1 00:00:35,830 --> 00:00:56,968 ♪♪~ 2 00:00:56,968 --> 00:01:00,889 (杉下右京)今 お話しした事は すべて 僕の推測です。 3 00:01:00,889 --> 00:01:04,009 証拠はありません。 4 00:01:04,009 --> 00:01:07,009 (高塔織絵)それで十分。 5 00:01:08,930 --> 00:01:12,884 謎を解いてくださって ありがとう。 6 00:01:12,884 --> 00:01:39,995 ♪♪~ 7 00:01:39,995 --> 00:01:43,949 真実を確かめたいのでは ありませんか? 8 00:01:43,949 --> 00:01:47,936 いいえ。 42年も昔の事です。 9 00:01:47,936 --> 00:02:02,033 ♪♪~ 10 00:02:02,033 --> 00:02:04,033 (チャイム) 11 00:02:18,933 --> 00:02:20,935 (竹下)高塔先生。 12 00:02:20,935 --> 00:02:24,973 今日は どなたか お身内の方と ご一緒にいらしてくださるよう→ 13 00:02:24,973 --> 00:02:26,941 お願いしたはずですが…。 14 00:02:26,941 --> 00:02:31,963 あいにく 私には身寄りがありませんの。 15 00:02:31,963 --> 00:02:37,068 それに ここでは 先生は あなたのほうですよ。 16 00:02:37,068 --> 00:02:39,068 ああ…。 17 00:02:41,856 --> 00:02:47,028 はっきり おっしゃってくださいな。 18 00:02:47,028 --> 00:02:51,028 私には あと どれくらい時間がありますの? 19 00:02:51,833 --> 00:03:03,978 ♪♪~ 20 00:03:03,978 --> 00:03:07,982 気が進みませんねぇ。 21 00:03:07,982 --> 00:03:19,928 ♪♪~ 22 00:03:19,928 --> 00:03:21,913 あっ…。 23 00:03:21,913 --> 00:03:35,009 ♪♪~ 24 00:03:35,009 --> 00:03:37,009 失礼ですが…。 25 00:03:38,980 --> 00:03:43,051 この日傘 あなたものではありませんか? 26 00:03:43,051 --> 00:03:45,051 あら…。 27 00:03:45,954 --> 00:03:48,940 どうして 私のものだと? 28 00:03:48,940 --> 00:03:52,961 柿染めの日傘なので 和装の女性のものではないかと。 29 00:03:52,961 --> 00:03:55,997 柿染めだなんて お着物にお詳しいのね。 30 00:03:55,997 --> 00:03:58,950 知人に 着物の好きな女性が いるものですからねぇ。 31 00:03:58,950 --> 00:04:01,069 ああ そう。 やはり そうでしたか。 32 00:04:01,069 --> 00:04:03,069 どうもありがとう。 33 00:04:09,928 --> 00:04:13,064 でも もう日傘はいらないわね。 34 00:04:13,064 --> 00:04:15,064 夏は また来ますよ。 35 00:04:17,068 --> 00:04:20,068 さっき 聞いたんですけどね…。 36 00:04:22,974 --> 00:04:28,974 来年の夏には 私 もう この世にいないのよ。 37 00:04:33,017 --> 00:04:35,017 …はい? 38 00:04:37,038 --> 00:04:52,038 ♪♪~ 39 00:05:03,047 --> 00:05:05,047 (物音) 40 00:05:07,051 --> 00:05:09,051 (物音) 41 00:05:19,981 --> 00:05:29,981 ♪♪~ 42 00:05:31,943 --> 00:05:34,963 (角田六郎)早めに抜いたほうが いいと思うよ。 43 00:05:34,963 --> 00:05:38,983 ねじ曲がった親知らず。 定期健診で言われたんだろ? 44 00:05:38,983 --> 00:05:41,836 でっかい病院で 歯茎切開して 引っこ抜けって。 45 00:05:41,836 --> 00:05:44,939 いいんです。 別に 今 痛んでるわけではありませんから。 46 00:05:44,939 --> 00:05:46,875 ヘッ… また強がって。 47 00:05:46,875 --> 00:05:50,879 大体 なんで わざわざ この間 病院行ったのに→ 48 00:05:50,879 --> 00:05:53,081 治療せずに帰って来たのよ? 49 00:05:53,081 --> 00:05:57,081 たまたま知り合った方を 車で送って差し上げたので。 50 00:05:57,986 --> 00:06:07,986 (電話) 51 00:06:08,930 --> 00:06:10,932 (神戸 尊)はい 特命係 神戸です。 52 00:06:10,932 --> 00:06:16,838 (織絵)「高塔と申しますが 杉下右京さんをお願いします」 53 00:06:16,838 --> 00:06:19,057 はい 少々お待ちください。 54 00:06:19,057 --> 00:06:23,057 高塔さんとおっしゃる 女性の方です。 55 00:06:29,017 --> 00:06:34,017 お電話 代わりました 杉下です。 先日は どうも。 56 00:06:34,939 --> 00:06:42,080 ええ… ええ 構いませんよ。 57 00:06:42,080 --> 00:06:47,080 暇ですから すぐに伺いましょう。 では。 58 00:06:48,937 --> 00:06:50,939 (咳払い) 59 00:06:50,939 --> 00:06:53,942 勤務中でございますが どちらへ? 60 00:06:53,942 --> 00:06:58,029 もちろん 職務の一環ですよ。 はぁ~。 61 00:06:58,029 --> 00:07:01,029 という事は 僕も ついて行っていいわけだ。 62 00:07:04,969 --> 00:07:06,955 高塔織絵。 63 00:07:06,955 --> 00:07:08,906 女流歌人…。 64 00:07:08,906 --> 00:07:11,943 へぇ~ あの五七五七七の 短歌を詠む人なんですか。 65 00:07:11,943 --> 00:07:13,945 そうですよ。 66 00:07:13,945 --> 00:07:16,881 「10代で 器の会の主宰 浅沼幸人に師事」 67 00:07:16,881 --> 00:07:20,835 「23歳で 第一歌集を発表し 一躍 歌壇の脚光を浴びる」 68 00:07:20,835 --> 00:07:24,956 「その後 話題作を続々と発表して 受賞歴を重ねる一方→ 69 00:07:24,956 --> 00:07:29,927 2003年 器の会の主宰を引き継ぎ 活躍を続けている」 70 00:07:29,927 --> 00:07:33,064 杉下さん すごい人 知ってるんですね。 71 00:07:33,064 --> 00:07:35,064 偶然知り合っただけです。 72 00:07:35,933 --> 00:07:38,920 なるほど。 この二重底から→ 73 00:07:38,920 --> 00:07:41,889 見た事のない青い小瓶が 出てきたわけですね? 74 00:07:41,889 --> 00:07:44,042 そう。 それで→ 75 00:07:44,042 --> 00:07:47,879 大学の薬学部に勤めている知人に 調べてもらったら→ 76 00:07:47,879 --> 00:07:51,849 小瓶の中身は 毒物だったの。 77 00:07:51,849 --> 00:07:54,952 毒…? ええ。 それも→ 78 00:07:54,952 --> 00:07:58,956 ごく少量で人が死んでしまう程の 猛毒。 79 00:07:58,956 --> 00:08:01,843 あっ そう えっと あなた…。 あっ 神戸です。 80 00:08:01,843 --> 00:08:03,961 そうそう 神戸さん。 81 00:08:03,961 --> 00:08:05,880 そこに かりんとう ありますから どうぞ。 