1 00:00:33,195 --> 00:00:37,933 <長崎遊学から江戸に戻った 私 保本 登は➡ 2 00:00:37,933 --> 00:00:40,836 幕府のお目見え医に なるつもりだったが➡ 3 00:00:40,836 --> 00:00:45,608 意に反して 小石川養生所で 働くよう命じられた。➡ 4 00:00:45,608 --> 00:00:49,945 私は 養生所の所長 新出去定に 反発したが➡ 5 00:00:49,945 --> 00:00:53,282 赤ひげと呼ばれる この風変わりな男に➡ 6 00:00:53,282 --> 00:00:56,182 どこか引かれるものも 感じていた> 7 00:01:00,623 --> 00:01:05,294 ♬~ 8 00:01:05,294 --> 00:01:07,229 (お常)あら おはよう。➡ 9 00:01:07,229 --> 00:01:10,132 何? どうしたの? 10 00:01:10,132 --> 00:01:12,801 (森)よし これをのめ。 11 00:01:12,801 --> 00:01:16,501 あっ ありがとうございます。 これで大丈夫だ。 12 00:01:21,977 --> 00:01:24,480 代わりましょう。 13 00:01:24,480 --> 00:01:28,651 やるんですか? やりますとも。 14 00:01:28,651 --> 00:01:31,253 次の患者は 梅毒です。 15 00:01:31,253 --> 00:01:35,591 分かりました。 16 00:01:35,591 --> 00:01:39,261 お仕着せは着ないんですか? 17 00:01:39,261 --> 00:01:41,764 それは どうも…。 18 00:01:41,764 --> 00:01:43,699 お仕着せは医者の証しです。 19 00:01:43,699 --> 00:01:46,635 これを着ていれば 一目で養生所の者だと分かる。 20 00:01:46,635 --> 00:01:48,637 それを着ないなんて…。 21 00:01:48,637 --> 00:01:51,941 先生に降参するのが 悔しいんですか? 22 00:01:51,941 --> 00:01:54,977 降参などしません! 23 00:01:54,977 --> 00:01:59,281 クマ吉! ≪(クマ吉)へい。 24 00:01:59,281 --> 00:02:02,981 <しかし 森の言った事は図星だった> 25 00:02:08,290 --> 00:02:10,793 (お常)保本先生 お客様ですよ。 26 00:02:10,793 --> 00:02:13,462 えっ 私に? 女の方ですよ。 27 00:02:13,462 --> 00:02:16,799 あっ 天野まさをさんって方です。 28 00:02:16,799 --> 00:02:19,299 <まさを…> 29 00:02:21,971 --> 00:02:24,306 <ちぐさの妹だ> 30 00:02:24,306 --> 00:02:26,242 チッ。 31 00:02:26,242 --> 00:02:36,952 ♬~ 32 00:02:36,952 --> 00:02:40,256 天野まさをでございます。 ちぐさの妹です。 33 00:02:40,256 --> 00:02:42,291 覚えています。 天野先生のお宅で➡ 34 00:02:42,291 --> 00:02:44,491 お会いした事があります。 35 00:02:46,595 --> 00:02:48,931 あの… 姉の事で…。 36 00:02:48,931 --> 00:02:51,267 帰って下さい。 話す事はありません。 37 00:02:51,267 --> 00:02:55,104 (まさを)でも…。 申し訳ありませんが。 38 00:02:55,104 --> 00:02:57,104 あっ…。 39 00:03:00,442 --> 00:03:02,378 (去定)あの女は誰だ? 40 00:03:02,378 --> 00:03:05,948 (竹造)へい。 保本さんを訪ねてきた方です。 41 00:03:05,948 --> 00:03:10,286 天野まさをさんとか。 42 00:03:10,286 --> 00:03:13,086 天野? へい。 43 00:03:14,957 --> 00:03:17,793 はあ はあ はあ…。 44 00:03:17,793 --> 00:03:19,828 なぜ 追い返した? 45 00:03:19,828 --> 00:03:24,967 先生には関わりのない事です。 人には もう少し 愛想よくしろ。 46 00:03:24,967 --> 00:03:27,803 ご自分の事を棚に上げて よく そんな事が。 47 00:03:27,803 --> 00:03:32,641 何? ハッハッハッハ…。 48 00:03:32,641 --> 00:03:35,544 保本 お前は➡ 49 00:03:35,544 --> 00:03:39,415 天野さんに ここに入れられたと 思っているようだな。 50 00:03:39,415 --> 00:03:42,451 違うのですか? お前は自分の事しか考えていない。 51 00:03:42,451 --> 00:03:45,754 そんな事では いくら知識をつけても➡ 52 00:03:45,754 --> 00:03:48,424 医者としては失格だ。 53 00:03:48,424 --> 00:03:52,124 自分が半人前な事は よく分かっています。 54 00:03:58,767 --> 00:04:00,803 (お常)あっ ちょっと… ねえねえ ねえねえ…➡ 55 00:04:00,803 --> 00:04:04,940 どうだった? とっても かわいい人だった。 56 00:04:04,940 --> 00:04:08,610 すっごくきれいな お着物 着て。 でもね 保本先生ったら➡ 57 00:04:08,610 --> 00:04:11,113 帰しちゃったの。 (お常)何でよ! 58 00:04:11,113 --> 00:04:13,449 (お杉)お湯をもらえますか? 59 00:04:13,449 --> 00:04:15,949 どいて どいて どいて…。 60 00:04:19,788 --> 00:04:22,291 (お常)何があったんだろ? 61 00:04:22,291 --> 00:04:25,327 (お雪)「姉の事で」とか言ってたわ。 62 00:04:25,327 --> 00:04:27,629 えっ? 「天野さんに➡ 63 00:04:27,629 --> 00:04:30,666 ここに入れられた」とか どうとか。 64 00:04:30,666 --> 00:04:33,466 (お常)ふ~ん…。 65 00:04:37,239 --> 00:04:39,539 ありがとうございます。 66 00:04:43,912 --> 00:04:46,749 ≪何度言ったら 分かるんだ! 