1 00:00:41,659 --> 00:00:44,662 (甲斐峯秋)夏河郷士を 知ってるかね? 2 00:00:44,662 --> 00:00:47,649 (杉下右京)小説家の 夏河郷士の事でしょうか? 3 00:00:47,649 --> 00:00:52,654 さすがだねぇ。 さほど有名ではないんだが。 4 00:00:52,654 --> 00:00:55,757 一風変わった作家なので 記憶にあります。 5 00:00:55,757 --> 00:00:59,757 確か 20年ほど前に 自殺したはずですが。 6 00:01:02,597 --> 00:01:04,582 ここだ。 7 00:01:04,582 --> 00:01:08,653 ♬~ 8 00:01:08,653 --> 00:01:10,688 彼女は 矢嶋小百合さん。 9 00:01:10,688 --> 00:01:13,658 現在 千歳出版に 勤めているんだったね? 10 00:01:13,658 --> 00:01:17,679 (矢嶋小百合)はい。 初めまして 矢嶋小百合と申します。 11 00:01:17,679 --> 00:01:21,666 こちら この前話した 特命係の杉下くん。 12 00:01:21,666 --> 00:01:23,668 杉下です。 13 00:01:23,668 --> 00:01:25,653 あっ まあまあ…。 14 00:01:25,653 --> 00:01:28,723 実は 彼女の父親は→ 15 00:01:28,723 --> 00:01:32,723 夏河郷士が生前住んでいた屋敷の 管理人をしていたそうな…。 16 00:01:33,661 --> 00:01:37,649 父は 20年前 私が5歳の時に 突然失踪してしまって→ 17 00:01:37,649 --> 00:01:40,652 それ以来 消息は不明なんです。 18 00:01:40,652 --> 00:01:42,620 20年前というと→ 19 00:01:42,620 --> 00:01:46,658 夏河郷士さんが自殺した頃 という事でしょうか? 20 00:01:46,658 --> 00:01:49,761 はい。 先日 母が亡くなり→ 21 00:01:49,761 --> 00:01:52,761 遺品の中から こんな物が 見つかったんですけど…。 22 00:01:57,735 --> 00:01:59,735 拝見します。 23 00:02:02,640 --> 00:02:07,712 (小百合)多分 夏河郷士さんの 創作ノートだと思うんですけど→ 24 00:02:07,712 --> 00:02:09,712 ひょっとしたら…。 25 00:02:11,733 --> 00:02:13,733 ええ なんでしょう? 26 00:02:14,736 --> 00:02:18,656 私の父が 夏河さんを殺した 証拠かもしれないんです。 27 00:02:18,656 --> 00:02:20,608 おやおや。 28 00:02:20,608 --> 00:02:23,678 僕は そんな事はないと 思うんだがね。 29 00:02:23,678 --> 00:02:25,797 彼女が そう言う以上→ 30 00:02:25,797 --> 00:02:28,797 少し調べてもらえないかな と思ってね。 31 00:02:29,617 --> 00:02:31,653 もし仮に お父様が→ 32 00:02:31,653 --> 00:02:34,739 夏河郷士さんの死に 関わっていたとして→ 33 00:02:34,739 --> 00:02:37,739 どうして それを調べようと 思われたのでしょう? 34 00:02:45,650 --> 00:02:47,652 (小百合)これが父です。 35 00:02:47,652 --> 00:02:50,688 物心ついた時には 母と2人きりで→ 36 00:02:50,688 --> 00:02:53,741 ずっと会いたいって思ってました。 37 00:02:53,741 --> 00:02:57,629 万が一 父が 殺人を犯していたとしても→ 38 00:02:57,629 --> 00:02:59,631 私は やっぱり…。 39 00:02:59,631 --> 00:03:01,666 わかりました。 40 00:03:01,666 --> 00:03:06,671 では こちらは お預りして 少し調べてみます。 41 00:03:06,671 --> 00:03:10,658 ところで ひとつ不躾な事を よろしいでしょうか? 42 00:03:10,658 --> 00:03:13,628 矢嶋さんは 甲斐次長とは どのような…。 43 00:03:13,628 --> 00:03:15,697 (小百合)ああ それは…。 44 00:03:15,697 --> 00:03:19,651 ひと言で言うと 母と私にとって 甲斐さんは→ 45 00:03:19,651 --> 00:03:21,669 恩人なんです。 恩人? 46 00:03:21,669 --> 00:03:25,640 父が突然失踪して 生活に困った母に→ 47 00:03:25,640 --> 00:03:27,642 就職先を世話してくださったり→ 48 00:03:27,642 --> 00:03:31,696 そのあとも 私の学費を 援助してくださったり…。 49 00:03:31,696 --> 00:03:34,696 それはもう 感謝しても しきれないぐらいに。 50 00:03:35,850 --> 00:03:37,850 そうでしたか。 51 00:03:42,724 --> 00:03:59,724 ♬~ 52 00:04:01,643 --> 00:04:03,645 (角田六郎)そりゃ 隠し子だな。 53 00:04:03,645 --> 00:04:06,631 見ず知らずの親子に 援助なんかする奇特な人間は→ 54 00:04:06,631 --> 00:04:08,700 そうそう いないからな。 55 00:04:08,700 --> 00:04:10,668 やっぱ 次長の隠し子じゃねえのか? 56 00:04:10,668 --> 00:04:13,605 課長。 あら…。 57 00:04:13,605 --> 00:04:15,673 俺 ちょっと下世話だったか? 58 00:04:15,673 --> 00:04:17,659 (甲斐 享) もっと言って頂いて結構です。 59 00:04:17,659 --> 00:04:20,561 そもそも 特命係を なんだと思ってるんだろう。 60 00:04:20,561 --> 00:04:22,664 いきなり 杉下さんの事 呼びつけて→ 61 00:04:22,664 --> 00:04:25,667 訳のわからないノートとか 押しつけて。 62 00:04:25,667 --> 00:04:27,652 ですが 殺人の可能性があるのならば→ 63 00:04:27,652 --> 00:04:30,622 調べないわけにはいきませんねぇ。 えっ? 64 00:04:30,622 --> 00:04:33,658 マジで調べるんですか? もちろんです。 65 00:04:33,658 --> 00:04:35,743 でも どうやって? そろそろ→ 66 00:04:35,743 --> 00:04:38,743 米沢さんの手が空く時間ですねぇ。 67 00:04:39,547 --> 00:04:44,652 (米沢 守)うん…。 インクの成分や 紙の劣化程度から見て→ 68 00:04:44,652 --> 00:04:47,655 確かに 書かれてから 20年は経過してるようですね。 69 00:04:47,655 --> 00:04:50,658 筆跡鑑定も 行いたいところですが…。 70 00:04:50,658 --> 00:04:52,710 出版社に 問い合わせてみたのですが→ 71 00:04:52,710 --> 00:04:55,663 夏河郷士さんは ワープロを使って 執筆をしていたために→ 72 00:04:55,663 --> 00:04:58,666 直筆の原稿は どこにも残っていないそうです。 73 00:04:58,666 --> 00:05:01,786 じゃあ 鑑定したくても 出来ないじゃないですか。 74 00:05:01,786 --> 00:05:04,786 あっ そうでした。 えっ? 75 00:05:05,590 --> 00:05:07,659 ああ これ。 76 00:05:07,659 --> 00:05:10,762 このノートに このようなメモが 挟まっていました。 77 00:05:10,762 --> 00:05:12,762 あっ 失礼…。 78 00:05:16,651 --> 00:05:18,670 彼女の父親 矢嶋房夫さんは→ 79 00:05:18,670 --> 00:05:21,689 慈朝庵と呼ばれる 夏河郷士さんの屋敷の→ 80 00:05:21,689 --> 00:05:24,759 管理人兼雑用係をしていました。 81 00:05:24,759 --> 00:05:27,662 おそらく このメモは 夏河さんが注文した→ 82 00:05:27,662 --> 00:05:29,614 買い物のリストでしょうねぇ。 83 00:05:29,614 --> 00:05:31,649 確実な事は言えませんが→ 84 00:05:31,649 --> 00:05:34,686 ノートの文字と このリストの文字→ 85 00:05:34,686 --> 00:05:37,672 同じ人物が書いた可能性が 高いですね。 86 00:05:37,672 --> 00:05:41,626 ほら 平仮名の「の」や「を」などの 癖が一緒ですよ。 87 00:05:41,626 --> 00:05:43,661 じゃあ 夏河郷士さんが書いたもので→ 88 00:05:43,661 --> 00:05:45,713 間違いなさそうですね。 89 00:05:45,713 --> 00:05:48,683 そうなると 気になるのは 何が書かれているかですな。 90 00:05:48,683 --> 00:05:51,602 矢嶋小百合さんの言うとおり このノートの中には→ 91 00:05:51,602 --> 00:05:54,672 殺人をほのめかす表記が いくつか見られました。 92 00:05:54,672 --> 00:05:57,658 でも 創作ノートって 言ってましたよね? 