1 00:00:32,822 --> 00:00:35,758 (保本)<養生所に来たつぐみという娘は➡ 2 00:00:35,758 --> 00:00:39,896 父から教え込まれた 医術の知識を持っていた。➡ 3 00:00:39,896 --> 00:00:47,036 医者になれと言う赤ひげの言葉に反発し しぶしぶ津川先生の手伝いをしていたが➡ 4 00:00:47,036 --> 00:00:49,906 労咳の正吉を看取ったことで…> 5 00:00:49,906 --> 00:00:51,908 (つぐみ)私を医者にしてください。 6 00:00:51,908 --> 00:00:55,208 <ようやく医者になる決意を固めた> 7 00:01:01,918 --> 00:01:03,853 これで よし。 8 00:01:03,853 --> 00:01:07,790 先生は 手際がいいね。 9 00:01:07,790 --> 00:01:12,628 胸を開けて。 女の先生っていいね。 10 00:01:12,628 --> 00:01:16,265 恥ずかしい思いをしなくて済んで 助かるよ。 11 00:01:16,265 --> 00:01:20,136 (つぐみ)では ゆっくり息を吸って 吐いて。 12 00:01:20,136 --> 00:01:23,139 <つぐみが医者になって はや1か月。➡ 13 00:01:23,139 --> 00:01:28,339 その働きぶりは 見習い中とは 思えぬものだった> 14 00:01:32,214 --> 00:01:34,250 目やにはないですね。 15 00:01:34,250 --> 00:01:36,552 まだ少し赤いけど 心配ありません。 16 00:01:36,552 --> 00:01:39,588 ありがとうございます 先生。 ふんっ! 17 00:01:39,588 --> 00:01:41,724 <その一方で…> 18 00:01:41,724 --> 00:01:45,394 では 横になって腹を出して。 19 00:01:45,394 --> 00:01:47,730 お前さんが 医者? 20 00:01:47,730 --> 00:01:51,400 ここは金が かからねえったって あんまりじゃねえか! 21 00:01:51,400 --> 00:01:54,737 女に医者が務まるか! けっ! 22 00:01:54,737 --> 00:01:57,640 (津川)はいはい ちょっと ごめんなすってっと。 23 00:01:57,640 --> 00:02:01,043 うん 診るぞ~。 ここか。 イテテテテテッ。 24 00:02:01,043 --> 00:02:04,747 <女の医者を認めようとしない病人も 数多くいた> 25 00:02:04,747 --> 00:02:07,783 ≪(お光)先生! 先生! 26 00:02:07,783 --> 00:02:11,053 どうしました? 喧嘩で けが人が出ちまったって。 27 00:02:11,053 --> 00:02:14,423 はよ はよ! 28 00:02:14,423 --> 00:02:17,059 (新出)しょうがない 運び込め。 29 00:02:17,059 --> 00:02:19,128 はい! こっちです! へえ! 30 00:02:19,128 --> 00:02:21,597 ここを空けて けが人を通して! 空けてください。 31 00:02:21,597 --> 00:02:25,434 (荒い息遣い) 32 00:02:25,434 --> 00:02:29,772 ♬~ 33 00:02:29,772 --> 00:02:32,375 きつく結んだか。 はい。 34 00:02:32,375 --> 00:02:34,877 くわえろ。 35 00:02:34,877 --> 00:02:40,383 いいか 縫うぞ。 しっかり押さえろよ。 36 00:02:40,383 --> 00:02:43,019 (叫び声) 37 00:02:43,019 --> 00:02:45,819 しっかり押さえろ! はい! 38 00:02:47,723 --> 00:02:51,227 おい 何してる! 早く来い! はい! 39 00:02:51,227 --> 00:02:54,563 腕じゃ駄目だ 体で押さえろ。 はい! 40 00:02:54,563 --> 00:02:59,363 お前は いい! 女は下がってろ! 41 00:03:01,037 --> 00:03:03,105 津川! はい! 血を拭え。 42 00:03:03,105 --> 00:03:05,105 はい。 43 00:03:17,420 --> 00:03:23,059 気にするな。 田山は お前の医者としての腕をひがんでる。 44 00:03:23,059 --> 00:03:26,262 だから あんな物言いをした。 45 00:03:26,262 --> 00:03:30,599 お前は 幼い頃から医者の手伝いをしていた。 46 00:03:30,599 --> 00:03:32,535 医者も職人と同じ。 47 00:03:32,535 --> 00:03:37,035 年季を積んだ方が ものを知ってるのは 当たり前だってのにな? 48 00:03:38,707 --> 00:03:41,610 まあ あいつの気持ちも 分からんでもないけどな。 49 00:03:41,610 --> 00:03:46,382 後から来た者に抜かれるってのは そりゃ しゃくなもんだ。 50 00:03:46,382 --> 00:03:48,317 あなたも しゃくですか? 51 00:03:48,317 --> 00:03:52,188 うん? あなたが一番の古株なのに➡ 52 00:03:52,188 --> 00:03:55,024 赤ひげが最も頼りにしているのは…。 53 00:03:55,024 --> 00:03:57,893 おいおい 赤ひげって言うなよ。 54 00:03:57,893 --> 00:04:00,729 あなたではなく 保本先生かと。 55 00:04:00,729 --> 00:04:05,234 ≪あの病人を どう思う? 私は 膿淋だと思います。 56 00:04:05,234 --> 00:04:07,736 小便のあとに うみが出ていました。 57 00:04:07,736 --> 00:04:12,041 うん やはり そうか。 はい。 58 00:04:12,041 --> 00:04:16,745 フッ ほう~。 お前は さすがに見る目があるね。 59 00:04:16,745 --> 00:04:21,584 恐れ入ったよ。 フフッ。 