67 00:04:46,749 --> 00:04:51,253 お前は病人だ。 寝てなきゃ駄目だろう。 68 00:04:51,253 --> 00:04:53,188 (走ってくる足音) 69 00:04:53,188 --> 00:04:55,591 あら! ま~た 仕事してたんですか? 70 00:04:55,591 --> 00:04:58,891 道具を取り上げて しまってしまいなさい。 はい。 71 00:05:05,300 --> 00:05:08,303 蒔絵だな。 72 00:05:08,303 --> 00:05:12,040 見事な…。 お前は蒔絵師なのか? 73 00:05:12,040 --> 00:05:16,779 保本 診てみろ。 74 00:05:16,779 --> 00:05:18,779 はあ。 75 00:05:24,520 --> 00:05:26,488 痛むのか? 76 00:05:26,488 --> 00:05:31,727 あの男は 自分の素性を 一切 話そうとしない。 77 00:05:31,727 --> 00:05:35,597 伝通院裏の安宿で 倒れていたところを運ばれた。 78 00:05:35,597 --> 00:05:38,233 宿では 喜助と名乗っていたようだが➡ 79 00:05:38,233 --> 00:05:41,737 まあ 恐らく 本当の名前ではないだろう。 80 00:05:41,737 --> 00:05:46,241 腕のある蒔絵職人だと 思いますが…。 うん…。 81 00:05:46,241 --> 00:05:51,241 それが なぜ あのような安宿に 身を寄せていたかだ。 82 00:05:53,115 --> 00:05:55,951 見立ては どうだ? 83 00:05:55,951 --> 00:06:00,589 胃の下部から 右わきにかけて 腫脹が認められます。 84 00:06:00,589 --> 00:06:02,524 肝臓がんでしょうか。 85 00:06:02,524 --> 00:06:05,427 いや 違う。 86 00:06:05,427 --> 00:06:10,599 まあ がんには違いないが それとは違う症状が見られる。 87 00:06:10,599 --> 00:06:16,939 あれは タイキリイル つまり すい臓に出来た がんだ。 88 00:06:16,939 --> 00:06:18,974 なぜ そう判断できるんですか? 89 00:06:18,974 --> 00:06:23,612 何を言ってる。 お前の帳面に 症状が出てたぞ。 90 00:06:23,612 --> 00:06:25,612 えっ? 91 00:06:28,450 --> 00:06:32,421 確かに 診断は難しい。 92 00:06:32,421 --> 00:06:34,556 すい臓は動かない臓器だから➡ 93 00:06:34,556 --> 00:06:38,393 がんが発生しても 痛みを感じず それと分かる頃には➡ 94 00:06:38,393 --> 00:06:41,730 がんが ほかの 多くの臓器にまで 広がってるんだ。 95 00:06:41,730 --> 00:06:44,633 はあ…。 96 00:06:44,633 --> 00:06:47,236 それで 療治法は? 97 00:06:47,236 --> 00:06:49,571 ない。 98 00:06:49,571 --> 00:06:52,908 診察はできても 療治はできないと おっしゃるんですか? 99 00:06:52,908 --> 00:06:55,410 この病気に限らず➡ 100 00:06:55,410 --> 00:07:01,083 ほかの 多くの病気に対して 療治法はない。 101 00:07:01,083 --> 00:07:03,752 それじゃ あまりに無力な…。 102 00:07:03,752 --> 00:07:08,252 己の無力さを知る事も 大切な事だ。 103 00:07:15,764 --> 00:07:23,939 (子どもたちの騒ぐ声) 104 00:07:23,939 --> 00:07:29,739 うるさい。 あっちに行け。 105 00:07:54,403 --> 00:07:56,738 (おくに)また飲んで…。 106 00:07:56,738 --> 00:07:59,241 (富三郎)こう 景気が悪くちゃ➡ 107 00:07:59,241 --> 00:08:01,176 飲まずにいられるか。 108 00:08:01,176 --> 00:08:06,748 働かずに飲んでるから 景気が悪いんだよ。 109 00:08:06,748 --> 00:08:09,248 (壁をたたく音) 110 00:08:11,920 --> 00:08:15,791 気の利いた事でも 言ったつもりか? 111 00:08:15,791 --> 00:08:17,791 あっ…! 112 00:08:19,795 --> 00:08:23,932 てめえの親父から 金もらってこい! 113 00:08:23,932 --> 00:08:28,103 そんな事できるかい。 第一 どこにいるか知らないよ。 114 00:08:28,103 --> 00:08:31,903 うそつけ! 知ってんだろ! 115 00:08:34,543 --> 00:08:36,878 うっ…。 (富三郎)さあ 行ってこい。 116 00:08:36,878 --> 00:08:39,915 孫が ひもじい思いしてるってのに➡ 117 00:08:39,915 --> 00:08:42,684 知らんぷりはねえだろってな! 118 00:08:42,684 --> 00:08:47,522 (おくに)お父っつぁんとは 縁を切ったんだ…。 119 00:08:47,522 --> 00:08:50,225 クソ…。 120 00:08:50,225 --> 00:09:00,525 ♬~ 121 00:09:11,413 --> 00:09:14,213 どうしたんだい? こんなもの…。 122 00:09:16,752 --> 00:09:18,752 うるせえ。 123 00:09:20,422 --> 00:09:24,760 もらったんだよ。 もらったって誰から!? 124 00:09:24,760 --> 00:09:27,760 てめえに関わりがあるか! 125 00:09:31,566 --> 00:09:35,704 (笑い声) 126 00:09:35,704 --> 00:09:37,639 ごめんよ。 127 00:09:37,639 --> 00:09:40,139 (女)また けんかかい? 128 00:09:43,445 --> 00:09:47,883 (女)ゆうべ お旗本の 植岡讃岐守様の お屋敷に➡ 129 00:09:47,883 --> 00:09:49,918 賊が忍び込んだそうね。 130 00:09:49,918 --> 00:09:53,755 (女)そうそう! 高価なお宝が 盗まれたそうだね。➡ 131 00:09:53,755 --> 00:09:56,591 なんでも 南蛮渡来の象牙とか➡ 132 00:09:56,591 --> 00:09:59,895 蒔絵細工の印籠が あったらしいよ。 