1 00:00:34,414 --> 00:00:39,686 (つぐみ)何ですか。 (新出)話をする時が来たようだ。 2 00:00:39,686 --> 00:00:42,221 (つぐみ)えっ? 3 00:00:42,221 --> 00:00:48,027 今のお前なら きっと受け止められる。 4 00:00:48,027 --> 00:00:51,230 何の話ですか。 5 00:00:51,230 --> 00:00:56,069 お前の父 多聞とわし➡ 6 00:00:56,069 --> 00:00:58,571 そして…➡ 7 00:00:58,571 --> 00:01:03,443 お前の母 お律のことだ。 8 00:01:03,443 --> 00:01:15,989 ♬~ 9 00:01:15,989 --> 00:01:18,424 ん。 (竹造)へい。 10 00:01:18,424 --> 00:01:32,624 ♬~ 11 00:01:42,382 --> 00:01:45,582 どこに行くんですか! 12 00:01:47,887 --> 00:01:51,691 去定先生! 13 00:01:51,691 --> 00:01:57,391 ああ… 去定先生! もう! 14 00:02:00,400 --> 00:02:03,200 ここだ。 15 00:02:05,571 --> 00:02:08,241 お前の…➡ 16 00:02:08,241 --> 00:02:10,441 母だ。 17 00:02:23,089 --> 00:02:27,927 母は いつ死んだんですか。 18 00:02:27,927 --> 00:02:31,531 10年前だ。 19 00:02:31,531 --> 00:02:35,231 穏やかな死だったそうだ。 20 00:02:37,870 --> 00:02:40,773 分かりました。 21 00:02:40,773 --> 00:02:45,473 お前の父と母に何があったのか 聞きたくないのか。 22 00:02:48,381 --> 00:02:51,217 <赤ひげと つぐみの間に➡ 23 00:02:51,217 --> 00:02:55,555 何か大きな秘密があることは 感じていた。➡ 24 00:02:55,555 --> 00:03:00,226 今 それが明かされようとしている> 25 00:03:00,226 --> 00:03:17,577 ♬~ 26 00:03:17,577 --> 00:03:23,382 わしと お前の父 安岡多聞は 共に医学を学ぶ仲だった。 27 00:03:23,382 --> 00:03:27,086 それは 前にも話したな。 28 00:03:27,086 --> 00:03:32,525 わしらの師は 前田藤庵という高名な漢方医でな。 29 00:03:32,525 --> 00:03:34,527 (多聞 新出)はい。 30 00:03:34,527 --> 00:03:38,664 時期を同じくして弟子入りしたのだ。 31 00:03:38,664 --> 00:03:44,036 我々は 優れた医者になるため 切磋琢磨した。 32 00:03:44,036 --> 00:03:52,545 多聞は 勤勉で努力家で それは優れた男だった。 33 00:03:52,545 --> 00:03:59,685 多聞は 漢方に飽き足らず 蘭方医学を学ぶことに興味を示した。 34 00:03:59,685 --> 00:04:07,426 しかし それは 藤庵先生の専門ではない。 学ぶことすら許されない。 35 00:04:07,426 --> 00:04:13,426 だから やつは 師に隠れ 独学で蘭方を学ぶようになったんだ。 36 00:04:15,168 --> 00:04:18,104 (お律)失礼いたします。 37 00:04:18,104 --> 00:04:23,242 ご精が出ますね お茶をどうぞ。 あっ かたじけない。 38 00:04:23,242 --> 00:04:27,113 藤庵先生には 美しい一人娘がいた。 39 00:04:27,113 --> 00:04:29,115 うまい。 40 00:04:29,115 --> 00:04:32,652 お律殿 朝げのぬか漬けは うまかった。 41 00:04:32,652 --> 00:04:38,191 気立てがよく わしらに分け隔てなく接してくれた。 42 00:04:38,191 --> 00:04:43,529 名前は律。 お前の母親だ。 43 00:04:43,529 --> 00:04:53,229 ♬~ 44 00:04:59,078 --> 00:05:05,785 多聞は お律に恋をした。 狂おしい程にな。 45 00:05:05,785 --> 00:05:13,226 多聞は ついにお律に胸の内を明かした。 お律も受け入れた。 46 00:05:13,226 --> 00:05:18,564 そして お律を嫁に欲しいと 藤庵先生に許しを請うたが➡ 47 00:05:18,564 --> 00:05:23,236 先生は許さなかった。 それは親としては当然だ。 48 00:05:23,236 --> 00:05:30,509 まだ何者でもない道半ばの若者に 大事な娘を託すことなどできはしまい。 49 00:05:30,509 --> 00:05:38,851 しかし いくら許されずとも 2人の気持ちが薄れることはなかった。 50 00:05:38,851 --> 00:05:45,151 2人は 全てを捨てて家を出た。 51 00:05:46,726 --> 00:05:50,029 そして 藤庵先生から身を隠すため➡ 52 00:05:50,029 --> 00:05:54,729 江戸の外れに逃れ 粗末な療治所を開いた。 53 00:05:57,203 --> 00:06:02,541 やがて 2人の間に子どもが生まれた。 54 00:06:02,541 --> 00:06:05,541 それがお前だ。 55 00:06:07,213 --> 00:06:13,019 だが 粗末な療治所にやって来る病人は 皆 貧しい者たちばかりだ。 56 00:06:13,019 --> 00:06:15,688 稼ぎなど たかが知れてる。 