93 00:05:57,658 --> 00:05:59,594 小説のネタなら 何が書いてあっても→ 94 00:05:59,594 --> 00:06:01,629 不思議はありませんよね。 いや ところが→ 95 00:06:01,629 --> 00:06:03,765 そうでは ないんですよ。 96 00:06:03,765 --> 00:06:05,765 ちょっと失礼。 97 00:06:07,668 --> 00:06:10,605 (米沢)夏河郷士は 自然主義文学の影響を強く受け→ 98 00:06:10,605 --> 00:06:13,691 自ら体験した事以外は 書かないという→ 99 00:06:13,691 --> 00:06:15,710 かなり偏狭な作風で 知られています。 100 00:06:15,710 --> 00:06:19,630 自殺未遂をした登場人物を 描くために 自ら自殺を試み→ 101 00:06:19,630 --> 00:06:23,651 救急搬送された事があったと 記憶しています。 102 00:06:23,651 --> 00:06:25,686 それって まるごと変人じゃないですか。 103 00:06:25,686 --> 00:06:28,673 (米沢)ここに 「日常の体験や感じたことを→ 104 00:06:28,673 --> 00:06:31,592 創作ノートに書きため それを元に小説を書いた後で→ 105 00:06:31,592 --> 00:06:34,645 ノートをすべて焼却していた」と ありますから→ 106 00:06:34,645 --> 00:06:37,648 もし本物なら お宝かもしれませんな。 107 00:06:37,648 --> 00:06:40,651 じゃあ 自分が殺される小説を書く前に→ 108 00:06:40,651 --> 00:06:43,755 本当に殺されたから 創作ノートだけが残った。 109 00:06:43,755 --> 00:06:47,755 いずれにしても 調べてみる価値はありそうですね。 110 00:06:48,643 --> 00:06:51,662 やはり 気になりますか? 111 00:06:51,662 --> 00:06:53,664 えっ? 112 00:06:53,664 --> 00:06:56,734 そりゃあ 本当に殺人なら もちろん気になります。 113 00:06:56,734 --> 00:07:00,734 いえ 矢嶋小百合さんと 甲斐次長の関係です。 114 00:07:01,722 --> 00:07:06,722 あの人が どこで何をしようと 俺には関係ありません。 115 00:07:26,664 --> 00:07:29,717 ここ 慈朝庵って言うんですか。 116 00:07:29,717 --> 00:07:32,620 ええ 明治時代に建てられた 華族のお屋敷です。 117 00:07:32,620 --> 00:07:36,607 夏河郷士の先祖が買い取り それを相続した彼が亡くなるまで→ 118 00:07:36,607 --> 00:07:39,694 サロン慈朝庵と 呼ばれていたようですね。 119 00:07:39,694 --> 00:07:41,662 サロン慈朝庵? 120 00:07:41,662 --> 00:07:44,599 ええ 夏河郷士には 懐古趣味があったようで→ 121 00:07:44,599 --> 00:07:47,668 夜な夜なパーティーを開き 文化人や財界人を集め→ 122 00:07:47,668 --> 00:07:51,739 交流を深めるための社交の場 として使っていたために→ 123 00:07:51,739 --> 00:07:53,739 そのような呼び名が ついたのでしょう。 124 00:07:55,660 --> 00:07:58,613 で 夏河郷士が 亡くなったあとは…。 125 00:07:58,613 --> 00:08:01,632 サロンの一員でもあり 夏河氏と親交のあった→ 126 00:08:01,632 --> 00:08:03,651 江花須磨子さんという 女性が買い取り→ 127 00:08:03,651 --> 00:08:08,656 現在は 彼女が代表を務める財団が 管理をしているようです。 128 00:08:08,656 --> 00:08:11,659 連絡を入れておいたのですがねぇ。 129 00:08:11,659 --> 00:08:13,661 (江花須磨子)あの…。 130 00:08:13,661 --> 00:08:23,654 ♬~ 131 00:08:23,654 --> 00:08:25,640 警察の方でしょうか? 132 00:08:25,640 --> 00:08:28,709 はい。 警視庁 特命係の 杉下と申します。 133 00:08:28,709 --> 00:08:30,709 同じく 甲斐です。 134 00:08:32,563 --> 00:08:35,600 江花須磨子さんで いらっしゃいますか? 135 00:08:35,600 --> 00:08:37,735 はい。 江花と申します。 136 00:08:37,735 --> 00:08:40,735 外出しておりましたので 遅くなりまして。 137 00:08:44,659 --> 00:08:47,662 何か 調べていらっしゃるんですか? 138 00:08:47,662 --> 00:08:52,667 ええ 20年前の 夏河郷士さんの一件を少々…。 139 00:08:52,667 --> 00:08:56,654 夏河先生の…? 今さら なぜです? 140 00:08:56,654 --> 00:09:01,642 実は 夏河郷士さんの 創作ノートが見つかったんです。 141 00:09:01,642 --> 00:09:03,794 それが 夏河先生の…。 142 00:09:03,794 --> 00:09:07,794 この中に ちょっと 気になる記述がありまして。 143 00:09:09,617 --> 00:09:13,671 ご主人は 江花産業の社主だった 江花幸彦氏。 144 00:09:13,671 --> 00:09:15,673 20年前に病気で亡くなっています。 145 00:09:15,673 --> 00:09:17,625 ご主人の死後 須磨子さんは→ 146 00:09:17,625 --> 00:09:20,645 江花基金という慈善団体を創設し→ 147 00:09:20,645 --> 00:09:23,664 数十億円という遺産のほとんどを→ 148 00:09:23,664 --> 00:09:26,601 女性や子供たちのために 寄付しています。 149 00:09:26,601 --> 00:09:30,655 社会奉仕に尽力されている 日本有数の篤志家ですねぇ。 150 00:09:30,655 --> 00:09:32,657 へえ~…。 しかし→ 151 00:09:32,657 --> 00:09:34,625 表舞台に立つ事は ほとんどなく→ 152 00:09:34,625 --> 00:09:37,645 そのために 最後の淑女と呼ばれています。 153 00:09:37,645 --> 00:09:39,597 最後の淑女? 154 00:09:39,597 --> 00:09:42,750 まあ… 嫌ですわ 淑女だなんて。 155 00:09:42,750 --> 00:09:44,750 これは失礼。 156 00:09:47,672 --> 00:09:49,674 どうぞ。 恐縮です。 157 00:09:49,674 --> 00:09:51,609 どうも。 158 00:09:51,609 --> 00:09:55,663 ところで 夏河先生が 自殺ではなかったって→ 159 00:09:55,663 --> 00:09:57,565 そのノートに 書いてあるんですか? 160 00:09:57,565 --> 00:10:00,635 いえ そこまでは はっきりとは…。 ただ 僕たちなりに→ 161 00:10:00,635 --> 00:10:03,671 ノートの内容を 読み解こうとしたのですが→ 162 00:10:03,671 --> 00:10:05,640 なかなか 難しいものがありまして…。 163 00:10:05,640 --> 00:10:08,676 そうですか。 そこで 生前の夏河氏と→ 164 00:10:08,676 --> 00:10:10,678 親交のあった あなたに→ 165 00:10:10,678 --> 00:10:13,648 当時のお話など 色々伺えればと思いまして。 166 00:10:13,648 --> 00:10:16,651 わたくしなど お役に立てるような事は…。 167 00:10:16,651 --> 00:10:19,704 何しろ もう20年も前の事ですから。 168 00:10:19,704 --> 00:10:22,657 あの… この屋敷の管理人だった→ 169 00:10:22,657 --> 00:10:25,626 矢嶋って人の事を 覚えていませんか? 170 00:10:25,626 --> 00:10:27,662 矢嶋? ええ。 171 00:10:27,662 --> 00:10:31,649 さあ…。 あまり よく覚えておりません。 172 00:10:31,649 --> 00:10:33,651 実は このノート→ 173 00:10:33,651 --> 00:10:36,604 その矢嶋さんの娘さんが 見つけたんです。 174 00:10:36,604 --> 00:10:39,690 えっ? 彼女は 父親の矢嶋房夫さんが→ 175 00:10:39,690 --> 00:10:42,643 夏河氏を殺害したと 思っているようです。 176 00:10:42,643 --> 00:10:44,745 その 彼女のためにも→ 177 00:10:44,745 --> 00:10:47,745 真実を突き止めたいと 思っているのですが…。 178 00:10:48,733 --> 00:10:50,651 わかりました。 179 00:10:50,651 --> 00:10:54,739 お力になれるかどうか わかりませんが…。 180 00:10:54,739 --> 00:10:56,739 ありがとうございます。 181 00:11:04,715 --> 00:11:06,715 こちらが寝室です。 182 00:11:25,753 --> 00:11:28,753 あっ ここですね。 