82 00:08:05,880 --> 00:08:08,099 どうも。 83 00:08:08,099 --> 00:08:12,099 ところで これは どなたの文箱なのでしょう? 84 00:08:13,955 --> 00:08:18,876 これは 桐野孝雄という人の 文箱でした。 85 00:08:18,876 --> 00:08:22,997 桐野は 私が二十歳の学生の頃に→ 86 00:08:22,997 --> 00:08:26,997 結婚を約束した人でした。 87 00:08:28,119 --> 00:08:31,119 この人よ。 失礼。 88 00:08:31,939 --> 00:08:35,960 (織絵)桐野と私は 短歌の会で知り合ったの。 89 00:08:35,960 --> 00:08:41,949 桐野は 機械部品工場の工員で 頭の固い私の両親は…。 90 00:08:41,949 --> 00:08:44,936 桐野さんとの交際に反対した。 91 00:08:44,936 --> 00:08:50,024 そう。 それで 私は家を出て→ 92 00:08:50,024 --> 00:08:53,861 桐野の下宿で 一緒に暮らし始めたの。 93 00:08:53,861 --> 00:08:57,932 ところが その年の夏→ 94 00:08:57,932 --> 00:09:00,935 私が 大阪に嫁いでる姉のところに→ 95 00:09:00,935 --> 00:09:04,939 今後の事を 相談しに行ってる間に→ 96 00:09:04,939 --> 00:09:10,962 桐野は 毒を飲んで 死んでしまった。 97 00:09:10,962 --> 00:09:12,930 服毒自殺ですか…。 98 00:09:12,930 --> 00:09:15,967 遺書は あったのですか? 99 00:09:15,967 --> 00:09:17,835 いいえ。 100 00:09:17,835 --> 00:09:22,840 でも 桐野は元々 体が丈夫なほうではなくて。 101 00:09:22,840 --> 00:09:27,061 その頃も 過労で 時々 倒れたりしてましたから。 102 00:09:27,061 --> 00:09:32,061 警察では 将来を悲観して 衝動的に自殺したんだろうと。 103 00:09:32,834 --> 00:09:35,036 よろしければ→ 104 00:09:35,036 --> 00:09:39,036 桐野さんが発見された時の様子を 教えていただけますか。 105 00:09:41,943 --> 00:09:44,946 発見したのは…。 106 00:09:44,946 --> 00:09:46,864 (同僚)桐野 入るぞ。 107 00:09:46,864 --> 00:09:49,951 (織絵) 桐野の無断欠勤を不審に思って→ 108 00:09:49,951 --> 00:09:53,988 様子を見に来た工場の人たち。 109 00:09:53,988 --> 00:09:58,009 桐野は 窓のすぐ横に倒れていて→ 110 00:09:58,009 --> 00:10:02,947 毒の入ったコーヒーのカップは 窓の桟に置かれていたそうです。 111 00:10:02,947 --> 00:10:06,868 コーヒーカップの指紋は? (織絵)カップにも→ 112 00:10:06,868 --> 00:10:09,987 インスタントコーヒーの瓶にも スプーンにも→ 113 00:10:09,987 --> 00:10:13,958 桐野の指紋しか 残っていなかったと聞いたわ。 114 00:10:13,958 --> 00:10:17,912 じゃあ この二重底から見つかった 青い毒の小瓶は…。 115 00:10:17,912 --> 00:10:20,832 桐野さんが 服毒に用いたものでしょうね。 116 00:10:20,832 --> 00:10:22,934 私も そう思うわ。 117 00:10:22,934 --> 00:10:25,903 でも おかしくありません? はい? 118 00:10:25,903 --> 00:10:29,991 毒を飲んで 自殺しようとした人が→ 119 00:10:29,991 --> 00:10:32,960 一体 なんのために 毒を隠したのか。 120 00:10:32,960 --> 00:10:35,863 確かに。 遺体が見つかれば 体内から毒が検出されて→ 121 00:10:35,863 --> 00:10:38,933 毒を飲んだ事は すぐにわかりますからね。 122 00:10:38,933 --> 00:10:42,954 で その肝心の小瓶なんですけど どちらに? 123 00:10:42,954 --> 00:10:47,942 調べたあと ちゃんと 向こうで 廃棄していただきました。 124 00:10:47,942 --> 00:10:51,946 えっ? だって 毒なんですよ。 125 00:10:51,946 --> 00:10:53,981 危ないじゃありませんか。 126 00:10:53,981 --> 00:10:55,883 いや しかし その小瓶があれば→ 127 00:10:55,883 --> 00:10:59,020 指紋とかも 調べられたんですけど。 128 00:10:59,020 --> 00:11:03,941 桐野さんが発見された時 部屋の鍵は閉まっていましたか? 129 00:11:03,941 --> 00:11:05,860 いいえ。 130 00:11:05,860 --> 00:11:09,046 では その夜 あなたが部屋にいない事を→ 131 00:11:09,046 --> 00:11:12,046 知っていた人物はいますか? 132 00:11:13,851 --> 00:11:17,838 短歌の会の人は みんな知ってました。 133 00:11:17,838 --> 00:11:22,076 前の週の会に 私 週末には大阪に行くって→ 134 00:11:22,076 --> 00:11:26,076 話しましたから。 なるほど。 135 00:11:31,936 --> 00:11:35,957 他殺の可能性を 考えてらっしゃるのね? 136 00:11:35,957 --> 00:11:39,844 おっしゃるとおり。 事件の夜 部屋には→ 137 00:11:39,844 --> 00:11:42,847 もう1人の人物がいた。 ええ。 138 00:11:42,847 --> 00:11:45,933 その人物が 桐野さんの目を盗んで→ 139 00:11:45,933 --> 00:11:48,953 コーヒーカップに毒を入れて 彼を殺害した。 140 00:11:48,953 --> 00:11:52,873 仮にそうだとしても その人物が 毒を隠したかったのであれば→ 141 00:11:52,873 --> 00:11:55,843 単に持ち去れば済む話です。 なぜ その人物は→ 142 00:11:55,843 --> 00:11:59,964 わざわざ 文箱の二重底に 隠したのでしょう? 143 00:11:59,964 --> 00:12:05,903 青い毒の小瓶の謎 解いていただけます? 144 00:12:05,903 --> 00:12:08,903 やってみましょう。 145 00:12:10,942 --> 00:12:14,962 それにしても 高塔織絵さんは 不思議な方ですねぇ。 146 00:12:14,962 --> 00:12:17,949 ええ まあ。 鋭いんだか おっとりしてるんだか。 147 00:12:17,949 --> 00:12:20,851 いや 僕が不思議だと思うのは 彼女が→ 148 00:12:20,851 --> 00:12:25,006 「毒の小瓶の謎を解いてほしい」と 言った事です。 149 00:12:25,006 --> 00:12:26,941 どうして それが不思議だと? 150 00:12:26,941 --> 00:12:30,845 彼女は ずっと自殺だと思っていた かつての恋人が→ 151 00:12:30,845 --> 00:12:35,032 他殺だったかもしれないと 初めて疑いを抱いたんですよ。 152 00:12:35,032 --> 00:12:36,867 本来だったらば 最も知りたいのは→ 153 00:12:36,867 --> 00:12:39,070 毒の小瓶の謎ではなく→ 154 00:12:39,070 --> 00:12:44,070 誰が恋人を殺したのか という事だとは思いませんか? 155 00:12:46,010 --> 00:12:48,010 なるほど。 156 00:12:50,848 --> 00:12:54,969 (島津典史)そうですか… 今頃になって 毒の小瓶がね。 