1 00:00:03,100 --> 00:00:05,052 北海道立総合研究機構 2 00:00:05,052 --> 00:00:08,823 さけます・内水面水産試験場に よりますと、 3 00:00:08,823 --> 00:00:12,576 ことしは北海道全体で去年の およそ1.8倍、 4 00:00:12,576 --> 00:00:16,347 えりも町では2倍近くの水揚げ量 が見込まれています。 5 00:00:37,001 --> 00:00:45,142 ♬~ 6 00:00:45,142 --> 00:00:47,478 (保本)<長崎で3年間➡ 7 00:00:47,478 --> 00:00:51,148 オランダ医学を学んで 江戸に帰ってきたばかりの私は➡ 8 00:00:51,148 --> 00:00:53,651 父から 訳も告げられずに➡ 9 00:00:53,651 --> 00:00:57,151 小石川養生所に行くように 言われた> 10 00:00:59,323 --> 00:01:02,226 <小石川養生所➡ 11 00:01:02,226 --> 00:01:08,026 ここは 幕府が作った 無料の医療所だ> 12 00:01:20,010 --> 00:01:22,913 ごめん。 13 00:01:22,913 --> 00:01:27,413 保本といいますが…。 14 00:01:32,289 --> 00:01:34,225 (津川)保本さんですか?➡ 15 00:01:34,225 --> 00:01:38,095 よかった~。 あなたを待ってたんですよ。 16 00:01:38,095 --> 00:01:40,998 どういう事でしょう? 私は…。 17 00:01:40,998 --> 00:01:43,300 長崎に遊学されていたそうですね。 18 00:01:43,300 --> 00:01:45,236 どれぐらい 行っておられたんですか? 19 00:01:45,236 --> 00:01:47,805 3年ちょっとですが。 20 00:01:47,805 --> 00:01:50,140 それより…。 ここは ひどいですよ。 21 00:01:50,140 --> 00:01:54,011 どんなに ひどいかというのは いてみないと 分かりませんがね。 22 00:01:54,011 --> 00:01:57,481 ここの患者ときたら ノミとシラミのたかった➡ 23 00:01:57,481 --> 00:02:01,986 無知蒙昧な貧乏人ばかりだし 給金も僅か。 24 00:02:01,986 --> 00:02:06,490 しかもね ここは 赤ひげという 暴君に支配されていて➡ 25 00:02:06,490 --> 00:02:08,826 誰も 口答えが許されないんです。 26 00:02:08,826 --> 00:02:12,162 赤ひげ? お前ら もっと速く走れ! 27 00:02:12,162 --> 00:02:15,499 もうすぐだからな! 急げ! 28 00:02:15,499 --> 00:02:17,534 先生… 先生! 29 00:02:17,534 --> 00:02:19,670 あっ お願いします! 30 00:02:19,670 --> 00:02:21,605 お願いします! (森)何があった!? 31 00:02:21,605 --> 00:02:24,174 火事で 梁の下敷きになって ももを切ったんです。 32 00:02:24,174 --> 00:02:27,511 腹に子どももいます。 お願いします。 奥に運べ! 33 00:02:27,511 --> 00:02:30,547 おい 早く… 早く! はい! どこです? 34 00:02:30,547 --> 00:02:33,617 手伝って下さい! 私も手伝いましょう。 35 00:02:33,617 --> 00:02:36,287 戸板を横につけろ。 36 00:02:36,287 --> 00:02:39,790 おい… おい! 皆は外で待て! さあ! 37 00:02:39,790 --> 00:02:43,661 みんなは 外で待て! さあ 出た出た! 38 00:02:43,661 --> 00:02:46,161 (津川)これは先生じゃないと 無理でしょう。 39 00:02:49,300 --> 00:02:53,137 先生 出血が尋常ではありません。 40 00:02:53,137 --> 00:02:55,072 (去定)脈は どうだ? 41 00:02:55,072 --> 00:02:57,808 大丈夫です。 梁の下敷きになったそうです。 42 00:02:57,808 --> 00:03:01,645 妊婦か…。 産み月は いつだ? さあ? それは…。 43 00:03:01,645 --> 00:03:04,548 さらし当てて 押さえるぞ。 はい! 44 00:03:04,548 --> 00:03:06,817 おい 分かるか? 45 00:03:06,817 --> 00:03:11,655 チッ。 足りん! もっとだ。 はい。 46 00:03:11,655 --> 00:03:16,827 これは 脚の付け根を 押さえるべきでは? 47 00:03:16,827 --> 00:03:18,762 保本さんです。 48 00:03:18,762 --> 00:03:22,333 湯を持ってこい。 49 00:03:22,333 --> 00:03:24,333 湯だ! 50 00:03:26,170 --> 00:03:29,006 はい! 51 00:03:29,006 --> 00:03:31,675 準備ができたら縫うぞ。 (津川)はい。 52 00:03:31,675 --> 00:03:34,945 台所は? あっ…。 あの奥です。 53 00:03:34,945 --> 00:03:46,123 ♬~ 54 00:03:46,123 --> 00:03:49,026 怪我人を手術するので 湯を沸かしてくれ。 55 00:03:49,026 --> 00:03:50,994 (お雪)今 やってます! 56 00:03:50,994 --> 00:03:53,464 (お常)あの どちらさんで? 57 00:03:53,464 --> 00:03:56,164 誰でもいい。 58 00:03:59,136 --> 00:04:03,307 縫うぞ。 押さえろ。 はい! 59 00:04:03,307 --> 00:04:05,642 あ~! 60 00:04:05,642 --> 00:04:07,578 頑張れ! 61 00:04:07,578 --> 00:04:09,980 う~! 頑張れ…。 62 00:04:09,980 --> 00:04:13,650 おい お前 脚を押さえろ。 