1 00:00:33,689 --> 00:00:40,095 (鶴之助の泣き声) 2 00:00:40,095 --> 00:00:44,766 (去定)風邪を こじらせてるな。 3 00:00:44,766 --> 00:00:48,437 こうなるまで どうして放っておいた? 4 00:00:48,437 --> 00:00:52,307 (沖石)いや それが…。 5 00:00:52,307 --> 00:00:57,112 腹は減らすのか? 母親の乳は飲むか? 6 00:00:57,112 --> 00:01:01,450 いえ…。 ん? 7 00:01:01,450 --> 00:01:04,119 与えておりません。 8 00:01:04,119 --> 00:01:06,819 なぜだ。 9 00:01:08,457 --> 00:01:14,796 この子を産み落として… 間もなく死んだので。 10 00:01:14,796 --> 00:01:17,496 死んだ? 11 00:01:19,668 --> 00:01:22,671 <鶴之助という この赤子を➡ 12 00:01:22,671 --> 00:01:27,376 しばらくの間 養生所で預かることとなった> 13 00:01:27,376 --> 00:01:42,424 ♬~ 14 00:01:42,424 --> 00:01:46,294 心配いらねえよ。 15 00:01:46,294 --> 00:02:05,647 ♬~ 16 00:02:05,647 --> 00:02:10,452 (津川)浪人とは難儀なものですね。 17 00:02:10,452 --> 00:02:13,789 「武士は食わねど高楊枝」 といっても➡ 18 00:02:13,789 --> 00:02:16,124 赤子は そうはいきませんからね。 19 00:02:16,124 --> 00:02:18,060 生まれて間もなくは➡ 20 00:02:18,060 --> 00:02:20,796 知り合いから 乳を分けてもらっていたようですが➡ 21 00:02:20,796 --> 00:02:24,132 嫌な顔をされると それ以上 頼めなかったようで。 22 00:02:24,132 --> 00:02:27,803 くだらん。 え? 23 00:02:27,803 --> 00:02:30,138 くだらん見栄だ。 24 00:02:30,138 --> 00:02:32,138 (津川)確かに。 25 00:02:36,745 --> 00:02:39,648 おや 保本さんは同意しかねると? 26 00:02:39,648 --> 00:02:43,418 いえ そういうわけでは…。 27 00:02:43,418 --> 00:02:47,289 ただ 考えていたんです。 (津川)何をですか? 28 00:02:47,289 --> 00:02:51,760 自分も同じような立場だったら どうするかと…。 29 00:02:51,760 --> 00:02:56,431 妻に死なれ 乳飲み子を 一人 抱えることになったら。 30 00:02:56,431 --> 00:03:01,770 フフフッ。 いらぬ心配ですよ。 え? 31 00:03:01,770 --> 00:03:04,439 あなた方には 立派な親御がいる。 32 00:03:04,439 --> 00:03:07,739 あの浪人とは 全く違いますよ。 33 00:03:12,114 --> 00:03:17,786 おや 恵まれていれば 恵まれているなりの悩みがあるようで…。 34 00:03:17,786 --> 00:03:20,786 黙ってやれ 津川。 はい。 35 00:03:22,657 --> 00:03:28,430 <津川さんに言われて 改めて気付いたことがある> 36 00:03:28,430 --> 00:03:30,365 よし いいぞ。 37 00:03:30,365 --> 00:03:35,270 <人より恵まれた境遇にあることを 後ろめたく思う気持ちが➡ 38 00:03:35,270 --> 00:03:38,970 常に自分にはある> 39 00:03:40,742 --> 00:03:43,078 次 朔太郎。 40 00:03:43,078 --> 00:03:55,090 ♬~ 41 00:03:55,090 --> 00:03:57,790 失礼しますよ。 42 00:03:59,761 --> 00:04:05,100 今日も 大勢 病人が来ましたね。 全く 息つく暇もありゃしない。 43 00:04:05,100 --> 00:04:08,436 人の数だけ 病があります。 まあ そうですけど。 44 00:04:08,436 --> 00:04:11,773 そのために 我々がいるんです。 45 00:04:11,773 --> 00:04:16,645 何だか 虫の居どころがお悪いようで。 ん? 46 00:04:16,645 --> 00:04:19,447 ≪(鶴之助の泣き声) ≪(田山)飲まぬか。 47 00:04:19,447 --> 00:04:25,320 おやおや どうやら あなたの弟子が 赤子に手を焼いているようですよ。 48 00:04:25,320 --> 00:04:29,457 弟子ではありません。 49 00:04:29,457 --> 00:04:32,360 (田山)飲まねば 元気になれんぞ。 50 00:04:32,360 --> 00:04:34,729 分からぬのか。 51 00:04:34,729 --> 00:04:36,665 お前のために言ってるのだ。 52 00:04:36,665 --> 00:04:40,402 (およね)赤ん坊が分かるわけないだろ。 53 00:04:40,402 --> 00:04:43,071 なら お前がやってみろ。 54 00:04:43,071 --> 00:04:48,743 え? ちょっ… ちょっと! 55 00:04:48,743 --> 00:04:51,646 え? 56 00:04:51,646 --> 00:05:01,646 (泣き声) 57 00:05:03,291 --> 00:05:08,430 飲んだ…。 飲んだじゃないか! 58 00:05:08,430 --> 00:05:12,100 お前は いい子だね。 59 00:05:12,100 --> 00:05:14,436 およね。 ん? 60 00:05:14,436 --> 00:05:18,306 その子の面倒は お前が見ろ。 え…? 61 00:05:18,306 --> 00:05:21,109 あ! ちょっ… ちょっと! ちょっ… ちょっと! 62 00:05:21,109 --> 00:05:24,012 何で 私が面倒見なきゃなんないんだよ! 