1 00:00:02,202 --> 00:00:21,955 ♬~ (テーマ音楽) 2 00:00:21,955 --> 00:00:33,967 ♬~ 3 00:01:18,145 --> 00:01:20,614 (エイスケ)「東京へ戻ります。➡ 4 00:01:20,614 --> 00:01:25,319 家の仕事は 僕には無理です。 お許しを」。 5 00:01:27,487 --> 00:01:31,959 (勇造)お義姉さん。 兄さん 何じゃって? 6 00:01:31,959 --> 00:01:34,428 東京に戻るそうです。 7 00:01:34,428 --> 00:01:38,632 そう…。 やっぱりな。 8 00:01:40,233 --> 00:01:44,171 (光代)あぐりさん あなたのせいですよ。私の…? 9 00:01:44,171 --> 00:01:48,308 そうですよ あなたが お父様の 足の事さえ言わんなんだら➡ 10 00:01:48,308 --> 00:01:52,179 エイスケは 今日だって半纏 着て 挨拶回りに行っとったんよ。➡ 11 00:01:52,179 --> 00:01:54,815 それを あなたが 余計な事を言うもんじゃから➡ 12 00:01:54,815 --> 00:01:57,451 あの子 怒って 出てってしまったじゃないの! 13 00:01:57,451 --> 00:02:02,255 でも エイスケさんは小説が書きたいから…。 口答えは 許しません! 14 00:02:02,255 --> 00:02:04,257 …はい。 15 00:02:11,264 --> 00:02:16,136 (勇造)お義姉さん。 はい。気にする事ねえよ。 16 00:02:16,136 --> 00:02:20,774 母は 兄の事になると いつも ああなんじゃから。 17 00:02:20,774 --> 00:02:23,777 ありがとう 勇造さん。 18 00:02:40,160 --> 00:02:45,165 一人だけ東京に行って。 私は どうなるのよ。 19 00:03:03,350 --> 00:03:13,593 ♬~ 20 00:03:13,593 --> 00:03:18,465 あっ あの~ 「東京行き」の汽車は? (駅員)とっくに出たがな。 21 00:03:18,465 --> 00:03:21,468 そうですか どうも…。 22 00:03:21,468 --> 00:03:24,604 あっ あの~ エイスケさん 乗ってませんでしたか? 23 00:03:24,604 --> 00:03:27,941 エイスケさん? そうです 背は このぐらいで➡ 24 00:03:27,941 --> 00:03:32,279 目は こんな感じで 口は こんな感じで 赤いマフラーを巻いて…。 25 00:03:32,279 --> 00:03:38,285 こっから ぎょうさん 乗るからなあ。 そうですよね… どうも。 26 00:03:40,787 --> 00:03:47,294 すいません 次の汽車で 東京まで 1枚。 1円と34銭です。 27 00:03:47,294 --> 00:03:52,299 おっ すいません。 お財布 忘れました。 28 00:03:57,304 --> 00:04:00,207 (苳子)どこに行っとったん? 29 00:04:00,207 --> 00:04:04,578 ちょっと…。 お母様 寝込んでしもうたわ。 30 00:04:04,578 --> 00:04:06,513 そうですか…。 31 00:04:06,513 --> 00:04:09,916 「そうですか」…。 よく しゃあしゃあと そう言えるなあ。 32 00:04:09,916 --> 00:04:11,852 あなたのせいで 寝込んどんよ。 33 00:04:11,852 --> 00:04:15,255 私のせい…? (苳子)本当に ひどい人じゃわ。➡ 34 00:04:15,255 --> 00:04:21,061 お父様の 「一世一代」の苦労を ぶち壊して 何も罪の意識がないんじゃから。 35 00:04:21,061 --> 00:04:26,266 あなたが 余計な事 言わなんだら エイスケは 東京なんかに帰らなんだんよ。 36 00:04:32,272 --> 00:04:36,276 お義母様 あぐりです。 37 00:04:37,944 --> 00:04:41,948 ご容体 いかがですか? 38 00:04:46,286 --> 00:04:49,189 お大事に…。 