1 00:00:02,202 --> 00:00:05,105 (徳兵衛)惣次を婿にて どういうことだす? 2 00:00:05,105 --> 00:00:09,610 (桔梗屋孫六)伏見屋の旦那さんに 口利いてくれて 頼まれましてな。 3 00:00:09,610 --> 00:00:13,480 船場の伏見屋いうたら 奉公人の中から 出来のいいのを見繕って➡ 4 00:00:13,480 --> 00:00:15,482 婿に取ってはるて聞きますで。 5 00:00:15,482 --> 00:00:19,119 (孫六)上の四人の嬢さんらは そないしはりましたわ。 6 00:00:19,119 --> 00:00:25,626 ところが 三年前の誓文払い あれ 大当たりしましたやろ。➡ 7 00:00:25,626 --> 00:00:29,796 翌年 まねする店も出たほどだす。 (惣次)へえ。 8 00:00:29,796 --> 00:00:33,667 (孫六)五鈴屋の次男坊は 商いの才がある。➡ 9 00:00:33,667 --> 00:00:40,807 是非とも 末娘の婿に欲しいて えらいご執心だすのや。 10 00:00:40,807 --> 00:00:44,144 (孫六)ホンマに ええご縁や。 11 00:00:44,144 --> 00:00:47,981 進めさせてもろて よろしいな? 12 00:00:47,981 --> 00:00:53,153 (富久)そのお話 断っておくれやす。 (孫六)えっ? 13 00:00:53,153 --> 00:00:55,656 (富久)惣次は うちの稼ぎ頭だす。 14 00:00:55,656 --> 00:01:00,928 今 出ていかれたら 五鈴屋が立ち行きまへん。 15 00:01:00,928 --> 00:01:05,732 (徳兵衛)そやな。 惣次には まだまだ うちで働いてもらわんと。 16 00:01:09,937 --> 00:01:15,809 (孫六)せやけど 伏見屋さんは 両替商も兼ねてはる➡ 17 00:01:15,809 --> 00:01:18,412 大坂一の呉服屋だすで。➡ 18 00:01:18,412 --> 00:01:23,617 言うたら悪いけど こちらさんとは 商売の桁が違てます。➡ 19 00:01:23,617 --> 00:01:29,289 中ぼんさんが 商いの腕振るうには もってこいの大舞台や。 20 00:01:29,289 --> 00:01:31,959 けど…。 (孫六)あれほどの大店が➡ 21 00:01:31,959 --> 00:01:35,429 婿の実家を悪いようにしますかいな。 22 00:01:35,429 --> 00:01:41,134 縁組が調えば 五鈴屋さんは 大きな後ろ盾を得て➡ 23 00:01:41,134 --> 00:01:45,439 この先も 商売繁盛 間違いなしや! 24 00:01:45,439 --> 00:01:50,978 天満の呉服仲間にとっても 悪い話とちゃいますな。 25 00:01:50,978 --> 00:01:53,880 フフフ… え…? 26 00:01:53,880 --> 00:01:56,650 大坂組と一つになるためには➡ 27 00:01:56,650 --> 00:02:00,921 伏見屋の婿が ちょうどええ橋渡し役だすやろ。 28 00:02:00,921 --> 00:02:06,793 フフ ハハハ…。 お見通しだすな。➡ 29 00:02:06,793 --> 00:02:13,500 はあ…。 今日の明日のという話とは ちゃいますさかい➡ 30 00:02:13,500 --> 00:02:19,306 よう考えて ええ返事 聞かせておくれやす。 31 00:02:28,782 --> 00:02:33,086 えらい おやかまっさんでございました。 (幸)ご苦労さんでございます。 32 00:02:39,493 --> 00:02:43,797 会所で会うた頃とは 見違えるようや。 33 00:02:43,797 --> 00:02:46,633 ええご寮さんにならはったな。 34 00:02:46,633 --> 00:02:49,436 いいえ まだ何もできん半人前だす。 35 00:02:49,436 --> 00:02:53,306 そういえば あんさんを後添えに据えること➡ 36 00:02:53,306 --> 00:02:57,511 最初に認めはったのが 伏見屋さんだしたなあ。 37 00:02:59,179 --> 00:03:05,952 (伏見屋為右衛門)この縁組 治兵衛はんが 五鈴屋さんを守るために打った➡ 38 00:03:05,952 --> 00:03:10,257 最後の一手いうわけだすな。 39 00:03:10,257 --> 00:03:16,963 人見る目に狂いはなかった いうこっちゃ。 ほな。 