133 00:09:59,895 --> 00:10:01,930 (女)へえ~ どんなもんだろうね。➡ 134 00:10:01,930 --> 00:10:04,733 いっぺんでいいから 拝んでみたいよ。 135 00:10:04,733 --> 00:10:09,604 犯人を奉行所に訴え出れば 褒美をくれるらしいよ。 136 00:10:09,604 --> 00:10:14,242 (女)うちの亭主でも 突き出すか。 (女たちの笑い声) 137 00:10:14,242 --> 00:10:38,433 ♬~ 138 00:10:38,433 --> 00:10:44,773 (きよ)先生… 近頃 どうも 気分が すぐれなくって。 139 00:10:44,773 --> 00:10:48,643 夜は ゆっくり寝られてますか? 140 00:10:48,643 --> 00:10:52,514 少しの物音で すぐ起きてしまうんですよ。 141 00:10:52,514 --> 00:10:55,784 あ~ それは よくありませんな。 142 00:10:55,784 --> 00:10:58,820 私 病なのでしょうか? 143 00:10:58,820 --> 00:11:03,291 う~ん… まあ 大事はないとは思いますが➡ 144 00:11:03,291 --> 00:11:05,961 まあ 念のために 薬を用意しましょう。 145 00:11:05,961 --> 00:11:07,996 後で 使いの者をよこして下さい。 146 00:11:07,996 --> 00:11:11,767 うれしいわ 先生。 アハハハ…。 147 00:11:11,767 --> 00:11:14,669 ところで そちらの若い人は? 148 00:11:14,669 --> 00:11:19,508 あ~ 新しい見習い医で 保本 登といいます。 149 00:11:19,508 --> 00:11:24,208 次からは この者に往診させましょうか? 150 00:11:32,420 --> 00:11:35,757 やっぱり 去定先生がいいわ。 151 00:11:35,757 --> 00:11:37,692 さようですか。 152 00:11:37,692 --> 00:11:41,429 (きよ)んっ… ああ…。 ああ…。 153 00:11:41,429 --> 00:11:44,766 あの女の病とは? 154 00:11:44,766 --> 00:11:47,669 強いて言えば➡ 155 00:11:47,669 --> 00:11:50,272 暇という病だ。 156 00:11:50,272 --> 00:11:52,207 はあ…。 あの家は 代々➡ 157 00:11:52,207 --> 00:11:56,778 御公儀の呉服御用達で 巨万の富を得ている。 158 00:11:56,778 --> 00:12:02,284 金があり過ぎて 何もする事がないのだ。 159 00:12:02,284 --> 00:12:05,787 世の中には いくら懸命に働いても➡ 160 00:12:05,787 --> 00:12:09,958 貧しさから抜け出せないやつも 多いというのにな。 161 00:12:09,958 --> 00:12:12,460 どうですか? 162 00:12:12,460 --> 00:12:14,963 安くしますよ。 163 00:12:14,963 --> 00:12:20,663 貧しさゆえ 生きる知恵もないまま 病に侵されていくんだ。 164 00:12:22,637 --> 00:12:25,674 しかし そのために あの養生所が 建てられたんじゃないんですか? 165 00:12:25,674 --> 00:12:27,809 ないよりは ましだ。 166 00:12:27,809 --> 00:12:30,645 しかし 申し訳程度だ。 167 00:12:30,645 --> 00:12:35,645 御公儀は何か出費がある度に 養生所の経費を削ろうとする。 168 00:12:37,252 --> 00:12:42,123 わしが あの女に お愛想をするのはな➡ 169 00:12:42,123 --> 00:12:47,896 あの家が文句も言わずに 高い薬代を払ってくれるからだ。 170 00:12:47,896 --> 00:12:51,266 それは分かりますが…。 171 00:12:51,266 --> 00:12:56,137 何だ? まだ反論があるのか? 172 00:12:56,137 --> 00:12:59,975 政を とやかく言う前に 我々 医者は➡ 173 00:12:59,975 --> 00:13:04,779 少しでも 医術の発展を 考えるべきではないでしょうか? 174 00:13:04,779 --> 00:13:08,650 先生は 医者は無力なものだと おっしゃいますが➡ 175 00:13:08,650 --> 00:13:11,453 私は 少しでも 医術を発展させるために➡ 176 00:13:11,453 --> 00:13:14,789 長崎で オランダ医学を学んできたんです。 177 00:13:14,789 --> 00:13:21,129 そうすれば 貧しい者を救う事が できるはずです。 178 00:13:21,129 --> 00:13:24,032 青二才が考えそうな事だな。 179 00:13:24,032 --> 00:13:32,240 (言い争う声) 180 00:13:32,240 --> 00:13:35,744 森さんじゃないですか? 181 00:13:35,744 --> 00:13:37,679 落ち着きなさい! 通せ。 182 00:13:37,679 --> 00:13:41,249 一人ずつ 話せ。 どうした… どうした!? 183 00:13:41,249 --> 00:13:45,086 (金兵衛) これは先生 いいところに来た! 184 00:13:45,086 --> 00:13:47,989 (松造) また お仕着せが来やがったな。 185 00:13:47,989 --> 00:13:51,860 所長の新出去定先生だ。 お~ 偉い人なら誰でもいいや! 186 00:13:51,860 --> 00:13:54,796 白黒つけて頂こうか! うん? ちょっと 来てくんな! 187 00:13:54,796 --> 00:13:58,796 先生 お願いしますよ。 いいから 話 聞いてもらおうじゃねえか! 188 00:14:01,536 --> 00:14:05,273 うちの長屋の店子に 富三郎ってのが おりましてね➡ 189 00:14:05,273 --> 00:14:08,176 こいつ 元は指物職人なんだが➡ 190 00:14:08,176 --> 00:14:11,947 あ~ 稼ぎは少ない 酒は飲む 博打には目がねえって➡ 191 00:14:11,947 --> 00:14:14,282 ああ とんでもねえ野郎でね。➡ 192 00:14:14,282 --> 00:14:18,787 その女房のおくにが この子どもたち3人抱えて➡ 193 00:14:18,787 --> 00:14:22,290 内職しながら 一家を支えてたんでさ。 