがらみでございます。 698 00:48:25,540 --> 00:48:27,870 ああ お帰りなさいまし。 ただいま~。 699 00:48:27,870 --> 00:48:29,810 悪い 雨ですね~。 700 00:48:29,810 --> 00:48:33,540 じゃあねえ 土の中の赤ん坊ってな~に? 701 00:48:33,540 --> 00:48:35,880 土の中の…。 702 00:48:35,880 --> 00:48:38,220 にんじんだ。 よろしい わりかし頭いい。 703 00:48:38,220 --> 00:48:42,890 (ユキ)じゃあね 1,000人の小僧が 綱引きしてるのは な~んだ? 704 00:48:42,890 --> 00:48:44,820 マッチ。 違う! 705 00:48:44,820 --> 00:48:49,490 お寺の運動会! イメージの不足! 答えは…。 706 00:48:49,490 --> 00:48:52,160 納豆。 (一同)な~んだ! 707 00:48:52,160 --> 00:48:55,000 よしよし。 じゃあ 先生が出すぞ。 いいか。 708 00:48:55,000 --> 00:48:57,030 怖くて臭くて甘いもの。 間崎先生。 709 00:48:57,030 --> 00:48:59,170 バカ! (生徒たち)アハハハ…! 710 00:48:59,170 --> 00:49:01,670 よし それじゃあね 教えてつかわす。 711 00:49:01,670 --> 00:49:04,580 怖くて臭くて甘いものだぞ。 712 00:49:04,580 --> 00:49:09,010 鬼がね…。 鬼が便所で おまんじゅう食べてんだ。 713 00:49:09,010 --> 00:49:13,880 (生徒たち)アハハハ…! 最低! 教養のない問題。 714 00:49:13,880 --> 00:49:15,890 (吉沢)間崎先生。 あ? 715 00:49:15,890 --> 00:49:19,020 先生 江波さんに外泊の許可 お与えになりました? 716 00:49:19,020 --> 00:49:20,960 江波 どうかしましたか? 717 00:49:20,960 --> 00:49:24,830 江波さん 1人で出かけたまま まだ帰らないっていうもんですから…。 718 00:49:24,830 --> 00:49:27,730 門限までには まだ時間あるんですけど…。 719 00:49:27,730 --> 00:49:29,730 ああ。 720 00:49:38,710 --> 00:49:40,640 先生 私たち あっち捜してきます。 721 00:49:40,640 --> 00:49:42,640 ああ。 722 00:49:57,230 --> 00:49:59,360 先生 向こう側 行ってみるからな。 (生徒たち)はい。 723 00:49:59,360 --> 00:50:01,360 気を付けろよ。 724 00:50:12,580 --> 00:50:28,380 (鐘の音) 725 00:50:30,960 --> 00:50:36,270 ・~ 726 00:50:36,270 --> 00:50:38,770 江波じゃないか? 727 00:50:42,410 --> 00:50:44,340 どうしたんだ? 728 00:50:44,340 --> 00:50:49,180 ううっ! どこへも行くとこが ないんだもん。 729 00:50:49,180 --> 00:50:51,120 どこへも行くとこが ないんだもん。 730 00:50:51,120 --> 00:50:53,080 びしょぬれじゃないか。 731 00:50:53,080 --> 00:50:58,560 私 どっか行こうと思ったの。 どっか行きたいと思ったの! 732 00:50:58,560 --> 00:51:00,890 でも 東京って どこへも行くとこが ないんだもん。 733 00:51:00,890 --> 00:51:02,830 お母さんのところへ 帰りたくなったんだろう? 734 00:51:02,830 --> 00:51:05,760 違う! 私には お母さんなんて いない! 735 00:51:05,760 --> 00:51:07,770 お母さんなんて どこにもいない! 736 00:51:07,770 --> 00:51:10,570 だって 優しい立派なお母さんが いるじゃない。 737 00:51:13,470 --> 00:51:16,910 さあ 帰ろう。 先生が どっか行っちゃう。 738 00:51:16,910 --> 00:51:18,940 どっか 私の分かんないとこ 行っちゃう。 739 00:51:18,940 --> 00:51:21,080 何を言ってんだ。 どこにも行っちゃ 嫌だ! 740 00:51:21,080 --> 00:51:23,010 先生 どこへも行っちゃ嫌だ! 741 00:51:23,010 --> 00:51:27,590 私だけの先生じゃなきゃ 嫌だ! 742 00:51:27,590 --> 00:51:30,490 分かった 分かった。 さあ 帰ろう。 743 00:51:30,490 --> 00:51:34,090 みんなが心配してるから。 な? 744 00:51:34,090 --> 00:51:38,930 先生。 恵子 好き? 745 00:51:38,930 --> 00:51:42,600 ねえ 先生。 恵子 好き? 746 00:51:42,600 --> 00:51:46,470 好き? 好き!? 747 00:51:46,470 --> 00:51:48,870 好きだよ。 748 00:51:48,870 --> 00:51:51,780 うれしい。 749 00:51:51,780 --> 00:51:53,740 さあ 行こう。 750 00:51:53,740 --> 00:51:55,750 先生 もう一度 言って。 何を? 751 00:51:55,750 --> 00:51:59,220 恵子のこと 好きって。 752 00:51:59,220 --> 00:52:02,120 好きだよ。 駄目よ。 横向いちゃ。 753 00:52:02,120 --> 00:52:04,820 恵子の顔 見て。 754 00:52:11,930 --> 00:52:14,430 うれしい。 755 00:52:23,740 --> 00:52:26,580 (生徒たち)ワン ツー!・ 756 00:52:26,580 --> 00:52:30,380 ワン ツー! 757 00:52:30,380 --> 00:52:34,920 (掛け声) 758 00:52:34,920 --> 00:52:38,590 (ホイッスル) 759 00:52:38,590 --> 00:52:41,490 (ユキ)先生 お願いします! 760 00:52:41,490 --> 00:52:45,360 よ~し いくぞ! 761 00:52:45,360 --> 00:52:48,200 そら! 762 00:52:48,200 --> 00:52:50,530 バレーボールを足で蹴飛ばす人が ありますか! 763 00:52:50,530 --> 00:52:55,040 ああ? あっ。 いや 申し訳ない。 764 00:52:55,040 --> 00:53:00,340 (英語) 765 00:53:00,340 --> 00:53:02,340 やあ! 766 00:53:17,360 --> 00:53:19,300 先生 質問! 767 00:53:19,300 --> 00:53:21,300 ん? 768 00:53:32,240 --> 00:53:36,750 ん~? 何だ もうちょっとじゃないか。 769 00:53:36,750 --> 00:53:38,680 (生徒)先生 ちょっと 教えてください。 770 00:53:38,680 --> 00:53:40,620 あっ。 どうした? 771 00:53:40,620 --> 00:53:43,090 先生 これ 展開しちゃっていいですか? 772 00:53:43,090 --> 00:53:45,020 どれ? これ。 773 00:53:45,020 --> 00:53:49,860 あ これ 展開もできるけどね。 いいか? 2番 4番 この問題ね…。 774 00:53:49,860 --> 00:53:52,200 先生! 何だ? 775 00:53:52,200 --> 00:53:55,030 みんな できました! そうか。 776 00:53:55,030 --> 00:53:57,700 いいかい? これ積微分の例題だからね。 