1 00:00:04,430 --> 00:00:20,130 (鳥の鳴き声) 2 00:00:46,472 --> 00:00:49,472 (鐘の音) 3 00:01:20,339 --> 00:01:27,113 (住職)早いものですな。 もう そんな季節になりましたか。 4 00:01:27,113 --> 00:01:32,452 (野江)今年は 命日に来られなかったものですから。 5 00:01:32,452 --> 00:01:37,790 ああ… いやいや 毎年欠かさず いらっしゃるだけで・ 6 00:01:37,790 --> 00:01:41,127 房様も お喜びでございましょう。 7 00:01:41,127 --> 00:01:45,998 ずっと お一人のままだった 叔母ですから…・ 8 00:01:45,998 --> 00:01:50,698 せめて 私たちだけでも 来てさしあげないと。 9 00:02:19,432 --> 00:03:42,432 ・~ 10 00:03:45,651 --> 00:03:47,951 あ…。 11 00:03:58,064 --> 00:04:01,364 (弥一郎)手折って進ぜよう。 12 00:04:04,403 --> 00:04:07,703 この辺りで よろしいか? 13 00:04:19,752 --> 00:04:23,422 ありがとうございます。 14 00:04:23,422 --> 00:04:27,722 浦井の野江殿ですな。 15 00:04:30,296 --> 00:04:35,768 いや 失礼。 今は 磯村の家の人であった。 16 00:04:35,768 --> 00:04:38,437 あ…。 17 00:04:38,437 --> 00:04:42,308 多分 お忘れだろうが・ 18 00:04:42,308 --> 00:04:45,311 手塚でござる。 19 00:04:45,311 --> 00:04:48,011 手塚弥一郎。 20 00:04:51,984 --> 00:04:54,387 あっ…。 21 00:04:54,387 --> 00:04:57,723 思い出して頂けたようですな。 22 00:04:57,723 --> 00:05:03,023 あの節は… 失礼申し上げました。 23 00:05:04,597 --> 00:05:08,367 かような場所で お目にかかるとは思わなんだ。 24 00:05:08,367 --> 00:05:13,739 いや… あのころと まるでお変わりない。 25 00:05:13,739 --> 00:05:16,739 あのころ? 26 00:05:18,411 --> 00:05:23,411 いや… お引き止めした。 27 00:05:29,422 --> 00:05:31,722 あの…。 28 00:05:33,759 --> 00:05:37,096 あ… どちらへ? 29 00:05:37,096 --> 00:05:41,767 父の墓に参るところです。 今日は月命日でしてな。 30 00:05:41,767 --> 00:05:45,438 ああ… そうでしたか。 31 00:05:45,438 --> 00:05:48,040 では。 32 00:05:48,040 --> 00:06:03,389 ・~ 33 00:06:03,389 --> 00:06:08,089 今は お幸せでござろうな? 34 00:06:12,398 --> 00:06:15,098 はい。 35 00:06:16,736 --> 00:06:23,436 さようか。 案じておったが それは何より。 36 00:06:28,080 --> 00:06:56,380 ・~ 37 00:07:17,062 --> 00:07:19,398 ただいま帰りました。 38 00:07:19,398 --> 00:07:21,734 (瑞江)おかえりなさい。 (勢津)おかえりなさい。 39 00:07:21,734 --> 00:07:24,069 あら 桜。 40 00:07:24,069 --> 00:07:26,369 ええ…。 41 00:07:51,230 --> 00:07:55,530 これでよろしいですか? ありがとう 勢津。 42 00:08:05,377 --> 00:08:11,050 お姉様 何か いいことでもあったのですか? 43 00:08:11,050 --> 00:08:13,385 どうして? 44 00:08:13,385 --> 00:08:16,722 今朝 磯村のお家から こちらに寄られた時は・ 45 00:08:16,722 --> 00:08:21,060 どことなく暗い顔をされていたのに…。 46 00:08:21,060 --> 00:08:24,360 何もありませんよ。 47 00:08:25,931 --> 00:08:30,631 本当に きれいな桜だこと。 あっ… ええ。 48 00:08:38,611 --> 00:08:42,748 お母様。 え? 49 00:08:42,748 --> 00:08:47,353 手塚様のことを覚えておいでですか? 50 00:08:47,353 --> 00:08:50,256 手塚様? 51 00:08:50,256 --> 00:08:53,556 手塚弥一郎様。 52 00:08:56,028 --> 00:09:00,900 ほら 磯村に嫁ぐ前に お話があった方ですよ。 53 00:09:00,900 --> 00:09:06,038 ああ 佐伯のかな様が持ってこられたお話。 54 00:09:06,038 --> 00:09:09,909 その手塚様がどうなさいました? 55 00:09:09,909 --> 00:09:16,909 あのお方 その後 よい連れ合いを求められましたかしら。 56 00:09:18,617 --> 00:09:24,056 何を言い出すやら。 そういえば つい先に・ 57 00:09:24,056 --> 00:09:28,394 かな様とお会いした時 そのお話が出ましたよ。 58 00:09:28,394 --> 00:09:33,394 手塚のお家では まだ嫁をもらっていないそうです。 59 00:09:38,404 --> 00:09:41,307 どうしてかしら? 60 00:09:41,307 --> 00:09:44,076 え? 61 00:09:44,076 --> 00:09:47,947 手塚様は どうして まだお一人で…。 62 00:09:47,947 --> 00:09:53,419 やはり 母一人子一人のお家ですからね…。 63 00:09:53,419 --> 00:09:59,419 あなたのことも 大変 残念がっておられたそうですけど。 64 00:10:08,968 --> 00:10:12,438 その枝 お切りなさい。 65 00:10:12,438 --> 00:10:15,738 その方が すっきりします。 66 00:10:21,447 --> 00:10:36,462 ・~ 67 00:10:36,462 --> 00:10:39,131 いつも ごひいきに ありがとうございます。 68 00:10:39,131 --> 00:10:41,800 また お願いします。 (きよ)お世話さま。 69 00:10:41,800 --> 00:10:52,077 ・~ 70 00:10:52,077 --> 00:10:54,413 どうぞ。 71 00:10:54,413 --> 00:10:58,751 いつも用意して頂いて すみません。 72 00:10:58,751 --> 00:11:02,421 すっかり遅くなってしまったわね。 73 00:11:02,421 --> 00:11:06,759 磯村のおかあ様に くれぐれも よろしくお伝えしてね。 74 00:11:06,759 --> 00:11:08,759 はい。 75 00:11:12,097 --> 00:11:14,397 では。 