39 00:04:49,189 --> 00:05:17,250 ♬~ 40 00:05:17,250 --> 00:05:20,086  回想  (エイスケ)「東京へ戻ります。➡ 41 00:05:20,086 --> 00:05:24,591 家の仕事は 僕には無理です。 お許しを」。 42 00:05:29,262 --> 00:05:33,133 ⚟お嬢様。 はい。 43 00:05:33,133 --> 00:05:37,137 ⚟お昼は どねえしましょうか?➡ 44 00:05:37,137 --> 00:05:40,273 皆さん 召し上がられん ようじゃけど…。 45 00:05:40,273 --> 00:05:44,945 私も いりません。 かしこまりました。 46 00:05:44,945 --> 00:06:01,228 ♬~ 47 00:06:01,228 --> 00:06:04,231 (五喜)お姉さん。 48 00:06:10,237 --> 00:06:13,573 お姉さん お嫁にいってから 初めてじゃなあ。 49 00:06:13,573 --> 00:06:17,911 (美佐)丁度よかったわ。 久しぶりに チョコレートが手に入ったとこじゃったんよ。 50 00:06:17,911 --> 00:06:21,248 懐かしいなあ このチョコレート。 51 00:06:21,248 --> 00:06:24,150 驚くじゃない いきなり帰ってくるんだもの。 52 00:06:24,150 --> 00:06:28,588 望月のお義母様 よく帰してくれたなあ。 うん まあな。 53 00:06:28,588 --> 00:06:31,925 (美佐)ゆっくりしてけるん? うん。 54 00:06:31,925 --> 00:06:36,596 それじゃ 今日は みんなで オムレツ 食べに行きましょう。賛成! 55 00:06:36,596 --> 00:06:40,767 その前に スイカでも切りましょう。 食べ頃を頂いたんよ。 56 00:06:40,767 --> 00:06:44,271 お母様 食べる事 ばっかり。 相変わらずじゃな。 57 00:06:44,271 --> 00:06:47,607 五喜 切るの手伝ってちょうだい。 私 手伝う。 58 00:06:47,607 --> 00:06:51,278 あなたは いいの。 お客様だから ゆっくりしててちょうだい。 59 00:06:51,278 --> 00:06:55,982 五喜 早う。はい。 もう 人使い 荒いんじゃから。 60 00:06:59,619 --> 00:07:03,223 スイカは いいから 望月の家へ 行ってきてちょうだい。どうして? 61 00:07:03,223 --> 00:07:06,126 「あぐりは 今日うちへ泊めますから ご心配なく」って そう言うの。 62 00:07:06,126 --> 00:07:09,896 分かった?じゃけど 望月のお義母様が…。 63 00:07:09,896 --> 00:07:16,569 初めての 「お里帰り」に 手ぶらで 帰す お姑さんがいる?ああ…。 64 00:07:16,569 --> 00:07:20,907 望月の奥様は そういうことを キチンとなさる お方よ。そうか…。 65 00:07:20,907 --> 00:07:24,210 分かったら さっさと 行ってきてちょうだい。はい。 66 00:07:43,163 --> 00:07:49,269 楽しかったな。 久しぶりに みんなで オムレツ 食べに行ったものね。 67 00:07:49,269 --> 00:07:52,172 そうじゃなあ…。 68 00:07:52,172 --> 00:07:56,142 やっぱり 帰ってきて よかった…。 69 00:07:56,142 --> 00:08:00,547 あぐり…。 何? 70 00:08:00,547 --> 00:08:03,216 望月の家で 何があったん? 71 00:08:03,216 --> 00:08:07,220 え? 話して。 72 00:08:09,089 --> 00:08:12,225 分かってたの…? 73 00:08:12,225 --> 00:08:17,097 うん…。そうか…。 どうしたん? 74 00:08:17,097 --> 00:08:21,234 エイスケさんが 東京へ行ったの。 75 00:08:21,234 --> 00:08:23,169 そう…。 76 00:08:23,169 --> 00:08:27,107 急に 手紙一つ置いて…。 