40 00:03:19,966 --> 00:03:24,971 四代目には もったいない嫁や。 へえ。 41 00:03:46,960 --> 00:03:49,429 何で惣次なんや! 42 00:03:49,429 --> 00:03:52,632 わてやのうて 何で 惣次が伏見屋の婿なんや。 43 00:03:52,632 --> 00:03:56,503 何 言うのや。 あんたは 惣領息子で 五鈴屋の主やろ。 44 00:03:56,503 --> 00:04:01,441 惣領息子に女衆押しつけて 惣次には 大店のこいさんかいな。 45 00:04:01,441 --> 00:04:05,579 なんぼ何でも 差ぁつけ過ぎや。 惣次の身にもなってみなはれ。 46 00:04:05,579 --> 00:04:08,081 約束した分家も させてやれてへんのやで。 47 00:04:08,081 --> 00:04:11,118 しゃあないやろ。 うちは伏見屋とは桁違いの➡ 48 00:04:11,118 --> 00:04:15,589 こんまい商いやよってな。 49 00:04:15,589 --> 00:04:19,092 アホらし。 惣領なんぞに 生まれなんだらよかったわ。 50 00:04:19,092 --> 00:04:21,027 徳兵衛! (徳兵衛)お竹どん! 51 00:04:21,027 --> 00:04:23,263 (お竹)へえ。酒や。 へえ。 52 00:04:23,263 --> 00:04:25,198 (賢吉)あっ! 痛っ。➡ 53 00:04:25,198 --> 00:04:27,934 どアホ! どこ見て歩いてるんや! 54 00:04:27,934 --> 00:04:31,404 (賢吉)すんまへん! 堪忍しとくれやす。 55 00:04:31,404 --> 00:04:35,776 酒や。 離れに 酒持ってこい。 へえ。 56 00:04:35,776 --> 00:04:39,279 (お梅)賢吉っとん だんないか? けがないか? 57 00:04:39,279 --> 00:04:42,282 へえ。 何ともありまへん。 58 00:04:42,282 --> 00:04:45,085 <治兵衛の 一粒種の賢輔は➡ 59 00:04:45,085 --> 00:04:51,291 二年前に 五鈴屋の丁稚となって 賢吉と名付けられました> 60 00:04:53,426 --> 00:04:56,630 <手代二人が 五鈴屋を去ったあと➡ 61 00:04:56,630 --> 00:05:02,903 広吉が 丁稚から手代に昇進して 名を 広七と改め…。➡ 62 00:05:02,903 --> 00:05:10,577 五鈴屋は 番頭の鉄助を頭に 手代が三人 丁稚も三人。➡ 63 00:05:10,577 --> 00:05:13,613 その奉公人たちを束ねながら➡ 64 00:05:13,613 --> 00:05:19,252 誰よりも多く売り上げているのが 惣次でした> 65 00:05:19,252 --> 00:05:22,088 先月より 売り上げ落ちてるがな。 66 00:05:22,088 --> 00:05:25,392 もっと気張らんとあかんわ。 すんまへん。 67 00:05:25,392 --> 00:05:32,165 (お竹)弟の縁談に嫉妬して やけ酒て ホンマ どもならんわ。 68 00:05:32,165 --> 00:05:38,405 けど ええんやろか。 伏見屋さん 前は 番頭さんを引き抜こうとしはって➡ 69 00:05:38,405 --> 00:05:42,275 今度は 惣ぼんを婿にて…。 (お杉)えっ! 70 00:05:42,275 --> 00:05:46,146 びっくりした。 何や 大きな声出して。 71 00:05:46,146 --> 00:05:49,049 惣ぼんが婿にて ホンマだすか? 72 00:05:49,049 --> 00:05:54,554 いや まだ分からんけどな 桔梗屋さんが 仲人に立ってはるわ。 73 00:06:13,073 --> 00:06:15,742 おい。 74 00:06:15,742 --> 00:06:20,080 ちょっ! 何しはるんだす! やめて! 75 00:06:20,080 --> 00:06:23,917 嫌! 嫌や! うわっ! 76 00:06:23,917 --> 00:06:26,386 あっ! あっ あっ…! 77 00:06:26,386 --> 00:06:28,388 あかん! 78 00:06:32,259 --> 00:06:34,461 あっ! 79 00:06:43,803 --> 00:06:46,606 何すんのや! このアホ! ろくでなし! 80 00:06:46,606 --> 00:06:50,477 な… 何やて?五鈴屋が火元になったら どないする気や! 81 00:06:50,477 --> 00:06:52,479 やかましいわい! 