777 00:53:57,700 --> 00:54:01,540 あそこに書いてある積微分の公式を使って 微分する。 778 00:54:01,540 --> 00:54:04,580 だから 1番の問題ね。 これは展開でも できるけど…。 779 00:54:04,580 --> 00:54:07,040 先生 できました! 780 00:54:07,040 --> 00:54:09,040 よ~し! 781 00:54:12,220 --> 00:54:17,350 え~と ああ。 これはよろしい。 782 00:54:17,350 --> 00:54:20,220 福田君 どうした? 分かんないです…。 783 00:54:20,220 --> 00:54:23,230 ん? ん~。 784 00:54:23,230 --> 00:54:26,100 ここだよ ここ。 いいかい? 785 00:54:26,100 --> 00:54:29,900 1-x² をtと置いてね 微分するんだ。 786 00:54:29,900 --> 00:54:32,240 いいね? (生徒)先生! 江波さんが! 787 00:54:32,240 --> 00:54:34,170 ん? 江波さん どうしたの? 788 00:54:34,170 --> 00:54:37,740 ねえ どうしたの? 789 00:54:37,740 --> 00:54:40,240 江波 どうした? どっか痛いのか? 790 00:54:40,240 --> 00:54:42,540 鼻血 出してるんです。 え? 鼻血? どれ? 791 00:54:44,110 --> 00:54:46,120 ああ これか。 上向いて。 792 00:54:46,120 --> 00:54:48,920 先生 これ。 おっ ありがとう。 793 00:54:51,890 --> 00:54:55,090 江波 立てるか? 794 00:54:58,530 --> 00:55:01,530 ほらほら もっと ゆっくり歩け。 795 00:55:07,040 --> 00:55:10,040 上向いて。 そう。 796 00:55:14,910 --> 00:55:17,050 (生徒・小声で)ねえねえねえ 聞いた? 797 00:55:17,050 --> 00:55:19,350 何を? 江波さんのこと。 798 00:55:19,350 --> 00:55:21,290 何よ? 何? 799 00:55:21,290 --> 00:55:23,220 あのね…。 800 00:55:23,220 --> 00:55:25,890 へえ~ 本当? 801 00:55:25,890 --> 00:55:29,230 誰なの? 相手。 それがね 間崎先生らしいわよ。 802 00:55:29,230 --> 00:55:31,230 うわあ~…。 間崎先生。 803 00:55:33,900 --> 00:55:36,730 どうしました? ああ ちょっと鼻血 出しましてね。 804 00:55:36,730 --> 00:55:39,230 そりゃあ…。 階段あるよ。 805 00:55:46,240 --> 00:55:49,540 あっ どうも すいません。 さあ 行こう。 806 00:56:04,630 --> 00:56:08,200 橋本先生! 807 00:56:08,200 --> 00:56:11,540 旅行から帰ったら 何だか 先生 冷たくなったみたいだな。 808 00:56:11,540 --> 00:56:14,340 もっとも 前から そう あったかくなかったけどね。 809 00:56:14,340 --> 00:56:17,540 そうですか。 私 別に…。 810 00:56:17,540 --> 00:56:21,040 この間 先生の叔父さんに会ったことで まだ 話してないことがあるんです。 811 00:56:21,040 --> 00:56:22,980 何でしょう? 812 00:56:22,980 --> 00:56:25,720 先生が 僕のこと好きだから よろしく頼むと言われました。 813 00:56:25,720 --> 00:56:27,650 まあ…。 まあ そう言われてみると・ 814 00:56:27,650 --> 00:56:29,590 なるほどなと思い当たったんです。 815 00:56:29,590 --> 00:56:32,220 厚かましい。 ところが 旅行から帰ってみると・ 816 00:56:32,220 --> 00:56:34,560 先生の態度は ますます冷たくなってる。 817 00:56:34,560 --> 00:56:37,230 冷たいのが 僕が好きな証拠だと あなたの叔父さんが言ったから・ 818 00:56:37,230 --> 00:56:39,160 僕に対する愛情が ますます深まったのかなと思ったけど・ 819 00:56:39,160 --> 00:56:42,070 どうも そうじゃないらしい。 820 00:56:42,070 --> 00:56:44,000 何か理由があるなら 言ってくれませんか? 821 00:56:44,000 --> 00:56:46,900 そんなこと 別にございません。 822 00:56:46,900 --> 00:56:50,200 私は 今までと変わりなく おつきあいしているつもりですわ。 823 00:56:54,650 --> 00:56:57,510 でも 先生。 824 00:56:57,510 --> 00:57:01,190 江波さんが妊娠してるって うわさ お聞きになりまして? 825 00:57:01,190 --> 00:57:05,520 はい? その相手が先生だそうですわ。 826 00:57:05,520 --> 00:57:08,330 はあ… なるほどね。 827 00:57:08,330 --> 00:57:10,860 お怒りにならないの? 828 00:57:10,860 --> 00:57:13,530 ばかばかしくて 怒る気になりませんよ。 829 00:57:13,530 --> 00:57:17,400 私だって そんなうわさ 信じてるわけじゃ ありませんけど。 830 00:57:17,400 --> 00:57:20,200 でも 私…。 831 00:57:20,200 --> 00:57:23,540 何です? そのうわさの出どころ…。 832 00:57:23,540 --> 00:57:26,540 もしかしたら 江波さん自身じゃないかと 思いますの。 833 00:57:29,050 --> 00:57:35,550 今 先生を必要なのは 私より江波さんですわ。 834 00:57:35,550 --> 00:57:38,890 僕は 人のために生きてるわけじゃない。 835 00:57:38,890 --> 00:57:41,690 僕が必要なのは あなただ。 836 00:57:44,560 --> 00:57:47,760 江波さんの前で はっきり そう おっしゃれまして? 837 00:57:51,370 --> 00:57:54,840 先生はご自分では気付いてらっしゃらない かもしれませんけど・ 838 00:57:54,840 --> 00:57:57,310 江波さんを 単に 一人のかわいい生徒とだけ・ 839 00:57:57,310 --> 00:58:01,510 お思いになってるわけじゃ ございませんでしょ? 840 00:58:01,510 --> 00:58:05,020 教師が 生徒を愛したって 悪いことじゃありませんわ。 841 00:58:05,020 --> 00:58:07,850 私 今度のうわさが もし ほんとだったとしても・ 842 00:58:07,850 --> 00:58:11,720 それが 間違った 嫌らしいことだとは 思わなかったと思います。 843 00:58:11,720 --> 00:58:16,190 それに… 江波さん 私より若いし・ 844 00:58:16,190 --> 00:58:18,130 きれいなんですもの。 845 00:58:18,130 --> 00:58:29,210 ・~ 846 00:58:29,210 --> 00:58:31,140 <またしても 江波恵子か…。・ 847 00:58:31,140 --> 00:58:34,080 いずれ 私は 自分で この問題を・ 848 00:58:34,080 --> 00:58:36,080 片づけなければならない立場に なるのだろうか> 849 00:58:44,090 --> 00:58:46,790 どう? 江波さん。 850 00:58:49,230 --> 00:58:51,160 もう大丈夫ね。 