77 00:08:27,107 --> 00:08:29,576 そう…。 78 00:08:29,576 --> 00:08:31,511 みんなは 「エイスケさんが➡ 79 00:08:31,511 --> 00:08:36,249 お義父様と ケンカしたから 東京へ出ていった」と思ってるの。 80 00:08:36,249 --> 00:08:39,586 でも 本当は違うんよ。 81 00:08:39,586 --> 00:08:43,757 あの人は 「このままだと 自分が駄目になる」と思ったから➡ 82 00:08:43,757 --> 00:08:47,260 だから 東京に行ったんよ。 83 00:08:47,260 --> 00:08:50,163 東京で 自分を もっと 試したいから…。 84 00:08:50,163 --> 00:08:53,133 そう…。 85 00:08:53,133 --> 00:08:59,839 エイスケさんって 軟弱そうに見えるけど すごく 強い人なんよ。 86 00:08:59,839 --> 00:09:04,744 私がね 「学校 やめろ」って 言われた時も➡ 87 00:09:04,744 --> 00:09:08,214 独りで 私を かばってくれたの。 88 00:09:08,214 --> 00:09:11,117 そして 言ってくれたんよ。 89 00:09:11,117 --> 00:09:15,889 「僕が あぐりを 守ってやる」って。 90 00:09:15,889 --> 00:09:20,226 (美佐)すてきな人じゃなあ…。 91 00:09:20,226 --> 00:09:25,098 じゃけど どうして 私を 置いていったんかなあ…。 92 00:09:25,098 --> 00:09:30,236 (美佐)あなたには 学校が あるじゃない?うん。 93 00:09:30,236 --> 00:09:34,107 (美佐)じゃから 独りで 東京へ行ったんよ。➡ 94 00:09:34,107 --> 00:09:40,246 きっと あなたを迎えに 帰ってくるわ。そうかな…。 95 00:09:40,246 --> 00:09:47,120 大丈夫 心配せんで 待つんよ。うん…。 96 00:09:47,120 --> 00:09:51,257 じゃけど 驚いたわ。 え? 97 00:09:51,257 --> 00:09:55,128 ちょっとの間で あなた とっても きれいになったわ。 98 00:09:55,128 --> 00:09:59,132 そうかなあ…。 99 00:09:59,132 --> 00:10:05,271 女は 恋をすると 輝くんじゃなあ…。え? 100 00:10:05,271 --> 00:10:08,975 好きなんでしょう? エイスケさんが…。 101 00:10:15,281 --> 00:10:18,184 おやすみ。 102 00:10:18,184 --> 00:10:20,887 おやすみなさい。 103 00:10:28,294 --> 00:10:30,997 ⚟(健太郎)あぐり…。 104 00:10:37,303 --> 00:10:43,176 (健太郎)エイスケが 東京へ行ったのは お前のせいじゃない。 105 00:10:43,176 --> 00:10:49,649 あいつはのう どうしても カゴから 飛び出したかったんじゃ。➡ 106 00:10:49,649 --> 00:10:54,454 誰が悪いわけでもない。 お義父様…。 107 00:10:54,454 --> 00:10:59,659 だがのう 跡継ぎは あきらめたわけじゃないぞ。 108 00:10:59,659 --> 00:11:05,265 あいつとの勝負は これからじゃ。 109 00:11:05,265 --> 00:11:09,135 さあ あぐり 一緒に帰ろう。 110 00:11:09,135 --> 00:11:13,406 エイスケの代わりに お義父さんが迎えに来たんじゃ。 111 00:11:13,406 --> 00:11:16,409 寂しい思いをさせたのう。 112 00:11:20,780 --> 00:11:26,586 <エイスケが 東京へ行ってから ひとつき近くが たちました。➡ 113 00:11:26,586 --> 00:11:33,493 しかし エイスケからは何も便りはなく 姑の光代は 依然として➡ 114 00:11:33,493 --> 00:11:36,796 「エイスケが 東京へ行ったのは あぐりのせいだ」と➡ 115 00:11:36,796 --> 00:11:40,300 逆恨みを続けていたのでした> 116 00:11:40,300 --> 00:11:45,305 お義母様 今日も 手紙は来てません。 