1 00:00:34,820 --> 00:00:40,820 (崇子)幸樹? 幸樹? 2 00:00:43,170 --> 00:00:47,840 (崇子)幸樹? 幸樹? (村川)どうした? 3 00:00:47,840 --> 00:00:51,170 (崇子)あなた。 幸樹の姿が。 4 00:00:51,170 --> 00:00:53,510 一人で 海なんか 入れるからだよ。 5 00:00:53,510 --> 00:00:55,510 (崇子)だって あなた 寝てばっかりで・ 6 00:00:55,510 --> 00:00:59,810 遊んでくれないから。 幸樹! 7 00:01:01,450 --> 00:01:04,790 幸樹! (崇子)幸樹! 8 00:01:04,790 --> 00:01:11,130 幸樹! (崇子・村川)幸樹! 幸樹! 9 00:01:11,130 --> 00:01:12,800 幸樹! 10 00:01:12,800 --> 00:01:16,130 (村川)<思えば これから お話しする わたしの・ 11 00:01:16,130 --> 00:01:20,140 とても バカげた そして 何ものにも 代え難く思えた・ 12 00:01:20,140 --> 00:01:24,810 冒険の旅は 10年前の この日に始まっていた> 13 00:01:24,810 --> 00:01:29,140 幸樹? 幸樹 何やってんだ? 14 00:01:29,140 --> 00:01:33,150 (幸樹)別に。 心配してるぞ ママが。 15 00:01:33,150 --> 00:01:36,150 (幸樹)お父さんは 心配しないの? 16 00:01:36,150 --> 00:01:46,160 ♫~ 17 00:01:46,160 --> 00:01:48,760 これ 何だろう? 18 00:01:53,170 --> 00:01:59,170 手紙が入ってる。 うん。 流れてきたのかな? 19 00:01:59,170 --> 00:02:20,460 ♫~ 20 00:02:20,460 --> 00:02:24,760 ≪(栗山)雪子さん。 今日は 病院で 検査ですからね。 21 00:02:28,470 --> 00:02:31,810 (栗山)雪子さんは いつも 海を 見てらっしゃいますね。・ 22 00:02:31,810 --> 00:02:34,110 お好きなんですか? 23 00:02:37,480 --> 00:02:42,480 (栗山)海を見ているときは お幸せそう。 24 00:02:42,480 --> 00:02:53,160 (雪子)海は 美しいですね。 人生も 美しいです。 25 00:02:53,160 --> 00:02:59,500 (栗山)人生も? (雪子)ええ。 26 00:02:59,500 --> 00:03:03,110 うらやましいな。 そんなこと 感じられるなんて。 27 00:03:03,110 --> 00:03:30,800 ♫~ 28 00:03:30,800 --> 00:03:33,800 ああ 行ってくる。 今日も お早いんですか? 29 00:03:33,800 --> 00:03:35,800 うん。 きっと 早いよ。 30 00:03:35,800 --> 00:03:37,810 会社は 残業なんか 許してくれないだろうからね。 31 00:03:37,810 --> 00:03:42,110 ああ。 電車の中で お読みになるんでしょ? 32 00:03:44,480 --> 00:03:46,480 ああ。 それから 幸樹に頼まれた ゲーム・ 33 00:03:46,480 --> 00:03:48,480 ちゃんと買ってらしてくださいね。 メモした。 34 00:03:48,480 --> 00:03:50,150 あいつ 大学 行ってるのか? 35 00:03:50,150 --> 00:03:51,820 行きたくないって 言ってるんですから・ 36 00:03:51,820 --> 00:03:53,820 行きたくないものは 無理に 行くことないわ。 37 00:03:53,820 --> 00:03:58,490 でもな もう 1年近く 行ってないんだろ? 38 00:03:58,490 --> 00:04:01,760 勉強に ついていけないとか 友達と うまくいってないとか・ 39 00:04:01,760 --> 00:04:05,100 理由があるなら 分かる。 だけど 行きたくないから・ 40 00:04:05,100 --> 00:04:08,770 行かないで 一日中 部屋にいるってのは。 41 00:04:08,770 --> 00:04:11,770 (崇子)あなたは 仕事を 頑張ってくださればいいんです。 42 00:04:11,770 --> 00:04:14,780 あの子のことは わたしが いちばん よく分かってます。 43 00:04:14,780 --> 00:04:17,110 あなたのように 幸樹を 理解しようとしない人が・ 44 00:04:17,110 --> 00:04:20,120 多いから あの子は 苦しむんですよ。 45 00:04:20,120 --> 00:04:22,780 そうかな? ええ。 46 00:04:22,780 --> 00:04:25,790 幸樹は あなたと 一緒に いたくないと言ってます。 47 00:04:25,790 --> 00:04:30,460 息子が 父親といたくないか。 笑うしかないな。 48 00:04:30,460 --> 00:04:33,060 行ってらっしゃい。 49 00:04:38,130 --> 00:04:41,800 <これが 何十年間も 仕事に打ち込んで・ 50 00:04:41,800 --> 00:04:46,480 家庭を顧みなかった 男の末路か> 51 00:04:46,480 --> 00:04:51,780 <本当のことを言えば その仕事も 今はない> 52 00:04:54,820 --> 00:04:59,820 <まだ 家族には伝えていないが 30年以上 通い慣れた・ 53 00:04:59,820 --> 00:05:04,420 あの会社に わたしの机はない> 54 00:05:07,100 --> 00:05:09,430 (瀬口)残念ながら 今月 ご紹介できる・ 55 00:05:09,430 --> 00:05:13,100 再就職先はございません。 あの。 先月も・ 56 00:05:13,100 --> 00:05:15,770 たった 1回しか 紹介していただけませんでしたね。 57 00:05:15,770 --> 00:05:18,770 (瀬口)同時に 二つ 紹介して 採用になった場合・ 58 00:05:18,770 --> 00:05:21,780 どちらかを お断りになることになります。 59 00:05:21,780 --> 00:05:25,450 そうなると わたしどもと 登録企業との 信頼関係が・ 60 00:05:25,450 --> 00:05:28,120 まずくなって ほかの方に 迷惑がかかります。 61 00:05:28,120 --> 00:05:31,790 いつも そう おっしゃいますが 面接のときに 相手は もう・ 62 00:05:31,790 --> 00:05:34,120 初めから 落とす態度が ありありなんですよ。 63 00:05:34,120 --> 00:05:37,790 大学 出てますし 勤めてた会社は 一応 名の通った 企業です。 64 00:05:37,790 --> 00:05:40,800 わたしは そこで 休日返上で 文句 一つ言わずに・ 65 00:05:40,800 --> 00:05:43,130 働いてきたんだ。 どうして わたしが・ 66 00:05:43,130 --> 00:05:46,470 そんな冷遇を 受けなければならないんですか? 67 00:05:46,470 --> 00:05:50,140 はっきり 申し上げれば 世間では・ 68 00:05:50,140 --> 00:05:53,480 あなたのような 人間こそが 余ってるんですよ。 69 00:05:53,480 --> 00:05:56,140 まだ リストラされたことを ご家族には・ 70 00:05:56,140 --> 00:05:58,480 お話しに なってらっしゃらないんでしょ?・ 71 00:05:58,480 --> 00:06:03,090 今でも 前の会社で 働いていると 嘘を? 72 00:06:03,090 --> 00:06:07,420 ええ まあ。 言いだす きっかけが なかなか なかったから。 73 00:06:07,420 --> 00:06:11,090 (瀬口)こんなときこそ 家族に 支えてもらわないと。・ 74 00:06:11,090 --> 00:06:15,100 来月 また来てください。 ああ…。 75 00:06:15,100 --> 00:06:18,770 (瀬口)次の方 どうぞ。 76 00:06:18,770 --> 00:06:22,440 <5年前 勤めていた会社の 上司から・ 77 00:06:22,440 --> 00:06:28,110 年俸制の提案を受けた。 今よりも 収入が上がるからと言われ・ 78 00:06:28,110 --> 00:06:34,120 自分の実力に 賭けてみようと思い 契約社員になったが・ 79 00:06:34,120 --> 00:06:38,450 それは つまり よくできた リストラの システムで・ 80 00:06:38,450 --> 00:06:44,460 今年の春 小さなミスを理由に 契約の継続を 打ち切られた。・ 81 00:06:44,460 --> 00:06:48,800 30年近く 私情を押し殺して 奉仕した 会社に・ 82 00:06:48,800 --> 00:06:52,800 最後の最後に コケにされたのだ> 83 00:06:52,800 --> 00:06:57,140 <しかし 会社に対して 怒りをぶつけ 会社を・ 84 00:06:57,140 --> 00:07:02,410 否定するということは 自分の 30年間を 否定することになる。・ 85 00:07:02,410 --> 00:07:06,080 わたしが過ごしてきた 人生は この制服と・ 86 00:07:06,080 --> 00:07:09,750 わたしの容姿のごとく 矛盾しているのだ> 87 00:07:09,750 --> 00:07:11,420 (森本)村川さん。 はい。 88 00:07:11,420 --> 00:07:13,720 (森本)ちょっと。 はい。 89 00:07:15,420 --> 00:07:17,430 (森本)今日で バイトを 辞めてもらえますか? 90 00:07:17,430 --> 00:07:21,100 あっ。 はっ? いや。 あの子たちが 言うんです。 91 00:07:21,100 --> 00:07:23,770 あなたがいると 雰囲気が 悪くなるって。 92 00:07:23,770 --> 00:07:26,440 いや。 わたしは 彼らと 話したことはありません。 93 00:07:26,440 --> 00:07:28,100 迷惑は かけてない。 (森本)いや。・ 94 00:07:28,100 --> 00:07:30,110 あなたが 悪いわけじゃないんです。 95 00:07:30,110 --> 00:07:32,770 ただ あの子たちにとって バイトは 部活みたいに・ 96 00:07:32,770 --> 00:07:35,780 ワイワイ ガヤガヤ 自分たちの感覚で やりたいわけですよ。 97 00:07:35,780 --> 00:07:37,780 ええ。 ですから わたしは…。 あなたが いるだけで・ 98 00:07:37,780 --> 00:07:39,780 気になるらしいんです。 いるだけで? 99 00:07:39,780 --> 00:07:42,780 はい。 分かってやってください。 あっ 店長。 100 00:07:42,780 --> 00:07:44,450 (森本)何ですか? もう いいじゃないですか。 101 00:07:44,450 --> 00:07:47,120 すいませんが 1万円 貸してもらえませんか? 102 00:07:47,120 --> 00:08:05,120 ♫~ 103 00:08:44,110 --> 00:08:46,110 わたしが 買ってはいけませんか? 104 00:08:46,110 --> 00:08:49,450 (店員)いえ。 いくらですか? 105 00:08:49,450 --> 00:08:54,790 6,800円になります。 少々 お待ちください。 106 00:08:54,790 --> 00:08:58,130 <目を そらせなかった。 下を向けば・ 107 00:08:58,130 --> 00:09:02,400 やりきれない思いで 熱いものが こぼれ落ちそうだった> 108 00:09:02,400 --> 00:09:05,400 (店員)お待たせしました。 お釣り 3,200円…。 109 00:09:07,740 --> 00:09:13,740 <アルバイトも クビになり また一つ 自分の生きざまを 否定された。・ 110 00:09:13,740 --> 00:09:18,080 あしたは 一日 何をして 過ごせばいいのか> 111 00:09:18,080 --> 00:09:27,420 ♫~ 112 00:09:27,420 --> 00:09:30,430 (崇子)「お友達と 食事をしてきます。・ 113 00:09:30,430 --> 00:09:35,030 適当に 店屋物でも 取ってください。 崇子」 114 00:09:38,430 --> 00:09:40,430 おい 幸樹! 115 00:09:42,100 --> 00:09:45,110 買ってきたぞ。 頼まれた ゲーム。 116 00:09:45,110 --> 00:09:47,780 おい。 (ノック) 117 00:09:47,780 --> 00:09:49,780 いないのか? (ノック) 118 00:09:49,780 --> 00:09:52,110 おい。 119 00:09:52,110 --> 00:09:55,110 たまには 下で みんなと一緒に 飯でも…。 120 00:09:58,450 --> 00:10:04,790 「ありがとう 親父」 いや いや。 いや。 フフッ。 121 00:10:04,790 --> 00:10:08,130 <そう 言われるとでも 思っていたのか。