183 00:11:29,557 --> 00:11:34,662 遺体が発見されたのは 20年前の11月8日…。 184 00:11:34,662 --> 00:11:37,631 約束の ひと月が経っても 連絡がない事に→ 185 00:11:37,631 --> 00:11:40,735 痺れを切らしてやって来た 編集者が→ 186 00:11:40,735 --> 00:11:42,735 室内に入ったところ…。 187 00:11:43,637 --> 00:11:45,723 (編集者)うわっ 臭っ! 188 00:11:45,723 --> 00:11:47,723 ああ~ 先生 何やってるんですか…。 189 00:11:48,709 --> 00:11:52,596 夏河郷士さんが 首をつって 死んでいるのを発見しました。 190 00:11:52,596 --> 00:11:54,632 缶詰になっていたからとはいえ→ 191 00:11:54,632 --> 00:11:56,650 ひと月も 発見されないものですかね? 192 00:11:56,650 --> 00:11:59,637 その 夏河さんの死と相前後して→ 193 00:11:59,637 --> 00:12:03,624 管理人の矢嶋房夫さんが 失踪したと聞いていますが…。 194 00:12:03,624 --> 00:12:07,661 ええ。 おそらく そのせいで 訪ねる人もいなくて→ 195 00:12:07,661 --> 00:12:10,715 誰にも気づかれなかったんだと 思います。 196 00:12:10,715 --> 00:12:13,634 そのために 他殺の 根拠となるものも見つからず→ 197 00:12:13,634 --> 00:12:17,655 死因や 正確な死亡日時も 特定出来なかったのでしょうね。 198 00:12:17,655 --> 00:12:21,726 ですが 警察では 自殺と判断されたのでは? 199 00:12:21,726 --> 00:12:23,661 ですが もし 当時の捜査員が→ 200 00:12:23,661 --> 00:12:27,615 このノートを 発見していたとしたら→ 201 00:12:27,615 --> 00:12:29,667 状況は 変わったのではありませんかね? 202 00:12:29,667 --> 00:12:32,570 ああ… カイトくん。 はい。 203 00:12:32,570 --> 00:12:35,723 君… あっ ここ 読んでもらえますか? 204 00:12:35,723 --> 00:12:37,723 ああ はい。 205 00:12:38,692 --> 00:12:43,664 「私は あの男の罪を 告発するつもりだ」 206 00:12:43,664 --> 00:12:48,702 「そして あの男は 私の決意に すでに気づいている」 207 00:12:48,702 --> 00:12:54,642 「だとすれば 私を殺しに来るに違いない」 208 00:12:54,642 --> 00:12:57,611 「その思いが心に宿ってから→ 209 00:12:57,611 --> 00:13:03,667 私の肌は 常に あの男の殺意を 敏感に感じとっている」 210 00:13:03,667 --> 00:13:06,754 「日常の 何気ない瞬間」 211 00:13:06,754 --> 00:13:09,754 「譬えば 食事の時」 212 00:13:12,643 --> 00:13:17,715 「あるいは 書きものの合間に 外の空気を吸おうと→ 213 00:13:17,715 --> 00:13:20,715 広間へ降りて行こうとした瞬間」 214 00:13:22,653 --> 00:13:27,708 「あの男なら 毒を盛ることも→ 215 00:13:27,708 --> 00:13:30,708 私の体を突き落とすことも 容易いはずだ」 216 00:13:32,646 --> 00:13:36,634 これらの描写が 仮に 事実に基づいたものであれば→ 217 00:13:36,634 --> 00:13:40,604 他殺の状況証拠と考えられます。 つまり 夏河郷士は→ 218 00:13:40,604 --> 00:13:43,574 「あの男」に殺される事を 予感していて→ 219 00:13:43,574 --> 00:13:45,609 そのとおりに殺害された。 220 00:13:45,609 --> 00:13:48,646 問題は 「あの男」の正体です。 221 00:13:48,646 --> 00:13:52,633 矢嶋さんのお嬢さんは 父親の矢嶋房夫ではないかと…。 222 00:13:52,633 --> 00:13:55,586 ノートには そのように 書かれているんですか? 223 00:13:55,586 --> 00:13:59,740 いえ 「あの男」は矢嶋さんだと はっきり示す記述は ありません。 224 00:13:59,740 --> 00:14:02,643 ああ でも… 例えば ここなんか…。 225 00:14:02,643 --> 00:14:06,764 「突然 玄関の開く音がした」 226 00:14:06,764 --> 00:14:08,764 (ドアの開く音) 227 00:14:12,653 --> 00:14:15,639 「あの男が この家に入ってくる」 228 00:14:15,639 --> 00:14:19,827 「ただ それだけで 空気は張り詰め→ 229 00:14:19,827 --> 00:14:22,827 同時に 濁るように思えてならない」 230 00:14:25,599 --> 00:14:29,653 編集者も締め出した この屋敷に 自由に出入り出来たのは→ 231 00:14:29,653 --> 00:14:33,641 管理人の矢嶋房夫ぐらいだったと 考えるのが自然ですよね? 232 00:14:33,641 --> 00:14:38,646 それとも 矢嶋房夫さん以外で 例えば サロンのメンバーの中に→ 233 00:14:38,646 --> 00:14:40,564 思い当たる人物は いらっしゃいませんか? 234 00:14:40,564 --> 00:14:43,751 さあ… わたくしが覚えている限り→ 235 00:14:43,751 --> 00:14:47,751 夏河先生を恨むような方は いらっしゃいませんでした。 236 00:14:49,657 --> 00:14:51,709 夏河先生は この奥の書斎を→ 237 00:14:51,709 --> 00:14:54,709 執筆に 使われていらっしゃいました。 238 00:14:55,646 --> 00:14:58,649 江花さんは 当時も よく ここにいらしてたんですか? 239 00:14:58,649 --> 00:15:01,602 ええ 夫の江花が 夏河先生と→ 240 00:15:01,602 --> 00:15:03,637 親しくさせて頂いて おりましたので→ 241 00:15:03,637 --> 00:15:05,673 パーティーなどで何度か…。 242 00:15:05,673 --> 00:15:07,691 じゃあ ご夫婦ともに→ 243 00:15:07,691 --> 00:15:10,661 サロン慈朝庵の メンバーだったんですね。 244 00:15:10,661 --> 00:15:13,747 サロン慈朝庵…。 245 00:15:13,747 --> 00:15:16,747 確かに 当時は そんなふうに 気取っておりましたけど。 246 00:15:18,669 --> 00:15:20,669 こちらです。 247 00:15:23,674 --> 00:15:28,674 ここで 夏河郷士は この創作ノートを書いていた…。 248 00:15:29,647 --> 00:15:33,651 あっ これ 夏河さんですよね? 249 00:15:33,651 --> 00:15:35,703 テニスやってたんだ。 250 00:15:35,703 --> 00:15:37,655 (須磨子)ええ。 近くにテニスコートがあって→ 251 00:15:37,655 --> 00:15:40,658 サロンの方々をお誘いして よく…。 252 00:15:40,658 --> 00:15:43,661 あっ その事について…。 253 00:15:43,661 --> 00:15:45,796 失礼。 はい。 254 00:15:45,796 --> 00:15:49,796 ノートに このような記述がありました。 255 00:15:50,651 --> 00:15:56,657 「思い出す。 10月の始め あの男とペアを組んだ」 256 00:15:56,657 --> 00:16:00,744 「私のささいなミスで あの男が怪我をした」 257 00:16:00,744 --> 00:16:02,744 (男性)ああっ! 258 00:16:04,748 --> 00:16:06,748 (男性)ああっ… ううっ…。 259 00:16:07,651 --> 00:16:10,654 その時に 夏河郷士と組んだのは? 260 00:16:10,654 --> 00:16:13,657 ゲストの人数が合わなくて…。 261 00:16:13,657 --> 00:16:17,645 あっ そう 管理人さんにも加わって頂いて→ 262 00:16:17,645 --> 00:16:20,564 確か 夏河先生とご一緒に…。 263 00:16:20,564 --> 00:16:22,666 その時に 矢嶋さんが怪我をしたかどうか→ 264 00:16:22,666 --> 00:16:24,652 覚えていらっしゃいませんか? 265 00:16:24,652 --> 00:16:29,657 さあ… そんな事もあったような気は…。 266 00:16:29,657 --> 00:16:31,659 だとすると このノートに書かれた 「あの男」というのは→ 267 00:16:31,659 --> 00:16:34,628 やっぱり 矢嶋房夫という事に なりますよね? 268 00:16:34,628 --> 00:16:37,698 まだ 結論を出すのは 早いと思いますよ。 269 00:16:37,698 --> 00:16:40,651 ところで このノートには 「あの男」に関して→ 270 00:16:40,651 --> 00:16:43,604 このような記述もありました。 