1 00:00:02,202 --> 00:00:21,555 ♬~ (テーマ音楽) 2 00:00:21,555 --> 00:00:33,767 ♬~ 3 00:01:19,413 --> 00:01:22,316 (健太郎)願書を出さなかった? (勇造)はい。 4 00:01:22,316 --> 00:01:26,954 (光代)勇造…。 何だか 急に自信がなくなって…。 5 00:01:26,954 --> 00:01:31,792 それにしたって 受けるだけ受けてみたら よかったがあ。 6 00:01:31,792 --> 00:01:35,963 すいません。 大事なことを 勝手に決めて…。 7 00:01:35,963 --> 00:01:40,834 まあ ええ。 お前の思ったとおりにすりゃええ。 8 00:01:40,834 --> 00:01:45,138 <勇造が 望月の家を思い そんな決断をしていた事を➡ 9 00:01:45,138 --> 00:01:50,310 東京にいるエイスケは 全く 知らなかったのでした> 10 00:01:50,310 --> 00:01:53,146 (燐太郎)ありがとう。 11 00:01:53,146 --> 00:01:57,451 (エイスケ)望月エイスケ見参! 今夜は 飲みまくるぞ~! 12 00:01:57,451 --> 00:02:00,253 (女性)飲みまくるぞ~! 13 00:02:00,253 --> 00:02:03,256 (燐太郎)エイスケ…。 (高山)いらっしゃい。 14 00:02:03,256 --> 00:02:10,764 おう。 何だ 燐太郎。 その切なそうな顔は。 15 00:02:10,764 --> 00:02:15,402 (指を鳴らす音) (エイスケ)おお 辻村燐太郎。 16 00:02:15,402 --> 00:02:21,208 その男は 私の名を呼びながら 感傷的な ローマンスを➡ 17 00:02:21,208 --> 00:02:26,413 空気のにおいに求めた 夜 10時…。 18 00:02:26,413 --> 00:02:29,950 (女性たちの笑い声) 出来た! 出来た! アハハハ! 19 00:02:29,950 --> 00:02:34,287 (女性)大丈夫 エイスケさん? (女性)もう 飲み過ぎですよ。 20 00:02:34,287 --> 00:02:36,957 (女性)しっかりしてください。 (エイスケ)平気 平気。 21 00:02:36,957 --> 00:02:39,860 僕は 全然 酔ってないよ。 ヘヘヘヘヘッ。 22 00:02:39,860 --> 00:02:44,297 悪いけど… 君たち 帰ってくれないか。 (女性)え? 23 00:02:44,297 --> 00:02:47,134 ちょっと エイスケと 話があるんだ。 帰ってくれ。 24 00:02:47,134 --> 00:02:51,004 でも これから お酒…。 いいから 帰ってくれ。 ほら。 25 00:02:51,004 --> 00:02:53,440 ちょっと! もう遅いから うちに帰んなさい。 26 00:02:53,440 --> 00:02:55,642 何すんのよ。 27 00:02:58,145 --> 00:03:05,252 何だよ。 せっかく これから みんなで飲もうと思ったのにさぁ。 28 00:03:05,252 --> 00:03:08,755 エイスケ…。 うん? 29 00:03:08,755 --> 00:03:12,392 お前 大丈夫なのか? 何が? 30 00:03:12,392 --> 00:03:16,263 「いつも 酔いつぶれちゃあ 見知らぬ女の家に泊まってる」って噂だ。 31 00:03:16,263 --> 00:03:18,932 フッ フフフフ…。 32 00:03:18,932 --> 00:03:23,770 (燐太郎)余計なお世話だろうが もう少し しっかりしたらどうなんだ? 33 00:03:23,770 --> 00:03:27,407 「これから どうやって生きていくのか 何を書いていくのか」➡ 34 00:03:27,407 --> 00:03:30,944 ちゃんと考えたら どうなんだ? フフフフッ。 35 00:03:30,944 --> 00:03:36,116 ヘヘヘッ。 本当に 余計なお世話だぞ。 燐太郎! 36 00:03:36,116 --> 00:03:39,953 お前 いつから 小学校の 修身の先生になったんだ? 37 00:03:39,953 --> 00:03:44,825 ウンザリだぞ。 その説教くさい 物の言い方。 38 00:03:44,825 --> 00:03:49,963 そうか…。 それなら 嫌われついでに言うがな➡ 39 00:03:49,963 --> 00:03:52,299 お前 実家の仕事は どうすんだ? 