1 00:00:02,202 --> 00:00:07,207 (雷鳴) 2 00:00:09,276 --> 00:00:12,279 (道善)よし うい~ おっ。 3 00:00:12,279 --> 00:00:15,415 (幸)惣ぼんさん? 4 00:00:15,415 --> 00:00:17,351 (惣次)治兵衛が倒れたんや。 5 00:00:17,351 --> 00:00:27,027 ♬~ 6 00:00:27,027 --> 00:00:30,898 (お梅)番頭さん だんないやろか。 7 00:00:30,898 --> 00:00:34,401 (お杉)お店 どないなるんや…。 8 00:00:41,141 --> 00:00:47,648 今度は 左の手 上げてみまひょか。 9 00:00:54,454 --> 00:00:58,325 卒中風やな。 10 00:00:58,325 --> 00:01:01,929 はあ~。➡ 11 00:01:01,929 --> 00:01:05,799 けど 安心しなはれ。➡ 12 00:01:05,799 --> 00:01:10,304 命は 助かるで。 13 00:01:14,508 --> 00:01:22,015 (道善)ただ 体の左側が動かんようや。 14 00:01:23,784 --> 00:01:32,793 気の毒やけど 元のとおりには 戻らんやろな。 15 00:01:34,494 --> 00:01:39,299 しばらくは動かしたら あきまへんで。 16 00:01:39,299 --> 00:01:47,007 このまんま ゆっくり養生させてあげなはれ。 17 00:01:47,007 --> 00:01:51,011 <二代目から当代まで 三代の主に仕え➡ 18 00:01:51,011 --> 00:01:54,748 「五鈴屋の要石」と呼ばれる治兵衛の病は➡ 19 00:01:54,748 --> 00:02:00,253 不振続きの店に 更なる打撃を与えるものでした> 20 00:02:17,938 --> 00:02:22,809 (お梅)アホボンが苦労かけるさかい 番頭さん 無理しはったんや。➡ 21 00:02:22,809 --> 00:02:28,582 こないなことになるなら あの時 お店 移っとったらよかったのに。 22 00:02:28,582 --> 00:02:30,517 えっ? 23 00:02:30,517 --> 00:02:36,790 引き抜きの話があったんやで。 それも 船場の伏見屋さんから。 24 00:02:36,790 --> 00:02:40,627 伏見屋て ご寮さんが 花嫁衣装をそろえはった? 25 00:02:40,627 --> 00:02:45,432 そや。 大坂一の呉服屋や。 それ いつの話だす? 26 00:02:45,432 --> 00:02:48,802 もう十四年も前やろか。 27 00:02:48,802 --> 00:02:53,440 大火で お店が丸焼けになって 再建のめども立たん時や。 28 00:02:53,440 --> 00:02:56,977 番頭さん すぐに誘い断らはったんやで。 29 00:02:56,977 --> 00:03:02,582 (お竹)そやったなあ。 番頭さんの忠義に報いるためにも➡ 30 00:03:02,582 --> 00:03:09,256 お店 立て直さなあかんいうて 皆が心一つにして 気張ったんや。 31 00:03:09,256 --> 00:03:14,094 (お梅)今の五鈴屋があんのは 番頭さんのおかげだすなあ。 32 00:03:14,094 --> 00:03:17,764 おかゆさん 炊けたか?あっ。 わて 持ってくで。 33 00:03:17,764 --> 00:03:20,100 (お竹)幸が持っていき。 34 00:03:20,100 --> 00:03:23,603 番頭さん 「幸に来てほしい」言うてたさかい。 35 00:03:23,603 --> 00:03:25,605 へえ。 36 00:03:32,612 --> 00:03:38,785 (治兵衛)うう…。➡ 37 00:03:38,785 --> 00:03:41,121 ああ…。➡ 38 00:03:41,121 --> 00:03:44,424 はあ…。➡ 39 00:03:44,424 --> 00:03:49,629 幸… 世話かけるなあ。 40 00:03:53,633 --> 00:03:59,139 (治兵衛)話すのが遅うなったけど➡ 41 00:03:59,139 --> 00:04:07,247 幸を後添えにと勧めたんは➡ 42 00:04:07,247 --> 00:04:10,917 わてだすのや。 43 00:04:10,917 --> 00:04:16,389 旦那さんに しっかりした後添え 迎えること条件に➡ 44 00:04:16,389 --> 00:04:21,194 呉服仲間から 金借りたんだす。 45 00:04:23,597 --> 00:04:31,271 あんさんなら 旦那さんの手綱引いて➡ 46 00:04:31,271 --> 00:04:36,476 五鈴屋の商い 守れるんやないか…。 47 00:04:38,779 --> 00:04:41,281 そない思いましたんや。 48 00:04:42,949 --> 00:04:48,288 一つ 教えてほしいことがございます。 49 00:04:48,288 --> 00:04:51,124 何や? 50 00:04:51,124 --> 00:04:57,130 この話 どないしたら流れますやろか? 51 00:05:04,237 --> 00:05:09,376 近いうち 仲間の寄り合いに呼ばれて➡ 52 00:05:09,376 --> 00:05:12,078 いろいろ聞かれるはずや。 53 00:05:14,915 --> 00:05:22,222 幸が 五鈴屋の嫁にふさわしいか 見定めるためだす。 54 00:05:25,559 --> 00:05:34,267 そこで 思い切り不評買うたら 破談になるやろな。 55 00:05:38,271 --> 00:05:43,076 ご寮さんになるのは 嫌か? 嫌だす。 56 00:05:47,781 --> 00:05:50,483 そうか…。 57 00:05:56,289 --> 00:06:05,298 幸 そんでも 五鈴屋の嫁になんなはれ。 58 00:06:08,368 --> 00:06:13,373 あんさんには 商いの才がある。 59 00:06:15,141 --> 00:06:19,646 商いの才は 生かさなあかんのや。 60 00:06:22,382 --> 00:06:29,189 幸かて 心の底では そう望んでるはずや。 61 00:06:33,994 --> 00:06:41,501 元禄の頃と違て 今は物が売れん 難儀な時代だす。 