157 00:12:54,969 --> 00:12:57,855 確か 島津さんも 桐野さんと同じく→ 158 00:12:57,855 --> 00:13:00,908 器の会の立ち上げメンバーの お一人でしたよね? 159 00:13:00,908 --> 00:13:05,930 ええ。 まあ 桐野君と僕は メンバーの中では→ 160 00:13:05,930 --> 00:13:09,917 短歌の腕前が 今ひとつ パッとしない部類でしてね。 161 00:13:09,917 --> 00:13:12,987 いわゆる凡手ってやつでしたよ。 162 00:13:12,987 --> 00:13:16,957 ところで 例えばなんですが 当時 桐野さんの周りに→ 163 00:13:16,957 --> 00:13:19,910 彼を恨んでいたような人は いませんでしたか? 164 00:13:19,910 --> 00:13:21,962 恨んでいた人…? 165 00:13:21,962 --> 00:13:25,950 いや 彼は素朴な人柄でしたからね 私の知る限り→ 166 00:13:25,950 --> 00:13:28,936 彼を恨んでるような人は いませんでしたよ。 167 00:13:28,936 --> 00:13:31,956 では 桐野さんの死後 高塔さんに言い寄った男性は→ 168 00:13:31,956 --> 00:13:35,876 いませんでしたか? ええ いましたよ。 169 00:13:35,876 --> 00:13:38,963 その方のお名前を 教えてもらえますか。 170 00:13:38,963 --> 00:13:42,967 当時 器の会にいた男 ほぼ全員です。 171 00:13:42,967 --> 00:13:45,052 えっ? 172 00:13:45,052 --> 00:13:47,938 (笑い声) 173 00:13:47,938 --> 00:13:50,858 いやぁ いまだに 彼女は あれだけの美人だ。 174 00:13:50,858 --> 00:13:53,944 当時は もう みんなが 彼女に夢中でしてね。 175 00:13:53,944 --> 00:13:56,981 そうだったんですか。 176 00:13:56,981 --> 00:14:00,835 あの頃 下心抜きで 彼女に接していたのは→ 177 00:14:00,835 --> 00:14:03,838 浅沼先生くらいでしたね。 178 00:14:03,838 --> 00:14:08,943 浅沼さんというのは 確か 器の会を旗揚げした人ですよね。 179 00:14:08,943 --> 00:14:12,947 ええ。 浅沼先生は人格者でしてね。 180 00:14:12,947 --> 00:14:14,949 厳しい人だが→ 181 00:14:14,949 --> 00:14:18,936 本気で歌を志す者には 助力を惜しまなかった。 182 00:14:18,936 --> 00:14:23,858 先生と高塔さんは 歌の事になると 一切の妥協がないというか。 183 00:14:23,858 --> 00:14:27,044 まあ 横から見ていても→ 184 00:14:27,044 --> 00:14:31,044 火花を散らすようなところが ありましてね。 185 00:14:32,950 --> 00:14:34,852 彼女を指導し→ 186 00:14:34,852 --> 00:14:38,989 歌人として成功する道筋を つけたのも→ 187 00:14:38,989 --> 00:14:43,060 浅沼先生でした。 なるほど。 188 00:14:43,060 --> 00:14:47,060 (島津)しかし もう42年ですか…。 189 00:14:49,934 --> 00:14:51,936 (浅沼幸人)ところで 今日は→ 190 00:14:51,936 --> 00:14:54,939 亡くなった桐野孝雄君の事で いらしたそうですが。 191 00:14:54,939 --> 00:14:58,943 実は 当時見つからなかった 毒の容器が→ 192 00:14:58,943 --> 00:15:02,980 つい最近 桐野さんの文箱の 二重底から見つかりまして。 193 00:15:02,980 --> 00:15:04,965 文箱の二重底…? 194 00:15:04,965 --> 00:15:09,837 ええ。 それで 当時の事などを 少しお聞かせ願えればと。 195 00:15:09,837 --> 00:15:12,940 私でお役に立つ事でしたら。 196 00:15:12,940 --> 00:15:15,910 早速ですが 当時 浅沼先生は→ 197 00:15:15,910 --> 00:15:19,997 桐野さんが自殺したと聞いて どう思われました? 198 00:15:19,997 --> 00:15:22,967 正直言って驚きました。 199 00:15:22,967 --> 00:15:26,921 仕事がきつくて 体がつらいとは 聞いていましたが→ 200 00:15:26,921 --> 00:15:30,007 そこまで思い詰めているとは 思いませんでしたから。 201 00:15:30,007 --> 00:15:31,842 桐野さんは 普段から→ 202 00:15:31,842 --> 00:15:34,945 気持ちを外に見せない方 だったのでしょうか? 203 00:15:34,945 --> 00:15:39,917 いや むしろ 飾らない純朴な青年でした。 204 00:15:39,917 --> 00:15:42,987 そうですか。 205 00:15:42,987 --> 00:15:45,956 そうだ 杉下さん。 206 00:15:45,956 --> 00:15:50,945 桐野君が作った歌を ぜひ読んでみてください。 207 00:15:50,945 --> 00:15:55,933 歌には 人柄が そのまま出ますから。 208 00:15:55,933 --> 00:15:59,854 高塔君が 彼の短歌ノートを 持っていると思います。 209 00:15:59,854 --> 00:16:02,990 なるほど。 210 00:16:02,990 --> 00:16:08,028 時に 浅沼先生 先生からご覧になって→ 211 00:16:08,028 --> 00:16:11,028 高塔織絵さんは どんな方でしょう? 212 00:16:13,918 --> 00:16:17,938 高塔君ですか…。 213 00:16:17,938 --> 00:16:20,941 聡明で 情熱的で→ 214 00:16:20,941 --> 00:16:24,862 とても才能のある歌人だと 思いますよ。 215 00:16:24,862 --> 00:16:27,932 この間も 電話で 次の歌会のテーマに→ 216 00:16:27,932 --> 00:16:31,051 「背」はどうかと 言ってきましてね。 217 00:16:31,051 --> 00:16:34,051 背ですか…? ええ。 218 00:16:40,044 --> 00:16:42,044 (浅沼)背中の「背」です。 219 00:16:44,982 --> 00:16:50,004 高塔君らしい 意欲的なテーマだと思いました。 220 00:16:50,004 --> 00:16:54,004 彼女は まだまだ これからが楽しみな歌人ですよ。 221 00:19:22,856 --> 00:19:25,993 (織絵)どうして 桐野の短歌ノートを? 222 00:19:25,993 --> 00:19:28,879 歌には 人柄がそのままに出る。 223 00:19:28,879 --> 00:19:31,865 浅沼先生に そう伺ったものですから。 224 00:19:31,865 --> 00:19:35,969 先生のところに いらしたの? ええ。 225 00:19:35,969 --> 00:19:42,009 浅沼先生には まだ ご病気の事を 話してらっしゃらないようですね。 226 00:19:42,009 --> 00:19:46,009 師弟として 40年以上の間柄なのに。 227 00:19:47,965 --> 00:19:53,954 話して治ります? 僕には話しましたよ。 228 00:19:53,954 --> 00:19:59,076 でも 赤の他人だからこそ 話せる事もあるでしょう。 229 00:19:59,076 --> 00:20:03,076 第一 あなたは 私の事 心配しないもの。 230 00:20:03,947 --> 00:20:07,968 何か わかりました? 