271 00:16:43,604 --> 00:16:47,725 「私は迷う。 自らの知った事実を 公表すべきか」 272 00:16:47,725 --> 00:16:50,661 「明らかにすれば 傷つく者がいる」 273 00:16:50,661 --> 00:16:54,748 「だからといって 罪は罪であり 許されるべきではない」 274 00:16:54,748 --> 00:16:58,748 「あの男の罪は 例えるなら 杜鵑の罪だ」 275 00:17:00,654 --> 00:17:02,606 ホトトギス…? 276 00:17:02,606 --> 00:17:05,626 ええ このノートの中に 何度か登場します。 277 00:17:05,626 --> 00:17:08,645 あっ ここも。 ほら ここも。 ええ。 278 00:17:08,645 --> 00:17:10,664 どの箇所も 「あの男」を例えるために→ 279 00:17:10,664 --> 00:17:12,583 使われているのですが→ 280 00:17:12,583 --> 00:17:15,652 どちらかといえば 揶揄し蔑む口調です。 281 00:17:15,652 --> 00:17:19,656 おそらく 夏河氏は 誰も知らない「あの男」の罪を知り→ 282 00:17:19,656 --> 00:17:24,595 それを公表すべきかどうか 葛藤していたのでしょうねぇ。 283 00:17:24,595 --> 00:17:28,649 だとすると「あの男」は 自分が犯した なんらかの罪を→ 284 00:17:28,649 --> 00:17:33,620 夏河郷士に告発されそうになって 殺害した…。 285 00:17:33,620 --> 00:17:38,642 でも 「杜鵑の罪」…。 意味不明すぎますよね。 286 00:17:38,642 --> 00:17:42,746 小説家の夏河郷士が 用いたのですからねぇ。 287 00:17:42,746 --> 00:17:44,746 文学的な比喩でしょうか。 288 00:17:45,799 --> 00:17:49,799 あの声で 蜥蜴食らうか時鳥。 289 00:17:51,655 --> 00:17:53,657 はい? 290 00:17:53,657 --> 00:17:56,660 あっ… ホトトギスと言えば→ 291 00:17:56,660 --> 00:17:59,730 こんな句があったのを 思い出したものですから。 292 00:17:59,730 --> 00:18:01,682 なるほど。 293 00:18:01,682 --> 00:18:03,650 カイトくん。 はい。 294 00:18:03,650 --> 00:18:06,770 ちょっと 調べてほしい事があります。 295 00:18:06,770 --> 00:18:08,770 ええっ? 296 00:20:47,614 --> 00:20:50,634 (携帯電話) 297 00:20:50,634 --> 00:20:52,669 (芹沢慶二)おっ カイト…。 298 00:20:52,669 --> 00:20:54,638 はいはい? 芹沢。 299 00:20:54,638 --> 00:20:57,658 実は 犯歴照会してもらいたい男が いるんですけど…。 300 00:20:57,658 --> 00:21:00,661 ええーっ? ダメ ダメ ダメ! 301 00:21:00,661 --> 00:21:02,646 特命係に手を貸したりしたら→ 302 00:21:02,646 --> 00:21:06,683 後で 伊丹先輩に何言われるか わかんないんだから。 303 00:21:06,683 --> 00:21:09,569 嫌なら いいんです。 ただ これ→ 304 00:21:09,569 --> 00:21:12,572 杉下さんのアンテナに 引っ掛かってる案件なんで→ 305 00:21:12,572 --> 00:21:14,608 何か出てくると思うんですよ。 306 00:21:14,608 --> 00:21:17,678 気になりません? (芹沢)「何かって 何よ?」 307 00:21:17,678 --> 00:21:21,748 何かわかったら 芹沢先輩に 真っ先に教えます。 308 00:21:21,748 --> 00:21:23,748 名前は? 309 00:21:24,701 --> 00:21:26,770 矢嶋房夫。 310 00:21:26,770 --> 00:21:31,770 生年月日 昭和31年 4月25日生まれ。 311 00:21:33,677 --> 00:21:36,630 おっ 前科あるねぇ。 312 00:21:36,630 --> 00:21:38,682 「マジっすか?」 313 00:21:38,682 --> 00:21:41,718 「データ 俺のスマホに 送ってもらえますか?」 314 00:21:41,718 --> 00:21:47,641 いいけどさ。 さっきの約束 絶対だかんな~。 315 00:21:47,641 --> 00:21:51,762 もし 大きなヤマだったりしたら 必ず俺に。 316 00:21:51,762 --> 00:21:54,762 伊丹先輩は抜きで 必ず俺に教えてよ。 317 00:21:56,667 --> 00:21:58,769 (伊丹憲一)何を教えるんだ? 318 00:21:58,769 --> 00:22:00,769 何をって だから…。 319 00:22:01,805 --> 00:22:03,805 ああーっ!! 320 00:22:04,658 --> 00:22:08,595 (鳥の鳴き声) 321 00:22:08,595 --> 00:22:10,630 ひょっとして 今のは…。 322 00:22:10,630 --> 00:22:13,650 ホトトギスではないと思います。 323 00:22:13,650 --> 00:22:16,636 ああ… それは残念! 324 00:22:16,636 --> 00:22:21,692 ところで 先ほど詠まれたのは 宝井其角の句でしたよねぇ。 325 00:22:21,692 --> 00:22:25,562 ええ。 あの声で 蜥蜴食らうか時鳥。 326 00:22:25,562 --> 00:22:27,647 美しい声で鳴くホトトギスも→ 327 00:22:27,647 --> 00:22:29,666 醜いトカゲや虫を食べている。 328 00:22:29,666 --> 00:22:31,651 転じて 人間は見かけによらず→ 329 00:22:31,651 --> 00:22:33,720 穏やかな顔をしていても→ 330 00:22:33,720 --> 00:22:37,624 その裏に どんな醜い側面が 隠されているか わからない。 331 00:22:37,624 --> 00:22:39,659 …という意味だったでしょうか。 332 00:22:39,659 --> 00:22:42,662 杉下さんは なんでも よくご存じですのねぇ。 333 00:22:42,662 --> 00:22:45,665 恐縮です。 杉下さん! 334 00:22:45,665 --> 00:22:47,684 ありました。 335 00:22:47,684 --> 00:22:49,653 やはり そうでしたか。 336 00:22:49,653 --> 00:22:51,671 なんですの? 矢嶋房夫さんの→ 337 00:22:51,671 --> 00:22:53,673 過去の犯罪記録です。 338 00:22:53,673 --> 00:22:56,643 これによれば 矢嶋さんは 22歳の時に→ 339 00:22:56,643 --> 00:22:58,678 飲み屋でのケンカに巻き込まれ→ 340 00:22:58,678 --> 00:23:01,631 客の1人を殴り 死亡させています。 341 00:23:01,631 --> 00:23:05,635 傷害致死。 判決は 懲役4年でしたが→ 342 00:23:05,635 --> 00:23:08,655 模範囚として 短い刑期で出所しています。 343 00:23:08,655 --> 00:23:12,659 出所後に結婚して この慈朝庵の 管理人の職に就いています。 344 00:23:12,659 --> 00:23:16,613 ノートに書かれている「あの男」が 矢嶋房夫さんを指すのだとすれば→ 345 00:23:16,613 --> 00:23:20,784 隠されていた罪を 暴露しようとした夏河氏を→ 346 00:23:20,784 --> 00:23:22,784 殺害する動機には なりますねぇ。 347 00:23:24,638 --> 00:23:26,673 待ってください。 348 00:23:26,673 --> 00:23:29,676 仮に ノートの内容が 事実だとしても→ 349 00:23:29,676 --> 00:23:31,711 矢嶋さんが 夏河先生を殺害したとは→ 350 00:23:31,711 --> 00:23:33,663 言い切れないはずです。 351 00:23:33,663 --> 00:23:36,650 事実 警察では 自殺だと…。 352 00:23:36,650 --> 00:23:39,653 それを 今から 確かめてみようと思います。 353 00:23:39,653 --> 00:23:47,577 ♬~ 354 00:23:47,577 --> 00:23:49,629 何を始めるおつもりですか? 355 00:23:49,629 --> 00:23:53,667 もし仮に 何者かが 夏河郷士さんを殺害したあと→ 356 00:23:53,667 --> 00:23:55,702 自殺に偽装したのだとすれば→ 357 00:23:55,702 --> 00:23:59,756 問題は どうやって 遺体を引き上げたかです。 358 00:23:59,756 --> 00:24:02,756 カイトくん お願いします。 はい。 359 00:24:05,762 --> 00:24:07,762 ああっ…。 360 00:24:08,682 --> 00:24:11,651 上がりません。 どうもありがとう。 361 00:24:11,651 --> 00:24:16,773 実は この部屋に最初に入った時に 違和感を感じましてねぇ。 