76 00:11:21,106 --> 00:11:23,442 (新之助)姉上! 77 00:11:23,442 --> 00:11:26,111 ご一緒でしたか。 はい。 78 00:11:26,111 --> 00:11:29,448 藩校の帰りに ちょうど父上に お会いしたものですから。 79 00:11:29,448 --> 00:11:32,748 父上 ご無沙汰しております。 80 00:11:34,319 --> 00:11:39,319 姉上 そこまでお送りしましょう。 ええ。 81 00:11:41,060 --> 00:11:47,733 新之助 しばらく見ないうちに 随分頼もしくなりましたね。 82 00:11:47,733 --> 00:11:51,603 はい 手塚様に鍛えて頂いていますから。 83 00:11:51,603 --> 00:11:54,406 手塚様? 84 00:11:54,406 --> 00:11:58,077 ええ 手塚弥一郎様です。 85 00:11:58,077 --> 00:12:02,414 今 藩校の道場に 剣術を教えに来られています。 86 00:12:02,414 --> 00:12:05,714 そうでしたか…。 87 00:12:08,287 --> 00:12:13,058 手塚様は 今は どちらにお勤めですか? 88 00:12:13,058 --> 00:12:18,764 (七左衛門)まだ 郷方廻りのはずであるが。 そうですか…。 89 00:12:18,764 --> 00:12:23,435 野江に縁談を申し込んできたのは ちょうど 江戸詰めを終えて・ 90 00:12:23,435 --> 00:12:27,306 今のお役目に 就いたばかりの頃であったな。 91 00:12:27,306 --> 00:12:34,079 確か 去水流という珍しい剣の使い手で かなりの腕前だと聞いた。・ 92 00:12:34,079 --> 00:12:38,784 人柄も実直だとの評判であったが…。 93 00:12:38,784 --> 00:12:44,123 でも 早くにお父上を亡くされて…・ 94 00:12:44,123 --> 00:12:49,394 お母様と お二人だけの お家でしたからね。・ 95 00:12:49,394 --> 00:12:55,067 女子にとって そういう家は 何かと気苦労の多いものです。 96 00:12:55,067 --> 00:13:00,367 では 今の嫁ぎ先なら気苦労はないのか? 97 00:13:07,646 --> 00:13:14,346 姉上は 手塚様のお話を どうして お断りになったのですか? 98 00:13:17,756 --> 00:13:26,431 亡くなった前の夫のお友達に 剣の名手と呼ばれる方がいました。 99 00:13:26,431 --> 00:13:30,769 その方の荒々しい物言いや・ 100 00:13:30,769 --> 00:13:34,640 お酒の席での むちゃな振る舞いを見ていると・ 101 00:13:34,640 --> 00:13:40,779 私には とても剣の使い手の嫁は 務まらないと思っていたの。 102 00:13:40,779 --> 00:13:45,651 手塚様は そのような方ではありません! 103 00:13:45,651 --> 00:13:51,056 随分以前から 姉上のことを ご存じだったそうです。 104 00:13:51,056 --> 00:13:57,930 亡くなった津田様に嫁がれる前 笄町まで 茶の湯を習いに通っていましたよね。 105 00:13:57,930 --> 00:14:02,067 ええ。 その途中にあった道場から・ 106 00:14:02,067 --> 00:14:05,938 手塚様は ずっと姉上のことを 見ておられたそうです。 107 00:14:05,938 --> 00:14:09,942 藩校の道場で ご同輩方が そう冷やかしているのを・ 108 00:14:09,942 --> 00:14:13,242 耳にしたことがあります。 109 00:14:17,082 --> 00:14:20,782 (瑞江)先ほど 野江が生けていきました。 110 00:14:28,427 --> 00:14:31,330 姉上。 111 00:14:31,330 --> 00:14:36,101 もう一度 浦井の家に戻られては どうですか? 112 00:14:36,101 --> 00:14:38,437 え? 113 00:14:38,437 --> 00:14:42,107 房叔母様のようになれと? 114 00:14:42,107 --> 00:14:45,107 いえ そういうわけでは…。 115 00:14:46,778 --> 00:14:49,047 新之助。 116 00:14:49,047 --> 00:14:54,720 あなたも あと2~3年すれば お嫁をもらわなくてはいけないでしょう。 117 00:14:54,720 --> 00:14:59,591 私が家にいたのでは 縁談に差し支えます。 118 00:14:59,591 --> 00:15:06,291 そんなこと 私は気にしません。 相手の方が気になさいます。 119 00:15:14,072 --> 00:15:18,072 ありがとう ここでいいわ。 120 00:15:21,947 --> 00:15:26,647 しっかり 勉学にお励みなさい。 121 00:15:28,420 --> 00:15:30,720 ではね。 122 00:15:44,970 --> 00:15:56,048 ・~ 123 00:15:56,048 --> 00:16:01,386 今は お幸せでござろうな? 124 00:16:01,386 --> 00:16:10,386 ・~ 125 00:16:16,935 --> 00:16:22,674 (左次衛門)分かっておるのか。 約束の期限は とうに過ぎておるのだぞ! 126 00:16:22,674 --> 00:16:29,081 (辰造)申し訳ございません! あと3日待って頂ければ 必ず! 127 00:16:29,081 --> 00:16:35,781 (左次衛門)明日だ。 娘 売り払ってでも 明日持ってこい。 128 00:16:58,043 --> 00:17:01,343 おとう様 ただいま戻りました。 129 00:17:12,391 --> 00:17:16,091 (源吉)おかえりなさいませ。 ただいま 源吉。 130 00:17:19,264 --> 00:17:21,733 (たか)おかえりなさいませ。 131 00:17:21,733 --> 00:17:24,033 ただいま。 132 00:17:30,409 --> 00:17:35,109 おかあ様 遅くなりまして申し訳ございません。 133 00:17:36,748 --> 00:17:42,748 (富代)随分とごゆっくりで…。 話が弾んだみたいだね。 134 00:18:11,049 --> 00:18:13,718 これを母が。 135 00:18:13,718 --> 00:18:18,018 よろしくお伝えするようにと 申しておりました。 136 00:18:31,736 --> 00:18:35,607 よほど余っておいでなのかねえ。 137 00:18:35,607 --> 00:18:41,307 よくまあ 同じものばかりよこす お家だこと。 138 00:18:46,084 --> 00:18:48,784 (富代)たか。 (たか)はい。 139 00:18:51,890 --> 00:18:55,360 お茶でも いれてちょうだい。 はい。 140 00:18:55,360 --> 00:18:59,660 お夕飯も いつまで待たされるのやら。 141 00:19:09,374 --> 00:19:17,249 すみません。 