・ 122 00:10:08,130 --> 00:10:11,470 それでも 子供が 喜んでいるのなら・ 123 00:10:11,470 --> 00:10:17,810 幸せだと思う 親心も また 矛盾の固まりだ> 124 00:10:17,810 --> 00:10:40,830 ♫~ 125 00:10:40,830 --> 00:10:45,830 ♫~ 126 00:10:45,830 --> 00:10:47,500 (ため息) 127 00:10:47,500 --> 00:10:49,500 <我が家は いつから・ 128 00:10:49,500 --> 00:10:52,800 こんなことに なったのだろうか> 129 00:11:09,790 --> 00:11:24,470 ♫~ 130 00:11:24,470 --> 00:11:28,770 (足音) 131 00:11:34,820 --> 00:11:37,820 <あの日 海から持って帰って・ 132 00:11:37,820 --> 00:11:42,160 それからは すっかり忘れていた。 どうして 急に・ 133 00:11:42,160 --> 00:11:44,830 手にしたくなったのか 分からない。・ 134 00:11:44,830 --> 00:11:50,830 ただ 気分だけでも 10年前の あの日に戻りたかった。・ 135 00:11:50,830 --> 00:11:56,170 まだ 家族が 家族らしかった 我が家に> 136 00:11:56,170 --> 00:11:59,170 <一度 手紙を 取り出してみたことがあったが・ 137 00:11:59,170 --> 00:12:05,110 仕事の忙しさで 頭が回らず 何も 思わずに そのまま しまった。・ 138 00:12:05,110 --> 00:12:12,110 「瑞鶴 機関兵 鳴海 勝一 海軍 予備少尉」> 139 00:12:14,120 --> 00:12:19,790 <戦争中に 何かの理由で 海に預けた 手紙なんだろう。・ 140 00:12:19,790 --> 00:12:25,090 太平洋戦争といえば 六十数年前か> 141 00:12:32,140 --> 00:12:33,810 (ため息) 142 00:12:33,810 --> 00:12:38,480 <自分は 60年近く 何を やってきたんだろうか。・ 143 00:12:38,480 --> 00:12:43,150 自分の人生は 与えられるものを 受け取るだけで・ 144 00:12:43,150 --> 00:12:48,490 何かをしたいといった 生き方は してこなかったような気がする。・ 145 00:12:48,490 --> 00:12:54,830 毎日 通勤ラッシュの 電車の中に いたのだから> 146 00:12:54,830 --> 00:12:57,830 <人は 驚くほど ちっぽけだ。・ 147 00:12:57,830 --> 00:13:00,840 精一杯 生きてきたつもりだったが・ 148 00:13:00,840 --> 00:13:05,770 振り返れば 無意味なものだった。・ 149 00:13:05,770 --> 00:13:10,370 俺は こんなことをやったと 言えることが あっただろうか> 150 00:13:15,120 --> 00:13:17,790 <わたしは ふと思った。・ 151 00:13:17,790 --> 00:13:21,460 今 いる 人生のどん詰まりから はい出すには・ 152 00:13:21,460 --> 00:13:25,130 何か とんでもないことを しなければいけない。・ 153 00:13:25,130 --> 00:13:27,800 自分の バカさかげんが・ 154 00:13:27,800 --> 00:13:31,130 人生に影響を 及ぼすようなことを しなければならない。・ 155 00:13:31,130 --> 00:13:38,130 そう思った。 なぜか知らないが そう思った> 156 00:13:44,810 --> 00:13:52,820 幸樹。 お父さんはな バカなことを しに行く。 157 00:13:52,820 --> 00:13:56,830 手紙を 届けに行こうかと思う。・ 158 00:13:56,830 --> 00:14:01,100 お父さん 確かめたくなったんだよ。・ 159 00:14:01,100 --> 00:14:08,100 自分が 生きてるのか 死んでるのか。 160 00:14:08,100 --> 00:14:13,100 そのことに…。 そのことに 賭けてみようと思うんだ。 161 00:14:14,780 --> 00:14:17,080 お母さん 頼む。 162 00:14:29,790 --> 00:14:52,810 ♫~ 163 00:14:52,810 --> 00:14:56,820 (雪子)<必ず 帰ってきてください> 164 00:14:56,820 --> 00:15:05,760 (鳴海)<必ず 帰ってきます> (雪子)<ずっと 待っていますから> 165 00:15:05,760 --> 00:15:10,100 (鳴海)<ずっと 待っていてください> 166 00:15:10,100 --> 00:15:12,100 (雪子)はい。 167 00:15:12,100 --> 00:15:30,450 ♫~ 168 00:15:30,450 --> 00:15:33,450 (崇子)今日は ありがと。 169 00:15:33,450 --> 00:15:37,790 (男)今度は ホテルの レストランで 食事しよう。 170 00:15:37,790 --> 00:15:40,460 (崇子)あっ。 楽しいよ 崇子ちゃんといると。 171 00:15:40,460 --> 00:15:45,130 やめてよ 崇子ちゃんだなんて。 キャンパスじゃ そう呼んでたろ。 172 00:15:45,130 --> 00:15:49,140 嫌ねえ。 もう 何十年前の話よ。 173 00:15:49,140 --> 00:15:52,470 変わってないよ 崇子ちゃんは。 また メールする。 174 00:15:52,470 --> 00:15:55,070 (崇子)うん。 じゃあ お願いします。 175 00:16:01,420 --> 00:16:04,020 (崇子)ただいま。 176 00:16:13,760 --> 00:16:16,760 (村川)「しばらく 一人で 考えたいことがあるので・ 177 00:16:16,760 --> 00:16:19,100 旅に出ます。・ 178 00:16:19,100 --> 00:16:23,100 銀行には わたしの退職金と 貯金があります。・ 179 00:16:23,100 --> 00:16:28,110 家の権利書や 実印などは 本棚の 引き出しです。・ 180 00:16:28,110 --> 00:16:34,120 勝手なことをして ごめん。 一生に一度の バカな まねです」 181 00:16:34,120 --> 00:16:42,460 ♫~ 182 00:16:42,460 --> 00:16:51,060 📱 183 00:16:57,810 --> 00:17:03,410 <手がかりは 手紙の送り主 鳴海 勝一という男が乗っていた・ 184 00:17:03,410 --> 00:17:06,750 瑞鶴という 戦艦の名前だけだった。・ 185 00:17:06,750 --> 00:17:11,750 瑞鶴は 太平洋戦争の末期 レイテ沖海戦で沈んだ・ 186 00:17:11,750 --> 00:17:14,420 航空母艦らしい。・ 187 00:17:14,420 --> 00:17:19,020 奈良県の 橿原神宮というところに 慰霊碑がある> 188 00:17:25,430 --> 00:17:35,110 ≪📱 189 00:17:35,110 --> 00:17:40,780 あっ 幸樹か? お父さんだ。 頼みたいことがあるんだが。 190 00:17:40,780 --> 00:17:46,780 瑞鶴という 航空母艦のことを インターネットで 調べてくれないか? 191 00:17:48,460 --> 00:17:50,760 幸樹? 192 00:17:55,800 --> 00:17:59,130 (幸樹)「僕だって このまま 部屋に 閉じこもっていちゃ・ 193 00:17:59,130 --> 00:18:04,410 ダメだって思ってる。 そう思うけど 外に出かけたり・ 194 00:18:04,410 --> 00:18:07,710 学校に行ったり 働いたりは 嫌なんだ」 195 00:18:10,080 --> 00:18:13,410 (アリス)「わたしも 外へ出るのは 怖くて 嫌なの。・ 196 00:18:13,410 --> 00:18:15,750 嫌なものは 嫌。・ 197 00:18:15,750 --> 00:18:20,090 でも 誰も わたしのことを 分かってくれない。・ 198 00:18:20,090 --> 00:18:23,690 家族にとって わたしは 何?」 199 00:18:30,770 --> 00:18:33,770 (幸樹)「僕も 家族にとって 何の意味もない。・ 200 00:18:33,770 --> 00:18:36,770 存在したって しなくたって同じ。・ 201 00:18:36,770 --> 00:18:40,070 ペットの犬のほうが よっぽど 愛きょう 振りまくよね」 202 00:18:42,110 --> 00:18:45,780 (アリス)「わたしも 家族に 迷惑かけるだけの存在。・ 203 00:18:45,780 --> 00:18:48,450 それなら いっそ 自殺して・ 204 00:18:48,450 --> 00:18:52,790 家族に 生命保険 残すほうが いいかなって思うよ。・ 205 00:18:52,790 --> 00:18:56,120 わたしが死ねば 家族は 悲しむだろうけど・ 206 00:18:56,120 --> 00:19:01,120 将来的には わたしがいないほうが いいんじゃないかな」 207 00:19:05,400 --> 00:19:07,740 (幸樹)「自殺なんかしちゃ ダメだって。・ 208 00:19:07,740 --> 00:19:13,070 アリスが いなくなると 僕は 困るって」 209 00:19:13,070 --> 00:19:40,770 ♫~ 210 00:19:40,770 --> 00:19:57,790 ♫~ 211 00:19:57,790 --> 00:20:02,460 <航空母艦 瑞鶴の 慰霊碑の 戦没者名録に・ 212 00:20:02,460 --> 00:20:06,130 鳴海 勝一の名は なかった> 213 00:20:06,130 --> 00:20:11,470 ≪(鳥越)どなたか お捜しですか? あっ いえ。 214 00:20:11,470 --> 00:20:15,140 この船に 乗っておられた 鳴海 勝一さんのことを・ 215 00:20:15,140 --> 00:20:19,140 調べたくて東京からまいりました。 (鳥越)そうですか。 216 00:20:19,140 --> 00:20:23,480 しかし 名前は ありませんでした。 217 00:20:23,480 --> 00:20:27,480 (鳥越)あの名録に 記載されてない人も おるんです。 218 00:20:27,480 --> 00:20:32,490 調査しきれてないそうでして。 そうですか。 219 00:20:32,490 --> 00:20:35,820 (鳥越)その お方は ご親戚の方か 何かで? 220 00:20:35,820 --> 00:20:38,160 えっ? いえ 違います。 221 00:20:38,160 --> 00:20:41,160 (鳥越)では。 ああ…。 222 00:20:41,160 --> 00:20:46,160 実は…。 聞いていただけますでしょうか? 223 00:20:48,880 --> 00:20:52,550 (鳥越)わたしも 瑞鶴に 乗船していました。 224 00:20:52,550 --> 00:20:57,220 そうなんですか!? わたしのいた 兵器分隊は・ 225 00:20:57,220 --> 00:21:02,160 50名近く おりましたが 生きて帰ったのは わたしだけです。 226 00:21:02,160 --> 00:21:09,830 最後は 壮絶な戦いで 瑞鶴は レイテ沖の海に 沈みました。 227 00:21:09,830 --> 00:21:13,500 その 手紙というのは 今 お持ちですか? 228 00:21:13,500 --> 00:21:16,840 あっ はい。 229 00:21:16,840 --> 00:21:19,440 あっ どうぞ。 ご覧ください。 230 00:21:25,180 --> 00:21:30,180 この鳴海さんという お方は 機関科の 予備士官ですね。 231 00:21:30,180 --> 00:21:33,520 あっ ご存じなんですか? いやいや。 232 00:21:33,520 --> 00:21:38,190 お宅さんが お考え以上に 空母というのは 大きいもんで・ 233 00:21:38,190 --> 00:21:42,200 ちょうど 一つの町に 匹敵しよるほどです。 234 00:21:42,200 --> 00:21:45,200 何か 手がかりは? どうしても その手紙を・ 235 00:21:45,200 --> 00:21:49,200 お渡ししたいんです。 あの 何としても。 236 00:21:49,200 --> 00:21:52,870 機関科の 予備士官というのは どういう? 237 00:21:52,870 --> 00:21:57,880 学徒動員は 知ってはりまんな? はい。 教科書程度なら。 238 00:21:57,880 --> 00:22:02,150 (鳥越)戦争中に 海軍は 幹部の不足を 補うために・ 239 00:22:02,150 --> 00:22:06,820 大学や 高等専門学校の 出身者を 入隊させました。・ 240 00:22:06,820 --> 00:22:11,160 まあ 特に 商船学校の学徒は 船を操るという点で・ 241 00:22:11,160 --> 00:22:15,500 海軍と似てますやろ。 鳴海さんは 恐らくは・ 242 00:22:15,500 --> 00:22:20,830 商船学校の 機関科の 出身でっしゃろ。 243 00:22:20,830 --> 00:22:23,170 どこの学校か 分かりますか? 