194 00:14:22,290 --> 00:14:24,793 あ~ 店賃も滞りがちだったが➡ 195 00:14:24,793 --> 00:14:29,464 あっしは おくにが かわいそうで 大目に見てやってたんです。 196 00:14:29,464 --> 00:14:32,233 ところが 今朝の事…。 197 00:14:32,233 --> 00:14:35,136 えっ… 亭主が泥棒? 198 00:14:35,136 --> 00:14:37,105 あの男が持っていたのは➡ 199 00:14:37,105 --> 00:14:39,908 植岡讃岐守様のお屋敷から 盗まれた➡ 200 00:14:39,908 --> 00:14:42,577 蒔絵細工の印籠に 違いありません。 201 00:14:42,577 --> 00:14:45,613 近頃 賭場で 悪い仲間が出来たんです。 202 00:14:45,613 --> 00:14:48,249 きっと その連中と やったんです。 203 00:14:48,249 --> 00:14:51,286 それで? おめえ どうするつもりだ? 204 00:14:51,286 --> 00:14:55,590 奉行所に訴えると 褒美が もらえるんですよね? 205 00:14:55,590 --> 00:14:58,259 おめえ… まさか 亭主を? 206 00:14:58,259 --> 00:15:00,195 お金のためじゃありません。 207 00:15:00,195 --> 00:15:02,597 あの人のために それがいいんです。 208 00:15:02,597 --> 00:15:04,532 ここらで灸を据えれば➡ 209 00:15:04,532 --> 00:15:07,268 まっとうな人に なってくれるんじゃないかと。 210 00:15:07,268 --> 00:15:10,939 あっしは それがよかろうと 思いましてね➡ 211 00:15:10,939 --> 00:15:15,110 おくにに 奉行所に 駆け込み訴えをさせたんです。 212 00:15:15,110 --> 00:15:20,281 そしたら 奉行所から あっしに 呼び出しがありましてね…。 213 00:15:20,281 --> 00:15:24,152 あの おくになる女 不届きである。 214 00:15:24,152 --> 00:15:26,154 えっ? 215 00:15:26,154 --> 00:15:28,456 不届き? (松造)へえ! 216 00:15:28,456 --> 00:15:31,359 「よしんば 盗みを はたらいたにせよ➡ 217 00:15:31,359 --> 00:15:35,263 恩賞を目当てに 妻が夫を訴える という法はない。➡ 218 00:15:35,263 --> 00:15:39,734 不届きな女である。 吟味のため 入牢を申しつける」。 219 00:15:39,734 --> 00:15:41,669 お奉行様は そう仰せなんだそうで。 220 00:15:41,669 --> 00:15:46,074 その奉行は誰だ? ええ 今は 北の月番で➡ 221 00:15:46,074 --> 00:15:48,109 島田越後守様だそうで。 222 00:15:48,109 --> 00:15:50,412 島田か…。 223 00:15:50,412 --> 00:15:53,915 おくにが奉行所に行く前に あっしに言ったんです。 224 00:15:53,915 --> 00:15:58,253 自分に もし何かあったら 小石川伝通院裏の➡ 225 00:15:58,253 --> 00:16:00,288 柏屋金兵衛という宿屋に➡ 226 00:16:00,288 --> 00:16:02,757 六助という男が 泊まっているはずだから➡ 227 00:16:02,757 --> 00:16:05,093 そこに子どもたちを 連れていってくれって。 228 00:16:05,093 --> 00:16:07,028 その男に事情を話せば➡ 229 00:16:07,028 --> 00:16:09,597 子どもたちを 引き取ってくれるだろうって。 230 00:16:09,597 --> 00:16:12,100 あっ… ところが うちに➡ 231 00:16:12,100 --> 00:16:17,272 六助なんて人は 泊まっておりやせんで。 232 00:16:17,272 --> 00:16:21,776 いない者を出せと言われても どうしようもありませんや…。 233 00:16:21,776 --> 00:16:24,279 それで もめていたんだな。 234 00:16:24,279 --> 00:16:27,782 お前は 何をしていたんだ? あっ この人が通りかかったんで➡ 235 00:16:27,782 --> 00:16:29,717 間に入ってもらおうと 思ったんです。 236 00:16:29,717 --> 00:16:32,620 ところが てんで役に立ちゃしない! 237 00:16:32,620 --> 00:16:35,390 聞けと言うから 聞いただけだ! 238 00:16:35,390 --> 00:16:40,261 うちも 子ども3人抱え込む ゆとりなんか ありませんのでね。 239 00:16:40,261 --> 00:16:42,730 (金兵衛)それは うちだって同じでさあ。 240 00:16:42,730 --> 00:16:45,066 亭主の富三郎は どうなった? 241 00:16:45,066 --> 00:16:47,902 それが 騒ぎを聞きつけたのか➡ 242 00:16:47,902 --> 00:16:51,239 姿を くらましちまいましてね。 243 00:16:51,239 --> 00:16:53,741 先生 あの老人…。 うん…。 244 00:16:53,741 --> 00:16:56,644 確か あの男 元は ここにいたんですよね? 245 00:16:56,644 --> 00:16:58,613 そうだ。 246 00:16:58,613 --> 00:17:02,917 まさか あの男が六助? 247 00:17:02,917 --> 00:17:07,255 どうだ? さあ? 何とも…。 248 00:17:07,255 --> 00:17:11,593 うちでは 喜助で通ってましたんで。 249 00:17:11,593 --> 00:17:15,430 先生! この子 ひどい熱ですよ。 250 00:17:15,430 --> 00:17:19,230 何? あっ… 先生 お願いします! さあさあ。 251 00:17:23,171 --> 00:17:26,141 子どもたちを養生所に連れていけ。 252 00:17:26,141 --> 00:17:29,444 この子の額は よ~く冷やすんだ。 はい。 253 00:17:29,444 --> 00:17:34,415 それと 六助の身元も確かめろ。 分かりました。 