362 00:24:16,773 --> 00:24:18,773 あれ あの絵なんですがね…。 363 00:24:20,644 --> 00:24:23,663 この絵。 ここに掛けるには大きすぎて→ 364 00:24:23,663 --> 00:24:25,765 バランスを欠いています。 365 00:24:25,765 --> 00:24:28,765 このサイズの大きさの絵ならば… そう あそこ。 366 00:24:30,604 --> 00:24:33,657 この壁に掛ける方が しっくりきます。 367 00:24:33,657 --> 00:24:35,675 しかも かすかですが→ 368 00:24:35,675 --> 00:24:40,664 壁紙に 焼けていない跡と フックの跡が残っています。 369 00:24:40,664 --> 00:24:43,667 いきなり 絵が どうしたというんでしょうか? 370 00:24:43,667 --> 00:24:46,620 20年前 何者かが ここに掛けてあった絵を→ 371 00:24:46,620 --> 00:24:49,639 あちら側に移す必要が あったのでしょうねぇ。 372 00:24:49,639 --> 00:24:52,659 しかも 必要だったのは 絵ではありません。 373 00:24:52,659 --> 00:24:54,778 カイトくん。 はい。 374 00:24:54,778 --> 00:25:04,778 ♬~ 375 00:27:38,758 --> 00:27:40,758 お願いします。 はい。 376 00:27:44,648 --> 00:27:46,650 あっ…。 377 00:27:46,650 --> 00:27:56,743 ♬~ 378 00:27:56,743 --> 00:27:58,743 上がりましたね。 379 00:27:59,713 --> 00:28:02,649 自殺ならば こんな手間をかける 必要はありません。 380 00:28:02,649 --> 00:28:04,617 これで 夏河郷士さんの首つりが→ 381 00:28:04,617 --> 00:28:07,671 偽装だった可能性が 出てきたわけですよ。 382 00:28:07,671 --> 00:28:10,657 そんな… まさか 本当に矢嶋さんが…。 383 00:28:10,657 --> 00:28:15,662 あっ… ひょっとして夏河さんは 矢嶋さんの過去を知って→ 384 00:28:15,662 --> 00:28:18,665 それを小説に書こうとしたんじゃ ありませんかねぇ? 385 00:28:18,665 --> 00:28:21,634 ここからは 僕の想像です。 386 00:28:21,634 --> 00:28:23,670 夏河郷士という作家は→ 387 00:28:23,670 --> 00:28:27,774 自らが見聞きした事を 小説に書く事で鳴らした人物です。 388 00:28:27,774 --> 00:28:32,774 その彼が 自らの屋敷の管理人の 隠された秘密を知り…。 389 00:28:34,681 --> 00:28:38,735 その苦悩や心情を 小説の題材にしようとした。 390 00:28:38,735 --> 00:28:41,735 (矢嶋房夫)つい カッとなってしまいまして…。 391 00:28:42,689 --> 00:28:45,689 しかし 矢嶋さんが それを拒絶したため…。 392 00:28:47,644 --> 00:28:49,679 (夏河郷士)おい! 393 00:28:49,679 --> 00:28:52,665 お前 何様だと思ってんだ おい。 394 00:28:52,665 --> 00:28:55,668 傷害致死で服役した過去を隠し→ 395 00:28:55,668 --> 00:28:58,671 管理人の職を得た矢嶋さんの事を 叱責し→ 396 00:28:58,671 --> 00:29:01,608 あるいは サロンのメンバーや家族に→ 397 00:29:01,608 --> 00:29:04,761 彼の罪を明かすと脅した。 398 00:29:04,761 --> 00:29:09,761 それに耐えきれなくなった 矢嶋房夫は 夏河郷士を…。 399 00:29:10,600 --> 00:29:17,690 もし 仮に 矢嶋さんが 夏河先生を殺したのだとしても→ 400 00:29:17,690 --> 00:29:19,626 もう 罪には…。 401 00:29:19,626 --> 00:29:23,680 仮に殺人だとしても 20年前に起きた場合→ 402 00:29:23,680 --> 00:29:25,648 当時の公訴時効は15年。 403 00:29:25,648 --> 00:29:28,618 2008年に時効が成立しています。 404 00:29:28,618 --> 00:29:30,637 でしたら これ以上→ 405 00:29:30,637 --> 00:29:33,673 何を調べる事がある というんですか? 406 00:29:33,673 --> 00:29:36,676 矢嶋さんが 過去に罪を犯した事や→ 407 00:29:36,676 --> 00:29:40,764 20年前 夏河先生を 手にかけたかもしれない事も→ 408 00:29:40,764 --> 00:29:43,764 小百合さんには 関係ないはずでしょ。 409 00:29:44,684 --> 00:29:48,655 矢嶋さんのお嬢さんの名前を よく覚えておいででしたね。 410 00:29:48,655 --> 00:29:50,690 ああ… それは…。 411 00:29:50,690 --> 00:29:53,676 やはり あなたは 矢嶋房夫さんばかりではなく→ 412 00:29:53,676 --> 00:29:56,596 娘の小百合さんとも 知己があったんですね。 413 00:29:56,596 --> 00:29:58,681 これで ようやく 合点がいきました。 414 00:29:58,681 --> 00:30:00,700 何がでしょう? 415 00:30:00,700 --> 00:30:03,620 あなたが 僕たちに 協力してくださる理由です。 416 00:30:03,620 --> 00:30:05,655 最初にお目にかかった時→ 417 00:30:05,655 --> 00:30:08,625 僕たちは 生前の夏河郷士さんについて→ 418 00:30:08,625 --> 00:30:11,694 教えてほしいと お願いしました。 しかし…。 419 00:30:11,694 --> 00:30:14,697 わたくしなど お役に立てるような事は…。 420 00:30:14,697 --> 00:30:17,697 何しろ もう20年も前の事ですから。 421 00:30:18,618 --> 00:30:20,687 そう言って 断ろうとした あなたが…。 422 00:30:20,687 --> 00:30:22,655 実は このノート→ 423 00:30:22,655 --> 00:30:24,674 その矢嶋さんの娘さんが 見つけたんです。 424 00:30:24,674 --> 00:30:26,676 えっ? 425 00:30:26,676 --> 00:30:28,661 矢嶋小百合さんが 関わっていると知るや…。 426 00:30:28,661 --> 00:30:30,680 わかりました。 427 00:30:30,680 --> 00:30:33,766 お力になれるかどうか わかりませんが…。 428 00:30:33,766 --> 00:30:36,766 僕たちに付き合う事を選んだ。 429 00:30:37,754 --> 00:30:40,754 小百合さんとは どういう…? 430 00:30:44,777 --> 00:30:49,777 あの頃の彼女は まるで天使のようでした。 431 00:30:50,617 --> 00:30:53,670 (小百合)小百合が捨ててくる。 (矢嶋広江)ああ ありがとう。 432 00:30:53,670 --> 00:30:55,688 (広江)あっ 小百合 そっちじゃない! 433 00:30:55,688 --> 00:30:57,690 (須磨子の声) わたくしだけでは ありませんわ。 434 00:30:57,690 --> 00:31:00,660 あの頃 サロンに 出入りをしていた人たち→ 435 00:31:00,660 --> 00:31:02,679 全員にとって…。 436 00:31:02,679 --> 00:31:08,818 特に わたくしは あの頃 夫を突然 亡くしたばかりで…。 437 00:31:08,818 --> 00:31:12,818 あの子の無垢な笑顔に どれだけ癒やされた事か…。 438 00:31:13,606 --> 00:31:16,776 ひょっとして このサロンには→ 439 00:31:16,776 --> 00:31:18,776 甲斐峯秋も いたんじゃありませんか? 440 00:31:19,729 --> 00:31:22,682 あなた 峯秋さんの? 441 00:31:22,682 --> 00:31:28,655 ええ。 警察庁次長 甲斐峯秋氏の 息子です。 442 00:31:28,655 --> 00:31:30,723 やっぱり…。 443 00:31:30,723 --> 00:31:34,661 甲斐って聞いた時 もしかしてと思っておりました。 444 00:31:34,661 --> 00:31:38,615 だから あの人は 矢嶋小百合さんに…。 445 00:31:38,615 --> 00:31:42,719 杉下さん 甲斐さん お願い致します。 446 00:31:42,719 --> 00:31:47,757 小百合さんには 矢嶋さんの過去や 20年前に起きた事を→ 447 00:31:47,757 --> 00:31:52,757 どうか 伝えないで頂けませんか? お願い致します。 448 00:31:56,616 --> 00:31:58,635 どうするつもりです? 449 00:31:58,635 --> 00:32:01,671 どうするとは 矢嶋小百合さんに 真相を伝えるかどうか→ 450 00:32:01,671 --> 00:32:03,806 という事でしょうか? ええ。 