244 00:22:23,170 --> 00:22:27,170 まあ はっきりとは分かりませんが 東京高等商船学校。 245 00:22:27,170 --> 00:22:32,180 あるいは 神戸高等商船学校。 あっ ほかにも・ 246 00:22:32,180 --> 00:22:35,850 水産講習所の生徒らも 海軍 予備学生と・ 247 00:22:35,850 --> 00:22:38,520 なりよりましたさかい。 ああ そうですか。 248 00:22:38,520 --> 00:22:43,190 そんなに いろんなところから。 はあー。 249 00:22:43,190 --> 00:22:45,530 (鳥越)そう がっかりしなはんな。 (村川)はあ。 250 00:22:45,530 --> 00:22:48,860 (鳥越)わたしの知り合いを 紹介しますさかい。・ 251 00:22:48,860 --> 00:22:53,530 新庄さんという 神戸商船学校の 出身で・ 252 00:22:53,530 --> 00:22:58,210 同じ瑞鶴に 乗っていた方が 京都に 住んでおられます。・ 253 00:22:58,210 --> 00:23:01,470 わたしは その お方に 助けられましてな。・ 254 00:23:01,470 --> 00:23:05,480 新庄さんなら きっと お役に立てると 思いますわ。・ 255 00:23:05,480 --> 00:23:08,150 連絡を入れますさかい 明日にでも・ 256 00:23:08,150 --> 00:23:10,820 お訪ねになられたら どないですか? 257 00:23:10,820 --> 00:23:15,490 お願いします ぜひ。 あんたは 変わった お方やな。 258 00:23:15,490 --> 00:23:20,160 我ながら あきれています。 ホテルは もう お取りですか? 259 00:23:20,160 --> 00:23:23,500 いえ まだ。 よければ 今日は・ 260 00:23:23,500 --> 00:23:26,170 わたしの家に 泊まりなはれ。 いや しかし。 261 00:23:26,170 --> 00:23:32,840 いやいや。 迷惑とは 違いまっせ。 年寄りは とにかく寂しいもんで。 262 00:23:32,840 --> 00:23:37,840 年寄りの 話し相手になるのも 善行と お考えなはれ。・ 263 00:23:37,840 --> 00:23:40,510 女房も 死んでしもうて 独り者。・ 264 00:23:40,510 --> 00:23:49,810 誰に 遠慮がいりますかいな。 「幾百の しかばね 束ぬ 碑は一つ」 265 00:23:54,530 --> 00:23:57,530 それじゃあ。 266 00:23:59,870 --> 00:24:02,470 (鳥越)ご存じのように 太平洋戦争は・ 267 00:24:02,470 --> 00:24:07,140 日本軍の 真珠湾攻撃で 幕を開けました。・ 268 00:24:07,140 --> 00:24:14,150 今から 64年前の 昭和16年 12月8日のことでした。・ 269 00:24:14,150 --> 00:24:18,490 日本軍は 米軍を相手に 破竹の進撃を 続けましたが・ 270 00:24:18,490 --> 00:24:23,490 翌年の ミッドウェー沖海戦で 手痛い反撃を 受けました。 271 00:24:25,490 --> 00:24:29,830 (鳥越)米軍は フィリピンの レイテ湾に 攻撃の足場を築き・ 272 00:24:29,830 --> 00:24:33,170 対する日本軍は 総力を結集して・ 273 00:24:33,170 --> 00:24:38,170 背水の陣で 最後の戦いを 挑んだのです。・ 274 00:24:38,170 --> 00:24:41,510 瑞鶴などの 機動艦隊が おとりとなって・ 275 00:24:41,510 --> 00:24:46,180 米軍機動艦隊を レイテ沖に おびき出した。・ 276 00:24:46,180 --> 00:24:51,520 しかし 日本軍の主力艦隊は レイテ湾に 突入せずに終わり・ 277 00:24:51,520 --> 00:24:58,190 結果としては 我々の機動艦隊は 犬死にとなったのです。・ 278 00:24:58,190 --> 00:25:03,190 出撃した 空母 4隻は 全滅しました。 279 00:25:05,470 --> 00:25:08,470 (鳥越)余生ですよ わたしの人生は。 280 00:25:08,470 --> 00:25:14,140 今は 慰霊碑の掃除だけが わたしの日課です。 281 00:25:14,140 --> 00:25:20,810 生と死は でたらめに振られた サイコロの 丁半と同じです。 282 00:25:20,810 --> 00:25:25,820 戦争はね 麻薬ですよ。 283 00:25:25,820 --> 00:25:29,160 生きてることを 実感するのが 人間の最高の・ 284 00:25:29,160 --> 00:25:33,830 幸せで あるんやったら わしらは あの戦争で・ 285 00:25:33,830 --> 00:25:37,830 一種の幸せを 手に入れたのかもしれませんわ。 286 00:25:37,830 --> 00:25:44,840 そして 後は 燃え残りですわ。 わたしは 空のタンクです。 287 00:25:44,840 --> 00:25:49,180 生きる力で 満たすことのできへん。 288 00:25:49,180 --> 00:25:56,480 まあ 命は 器にすぎんからね。 ヘヘヘ。 むなしい 生でっせ。 289 00:25:59,850 --> 00:26:04,460 鳴海という お方なら満たすことが できたんではないかと思うと・ 290 00:26:04,460 --> 00:26:08,460 心を あぶられる思いです。 291 00:26:08,460 --> 00:26:23,480 ♫~ 292 00:26:23,480 --> 00:26:27,480 これを 差し上げましょう。 何ですか? それは。 293 00:26:27,480 --> 00:26:32,820 精神棒です。 ハンマーの 柄の部分を 改造したもんで・ 294 00:26:32,820 --> 00:26:35,820 上官が 新兵の尻をたたく 棒でんねん。 295 00:26:35,820 --> 00:26:39,830 わしも 尻をたたかれ 新兵が入ってきたら・ 296 00:26:39,830 --> 00:26:42,500 よう たたいたもんです。 いや。 いや しかし・ 297 00:26:42,500 --> 00:26:44,160 そんな 大切なものは いただけません。 298 00:26:44,160 --> 00:26:47,500 瑞鶴のことや わしらのことに 興味を持っていただいて・ 299 00:26:47,500 --> 00:26:52,840 うれしいんです。 戦友を失って 生き残った わたしに・ 300 00:26:52,840 --> 00:26:58,180 課せられた義務は 未来に 伝えていくことですさかい。 301 00:26:58,180 --> 00:27:00,450 あんたに 持っていてもらったほうがええ。 302 00:27:00,450 --> 00:27:02,750 旅の お供に。 303 00:27:05,450 --> 00:27:10,450 ええ旅の終わりが 来ることを お祈りしています。 304 00:27:12,130 --> 00:27:17,730 いただきます。 いや お預かりします。 305 00:27:19,800 --> 00:27:24,140 さあ さあ。 さあ さあ さあ。 はい。 306 00:27:24,140 --> 00:27:28,440 どうも。 ああー。 307 00:27:30,140 --> 00:27:33,150 <久しぶりに よく眠れた。・ 308 00:27:33,150 --> 00:27:37,750 疲れが 温かい布団に 溶け出すようだった> 309 00:27:41,820 --> 00:27:47,160 (川井)最近の不況で 中年男性の 家出が 少なくないんです。・ 310 00:27:47,160 --> 00:27:52,500 旦那さんも 数か月前に お勤めの会社を リストラされたと。 311 00:27:52,500 --> 00:27:56,840 (崇子)はい。 わたしも 知らなかったんですけど。 312 00:27:56,840 --> 00:27:59,840 (川井)ご家族に 黙ってたんですね。・ 313 00:27:59,840 --> 00:28:04,840 そういった 極度の神経衰弱から どっかへ フラッと・ 314 00:28:04,840 --> 00:28:07,850 逃げたくなったんじゃないですか。 あのう。 315 00:28:07,850 --> 00:28:10,520 捜索願いは 出したほうが いいんでしょうか? 316 00:28:10,520 --> 00:28:15,190 (川井)そうですねえ。 この場合 事件性は かなり低いです。 317 00:28:15,190 --> 00:28:18,530 まっ 子供の場合なら ともかく 物事を分かった 大人が・ 318 00:28:18,530 --> 00:28:21,860 自分の意志で 家を 出られたんですから。 319 00:28:21,860 --> 00:28:24,530 自殺っていうことは 考えられませんか? 320 00:28:24,530 --> 00:28:27,200 まあ 遺書らしきものが 見当たらないということで・ 321 00:28:27,200 --> 00:28:30,200 可能性は 低いでしょう。 322 00:28:30,200 --> 00:28:33,870 何か できることは ありませんか? 323 00:28:33,870 --> 00:28:39,880 主人 クレジットカードも…。 現金だって 少ししか 持ってってないんです。 324 00:28:39,880 --> 00:28:42,220 (崇子のため息) 325 00:28:42,220 --> 00:28:46,520 (崇子)ホントに どこへ 行ってしまったのか。 326 00:28:49,560 --> 00:28:52,560 (アリス)「お父さん 帰ってこなかったの?」 327 00:28:54,230 --> 00:28:58,900 (幸樹)「音が しなかったからね。 そんなこと 初めて」 328 00:28:58,900 --> 00:29:03,500 (アリス)「お父さん 嫌いなんでしょ。 うれしい?」 329 00:29:03,500 --> 00:29:07,840 (幸樹)「どっちが 嫌いかといえば 1対9で 母親」 330 00:29:07,840 --> 00:29:10,140 (アリス)「何で?」 331 00:29:12,180 --> 00:29:15,520 (幸樹)「自分が 憎まれてないと 思ってるのが いらつく。・ 332 00:29:15,520 --> 00:29:18,850 僕のこと まだ 小学生だと思ってるし。・ 333 00:29:18,850 --> 00:29:21,850 どうして ああも 人の人格に対して 侵入的で・ 334 00:29:21,850 --> 00:29:27,450 ガサツなんだか。 それでいて 自信満々で 完ぺき」 335 00:29:29,530 --> 00:29:33,530 (アリス)「言いますねえ 引きこもり君」 336 00:29:33,530 --> 00:29:37,540 (幸樹)「僕が死ねば 悲しむ。 自分の死で・ 337 00:29:37,540 --> 00:29:42,880 あいつを 苦しめてやりたい。 ざまあみろって。・ 338 00:29:42,880 --> 00:29:48,550 アリスが 自殺したいなら ついでに 僕も連れてってよ。・ 339 00:29:48,550 --> 00:29:52,550 昨日 カッターを 手首に押しつけた。・ 340 00:29:52,550 --> 00:29:54,890 怖くて 切れなかったけど。・ 341 00:29:54,890 --> 00:29:58,890 でも いつでも 死ねると思えれば 満足。・ 342 00:29:58,890 --> 00:30:02,830 何か 悪意が 日に日に 積もっていく。・ 343 00:30:02,830 --> 00:30:07,430 これから また 小さな痛みに ふけります」 344 00:30:09,170 --> 00:30:28,190 ♫~ 345 00:30:28,190 --> 00:30:31,860 ≪(ノック) (崇子)幸樹ちゃん 話があるの。・ 346 00:30:31,860 --> 00:30:34,160 お父さんのこと。 347 00:30:36,200 --> 00:30:41,200 お願い。 開けて。 幸樹ちゃん!・ 348 00:30:41,200 --> 00:30:45,200 幸樹ちゃん。 ママを助けて! 349 00:30:45,200 --> 00:30:49,200 (幸樹)入るな ババア! 入ったら 殺すぞ! 350 00:31:09,180 --> 00:31:16,190 (新庄)鳴海は 神戸高等商船学校の 後輩でした。 351 00:31:16,190 --> 00:31:19,530 鳴海さんの先輩!? ああ…。 352 00:31:19,530 --> 00:31:26,200 そうですか。 鳴海さん 生きていらっしゃいますか? 353 00:31:26,200 --> 00:31:29,200 生死は不明です。 354 00:31:29,200 --> 00:31:32,870 わたしのように 何人かは 助かったんですがね。 355 00:31:32,870 --> 00:31:37,550 新庄さんも機関兵だと 鳥越さんから 伺いました。 356 00:31:37,550 --> 00:31:40,880 ご一緒に 船を 下りられなかったんですか? 357 00:31:40,880 --> 00:31:47,560 いえ。 最後に 鳴海君を見たのは…。 358 00:31:47,560 --> 00:31:49,560 (回想) 359 00:31:49,560 --> 00:31:55,160 (機関兵)こら! しっかりしろ! 大丈夫か!? ほら。 しっかりしろ! 360 00:31:58,230 --> 00:32:00,500 (機関兵)おい! 立て! 