851 00:58:51,160 --> 00:58:55,100 さあ 起きて帰りましょう。 852 00:58:55,100 --> 00:58:57,100 先生。 853 00:58:57,100 --> 00:58:59,240 な~に? 854 00:58:59,240 --> 00:59:04,370 女の幸せって 男の人から与えられるものなんですか? 855 00:59:04,370 --> 00:59:09,080 そうね 結婚して子どもを産む・ 856 00:59:09,080 --> 00:59:15,250 それだけが女の幸せだって 私たちの時代には教えられましたからね。 857 00:59:15,250 --> 00:59:18,590 でも 今は…。 858 00:59:18,590 --> 00:59:21,490 今だって 大して違っちゃいないわね。 859 00:59:21,490 --> 00:59:24,930 ただ 幸せの見本が 2つ 3つ 増えただけね。 860 00:59:24,930 --> 00:59:27,730 フフフフ…。 861 00:59:30,270 --> 00:59:34,940 でもね 江波さん これだけは言えると思うのよ。 862 00:59:34,940 --> 00:59:39,110 本当の幸せって 人から与えられたり・ 863 00:59:39,110 --> 00:59:42,350 人に与えたりできるもんじゃない っていうこと。 864 00:59:42,350 --> 00:59:46,220 大体 他人に幸せにしてもらおうなんて 考えるの・ 865 00:59:46,220 --> 00:59:48,920 厚かましいんじゃない? 866 00:59:53,890 --> 00:59:56,230 (ひろ子) あなたって 学校の生徒さんたちに・ 867 00:59:56,230 --> 00:59:58,560 相変わらず 変なことばっかり おっしゃってるんですってね。 868 00:59:58,560 --> 01:00:00,900 評判ですわよ。 (山川)何を? 869 01:00:00,900 --> 01:00:04,230 おっぱいが どうだとか…。 医者だから しょうがないさ。 870 01:00:04,230 --> 01:00:07,570 だけど あなたの言い方って お品がないから。 871 01:00:07,570 --> 01:00:09,510 ビリビリだとか シャ~シャ~。 872 01:00:09,510 --> 01:00:12,440 おいおい。 ごめんなさい。 873 01:00:12,440 --> 01:00:14,750 先生。 ほい。 患者さんです。 874 01:00:14,750 --> 01:00:17,250 何を? わしが せっかく・ 875 01:00:17,250 --> 01:00:20,250 おかあちゃんと水入らずで 晩酌を楽しんどるのに。 876 01:00:20,250 --> 01:00:22,750 死んでしまえって言いなさい。 877 01:00:22,750 --> 01:00:24,690 一体 誰かね? 878 01:00:24,690 --> 01:00:27,260 (ドアが開く音) お~。 879 01:00:27,260 --> 01:00:30,260 どうしたの? えっ? 880 01:00:31,930 --> 01:00:33,860 まあ お座り。 881 01:00:33,860 --> 01:00:36,270 どうした? 食べ過ぎか? 882 01:00:36,270 --> 01:00:40,540 まさか 勉強のし過ぎで 頭の痛くなることはないだろう。 883 01:00:40,540 --> 01:00:44,710 私 妊娠したんです。 何? 884 01:00:44,710 --> 01:00:46,640 私 子どもができるんです。 885 01:00:46,640 --> 01:00:50,210 おい あんまり 肝臓にショックを与えるようなこと・ 886 01:00:50,210 --> 01:00:52,720 言うもんじゃないよ。 でも ほんとなんです! 887 01:00:52,720 --> 01:00:58,360 ふ~ん…。 それで? その幸運な男は誰かね? 888 01:00:58,360 --> 01:01:00,290 間崎先生です。 889 01:01:00,290 --> 01:01:05,130 えっ? ふ~ん…。 890 01:01:05,130 --> 01:01:07,100 恵子君よ・ 891 01:01:07,100 --> 01:01:10,100 どうして そういうことを思いついたのかね? 892 01:01:10,100 --> 01:01:12,570 あっ? 893 01:01:12,570 --> 01:01:14,910 わしだって 医者の端くれだ。 894 01:01:14,910 --> 01:01:17,740 君が処女であるかないかぐらい 見りゃ分かる。 895 01:01:17,740 --> 01:01:19,780 うそです。 それとも・ 896 01:01:19,780 --> 01:01:24,250 君は マリア様で キリストでも お生まれになるのかな? 897 01:01:24,250 --> 01:01:26,250 うそです うそです! ちゃんと調べもしないで・ 898 01:01:26,250 --> 01:01:28,750 私が妊娠してるかどうか 分かるはずがないじゃないの! 899 01:01:28,750 --> 01:01:32,590 分かるさ。 わしゃ 子どもの時から 君を ずっと知っとるんだよ。 900 01:01:32,590 --> 01:01:34,520 そんなこと関係ないじゃない。 901 01:01:34,520 --> 01:01:38,460 調べもしないで そんなこと言うなんて 医師法の違反です! 902 01:01:38,460 --> 01:01:41,030 私の言うことが うそかどうか ちゃんと診てください。 903 01:01:41,030 --> 01:01:42,970 私は 処女なんかじゃない! 904 01:01:42,970 --> 01:01:47,200 よし! そんなに言うなら診てやろう。 905 01:01:47,200 --> 01:01:49,140 着物を脱ぎなさい。 906 01:01:49,140 --> 01:01:54,340 すっぱり裸になって この上に乗るんだ。 907 01:01:54,340 --> 01:01:57,550 さあ 診てやるよ。 908 01:01:57,550 --> 01:02:02,550 何をしとるの。 早く脱ぐんだ。 ん? 909 01:02:05,420 --> 01:02:09,560 こら。 今更 考えることはないだろう。 910 01:02:09,560 --> 01:02:12,260 わしゃ ぐずぐずしてるやつは大嫌いじゃ! 911 01:02:19,240 --> 01:02:33,780 ・~ 912 01:02:33,780 --> 01:02:37,920 実はね ゆうべ 恵子君が来ましてね。 913 01:02:37,920 --> 01:02:41,530 江波が? うん。 914 01:02:41,530 --> 01:02:45,860 あんたの子どもをはらんだから 診察してくれっていうんだ。 915 01:02:45,860 --> 01:02:48,700 そういう うわさがあるということは 聞きました。 916 01:02:48,700 --> 01:02:51,600 しかし 僕は…。 分かっとるのよ。 917 01:02:51,600 --> 01:02:54,500 うそだってことは 一目見りゃ分かる。 918 01:02:54,500 --> 01:02:58,880 わしゃ あの子とは 生まれる前からの知り合いでしてな。 919 01:02:58,880 --> 01:03:01,550 生まれる前から? ハハッ…。 920 01:03:01,550 --> 01:03:06,220 わし 若い時に ちょっと ハツさんに 惚れとったもんですからな。 921 01:03:06,220 --> 01:03:08,890 おふくろのハツさんが あの子をはらんだ時・ 922 01:03:08,890 --> 01:03:12,220 私んところへ おろしたいからって 相談にやって来たんですよ。 923 01:03:12,220 --> 01:03:14,220 わしゃ ショックでしたな。 924 01:03:14,220 --> 01:03:17,560 ハツさんは その前に 幾度か おろしたことがあったらしい。 