451 00:32:03,806 --> 00:32:05,806 彼女は こう言っていました。 452 00:32:06,776 --> 00:32:08,776 ずっと会いたいって思ってました。 453 00:32:09,762 --> 00:32:12,665 万が一 父が 殺人を犯していたとしても…。 454 00:32:12,665 --> 00:32:15,668 事件が明らかになれば 父親が見つかるかもしれない。 455 00:32:15,668 --> 00:32:18,738 そういう期待と覚悟が あったからこそ→ 456 00:32:18,738 --> 00:32:21,741 彼女は あのような依頼を してきたのではありませんかねぇ。 457 00:32:21,741 --> 00:32:26,741 ええ。 じゃあ こっちも 覚悟を決めないとダメですね。 458 00:32:33,753 --> 00:32:36,753 父の事で 何かわかったんでしょうか? 459 00:32:37,724 --> 00:32:41,678 どうやら お父様は あなたや お母様に→ 460 00:32:41,678 --> 00:32:44,664 ある隠し事をされていたようです。 461 00:32:44,664 --> 00:32:47,650 隠し事? ええ。 462 00:32:47,650 --> 00:32:49,669 もしかして→ 463 00:32:49,669 --> 00:32:52,639 傷害致死で服役していた事じゃ ないでしょうか? 464 00:32:52,639 --> 00:32:54,607 知ってたんですか? 465 00:32:54,607 --> 00:32:59,662 ちなみに その事は お父様が失踪される前から? 466 00:32:59,662 --> 00:33:03,616 はい。 母は もちろん お世話になった夏河先生や→ 467 00:33:03,616 --> 00:33:05,618 サロンの人たちにも→ 468 00:33:05,618 --> 00:33:08,771 父は包み隠さず 話していたそうです。 469 00:33:08,771 --> 00:33:10,771 どういう事ですかね? 470 00:33:14,610 --> 00:33:16,746 申し訳ありません。 また出直します。 471 00:33:16,746 --> 00:33:19,746 カイトくん。 はい。 失礼します。 472 00:33:22,652 --> 00:33:26,639 矢嶋房夫にとって 傷害致死で服役してた事は→ 473 00:33:26,639 --> 00:33:29,709 隠さなきゃいけない秘密じゃ なかったって事ですよね。 474 00:33:29,709 --> 00:33:32,729 ええ。 僕とした事がうかつでした。 475 00:33:32,729 --> 00:33:35,729 手掛かりは 既に十分 目の前にあったんです。 476 00:36:31,691 --> 00:36:34,691 (チャイム) 477 00:36:38,614 --> 00:36:42,652 まだ こちらにいらしたのですね。 よかった。 478 00:36:42,652 --> 00:36:44,670 (須磨子) 何か まだ ご用でしょうか? 479 00:36:44,670 --> 00:36:47,723 財団の方に伺いました。 480 00:36:47,723 --> 00:36:50,643 須磨子さんは こちらで お仕事をされる事もあると。 481 00:36:50,643 --> 00:36:54,747 ええ。 今も 事務の仕事を 少しばかり…。 482 00:36:54,747 --> 00:36:58,747 よろしければ そちらのお部屋を 拝見出来ませんでしょうか? 483 00:37:03,639 --> 00:37:08,678 はぁ~。 こちらも素敵なお部屋ですね。 484 00:37:08,678 --> 00:37:10,713 夏河先生 ご存命の頃は→ 485 00:37:10,713 --> 00:37:14,650 サロンにお見えになった方々の 客間に使っておりました。 486 00:37:14,650 --> 00:37:16,602 では 須磨子さんも→ 487 00:37:16,602 --> 00:37:19,622 当時は この部屋を 使われていたわけですね。 488 00:37:19,622 --> 00:37:23,626 ええ。 それより 一体 何か? 489 00:37:23,626 --> 00:37:26,629 実は つい先ほど 矢嶋小百合さんに会って→ 490 00:37:26,629 --> 00:37:28,648 確認しました。 491 00:37:28,648 --> 00:37:33,636 矢嶋房夫さんが服役していた事は 家族も サロンの皆さんも→ 492 00:37:33,636 --> 00:37:35,554 周知の事実でした。 493 00:37:35,554 --> 00:37:38,624 まあ あれほど お願いしたのに…。 494 00:37:38,624 --> 00:37:41,677 それに関しては お詫び致します。 495 00:37:41,677 --> 00:37:45,665 ですが それによって 矢嶋さんが 夏河さんを殺害したという前提が→ 496 00:37:45,665 --> 00:37:48,601 崩れてしまいました。 497 00:37:48,601 --> 00:37:51,654 僕たちは このノートに 書かれている内容に従って→ 498 00:37:51,654 --> 00:37:54,657 20年前に何が起こったのかを 読み解こうとしましたが→ 499 00:37:54,657 --> 00:37:57,560 その際 大きな勘違いを していたようです。 500 00:37:57,560 --> 00:38:00,663 冷静に考えれば どうにも納得のいかない記述が→ 501 00:38:00,663 --> 00:38:03,649 このノートの中には 何か所かありました。 例えば…。 502 00:38:03,649 --> 00:38:08,771 「あるいは 書きものの合間に 外の空気を吸おうと→ 503 00:38:08,771 --> 00:38:11,771 広間へ降りて行こうとした 瞬間」…。 504 00:38:12,642 --> 00:38:15,628 「広間へ降りて行こうとした」 という事は→ 505 00:38:15,628 --> 00:38:18,614 書き物は 2階でしていた という事になります。 506 00:38:18,614 --> 00:38:22,652 しかし 書斎は1階。 妙ですねぇ。 507 00:38:22,652 --> 00:38:24,603 それから もうひとつ。 508 00:38:24,603 --> 00:38:27,623 あの男の殺意に触れた部分に 解せない記述がありました。 509 00:38:27,623 --> 00:38:29,675 カイトくん。 510 00:38:29,675 --> 00:38:34,747 「あの男なら 毒を盛ることも 私の体を突き落とすことも→ 511 00:38:34,747 --> 00:38:36,747 容易いはずだ」 512 00:38:37,683 --> 00:38:42,655 写真で見る限り 夏河郷士さんは 背が高く 体格も立派でした。 513 00:38:42,655 --> 00:38:45,758 それに対して 「あの男」 矢嶋房夫さんが→ 514 00:38:45,758 --> 00:38:49,758 体格で 夏河さんに優るとは 考えにくいんです。 515 00:38:54,667 --> 00:38:57,653 確かに 妙ですわね。 516 00:38:57,653 --> 00:39:00,673 このノートの書かれた場所が 1階の書斎ではなく→ 517 00:39:00,673 --> 00:39:02,725 2階であった事。 518 00:39:02,725 --> 00:39:06,595 ノートの中の「私」という人物が 夏河氏だとは考えにくい事。 519 00:39:06,595 --> 00:39:09,648 それら2点に気づいた時 ある仮説が生まれました。 520 00:39:09,648 --> 00:39:12,651 どんな仮説です? 521 00:39:12,651 --> 00:39:16,639 夏河郷士は 「私」ではなく 「あの男」だった。 522 00:39:16,639 --> 00:39:19,642 まあ~。 杉下さん 刑事さんにしては→ 523 00:39:19,642 --> 00:39:22,611 随分 突飛な発想を なさるんですのね。 524 00:39:22,611 --> 00:39:24,580 ですが 「あの男」は 矢嶋房夫さんではなく→ 525 00:39:24,580 --> 00:39:27,650 夏河郷士だと仮定して 読み返せば→ 526 00:39:27,650 --> 00:39:30,653 他の矛盾した記述にも 納得がいくんですよ。 527 00:39:30,653 --> 00:39:33,556 例えば ノートの中に書かれている→ 528 00:39:33,556 --> 00:39:38,661 「突然 玄関の開く音がした。 あの男が この家に入ってくる」 529 00:39:38,661 --> 00:39:41,647 それの どこが矛盾なんでしょう? 530 00:39:41,647 --> 00:39:44,650 ここは 夏河氏の自宅です。 531 00:39:44,650 --> 00:39:46,702 いくら管理人といえども→ 532 00:39:46,702 --> 00:39:48,654 突然 玄関を開けたりは しないでしょう。 533 00:39:48,654 --> 00:39:50,756 普通の感覚ならば チャイムを鳴らしますよ。 534 00:39:50,756 --> 00:39:52,756 しかし…。 535 00:39:54,643 --> 00:39:57,546 家主の夏河氏ならば チャイムなど鳴らさず→ 536 00:39:57,546 --> 00:40:00,649 いきなり入ってきたとしても 不思議はありません。 537 00:40:00,649 --> 00:40:03,736 ですが 矢嶋さんが 私だったなんて→ 538 00:40:03,736 --> 00:40:06,736 そんな根拠は どこにもないと思いますけど。 