1 00:00:02,202 --> 00:00:19,653 ♬~ (テーマ音楽) 2 00:00:19,653 --> 00:00:28,662 ♬~ 3 00:01:20,948 --> 00:01:27,721 (エイスケ)よし 淳之介 いくぞ。 笑って! 4 00:01:27,721 --> 00:01:30,290 はい! (シャッターの音) 5 00:01:30,290 --> 00:01:34,094 はい。 次は あぐりと一緒。 (あぐり)はい! 6 00:01:38,966 --> 00:01:41,301 お地蔵さんじゃないんだからさ。 7 00:01:41,301 --> 00:01:45,639 肩に手を回してごらん。 あ はい。そうそう そうそう。 8 00:01:45,639 --> 00:01:48,308 よしよし いいね いいね…。 9 00:01:48,308 --> 00:01:51,311 はい… では いきますよ! 10 00:01:51,311 --> 00:01:53,447 (シャッターの音) 11 00:01:53,447 --> 00:01:57,818 「お母様 その後 ご容体は いかがですか?➡ 12 00:01:57,818 --> 00:02:05,559 先日のお手紙では かなり具合が よろしいとのこと 安心いたしました。➡ 13 00:02:05,559 --> 00:02:10,464 淳之介も 2年生になり お母様が 2年前に買ってくださった➡ 14 00:02:10,464 --> 00:02:13,667 服が ピッタリになりました」。 15 00:02:16,937 --> 00:02:21,808 (健太郎)ああ 早いもんじゃのう。 もう 2年生か。➡ 16 00:02:21,808 --> 00:02:25,278 わしらが年をとるのも 当たり前じゃ。 17 00:02:25,278 --> 00:02:27,781 (美佐)全くですわ。 18 00:02:27,781 --> 00:02:32,653 奥様 だいぶ 具合は よろしいようじゃの? 19 00:02:32,653 --> 00:02:38,792 はい。 何だか 暖かくなりましてから すっかり 調子がよくなりまして。 20 00:02:38,792 --> 00:02:41,294 ああ。 それは 何よりじゃ。 のう 五喜ちゃん。 21 00:02:41,294 --> 00:02:43,964 (五喜)はい。 ありがとうございます。 22 00:02:43,964 --> 00:02:48,301 じゃけど 奥様も お元気そうじゃわ。 23 00:02:48,301 --> 00:02:53,140 ふん…。 いい年して 好き勝手やりよる。 24 00:02:53,140 --> 00:02:57,644 じゃけど 奥様が あぐりのそばに いてくださるから➡ 25 00:02:57,644 --> 00:03:00,614 私は 何も 心配しとらんのです。 26 00:03:00,614 --> 00:03:06,453 おう そういえばのう あぐりのやつ 今度 京橋へ 支店を出すそうじゃ。 27 00:03:06,453 --> 00:03:11,925 まあ そうですか! (健太郎)ああ。 あれも 大したもんじゃ。 28 00:03:11,925 --> 00:03:14,961 それを言うなら エイスケ義兄さんじゃって…。 29 00:03:14,961 --> 00:03:19,800 エイスケが どうした? 次々と 小説を発表されてるそうですよ。 30 00:03:19,800 --> 00:03:25,772 ほう… まあ どうせ ろくでもない本じゃろが。 31 00:03:25,772 --> 00:03:29,643 おっ 出てる 出てる。 32 00:03:29,643 --> 00:03:33,513 (淳之介)出てる 出てる。 33 00:03:33,513 --> 00:03:36,483 <そして 昭和8年。➡ 34 00:03:36,483 --> 00:03:40,120 あぐり美容院は 本店 京橋支店とも 順調で➡ 35 00:03:40,120 --> 00:03:43,623 あぐりの仕事は ますます忙しくなっていました。➡ 36 00:03:43,623 --> 00:03:46,526 一方 エイスケも 次々と小説を発表し➡ 37 00:03:46,526 --> 00:03:50,230 家に寄りつかない日々が 続いていたのでした> 38 00:03:52,332 --> 00:03:59,172 <この年の2月20日 文壇を揺るがす 一つの事件が起きたのでした。➡ 39 00:03:59,172 --> 00:04:02,743 プロレタリア文学を代表する作家 小林多喜二が➡ 40 00:04:02,743 --> 00:04:06,613 警察署内で 拷問を受けて 亡くなったのです> 41 00:04:06,613 --> 00:04:10,383 (世津子)いいかげんにしなさいよ。 ねえ いいかげんにしなさい! 42 00:04:10,383 --> 00:04:14,755 ⚟(編集者)ママ! あら いらっしゃい。 43 00:04:14,755 --> 00:04:17,257 (編集者)望月先生の お席は どちら? 44 00:04:17,257 --> 00:04:20,160 ああ どこでも どうぞ。 随分 つれないねえ。 45 00:04:20,160 --> 00:04:23,130 今を時めく 望月エイスケ先生が お飲みになる席だよ。 