お帰りになったら やって頂くようにって 奥様が…。 142 00:19:17,249 --> 00:19:20,249 いいのよ。 143 00:19:58,723 --> 00:20:01,092 ん。 144 00:20:01,092 --> 00:20:03,392 はい。 145 00:20:24,783 --> 00:20:48,406 ・~(歌声) 146 00:20:48,406 --> 00:20:52,106 (庄左衛門)さあ。 (諏訪)おお。 147 00:20:54,279 --> 00:20:59,751 して 庄左衛門 月に何分の見返りがある? 148 00:20:59,751 --> 00:21:02,420 通常は8分ほどでございますが・ 149 00:21:02,420 --> 00:21:05,757 即刻 父と相談いたして ご返答申し上げます。 150 00:21:05,757 --> 00:21:08,426 決して諏訪様のご損になるようなことは いたしませんので・ 151 00:21:08,426 --> 00:21:13,426 どうぞ ご安心下さい。 期待しておるぞ。 はっ。 152 00:21:15,767 --> 00:21:20,639 (左次衛門)いやいや 何もそのような。・ 153 00:21:20,639 --> 00:21:28,780 岡崎様なら あと10日… いえ 半月お待ちいたしましょう。 154 00:21:28,780 --> 00:21:32,450 (岡崎)それは かたじけない。 155 00:21:32,450 --> 00:21:37,450 いやいや… ハッハッハッ…。 156 00:21:44,462 --> 00:21:47,762 (源吉)お帰りでございます。 157 00:21:53,738 --> 00:21:57,038 おかえりなさいませ。 158 00:22:00,612 --> 00:22:03,912 (庄左衛門)父上! 父上! 159 00:22:09,087 --> 00:22:12,123 諏訪様が 利子次第によっては・ 160 00:22:12,123 --> 00:22:15,427 まとまった金を うちに預けてもよいと おっしゃって下さいました。 161 00:22:15,427 --> 00:22:18,763 ハハハハハ! そうか そうか。 162 00:22:18,763 --> 00:22:24,102 でかしたぞ 庄左衛門! して 利は どれほどつければよい? 163 00:22:24,102 --> 00:22:27,772 ・(庄左衛門)父上は どう思われますか? 164 00:22:27,772 --> 00:22:37,472 ・(笑い声) 165 00:23:10,081 --> 00:23:13,752 何だ その目は。 166 00:23:13,752 --> 00:23:17,622 まだ拒むつもりか。 167 00:23:17,622 --> 00:23:23,922 早死にした前の亭主のことを笑ったのが そんなに気にくわんか。 168 00:23:29,300 --> 00:23:34,072 今日 実家に戻っていたそうだな。 169 00:23:34,072 --> 00:23:39,778 やっと おかあ様のお許しが出ましたので。 170 00:23:39,778 --> 00:23:43,448 叔母の墓参りが そんなに大事か? 171 00:23:43,448 --> 00:23:46,785 浦井の家のことですから。 172 00:23:46,785 --> 00:23:51,623 自分の家の方が格上だとでも 言いたいのか? 173 00:23:51,623 --> 00:23:54,592 何もそのような。 フフフフッ。 174 00:23:54,592 --> 00:23:58,730 確かに 吟味役 120石に比べれば・ 175 00:23:58,730 --> 00:24:02,600 うちは 勘定方の平役人 たかだか65石。 176 00:24:02,600 --> 00:24:07,600 だがな 貴様の親父よりも金はあるぞ。 177 00:24:09,374 --> 00:24:15,747 どうやら諏訪様は わしのことを気に入って下さったらしい。 178 00:24:15,747 --> 00:24:21,419 このまま諏訪様に取り入れば わしにも いい風が吹いてくるかもしれん。 179 00:24:21,419 --> 00:24:25,719 見ておれ。 我が家の禄高も上がるぞ。 180 00:24:27,292 --> 00:24:32,292 まだ用が残っておりますので。 181 00:24:34,432 --> 00:24:39,732 その目をやめろと言っておるのだ! この出戻りが! 182 00:25:15,073 --> 00:25:18,743 いや~っ うお~…!・ 183 00:25:18,743 --> 00:25:23,081 や~っ たあ~っ…! 184 00:25:23,081 --> 00:25:25,781 うわ~! 185 00:25:46,771 --> 00:25:49,771 (鶏の鳴き声) 186 00:26:06,057 --> 00:26:08,960 すみません もう起きて いらっしゃったんですか。 187 00:26:08,960 --> 00:26:12,730 おはよう。 そこの鍋の様子 見てくれる? 188 00:26:12,730 --> 00:26:16,601 はい。 ・(富代)たか! 189 00:26:16,601 --> 00:26:20,071 はい! ・(富代)着替え 手伝ってちょうだい。 190 00:26:20,071 --> 00:26:22,371 はい! 191 00:26:45,296 --> 00:26:48,296 いってらっしゃいませ。 192 00:26:54,906 --> 00:26:58,376 いってらっしゃいませ。 193 00:26:58,376 --> 00:27:01,676 (源吉)いってらっしゃいませ。 194 00:27:14,392 --> 00:27:44,756 ・~ 195 00:27:44,756 --> 00:27:48,026 お疲れではございませんか? 196 00:27:48,026 --> 00:27:54,699 昨日は寺まで 随分と山道を お歩きになられたでしょう。 197 00:27:54,699 --> 00:27:57,602 はい。 198 00:27:57,602 --> 00:28:03,708 桜が咲いていました。 さようでございますか。 199 00:28:03,708 --> 00:28:09,380 これから いい季節になりますね。 200 00:28:09,380 --> 00:28:12,380 そうですね。 201 00:28:16,721 --> 00:28:46,721 ・~ 202 00:28:56,694 --> 00:29:04,394 ら~う~や~。 203 00:29:14,245 --> 00:29:18,545 では お納めになって下さいませ。 204 00:29:31,596 --> 00:29:34,398 あの…。 205 00:29:34,398 --> 00:29:39,270 ご存じでしょうが このところ 何かと物の値が上がって・ 206 00:29:39,270 --> 00:29:43,074 着物の売れ行きも さっぱりでしてな。 207 00:29:43,074 --> 00:29:49,413 今回から 手間賃は45文ということで お願いいたします。 大奥様にも・ 208 00:29:49,413 --> 00:29:55,286 奥様の方から よろしくお伝え頂けると ありがたいのですが。 209 00:29:55,286 --> 00:29:58,286 分かりました。 210 00:30:00,057 --> 00:30:02,357 では…。 