はい! 63 00:04:13,650 --> 00:04:15,686 (女)ああ~! う~! 64 00:04:15,686 --> 00:04:19,323 お願いします。 (女)あっ… うっ うう…。 65 00:04:19,323 --> 00:04:22,523 あ~! うう…。 66 00:04:24,161 --> 00:04:28,332 先生 破水してます! 67 00:04:28,332 --> 00:04:32,102 どれ… おい ほかの女たちも呼んでこい。 68 00:04:32,102 --> 00:04:34,438 湯も沸かし続けろ。 はい! 69 00:04:34,438 --> 00:04:36,373 どちらも助けるぞ。 はい! 70 00:04:36,373 --> 00:04:38,609 はね飛ばされねえように しっかり押さえてろよ。 71 00:04:38,609 --> 00:04:40,544 縫い方も よく見とけ。 (津川)はい。 72 00:04:40,544 --> 00:04:42,744 お前もだ! 73 00:04:44,415 --> 00:04:48,786 んん… 何してる! しっかり押さえんか! 74 00:04:48,786 --> 00:04:52,086 んっ! おい… あっ…。 75 00:04:53,657 --> 00:04:56,957 押さえろ! はい! 76 00:05:04,334 --> 00:05:07,137 たった3年の辛抱だ。 77 00:05:07,137 --> 00:05:11,642 修業を積んで 私は きっと いい医者になる。 78 00:05:11,642 --> 00:05:15,813 天野先生に認められる男に なってみせる。 79 00:05:15,813 --> 00:05:19,513 ちぐさ…。 80 00:05:21,685 --> 00:05:23,987 はっ… はあ…。 81 00:05:23,987 --> 00:05:26,657 はあ… はあ…。 82 00:05:26,657 --> 00:05:32,463 怪我をした女の命は助かったぞ。 83 00:05:32,463 --> 00:05:36,263 新出去定だ。 84 00:05:44,608 --> 00:05:47,644 失礼しました。 85 00:05:47,644 --> 00:05:50,781 私は…。 分かってる。 86 00:05:50,781 --> 00:05:55,452 お前は 今日から 見習いとして ここに詰める。 87 00:05:55,452 --> 00:05:58,288 えっ? 向かいが お前の部屋だ。 88 00:05:58,288 --> 00:06:02,488 それから そのお仕着せを着るように。 89 00:06:06,463 --> 00:06:10,133 えっ… 待って下さい。 90 00:06:10,133 --> 00:06:13,637 私は 長崎で3年間 オランダ医学を学んできました。 91 00:06:13,637 --> 00:06:18,141 長崎では 大量の出血には 止血帯法なのか。 92 00:06:18,141 --> 00:06:23,814 そうですが なぜ ご存じで? 93 00:06:23,814 --> 00:06:27,150 これを書いたのは お前だろ? 94 00:06:27,150 --> 00:06:29,086 あっ! それは 私の…。 95 00:06:29,086 --> 00:06:33,423 断りもなく見た事は謝る。 急ぎ 止血法を知りたかったんでな。 96 00:06:33,423 --> 00:06:35,759 いや~ 役に立った。 97 00:06:35,759 --> 00:06:38,095 では もう よろしいでしょう。 返して下さい。 いや…。 98 00:06:38,095 --> 00:06:40,030 これは しばらく わしが預かる。 99 00:06:40,030 --> 00:06:42,966 それは困ります。 別に困らんだろう。 100 00:06:42,966 --> 00:06:47,966 詳しい事は 森に聞け。 さっきの眼鏡の男だ。 101 00:06:49,706 --> 00:06:54,111 通い療治の者たちだ。 102 00:06:54,111 --> 00:06:59,449 今日から 見習い医として 勤める事になった保本だ。 103 00:06:59,449 --> 00:07:05,122 新しい先生ですか? よかった よかった…。 104 00:07:05,122 --> 00:07:08,792 いえ 私は…。 おう 森。 後の事は教えてやれ。 105 00:07:08,792 --> 00:07:11,295 はい。 ちょっと…。 106 00:07:11,295 --> 00:07:14,495 では ご説明しましょう。 107 00:07:16,800 --> 00:07:19,636 ここでは 食事をとるのは 食堂だけ。 108 00:07:19,636 --> 00:07:22,139 部屋での飲食は禁止です。 あの帳面は➡ 109 00:07:22,139 --> 00:07:25,475 長崎で学んだ事を 自分なりに まとめたものです。 110 00:07:25,475 --> 00:07:27,978 それを 人に見せてしまっては…。 111 00:07:27,978 --> 00:07:30,480 あなたは 通い療治を担当されるんですね。 112 00:07:30,480 --> 00:07:32,749 療治は 明け六つから 暮れ六つまでです。 113 00:07:32,749 --> 00:07:35,419 将軍家のお目見え医師に なれるはずだったのに➡ 114 00:07:35,419 --> 00:07:38,755 こんなとこに埋もれてしまっては 学んだ事が無駄になってしまう。 115 00:07:38,755 --> 00:07:40,691 それから 着るものですが…。 116 00:07:40,691 --> 00:07:42,626 人の言う事を 聞いているんですか? 117 00:07:42,626 --> 00:07:45,926 私は ここの事を説明しろと 先生に言われたので。 118 00:07:47,764 --> 00:07:51,635 ああ… それにしても ここは寒いですね。 119 00:07:51,635 --> 00:07:55,439 どこにも火桶が置いてないし 畳も敷いてない。 120 00:07:55,439 --> 00:07:58,275 江戸の寒さくらいは かえって 体にいいんです。 121 00:07:58,275 --> 00:08:00,210 それも あの人が言ったんですか? 