1 00:00:34,157 --> 00:00:36,759 (保本)<小石川養生所。➡ 2 00:00:36,759 --> 00:00:39,662 ここには 日々 多くの患者が訪れる。➡ 3 00:00:39,662 --> 00:00:41,631 遊女およねも その一人。➡ 4 00:00:41,631 --> 00:00:47,103 単なる けが人だと思っていたが 実は およねは赤ひげを恨んでいた。➡ 5 00:00:47,103 --> 00:00:50,773 ある晩 およねは 赤ひげを殺そうとする。➡ 6 00:00:50,773 --> 00:00:52,809 …が失敗。➡ 7 00:00:52,809 --> 00:00:55,645 赤ひげは そんな およねを追い出すでもなく➡ 8 00:00:55,645 --> 00:00:59,949 けがが治るまで 養生所に置くことを決めた。➡ 9 00:00:59,949 --> 00:01:05,249 およねは これから ここで一体 何を見ていくことになるのだろうか> 10 00:01:11,661 --> 00:01:16,399 さすが保本先生 達筆だねえ。 11 00:01:16,399 --> 00:01:20,970 いや 私の字など癖があって 達筆とは言えない。 12 00:01:20,970 --> 00:01:26,142 それに比べ 妻は 気負いのない 素直で美しい文字を書くんだ。 13 00:01:26,142 --> 00:01:30,142 臆面もなく ごちそうさまでした。 14 00:01:33,249 --> 00:01:35,251 まだ帰らないんですか? 15 00:01:35,251 --> 00:01:37,587 これだけやったら帰ります。 16 00:01:37,587 --> 00:01:41,257 かわいい ご新造さんが 寝ずに待ってるでしょうに…。 17 00:01:41,257 --> 00:01:44,160 私なら 飛んで帰りますけどね。 18 00:01:44,160 --> 00:01:49,933 仕事が本分ですから。 そのお堅いところが よかったのかな。 19 00:01:49,933 --> 00:01:54,103 <この養生所では 入所している病人の具合を診るため➡ 20 00:01:54,103 --> 00:01:57,974 私以外の医者は 皆 住み込みで働いている> 21 00:01:57,974 --> 00:02:01,277 ≪(竹造)先生方 来てくだせえ! 22 00:02:01,277 --> 00:02:04,113 ♬~ 23 00:02:04,113 --> 00:02:07,813 お お お父っつぁん! しっかり… しっかりするんだよ! 24 00:02:10,887 --> 00:02:13,122 もうすぐだよ! 25 00:02:13,122 --> 00:02:18,628 ♬~ 26 00:02:18,628 --> 00:02:22,498 先生。 本郷の方が火事です。 27 00:02:22,498 --> 00:02:24,500 (去定)近いな。 へえ。 28 00:02:24,500 --> 00:02:28,304 保本 津川。 膏薬とサラシを ありったけ集めろ。 29 00:02:28,304 --> 00:02:31,207 田山。 お前は 竹造と身元を書き留めろ。 30 00:02:31,207 --> 00:02:33,142 はい! へえ。 どうした? 31 00:02:33,142 --> 00:02:36,579 先生! こっちだ こっち。 32 00:02:36,579 --> 00:02:39,082 ここに降ろせ。 はい。 33 00:02:39,082 --> 00:02:41,584 ゆっくりな。 34 00:02:41,584 --> 00:02:44,387 煙を吸い込んだのか? 35 00:02:44,387 --> 00:02:46,756 さあ ほら 水だよ。 36 00:02:46,756 --> 00:02:48,691 (津川)人手が足りない…。 37 00:02:48,691 --> 00:02:51,094 (田山)名は何という。 38 00:02:51,094 --> 00:02:54,094 誰か…。 (お雪)先生 失礼します。 39 00:02:55,765 --> 00:02:59,402 田山。 けがの軽い者は 玄関の外で待たせろ! 40 00:02:59,402 --> 00:03:03,106 はい! 待て! 待て! 41 00:03:03,106 --> 00:03:05,942 これを外すな。 息ができなくなって死ぬぞ。 42 00:03:05,942 --> 00:03:08,778 あけてくれ! あけてくれ! 43 00:03:08,778 --> 00:03:13,283 焼き崩れた家の下敷きになって 死にそうだ! 44 00:03:13,283 --> 00:03:16,119 あけてくれ。 あけてくれ かたじけない。 45 00:03:16,119 --> 00:03:18,419 そ~っと 降ろせ。 46 00:03:22,292 --> 00:03:24,492 ああ これはひどいな。 47 00:03:26,162 --> 00:03:28,164 先生 縫う用意をします。 それじゃ間に合わん。 48 00:03:28,164 --> 00:03:30,633 出血がひどい。 まずは止血だ。 お常! はい。 49 00:03:30,633 --> 00:03:33,133 コテを熱して持ってこい。 コテ? (お常)はい! 50 00:03:34,604 --> 00:03:36,739 先生! お願いします。 何だ? 51 00:03:36,739 --> 00:03:39,375 けが人の息が止まってしまって。 52 00:03:39,375 --> 00:03:42,278 何!? 傷を洗っとけ。 はい。 53 00:03:42,278 --> 00:03:44,247 あんた! この人です。 54 00:03:44,247 --> 00:03:47,750 しっかりするんだよ! あんた! (子どもの泣き声) 55 00:03:47,750 --> 00:03:51,621 あんた! しっかりして! (泣き声) 56 00:03:51,621 --> 00:03:54,921 あんた! (泣き声) 57 00:04:01,931 --> 00:04:06,402 あんた~…。 (泣き声) 58 00:04:06,402 --> 00:04:14,944 (泣き声) ああ… 置いてかないで… あんた…。 59 00:04:14,944 --> 00:04:17,280 何をぼんやりしてる! 60 00:04:17,280 --> 00:04:20,183 (おりつ)お願いです! この子らを診てやってください! 61 00:04:20,183 --> 00:04:22,618 どなたか お願いします! 62 00:04:22,618 --> 00:04:25,955 どうした。 お願いします。 この子らを…。 63 00:04:25,955 --> 00:04:29,792 名は 何と言う? 源太。 おいら平気だ。 64 00:04:29,792 --> 00:04:31,728 おすまを診てやってくれ。 65 00:04:31,728 --> 00:04:33,663 さあ おすまちゃん。 よし 来い。 66 00:04:33,663 --> 00:04:37,600 怖かったな。 