925 01:03:17,560 --> 01:03:19,500 わしゃね・ 926 01:03:19,500 --> 01:03:22,430 これが あんたの最後の子どもだからと そう言ったんです。 927 01:03:22,430 --> 01:03:25,240 それで ハツさんは 思い直して あの子を産んだ。 928 01:03:25,240 --> 01:03:31,040 あの子が生まれてきたことは ハツさんにとっては いいことでした。 929 01:03:31,040 --> 01:03:34,910 しかし あの子にとって それが よかったかどうかは・ 930 01:03:34,910 --> 01:03:37,810 わしには分からんが。 931 01:03:37,810 --> 01:03:40,520 お待ち遠さま。 あっ。 932 01:03:40,520 --> 01:03:44,190 何 悪いこと 相談してんの? いや~ ちょ…。 933 01:03:44,190 --> 01:03:47,860 間崎先生のそばに座りたいんだろうが もうちょい遠慮してくれ。 934 01:03:47,860 --> 01:03:49,860 意地悪。 935 01:03:52,730 --> 01:03:54,730 さあ。 あっ。 936 01:03:57,530 --> 01:04:00,570 あの子は 父親を知らない。 937 01:04:00,570 --> 01:04:05,410 そして 恐らく あの子にとっちゃ 普通の意味では 母親もいないでしょう。 938 01:04:05,410 --> 01:04:07,540 どういうことですか? 939 01:04:07,540 --> 01:04:11,210 我々は 子どもの頃 母親を女とは思っとらんでしょう? 940 01:04:11,210 --> 01:04:14,880 つまり 女であってもさ セックスを持たない女だ。 941 01:04:14,880 --> 01:04:18,760 母親が 女としてのセックスを持った 人間であるっていうことは・ 942 01:04:18,760 --> 01:04:22,560 子どもにとっちゃ 恐らく 耐えきれないぐらい嫌なことでしょう。 943 01:04:22,560 --> 01:04:26,900 特に 自分のセックスを意識し始めた 子どもにとっちゃあさ。 944 01:04:26,900 --> 01:04:29,370 分かります。 ねえ。 945 01:04:29,370 --> 01:04:32,740 母親も また 女であることを・ 946 01:04:32,740 --> 01:04:37,370 我々は それに耐えるだけの 一人前の人間になった時に気付くわけだ。 947 01:04:37,370 --> 01:04:40,840 だから 苦しまないで済む。 948 01:04:40,840 --> 01:04:44,680 だが あの子の場合は違う。 949 01:04:44,680 --> 01:04:47,720 年頃になった あの子が苦しみ続けて・ 950 01:04:47,720 --> 01:04:50,320 今も なお 苦しんでいるもの。 951 01:04:50,320 --> 01:04:53,220 その大部分が それだと思う。 952 01:04:53,220 --> 01:04:58,530 それやこれやから来る やりきれなさ さみしさ。 953 01:04:58,530 --> 01:05:03,230 フフフ… その はけ口が 先生 あんただ。 954 01:05:06,200 --> 01:05:11,070 (練習する声) 955 01:05:11,070 --> 01:05:15,210 (生徒)ほら 頑張って! (ボールを打つ音) 956 01:05:15,210 --> 01:05:20,880 (練習する声) 957 01:05:20,880 --> 01:05:23,580 (警笛の音) 958 01:05:28,760 --> 01:05:35,960 (列車の走行音) 959 01:05:42,840 --> 01:05:44,770 ねえ おにいさん。 飲んでらっしゃるの。 寄ってらしてよ。 960 01:05:44,770 --> 01:05:46,710 勘弁してくれよ。 ねっ。 いいじゃないの。 961 01:05:46,710 --> 01:05:49,180 また来るよ。 うん。 んっ けちんぼ。 962 01:05:49,180 --> 01:05:59,190 ・~(歌声) 963 01:05:59,190 --> 01:06:01,120 ああ… おっと。 964 01:06:01,120 --> 01:06:04,990 もう一軒 飲みに行こう。 もう一軒。 965 01:06:04,990 --> 01:06:08,870 ・~(歌声) 966 01:06:08,870 --> 01:06:14,670 こんばんは。 江波さんのお宅 こちらですか? 967 01:06:14,670 --> 01:06:17,870 江波さんに会いたいんですけど どこから入ったらいいんですか? 968 01:06:17,870 --> 01:06:20,540 どこからでも 好きなとこから入んなせえ。 969 01:06:20,540 --> 01:06:23,210 そうですか。 970 01:06:23,210 --> 01:06:25,210 じゃあ。 971 01:06:28,720 --> 01:06:30,750 あっ せ… 先生。 972 01:06:30,750 --> 01:06:38,900 (酔っ払いたちの声) 973 01:06:38,900 --> 01:06:49,510 ・~(歌声) 974 01:06:49,510 --> 01:06:53,840 こんばんは。 975 01:06:53,840 --> 01:06:57,340 こんばんは! こんばんは! 976 01:07:02,190 --> 01:07:06,190 先生! やっぱり 先生だ! 先生 どうしたの? 977 01:07:06,190 --> 01:07:09,690 ん? いや ちょっと こっちの方へ来たもんだからね。 978 01:07:09,690 --> 01:07:12,490 それにね…。 (物音) 979 01:07:14,200 --> 01:07:17,530 お時さん。 980 01:07:17,530 --> 01:07:20,870 時さん ビール。 981 01:07:20,870 --> 01:07:23,540 あっ いらっしゃい。 982 01:07:23,540 --> 01:07:29,210 どうしたの? お客様 あっちですよ。 983 01:07:29,210 --> 01:07:32,720 お母さん 先生よ 間崎先生。 おや。 984 01:07:32,720 --> 01:07:35,220 こんばんは。 おや まあ。 985 01:07:37,890 --> 01:07:39,820 あ~…。 986 01:07:39,820 --> 01:07:43,160 あっ 大丈夫ですか。 本当に先生だ。 987 01:07:43,160 --> 01:07:46,500 まあ 先生 そんなとこ突っ立ってないで・ 988 01:07:46,500 --> 01:07:49,000 さあ お上がりになってくださいよ。 989 01:07:49,000 --> 01:07:50,930 先生 どうぞ。 どうぞ。・ 990 01:07:50,930 --> 01:07:54,500 どうぞ お上がり…。 991 01:07:54,500 --> 01:07:56,500 どうぞ。 992 01:07:58,170 --> 01:08:00,680 ほら。 先生ですよ。 993 01:08:00,680 --> 01:08:04,880 ねっ 恵子の先生。 994 01:08:06,480 --> 01:08:09,190 さあ どうぞ お座りになってください。 995 01:08:09,190 --> 01:08:13,890 この人は 少し だらしなくなってるから 大目に見てやってください。 996 01:08:16,530 --> 01:08:18,460 先生 ここ。 997 01:08:18,460 --> 01:08:21,200 失礼します。 998 01:08:21,200 --> 01:08:24,530 初めまして。 間崎です。 999 01:08:24,530 --> 01:08:30,870 おや 先生 なかなか礼儀が正しくてらっしゃる。 1000 01:08:30,870 --> 01:08:32,810 ウフフフ…。 1001 01:08:32,810 --> 01:08:38,750 先生。 