46 00:04:23,130 --> 00:04:25,132 この店で 一番の席を空けてよ。 47 00:04:25,132 --> 00:04:30,771 おあいにくさま。 この店じゃね どの席も 一番の席なのよ。 48 00:04:30,771 --> 00:04:32,706 おい 行くぞ。 まあ そんなわけでね➡ 49 00:04:32,706 --> 00:04:35,275 ここはもう 自由気ままにやっていけば…。 50 00:04:35,275 --> 00:04:39,779 まあまあ どうぞ どうぞ…。 まあ お座りになってくださいな。 51 00:04:39,779 --> 00:04:42,282 (笑い声) 52 00:04:44,284 --> 00:04:46,286 ほう。 53 00:04:49,156 --> 00:04:51,158 やあ。 54 00:04:52,959 --> 00:04:55,162 (川原)あんたか…。 55 00:04:59,299 --> 00:05:05,906 小林さんの冥福を祈って 一緒に飲もうよ。お断りだ。 56 00:05:05,906 --> 00:05:11,378 あんたに祈ってもらっても 小林さんは 浮かばれないよ。 57 00:05:11,378 --> 00:05:18,084 そう…。 随分 かたくなだな。 58 00:05:18,084 --> 00:05:22,389 向こうに行ってくれないか。 59 00:05:22,389 --> 00:05:25,692 どうも お邪魔しました。 60 00:05:27,260 --> 00:05:32,933 (客)あの 望月エイスケさんですか? あれ どうして分かったのかなぁ? 61 00:05:32,933 --> 00:05:35,769 いや… じゃあ お近づきのしるしに 一杯 いかがですか? 62 00:05:35,769 --> 00:05:38,772 すいません。 いやいや…。 63 00:05:41,641 --> 00:05:45,412 あっ 川原君。 64 00:05:45,412 --> 00:05:48,281 滑稽だな 君たちは。 65 00:05:48,281 --> 00:05:50,217 「滑稽」? 66 00:05:50,217 --> 00:05:53,787 文学にも いろいろあったって いいじゃないか。 67 00:05:53,787 --> 00:05:56,423 プロレタリアしか認めない文学なんて➡ 68 00:05:56,423 --> 00:06:04,064 小林多喜二を抹殺した国家権力と 大して変わりないと思うね。 69 00:06:04,064 --> 00:06:06,766 うわ~っ! 70 00:06:08,735 --> 00:06:12,038 小林さんを侮辱するな! 71 00:06:17,744 --> 00:06:23,550 僕は… 彼の冥福を 祈りたかっただけだよ。 72 00:06:26,453 --> 00:06:30,457 先生? お疲れさん。 73 00:06:32,259 --> 00:06:34,761 (ドアベル) 74 00:06:41,768 --> 00:06:44,070 こっち。 75 00:06:48,275 --> 00:06:51,611 (岩本)待ってよ ジュンノーちゃん。 76 00:06:51,611 --> 00:07:01,721 ♬~ 77 00:07:01,721 --> 00:07:05,225 (淳之介)ここがパパの書斎だよ。 (岩本)へえ すっげえ!➡ 78 00:07:05,225 --> 00:07:07,160 本が いっぱい あるなあ。 79 00:07:07,160 --> 00:07:11,564 (福沢)「しょさい」って な~に? パパが お仕事するとこだよ。 80 00:07:11,564 --> 00:07:14,868 仕事 何やってんの? 81 00:07:18,738 --> 00:07:20,674 これが パパの本だよ。 82 00:07:20,674 --> 00:07:24,244 へえ~ ジュンノーちゃんのお父さん 本 売ってるんだ。 83 00:07:24,244 --> 00:07:30,383 (福沢)本屋さんなの? 違うよ。 本を書いてるんだ。 84 00:07:30,383 --> 00:07:32,919 (ドアが開く音) あっ! 85 00:07:32,919 --> 00:07:34,854 やあ 淳之介。 86 00:07:34,854 --> 00:07:38,591 こんにちは。 (エイスケ)うん。 友達かい? 87 00:07:38,591 --> 00:07:45,098 南君と 尚君。 はじめまして 望月エイスケです。 88 00:07:45,098 --> 00:07:49,936 (岩本 福沢)こんにちは…。 はい こんにちは。 89 00:07:49,936 --> 00:07:54,607 淳 何年生になったんだ? 4年生。 90 00:07:54,607 --> 00:08:00,347 へえ 知らなかったな~。 じゃあ 4年生になったお祝いに➡ 91 00:08:00,347 --> 00:08:03,883 お母さん誘って おいしいものでも 食べに行こうか? 92 00:08:03,883 --> 00:08:07,220 ママ いないよ。 どこ行ったの? 93 00:08:07,220 --> 00:08:10,123 京橋。 