立て! 361 00:32:00,500 --> 00:32:02,100 (新庄)鳴海! 362 00:32:04,510 --> 00:32:08,180 (新庄)鳴海少尉! どけ!・ 363 00:32:08,180 --> 00:32:12,480 自分がやるから 艦橋に報告しろ! (鳴海)了解! 364 00:32:14,180 --> 00:32:20,190 (鳴海)右舷機関室は健在! 繰り返す! 右舷機関室は健在!・ 365 00:32:20,190 --> 00:32:21,860 新庄機関長代行! (新庄)あっ!? 366 00:32:21,860 --> 00:32:23,860 艦橋と 連絡が 取れないであります! 367 00:32:23,860 --> 00:32:27,530 (新庄)じゃあ 交換台扱いで やってみろ! 368 00:32:27,530 --> 00:32:29,130 了解! 369 00:32:30,870 --> 00:32:35,870 艦橋へ! 機関室は健在! 指示を乞う! 指示を乞う! 370 00:32:42,540 --> 00:32:48,550 (新庄)鳴海。 鳴海! きっと助かる。 助かるぞ 鳴海! 371 00:32:48,550 --> 00:32:52,220 貴様は 灰になるな。 貴様には 帰るところがある! 372 00:32:52,220 --> 00:32:56,560 雪子さんが待ってるんや! 必ず 帰るんや! 373 00:32:56,560 --> 00:33:01,560 次の世界なんかない。 あるのは 今 生きてる この世界だけや! 374 00:33:04,500 --> 00:33:07,100 (新庄)鳴海…。 鳴海! 375 00:33:08,840 --> 00:33:16,180 (村川)では やはり 鳴海さんは。 (新庄)ええ 恐らく。 376 00:33:16,180 --> 00:33:20,520 雪子さんという方のことを ご存じだったんですね? 377 00:33:20,520 --> 00:33:23,850 (新庄)雪子さんという女性は 鳴海のKAでした。 378 00:33:23,850 --> 00:33:25,850 KA? 379 00:33:25,850 --> 00:33:28,190 海軍で KAは 奥さんのことです。 380 00:33:28,190 --> 00:33:32,530 奥さんですか。 雪子さん 鳴海さんの 奥さんですか。 381 00:33:32,530 --> 00:33:36,200 鳴海と雪子さんは 大恋愛の末に・ 382 00:33:36,200 --> 00:33:41,200 親の反対を 押し切っての 結婚でした。・ 383 00:33:41,200 --> 00:33:47,210 雪子さんは 祇園の街で 花を売っていたそうです。・ 384 00:33:47,210 --> 00:33:50,880 そのころは 女学生も 女子てい身隊として・ 385 00:33:50,880 --> 00:33:55,880 戦争に駆り出されましたが 雪子さんは 軍事工場の・ 386 00:33:55,880 --> 00:34:02,180 砲弾磨きで 手にやけどを負い 在宅治療中でした。 387 00:34:04,490 --> 00:34:14,170 (雪子)<花 いらんかえー! 花 いらんかえー!> 388 00:34:14,170 --> 00:34:16,170 (憲兵)<誰だ 誰だ! 誰だ!?> 389 00:34:17,840 --> 00:34:19,840 (雪子)<大原女どす> 390 00:34:19,840 --> 00:34:24,510 (新庄)大原女というのは 訳ありの子で・ 391 00:34:24,510 --> 00:34:29,520 祇園の旦那衆が めかけや 芸者に産ませた子で・ 392 00:34:29,520 --> 00:34:33,860 雪子さんは 父親知れずでしてね。 393 00:34:33,860 --> 00:34:35,520 (回想) (憲兵)こんな夜更けに・ 394 00:34:35,520 --> 00:34:40,200 何をしておる? (雪子)お花を売っております。 395 00:34:40,200 --> 00:34:43,200 庭で取れた 菊でございます。 396 00:34:43,200 --> 00:34:46,200 あんまり売れませんので そやし 遅うまで…。 397 00:34:46,200 --> 00:34:50,870 (憲兵)当たり前だ! 一億一心 臣民が一丸となって・ 398 00:34:50,870 --> 00:34:53,540 聖戦に 協力しているときに・ 399 00:34:53,540 --> 00:34:57,550 花などという 浮ついたものを 売るなど もってのほかだ。・ 400 00:34:57,550 --> 00:35:01,150 日本人なら ぜいたくは できないはずだ。 401 00:35:01,150 --> 00:35:02,820 ほんまに すんまへん。 402 00:35:02,820 --> 00:35:08,820 その菊を 全部 捨てろ。 早くしろ! 403 00:35:08,820 --> 00:35:11,160 これ 売れへんかったら 明日をも知れまへん。 404 00:35:11,160 --> 00:35:13,500 お慈悲に お見捨ておきくださいませ。 405 00:35:13,500 --> 00:35:15,100 貴様! 406 00:35:19,840 --> 00:35:24,170 ≪(鳴海)おそれおおくも 天皇陛下の…。・ 407 00:35:24,170 --> 00:35:30,510 おそれおおくも 大元帥陛下の 御紋章たる菊を 足げにするのか。 408 00:35:30,510 --> 00:35:33,520 (憲兵)貴様は 誰だ? 409 00:35:33,520 --> 00:35:37,190 (鳴海)鳴海 海軍機関科 予備少尉です。 410 00:35:37,190 --> 00:35:42,860 海軍の学生少尉が どのような用件ですか? 411 00:35:42,860 --> 00:35:47,200 上官の 出征の宴席に 花が 欲しいとの ご所望がありまして・ 412 00:35:47,200 --> 00:35:51,870 花を探していました。 ぜひとも 融通を お願いしたく・ 413 00:35:51,870 --> 00:35:54,870 失礼を承知で お声をかけたしだいであります。 414 00:35:54,870 --> 00:36:00,210 (憲兵)なら 今回は 貴官のお顔を お立てしましょう。・ 415 00:36:00,210 --> 00:36:02,810 小官は これで。 416 00:36:13,890 --> 00:36:15,890 (鳴海)大丈夫ですか? 417 00:36:15,890 --> 00:36:19,490 ほんま おおきに。 ありがとうございます。 418 00:36:21,230 --> 00:36:27,240 (新庄)鳴海は 雪子さんの美しさに 面食ろうたそうです。 419 00:36:27,240 --> 00:36:29,540 それで 二人は…。 420 00:36:31,240 --> 00:36:35,240 あのう 先程 二人は 結婚を大反対されたと。 421 00:36:35,240 --> 00:36:39,580 鳴海の両親がね。 鳴海は 淡路島で・ 422 00:36:39,580 --> 00:36:43,590 漁師の 網元をやっている 裕福な家柄でした。 423 00:36:43,590 --> 00:36:51,190 親戚には 今でいう 県知事もいた。 その一方で 雪子さんは…。 424 00:36:55,260 --> 00:37:00,200 昔は 女性の人権など 刺身のつまほども・ 425 00:37:00,200 --> 00:37:05,870 考えられていなかった時代です。 鳴海は 親に そんな・ 426 00:37:05,870 --> 00:37:09,880 誰の子か分からんような 女なんか もってのほかやと言われた。 427 00:37:09,880 --> 00:37:13,880 しかし なぜ 二人は 結婚できたんですか? 428 00:37:15,550 --> 00:37:21,220 戦争です。 戦争がですか? 429 00:37:21,220 --> 00:37:25,230 (新庄)皮肉にも 戦争が 二人を 夫婦にさせるんです。・ 430 00:37:25,230 --> 00:37:31,230 平時やったら 絶対に 許されることのない二人ですがね。 431 00:37:31,230 --> 00:37:33,900 鳴海に 赤紙が届いて・ 432 00:37:33,900 --> 00:37:37,910 親は 出征する 息子の願いを 聞き入れました。・ 433 00:37:37,910 --> 00:37:41,580 出征する前日になって やっと 両親が・ 434 00:37:41,580 --> 00:37:45,580 祝言を挙げることを 許しました。・ 435 00:37:45,580 --> 00:37:50,920 戦争がなかったら 二人の恋は 成就してなかった。 436 00:37:50,920 --> 00:37:56,590 少なくとも 結婚という形では。 そうですか。 437 00:37:56,590 --> 00:38:03,870 そして 戦争が 再び 二人を 引き裂いた。 438 00:38:03,870 --> 00:38:07,870 神様は むごいことをする。 439 00:38:07,870 --> 00:38:11,870 あのう。 雪子さんが 今でも 生きておいでなら・ 440 00:38:11,870 --> 00:38:14,210 わたしは どうしても お目にかかって・ 441 00:38:14,210 --> 00:38:16,880 この手紙を お届けしたいんです。 442 00:38:16,880 --> 00:38:20,220 鳴海さんの願いを かなえてあげたい。 443 00:38:20,220 --> 00:38:23,550 淡路島の 鳴海さんの実家を 訪ねようと思うんですが・ 444 00:38:23,550 --> 00:38:27,560 住所を 教えていただけませんか? 445 00:38:27,560 --> 00:38:30,230 雪子さんは もう そこにはいません。 446 00:38:30,230 --> 00:38:32,560 なぜです? 447 00:38:32,560 --> 00:38:37,230 戦後 すぐに 鳴海家は 雪子さんを・ 448 00:38:37,230 --> 00:38:40,830 着のみ着のままで 追い出しました。 449 00:38:43,240 --> 00:38:48,580 (新庄)旧態依然とした 小さな 共同体の中ではしかたなかった。・ 450 00:38:48,580 --> 00:38:51,250 親が 息子を亡くす。・ 451 00:38:51,250 --> 00:38:55,920 逆縁は このうえなく 残酷なものなんです。・ 452 00:38:55,920 --> 00:38:59,220 雪子さんにしても いづらかったでしょう。 453 00:39:03,190 --> 00:39:05,490 ありがとうございました。 454 00:39:07,530 --> 00:39:10,200 (新庄)村川さん。 はい。 455 00:39:10,200 --> 00:39:14,540 (新庄)手紙の中身 お読みになりましたか? 456 00:39:14,540 --> 00:39:17,870 いえ 読んでいません。 457 00:39:17,870 --> 00:39:23,870 読むべきなのは ただ 雪子さんだけだと思ってますから。 458 00:39:26,880 --> 00:39:34,220 雪子さんは 鳴海家を出て しばらくは 大阪にある・ 459 00:39:34,220 --> 00:39:37,890 「ナザレの丘」という孤児院に 身を寄せていたそうです。・ 460 00:39:37,890 --> 00:39:44,230 そこで 戦争孤児の世話をしながら 暮らしていたらしいです。 461 00:39:44,230 --> 00:39:46,230 大阪? (新庄)十三です。・ 462 00:39:46,230 --> 00:39:48,570 行ってごらんなさい。 はい。 463 00:39:48,570 --> 00:39:52,240 (新庄)わたしは あなたのように 若くはない。・ 464 00:39:52,240 --> 00:39:54,910 あなたのように 強い意志もない。・ 465 00:39:54,910 --> 00:40:03,180 もし 雪子さんに お会いできたら 伝えてください。 466 00:40:03,180 --> 00:40:11,780 鳴海は 最後まで あなたのことを思うていたと。 467 00:40:20,540 --> 00:40:23,540 <雪子さんとは 会えるのだろうか?・ 468 00:40:23,540 --> 00:40:28,540 わたしの旅は 一体 いつ終わるんだろう。・ 469 00:40:28,540 --> 00:40:32,550 それとも 永遠に 終わらないのだろうか。・ 470 00:40:32,550 --> 00:40:37,890 そして わたしは 家に 帰ることができるのか。・ 471 00:40:37,890 --> 00:40:41,490 家族は 今 何をしているのだろう> 472 00:40:49,160 --> 00:40:53,170 (崇子)幸樹ちゃん。 ご飯はいいの? 473 00:40:53,170 --> 00:40:54,770 (ノック) 474 00:40:56,500 --> 00:40:59,770 (崇子)お父さんの ことなんだけど・ 475 00:40:59,770 --> 00:41:03,780 帰ってこないの 知ってるわよね?・ 476 00:41:03,780 --> 00:41:08,110 ウチを出てったのよ。 もう帰ってこないかもしれない。・ 477 00:41:08,110 --> 00:41:13,790 そんな気がするの。 ねえ。・ 478 00:41:13,790 --> 00:41:18,790 これから どうしたらいいのか 二人で 話し合いましょう。・ 479 00:41:18,790 --> 00:41:21,130 このおウチには ママと幸樹ちゃんの・ 480 00:41:21,130 --> 00:41:26,130 二人きりしかいないのよ。 (幸樹)うるさい! 481 00:41:26,130 --> 00:41:29,800 (崇子)ママのことが 心配じゃないの? 482 00:41:29,800 --> 00:41:31,800 (幸樹)忙しいんだよ! 483 00:41:43,150 --> 00:41:47,150 (幸樹)ようし 分かった。 484 00:41:49,150 --> 00:41:55,160 (幸樹)「アリス 僕は決めたよ。 今までの僕をなかったことにする」 485 00:41:55,160 --> 00:41:57,160 (アリス)「どういう意味?」 486 00:41:57,160 --> 00:41:59,460 こういう意味だよ。 487 00:42:11,110 --> 00:42:13,410 (アリス)「死ぬってこと?」 488 00:42:17,780 --> 00:42:19,780 (アリス)「そうなのね?」 489 00:42:21,450 --> 00:42:23,050 くっ! 490 00:42:29,800 --> 00:42:35,800 (幸樹)やべえ。 やばくないか? 491 00:42:35,800 --> 00:42:37,470 (アリス)「何したのよ」 492 00:42:37,470 --> 00:42:47,470 死にたくねえよ。 あれ? 何で? 死にてぇんだろ? 493 00:42:49,820 --> 00:42:52,480 あれ? 494 00:42:52,480 --> 00:42:54,480 (アリス)「手首 やったのね」 495 00:42:56,160 --> 00:43:04,100 あれ? やばいよ。 死にたくないよ。 496 00:43:04,100 --> 00:43:10,440 (アリス)「ガーゼか何か。 なかったら ハンカチ。・ 497 00:43:10,440 --> 00:43:15,770 着てるシャツでもいいから 傷口に当てて。・ 498 00:43:15,770 --> 00:43:19,070 その上から 手のひらで押さえる」 499 00:43:31,120 --> 00:43:40,470 止まらない。 アリス 止まらないよ! 500 00:43:40,470 --> 00:43:44,470 「指先に 感覚があれば大丈夫。・ 501 00:43:44,470 --> 00:43:49,480 なくなってしまったら 救急車を呼ぶのよ」 502 00:43:49,480 --> 00:43:51,480 (幸樹)痛え…。 503 00:43:55,150 --> 00:43:57,150 (アリス)「甘ったれ!」 504 00:43:59,150 --> 00:44:06,150 (幸樹)お母さんと 二人でいたら 俺 つぶれちゃうよ。 505 00:44:10,500 --> 00:44:16,500 (幸樹)お父さん 帰ってきてよ…。 506 00:44:26,510 --> 00:44:29,180 (警官)この辺りなんですよね。 はい。 ちょっと 来てもらえます? 507 00:44:29,180 --> 00:44:31,850 (村川)はい。 508 00:44:31,850 --> 00:44:33,520 (警官)あの角を 左に曲がってもらったら・ 509 00:44:33,520 --> 00:44:35,190 長い階段 出てくんですよ。 ああー。 510 00:44:35,190 --> 00:44:36,860 それを越えたら 商店街 出てきますんで・ 511 00:44:36,860 --> 00:44:38,860 その商店街 越えた辺りが だいたい その辺ですね。 512 00:44:38,860 --> 00:44:42,160 ああ そうですか。 探してみます。 ありがとうございました。 513 00:44:45,860 --> 00:44:48,160 <孤児院だと聞いたが…> 514 00:44:58,210 --> 00:45:00,510 <「NGO」?> 515 00:45:07,150 --> 00:45:14,830 (村川)ごめんください。 朝早くから すいません。 516 00:45:14,830 --> 00:45:16,830 (小泉)村川さんですね? はっ? 517 00:45:16,830 --> 00:45:20,830 (小泉)お待ちしておりました。 シスターから申しつかっております。・ 518 00:45:20,830 --> 00:45:25,170 ここは シェルターですので 男性の方が おられると 刺激になります。 519 00:45:25,170 --> 00:45:28,170 あちらで お待ちいただけますか? ああ はい。 520 00:45:30,180 --> 00:45:34,180 (ヨコタ)嫌! 嫌! ああっ! わたしを帰さないで! 521 00:45:34,180 --> 00:45:37,180 (小泉)ヨコタさん! (ヨコタ)ここに いさせて! 522 00:45:37,180 --> 00:45:41,480 (小泉)ヨコタさん! (ヨコタ)お願い! 助けて! 523 00:45:44,190 --> 00:45:46,190 (小泉)どうぞ。 あっ どうもすいません。 524 00:45:46,190 --> 00:45:49,190 あの シェルターっていうのは 一体 何ですか? 525 00:45:49,190 --> 00:45:52,200 (小泉)夫婦間の暴力から 避難する女性や・ 526 00:45:52,200 --> 00:45:56,540 生活に困った 外国人女性の 一時避難場所。 527 00:45:56,540 --> 00:46:01,840 つまり 女性の救済の場所として お役に立てればと。 528 00:46:03,810 --> 00:46:06,810 (片岡)お待たせしまして。 先程は さぞかし・ 529 00:46:06,810 --> 00:46:09,150 驚かれたでしょう? ああ いいえ。 530 00:46:09,150 --> 00:46:12,150 (片岡)どうぞ。 あっ はい。 531 00:46:12,150 --> 00:46:14,490 (片岡)何でも 夫に 何時間にもわたって・ 532 00:46:14,490 --> 00:46:20,160 暴力を振るわれたそうです。 錯乱状態で 少しばかり 手間を。 533 00:46:20,160 --> 00:46:22,160 大変ですね。 534 00:46:22,160 --> 00:46:24,830 (片岡)「牢に つながれている人々を・ 535 00:46:24,830 --> 00:46:27,830 自分も 牢にいる気持ちで 思いやり・ 536 00:46:27,830 --> 00:46:31,170 また 自分も 肉体を持っているのですから・ 537 00:46:31,170 --> 00:46:34,510 苦しめられている人々を 思いやりなさい」 538 00:46:34,510 --> 00:46:36,170 聖書ですか? 539 00:46:36,170 --> 00:46:39,850 (片岡)ヘブル人の手紙 十三章 三節です。 540 00:46:39,850 --> 00:46:44,520 結婚も 時には 牢に つながれることになりますね。 541 00:46:44,520 --> 00:46:47,190 (片岡)フフフ。 ええ。・ 542 00:46:47,190 --> 00:46:51,860 正直 こう毎日 虐げられた女性を 目の当たりにすると・ 543 00:46:51,860 --> 00:46:55,190 そう思うことがあります。・ 544 00:46:55,190 --> 00:46:57,530 新庄さんという方から 連絡を受けて・ 545 00:46:57,530 --> 00:47:00,800 事情は お聞きしております。 そうですか。 546 00:47:00,800 --> 00:47:07,140 わたしは 鳴海さんの手紙を 雪子さんに 何としても 届けたい。 547 00:47:07,140 --> 00:47:12,810 訳は うまく話せないんですが そのために やってまいりました。 548 00:47:12,810 --> 00:47:15,150 戦後 しばらく ここに いらしたと聞いて。 549 00:47:15,150 --> 00:47:18,480 ええ。 孤児の面倒を 見ていただきました。 550 00:47:18,480 --> 00:47:20,820 ああー。 551 00:47:20,820 --> 00:47:25,490 雪子さんは 思い出に生きた人です。 552 00:47:25,490 --> 00:47:28,830 いくら 周りが言っても 信じていました。 553 00:47:28,830 --> 00:47:34,500 いつか 鳴海さんが 帰ってくると。・ 554 00:47:34,500 --> 00:47:41,170 時間は 時に残酷なものです。 森羅万象は すべて無常です。 555 00:47:41,170 --> 00:47:45,180 それは 思い出とて 例外ではありません。 556 00:47:45,180 --> 00:47:50,850 思い出に生きることも 今を生きることと 同じくらいに・ 557 00:47:50,850 --> 00:47:55,190 エネルギーが必要なことだと わたしは思います。 558 00:47:55,190 --> 00:48:00,460 実は わたしは 今まで 人は 思い出に生きるほうが・ 559 00:48:00,460 --> 00:48:06,130 楽だと考えてきました。 しかし 戦争を生き延びた・ 560 00:48:06,130 --> 00:48:12,800 鳥越さんや 新庄さんにお会いして また 雪子さんのことを伺って・ 561 00:48:12,800 --> 00:48:18,140 何というか 思い出には・ 562 00:48:18,140 --> 00:48:24,150 幸せな思い出と 不幸せな思い出が あるんじゃないのか。 563 00:48:24,150 --> 00:48:28,820 今 ずっと そのことだけを考えてます。 564 00:48:28,820 --> 00:48:34,160 以前 雪子さんが 話してくれました。 565 00:48:34,160 --> 00:48:38,830 鳴海さんと 結婚した日のことを。・ 566 00:48:38,830 --> 00:48:44,840 翌日 鳴海さんは 戦地へ 赴くことになっていました。・ 567 00:48:44,840 --> 00:48:49,510 二度と帰ることのない レイテへの旅に。 568 00:48:49,510 --> 00:48:51,180 (回想) 569 00:48:51,180 --> 00:48:57,520 (鳴海)僕は うれしいです。 雪子さんをお嫁さんにもらえて。・ 570 00:48:57,520 --> 00:49:01,120 みんな 雪子さんの 花嫁姿の かれんさに・ 571 00:49:01,120 --> 00:49:04,790 ため息を ついていました。・ 572 00:49:04,790 --> 00:49:11,800 雪子さんは まるで雪のように 凛とした 純白の存在です。・ 573 00:49:11,800 --> 00:49:14,470 僕には もったいない。 574 00:49:14,470 --> 00:49:17,470 (雪子)もったいないなんて 言わんといてください。 575 00:49:19,140 --> 00:49:21,140 (鳴海)ごめんなさい。 576 00:49:41,830 --> 00:49:46,830 鳴海さん。 これ 持っていってください。 577 00:49:46,830 --> 00:49:52,830 漢方の薬です。 お花 売って 買うたんどす。 578 00:49:57,840 --> 00:49:59,840 持っていきます。 579 00:50:09,790 --> 00:50:17,800 雪子さん。 自分は 女の人と こういったことは…。 580 00:50:17,800 --> 00:50:23,140 つまり 房事をいたすのは 初めてであります。 581 00:50:23,140 --> 00:50:27,140 うまくいかないかもしれません。 582 00:50:31,810 --> 00:50:35,410 戦争から 戻ってからにしませんか。 583 00:50:37,480 --> 00:50:41,780 あなたが そう 考えはるんやったら。 584 00:50:43,490 --> 00:50:52,090 代わりに お願いがあります。 手を見せてください。 585 00:50:54,170 --> 00:50:56,840 汚いです。 (鳴海)僕も 汚いです。 586 00:50:56,840 --> 00:51:01,110 汚くありません。 汚いです。 587 00:51:01,110 --> 00:51:05,110 はばかりに入って 手を洗っていません。 588 00:51:06,780 --> 00:51:10,450 (鳴海)はばかりの汚れは 洗えば 落ちます。 589 00:51:10,450 --> 00:51:17,450 でも やがて 染み込む血は 取れないでしょう。 590 00:51:42,150 --> 00:51:48,490 (鳴海)知っていますか? 運命の赤い糸というのを。 591 00:51:48,490 --> 00:51:53,160 (雪子)赤い糸? (鳴海)はい。・ 592 00:51:53,160 --> 00:51:58,830 結ばれる運命にある者は 赤い糸に 結ばれているんです。 593 00:51:58,830 --> 00:52:19,450 ♫~ 594 00:52:19,450 --> 00:52:43,140 ♫~ 595 00:52:43,140 --> 00:52:46,140 これは…。 新庄先輩が・ 596 00:52:46,140 --> 00:52:49,480 方々 手を尽くして 探してくれたんです。 597 00:52:49,480 --> 00:52:54,490 結婚のことで 親がうるさく言って 迷惑を かけてしまいましたし・ 598 00:52:54,490 --> 00:52:58,090 これからも こんなことしかできません。 599 00:53:00,090 --> 00:53:01,760 (雪子)もったいない。 600 00:53:01,760 --> 00:53:07,100 わたしたちは ずっと 見えない糸で結ばれているんです。 601 00:53:07,100 --> 00:53:12,440 そのことを忘れないように この指輪を もらってください。