1 00:00:02,202 --> 00:00:22,523 ♬~ (テーマ音楽) 2 00:00:22,523 --> 00:00:35,535 ♬~ 3 00:01:19,646 --> 00:01:21,949 (淳之介)諒子! 4 00:01:21,949 --> 00:01:25,252 (諒子)もう… 疲れちゃった。 5 00:01:28,288 --> 00:01:32,159 (泣き声) 6 00:01:32,159 --> 00:01:34,795 どうしたの? 7 00:01:34,795 --> 00:01:38,298 助けて! 8 00:01:38,298 --> 00:01:40,233 (泣き声) 9 00:01:40,233 --> 00:02:08,595 ♬~ 10 00:02:08,595 --> 00:02:12,766 (千花)沢子さん… じゃなくて 主任 遅いですね。 11 00:02:12,766 --> 00:02:14,801 (沢子)おはようございます。 12 00:02:14,801 --> 00:02:17,604 (あぐり)おはよう。 おはようございます。 13 00:02:17,604 --> 00:02:21,475 先生 昨日は 途中で帰ったりして すいませんでした。 14 00:02:21,475 --> 00:02:26,113 いいのよ。 沢子さんが 元気に出てきてくれて よかったわ。 15 00:02:26,113 --> 00:02:29,149 主任 昨日は 出すぎた事を言って ごめんなさい。 16 00:02:29,149 --> 00:02:31,618 今朝は 随分 素直なのね。 17 00:02:31,618 --> 00:02:33,654 あれから 先生に 怒られちゃいましたから。 18 00:02:33,654 --> 00:02:36,490 怒られたから 謝ってるの? はい! 19 00:02:36,490 --> 00:02:38,492 あなたには ついていけません。 20 00:02:38,492 --> 00:02:40,627 (笑い声) 21 00:02:40,627 --> 00:02:42,562 さっ お掃除しちゃいましょ。 はい! 22 00:02:42,562 --> 00:02:45,565 あっ そうだ… 先生。 はい。 23 00:02:48,301 --> 00:02:54,107 (三枝)諒子 来てませんか? 諒子? あっ 池田諒子さんね? 24 00:02:54,107 --> 00:02:56,043 来てませんか? ええ。 25 00:02:56,043 --> 00:03:00,380 諒子さん どうかしたんですか? いや あの…。 26 00:03:00,380 --> 00:03:05,585 あっ あなた バンドの人ね 諒子さんと一緒の。 27 00:03:05,585 --> 00:03:07,621 三枝って いいます。 28 00:03:07,621 --> 00:03:12,125 諒子さん 何か あったんですか? いや どうも…。 29 00:03:14,094 --> 00:03:18,398 あの… もし ここへ来たら 家へ戻るように 伝えて下さい。 30 00:03:18,398 --> 00:03:20,333 戻る? 31 00:03:20,333 --> 00:03:24,037 昨日から 帰ってこないんです。 えっ? 32 00:03:25,772 --> 00:03:43,623 ☎ 33 00:03:43,623 --> 00:03:45,559 もしもし…。 34 00:03:45,559 --> 00:03:51,798 あの 「婦人現代」編集部ですよね? ☎(諒子)はい…。 35 00:03:51,798 --> 00:03:55,635 すいません 望月淳之介の母ですが➡ 36 00:03:55,635 --> 00:03:59,806 淳之介 おりますでしょうか? おばさま…? 37 00:03:59,806 --> 00:04:03,243 ☎諒子ちゃん? はい…。 38 00:04:03,243 --> 00:04:06,913 あなた どうして そこにいるの? 39 00:04:06,913 --> 00:04:09,950 さっきね 三枝さんが見えたのよ。 40 00:04:09,950 --> 00:04:13,787 えっ? ☎あなたのこと 捜してたわ。 41 00:04:13,787 --> 00:04:20,093 心配してたわよ。 すぐ 家に帰ってほしいって。 42 00:04:20,093 --> 00:04:22,028 諒子ちゃん…。 43 00:04:22,028 --> 00:04:27,400 おばさま ご迷惑かけて すいません。 