何だ? 60 00:04:21,584 --> 00:04:25,084 やせ我慢が随分と うまいんですね。 61 00:04:27,389 --> 00:04:33,229 こりゃあ 全く しゃくな女だねえ。 フフッ。 62 00:04:33,229 --> 00:04:39,869 <そんな折 路上で倒れていた 大工の良助という男が運ばれてきた> 63 00:04:39,869 --> 00:04:43,372 うっ うう…。 64 00:04:43,372 --> 00:04:48,010 臭い。 うん? 酒臭い。 65 00:04:48,010 --> 00:04:53,382 う~ん 肝臓が腫れてるな。 66 00:04:53,382 --> 00:04:58,220 この男が弱ってるのは 恐らく酒のせいだ。 67 00:04:58,220 --> 00:05:01,557 入所させて すっかり酒を抜かねばならぬな。 68 00:05:01,557 --> 00:05:04,593 無駄です。 何? 69 00:05:04,593 --> 00:05:08,430 酒を抜いても ここを出れば すぐに酒に走る。 70 00:05:08,430 --> 00:05:11,233 酒飲みとは そういうものです。 71 00:05:11,233 --> 00:05:15,571 そういう病人を大勢見てきました。 72 00:05:15,571 --> 00:05:18,474 病人だけでなく…。 73 00:05:18,474 --> 00:05:21,911 お前の父のことか。 74 00:05:21,911 --> 00:05:26,611 あの人から 酒の臭いがしないことはなかった。 75 00:05:32,988 --> 00:05:35,288 やるよ。 76 00:05:37,826 --> 00:05:40,326 お前が縫え。 77 00:05:48,871 --> 00:05:52,371 縫うよ。 これ持って我慢して。 78 00:05:56,745 --> 00:06:00,015 つぐみ。 はい。 79 00:06:00,015 --> 00:06:03,886 この病人は お前に任せる。 80 00:06:03,886 --> 00:06:05,821 えっ? 81 00:06:05,821 --> 00:06:08,224 いいな。 82 00:06:08,224 --> 00:06:10,559 (戸が開く音) 先生。 83 00:06:10,559 --> 00:06:12,595 手当ての用意ができました。 お願いします。 84 00:06:12,595 --> 00:06:17,095 分かった。 傷口は洗ったか? はい。 85 00:06:32,348 --> 00:06:36,185 先生。 86 00:06:36,185 --> 00:06:40,356 お前が縫え。 えっ。 87 00:06:40,356 --> 00:06:43,859 わしが押さえる。 あ…。 88 00:06:43,859 --> 00:06:48,697 案ずるな 今のお前ならできる。 はい! 89 00:06:48,697 --> 00:06:51,600 痛むぞ。 辛抱しろ。 90 00:06:51,600 --> 00:06:55,571 (叫び声) よし 針の入れ方はいいぞ。 91 00:06:55,571 --> 00:06:57,873 出す箇所に気を配れ。 はい。 92 00:06:57,873 --> 00:07:02,211 近すぎず 遠すぎずだ。 そうだ。 93 00:07:02,211 --> 00:07:05,881 よし 引け。 (叫び声) 94 00:07:05,881 --> 00:07:09,551 よ~し。 そこは素早くだ。 はい。 95 00:07:09,551 --> 00:07:12,454 おい。 96 00:07:12,454 --> 00:07:16,892 女の医者は 酒浸りの相手でいいってことですね。 97 00:07:16,892 --> 00:07:34,176 ♬~ 98 00:07:34,176 --> 00:07:36,845 臭い。 99 00:07:36,845 --> 00:07:42,518 (お雪)えっ。 ちょっと いけないよ そんな言い方。 100 00:07:42,518 --> 00:07:47,690 酒臭い。 えっ? 101 00:07:47,690 --> 00:07:49,992 (臭いを嗅ぐ音) 102 00:07:49,992 --> 00:07:53,862 ん… 確かに そうね。 103 00:07:53,862 --> 00:07:57,533 飲みましたね? 104 00:07:57,533 --> 00:08:00,436 酒なんか どこにある。 105 00:08:00,436 --> 00:08:03,136 検めます。 106 00:08:11,880 --> 00:08:13,816 あなた 死にますよ? 107 00:08:13,816 --> 00:08:17,686 (お雪)え… ちょ… ちょっと! 108 00:08:17,686 --> 00:08:20,386 酒をやめないと。 109 00:08:22,591 --> 00:08:24,891 あ…。 110 00:08:34,136 --> 00:08:36,672 う~ん 何か…➡ 111 00:08:36,672 --> 00:08:38,974 もうちょっと やわらかくなるといいんだけど。 112 00:08:38,974 --> 00:08:40,909 (お常)ああ そんなら酒入れたらいいよ。 113 00:08:40,909 --> 00:08:43,345 えっ! 酒は駄目です! 114 00:08:43,345 --> 00:08:45,848 えっ? えっ? 115 00:08:45,848 --> 00:08:50,719 ハハハハハッ 何だい あの子のことかい。 116 00:08:50,719 --> 00:08:55,557 何だか 物言いがね 取り付く島もないのよ。 117 00:08:55,557 --> 00:08:59,395 とにかく 酒には気を付けた方がよさそうね。 118 00:08:59,395 --> 00:09:03,866 えっ? ああ そうだ あの病人に見つかったら大変だ。 119 00:09:03,866 --> 00:09:06,201 どっかに隠さないと。 え~っと…。 (津川)ひょいっと。 120 00:09:06,201 --> 00:09:10,072 あ… あ…。 ちょっと。 あっ。 121 00:09:10,072 --> 00:09:13,075 よしよし。 122 00:09:13,075 --> 00:09:15,711 ここなら安心だろう。 