1 00:00:03,786 --> 00:00:07,573 これまでのところ、ほかに けが人はなく警察と消防で詳しい 2 00:00:07,573 --> 00:00:09,625 状況を調べています。 3 00:00:34,016 --> 00:00:37,420 (去定)それは受け入れられん! もう決まった事だ。 4 00:00:37,420 --> 00:00:40,923 これ以上 出費を切り詰めるなど どうしろというのだ!? 5 00:00:40,923 --> 00:00:45,228 だから 通い療治をやめろと言ってるんだ。 通い療治はやめん! 6 00:00:45,228 --> 00:00:47,930 なら 自分の金で続ける事だな。 7 00:00:47,930 --> 00:00:52,130 ああ そうする! ならば 文句はないんだな!? 8 00:00:53,736 --> 00:00:57,106 (森)どうしました? 御公儀が成り立っているのは➡ 9 00:00:57,106 --> 00:01:00,109 下々の者たちが 日々 真面目に働いているからだ! 10 00:01:00,109 --> 00:01:06,249 その者たちの体を気遣うのは 当たり前ではないか~! 11 00:01:06,249 --> 00:01:09,118 (保本)心配ない。 戻れ。 12 00:01:09,118 --> 00:01:12,121 これから どうなるんでしょう? 知らん! 13 00:01:12,121 --> 00:01:14,821 あっ…。 14 00:01:16,993 --> 00:01:20,263 (まさを)お邪魔でしたでしょうか。 15 00:01:20,263 --> 00:01:24,800 どうぞ。 ありがとうございます。 16 00:01:24,800 --> 00:01:29,272 …で 今日は? はい。 17 00:01:29,272 --> 00:01:33,576 父が 姉を許すと言ってくれました。➡ 18 00:01:33,576 --> 00:01:36,612 そのご報告に。 そうですか。 19 00:01:36,612 --> 00:01:39,749 それは よかった。 (まさを)保本さんが➡ 20 00:01:39,749 --> 00:01:44,086 父に とりなしの手紙を 書いて下さったおかげです。 21 00:01:44,086 --> 00:01:46,923 いえ… むしろ➡ 22 00:01:46,923 --> 00:01:50,793 なぜ これまで あの手紙を書く事が できなかったのか➡ 23 00:01:50,793 --> 00:01:55,097 恥じ入る気持ちです。 そんな! 24 00:01:55,097 --> 00:01:59,969 保本さんは どうして その…。 25 00:01:59,969 --> 00:02:02,438 はい? 26 00:02:02,438 --> 00:02:05,775 いえ…。 27 00:02:05,775 --> 00:02:14,483 私も… あなたのように 慎み深い人でありたいと思います。 28 00:02:14,483 --> 00:02:18,254 私が 慎み深い? 29 00:02:18,254 --> 00:02:21,123 いえ そんな…。 30 00:02:21,123 --> 00:02:26,629 フフッ フフフフ。 ほら… フフッ。 31 00:02:26,629 --> 00:02:30,800 ハハハハ…。 32 00:02:30,800 --> 00:02:34,670 <なぜだろう? この人といると➡ 33 00:02:34,670 --> 00:02:38,074 晴れ晴れとしたような 気持ちになるのは。➡ 34 00:02:38,074 --> 00:02:44,274 それは 姉の ちぐさには 感じた事のないものだった> 35 00:02:47,416 --> 00:02:51,220 昼間は 見苦しいところを見せたな。 36 00:02:51,220 --> 00:02:54,924 いえ 怒って当然です。 37 00:02:54,924 --> 00:02:57,593 そういう ご追従を言うな。 38 00:02:57,593 --> 00:03:01,464 ご追従など言っておりません。 思った事を言ったまでです。 39 00:03:01,464 --> 00:03:03,466 お前は…。 ≪どこ行った!? 40 00:03:03,466 --> 00:03:05,468 ≪出てこい おら! 41 00:03:05,468 --> 00:03:08,268 うっ…。 42 00:03:10,306 --> 00:03:13,776 おい どうした? あっ…。 43 00:03:13,776 --> 00:03:18,114 先生! うん? 44 00:03:18,114 --> 00:03:20,049 お前は…。 45 00:03:20,049 --> 00:03:23,919 いてっ! いて…。 何があった? 46 00:03:23,919 --> 00:03:27,256 追われてるんです! 追われてる? 47 00:03:27,256 --> 00:03:30,126 チッ そこへ隠れろ。 48 00:03:30,126 --> 00:03:33,126 竹造。 (竹造)へい。 49 00:03:36,065 --> 00:03:41,404 知り合いですか? 入所している多助の倅だ。 50 00:03:41,404 --> 00:03:45,074 ≪どこだ!? 鼻緒が切れたのか? 51 00:03:45,074 --> 00:03:47,009 えっ? つかまれ。 あっ はい。 52 00:03:47,009 --> 00:03:51,213 どこだ!? こら! チクショウ どこ行った? 53 00:03:51,213 --> 00:03:54,583 どこ 隠れやがった!? 54 00:03:54,583 --> 00:03:59,422 (松次郎)どうだ? こっちには いません。 55 00:03:59,422 --> 00:04:02,722 行くぞ。 (男たち)へい。 56 00:04:16,605 --> 00:04:21,477 保本 養生所に運んでやれ。 はい。 57 00:04:21,477 --> 00:04:36,926 ♬~ 58 00:04:36,926 --> 00:04:40,930 よし 口を開けてみろ。 59 00:04:40,930 --> 00:04:43,766 もうちょっとだ。 60 00:04:43,766 --> 00:04:45,766 そのまま。 61 00:04:47,603 --> 00:04:49,903 もういいぞ。 62 00:04:51,741 --> 00:04:56,078 多助さん あんたの倅が 怪我して担ぎ込まれたよ! 63 00:04:56,078 --> 00:04:59,949 その人に 何か言っても駄目だよ。 