211 00:30:17,775 --> 00:30:32,790 ・~ 212 00:30:32,790 --> 00:30:35,459 [ 回想 ] (新之助)その途中にあった道場から・ 213 00:30:35,459 --> 00:30:40,159 手塚様は ずっと姉上のことを 見ておられたそうです。 214 00:30:43,134 --> 00:31:03,421 ・~ 215 00:31:03,421 --> 00:31:05,421 あ~っ! 216 00:31:09,093 --> 00:31:11,996 あ~っ…! 217 00:31:11,996 --> 00:31:14,696 参りました。 218 00:31:16,434 --> 00:31:19,434 次! はい! 219 00:31:21,772 --> 00:31:24,472 お願いします。 220 00:31:27,445 --> 00:31:30,445 せや~! あ~! 221 00:31:34,785 --> 00:31:36,785 さ~っ! 222 00:31:43,461 --> 00:31:45,761 参りました。 223 00:31:59,944 --> 00:32:02,947 フッ。 大丈夫か? 224 00:32:02,947 --> 00:32:06,083 (兵馬)ああ 大丈夫だ。 225 00:32:06,083 --> 00:32:08,783 ・諏訪様のお帰り~! 226 00:32:11,956 --> 00:32:15,426 ご苦労さまでございました。 227 00:32:15,426 --> 00:32:18,726 お疲れでございましょう。 228 00:32:20,298 --> 00:32:25,102 (兵馬)日に日に増えてくな。 (新之助)うん? 229 00:32:25,102 --> 00:32:29,974 (兵馬)諏訪様に取り入って おこぼれを あずかろうという 卑しいやつらだ! 230 00:32:29,974 --> 00:32:33,444 声が高いぞ 兵馬。 231 00:32:33,444 --> 00:32:36,113 おい あれ…。・ 232 00:32:36,113 --> 00:32:41,452 お前の身内を悪く言うようだが 俺には分からん。 233 00:32:41,452 --> 00:32:45,790 なぜ あんな男に群がろうとする? 234 00:32:45,790 --> 00:32:51,062 諏訪平右衛門は ご家中の大デキモノだ。 いや 腐りきった膿だ! 235 00:32:51,062 --> 00:32:57,362 譜代のお家柄を かさに着て 領内の農政を我が物にしようとしている! 236 00:32:58,936 --> 00:33:04,075 お前も 噂を耳にしないわけではあるまい。 237 00:33:04,075 --> 00:33:06,375 ああ。 238 00:33:09,413 --> 00:33:35,439 ・~ 239 00:33:35,439 --> 00:33:40,111 (保科)ここに記された 全ての荒れ地を開拓すれば・ 240 00:33:40,111 --> 00:33:45,783 どのくらいの広さになる? ざっと 200町歩ほどになります。 241 00:33:45,783 --> 00:33:52,056 恐らく10年とたたないうちに およそ5, 000石の収入が見込まれます。 242 00:33:52,056 --> 00:33:56,927 (光村)5, 000石…。 (戌井)だが 今の財政状況では・ 243 00:33:56,927 --> 00:34:02,400 新たな田を開くだけの余力はない。 「絵に描いた餅」にすぎんな。 244 00:34:02,400 --> 00:34:09,073 ですから今 それを実際の餅にするための 策を述べておるのです。 よろしいか。 245 00:34:09,073 --> 00:34:13,944 全て 多くの財を持つ 裕福な大百姓に請け負わせれば・ 246 00:34:13,944 --> 00:34:16,747 十分に可能です。 247 00:34:16,747 --> 00:34:20,418 しかし それでは大百姓たちが・ 248 00:34:20,418 --> 00:34:23,754 あまりにも広大な土地を 手に入れることになる。 249 00:34:23,754 --> 00:34:27,054 もろ刃のやいばではないのか? 250 00:34:28,626 --> 00:34:32,096 それでは お聞かせ願いたい。 251 00:34:32,096 --> 00:34:36,967 執政のお立場におられる皆様方は 一体 どのようにして・ 252 00:34:36,967 --> 00:34:41,772 この窮乏の極みにある財政を 立て直すおつもりか? 253 00:34:41,772 --> 00:34:48,379 このような愚かな詮議の間にも そのひっ迫の度は進んでおるのです。 254 00:34:48,379 --> 00:34:52,716 今 直ちに国を挙げて 新田の開発に取り組まねば・ 255 00:34:52,716 --> 00:34:56,016 百年の計を誤ることになりますぞ! 256 00:35:02,726 --> 00:35:12,069 確かに 新しい田を開き 収入を増やすことは 急務ではある。 257 00:35:12,069 --> 00:35:18,742 だが… そのために また多くの農民を 開墾に駆り出そうという・ 258 00:35:18,742 --> 00:35:24,081 諏訪様の方策には 眉をひそめる者も多い。 259 00:35:24,081 --> 00:35:28,419 同感です。 3年前の凶作以来・ 260 00:35:28,419 --> 00:35:33,090 村方では 食うものにも困っている者が 大勢いると聞きます。 261 00:35:33,090 --> 00:35:39,430 その上 更に農民たちの負担を増やそう というのは あまりにも無謀です。 262 00:35:39,430 --> 00:35:43,767 10年 20年の先を見れば・ 263 00:35:43,767 --> 00:35:49,373 確かに今のやり方で お国は潤うかもしれん。 264 00:35:49,373 --> 00:35:52,710 だが そのために・ 265 00:35:52,710 --> 00:35:59,049 農民たちの明日の生活を 犠牲にするようなことがあってはならん。 266 00:35:59,049 --> 00:36:05,349 父上 なぜ どなたも諏訪様に 異を唱えようとしないのです!? 267 00:36:08,392 --> 00:36:13,092 やはり 譜代のお家柄に あたる方だからですか? 268 00:36:15,065 --> 00:36:19,737 お前には まだ分からん。 269 00:36:19,737 --> 00:37:08,252 ・~ 270 00:37:08,252 --> 00:37:13,924 「新しく開いた田は 3年間の年貢を免除とし・ 271 00:37:13,924 --> 00:37:17,928 新田の開拓を促進する。・ 272 00:37:17,928 --> 00:37:24,602 その間 旧来の田については 作柄のよしあしにかかわらず・ 273 00:37:24,602 --> 00:37:28,739 年貢の率を引き上げることとする」。 274 00:37:28,739 --> 00:37:32,409 (米倉)恐れながら…・ 275 00:37:32,409 --> 00:37:38,282 3年前の凶作の痛手から いまだ村々は立ち直っておりません。・ 276 00:37:38,282 --> 00:37:44,421 これ以上 百姓たちを搾り上げては 田を手放す者が更に多く出るものと…。 