122 00:08:00,210 --> 00:08:03,780 ええ。 畳も ほこりと湿気の たまり場になるという事で➡ 123 00:08:03,780 --> 00:08:06,080 取り払われました。 (戸の開く音) 124 00:08:08,952 --> 00:08:11,288 じゃ お世話になりました。 125 00:08:11,288 --> 00:08:14,191 お達者で。 出ていくんですか? 126 00:08:14,191 --> 00:08:18,962 代わりが来てくれたんですからね 出ていかない手はありませんよ。 127 00:08:18,962 --> 00:08:21,262 では。 128 00:08:23,800 --> 00:08:28,972 代わりとは? あなたの事ですよ。 129 00:08:28,972 --> 00:08:30,972 えっ? 130 00:08:33,410 --> 00:08:35,610 待って下さい。 131 00:08:37,748 --> 00:08:40,417 代わりにされては困ります。 132 00:08:40,417 --> 00:08:43,320 でも 私はもう 行き先が決まってますからね。 133 00:08:43,320 --> 00:08:48,091 さる小大名のお抱え医師です。 ここよりは よほど ましでしょ。 134 00:08:48,091 --> 00:08:53,964 (風鈴の音) 135 00:08:53,964 --> 00:08:57,100 そうだ…。 136 00:08:57,100 --> 00:09:01,900 最初から仕組まれてたんだ。 137 00:09:03,607 --> 00:09:06,107 仕組まれた? 138 00:09:08,779 --> 00:09:10,714 ちぐさだ…。 139 00:09:10,714 --> 00:09:17,120 女がらみですか。 女には 気を付けないとね。 140 00:09:17,120 --> 00:09:21,992 ここにも 一人 気を付けないといけないのが。 141 00:09:21,992 --> 00:09:25,829 えっ? 置き土産の代わりに 教えてあげましょう。 142 00:09:25,829 --> 00:09:27,829 こっちです。 143 00:09:32,903 --> 00:09:34,938 ここですよ。 144 00:09:34,938 --> 00:09:37,074 ここは? 145 00:09:37,074 --> 00:09:39,910 ここには さる大店の娘が 入ってるんです。 146 00:09:39,910 --> 00:09:44,247 名前を おゆみといって 年は 30を過ぎてますが➡ 147 00:09:44,247 --> 00:09:48,118 ここは おゆみの親が 自分の金で建てたんです。 148 00:09:48,118 --> 00:09:50,921 赤ひげの仰せに従って➡ 149 00:09:50,921 --> 00:09:55,592 この建物そのものが 牢造りになってましてね。 150 00:09:55,592 --> 00:09:59,096 えっ…。 閉じ込めない限り➡ 151 00:09:59,096 --> 00:10:02,966 また 同じ事を繰り返すとね。 152 00:10:02,966 --> 00:10:06,603 一体 何をしたんですか? 153 00:10:06,603 --> 00:10:10,273 店の男を立て続けに 2人 殺したんです。 154 00:10:10,273 --> 00:10:12,776 えっ!? 19の頃に➡ 155 00:10:12,776 --> 00:10:15,278 言い交わした男が いたんですがね➡ 156 00:10:15,278 --> 00:10:19,616 いざ 嫁入りとなった時 男の方が 急に約束を反故にして➡ 157 00:10:19,616 --> 00:10:23,120 ほかの娘を 嫁にしてしまったんです。 158 00:10:23,120 --> 00:10:28,291 それから1年ほど 気鬱のようになっていたそうです。 159 00:10:28,291 --> 00:10:34,164 それが治ったかに見えた頃 最初の騒動が起こったんです。 160 00:10:34,164 --> 00:10:38,802 それから 立て続けに3人。 161 00:10:38,802 --> 00:10:41,705 3人目は 命を取り留めましてね➡ 162 00:10:41,705 --> 00:10:49,146 その男の話で 娘が何をしたか 分かったんです。 163 00:10:49,146 --> 00:10:55,318 色仕掛けで近づき 男の自由を奪っておいて➡ 164 00:10:55,318 --> 00:10:58,221 かんざしで ブスリと。 165 00:10:58,221 --> 00:11:02,492 初めは 娘の方から気のある そぶりをして 近づいたそうです。 166 00:11:02,492 --> 00:11:09,666 そして 夜 男に 部屋に忍んでこさせ➡ 167 00:11:09,666 --> 00:11:13,003 男が油断したところを…。 168 00:11:13,003 --> 00:11:14,938 はっ! あっ ああ…。 169 00:11:14,938 --> 00:11:17,438 がっ! ああ…。 170 00:11:19,176 --> 00:11:22,846 やめて下さい。 171 00:11:22,846 --> 00:11:26,716 いい加減な話を広めないで下さい。 172 00:11:26,716 --> 00:11:29,716 (津川)事実は違うのか? 173 00:11:32,122 --> 00:11:35,422 お嬢様は…。 174 00:11:41,464 --> 00:11:46,803 お嬢様は かわいそうな方なんです。 175 00:11:46,803 --> 00:11:52,803 私は出ていく事になってね。 お別れだ。 176 00:11:58,148 --> 00:12:01,484 (津川)嫌われたもんだ。 177 00:12:01,484 --> 00:12:03,484 それじゃ。 178 00:12:05,822 --> 00:12:09,122 ちょっと… ちょっ…。 179 00:12:12,162 --> 00:12:16,499 あの人の言った事が 本当かどうかなんて分かりません。 180 00:12:16,499 --> 00:12:18,435 生き残った男の人が➡ 181 00:12:18,435 --> 00:12:21,671 自分に都合のいいように 作り話をしたのかも。 