123 00:09:15,711 --> 00:09:18,013 ちょっと あんたが飲むんじゃないよ。 124 00:09:18,013 --> 00:09:22,384 あいにく俺は 酒がなくても 酔えるんでね。 125 00:09:22,384 --> 00:09:26,021 はっ? (鼻歌) 126 00:09:26,021 --> 00:09:29,558 はっ? 無理してるわね。 127 00:09:29,558 --> 00:09:31,858 (2人)うん? 128 00:09:38,167 --> 00:09:40,969 足りぬ 足りぬ 足りぬ 足りぬ 足りぬ! 129 00:09:40,969 --> 00:09:43,969 一体 どこ切り詰めりゃいいんだよ。 130 00:09:46,842 --> 00:09:49,042 はあ…。 131 00:09:55,851 --> 00:10:02,357 足りぬ足りぬ… あ~ もう! これじゃ 赤ひげと同じじゃねえか。 132 00:10:02,357 --> 00:10:08,657 全く こんな時に… 酒があればなあ。 133 00:10:11,066 --> 00:10:15,566 確かに 無理してるわね。 134 00:10:19,775 --> 00:10:26,215 <それからも 良助の体から 時折 酒の臭いが漂った> 135 00:10:26,215 --> 00:10:31,915 (臭いを嗅ぐ音) 136 00:10:38,227 --> 00:10:41,129 減ってるだろう。 おおっ。 137 00:10:41,129 --> 00:10:44,566 いや 減ってないよ。 138 00:10:44,566 --> 00:10:48,237 いや まあ… う~ん どっちだろう。 ええっ ちょ…。 139 00:10:48,237 --> 00:10:50,937 (せきばらい) 140 00:10:56,945 --> 00:11:00,816 (お光)減ってません。 (一同)お~。 141 00:11:00,816 --> 00:11:05,420 <けれど 依然として 酒の出どころは分からなかった> 142 00:11:05,420 --> 00:11:09,591 うっ…。 辛抱してください。 143 00:11:09,591 --> 00:11:13,428 痛みは どうだ? 押されると痛いです。 144 00:11:13,428 --> 00:11:16,932 ここか? はい。 145 00:11:16,932 --> 00:11:20,932 ここは どうだ? そこも… あ~。 146 00:11:24,673 --> 00:11:27,873 すいません。 うん? 147 00:11:41,890 --> 00:11:46,395 (良助)ほっ。 フフフフフッ。➡ 148 00:11:46,395 --> 00:11:49,195 おう ありがとな。 149 00:11:53,268 --> 00:11:55,904 あ~ ハハッ。 150 00:11:55,904 --> 00:12:00,742 う~ん。 で どうだ! 151 00:12:00,742 --> 00:12:04,613 (小太郎)えっ 父ちゃん 今度の家は 部屋が4つもあるの? 152 00:12:04,613 --> 00:12:08,917 そうだぞ。 この部屋は 小太郎だけが使うんだ。 153 00:12:08,917 --> 00:12:13,422 へえ~。 すごいね 父ちゃん。 この家 今までの中で 一番好きだよ。 154 00:12:13,422 --> 00:12:18,060 えっ そうか! ハハハハハッ。 155 00:12:18,060 --> 00:12:22,598 (小太郎)あっ なくなっちゃったね。 父ちゃん もっと持ってくる。 156 00:12:22,598 --> 00:12:25,098 おう ありがとう。 157 00:12:27,769 --> 00:12:29,805 行け。 158 00:12:29,805 --> 00:12:34,505 えっ…。 良助は お前の病人だろ。 159 00:12:42,884 --> 00:12:45,554 すみません。 160 00:12:45,554 --> 00:12:49,891 ああ 今日は残り物はないよ。 帰んな 帰んな。 161 00:12:49,891 --> 00:12:52,561 ちぇ。 162 00:12:52,561 --> 00:12:56,898 ああ お前 また来たのかい。 163 00:12:56,898 --> 00:12:59,898 ちょっと待ってな。 164 00:13:03,038 --> 00:13:07,338 ほら 客の残りだよ。 ありがとう。 165 00:13:13,248 --> 00:13:18,053 あっ。 何すんだよ。 それは 俺のだぞ。 166 00:13:18,053 --> 00:13:23,258 この酒 父ちゃんに持っていくんだろ。 167 00:13:23,258 --> 00:13:29,064 養生所に酒を持ってくるのは 決して許さないよ。 168 00:13:29,064 --> 00:13:31,867 ちょ… 待て。 169 00:13:31,867 --> 00:13:34,770 ≪(つぐみ)待ちなさいよ! 170 00:13:34,770 --> 00:13:38,540 つぐみ? 先生! その子 捕まえてください! 171 00:13:38,540 --> 00:13:41,740 えっ? あ… ああ 分かった。 172 00:13:44,346 --> 00:13:46,546 おい 待て! 173 00:13:50,152 --> 00:13:53,388 おい 大丈夫か? 先生。 174 00:13:53,388 --> 00:13:56,224 よし 起こそう。 175 00:13:56,224 --> 00:14:04,424 ♬~ 176 00:14:10,739 --> 00:14:13,642 うっ う~っ。 177 00:14:13,642 --> 00:14:18,413 痛むか? 大事ない すぐによくなる。 178 00:14:18,413 --> 00:14:20,713 痛…。 179 00:14:36,531 --> 00:14:39,000 母ちゃんは? 180 00:14:39,000 --> 00:14:42,871 知らない。 えっ。 181 00:14:42,871 --> 00:14:46,071 母ちゃんは帰ってこない。 182 00:14:52,881 --> 00:14:57,552 あの子の様子は 往診中に見に来ることにする。 