44 00:04:27,400 --> 00:04:31,772 私 彼に きちんと連絡しますから。 45 00:04:31,772 --> 00:04:37,978 はい。 ごめんなさい。 はい…。 46 00:04:46,286 --> 00:04:51,124 誰? ああ 起きた? 47 00:04:51,124 --> 00:04:54,961 電話 誰? あなたのお母さまからよ。 48 00:04:54,961 --> 00:04:57,798 おふくろ? (諒子)ええ…。 49 00:04:57,798 --> 00:05:00,700 それで 何て?➡ 50 00:05:00,700 --> 00:05:04,204 諒子… おふくろ 何て? 51 00:05:06,907 --> 00:05:10,577 ごめんね。 私 帰らなくちゃ。 52 00:05:10,577 --> 00:05:13,613 えっ? でも…。 ありがとう。 53 00:05:13,613 --> 00:05:18,451 私 ここに来て よかった。 諒子…。 54 00:05:18,451 --> 00:05:28,395 ♬~ 55 00:05:28,395 --> 00:05:33,934 (戸の開閉音) 56 00:05:33,934 --> 00:05:46,947 ♬~ 57 00:05:49,282 --> 00:05:52,185 入れ。 入れ 入れ。 58 00:05:52,185 --> 00:05:55,155 お前 飯は? 59 00:05:55,155 --> 00:05:58,658 あっ よかった。 座れ 座れ… 座れ。 60 00:06:00,560 --> 00:06:03,897 ほら。 どうしたの? 61 00:06:03,897 --> 00:06:06,233 食べようよ なっ! 62 00:06:06,233 --> 00:06:11,238 これ お金 どうしたの? いいから。 63 00:06:14,374 --> 00:06:18,245 蓄音機は? 売ったの? 64 00:06:18,245 --> 00:06:21,581 いいんだ あんなもん。 どうして? 65 00:06:21,581 --> 00:06:24,484 大切にしてたじゃない。 66 00:06:24,484 --> 00:06:26,920 あんなもん なくたって 生きていけるよ。 67 00:06:26,920 --> 00:06:30,390 だけどな…➡ 68 00:06:30,390 --> 00:06:36,596 お前がいないと 俺 生きていけないんだ。 69 00:06:40,400 --> 00:06:43,603 食べようよ なっ! 腹 減ったろ。 70 00:06:43,603 --> 00:06:46,306 ジャ… ジャム ジャムの方がよかったかな…。 71 00:06:47,941 --> 00:06:53,280 (南)それにしても 暑いね。 それにしても 似合わないね。 72 00:06:53,280 --> 00:06:56,950 (せきこみ) 余計なお世話だよ。 73 00:06:56,950 --> 00:07:00,353 本気で やめるのか? 弁護士。 ああ。 74 00:07:00,353 --> 00:07:04,724 女にフラれたぐらいで あきらめるかね ガキん時からの夢。 75 00:07:04,724 --> 00:07:10,063 気が付いたんだよ。 この世に 正義なんてないってことがさ。 76 00:07:10,063 --> 00:07:12,732 まっ いいや。 遊んでるんだったら 手伝ってよ。 77 00:07:12,732 --> 00:07:16,603 これ? うん。 テーマは 新しい時代に生きる女たち。 78 00:07:16,603 --> 00:07:19,506 何か この中に 使えそうな記事あったら 切り抜いといてよ。 79 00:07:19,506 --> 00:07:21,808 分かった。 80 00:07:27,247 --> 00:07:30,150 なあ 南。 ん? 81 00:07:30,150 --> 00:07:34,921 俺 やっぱり 諒子のことが好きなんだ。 はっ? 82 00:07:34,921 --> 00:07:38,925 あいつが好きなんだ。 ああ…。 83 00:07:44,998 --> 00:07:47,600 じゃあ お願いね。 はい。 84 00:07:51,805 --> 00:07:57,644 (民子)仕事中に ごめんね。 大丈夫 一息ついたとこだから。 85 00:07:57,644 --> 00:08:02,415 実はね 燐太郎さんのことで 聞きたいことがあって。 