182 00:12:21,671 --> 00:12:23,707 あなたは? 183 00:12:23,707 --> 00:12:28,445 お嬢様のお世話をしている者です。 184 00:12:28,445 --> 00:12:31,348 ≪(おゆみ)うう~…。 185 00:12:31,348 --> 00:12:33,348 お嬢様!? 186 00:12:36,186 --> 00:12:39,089 (お杉)お嬢様!➡ 187 00:12:39,089 --> 00:12:43,994 お薬です。 大丈夫ですよ。 (おゆみ)うう…。 188 00:12:43,994 --> 00:12:56,139 ♬~ 189 00:12:56,139 --> 00:12:58,939 入れ。 はい。 190 00:13:02,646 --> 00:13:07,150 よし… 口を開けろ。 はい。 191 00:13:07,150 --> 00:13:09,986 もっとだ。 192 00:13:09,986 --> 00:13:13,023 ♬~ 193 00:13:13,023 --> 00:13:17,494 まったく クソの役にも立ちゃしない。 194 00:13:17,494 --> 00:13:23,366 <ここに詰めるようにと 奉行所からのお達しが届いた。➡ 195 00:13:23,366 --> 00:13:29,005 勝手に出ていく訳には いかなくなってしまった。➡ 196 00:13:29,005 --> 00:13:33,276 とにかく 奉行所に談判しよう。➡ 197 00:13:33,276 --> 00:13:35,779 しかし 出ていくにしても➡ 198 00:13:35,779 --> 00:13:40,779 赤ひげに取られた帳面を 取り返さないと…> 199 00:13:44,120 --> 00:13:47,157 [ 回想 ] (津川)色仕掛けで近づき➡ 200 00:13:47,157 --> 00:13:50,357 かんざしで ブスリと。 201 00:13:56,299 --> 00:14:24,299 ♬~ 202 00:14:26,296 --> 00:14:29,199 天罰じゃ… 天罰じゃ! 203 00:14:29,199 --> 00:14:32,435 やっと見つけたぞ。 こんな所まで逃げて…。 204 00:14:32,435 --> 00:14:35,105 あんなとこから こんなとこまで。 (お常)保本先生? 205 00:14:35,105 --> 00:14:37,607 お食事ですけど…。 206 00:14:37,607 --> 00:14:39,807 ああ。 207 00:14:42,445 --> 00:14:47,945 ところで お仕着せを着るよう ご説明したはずですが? 208 00:14:49,619 --> 00:14:51,955 その男に言ってやれ。 209 00:14:51,955 --> 00:14:57,827 ここを出ていっても ほかに行く所はないぞ。 210 00:14:57,827 --> 00:15:00,663 卑怯な…。 211 00:15:00,663 --> 00:15:04,534 卑怯とは誰の事か聞け。 212 00:15:04,534 --> 00:15:06,970 卑怯とは? やはり➡ 213 00:15:06,970 --> 00:15:11,307 天野先生が 私を邪魔にして ここに追いやったんですね。 214 00:15:11,307 --> 00:15:13,643 天野先生? 215 00:15:13,643 --> 00:15:17,814 公儀表御番医の 天野源伯先生ですか? 216 00:15:17,814 --> 00:15:20,850 あの人が手を回したに違いない。 217 00:15:20,850 --> 00:15:25,150 (風鈴の音) 218 00:15:28,158 --> 00:15:42,672 ♬~ 219 00:15:42,672 --> 00:15:48,472 はあ…。 どうなんですか? 220 00:15:53,616 --> 00:15:58,416 先生 お嬢様の具合が…。 分かった。 221 00:16:03,126 --> 00:16:07,630 向かいの病人は よく具合が悪くなるんですか? 222 00:16:07,630 --> 00:16:10,967 なぜ そんな事を? 223 00:16:10,967 --> 00:16:16,139 私は 長崎で 気鬱の病についても学びました。 224 00:16:16,139 --> 00:16:19,042 その知識が 役に立つかもしれません。 225 00:16:19,042 --> 00:16:23,880 なら それを先生に。 診察するには 帳面を見ないと。 226 00:16:23,880 --> 00:16:28,151 それを取られたままです。 そうですか。 227 00:16:28,151 --> 00:16:31,988 根比べで 先生に勝とうなんて 無駄ですよ。 228 00:16:31,988 --> 00:16:33,957 余計な事 言うんじゃないよ。 229 00:16:33,957 --> 00:16:35,957 は~い。 230 00:16:42,265 --> 00:16:46,769 あの堅物は やめといた方がいいよ。 231 00:16:46,769 --> 00:16:50,106 それより あっちの 新しい人 どうだい? 232 00:16:50,106 --> 00:16:53,977 え~ そうねえ…。 フフッ アハハハハ…。 233 00:16:53,977 --> 00:16:56,277 どう? お光さん。 234 00:16:57,981 --> 00:17:00,750 あっ そう… はい。 235 00:17:00,750 --> 00:17:06,289 男を殺したのは 許嫁の男に 裏切られた事が もとなんだな? 236 00:17:06,289 --> 00:17:10,126 先生の見立ては違います。 あの人は何と? 237 00:17:10,126 --> 00:17:13,796 一種の 生まれた時からの 色情症だと 先生は言っています。 238 00:17:13,796 --> 00:17:16,466 じゃあ 縁談が壊れた事とは 関わりないと? 239 00:17:16,466 --> 00:17:20,466 だから 興味があるなら 先生に聞いて下さい。 240 00:17:22,138 --> 00:17:25,808 あっ いや 私は ここを出ていく者です。 241 00:17:25,808 --> 00:17:31,508 これ以上 どこを どう削れと言われるか! 