183 00:14:57,552 --> 00:15:00,052 それで よいな。 184 00:15:02,224 --> 00:15:08,897 酒浸りの父のせいで 母親は出ていってしまったのだろうか…。 185 00:15:08,897 --> 00:15:14,236 それでも あの子には 父親しかいない。 186 00:15:14,236 --> 00:15:18,236 だから ああして酒を持ってくる。 187 00:15:21,977 --> 00:15:25,777 あ~。 (笑い声) 188 00:15:27,582 --> 00:15:32,187 つぐみ。 お前も そうだったのか? 189 00:15:32,187 --> 00:15:36,487 えっ? そうやって 父親に酒を? 190 00:15:42,197 --> 00:15:44,232 おい。 191 00:15:44,232 --> 00:15:58,532 ♬~ 192 00:16:00,382 --> 00:16:03,882 子どもが親を捨てられればいいのに。 193 00:16:08,890 --> 00:16:15,230 <それから 小太郎の家に 時折 立ち寄るようになった私は➡ 194 00:16:15,230 --> 00:16:19,100 長屋の者から不穏なうわさを耳にした> 195 00:16:19,100 --> 00:16:22,404 全く災難だよな 良助も。 196 00:16:22,404 --> 00:16:25,740 女房が浮気して出来た子を 押しつけられてよ。 197 00:16:25,740 --> 00:16:27,676 どういうもんかねえ。 198 00:16:27,676 --> 00:16:31,546 自分の子でないものを わざわざ 育ててやんなきゃなんねえってのは。 199 00:16:31,546 --> 00:16:34,349 (笑い声) 何の話をしている。 200 00:16:34,349 --> 00:16:38,220 お嬢ちゃんには関係のない話だよ。 ハハハッ。 201 00:16:38,220 --> 00:16:48,530 ♬~ 202 00:16:48,530 --> 00:16:52,400 そうか…。 はい。 203 00:16:52,400 --> 00:16:56,004 お前が聞いてきた話と同じだな 保本。 204 00:16:56,004 --> 00:16:58,073 はい。 205 00:16:58,073 --> 00:17:00,375 えっ。 206 00:17:00,375 --> 00:17:05,175 小太郎の住む長屋で 同じ話を耳にした。 207 00:17:06,882 --> 00:17:08,817 どこへ行く。 208 00:17:08,817 --> 00:17:11,517 良助を診てきます。 209 00:17:13,655 --> 00:17:15,590 いいんですか 先生。 210 00:17:15,590 --> 00:17:17,592 ああ。 ですが…。 211 00:17:17,592 --> 00:17:23,392 大丈夫だ。 つぐみは何も分からぬ娘ではない。 212 00:17:26,902 --> 00:17:30,102 お前も聞いたんだろう。 213 00:17:31,673 --> 00:17:35,977 あの男たちの言ってたとおりだ。 214 00:17:35,977 --> 00:17:39,977 小太郎は 俺の子どもじゃねえ。 215 00:17:42,684 --> 00:17:47,355 俺の女房は どうしようもない女だった…。 216 00:17:47,355 --> 00:17:53,862 1年前 小太郎を置いて うちを出ていった。 217 00:17:53,862 --> 00:17:56,865 出てってやるよ 出てきゃいいんだろ! 218 00:17:56,865 --> 00:18:02,537 こっちだってね あんたとの暮らしなんて もう真っ平ごめんなんだよ! 219 00:18:02,537 --> 00:18:09,210 はあ。 そうか… 分かったよ。 220 00:18:09,210 --> 00:18:13,548 小太郎を放って 毎晩毎晩ほっつき歩いて。 221 00:18:13,548 --> 00:18:16,885 そんな母親は 小太郎にはいらねえ。 222 00:18:16,885 --> 00:18:20,221 だったら やってみなよ。 何をだ。 223 00:18:20,221 --> 00:18:23,024 やってごらんよ 父親を。 224 00:18:23,024 --> 00:18:24,960 やれるもんなら。 225 00:18:24,960 --> 00:18:28,830 ああ。 小太郎は 俺一人で 立派に育ててやる。 226 00:18:28,830 --> 00:18:31,166 だから 出ていけ! 227 00:18:31,166 --> 00:18:38,506 じゃあ できるんだね あんた。 自分の子でもない せがれを育てることが。 228 00:18:38,506 --> 00:18:41,543 できるんだね? 229 00:18:41,543 --> 00:18:43,678 えっ…。 230 00:18:43,678 --> 00:18:49,551 アハハッ まぬけだねえ 今まで分からなかったのかい。 231 00:18:49,551 --> 00:18:53,355 あの子は どんどん育っていくよ。 232 00:18:53,355 --> 00:18:57,192 あんたに似ないで育っていくよ。 233 00:18:57,192 --> 00:19:02,864 それでも あんた やれんのかい? 父親ができんのかい? 234 00:19:02,864 --> 00:19:10,739 ♬~ 235 00:19:10,739 --> 00:19:15,577 く… ううっ…。 意気地なしが。 236 00:19:15,577 --> 00:19:22,717 ♬~ 237 00:19:22,717 --> 00:19:25,717 私も母に捨てられた。 238 00:19:28,523 --> 00:19:34,323 自分の子でもないものを 捨てようとは思わなかったんですか? 239 00:19:38,199 --> 00:19:46,341 小太郎は 赤ん坊の頃から 自分の子として育ててきた子だ。 240 00:19:46,341 --> 00:19:53,515 けど… それから俺は…➡ 241 00:19:53,515 --> 00:19:59,387 酒を飲まなきゃ いられなくなっちまった…。 