254 00:17:34,415 --> 00:17:36,551 わしは奉行所へ行く。 255 00:17:36,551 --> 00:17:39,454 保本 お前も来い。 256 00:17:39,454 --> 00:17:42,754 えっ? 奉行所へ? 257 00:18:11,452 --> 00:18:16,925 (お雪)津川さん! (お常)どうしたんですか? 258 00:18:16,925 --> 00:18:19,594 どうも…。➡ 259 00:18:19,594 --> 00:18:24,098 行った先が どうも 聞いてたのと 違っていてね。 260 00:18:24,098 --> 00:18:28,436 待遇は悪いし 備えは なっちゃいないし➡ 261 00:18:28,436 --> 00:18:33,208 まだ ここの方が… ましかなと。 262 00:18:33,208 --> 00:18:37,545 でも… ここを毛嫌いしてらしたん じゃないんですか? 263 00:18:37,545 --> 00:18:41,216 ねえ! ヘヘヘヘ…。 まあ ここも人手不足だしな。 264 00:18:41,216 --> 00:18:43,151 (足音) 265 00:18:43,151 --> 00:18:45,086 あれ? その子たちは? 266 00:18:45,086 --> 00:18:47,722 この子は熱があるんだ。 ほかの2人を頼む。 267 00:18:47,722 --> 00:18:49,757 (お雪 お常)はい! 津川さん 戻ってきましたか。 268 00:18:49,757 --> 00:18:52,894 (津川)うん。 行った先が どうも 聞いてたのと違っていてね➡ 269 00:18:52,894 --> 00:18:57,065 何が嫌かというと もう 全く備えがなってない…。 270 00:18:57,065 --> 00:18:59,765 聞けよ~。 271 00:19:05,240 --> 00:19:09,740 (せきこみ) 272 00:19:26,527 --> 00:19:30,827 お前の名は 六助ではないか? 273 00:19:36,704 --> 00:19:38,704 はあ…。 274 00:19:42,877 --> 00:19:48,549 お兄ちゃん 俺たち これから どうなるの? 275 00:19:48,549 --> 00:19:53,249 お前は心配しなくていいんだ。 黙って食え。 276 00:20:11,739 --> 00:20:14,642 あの…。 277 00:20:14,642 --> 00:20:16,642 あっ…。 278 00:20:20,248 --> 00:20:24,118 私は 天野まさをと申します。 279 00:20:24,118 --> 00:20:27,422 あなたが? えっ? 280 00:20:27,422 --> 00:20:29,757 あっ… いえ あの…➡ 281 00:20:29,757 --> 00:20:33,428 保本さんが 天野さんに ここに追いやられたような事を。 282 00:20:33,428 --> 00:20:35,628 それは違います! 283 00:20:38,766 --> 00:20:41,566 何があったんですか? 284 00:20:44,439 --> 00:20:48,109 (まさを)保本さんが 長崎に遊学に行く前➡ 285 00:20:48,109 --> 00:20:53,809 あの方は 私の姉のちぐさと 将来を約束していました。 286 00:20:56,818 --> 00:20:58,820 (まさを)でも 姉は➡ 287 00:20:58,820 --> 00:21:02,957 保本さんが 長崎に行っている3年の間に➡ 288 00:21:02,957 --> 00:21:07,462 ほかに好きな人が 出来てしまったんです。 289 00:21:07,462 --> 00:21:11,966 父は 姉を激しく怒りました。 290 00:21:11,966 --> 00:21:15,470 でも 姉の気持ちは 変わらなかったんです。 291 00:21:15,470 --> 00:21:17,805 ちぐささんと話をさせて下さい。 292 00:21:17,805 --> 00:21:23,144 (まさを)父は 保本さんに あの話は忘れてくれと➡ 293 00:21:23,144 --> 00:21:25,980 頭を下げました。➡ 294 00:21:25,980 --> 00:21:30,485 父は このままでは 申し訳が立たないと➡ 295 00:21:30,485 --> 00:21:33,285 姉を勘当しました。 296 00:21:35,089 --> 00:21:37,425 では…➡ 297 00:21:37,425 --> 00:21:41,262 お父様が保本さんを ここに追いやったというのは…。 298 00:21:41,262 --> 00:21:44,766 父は そんな事はしていません。 299 00:21:44,766 --> 00:21:49,604 保本さんさえ 姉を許して下されば➡ 300 00:21:49,604 --> 00:21:52,904 父も 姉を許す事が できるのではないかと…。 301 00:21:54,475 --> 00:22:00,248 (小声で)あんちゃん… 盗みなんて よくないよ。 302 00:22:00,248 --> 00:22:02,248 黙ってろ。 303 00:22:11,793 --> 00:22:13,993 見張ってろ。 304 00:22:32,413 --> 00:22:45,213 はあ… はあ… はあ…。 305 00:22:56,938 --> 00:22:59,238 わあ…! 306 00:23:07,582 --> 00:23:10,882 与一… 与一。 307 00:23:12,954 --> 00:23:22,296 ≪はあ… はあ…。 308 00:23:22,296 --> 00:23:24,632 何してんだ? 309 00:23:24,632 --> 00:23:38,579 ♬~ 310 00:23:38,579 --> 00:23:41,579 これは 俺が見つけたんだ。 311 00:23:45,353 --> 00:23:47,853 まだ途中だって。 312 00:23:49,590 --> 00:23:53,290 これ… じいさんが作ったのか? 313 00:23:54,929 --> 00:23:57,229 すげえな…。 314 00:24:00,801 --> 00:24:03,101 じいさん 立つのか? 315 00:24:04,939 --> 00:24:07,608 病気? さようです。 316 00:24:07,608 --> 00:24:11,479 その おくにという女 かねてより 痘瘡の疑いがあり➡ 317 00:24:11,479 --> 00:24:14,949 我々が療治していたところ このような事に。 318 00:24:14,949 --> 00:24:17,285 早く 薬を与えなければ 奉行所の方々に➡ 319 00:24:17,285 --> 00:24:19,485 うつるおそれがございます。 