・ 602 00:53:12,440 --> 00:53:16,440 明日 出撃のとき この手を 離したとしても・ 603 00:53:16,440 --> 00:53:22,110 僕の心の中では 雪子さんと ずっと手をつないでいます。 604 00:53:22,110 --> 00:53:27,120 どんなに離れていても いつも 一緒です。 605 00:53:27,120 --> 00:53:31,460 わたしも ずっと 手 つないでもろてます。 606 00:53:31,460 --> 00:53:40,470 ずっと待っています。 そやから この指輪は・ 607 00:53:40,470 --> 00:53:45,140 お帰りになったときに はめてください。 608 00:53:45,140 --> 00:53:51,140 雪子さん。 今は 指きりげんまんの証です。 609 00:53:51,140 --> 00:53:57,150 必ず帰るという 約束の。 610 00:53:57,150 --> 00:54:02,150 でも 雪子さん…。 形見となるのは 嫌でございます。 611 00:54:05,160 --> 00:54:11,830 (鳴海)分かりました。 これを持って 戦地に赴きます。 612 00:54:11,830 --> 00:54:17,830 いつも 雪子さんと 一緒にいると思えば 心強いです。 613 00:54:19,840 --> 00:54:21,440 わたしも。 614 00:54:23,510 --> 00:54:30,110 必ず 無事に戻ってきて もう一度 雪子さんの指にはめます。 615 00:54:56,880 --> 00:55:02,480 必ず 帰ってきてください。 616 00:55:07,150 --> 00:55:11,450 必ず 帰ってきます。 617 00:55:29,510 --> 00:55:35,510 必ず 帰ってきてください。 618 00:55:40,190 --> 00:55:48,490 ずっと待っています。 619 00:55:54,530 --> 00:55:56,530 必ず。 620 00:55:56,530 --> 00:56:19,490 ♫~ 621 00:56:19,490 --> 00:56:27,830 ♫~ 622 00:56:27,830 --> 00:56:35,840 (片岡)人の思い出には 幸せと 不幸せが 混じっているのです。 623 00:56:35,840 --> 00:56:41,510 そうですね。 そうなんです。 624 00:56:41,510 --> 00:56:46,110 (片岡)今 雪子さんが どこに いらっしゃるのかは分かりません。 625 00:56:48,520 --> 00:56:51,520 (片岡)しばらく お待ちください。 はっ。 626 00:57:00,470 --> 00:57:04,800 25年前 雪子さんが ここを離れてから しばらくして・ 627 00:57:04,800 --> 00:57:10,480 送られてきた葉書と そのころの 雪子さんの写真です。 628 00:57:10,480 --> 00:57:12,480 拝見します。 629 00:57:14,480 --> 00:57:17,150 (片岡)ここに いたころの お礼と・ 630 00:57:17,150 --> 00:57:20,450 季節の挨拶が 記されてるだけでしたけれど。 631 00:57:22,150 --> 00:57:24,750 広島の呉ですか。 632 00:57:27,490 --> 00:57:34,830 (片岡)あなたは 長い旅をされた。 距離ではなく 時間のです。・ 633 00:57:34,830 --> 00:57:41,170 何人もの人が 一生かけて 旅した時間を さかのぼった。・ 634 00:57:41,170 --> 00:57:46,510 きっと その旅の中で 何かを見つけられるはずです。・ 635 00:57:46,510 --> 00:57:53,510 雪子さんを お捜しなさい。 これは あなたの旅なのですよ。 636 00:57:55,190 --> 00:58:01,790 はい。 ここまで来たからには もう 後には引き返せません。 637 00:58:01,790 --> 00:58:03,800 ありがとうございました。 638 00:58:03,800 --> 00:58:06,800 お気を付けて。 はい。 639 00:58:10,130 --> 00:58:14,430 僕には 鳴海少尉が ついています。 640 00:58:19,810 --> 00:58:21,810 では。 641 00:58:21,810 --> 00:58:42,410 ♫~ 642 00:58:56,440 --> 00:58:58,770 (男)ヒュー! 風俗帰り? (男)ええな。 643 00:58:58,770 --> 00:59:00,710 (男)行きたいな 俺らも。 (村川)返しなさい! 644 00:59:00,710 --> 00:59:03,010 (三人)ヒュー! 返しなさい! 645 00:59:05,380 --> 00:59:09,050 (男)痛っ! おっさん。 手が 俺の体に当たったで。 646 00:59:09,050 --> 00:59:12,050 (男)痛かったやろ? (男)痛い 痛い 痛い 痛いよ!・ 647 00:59:12,050 --> 00:59:14,050 おりゃ! うっ! 648 00:59:19,730 --> 00:59:22,060 (男)治療代や。 (男)慰謝料。 649 00:59:22,060 --> 00:59:26,070 (男)ヘルス代。 (三人)ハハハ。・ 650 00:59:26,070 --> 00:59:31,070 おら! おい おい。 おっさん。 立たんか? まだ終わらんで。 651 00:59:37,750 --> 00:59:41,080 (男)おっ? 何や? これ。 何か 出てきたで。 652 00:59:41,080 --> 00:59:44,750 (男)「ちてしま…」 読めんわ。 653 00:59:44,750 --> 00:59:47,090 (男)頭 悪いな お前。 654 00:59:47,090 --> 00:59:51,430 (男)おりゃ! これ こうやって 使うんや。 655 00:59:51,430 --> 00:59:54,090 (男)おい。 財布 財布。 656 00:59:54,090 --> 00:59:59,700 (男)どこや? と。 おい! あった あった。 657 00:59:59,700 --> 01:00:02,040 あら? カ―ド あらへん。 金だけやわ。 658 01:00:02,040 --> 01:00:05,370 ああ…。 相手 間違うたか。 お前が こいつがええ 言うたが。 659 01:00:05,370 --> 01:00:07,710 しゃあないやんけ。 ええから。 金 金。 660 01:00:07,710 --> 01:00:11,010 へっ。 まあ ええか。 はいよっと。 661 01:00:19,720 --> 01:00:47,750 ♫~ 662 01:00:47,750 --> 01:00:49,750 (警官)どうしました? 663 01:00:53,090 --> 01:00:55,760 <わたしは 旅をしているのだ。・ 664 01:00:55,760 --> 01:00:59,690 金が なくなったのなら 歩けばいい。・ 665 01:00:59,690 --> 01:01:03,030 あの若者たちを 恨んではいけない。・ 666 01:01:03,030 --> 01:01:08,700 もしも あの中に 息子がいて 事件を起こしたのなら・ 667 01:01:08,700 --> 01:01:12,040 わたしは 息子を かばうはずだ> 668 01:01:12,040 --> 01:01:24,050 ♫~ 669 01:01:24,050 --> 01:01:27,350 ≪(崇子)お昼ご飯 置いておくから。 670 01:01:30,390 --> 01:01:34,060 (足音) 671 01:01:34,060 --> 01:01:58,090 ♫~ 672 01:01:58,090 --> 01:02:12,090 ♫~ 673 01:02:13,770 --> 01:02:16,070 お母さん。 674 01:02:23,440 --> 01:02:25,440 (崇子)何? 675 01:02:35,790 --> 01:02:40,090 (幸樹)あしたから お父さんの分も 用意したら? 676 01:02:44,130 --> 01:02:47,130 帰ってくるかもしれないだろ。 677 01:02:55,140 --> 01:02:58,440 そんなに 手間は 変わらないでしょ? 678 01:03:07,090 --> 01:03:14,090 (崇子)うん。 そうしましょう。 いつ 帰ってきてもいいように。 679 01:03:25,110 --> 01:03:29,110 その瓶のこと 覚えてる? 680 01:03:31,450 --> 01:03:35,750 いいえ。 何か知ってる? 681 01:03:38,120 --> 01:03:44,420 10年くらい前のこと。 話して。 682 01:03:52,130 --> 01:03:54,130 今度ね。 683 01:03:54,130 --> 01:04:17,420 ♫~ 684 01:04:17,420 --> 01:04:20,090 <鳥越さんという老人は・ 685 01:04:20,090 --> 01:04:23,100 自分が生きていると 実感することが・ 686 01:04:23,100 --> 01:04:27,430 人間最大の 幸せだと言った> 687 01:04:27,430 --> 01:04:32,440 <戦争という状況は 生き続けることが 勝利であると・ 688 01:04:32,440 --> 01:04:38,110 教えてくれるかもしれない。 しかし 今の日本では・ 689 01:04:38,110 --> 01:04:42,120 ただ 生きているだけでは 勝利にはならない> 690 01:04:42,120 --> 01:04:45,790 <勝利は 金であり 名誉である。・ 691 01:04:45,790 --> 01:04:49,120 しかし 今でも 生きるということを・ 692 01:04:49,120 --> 01:04:52,460 勝利に 置き換えても いいのではないか?・ 693 01:04:52,460 --> 01:04:54,760 それで いいではないか> 694 01:04:56,800 --> 01:05:00,070 <生きていることが 勝利だとしたら・ 695 01:05:00,070 --> 01:05:04,070 これは 随分と しょっぱい勝利だ> 696 01:05:21,270 --> 01:05:23,270 (村川の荒い息) 697 01:05:23,270 --> 01:05:26,940 (岩城)生き返ったか? 助かった。 ありがとうございます。 698 01:05:26,940 --> 01:05:29,610 (岩城)何してたんや? あんた。 どこに 行こうとしてたんや? 699 01:05:29,610 --> 01:05:31,950 広島です。 (岩城)ここは 大阪やで。 700 01:05:31,950 --> 01:05:34,280 行くんです。 行かなきゃ 後悔する。 701 01:05:34,280 --> 01:05:36,290 電車があるやろ? 金がないんです。 702 01:05:36,290 --> 01:05:39,590 働いたらええがな。 働いてきました。 30年間も。 703 01:05:43,290 --> 01:05:45,590 何やの? これ。 はっ? 704 01:05:51,630 --> 01:05:53,640 (岩城)よう分からんけど つまり そのう・ 705 01:05:53,640 --> 01:05:57,640 鳴海って 兵隊さんの手紙を 運んでるわけやな? 706 01:05:57,640 --> 01:06:02,580 郵便屋さんってわけや。 そういうことになりますね。 707 01:06:02,580 --> 01:06:05,250 このトラックは どこまで 行くんですか? 708 01:06:05,250 --> 01:06:08,920 名古屋と奈良で 荷物 降ろして 神戸に 帰るとこや。 709 01:06:08,920 --> 01:06:11,590 それじゃ あの 神戸まで 乗せていただけませんか? 710 01:06:11,590 --> 01:06:14,920 お願いします。 もう 乗ってるやんか。 711 01:06:14,920 --> 01:06:19,600 あっ そうだ。 ハハハ。 わしは 岩城いう者や。 712 01:06:19,600 --> 01:06:23,270 顔は 老けてるけどな 年は 23歳。 713 01:06:23,270 --> 01:06:25,940 おっさん並みに 体は ガタ 来とるけど・ 714 01:06:25,940 --> 01:06:28,600 おっさんの子供でも おかしないちゃうか? 715 01:06:28,600 --> 01:06:30,270 あっ そうですね。 716 01:06:30,270 --> 01:06:34,940 堅苦しいなぁ。 東京の人か? ええ。 717 01:06:34,940 --> 01:06:37,610 「旅は道連れ」 言うやろ。 気楽にしてや。 718 01:06:37,610 --> 01:06:39,620 あっ はい。 いや だから・ 719 01:06:39,620 --> 01:06:43,950 その 「はい」っていうのが 堅苦しいねん。 720 01:06:43,950 --> 01:06:49,290 で おっさん 子供は おるんか? ええ。 大学生の子が 一人。 721 01:06:49,290 --> 01:06:52,630 そうか。 わしも おるんやで 子供が。 722 01:06:52,630 --> 01:06:56,630 えっ? これ 見てみぃ。 723 01:06:56,630 --> 01:07:00,240 はぁ。 亜里抄って いうんや。 724 01:07:00,240 --> 01:07:05,580 昔は 子供 大嫌いやったけどな。 変わるもんや。 725 01:07:05,580 --> 01:07:09,250 よう言うやろ。 「目に入れても 痛ない」って。 726 01:07:09,250 --> 01:07:13,920 あれ ほんまやな。 