57 00:06:15,688 --> 00:06:19,892 2人は 貧しさにあえいだ。 58 00:06:19,892 --> 00:06:22,561 薬を仕入れる金はおろか➡ 59 00:06:22,561 --> 00:06:27,061 お前に食べさせるものにも 事欠く程だったらしい。 60 00:06:28,701 --> 00:06:30,636 あっ…。 61 00:06:30,636 --> 00:06:32,836 あらあら。 62 00:06:35,474 --> 00:06:41,380 懸命に学んだ医術を少しも生かせず ただ暮らしのためだけに働く日々に➡ 63 00:06:41,380 --> 00:06:50,056 多聞の心はすさみ 次第に酒に溺れるようになっていった。 64 00:06:50,056 --> 00:06:54,894 そんな 2人の暮らしぶりを知った 藤庵先生は➡ 65 00:06:54,894 --> 00:06:59,732 ひそかに お律に使いを出した。 66 00:06:59,732 --> 00:07:07,932 もし 多聞と別れて家に戻れば 多聞と娘の暮らしの面倒は見てやると。 67 00:07:09,675 --> 00:07:15,548 母は… お前に不自由をさせたくなかったんだ。 68 00:07:15,548 --> 00:07:26,258 ♬~ 69 00:07:26,258 --> 00:07:29,095 つぐみ。 70 00:07:29,095 --> 00:07:32,331 はい 母上。 71 00:07:32,331 --> 00:07:36,331 ありがとう。 かわいいね。 72 00:07:42,008 --> 00:07:45,511 (すすり泣き) 73 00:07:45,511 --> 00:08:10,536 ♬~ 74 00:08:10,536 --> 00:08:13,205 お律! 75 00:08:13,205 --> 00:08:33,826 ♬~ 76 00:08:33,826 --> 00:08:38,631 お律は お前と多聞を思うがゆえに去ったのだ。 77 00:08:38,631 --> 00:08:42,334 決して捨てようとして 捨てたわけじゃない。 78 00:08:42,334 --> 00:08:46,334 母を憎むのは筋違いだ。 79 00:08:48,007 --> 00:08:49,942 違う。 80 00:08:49,942 --> 00:08:54,242 違う? 何が違う。 81 00:08:55,881 --> 00:09:01,353 母が去ったせいで 父は あんなふうに…。 82 00:09:01,353 --> 00:09:19,205 ♬~ 83 00:09:19,205 --> 00:09:23,375 それは お律が悪いんじゃない。 誰が悪いわけでもない。 84 00:09:23,375 --> 00:09:29,248 だったら 先生は なぜ これまで黙っていたのですか。 85 00:09:29,248 --> 00:09:34,820 先生は 何か隠していませんか。 86 00:09:34,820 --> 00:09:37,490 何を隠していると言うんだ。 87 00:09:37,490 --> 00:09:42,995 先生は 何か きれい事ばかり 話してるような気がするんです。 88 00:09:42,995 --> 00:09:45,495 何だと。 89 00:09:49,168 --> 00:09:51,504 ≪(足音) 90 00:09:51,504 --> 00:09:54,840 (戸が開く音) (お常)先生! けが人です。 91 00:09:54,840 --> 00:10:00,012 何事だ。 これは新出殿。 急のけが人だ。 92 00:10:00,012 --> 00:10:02,047 うん? 93 00:10:02,047 --> 00:10:04,650 津川と田山を呼べ。 はい。 94 00:10:04,650 --> 00:10:07,019 運び入れろ。 おい。 95 00:10:07,019 --> 00:10:08,954 へい! 96 00:10:08,954 --> 00:10:13,526 しっかりしろよ。 頭の傷はどうだ。 97 00:10:13,526 --> 00:10:15,861 (田山)縫わないといけません。 う~ん…。 98 00:10:15,861 --> 00:10:19,198 (津川)ここは どうだ 痛くないか。 (叫び声) 99 00:10:19,198 --> 00:10:21,534 先生 右足の骨が折れています。 100 00:10:21,534 --> 00:10:24,370 うむ。 まずは骨をつなぐぞ。 はい。 101 00:10:24,370 --> 00:10:26,305 田山 引っ張れ。 はい。 102 00:10:26,305 --> 00:10:30,676 (2人)せ~の。 (叫び声) よし 辛抱しろよ。 103 00:10:30,676 --> 00:10:37,383 つぐみ 何してる。 添え木だ。 早く! はい。 104 00:10:37,383 --> 00:10:40,083 もう少し引っ張れ。 (田山 津川)はい! 105 00:10:45,891 --> 00:10:49,695 男を殺した? 106 00:10:49,695 --> 00:10:51,630 (お絹)はい。 107 00:10:51,630 --> 00:10:54,233 この女は 源覚寺裏長屋のお絹。 108 00:10:54,233 --> 00:10:59,405 死んだのは お絹と同じ町内の 卯之介という男だ。 そうだな? 109 00:10:59,405 --> 00:11:04,705 はい。 どうして殺した。 110 00:11:06,579 --> 00:11:10,583 あの人が… 別れたいって。 111 00:11:10,583 --> 00:11:15,721 痴情のもつれというやつだな。 別れる別れないで喧嘩して➡ 112 00:11:15,721 --> 00:11:20,259 この女は 神社の石段から 男を突き落としたのだ。 113 00:11:20,259 --> 00:11:25,731 私は離れたくない。 ねえ 考え直しておくれよ。 