先生 恵子を かわいがってやってくださいまし。 1002 01:08:38,750 --> 01:08:41,220 もう この子は 大きくなるにつれて・ 1003 01:08:41,220 --> 01:08:46,360 私をバカにして もう しょうがないんでございますよ。 1004 01:08:46,360 --> 01:08:50,560 私を堕落した女だって。 1005 01:08:50,560 --> 01:08:54,230 きっと そう思ってんでございましょう。 1006 01:08:54,230 --> 01:09:00,900 そうに違いはないけれど… 生意気な。 1007 01:09:00,900 --> 01:09:05,200 恵子。 恵子。 な~に? 1008 01:09:10,910 --> 01:09:15,590 恵子 お前 自分の母親をバカにすると・ 1009 01:09:15,590 --> 01:09:17,520 もう承知しないよ! 1010 01:09:17,520 --> 01:09:19,460 お母さん。 1011 01:09:19,460 --> 01:09:22,260 お前は お姫様だよ。 1012 01:09:22,260 --> 01:09:27,600 気位が高くて 成績がよくって…。 1013 01:09:27,600 --> 01:09:34,370 だけど お前は 堕落した私から生まれたんだからね! 1014 01:09:34,370 --> 01:09:38,780 はあ… お前なんか産まなきゃよかったよ。 1015 01:09:38,780 --> 01:09:42,210 ママ 分かったわ。 落ち着いてね。 1016 01:09:42,210 --> 01:09:46,050 おっ どうです? 先生 一杯。 あっ… あっ どうも。 1017 01:09:46,050 --> 01:09:48,890 先生 ごめんね ママ こんなになっちゃって。 1018 01:09:48,890 --> 01:09:50,820 先生。 1019 01:09:50,820 --> 01:09:57,360 先生は 学校の先生でしょう? 1020 01:09:57,360 --> 01:10:01,900 恵子に 言い聞かせてやってくださるんでしょう? 1021 01:10:01,900 --> 01:10:06,570 言ってやってくださいよ 恵子に。 1022 01:10:06,570 --> 01:10:10,910 私を安心させるつもりなら・ 1023 01:10:10,910 --> 01:10:14,240 早く男を知れって!・ 1024 01:10:14,240 --> 01:10:16,580 アハハ! お母さん しかし…。 1025 01:10:16,580 --> 01:10:22,450 おや 先生のお気に入らないのかしら。 1026 01:10:22,450 --> 01:10:25,920 フフッ 先生は・ 1027 01:10:25,920 --> 01:10:31,220 この子をかわいがってくださるつもりじゃ なかったの? 1028 01:10:34,260 --> 01:10:39,870 お嫁さんに もらってくれなんて 言いやしませんよ。 1029 01:10:39,870 --> 01:10:45,570 かわいがりっ放し。 それでいいんですよ。 1030 01:10:47,540 --> 01:10:50,880 大抵の男の人は・ 1031 01:10:50,880 --> 01:10:56,220 その方が喜ぶもんなんですけどね…。 1032 01:10:56,220 --> 01:11:00,090 ねえ 健ちゃん。 1033 01:11:00,090 --> 01:11:02,090 健ちゃん。 1034 01:11:02,090 --> 01:11:07,560 お前さん 今度の船に乗んの やめにしておくれよ。 1035 01:11:07,560 --> 01:11:13,070 さみしいんだよ。 お前さんがいないと さみしいんだよ。・ 1036 01:11:13,070 --> 01:11:15,570 ううっ 私は…。 1037 01:11:15,570 --> 01:11:17,910 駄目だよ。 1038 01:11:17,910 --> 01:11:20,940 お前さんのそんな骨なしみたいな気持ちに つきあってた日にゃ・ 1039 01:11:20,940 --> 01:11:24,250 おしまいには 2人で心中するしか ほかにねえじゃねえか。 1040 01:11:24,250 --> 01:11:28,920 俺は 女と死ぬくらいなら 海のサメに 自分を食わせてやるよ。 1041 01:11:28,920 --> 01:11:32,790 1年… ねえ 半年でいいから・ 1042 01:11:32,790 --> 01:11:37,260 私と一緒に暮らしておくれよ。 1043 01:11:37,260 --> 01:11:43,530 その間に 私 死んじまうんじゃないかと思うよ。 1044 01:11:43,530 --> 01:11:49,870 そしたら もう お前さんにね 迷惑かけないでも済むじゃないか。 1045 01:11:49,870 --> 01:11:52,780 やだよ。 俺は お前さんみたいに いつも・ 1046 01:11:52,780 --> 01:11:55,680 他人に甘えてばっかりいるような女は 大っ嫌いなんだ。 1047 01:11:55,680 --> 01:11:59,980 男だろうと女だろうと 俺は そんな べたべたした関係は持ちたくねえよ。 1048 01:12:01,580 --> 01:12:04,350 うるさい! 1049 01:12:04,350 --> 01:12:08,560 健吉 貴様 生意気だぞ! 1050 01:12:08,560 --> 01:12:11,590 たった今 くたばっちまえ! お母さん。 1051 01:12:11,590 --> 01:12:16,430 誰が お前なんかに いてくれって 頼むもんか。 1052 01:12:16,430 --> 01:12:19,200 さっきのは 料理屋のおかみが・ 1053 01:12:19,200 --> 01:12:23,910 しみったれた お客に 愛想を言って喜ばしたのさ! 1054 01:12:23,910 --> 01:12:25,840 出てっておくれ! 1055 01:12:25,840 --> 01:12:30,250 誰が お前なんかに 涙なんか流すもんか。 1056 01:12:30,250 --> 01:12:35,920 野良犬だって 猫だって 油虫だって 涙なんか流しゃしないよ。 1057 01:12:35,920 --> 01:12:39,320 健吉のバカ! 1058 01:12:39,320 --> 01:12:41,260 お母さん。 1059 01:12:41,260 --> 01:12:43,190 ママ いけない。 もう休みましょう。 1060 01:12:43,190 --> 01:12:45,700 うるさい。 放せ! 放せったら! 1061 01:12:45,700 --> 01:12:48,730 ゆっくり休んで明日になれば また元気になるわ。 ねっ ママ。 1062 01:12:48,730 --> 01:12:52,870 恵子 お前なんか 私の娘じゃないよ! あっ…。 1063 01:12:52,870 --> 01:12:55,200 おい いいかげんにしろよ ほら。 1064 01:12:55,200 --> 01:12:57,540 うるさい! 1065 01:12:57,540 --> 01:13:00,440 あっ…。 1066 01:13:00,440 --> 01:13:04,410 分かった 分かった。 こっちに行くんだよ。 1067 01:13:04,410 --> 01:13:06,550 向こう行くんだよ! 1068 01:13:06,550 --> 01:13:10,220 ・~(歌声) 1069 01:13:10,220 --> 01:13:12,160 (ハツ)何をするんだよ! 1070 01:13:12,160 --> 01:13:14,560 (健吉)恵ちゃん ちょっと そこのヒモ取ってくれ。 1071 01:13:14,560 --> 01:13:16,490 はい。 (健吉)恵ちゃん。 1072 01:13:16,490 --> 01:13:21,330 (ハツ)チキショウ。 恵子 ママ助けておくれ。 1073 01:13:21,330 --> 01:13:25,530 ほら 恵ちゃん 早く早く! 助けて 間崎先生 助け…。 