231 00:20:07,968 --> 00:20:10,971 桐野さんは とても優しい方で→ 232 00:20:10,971 --> 00:20:13,974 あなたは 意外に心配性だった…→ 233 00:20:13,974 --> 00:20:16,860 というところでしょうかねぇ。 234 00:20:16,860 --> 00:20:21,965 「夜明けまで われを案ずる妻ありて→ 235 00:20:21,965 --> 00:20:26,954 飲める薬は苦く悲しき」 236 00:20:26,954 --> 00:20:31,875 「一杯の水飲みたしと目覚むれば→ 237 00:20:31,875 --> 00:20:35,963 妻も目覚めて 水かと問ひき」 238 00:20:35,963 --> 00:20:38,949 桐野さんの歌には 彼を案ずるあなたの事が→ 239 00:20:38,949 --> 00:20:40,901 多く歌われていますね。 240 00:20:40,901 --> 00:20:47,975 ええ。 桐野は本当に優しかった。 241 00:20:47,975 --> 00:20:49,877 高塔さん。 242 00:20:49,877 --> 00:20:53,931 昨日 あなたは 他殺の可能性に言及した上で→ 243 00:20:53,931 --> 00:20:56,867 青い小瓶の謎を解いてほしいと おっしゃいました。 244 00:20:56,867 --> 00:21:00,954 犯人を見つけてほしいではなく。 なぜでしょう? 245 00:21:00,954 --> 00:21:05,959 あなたが 青い小瓶の謎を 解いてくだされば→ 246 00:21:05,959 --> 00:21:10,881 桐野の最期が はっきりしますでしょう? 247 00:21:10,881 --> 00:21:13,967 つまり 自殺か他殺か…。 248 00:21:13,967 --> 00:21:15,936 杉下さん。 249 00:21:15,936 --> 00:21:22,860 私 自殺ではない可能性もある… そう思った時→ 250 00:21:22,860 --> 00:21:27,080 なんだか うれしかった。 251 00:21:27,080 --> 00:21:33,080 恐ろしい事かもしれませんけど うれしかった。 252 00:21:33,871 --> 00:21:35,973 それは当然だと思いますよ。 253 00:21:35,973 --> 00:21:37,958 一緒に暮らしてた恋人に 自殺されたら→ 254 00:21:37,958 --> 00:21:39,943 誰だって自分を責めますよ。 255 00:21:39,943 --> 00:21:43,013 どうして 助けられなかったのかって。 256 00:21:43,013 --> 00:21:44,982 しかし 他殺なら 話は別です。 257 00:21:44,982 --> 00:21:47,951 まあ 他殺は 恐ろしい事ですけど→ 258 00:21:47,951 --> 00:21:52,039 それでも 長年の自責の念からは 解放されますからね。 259 00:21:52,039 --> 00:21:54,975 本当に そういう事なんでしょうかねぇ。 260 00:21:54,975 --> 00:21:57,895 いずれにせよ 僕のほうは どの同人に聞いても→ 261 00:21:57,895 --> 00:21:59,997 島津さんと 同じような話でしたね。 262 00:21:59,997 --> 00:22:02,866 当時 桐野さんの周りには トラブルはなく→ 263 00:22:02,866 --> 00:22:05,886 高塔さんと桐野さんは 深く愛し合っていた。 264 00:22:05,886 --> 00:22:09,890 あっ 桐野さんが亡くなった時 高塔さんは ショックで倒れて→ 265 00:22:09,890 --> 00:22:14,027 通夜にも葬儀にも 出られなかったそうです。 266 00:22:14,027 --> 00:22:16,964 それ 本当ですか? ええ。 267 00:22:16,964 --> 00:22:19,867 だって 当時 高塔さんは まだ二十歳だったんですよ。 268 00:22:19,867 --> 00:22:24,004 ショックで倒れても 不思議だと思いませんけど。 269 00:22:24,004 --> 00:22:25,989 とにかく 僕は明日→ 270 00:22:25,989 --> 00:22:28,959 この件を担当した退職刑事に 会ってきます。 271 00:22:28,959 --> 00:22:32,930 君 42年前の担当刑事を 突き止めたのですか? 272 00:22:32,930 --> 00:22:34,965 はい。 半日 所轄で調べに調べて→ 273 00:22:34,965 --> 00:22:36,950 突き止めました たった1人で。 274 00:22:36,950 --> 00:22:40,003 神戸君。 な… なんですか? 275 00:22:40,003 --> 00:22:42,003 君… 意外に根気強い。 276 00:22:42,956 --> 00:22:45,976 あと1キロか…。 277 00:22:45,976 --> 00:22:49,046 どうして 退職してから 山に住むかなぁ。 278 00:22:49,046 --> 00:22:51,046 あっ 痛っ…。 279 00:23:03,944 --> 00:23:05,946 少しお聞きしたい事が ありまして。 280 00:23:05,946 --> 00:23:09,016 家政婦さんから こちらだと伺いました。 281 00:23:09,016 --> 00:23:12,016 (織絵)ここで勉強するのが 習慣なの。 282 00:23:14,021 --> 00:23:16,940 気持ちのいい場所ですねぇ。 283 00:23:16,940 --> 00:23:23,940 ええ。 心が落ち着いて 言葉がよく体に入ってくる。 284 00:23:29,970 --> 00:23:34,908 聞きたい事って なんですの? 285 00:23:34,908 --> 00:23:39,947 桐野さんが亡くなった時 あなたは ショックで倒れて→ 286 00:23:39,947 --> 00:23:42,950 通夜にも葬儀にも 出られなかったと聞きました。 287 00:23:42,950 --> 00:23:46,019 それは本当ですか? 288 00:23:46,019 --> 00:23:50,019 ええ 本当です。 289 00:23:51,975 --> 00:23:55,929 どうして? 僕は 人の本質は→ 290 00:23:55,929 --> 00:23:58,932 そう変わらないものだと 思っています。 291 00:23:58,932 --> 00:24:01,952 ご自分の死には 落ち着いて 向き合っていられる あなたが→ 292 00:24:01,952 --> 00:24:04,955 恋人の通夜にも葬儀にも→ 293 00:24:04,955 --> 00:24:07,991 ショックで出られなかった という事に→ 294 00:24:07,991 --> 00:24:11,962 少し違和感を感じました。 295 00:24:11,962 --> 00:24:16,967 では 正確に言うわ。 296 00:24:16,967 --> 00:24:21,905 私は ショックで お腹にいた桐野の子を流産して→ 297 00:24:21,905 --> 00:24:24,875 入院していたの。 298 00:24:24,875 --> 00:24:28,979 桐野さんは あなたの妊娠を ご存じだったのですか? 299 00:24:28,979 --> 00:24:33,884 いいえ。 桐野が妊娠を知れば→ 300 00:24:33,884 --> 00:24:38,955 また 無理を押して働いて 体を痛めるかもしれない。 301 00:24:38,955 --> 00:24:43,977 それが心配で まだ話してはいなかったの。 302 00:24:43,977 --> 00:24:48,982 だから 私が流産するまで→ 303 00:24:48,982 --> 00:24:51,982 妊娠の事は 誰も知らなかったのよ。 304 00:24:56,973 --> 00:25:03,980 あの朝 病院で目を覚まして 窓から見た空の色…→ 305 00:25:03,980 --> 00:25:07,934 今も はっきり覚えてるわ。 