63 00:05:24,012 --> 00:05:25,981 田山より お前に懐いている。 64 00:05:25,981 --> 00:05:31,119 そりゃあ こんな とうへんぼくより ましだろうけど。 とうへんぼく? 65 00:05:31,119 --> 00:05:34,723 女が世話するのがいいっていうんだったら お常さんに頼めばいいだろ。 66 00:05:34,723 --> 00:05:37,392 子を育てたことがあんだから。 なあ? 67 00:05:37,392 --> 00:05:40,061 (鶴之助の声) 68 00:05:40,061 --> 00:05:43,732 フッ。 お前がいいって言っているぞ。 69 00:05:43,732 --> 00:05:47,068 え? いいな。 70 00:05:47,068 --> 00:05:49,971 ただし 看病の時には➡ 71 00:05:49,971 --> 00:05:54,743 熱と下の具合に気を付けろ。 72 00:05:54,743 --> 00:05:57,646 じゃあ ほかの仕事は やらなくていいんだね! 73 00:05:57,646 --> 00:06:00,081 台所仕事なんかは やらないからね! 74 00:06:00,081 --> 00:06:02,984 好きにしろ。 75 00:06:02,984 --> 00:06:05,954 何だよ 全く…。 76 00:06:05,954 --> 00:06:12,254 <こうして 鶴之助の世話係は およねとなった> 77 00:06:14,095 --> 00:06:21,436 (泣き声) 78 00:06:21,436 --> 00:06:25,106 ほらほら 泣くなって。 79 00:06:25,106 --> 00:06:27,776 (泣き声) 80 00:06:27,776 --> 00:06:38,053 ≪(鶴之助の泣き声) 81 00:06:38,053 --> 00:06:40,722 あっ ごめんよ 通しておくれ! 82 00:06:40,722 --> 00:06:43,625 (泣き声) はいはい はいはい…。 83 00:06:43,625 --> 00:06:48,596 (泣き声) 84 00:06:48,596 --> 00:06:50,732 臭っ! 85 00:06:50,732 --> 00:06:54,602 ちっちゃいのに 一人前だな。 86 00:06:54,602 --> 00:06:58,073 ほら 待って 待って 待って。 ほら はいはい はいはい。 87 00:06:58,073 --> 00:07:04,412 (泣き声) もう寝ろって。 88 00:07:04,412 --> 00:07:07,082 はいはい…。 89 00:07:07,082 --> 00:07:15,757 (泣き声) 90 00:07:15,757 --> 00:07:20,457 よしよし よしよし…。 (およねのあくび) 91 00:07:27,769 --> 00:07:30,438 どうだい? 92 00:07:30,438 --> 00:07:35,710 うん… もう大丈夫だ。 93 00:07:35,710 --> 00:07:40,582 あ~ くたびれた! (笑い声) 94 00:07:40,582 --> 00:07:42,584 何だい。 95 00:07:42,584 --> 00:07:45,387 たった3日 世話したぐらいで 大げさだな。 96 00:07:45,387 --> 00:07:50,258 何 言ってんだい。 赤ん坊の看病ほど くたびれるものはないよ。 97 00:07:50,258 --> 00:07:53,261 そりゃ お前が まだ 子どもみたいなものだからな。 98 00:07:53,261 --> 00:07:56,030 言ったね! 99 00:07:56,030 --> 00:07:57,966 (泣き声) 100 00:07:57,966 --> 00:08:00,935 え? おい およね…! 101 00:08:00,935 --> 00:08:04,072 はいはいはい はいはいはい…。 102 00:08:04,072 --> 00:08:06,975 怖かったのかい? 大丈夫だよ。 103 00:08:06,975 --> 00:08:09,744 お前を取って食いはしないからな。 104 00:08:09,744 --> 00:08:12,647 腹の具合は どうだ? 下痢などしてないか? 105 00:08:12,647 --> 00:08:15,947 してないよ。 そうか。 106 00:08:17,619 --> 00:08:22,090 にしても 情の薄い父親だね。 107 00:08:22,090 --> 00:08:24,759 あれから 全然 来ないじゃないか。 108 00:08:24,759 --> 00:08:27,662 確かに。 109 00:08:27,662 --> 00:08:32,033 赤子を預けていて いい気なもんだ。 110 00:08:32,033 --> 00:08:43,645 ♬~ 111 00:08:43,645 --> 00:08:48,345 こんなものが 玄関に…。 112 00:08:50,718 --> 00:08:53,621 (沖石)「新出去定様。➡ 113 00:08:53,621 --> 00:08:59,394 拙者 浪々の身にて 乳飲み子の鶴之助を抱え➡ 114 00:08:59,394 --> 00:09:04,732 このまま暮らしていては 身を立てるすべもありません。➡ 115 00:09:04,732 --> 00:09:10,071 世に出ることができたら 必ず迎えに参りますので➡ 116 00:09:10,071 --> 00:09:16,411 それまで この子を お預かりいただけないでしょうか。➡ 117 00:09:16,411 --> 00:09:22,283 ご厚意にすがり お願い申し上げる次第です。➡ 118 00:09:22,283 --> 00:09:25,983 沖石主殿」。 119 00:09:29,424 --> 00:09:31,359 (お常)何やってんだい。 うわっ! 120 00:09:31,359 --> 00:09:34,028 お常さんこそ 何やってんですか。 121 00:09:34,028 --> 00:09:36,698 あんた 洗い物が まだだろ。 122 00:09:36,698 --> 00:09:38,633 お常さん やってきてください! 123 00:09:38,633 --> 00:09:41,333 今日は あんたの番じゃないか! 