62 00:06:44,104 --> 00:06:47,607 生きるか死ぬか➡ 63 00:06:47,607 --> 00:06:54,614 そろばんで 戦せんならん 商い戦国時代だすのや。 64 00:07:01,154 --> 00:07:05,458 商いの戦 やってみなはれ。 65 00:07:08,228 --> 00:07:14,234 あんさんの武器は 知恵と才覚や。 66 00:07:17,370 --> 00:07:20,874 笑って 勝ちにいきなはれ。 67 00:07:22,575 --> 00:07:25,278 笑って 勝ちに…? 68 00:07:29,349 --> 00:07:33,920 前も話したな➡ 69 00:07:33,920 --> 00:07:41,628 商いは 川の流れのようなもんやて。 へえ。 70 00:07:50,937 --> 00:07:53,239 幸ならできる。 71 00:07:54,808 --> 00:07:59,646 あんさんの手で 商いの川を➡ 72 00:07:59,646 --> 00:08:04,050 金色と銀色に 染めてみなはれ。 73 00:08:04,050 --> 00:08:34,114 ♬~ 74 00:08:34,114 --> 00:08:36,816 金色と銀色…。 75 00:08:44,090 --> 00:08:46,126 (富久)皆も 知ってのとおり➡ 76 00:08:46,126 --> 00:08:50,263 治兵衛どんは 今日で五鈴屋を離れ➡ 77 00:08:50,263 --> 00:08:53,767 別家を立てることとなります。 78 00:09:08,748 --> 00:09:13,219 長いこと ありがとさんだす。 79 00:09:13,219 --> 00:09:17,223 今の五鈴屋では 大した用意もでけしまへん。 80 00:09:17,223 --> 00:09:19,359 堪忍しとくれやす。 81 00:09:19,359 --> 00:09:25,365 お家さん どうぞ 手ぇ上げておくんなはれ。 82 00:09:28,568 --> 00:09:35,875 こないにしてもろて ホンマに ありがたいて思てます。 83 00:09:38,244 --> 00:09:45,585 鉄七 改め 番頭の鉄助どん。➡ 84 00:09:45,585 --> 00:09:50,757 あとのこと よろしゅう頼んますで。 85 00:09:50,757 --> 00:09:52,759 (鉄助)へい。 86 00:09:57,397 --> 00:10:02,769 (富久)もう一つ 大事な話がおます。 87 00:10:02,769 --> 00:10:08,942 四代目の後添えのことやけど…➡ 88 00:10:08,942 --> 00:10:12,278 幸を迎えるつもりだす。 89 00:10:12,278 --> 00:10:16,115 (一同)えっ! 90 00:10:16,115 --> 00:10:22,622 (富久)驚いたやろけど 五鈴屋のために ようよう考えた上のことだす。 91 00:10:22,622 --> 00:10:27,427 正式に決まるのは 呉服仲間の皆さんから➡ 92 00:10:27,427 --> 00:10:33,133 お許しを頂いてからいうことに なりますけどな。 93 00:10:33,133 --> 00:10:36,336 (治兵衛)皆 聞いとくれやす。 94 00:10:38,438 --> 00:10:45,645 幸を ご寮さんとして迎えて もり立ててやっとくれやす。 95 00:10:48,181 --> 00:10:52,819 奥向きのこと 知ってるだけではあきまへん。 96 00:10:52,819 --> 00:10:57,323 幸が知りたいと望むならば➡ 97 00:10:57,323 --> 00:11:02,262 商いのことでも何でも 教えてやっとくんなはれ。 98 00:11:02,262 --> 00:11:06,065 (留七)商いのこともて。 (伝七)女衆に…。 99 00:11:08,601 --> 00:11:13,773 (治兵衛)わてからの最後の頼みだす。 100 00:11:13,773 --> 00:11:16,476 どうか よろしゅう…。 101 00:11:18,611 --> 00:11:21,814 へえ。 承知いたしました! 102 00:11:26,486 --> 00:11:31,191 くれぐれも頼むで。 へえ! 103 00:11:31,191 --> 00:11:45,305 ♬~ 104 00:11:45,305 --> 00:11:47,307 番頭さん…。 105 00:11:49,642 --> 00:11:53,813 何や 皆 辛気くさい顔したら あきまへん。 106 00:11:53,813 --> 00:11:58,017 ホンマに ご苦労はんでございました! (末七)ホンマに お世話になりました! 107 00:12:02,388 --> 00:12:08,194 今日は ええお日和だすなあ。 108 00:12:08,194 --> 00:12:11,397 <八歳で丁稚奉公に上がって以来➡ 109 00:12:11,397 --> 00:12:15,268 長い長い年月を過ごしてきた五鈴屋に➡ 110 00:12:15,268 --> 00:12:19,472 この日 治兵衛は 別れを告げたのでした> 111 00:12:23,776 --> 00:12:27,947 ⚟(お梅)お店に来て 何年もたたん子が ご寮さんやなんて。➡ 112 00:12:27,947 --> 00:12:32,418 わて 二十年も ここで 奉公してますのやで。➡ 113 00:12:32,418 --> 00:12:38,224 それなのに 幸のこと ご寮さんて呼ばな あかんやろか。 114 00:12:38,224 --> 00:12:41,427 ⚟(お竹)長いも短いも ないわ。➡ 115 00:12:41,427 --> 00:12:47,967 誰が来はったかて そのお人を ご寮さんて呼んで 仕えんならん。 116 00:12:47,967 --> 00:12:49,902 (お杉)まだ決まったわけやない。 117 00:12:49,902 --> 00:12:55,141 お家さんも言うてはったやないの。 呉服仲間の許しを得てからやて。➡ 118 00:12:55,141 --> 00:12:58,444 ええとこの嬢さんやったら 誰も文句言わんやろけど➡ 119 00:12:58,444 --> 00:13:03,249 天満の旦那衆が こんな縁組 承知なさるはずない。 120 00:13:03,249 --> 00:13:07,920 そやろか。 わてかて 嫌や。 幸が後添えやなんて。 