1074 01:13:27,140 --> 01:13:30,910 <この母親 この娘。・ 1075 01:13:30,910 --> 01:13:33,940 この環境が 江波恵子の人間を作り上げる。・ 1076 01:13:33,940 --> 01:13:38,580 また 将来を決定づけてしまうのであろうか。・ 1077 01:13:38,580 --> 01:13:42,190 私は教師として 一人の男として・ 1078 01:13:42,190 --> 01:13:45,520 それを どうすることもできないのだろうか> 1079 01:13:45,520 --> 01:13:47,460 健吉のバカ野郎! 1080 01:13:47,460 --> 01:13:50,860 私を こんなにしやがって! チキショウ。 1081 01:13:50,860 --> 01:13:53,530 あっ 恵ちゃん そりゃいけないよ。・ 1082 01:13:53,530 --> 01:13:57,400 注射も あんまり度々じゃ かえって 体を弱らすだけだよ。・ 1083 01:13:57,400 --> 01:14:01,040 な~に ほっときゃ 今に疲れて寝ちまうから大丈夫だよ。 1084 01:14:01,040 --> 01:14:02,970 おう それより 恵ちゃん・ 1085 01:14:02,970 --> 01:14:06,540 先生に 新しい ごちそうでも 持ってきてあげたら どうかな。 えっ? 1086 01:14:06,540 --> 01:14:10,210 俺は ここを片づけておくからな。 ええ。 1087 01:14:10,210 --> 01:14:13,710 先生 すみません。 悪い日に来ちゃったわね。 1088 01:14:16,020 --> 01:14:19,560 どうかね 先生。 驚いたかね。 1089 01:14:19,560 --> 01:14:23,060 はあ 少しばかり。 1090 01:14:23,060 --> 01:14:25,960 先生は 人のよさそうな人だから・ 1091 01:14:25,960 --> 01:14:29,830 こんなの見ると 恵ちゃんを甘やかしたくなるだろうが・ 1092 01:14:29,830 --> 01:14:33,370 そいつは いけませんぜ。 1093 01:14:33,370 --> 01:14:35,300 たとえ どんな境遇だろうと・ 1094 01:14:35,300 --> 01:14:37,910 人に甘えなきゃ 生きていけないような人間なら・ 1095 01:14:37,910 --> 01:14:40,680 とっとと死んじまやあいいんだ。 1096 01:14:40,680 --> 01:14:44,180 そうじゃないかな 先生。 ええ。 1097 01:14:44,180 --> 01:14:46,180 ・健吉おじさん! 1098 01:14:46,180 --> 01:14:49,690 神通丸の人たちが…。 1099 01:14:49,690 --> 01:14:51,620 そうか。 1100 01:14:51,620 --> 01:14:53,620 大丈夫? うん。 1101 01:14:55,490 --> 01:14:57,430 どうしたんだ? 1102 01:14:57,430 --> 01:14:59,860 何かあったらしくて おじさんをつけ回してるらしいの。 1103 01:14:59,860 --> 01:15:03,330 おい 分かってんだろうな。 俺たちが言いてえことはな この野郎…。 1104 01:15:03,330 --> 01:15:05,700 話は とうに ついてるはずだ。 1105 01:15:05,700 --> 01:15:08,200 何!? この野郎! 帰れ! 1106 01:15:08,200 --> 01:15:11,000 この野郎 ふざけやがって! 1107 01:15:13,880 --> 01:15:15,880 大丈夫? 1108 01:15:18,210 --> 01:15:20,150 おい! 表 出ろ。 1109 01:15:20,150 --> 01:15:22,890 よし! 上等だ! 1110 01:15:22,890 --> 01:15:25,550 いけないわ。 先生には関係ないことだもの。 1111 01:15:25,550 --> 01:15:27,550 やめて 先生。 ねっ。 1112 01:15:35,730 --> 01:15:38,770 おい 俺たちはな…。 1113 01:15:38,770 --> 01:15:41,840 つべこべ言うな! チキショウ! 1114 01:15:41,840 --> 01:15:43,840 この野郎! わ~! 1115 01:15:45,510 --> 01:15:47,510 うわ~! 1116 01:15:49,850 --> 01:15:51,850 この野郎! 1117 01:15:53,520 --> 01:15:55,520 この野郎! 1118 01:15:59,190 --> 01:16:01,120 わ~! うっ うっ…。 1119 01:16:01,120 --> 01:16:03,060 あっ。 1120 01:16:03,060 --> 01:16:05,860 先生には関係ないことだよ! 引っ込んでてくれ! 1121 01:16:05,860 --> 01:16:07,860 引っ込んどれ! 1122 01:16:09,530 --> 01:16:11,470 そうはいかないですよ。 くそっ! 1123 01:16:11,470 --> 01:16:15,200 生意気な野郎だ! この野郎! くっ! 1124 01:16:15,200 --> 01:16:17,200 だあ~! 1125 01:16:22,550 --> 01:16:24,550 くそ! この! 1126 01:16:36,890 --> 01:16:39,160 この野郎! (健吉)先生 大丈夫か! 1127 01:16:39,160 --> 01:16:41,830 帰れ! 1128 01:16:41,830 --> 01:16:43,770 先生! 1129 01:16:43,770 --> 01:16:46,700 先生! 先生! 1130 01:16:46,700 --> 01:16:50,510 先生 しっかりして! 先生! 1131 01:16:50,510 --> 01:16:53,310 先生! 何か言ってくれなきゃ嫌よ! 1132 01:16:53,310 --> 01:16:56,810 先生! 先生! 1133 01:17:02,050 --> 01:17:05,690 死んじゃ嫌だ。 1134 01:17:05,690 --> 01:17:09,490 先生 死んじゃ嫌だ。 先生! 1135 01:17:12,460 --> 01:17:28,910 (風鈴の音) 1136 01:17:28,910 --> 01:17:30,910 ・(戸が開く音) 1137 01:17:30,910 --> 01:17:41,820 ・(鼻歌) 1138 01:17:41,820 --> 01:17:46,120 江波君。 江波君。 1139 01:17:47,700 --> 01:17:50,170 あら 先生 お目覚め? 1140 01:17:50,170 --> 01:17:52,100 あっ お母さんでしたか。 1141 01:17:52,100 --> 01:17:54,040 ご気分は いかがですの? 1142 01:17:54,040 --> 01:17:57,510 いや~ ゆうべは 余計な でしゃばりをして・ 1143 01:17:57,510 --> 01:17:59,440 ほんとに すみませんでした。 いいえ。 1144 01:17:59,440 --> 01:18:03,680 おわびしなきゃいけないのは こっちの方ですわ。 1145 01:18:03,680 --> 01:18:06,720 健吉さんという方は どうされました? 1146 01:18:06,720 --> 01:18:11,020 フッ… 行っちゃいましたよ 船に乗って。 1147 01:18:11,020 --> 01:18:13,520 先生に よろしくって。 1148 01:18:18,760 --> 01:18:21,730 これ 吸いかけですけど よろしかったら どうぞ。 1149 01:18:21,730 --> 01:18:24,530 あっ。 すぐ新しいの 買いにやりますから。 1150 01:18:24,530 --> 01:18:26,870 いや これで結構です。 1151 01:18:26,870 --> 01:18:30,740 ・(料理人)マダム 橋本先生っていう方が見えましたけど。 