124 00:09:43,037 --> 00:09:44,973 (およね)え? 125 00:09:44,973 --> 00:09:47,909 そういうことだ。 126 00:09:47,909 --> 00:09:52,714 じゃあ この子は 捨てられたっていうのかい。 127 00:09:52,714 --> 00:09:55,617 捨てたのではない。 128 00:09:55,617 --> 00:09:58,586 身を立てた暁には 迎えに来ると書いてある。 129 00:09:58,586 --> 00:10:01,055 何 言ってんだい! 身を立てられなかったら➡ 130 00:10:01,055 --> 00:10:03,725 やっぱり 捨てちまうってことだろ。 131 00:10:03,725 --> 00:10:08,062 そんな… そんなことって。 132 00:10:08,062 --> 00:10:10,965 いや 確かにお前の言うとおりかもしれぬ。 133 00:10:10,965 --> 00:10:13,401 え? 新出先生➡ 134 00:10:13,401 --> 00:10:16,738 この赤子は捨てられたんです。 番所に届け出ましょう。 135 00:10:16,738 --> 00:10:18,673 (およね)え? けどさ…。 136 00:10:18,673 --> 00:10:21,609 (田山)手紙一つで 子どもを 置き去りにするような父親の言葉は➡ 137 00:10:21,609 --> 00:10:27,309 信じられません。 明日の朝 私が この子を連れていきます。 138 00:10:31,753 --> 00:10:37,425 駄目だよ…。 そんなの駄目だよ! 139 00:10:37,425 --> 00:10:39,761 迎えに来るって言ってんだろ! 140 00:10:39,761 --> 00:10:42,664 くさっても この子の父親は侍なんだろ! 141 00:10:42,664 --> 00:10:45,433 武士に 二言はないんだろ! 142 00:10:45,433 --> 00:10:48,770 およね…。 143 00:10:48,770 --> 00:10:53,641 あんたら そいつの言葉を 信じてやれないのかよ! 144 00:10:53,641 --> 00:10:55,643 それでも男かい! 145 00:10:55,643 --> 00:11:00,381 (田山)おい さっきと随分違うじゃないか。 お前だって この子は捨てられたって。 146 00:11:00,381 --> 00:11:06,321 私は信じるよ。 この子の父親は 必ず迎えに来る! 147 00:11:06,321 --> 00:11:10,792 それまで 私が この子の面倒見んだい。 148 00:11:10,792 --> 00:11:14,492 それなら いいだろ。 文句ないだろ 赤ひげ。 149 00:11:16,130 --> 00:11:19,467 子守以外の仕事もするんだぞ。 150 00:11:19,467 --> 00:11:23,167 じゃあ いいのかい? 151 00:11:26,341 --> 00:11:29,477 (泣き声) (田山)本当に いいんですか? 152 00:11:29,477 --> 00:11:32,177 あっ あ… ごめんよ! 153 00:11:36,084 --> 00:11:38,987 よしよし よしよし。 154 00:11:38,987 --> 00:11:41,956 いいのか およね。 ん? 155 00:11:41,956 --> 00:11:44,759 苦労するのは お前だぞ。 156 00:11:44,759 --> 00:11:50,059 行きがかりさ。 しかたがないだろ。 なあ? 157 00:11:53,101 --> 00:12:02,110 ♬~ 158 00:12:02,110 --> 00:12:07,110 全く お前も物好きだねえ。 邪魔だよ。 159 00:12:11,119 --> 00:12:14,022 (津川)フンフン…。 160 00:12:14,022 --> 00:12:17,792 察するに こんな身の上だな。 何だい。 161 00:12:17,792 --> 00:12:22,130 ほれた腫れたで 一緒になったものの すぐに旦那に捨てられて➡ 162 00:12:22,130 --> 00:12:26,467 女手一つで 子を育てる けなげなおっ母さん…。 163 00:12:26,467 --> 00:12:29,137 いや 泣かせるねえ。 はあ? 164 00:12:29,137 --> 00:12:32,740 何 くだらないこと言ってんだよ。 もう あっち行ってください! 165 00:12:32,740 --> 00:12:34,676 シッ シッ! 166 00:12:34,676 --> 00:12:39,614 ♬~ 167 00:12:39,614 --> 00:12:42,750 痛っ! もう ぶきっちょなんだから。 168 00:12:42,750 --> 00:12:44,686 ほら 貸して。 ん? 169 00:12:44,686 --> 00:12:49,386 やってあげる。 いいよ。 私がやる。 170 00:12:51,759 --> 00:12:54,095 痛っ! 171 00:12:54,095 --> 00:12:56,095 もう…。 172 00:13:11,646 --> 00:13:14,346 できた? 173 00:13:16,117 --> 00:13:19,817 できた…。 174 00:13:23,791 --> 00:13:25,727 本当に できてる。 175 00:13:25,727 --> 00:13:29,464 できた! よく頑張ったね! 176 00:13:29,464 --> 00:13:32,366 できてる! アハ~ッ できた! 177 00:13:32,366 --> 00:13:37,739 ほら 着てみるか? おい。 きっと よく似合うよ。 178 00:13:37,739 --> 00:13:42,410 あんたたち! 洗濯物。 日が暮れちまうよ! 179 00:13:42,410 --> 00:13:45,079 (2人)は~い! 180 00:13:45,079 --> 00:13:56,424 ♬~ 181 00:13:56,424 --> 00:13:58,359 あら まさをさん。 182 00:13:58,359 --> 00:14:01,059 あら どうも。 どうも。 183 00:14:03,297 --> 00:14:07,769 およねさん えっ いつの間に母親に? 