121 00:13:07,920 --> 00:13:11,758 お杉どん! (足音) 122 00:13:11,758 --> 00:13:14,794 ええお天気で 洗濯もんも すぐ乾きそうだす。 123 00:13:14,794 --> 00:13:17,930 (お竹)もうじき ごはん炊けまっせ。 お湯 沸かしてんか? 124 00:13:17,930 --> 00:13:19,932 へえ。 125 00:13:21,801 --> 00:13:24,604 幸は まだ女衆や。 126 00:13:24,604 --> 00:13:27,907 ちゃっちゃとしなはれや。 へえ。 127 00:13:33,313 --> 00:13:40,319 <そして 五鈴屋に 天満組呉服仲間から 呼び出しがかかりました> 128 00:13:42,422 --> 00:13:49,195 (富久)のれん守るためには 呉服仲間の信用を 取り戻さんならんのや。 129 00:13:49,195 --> 00:13:57,437 もし 仲間を外されてしもたら 天満では もう商いできんようになる。 130 00:13:57,437 --> 00:13:59,972 えっ…。 131 00:13:59,972 --> 00:14:03,476 今日は 何を聞かれるのでしょう? 132 00:14:04,944 --> 00:14:07,246 分からん。 133 00:14:07,246 --> 00:14:11,084 にわか仕込みで取り繕うても 見抜かれてしまうやろ。 134 00:14:11,084 --> 00:14:14,954 臆せず 堂々としてたらええ。 135 00:14:14,954 --> 00:14:16,956 へえ。 136 00:14:26,399 --> 00:14:29,602 (戸が開く音) (富久)ごめんやす。 137 00:14:45,284 --> 00:14:49,489 五鈴屋でございます。 よろしゅうお頼申します。 138 00:15:00,767 --> 00:15:05,238 月行事を務める 桔梗屋でございます。 139 00:15:05,238 --> 00:15:10,943 今日は お集まりいただき ありがとさんでございます。 140 00:15:12,912 --> 00:15:16,115 さあ 中へ。 141 00:15:30,329 --> 00:15:33,132 (伏見屋為右衛門) 遅れて えらいすんまへん。 142 00:15:41,941 --> 00:15:44,443 伏見屋さん…? 143 00:15:47,747 --> 00:15:51,417 お尋ねいたします。 天満の寄り合いに➡ 144 00:15:51,417 --> 00:15:56,622 大坂仲間の伏見屋さんが同座してはるのは 何でだすやろ。 145 00:15:56,622 --> 00:16:05,064 実は 天満と大坂の呉服仲間を 一つにしたらどうやってお話が➡ 146 00:16:05,064 --> 00:16:08,901 お上から回ってきましてな。 147 00:16:08,901 --> 00:16:12,772 天満と大坂を一つに…。 148 00:16:12,772 --> 00:16:17,076 <大坂三郷の呉服仲間は 大川を挟んで➡ 149 00:16:17,076 --> 00:16:21,380 天満組と 大坂北組 南組に 分かれ➡ 150 00:16:21,380 --> 00:16:25,251 天満組は 格下に 見られていました> 151 00:16:25,251 --> 00:16:29,255 遠からず 一つになるかもしれんのやさかい➡ 152 00:16:29,255 --> 00:16:34,961 いてもろても 構しまへんやろ。 へえ。 153 00:16:34,961 --> 00:16:39,265 (孫六)その子だすな。 名ぁは 何と? 154 00:16:39,265 --> 00:16:41,934 幸と申します。 155 00:16:41,934 --> 00:16:48,107 わてら 五鈴屋さんに 三十五両 用立ててますのや。 156 00:16:48,107 --> 00:16:52,411 その返済を 確かなもんにするためにも➡ 157 00:16:52,411 --> 00:16:58,784 四代目さんには しっかりした後添えを 迎えてもらわな 困るんだす。 158 00:16:58,784 --> 00:17:00,753 へえ。 159 00:17:00,753 --> 00:17:07,226 あんさんが ご寮さんに ふさわしいお人かどうか➡ 160 00:17:07,226 --> 00:17:11,731 いくつか 尋ねさせてもらいますで。 161 00:17:11,731 --> 00:17:13,666 へえ。 162 00:17:13,666 --> 00:17:16,469 (孫六)もそっと こっち来なはれ。 163 00:17:41,794 --> 00:17:46,599 この織物の名ぁ 端から言うてみなはれ。 164 00:17:51,270 --> 00:17:53,272 存じまへん。 165 00:17:57,076 --> 00:18:02,715 一つも分からんのだすか? へえ。 166 00:18:02,715 --> 00:18:06,052 一つも分からへんて ホンマかいな。 ホンマやな。 167 00:18:06,052 --> 00:18:08,087 (笑い声) 168 00:18:08,087 --> 00:18:13,559 あ~ ほな 別のこと尋ねまひょ。 169 00:18:13,559 --> 00:18:19,365 小袖雛形に描かれている光琳模様には 何がある? 170 00:18:19,365 --> 00:18:23,736 こうりん…? 171 00:18:23,736 --> 00:18:25,671 存じまへん。 172 00:18:25,671 --> 00:18:30,242 女衆やさかい 何も知らへんのや。 雛形なんぞ 見たこともないのやろ。 173 00:18:30,242 --> 00:18:33,145 (孫六)何やったら 答えられますのや? 174 00:18:33,145 --> 00:18:37,750 あんさんでも分かること 聞いてあげまひょか? 175 00:18:37,750 --> 00:18:44,924 (笑い声) 176 00:18:44,924 --> 00:18:48,794 待っておくれやす。 何も教えてない わてが 悪おます。 177 00:18:48,794 --> 00:18:55,267 「絹布の類いは 金襴 繻子 緞子 紗綾 縮緬➡ 178 00:18:55,267 --> 00:18:59,605 綸子 羽二重 北絹 生絹 天鵞絨…」。 179 00:18:59,605 --> 00:19:02,341 「商売往来」や。 