277 00:37:44,421 --> 00:37:48,692 黙れ! 今は大事の時。 国あっての民百姓であろう! 278 00:37:48,692 --> 00:37:51,692 しかし! 黙れ! 黙れ! 279 00:37:54,031 --> 00:37:56,331 (米倉)はっ…。 280 00:38:07,044 --> 00:38:09,344 (戸が開く音) 281 00:38:16,053 --> 00:38:19,390 知っているか? うん? 282 00:38:19,390 --> 00:38:22,726 諏訪様は 今度 別宅を新築したらしいぞ。 283 00:38:22,726 --> 00:38:26,597 大百姓たちから贈られる賄賂でな。 賄賂? 284 00:38:26,597 --> 00:38:31,897 ああ めかけ付きの 豪勢な暮らしをしているそうだ。 285 00:38:34,071 --> 00:38:38,409 何が お国の財政の立て直しだ! それを名目に・ 286 00:38:38,409 --> 00:38:42,746 新田を手に入れた大百姓たちと組んで 私腹を肥やす。・ 287 00:38:42,746 --> 00:38:46,417 ねらいは最初から そこにあったのだ!・ 288 00:38:46,417 --> 00:38:51,689 富める者は ますます栄え 貧しき者は 更に追い詰められていく。 289 00:38:51,689 --> 00:38:57,027 少なくとも あの男のやっていることは そういうことだ! 290 00:38:57,027 --> 00:39:04,727 だが このご城下には 誰一人として それを口にする者はおらん。 291 00:39:48,312 --> 00:39:55,312 え~ こちらの田は 中田でございまして およそ3石の取れ高が見込まれます。 292 00:40:06,430 --> 00:40:09,333 (さよ)じいちゃん! じいちゃん! 293 00:40:09,333 --> 00:40:12,333 おお よく出来たの。 294 00:40:14,104 --> 00:40:16,104 やってみろ。 295 00:41:13,764 --> 00:41:16,464 (吾助)さよ! 296 00:41:37,454 --> 00:41:40,123 (吾助)さよ こっち来い! 297 00:41:40,123 --> 00:42:40,823 ・~ 298 00:42:43,787 --> 00:42:49,393 この一年 源吉には いろいろなことを教えてもらいました。 299 00:42:49,393 --> 00:43:17,421 ・~ 300 00:43:17,421 --> 00:43:21,721 お幸せそうな顔をなさってました。 301 00:43:53,056 --> 00:44:00,356 (雷鳴) 302 00:44:15,746 --> 00:44:18,746 おっかさん。 303 00:44:20,417 --> 00:44:23,417 大丈夫かい? 304 00:44:33,430 --> 00:44:46,430 (せきこみ) 305 00:44:55,052 --> 00:44:59,052 (せきこみ) 306 00:45:16,073 --> 00:45:21,945 3年前の冷害が尾を引き 一昨年 昨年と 領内の田の収穫高は・ 307 00:45:21,945 --> 00:45:26,416 例年の4割にも満たない状況が 続いておりましたが・ 308 00:45:26,416 --> 00:45:29,319 この長雨では 恐らく今年も・ 309 00:45:29,319 --> 00:45:32,756 作柄の回復は 見込めないものと思われます。・ 310 00:45:32,756 --> 00:45:35,659 その上 新田の開墾に駆り出され・ 311 00:45:35,659 --> 00:45:41,431 自分の田の草取りも満足にできない 農民たちが数多くおります。 312 00:45:41,431 --> 00:45:47,104 更に 諏訪様は 農民たちが手放した潰れ田を・ 313 00:45:47,104 --> 00:45:51,942 タダ同然の金で買い集め 我が物にしておられます。 314 00:45:51,942 --> 00:45:55,378 証拠はあるのか? 315 00:45:55,378 --> 00:45:59,716 (米倉)領内で知らない者はおりません。 316 00:45:59,716 --> 00:46:08,391 このまま 諏訪様の方策を続けていては 取り返しのつかないことになります。 317 00:46:08,391 --> 00:46:11,294 どうか 江戸におられる殿に・ 318 00:46:11,294 --> 00:46:14,294 村方の実情をお伝え…。 (保科)もうよい! 319 00:46:18,068 --> 00:46:23,368 まだ その時機ではなかろう。 320 00:46:31,615 --> 00:46:34,084 (伊作)これだけ お日様がささないんです。 321 00:46:34,084 --> 00:46:37,420 稲は さっぱり伸びず 穂も まるで膨らんできません! 322 00:46:37,420 --> 00:46:41,291 (甚六)これじゃ 食べる米はおろか 来年の種もみも取れません! 323 00:46:41,291 --> 00:46:45,762 (治平)ご存じでしょう。 食うために 一家全員身売りして・ 324 00:46:45,762 --> 00:46:51,034 田んぼを放って逃げた家は 10や20じゃないんです! 分かっておる! 325 00:46:51,034 --> 00:46:55,372 いや あんた方は何にも分かっていない! 326 00:46:55,372 --> 00:47:00,243 食うものがないってことが どういうことなのか! 327 00:47:00,243 --> 00:47:05,715 どうか この書状を 諏訪様に お取り次ぎ下さい。 328 00:47:05,715 --> 00:47:09,052 少しでも年貢を軽くしてもらえないと このままじゃ・ 329 00:47:09,052 --> 00:47:13,052 潰れ百姓が増えるばかりです! 分かった 分かった。 330 00:47:15,926 --> 00:47:22,065 言い分は 必ず郡代様に伝える! 今日は もう帰れ! 331 00:47:22,065 --> 00:47:25,402 何とぞ お願いします! どうか お願いします! 332 00:47:25,402 --> 00:47:27,737 (一同)お願いします! お願いします! 帰らんか! 333 00:47:27,737 --> 00:47:30,073 お願いします! 分かった 分かった。 334 00:47:30,073 --> 00:47:41,685 ・~ 335 00:47:41,685 --> 00:47:46,089 磯貝 頼んだぞ。 336 00:47:46,089 --> 00:47:48,024 はっ。 337 00:47:48,024 --> 00:48:17,721 ・~ 338 00:48:17,721 --> 00:48:20,056 や~っ! 339 00:48:20,056 --> 00:48:33,403 ・~ 340 00:48:33,403 --> 00:48:35,703 行け! 341 00:48:39,075 --> 00:48:51,655 ・~(歌声) 342 00:48:51,655 --> 00:48:56,359 (笑い声) 343 00:48:56,359 --> 00:48:58,659 ・~(歌声) 344 00:49:26,356 --> 00:49:29,056 おっかさん。 