539 00:40:07,790 --> 00:40:11,790 私は 矢嶋房夫さんだとは ひと言も言ってませんよ。 540 00:40:12,645 --> 00:40:18,667 20年前に この部屋を使っていたと あなたは 先ほど言いましたねぇ。 541 00:40:18,667 --> 00:40:22,655 おそらく このノートを書いた 「私」という人物も→ 542 00:40:22,655 --> 00:40:27,760 この部屋で 夏河郷士の犯した罪を 告発すべきかどうか→ 543 00:40:27,760 --> 00:40:29,760 葛藤していたのでしょう。 544 00:40:30,663 --> 00:40:35,634 「私は あの男の罪を 告発するつもりだ」 545 00:40:35,634 --> 00:40:40,706 「そして あの男は 私の決意に すでに気づいている」 546 00:40:40,706 --> 00:40:42,706 「だとすれば」…。 547 00:40:46,712 --> 00:40:50,712 (須磨子) 《私を殺しに来るに違いない》 548 00:40:52,701 --> 00:40:54,701 いい加減にして! 549 00:40:56,722 --> 00:41:00,626 最後の淑女と呼ばれている あなたらしくもない。 550 00:41:00,626 --> 00:41:02,595 これでも まだ お認めになりませんか? 551 00:41:02,595 --> 00:41:04,663 当たり前です。 552 00:41:04,663 --> 00:41:06,765 第一 どこに そんな証拠が? 553 00:41:06,765 --> 00:41:08,765 では…。 554 00:41:10,669 --> 00:41:13,672 このカレンダーの文字を 見てください。 555 00:41:13,672 --> 00:41:16,659 ノートに書かれている字と そっくりなんです。 556 00:41:16,659 --> 00:41:21,614 特に「の」や「を」の 平仮名の癖が 一緒なんですよ。 557 00:41:21,614 --> 00:41:24,650 これを見て このノートが 夏河さんが書いたものだと→ 558 00:41:24,650 --> 00:41:26,719 誤解してしまったんです。 559 00:41:26,719 --> 00:41:30,719 しかし 解明のヒントは この中にありました。 560 00:41:31,657 --> 00:41:37,746 「思い出す。 10月の始め あの男とペアを組んだ」 561 00:41:37,746 --> 00:41:41,746 「私のささいなミスで あの男が怪我をした」 562 00:41:42,768 --> 00:41:44,768 あっ… ああ…。 563 00:41:45,738 --> 00:41:48,607 自分のミスで 夏河さんが 怪我をしてしまった事に→ 564 00:41:48,607 --> 00:41:50,709 責任を感じた あなたは→ 565 00:41:50,709 --> 00:41:54,709 日常生活に不自由をしていた 夏河氏に代わり…。 566 00:41:55,648 --> 00:41:57,633 (須磨子)矢嶋さんに お買い物をお願いしますけど→ 567 00:41:57,633 --> 00:41:59,585 何か? 568 00:41:59,585 --> 00:42:02,638 スコッチが切れてたかなぁ…。 569 00:42:02,638 --> 00:42:06,725 それと ワープロの感熱紙 インクかな。 570 00:42:06,725 --> 00:42:08,725 はい。 571 00:42:11,647 --> 00:42:15,668 つまり ノートの中の「私」は 江花須磨子さん あなた。 572 00:42:15,668 --> 00:42:21,668 そして 私を殺そうとしていた 「あの男」が 夏河郷士だった。 573 00:42:23,659 --> 00:42:26,645 万が一 そうだとしても→ 574 00:42:26,645 --> 00:42:30,649 その「私」が 何を告発しようとしていたのか→ 575 00:42:30,649 --> 00:42:33,719 おわかりなんですか? 576 00:42:33,719 --> 00:42:35,719 杜鵑です。 577 00:42:36,722 --> 00:42:41,610 「あの男の罪は 例えるなら 杜鵑の罪だ」 578 00:42:41,610 --> 00:42:43,612 書いたあなたには→ 579 00:42:43,612 --> 00:42:45,648 その真の意味が よくわかっていました。 580 00:42:45,648 --> 00:42:48,684 ですが それにもかかわらず…。 581 00:42:48,684 --> 00:42:52,655 あの声で 蜥蜴食らうか時鳥。 582 00:42:52,655 --> 00:42:57,710 それが 矢嶋さんが かつて犯した 傷害致死の罪であるかのように→ 583 00:42:57,710 --> 00:42:59,710 我々を誘導しました。 584 00:43:00,546 --> 00:43:04,650 あなたが 最後の淑女の仮面を かぶり続けて→ 585 00:43:04,650 --> 00:43:08,771 隠しておきたかったのは その杜鵑の罪。 586 00:43:08,771 --> 00:43:10,771 違いますか? 587 00:43:11,640 --> 00:43:14,610 杜鵑の習性で 最も よく知られているのは→ 588 00:43:14,610 --> 00:43:16,645 托卵です。 589 00:43:16,645 --> 00:43:20,733 自らの卵を ウグイスなどの小さな巣に残し→ 590 00:43:20,733 --> 00:43:22,651 卵や雛の面倒を見させる。 591 00:43:22,651 --> 00:43:24,620 鳥ならば 習性ですみますが→ 592 00:43:24,620 --> 00:43:29,792 人が これを行えば非道であり 紛れもない罪です。 593 00:43:29,792 --> 00:43:33,792 あなたには それが耐えられなかった。 594 00:43:37,650 --> 00:43:39,752 江花さん。 595 00:43:39,752 --> 00:43:44,752 もう 本当の事を 話してもらえませんか? 596 00:43:51,647 --> 00:43:55,734 あの男が犯したのは→ 597 00:43:55,734 --> 00:43:58,734 決して許されない罪だったわ。 598 00:44:03,642 --> 00:44:05,644 やめてください。 599 00:44:05,644 --> 00:44:09,732 (須磨子の声)前科のある 矢嶋さんを雇った見返りにと→ 600 00:44:09,732 --> 00:44:13,732 奥さんの広江さんに 強引に関係を迫っていたの。 601 00:44:14,637 --> 00:44:18,657 小百合さんの出生に関しては どうして? 602 00:44:18,657 --> 00:44:22,728 あの男は 自分から口にしたわ。 603 00:44:22,728 --> 00:44:28,651 それも まるで 自慢話でもするかのように…。 604 00:44:28,651 --> 00:44:32,755 矢嶋みたいな男の子孫を 残すくらいなら→ 605 00:44:32,755 --> 00:44:37,755 私の優秀な遺伝子を残した方が よっぽど世界のためになる。 606 00:44:39,728 --> 00:44:43,728 須磨子くんなら 当然 理解してくれるよね? 607 00:44:44,650 --> 00:44:50,656 絶対に許せない… そう思った。 608 00:44:50,656 --> 00:44:54,543 その思いを このノートに 書き連ねたわけですね。 609 00:44:54,543 --> 00:45:00,649 心の中に抱えておく事が どうしても耐えられなくて…。 610 00:45:00,649 --> 00:45:04,586 それより 杉下さんは どうして 小百合ちゃんが…。 611 00:45:04,586 --> 00:45:07,656 もちろん 最初から 疑っていたわけではありません。 612 00:45:07,656 --> 00:45:11,627 ただ ここに来て 夏河氏の写真を見た時に→ 613 00:45:11,627 --> 00:45:14,730 小百合さんに とてもよく似ているのに→ 614 00:45:14,730 --> 00:45:17,730 気づきました 耳の形が。 615 00:45:28,727 --> 00:45:30,727 そう…。 616 00:45:31,830 --> 00:45:34,830 もう 結構。 617 00:45:38,754 --> 00:45:41,754 夏河郷士…。 618 00:45:43,709 --> 00:45:48,709 あの男を殺したのは わたくしよ。 619 00:45:49,648 --> 00:45:53,619 俺が あの女に 子供を産ませた事を→ 620 00:45:53,619 --> 00:45:58,624 あんたが 妙な正義感で 告発しようとしてる事ぐらい→ 621 00:45:58,624 --> 00:46:01,593 お見通しだ。 622 00:46:01,593 --> 00:46:04,680 どうして そんなひどい事を なさったんですか? 623 00:46:04,680 --> 00:46:09,635 ああ? それを言うなら あんたの死んだ亭主に言えよ。 624 00:46:09,635 --> 00:46:11,620 えっ? 625 00:46:11,620 --> 00:46:15,674 矢嶋の女房に 最初に手を出したのは→ 626 00:46:15,674 --> 00:46:18,644 あんたの亭主だ。 