180 00:19:02,341 --> 00:19:06,212 「毛氈 兜羅綿 端物 麁物 仕立物 古手➡ 181 00:19:06,212 --> 00:19:09,048 真綿 摘綿 木綿 麻苧 紬➡ 182 00:19:09,048 --> 00:19:11,951 肩衣 袴 羽織 同じく 紐➡ 183 00:19:11,951 --> 00:19:16,355 袷 単衣物 帷子 夜着 蒲団 蚊帳 浴衣➡ 184 00:19:16,355 --> 00:19:19,725 風呂敷 手拭 帛紗 帯 頭巾 踏皮。➡ 185 00:19:19,725 --> 00:19:26,065 ならびに 染め色は 紺 花色 檜皮色 紫 鬱金 木賊 浅黄➡ 186 00:19:26,065 --> 00:19:29,368 茶染 萌黄 蘇芳 茜 紅粉。➡ 187 00:19:29,368 --> 00:19:34,573 処々染入 紋は 縫散 籬之菊 立浪➡ 188 00:19:34,573 --> 00:19:38,444 雪折笹 水車 御所車 沢瀉 地扇➡ 189 00:19:38,444 --> 00:19:42,081 菱 輪違 九曜 四目結 菊 桐 柏➡ 190 00:19:42,081 --> 00:19:47,386 藤巴 唐草 女童之好模様 恰好 可心得。➡ 191 00:19:47,386 --> 00:19:54,593 惣じて 見世棚綺麗に 挨拶 応答 饗応 柔和たるべし。➡ 192 00:19:54,593 --> 00:19:59,932 大いに高利を貪り 人の目を掠め 天の罪を蒙らば➡ 193 00:19:59,932 --> 00:20:02,835 重ねて問い来る人稀なるべし。➡ 194 00:20:02,835 --> 00:20:05,738 天道の働きを恐るる輩は➡ 195 00:20:05,738 --> 00:20:09,275 終に富貴繁盛 子孫栄華の瑞相なり➡ 196 00:20:09,275 --> 00:20:14,480 倍々利潤疑いなし。 仍って件の如し」。 197 00:20:16,415 --> 00:20:21,420 商いのことは 「商売往来」よりほかは 何も存じまへん。 198 00:20:30,996 --> 00:20:39,438 (為右衛門) 尋ねたいことがごわす。 顔上げとくなはれ。➡ 199 00:20:39,438 --> 00:20:45,444 あんさんに 「商売往来」教えたんは どなたはんだす? 200 00:20:48,981 --> 00:20:55,321 番頭の治兵衛はんだすやろ。 201 00:20:55,321 --> 00:21:00,159 治兵衛はんが? 五鈴屋さんの要石の…。 202 00:21:00,159 --> 00:21:08,767 なるほど。 この縁組 治兵衛はんが 五鈴屋さんを守るために打った➡ 203 00:21:08,767 --> 00:21:12,271 最後の一手いうわけだすな。 204 00:21:12,271 --> 00:21:43,235 ♬~ 205 00:21:43,235 --> 00:21:45,171 決まりだすな。 206 00:21:45,171 --> 00:21:51,811 五鈴屋さん まことに おめでとうさんでございます。 207 00:21:51,811 --> 00:21:56,315 おおきに ありがとさんでございます。 208 00:21:56,315 --> 00:21:59,318 (一同)おめでとうさんでございます。 209 00:21:59,318 --> 00:22:02,254 <開いて置かれた扇子は➡ 210 00:22:02,254 --> 00:22:05,758 幸を五鈴屋の後添えとして認めるという➡ 211 00:22:05,758 --> 00:22:09,061 旦那衆の意思を示していました> 212 00:22:13,265 --> 00:22:16,936 <祝言の日は 三月二十五日➡ 213 00:22:16,936 --> 00:22:19,839 天神様のご縁日です> 214 00:22:19,839 --> 00:22:26,946 よう似合うてるわ。 美しい花嫁さんや。 215 00:22:26,946 --> 00:22:29,415 晴れ着 こしらえていただいて➡ 216 00:22:29,415 --> 00:22:32,117 ありがとさんでございます。 217 00:22:32,117 --> 00:22:36,956 してやれることは これくらいしかないさかいな。 218 00:22:36,956 --> 00:22:40,259 幸 堪忍やで。 219 00:22:42,628 --> 00:22:44,964 徳兵衛は ああいう子やさかい➡ 220 00:22:44,964 --> 00:22:49,802 あんさんに つらい思いをさせるかもしれん。 221 00:22:49,802 --> 00:22:53,138 どうか 辛抱したってな。 222 00:22:53,138 --> 00:23:00,746 お家さん… 後添えにしていただこうと 決めたんは わてだす。 223 00:23:00,746 --> 00:23:03,249 己で選んだ道だす。 224 00:23:06,385 --> 00:23:09,922 そやったな。 225 00:23:09,922 --> 00:23:14,093 どない苦労があったかて のいたら あきまへんで。 226 00:23:14,093 --> 00:23:17,396 五鈴屋ののれん 守ってな。 227 00:23:17,396 --> 00:23:19,398 へえ。 228 00:23:22,601 --> 00:23:26,472 ⚟(お梅)お家さん 津門村の方たちが お越しだす。 229 00:23:26,472 --> 00:23:28,774 (富久)こちらに お通ししなはれ。 230 00:23:34,113 --> 00:23:37,983 (彦太夫)本日は おめでとうさんでございます。 231 00:23:37,983 --> 00:23:40,686 (富久)遠いとこ わざわざ…。 232 00:23:43,789 --> 00:23:50,663 なんと まあ 美しい花嫁ご寮や。 ハハハ。 233 00:23:50,663 --> 00:23:52,965 お房さん 見てみ。 234 00:23:55,134 --> 00:23:58,170 (お房)ああ…。 235 00:23:58,170 --> 00:24:02,875 こんなに きれいにしてもうて。 236 00:24:02,875 --> 00:24:06,178 結。 姉さん。 237 00:24:08,080 --> 00:24:10,015 ホンマに 姉さんやの? 238 00:24:10,015 --> 00:24:12,318 きれいやわあ。 