もう大丈夫だ。 (せきこみ) 67 00:04:37,600 --> 00:04:39,602 上がれ。 ありがとうございます。 68 00:04:39,602 --> 00:04:44,741 (せきこみ) 69 00:04:44,741 --> 00:04:48,911 案ずるな。 皆 やけどのほかには大事ない。 70 00:04:48,911 --> 00:04:51,948 よかった。 71 00:04:51,948 --> 00:04:57,387 え~ 源太と おすまが 兄妹だな。 うん。 72 00:04:57,387 --> 00:05:03,092 …で 重吉と おとくが 兄妹と。 73 00:05:03,092 --> 00:05:07,263 平助ちゃんは おじいちゃんと2人暮らしなんです。 74 00:05:07,263 --> 00:05:10,166 なるほど…。 75 00:05:10,166 --> 00:05:13,069 で… お前は どの子の母親だ? 76 00:05:13,069 --> 00:05:18,408 えっ… あっ いえ 私は この子たちの母親じゃありません。 77 00:05:18,408 --> 00:05:20,777 むじな長屋の りつといいます。 78 00:05:20,777 --> 00:05:23,679 この子らも みんな 同じ長屋住まいで➡ 79 00:05:23,679 --> 00:05:25,948 火事場に取り残されてたんです。 80 00:05:25,948 --> 00:05:27,884 親と はぐれてしまったと。 81 00:05:27,884 --> 00:05:33,222 ええ。 親が見つかるまで この子たちを預かってもらえませんか? 82 00:05:33,222 --> 00:05:36,225 いや それは…。 83 00:05:36,225 --> 00:05:38,361 よかろう。 84 00:05:38,361 --> 00:05:40,897 私は この子たちの親を捜しに…。 85 00:05:40,897 --> 00:05:43,933 待て。 まだ お前の療治が済んでいない。 86 00:05:43,933 --> 00:05:47,570 いえ 大丈夫です。 私は どこも…。 87 00:05:47,570 --> 00:05:49,770 ハッ! 88 00:05:52,375 --> 00:05:55,578 すごい熱だ。 89 00:05:55,578 --> 00:05:58,614 (泣き声) 90 00:05:58,614 --> 00:06:02,084 ねえちゃん… 死んじゃうのか? 91 00:06:02,084 --> 00:06:04,587 案ずるな。 92 00:06:04,587 --> 00:06:08,758 水をかぶって 火事場をうろついたから 熱が上がってるだけだ。 93 00:06:08,758 --> 00:06:12,258 安静にしていれば治るぞ。 94 00:06:15,398 --> 00:06:17,934 津川。 あとは頼むぞ。 はい。 95 00:06:17,934 --> 00:06:19,869 気を付けろよ。 96 00:06:19,869 --> 00:06:23,406 熱気を吸って 喉の奥が ただれているかもしれん。 97 00:06:23,406 --> 00:06:26,108 高熱が続くようだと危ない。 98 00:06:26,108 --> 00:06:37,053 ♬~ 99 00:06:37,053 --> 00:06:42,725 (泣き声) ≪おっ母 おっ母…。 100 00:06:42,725 --> 00:06:48,064 (泣き声) 101 00:06:48,064 --> 00:06:50,733 ≪おっ父…。 102 00:06:50,733 --> 00:06:56,239 (泣き声) 103 00:06:56,239 --> 00:06:58,174 (泣き声) どうした!? 104 00:06:58,174 --> 00:07:00,576 どこか…。 (泣き声) 105 00:07:00,576 --> 00:07:03,913 (泣き声) 106 00:07:03,913 --> 00:07:05,848 どこか痛むのか? (泣き声) 107 00:07:05,848 --> 00:07:09,085 (およね)うるさいねえ。 眠れやしないよ! 108 00:07:09,085 --> 00:07:11,120 分かってるよ。 109 00:07:11,120 --> 00:07:13,956 大丈夫ですか? 手伝いましょう。 110 00:07:13,956 --> 00:07:18,261 (泣き声) 一体 何なんだ…。 111 00:07:18,261 --> 00:07:21,097 火事場で よほど怖い思いをしたんでしょう。 112 00:07:21,097 --> 00:07:24,000 無理に起こそうとしないで なだめるしかありません。 113 00:07:24,000 --> 00:07:27,603 この子たち 親を亡くしたんだね。 114 00:07:27,603 --> 00:07:30,106 まだ そうと決まったわけじゃない。 115 00:07:30,106 --> 00:07:36,212 小さな時分から働かされて 変な親戚に たかられたり➡ 116 00:07:36,212 --> 00:07:39,115 行く末が目に見えるようだよ。 117 00:07:39,115 --> 00:07:41,717 (津川)見てるくらいなら手伝ってくれ。 118 00:07:41,717 --> 00:07:44,517 フン 何で 私が…。 119 00:07:46,889 --> 00:07:53,362 確かに 親が亡くなっていたら この子らは…。 120 00:07:53,362 --> 00:07:57,362 だから… まだ 決まったわけじゃありません。 121 00:07:59,068 --> 00:08:01,571 んん…。 122 00:08:01,571 --> 00:08:04,373 お父っつぁん…。 123 00:08:04,373 --> 00:08:20,073 ♬~ 124 00:08:23,593 --> 00:08:26,495 うむ… 熱は下がったな。 125 00:08:26,495 --> 00:08:29,195 すみません。 126 00:08:32,301 --> 00:08:34,236 まだ 無理をするな。 127 00:08:34,236 --> 00:08:37,707 でも あの子たちの親を 捜しに行かないと。 128 00:08:37,707 --> 00:08:39,642 ここにいれば 知らせが来る。 でも…。 129 00:08:39,642 --> 00:08:43,346 心配するな。 130 00:08:43,346 --> 00:08:46,716 お前の親兄弟は? あ…。 131 00:08:46,716 --> 00:08:55,891 おっ母さんは 先々月 病で亡くなりました。 132 00:08:55,891 --> 00:09:01,364 お父っつぁんは 上方へ仕事に行ったっきり…➡ 133 00:09:01,364 --> 00:09:04,567 もう 5年になります。 134 00:09:04,567 --> 00:09:07,603 一人暮らしか? はい。 135 00:09:07,603 --> 00:09:14,744 でも 源太と おすまは 身内みたいなもので…。 