184 00:14:07,769 --> 00:14:10,671 ん? え? 185 00:14:10,671 --> 00:14:12,640 (笑い声) 186 00:14:12,640 --> 00:14:19,781 もう 何 言ってんだい まさをさん。 この赤ん坊はね うちで預かってる子! 187 00:14:19,781 --> 00:14:24,118 あ そうだったんですか! あ~ 驚いた。 188 00:14:24,118 --> 00:14:27,455 (およね)全く 早とちりだよ。 189 00:14:27,455 --> 00:14:30,124 でも すっかり自分の子みたいだったから。 190 00:14:30,124 --> 00:14:33,027 (お常 お雪)え? 何 言ってんだい。 191 00:14:33,027 --> 00:14:36,931 (まさを)すみません。 これ 皆さんで どうぞ。 192 00:14:36,931 --> 00:14:41,402 おいしそう! 193 00:14:41,402 --> 00:14:43,337 ちょっと あんたばっかり 取るんじゃないよ! 194 00:14:43,337 --> 00:14:46,741 ちょっ ちょっ ちょっ…! もう いいんだよ。 あんたに任せて…。 195 00:14:46,741 --> 00:14:50,411 あっ。 私の子なわけないだろう。 なあ? 196 00:14:50,411 --> 00:14:53,314 頂きます。 頂きます。 197 00:14:53,314 --> 00:14:56,014 ん! おいしい! おいしい! 198 00:14:58,753 --> 00:15:00,688 ≪(話し声) 199 00:15:00,688 --> 00:15:05,626 いいんですか? 本当に かわいい子ですね。 200 00:15:05,626 --> 00:15:09,397 けど 何だか…。 201 00:15:09,397 --> 00:15:13,301 やっぱり およねさんに似てるみたい。 202 00:15:13,301 --> 00:15:15,770 何 言ってんだよ。 203 00:15:15,770 --> 00:15:18,770 (まさを)ほら 目元なんて そっくりです。 (笑い声) 204 00:15:20,641 --> 00:15:32,253 ♬「ねんねん ころりよ おころりよ」 205 00:15:32,253 --> 00:15:37,725 ♬「およねは よい子だ」 206 00:15:37,725 --> 00:15:41,395 あ…。 やだ ごめんよ。 207 00:15:41,395 --> 00:15:46,067 いつも おっ母さんが そう歌ってたからさ…。 208 00:15:46,067 --> 00:15:57,411 ♬「鶴之助は よい子だ ねんねしな」 209 00:15:57,411 --> 00:16:00,411 ん? ウフフッ。 210 00:16:12,960 --> 00:16:16,097 変われば 変わるものだ。 211 00:16:16,097 --> 00:16:19,000 何の話です? およねですよ。 212 00:16:19,000 --> 00:16:24,772 あの赤ん坊の世話をするようになってから 何だか 働き者になったようで。 213 00:16:24,772 --> 00:16:28,109 鶴之助様様というところだ。 214 00:16:28,109 --> 00:16:31,979 (田山)なるほど。 では 津川さんも いっそ 父親になってみてはどうですか? 215 00:16:31,979 --> 00:16:34,715 (津川)どういう意味だ? (田山)そうすれば➡ 216 00:16:34,715 --> 00:16:40,415 今まで以上の働きぶりになるかと。 (津川)今の言葉 そっくり お前に返す。 217 00:16:45,726 --> 00:16:49,397 あ 代わるわ。 およねちゃん ごはん まだでしょ。 218 00:16:49,397 --> 00:16:52,733 大丈夫だよ。 もう終わるから。 本当? 219 00:16:52,733 --> 00:16:59,033 うん。 任しときな。 そう? じゃあ。 220 00:17:01,409 --> 00:17:05,746 あのさ…。 え? 221 00:17:05,746 --> 00:17:11,619 あ いや 何か 気にかけてくれてさ…。 222 00:17:11,619 --> 00:17:14,422 いや…。 223 00:17:14,422 --> 00:17:21,295 いや 何か いつも あんた 優しくしてくれるからさ。 224 00:17:21,295 --> 00:17:27,295 こんな私に ありがとうって思って…。 225 00:17:29,437 --> 00:17:33,040 およねちゃん…。 226 00:17:33,040 --> 00:18:02,403 ♬~ 227 00:18:02,403 --> 00:18:05,740 今日は これで失礼します。 ん…。 228 00:18:05,740 --> 00:18:16,083 ♬~ 229 00:18:16,083 --> 00:18:20,755 あの…。 何だ? 230 00:18:20,755 --> 00:18:23,090 このままで いいのでしょうか。 231 00:18:23,090 --> 00:18:25,760 何の話だ? 232 00:18:25,760 --> 00:18:29,096 およねのことです。 233 00:18:29,096 --> 00:18:35,369 およねは 鶴之助の世話を するようになってから 変わりました。 234 00:18:35,369 --> 00:18:41,709 心穏やかに 安らいでいるように見えます。 235 00:18:41,709 --> 00:18:49,383 しかし このまま ずっと2人は 一緒にいられるわけではありません。 236 00:18:49,383 --> 00:18:53,054 鶴之助を失ったあとの およねの気持ちを思うと…。 237 00:18:53,054 --> 00:18:58,354 およねは 赤子ではない。 238 00:19:09,086 --> 00:19:12,957 (およね)ねえ どうしよう…。 どうしよう どうしよう…。 239 00:19:12,957 --> 00:19:16,961 赤ひげ! 赤ひげ! 240 00:19:16,961 --> 00:19:19,096 どうした? 241 00:19:19,096 --> 00:19:21,432 かんざしの玉を飲んじまったんだよ! 