306 00:25:07,934 --> 00:25:11,071 (織絵)どこまでも青い→ 307 00:25:11,071 --> 00:25:15,071 本当に 切れるような青空だった。 308 00:25:19,963 --> 00:25:26,053 それより 青い小瓶の謎 少しは解けました? 309 00:25:26,053 --> 00:25:27,921 今のところ 桐野さんに→ 310 00:25:27,921 --> 00:25:29,856 殺されるような理由は 見当たりません。 311 00:25:29,856 --> 00:25:32,859 無論 周りの誰も 知らないような理由…→ 312 00:25:32,859 --> 00:25:35,946 つまり 桐野さんと犯人しか 知りえない理由で→ 313 00:25:35,946 --> 00:25:39,983 殺された可能性も否定できません。 ただ もう1つだけ→ 314 00:25:39,983 --> 00:25:41,968 まったく別の理由も 考えられます。 315 00:25:41,968 --> 00:25:45,005 何かしら? 316 00:25:45,005 --> 00:25:48,875 あなたです。 私…? 317 00:25:48,875 --> 00:25:51,962 あなたの人生には 2人の男性がいます。 318 00:25:51,962 --> 00:25:55,966 1人は あなたが二十歳の頃に愛した人。 319 00:25:55,966 --> 00:25:57,968 もう1人は その人の死後→ 320 00:25:57,968 --> 00:26:03,874 40年余りかけて あなたを 一流の歌人に育て上げた人。 321 00:26:03,874 --> 00:26:09,946 浅沼先生が なんのために桐野を殺すの? 322 00:26:09,946 --> 00:26:15,986 もし そうだとしたら あなたの才能を開花させるため。 323 00:26:15,986 --> 00:26:24,961 ♪♪~ 324 00:26:24,961 --> 00:26:28,064 杉下さん。 325 00:26:28,064 --> 00:26:34,064 先生は 歌の才能のために 人を殺すような人ではないわ。 326 00:26:36,923 --> 00:26:41,962 それに 私の人生に 男性が たった2人きりだなんて→ 327 00:26:41,962 --> 00:26:44,965 寂しい事 言わないでちょうだい。 328 00:26:44,965 --> 00:26:49,986 私に言い寄ってきた男性は 若草山の鹿の数より多いわよ。 329 00:26:49,986 --> 00:26:53,986 (笑い声) 330 00:26:57,961 --> 00:26:59,980 神戸君。 なんでしょう? 331 00:26:59,980 --> 00:27:01,948 君 枝豆 採りに行ってたんですか? 332 00:27:01,948 --> 00:27:05,852 いいえ 違います。 これは 山上元巡査部長からのお土産です。 333 00:27:05,852 --> 00:27:09,055 それは どうもありがとう。 で 何かわかりましたか? 334 00:27:09,055 --> 00:27:12,055 ええ。 それも決定的な事が。 335 00:27:12,859 --> 00:27:16,062 (山上 等) 桐野さんが亡くなったのは→ 336 00:27:16,062 --> 00:27:19,062 蒸し暑い夜でしてな…。 337 00:27:19,933 --> 00:27:24,971 (山上)下宿屋の玄関脇の縁台で たまたま近所の老人が2人で→ 338 00:27:24,971 --> 00:27:28,975 夜通し 賭け将棋を やっておったんです。 339 00:27:28,975 --> 00:27:33,997 その2人の証言で 桐野さんが亡くなった晩→ 340 00:27:33,997 --> 00:27:38,997 下宿屋に出入りした人間は いないと わかったんですな。 341 00:27:39,920 --> 00:27:43,957 杉下さん 僕 思うんですけど 桐野さんが1人だった以上→ 342 00:27:43,957 --> 00:27:47,978 やっぱり 彼の死は 自殺だったんじゃないでしょうか。 343 00:27:47,978 --> 00:27:59,856 ♪♪~ 344 00:27:59,856 --> 00:28:03,977 (桐野孝雄の声)「うしろめたき ほどに真白き薬包紙→ 345 00:28:03,977 --> 00:28:10,000 そろへて並べ 妻は眠りぬ」 346 00:28:10,000 --> 00:28:14,988 「咳やまぬ我の背さする妻の手に→ 347 00:28:14,988 --> 00:28:18,988 夕餉の菜のかすかににほふ」 348 00:28:19,976 --> 00:28:22,012 なるほど。 349 00:28:22,012 --> 00:28:26,012 毒の小瓶の謎が解けました。 350 00:30:44,954 --> 00:30:48,024 これは あくまで仮定の話です。 351 00:30:48,024 --> 00:30:50,994 聞かせてちょうだい。 352 00:30:50,994 --> 00:30:55,932 桐野さんが亡くなった夜 部屋を訪ねた人は いなかった。 353 00:30:55,932 --> 00:30:58,852 これには ご近所の老人の証言が ありました。 354 00:30:58,852 --> 00:31:02,989 問題の夜 桐野さんは1人だった。 355 00:31:02,989 --> 00:31:06,960 つまり 毒は 彼が自分でコーヒーに入れ→ 356 00:31:06,960 --> 00:31:12,332 そのあと 自分で文箱に隠した事になる。 357 00:31:12,332 --> 00:31:14,951 桐野は自殺だとおっしゃるの? 358 00:31:14,951 --> 00:31:18,938 いいえ。 僕の出した結論は違います。 359 00:31:18,938 --> 00:31:22,976 仮に 犯人をXだとしましょう。 360 00:31:22,976 --> 00:31:25,879 Xは 桐野さんと顔見知りで→ 361 00:31:25,879 --> 00:31:31,985 あの日 あなたが部屋にいない事を 知っていた人物です。 362 00:31:31,985 --> 00:31:34,003 問題の日 Xは→ 363 00:31:34,003 --> 00:31:37,974 桐野さんが工場から帰る途中で 声をかけた。 364 00:31:37,974 --> 00:31:42,879 そして 言葉巧みに毒物を渡し 飲むよう促した。 365 00:31:42,879 --> 00:31:44,964 例えば こんなふうに…→ 366 00:31:44,964 --> 00:31:47,984 「コーヒーなんかに 少し入れて飲むと→ 367 00:31:47,984 --> 00:31:49,969 疲れが取れるそうだよ」。 368 00:31:49,969 --> 00:31:51,938 もちろん Xは→ 369 00:31:51,938 --> 00:31:54,040 自分から毒が渡ったと 知れないよう→ 370 00:31:54,040 --> 00:31:56,976 桐野さんに口止めしたはずです。 371 00:31:56,976 --> 00:31:59,929 例えば 「もうこれしかないから→ 372 00:31:59,929 --> 00:32:03,929 僕からもらった事は 誰にも言わないでほしい」と。 373 00:32:04,984 --> 00:32:06,953 帰宅した桐野さんは→ 374 00:32:06,953 --> 00:32:11,040 Xに言われたとおり コーヒーに それを少し入れ→ 375 00:32:11,040 --> 00:32:14,961 それから 小瓶を 文箱の二重底に隠した。 376 00:32:14,961 --> 00:32:17,881 あなたに見つからないように。 377 00:32:17,881 --> 00:32:29,976 ♪♪~ 378 00:32:29,976 --> 00:32:34,981 そして 毒入りと知らずに コーヒーを飲んだ。 379 00:32:34,981 --> 00:32:39,869 ♪♪~ 380 00:32:39,869 --> 00:32:47,977 (桐野のうめき声) 381 00:32:47,977 --> 00:32:51,014 なぜ 私に見つからないように? 