117 00:11:52,312 --> 00:11:56,649 <それでも あぐりは 母の美佐が 言ってくれた言葉を信じて➡ 118 00:11:56,649 --> 00:12:00,920 マイペースで エイスケの帰りを待つ 毎日だったのです。➡ 119 00:12:00,920 --> 00:12:03,823 そんな あぐりにとって 大事件が起きたのは➡ 120 00:12:03,823 --> 00:12:08,261 この年の 9月1日のことだったのです。➡ 121 00:12:08,261 --> 00:12:13,099 この日 関東地方に マグニチュード7.9の大地震が起き➡ 122 00:12:13,099 --> 00:12:16,903 死者9万人を超える 大惨事となったのでした> 123 00:12:23,276 --> 00:12:26,179 (妻五郎)御大! 行ってまいりました。 124 00:12:26,179 --> 00:12:29,616 どうじゃった? へい…。 125 00:12:29,616 --> 00:12:31,951 (磯辺)どうしたん? 妻さん。 126 00:12:31,951 --> 00:12:34,621 これは はっきりしたことじゃ ねえんじゃけど➡ 127 00:12:34,621 --> 00:12:38,491 新聞記者の話じゃ 大層 被害者が出たんは➡ 128 00:12:38,491 --> 00:12:42,295 「本所」いう所で 3万人が 死んだ言うて…。 129 00:12:42,295 --> 00:12:48,167 (磯辺)本所いうたら お前…。 ああ エイスケの住んでる所じゃのう。 130 00:12:48,167 --> 00:12:50,169 御大 じゃけど➡ 131 00:12:50,169 --> 00:12:54,307 何も ボンが どうこういうわけじゃ ありゃせんけい。 132 00:12:54,307 --> 00:12:56,242 妻五郎 磯辺➡ 133 00:12:56,242 --> 00:13:01,581 光代や あぐりには この事は言うな!(2人)へい。 134 00:13:01,581 --> 00:13:08,921 ♬~ 135 00:13:08,921 --> 00:13:11,591 <ラジオもない当時では➡ 136 00:13:11,591 --> 00:13:15,461 岡山で 東京の様子を知る事は 容易ではありませんでした。➡ 137 00:13:15,461 --> 00:13:19,265 交通手段も 通信施設も 壊滅したため➡ 138 00:13:19,265 --> 00:13:23,603 あぐりにとって エイスケの生存を 確認する方法は 全くなく➡ 139 00:13:23,603 --> 00:13:27,940 ただ 待つのみの日々が 10日間も続いたのでした> 140 00:13:27,940 --> 00:13:30,843 エイスケさん…。 141 00:13:30,843 --> 00:13:33,112 <そんなある日…> 142 00:13:33,112 --> 00:13:35,615 ⚟望月さん 電報じゃ。 143 00:13:47,627 --> 00:13:49,929 エイスケ…! 144 00:13:51,497 --> 00:13:54,500 「エイスケ ショウソクフメイ。➡ 145 00:13:54,500 --> 00:14:00,206 ゼツボウ カクゴサレタシ。 セツコ」。 146 00:14:03,109 --> 00:14:05,745 エイスケ! 147 00:14:05,745 --> 00:14:33,239 ♬~ 148 00:14:37,276 --> 00:14:41,614 <弟の勇造です。 東京は 壊滅状態らしいんじゃ。➡ 149 00:14:41,614 --> 00:14:44,283 本当に エイスケ兄さんは 死んでしもたんじゃろうか。➡ 150 00:14:44,283 --> 00:14:46,219 お父様も 東京へ 兄さんを捜しに…。➡ 151 00:14:46,219 --> 00:14:49,155 あれ? あぐりお義姉さんの様子が変じゃ。➡ 152 00:14:49,155 --> 00:14:53,459 次週「親の心」。 兄さんが 心配じゃ>