114 00:11:25,731 --> 00:11:31,231 (卯之介)もう お前みたいな 辛気くさい女は 飽き飽きなんだよ。 115 00:11:34,440 --> 00:11:36,408 ふん! うわっ! 116 00:11:36,408 --> 00:11:38,410 あっ! 117 00:11:38,410 --> 00:11:49,388 ♬~ 118 00:11:49,388 --> 00:11:53,188 間違いありません。 はあ はあ…。 119 00:11:55,561 --> 00:11:59,561 これ以上は無理だ。 いや しかし…。 120 00:12:01,233 --> 00:12:05,904 その様子を誰か見ていた者はいるのか。 121 00:12:05,904 --> 00:12:08,104 いや 誰も…。 122 00:12:16,915 --> 00:12:20,586 取り調べに耐えうる体にまで回復したら 知らせる。 123 00:12:20,586 --> 00:12:22,588 それまでは ここで預かる。 よいな。 124 00:12:22,588 --> 00:12:27,588 う~ん やむをえまい。 それまで お頼みします。 うむ。 125 00:12:30,396 --> 00:12:33,666 はあ… 聞いたな。 はい。 126 00:12:33,666 --> 00:12:37,536 つぐみ お前が あの女の面倒を見てやれ。 127 00:12:37,536 --> 00:12:42,374 私が受け持つ病人の療治が 手薄になっても よろしいですか。 128 00:12:42,374 --> 00:12:46,211 何!? 私がやりますよ。 129 00:12:46,211 --> 00:12:48,411 おい! 130 00:12:52,084 --> 00:12:55,084 チッ。 あ~! 131 00:12:56,855 --> 00:13:00,693 何があったんだ…。 132 00:13:00,693 --> 00:13:02,993 さあ。 133 00:13:09,401 --> 00:13:13,906 先生は 何か隠していませんか。 134 00:13:13,906 --> 00:13:37,206 ♬~ 135 00:13:39,531 --> 00:13:41,467 だいぶ落ち着いたな。➡ 136 00:13:41,467 --> 00:13:44,203 これなら もう大丈夫だ。 137 00:13:44,203 --> 00:13:50,203 治ったところで お裁きを受けるだけですから。 138 00:13:51,944 --> 00:13:55,744 何も殺すことはなかったんじゃないか。 139 00:13:57,683 --> 00:14:02,183 いや 私が言うことじゃない。 140 00:14:03,889 --> 00:14:10,189 もう… どうでもよくなったんです。 141 00:14:12,231 --> 00:14:20,939 3年前… 連れ合いが 大きな借金を残したまま死に➡ 142 00:14:20,939 --> 00:14:29,239 幼い娘を抱えて 毎日 懸命に働いてきました。 143 00:14:32,351 --> 00:14:36,655 もう… 疲れたんです。 144 00:14:36,655 --> 00:14:41,026 娘は 今 どうしてる。 さあ。 145 00:14:41,026 --> 00:14:43,362 心配ではないのか。 146 00:14:43,362 --> 00:14:49,868 私みたいな母親 いない方がいいんです。 147 00:14:49,868 --> 00:14:53,868 あんたの娘が そう言ったの? 148 00:15:00,379 --> 00:15:04,249 (津川)先生。 うん? お絹のことですが…➡ 149 00:15:04,249 --> 00:15:09,688 どうも私には あの女が痴情のもつれで 男を殺すような女には見えないんです。 150 00:15:09,688 --> 00:15:12,224 ほう なぜだ? 151 00:15:12,224 --> 00:15:15,894 何と言うか… 性根が弱いというか…➡ 152 00:15:15,894 --> 00:15:18,797 人を殺すには もっと強さがいるのではないかと。 153 00:15:18,797 --> 00:15:23,569 それに ひどく疲れていて…。 疲れているからこそ➡ 154 00:15:23,569 --> 00:15:28,440 後先のことを考えなくなるということが あるのではないですか。 そうかねえ。 155 00:15:28,440 --> 00:15:31,376 まあ そもそも 女は見かけによりませんからね。 156 00:15:31,376 --> 00:15:34,847 いずれにせよ それを調べるのは町方の仕事です。 157 00:15:34,847 --> 00:15:37,182 まあ そうだが…。 158 00:15:37,182 --> 00:15:41,353 私も あの人は殺していないと思います。 159 00:15:41,353 --> 00:15:43,388 (田山)また お前は いいかげんなことを。 160 00:15:43,388 --> 00:15:46,225 田山先生こそ 女は見かけによらないと言う程➡ 161 00:15:46,225 --> 00:15:49,027 女をご存じなんですか。 し… 失敬な! 162 00:15:49,027 --> 00:15:53,866 あの人 子どもがいるんでしょう? どうしてるんでしょうねえ。 163 00:15:53,866 --> 00:15:57,736 そうなんだ。 娘の話になると どこか うわの空というか…。 164 00:15:57,736 --> 00:16:02,875 津川。 お前 その娘の様子を 見に行ってやれ。 えっ 私が? 165 00:16:02,875 --> 00:16:06,211 場合によっては ここに連れてこい。 はあ…。 166 00:16:06,211 --> 00:16:10,682 つぐみ お前も一緒に行け。 忙しいので無理です。 