242 00:19:59,387 --> 00:20:04,159 小太郎は 何も知らねえ。 243 00:20:04,159 --> 00:20:10,159 あいつには 何も言わないでくれ。 244 00:20:17,739 --> 00:20:23,039 いいね このおうち。 父ちゃん。 245 00:20:45,567 --> 00:20:47,867 はあ…! 246 00:20:49,437 --> 00:20:52,240 [ 回想 ] (小太郎)父ちゃん。 247 00:20:52,240 --> 00:20:56,044 ♬~ 248 00:20:56,044 --> 00:20:59,247 父ちゃん これが父ちゃんと住む家だね。 249 00:20:59,247 --> 00:21:01,916 ああ。 ヘヘヘヘ…。 250 00:21:01,916 --> 00:21:04,919 点々 点々…。 251 00:21:04,919 --> 00:21:07,789 どうだ? ヘヘヘッ。 252 00:21:07,789 --> 00:21:14,929 (小太郎の泣き声) 253 00:21:14,929 --> 00:21:17,929 どうした? 小太郎。 254 00:21:19,601 --> 00:21:26,074 父ちゃん。 怖い夢見たよ。 そっち行っていい? 255 00:21:26,074 --> 00:21:29,274 ああ いいぞ。 おいで。 256 00:21:35,717 --> 00:21:39,517 父ちゃん あったかいね。 257 00:21:43,892 --> 00:21:47,395 (小太郎の母) あの子は どんどん育っていくよ。➡ 258 00:21:47,395 --> 00:21:51,566 あんたに似ないで育っていくよ。 259 00:21:51,566 --> 00:21:54,602 父ちゃん。 260 00:21:54,602 --> 00:21:59,302 父ちゃんと一緒に食べる飯は おいしいね。 261 00:22:04,145 --> 00:22:06,748 父ちゃん? 262 00:22:06,748 --> 00:22:15,056 ♬~ 263 00:22:15,056 --> 00:22:19,894 父ちゃん… どうしたの 父ちゃん。➡ 264 00:22:19,894 --> 00:22:22,194 父ちゃん。 265 00:22:25,800 --> 00:22:29,571 俺は 父ちゃんじゃない…➡ 266 00:22:29,571 --> 00:22:33,374 お前の父ちゃんじゃない…。 267 00:22:33,374 --> 00:22:51,574 ♬~ 268 00:23:02,737 --> 00:23:06,574 どうした。 私には無理です。 269 00:23:06,574 --> 00:23:12,574 何? 私には 良助は治せません。 270 00:23:16,584 --> 00:23:23,258 良助が 小太郎に 夢のような家の絵を描いてやっているな。 271 00:23:23,258 --> 00:23:29,430 あれは 実の世から目を背けるためだ。 272 00:23:29,430 --> 00:23:34,002 夢の中には 誰も立ち入ることができない。 273 00:23:34,002 --> 00:23:39,302 そこでは 2人は本当の親子でいられる。 274 00:23:44,746 --> 00:23:48,383 共に悩め。 275 00:23:48,383 --> 00:23:50,418 えっ…。 276 00:23:50,418 --> 00:23:56,418 それが 必ず 良助の病を治すことになる。 277 00:24:04,732 --> 00:24:07,769 父ちゃん 待ってろよ 父ちゃん。 278 00:24:07,769 --> 00:24:09,769 (せきこみ) 279 00:24:13,408 --> 00:24:17,608 (達吉)あっ ああ。 よう。 280 00:24:19,213 --> 00:24:22,116 あんたも大変だなあ。 281 00:24:22,116 --> 00:24:26,120 そりゃ 酒に逃げたくもなるわな。 282 00:24:26,120 --> 00:24:28,756 何の話だ。 283 00:24:28,756 --> 00:24:36,497 聞いたぞ。 あの小太郎ってえの あんたの子じゃねえんだってな。 284 00:24:36,497 --> 00:24:39,197 そうなんだろう? 285 00:24:45,006 --> 00:24:47,909 (せきこみ) 286 00:24:47,909 --> 00:24:51,212 小太郎。 287 00:24:51,212 --> 00:24:53,912 本当なの? 288 00:24:55,550 --> 00:24:59,750 父ちゃんは おいらの父ちゃんじゃないの? 289 00:25:02,423 --> 00:25:05,423 (せきこみ) 290 00:25:07,562 --> 00:25:10,062 父ちゃん…。 291 00:25:16,571 --> 00:25:20,771 (せきこみ) 292 00:25:26,581 --> 00:25:29,617 小太郎! あっ…! 293 00:25:29,617 --> 00:25:33,388 おいおいおい 大丈夫か。 大丈夫ですか。 294 00:25:33,388 --> 00:25:36,190 何があったんですか。 295 00:25:36,190 --> 00:25:38,526 あの子を ここに連れてこい。 296 00:25:38,526 --> 00:25:40,461 小太郎を? 早く。 297 00:25:40,461 --> 00:25:42,697 なぜですか。 298 00:25:42,697 --> 00:25:44,632 あの咳…➡ 299 00:25:44,632 --> 00:25:47,201 あれは 恐らく百日咳だ。 300 00:25:47,201 --> 00:25:49,137 (せきこみ) 301 00:25:49,137 --> 00:25:53,541 早く診ないと 手遅れになるかもしれん。 302 00:25:53,541 --> 00:25:56,878 えっ。 そんな…。 303 00:25:56,878 --> 00:25:59,781 あ… うっ くっ…。 304 00:25:59,781 --> 00:26:02,081 ここにいてください。 