239 00:24:18,090 --> 00:24:20,592 結…。 240 00:24:23,896 --> 00:24:27,599 よう来てくれて おおきに。 241 00:24:29,601 --> 00:24:33,305 ホンマに きれいや。 242 00:24:37,943 --> 00:24:40,846 おめでとうさんでございます。 243 00:24:40,846 --> 00:24:47,619 <五鈴屋 徳兵衛の 二度目の祝言は 万事 控えめに執り行われました> 244 00:24:47,619 --> 00:24:52,958 (彦太夫)けど あの幸が 五鈴屋さんのご寮さんになるとは➡ 245 00:24:52,958 --> 00:24:55,427 思いも寄りまへんなんだわ。➡ 246 00:24:55,427 --> 00:25:01,133 今後とも どうぞ よろしゅうお頼み申し上げます。 247 00:25:05,738 --> 00:25:10,376 <治兵衛も智蔵もいない 内輪だけの祝言の席は➡ 248 00:25:10,376 --> 00:25:13,579 ひどく さびしいものでした> 249 00:25:31,397 --> 00:25:35,100 (足音) 250 00:25:37,269 --> 00:25:41,473 旦那さん 幾久しゅう お頼申します。 251 00:25:49,281 --> 00:25:53,986 女衆の分際で 女房面すな! 252 00:25:55,621 --> 00:25:58,957 玉のこしにでも 乗ったつもりか知らんけど➡ 253 00:25:58,957 --> 00:26:03,962 小便くさい小娘なんぞ 誰が相手にするか! 254 00:26:13,072 --> 00:26:15,908 フフフ。 255 00:26:15,908 --> 00:26:21,380 材木屋の時化で 木(気)ぃがない…。 256 00:26:21,380 --> 00:26:23,582 アハハ! 257 00:26:28,153 --> 00:26:30,956 さあ 早う寝よ。 258 00:26:36,595 --> 00:26:39,932 はい おおきに。 ええ土産や。 259 00:26:39,932 --> 00:26:43,402 (お勢)かわいらしい妹さんやなあ。 へえ。 260 00:26:43,402 --> 00:26:46,271 五年ぶりに会うたら 見違えてしもて。 261 00:26:46,271 --> 00:26:50,943 (お勢) 今に もっと べっぴんさんになるで。 262 00:26:50,943 --> 00:26:54,146 姉さんに比べたら うちなんか…。 263 00:26:56,615 --> 00:27:00,886 ほな ぼちぼち 行こか。 はい。 264 00:27:00,886 --> 00:27:03,922 もう ここでええよ。 はよ 店にお帰り。 265 00:27:03,922 --> 00:27:06,358 ほんなら そこまで。 266 00:27:06,358 --> 00:27:10,062 娘のこと どうぞ よろしくお願いいたします。 267 00:27:18,937 --> 00:27:25,244 一人は絹物で もう一人は木綿や。 268 00:27:25,244 --> 00:27:28,580 姉妹やのに えらい違いやな。 269 00:27:28,580 --> 00:27:31,383 いつか もめ事にならへんかったら ええけどな。 270 00:27:31,383 --> 00:27:35,754 早太郎。 ん? はい。 (鳴き声) 271 00:27:35,754 --> 00:27:38,390 ただの取り越し苦労や。 なっ。 272 00:27:38,390 --> 00:27:42,928 鶴亀鶴亀。 鶴亀鶴亀。 273 00:27:42,928 --> 00:27:46,265 お家さんと 旦那さんに ようお仕えして➡ 274 00:27:46,265 --> 00:27:49,101 かわいがってもらうんやで。 275 00:27:49,101 --> 00:27:52,404 母さんも 結も 体に気ぃ付けてな。 276 00:27:52,404 --> 00:27:54,406 ほなな。 277 00:28:04,016 --> 00:28:06,885 姉さ! 278 00:28:06,885 --> 00:28:12,691 うちも 大坂で奉公がしたい! えっ? 279 00:28:12,691 --> 00:28:17,529 (お房)結 何してんのや。 早う おいで。 280 00:28:17,529 --> 00:28:24,236 お願いや。 いつか うちを大坂に呼び寄せて。 281 00:28:24,236 --> 00:28:28,240 きっと きっと そないしてな! 282 00:28:33,245 --> 00:28:35,747 結…。 283 00:28:35,747 --> 00:28:41,553 祝言の夜に くるわ遊びして 朝帰りて どないな了見や。 284 00:28:41,553 --> 00:28:45,457 (徳兵衛)へえ すいまへん。 285 00:28:45,457 --> 00:28:50,262 何のために後添えもろたと 思てるんだす。 286 00:28:52,598 --> 00:28:57,469 (徳兵衛)あっ そや。 お家さん 町内へ配る祝儀銀だすけど➡ 287 00:28:57,469 --> 00:29:01,873 今回は 出さんでよろしいな。 何 言うてますのや。 288 00:29:01,873 --> 00:29:06,211 ご祝儀配って ご近所にお披露目するのが 当たり前だすやろ。 289 00:29:06,211 --> 00:29:11,550 せやかて 治兵衛を別家さすのに まとまった金 渡しましたやろ。 290 00:29:11,550 --> 00:29:14,586 店には もう 無駄な金 あらしまへんのや。 291 00:29:14,586 --> 00:29:18,056 無駄て…。 お披露目せなんだら 世間に➡ 292 00:29:18,056 --> 00:29:22,561 五鈴屋のご寮さんと 認めてもらえまへんのやで。 293 00:29:22,561 --> 00:29:25,364 あんさん 幸を 女衆扱いのままにするつもりだすか! 294 00:29:25,364 --> 00:29:29,901 幸が女衆いうのは 皆さん ご存じだすがな。 295 00:29:29,901 --> 00:29:31,937 わざわざ祝儀なんぞ配った日には➡ 296 00:29:31,937 --> 00:29:36,241 奉公人 嫁にもろて ありがたがってるて 笑いもんにされますで。 