136 00:09:14,744 --> 00:09:17,780 源太の一家と? ええ。 137 00:09:17,780 --> 00:09:23,252 あの子たち 早くに お父っつぁんを亡くして➡ 138 00:09:23,252 --> 00:09:26,255 おっ母さんのお駒さんが働きに…。 139 00:09:26,255 --> 00:09:30,993 それで 私が 昼間 2人の世話を…。 140 00:09:30,993 --> 00:09:37,533 ですが 昨日は お駒さん 夜になっても帰ってこなくて…。 141 00:09:37,533 --> 00:09:41,037 (お常)さあ みんな ごはんだよ! (子どもたち)わ~い! 142 00:09:41,037 --> 00:09:45,875 (お雪)これこれ! たくさん あるんだから そう 慌てるんじゃないよ。 143 00:09:45,875 --> 00:09:47,910 おりっちゃんだっけ? はい これ。 144 00:09:47,910 --> 00:09:50,546 すみません。 津川。 145 00:09:50,546 --> 00:09:53,349 ここは お常たちに任せて 通い療治の者たちを診るぞ。 146 00:09:53,349 --> 00:09:56,052 はい。 147 00:09:56,052 --> 00:09:58,354 あの…。 え? 148 00:09:58,354 --> 00:10:00,289 津川先生。 149 00:10:00,289 --> 00:10:04,289 ゆうべは ご面倒をおかけしました。 150 00:10:06,062 --> 00:10:10,062 まあ… 仕事なんで…。 151 00:10:12,234 --> 00:10:15,237 いた~! 152 00:10:15,237 --> 00:10:18,574 こら! ここは原っぱではないぞ! 静かにせんか! 153 00:10:18,574 --> 00:10:21,077 わ~ 鬼だ! 154 00:10:21,077 --> 00:10:24,747 (おりつ)すみません! みんな 静かにおし! 155 00:10:24,747 --> 00:10:27,383 田山 お前の声の方が よほど うるさいぞ! 156 00:10:27,383 --> 00:10:29,318 ですが けが人の容体に障りますので。 157 00:10:29,318 --> 00:10:32,922 (津川)何の騒ぎだ。 お前は 寝ていなくちゃ駄目だろう。 158 00:10:32,922 --> 00:10:35,391 あの~。 (津川)はい。 159 00:10:35,391 --> 00:10:39,261 こちらで 私どもの子らが お世話になってると伺って…。 160 00:10:39,261 --> 00:10:42,098 あっ 重吉! おとく! 161 00:10:42,098 --> 00:10:44,033 お父! おっ母! 162 00:10:44,033 --> 00:10:47,603 ごめんよ… じい様たちを助けるのが 精いっぱいで➡ 163 00:10:47,603 --> 00:10:50,639 てっきり お前たちが ついてきてるもんだと…。 164 00:10:50,639 --> 00:10:55,344 あっ じいちゃん! ああっ 平助! 165 00:10:55,344 --> 00:10:58,614 無事だったか。 よかった。 166 00:10:58,614 --> 00:11:02,418 あの子らの身内か? はい! 167 00:11:02,418 --> 00:11:04,954 痛いとこ ないかい。 168 00:11:04,954 --> 00:11:06,989 もう 離れるなよ。 ん? 169 00:11:06,989 --> 00:11:11,127 (母)よかった…。 (父)勘弁してくれ。 寂しい思いさせたな。 170 00:11:11,127 --> 00:11:17,327 (母)ごめんね… 大丈夫? (父)ああ よかった。 171 00:11:19,301 --> 00:11:21,804 おりっちゃん。 ほんとに ありがとね。 フフフ。 172 00:11:21,804 --> 00:11:23,739 お達者で。 173 00:11:23,739 --> 00:11:27,309 そうだ…。 174 00:11:27,309 --> 00:11:29,979 源太ちゃんたちの おっ母さんのこと 聞いたかい? 175 00:11:29,979 --> 00:11:32,748 え? いえ。 176 00:11:32,748 --> 00:11:37,748 今朝方 焼け跡で 亡骸が見つかったらしいよ。 177 00:11:40,389 --> 00:11:43,389 かわいそうだねえ…。 178 00:11:46,262 --> 00:11:50,065 じゃあ 私たちは これで。 179 00:11:50,065 --> 00:12:02,945 ♬~ 180 00:12:02,945 --> 00:12:07,116 あんちゃん。 すまの お母ちゃんは? 181 00:12:07,116 --> 00:12:21,630 ♬~ 182 00:12:21,630 --> 00:12:25,330 どうかされましたか? 源太たちの母親は亡くなったそうです。 183 00:12:29,305 --> 00:12:35,005 はあ…。 2人に告げなければなりませんね。 184 00:12:40,916 --> 00:12:44,416 少し落ち着くまで待とう。 185 00:12:47,389 --> 00:12:52,261 まっ 数が減った分 子守は楽になる。 186 00:12:52,261 --> 00:12:55,130 火事から こっち まさをさんも心細い思いをしてるでしょ。 187 00:12:55,130 --> 00:12:58,133 今夜は帰っておあげなさい。 188 00:12:58,133 --> 00:13:00,936 いえ 妻は そんな ひ弱な女では…。 189 00:13:00,936 --> 00:13:03,736 人の厚意は素直に受けるものですよ。 190 00:13:16,485 --> 00:13:19,788 今 帰った。 お帰りなさいませ。 191 00:13:19,788 --> 00:13:21,988 今 すすぎを…。 いい。 192 00:13:24,960 --> 00:13:27,863 大勢の人たちが 焼け出されたそうですね。 193 00:13:27,863 --> 00:13:34,063 ああ。 けが人が ひっきりなしに来て 昨夜は大変だった。 194 00:13:36,906 --> 00:13:39,906 ご苦労さまでございました。 195 00:13:45,381 --> 00:13:48,381 あ~…。 196 00:13:53,923 --> 00:13:57,593 あの子らには帰る家もないのか…。 197 00:13:57,593 --> 00:14:00,262 え? 198 00:14:00,262 --> 00:14:03,933 火事で 親を亡くした子どもたちがいる。 199 00:14:03,933 --> 00:14:06,835 まあ…。 200 00:14:06,835 --> 00:14:10,272 まだ年端も行かない子どもたちだ。 