305 00:26:07,021 --> 00:26:09,221 小太郎! 306 00:26:11,893 --> 00:26:14,562 小太郎! 307 00:26:14,562 --> 00:26:27,575 ♬~ 308 00:26:27,575 --> 00:26:29,775 小太郎! 309 00:26:36,284 --> 00:26:38,284 小太郎! 310 00:26:42,857 --> 00:26:45,760 小太郎! 311 00:26:45,760 --> 00:26:48,560 小太郎! 312 00:26:57,405 --> 00:27:01,876 長屋の近所を捜したんですけど どこにも…。 313 00:27:01,876 --> 00:27:04,779 はあ…。 314 00:27:04,779 --> 00:27:07,014 先生。 良助がいません。 315 00:27:07,014 --> 00:27:11,219 養生所の中を全て捜したんですが どこにもいません。 316 00:27:11,219 --> 00:27:14,255 あの体で どこに…。 317 00:27:14,255 --> 00:27:17,391 逃げたのではないですか? 318 00:27:17,391 --> 00:27:20,228 その小太郎という子は 自分の子ではない。 319 00:27:20,228 --> 00:27:26,028 更に病など かかられてはたまらないと 逃げたということではありませんか。 320 00:27:27,902 --> 00:27:30,102 何だ。 321 00:27:34,342 --> 00:27:38,212 つぐみ。 つぐみ! 津川 田山。 322 00:27:38,212 --> 00:27:41,115 あの親子を捜しに行け。 323 00:27:41,115 --> 00:27:43,985 はい。 はい。 324 00:27:43,985 --> 00:27:50,858 つぐみ お前は残れ。 医者が皆 出払ってはまずい。 325 00:27:50,858 --> 00:27:53,158 行くぞ。 326 00:27:54,996 --> 00:27:58,866 嘘をつかないでください。 327 00:27:58,866 --> 00:28:02,370 私は あの2人の足手まといになる そう思ったんですね! 328 00:28:02,370 --> 00:28:06,170 あの2人に任せておけば十分だ。 329 00:28:08,242 --> 00:28:11,942 医者になんて ならなければよかった。 330 00:28:18,553 --> 00:28:20,588 はあ…。 331 00:28:20,588 --> 00:28:30,164 ♬~ 332 00:28:30,164 --> 00:28:34,164 ≪先生! 先生! 333 00:28:39,507 --> 00:28:42,410 (荒い息遣い) 334 00:28:42,410 --> 00:28:48,215 小太郎を… 小太郎を助けてください。 335 00:28:48,215 --> 00:28:50,685 お願いします! 336 00:28:50,685 --> 00:28:54,355 分かりました。 337 00:28:54,355 --> 00:28:58,192 おい しっかりしろ。 あ… あっ…。 338 00:28:58,192 --> 00:29:01,529 いかん 体が冷えきってる。 339 00:29:01,529 --> 00:29:04,432 温めるぞ 急げ。 はい。 よ~し。 340 00:29:04,432 --> 00:29:26,220 ♬~ 341 00:29:26,220 --> 00:29:29,520 やけどに気を配れよ。 はい。 342 00:29:34,829 --> 00:29:37,029 よし。 343 00:29:41,168 --> 00:29:46,340 うん… だいぶ落ち着いたな。 344 00:29:46,340 --> 00:29:50,540 良助の様子を見てくる。 はい。 345 00:29:56,984 --> 00:30:00,521 父ちゃん…。 346 00:30:00,521 --> 00:30:08,221 父ちゃん… 父ちゃん… 父ちゃん…。 347 00:30:12,133 --> 00:30:16,370 父ちゃんは 今 去定先生が診てる。 348 00:30:16,370 --> 00:30:22,170 父ちゃん… 父ちゃん…。 349 00:30:23,878 --> 00:30:30,078 大丈夫。 お前の父ちゃんは大丈夫。 350 00:30:32,019 --> 00:30:34,319 大丈夫。 351 00:30:36,390 --> 00:30:38,893 父ちゃん…。 352 00:30:38,893 --> 00:30:41,562 <良助と小太郎の親子は➡ 353 00:30:41,562 --> 00:30:46,262 つぐみと去定先生の手当てで 快方に向かった> 354 00:30:48,335 --> 00:30:51,135 痛みはないか。 355 00:30:53,574 --> 00:30:57,411 こ… 小太郎は…。 あ~ 大丈夫だ。 356 00:30:57,411 --> 00:31:00,247 あっ あっ あ…。 今は つぐみが診てる。 357 00:31:00,247 --> 00:31:02,247 はあ~。 358 00:31:06,420 --> 00:31:14,420 酒を… 恵んでもらおうとしてた…。 359 00:31:17,431 --> 00:31:21,602 俺に飲ませようと➡ 360 00:31:21,602 --> 00:31:23,902 酒を…。 361 00:31:27,475 --> 00:31:30,175 小太郎~! 362 00:31:31,879 --> 00:31:33,814 小太郎~! 363 00:31:33,814 --> 00:31:37,551 (せきこみ) ありがとうございました~。 364 00:31:37,551 --> 00:31:40,020 あんた 大丈夫かい? 365 00:31:40,020 --> 00:31:43,891 しょうがないね 酒だろう? ちょっと待ってな。 366 00:31:43,891 --> 00:31:45,826 えっ…。 367 00:31:45,826 --> 00:31:48,126 (せきこみ) 368 00:31:49,764 --> 00:31:53,567 ほら 持っていきな。 369 00:31:53,567 --> 00:31:55,903 ありがとう。 (せきこみ) 370 00:31:55,903 --> 00:31:57,838 ありがと…。 (せきこみ) 371 00:31:57,838 --> 00:32:01,041 さっさと帰んな。 小太郎…。 372 00:32:01,041 --> 00:32:03,341 小太郎。 373 00:32:06,914 --> 00:32:09,414 あ… 小太郎! 374 00:32:11,252 --> 00:32:13,921 小太郎! 375 00:32:13,921 --> 00:32:16,221 小太郎! 376 00:32:18,259 --> 00:32:23,459 別れた女房の言うとおりになっちまった。 377 00:32:25,933 --> 00:32:28,602 俺は…➡ 378 00:32:28,602 --> 00:32:33,874 小太郎を放って酒に逃げた。 379 00:32:33,874 --> 00:32:40,674 ろくに仕事もせずに 小太郎を粗末にした…。 380 00:32:43,384 --> 00:32:47,221 俺は➡ 381 00:32:47,221 --> 00:32:52,221 小太郎の父親になれなかった。 382 00:32:55,930 --> 00:33:00,730 では なぜ 小太郎を捜した。 383 00:33:02,570 --> 00:33:09,770 なぜ その体で小太郎を ここに連れてくることができたんだ。 384 00:33:11,278 --> 00:33:19,019 それは 小太郎が お前の大切な息子だからだ。 385 00:33:19,019 --> 00:33:25,519 子を思う親なればこその 力が湧いたからだ。 386 00:33:27,261 --> 00:33:34,561 お前は 確かに小太郎の父親だ。 387 00:33:36,070 --> 00:33:43,210 ♬~ 388 00:33:43,210 --> 00:33:55,723 (むせび泣き) 389 00:33:55,723 --> 00:34:15,576 ♬~ 390 00:34:15,576 --> 00:34:18,412 小太郎。 391 00:34:18,412 --> 00:34:22,049 父ちゃん…。 うん。 392 00:34:22,049 --> 00:34:25,586 父ちゃん…。 393 00:34:25,586 --> 00:34:30,386 父ちゃんは おいらの父ちゃんじゃないの? 394 00:34:32,993 --> 00:34:36,793 父ちゃんは 父ちゃんじゃないの? 395 00:34:40,734 --> 00:34:48,475 何言ってんだ。 父ちゃんは お前の父ちゃんに決まってんだろう。 396 00:34:48,475 --> 00:34:51,211 父ちゃん…。 397 00:34:51,211 --> 00:34:57,711 うん? おいら また 父ちゃんの酒持ってくるね。 398 00:35:01,221 --> 00:35:05,893 小太郎 ごめんな。 399 00:35:05,893 --> 00:35:09,897 父ちゃん もう酒は飲まねえ。 400 00:35:09,897 --> 00:35:12,566 えっ…。 401 00:35:12,566 --> 00:35:18,739 父ちゃん 真面目になってな もっと働くから。 402 00:35:18,739 --> 00:35:27,414 働いて 働いて 小太郎と住む大きな家建てるから。 403 00:35:27,414 --> 00:35:29,450 いい。 404 00:35:29,450 --> 00:35:31,852 えっ? 405 00:35:31,852 --> 00:35:35,723 父ちゃんがいてくれればいい。 406 00:35:35,723 --> 00:35:41,723 父ちゃんと いつも一緒に ごはんが食べれるなら おいらは いい。 407 00:35:47,868 --> 00:35:50,368 小太郎…。 408 00:35:51,872 --> 00:35:56,672 小太郎…。 父ちゃん…。 409 00:36:02,416 --> 00:36:10,116 <しばらくして 病が治った小太郎と良助は 共に養生所を後にした> 410 00:36:12,726 --> 00:36:15,629 お世話になりました。 うむ。 411 00:36:15,629 --> 00:36:21,435 小太郎を助けてくれて ありがとうございました。 412 00:36:21,435 --> 00:36:23,437 よかったね。 413 00:36:23,437 --> 00:36:25,739 うん。 414 00:36:25,739 --> 00:36:29,539 本当に ありがとうございました。 415 00:36:33,547 --> 00:36:36,347 じゃあ 行こうか。 うん。 416 00:36:52,366 --> 00:36:59,540 酒飲みは変わることができない。 嫌なことがあれば すぐに酒に逃げる。 417 00:36:59,540 --> 00:37:03,210 ずっと そう思っていました。 418 00:37:03,210 --> 00:37:09,883 けれど 変わることができる人もいる。 419 00:37:09,883 --> 00:37:13,720 その手助けをすることができるのなら➡ 420 00:37:13,720 --> 00:37:16,020 医者とは…。 421 00:37:17,591 --> 00:37:21,395 医者とは何だ。 422 00:37:21,395 --> 00:37:24,195 何でもありません。 423 00:37:27,734 --> 00:37:33,934 医者とは そう悪いもんでもない。 424 00:37:40,848 --> 00:37:44,184 ねえ 父ちゃん。 うん? 肩車して。 425 00:37:44,184 --> 00:37:47,684 ああ いいぞ。 フフッ。 426 00:37:49,857 --> 00:37:54,361 うわ~ 高いね 父ちゃん。 そうか? 427 00:37:54,361 --> 00:37:57,197 重たくない? 大丈夫 大丈夫。 428 00:37:57,197 --> 00:37:59,867 (竹造)いい親子だな。 429 00:37:59,867 --> 00:38:03,567 ああ そうだな。 430 00:38:07,374 --> 00:38:11,011 あの親子も 全く人騒がせだったな。 431 00:38:11,011 --> 00:38:14,381 全くです。 432 00:38:14,381 --> 00:38:17,718 おい 田山。 