297 00:29:36,241 --> 00:29:39,745 徳兵衛! おおっ 怖っ。 退散 退散。 298 00:29:39,745 --> 00:29:41,780 はあ…。 299 00:29:41,780 --> 00:29:44,082 (富久)嫁の幸でございます。 300 00:29:44,082 --> 00:29:48,587 末永う よろしゅうお頼申します。 つまらんもんだすけど。 301 00:29:48,587 --> 00:29:54,393 <祝言の後 花嫁は 嫁ぎ先の親戚筋に挨拶に回り➡ 302 00:29:54,393 --> 00:29:58,096 お饅頭を配るのが 習わしです> 303 00:29:58,096 --> 00:30:02,401 (ご新造)まあ 虎屋伊織の饅頭切手?➡ 304 00:30:02,401 --> 00:30:08,273 結構な品 ありがとさんでございます。 305 00:30:08,273 --> 00:30:14,146 けど なんぼ嫁の来手がないからいうて➡ 306 00:30:14,146 --> 00:30:17,883 女衆を後添えに据えるやなんて➡ 307 00:30:17,883 --> 00:30:22,587 正気の沙汰とは思えまへんな。 アハハハ…。 308 00:30:26,291 --> 00:30:29,194 女衆が身内では 外聞が悪いさかい➡ 309 00:30:29,194 --> 00:30:33,432 あんさんとことの つきあい 考えさせてもらいまっさ。 310 00:30:33,432 --> 00:30:35,634 あっ…。 311 00:30:38,804 --> 00:30:43,675 主は留守だす。 はよ帰ってもらえて言うてます。 312 00:30:43,675 --> 00:30:47,879 あっ… ほな すんません。 313 00:30:54,152 --> 00:30:57,823 (宝泉堂の主)あきまへんな。 何べんも言うてますやろ。 314 00:30:57,823 --> 00:31:01,093 あんたはんの書くもんには 派手さが足らん。 315 00:31:01,093 --> 00:31:06,098 これでは 売れへんで。 (智蔵)へえ。 316 00:31:09,601 --> 00:31:15,807 智蔵はん いっそ 好色本でも書いてみたらどないや? 317 00:31:25,083 --> 00:31:27,018 また あかんわ。 318 00:31:27,018 --> 00:31:29,988 <五鈴屋を出てから 二年が過ぎて➡ 319 00:31:29,988 --> 00:31:36,428 智蔵は まだ 自作の浮世草子を 世に出すことができずにいました> 320 00:31:36,428 --> 00:31:40,298 (富久) 一番大事な人が 後回しになってしもた。 急ぎまひょ。 321 00:31:40,298 --> 00:31:42,300 へえ。 322 00:31:51,443 --> 00:31:54,346 (富久)何軒も回って しんどないか? 323 00:31:54,346 --> 00:31:57,549 いいえ ちょっとも。 324 00:31:59,317 --> 00:32:06,925 ほなら 船場の伏見屋さんが いの一番に 扇子を開かはったんだすな。 325 00:32:06,925 --> 00:32:12,397 そや。 それで潮目が変わったんや。 326 00:32:12,397 --> 00:32:17,769 さすがは 伏見屋の旦那さんだすなあ。 327 00:32:17,769 --> 00:32:21,606 (お染) この度は おめでとうさんでございます。 328 00:32:21,606 --> 00:32:25,944 なんと まあ お美しいご寮さんだすこと。 329 00:32:25,944 --> 00:32:28,146 ありがとさんだす。 330 00:32:31,283 --> 00:32:33,785 あれは… お染さんが? 331 00:32:33,785 --> 00:32:39,124 へえ。 仕立物の賃仕事させてもろてます。 332 00:32:39,124 --> 00:32:41,960 (富久)ホンマに すまんことだす。 333 00:32:41,960 --> 00:32:47,299 長いこと尽くしてくれた治兵衛どんに 十分なこともできんで。 334 00:32:47,299 --> 00:32:50,302 何 言わはるんだす。 335 00:32:50,302 --> 00:32:53,972 過分なお心遣い 頂戴しまして。 336 00:32:53,972 --> 00:33:00,145 けど 伏見屋さんに望まれたほどの人を 別家とは名ばかりで…。 337 00:33:00,145 --> 00:33:04,015 お家さん その話は もう…。 338 00:33:04,015 --> 00:33:09,754 それより 風当たり強うございますやろ。 339 00:33:09,754 --> 00:33:13,592 挨拶回りで 嫌な思いされたんちゃいますか? 340 00:33:13,592 --> 00:33:16,094 そらもう さんざんや。 341 00:33:16,094 --> 00:33:19,965 人を見る目のない 情なしばっかりで。 342 00:33:19,965 --> 00:33:23,835 虎屋伊織の饅頭切手なんぞ 張り込まなんだら よかったわ。 343 00:33:23,835 --> 00:33:26,104 わても もったいないて思いました。 344 00:33:26,104 --> 00:33:29,608 あの連中には あもやの酒饅頭で 十分やったな。 345 00:33:29,608 --> 00:33:33,778 いいえ。 泥饅頭で ちょうどやないですか。 346 00:33:33,778 --> 00:33:36,281 あっ…。 347 00:33:36,281 --> 00:33:43,622 そやな。 泥饅頭 口に突っ込んでやったら すっとしたやろな。 348 00:33:43,622 --> 00:33:48,960 その意気なら 風が吹こうが 嵐が来ようが➡ 349 00:33:48,960 --> 00:33:55,133 受けて立てそうだすな。 へえ。ハハハ。 350 00:33:55,133 --> 00:33:58,169 饅頭切手て 便利なもんだすなあ。 351 00:33:58,169 --> 00:34:01,940 これ 持っていったら 好きな時に お饅頭と取り替えられるやなんて。 352 00:34:01,940 --> 00:34:07,712 (治兵衛) 商人が 知恵絞った工夫だすなあ。 353 00:34:07,712 --> 00:34:10,382 (戸が開く音) ⚟(賢輔)ただいま。 