167 00:16:10,682 --> 00:16:13,585 何だと!? 頂きます。 168 00:16:13,585 --> 00:16:15,554 お… おい! おお…。 169 00:16:15,554 --> 00:16:18,054 お… お前! 170 00:16:19,892 --> 00:16:23,092 忙しいんじゃなかったのか。 171 00:16:26,398 --> 00:16:28,898 変なやつだ。 172 00:16:31,003 --> 00:16:34,640 えい! やめろって もう…。 173 00:16:34,640 --> 00:16:37,342 お前たちに 聞きたいんだが…➡ 174 00:16:37,342 --> 00:16:39,278 ここに お絹という人がいたな。 175 00:16:39,278 --> 00:16:41,847 うん でも今はいないよ。 176 00:16:41,847 --> 00:16:44,650 そうだ。 それで その娘がいるだろう。 177 00:16:44,650 --> 00:16:47,853 どこにいるか知ってるか。 あっち。 178 00:16:47,853 --> 00:16:50,656 ありがとう。 179 00:16:50,656 --> 00:16:54,192 何だい あんたたち。 180 00:16:54,192 --> 00:16:59,031 お絹を預かってる養生所の医者だ。 181 00:16:59,031 --> 00:17:01,366 へえ~。 182 00:17:01,366 --> 00:17:17,382 ♬~ 183 00:17:17,382 --> 00:17:19,885 ちゃんと働くんだよ。 184 00:17:19,885 --> 00:17:23,555 働かない者に 食わせる飯はないんだからね。 185 00:17:23,555 --> 00:17:25,555 はい。 186 00:17:27,225 --> 00:17:31,496 大家さん ちょっと。 何でしょう。 187 00:17:31,496 --> 00:17:35,000 お絹の娘は その子かい。 188 00:17:35,000 --> 00:17:37,502 ええ そうですよ。➡ 189 00:17:37,502 --> 00:17:42,841 放り出すわけにもいかないので こうやって面倒見てるんですよ。➡ 190 00:17:42,841 --> 00:17:46,511 全く迷惑な話だよ。 191 00:17:46,511 --> 00:17:49,348 これはこれは 清太郎さん。 192 00:17:49,348 --> 00:17:52,184 今日は どんな ご用で。 193 00:17:52,184 --> 00:17:55,087 何 お涼を見に来たんだ。 ああ。 194 00:17:55,087 --> 00:17:58,887 お涼 しっかりやってるか。 195 00:18:02,194 --> 00:18:04,229 こちらは? 196 00:18:04,229 --> 00:18:15,741 ♬~ 197 00:18:15,741 --> 00:18:21,880 ほう お絹は小石川養生所に。 ええ あなたは? 198 00:18:21,880 --> 00:18:26,685 私は この近くの両替屋のせがれで 清太郎と申します。 199 00:18:26,685 --> 00:18:29,588 ここの人たちにも 金を貸してやってるもんで➡ 200 00:18:29,588 --> 00:18:32,491 顔なじみなんです。 201 00:18:32,491 --> 00:18:35,827 お絹は どうなるんですか。 202 00:18:35,827 --> 00:18:40,165 さあ… けがが治ったら…➡ 203 00:18:40,165 --> 00:18:42,834 死罪だろうよ。 204 00:18:42,834 --> 00:18:47,172 そうですか…。 お絹とは親しいのか? 205 00:18:47,172 --> 00:18:52,344 ええ 死んだ亭主には とりわけ しょっちゅう融通してやってたんでね。 206 00:18:52,344 --> 00:18:56,214 亭主が生きてた頃は まだよかったんですが…。 207 00:18:56,214 --> 00:19:00,018 ここの長屋の人は 何て言うか…。 208 00:19:00,018 --> 00:19:02,654 みんな暮らしが きついからね。 209 00:19:02,654 --> 00:19:07,859 私みたいな者でも 少しは役に立てたらってね。 210 00:19:07,859 --> 00:19:14,633 しかし… 母親が死罪なんて お涼も かわいそうに。 211 00:19:14,633 --> 00:19:19,204 まあ 私ができるだけのことはしますよ。 212 00:19:19,204 --> 00:19:22,107 随分と お優しいんですね。 ヘヘッ。 213 00:19:22,107 --> 00:19:25,307 世の中 持ちつ持たれつですから。 214 00:19:46,832 --> 00:19:51,332 (お雪)口に合いませんか? 215 00:19:54,573 --> 00:19:56,842 おいしい…。 216 00:19:56,842 --> 00:19:59,511 えっ? 217 00:19:59,511 --> 00:20:06,811 私 こんなに のんびりしたの 生まれて初めてです。 218 00:20:08,854 --> 00:20:14,554 お金のことを忘れて 寝てられるなんて…。 219 00:20:16,728 --> 00:20:21,533 本当に ありがとうございます。 220 00:20:21,533 --> 00:20:24,733 あっ いえ…。 221 00:20:26,671 --> 00:20:29,871 ありがとうございます。 222 00:20:34,412 --> 00:20:43,054 お絹さんは 初めて ゆっくりと心も体も休めたんだろうね…。 223 00:20:43,054 --> 00:20:45,690 かわいそうに…。 