64 00:04:59,949 --> 00:05:02,752 もう すっかり…。 65 00:05:02,752 --> 00:05:05,752 (お常)そう…。 66 00:05:07,423 --> 00:05:10,326 いってえ いてえ! いってえ。 我慢しろ。 67 00:05:10,326 --> 00:05:13,095 いてえ… いてえよ。 68 00:05:13,095 --> 00:05:16,098 あんた! 69 00:05:16,098 --> 00:05:20,603 よう。 だから 言わんこっちゃない! 70 00:05:20,603 --> 00:05:22,938 かみさんに聞いたぞ。 いてっ。 71 00:05:22,938 --> 00:05:26,776 バカな事をしようとしたようだな。 72 00:05:26,776 --> 00:05:28,711 へい…。 73 00:05:28,711 --> 00:05:33,182 なぜ 自分の長屋の大家を襲おうとした? 74 00:05:33,182 --> 00:05:35,251 大家を? 75 00:05:35,251 --> 00:05:38,053 高田屋の松次郎さん…。➡ 76 00:05:38,053 --> 00:05:42,391 私どもが住んでいる 藪下長屋の大家です。 77 00:05:42,391 --> 00:05:46,562 元はと言えば 親父が悪いんだよ…。 78 00:05:46,562 --> 00:05:51,400 一体 何があった? 79 00:05:51,400 --> 00:05:56,572 あれは 半月前の事です。 80 00:05:56,572 --> 00:05:59,475 出ていけだって? (松次郎)そう。 81 00:05:59,475 --> 00:06:03,212 この一角を 今月の末に取り壊す。 82 00:06:03,212 --> 00:06:07,082 それまでに みんな ここを引き払ってもらおう。 83 00:06:07,082 --> 00:06:09,018 それは おかしい! 84 00:06:09,018 --> 00:06:12,588 死んだ あんたの父親の与七さんと ここの店子の間で➡ 85 00:06:12,588 --> 00:06:15,624 約束があったのを知らないのかい? 86 00:06:15,624 --> 00:06:17,760 約束? 87 00:06:17,760 --> 00:06:20,596 はあ… とぼけてもらっちゃ困るな。 88 00:06:20,596 --> 00:06:24,233 ここの店子からは 店賃は 一切 取らない。 89 00:06:24,233 --> 00:06:27,102 それは 与七さんだけじゃなく 倅➡ 90 00:06:27,102 --> 00:06:30,005 つまり あんたの代まで続くって約束だ。 91 00:06:30,005 --> 00:06:33,375 そんなバカな約束は 俺の代になったからには➡ 92 00:06:33,375 --> 00:06:36,278 反故にさせてもらうよ。 93 00:06:36,278 --> 00:06:39,048 そんな ひどい話がありますか! 94 00:06:39,048 --> 00:06:40,983 自分のお父っつぁんがした約束を➡ 95 00:06:40,983 --> 00:06:43,385 お父っつぁんが亡くなった途端に 破るんですか? 96 00:06:43,385 --> 00:06:47,723 約束と言ったが 何か証文でもあるのか? 97 00:06:47,723 --> 00:06:50,559 (吾平)いや それは…。 うん? 98 00:06:50,559 --> 00:06:54,559 ありません。 フッ。 99 00:06:56,198 --> 00:07:00,569 約束をした事を覚えてる者がいる。 100 00:07:00,569 --> 00:07:08,569 ほう。 そのころの事を覚えてる者は みんな 死んだと聞いたが? 101 00:07:17,920 --> 00:07:28,564 なあ 親父… 高田屋の与七さんと 約束したんだよな? そうだろ? 102 00:07:28,564 --> 00:07:34,364 約束? そうだよ。 なあ そうだろ? 103 00:07:36,038 --> 00:07:40,543 すまねえ 分からねえ。 104 00:07:40,543 --> 00:07:45,414 おい… おい! 105 00:07:45,414 --> 00:07:50,185 すまねえ。 思い出せねえんだ。 106 00:07:50,185 --> 00:07:52,555 何も覚えてねえのかよ!? 107 00:07:52,555 --> 00:07:57,355 店賃が ただになった理由だよ! 108 00:08:00,729 --> 00:08:06,602 ハハハハ… 無駄だったようだな。 109 00:08:06,602 --> 00:08:09,905 ここの跡地を どうするかは もう決めてあるんでね。 110 00:08:09,905 --> 00:08:11,840 月末までには みんな出ていってもらうよ。 111 00:08:11,840 --> 00:08:13,776 おいおいおい…! いいな!? ちょっと待ってくれ! 112 00:08:13,776 --> 00:08:16,679 なあ 俺は やっと 表に 店を持ったばっかりなんだよ。 113 00:08:16,679 --> 00:08:20,215 今 店まで潰されたらさ 店を出すために借りた金も➡ 114 00:08:20,215 --> 00:08:22,284 全部 借金になっちまうんだよ。 なっ? 115 00:08:22,284 --> 00:08:24,420 なあ 考え直してくれよ。 なっ? お願いします! 116 00:08:24,420 --> 00:08:26,355 うるさい! いっ! どけ! 117 00:08:26,355 --> 00:08:28,290 何すんだ! 邪魔だ! あっ! 118 00:08:28,290 --> 00:08:30,292 あんた! ああ…。 119 00:08:30,292 --> 00:08:33,292 (戸の開閉音) 120 00:08:35,364 --> 00:08:38,564 すまねえ…。 121 00:08:40,703 --> 00:08:46,041 この人のお父っつぁんが倒れたのは その夜の事でした。 122 00:08:46,041 --> 00:08:48,944 それで ここに担ぎ込んだ訳か。 123 00:08:48,944 --> 00:08:54,550 親子そろって養生所に担ぎ込まれたんじゃ 世話ねえよな。 124 00:08:54,550 --> 00:08:59,188 家ばかりか 店まで潰されてしまうという事か。 125 00:08:59,188 --> 00:09:04,688 必死に お金をためて やっと開いた店なんです。 