242 00:19:21,432 --> 00:19:26,132 何!? ついてこい! 243 00:19:28,105 --> 00:19:30,775 助けてくれ 赤ひげ! 助けておくれ! 244 00:19:30,775 --> 00:19:33,775 おい そこのヘラを取れ! うん! 245 00:19:35,379 --> 00:19:38,048 はい。 頭を押さえろ! 246 00:19:38,048 --> 00:19:39,984 うん。 247 00:19:39,984 --> 00:19:45,389 鶴之助… しっかりしろ 鶴之助! 248 00:19:45,389 --> 00:19:48,689 ああ 鶴之助…! 249 00:19:50,261 --> 00:19:57,735 ≪(鶴之助の泣き声) 250 00:19:57,735 --> 00:20:01,405 もう大丈夫だ。 251 00:20:01,405 --> 00:20:06,277 ごめんよ ごめんよ。 私が目を離したばっかりに…。 252 00:20:06,277 --> 00:20:10,748 もう遅い。 早く寝ろ。 253 00:20:10,748 --> 00:20:13,417 うん…。 254 00:20:13,417 --> 00:20:16,417 ごめんよ。 ごめん ごめん…。 255 00:20:22,426 --> 00:20:26,764 鶴之助…。 256 00:20:26,764 --> 00:20:34,064 ごめんね。 ごめんね 鶴之助…。 257 00:20:39,343 --> 00:20:45,449 私は駄目だね…。 258 00:20:45,449 --> 00:20:50,321 やっぱり 駄目な女だね…。 259 00:20:50,321 --> 00:21:04,134 ♬~ 260 00:21:04,134 --> 00:21:07,805 そんなの よくあることだよ。 え? 261 00:21:07,805 --> 00:21:12,676 前に うちの子もさ 目ぇ離した隙に こんな大きなあめ玉 喉に詰まらせてさ。 262 00:21:12,676 --> 00:21:14,678 そんなことが…。 そうそう! 263 00:21:14,678 --> 00:21:18,816 もう慌てて 喉の奥に指突っ込んで 吐き出させるの 大変だったよ。 264 00:21:18,816 --> 00:21:23,487 もう ほんとに驚いたんだから。 そう… そうかい。 265 00:21:23,487 --> 00:21:25,422 気にすることないよ。 266 00:21:25,422 --> 00:21:29,159 そうだよ。 うん…。 267 00:21:29,159 --> 00:21:31,459 うん。 268 00:21:36,767 --> 00:21:40,638 へえ~。 お常さん そんなことがあったんですか。 269 00:21:40,638 --> 00:21:43,440 いや… 作り話だよ。 270 00:21:43,440 --> 00:21:46,777 え? え? あ いや…➡ 271 00:21:46,777 --> 00:21:51,448 何か ほら 気落ちしちまってるからさ。 272 00:21:51,448 --> 00:21:55,448 何だい? 何でも。 273 00:21:58,122 --> 00:22:03,822 <そうして 穏やかに時は過ぎていった> 274 00:22:07,131 --> 00:22:09,066 これ 鶴之助ちゃんに。 275 00:22:09,066 --> 00:22:13,003 わあ よかったね 鶴坊。 ほら。 276 00:22:13,003 --> 00:22:19,710 <誰から見ても およねは 本当の母親のようになっていた> 277 00:22:19,710 --> 00:22:22,146 (田山)これを 鶴之助に。 278 00:22:22,146 --> 00:22:24,481 え… いいのかい? 279 00:22:24,481 --> 00:22:27,384 ああ。 甥っ子のお古で悪いが。 280 00:22:27,384 --> 00:22:29,820 うれしいね。 281 00:22:29,820 --> 00:22:32,723 着替えは いくつあっても助かるんだよ。 282 00:22:32,723 --> 00:22:35,626 そうか。 それは よかった。 283 00:22:35,626 --> 00:22:41,432 ほら 鶴坊 見てごらん。 ほら こんなにあるぞ。 ほら 鶴坊。 284 00:22:41,432 --> 00:22:47,771 (津川)あ~ どこ行ったんだろうな…。 285 00:22:47,771 --> 00:22:49,707 え? 286 00:22:49,707 --> 00:22:52,443 いや 手拭いを どこかに…。 287 00:22:52,443 --> 00:22:54,778 代わりのあるかい? うん その辺に。 288 00:22:54,778 --> 00:22:59,650 あ これか。 289 00:22:59,650 --> 00:23:05,122 (笑い声) 290 00:23:05,122 --> 00:23:09,793 鶴之助のおしめじゃねえか! (笑い声) 291 00:23:09,793 --> 00:23:13,130 (鶴之助の声) 貸すよって言ってるよ。 292 00:23:13,130 --> 00:23:17,801 結構だ! おいらのおしめ 貸してやるよ。 293 00:23:17,801 --> 00:23:19,801 (笑い声) 294 00:23:21,472 --> 00:23:24,772 <そんな ある日…> 295 00:23:26,343 --> 00:23:30,643 (沖石)新出先生に お目通り願いたい。 296 00:23:36,954 --> 00:23:42,426 (沖石)この度 上総久留里3万石 黒田家への仕官が かないました。➡ 297 00:23:42,426 --> 00:23:51,769 身辺も整い お預かりいただいていた 一子 鶴之助を迎えに参りました。➡ 298 00:23:51,769 --> 00:24:02,413 これまでの鶴之助の世話については 言葉では 礼は申し尽くせません。 299 00:24:02,413 --> 00:24:07,713 おかげさまをもちまして 再び 身を立てることができました。 300 00:24:09,319 --> 00:24:13,457 こちらは 些少で お恥ずかしい限りですが…。 301 00:24:13,457 --> 00:24:16,360 いや 結構。 