201 00:14:10,272 --> 00:14:13,272 どう伝えたら よいのやら…。 202 00:14:19,982 --> 00:14:26,121 あの… 私にも何か手伝えることは ありませんか? 203 00:14:26,121 --> 00:14:29,158 ん? その子たちの世話でも…。 204 00:14:29,158 --> 00:14:32,361 大丈夫だ。 205 00:14:32,361 --> 00:14:35,898 おりつという娘が ついている。 206 00:14:35,898 --> 00:14:39,698 若いが なかなか しっかりした娘のようだ。 207 00:14:42,671 --> 00:14:44,671 そうですか…。 208 00:14:47,609 --> 00:14:51,747 あっ! あっ ああ…。 ああ…。 209 00:14:51,747 --> 00:14:58,747 一眠りしたら… また 戻らねば…。 210 00:15:07,596 --> 00:15:12,401 (カラスの鳴き声) 211 00:15:12,401 --> 00:15:15,304 源太。 212 00:15:15,304 --> 00:15:17,272 源ちゃん…。 どうした? 213 00:15:17,272 --> 00:15:21,143 子どもたちの姿が…。 214 00:15:21,143 --> 00:15:24,980 ≪(源太)火事だ! 火事だ 逃げろ~! 215 00:15:24,980 --> 00:15:27,416 (お茶わんを箸でたたく音) 216 00:15:27,416 --> 00:15:29,952 火事だ~ 逃げろ~! 217 00:15:29,952 --> 00:15:33,822 火事だ~ 逃げろ~! 火事だ~! 218 00:15:33,822 --> 00:15:35,822 火事だ~ 逃げろ~! 219 00:15:37,559 --> 00:15:40,596 いいかげんにしねえか! 220 00:15:40,596 --> 00:15:44,433 火事で死んじまった者だって いるってのに➡ 221 00:15:44,433 --> 00:15:46,568 ちったあ わきまえろ! 222 00:15:46,568 --> 00:15:48,604 痛っ! 源ちゃん! (津川)まあまあ まあまあ…。 223 00:15:48,604 --> 00:15:51,073 子どものやることだから 大目に見てやれ。 224 00:15:51,073 --> 00:15:53,575 この子らも怖い思いをして 気が立ってるだけだ。 225 00:15:53,575 --> 00:16:02,751 (泣き声) 226 00:16:02,751 --> 00:16:08,924 …ったく いいよな。 子どもは のんきで。 227 00:16:08,924 --> 00:16:10,859 (せきこみ) 228 00:16:10,859 --> 00:16:12,859 さあ 向こう行って遊べ。 229 00:16:16,265 --> 00:16:18,767 すみませんでした。 230 00:16:18,767 --> 00:16:23,467 2人とも言っただろう。 ここで騒いじゃいけないって。 231 00:16:25,407 --> 00:16:29,407 (おすま)おっ母さんは いつ 迎えに来るの? 232 00:16:38,353 --> 00:16:43,853 大丈夫さ…。 きっと そのうち迎えに来るよ。 233 00:16:47,896 --> 00:16:59,508 ♬~ 234 00:16:59,508 --> 00:17:03,912 源太と おすまのことですが けがも 大したことないですし➡ 235 00:17:03,912 --> 00:17:06,748 お救い小屋に移したら どうでしょう。 236 00:17:06,748 --> 00:17:08,784 親を亡くしたのは かわいそうですが➡ 237 00:17:08,784 --> 00:17:12,084 いつまでも ここに置いとくわけにはいきません。 238 00:17:15,257 --> 00:17:19,761 まあ なんて冷たい人だろうね 田山先生は。 239 00:17:19,761 --> 00:17:22,097 え? 見てりゃ分かるだろう。 240 00:17:22,097 --> 00:17:24,766 あの子らが どんなに おりっちゃんを慕ってるか。 241 00:17:24,766 --> 00:17:26,702 それを引き離そうってのかい!? 242 00:17:26,702 --> 00:17:30,572 ああ でも しかし…。 そう 急くな! 243 00:17:30,572 --> 00:17:33,208 分かりました。 244 00:17:33,208 --> 00:17:40,008 それにしても立派な娘だよ。 十七の若さで…。 245 00:17:43,919 --> 00:17:49,224 あっ いえね おんなじ長屋の人間に聞いたんですけど➡ 246 00:17:49,224 --> 00:17:52,561 おりっちゃん 昼間は源太たちの世話をして➡ 247 00:17:52,561 --> 00:17:56,064 夕方からは飯屋で働いて その合間を縫って➡ 248 00:17:56,064 --> 00:17:58,967 おっ母さんの看病まで してたってんですから➡ 249 00:17:58,967 --> 00:18:01,767 今どき いませんよ あんないい子。 250 00:18:04,740 --> 00:18:07,940 (お常)ほんと 誰かさんと大違い…。 251 00:18:13,248 --> 00:18:16,084 (津川)どうだ? 子どもたちは。 252 00:18:16,084 --> 00:18:18,284 よく眠ってます。 253 00:18:31,200 --> 00:18:36,538 (おりつ)この子たち これから どうなるんでしょう…。 254 00:18:36,538 --> 00:18:39,041 心配ない。 255 00:18:39,041 --> 00:18:42,911 ああ見えて 先生は 情にあつい人なんでね➡ 256 00:18:42,911 --> 00:18:45,211 しばらく ここにいればいいさ。 257 00:18:46,915 --> 00:18:49,551 お前もだよ。 258 00:18:49,551 --> 00:18:54,223 いえ 私は お父っつぁんが迎えに来ますから。 259 00:18:54,223 --> 00:18:56,158 お父っつぁん? 260 00:18:56,158 --> 00:18:58,227 もう 5年も会ってないんだろ。 261 00:18:58,227 --> 00:19:00,562 ええ。 262 00:19:00,562 --> 00:19:05,762 でも ちょっと前に 上方から文が届いたんです。 263 00:19:09,071 --> 00:19:11,071 これなんですけど…。 264 00:19:12,741 --> 00:19:15,777 死んだ おっ母さんが言ってました。 265 00:19:15,777 --> 00:19:19,915 「お父っつぁんさえ帰ってくれば 暮らしも楽になる。➡ 266 00:19:19,915 --> 00:19:23,752 それまでの辛抱だ」って…。 