40 00:03:52,299 --> 00:03:54,968 この前 お前の親父さんに会った時に 聞いたんだが➡ 41 00:03:54,968 --> 00:03:58,805 親父さんは 「何としても お前に 家業を継いでほしい」と願ってるんだ。 42 00:03:58,805 --> 00:04:03,243 「俺に ツルハシ持て」ってのか? 43 00:04:03,243 --> 00:04:08,915 「田舎で 半纏着て 偉そうに 人に指図して暮らせ」ってのかよ? 44 00:04:08,915 --> 00:04:12,385 「俺には 小説の才能がないから 岡山に帰れ」って言うのかよ! 45 00:04:12,385 --> 00:04:14,454 そんな事 言ってるんじゃない。 46 00:04:14,454 --> 00:04:16,923 俺は ちゃんと話し合えって 言ってるんだ。➡ 47 00:04:16,923 --> 00:04:21,261 今のお前は どう見ても 中途半端だぞ エイスケ。 48 00:04:21,261 --> 00:04:25,132 フフン。 アッハハ…。 49 00:04:25,132 --> 00:04:32,772 ハイ ハイ。 「ご忠告 感謝感激 雨あられ」。 アッハハ。 50 00:04:32,772 --> 00:04:37,944 岡山にいる 奥さんと子供は どうすんだ? 今のままでいいのか! 51 00:04:37,944 --> 00:04:39,880 (世津子)あっ! 52 00:04:39,880 --> 00:04:44,284 人の事より 自分の事 考えろ! 燐太郎。 53 00:04:44,284 --> 00:04:47,287 (ドアベル) 54 00:04:50,791 --> 00:04:53,593 (高山)荒れてますね エイスケさん…。 55 00:04:56,963 --> 00:05:00,834 (妻五郎)あ 御大…。 ああ…。 56 00:05:00,834 --> 00:05:03,236 (磯辺)御大 無理しちゃおえんが…。 57 00:05:03,236 --> 00:05:07,574 何を言うか。 もうじき 鉱山の鉄道工事が始まるんじゃ。 58 00:05:07,574 --> 00:05:09,910 のんびり 布団の中に もぐっておられるか。 59 00:05:09,910 --> 00:05:12,946 (磯辺)じゃけど…。 心配するな。 60 00:05:12,946 --> 00:05:15,782 まあ あまり無理をせんようにする。 61 00:05:15,782 --> 00:05:21,521 みんなで 手分けして やりますけ。 (健太郎)おう すまんのう。 62 00:05:21,521 --> 00:05:25,258 ☎ 63 00:05:25,258 --> 00:05:30,931 もしもし もしもし。 望月組でございますが。 64 00:05:30,931 --> 00:05:33,767 はい。 お願いします。 65 00:05:33,767 --> 00:05:37,637 御大…。 うん?東京の上原さんから電話…。 66 00:05:37,637 --> 00:05:39,839 おう。 67 00:05:45,278 --> 00:05:47,214 おう もしもし。 68 00:05:47,214 --> 00:05:51,785 ここのとこ エイスケさん 生活が荒れてます。 69 00:05:51,785 --> 00:05:53,720 ☎(健太郎)荒れてる? 70 00:05:53,720 --> 00:06:00,126 小説が書けない苦しみを お酒で 忘れようとしているの。 71 00:06:00,126 --> 00:06:03,997 あたしには どうもして あげられません。 72 00:06:03,997 --> 00:06:08,835 ねえ 御大…。 どうしたらいいのかしらね? 73 00:06:08,835 --> 00:06:11,571 分かった…。 74 00:06:11,571 --> 00:06:16,443 あのな… こっちにも 少し 考えがあるけ…。 75 00:06:16,443 --> 00:06:21,748 ああ ああ。 また 連絡してくれ。 76 00:06:21,748 --> 00:06:24,751 ああ じゃあ…。 77 00:06:39,933 --> 00:06:44,271 (あぐり)あたしが 東京へですか? そうじゃ。 78 00:06:44,271 --> 00:06:48,942 エイスケを 東京から 連れ戻してほしいんじゃ。 79 00:06:48,942 --> 00:06:54,281 あいつを呼び戻せるのは お前しか おらん。 頼む。 80 00:06:54,281 --> 00:06:58,285 でも もし エイスケさんが 「帰らない」って 言ったら? 81 00:06:58,285 --> 00:07:03,556 おう あいつが 首を たてに振るまで 向こうにいりゃあ いい。 82 00:07:03,556 --> 00:07:06,359 あたしが東京に…。 