126 00:09:12,401 --> 00:09:14,601 よし…。 127 00:09:20,576 --> 00:09:23,612 はい 上がったよ。 はいよ! はい。 128 00:09:23,612 --> 00:09:25,748 は~い お待たせしました。 129 00:09:25,748 --> 00:09:29,585 せっかく お客も ついてきたっていうのに…。 130 00:09:29,585 --> 00:09:36,692 それにしても 店賃を ただにするなんて そんな事があるのか? 131 00:09:36,692 --> 00:09:40,029 あの耄碌親父さえ しっかりしてくれたらよ! 132 00:09:40,029 --> 00:09:42,931 自分のお父っつぁんに そんな言い方…。 133 00:09:42,931 --> 00:09:47,731 この人は いつも こうなんです。 134 00:09:54,043 --> 00:09:58,547 親父…。 何か言いたい事があるようで。 135 00:09:58,547 --> 00:10:05,320 お… おくめ殺し…。 136 00:10:05,320 --> 00:10:10,020 おくめ殺し? 何なの? それは。 137 00:10:11,727 --> 00:10:17,599 その… 言葉が浮かぶんだ。 138 00:10:17,599 --> 00:10:22,299 それが 何か店賃と関わりがあんだな? 139 00:10:24,073 --> 00:10:26,008 さあ…。 140 00:10:26,008 --> 00:10:31,213 (角三)はっきりしろよ! 病人なんだ! 責めるな。 141 00:10:31,213 --> 00:10:33,148 はあ…。 142 00:10:33,148 --> 00:10:42,424 ♬~ 143 00:10:42,424 --> 00:10:47,096 先生 おくめ殺しというのは 一体 何でしょう? 144 00:10:47,096 --> 00:10:49,031 いや 分からん。 145 00:10:49,031 --> 00:10:51,600 (津川)何しろ 耄碌した老人が言う事だからな。 146 00:10:51,600 --> 00:10:56,105 私は あの老人を診ていますが ただの耄碌だけとは思えないんです。 147 00:10:56,105 --> 00:10:58,440 どういう事だ? 148 00:10:58,440 --> 00:11:02,940 どうも あの さみしそうな目が 気になって しかたないんです。 149 00:11:05,781 --> 00:11:08,117 もし おくめ殺しが➡ 150 00:11:08,117 --> 00:11:11,120 店賃を取らないという約束と 関わりがあるなら➡ 151 00:11:11,120 --> 00:11:15,457 相当 昔の出来事という事になりますね。 152 00:11:15,457 --> 00:11:19,128 森 お前➡ 153 00:11:19,128 --> 00:11:22,965 この事を調べてみろ。 えっ 私ですか? 154 00:11:22,965 --> 00:11:25,267 なぜ 私が? 言いだしっぺだ。 155 00:11:25,267 --> 00:11:29,267 病人のためじゃないですか。 156 00:11:34,943 --> 00:11:38,580 どうして そこまでして…。 157 00:11:38,580 --> 00:11:41,617 儲けるのが 商人の仕事でしょ。 158 00:11:41,617 --> 00:11:45,754 お父さんはね 小さな質屋から始めて➡ 159 00:11:45,754 --> 00:11:48,657 地道に商売してきた。 はあ…。 160 00:11:48,657 --> 00:11:51,226 店が ここまで大きくなったのも➡ 161 00:11:51,226 --> 00:11:56,064 誰からも 後ろ指をさされずに 真面目にやった お父さんのおかげですよ。 162 00:11:56,064 --> 00:11:59,101 お前も お父さんに倣って…。 親父は もう死んだんです。 163 00:11:59,101 --> 00:12:03,438 これからは 私のやり方で やらしてもらいますよ。 164 00:12:03,438 --> 00:12:07,609 店賃を ただにした事だって よくよくの訳があるんだよ。 165 00:12:07,609 --> 00:12:11,446 お父さんの気持ちを 踏みつけるような事にならないかね。 166 00:12:11,446 --> 00:12:15,784 見ていて下さい。 お父っつぁんが作った この店を➡ 167 00:12:15,784 --> 00:12:19,121 もっと大きくしてみせますから。 168 00:12:19,121 --> 00:12:21,421 松次郎! 169 00:12:22,991 --> 00:12:25,794 ああ… あ~ 着いた。 170 00:12:25,794 --> 00:12:27,729 待ちくたびれたぜ。 171 00:12:27,729 --> 00:12:31,600 昨日 うちの若旦那を 襲ったやつがいるんで 捜してんだ。 172 00:12:31,600 --> 00:12:38,373 俺たちが返り討ちに遭わせてやったから 結構な怪我をしてるはずなんだがな。 173 00:12:38,373 --> 00:12:40,742 顔は見たのか? 174 00:12:40,742 --> 00:12:44,580 あいにく 手拭いで顔を隠しててね。 175 00:12:44,580 --> 00:12:48,450 でも 背格好は ちょうど このぐらいだったな。 176 00:12:48,450 --> 00:12:50,919 へえ~。 この人は➡ 177 00:12:50,919 --> 00:12:55,224 昨日は 山岸の親戚に行った帰りに 近道しようとして崖から落ちて➡ 178 00:12:55,224 --> 00:12:58,093 養生所に担ぎ込まれたんです。 179 00:12:58,093 --> 00:13:03,599 口裏 合わせやがったな。 そんなうそは じきに ばれるんだ。 180 00:13:03,599 --> 00:13:07,769 襲った男を返り討ちに遭わせたと 言っていたが➡ 181 00:13:07,769 --> 00:13:13,108 若旦那は何もなってないのに 相手にだけ怪我をさせたとなると➡ 182 00:13:13,108 --> 00:13:15,944 お奉行所が黙っているかね? 183 00:13:15,944 --> 00:13:18,447 何だと おい! そいつは➡ 184 00:13:18,447 --> 00:13:21,350 若旦那を殺すつもりだったんだぜ。 