224 00:20:45,690 --> 00:20:49,394 つらかっただろうね。 225 00:20:49,394 --> 00:20:52,697 (お光)去定先生 お客様です。 誰だ。 226 00:20:52,697 --> 00:20:57,897 それが お年を召した方なんですが 名前をおっしゃらないんですよ。 227 00:21:03,909 --> 00:21:08,580 ご無沙汰しております。 こちらこそ。 228 00:21:08,580 --> 00:21:13,280 今日は どんな ご用で? はい。 229 00:21:16,254 --> 00:21:18,554 これを…。 230 00:21:20,125 --> 00:21:26,125 迷ったんですが やはり お見せした方がいいと…。 231 00:21:32,737 --> 00:21:35,537 よろしいですか。 232 00:21:52,557 --> 00:21:54,893 これは…。 233 00:21:54,893 --> 00:22:05,904 ♬~ 234 00:22:05,904 --> 00:22:10,709 では 失礼いたします。 お気をつけて。 235 00:22:10,709 --> 00:22:41,009 ♬~ 236 00:22:44,376 --> 00:22:47,679 (津川)お涼と会った。 237 00:22:47,679 --> 00:22:49,614 え…。 238 00:22:49,614 --> 00:22:52,884 元気にしていた。 239 00:22:52,884 --> 00:22:55,884 そうですか。 240 00:22:57,555 --> 00:23:00,392 このまま会えなくていいのか。 241 00:23:00,392 --> 00:23:07,565 ≪あの子だって会いたくないでしょう 人殺しの母親なんて。 242 00:23:07,565 --> 00:23:13,765 それでなくても ろくなものも食べさせてやれず…。 243 00:23:16,274 --> 00:23:21,413 あの子を売っ払っちまおうと 思ったこともありました。 244 00:23:21,413 --> 00:23:27,719 こんな どうしようもない母親 愛想尽かしてますよ。 245 00:23:27,719 --> 00:23:31,019 そんなわけない。 246 00:23:33,525 --> 00:23:38,029 子どもを捨てても平気な母親は いるかもしれない。 247 00:23:38,029 --> 00:23:44,829 けど… 母親がいなくなっても平気な 子どもなんていない。 248 00:23:48,540 --> 00:23:51,540 (つぐみ)あの子だって…。 249 00:23:59,551 --> 00:24:20,705 ♬~ 250 00:24:20,705 --> 00:24:23,575 お涼だな。 251 00:24:23,575 --> 00:24:26,911 いや~ これは…。 252 00:24:26,911 --> 00:24:30,882 さあ 一緒に来るんだ。 253 00:24:30,882 --> 00:24:35,720 大丈夫だ。 おっかさんのところに行くんだ。 254 00:24:35,720 --> 00:24:38,023 えっ? 255 00:24:38,023 --> 00:24:40,358 さあ…➡ 256 00:24:40,358 --> 00:24:43,862 おいで。 よいしょ。 257 00:24:43,862 --> 00:24:46,664 誰ですか あんた! 258 00:24:46,664 --> 00:24:49,567 あ… 養生所の。 259 00:24:49,567 --> 00:24:52,871 この子を連れていくぞ。 何ですって? 260 00:24:52,871 --> 00:24:56,207 ちゃんと食事を与えているのか? 261 00:24:56,207 --> 00:25:01,546 見ろ こんなに痩せて。 顔色もよくない。 262 00:25:01,546 --> 00:25:08,319 あ~ 滋養が足りておらんな。 養生所で預かる。 263 00:25:08,319 --> 00:25:12,891 いや 勘弁してくださいよ。 この子 連れていかれたら困るんですよ。 264 00:25:12,891 --> 00:25:16,761 困る? あ…。 何が困るんだ。 265 00:25:16,761 --> 00:25:19,664 あ… い…。 うん? い…➡ 266 00:25:19,664 --> 00:25:21,664 はあ…。 267 00:25:32,177 --> 00:25:34,177 あっ。 268 00:25:50,195 --> 00:25:52,864 おっかさん…➡ 269 00:25:52,864 --> 00:25:55,900 一緒に帰ろう。 270 00:25:55,900 --> 00:25:59,204 無理なんだよ。 271 00:25:59,204 --> 00:26:05,009 おっかさんは人を殺したんだ。 お裁きを受けるんだよ。 272 00:26:05,009 --> 00:26:07,378 おっかさん…。 273 00:26:07,378 --> 00:26:13,551 うるさいね あんたなんか知らないよ。 何で連れてきたんだい。 274 00:26:13,551 --> 00:26:18,351 おっかさん…。 う~ さっさと帰っておくれ。 275 00:26:21,693 --> 00:26:28,066 お前は 本当に人を殺したのか。 276 00:26:28,066 --> 00:26:32,066 そうです。 この子の顔を見て言えるか。 277 00:26:33,638 --> 00:26:36,508 どうなんだ。 278 00:26:36,508 --> 00:26:42,013 おっかさん 悪いことしたの? そうだよ。 279 00:26:42,013 --> 00:26:46,851 牢屋に入るの? ああ。 280 00:26:46,851 --> 00:26:50,188 あたいも一緒に牢屋に入る! 