いえ ですが…。 302 00:24:16,360 --> 00:24:19,329 引っ込めろ! 303 00:24:19,329 --> 00:24:26,029 でなければ 話はできん。 304 00:24:35,712 --> 00:24:40,084 沖石殿。 (沖石)はい。 305 00:24:40,084 --> 00:24:42,986 あんたは 子を捨てた。 306 00:24:42,986 --> 00:24:45,422 いや しかし 私は…。 307 00:24:45,422 --> 00:24:49,122 いや 一度 捨てたのだ。 308 00:24:50,761 --> 00:24:55,432 信じてください! 私は 必ず迎えに来るつもりで➡ 309 00:24:55,432 --> 00:25:00,732 その思いで 鶴之助を ここに置いたのです。 310 00:25:03,107 --> 00:25:12,116 仕官先を失って3年 その間 妻は苦労のし通しでした。 311 00:25:12,116 --> 00:25:22,759 暮らしを切り詰め 内職仕事にいそしみ 日々を暮らすのが 精いっぱいの中で…。➡ 312 00:25:22,759 --> 00:25:29,466 そんな時 私たちは子を授かりました。➡ 313 00:25:29,466 --> 00:25:34,071 それが 鶴之助です。 314 00:25:34,071 --> 00:25:40,944 難産の末 鶴之助は ようやく生まれました。 315 00:25:40,944 --> 00:25:47,618 しかし 妻は産後の肥立ちが悪く 日々 やつれていく一方で➡ 316 00:25:47,618 --> 00:25:54,758 私は鶴之助を抱えたまま 働くすべもなく…。 317 00:25:54,758 --> 00:25:58,428 (ちぐさ)鶴之助…。 (沖石)妻に➡ 318 00:25:58,428 --> 00:26:02,728 滋養のあるものを食べさせてやることも できませんでした。 319 00:26:06,103 --> 00:26:11,975 ちぐさ しっかりしろ! ちぐさ! 320 00:26:11,975 --> 00:26:19,650 (沖石) 妻は 鶴之助を満足に抱くこともできず➡ 321 00:26:19,650 --> 00:26:23,350 死んでいきました。 322 00:26:25,122 --> 00:26:32,729 同じ過ちを繰り返してはいけない。 私は そう思いました。 323 00:26:32,729 --> 00:26:37,067 鶴之助が 風邪をこじらせていることにも 気付かず➡ 324 00:26:37,067 --> 00:26:41,939 妻が命懸けで産んでくれた我が子まで 失うところでした。 325 00:26:41,939 --> 00:26:49,646 その時 私は決めたのです。 鶴之助を 一度は捨てようと。 326 00:26:49,646 --> 00:27:01,291 その上で 死に物狂いで仕官先を見つけ 鶴之助を迎えに来ようと。 327 00:27:01,291 --> 00:27:06,096 身勝手は 重々 承知の上。 328 00:27:06,096 --> 00:27:10,767 しかし 私は あの時 皆様のご厚情に甘えるよりほかに…。 329 00:27:10,767 --> 00:27:14,104 何 言ってんだい! てめえの言い分ばっかじゃねえか。 330 00:27:14,104 --> 00:27:16,440 誰だ? 誰だっていいだろ! 331 00:27:16,440 --> 00:27:20,777 いや この者は この養生所の 下働きをしている およねという…。 332 00:27:20,777 --> 00:27:23,113 母親だ。 え? 333 00:27:23,113 --> 00:27:28,113 鶴之助の… 母親だ。 334 00:27:36,660 --> 00:27:41,398 あんたはさ 鶴坊の気持ち 考えたことあんのかい? 335 00:27:41,398 --> 00:27:45,736 え? 鶴坊は いい子だよ。 336 00:27:45,736 --> 00:27:51,408 ふだんは ニコニコ 機嫌よく笑ってくれるんだ。 337 00:27:51,408 --> 00:27:58,282 でもさ ふとした時に さみしそうな顔して泣くんだよ。 338 00:27:58,282 --> 00:28:04,421 そりゃそうさ。 まだ あんな赤ん坊なのに おっ母さんに死なれて➡ 339 00:28:04,421 --> 00:28:10,294 たった一人のお父っつぁんには 捨てられちまったんだからね。 340 00:28:10,294 --> 00:28:16,433 そんな時はさ 私が いくら あやしても いくら頑張っても➡ 341 00:28:16,433 --> 00:28:21,104 泣きやんでくれないんだよ。 342 00:28:21,104 --> 00:28:28,779 しまいには 疲れて眠るまで ずっと泣いてんだ。 343 00:28:28,779 --> 00:28:32,779 それなのに あんたは…! 344 00:28:34,384 --> 00:28:37,721 世話をしてくれたことには礼を言う。 345 00:28:37,721 --> 00:28:43,021 だが 鶴之助は私の子だ。 346 00:28:47,731 --> 00:28:50,031 返してもらおう。 347 00:28:54,071 --> 00:28:56,006 お… およね? 348 00:28:56,006 --> 00:29:07,617 ♬~ 349 00:29:07,617 --> 00:29:11,421 おい およね どこに行く? 350 00:29:11,421 --> 00:29:14,091 おっと! …何? 351 00:29:14,091 --> 00:29:16,026 おい およね待て! (お常)え? 352 00:29:16,026 --> 00:29:17,961 あら ちょっと どうしたんだい? 353 00:29:17,961 --> 00:29:19,963 危ない! ちょっと どいてくれ! 354 00:29:19,963 --> 00:29:22,766 ごめんなさい…。 