185 00:13:21,350 --> 00:13:25,050 証拠があるのか!? 186 00:13:26,788 --> 00:13:30,659 行くぞ。 どけ。 あっ いてっ。 187 00:13:30,659 --> 00:13:35,063 とにかく 今月のうちに ここを出ていけ。 188 00:13:35,063 --> 00:13:38,363 いいな。 189 00:13:43,205 --> 00:13:46,742 これで引き下がる相手じゃねえぜ。 190 00:13:46,742 --> 00:13:50,412 これから どうする? 191 00:13:50,412 --> 00:13:56,919 一人残ってる多助さんが あの様子じゃな…。 (草太)ああ。 192 00:13:56,919 --> 00:13:59,955 おくめ殺し…。 193 00:13:59,955 --> 00:14:02,724 親父で思い出した。➡ 194 00:14:02,724 --> 00:14:08,430 なあ おくめ殺しって 何か分かるか? (草太)おくめ殺し? 195 00:14:08,430 --> 00:14:10,465 (角三)ああ。 親父が それだけ思い出したんだ。➡ 196 00:14:10,465 --> 00:14:14,303 店賃と関わりがあるのかどうかは 分からない。 197 00:14:14,303 --> 00:14:17,105 (吾平 草太)えっ? 198 00:14:17,105 --> 00:14:21,443 おくめ殺しね…。 199 00:14:21,443 --> 00:14:25,247 先生に とんでもない役目を 任されてしまった…。 200 00:14:25,247 --> 00:14:29,117 頭のいい森さんなら 訳ないでしょう。 201 00:14:29,117 --> 00:14:32,888 何の手がかりもないのに どうやって調べる? 202 00:14:32,888 --> 00:14:37,059 随分 昔の事だしね。 雲をつかむような話だねえ。 203 00:14:37,059 --> 00:14:39,561 (お光)分かった。 204 00:14:39,561 --> 00:14:42,464 何だい? 205 00:14:42,464 --> 00:14:46,335 昔 高田屋の先代が おくめを殺した。 206 00:14:46,335 --> 00:14:49,271 店子たちは それを見てしまった。 207 00:14:49,271 --> 00:14:53,742 その口止めに 店賃が…➡ 208 00:14:53,742 --> 00:14:56,078 ただ。 209 00:14:56,078 --> 00:15:00,082 はあ~。 三文芝居じゃあるまいし。 210 00:15:00,082 --> 00:15:04,282 そうだよね。 (笑い声) 211 00:15:14,763 --> 00:15:19,935 おくめ殺し? それしか分からないんだ。 212 00:15:19,935 --> 00:15:23,238 どうして 私に そのような事を? 213 00:15:23,238 --> 00:15:30,112 ただ 知恵を借りようと思っただけだ 森さんの助けになればと思って。 214 00:15:30,112 --> 00:15:34,312 私に聞かれても知りません。 215 00:15:35,917 --> 00:15:39,717 そうだな…。 216 00:15:44,593 --> 00:15:50,065 お寺のお坊さんに聞いてみたら どうですか? えっ? 217 00:15:50,065 --> 00:15:54,069 お坊さんなら そういう古い事を知ってるかも。 218 00:15:54,069 --> 00:15:59,769 そうだな…。 ありがとう。 219 00:16:08,083 --> 00:16:13,783 (住職)ただのうわさ話だ。 うわさ? 220 00:16:16,591 --> 00:16:23,365 とある武家の娘で おくめという子が ふいに姿を消した。 221 00:16:23,365 --> 00:16:26,301 方々 捜したが 見つからなかった。 222 00:16:26,301 --> 00:16:33,542 しばらくして 娘の骸が 屋敷の井戸から見つかったという。 223 00:16:33,542 --> 00:16:40,415 自分で飛び込んだのか 誰かに殺されたのか…。 224 00:16:40,415 --> 00:16:45,053 やがて その家は没落して絶えた。 225 00:16:45,053 --> 00:16:49,057 その井戸が おくめ殺しの井戸だ。 226 00:16:49,057 --> 00:16:52,194 それは 何年前の出来事ですか? 227 00:16:52,194 --> 00:16:57,566 さあな… ずっと昔の事だ。 228 00:16:57,566 --> 00:17:04,739 今となっては 本当にあった事かどうかさえ 分からない。 229 00:17:04,739 --> 00:17:09,077 そんな話と長屋の店賃に 何の関わりが…。 230 00:17:09,077 --> 00:17:12,747 一見 関わりのない事が➡ 231 00:17:12,747 --> 00:17:16,084 表裏一体で つながっているものだ。 232 00:17:16,084 --> 00:17:19,921 よ~く 考える事だな。 233 00:17:19,921 --> 00:17:24,092 フフフフ… ハハハハハ…! 234 00:17:24,092 --> 00:17:28,763 ♬~ 235 00:17:28,763 --> 00:17:31,600 …で 調べたんですが➡ 236 00:17:31,600 --> 00:17:35,570 昔 断絶した 吉岡家という家があったのは 本当のようです。 237 00:17:35,570 --> 00:17:39,341 断絶した訳について いろいろと うわさがあり➡ 238 00:17:39,341 --> 00:17:43,178 おくめ殺しというのも そのうわさ話の一つだったようです。 239 00:17:43,178 --> 00:17:49,718 うん… では おくめという娘が 殺されたという事実はないんだな? 240 00:17:49,718 --> 00:17:54,189 奉行所にも そういう記録は ありませんでした。 241 00:17:54,189 --> 00:18:01,062 その屋敷があったのは 柳坂下か…。 はい。 242 00:18:01,062 --> 00:18:04,566 高田屋の近くだな。 243 00:18:04,566 --> 00:18:09,404 それが 高田屋と何か関わりが? 