320 00:24:21,155 --> 00:24:23,958 早く… なんとかせよ。 321 00:24:23,958 --> 00:24:27,461 では 診察を。 322 00:24:27,461 --> 00:24:39,073 ♬~ 323 00:24:39,073 --> 00:24:41,909 なるべく離れていた方が よろしいかと。 324 00:24:41,909 --> 00:24:43,909 分かった。 325 00:24:48,683 --> 00:24:50,683 おくにだな? 326 00:24:54,488 --> 00:24:57,091 安心しろ。 327 00:24:57,091 --> 00:25:00,962 わしは新出去定という医者だ。 328 00:25:00,962 --> 00:25:04,832 子どもたちは 小石川養生所で預かってる。 329 00:25:04,832 --> 00:25:06,801 心配するな。 330 00:25:06,801 --> 00:25:09,670 養生所…? 331 00:25:09,670 --> 00:25:13,670 お前の父は 蒔絵職人か? 332 00:25:16,477 --> 00:25:21,115 やはり…。 父も 今 養生所にいる。 333 00:25:21,115 --> 00:25:26,621 えっ? ほかに身寄りは? 334 00:25:26,621 --> 00:25:29,457 母がいましたが➡ 335 00:25:29,457 --> 00:25:32,059 死にました。 336 00:25:32,059 --> 00:25:34,095 子どもたちは無事ですか? 337 00:25:34,095 --> 00:25:40,234 父は 子どもたちを引き取ると 言ってくれてますか? 338 00:25:40,234 --> 00:25:42,903 六助は…➡ 339 00:25:42,903 --> 00:25:46,407 重い病に かかっている。 340 00:25:46,407 --> 00:25:49,207 そう長くは生きられない。 341 00:25:53,280 --> 00:25:58,080 父との間に 何があった? 342 00:26:04,792 --> 00:26:11,432 父と母は ずっと 折り合いが悪かったんです。 343 00:26:11,432 --> 00:26:15,770 母は 私が12になる時➡ 344 00:26:15,770 --> 00:26:21,442 私を連れて 父のもとを飛び出しました。 345 00:26:21,442 --> 00:26:25,279 私は 父が嫌いじゃなかったんです。 346 00:26:25,279 --> 00:26:31,085 でも 母は 父が いかにひどい人か という事を話しました。➡ 347 00:26:31,085 --> 00:26:35,389 いつしか 私も それを 信じるようになったんです。 348 00:26:35,389 --> 00:26:37,725 (六助)おくに。➡ 349 00:26:37,725 --> 00:26:40,425 一緒においで。 なっ? 350 00:26:43,397 --> 00:26:45,397 (六助)おくに! 351 00:26:47,568 --> 00:26:50,268 おい 大丈夫かい? 352 00:26:51,906 --> 00:26:54,241 困った事あったら いつでも おいで。 353 00:26:54,241 --> 00:26:57,278 お前は 大事な 俺の たった一人の娘だ。 354 00:26:57,278 --> 00:27:00,414 お前のためなら 何でもするからよ。 355 00:27:00,414 --> 00:27:02,414 分かったかい? 356 00:27:09,757 --> 00:27:12,259 (おくに)しばらくして 母は➡ 357 00:27:12,259 --> 00:27:17,932 若い男と一緒に 小さな荒物屋を始めました。 358 00:27:17,932 --> 00:27:23,804 その人は 親戚の人だと 母は言いました。➡ 359 00:27:23,804 --> 00:27:26,107 それが 今では➡ 360 00:27:26,107 --> 00:27:29,907 私の亭主になっている 富三郎です。 361 00:27:32,379 --> 00:27:34,315 (おくに)私は その人の事が➡ 362 00:27:34,315 --> 00:27:37,718 あまり 好きではありませんでした。➡ 363 00:27:37,718 --> 00:27:40,755 でも 母が あんまり勧めるもんで➡ 364 00:27:40,755 --> 00:27:43,055 断れなかったんです。 365 00:27:49,063 --> 00:27:53,934 (おくにの母) やめ… ハハハ! アハハ… フフフ。➡ 366 00:27:53,934 --> 00:27:56,937 んっ… ねえ➡ 367 00:27:56,937 --> 00:28:02,576 ほらほら ほらほら どこ行くの? んっ? いい女いる? 368 00:28:02,576 --> 00:28:07,748 フフフ。 飲ませないよ~。 アハハハ!➡ 369 00:28:07,748 --> 00:28:10,084 フフフ… アハハ! 370 00:28:10,084 --> 00:28:12,987 (おくに)母と富三郎は➡ 371 00:28:12,987 --> 00:28:15,787 男と女の仲だったんです。 372 00:28:18,259 --> 00:28:23,764 えっ…。 それも ず~っと昔から。 373 00:28:23,764 --> 00:28:26,600 母が父を捨てて 家を出たのは➡ 374 00:28:26,600 --> 00:28:29,436 富三郎と 一緒になるためだったんです。 375 00:28:29,436 --> 00:28:34,708 しかし… なぜ 自分の男と 自分の娘を一緒にするんだ? 376 00:28:34,708 --> 00:28:37,745 富三郎を つなぎとめておくためだ。 377 00:28:37,745 --> 00:28:42,883 そのために お前は利用されたんだな。 378 00:28:42,883 --> 00:28:48,389 何も知らずに 父を追い返してしまった。 379 00:28:48,389 --> 00:28:53,189 私の事 一番思ってくれていた 父を…。 380 00:28:56,730 --> 00:29:03,504 父は 何度か手紙をくれました。 381 00:29:03,504 --> 00:29:07,441 「伝通院裏の宿屋にいる。➡ 382 00:29:07,441 --> 00:29:12,746 困った事があったら いつでも来い」って。 383 00:29:12,746 --> 00:29:15,416 でも 私は➡ 384 00:29:15,416 --> 00:29:18,716 とても顔向けできないと 思ったんです。 