267 00:19:23,752 --> 00:19:27,589 そうか。 268 00:19:27,589 --> 00:19:31,193 あの… これ…。 269 00:19:31,193 --> 00:19:34,696 ん? 見ていいのか? 270 00:19:34,696 --> 00:19:37,332 ええ。 271 00:19:37,332 --> 00:19:42,032 何と書いてあるか 教えてもらえませんか。 272 00:19:43,705 --> 00:19:49,044 あ… 私 字が読めないので。 273 00:19:49,044 --> 00:19:51,544 あ…。 274 00:19:55,917 --> 00:19:58,053 [ 心の声 ] 「すまない。➡ 275 00:19:58,053 --> 00:20:01,556 女ができて 所帯を持った。➡ 276 00:20:01,556 --> 00:20:04,459 俺のことは忘れてくれ。➡ 277 00:20:04,459 --> 00:20:06,759 父」。 278 00:20:21,576 --> 00:20:23,512 あ…。 279 00:20:23,512 --> 00:20:25,712 「達者か」。 280 00:20:29,751 --> 00:20:33,622 「もうすぐ帰るから心配するな。➡ 281 00:20:33,622 --> 00:20:36,922 体に気を付けろ」と。 282 00:20:39,761 --> 00:20:42,597 無事だったんですね。 283 00:20:42,597 --> 00:20:44,633 ああ。 284 00:20:44,633 --> 00:20:49,833 ああ… ああ よかった。 285 00:20:52,607 --> 00:20:58,413 実は しばらく便りがなかったので 心配してたんです。 286 00:20:58,413 --> 00:21:00,613 はあ…。 287 00:21:04,119 --> 00:21:06,819 ありがとうございます。 288 00:21:10,425 --> 00:21:14,296 さあ もう寝ろ。 (おりつ)はい。 289 00:21:14,296 --> 00:21:31,380 ♬~ 290 00:21:31,380 --> 00:21:34,082 (鳥のさえずり) 291 00:21:34,082 --> 00:21:44,259 (お常の笑い声) 292 00:21:44,259 --> 00:21:46,194 駄目だよ また思い出し… ハハハ…! 293 00:21:46,194 --> 00:21:49,931 あっ おはようございます。 何してんだ こんな所で。 294 00:21:49,931 --> 00:21:52,267 こんな所とは何さ 失礼だねえ。 295 00:21:52,267 --> 00:21:55,771 ここもね 人手が足りないから 気を利かせて手伝ってくれてるんですよ。 296 00:21:55,771 --> 00:21:58,106 ねえ~! (お雪)そうですよ。 297 00:21:58,106 --> 00:22:00,041 寝てないと また熱が上がるぞ。 298 00:22:00,041 --> 00:22:03,412 もう 大丈夫です。 体が なまっちまいますから。 299 00:22:03,412 --> 00:22:07,412 おりっちゃん よ~く気が利くし ほんと助かってんですよ。 300 00:22:09,217 --> 00:22:13,155 いや 今朝の芋がらの煮つけは 塩加減が絶妙だったな。 301 00:22:13,155 --> 00:22:15,791 でしょう? おりっちゃんが作ったんですよ。 302 00:22:15,791 --> 00:22:18,427 ほう 料理の腕も大したものだな。 303 00:22:18,427 --> 00:22:20,495 ありがとうございます。 ほんと➡ 304 00:22:20,495 --> 00:22:23,799 いっそのこと 住み込みで働いてほしいくらいだよ。 305 00:22:23,799 --> 00:22:26,134 (お常)ねえ! フフフ。 306 00:22:26,134 --> 00:22:29,171 そうもいかん。 これ以上 人は増やせないだろ。 307 00:22:29,171 --> 00:22:31,373 先生方は いいですよ。 308 00:22:31,373 --> 00:22:34,743 私たち2人で 3人前 働かなくちゃ いけないんですからね。 309 00:22:34,743 --> 00:22:36,678 ほんとだよ もう。 どうしたんだ。 310 00:22:36,678 --> 00:22:40,248 費用切り詰めのせいで またも改革が阻まれてるのです。 311 00:22:40,248 --> 00:22:43,585 ん? 312 00:22:43,585 --> 00:22:47,389 おや… あんたも何か 手伝ってくれるのかい。 313 00:22:47,389 --> 00:22:50,689 はあ? 何で 私が…。 314 00:22:53,195 --> 00:22:55,597 あ~ いたたたた…。 315 00:22:55,597 --> 00:23:00,268 あ~ まだ 傷が痛むんだよ。 316 00:23:00,268 --> 00:23:03,605 ここは 人使い荒いからね やめときな。 317 00:23:03,605 --> 00:23:05,640 (お常)よく言うよ。 318 00:23:05,640 --> 00:23:07,776 ま… 楽な仕事でないのは確かだが➡ 319 00:23:07,776 --> 00:23:10,612 働く気があれば 先生に頼んでみてもいいぞ。 320 00:23:10,612 --> 00:23:13,648 いえ ご心配なく。 321 00:23:13,648 --> 00:23:17,285 お父っつぁんが迎えに来ますから。 322 00:23:17,285 --> 00:23:19,485 お父っつぁんが? ええ。 323 00:23:21,790 --> 00:23:34,736 ♬~ 324 00:23:34,736 --> 00:23:37,372 先生。 ん? どうしましょう。 膏薬が もうないです。 325 00:23:37,372 --> 00:23:39,307 薬種問屋に頼め。 326 00:23:39,307 --> 00:23:42,077 しかし 薬を仕入れる金が もう…。 327 00:23:42,077 --> 00:23:44,746 そうか…。 328 00:23:44,746 --> 00:23:47,582 先生。 ん? 往診は どうされますか? 329 00:23:47,582 --> 00:23:51,086 佐野屋から 早く診てほしいと 催促が来ておりますが。 330 00:23:51,086 --> 00:23:53,388 ただでさえ人手が足りない時に 往診など…。 331 00:23:53,388 --> 00:23:57,259 いや 行こう。 あそこは金払いがいい。 332 00:23:57,259 --> 00:23:59,759 留守を頼む。 はい。 333 00:24:05,767 --> 00:24:08,670 人手不足が身にしみますね。 334 00:24:08,670 --> 00:24:11,640 お常たちも ぼやいていたな。 