244 00:18:09,404 --> 00:18:15,404 やはり 答えは多助から聞くしかあるまい。 245 00:18:25,587 --> 00:18:29,387 お水 換えてきますね。 246 00:18:31,092 --> 00:18:35,530 角三は 父の見舞いに 来ないようだな。 247 00:18:35,530 --> 00:18:41,169 ええ。 たった一人の父と息子なのに…。 248 00:18:41,169 --> 00:18:44,669 何かあったのか? 249 00:18:46,541 --> 00:18:50,712 お父っつぁんは 大工をしていたんです。➡ 250 00:18:50,712 --> 00:18:55,584 大がかりな普請で 家を長く留守にする事が多くて➡ 251 00:18:55,584 --> 00:19:02,724 うちの人は 子どもの頃は 随分と さみしい思いをしたようです。 252 00:19:02,724 --> 00:19:09,497 お父っつぁんが 大工を継げと言った時も 頑として受け付けず…。 253 00:19:09,497 --> 00:19:15,797 そのころから すっかり 折り合いが悪くなったようです。 254 00:19:17,572 --> 00:19:23,078 自分の店を持てば 仕事で遠くに行く事もない。 255 00:19:23,078 --> 00:19:27,582 子どもが出来ても そばにいてやれる。 256 00:19:27,582 --> 00:19:32,020 あの人 そう言ってました。 257 00:19:32,020 --> 00:19:33,955 でも 本当は➡ 258 00:19:33,955 --> 00:19:41,162 お父っつぁんに 自分の気持ちを 分かってほしかったのかもしれません。 259 00:19:41,162 --> 00:19:44,032 そうか。 260 00:19:44,032 --> 00:19:52,732 でも やっと手に入れた店も もうすぐ…。 261 00:20:04,419 --> 00:20:07,055 おくめ殺しの事を調べてる。 262 00:20:07,055 --> 00:20:09,724 井戸の話までは分かったんだ。 263 00:20:09,724 --> 00:20:13,024 そこからが分からない。 264 00:20:16,598 --> 00:20:22,070 はあ… やはり無理か。 265 00:20:22,070 --> 00:20:25,940 んっ んん んん…。 266 00:20:25,940 --> 00:20:30,940 どうした? 苦しいのか? 267 00:20:34,082 --> 00:20:39,582 仏壇。 えっ? 268 00:20:42,757 --> 00:20:44,693 (戸が開く音) 269 00:20:44,693 --> 00:20:46,628 おう…。➡ 270 00:20:46,628 --> 00:20:53,234 んっ… おい どうしたんだよ? 271 00:20:53,234 --> 00:20:55,937 (角三のせきこみ) んん…。 272 00:20:55,937 --> 00:21:00,108 どうしたんだって聞いてんだよ。 273 00:21:00,108 --> 00:21:16,658 ♬~ 274 00:21:16,658 --> 00:21:20,428 ああ? あっ あんた…。 275 00:21:20,428 --> 00:21:24,728 あっ… おい…! 276 00:21:26,334 --> 00:21:28,970 これ…。 277 00:21:28,970 --> 00:21:31,270 もう そこです! 278 00:21:32,841 --> 00:21:37,078 連れてきた! あっ すいません ご足労おかけして。 279 00:21:37,078 --> 00:21:39,581 仏壇から 何か見つかったのか? はい。 280 00:21:39,581 --> 00:21:42,083 実は 証文と一緒に➡ 281 00:21:42,083 --> 00:21:45,587 親父が 当時の事を書いた 書付けが出てきたんです。 282 00:21:45,587 --> 00:21:47,522 じゃあ 店賃が ただになった訳も? 283 00:21:47,522 --> 00:21:50,091 書いてありました。 そうか! 284 00:21:50,091 --> 00:21:55,764 それで… この事を 松次郎に話したいんで➡ 285 00:21:55,764 --> 00:22:00,101 先生には 立会人になって頂きたいんです。 286 00:22:00,101 --> 00:22:02,604 保本先生は? 287 00:22:02,604 --> 00:22:05,640 私じゃ不満か? いえ そんな事は。 288 00:22:05,640 --> 00:22:12,113 それで どういう訳だったんだ? それは…➡ 289 00:22:12,113 --> 00:22:14,048 まだ言えません。 290 00:22:14,048 --> 00:22:16,451 何!? (角三)先生には➡ 291 00:22:16,451 --> 00:22:21,623 これから あっしらがやろうとする事を 黙って見てて頂きたいんです。 292 00:22:21,623 --> 00:22:23,558 何をする? それも言えません。 293 00:22:23,558 --> 00:22:26,127 何だ それは。 それを話すと➡ 294 00:22:26,127 --> 00:22:28,463 先生は きっと やめろと おっしゃるでしょう。 295 00:22:28,463 --> 00:22:31,266 だったら呼ぶな。 私が言ったんですよ。 296 00:22:31,266 --> 00:22:34,269 養生所の先生を お呼びしたらって。 297 00:22:34,269 --> 00:22:38,406 やめろと言っても この人たちは やります。 298 00:22:38,406 --> 00:22:41,443 せめて 先生に見て頂いたらって。 299 00:22:41,443 --> 00:22:43,912 まさか 松次郎を…。 (角三)いえ➡ 300 00:22:43,912 --> 00:22:47,415 もう殺そうなんてしません。 301 00:22:47,415 --> 00:22:51,085 しかし…。 302 00:22:51,085 --> 00:22:57,425 おう… おそろいだな。 303 00:22:57,425 --> 00:23:00,094 何だよ 話って。 304 00:23:00,094 --> 00:23:05,900 実は 店賃をただにするという 証拠が出てきたんだ。 305 00:23:05,900 --> 00:23:08,603 ほう… どこだ? 306 00:23:08,603 --> 00:23:10,538 ここにはねえ。 