281 00:26:50,188 --> 00:26:53,388 ねっ そうしよう? 282 00:26:55,860 --> 00:27:03,735 おっかさんはね もうすぐ死ぬんだよ。 一緒になんか いられないんだよ。 283 00:27:03,735 --> 00:27:10,675 嫌だ! おっかさんと一緒にいる。 あたいも おっかさんと一緒に死ぬ! 284 00:27:10,675 --> 00:27:16,481 もし… この子のために 罪をかぶろうとしているんだったら➡ 285 00:27:16,481 --> 00:27:19,217 それは違うぞ。 286 00:27:19,217 --> 00:27:28,393 本当に この子のためを思うのなら 懸命に生きる姿を見せてやれ。 287 00:27:28,393 --> 00:27:30,995 お前は一人じゃない。 288 00:27:30,995 --> 00:27:36,995 お前のことを救いたいと 思っているやつらが ここにいる。 289 00:27:40,705 --> 00:27:43,575 諦めるな。 290 00:27:43,575 --> 00:27:55,220 ♬~ 291 00:27:55,220 --> 00:27:59,357 お涼はな あの大家のところで➡ 292 00:27:59,357 --> 00:28:05,029 食べる物も ろくに与えられず 朝から晩まで働かされていたんだ。 293 00:28:05,029 --> 00:28:11,229 お前は あの男に だまされていたんだ。 294 00:28:12,770 --> 00:28:14,970 えっ。 295 00:28:19,210 --> 00:28:24,082 本当かい? うん。 296 00:28:24,082 --> 00:28:29,687 ああ… あ…。 297 00:28:29,687 --> 00:28:32,323 ごめんね。 298 00:28:32,323 --> 00:28:37,629 おっかさんが悪かったよ。 299 00:28:37,629 --> 00:28:43,434 もう はなしたくない。 はなさない。 300 00:28:43,434 --> 00:28:46,134 おっかさん! 301 00:28:48,172 --> 00:28:55,346 さあ もう本当のことを話せ。 302 00:28:55,346 --> 00:28:59,183 お前は人など殺していない。 303 00:28:59,183 --> 00:29:01,483 そうだろう? 304 00:29:08,526 --> 00:29:11,195 清太郎だな! 305 00:29:11,195 --> 00:29:15,867 御用だ! 神妙にしろ! 306 00:29:15,867 --> 00:29:18,670 放せ! 神妙にしろ! 307 00:29:18,670 --> 00:29:22,170 放せ! おとなしくしろ! 308 00:29:24,208 --> 00:29:28,046 下手人は やはり清太郎だった。 309 00:29:28,046 --> 00:29:32,817 役人が詮議したところ すぐに白状したらしい。 310 00:29:32,817 --> 00:29:39,691 清太郎は 卯之介に金をゆすられてたんだ。 311 00:29:39,691 --> 00:29:46,364 あんたが店の金を博打につぎ込んでるの おやじに ばらしちゃっていいんだぜ。 312 00:29:46,364 --> 00:29:51,002 それだけは黙っててくれ。 313 00:29:51,002 --> 00:29:56,302 これっぽちじゃ足りねえな もっと持ってきな。 314 00:29:58,876 --> 00:30:01,012 うわっ! 315 00:30:01,012 --> 00:30:02,947 ああっ! 316 00:30:02,947 --> 00:30:16,527 ♬~ 317 00:30:16,527 --> 00:30:18,827 助けて…。 318 00:30:20,665 --> 00:30:23,368 お絹。 319 00:30:23,368 --> 00:30:27,238 助けてやる。 そのかわり 身代わりになってくれ。 320 00:30:27,238 --> 00:30:31,676 そうしたら お前の亭主が残した借金は帳消しだ。 321 00:30:31,676 --> 00:30:34,879 お涼の面倒も 俺が見てやるぞ。 322 00:30:34,879 --> 00:30:40,551 お前と一緒にいたところで お涼は ずっと苦労するばっかりじゃねえか。 323 00:30:40,551 --> 00:30:47,351 身代わりになってくれたら お涼には不自由させねえ。 なっ? 324 00:30:49,560 --> 00:30:53,431 清太郎は 借金を棒引きにするからと 大家にお涼を押し付け➡ 325 00:30:53,431 --> 00:30:57,435 大家は ろくに食べる物も与えず お涼を働かせていた。 326 00:30:57,435 --> 00:31:01,572 あの男は 初めから お涼の面倒を見る気などなかったわけだ。 327 00:31:01,572 --> 00:31:04,572 そういうことだ。 328 00:31:28,099 --> 00:31:33,371 わしが間違ってた。 えっ? 329 00:31:33,371 --> 00:31:37,875 お前の母は お前を思うがゆえにお前のもとを去った。 330 00:31:37,875 --> 00:31:45,575 わしも それは致し方のないことだと 思っていたが… 違う。 331 00:31:48,519 --> 00:31:53,224 お涼のように たとえ どんなに貧しくとも➡ 332 00:31:53,224 --> 00:31:58,062 母のもとを離れたくないと願うのが 子の気持ちだ。 333 00:31:58,062 --> 00:32:05,362 子どものために離れたなどというのは 大人の勝手な理屈だ。 334 00:32:53,551 --> 00:33:00,424 これは お前の母が 死ぬ間際に書いたものだ。 