382 00:32:51,014 --> 00:32:55,869 あなたが問題の小瓶を見たら 当然 これは何かと尋ねます。 383 00:32:55,869 --> 00:32:59,973 嘘のつけない桐野さんは 疲れに効くんだと答える。 384 00:32:59,973 --> 00:33:04,978 そう聞いたら 心配性のあなたは なんと言いますか? 385 00:33:04,978 --> 00:33:08,031 疲れがたまっているのかと 尋ねるわ。 386 00:33:08,031 --> 00:33:09,949 また具合が悪いのか…。 387 00:33:09,949 --> 00:33:12,001 そうです。 388 00:33:12,001 --> 00:33:15,939 桐野さんは あなたに 心配かけたくなかったんです。 389 00:33:15,939 --> 00:33:19,025 それと もう1つ。 誰からもらったのかと聞かれても→ 390 00:33:19,025 --> 00:33:21,945 Xに口止めされていますから 答える事ができない。 391 00:33:21,945 --> 00:33:23,897 それで あなたに見つからないように→ 392 00:33:23,897 --> 00:33:25,882 小瓶を隠したんです。 393 00:33:25,882 --> 00:33:29,035 おそらく 桐野さんが小瓶を隠した事は→ 394 00:33:29,035 --> 00:33:32,939 Xにとっても 予想外の事だったと思いますよ。 395 00:33:32,939 --> 00:33:36,025 では…→ 396 00:33:36,025 --> 00:33:42,025 杉下さんの考えでは 桐野は…。 397 00:33:42,982 --> 00:33:46,069 ええ。 殺された可能性が高い。 398 00:33:46,069 --> 00:33:50,069 Xが誰であるかは まだ特定できませんが。 399 00:33:54,978 --> 00:33:58,882 今 お話しした事は すべて 僕の推測です。 400 00:33:58,882 --> 00:34:03,002 証拠はありません。 401 00:34:03,002 --> 00:34:06,022 それで十分。 402 00:34:06,022 --> 00:34:12,022 謎を解いてくださって ありがとう。 403 00:34:19,085 --> 00:34:21,085 高塔さん。 404 00:34:23,973 --> 00:34:28,912 真実を確かめたいのでは ありませんか? 405 00:34:28,912 --> 00:34:33,967 いいえ。 42年も昔の事です。 406 00:34:33,967 --> 00:34:37,987 もう確かめる術もないでしょう? 407 00:34:37,987 --> 00:34:40,907 あっ 杉下さん。 408 00:34:40,907 --> 00:34:44,861 あの文箱 お礼に あなたに差し上げるわ。 409 00:34:44,861 --> 00:34:47,981 いつか 取りにいらして。 410 00:34:47,981 --> 00:35:04,998 ♪♪~ 411 00:35:04,998 --> 00:35:08,952 彼女の気が済んだのなら もう いいんじゃないですか。 412 00:35:08,952 --> 00:35:11,070 40年以上前の事件なんですから→ 413 00:35:11,070 --> 00:35:15,070 そのXが誰だかわかっても 逮捕できるわけでもなし。 414 00:35:18,962 --> 00:35:22,065 この辺で区切りをつけて ねじ曲がった親知らず→ 415 00:35:22,065 --> 00:35:25,065 抜きに行ったほうが よろしいかと。 416 00:35:25,868 --> 00:35:27,887 あっ そういえば 高塔さんと→ 417 00:35:27,887 --> 00:35:29,856 病院で知り合ったって 言ってましたけど→ 418 00:35:29,856 --> 00:35:32,976 どんなきっかけで? ああ…。 419 00:35:32,976 --> 00:35:37,997 傘を忘れましてね。 傘? 420 00:35:37,997 --> 00:35:44,871 ♪♪~ 421 00:35:44,871 --> 00:35:47,090 神戸君 いい事を聞いてくれました。 422 00:35:47,090 --> 00:35:49,090 えっ? 423 00:35:50,977 --> 00:35:53,997 確かめたい事があります。 どこに行くんですか? 424 00:35:53,997 --> 00:35:55,997 浅沼さんのお宅です。 425 00:36:06,059 --> 00:36:09,059 (チャイム) 426 00:36:14,083 --> 00:36:17,083 お待ちしておりました。 ああ…。 427 00:36:20,873 --> 00:36:25,978 今日は 家政婦さんがお休みで。 どうぞ。 428 00:36:25,978 --> 00:36:29,966 ありがとう。 考えてみると→ 429 00:36:29,966 --> 00:36:33,853 高塔君の家に来るのは 初めての事だね。 430 00:36:33,853 --> 00:36:36,956 すみません。 急に呼びつけたりして。 431 00:36:36,956 --> 00:36:38,891 構わないよ。 432 00:36:38,891 --> 00:36:42,929 歌会のテーマの事で 相談があるそうだね? 433 00:36:42,929 --> 00:36:45,064 ええ。 でも お話は→ 434 00:36:45,064 --> 00:36:47,900 コーヒーをいただいてからに いたしません? 435 00:36:47,900 --> 00:36:50,002 そうだね。 そうそう→ 436 00:36:50,002 --> 00:36:54,002 お友達から とてもいいものを いただいたんですよ。 437 00:37:00,963 --> 00:37:05,952 これ コーヒーなんかに 少し入れて飲むと→ 438 00:37:05,952 --> 00:37:08,020 疲れが取れるそうなの。 439 00:37:08,020 --> 00:37:09,872 そう。 440 00:37:09,872 --> 00:37:32,979 ♪♪~ 441 00:37:32,979 --> 00:37:55,017 ♪♪~ 442 00:37:55,017 --> 00:37:58,017 さようなら…。 443 00:38:02,058 --> 00:38:05,058 (ノック) (田中幹夫)失礼します。 444 00:38:05,945 --> 00:38:07,964 あれ? 先生! 445 00:38:07,964 --> 00:38:09,966 失礼。 446 00:38:09,966 --> 00:38:17,073 ♪♪~ 447 00:38:17,073 --> 00:38:19,073 神戸君。 はい。 448 00:38:20,927 --> 00:38:23,980 遺書って…!? (田中)遺書!? 449 00:38:23,980 --> 00:38:31,003 ♪♪~ 450 00:38:31,003 --> 00:38:35,007 浅沼先生は 42年前の罪を告白し→ 451 00:38:35,007 --> 00:38:38,007 自ら命を絶つと書いてあります。 452 00:41:12,948 --> 00:41:14,984 杉下さん…。 453 00:41:14,984 --> 00:41:16,984 行きましょう。 454 00:41:28,831 --> 00:41:30,916 神戸君。 あ はい。 あっ…!? 455 00:41:30,916 --> 00:41:33,836 毒を処分したなんて 嘘だったんだ。 456 00:41:33,836 --> 00:41:36,972 (芹沢慶二)あれじゃ どうしようもないっすね。 457 00:41:36,972 --> 00:41:41,961 (伊丹憲一)うーん…。 茫然自失… ってやつだな。 458 00:41:41,961 --> 00:41:43,929 (芹沢)杉下警部たちが なんで こんなところに? 459 00:41:43,929 --> 00:41:45,998 失礼。 460 00:41:45,998 --> 00:41:48,934 (三浦信輔)大丈夫ですか? 461 00:41:48,934 --> 00:41:51,934 落ち着いたら お話 聞かせてください。 