345 00:49:30,727 --> 00:49:33,027 はい。 346 00:49:37,067 --> 00:49:39,767 さよ。 347 00:49:41,738 --> 00:49:44,438 さよ。 348 00:49:57,754 --> 00:50:00,754 大丈夫かい!? 349 00:50:50,740 --> 00:50:53,643 もう あれから ふたつきか。 350 00:50:53,643 --> 00:51:00,417 ああ…。 磯貝殿は米倉様の書状を携え 江戸に向かわれていたそうだ。 351 00:51:00,417 --> 00:51:04,754 行方は いまだに知れないままだ。 352 00:51:04,754 --> 00:51:09,092 諏訪様の取り巻きが 手にかけたという噂もある。 353 00:51:09,092 --> 00:51:12,792 おい めったなことを口にするな。 354 00:52:02,745 --> 00:52:04,745 よいしょ。 355 00:52:23,766 --> 00:52:28,638 吾助 どういうつもりだ? 356 00:52:28,638 --> 00:52:33,776 怠けていたわけではございません。 357 00:52:33,776 --> 00:52:38,648 年寄りと子どもに 食うものも食わせないで・ 358 00:52:38,648 --> 00:52:42,348 必死に作った米です! 359 00:52:46,356 --> 00:52:52,061 来る日も来る日も雨ばっかりで… これ以上 一体どうしろと言うんですか! 360 00:52:52,061 --> 00:52:55,732 泣き言を申すな! (うめき声) 361 00:52:55,732 --> 00:52:58,732 大丈夫か? しっかりせえ。 362 00:53:01,070 --> 00:53:05,070 (長五郎)吾助の田を取り上げろ。 はい! 363 00:53:34,771 --> 00:53:45,071 (鳴き声) 364 00:54:12,408 --> 00:55:23,708 ・~ 365 00:57:08,384 --> 00:57:11,684 (畑田)どうした? 手塚。 366 00:57:36,078 --> 00:57:40,078 血迷ったか! (堀井)ここは 城中であるぞ! 367 00:57:48,024 --> 00:57:50,324 いや~! 368 00:57:58,668 --> 00:58:01,037 あ~っ! いや~! 369 00:58:01,037 --> 00:58:03,940 や~! いや~! 370 00:58:03,940 --> 00:58:05,908 いやっ! 371 00:58:05,908 --> 00:58:07,908 お~! あっ…! 372 00:58:10,046 --> 00:58:12,046 いや~! 373 00:58:14,717 --> 00:58:17,017 (うめき声) 374 00:58:59,695 --> 00:59:02,598 うっ! ああ~っ! 375 00:59:02,598 --> 00:59:04,898 (うめき声) 376 00:59:20,016 --> 00:59:22,316 ・(足音) 377 00:59:24,720 --> 00:59:27,020 手塚様が…! 378 00:59:32,061 --> 00:59:34,761 お帰りでございます。 379 00:59:39,402 --> 00:59:42,102 おかえりなさいませ。 380 00:59:55,418 --> 00:59:57,753 どうか なさいましたか? 381 00:59:57,753 --> 01:00:01,090 風向きが変わった。 えっ? 382 01:00:01,090 --> 01:00:07,763 諏訪様が斬られた。 城中で 手塚という痴れ者が刀を抜きよった! 383 01:00:07,763 --> 01:00:13,436 手塚様? ああ 手塚弥一郎! 384 01:00:13,436 --> 01:00:19,108 それで… 手塚様はいかがなさいました? 385 01:00:19,108 --> 01:00:23,108 知っておるのか? 手塚を。 386 01:00:29,452 --> 01:00:32,152 いえ…。 387 01:00:34,123 --> 01:00:39,823 自分で左内町の大目付の屋敷まで 歩いていったそうだ。 388 01:00:42,465 --> 01:00:44,765 手塚殿! 389 01:01:23,439 --> 01:01:26,342 (庄左衛門) いつの世にも正義派というのがいてな・ 390 01:01:26,342 --> 01:01:29,311 時々 こういうことを やってのけるものだが・ 391 01:01:29,311 --> 01:01:31,781 そんなことして 一体 何になる? 392 01:01:31,781 --> 01:01:36,452 手塚本人は 一文も得するわけではないというのに。 393 01:01:36,452 --> 01:01:41,791 恐らく 切腹だろうな。 394 01:01:41,791 --> 01:01:46,462 ハッ。 おかげで わしも 身の処し方を考えんといかん。 395 01:01:46,462 --> 01:01:51,762 全く バカにつける薬はないとは このことだ! 396 01:01:59,041 --> 01:02:02,745 どうした? 397 01:02:02,745 --> 01:02:06,615 また その目か。 398 01:02:06,615 --> 01:02:10,619 手塚の悪口を言ったのが 気に入らんようだな。 399 01:02:10,619 --> 01:02:15,324 貴様 あの男と何か訳でもあるのか? 400 01:02:15,324 --> 01:02:19,095 言葉を慎みなさいまし! 401 01:02:19,095 --> 01:02:21,997 何!? 402 01:02:21,997 --> 01:02:26,435 貴様 自分が この家に嫁に来てやった そう思っているのではなかろうな? 403 01:02:26,435 --> 01:02:31,774 いいか 俺がもらってやったのだ お前のような出戻りをな! 404 01:02:31,774 --> 01:02:36,445 その目をやめろと言っておるのだ! 405 01:02:36,445 --> 01:02:39,348 何事ですか!? 406 01:02:39,348 --> 01:02:43,786 この女 磯村の家紋を打ち捨てよった。 407 01:02:43,786 --> 01:02:46,455 いつも見下すような目で わしを見よって! 408 01:02:46,455 --> 01:02:51,060 ずっと この家を蔑んでおったのだろう! 違うか!? 409 01:02:51,060 --> 01:02:57,933 母上 この女 嫁いできた時から わしのこと… ええ~い! 410 01:02:57,933 --> 01:03:04,073 その目をやめろと言っておるのだ。 やめんか その目を! 411 01:03:04,073 --> 01:03:06,773 やめろ~! 412 01:03:24,393 --> 01:03:29,693 みっともないまねは おやめなさい! 庄左衛門。 413 01:03:37,773 --> 01:03:40,073 (戸が閉まる音) 414 01:04:10,673 --> 01:04:14,076 分かっておいでだろうね? 415 01:04:14,076 --> 01:04:18,747 自分のしたことが どういうことか。 