1152 01:18:30,740 --> 01:18:33,040 あっ そう。 1153 01:18:39,220 --> 01:18:42,520 あっ。 いらっしゃいませ。 1154 01:18:45,020 --> 01:18:48,220 どうぞ。 お邪魔いたします。 1155 01:18:52,730 --> 01:18:54,730 どうぞ。 1156 01:19:01,070 --> 01:19:04,070 ごゆっくり どうぞ。 1157 01:19:09,750 --> 01:19:11,680 先生 いかがですの? 1158 01:19:11,680 --> 01:19:13,920 ありがとう もういいんですよ。 わざわざ どうも。 1159 01:19:13,920 --> 01:19:16,390 ああ いいえ。 お体のこともなんですけど・ 1160 01:19:16,390 --> 01:19:18,320 先生 しばらく 学校 いらっしゃらないようでしたら・ 1161 01:19:18,320 --> 01:19:20,590 学期末試験のこともありますし・ 1162 01:19:20,590 --> 01:19:22,530 私に できることがありましたらと思って。 1163 01:19:22,530 --> 01:19:25,260 ありがとう いろいろ ご心配かけまして。 1164 01:19:25,260 --> 01:19:27,200 教師として当然のことですわ。 1165 01:19:27,200 --> 01:19:30,100 それで いつごろから 学校いらっしゃいますの? 1166 01:19:30,100 --> 01:19:32,600 そうですね 明日ごろには 出られると思うんですがね。 1167 01:19:32,600 --> 01:19:35,640 はあ~ なるべく早い方が よろしいと思いますわ。 1168 01:19:35,640 --> 01:19:38,770 人の口が うるさいようですから。 1169 01:19:38,770 --> 01:19:41,040 うるさい? 1170 01:19:41,040 --> 01:19:43,080 あいにく 何もございませんで。 1171 01:19:43,080 --> 01:19:46,380 どうぞ お構いなく。 いいえ。 1172 01:19:50,050 --> 01:19:53,720 あの… 間崎先生が うちでお休みになってることで・ 1173 01:19:53,720 --> 01:19:56,630 何か 学校に悪いうわさでもございますの? 1174 01:19:56,630 --> 01:20:00,360 ええ。 まあ 学校って 窮屈な所でございますから。 1175 01:20:00,360 --> 01:20:02,430 へえ~。 1176 01:20:02,430 --> 01:20:06,900 分かりませんね。 生徒のうちへ家庭訪問にいらして・ 1177 01:20:06,900 --> 01:20:10,240 偶然 外のけんかに仲裁に入って けがをされた。 1178 01:20:10,240 --> 01:20:12,910 それだけのことじゃありませんの。 1179 01:20:12,910 --> 01:20:17,080 それとも 私のようなうちだから いけないっていうのかしら…。 1180 01:20:17,080 --> 01:20:19,110 そういうわけじゃございませんけど。 1181 01:20:19,110 --> 01:20:21,250 私も 先生には・ 1182 01:20:21,250 --> 01:20:24,090 本当に申し訳ないことをしたと 思っております。 1183 01:20:24,090 --> 01:20:27,390 恵子だって 私以上に そう思ってるに違いありませんわ。 1184 01:20:27,390 --> 01:20:30,590 何しろ 先生が ここへ運ばれてからっていうもの・ 1185 01:20:30,590 --> 01:20:33,400 先生の介抱は 何から何まで・ 1186 01:20:33,400 --> 01:20:36,100 あの子が 1人でやったんでございますよ。・ 1187 01:20:36,100 --> 01:20:40,870 私には 手を触れさせないくらい まあ 真剣な けんまくでしてね。 1188 01:20:40,870 --> 01:20:43,770 先生だって あの子が そばについていると・ 1189 01:20:43,770 --> 01:20:47,640 私たちがいるよりも 安心して休んでられるようでしたわ。 1190 01:20:47,640 --> 01:20:51,880 先生は ご自分では 覚えてらっしゃらないでしょうけど。 1191 01:20:51,880 --> 01:20:56,720 何しろ あの子は 夜なども自分の床をそこへ延べて・ 1192 01:20:56,720 --> 01:21:00,360 付きっきりで介抱してるんですよ。 1193 01:21:00,360 --> 01:21:03,060 先生が こんな目に遭われたのも・ 1194 01:21:03,060 --> 01:21:06,560 自分のところへ 家庭訪問にいらしたためだって。 1195 01:21:06,560 --> 01:21:11,230 その責任を よっぽど強く感じたんでしょうかね。 1196 01:21:11,230 --> 01:21:14,070 それにしても 先生と生徒の情愛ってものが・ 1197 01:21:14,070 --> 01:21:16,740 こんなに強いものかと。 1198 01:21:16,740 --> 01:21:21,240 私も そばで見ていて つくづく感心させられてしまいましたわ。 1199 01:21:21,240 --> 01:21:23,180 ハハハハ。 間崎先生。 1200 01:21:23,180 --> 01:21:25,110 もし 私にできることがございましたら・ 1201 01:21:25,110 --> 01:21:27,380 江波さんにおっしゃって 私にお伝えください。 1202 01:21:27,380 --> 01:21:29,320 私 まだ 回らなければならないとこ ございますから。 1203 01:21:29,320 --> 01:21:32,920 おや そうですか? 失礼します。 あっ 橋本先生。 1204 01:21:32,920 --> 01:21:35,220 駄目ですよ 先生 まだ。 1205 01:21:41,630 --> 01:21:44,870 間崎先生が お世話さまでした。 1206 01:21:44,870 --> 01:21:48,700 あなたも大変だったでしょう。 今 ママが言ったことは みんな うそです。 1207 01:21:48,700 --> 01:21:52,210 私は何にもしないんです。 えっ? 1208 01:21:52,210 --> 01:21:55,110 ママ 間崎先生を私の部屋に運んどいて・ 1209 01:21:55,110 --> 01:21:59,080 一晩中 自分だけが付きっきりで 先生のお世話したんです。 1210 01:21:59,080 --> 01:22:02,550 私が ちょっとでも上がろうとすると むきになって怒るんですもの。 1211 01:22:02,550 --> 01:22:05,890 それ… ほんと? 1212 01:22:05,890 --> 01:22:08,360 ほんとですわ。 ママったら・ 1213 01:22:08,360 --> 01:22:12,560 若い娘が床についてる男のそばに 近づくもんじゃないなんて・ 1214 01:22:12,560 --> 01:22:15,600 いつもとは 全然反対の堅苦しいこと言いだして。 1215 01:22:15,600 --> 01:22:18,070 まるで自分勝手なんです。 1216 01:22:18,070 --> 01:22:20,000 ママの恋人がいなくなっちゃって・ 1217 01:22:20,000 --> 01:22:22,940 ちょっと おヒスの傾向なのかもしれないんだけど・ 1218 01:22:22,940 --> 01:22:24,940 ああいう時のママって大っ嫌い! 1219 01:22:24,940 --> 01:22:30,780 恵子 廊下で立ち話なんか するもんじゃありませんよ。 1220 01:22:30,780 --> 01:22:34,250 第一 先生に失礼じゃありませんか。 1221 01:22:34,250 --> 01:22:36,190 ああ あの およろしかったら・ 1222 01:22:36,190 --> 01:22:38,750 ほんとに ごゆっくりなさってらしてください。 