385 00:29:22,923 --> 00:29:25,960 ここから出して➡ 386 00:29:25,960 --> 00:29:28,729 父に会わせてやる。 387 00:29:28,729 --> 00:29:33,567 保本 お前は先に戻ってろ。 388 00:29:33,567 --> 00:29:35,567 はい。 389 00:29:53,220 --> 00:29:55,155 あっ…。 390 00:29:55,155 --> 00:29:59,560 去定先生には ここに戻る許しを得たんですか? 391 00:29:59,560 --> 00:30:02,596 お許しになるでしょう。 どうせ あの人は➡ 392 00:30:02,596 --> 00:30:07,434 私がいようが いまいが 興味がないんですよ。 393 00:30:07,434 --> 00:30:09,570 (戸を開ける音) (お雪)あっ あっ…➡ 394 00:30:09,570 --> 00:30:12,072 あのおじいさんが いないんです! 何!? 395 00:30:12,072 --> 00:30:14,108 ちゃんと見ておけと言ったろ! 396 00:30:14,108 --> 00:30:17,745 四六時中 見てられる訳 ないでしょ! 397 00:30:17,745 --> 00:30:22,416 それは そうだ! とにかく捜すんだ! 398 00:30:22,416 --> 00:30:26,287 どこ行っちまったんだい もう…。 399 00:30:26,287 --> 00:30:29,189 何してんだい? 何も。 400 00:30:29,189 --> 00:30:31,489 おじいちゃん 見なかった? 401 00:30:36,597 --> 00:30:40,597 (お常)こっちには いないんだよ! 外! 外! 402 00:30:44,471 --> 00:31:26,814 ♬~ 403 00:31:26,814 --> 00:31:28,749 大丈夫かい? 404 00:31:28,749 --> 00:31:33,921 あっ… うん… はあ はあ…。 405 00:31:33,921 --> 00:31:36,423 うわ~! 406 00:31:36,423 --> 00:31:45,766 ♬~ 407 00:31:45,766 --> 00:31:47,701 あっ じいさん! 408 00:31:47,701 --> 00:31:52,940 じいさん! じいさん! なあ? じいさん! じいさん! 409 00:31:52,940 --> 00:32:01,940 (風鈴の音) 410 00:32:13,961 --> 00:32:17,297 あっ 先生は? まだ 奉行所だ。 411 00:32:17,297 --> 00:32:21,497 六助が倒れた。 また仕事をしてたんだ。 412 00:32:33,747 --> 00:32:36,747 奉行所で おくにに会ってきた。 413 00:32:38,619 --> 00:32:41,622 訳があって ここにはいない。 414 00:32:41,622 --> 00:32:43,757 しかし お前に会いたがっていた。 415 00:32:43,757 --> 00:32:45,957 あ… ああ…。 416 00:32:51,932 --> 00:32:54,268 入れ。 417 00:32:54,268 --> 00:32:58,605 お母ちゃん! あっ…。 418 00:32:58,605 --> 00:33:00,905 心配かけたね。 419 00:33:06,280 --> 00:33:09,116 六助➡ 420 00:33:09,116 --> 00:33:11,116 おくにだ。 421 00:33:35,742 --> 00:33:37,742 お父っつぁん…。 422 00:33:42,916 --> 00:33:46,253 ごめんよ。 423 00:33:46,253 --> 00:33:48,188 私…➡ 424 00:33:48,188 --> 00:33:51,488 お父っつぁんの気持ちも 知らないで 追い返したりして…。 425 00:33:53,127 --> 00:33:56,263 バカだった…。 426 00:33:56,263 --> 00:33:58,563 本当に バカだったよ…。 427 00:34:02,936 --> 00:34:05,136 うう…。 428 00:34:09,443 --> 00:34:19,453 ♬~ 429 00:34:19,453 --> 00:34:23,957 お前たちの じいさんだ。 430 00:34:23,957 --> 00:34:37,404 ♬~ 431 00:34:37,404 --> 00:34:39,740 六助が書いたもののようだ。 432 00:34:39,740 --> 00:34:41,675 えっ? 433 00:34:41,675 --> 00:34:58,592 ♬~ 434 00:34:58,592 --> 00:35:01,495 「おくに。➡ 435 00:35:01,495 --> 00:35:05,465 俺は お前に会えないまま 死んでしまうようだ。➡ 436 00:35:05,465 --> 00:35:10,103 だから これを書いた。➡ 437 00:35:10,103 --> 00:35:15,442 おくに 本当にすまなかった」。 438 00:35:15,442 --> 00:35:19,613 どうして お父っつぁんが謝るんだい! 439 00:35:19,613 --> 00:35:22,950 「母ちゃんが出ていったのも➡ 440 00:35:22,950 --> 00:35:26,787 おくにが 俺に ついてきてくれなかったのも➡ 441 00:35:26,787 --> 00:35:31,225 俺が ふがいないせいだ。➡ 442 00:35:31,225 --> 00:35:35,225 俺が仕事の事しか考えられない バカだったからだ」。 443 00:35:37,998 --> 00:35:40,698 「本当にすまない」。 444 00:35:44,404 --> 00:35:47,074 お父っつぁんは悪くない! 445 00:35:47,074 --> 00:35:49,274 悪くないんだよ。 446 00:35:50,911 --> 00:35:54,248 分かってる…。 447 00:35:54,248 --> 00:35:57,284 私を一番思ってくれてるのは➡ 448 00:35:57,284 --> 00:35:59,284 お父っつぁんだ! 449 00:36:05,859 --> 00:36:08,095 お父っつぁん…。 450 00:36:08,095 --> 00:36:24,278 ♬~ 451 00:36:24,278 --> 00:36:26,278 保本。 452 00:36:28,782 --> 00:36:32,052 六助を みとってやれ。 453 00:36:32,052 --> 00:36:37,552 人の一生で 臨終ほど荘厳なものはない。 