おっさんも 分かるやろ? 727 01:07:13,920 --> 01:07:17,920 分かります。 子供は かわいい。 728 01:07:17,920 --> 01:07:21,260 どんなに 疲れとっても 子供の寝顔 見てたら・ 729 01:07:21,260 --> 01:07:26,930 涙 出るほど ほっとするもんな。 頑張ろうって気になります。 730 01:07:26,930 --> 01:07:29,930 子供は 何も知らんと 寝とうねんけどな。 731 01:07:31,600 --> 01:07:33,600 何も知らずに。 732 01:07:33,600 --> 01:07:43,200 ♫~ 733 01:07:44,950 --> 01:07:50,290 俺も 昔は ワルやった。 親を 死ぬほど 憎んどったけどな。 734 01:07:50,290 --> 01:07:55,630 でも いざ 自分が 親になると 親の気持ちが よう分かるもんや。 735 01:07:55,630 --> 01:08:01,230 おっさんとこも 反抗しよんのか? ええ。 まあ 人並みに。 736 01:08:01,230 --> 01:08:06,530 おっさん。 サブちゃん 聴くか? サブちゃん? 737 01:08:09,240 --> 01:08:12,580 📼♫『まつり』 738 01:08:12,580 --> 01:08:20,580 ♫~ 739 01:08:20,580 --> 01:08:23,590 かみさんが作った 弁当や。 あんた 食べたらええ。 740 01:08:23,590 --> 01:08:28,260 いや…。 俺は さっき ラ―メン 食べたんや。 741 01:08:28,260 --> 01:08:33,930 ほんまやで。 無性に ラ―メン 食べたなってな。 742 01:08:33,930 --> 01:08:35,930 おなか いっぱいやねん。 743 01:08:40,270 --> 01:08:44,940 食べえな。 それとも うちの かみさんが 作った弁当・ 744 01:08:44,940 --> 01:08:49,610 食べられへん 言うんか? いただきます。 745 01:08:49,610 --> 01:08:52,910 ほんま 堅苦しい おっさんやな。 746 01:08:57,950 --> 01:09:03,230 ♫「海の神」 747 01:09:03,230 --> 01:09:13,570 ♫「今年も 本当に ありがとう」 748 01:09:13,570 --> 01:09:18,910 ♫「白い ふんどし ひきしめた」 749 01:09:18,910 --> 01:09:23,580 ♫「裸若衆に 雪が舞う」 750 01:09:23,580 --> 01:09:34,260 ♫「祭りだ 祭りだ 祭りだ 豊年祭り」 751 01:09:34,260 --> 01:09:39,600 ♫「土のにおいの しみこんだ」 752 01:09:39,600 --> 01:09:48,600 ♫「せがれ その手が 宝物」 753 01:10:05,620 --> 01:10:08,620 (岩城)着いたから 早よ 降りな。 ここ どこですか? 754 01:10:08,620 --> 01:10:12,960 広島や。 広島? なら…。 755 01:10:12,960 --> 01:10:15,630 娘に 会いたいけど 遠回りしてもうたんや。 756 01:10:15,630 --> 01:10:18,300 降りてや。 早よ 大阪 戻りたいねん。 757 01:10:18,300 --> 01:10:21,300 わざわざ 広島まで。 758 01:10:21,300 --> 01:10:25,980 (岩城)おっさんの涙や。 ええ涙やった。 759 01:10:25,980 --> 01:10:29,980 それから サブちゃんや。 サブちゃんの歌は ええな。 760 01:10:29,980 --> 01:10:33,320 歌に乗せられて ちょっとだけ 人のために・ 761 01:10:33,320 --> 01:10:37,620 何かしてみたいな 思うたんや。 サブちゃんに 感謝せな あかんで。 762 01:10:48,000 --> 01:10:52,670 手紙の人 雪子さん 見つかるといいな。 763 01:10:52,670 --> 01:10:56,670 あっ。 これ やるわ。 少ないけど 軍資金や。 764 01:10:56,670 --> 01:10:58,670 いや それは いただけません。 乗せてもらっただけでも・ 765 01:10:58,670 --> 01:11:00,280 申し訳ないのに そんなことまで していただいては…。 766 01:11:00,280 --> 01:11:04,610 ええねん。 これは 会社に隠れて 裏ビデオ 運んでんねん。 767 01:11:04,610 --> 01:11:06,620 それで もうけた金なんや。 768 01:11:06,620 --> 01:11:09,620 あげるわけやないで。 貸すんや。 いや しかし…。 769 01:11:09,620 --> 01:11:13,290 マネ― ロンダリングや。 なっ? 雪子さんが 見つかったら・ 770 01:11:13,290 --> 01:11:14,960 その後 送り返してくれたら ええから。 771 01:11:14,960 --> 01:11:18,290 いや でも それは…。 もう ええねん。 ゴチャゴチャ 言わんと。 772 01:11:18,290 --> 01:11:21,590 受け取ったったら ええねや。 ほなな。 773 01:11:31,310 --> 01:11:33,640 これは 借金のカタに 預かっとくわ。 774 01:11:33,640 --> 01:11:39,650 気に入ったわ 精神棒。 出発進行! 775 01:11:39,650 --> 01:11:52,660 ♫~ 776 01:11:52,660 --> 01:11:57,660 <一体 何度 ありがとうと 言っただろうか> 777 01:11:59,600 --> 01:12:01,600 <手紙にあった住所は・ 778 01:12:01,600 --> 01:12:07,610 鳴海 勝一さんが乗った航空母艦 瑞鶴の母港の 近くだった> 779 01:12:07,610 --> 01:12:09,950 <雪子さんは 戦後 ここで・ 780 01:12:09,950 --> 01:12:13,280 鳴海さんを しのんでいたのだろうか?> 781 01:12:13,280 --> 01:12:17,290 <夫の ふるさとである淡路島を 追われた 雪子さんが・ 782 01:12:17,290 --> 01:12:22,290 よりどころとする土地は ここだったのだろうか?> 783 01:12:25,290 --> 01:12:28,300 <手紙の住所は ここだ> 784 01:12:28,300 --> 01:12:41,310 ♫~ 785 01:12:41,310 --> 01:12:43,650 (田島)何ですかのう? 786 01:12:43,650 --> 01:12:47,650 (村川)すいません。 突然 現れて。 (田島)いやいや。・ 787 01:12:47,650 --> 01:12:52,660 鳴海 雪子さんは 確か…。 どうぞ。 ありがとうございます。 788 01:12:52,660 --> 01:12:57,330 横井 庄一さんが グアム島で 発見された年…。 789 01:12:57,330 --> 01:12:59,930 何年でしたかいのう? えーと。 790 01:12:59,930 --> 01:13:03,270 確か その後すぐに 浅間山荘事件があって。 791 01:13:03,270 --> 01:13:04,930 72年か 71年。 792 01:13:04,930 --> 01:13:06,600 その辺りじゃないかと 思うんですけど。 793 01:13:06,600 --> 01:13:11,610 ほうじゃ ほうじゃ。 72年ですわ。 その年から ここに おりましたよ。 794 01:13:11,610 --> 01:13:15,610 貿易会社の 事務員の仕事をしよって・ 795 01:13:15,610 --> 01:13:21,280 定年後は 掃除婦をして 暮らしちょったようですけどのう。 796 01:13:21,280 --> 01:13:24,950 あの。 今 どこに いらっしゃるか 分かりませんか? 797 01:13:24,950 --> 01:13:30,630 身寄りは いなかったようじゃね。 元気な方でしたが・ 798 01:13:30,630 --> 01:13:33,960 7年ほど前に 一度 足を くじかれて・ 799 01:13:33,960 --> 01:13:37,630 しばらく 不自由な生活を なさっとったみたいで・ 800 01:13:37,630 --> 01:13:42,640 それから 数か月して 老人ホ―ムに 入られましたのう。 801 01:13:42,640 --> 01:13:45,310 どこの老人ホ―ムか 分かりませんか? 802 01:13:45,310 --> 01:13:49,980 確か 神戸のほうにある…。 はい。 803 01:13:49,980 --> 01:13:53,320 待っとってください。 多分 メモが ありましたけ。 804 01:13:53,320 --> 01:13:55,620 ああ そうですか。 すいません。 805 01:13:59,920 --> 01:14:05,590 ああ。 ありました ありました。 ええー。 明石にある・ 806 01:14:05,590 --> 01:14:09,600 「欅ホ―ム」ってとこですのう。 これですわ。 807 01:14:09,600 --> 01:14:13,940 ありがとうございます。 早速 訪ねてみます。 808 01:14:13,940 --> 01:14:16,270 雪子さんに お会いしたら・ 809 01:14:16,270 --> 01:14:18,610 よろしゅう 伝えといてくださいのう。 810 01:14:18,610 --> 01:14:20,940 お伝えします。 これ ちょうだいしてっても・ 811 01:14:20,940 --> 01:14:22,610 よろしいですか? ああ どうぞ どうぞ。 812 01:14:22,610 --> 01:14:27,950 あのう。 あなたさんは 探偵さんか 何かですかいのう? 813 01:14:27,950 --> 01:14:31,620 どうして 雪子さんのことを 捜してらっしゃるんですかいの? 814 01:14:31,620 --> 01:14:35,620 探偵じゃありません。 配達人です。 815 01:14:35,620 --> 01:14:52,980 ♫~ 816 01:14:52,980 --> 01:14:58,310 <雪子さんの 長い人生の その終わりの様子を聞いた。・ 817 01:14:58,310 --> 01:15:02,610 わたしの旅も 終わりへと さしかかっている> 818 01:15:05,590 --> 01:15:12,600 <わたしは とても緊張した。 そして とても わくわくした。・ 819 01:15:12,600 --> 01:15:18,600 まるで 初恋の相手に 初めて ラブレタ―を渡すときのように。・ 820 01:15:18,600 --> 01:15:24,270 長い旅の中で いつしか わたしは 会ったこともない・ 821 01:15:24,270 --> 01:15:27,570 鳴海 勝一さんになった 気さえしていた> 822 01:15:32,280 --> 01:15:34,950 (村川)すいません。 面会をしたいんですが。 823 01:15:34,950 --> 01:15:36,550 (職員)はい。 824 01:15:38,290 --> 01:15:41,290 用紙に 記入を お願いします。 はい。 825 01:15:44,630 --> 01:15:49,300 どなたに ご面会ですか? 鳴海 雪子さんです。 826 01:15:49,300 --> 01:15:52,970 ご家族か ご親戚の方ですか? いえ。 そうではないんですが。 827 01:15:52,970 --> 01:15:56,970 栗山さん! 栗山さん いる? (栗山)はい。 828 01:15:56,970 --> 01:16:02,580 鳴海 雪子さんに ご面会の方。 (栗山)えっ? 829 01:16:02,580 --> 01:16:06,920 奇妙に思われるでしょうが わたしは 雪子さんのご主人から・ 830 01:16:06,920 --> 01:16:10,590 手紙を お預かりして それを お渡ししようと。 831 01:16:10,590 --> 01:16:13,920 雪子さんは 昨日の遅くから 体調を崩されて・ 832 01:16:13,920 --> 01:16:16,590 今は 病院のほうに。 えっ!? 833 01:16:16,590 --> 01:16:18,930 (栗山)わたしは 着替えを 取りに来て これから また病院へ。 834 01:16:18,930 --> 01:16:23,530 そうですか。 一緒に 連れてってください。 835 01:16:25,760 --> 01:16:28,770 (村上)で 容体は? (栗山)芳しくないです。 836 01:16:28,770 --> 01:16:32,770 「芳しくない」というと? 胃ガンなんです。 837 01:16:32,770 --> 01:16:35,770 2か月前に 手術はしたんですけど・ 838 01:16:35,770 --> 01:16:38,780 胃から リンパ節へ それから 肺に転移して・ 839 01:16:38,780 --> 01:16:41,780 手をつけられない状態で。・ 840 01:16:41,780 --> 01:16:44,780 ここ何週間かは 容体も 安定していたんですけど・ 841 01:16:44,780 --> 01:16:49,450 昨日 急に 容体が悪くなりました。・ 842 01:16:49,450 --> 01:16:53,460 これ以上 手術をしても 苦痛を 強いるだけだということで・ 843 01:16:53,460 --> 01:16:57,800 今は 鎮痛の処置だけに 止めているそうです。・ 844 01:16:57,800 --> 01:17:02,400 医者の話によると 今日 明日だということです。 