ちょっと どいて! 355 00:29:22,766 --> 00:29:24,766 待て およね! 356 00:29:27,637 --> 00:29:32,376 およねを捕まえてくれ! (津川)お… おう! 357 00:29:32,376 --> 00:29:40,250 ♬~ 358 00:29:40,250 --> 00:29:42,719 おい およね! 359 00:29:42,719 --> 00:29:47,019 ≪およね! およね! 360 00:29:51,061 --> 00:29:56,733 おい 何をしてるんだ!? おい! 361 00:29:56,733 --> 00:30:02,072 というわけだ。 今日のところは お引き取り願おう。 362 00:30:02,072 --> 00:30:04,372 え? 363 00:30:14,084 --> 00:30:20,084 およね いい加減にしないか。 364 00:30:23,427 --> 00:30:29,427 どうだ? いや…。 365 00:30:31,101 --> 00:30:34,004 いいのか! 366 00:30:34,004 --> 00:30:41,704 この寒さだ。 鶴之助が風邪をひくぞ! 367 00:30:48,118 --> 00:30:51,118 (物音) 368 00:30:55,792 --> 00:30:58,792 およね…。 369 00:31:22,486 --> 00:31:26,186 嫌だよ…。 370 00:31:29,359 --> 00:31:34,097 鶴坊と別れるなんて 絶対嫌だよ…。 371 00:31:34,097 --> 00:31:40,770 (泣き声) 372 00:31:40,770 --> 00:31:44,107 この子が いるようになってから➡ 373 00:31:44,107 --> 00:31:50,447 目が覚める時 一日が始まるのが うれしくて しかたないんだよ…。 374 00:31:50,447 --> 00:31:58,447 夜眠る時だって 明日が来るのが楽しみでしかたないんだ。 375 00:32:01,458 --> 00:32:08,158 この子が いなくなったら それが み~んな なくなっちまう。 376 00:32:12,802 --> 00:32:19,142 およね 覚えてるか。 何をだい? 377 00:32:19,142 --> 00:32:24,442 この子が ここへ来た時のことだ。 378 00:32:26,016 --> 00:32:33,423 田山は 手紙一つで置き去りにするような 父親は信じられないと言った。 379 00:32:33,423 --> 00:32:38,295 だから 番所へ届け出ようと言った。 380 00:32:38,295 --> 00:32:41,765 しかし お前は言った。 381 00:32:41,765 --> 00:32:51,765 父親は 必ず迎えに来る。 それまで 私が面倒見ると。 382 00:32:54,110 --> 00:32:58,448 信じたお前が正しかったんだ。 383 00:32:58,448 --> 00:33:07,791 お前のおかげで 鶴之助は 父親のもとに戻れる。 384 00:33:07,791 --> 00:33:24,341 ♬~ 385 00:33:24,341 --> 00:33:29,813 何だい 気持ちよさそうに…。 386 00:33:29,813 --> 00:33:33,813 人の気も知らないで。 387 00:33:35,418 --> 00:33:41,418 全く のんきなもんだよ…。 388 00:33:45,762 --> 00:33:54,062 ねえ 鶴坊 寝てていいから聞いておくれ。 389 00:33:56,406 --> 00:34:02,112 私もさ あんたと同じなんだよ。 390 00:34:02,112 --> 00:34:06,449 おっ母さんに死なれたんだ。 391 00:34:06,449 --> 00:34:10,320 お父っつぁんは 赤ん坊の時に いなくなっちまったから➡ 392 00:34:10,320 --> 00:34:13,323 独りぼっちになっちまって…。 393 00:34:13,323 --> 00:34:18,461 ≪(およね) その時 周りにいた大人たちは➡ 394 00:34:18,461 --> 00:34:23,800 私を食い物にすることしか 考えてなかった。 395 00:34:23,800 --> 00:34:26,136 だから 私はさ➡ 396 00:34:26,136 --> 00:34:32,436 誰も信じないようにしようって 決めたんだ。 397 00:34:34,944 --> 00:34:42,085 けどさ ここにいるようになって➡ 398 00:34:42,085 --> 00:34:46,956 ここの人たちと 一緒にいるうちにさ…➡ 399 00:34:46,956 --> 00:34:53,096 何だか すっかり変わっちまったんだ。➡ 400 00:34:53,096 --> 00:34:57,434 こんな私のためにさ➡ 401 00:34:57,434 --> 00:35:05,308 みんな 本当の親きょうだいみたいに 親身になってくれて…。➡ 402 00:35:05,308 --> 00:35:14,984 そしたらさ 私 いつの間にか…➡ 403 00:35:14,984 --> 00:35:18,984 また 人を信じるようになってたんだよ。 404 00:35:28,131 --> 00:35:37,131 だから あんたのお父っつぁんの言葉 信じてみようって思ったんだ。 405 00:35:41,678 --> 00:35:46,378 ねえ 鶴坊…。 406 00:35:49,753 --> 00:35:55,753 あんたといられて 楽しかったよ。 407 00:35:57,427 --> 00:36:02,298 ありがとね。 408 00:36:02,298 --> 00:36:06,770 ありがとな。 409 00:36:06,770 --> 00:36:40,403 ♬~ 410 00:36:40,403 --> 00:36:45,703 この恩は 生涯忘れぬ。 411 00:36:49,746 --> 00:36:52,446 ちょっと待って! 412 00:36:54,083 --> 00:37:03,783 これ あんまり うまく縫えなかったけど お守り… 鶴之助ちゃんに。 413 00:37:05,695 --> 00:37:08,695 およね殿…。 414 00:37:46,069 --> 00:37:48,972 およね。 ん? 415 00:37:48,972 --> 00:37:53,672 お前は 本当によくやった。 416 00:37:55,411 --> 00:38:03,111 お前のしたことは尊い。 限りなく尊い。 417 00:38:11,427 --> 00:38:16,766 さ! ほら 何やってんだよ。 