じゃあ 持ってこい。 307 00:23:10,538 --> 00:23:14,242 あ~ ところが ちょいとばかし 大きいもんだから➡ 308 00:23:14,242 --> 00:23:16,177 この部屋に入らねえんだ。 309 00:23:16,177 --> 00:23:18,613 からかうのも大概にしろ! 310 00:23:18,613 --> 00:23:21,649 本当なんだ。 なあ➡ 311 00:23:21,649 --> 00:23:25,787 そう遠くはねえ ちょっと つきあってくれねえか。 312 00:23:25,787 --> 00:23:31,259 どこだ? 連れていくから あんた一人で来てくれ。 313 00:23:31,259 --> 00:23:33,561 はあ? 何だと!? 314 00:23:33,561 --> 00:23:36,197 何で 若旦那一人じゃなきゃ いけねえんだ!? 315 00:23:36,197 --> 00:23:38,132 亡くなった先代の旦那は➡ 316 00:23:38,132 --> 00:23:42,971 店賃を ただにした理由を ほかに知られたくなかったんだ。 317 00:23:42,971 --> 00:23:45,406 だから 今回の事は➡ 318 00:23:45,406 --> 00:23:50,278 俺たちと若旦那の間だけの事に してもらいたいんだ。 319 00:23:50,278 --> 00:23:56,084 フハハッ… あ~あ。 だまそうってんじゃ ねえだろうな。 320 00:23:56,084 --> 00:24:01,284 養生所の先生もいる。 信用してくれ。 321 00:24:04,425 --> 00:24:09,297 おい どこに連れていくんだ? 322 00:24:09,297 --> 00:24:22,610 ♬~ 323 00:24:22,610 --> 00:24:25,647 こっちだよな? 324 00:24:25,647 --> 00:24:28,483 あ~ この辺だな。 325 00:24:28,483 --> 00:24:32,983 (吾平)あっ そうだな。 あ~ 確かに この辺だ。 326 00:24:36,891 --> 00:24:40,395 若旦那 ちょっと下がってくれませんか。 327 00:24:40,395 --> 00:24:44,065 どうして? いや その方が見やすいからな。 328 00:24:44,065 --> 00:24:46,401 ああ? 329 00:24:46,401 --> 00:24:48,903 あれだな。 330 00:24:48,903 --> 00:24:51,940 もうちょっと後ろだな。 う~ん。 なっ? 331 00:24:51,940 --> 00:24:54,576 ほら。 あっ あっ あっ…! 332 00:24:54,576 --> 00:24:57,776 はあ…。 333 00:25:02,917 --> 00:25:04,852 うわわ… あっ! 334 00:25:04,852 --> 00:25:07,221 あっ…。 335 00:25:07,221 --> 00:25:11,926 これは井戸か? (松次郎)いたたた…。➡ 336 00:25:11,926 --> 00:25:18,099 ああ… うう… いてえ~。 337 00:25:18,099 --> 00:25:22,971 ん~! チックショウ…。 338 00:25:22,971 --> 00:25:27,775 だましたな! 出せ! (角三)だましちゃいねえよ。➡ 339 00:25:27,775 --> 00:25:32,547 これが あんたの親父さんが 店賃を ただにした理由だ。 340 00:25:32,547 --> 00:25:34,882 ああ? 341 00:25:34,882 --> 00:25:37,552 どういう事だ? 342 00:25:37,552 --> 00:25:43,057 これが おくめ殺しの井戸なんです。 えっ? 343 00:25:43,057 --> 00:25:49,197 (角三)思い出したか? 何の話だ? 早く出せ! 344 00:25:49,197 --> 00:25:54,497 思い出さねえんだったら 教えてやるよ。 345 00:25:56,938 --> 00:26:00,742 走れ 走れ! 346 00:26:00,742 --> 00:26:05,613 (角三)あんたは 両親にとっちゃ 跡取りの一人息子だ。 347 00:26:05,613 --> 00:26:10,218 (与七)ハハハハ… よしよし。 松次郎 もっと行くか? 348 00:26:10,218 --> 00:26:13,921 (角三)そりゃあ 大事に育てられた。 349 00:26:13,921 --> 00:26:16,758 松次郎? (角三)ところが ある日➡ 350 00:26:16,758 --> 00:26:22,630 あんたの姿が 急に見えなくなった。 お前さん…。 351 00:26:22,630 --> 00:26:26,234 そんな事 覚えてねえよ。 352 00:26:26,234 --> 00:26:28,603 あんたの親御さんは 血相を変えて➡ 353 00:26:28,603 --> 00:26:31,439 あんたを捜し回った。 354 00:26:31,439 --> 00:26:35,309 松次郎? 松次郎! 355 00:26:35,309 --> 00:26:40,148 お前さん 松次郎は? 356 00:26:40,148 --> 00:26:42,550 松次郎…。 357 00:26:42,550 --> 00:26:45,586 頼む。 うちの子を捜すのを手伝ってくれ! 358 00:26:45,586 --> 00:26:48,890 もちろんですとも。 おい 人を集めろ。 359 00:26:48,890 --> 00:26:51,559 (角三)うちの長屋の者たちも 捜すのを手伝った。➡ 360 00:26:51,559 --> 00:26:56,197 世話になってる大家さんの一大事だ。 当然の事さ。 361 00:26:56,197 --> 00:26:59,067 坊ちゃん! 坊ちゃん! おいでになりませんか? 362 00:26:59,067 --> 00:27:01,903 松次郎坊ちゃん! 坊ちゃん! 坊ちゃん! 363 00:27:01,903 --> 00:27:04,806 松次郎坊ちゃん? 坊ちゃん? 364 00:27:04,806 --> 00:27:07,208 これくらいの男の子なんだが 見かけなかったかい? 365 00:27:07,208 --> 00:27:10,111 これぐらいの子ども見かけなかったかい? 知らねえよ。 366 00:27:10,111 --> 00:27:12,914 坊ちゃん! 松次郎坊ちゃん! 