242 00:17:36,085 --> 00:17:38,121 ケッ…。 243 00:17:38,121 --> 00:17:40,590 また削減ですか? 244 00:17:40,590 --> 00:17:44,427 大奥の女たちの衣装代に 浪費する金はあっても➡ 245 00:17:44,427 --> 00:17:47,263 ここに使う金は ないらしい。 246 00:17:47,263 --> 00:17:50,099 わしは しばらく機嫌が悪いから 気を付けろ。 247 00:17:50,099 --> 00:17:52,099 はい。 248 00:17:54,437 --> 00:17:56,372 機嫌がいい時も あるんですか? 249 00:17:56,372 --> 00:17:59,108 あります。 見分けは つきにくいですが➡ 250 00:17:59,108 --> 00:18:01,108 慣れたら 分かります。 251 00:18:05,615 --> 00:18:09,786 慣れるつもりは ありません。 252 00:18:09,786 --> 00:18:21,397 ♬~ 253 00:18:21,397 --> 00:18:24,801 (お杉) お酒なんて… 叱られますよ。 254 00:18:24,801 --> 00:18:28,137 そのために飲んでるんだ。 (お杉)えっ? 255 00:18:28,137 --> 00:18:31,437 向こうから出ていってくれと 言われるまでだ。 256 00:18:32,976 --> 00:18:35,411 ≪(お杉)子どもみたいな事を。 257 00:18:35,411 --> 00:18:38,081 ≪赤ひげに言いつければいい。 258 00:18:38,081 --> 00:18:40,917 ≪(お杉)赤ひげなんて言い方 よくありませんよ。 259 00:18:40,917 --> 00:18:46,217 ≪どう見ても 赤ひげだ。 うまい あだ名を付けたもんだ。 260 00:18:48,424 --> 00:18:52,762 あんたは 毎晩 あの娘と一緒に寝ているのか? 261 00:18:52,762 --> 00:18:56,262 そうですよ。 262 00:18:57,934 --> 00:19:04,434 怖くないのか? その…。 263 00:19:06,109 --> 00:19:13,983 人殺し… だからですか? 264 00:19:13,983 --> 00:19:19,122 お嬢さんは 私に そんな事はしません。 265 00:19:19,122 --> 00:19:22,458 男だけか。 266 00:19:22,458 --> 00:19:25,495 あなたも お嬢さんに興味があるんですね。 267 00:19:25,495 --> 00:19:29,495 ≪医者なら当然だ。 268 00:19:34,103 --> 00:19:39,603 人は どうして 心が病んでしまうんでしょうか? 269 00:19:45,248 --> 00:19:50,420 ≪何かから逃げるためだ。➡ 270 00:19:50,420 --> 00:19:54,290 体は逃げる事ができない時➡ 271 00:19:54,290 --> 00:19:58,490 心が逃げようとするんだ。 272 00:20:02,031 --> 00:20:06,436 いっそ 病んでしまえば 楽なんでしょうか? 273 00:20:06,436 --> 00:20:09,136 さあな。 274 00:20:16,946 --> 00:20:20,450 ここが そんなに嫌ですか?➡ 275 00:20:20,450 --> 00:20:23,953 新出先生は 前々から おっしゃっていましたよ。➡ 276 00:20:23,953 --> 00:20:28,124 ここには 優秀な医者が もっと欲しいって。➡ 277 00:20:28,124 --> 00:20:30,159 腕がいいだけでなく➡ 278 00:20:30,159 --> 00:20:34,797 本気で 病人を治す 気組みのある医者が欲しいって。 279 00:20:34,797 --> 00:20:37,700 だったら なおさら駄目だ。 280 00:20:37,700 --> 00:20:41,671 俺なんか まだまだ ひよっこだ。 281 00:20:41,671 --> 00:20:46,142 第一 なぜ 俺を放っておくんだ? 282 00:20:46,142 --> 00:20:49,178 なぜ ちゃんと働けと言わない!? 283 00:20:49,178 --> 00:20:52,815 やっぱり あの帳面だけが目的なんだろう。 284 00:20:52,815 --> 00:20:56,652 ≪(お杉)自信があるような事を 言ったり➡ 285 00:20:56,652 --> 00:21:02,458 ないような事を言ったり… 面白い人ね。 286 00:21:02,458 --> 00:21:05,828 ≪うるさい! 287 00:21:05,828 --> 00:21:21,844 ♬~ 288 00:21:21,844 --> 00:21:24,180 いいのか? 飲ませて。 289 00:21:24,180 --> 00:21:28,684 もっと あなたの話が 聞いてみたくなったんです。 290 00:21:28,684 --> 00:21:34,791 お前こそ話せ。 私が何を? 291 00:21:34,791 --> 00:21:38,091 知るか。 292 00:21:43,800 --> 00:21:50,473 私は 13の年から 伊勢屋に奉公に上がりました。 293 00:21:50,473 --> 00:21:54,343 その一人娘が あの方です。 294 00:21:54,343 --> 00:21:58,147 お嬢様は 奉公人の私にも➡ 295 00:21:58,147 --> 00:22:02,652 分け隔てなく 優しくしてくれました。 296 00:22:02,652 --> 00:22:05,688 お嬢様は 私の家族同然です。 297 00:22:05,688 --> 00:22:09,188 お前に 本当の身寄りはないのか? 298 00:22:12,829 --> 00:22:16,629 私の話は それだけです。 299 00:22:26,375 --> 00:22:32,114 先生が 往診に同行するようにって おっしゃってますよ。 300 00:22:32,114 --> 00:22:36,786 えっ? えっ… いや 私は…。 301 00:22:36,786 --> 00:22:39,455 (お常)はあ! 302 00:22:39,455 --> 00:22:43,960 言ったとおり 薬は のんだのか? (男)あっ へい。 