86 00:08:02,415 --> 00:08:07,887 燐太郎さんのこと? 様子が変なのよ。 87 00:08:07,887 --> 00:08:12,726 「婦人現代」の復刊第1号に 小説 書いてもらう事になってるんだけど➡ 88 00:08:12,726 --> 00:08:16,062 それが 全然 書けないみたいなの。➡ 89 00:08:16,062 --> 00:08:20,567 昨日も会って 話したんだけど 「書けない」の一点張りで…➡ 90 00:08:20,567 --> 00:08:24,904 あぐり 何か知ってるかと思って。 91 00:08:24,904 --> 00:08:29,776 民ちゃん。 燐太郎さんの 「若き勇士」って 読んだ? 92 00:08:29,776 --> 00:08:34,614 うん 戦地へ向かう 兵士の言葉をつづった 散文よね。 93 00:08:34,614 --> 00:08:40,387 それを 心のよりどころにしてね 死んでいった兵隊さんがいたのよ。 94 00:08:40,387 --> 00:08:45,592 その兵隊さんがね 戦死する前に 仲間に言ったんだって。 95 00:08:45,592 --> 00:08:49,763 「もし 死ぬのが怖くなって ためらうようなことがあったら➡ 96 00:08:49,763 --> 00:08:53,933 辻村燐太郎の『若き勇士』を 読め」って。 97 00:08:53,933 --> 00:08:58,271 「そしたら お国のために 死ぬことは怖くない」って。 98 00:08:58,271 --> 00:09:04,544 「自分の書いたものが 若者が 命を捨てる きっかけになった」って➡ 99 00:09:04,544 --> 00:09:09,416 燐太郎さん 戦争が終わってから ずっと 自分を責め続けてるの。 100 00:09:09,416 --> 00:09:15,889 もしかしたら 燐太郎さん もう 書かないかもしれない。 101 00:09:15,889 --> 00:09:19,559 私 燐太郎さんに会ってくる。 民ちゃん…。 102 00:09:19,559 --> 00:09:23,363 だって 燐太郎さん 何も悪くないじゃない。 103 00:09:23,363 --> 00:09:26,066 どうして そんなに 自分を責めなきゃいけないの? 104 00:09:26,066 --> 00:09:31,771 私も そう思う。 でもね…。 とにかく 私 会って 話してくる。 105 00:09:55,595 --> 00:09:58,264 やっぱり 駄目だったか…。 106 00:09:58,264 --> 00:10:01,601 どうして あそこまで 自分を傷つけるのかな? 107 00:10:01,601 --> 00:10:06,272 森さんが言ってた。 人はね みんな そうやって➡ 108 00:10:06,272 --> 00:10:11,778 自分を傷つけることによって 壁を乗り越えるんだって。 109 00:10:11,778 --> 00:10:15,615 私たちには 何も できないの? 110 00:10:15,615 --> 00:10:19,419 燐太郎さんは 何にも変わってないわよ。 111 00:10:19,419 --> 00:10:22,288 いずれ 元の燐太郎さんに戻るわ。 112 00:10:22,288 --> 00:10:27,961 人はね そんなに簡単に 変わらないわ。 113 00:10:27,961 --> 00:10:33,299 私たちは ただ 待ってることしか できないのか…。 114 00:10:33,299 --> 00:10:36,202 ただいま。 あっ 淳 おかえり。 115 00:10:36,202 --> 00:10:40,173 お邪魔してます。 編集長…。 116 00:10:40,173 --> 00:10:42,442 原稿の直し 終わった? はい。 117 00:10:42,442 --> 00:10:46,145 それから 新聞の切り抜きは? まだ 半分ぐらい…。 118 00:10:46,145 --> 00:10:49,816 えっ もう しっかりしてよ。 119 00:10:49,816 --> 00:10:53,153 今日中に終わらせる約束でしょ? はい…。 120 00:10:53,153 --> 00:10:55,822 厳しい編集長ね。 当たり前よ。 121 00:10:55,822 --> 00:11:00,393 すいません。 でも 編集長 面白い記事 見つけたんですよ。 122 00:11:00,393 --> 00:11:03,196 何? これ。 