松次郎! 367 00:27:12,914 --> 00:27:15,950 松次郎坊ちゃん! 松次郎坊ちゃん! 368 00:27:15,950 --> 00:27:19,687 (角三)大勢の人を使って 三日三晩 捜し回った。 369 00:27:19,687 --> 00:27:21,687 松次郎! 370 00:27:25,493 --> 00:27:31,693 (角三)しかし あんたは見つかんなかった。 371 00:27:39,040 --> 00:27:44,545 どうしちまったのかねえ? まるで神隠しだ。 372 00:27:44,545 --> 00:27:47,448 う~ん。 どうしたの? 373 00:27:47,448 --> 00:27:52,720 念のためだ… もう一回りしてくるか。 374 00:27:52,720 --> 00:27:55,520 そうだね。 うん。 375 00:27:57,391 --> 00:27:59,327 坊ちゃん! 376 00:27:59,327 --> 00:28:01,562 松次郎坊ちゃん! おいでになりませんか? 坊ちゃん! 377 00:28:01,562 --> 00:28:03,498 坊ちゃん! 378 00:28:03,498 --> 00:28:07,368 坊ちゃん! 坊ちゃん! 松次郎坊ちゃん! 379 00:28:07,368 --> 00:28:11,072 坊ちゃん? 坊ちゃん? 380 00:28:11,072 --> 00:28:17,945 あ~あ 駄目か…。 381 00:28:17,945 --> 00:28:22,083 ≪(泣き声) 382 00:28:22,083 --> 00:28:26,783 あんた… 聞こえないかい? 383 00:28:28,422 --> 00:28:30,358 ≪(泣き声) (2人)あっ! 384 00:28:30,358 --> 00:28:33,694 お~ 聞こえる! おっ 聞こえるぞ! あっ こっちだ! 385 00:28:33,694 --> 00:28:36,597 坊ちゃん? 坊ちゃん! 坊ちゃんですかい? 386 00:28:36,597 --> 00:28:38,566 坊ちゃん! 坊ちゃん どこですか? 387 00:28:38,566 --> 00:28:40,868 坊ちゃん! 坊ちゃん! 388 00:28:40,868 --> 00:28:42,904 ≪(泣き声) 389 00:28:42,904 --> 00:28:45,740 あっ あんなとこに穴が! 390 00:28:45,740 --> 00:28:48,376 おお… あっ! (泣き声) 391 00:28:48,376 --> 00:28:50,311 あっ いた! 392 00:28:50,311 --> 00:28:54,248 坊ちゃん! 坊ちゃん! 大丈夫ですか!? 今 助けますからね! 393 00:28:54,248 --> 00:28:56,250 おい… おい 人 呼んでこい! あっ はい! 394 00:28:56,250 --> 00:29:03,191 坊ちゃん もうちょっとの辛抱ですよ! 今 引き上げますからね 坊ちゃん! 395 00:29:03,191 --> 00:29:09,397 (角三)こうして あんたは助かったそうだ。 396 00:29:09,397 --> 00:29:14,897 その夫婦が 俺の親父とおふくろだ。 397 00:29:17,138 --> 00:29:19,138 えっ? 398 00:29:21,742 --> 00:29:27,415 あの時 俺の親父たちが もういっぺん捜そうって思わなかったら➡ 399 00:29:27,415 --> 00:29:29,715 あんた 死んでた。 400 00:29:32,019 --> 00:29:35,890 [ 回想 ] 旦那様! 旦那様 坊ちゃんが… 坊ちゃんが見つかりました! 401 00:29:35,890 --> 00:29:37,892 いました! いました いました! 松次郎! 402 00:29:37,892 --> 00:29:40,161 ぼ… 坊ちゃん いましたよ! ああ 松次郎! 403 00:29:40,161 --> 00:29:44,031 松次郎! 松次郎! ハハハ…! 松次郎…! 404 00:29:44,031 --> 00:29:49,537 (泣き声) 405 00:29:49,537 --> 00:29:56,737 ご無事で何よりだ。 よかった…。 よかった…。 406 00:29:58,546 --> 00:30:03,417 本当に あんたたちのおかげで…。 407 00:30:03,417 --> 00:30:07,054 あっ いえいえ… そんな もう…。 408 00:30:07,054 --> 00:30:12,354 これは ほんのお礼のしるしだ。 えっ? 409 00:30:19,200 --> 00:30:22,904 みんなの店賃を ただにするっていう証文だ。 410 00:30:22,904 --> 00:30:28,075 えっ… えっ? 助かった松次郎の代までだ。 411 00:30:28,075 --> 00:30:32,947 それは ありがたいこって! 412 00:30:32,947 --> 00:30:37,752 しかし 一つ 頼みがある。 413 00:30:37,752 --> 00:30:43,090 何でござんしょう? 松次郎には…➡ 414 00:30:43,090 --> 00:30:48,590 あの子が大きくなっても この事は黙っていてほしい。 415 00:30:50,831 --> 00:30:54,101 あの子は まだ4つだ。 416 00:30:54,101 --> 00:30:57,605 井戸に落ちた事は忘れるだろう。 417 00:30:57,605 --> 00:31:03,110 こんな恐ろしい目に遭った事は 思い出させたくないんだ。 418 00:31:03,110 --> 00:31:08,616 この約束の事は 女房にも ないしょにするつもりだ。 419 00:31:08,616 --> 00:31:11,452 分かりやした。 そういう事なら➡ 420 00:31:11,452 --> 00:31:16,624 坊ちゃんには 金輪際 ないしょに致しましょう。 421 00:31:16,624 --> 00:31:19,961 ありがとう! ありがとうよ! 422 00:31:19,961 --> 00:31:22,630 けど 坊ちゃんが大きくなって➡ 423 00:31:22,630 --> 00:31:27,134 店賃が ただになってる事を 不思議に思ったら どうするの? 424 00:31:27,134 --> 00:31:32,740 えっ? …その時は その時だ。 425 00:31:32,740 --> 00:31:36,911 俺らの子どもたちが なんとか うまくやるさ。 