あっ 支店 行ったのか…。 94 00:08:10,123 --> 00:08:14,361 ママ とても忙しいんだよ。 パパ 知らないの? 95 00:08:14,361 --> 00:08:19,199 う~ん あんまり会わないからねぇ。 96 00:08:19,199 --> 00:08:22,902 じゃ どうぞ ごゆっくり…。 97 00:08:22,902 --> 00:08:30,377 ♬「カリンカ カリンカ カリンカ マヤ」 98 00:08:30,377 --> 00:08:34,247 ♬~(エイスケの歌声) 99 00:08:34,247 --> 00:08:39,753 えっ 明日 授業参観なの? うん。 100 00:08:39,753 --> 00:08:43,923 聞いてないわよ そんなの。 言ったよ 何度も。 101 00:08:43,923 --> 00:08:48,395 そうだっけ?(光代)あなたが 聞いてなかったんよ。 102 00:08:48,395 --> 00:08:51,765 ごめん。 いいよ。 103 00:08:51,765 --> 00:08:55,402 あのね… 明日 行けそうにないのよ。 104 00:08:55,402 --> 00:09:00,874 大事なお客様の予約が入ってるの。 ごめんね。 105 00:09:00,874 --> 00:09:05,044 困ったなぁ。 その予約 取り消せんの? 106 00:09:05,044 --> 00:09:08,548 今からじゃ とても…。 いいよ 来なくたって…。 107 00:09:08,548 --> 00:09:11,251 あら! あっ 淳! 108 00:09:23,363 --> 00:09:26,266 いらっしゃいませ。 お待ちしておりました。 109 00:09:26,266 --> 00:09:28,268 どうぞ こちらへ。 110 00:09:33,106 --> 00:09:40,380 (先生)「ある時 口 耳 目 手 足らが 申し合わせて➡ 111 00:09:40,380 --> 00:09:42,916 胃に向かって 言いますには➡ 112 00:09:42,916 --> 00:09:46,252 僕らは ふだん 忙しく働いていますのに➡ 113 00:09:46,252 --> 00:09:49,589 君は ただ 座っていて 物を食うだけで➡ 114 00:09:49,589 --> 00:09:55,762 少しも 僕らのために尽くさない。 僕らは 一同 申し合わせて…」。 115 00:09:55,762 --> 00:10:03,636 ♬~ 116 00:10:03,636 --> 00:10:07,373 「目は 食べ物を見ても 見ないふりをし➡ 117 00:10:07,373 --> 00:10:10,276 手は 食べ物を 口へ入れることをやめ➡ 118 00:10:10,276 --> 00:10:13,279 足は 食堂へ行くことを やめました」。 119 00:10:13,279 --> 00:10:17,417 よし そこまで。 次 望月 読んでみろ。➡ 120 00:10:17,417 --> 00:10:20,954 おい。 (せきばらい) 121 00:10:20,954 --> 00:10:26,125 (先生)望月淳之介。 あっ はい…。 122 00:10:26,125 --> 00:10:32,432 「こうして 2~3日 たちますと 耳は鳴り 目は くらみ➡ 123 00:10:32,432 --> 00:10:36,135 手足は なえてしまって 動くことができず➡ 124 00:10:36,135 --> 00:10:42,442 顔の色も 青くなってきて 体に 全く 力が無くなりました。➡ 125 00:10:42,442 --> 00:10:46,312 その時 胃は 一同に向かって 言いました」。 126 00:10:46,312 --> 00:10:50,517 (光代)淳…。 あぁ…。 127 00:10:54,454 --> 00:10:58,825 「君らは こうなることは 知らなかったのですか?➡ 128 00:10:58,825 --> 00:11:03,663 僕は ただ座っていて 物を食うだけのものではありません」。 129 00:11:03,663 --> 00:11:08,635 ⚟淳 上手だったわよ。 ママね 感激しちゃった。 130 00:11:08,635 --> 00:11:10,803 お帰り。 あれ? 131 00:11:10,803 --> 00:11:14,607 よう。 エイスケさん いたの? 132 00:11:14,607 --> 00:11:19,479 うん。 昨日から ずっとね。 やだ 全然 気が付かなかった。 133 00:11:19,479 --> 00:11:23,616 だったら 授業参観 頼むんだった。 134 00:11:23,616 --> 00:11:25,652 言ってくれれば 行ったのに。 135 00:11:25,652 --> 00:11:28,421 あっ お客様 待たせてるんだった。 急がなくちゃ! 136 00:11:28,421 --> 00:11:30,356 ねえ! 淳の4年の お祝いにさ➡ 137 00:11:30,356 --> 00:11:33,159 みんなで おいしいもんでも 食べに行か…。 138 00:11:41,000 --> 00:11:47,440 (エイスケ)淳。