627 00:46:18,644 --> 00:46:21,663 「管理人の仕事を 辞めさせられたくなければ→ 628 00:46:21,663 --> 00:46:26,652 言う事を聞け。 そう脅せば言いなりに出来る」 629 00:46:26,652 --> 00:46:28,670 そう教えてくれたのは→ 630 00:46:28,670 --> 00:46:33,642 天下の江花幸彦さんだったんだよ。 631 00:46:33,642 --> 00:46:37,596 まさか… 嘘よ! 632 00:46:37,596 --> 00:46:40,649 (笑い声) 633 00:46:40,649 --> 00:46:42,668 確かめたきゃ サロンの他の男どもに→ 634 00:46:42,668 --> 00:46:44,553 聞きゃあいい。 635 00:46:44,553 --> 00:46:48,657 みんな 同じ穴のムジナなんだからな。 636 00:46:48,657 --> 00:46:50,742 (笑い声) 637 00:46:50,742 --> 00:46:52,742 あっ…! 638 00:46:54,830 --> 00:46:56,830 (ため息) 639 00:46:57,649 --> 00:47:03,655 気がついた時 あの男は 既に…。 640 00:47:03,655 --> 00:47:08,727 自殺の偽装を手伝ったのが 矢嶋さんだったわけですね。 641 00:47:08,727 --> 00:47:10,727 ええ。 642 00:47:11,663 --> 00:47:16,668 (須磨子)あ… 私 なんて事を…。 643 00:47:16,668 --> 00:47:19,605 (泣き声) 644 00:47:19,605 --> 00:47:23,759 ひょっとして 小百合の事が…。 645 00:47:23,759 --> 00:47:27,759 (須磨子)えっ… 知ってたの? 646 00:47:29,715 --> 00:47:33,715 知っていて 知らないふりをしていました。 647 00:47:34,653 --> 00:47:37,656 わたくしが 警察に自首をすると言ったら→ 648 00:47:37,656 --> 00:47:39,658 矢嶋さんが…。 649 00:47:39,658 --> 00:47:42,761 お願いです。 やめてください。 650 00:47:42,761 --> 00:47:45,761 小百合のためにも…。 えっ? 651 00:47:46,648 --> 00:47:49,585 (須磨子の声) わたくしが自首をすれば→ 652 00:47:49,585 --> 00:47:52,638 事実が 小百合ちゃんに知れてしまう。 653 00:47:52,638 --> 00:47:55,641 それだけは避けたくて…。 654 00:47:55,641 --> 00:48:11,707 ♬~ 655 00:48:11,707 --> 00:48:16,707 そして 矢嶋さんは 姿を消したのですね。 656 00:48:19,648 --> 00:48:21,650 ええ…。 657 00:48:21,650 --> 00:48:26,655 (矢嶋)これ以上 広江や小百合と 家族でいる事は出来ません。 658 00:48:26,655 --> 00:48:29,558 (須磨子)でも 矢嶋さんがいなくなったら…。 659 00:48:29,558 --> 00:48:33,629 (矢嶋)私は 何があったか ここで何が起きたか→ 660 00:48:33,629 --> 00:48:36,598 絶対に 生涯 口にはしません。 661 00:48:36,598 --> 00:48:39,668 ですから 広江と小百合を→ 662 00:48:39,668 --> 00:48:42,688 私の代わりに 守ってやってください。 663 00:48:42,688 --> 00:48:44,688 お願いです! 664 00:48:46,608 --> 00:48:48,727 わかりました。 665 00:48:48,727 --> 00:48:55,727 何があっても 小百合ちゃんたちは わたくしが守ります。 666 00:48:58,670 --> 00:49:01,640 矢嶋さんとは その後…。 667 00:49:01,640 --> 00:49:04,676 一度だけ お手紙が…。 668 00:49:04,676 --> 00:49:08,730 「自分を知る人のいない町で 静かに暮らしている」とだけ→ 669 00:49:08,730 --> 00:49:10,730 書かれていたわ。 670 00:49:20,742 --> 00:49:23,742 たとえ時効でも 罪は罪でしょ? 671 00:49:25,747 --> 00:49:32,747 確かに 殺人を自供された以上 聴取は必要です。 672 00:49:34,589 --> 00:49:37,643 あの頃の峯秋さんと同じ。 673 00:49:37,643 --> 00:49:39,745 はい? 674 00:49:39,745 --> 00:49:41,745 真っすぐな目ね。 675 00:49:42,648 --> 00:49:47,753 その目で見据えられたから 本当の事を話さなくては…。 676 00:49:47,753 --> 00:49:49,753 そう思えたのかもしれない。 677 00:49:51,606 --> 00:49:54,559 でも 誤解しないでね。 678 00:49:54,559 --> 00:49:59,631 このサロンは 気取り澄ました 俗物たちの集まりだったけど→ 679 00:49:59,631 --> 00:50:02,751 あなたのお父様だけは違ったわ。 680 00:50:02,751 --> 00:50:07,739 何より わたくしが唯一 信頼出来る→ 681 00:50:07,739 --> 00:50:09,739 殿方でしたから。 682 00:50:11,677 --> 00:50:15,664 ひょっとして 矢嶋広江さん 小百合さん親子に→ 683 00:50:15,664 --> 00:50:19,601 長年 援助をしてきたのは 須磨子さん あなたご自身で→ 684 00:50:19,601 --> 00:50:23,588 甲斐次長は 名前を貸していただけだった…。 685 00:50:23,588 --> 00:50:26,625 そうですね? 686 00:50:26,625 --> 00:50:31,730 あの人に聞いても 何もおっしゃらないと思うけど。 687 00:50:31,730 --> 00:50:34,730 そういう約束ですから。 688 00:50:36,651 --> 00:50:54,569 ♬~ 689 00:50:54,569 --> 00:50:59,641 あっ… 最後に ひとつだけ よろしいでしょうか? 690 00:50:59,641 --> 00:51:04,646 あなたが 亡くなったご主人から 相続した遺産のほとんどを→ 691 00:51:04,646 --> 00:51:07,649 女性や子供たちのために 使われたのは→ 692 00:51:07,649 --> 00:51:10,552 ひょっとして ご主人への…。 693 00:51:10,552 --> 00:51:13,722 そう 復讐よ。 694 00:51:13,722 --> 00:51:18,722 そして この腐ったサロンの 男どもへの…。 695 00:51:22,664 --> 00:51:26,635 最後の淑女は 仮面だって おっしゃったわよね。 696 00:51:26,635 --> 00:51:29,805 申し訳ありません 言葉が過ぎたようで。 697 00:51:29,805 --> 00:51:35,805 いいえ。 ずっと外したかったの。 ありがとう。 698 00:51:36,745 --> 00:51:38,745 恐縮です。 699 00:51:44,636 --> 00:51:47,639 どうも。 どうも。 700 00:51:47,639 --> 00:51:49,658 あとの事は お願いします。 701 00:51:49,658 --> 00:51:52,727 はいはい。 えーっと…。 702 00:51:52,727 --> 00:51:56,731 江花須磨子さん。 はい。 703 00:51:56,731 --> 00:51:59,731 とりあえず 警視庁で お話を。 どうぞ。 704 00:52:07,759 --> 00:52:13,759 復讐だけで あれほどの慈善事業が 出来るとは思えませんがねぇ。 705 00:52:15,734 --> 00:52:17,734 ええ…。 706 00:52:21,740 --> 00:52:25,740 あれ? あの車…。 707 00:52:27,646 --> 00:52:32,617 ♬~ 708 00:52:32,617 --> 00:52:39,608 ♬~ 709 00:52:39,608 --> 00:52:54,623 ♬~ 710 00:52:54,623 --> 00:52:57,592 ♬~ 711 00:52:57,592 --> 00:53:00,679 もういい。 出てくれたまえ。 712 00:53:00,679 --> 00:53:10,739 ♬~ 713 00:53:10,739 --> 00:53:16,739 ♬~ 714 00:53:18,713 --> 00:53:21,713 さあ 俺たちも行きましょうか。 715 00:53:25,687 --> 00:53:29,687 (鳥の鳴き声) 716 00:54:33,922 --> 00:54:38,944 当番組は同時入力の為、誤字脱字 が発生する場合があります。 717 00:54:41,696 --> 00:54:44,015 ≫こんばんは。 718 00:54:44,015 --> 00:54:46,351 「報道ステーション」です。 後ろに映っておりますのは 719 00:54:46,351 --> 00:54:48,653 今日ですね、国会周辺。 特定秘密保護法案に 720 00:54:49,604 --> 00:54:51,856 反対する方々がとりまいて デモンストレーションを 721 00:54:52,223 --> 00:54:54,643 行いました。 そして、今、国会の中はというと 722 00:54:56,428 --> 00:54:58,697 今も、もつれています。