えっ。 335 00:33:00,424 --> 00:33:06,898 先日 品のいいお年寄りが 訪ねて来ただろう。 ええ。 336 00:33:06,898 --> 00:33:12,570 あれは… お律の母 つまり お前の祖母だ。 337 00:33:12,570 --> 00:33:15,072 えっ。 338 00:33:15,072 --> 00:33:20,945 これを わしに渡して帰っていった。 339 00:33:20,945 --> 00:33:26,745 まだ お前の前で名乗る決心は つかなかったようだ。 340 00:33:42,033 --> 00:33:47,204 (お律)「つぐみ あなたが これを読む時➡ 341 00:33:47,204 --> 00:33:51,375 私は もう この世にはいないでしょう。➡ 342 00:33:51,375 --> 00:33:57,048 私が最後に見たあなたは まだ小さくて➡ 343 00:33:57,048 --> 00:34:01,385 摘んできた花を私にくれましたね。➡ 344 00:34:01,385 --> 00:34:06,257 あの愛らしい姿が 今も目に浮かびます。➡ 345 00:34:06,257 --> 00:34:10,457 もう すっかり 大きくなったことでしょう」。 346 00:34:12,096 --> 00:34:18,703 (お律)「私は病に侵され もう長くはないでしょう。➡ 347 00:34:18,703 --> 00:34:25,203 最後に あなたと会うことも かないそうにありません」。 348 00:34:28,245 --> 00:34:31,649 (お律)「会いたい!➡ 349 00:34:31,649 --> 00:34:37,855 もう一度 この手に抱きしめたい。➡ 350 00:34:37,855 --> 00:34:40,524 母」。 351 00:34:40,524 --> 00:34:53,671 ♬~ 352 00:34:53,671 --> 00:35:00,444 全く… 男なんて どうしようもない生き物だ。 353 00:35:00,444 --> 00:35:06,250 わしは 保本や津川 田山に 厳しすぎるところがある。 354 00:35:06,250 --> 00:35:11,689 それは わしの持ってる医術を 残らず やつらに伝えたいと思うからだ。 355 00:35:11,689 --> 00:35:17,228 もっと… 自分の仕事に 誇りを持ってほしいと思うからだ。 356 00:35:17,228 --> 00:35:24,702 その気持ちが先走って… つい言葉足らずになる。 不器用だ。 357 00:35:24,702 --> 00:35:29,407 かっとなって 相手を傷つけてしまうことも 多々ある。 358 00:35:29,407 --> 00:35:33,707 フッフッ わしも まだまだだ。 359 00:35:35,646 --> 00:35:40,351 多聞も わしと同じだ。 360 00:35:40,351 --> 00:35:48,025 自分の持っているものを お前の この手に渡したかったんだ。 361 00:35:48,025 --> 00:35:50,661 わしには分かる。 362 00:35:50,661 --> 00:35:58,402 ただ 弱さゆえ やり方を間違えて お前を傷つけてしまった。 363 00:35:58,402 --> 00:36:04,208 友に代わって わしが謝る。 364 00:36:04,208 --> 00:36:06,908 許してくれ。 365 00:36:09,380 --> 00:36:16,580 これまで私は 私が見たものが全てだと思っていました。 366 00:36:18,556 --> 00:36:25,329 先生は 私に受け入れろと言った。 367 00:36:25,329 --> 00:36:31,329 でも あの親子には 諦めるなと言った。 368 00:36:33,204 --> 00:36:36,640 父と母が…➡ 369 00:36:36,640 --> 00:36:41,140 私に何をしようとしてくれていたのか…。 370 00:36:43,180 --> 00:36:46,217 少しだけど…➡ 371 00:36:46,217 --> 00:36:49,517 分かったような気がします。 372 00:36:55,893 --> 00:37:04,869 病や貧しさは 時に 人から心まで奪い去ってしまう。 373 00:37:04,869 --> 00:37:07,371 無知と貧困。 374 00:37:07,371 --> 00:37:11,542 そうだ。 だからこそ➡ 375 00:37:11,542 --> 00:37:15,546 わしら医者は そいつと闘い続けねばならん。 376 00:37:15,546 --> 00:37:31,495 ♬~ 377 00:37:31,495 --> 00:37:36,367 あ~ 実は… もう一つ お前に話すことがある。 378 00:37:36,367 --> 00:37:40,838 何ですか。 うん…。 379 00:37:40,838 --> 00:37:43,641 あ~➡ 380 00:37:43,641 --> 00:37:47,845 あ~ わしも お前の母にほれてた。 えっ。 381 00:37:47,845 --> 00:37:50,514 だが そのころのわしは➡ 382 00:37:50,514 --> 00:37:53,417 一人前の医者になることしか 考えていなかった。 383 00:37:53,417 --> 00:37:57,021 そのためには 色恋など 邪魔だと思っていた。 384 00:37:57,021 --> 00:38:00,658 だから その気持ちは捨てた。 385 00:38:00,658 --> 00:38:06,463 はあ… わしは 我が友 多聞 そして…➡ 386 00:38:06,463 --> 00:38:12,403 わしがほれた お律には 心底幸せになってほしいと願っていた。 387 00:38:12,403 --> 00:38:21,879 だが… 10年前にお律が死んだと聞いた時 わしは後悔した。 