354 00:34:10,382 --> 00:34:15,921 (治兵衛) ああ うちのチビが戻ってきよった。 355 00:34:15,921 --> 00:34:20,725 賢輔 五鈴屋の お家さんとご寮さんや。 ご挨拶し。 356 00:34:27,399 --> 00:34:31,703 お家さん ご寮さん ようお越しやす。 357 00:34:33,605 --> 00:34:36,107 ええご挨拶だすなあ。 358 00:34:36,107 --> 00:34:39,010 前から お願いしてますとおり➡ 359 00:34:39,010 --> 00:34:43,782 来年には 賢輔を奉公に上げとう存じます。 360 00:34:43,782 --> 00:34:46,618 どうぞお頼申します。 361 00:34:46,618 --> 00:34:53,291 けど… ホンマに五鈴屋で ええんだすか? 362 00:34:53,291 --> 00:34:56,795 これも そう望んでますよって。 363 00:34:56,795 --> 00:35:01,633 なあ。 へえ。 よろしゅうお頼申します。 364 00:35:01,633 --> 00:35:12,077 ♬~ 365 00:35:12,077 --> 00:35:15,914 お杉どん ご苦労さんだす。 366 00:35:15,914 --> 00:35:20,752 旦那さん ゆうべは 新町ぐるわに お泊まりだしたんやてな。 367 00:35:20,752 --> 00:35:24,389 祝言の夜やいうのに。 368 00:35:24,389 --> 00:35:28,693 お手がつかんうちは あんたは まだご寮さんやないで。 369 00:35:30,595 --> 00:35:33,098 なあ。 370 00:35:33,098 --> 00:35:39,604 後添えの話 何で断らなんだんや。 えっ? 371 00:35:39,604 --> 00:35:42,107 あんたさえ おらなんだら➡ 372 00:35:42,107 --> 00:35:47,612 惣ぼんが 五鈴屋を立て直すことかて できたはずや。 373 00:35:47,612 --> 00:35:50,115 何の話だす? 374 00:35:50,115 --> 00:35:56,788 惣ぼんと 旦那さん 生まれる順番 逆やったらよかったのに。 375 00:35:56,788 --> 00:35:59,624 旦那さんに取って代わる いうことだすか? 376 00:35:59,624 --> 00:36:02,360 出来の悪い当主の首すげ替えるくらい➡ 377 00:36:02,360 --> 00:36:06,231 商家では ようある話や。 そんな…。 378 00:36:06,231 --> 00:36:11,903 惣ぼんが分家しはったら 五鈴屋は 潰れるかもしれん。 379 00:36:11,903 --> 00:36:13,938 あんたのせいやで。 待って。 380 00:36:13,938 --> 00:36:16,441 あんたに 何ができるん? 381 00:36:20,078 --> 00:36:26,284 反物一反 売ったことも 買うたことも ないくせに。 382 00:36:39,931 --> 00:36:41,966 (お竹)何をしてはるんだす! 383 00:36:41,966 --> 00:36:46,404 洗い物は わてらに任しとくなはれ。 けど ちょっとくらい…。 384 00:36:46,404 --> 00:36:49,941 主従のケジメは つけなあきまへん。 385 00:36:49,941 --> 00:36:54,145 いつまでも女衆の気でいられたら こっちが困るんだす。 386 00:36:56,114 --> 00:37:01,920 あんさんには やらんならんことが なんぼでもおますやろ。 387 00:37:01,920 --> 00:37:07,058 どこの商家でも 女衆は 人の数に入ってへん。 388 00:37:07,058 --> 00:37:13,565 鍋の底磨いて 一生終わるて 皆 諦めてますのや。 389 00:37:13,565 --> 00:37:20,338 けど 女衆の中にかて 能のあるもんは ぎょうさん いてるはずや。 390 00:37:20,338 --> 00:37:27,745 そのことを ご寮さんが 世間に示しておくれやす。 391 00:37:27,745 --> 00:37:32,250 奉公に来た頃は えらいけったいな子やと思たけど…。 392 00:37:36,921 --> 00:37:40,925 わては あんさんに 希みかけとうおます。 393 00:37:43,094 --> 00:37:49,801 ご寮さんとして 人として 誰にも負けん 大きな花 咲かしとおくんなはれ。 394 00:37:53,104 --> 00:37:55,106 へえ。 395 00:37:57,976 --> 00:38:00,712 よいしょ。 396 00:38:00,712 --> 00:38:04,015 何や 幸か。 どないしたんや ぼ~っと突っ立っ…。 397 00:38:06,351 --> 00:38:09,254 すんまへん ご寮さん 堪忍しておくれやす。 398 00:38:09,254 --> 00:38:13,725 番頭さん 教えてほしいことがございます。 399 00:38:13,725 --> 00:38:15,927 はい? 400 00:38:22,901 --> 00:38:25,403 どうぞ 入っとおくんなはれ。 401 00:38:34,245 --> 00:38:36,247 「商売往来」で習た絹布➡ 402 00:38:36,247 --> 00:38:38,249 ご覧になりたい いうことでんな。 403 00:38:38,249 --> 00:38:40,251 へえ。 404 00:38:46,958 --> 00:38:51,262 呉服を取り扱うには おろそかにできん決まりがおますよって➡ 405 00:38:51,262 --> 00:38:53,198 必ず守っておくれやす。 へえ。 406 00:38:53,198 --> 00:38:56,601 まず 手ぇは きれいに洗うこと。 407 00:38:56,601 --> 00:39:00,572 反物は 畳の上や 板の間に じかに置いたら あきまへんで。 408 00:39:00,572 --> 00:39:05,310 必ず 敷物を敷いて その上に置きますのや。へえ。 409 00:39:05,310 --> 00:39:08,880 反物を積む時には 四反を一列にして➡ 410 00:39:08,880 --> 00:39:12,550 縦横交互に積みます。 こないなふうに。 