82 00:06:52,479 --> 00:06:55,282 そろそろ情けかけたろなと 思うたけどな➡ 83 00:06:55,282 --> 00:06:58,184 お前なんぞ 誰が抱いてやるかい! 84 00:06:58,184 --> 00:07:01,488 望むところだす! おい! 85 00:07:07,928 --> 00:07:10,230 びちょびちょやないかい。 86 00:07:20,440 --> 00:07:22,442 嫌や…。 87 00:07:29,749 --> 00:07:32,052 惣ぼんさん…? 88 00:07:35,555 --> 00:07:40,260 四代目の目ぇは 節穴やな…。 えっ? 89 00:07:53,773 --> 00:07:57,410 <大坂の六月は 祭りの季節です。➡ 90 00:07:57,410 --> 00:08:00,413 二十を超える祭礼がひしめく中でも➡ 91 00:08:00,413 --> 00:08:04,551 とりわけ盛り上がるのが 天神祭。➡ 92 00:08:04,551 --> 00:08:07,220 二十五日の本宮に向けて➡ 93 00:08:07,220 --> 00:08:10,890 天満の町は 早くから祭りの準備に追われ➡ 94 00:08:10,890 --> 00:08:14,728 そわそわと 浮きたつようでした> 95 00:08:14,728 --> 00:08:18,598 お勢さん ホンマに暑いなあ。 96 00:08:18,598 --> 00:08:23,370 (お勢)天神さんの祭りの頃が 一年で一番 暑おますわ。 97 00:08:23,370 --> 00:08:27,907 いや もう かなわんわ。 98 00:08:27,907 --> 00:08:30,944 気ぃ付けてな。 は~い。 99 00:08:30,944 --> 00:08:34,080 ご寮さんが買い出しとは 珍しいな。 100 00:08:34,080 --> 00:08:38,585 祭りの支度で 台所も 手ぇ回らへんのだす。 101 00:08:38,585 --> 00:08:41,254 惣ぼんに縁談やてな。 102 00:08:41,254 --> 00:08:46,126 船場の大店に見込まれたいうて 評判になってますで。 103 00:08:46,126 --> 00:08:49,963 婚礼の日は 決まったんか? それが まだ…。 104 00:08:49,963 --> 00:08:54,601 惣ぼんさん はっきり返事しはらへんのだす。 105 00:08:54,601 --> 00:09:00,707 お家さんも 気ぃもんでますやろな。 へえ。 106 00:09:00,707 --> 00:09:05,044 この話 まとまりますやろか? 107 00:09:05,044 --> 00:09:10,550 どやろなあ こればっかりは 縁のもんやからな。➡ 108 00:09:10,550 --> 00:09:14,354 なあ。 そうだすなあ。 109 00:09:25,565 --> 00:09:29,068 ちょっ ちょっ! ご寮さん あの…! へえ 何だす? 110 00:09:29,068 --> 00:09:32,372 いや 何でもあらへん…。 111 00:09:32,372 --> 00:09:36,576 あとは あの シイタケやったな。 へえ。 112 00:09:36,576 --> 00:09:38,611 ちょっと待っててな。 113 00:09:38,611 --> 00:09:41,414 ちょっと待ってなあ。 114 00:09:43,450 --> 00:09:47,954 運の流れ また変わりそうやな。 115 00:09:55,395 --> 00:09:58,698 吉と出れば ええけども…。 116 00:10:03,603 --> 00:10:07,474 天神祭の船? それに わてが乗るんだすか? 117 00:10:07,474 --> 00:10:13,780 (富久) 伏見屋さん しあさっての船渡御見物に 船を仕立てはるそうや。 118 00:10:13,780 --> 00:10:18,952 あんたを招きたい言うてはる。 えらい豪勢だすなあ。 119 00:10:18,952 --> 00:10:24,290 <本宮の日 天神様は 船で御旅所に渡ります。➡ 120 00:10:24,290 --> 00:10:26,626 これを 船渡御といい➡ 121 00:10:26,626 --> 00:10:30,797 百隻余りの奉納船が 大川を行き来し➡ 122 00:10:30,797 --> 00:10:35,135 花火が夜空を彩る 祭りのクライマックスです> 123 00:10:35,135 --> 00:10:38,805 あんたと ゆっくり話したい言うてはるのや。 