462 00:41:53,072 --> 00:41:55,072 まさか…。 463 00:41:57,009 --> 00:42:01,009 ちょ ちょ… ちょっと。 いい。 ほっとけ。 464 00:42:03,032 --> 00:42:05,032 あっ…!? 465 00:42:08,971 --> 00:42:11,971 どうして 高塔さんが…。 466 00:42:14,977 --> 00:42:16,846 (米沢 守)杉下警部。 467 00:42:16,846 --> 00:42:21,867 米沢さん 少しよろしいですか。 ええ。 468 00:42:21,867 --> 00:42:23,836 発見時 高塔織絵さんは→ 469 00:42:23,836 --> 00:42:26,972 右手に 何か握っていませんでしたか? 470 00:42:26,972 --> 00:42:29,959 お気づきになられましたか。 右手に これを…。 471 00:42:29,959 --> 00:42:31,927 失礼。 472 00:42:31,927 --> 00:42:34,947 中には 大変毒性の強い劇薬が 入ってました。 473 00:42:34,947 --> 00:42:38,934 彼女は この小瓶の毒を飲んで 自ら命を絶った…? 474 00:42:38,934 --> 00:42:41,854 ええ。 指紋の位置 付着頻度からみて→ 475 00:42:41,854 --> 00:42:44,990 第三者が小瓶を握らせた可能性は ないですね。 476 00:42:44,990 --> 00:42:46,826 まず自殺に間違いないかと。 477 00:42:46,826 --> 00:42:48,944 ちょっと待ってください。 478 00:42:48,944 --> 00:42:51,864 どうして高塔さんが 自殺しなければならないんです? 479 00:42:51,864 --> 00:42:54,967 それに… これは? 480 00:42:54,967 --> 00:42:58,838 ああ その青い瓶 私も気になって 先ほど調べてみたんですけども→ 481 00:42:58,838 --> 00:43:00,940 中身は まったく無害な液体でした。 482 00:43:00,940 --> 00:43:04,844 無害? 一体 どういう事でしょう? 483 00:43:04,844 --> 00:43:08,030 おそらく 高塔織絵さんは この青い小瓶の毒を→ 484 00:43:08,030 --> 00:43:10,883 あらかじめ 無害な液体に 入れ替えておいた。 485 00:43:10,883 --> 00:43:14,837 そして この透明の小瓶に 移しておいた毒を飲んで→ 486 00:43:14,837 --> 00:43:19,074 自ら命を絶った。 もちろん 高塔織絵さんには→ 487 00:43:19,074 --> 00:43:22,074 そうするだけの理由があった という事です。 488 00:43:27,850 --> 00:43:30,953 教えてもらえませんか。 489 00:43:30,953 --> 00:43:34,974 なぜ彼女が 自ら命を絶ったのか。 490 00:43:34,974 --> 00:43:37,960 42年前 桐野孝雄さんを殺害したのは→ 491 00:43:37,960 --> 00:43:39,845 あなたですね。 492 00:43:39,845 --> 00:43:41,847 そうです。 493 00:43:41,847 --> 00:43:44,834 この遺書に 書いてあるとおりです。 494 00:43:44,834 --> 00:43:48,971 しかし 動機はなんでしょう? あなたの遺書には→ 495 00:43:48,971 --> 00:43:53,943 桐野さん殺害の動機について 一切 書かれていません。 496 00:43:53,943 --> 00:43:57,847 それが 彼女の死と 関係があるのですか? 497 00:43:57,847 --> 00:44:00,099 ええ。 それが→ 498 00:44:00,099 --> 00:44:05,099 高塔織絵さんの死の謎を解く 鍵なんです。 499 00:44:07,840 --> 00:44:11,927 私は 彼女の才能を→ 500 00:44:11,927 --> 00:44:15,965 卑俗な結婚生活に うずもらせないために→ 501 00:44:15,965 --> 00:44:17,900 桐野君を殺した。 502 00:44:17,900 --> 00:44:19,902 しかし 彼女は かつて→ 503 00:44:19,902 --> 00:44:23,989 確信を持って 僕に こう言いました。 504 00:44:23,989 --> 00:44:29,989 先生は 歌の才能のために 人を殺すような人ではないわ。 505 00:44:30,963 --> 00:44:34,967 あなたは ひょっとして 42年前から→ 506 00:44:34,967 --> 00:44:39,038 高塔織絵さんを 愛していたのではありませんか? 507 00:44:39,038 --> 00:44:42,858 そうだ。 私は 彼女を愛していた。 508 00:44:42,858 --> 00:44:46,045 しかし あなたは 桐野さんが亡くなったあとも→ 509 00:44:46,045 --> 00:44:51,045 彼女に近づこうとはしなかった。 それは なぜですか? 510 00:44:54,853 --> 00:44:59,942 怖かったんです。 彼女を失う事…。 511 00:44:59,942 --> 00:45:02,978 桐野君の死後→ 512 00:45:02,978 --> 00:45:07,049 彼女は その苦しみを すべて 歌に注ぎ込んで→ 513 00:45:07,049 --> 00:45:13,049 圧倒的な才能を開花させた。 まさにミューズのように。 514 00:45:14,940 --> 00:45:17,943 私は恐れた…。 515 00:45:17,943 --> 00:45:24,833 男として彼女に近づき もし軽蔑されたら→ 516 00:45:24,833 --> 00:45:32,074 彼女は去り 私は 永久に彼女を失う事になる。 517 00:45:32,074 --> 00:45:34,960 あなたは そうなる事を恐れて→ 518 00:45:34,960 --> 00:45:40,899 長い年月 師としての顔を 貫きとおしたんですね? 519 00:45:40,899 --> 00:45:46,939 杉下さん。 虫がいいと思うかもしれないが→ 520 00:45:46,939 --> 00:45:51,944 いつか 彼女が 真実に気づいた時は→ 521 00:45:51,944 --> 00:45:56,966 甘んじて復讐を受けると決めて 生きてきた。 522 00:45:56,966 --> 00:46:01,854 僕が突然現れて 桐野さんの事件の事を尋ねた日→ 523 00:46:01,854 --> 00:46:05,841 あなたは ついに その時が来るのだと思った。 524 00:46:05,841 --> 00:46:09,945 桐野君が作った歌を ぜひ読んでみてください。 525 00:46:09,945 --> 00:46:12,965 (杉下の声)あなたは 僕に 桐野さんの歌を読ませ→ 526 00:46:12,965 --> 00:46:15,834 青い小瓶の謎を解かせようと したんですね? 527 00:46:15,834 --> 00:46:17,936 (浅沼)ああ。 528 00:46:17,936 --> 00:46:20,856 あなたは 彼女の復讐を受けるべく ここに来ました。 529 00:46:20,856 --> 00:46:23,976 あなたが 42年前の罪を告白し→ 530 00:46:23,976 --> 00:46:27,946 自ら死を選ぶと書いた遺書を 残したのは 彼女を守るため。 531 00:46:27,946 --> 00:46:29,848 彼女に殺されたのちも→ 532 00:46:29,848 --> 00:46:33,969 彼女に 殺人の罪が及ばないように するためですね? 533 00:46:33,969 --> 00:46:35,988 そのとおりだ。 534 00:46:35,988 --> 00:46:39,825 彼女は 私に 復讐する権利があったんだ。 535 00:46:39,825 --> 00:46:43,946 なのに なぜ…? 536 00:46:43,946 --> 00:46:47,950 浅沼さん。 