335 00:24:11,640 --> 00:24:16,411 おりつに いっそ住み込みで 働いてほしいなどと。 336 00:24:16,411 --> 00:24:21,249 でも じきに父親が 迎えに来るようですし。 337 00:24:21,249 --> 00:24:25,949 さあ… どうなんだろうな。 338 00:24:52,914 --> 00:24:54,914 あ…。 339 00:24:57,752 --> 00:25:02,752 あの… 読んでもらえませんか。 340 00:25:05,393 --> 00:25:08,930 あの先生に 読んでもらったんじゃないのかい。 341 00:25:08,930 --> 00:25:12,130 ええ…。 342 00:25:14,603 --> 00:25:17,603 そんなに心配なのかい。 343 00:25:20,775 --> 00:25:25,113 ごめんよ。 あんたと同じさ。 344 00:25:25,113 --> 00:25:27,313 私も読めないんだ。 345 00:25:46,234 --> 00:25:48,434 すま…! 346 00:25:50,071 --> 00:25:53,071 おすま! おすま! 347 00:26:02,784 --> 00:26:04,919 ほら…。 348 00:26:04,919 --> 00:26:08,419 おいしいかい。 349 00:26:16,097 --> 00:26:21,797 ええな。 お母ちゃん まだかな…。 350 00:26:23,405 --> 00:26:27,776 すまも みかん食べたいな…。 351 00:26:27,776 --> 00:26:33,581 (泣き声) 352 00:26:33,581 --> 00:26:35,583 泣くな! 353 00:26:35,583 --> 00:26:58,073 (泣き声) 354 00:26:58,073 --> 00:27:01,376 あげるよ。 (泣き声) 355 00:27:01,376 --> 00:27:04,245 泣くんじゃないよ! 356 00:27:04,245 --> 00:27:06,445 (泣き声) 357 00:27:10,585 --> 00:27:13,088 へい 大根だ。 はい毎度! 358 00:27:13,088 --> 00:27:15,288 ありがとうね。 へい。 359 00:27:20,261 --> 00:27:23,264 おやじ。 へい毎度! 頼んでたもんは入ったかい。 360 00:27:23,264 --> 00:27:25,464 へい お待ち。 361 00:27:33,808 --> 00:27:38,546 ああ ごめんね おすまちゃん。 遊ぼっか。 362 00:27:38,546 --> 00:27:41,583 おや? きれいな紙風船。 363 00:27:41,583 --> 00:27:44,719 どうしたの? もらった。 364 00:27:44,719 --> 00:27:46,755 へえ~。 365 00:27:46,755 --> 00:27:50,058 あっ 源ちゃんは? 366 00:27:50,058 --> 00:27:52,961 怒って どっか行っちゃった。 367 00:27:52,961 --> 00:27:55,563 喧嘩でもしたのかい? 368 00:27:55,563 --> 00:27:59,067 すまが みかん食べたいって言ったから。 369 00:27:59,067 --> 00:28:01,067 みかん? 370 00:28:05,940 --> 00:28:10,245 い~ててて…。 源ちゃん! 371 00:28:10,245 --> 00:28:12,180 源ちゃん! どうした? 372 00:28:12,180 --> 00:28:14,980 あっ 源ちゃんが いないんです。 373 00:28:23,792 --> 00:28:26,292 (八百屋)待て こら! こら 待て! 374 00:28:29,597 --> 00:28:31,566 待て こら! 源ちゃん!? 375 00:28:31,566 --> 00:28:35,203 うりゃ~ ほら 捕まえた! この盗人め! 源ちゃん!? 376 00:28:35,203 --> 00:28:39,040 あんたが この盗人の親か! いえ… けど…。 377 00:28:39,040 --> 00:28:41,342 商売物のみかんに手ぇ出すなんて とんでもねえガキだ。 378 00:28:41,342 --> 00:28:43,278 おらっ 自身番に突き出してやる! 379 00:28:43,278 --> 00:28:46,548 すみません! この子も 悪気があってやったわけじゃないんです。 380 00:28:46,548 --> 00:28:48,483 幼い妹を喜ばせようとして…。 381 00:28:48,483 --> 00:28:51,419 悪気がなきゃ 盗みをしてもいいって言うのか! 382 00:28:51,419 --> 00:28:53,888 そういうわけじゃ…。 まあ まあ みかん一個なんだろ。 383 00:28:53,888 --> 00:28:56,925 金は払うから 大目に見てやってくれ。 いいや 勘弁ならねえ! 384 00:28:56,925 --> 00:28:59,694 お願いです。 よく言い聞かせますので…。 385 00:28:59,694 --> 00:29:03,598 どうか このとおり 勘弁してやってください! 386 00:29:03,598 --> 00:29:07,235 母親でもねえなら すっこんでろ! 387 00:29:07,235 --> 00:29:11,435 頼む…。 許してやってくれ。 388 00:29:13,041 --> 00:29:17,579 え~い もう… 邪魔すんじゃねえよ! 389 00:29:17,579 --> 00:29:20,248 待て! 390 00:29:20,248 --> 00:29:22,250 その子を放してやれ。 391 00:29:22,250 --> 00:29:25,119 何だよ 大先生のお出ましかよ。 392 00:29:25,119 --> 00:29:28,923 悪いが 盗みを見逃すわけにはいかねえんだ! 393 00:29:28,923 --> 00:29:32,327 目が行き届かなかったのは わしの落ち度だ。 394 00:29:32,327 --> 00:29:36,531 今は わしが その子の親代わりだ。 395 00:29:36,531 --> 00:29:39,200 自身番へでも どこへでも行こう。 396 00:29:39,200 --> 00:29:42,537 先生が… ですかい。 ああ。 397 00:29:42,537 --> 00:29:44,537 いや… しかし…。 398 00:29:46,407 --> 00:29:49,043 いや… もう 先生! 399 00:29:49,043 --> 00:29:52,547 しょうがねえな…。 400 00:29:52,547 --> 00:29:56,247 二度とやるんじゃねえぞ! うん。 401 00:29:58,219 --> 00:30:00,555 申し訳なかった。 402 00:30:00,555 --> 00:30:05,226 源太! 