303 00:22:43,960 --> 00:22:49,465 酒は? 飲んでないだろうな? (男)あっ… へい。 そりゃもう。 304 00:22:49,465 --> 00:22:53,765 飲んだな? バカ者! 305 00:22:55,805 --> 00:22:59,308 はあ…。 306 00:22:59,308 --> 00:23:04,180 このような貧しい暮らしぶりを 見るのは 初めてか? 307 00:23:04,180 --> 00:23:06,182 はあ…。 308 00:23:06,182 --> 00:23:08,818 先生! おう どうした? 309 00:23:08,818 --> 00:23:10,753 おっ母さんが! うん? 310 00:23:10,753 --> 00:23:15,157 おっ母さんが おっ母さんが…。 311 00:23:15,157 --> 00:23:17,093 (せきこみ) 312 00:23:17,093 --> 00:23:20,663 診てみるか? 313 00:23:20,663 --> 00:23:23,499 私は ついてきただけです。 314 00:23:23,499 --> 00:23:27,169 はあ はあ はあ…。 315 00:23:27,169 --> 00:23:30,840 お杉なら元気だ。 安心しろ。 316 00:23:30,840 --> 00:23:34,610 ほれ これを持て。 この女は…。 317 00:23:34,610 --> 00:23:38,281 お杉の母親だ。 ゆっくり のむんだぞ。 318 00:23:38,281 --> 00:23:43,581 さあ もう一口 のめ。 319 00:23:45,788 --> 00:23:48,291 よ~し。 320 00:23:48,291 --> 00:23:53,462 おさよ これで少しは楽になるぞ。 321 00:23:53,462 --> 00:23:56,499 おっ母… よかったな。➡ 322 00:23:56,499 --> 00:24:01,199 これで楽になるってよ。 323 00:24:03,639 --> 00:24:09,145 お杉は 身内の事は何も言わなかった。 324 00:24:09,145 --> 00:24:12,648 この養生所で おゆみの世話を するようになってから➡ 325 00:24:12,648 --> 00:24:16,819 母と会っていない。 326 00:24:16,819 --> 00:24:21,691 あの母親は労咳です。 もう長くはないようでした。 327 00:24:21,691 --> 00:24:26,829 うん… 薬をのませてはいるが 気休めだ。 328 00:24:26,829 --> 00:24:29,665 なのに 会わせてやらないんですか? 329 00:24:29,665 --> 00:24:31,701 伊勢屋のあるじが➡ 330 00:24:31,701 --> 00:24:36,772 片ときも おゆみから目を離すなと 言ってるからな。 331 00:24:36,772 --> 00:24:39,442 そんな…。 332 00:24:39,442 --> 00:24:43,613 あの離れは 伊勢屋が金を出して 建てたもんだ。 333 00:24:43,613 --> 00:24:49,413 我々も おいそれと 口出しができんのだ。 334 00:25:09,839 --> 00:25:11,974 あれ?➡ 335 00:25:11,974 --> 00:25:16,646 ねえ お杉さんの妹じゃない? 336 00:25:16,646 --> 00:25:21,446 前にも来たのを見た事があるわ。 (お常)どれ? 337 00:25:29,158 --> 00:25:33,358 ≪(門番)お… お杉さん…。 338 00:25:39,602 --> 00:25:45,107 おっ母さんが さっき…。 339 00:25:45,107 --> 00:25:49,445 (おさよの泣き声) 340 00:25:49,445 --> 00:25:58,954 ♬~ 341 00:25:58,954 --> 00:26:03,459 お杉さん かわいそうに…。 342 00:26:03,459 --> 00:26:07,129 母親の死に目にも あえないなんて…。 343 00:26:07,129 --> 00:26:20,976 ♬~ 344 00:26:20,976 --> 00:26:24,476 どうしたんですか? 345 00:26:26,148 --> 00:26:30,648 酔ってるんですか!? 放っておけ。 346 00:26:32,955 --> 00:26:37,955 お杉の母親が死にました。 347 00:26:40,429 --> 00:26:44,266 どうしてですか? 348 00:26:44,266 --> 00:26:50,139 どうして あの女は親の死に目にも あえなかったんですか? 349 00:26:50,139 --> 00:26:56,278 そのような者は 世の中に いくらでもいる。 350 00:26:56,278 --> 00:26:59,949 お杉は 私と同様 あなたの犠牲者だ…。 351 00:26:59,949 --> 00:27:03,649 こんなとこに押し込められて! 352 00:27:05,287 --> 00:27:09,458 お杉とお前が同じだ? 353 00:27:09,458 --> 00:27:13,329 とんでもない思い違いだ。 354 00:27:13,329 --> 00:27:42,129 ♬~ 355 00:27:43,926 --> 00:27:47,429 妹一人では心細いだろう。 356 00:27:47,429 --> 00:27:51,300 後で行って できる事があったら してやれ。 357 00:27:51,300 --> 00:27:53,769 はい。 358 00:27:53,769 --> 00:27:56,806 先生… 先生! 359 00:27:56,806 --> 00:27:58,941 先生! 先生! 360 00:27:58,941 --> 00:28:01,977 どうした!? お嬢様がいないんです! 361 00:28:01,977 --> 00:28:04,613 何? あの… 私…➡ 362 00:28:04,613 --> 00:28:06,549 うっかり 鍵をかけ忘れて…。 363 00:28:06,549 --> 00:28:10,249 手分けして捜せ! はい! (お常)さあ お杉さん! 364 00:28:12,354 --> 00:28:16,654 あなたは 何も見ていなかったんですか!? 