411 00:39:12,550 --> 00:39:18,056 両端の反物は 必ず開く方を外側に向けて 置きますのや。 412 00:39:18,056 --> 00:39:21,726 開く方を外側にして置くのは 何でだす? 413 00:39:21,726 --> 00:39:24,229 やってみせまひょ。 ほれ。 414 00:39:24,229 --> 00:39:26,231 あっ! 415 00:39:26,231 --> 00:39:30,735 こうして置けば うっかり落とした時でも そないに ほどけまへん。 416 00:39:30,735 --> 00:39:36,074 けど…。 反対にして置くと。 ほれ。 417 00:39:36,074 --> 00:39:38,743 こないして ほどけてしまいますのや。 418 00:39:38,743 --> 00:39:41,579 さあ ようご覧ください。 419 00:39:41,579 --> 00:39:45,917 これが 紗綾だす。 きれい…。 420 00:39:45,917 --> 00:39:48,753 卍の地紋は 吉祥文様いうて➡ 421 00:39:48,753 --> 00:39:51,389 繁栄長寿の願いが込められてるそうだす。 422 00:39:51,389 --> 00:39:53,691 触っても構しまへんで。 423 00:40:02,133 --> 00:40:04,269 やらかい…。 424 00:40:04,269 --> 00:40:08,273 薄うて 滑らかで 光沢のある布だす。 425 00:40:12,777 --> 00:40:15,113 ちょちょ ちょちょ…! 426 00:40:15,113 --> 00:40:17,782 下手に巻いたら傷みますがな。 427 00:40:17,782 --> 00:40:21,419 丁稚らかて なかなか反物には 触らせてもらえまへん。 428 00:40:21,419 --> 00:40:25,623 紙をついだ巻物で 何べんも何べんも 巻く稽古して➡ 429 00:40:25,623 --> 00:40:28,293 ようやく扱わせてもらえるんだす。 430 00:40:28,293 --> 00:40:33,131 それだけ大事な品やいうことだすな。 そうだすな。 431 00:40:33,131 --> 00:40:36,434 次は 縮緬だす。 432 00:40:38,002 --> 00:40:42,707 細かい凹凸がありますやろ。 これを シボ言うんだすわ。 433 00:40:45,443 --> 00:40:47,512 優しい肌触り…。 434 00:40:47,512 --> 00:40:51,316 シボのおかげで 肌触りがようて シワも寄りにくい。 435 00:40:51,316 --> 00:40:54,452 染めると 深みのある色合いになるんだす。 436 00:40:54,452 --> 00:40:56,521 はあ…。 437 00:40:56,521 --> 00:41:02,193 で これが 羽二重。 美しおますやろ。 438 00:41:02,193 --> 00:41:05,897 ああ… なんて きれい…。 439 00:41:09,267 --> 00:41:12,270 こないに美しい布 どないして織るのやろ。 440 00:41:12,270 --> 00:41:16,607 同じお蚕さんの吐く糸から まるで違う布が出来るやなんて➡ 441 00:41:16,607 --> 00:41:19,410 不思議だすなあ。 そうだすな。 442 00:41:21,279 --> 00:41:23,781 も一つ ご覧に入れまひょか。 443 00:41:29,954 --> 00:41:33,291 あっ! 444 00:41:33,291 --> 00:41:35,293 これをお願いします。 445 00:41:35,293 --> 00:41:38,963 あの時の…。 懐かしおますやろ。 446 00:41:38,963 --> 00:41:41,866 これが 天鵞絨だす。 447 00:41:41,866 --> 00:41:46,871 天鵞絨。 この布やったんか。 448 00:41:50,141 --> 00:41:52,176 (仕切りが開く音) そこで 何してんのや! 449 00:41:52,176 --> 00:41:57,448 あ…。 鉄助 女衆引き入れて 何のまねや! 450 00:41:57,448 --> 00:42:01,753 すんまへん。 けど 女衆やあらしまへん ご寮さんだす! 451 00:42:01,753 --> 00:42:04,789 わてが 番頭さんに お願いしたんだす! 452 00:42:04,789 --> 00:42:07,558 見世で扱う反物のことを 知らんようでは➡ 453 00:42:07,558 --> 00:42:09,927 後添えと認めてくださった 呉服仲間の皆様に➡ 454 00:42:09,927 --> 00:42:12,263 申し訳が立ちまへん。 何…。 455 00:42:12,263 --> 00:42:15,099 そやさかい 一つ一つ 学ばせてもろて➡ 456 00:42:15,099 --> 00:42:17,935 商いの知識を 身につけていきとうございます。 457 00:42:17,935 --> 00:42:20,838 何で あんたに商いの知識がいんのや。 458 00:42:20,838 --> 00:42:25,676 一日でも早う 五鈴屋の お役に立てるようになりたいからだす。 459 00:42:25,676 --> 00:42:28,413 女子のくせに 余計なことせんといてくれ。 460 00:42:28,413 --> 00:42:30,348 余計なことやあらしまへん。 461 00:42:30,348 --> 00:42:32,283 わての役目だす! 出しゃばるんやない! 462 00:42:32,283 --> 00:42:35,119 惣ぼんさん あきまへん! どけ! 463 00:42:35,119 --> 00:42:38,990 肝試しや。 明石縮の上物は あらしまへんのか。 464 00:42:38,990 --> 00:42:42,860 やれるだけのことやって 焦らず 諦めず。 465 00:42:42,860 --> 00:42:46,297 面白い。 今日の売り上げが! 466 00:42:46,297 --> 00:42:48,232 あんたが くすねたんとちゃうやろな。 徳兵衛。 467 00:42:48,232 --> 00:42:50,635 おいとまを頂戴しとうございます。 468 00:42:50,635 --> 00:42:53,304 どないしはりました? ウソ言うて すまん。 469 00:42:53,304 --> 00:42:55,306 智ぼんさん。 はい?