416 01:04:18,747 --> 01:04:23,419 磯村の家紋を汚した以上・ 417 01:04:23,419 --> 01:04:27,719 お前の居場所は ここにはありませんよ。 418 01:04:49,378 --> 01:05:36,378 ・~ 419 01:06:10,059 --> 01:06:12,728 源吉。 420 01:06:12,728 --> 01:06:16,428 世話になりました。 421 01:06:23,072 --> 01:06:25,974 お元気でね。 422 01:06:25,974 --> 01:06:33,674 野江様も… どうか お体を大切に。 423 01:07:05,047 --> 01:08:12,381 ・~ 424 01:08:12,381 --> 01:08:15,050 今年は 雪が早そうね。 425 01:08:15,050 --> 01:08:20,389 (佐五郎)そうですな 何かと急がねばなりません。 426 01:08:20,389 --> 01:08:23,089 お母様! 427 01:08:25,060 --> 01:08:27,760 お母様…。 428 01:09:42,404 --> 01:09:46,074 何をそんなに ご立腹なのですか? 429 01:09:46,074 --> 01:09:49,745 分かるか? 分かりますとも。 430 01:09:49,745 --> 01:09:54,616 今日 詰め所に磯村が来てな。 何か…。 431 01:09:54,616 --> 01:09:59,755 結納の際の持参金は 一切返すつもりはないと言ってきた。 432 01:09:59,755 --> 01:10:04,092 野江の方から 離縁を望んだのだからとな。 433 01:10:04,092 --> 01:10:11,967 あらあら 野江の方からですか? ああ。 全く どうしようもない男だ。 434 01:10:11,967 --> 01:10:16,672 承服しなければ 目付に申し出るという。 435 01:10:16,672 --> 01:10:21,109 あの男 諏訪殿に こびへつらったかと思えば・ 436 01:10:21,109 --> 01:10:24,446 今度は目付に取り入っているらしい。 437 01:10:24,446 --> 01:10:27,783 おまけに野江のことを あしざまに言いよって…。 438 01:10:27,783 --> 01:10:33,121 思わず刀に手をかけるところであった! そんな手塚様のようなこと…。 439 01:10:33,121 --> 01:10:35,421 勢津! 440 01:10:36,992 --> 01:10:39,995 よろしいではありませんか。 441 01:10:39,995 --> 01:10:44,695 磯村と うちとは もう何の関係もないのですから。 442 01:11:16,431 --> 01:11:20,769 明けまして おめでとうございます。 (3人)おめでとうございます。 443 01:11:20,769 --> 01:11:26,642 おめでとう。 今年も元旦を つつがなく迎えることができた。 444 01:11:26,642 --> 01:11:32,642 このことを感謝し 与えられた一年を 健康に過ごしてまいろう。 445 01:11:35,117 --> 01:11:41,417 こうして ゆっくり家族そろって お正月を迎えるのは 何年ぶりかしらね。 446 01:11:45,460 --> 01:11:49,160 さあ いただきましょう。 447 01:12:25,434 --> 01:12:49,057 ・~ 448 01:12:49,057 --> 01:12:51,393 (かしわ手) 449 01:12:51,393 --> 01:13:13,393 ・~ 450 01:13:15,083 --> 01:13:18,420 お母様。 はい? 451 01:13:18,420 --> 01:13:23,291 近くに 手ごろな家はないでしょうか? 452 01:13:23,291 --> 01:13:26,094 家? 453 01:13:26,094 --> 01:13:33,969 磯村の家で内職をしていたおかげで 仕立物なら随分できるようになりました。 454 01:13:33,969 --> 01:13:40,442 一人で暮らしていく分なら それで なんとかなります。 455 01:13:40,442 --> 01:13:44,112 何を言ってるんです。 456 01:13:44,112 --> 01:13:48,717 そんなこと お父様が お許しになりませんよ。 457 01:13:48,717 --> 01:13:55,717 でも 房叔母様も家を出て 一人で暮らしていたではありませんか。 458 01:13:59,060 --> 01:14:03,932 新之助も そろそろ お嫁をもらう年です。 459 01:14:03,932 --> 01:14:09,404 私が この家にいては 縁談に差し支えます。 460 01:14:09,404 --> 01:14:13,704 勢津だって もう16です。 461 01:14:17,078 --> 01:14:25,754 あなたが次に この家を出てゆくのは 心から幸せになれる道を見つけた時です。 462 01:14:25,754 --> 01:14:33,054 もう そのようなことは… ありません。 463 01:14:52,380 --> 01:14:55,283 えい! あ~っ! 464 01:14:55,283 --> 01:14:59,054 まだまだ! 踏み込みが甘いぞ! はい! 465 01:14:59,054 --> 01:15:01,354 いや~! 466 01:15:03,391 --> 01:15:05,727 参りました。 次! 467 01:15:05,727 --> 01:15:08,027 さ~っ! 468 01:15:10,398 --> 01:15:13,068 えい! やっ! 469 01:15:13,068 --> 01:15:16,738 (隼太)まだ ご沙汰は下らんのか? 470 01:15:16,738 --> 01:15:23,078 (誠一郎)ああ… 手塚様は 何一つ申し開きすることもなく・ 471 01:15:23,078 --> 01:15:29,078 静かに裁きを お待ちになっているそうだ。 御免。 472 01:16:22,404 --> 01:16:30,104 (鍵を掛ける音) 473 01:16:52,367 --> 01:16:56,237 父上。 何だ? 474 01:16:56,237 --> 01:16:59,240 兵馬たちと話し合っているのですが・ 475 01:16:59,240 --> 01:17:04,379 手塚様のために 我々に何か できることはないのでしょうか? 476 01:17:04,379 --> 01:17:09,250 例えば 同志を募り 助命の嘆願書を ご家老に お届けするというのは。 477 01:17:09,250 --> 01:17:12,053 お前たちが 口を出すようなことではない。 478 01:17:12,053 --> 01:17:14,956 しかし あの一件以来 もう よつきです。 479 01:17:14,956 --> 01:17:18,656 ずっと牢におられる 手塚様のことを思うと…。 480 01:17:24,399 --> 01:17:30,271 執政の方々も いたずらに 時間を費やしているのではない。 481 01:17:30,271 --> 01:17:36,411 あの事件は お国を動かした。 新田の開発は見直され・ 482 01:17:36,411 --> 01:17:42,083 来年以降の年貢の率も 元に戻されることとなった。 