はい。 433 00:38:17,718 --> 00:38:21,889 何だか お前 肩に力入ってないか? 434 00:38:21,889 --> 00:38:26,226 ハハハッ ガッチガチだ。 イテテテッ 痛い 痛い。 435 00:38:26,226 --> 00:38:30,564 さっさと あいつを認めちまえば 楽になるよ。 えっ? 436 00:38:30,564 --> 00:38:36,064 そうすりゃ お前も さっさと いい医者になれる。 437 00:38:42,509 --> 00:38:44,845 あと2~3日すれば ここを出られますよ。 438 00:38:44,845 --> 00:38:48,348 そうですか。 よかった。 439 00:38:48,348 --> 00:38:52,848 よく辛抱しましたね。 ありがとうございます。 440 00:38:54,688 --> 00:38:57,724 随分 柔らかくなったんじゃないかい。 441 00:38:57,724 --> 00:39:01,195 はい。 本当だ。 442 00:39:01,195 --> 00:39:03,230 (笑い声) 443 00:39:03,230 --> 00:39:06,366 それは よかった。 それなら退所も早いでしょう。 444 00:39:06,366 --> 00:39:09,866 先生 ありがとう。 445 00:39:13,240 --> 00:39:17,077 あの ちょっと。 446 00:39:17,077 --> 00:39:24,718 梅毒のはずだが 私が診た梅毒の病人で 骨の痛みを訴えた者はいない。 447 00:39:24,718 --> 00:39:29,590 梅毒のはじめで間違いありません。 そうか? 448 00:39:29,590 --> 00:39:33,327 まれに 全身の節々の痛みを訴える者もいます。 449 00:39:33,327 --> 00:39:37,965 そのような病人を診たことがあります。 おお そうか。 450 00:39:37,965 --> 00:39:39,900 はい。 451 00:39:39,900 --> 00:39:41,835 では。 452 00:39:41,835 --> 00:39:43,835 あっ! 453 00:39:45,672 --> 00:39:49,472 えっと… その…。 454 00:39:51,178 --> 00:39:56,878 助かった。 これからも頼む。 455 00:39:58,852 --> 00:40:01,688 さあ 手を出せ。 456 00:40:01,688 --> 00:40:03,624 痛むか? はい…。 457 00:40:03,624 --> 00:40:14,701 ♬~ 458 00:40:14,701 --> 00:40:18,205 お代わり。 えっ あ…。 459 00:40:18,205 --> 00:40:20,505 はい。 460 00:40:23,543 --> 00:40:25,879 お代わり。 461 00:40:25,879 --> 00:40:27,879 はい。 462 00:40:29,716 --> 00:40:35,222 はい。 おうおう ご両人威勢のいいこった。 463 00:40:35,222 --> 00:40:37,891 じゃあ 俺も…➡ 464 00:40:37,891 --> 00:40:40,794 お代わり。 あっ…➡ 465 00:40:40,794 --> 00:40:43,563 もう おしまいです。 えっ…。 466 00:40:43,563 --> 00:40:48,863 <どうやら 割を食うのは いつも この男のようで…> 467 00:40:53,040 --> 00:40:56,243 おっ うまいな 今日のたくあんは。 いつもと違うな。 468 00:40:56,243 --> 00:40:58,578 昨日とおんなじですよ。 469 00:40:58,578 --> 00:41:01,481 そうかい。 470 00:41:01,481 --> 00:41:03,450 フッ。 471 00:41:03,450 --> 00:41:17,250 ♬~ 472 00:41:22,602 --> 00:41:25,505 失礼します。 何だ。 473 00:41:25,505 --> 00:41:30,277 療治を始める前に 少しお話ししたいことがあります。 474 00:41:30,277 --> 00:41:32,277 入れ。 475 00:41:40,554 --> 00:41:47,554 私に良助を診させたのは 父の心を 分かってやれということだったのですね。 476 00:41:49,229 --> 00:41:55,569 はあ…。 おかげで分かりました。 477 00:41:55,569 --> 00:41:59,740 なぜ父が 私に あのように接していたのか。 478 00:41:59,740 --> 00:42:02,776 なぜ あのように酒に逃げたのか。 479 00:42:02,776 --> 00:42:05,076 そうか。 480 00:42:06,913 --> 00:42:10,917 私は 父の子どもではないのですね? 481 00:42:10,917 --> 00:42:14,054 何!? 482 00:42:14,054 --> 00:42:17,554 私の本当の父親は…。 483 00:42:21,595 --> 00:42:25,932 新出去定 あなたなんですね? 484 00:42:25,932 --> 00:42:27,868 なっ…! 485 00:42:27,868 --> 00:42:59,168 ♬~ 486 00:43:00,767 --> 00:43:02,769 おとっつぁん!? 487 00:43:02,769 --> 00:43:06,573 家で倒れていた。 食べねば よくなりませんよ。 488 00:43:06,573 --> 00:43:08,608 男は 愚かなものだな。 489 00:43:08,608 --> 00:43:11,411 何で 女房の気持ちに 気付いてやれないんだろう。 490 00:43:11,411 --> 00:43:13,346 罰が当たったんだ。 491 00:43:13,346 --> 00:43:17,284 おまつはな 俺に愛想を尽かして死んでったんだ! 492 00:43:17,284 --> 00:43:19,286 まだ遅くはないぞ。 493 00:43:19,286 --> 00:43:25,786 しっかり生きて 生き抜いて その時こそ その手を握り締めてやれ。