あの日 彼女がしようとしていたのは→ 537 00:46:47,950 --> 00:46:49,985 復讐ではなかったんです。 538 00:46:49,985 --> 00:46:54,940 そう。 あの日 高塔織絵さんは→ 539 00:46:54,940 --> 00:46:57,826 最後の賭けに出たんです。 賭け? 540 00:46:57,826 --> 00:47:02,031 彼女が あと半年の命だった事は もうご存じですね? 541 00:47:02,031 --> 00:47:03,899 ああ。 542 00:47:03,899 --> 00:47:05,934 彼女が告知を受けた日→ 543 00:47:05,934 --> 00:47:09,872 僕は 偶然 彼女の日傘を見つけました。 544 00:47:09,872 --> 00:47:14,977 日傘は 公衆電話の脇に 置き忘れられていました。 545 00:47:14,977 --> 00:47:18,964 自分の命が あと半年だと 知ってすぐに→ 546 00:47:18,964 --> 00:47:21,850 彼女は電話をかけたんです。 547 00:47:21,850 --> 00:47:24,937 浅沼先生 あなたにです。 548 00:47:24,937 --> 00:47:27,923 ああ 確かに 電話はあった。 549 00:47:27,923 --> 00:47:32,010 しかし 次の歌会のテーマに→ 550 00:47:32,010 --> 00:47:34,947 「背」はどうですか という話だけで→ 551 00:47:34,947 --> 00:47:37,866 病の事など 何も話さなかった。 552 00:47:37,866 --> 00:47:40,903 彼女は 話したかったのではなく→ 553 00:47:40,903 --> 00:47:43,072 聞きたかったのでは ないでしょうか。 554 00:47:43,072 --> 00:47:44,923 聞きたかった? 555 00:47:44,923 --> 00:47:50,963 ええ。 彼女は ただ あなたの声が聞きたかった。 556 00:47:50,963 --> 00:47:54,016 (浅沼) 「うん それは面白いテーマだね」 557 00:47:54,016 --> 00:47:55,851 「背は 万葉の昔から→ 558 00:47:55,851 --> 00:47:58,837 歌に使われてきた言葉でも あるし…」 559 00:47:58,837 --> 00:48:02,841 来年の今頃 自分は もうこの世にいない。 560 00:48:02,841 --> 00:48:04,877 初めて それを知った時→ 561 00:48:04,877 --> 00:48:09,832 彼女は ただ あなたの声が 聞きたかったのだと思います。 562 00:48:09,832 --> 00:48:14,837 高塔織絵さんは 僕に こう言いました。 563 00:48:14,837 --> 00:48:19,875 自殺ではない可能性もある… そう思った時→ 564 00:48:19,875 --> 00:48:23,946 なんだか うれしかった。 565 00:48:23,946 --> 00:48:28,984 恐ろしい事かもしれませんけど うれしかった。 566 00:48:28,984 --> 00:48:33,839 彼女は 自分の気持ちが 恐ろしいものだと わかっていた。 567 00:48:33,839 --> 00:48:37,926 それでも 桐野さんが 殺されたのだとしたら→ 568 00:48:37,926 --> 00:48:40,929 犯人は あなたであってほしいと 願った。 569 00:48:40,929 --> 00:48:45,067 あなたが桐野さんを殺したのなら それは あなたが→ 570 00:48:45,067 --> 00:48:49,067 彼女を愛していたからに 違いないからです。 571 00:48:49,938 --> 00:48:51,940 まさか…。 572 00:48:51,940 --> 00:48:56,011 40年以上 歌の世界を 共に生きてきた あなたを→ 573 00:48:56,011 --> 00:49:01,011 高塔織絵さんも いつの日からか 愛していたんです。 574 00:49:03,936 --> 00:49:06,855 彼女は あなたに愛されているかどうか→ 575 00:49:06,855 --> 00:49:08,991 確かめたかったんです。 576 00:49:08,991 --> 00:49:10,993 あの日 彼女は→ 577 00:49:10,993 --> 00:49:15,848 あらかじめ 青い小瓶の毒を 無害なものに入れ替え→ 578 00:49:15,848 --> 00:49:20,853 装いを凝らし あなたを 家へ招いた。 579 00:49:20,853 --> 00:49:22,855 あなたが犯人なら→ 580 00:49:22,855 --> 00:49:25,908 あれが毒の小瓶だと 知っているはずです。 581 00:49:25,908 --> 00:49:28,026 犯人なら 決して飲まない。 582 00:49:28,026 --> 00:49:32,848 しかし 犯人でなければ 知らずに飲むでしょう。 583 00:49:32,848 --> 00:49:36,935 彼女は あなたが飲まない事に賭けた。 584 00:49:36,935 --> 00:49:40,956 ところが 彼女の復讐だと 思い込んでいた あなたは→ 585 00:49:40,956 --> 00:49:45,828 罰を受けるべく あえて黙って飲んでしまった。 586 00:49:45,828 --> 00:49:50,949 その瞬間 彼女の望みは絶たれた。 587 00:49:50,949 --> 00:49:52,851 あなたは 犯人ではなかった。 588 00:49:52,851 --> 00:49:57,923 自分は やはり あなたに愛されてはいなかった。 589 00:49:57,923 --> 00:50:00,959 さようなら…。 590 00:50:00,959 --> 00:50:02,911 彼女は もう→ 591 00:50:02,911 --> 00:50:07,916 半年 生き永らえる意味は ないと思った。 592 00:50:07,916 --> 00:50:10,953 嘘だ。 593 00:50:10,953 --> 00:50:13,922 嘘だ…。 594 00:50:13,922 --> 00:50:15,891 浅沼さん。 595 00:50:15,891 --> 00:50:20,045 これは 青い小瓶が見つかった 文箱の二重底に→ 596 00:50:20,045 --> 00:50:23,045 高塔さんがしまっていた歌です。 597 00:50:25,851 --> 00:50:30,055 罪びとを罪もろともに愛する。 598 00:50:30,055 --> 00:50:34,055 真っ青な空に背を向けても…。 そんな歌ですね。 599 00:50:35,944 --> 00:50:38,847 42年前に あなたが犯した罪は→ 600 00:50:38,847 --> 00:50:40,983 決して 許されるものではありません。 601 00:50:40,983 --> 00:50:44,970 それでも あの日 あなたが 彼女に罪の告白をしていれば→ 602 00:50:44,970 --> 00:50:48,957 彼女を死なせる事は なかったでしょう。 603 00:50:48,957 --> 00:50:54,846 あなたは 軽蔑される事を恐れて 愛の告白ができなかった。 604 00:50:54,846 --> 00:50:59,851 命を捨てる覚悟をしてさえも…。 605 00:50:59,851 --> 00:51:04,957 愛は 時に 人に勇気を与えます。 606 00:51:04,957 --> 00:51:10,963 しかし 愛は 時に 人を臆病にもします。 607 00:51:10,963 --> 00:51:15,963 なんとも やりきれない出来事ですね。 608 00:51:18,103 --> 00:51:20,103 私は…。 609 00:51:23,025 --> 00:51:25,025 私は…。 610 00:51:33,035 --> 00:51:56,035 ♪♪~ 611 00:52:01,947 --> 00:52:06,051 (織絵の声) 「罪あらば 罪ふかくあれ→ 612 00:52:06,051 --> 00:52:13,051 紺青の空に背きて 汝を愛さん」