124 00:10:38,805 --> 00:10:43,143 船の上なら 邪魔も入らへんよって。 125 00:10:43,143 --> 00:10:45,812 お身内ばっかりの船だすやろ。 126 00:10:45,812 --> 00:10:49,449 乗ったら最後 向こうの家に 取り込まれそうだすわ。 127 00:10:49,449 --> 00:10:53,987 また はぐらかす…。 あんたらしゅうないで。 128 00:10:53,987 --> 00:10:58,324 (徳兵衛)船で祭り見物だすか? わても乗せてもらえまへんか? 129 00:10:58,324 --> 00:11:01,928 何 言うのや。 130 00:11:01,928 --> 00:11:03,863 あきまへんな。 131 00:11:03,863 --> 00:11:09,402 わてが横におったら 惣次の不細工なんが 余計に目立ってしまうさかい。 132 00:11:09,402 --> 00:11:12,305 何やて? (徳兵衛)まあまあ そう怒りなや。➡ 133 00:11:12,305 --> 00:11:15,608 あんさんの顔は 怒ると お獅子みたいになるさかい。 134 00:11:15,608 --> 00:11:18,945 徳兵衛。(徳兵衛)伏見屋のこいさんも お気の毒やで。 135 00:11:18,945 --> 00:11:24,751 こない つまらん男を亭主に持ったら 一生 何の楽しみもあらへんわ。 136 00:11:24,751 --> 00:11:26,819 ええかげんにせえ! (徳兵衛)おお 怖っ! 137 00:11:26,819 --> 00:11:31,524 お獅子に かみつかれる前に退散や。 わて ちょっと出てきますわ。 138 00:11:31,524 --> 00:11:34,494 どこ行くのや。 139 00:11:34,494 --> 00:11:38,798 わてを大事にしてくれる人のところだす。 140 00:11:38,798 --> 00:11:41,134 ああ 暑い 暑い。 141 00:11:41,134 --> 00:11:45,838 アホが。 大事にされてるのは あいつの財布や。 142 00:11:52,312 --> 00:11:56,316 賢吉っとん? あっ ご寮さん お帰りやす。 143 00:11:56,316 --> 00:12:02,021 何 見てましたんや? へえ。 旦那さんが…。 144 00:12:04,757 --> 00:12:07,060 また お出かけか…。 145 00:12:19,939 --> 00:12:22,642 はあ…。 146 00:12:25,278 --> 00:12:29,582 ⚟(お杉)着替え 置いときます。 おう。 147 00:12:37,991 --> 00:12:42,996 惣ぼんさん 伏見屋さんに行かはるんだすか? 148 00:12:48,134 --> 00:12:54,641 お願いだす。 わてを連れていっておくれやす。 149 00:12:54,641 --> 00:12:56,576 ⚟えっ? 150 00:12:56,576 --> 00:13:00,747 慣れん場所で お困りになることもありますやろ。 151 00:13:00,747 --> 00:13:03,082 伏見屋さんに奉公させてもろて➡ 152 00:13:03,082 --> 00:13:07,587 惣ぼんさんのお世話 させていただきとうおます。 153 00:13:12,592 --> 00:13:16,095 覚えてはりますやろか…。➡ 154 00:13:16,095 --> 00:13:22,268 大火事で 家も親兄弟も 何もかも焼けてしもて➡ 155 00:13:22,268 --> 00:13:25,471 こちらに奉公に上がったばっかりの頃…。 156 00:13:33,413 --> 00:13:36,115 (お杉)お母ちゃん…。 157 00:13:41,287 --> 00:13:45,158 おい。 158 00:13:45,158 --> 00:13:48,895 泣くな。 159 00:13:48,895 --> 00:13:51,397 泣くのは 負けるのと一緒やで。 160 00:13:53,299 --> 00:13:56,803 これ やるわ。 161 00:14:07,246 --> 00:14:09,749 かわいい…。 162 00:14:09,749 --> 00:14:12,585 (お杉) 惣ぼんさんのお役に立ちたいんだす。 163 00:14:12,585 --> 00:14:16,789 どうぞ お供させておくれやす。 164 00:14:19,092 --> 00:14:23,296 ⚟伏見屋の話は まだ決めてへん。 165 00:14:25,865 --> 00:14:28,267 えっ…。 166 00:14:28,267 --> 00:14:33,072 ⚟もう出るさかい あっち行っててくれるか。 