426 00:31:36,911 --> 00:31:38,846 そうね! なっ? 427 00:31:38,846 --> 00:31:41,782 そうだな。 428 00:31:41,782 --> 00:31:52,093 ♬~ 429 00:31:52,093 --> 00:31:56,430 (角三)店賃が ただになった理由が 分かんなかったのは➡ 430 00:31:56,430 --> 00:32:00,768 あんたの親父さんの計らいが あったからなんだ。 431 00:32:00,768 --> 00:32:04,768 お父っつぁんが…。 432 00:32:09,477 --> 00:32:13,481 バカだぜ まったく。 433 00:32:13,481 --> 00:32:19,120 俺が 嫌な事を思い出さないようにだと? 434 00:32:19,120 --> 00:32:24,925 この松次郎を… 見くびりやがって! 435 00:32:24,925 --> 00:32:28,829 親心が分かんねえのか! 436 00:32:28,829 --> 00:32:35,569 お父っつぁん… バカ…。 437 00:32:35,569 --> 00:32:38,769 死んじまいやがって…。 438 00:32:42,343 --> 00:32:46,043 俺の方が もっとバカだ…。 439 00:32:47,748 --> 00:32:54,422 お父っつぁんが あんまり立派だから 負けたくなかった…。 440 00:32:54,422 --> 00:33:02,122 与七さんの倅って言われて 生きていきたくなかったんだ! 441 00:33:05,099 --> 00:33:09,970 お… お父っつぁん…➡ 442 00:33:09,970 --> 00:33:14,442 死んじまいやがって…。 443 00:33:14,442 --> 00:33:19,780 恩返しさせずに 死にやがって…。 444 00:33:19,780 --> 00:33:24,452 (松次郎の泣き声) 445 00:33:24,452 --> 00:33:28,122 恩返し…。 446 00:33:28,122 --> 00:33:47,208 ♬~ 447 00:33:47,208 --> 00:33:49,910 それで 松次郎は どうした? 448 00:33:49,910 --> 00:33:55,716 はい。 それから長屋に戻りまして 立ち退きの話は取り消し➡ 449 00:33:55,716 --> 00:34:01,216 そして 今後も店賃はただにする という証文を書きました。 450 00:34:06,760 --> 00:34:10,097 うん。 一件落着か。 451 00:34:10,097 --> 00:34:13,434 ≪(お常)先生。 452 00:34:13,434 --> 00:34:15,769 角三さんと おたねさんが➡ 453 00:34:15,769 --> 00:34:18,069 お父さん 引き取りたいって 言ってきてんですけど。 454 00:34:23,944 --> 00:34:26,614 ≪(角三)すまなかった。 455 00:34:26,614 --> 00:34:30,117 ガキの頃➡ 456 00:34:30,117 --> 00:34:35,617 親父が 仕事で いつも いなくて さみしかった。 457 00:34:37,391 --> 00:34:42,591 おふくろが死んだ時も 親父は 仕事で いなかったよな。 458 00:34:45,065 --> 00:34:53,265 あのころから 俺は 親父の顔を ちゃんと見なくなっちまった。 459 00:34:57,645 --> 00:35:02,082 でもよ…➡ 460 00:35:02,082 --> 00:35:07,421 俺が こうやって大きくなったのは➡ 461 00:35:07,421 --> 00:35:12,760 親父が 自分の楽しみなんか これっぽっちも気にしないで➡ 462 00:35:12,760 --> 00:35:17,960 必死に働いてくれてたからなんだよな。 463 00:35:23,470 --> 00:35:27,608 俺の店が大きくなったらよ➡ 464 00:35:27,608 --> 00:35:31,808 親父には楽させてやるから。 465 00:35:33,380 --> 00:35:36,580 その気持ちに うそはねえ。 466 00:35:41,889 --> 00:35:46,060 親父が生きててよかったよ。 467 00:35:46,060 --> 00:35:51,260 これから いくらでも恩返しできるからな。 468 00:35:59,073 --> 00:36:05,746 さしてくれよな… 恩返し。 469 00:36:05,746 --> 00:36:37,544 ♬~ 470 00:36:37,544 --> 00:36:43,244 <森さんの そんな顔を見たのは 初めてだった> 471 00:36:48,722 --> 00:36:50,658 ごめんよ。 472 00:36:50,658 --> 00:36:54,061 いらっしゃい! わ~ いらっしゃい! 473 00:36:54,061 --> 00:36:57,731 はい 上がったよ。 はいよ! よいしょ。 474 00:36:57,731 --> 00:37:00,567 は~い お待たせしました。 ありがと。 475 00:37:00,567 --> 00:37:02,603 おっ 何でえ そっちも うまそうじゃねえか。 476 00:37:02,603 --> 00:37:06,907 おい ふざけんなよ! 477 00:37:06,907 --> 00:37:11,907 親父… はい お茶な。 478 00:37:13,580 --> 00:37:16,083 いい天気だな。 479 00:37:16,083 --> 00:37:21,083 今日も 吾平と草太が来てくれたな。 ありがてえな。 480 00:37:23,757 --> 00:37:27,928 はい? はいよ。 481 00:37:27,928 --> 00:37:36,036 ♬~ 482 00:37:36,036 --> 00:37:42,710 今回の事は お杉が お寺の住職に聞いたら と言ってくれたのが きっかけだった。 483 00:37:42,710 --> 00:37:45,546 礼を言うよ。 484 00:37:45,546 --> 00:37:48,582 私は別に。 485 00:37:48,582 --> 00:37:51,719 お礼を言うなら 森先生でしょう。 486 00:37:51,719 --> 00:37:54,755 うん? そうだな。 487 00:37:54,755 --> 00:38:00,427 物事は表裏一体。 いろんな方向から見なくては分からない。 488 00:38:00,427 --> 00:38:04,427 えっ? いや 何でもない。