はい。 君の言うとおりだ。 139 00:11:47,440 --> 00:11:51,644 ママは 忙しいみたいだねぇ。 140 00:11:53,246 --> 00:11:56,049 (一同)ありがとうございました。 141 00:11:57,817 --> 00:12:02,088 さあ そろそろ交代でお昼にしましょうか。 (3人)はい。 142 00:12:02,088 --> 00:12:04,123 (とめ)先生。 はい。 143 00:12:04,123 --> 00:12:06,593 行かなくて いいんですか? どこへ? 144 00:12:06,593 --> 00:12:08,628 ジュンノーちゃんの お祝いですよ。 145 00:12:08,628 --> 00:12:11,097 エイスケさん 銀座のレストラン 予約したんだって➡ 146 00:12:11,097 --> 00:12:14,801 うれしそうにしてましたけど…。 えっ? 147 00:12:16,402 --> 00:12:20,106 とめさん ちょっと ここ お願いね。 はい。 148 00:12:28,982 --> 00:12:33,820 淳 それ どうしたの? パパが作ってくれた。 149 00:12:33,820 --> 00:12:36,623 そう。 パパは? 150 00:12:36,623 --> 00:12:38,558 どこかに行ったよ。 151 00:12:38,558 --> 00:12:41,794 そう…。 152 00:12:41,794 --> 00:12:44,631 <それから ひとつき以上の間➡ 153 00:12:44,631 --> 00:12:48,635 エイスケは 家に帰ってくることは ありませんでした> 154 00:12:50,303 --> 00:12:53,306 ごめんね 淳。 155 00:12:55,642 --> 00:12:59,145 (世津子)エイスケさん このごろ 顔 見せないのよ。 156 00:12:59,145 --> 00:13:02,582 そうですか…。 どうかしたの? 157 00:13:02,582 --> 00:13:09,455 いえ… 最近 お互い 忙しくて ゆっくり話してなかったから。 158 00:13:09,455 --> 00:13:17,597 そうね…。 今の彼には あなたが必要かもしれないわね。 159 00:13:17,597 --> 00:13:21,267 何か あったんですか? エイスケさん。 160 00:13:21,267 --> 00:13:24,771 苦しんでるわ。 書けないんですか? 161 00:13:24,771 --> 00:13:27,407 その反対よ。 書いてるわ。 162 00:13:27,407 --> 00:13:30,943 時代が 彼を 受け入れようとしているの。 163 00:13:30,943 --> 00:13:33,846 それで どうして苦しむんですか? 164 00:13:33,846 --> 00:13:40,286 その同じ時代が 多くの才能を 抹殺しようとしているの。 165 00:13:40,286 --> 00:13:43,189 (ドアベル) エイスケさんには それが耐えられないのよ。 166 00:13:43,189 --> 00:13:46,159 (高山)いらっしゃいませ。 彼のそばに いてあげて。 167 00:13:46,159 --> 00:13:49,629 今の彼には 逃げ場がないわ。 168 00:13:49,629 --> 00:13:54,434 (小夜子)あの… 上原世津子さんで いらっしゃいますか? 169 00:13:54,434 --> 00:13:57,970 はい。 私 望月エイスケの家の者です。 170 00:13:57,970 --> 00:14:02,375 えっ? 文芸書房の いのうえさんが来たら➡ 171 00:14:02,375 --> 00:14:06,746 これを渡してくれと エイスケから 申しつかりました。 172 00:14:06,746 --> 00:14:08,681 分かりました。 173 00:14:08,681 --> 00:14:12,618 「確かに 受け取りました」と エイスケさんに お伝えください。 174 00:14:12,618 --> 00:14:16,756 よろしくお願いします。 失礼します。 175 00:14:16,756 --> 00:14:23,396 ♬~ 176 00:14:23,396 --> 00:14:28,234 <あぐりの脳裏に 「夫婦でも 埋め尽くせないことがある」と言った➡ 177 00:14:28,234 --> 00:14:32,238 義父・健太郎の言葉が よぎったのでした> 178 00:14:36,609 --> 00:14:38,544 (五喜)<妹の五喜です。➡ 179 00:14:38,544 --> 00:14:42,415 自由に ものが言えないなんて 嫌な世の中になってきたわ。➡ 180 00:14:42,415 --> 00:14:46,285 そんな時 お母様が 「どうしても 気になる事がある」言うんよ。➡ 181 00:14:46,285 --> 00:14:49,622 エイスケさん ほんまのこと 教えて。➡ 182 00:14:49,622 --> 00:14:51,657 次週 「別れの曲」➡ 183 00:14:51,657 --> 00:14:55,161 私の花嫁衣装 見てな>