167 00:14:49,655 --> 00:14:54,160 はあ… 夜になっても暑いなあ。 168 00:15:06,372 --> 00:15:08,741 あかん…。 169 00:15:08,741 --> 00:15:14,080 賢吉っとん。 夜遅うまで 反物巻く稽古だすか? 170 00:15:14,080 --> 00:15:16,582 すんまへん。 勝手に。 171 00:15:16,582 --> 00:15:20,386 構へんよ。 それ 貸してみ。 172 00:15:20,386 --> 00:15:23,589 えっ? 173 00:15:23,589 --> 00:15:25,591 へえ。 174 00:15:28,928 --> 00:15:31,597 こう 脇をしっかり締めますのや。 175 00:15:31,597 --> 00:15:35,902 そしたら おのずと 腕の開きと反物の幅が そろうさかい。 176 00:15:43,109 --> 00:15:45,144 お見事だす。 177 00:15:45,144 --> 00:15:48,414 前は これで よう稽古したもんや。 178 00:15:48,414 --> 00:15:52,618 さあ やってみなはれ。 へえ。 179 00:15:56,622 --> 00:16:02,061 そうそう うまいわ。 へえ。 180 00:16:02,061 --> 00:16:05,364 早う仕事 覚えようとすんのは ええことや。 181 00:16:05,364 --> 00:16:10,169 せいだい気張って お父さんのような 立派な番頭さんになってな。 182 00:16:12,572 --> 00:16:17,910 旦那さんも 同じように仰せだした。 旦那さんが? 183 00:16:17,910 --> 00:16:20,213 今日 出かけはる時に…。 184 00:16:22,381 --> 00:16:25,184 あんたは 治兵衛どんに似なはれや。 185 00:16:31,123 --> 00:16:34,927 (賢吉)何や さびしそうなご様子で…。 186 00:16:37,597 --> 00:16:40,500 すんまへん 余計なこと申しました。 187 00:16:40,500 --> 00:16:45,805 ええのや。 さあ もういっぺん。 へえ。 188 00:17:01,921 --> 00:17:05,224 ⚟(賢吉)旦那さん! 旦那さん! 189 00:17:07,226 --> 00:17:09,929 (賢吉)ご寮さん 旦那さんが…。 190 00:17:14,967 --> 00:17:17,870 徳兵衛! どないした! 191 00:17:17,870 --> 00:17:20,740 しっかりしよし! 192 00:17:20,740 --> 00:17:23,643 あかん…。 広七 道善先生 呼んでこい。 へえ。 193 00:17:23,643 --> 00:17:26,379 四代目を早う座敷へ! (一同)へえ! 194 00:17:26,379 --> 00:17:29,081 いくで。へえ。 (一同)よっ! 195 00:17:34,120 --> 00:17:37,023 何があったんや。 196 00:17:37,023 --> 00:17:40,893 新町の呼び屋 泉屋の者でおます。 197 00:17:40,893 --> 00:17:45,398 旦那さんは 昨夜 うちにお泊まりになり ぎょうさん お酒を飲まはって➡ 198 00:17:45,398 --> 00:17:49,268 朝 早うに帰っていかはりました。 それが 何で…。 199 00:17:49,268 --> 00:17:52,605 (男衆) まだ酔うてはったのやもしれまへん。➡ 200 00:17:52,605 --> 00:17:57,476 九軒町の堤で 足滑らせて 石垣の下に 落ちはったんだす。 201 00:17:57,476 --> 00:18:00,413 知らせてきた人の話やと➡ 202 00:18:00,413 --> 00:18:05,918 鳥にでもなったように 両手バタつかせて 落ちていかはったそうで…。 203 00:18:10,556 --> 00:18:14,226 お家さん。 あんさんら 医者は呼ばへんかったんか! 204 00:18:14,226 --> 00:18:21,033 へえ。 一刻も早う こちらにお連れしようと存じまして。 205 00:18:35,614 --> 00:18:41,454 (道善)頭を強う打ったようや。 206 00:18:41,454 --> 00:18:47,159 血が出てへんのが かえって悪いわ。 207 00:18:49,128 --> 00:18:58,337 こうなったら 医者にできることは もうあらへん。 