123 00:11:06,933 --> 00:11:10,770 あぐり… これ。 ん? 124 00:11:10,770 --> 00:11:16,109 (燐太郎)すまない。 何度 来てもらっても 今の僕には 書けないんだ。 125 00:11:16,109 --> 00:11:18,611 燐太郎さん その前に 話を聞いて。 126 00:11:18,611 --> 00:11:22,782 2人の気持ちは うれしいよ。 ありがたいと思ってる。 127 00:11:22,782 --> 00:11:29,422 でもね その気持ちが 僕には つらいんだよ。 128 00:11:29,422 --> 00:11:34,127 せっかく「婦人現代」が復活する時に 力になれなくて すまない。 129 00:11:34,127 --> 00:11:39,432 これ 読んでほしいの。 これは 淳之介が 最近の新聞を➡ 130 00:11:39,432 --> 00:11:44,804 切り抜いているうちに見つけた 読者の投稿記事よ。 131 00:11:44,804 --> 00:11:49,642 悪いけど 疲れてるんだ。 だったら 聞いて! 私が読む。 132 00:11:49,642 --> 00:11:54,647 お願い 聞いてください。 (つた子)あなた…。 133 00:12:06,593 --> 00:12:12,765 「戦争で夫を亡くし 空襲で我が家も失いました。➡ 134 00:12:12,765 --> 00:12:20,273 12歳の娘を頭に 4人の子供を抱えて これから どうすればいいのか➡ 135 00:12:20,273 --> 00:12:24,944 私は もう 生きる望みも力も 失っていたのです。➡ 136 00:12:24,944 --> 00:12:29,282 夜が明けたら 列車に身を投げようと決意し➡ 137 00:12:29,282 --> 00:12:33,286 家族5人で 野宿をしていた時でした。➡ 138 00:12:33,286 --> 00:12:38,992 上の娘が 一人 空を見上げて 何か つぶやいていたのです。➡ 139 00:12:38,992 --> 00:12:43,796 私は その声で 目が覚めました。➡ 140 00:12:43,796 --> 00:12:49,435 『満天に輝く星たちよ… 君たちは わたしの願ひ➡ 141 00:12:49,435 --> 00:12:55,308 君たちは わたしの命 君たちは わたしの夢…』」。 142 00:12:55,308 --> 00:12:58,144 (つた子)あなた…。 143 00:12:58,144 --> 00:13:03,950 「『満天に輝く星たちよ… 君たちは わたしの愛➡ 144 00:13:03,950 --> 00:13:10,723 君たちは わたしの悲しみ 君たちは わたしの涙➡ 145 00:13:10,723 --> 00:13:15,395 そして わたしの人生』。➡ 146 00:13:15,395 --> 00:13:20,266 見上げると 空一面に 星が輝いていました。➡ 147 00:13:20,266 --> 00:13:23,603 それは まるで 私や子供たちを見守るように➡ 148 00:13:23,603 --> 00:13:27,106 キラキラと 輝いていたのです。➡ 149 00:13:27,106 --> 00:13:33,980 満天に輝く星たちよ どうか 私に 生きる力を与えてください。➡ 150 00:13:33,980 --> 00:13:41,287 辻村燐太郎の詩が 私の心の中で 何度も何度も 繰り返されました。➡ 151 00:13:41,287 --> 00:13:44,957 死んでは いけない。 生きるんだ。➡ 152 00:13:44,957 --> 00:13:49,262 そう 星が 私に 語りかけていたのです」。 153 00:13:51,631 --> 00:13:54,333 燐太郎さん…。 154 00:13:56,135 --> 00:14:00,740 ああ…。 あなたの書いたもので➡ 155 00:14:00,740 --> 00:14:05,078 「もう一度 生きよう」と 思った人がいたのよ…。 156 00:14:05,078 --> 00:14:08,948 この人たちのためにも 書いてほしい。 157 00:14:08,948 --> 00:14:12,819 生きる大切さを 書いてほしいの。 158 00:14:12,819 --> 00:14:16,255 (つた子)あなた…。 159 00:14:16,255 --> 00:14:57,263 ♬~