483 01:17:42,083 --> 01:17:50,692 その手塚に厳しい処分を下しては 恐らく農民たちが黙ってはいないだろう。 484 01:17:50,692 --> 01:17:55,563 だが 事は城中での刃傷沙汰だ。 485 01:17:55,563 --> 01:18:00,035 なまはんかな処分では 領内の規律が保てん。 486 01:18:00,035 --> 01:18:04,335 しかも 相手は あのお家柄だからな。 487 01:18:07,375 --> 01:18:11,713 執政会議では 殿がご帰国される 来月まで待って・ 488 01:18:11,713 --> 01:18:16,051 ご裁断を仰ごうという話に なっているようだ。 489 01:18:16,051 --> 01:18:20,388 それまでは ただ黙って 見ているほかはない。 490 01:18:20,388 --> 01:18:23,058 なんと姑息な…。 491 01:18:23,058 --> 01:18:26,394 新之助 言葉を慎め。 492 01:18:26,394 --> 01:18:31,733 そうではないですか! 執政の方々は 自ら沙汰を下して・ 493 01:18:31,733 --> 01:18:35,603 非難を受けるのが怖いだけだ。 それでは 諏訪様の横暴を・ 494 01:18:35,603 --> 01:18:39,607 ただ手をこまねいて 見ていた時と 同じではないですか! 495 01:18:39,607 --> 01:18:46,281 何のために手塚様が 私を顧みず 民百姓のために刀を振るわれたか…。 496 01:18:46,281 --> 01:18:48,981 新之助。 497 01:18:59,360 --> 01:19:02,360 あと ひとつき…。 498 01:19:10,371 --> 01:19:18,671 手塚様のお母様も さぞや心を痛めて いらっしゃることでしょうね。 499 01:21:00,415 --> 01:21:05,115 今は お幸せでござろうな? 500 01:22:10,418 --> 01:22:54,929 ・~ 501 01:22:54,929 --> 01:22:57,398 (かしわ手) 502 01:22:57,398 --> 01:24:02,263 ・~ 503 01:24:02,263 --> 01:24:06,067 お母様。 うん? 504 01:24:06,067 --> 01:24:11,406 房叔母様が 一度も お嫁に行かれなかったのは・ 505 01:24:11,406 --> 01:24:15,743 何か訳があったのでしょうか? 506 01:24:15,743 --> 01:24:20,615 お話はあったのですよ。 え? 507 01:24:20,615 --> 01:24:24,085 お相手は 立派な方でしたが・ 508 01:24:24,085 --> 01:24:27,422 祝言の日取りまで決まっていたのに・ 509 01:24:27,422 --> 01:24:32,122 突然 病でお亡くなりになりました。 510 01:24:33,761 --> 01:24:39,634 房殿は それから具合が すぐれなくなったのですよ。 511 01:24:39,634 --> 01:24:45,373 もともと お体の弱い方でしたからね。 512 01:24:45,373 --> 01:25:01,373 ・~ 513 01:25:09,397 --> 01:25:12,733 お母様。 514 01:25:12,733 --> 01:25:21,733 房叔母様は 本当は お幸せだったのかもしれませんね。 515 01:25:23,377 --> 01:25:32,377 きっと その方のことを ずっと慕っていらっしゃったのですね。 516 01:25:36,424 --> 01:25:41,724 私とは 違うのですね。 517 01:25:44,298 --> 01:25:47,702 いいえ。 518 01:25:47,702 --> 01:25:54,002 あなたは ほんの少し 回り道をしているだけなのですよ。 519 01:26:17,398 --> 01:26:53,234 ・~ 520 01:26:53,234 --> 01:26:57,038 [ 回想 ] 手折って進ぜよう。 521 01:26:57,038 --> 01:27:00,708 この辺りで よろしいか? 522 01:27:00,708 --> 01:27:48,022 ・~ 523 01:27:48,022 --> 01:27:50,358 あの…。 524 01:27:50,358 --> 01:28:46,358 ・~ 525 01:29:18,045 --> 01:29:21,345 ごめんくださいませ。 526 01:29:53,948 --> 01:29:56,948 あの…。 527 01:29:58,686 --> 01:30:05,426 (志津)おや きれいな桜ですこと。 528 01:30:05,426 --> 01:30:09,126 あ… ええ。 529 01:30:11,298 --> 01:30:16,437 お聞き及びではないかと思いますが・ 530 01:30:16,437 --> 01:30:21,308 浦井の娘で 野江と申します。 531 01:30:21,308 --> 01:30:25,446 浦井様の 野江さん? 532 01:30:25,446 --> 01:30:28,446 はい。 533 01:30:30,317 --> 01:30:37,017 あなたが… そうですか。 534 01:30:38,793 --> 01:30:46,793 野江さん あなたのことは 弥一郎から始終聞いておりました。 535 01:30:49,403 --> 01:30:53,073 弥一郎は あなたが・ 536 01:30:53,073 --> 01:30:59,073 磯村のお家に嫁がれたことを 大層 怒っておりましたよ。 537 01:31:00,748 --> 01:31:08,088 あ… でも 私は あなたが いつかこうして・ 538 01:31:08,088 --> 01:31:14,962 この家を訪ねてみえるのではないかと 心待ちにしておりました。 539 01:31:14,962 --> 01:31:20,262 さあ どうぞ お上がりになって下さいませ。 540 01:31:23,437 --> 01:31:28,108 あ… その枝を頂きましょう。 541 01:31:28,108 --> 01:31:32,808 せっかくの花がしおれると いけませんから さあ。 542 01:31:36,784 --> 01:31:40,454 さあ どうぞ お上がりになって。 543 01:31:40,454 --> 01:31:42,754 はい。 544 01:31:56,737 --> 01:31:59,037 さあ。 545 01:32:21,428 --> 01:32:25,099 あのことがあってから・ 546 01:32:25,099 --> 01:32:31,772 訪ねてくる人が 一人もいなくなりました。 547 01:32:31,772 --> 01:32:37,111 寂しゅうございました。 548 01:32:37,111 --> 01:32:44,811 訪ねてきたのは 野江さん あなたが初めてですよ。 549 01:33:05,272 --> 01:34:44,438 ・~ 550 01:34:44,438 --> 01:34:47,341 これで大丈夫でしょうか? 551 01:34:47,341 --> 01:34:49,710 大丈夫。 552 01:34:49,710 --> 01:39:18,410 ・~ 553 01:39:34,261 --> 01:39:52,561 ・~