人様の物をとるなんて駄目じゃないか! 403 00:30:05,226 --> 00:30:08,062 ごめんなさい。 404 00:30:08,062 --> 00:30:12,362 どうも お騒がせしました。 405 00:30:25,079 --> 00:30:28,917 津川さんもやりますね 土下座なんて。 406 00:30:28,917 --> 00:30:33,917 ああ…。 土下座で済むなら安いもんだ。 407 00:30:38,593 --> 00:30:40,593 何だ。 408 00:30:44,933 --> 00:30:47,233 おりつのことか…。 409 00:31:06,287 --> 00:31:12,160 おりつに 父親からの文を 読んでやったそうだな。 410 00:31:12,160 --> 00:31:14,295 ええ。 411 00:31:14,295 --> 00:31:18,299 あの娘を迎えに来るというのは 本当なのか。 412 00:31:18,299 --> 00:31:20,799 いいえ 来やしませんよ。 413 00:31:22,971 --> 00:31:26,841 「女ができて 所帯を持ったから 俺のことは忘れてくれ」と。 414 00:31:26,841 --> 00:31:28,843 なぜ 嘘をついた。 415 00:31:28,843 --> 00:31:34,582 なぜって… 思い余って 身投げでもされたら面倒でしょう。 416 00:31:34,582 --> 00:31:38,782 本当に そう思うのか。 417 00:31:44,092 --> 00:31:49,792 あの娘の強さを信じてやれ。 418 00:31:54,102 --> 00:32:12,286 ♬~ 419 00:32:12,286 --> 00:32:14,786 ごめんくださ~い。 420 00:32:17,125 --> 00:32:19,427 (まさを)これは 皆さんでどうぞ。 421 00:32:19,427 --> 00:32:22,296 おだんごを作ってまいりました。 422 00:32:22,296 --> 00:32:24,799 おだんご!? だんご! だんご! 423 00:32:24,799 --> 00:32:26,834 (源太)食べていい? あ~ これこれ これこれ…。 424 00:32:26,834 --> 00:32:28,970 それじゃあ みんなで 向こうで おだんご 頂こう。 425 00:32:28,970 --> 00:32:31,239 ありがとうございました。 わ~! ほら だんごだよ。➡ 426 00:32:31,239 --> 00:32:33,739 だんご だんご! 427 00:32:48,790 --> 00:32:52,393 おりつさん。 はい。 428 00:32:52,393 --> 00:32:55,096 保本の妻です。 429 00:32:55,096 --> 00:32:57,096 ああ…。 430 00:33:02,603 --> 00:33:07,942 さっきの子たちは 親を亡くしたとか…。 431 00:33:07,942 --> 00:33:10,611 ええ。 432 00:33:10,611 --> 00:33:16,417 でも まだ… 2人は知りません。 433 00:33:16,417 --> 00:33:18,352 私がいけないんです。 434 00:33:18,352 --> 00:33:20,652 とっさに嘘をついてしまって…。 435 00:33:28,162 --> 00:33:31,566 あの… すみません。 436 00:33:31,566 --> 00:33:35,736 これ 読んでもらえませんか。 437 00:33:35,736 --> 00:33:37,672 えっ? 438 00:33:37,672 --> 00:33:40,608 私 読み書きが…。 439 00:33:40,608 --> 00:33:43,408 あっ はい。 440 00:33:56,124 --> 00:34:02,924 お願いです。 何と書いてあろうと 本当のことを教えてください。 441 00:34:06,100 --> 00:34:08,800 分かりました。 442 00:34:13,608 --> 00:34:16,511 「すまない。➡ 443 00:34:16,511 --> 00:34:22,116 女ができて所帯を持った。➡ 444 00:34:22,116 --> 00:34:25,786 俺のことは忘れてくれ。➡ 445 00:34:25,786 --> 00:34:27,986 父」。 446 00:34:31,559 --> 00:34:34,759 あの… これ…。 447 00:34:41,235 --> 00:34:43,435 おりつさん!? 448 00:34:45,239 --> 00:34:48,109 おりつさん! 449 00:34:48,109 --> 00:34:50,912 おりつさん! 450 00:34:50,912 --> 00:34:54,412 どうしたんですか? お おりつさんが これを…。 451 00:34:59,620 --> 00:35:02,390 おりつ。 452 00:35:02,390 --> 00:35:04,590 おりつ…。 453 00:35:12,133 --> 00:35:14,433 おりつ…。 454 00:35:18,272 --> 00:35:24,072 嘘をついたりして… すまなかった。 455 00:35:30,785 --> 00:35:34,222 いいんです。 456 00:35:34,222 --> 00:35:36,922 私も嘘を…。 457 00:35:42,897 --> 00:35:49,570 このままだと あの子たちも ずっと…➡ 458 00:35:49,570 --> 00:35:53,870 おっ母さんの帰りを 待つことになるんですね。 459 00:36:01,082 --> 00:36:03,082 私…。 460 00:36:10,791 --> 00:36:16,991 あの子たちに 本当のことを話します。 461 00:36:21,402 --> 00:36:25,102 母ちゃんが… 死んだ!? 462 00:36:31,879 --> 00:36:35,679 お母ちゃん 迎えに来ないの? 463 00:36:44,225 --> 00:36:48,896 ごめんよ… 嘘ついて。 464 00:36:48,896 --> 00:36:56,237 (泣き声) 465 00:36:56,237 --> 00:36:59,140 母ちゃん…。 466 00:36:59,140 --> 00:37:27,201 (泣き声) 467 00:37:27,201 --> 00:37:43,751 ♬~ 468 00:37:43,751 --> 00:37:46,220 あの子らは…。 469 00:37:46,220 --> 00:37:49,220 おりつがついているから大丈夫だ。 470 00:37:54,095 --> 00:37:57,365 源太は寝相が悪いんだ。 471 00:37:57,365 --> 00:38:00,067 ちょっと様子を見てきます。 472 00:38:00,067 --> 00:38:15,916 ♬~ 473 00:38:15,916 --> 00:38:18,819 大丈夫か? 474 00:38:18,819 --> 00:38:20,819 ええ。 