83 00:07:06,359 --> 00:07:11,064 (光代)ただし 淳之介は ここに 置いとくように。えっ? 84 00:07:11,064 --> 00:07:13,366 この子に 長旅は酷じゃ。 85 00:07:13,366 --> 00:07:18,204 それに 慣れない土地で 何かあったら 大変じゃろ。 86 00:07:18,204 --> 00:07:24,744 でも…。 いや お前の気持ちは 分かるがのう。 87 00:07:24,744 --> 00:07:30,250 やはり この子は ここへ置いといた方が ええじゃろう。 88 00:07:30,250 --> 00:07:34,087 なに…。 わしと 光代で ちゃ~んと 面倒みるけ。 89 00:07:34,087 --> 00:07:36,756 心配いらん。 90 00:07:36,756 --> 00:07:42,929 (光代)あぐり。 これは あなたに 意地悪で言ってる事と違うんよ。 91 00:07:42,929 --> 00:07:46,766 あなたと 淳之介にとって 長い目で見たら➡ 92 00:07:46,766 --> 00:07:52,405 今は エイスケを 連れ戻す事が 一番の 幸せになる事なんよ。 93 00:07:52,405 --> 00:07:55,942 そんなに長い事じゃないじゃろう。➡ 94 00:07:55,942 --> 00:08:02,048 淳之介を ここに置いて 東京 行ってちょうだい。 95 00:08:02,048 --> 00:08:06,353 分かってくれるのう。 あぐり? 96 00:08:08,555 --> 00:08:11,891 少し 考えさせて下さい。 97 00:08:11,891 --> 00:08:28,908 ♬~ 98 00:08:28,908 --> 00:08:33,747 淳…。 ここはね…➡ 99 00:08:33,747 --> 00:08:38,918 お母さんが お父さんと 初めて 会うた所なんよ。 100 00:08:38,918 --> 00:08:43,757  回想  何ですか これ?街だよ。 101 00:08:43,757 --> 00:08:48,395 街? 君には 見えないのか? 102 00:08:48,395 --> 00:08:52,265 この 暗闇のような街が。 103 00:08:52,265 --> 00:08:58,138 それでね お母さん 「そんなん 闇夜のカラスじゃ」言うた。 104 00:08:58,138 --> 00:09:01,875 それから ずっと お父さん お母さんのこと➡ 105 00:09:01,875 --> 00:09:05,178 「カラスちゃん」言うて 呼んどったんよ。 106 00:09:11,584 --> 00:09:14,587 なぁ 淳之介…。 107 00:09:14,587 --> 00:09:20,226 お母さん 東京に行った方が ええ? 108 00:09:20,226 --> 00:09:24,898 でも… 淳之介を置いてくの➡ 109 00:09:24,898 --> 00:09:28,368 お母さん さみしいん…。 110 00:09:28,368 --> 00:09:31,171 どうしたらええ? 111 00:09:37,377 --> 00:09:40,747 ⚟(美佐)あぐり…。 112 00:09:40,747 --> 00:09:43,249 お母様…。 113 00:09:45,251 --> 00:09:50,123 (美佐)そう… 東京にな…。 うん。 114 00:09:50,123 --> 00:09:53,393 けど エイスケさんは あたしが どうこう言って➡ 115 00:09:53,393 --> 00:09:55,929 考えが変わる人じゃないの。 116 00:09:55,929 --> 00:10:01,401 あの人は 誰からも束縛されずに 自由に生きていく人よ。 117 00:10:01,401 --> 00:10:04,938 でも 帰ってくるのを信じて 待っている➡ 118 00:10:04,938 --> 00:10:08,274 勇造さんや お義父様の事を 考えると➡ 119 00:10:08,274 --> 00:10:12,612 エイスケさんには きちんとしてほしいのよ。 120 00:10:12,612 --> 00:10:17,417 じゃから 東京に 行ってきたいんじゃけど…。 121 00:10:17,417 --> 00:10:22,222 でも… 淳之介を置いては 行けんわ…。 122 00:10:25,625 --> 00:10:29,129 あぐり…。 なに? 123 00:10:29,129 --> 00:10:31,064 東京に 行ってきなさい。 124 00:10:31,064 --> 00:10:36,002 このまま エイスケさんと 離れて暮らしたら➡ 125 00:10:36,002 --> 00:10:39,706 あなた 一生 後悔するかもしれんわ。 