845 01:17:07,740 --> 01:17:09,740 (栗山)こちらの部屋です。 846 01:17:16,080 --> 01:17:18,080 (栗山)雪子さん。 847 01:17:20,420 --> 01:17:22,420 (栗山)雪子さん? 848 01:17:25,090 --> 01:17:27,090 (栗山)雪子さん。 849 01:17:50,450 --> 01:17:54,790 (医師)ご家族の方ですか? あっ いえ。 850 01:17:54,790 --> 01:17:57,790 早く そばに来てあげてください。 はっ? 851 01:17:57,790 --> 01:18:01,130 雪子さん 今 「お帰りなさい」って言いました。 852 01:18:01,130 --> 01:18:03,430 (栗山)確かに そう言いました。 853 01:18:22,810 --> 01:18:26,820 (医師)失礼ですが 勝一さんですか?・ 854 01:18:26,820 --> 01:18:31,820 先程 雪子さんが 「もうすぐ 勝一さんが 帰ってくるから・ 855 01:18:31,820 --> 01:18:34,820 あと少しだけ 生かしておいてください」と。 856 01:18:41,830 --> 01:18:46,170 (鳴海)<瑞鶴 機関兵 鳴海 勝一 海軍機関科 予備少尉・ 857 01:18:46,170 --> 01:18:49,170 ただいま 帰りました> 858 01:18:49,170 --> 01:18:53,510 (雪子)《随分 遅かったですね》 859 01:18:53,510 --> 01:18:59,450 (鳴海)<ごめんなさい。 60年も お待たせしてしまって。・ 860 01:18:59,450 --> 01:19:03,790 苦労をおかけしましたね> 861 01:19:03,790 --> 01:19:07,790 (雪子)《きっと帰ってらっしゃると 思ってましたから・ 862 01:19:07,790 --> 01:19:10,130 さみしくなかったですよ》 863 01:19:10,130 --> 01:19:38,160 ♫~ 864 01:19:38,160 --> 01:19:42,760 <必ず 帰ってきます> 865 01:19:48,830 --> 01:19:54,170 <必ず…> <必ず> 866 01:19:54,170 --> 01:20:22,130 ♫~ 867 01:20:22,130 --> 01:20:40,150 ♫~ 868 01:20:40,150 --> 01:20:42,820 (雪子)勝一さん。 869 01:20:42,820 --> 01:21:03,770 ♫~ 870 01:21:03,770 --> 01:21:09,780 (泣き声) 871 01:21:09,780 --> 01:21:22,130 ♫~ 872 01:21:22,130 --> 01:21:24,460 お帰りなさい。 873 01:21:24,460 --> 01:21:52,160 ♫~ 874 01:21:52,160 --> 01:22:01,770 ♫~ 875 01:22:01,770 --> 01:22:06,100 (心停止のアラーム音) 876 01:22:06,100 --> 01:22:21,450 ♫~ 877 01:22:21,450 --> 01:22:24,450 午後5時20分 ご臨終です。 878 01:22:24,450 --> 01:22:49,810 ♫~ 879 01:22:49,810 --> 01:22:54,150 (村川)あのう。 お葬式は? 880 01:22:54,150 --> 01:22:56,490 (栗山)身内の方が いらっしゃらないので・ 881 01:22:56,490 --> 01:22:59,760 うちのホームで。 そうですか。 882 01:22:59,760 --> 01:23:05,100 その後 雪子さんの生前の希望で 海に散骨されるそうです。 883 01:23:05,100 --> 01:23:10,100 海に? とても強く 希望されていました。 884 01:23:10,100 --> 01:23:12,100 そうですか。 885 01:23:13,770 --> 01:23:16,110 この手紙を…。 886 01:23:16,110 --> 01:23:21,450 これを出棺のときに 一緒に入れて 焼いてください。 887 01:23:21,450 --> 01:23:27,450 この手紙には 何が? まだ 封は開けていません。 888 01:23:27,450 --> 01:23:33,790 お預かりします。 よろしくお願いします。 889 01:23:33,790 --> 01:23:36,390 では 私はこれで。 890 01:23:41,130 --> 01:23:43,470 ありがとうございました。 891 01:23:43,470 --> 01:23:57,150 ♫~ 892 01:23:57,150 --> 01:23:59,750 (回想) 893 01:23:59,750 --> 01:24:06,090 (鳴海)新庄先輩! 新庄先輩! 新庄先輩。 894 01:24:06,090 --> 01:24:11,760 🎤(アナウンス)「総員 退艦せよ。 艦の余命は あと わずかである。・ 895 01:24:11,760 --> 01:24:17,770 皆 よく働いてくれた。 本艦は すでに撃つ弾は 撃ち尽くした。・ 896 01:24:17,770 --> 01:24:21,770 よって 思い残すことはない。・ 897 01:24:21,770 --> 01:24:24,440 皆は 最後の最後まで 生き残り…」 雪子さん…。 898 01:24:24,440 --> 01:24:26,110 🎤(アナウンス)「祖国のために 戦ってくれ」 899 01:24:26,110 --> 01:24:27,780 必ず 帰ります。 900 01:24:27,780 --> 01:24:31,450 🎤(アナウンス)「総員 退艦せよ」 約束は守ります! 901 01:24:31,450 --> 01:24:33,450 (爆発音) 902 01:24:35,790 --> 01:24:38,790 (射撃音) 903 01:24:41,790 --> 01:24:45,790 (射撃音) 904 01:24:50,130 --> 01:24:52,430 (衝撃音) 905 01:25:39,120 --> 01:25:42,420 雪子ーっ! 906 01:25:57,800 --> 01:26:05,740 (鳴海)「雪子さん。 自分は今 船で この手紙を書いています。・ 907 01:26:05,740 --> 01:26:08,080 もし 戦争がなかったら・ 908 01:26:08,080 --> 01:26:15,750 自分と雪子さんは どんな日々を 過ごすのだろうかと。・ 909 01:26:15,750 --> 01:26:23,430 4月。 桜の芽が まだ 寒さに 耐えているころですね。・ 910 01:26:23,430 --> 01:26:26,430 雪子さんの作ってくれた お弁当を持って・ 911 01:26:26,430 --> 01:26:29,770 高台寺の桜を 見に行きましょう。・ 912 01:26:29,770 --> 01:26:32,770 5月は 端午の節句。・ 913 01:26:32,770 --> 01:26:37,110 男の子が生まれたら お祝いをしましょう。・ 914 01:26:37,110 --> 01:26:42,450 かしわ餅を みんなで食べましょう。・ 915 01:26:42,450 --> 01:26:45,450 6月は 雨の季節。・ 916 01:26:45,450 --> 01:26:49,120 軍人は 傘を差して歩いては いけない決まりなので・ 917 01:26:49,120 --> 01:26:51,790 相合い傘が できませんでしたが・ 918 01:26:51,790 --> 01:26:58,130 戦争がなければ そんな心配を することはないのです。・ 919 01:26:58,130 --> 01:27:01,060 7月は ハモ漁の最盛期です。・ 920 01:27:01,060 --> 01:27:04,730 自分は 骨切りは 得意ではありませんが・ 921 01:27:04,730 --> 01:27:09,030 雪子さんの口に 刺さらぬよう 料理します」 922 01:27:11,740 --> 01:27:14,740 (鳴海)「8月は 地元の夏祭り。・ 923 01:27:14,740 --> 01:27:17,410 人形浄瑠璃を 演目にしているので・ 924 01:27:17,410 --> 01:27:20,080 一緒に 見に行きましょう。・ 925 01:27:20,080 --> 01:27:26,090 文楽と 人形浄瑠璃は 淡路が本場です。・ 926 01:27:26,090 --> 01:27:28,760 9月は 自分の誕生日です。・ 927 01:27:28,760 --> 01:27:32,100 雪子さんに出会うために 生まれてきたのだと思えば・ 928 01:27:32,100 --> 01:27:36,430 父や母に 感謝しなければ なりません。・ 929 01:27:36,430 --> 01:27:40,770 10月は 新庄先輩の誕生日です。・ 930 01:27:40,770 --> 01:27:45,110 先輩が 自分のように 愛する人と出会うまでは・ 931 01:27:45,110 --> 01:27:48,450 二人で お祝いを してあげましょう。・ 932 01:27:48,450 --> 01:27:50,780 11月は おめかしして・ 933 01:27:50,780 --> 01:27:55,450 『南座』の顔見世興行を 見に行きましょう。・ 934 01:27:55,450 --> 01:27:57,450 12月は 祇園で・ 935 01:27:57,450 --> 01:28:01,790 美しい雪子さんと 初めて 出会った月です。・ 936 01:28:01,790 --> 01:28:05,800 それに 雪子さんの誕生日です。・ 937 01:28:05,800 --> 01:28:08,800 たくさん お祝いを しなければなりません。・ 938 01:28:08,800 --> 01:28:14,140 自分が めでたい サクラダイを 取りますね。・ 939 01:28:14,140 --> 01:28:18,140 1月は お酒を いっぱい飲む月です。・ 940 01:28:18,140 --> 01:28:21,140 でも 自分は おとそより・ 941 01:28:21,140 --> 01:28:25,150 『三条若狭屋』の 花びら餅が 楽しみです。・ 942 01:28:25,150 --> 01:28:29,490 2月は 豆まき。 自分が鬼になりますから・ 943 01:28:29,490 --> 01:28:32,820 雪子さんが 豆をまいてください。・ 944 01:28:32,820 --> 01:28:37,160 3月は おひなさま。 女の子が生まれたら・ 945 01:28:37,160 --> 01:28:41,160 『豆政』の五色豆で お祝いしましょう」 946 01:28:44,830 --> 01:28:49,840 (鳴海)「男が 戦場へ行き 女が 不安な夜を過ごす・ 947 01:28:49,840 --> 01:28:52,180 そんなことが なくなる 平和な世界で・ 948 01:28:52,180 --> 01:28:56,510 子供たちは 育つことが できるのでしょうか。・ 949 01:28:56,510 --> 01:28:58,780 二人が 年を重ねて・ 950 01:28:58,780 --> 01:29:03,780 おじいちゃん おばあちゃんと 呼ばれる日が 来るのでしょうか」 951 01:29:05,460 --> 01:29:11,460 (鳴海)「最後に 自分が なぜ 雪子さんを お嫁さんにしたか・ 952 01:29:11,460 --> 01:29:14,460 その秘密を 教えてあげますね。・ 953 01:29:14,460 --> 01:29:20,140 それは 自分が 雪子さんを好きだからです。・ 954 01:29:20,140 --> 01:29:25,140 それだけで よかったら ずっと 一緒にいてください。・ 955 01:29:25,140 --> 01:29:35,820 10年後も 20年後も 50年後も 自分は ずっと幸せです。・ 956 01:29:35,820 --> 01:29:39,820 必ず 帰ります。・ 957 01:29:39,820 --> 01:29:43,830 海の照り返しが 雪子さんを包み・ 958 01:29:43,830 --> 01:29:47,830 水平線が 雪子さんを抱き締めるとき・ 959 01:29:47,830 --> 01:29:51,170 自分は いつも そばにいます。・ 960 01:29:51,170 --> 01:29:58,170 忘れないでください。 いつも 一緒だということを」 961 01:29:58,170 --> 01:30:22,130 ♫~ 962 01:30:22,130 --> 01:30:28,470 ♫~ 963 01:30:28,470 --> 01:30:32,810 <手紙を届けるという 旅は 終わったのかもしれない。・ 964 01:30:32,810 --> 01:30:38,820 しかし わたし自身の旅は 終わってはいない。・ 965 01:30:38,820 --> 01:30:45,820 終わっていないどころか いまだに 先が見えない 旅の途中なのだ。・ 966 01:30:45,820 --> 01:30:53,830 つかの間 妻と息子と 一緒の旅は まだ 途中なのだ> 967 01:30:53,830 --> 01:31:14,120 ♫~ 968 01:31:14,120 --> 01:31:17,120 ただいま! 969 01:31:17,120 --> 01:31:20,790 (崇子)お帰りなさい! (幸樹)お帰り! 970 01:31:20,790 --> 01:31:24,460 ああ。 今 帰った。 971 01:31:24,460 --> 01:31:52,160 ♫~ 972 01:31:52,160 --> 01:32:17,110 ♫~ 973 01:32:17,110 --> 01:32:40,410 ♫~