365 00:28:22,998 --> 00:28:25,198 お嬢様…。 366 00:28:28,304 --> 00:28:30,304 お嬢様…。 367 00:28:31,974 --> 00:28:33,909 いません。 368 00:28:33,909 --> 00:28:36,245 おゆみさん 来なかった? 369 00:28:36,245 --> 00:28:39,915 ここには誰も。 370 00:28:39,915 --> 00:28:44,753 おゆみさん? おゆみさ~ん!➡ 371 00:28:44,753 --> 00:28:49,091 おゆみさん? おゆみさ~ん!➡ 372 00:28:49,091 --> 00:28:52,595 おゆみさん? 373 00:28:52,595 --> 00:28:56,432 ♬~ 374 00:28:56,432 --> 00:28:59,932 お杉? 375 00:29:20,623 --> 00:29:23,525 おゆみだな? 376 00:29:23,525 --> 00:29:29,725 ≪おゆみさ~ん! ≪おゆみさ~ん! 377 00:29:31,333 --> 00:29:35,070 ≪おゆみさ~ん! (戸を閉める音) 378 00:29:35,070 --> 00:29:39,942 心配するな。 悪いようにはしない。 379 00:29:39,942 --> 00:29:44,079 なぜ逃げたんだ? 380 00:29:44,079 --> 00:29:49,251 私は 本当は 病気なんかじゃないんです。 381 00:29:49,251 --> 00:29:52,751 あなたは? 382 00:29:54,924 --> 00:29:56,859 安心しろ。 383 00:29:56,859 --> 00:30:00,796 私は医者だ。 長崎で学んできた。 384 00:30:00,796 --> 00:30:04,266 お前の話を聞けば 病気かどうか分かる。 385 00:30:04,266 --> 00:30:06,602 よかった…。 386 00:30:06,602 --> 00:30:11,273 やっと 私の話を聞いてくれる人がいた。 387 00:30:11,273 --> 00:30:13,609 あの赤ひげは駄目。 388 00:30:13,609 --> 00:30:18,480 そうだろう。 さあ 話せ。 389 00:30:18,480 --> 00:30:23,285 私は 大きな店の娘に生まれて➡ 390 00:30:23,285 --> 00:30:26,322 何不自由なく育ちました。➡ 391 00:30:26,322 --> 00:30:30,626 私は 自分が 幸せな身の上だという事を➡ 392 00:30:30,626 --> 00:30:34,496 疑った事はありませんでした。 393 00:30:34,496 --> 00:30:38,367 でも ある時から➡ 394 00:30:38,367 --> 00:30:44,807 私は 人に言えない 恐ろしい秘密を…。 395 00:30:44,807 --> 00:30:47,142 秘密? 396 00:30:47,142 --> 00:30:49,645 言ってみろ。 397 00:30:49,645 --> 00:30:52,314 店の手代に…。 398 00:30:52,314 --> 00:30:57,814 お嬢さん 2人で楽しい事をしましょう。 399 00:31:00,823 --> 00:31:05,661 あの人は 私に…。➡ 400 00:31:05,661 --> 00:31:07,696 はあ… はあ…。➡ 401 00:31:07,696 --> 00:31:13,836 あの人は言いました。 この事を人に話したら殺すって。 402 00:31:13,836 --> 00:31:18,674 その男は 私が 誰にも言えないのをいい事に➡ 403 00:31:18,674 --> 00:31:20,609 何度も…。➡ 404 00:31:20,609 --> 00:31:23,345 その度に言われました。➡ 405 00:31:23,345 --> 00:31:26,682 もし 人に話したら殺す…。➡ 406 00:31:26,682 --> 00:31:28,717 殺す… 殺す…。 407 00:31:28,717 --> 00:31:31,520 はあ はあ…。 408 00:31:31,520 --> 00:31:34,957 安心しろ。 私は医者だ。 409 00:31:34,957 --> 00:31:39,461 安心して話せ。 はあ はあ はあ…。 410 00:31:39,461 --> 00:31:43,332 私は言いつけを守って 誰にも言いませんでした…。 411 00:31:43,332 --> 00:31:47,970 はあ… はあ… はあ…。 412 00:31:47,970 --> 00:31:53,776 大きくなった私に 嫁入りの話が 持ち上がりました。➡ 413 00:31:53,776 --> 00:31:57,312 内祝言の杯を交わしていたのに➡ 414 00:31:57,312 --> 00:32:02,484 急に なかった事にって…。 415 00:32:02,484 --> 00:32:06,989 一体 どうして そんな事に? 416 00:32:06,989 --> 00:32:12,861 私の実の母は 父のお妾だった人なんです。 417 00:32:12,861 --> 00:32:17,699 でも ほかの男と 駆け落ちしたそうです。➡ 418 00:32:17,699 --> 00:32:24,339 母は 駆け落ちした相手に 殺されたそうです。 419 00:32:24,339 --> 00:32:27,009 えっ? 420 00:32:27,009 --> 00:32:33,809 父は 私を忌み嫌って こんな所に閉じ込めたんです! 421 00:32:35,451 --> 00:32:39,621 母は 男に殺された。 422 00:32:39,621 --> 00:32:44,793 私も いつか 男の人に殺される…。 423 00:32:44,793 --> 00:32:49,965 だったら… 殺される前に 殺すしかない。 424 00:32:49,965 --> 00:32:53,635 自分が殺されるぐらいなら 殺してやろう。 425 00:32:53,635 --> 00:32:56,138 やめろ…。 そうよ… 殺すしかない。 426 00:32:56,138 --> 00:32:58,073 だから やったのよ。 427 00:32:58,073 --> 00:33:01,810 このかんざしで…。 