ほら 病人が来ちまうだろ。 418 00:38:16,766 --> 00:38:19,435 こんなとこで ぼやっとしてる時間ないよ。 419 00:38:19,435 --> 00:38:26,309 あ~ 母親ごっこも楽しかったけどさ 私は もう少し気楽でいたいよ。 420 00:38:26,309 --> 00:38:31,447 あ~ 肩の荷が下りた~! 421 00:38:31,447 --> 00:38:40,256 ♬~ 422 00:38:40,256 --> 00:38:45,956 (お常)ほら あんた さっさとやんなよ! (およね)やってるよ~! 423 00:38:48,398 --> 00:38:51,067 先生の言うとおりでしたね。 424 00:38:51,067 --> 00:38:55,405 およねは 赤子ではない。 425 00:38:55,405 --> 00:38:59,275 ああ。 大切なものを失っても➡ 426 00:38:59,275 --> 00:39:04,414 己の力で 立ち上がることができる。 427 00:39:04,414 --> 00:39:07,083 あ~ 冷たっ! 水なんだから 当たり前だろ。 428 00:39:07,083 --> 00:39:09,383 バカだね 本当に。 429 00:39:11,421 --> 00:39:15,291 一つ 聞いてもいいでしょうか? 何だ。 430 00:39:15,291 --> 00:39:20,291 医者としての先生を支えているものは 何でしょうか? 431 00:39:23,433 --> 00:39:30,733 この間 津川さんに言われて 改めて気付いたことがあります。 432 00:39:32,241 --> 00:39:37,947 私は 恵まれている人間です。 433 00:39:37,947 --> 00:39:47,390 およねや ここに来る貧しい病人のように 理不尽な苦労をしたことのない人間です。 434 00:39:47,390 --> 00:39:54,690 私は そのことに 後ろめたさのようなものを感じています。 435 00:39:58,034 --> 00:40:06,743 ですが それが医者としての自分を 支えているのだと 気が付いたんです。 436 00:40:06,743 --> 00:40:10,613 後ろめたいがゆえに もっと 人に尽くさねばと➡ 437 00:40:10,613 --> 00:40:14,417 医者としての自分を駆り立てるのです。 438 00:40:14,417 --> 00:40:22,291 フッ。 随分 難儀な生き方だな。 そうかもしれません。 439 00:40:22,291 --> 00:40:27,964 そうだな 俺を支えているものか…。 440 00:40:27,964 --> 00:40:33,102 恐らく 欲だ。 441 00:40:33,102 --> 00:40:36,973 欲? ああ そうだ。 442 00:40:36,973 --> 00:40:42,445 皆々が 理不尽な苦労に さいなまれることなく➡ 443 00:40:42,445 --> 00:40:46,315 健やかに笑って暮らしている。 444 00:40:46,315 --> 00:40:53,089 そのような美しい風景が見たい。 必ず見たい。 445 00:40:53,089 --> 00:41:00,389 その尽きせぬ欲が 絶えず俺の胸にある。 446 00:41:02,465 --> 00:41:06,803 フッ。 何だ。 447 00:41:06,803 --> 00:41:09,472 随分 難儀な生き方ですね。 448 00:41:09,472 --> 00:41:12,809 お前に言われる筋合いはない! 449 00:41:12,809 --> 00:41:18,147 ♬~ 450 00:41:18,147 --> 00:41:22,485 ♬~ 451 00:41:22,485 --> 00:41:26,785 次 お千代さん! (お千代)はい。 452 00:41:29,826 --> 00:41:36,632 きっと いい子が生まれるよ。 生まれたら 抱かせておくれ。 453 00:41:36,632 --> 00:41:44,774 ♬~ 454 00:41:44,774 --> 00:41:50,446 できてる! アハ~ッ できた! ほら 着てみるか? 455 00:41:50,446 --> 00:41:53,783 よかったね 鶴坊。 456 00:41:53,783 --> 00:42:03,126 ♬~ 457 00:42:03,126 --> 00:42:09,999 達者でね… 鶴坊。 458 00:42:09,999 --> 00:42:22,478 ♬~ 459 00:42:22,478 --> 00:42:26,149 <それは 去定先生が言われた➡ 460 00:42:26,149 --> 00:42:29,485 美しい風景だった> 461 00:42:29,485 --> 00:42:38,094 ♬~ 462 00:42:38,094 --> 00:42:41,430 <しかし…➡ 463 00:42:41,430 --> 00:42:48,430 その美しい風景を壊す者の手が すぐ そこに迫っていた> 464 00:42:52,441 --> 00:42:55,111 よし いいぞ。 ありがとうございました。 465 00:42:55,111 --> 00:42:58,014 では。 ん。 466 00:42:58,014 --> 00:43:01,784 次! 467 00:43:01,784 --> 00:43:05,121 新出殿には お辞めいただくしかありませぬなあ。 468 00:43:05,121 --> 00:43:08,024 新出先生がいなくなれば この養生所は…。 469 00:43:08,024 --> 00:43:10,993 このままでは 労咳になる。 470 00:43:10,993 --> 00:43:14,130 半七には あの世に行ってもらう。 471 00:43:14,130 --> 00:43:18,801 どんな訳があるか知らないけど あんたは悪い人じゃない。 472 00:43:18,801 --> 00:43:22,138 先生! 治してくれるのか…。 473 00:43:22,138 --> 00:43:26,438 お前が諦めなければ わしらも諦めない。 474 00:45:47,299 --> 00:45:51,299 (松村)はい お待たせいたしました。 中華そばでございます。 475 00:45:55,975 --> 00:45:58,277 去年の暮れ。