1223 01:22:38,750 --> 01:22:42,320 ちょうど 恵子も帰ってまいりましたし お昼でも どうぞ上がって。 1224 01:22:42,320 --> 01:22:46,200 いえ 私は もう。 あら そうですか。 1225 01:22:46,200 --> 01:22:49,530 あら 間崎先生のパジャマ 買ってきたの? 1226 01:22:49,530 --> 01:22:52,030 まあ! ねえ どんな柄? ちょっと開けて・ 1227 01:22:52,030 --> 01:22:53,970 あの 橋本先生にも見ていただいたら? 1228 01:22:53,970 --> 01:22:57,710 いいわよ 私が見立てたんだから 間違いないわ。 1229 01:22:57,710 --> 01:23:00,910 (ハツ)まあ まあ お構いもしませんで。 1230 01:23:04,210 --> 01:23:08,010 時ちゃん お塩まいといて。 (時)はい。 1231 01:23:10,020 --> 01:23:12,720 ただいま。 先生のパジャマ買ってきました。 1232 01:23:12,720 --> 01:23:16,060 健吉おじさんの寝巻きじゃ 気持ち悪いでしょう? 1233 01:23:16,060 --> 01:23:18,730 ああ お帰り。 先生 もう帰っちゃうの? 1234 01:23:18,730 --> 01:23:21,560 お医者さんが安静にしてなさいって 言ってたじゃないの。 1235 01:23:21,560 --> 01:23:25,900 大丈夫だ。 それに学期末試験も近いしな。 1236 01:23:25,900 --> 01:23:28,370 嫌! 帰っちゃ嫌だ! 1237 01:23:28,370 --> 01:23:33,370 江波 ここへ座れよ。 1238 01:23:39,310 --> 01:23:41,310 何? 1239 01:23:44,020 --> 01:23:49,830 先生がね ゆうべ 君のうちへ来たの なぜだと思う? 1240 01:23:49,830 --> 01:23:52,690 だって 恵子やママに 会いに来てくれたんでしょ? 1241 01:23:52,690 --> 01:23:55,330 うん。 それもある。 1242 01:23:55,330 --> 01:23:59,030 しかし それだけじゃないんだ。 1243 01:23:59,030 --> 01:24:02,340 先生はね 先生は自分の気持ちを・ 1244 01:24:02,340 --> 01:24:06,210 はっきり 君に言いに来たんだよ。 1245 01:24:06,210 --> 01:24:08,210 ところが ここへ来てみると・ 1246 01:24:08,210 --> 01:24:13,350 どうしても 僕には言いだすことが できなかった。 1247 01:24:13,350 --> 01:24:16,220 先生は弱虫なんだな。 1248 01:24:16,220 --> 01:24:19,890 あの時 めちゃくちゃに けんかがしたくなったのも・ 1249 01:24:19,890 --> 01:24:24,360 自分の弱さをたたきのめしたかった。 1250 01:24:24,360 --> 01:24:27,060 その結果が この始末だがね。 1251 01:24:27,060 --> 01:24:32,940 何を私に言いたかったの? はっきり言って! 1252 01:24:32,940 --> 01:24:39,310 僕にはね 橋本先生が必要なんだ。 1253 01:24:39,310 --> 01:24:43,180 橋本先生を好きなのね? うん。 1254 01:24:43,180 --> 01:24:45,180 愛してるのね? 1255 01:24:45,180 --> 01:24:51,850 それで…? それだけだ。 1256 01:24:51,850 --> 01:24:54,690 フフッ 何だ! 1257 01:24:54,690 --> 01:24:57,530 そんなこと 分かりきってるじゃないの。 1258 01:24:57,530 --> 01:24:59,460 えっ? 1259 01:24:59,460 --> 01:25:02,870 分かりきってるけど 私だって 先生を好きよ。 1260 01:25:02,870 --> 01:25:06,340 先生を愛してるわ。 私には先生が必要なのよ。 1261 01:25:06,340 --> 01:25:08,870 先生が 橋本先生を好きだって 嫌いだって・ 1262 01:25:08,870 --> 01:25:10,870 そんなこと 私には関係ない! 1263 01:25:13,740 --> 01:25:15,740 君には分からないんだよ。 1264 01:25:15,740 --> 01:25:18,350 分かってる 分かってる。 1265 01:25:18,350 --> 01:25:21,050 分かってないよ。 先生こそ分かってない! 1266 01:25:21,050 --> 01:25:24,090 何にも分かってない。 そんなことない。 1267 01:25:24,090 --> 01:25:26,890 分かってない 分かってない 分かってない! 1268 01:25:29,760 --> 01:25:37,070 江波 先生の言うことを もう一度よく聞くんだ。 1269 01:25:37,070 --> 01:25:40,040 先生 送っていくわ。 ん? 1270 01:25:40,040 --> 01:25:43,170 学校へ帰るんでしょ? 1271 01:25:43,170 --> 01:25:45,110 うん そりゃ… 帰るよ。 1272 01:25:45,110 --> 01:25:47,110 じゃあ 行きましょう。 1273 01:25:49,680 --> 01:25:52,580 先生 かみそり持ってくるわ。 ひげ そるんでしょ? 1274 01:25:52,580 --> 01:25:55,480 ん? ああ そうだな。 1275 01:25:55,480 --> 01:25:57,550 健吉おじさんのでもいいわね? 1276 01:25:57,550 --> 01:26:28,880 ・~ 1277 01:26:28,880 --> 01:26:31,550 先生。 1278 01:26:31,550 --> 01:26:33,590 ありがとう。 1279 01:26:33,590 --> 01:27:24,710 ・~ 1280 01:27:24,710 --> 01:27:26,640 先生。 ん? 1281 01:27:26,640 --> 01:27:28,580 私 もう帰るわ。 1282 01:27:28,580 --> 01:27:33,880 あっ 暑いから もういいよ。 1283 01:27:33,880 --> 01:27:37,750 先生 橋本先生と結婚なさい。 1284 01:27:37,750 --> 01:27:43,290 えっ? さよなら。 1285 01:27:43,290 --> 01:27:45,290 江波。 1286 01:27:47,660 --> 01:27:51,530 大丈夫か? 私? 心配しなくてもいいわ。 1287 01:27:51,530 --> 01:27:54,170 明日ちゃんと学校行きます。 遅刻しません! 1288 01:27:54,170 --> 01:28:13,560 ・~ 1289 01:28:13,560 --> 01:28:15,560 <あの子は・ 1290 01:28:15,560 --> 01:28:19,190 母親と同じ女に なっていくのかもしれない。・ 1291 01:28:19,190 --> 01:28:21,530 ならないのかもしれない。・ 1292 01:28:21,530 --> 01:28:23,570 それを左右するのは・ 1293 01:28:23,570 --> 01:28:27,040 あるいは 私の態度にかかってるのかもしれない。・ 1294 01:28:27,040 --> 01:28:32,840 しかし 私は 私の気持ちを偽ることはできない。・ 1295 01:28:32,840 --> 01:28:40,140 人は 誰も自分の道を歩むより しかたがないのではなかろうか> 1296 01:28:42,220 --> 01:29:59,520 ・~ 1297 01:30:06,900 --> 01:30:25,200 ・~