428 00:33:01,810 --> 00:33:03,745 あっ…! 429 00:33:03,745 --> 00:33:13,155 ♬~ 430 00:33:13,155 --> 00:33:16,058 ああ~! 431 00:33:16,058 --> 00:33:18,858 うっ…! 432 00:33:27,669 --> 00:33:32,169 危ないところだったな。 433 00:33:39,314 --> 00:33:43,014 すみません…。 434 00:33:45,154 --> 00:33:47,789 その傷は? 435 00:33:47,789 --> 00:33:54,663 フン あの娘 ここに 何度も かみついた。 436 00:33:54,663 --> 00:33:59,501 先生 おゆみの父親が来ました。 437 00:33:59,501 --> 00:34:01,803 そうか。 438 00:34:01,803 --> 00:34:03,739 (伊勢屋)お前は何をしてたんだ! 439 00:34:03,739 --> 00:34:05,974 申し訳ありません…! 440 00:34:05,974 --> 00:34:10,812 おゆみの病も 一向に よくならない。 441 00:34:10,812 --> 00:34:14,483 あんな娘だからこそ かわいい。 せめて➡ 442 00:34:14,483 --> 00:34:18,353 安逸に暮らさせてやりたいと 思っていたのに。 443 00:34:18,353 --> 00:34:21,256 私が悪いんです。 (伊勢屋)そうだよ! 444 00:34:21,256 --> 00:34:24,193 何よりも お前が 目を離したのが悪い! 445 00:34:24,193 --> 00:34:27,663 おゆみの事は 任せていたはずじゃないか! 446 00:34:27,663 --> 00:34:30,699 (お杉)申し訳ありません…。 447 00:34:30,699 --> 00:34:34,770 よろしいですか? 何か? 448 00:34:34,770 --> 00:34:37,606 この お杉は…。 お前は黙ってろ。 449 00:34:37,606 --> 00:34:39,541 言わせて下さい! いいから黙ってろ。 450 00:34:39,541 --> 00:34:41,476 なぜですか!? 451 00:34:41,476 --> 00:34:44,479 わしが言うからだ。 452 00:34:44,479 --> 00:34:48,317 えっ? おい お前。 453 00:34:48,317 --> 00:34:52,120 「お前」だ? お前は何だ! 454 00:34:52,120 --> 00:34:55,157 娘を人任せにして。 455 00:34:55,157 --> 00:34:59,294 ぶ… 無礼な! お杉に 娘を押しつけて➡ 456 00:34:59,294 --> 00:35:03,465 自分は 逃げてるだけだ! 457 00:35:03,465 --> 00:35:10,138 お杉の母親は 昨日 死んだ。 458 00:35:10,138 --> 00:35:17,012 母を失った日でさえ お杉は 勤めを放り出そうとしなかった。 459 00:35:17,012 --> 00:35:20,315 おゆみを一番思っているのは お前じゃない。 460 00:35:20,315 --> 00:35:22,515 この お杉だ! 461 00:35:25,187 --> 00:35:32,594 お前の娘が生きてるのは お杉のおかげだ。 462 00:35:32,594 --> 00:35:41,103 娘を かわいいと思うなら お杉に報いてやれ。 463 00:35:41,103 --> 00:35:45,974 (すすり泣き) 464 00:35:45,974 --> 00:36:04,126 ♬~ 465 00:36:04,126 --> 00:36:19,675 ♬~ 466 00:36:19,675 --> 00:36:23,979 子どもの頃に いたずらをされた 娘は ほかにもいる。 467 00:36:23,979 --> 00:36:28,483 それでも 立派に生きている者はいる。 468 00:36:28,483 --> 00:36:33,088 では あの娘が弱かったのか? 469 00:36:33,088 --> 00:36:35,757 それも違う。 470 00:36:35,757 --> 00:36:38,660 何が人を分けるのか➡ 471 00:36:38,660 --> 00:36:43,265 まだ分からない事は たくさんある。 472 00:36:43,265 --> 00:36:47,135 我々は まだまだ無知だ。 473 00:36:47,135 --> 00:36:49,938 そして無力だ。 474 00:36:49,938 --> 00:36:57,438 無知と貧困 こいつと闘っていくしかない。 475 00:37:02,451 --> 00:37:07,651 参考になった。 返すぞ。 476 00:37:09,224 --> 00:37:11,159 先生…。 477 00:37:11,159 --> 00:37:16,998 ここには お前のような人材は欠かせない。 478 00:37:16,998 --> 00:37:19,468 しかし…➡ 479 00:37:19,468 --> 00:37:23,338 それでも どうしても ここが嫌だって言うんだったら➡ 480 00:37:23,338 --> 00:37:27,809 出ていってもいいぞ。 481 00:37:27,809 --> 00:37:30,846 あなたは ずるい。 482 00:37:30,846 --> 00:37:34,082 何? 483 00:37:34,082 --> 00:37:37,119 そんな事を言われては 出ていけません。 484 00:37:37,119 --> 00:37:41,256 人が親切に言ってやってるのに 何だ その言いぐさは。 485 00:37:41,256 --> 00:37:44,092 あなたには恥ずかしいところを 二度も見られました。 486 00:37:44,092 --> 00:37:47,596 それを取り返さない事には 出ていけません! 487 00:37:47,596 --> 00:37:50,596 勝手にしろ! 488 00:37:52,768 --> 00:37:56,271 <思わず あんな事を言ってしまったが➡ 489 00:37:56,271 --> 00:38:01,971 なぜか 少しも後悔を感じていなかった>