388 00:38:21,879 --> 00:38:25,749 もし あの時 2人の出奔を止めていれば➡ 389 00:38:25,749 --> 00:38:28,752 お律は 若くして死ぬことは なかったんじゃないか。 390 00:38:28,752 --> 00:38:34,325 多聞とて もっともっと立派な医者に なるべき道があったんじゃないか。 391 00:38:34,325 --> 00:38:36,994 わしは…➡ 392 00:38:36,994 --> 00:38:42,800 その後悔を 長い間 引きずって生きてきた。 393 00:38:42,800 --> 00:38:46,337 しかし…➡ 394 00:38:46,337 --> 00:38:52,643 お前に会えて その心は ようやく晴れた。 395 00:38:52,643 --> 00:38:55,443 どうしてですか。 396 00:38:57,348 --> 00:39:05,148 お前の父と母が一緒になったからこそ お前が生まれたからだ。 397 00:39:08,525 --> 00:39:11,862 お前がいてくれて…➡ 398 00:39:11,862 --> 00:39:15,062 本当に よかった。 399 00:39:16,667 --> 00:39:21,867 父や母も きっと そう思ってるだろう。 400 00:39:27,311 --> 00:39:30,611 わしも同じだ。 401 00:39:36,020 --> 00:39:44,161 お前は これまで幾多の苦労や悲しみを 乗り越えてきた。 402 00:39:44,161 --> 00:39:53,337 だからこそ 弱き者 奪われし者の 気持ちに寄り添うことができる。 403 00:39:53,337 --> 00:39:56,173 つぐみ。 404 00:39:56,173 --> 00:40:02,873 お前は 人に多くを与えられる者になれ。 405 00:40:05,516 --> 00:40:21,966 (泣き声) 406 00:40:21,966 --> 00:40:30,374 ♬~ 407 00:40:30,374 --> 00:40:32,876 気をつけてな。 408 00:40:32,876 --> 00:40:36,076 ありがとうございました。 409 00:40:39,650 --> 00:40:43,387 帰ろうか。 うん。 410 00:40:43,387 --> 00:40:53,697 ♬~ 411 00:40:53,697 --> 00:40:58,535 あの親子は また貧しい暮らしに 戻ることになるんでしょうか。 412 00:40:58,535 --> 00:41:02,072 清太郎の父は 息子がしでかしたことの償いに➡ 413 00:41:02,072 --> 00:41:05,709 借金を棒引きにした上 見舞い金も出すと言ってるそうだ。 414 00:41:05,709 --> 00:41:11,515 よかった。 まあ 誰かが 裏で手を回したんだろう。 415 00:41:11,515 --> 00:41:14,718 (せきばらい) どんどん病人が来るぞ。 416 00:41:14,718 --> 00:41:19,218 のんびりしてる暇はない。 分かっております! 417 00:41:23,927 --> 00:41:31,427 これで つぐみも一人前の医者ですね。 フッ 偉そうに。 418 00:41:33,537 --> 00:41:38,876 お前の方が よほど手間がかかった。 そう おっしゃりたいのですね。 419 00:41:38,876 --> 00:41:40,811 いや。 420 00:41:40,811 --> 00:41:43,547 えっ? 421 00:41:43,547 --> 00:41:52,556 この養生所にいると さまざまな人の 生きざまを見て 痛みを知る。 422 00:41:52,556 --> 00:42:00,064 そうして病を治すだけではない 本当の医者になっていく。 423 00:42:00,064 --> 00:42:04,564 手間がかかるのは当然だ。 424 00:42:09,406 --> 00:42:17,606 <まことの医者への道は長い。 私もいつか本当の医者になれるだろうか> 425 00:42:20,050 --> 00:42:24,955 <小石川診療所は 相変わらず忙しい> 426 00:42:24,955 --> 00:42:27,257 田山! しっかり押さえろ。 427 00:42:27,257 --> 00:42:32,757 <貧しい病人たちが 引きも切らさず やって来る> 428 00:42:34,364 --> 00:42:36,667 駄目だよ ちゃんと飲まなきゃ。 429 00:42:36,667 --> 00:42:42,539 <我々の医術には限りがあるが できることをするしかない> 430 00:42:42,539 --> 00:42:45,209 なぜ 今まで ほっといた! 431 00:42:45,209 --> 00:42:48,045 このまま高い熱が続けば 命にも関わるぞ。 432 00:42:48,045 --> 00:42:50,681 お前は それでも母親か! この大バカ者! 433 00:42:50,681 --> 00:42:52,616 すいません! (泣き声) 434 00:42:52,616 --> 00:42:54,551 ああ… すまん すまん。 435 00:42:54,551 --> 00:42:57,054 おい つぐみ ここを頼むぞ。 はい。 436 00:42:57,054 --> 00:43:00,557 この子を入所させる。 437 00:43:00,557 --> 00:43:03,393 大丈夫ですよ。 安心してください。 438 00:43:03,393 --> 00:43:07,898 <人を救い 人を作る。➡ 439 00:43:07,898 --> 00:43:15,405 そのことに これほど懸命な人を私は知らない。➡ 440 00:43:15,405 --> 00:43:22,605 赤ひげと呼ばれる この男に 私は少しでも近づいていきたい>