454 00:36:39,226 --> 00:36:41,161 はい。 455 00:36:41,161 --> 00:37:14,161 ♬~ 456 00:37:46,960 --> 00:37:50,831 お父っつぁん! 457 00:37:50,831 --> 00:38:03,910 (泣き声) 458 00:38:03,910 --> 00:38:10,584 ≪(泣き声) 459 00:38:10,584 --> 00:38:31,204 ♬~ 460 00:38:31,204 --> 00:38:36,076 せきは いつからだ? (女)3日ほどになります。 461 00:38:36,076 --> 00:38:40,547 舌を出して。 もっと。 462 00:38:40,547 --> 00:38:43,216 そういえば 先生➡ 463 00:38:43,216 --> 00:38:46,553 おくにを どうやって 牢から出したんですか? 464 00:38:46,553 --> 00:38:49,389 大した事じゃない。 465 00:38:49,389 --> 00:38:54,227 しかし…。 (戸が開く音) 466 00:38:54,227 --> 00:38:57,731 (津川)先生 仰せのとおり➡ 467 00:38:57,731 --> 00:39:00,567 金兵衛の宿屋に 行ってまいりました。 468 00:39:00,567 --> 00:39:03,069 先生が おっしゃってたとおり➡ 469 00:39:03,069 --> 00:39:06,940 六助が残した金を隠していました。 470 00:39:06,940 --> 00:39:09,242 やはり そうか。 471 00:39:09,242 --> 00:39:12,078 六助に 何の蓄えもないはずは ないからな。 472 00:39:12,078 --> 00:39:14,114 これで暮らしには困るまい。 473 00:39:14,114 --> 00:39:17,751 奉行所に訴えるぞと脅したら すぐに出しました。 ハハッ。 474 00:39:17,751 --> 00:39:21,254 あっ それから 富三郎が 捕まったそうです。 475 00:39:21,254 --> 00:39:23,254 では。 476 00:39:27,127 --> 00:39:29,127 励めよ。 477 00:39:32,199 --> 00:39:34,199 はい。 478 00:39:39,873 --> 00:39:43,376 こういう時には役に立つ男だ。 479 00:39:43,376 --> 00:39:46,713 森では ああはいかん。 480 00:39:46,713 --> 00:39:49,216 保本。 481 00:39:49,216 --> 00:39:55,989 おくにと六助の一家で 一番悪いのは誰だと思う? 482 00:39:55,989 --> 00:39:58,558 それは 富三郎でしょう。 483 00:39:58,558 --> 00:40:00,494 働きもせず 悪事をしでかして。 484 00:40:00,494 --> 00:40:03,730 しかし その富三郎も➡ 485 00:40:03,730 --> 00:40:07,234 おくにの母親に 若い頃から甘やかされて➡ 486 00:40:07,234 --> 00:40:11,738 女に食わしてもらう習わしが 身についてしまったんだろう。 487 00:40:11,738 --> 00:40:17,077 では 悪いのは おくにの母親か? 488 00:40:17,077 --> 00:40:21,748 その女とて 六助が書いていたように➡ 489 00:40:21,748 --> 00:40:25,252 夫に相手にしてもらえない 寂しさのせいで➡ 490 00:40:25,252 --> 00:40:28,952 若い男に 救いを求めたのかもしれん。 491 00:40:31,925 --> 00:40:36,596 人の関わりとは そうしたもんだ。 492 00:40:36,596 --> 00:40:40,467 万人に当てはまる教訓などない。 493 00:40:40,467 --> 00:40:42,467 はい。 494 00:40:45,605 --> 00:40:49,776 お世話になりました。 お元気で。 495 00:40:49,776 --> 00:40:54,281 行こう。 またね。 496 00:40:54,281 --> 00:41:00,787 六助は 金よりも大きなものを 残したようですね。 497 00:41:00,787 --> 00:41:02,787 ああ。 498 00:41:04,624 --> 00:41:08,795 ところで 先生 さっきのお答えを まだ聞いておりません。 499 00:41:08,795 --> 00:41:11,995 おくにを どうやって 牢から出したのか。 500 00:41:14,467 --> 00:41:18,972 はあ… それは… 何だ…➡ 501 00:41:18,972 --> 00:41:23,310 奉行所の島田は 奥方に頭が上がらんのだ。 502 00:41:23,310 --> 00:41:27,981 しかし やつは 別宅に こっそり 妾を囲ってる。 503 00:41:27,981 --> 00:41:30,681 わしは それを知っていたんだ。 504 00:41:32,819 --> 00:41:37,257 そういう事だ。 はっ? 505 00:41:37,257 --> 00:41:40,594 そうだ。 俺は卑劣な男だ。 506 00:41:40,594 --> 00:41:43,096 今後 もし 俺が お前に 何か偉そうな事を言ったら➡ 507 00:41:43,096 --> 00:41:45,599 今の事を遠慮なく言うがいい! 508 00:41:45,599 --> 00:41:53,340 ♬~ 509 00:41:53,340 --> 00:41:55,308 はい。 510 00:41:55,308 --> 00:42:05,108 ♬~ 511 00:42:14,661 --> 00:42:19,132 あら 着たんですね。 512 00:42:19,132 --> 00:42:23,003 ああ。 それが どうかしたか? 513 00:42:23,003 --> 00:42:25,003 (お杉)いえ。 514 00:42:28,308 --> 00:42:30,243 あっ…➡ 515 00:42:30,243 --> 00:42:33,580 昨日 まさをさんという方がいらして。 516 00:42:33,580 --> 00:42:36,616 分かってる。 今度 話してみる。 517 00:42:36,616 --> 00:42:41,254 そうですか。 かわいらしい人ですね。 518 00:42:41,254 --> 00:42:43,454 それが どうかしたか!? 519 00:42:50,597 --> 00:42:56,297 <どうやら 私は 赤ひげに降参したらしい>