126 00:10:42,308 --> 00:10:47,180 このまま 父親を知らないで 育ったら➡ 127 00:10:47,180 --> 00:10:50,884 かわいそうなのは 淳之介でしょう? 128 00:10:53,019 --> 00:10:56,322 おとうさまが 亡うなられた時➡ 129 00:10:56,322 --> 00:11:02,262 五喜も 正彦も とっても苦労したんよ。 130 00:11:02,262 --> 00:11:07,267 まずは 夫婦が一緒に 暮らすこと。 131 00:11:07,267 --> 00:11:12,772 親が幸せじゃないと 子供は 幸せに育たんのよ。 132 00:11:14,407 --> 00:11:17,777 心配いらんわ。 淳之介は➡ 133 00:11:17,777 --> 00:11:22,115 望月のお義母様が しっかり 育ててくれますよ。➡ 134 00:11:22,115 --> 00:11:24,784 少し 強引なところが あるけれど➡ 135 00:11:24,784 --> 00:11:31,558 あのお義母様 淳之介のことを 心から 愛してくれてますよ。 136 00:11:31,558 --> 00:11:35,295 それに あなたの事もね。 137 00:11:35,295 --> 00:11:39,632 じゃから 安心して エイスケさんに 会うてきなさい。 138 00:11:39,632 --> 00:11:46,339 そして 早う 親子三人で 暮らせるようにせんとな。 なあ。 139 00:11:53,646 --> 00:11:59,819 お義父様。おう。 私 東京へ行って参ります。 140 00:11:59,819 --> 00:12:04,791 そうか…。 行ってくれるか。 141 00:12:04,791 --> 00:12:11,097 お義母様。 どうか 淳之介のこと よろしくお願いします。 142 00:12:11,097 --> 00:12:13,032 分かりました。 143 00:12:13,032 --> 00:12:17,403 私が ちゃんと 面倒みますから 心配せんといてな。 144 00:12:17,403 --> 00:12:19,472 はい。 145 00:12:19,472 --> 00:12:22,175 (光代)あぐり…。 はい。 146 00:12:24,611 --> 00:12:29,949 どうか エイスケのこと よろしくお願いします。 147 00:12:29,949 --> 00:12:32,151 はい。 148 00:12:37,423 --> 00:12:42,795 <数日後 あぐりが 東京へ向かう日が やってきました> 149 00:12:42,795 --> 00:12:45,632 それじゃ 行ってきます。 150 00:12:45,632 --> 00:12:50,436 行ってらっしゃい。 はい。 151 00:12:50,436 --> 00:12:54,307 気をつけて 行くんだぞ。 はい。 152 00:12:54,307 --> 00:12:58,111 ほら 淳之介。 お母さんですよ。 153 00:13:00,246 --> 00:13:05,752 淳を お願いします。 はい。 154 00:13:05,752 --> 00:13:10,390 (発車のベル) 155 00:13:10,390 --> 00:13:15,695 淳…。 お母さん 行ってくるな。 156 00:13:26,973 --> 00:13:29,676 行って参ります。 157 00:13:34,280 --> 00:13:47,293 (淳之介の泣き声) 158 00:13:47,293 --> 00:14:17,256 ⚟(淳之介の泣き声) 159 00:14:17,256 --> 00:14:23,763 <大正14年2月。 あぐり 東京への旅立ちでした> 160 00:14:23,763 --> 00:14:35,942 ♬~ 161 00:14:35,942 --> 00:14:37,877 (燐太郎)<燐太郎です。➡ 162 00:14:37,877 --> 00:14:39,812 あぐりさんも ついに 東京へ来ましたか。➡ 163 00:14:39,812 --> 00:14:41,814 なかなか いいとこでしょ。➡ 164 00:14:41,814 --> 00:14:44,951 えっ? エイスケの家に着いたら 女が出てきた?➡ 165 00:14:44,951 --> 00:14:46,886 お金が もう 足りない?➡ 166 00:14:46,886 --> 00:14:49,288 いやいや それくらいで驚いてたら➡ 167 00:14:49,288 --> 00:14:51,591 東京では やっていけませんって…> 168 00:14:53,159 --> 00:14:55,161 (燐太郎)<結構 怖いかも>