475 00:38:23,257 --> 00:38:26,260 お前は…。 476 00:38:26,260 --> 00:38:30,398 はい。 477 00:38:30,398 --> 00:38:36,398 お父っつぁんのことは ふんぎりをつけるしかありません。 478 00:38:40,541 --> 00:38:44,044 私 決めました。 479 00:38:44,044 --> 00:38:46,881 この子らを引き取って➡ 480 00:38:46,881 --> 00:38:50,551 本当の身内になるって。 481 00:38:50,551 --> 00:38:52,486 そうか。 482 00:38:52,486 --> 00:38:56,724 新出先生が 奉公先を世話してくださったので➡ 483 00:38:56,724 --> 00:38:59,059 頑張って働きます。 484 00:38:59,059 --> 00:39:01,059 うん。 485 00:39:02,930 --> 00:39:06,367 まあ ここも大変だが 慣れれば なんとかなる。 486 00:39:06,367 --> 00:39:09,904 え? あ 違うんです。 487 00:39:09,904 --> 00:39:12,740 下野の寺子屋です。 488 00:39:12,740 --> 00:39:14,675 えっ 寺子屋? 489 00:39:14,675 --> 00:39:18,245 住み込みの奉公人を 探しておられるそうで➡ 490 00:39:18,245 --> 00:39:21,081 新出先生が 紹介状を書いてくださいました。 491 00:39:21,081 --> 00:39:24,118 ああ…。 492 00:39:24,118 --> 00:39:29,590 すみません。 津川先生には お世話になりっぱなしで。 493 00:39:29,590 --> 00:39:33,861 いや まあ… よかったじゃないか。 494 00:39:33,861 --> 00:39:35,861 はい。 495 00:39:38,332 --> 00:39:40,701 あっ…。 496 00:39:40,701 --> 00:39:45,201 あの これ よろしければ…。 497 00:39:51,212 --> 00:39:53,547 お世話になった お礼です。 498 00:39:53,547 --> 00:39:55,483 さっき八百屋さんに行って➡ 499 00:39:55,483 --> 00:39:59,220 源ちゃんの おわびのついでに 買ってきました。 500 00:39:59,220 --> 00:40:01,220 ああ…。 501 00:40:04,725 --> 00:40:07,561 うまそうだ。 502 00:40:07,561 --> 00:40:11,761 (2人)フフフ… フフフ…。 503 00:40:24,378 --> 00:40:26,914 お世話になりました。 504 00:40:26,914 --> 00:40:30,751 何か つらいことがあったら いつでも戻ってきていいんだからね。 505 00:40:30,751 --> 00:40:33,087 はい。 506 00:40:33,087 --> 00:40:35,923 (お雪) おすまちゃん 達者でね。 507 00:40:35,923 --> 00:40:38,592 うん。 うん。 508 00:40:38,592 --> 00:40:41,929 いいか。 おりつねえさんの力になるんだぞ。 509 00:40:41,929 --> 00:40:44,629 うん! 510 00:41:01,282 --> 00:41:12,426 ♬~ 511 00:41:12,426 --> 00:41:14,361 達者でね。 512 00:41:14,361 --> 00:41:18,299 いつでも 遊びに来ていいんだからね。 513 00:41:18,299 --> 00:41:20,301 頑張るんだよ。 514 00:41:20,301 --> 00:41:24,438 (お雪)源太! おすまちゃんの面倒 ちゃんと見るんだよ。 515 00:41:24,438 --> 00:41:29,276 おりっちゃん 頑張るんだよ! 頑張んだよ! 516 00:41:29,276 --> 00:41:33,080 行っちゃいましたね。 517 00:41:33,080 --> 00:41:38,880 やれやれ 今夜からは ぐっすり眠れそうだ。 518 00:41:44,091 --> 00:41:48,262 ひょっとして 津川さんは おりつに…。 519 00:41:48,262 --> 00:41:51,265 今頃か? 520 00:41:51,265 --> 00:41:53,765 えっ。 フッ…。 521 00:41:55,936 --> 00:42:01,609 <そんな津川さんのことが 私は 前より少し好きになっていた> 522 00:42:01,609 --> 00:42:26,834 ♬~ 523 00:42:26,834 --> 00:42:28,836 [ 回想 ] (おりつ)ありがとうございます。 524 00:42:28,836 --> 00:42:32,606 (お常)おりっちゃん よ~く気が利くし ほんと 助かってんですよ。 525 00:42:32,606 --> 00:42:35,075 (笑い声) 526 00:42:35,075 --> 00:42:37,375 (おりつ)ちょっと! 527 00:42:40,948 --> 00:42:43,250 泣いてんのかい? 528 00:42:43,250 --> 00:42:47,087 (せきこみ) はっ? 529 00:42:47,087 --> 00:42:52,593 みかんってやつは… 酸っぱいね。 530 00:42:52,593 --> 00:42:58,593 ♬~ 531 00:43:01,101 --> 00:43:04,938 働き者の弟 ぶらぶらしている兄貴。 丁だ! 532 00:43:04,938 --> 00:43:09,410 母親の情愛は 辰蔵より兄の伸吉に向かっています。 533 00:43:09,410 --> 00:43:12,279 あの子だけは いつも私を思ってくれた。 534 00:43:12,279 --> 00:43:14,214 お前が分からないよ。 535 00:43:14,214 --> 00:43:17,418 頑張ってる方が 泣きを見るのさ。 536 00:43:17,418 --> 00:43:20,618 兄に本当の思いを ぶつけたことがあるのか? 537 00:43:22,256 --> 00:43:25,956 俺が どれだけ苦労してきたか 分かってんのか? 538 00:45:33,921 --> 00:45:38,559 4回にわたり 一人のミュージシャンの音楽人生を➡ 539 00:45:38,559 --> 00:45:43,030 歌と共にたどる 「歌のあとさき」。 540 00:45:43,030 --> 00:45:46,600 今回は 時代時代と向き合いながら➡ 541 00:45:46,600 --> 00:45:52,172 歌で メッセージを届けてきた シンガーソングライター 加藤登紀子。 542 00:45:52,172 --> 00:45:56,372 その第2回 「一期一会」。