208 00:19:01,040 --> 00:19:06,712 もって 三日やと➡ 209 00:19:06,712 --> 00:19:11,517 覚悟した方が よろしいな。 210 00:19:13,586 --> 00:19:15,588 そんな…。 211 00:19:17,890 --> 00:19:23,062 お家さんをいたわってあげなはれや。 へえ。 212 00:19:23,062 --> 00:19:26,365 さぞ おつらいやろう。 213 00:19:26,365 --> 00:19:36,108 何と言うても お年やさかいな よう気ぃ付けてあげなはれ。 214 00:19:36,108 --> 00:19:39,612 へえ。 ありがとさんでございます。 うん。 215 00:19:44,784 --> 00:19:46,786 はい! 216 00:19:46,786 --> 00:19:58,597 ♬~ 217 00:19:58,597 --> 00:20:05,304 アホやなあ。 鳥みたいに 飛べる思たんか? 218 00:20:07,306 --> 00:20:14,080 徳兵衛 なんぞもの言うてみ。➡ 219 00:20:14,080 --> 00:20:16,148 徳兵衛…。 220 00:20:16,148 --> 00:20:26,659 ♬~ 221 00:20:26,659 --> 00:20:31,797 <担ぎ込まれて 二日が過ぎても 徳兵衛は眠ったままで➡ 222 00:20:31,797 --> 00:20:36,135 五鈴屋は ひっそりと静まり返っていました> 223 00:20:36,135 --> 00:20:51,984 ♬~ 224 00:20:51,984 --> 00:20:55,454 お家さん 召し上がらんと お体に障ります。 225 00:20:55,454 --> 00:20:58,824 いらん…。 226 00:20:58,824 --> 00:21:03,129 徳兵衛 早う起きぃ。 227 00:21:10,269 --> 00:21:28,654 (花火が上がる音と歓声) 228 00:21:28,654 --> 00:21:32,124 (たたく音) 229 00:21:32,124 --> 00:21:34,160 どちらさんだす? 230 00:21:34,160 --> 00:21:36,162 ⚟(智蔵)わてや。 231 00:21:44,837 --> 00:21:49,842 お家さんから 使いもろて。 早う。 早う入っとくれやす。 232 00:21:59,985 --> 00:22:02,955 お家さん。 233 00:22:02,955 --> 00:22:07,593 智蔵! 徳兵衛が…。 234 00:22:07,593 --> 00:22:11,463 (富久のすすり泣き) 235 00:22:11,463 --> 00:22:15,334 突っ立ってんと 早う座り。 236 00:22:15,334 --> 00:22:19,104 へえ。 237 00:22:19,104 --> 00:22:22,608 <五鈴屋の三兄弟が 顔をそろえるのは➡ 238 00:22:22,608 --> 00:22:26,412 実に五年ぶりのことでした> 239 00:22:26,412 --> 00:22:28,414 兄さん。 240 00:22:41,293 --> 00:22:47,166 <翌朝早く 祖母と妻 二人の弟にみとられて➡ 241 00:22:47,166 --> 00:22:51,670 徳兵衛は 静かに息を引き取ったのです> 242 00:22:54,840 --> 00:22:57,643 くるわ帰りに 足滑らせたそうや。 243 00:22:57,643 --> 00:23:00,546 遊女屋で死なんと 家で亡うなったんが➡ 244 00:23:00,546 --> 00:23:03,782 せめてもの救いやな。 ホンマやな。 245 00:23:03,782 --> 00:23:15,794 ♬~ 246 00:23:15,794 --> 00:23:18,297 この度は ご愁傷なことと存じます。 247 00:23:18,297 --> 00:23:35,314 ♬~ 248 00:23:35,314 --> 00:23:40,819 ご寮さん これから どないなるんやろな。➡ 249 00:23:40,819 --> 00:23:44,323 惣ぼんさんが 五代目継いで お嫁さんもろたら➡ 250 00:23:44,323 --> 00:23:47,226 その人が 次のご寮さんだすやろ? 251 00:23:47,226 --> 00:23:50,195 そやなあ。 252 00:23:50,195 --> 00:23:54,867 けど 実家に帰ることもできへんやろし。 253 00:23:58,671 --> 00:24:02,541 (お梅)智ぼんさん 何か? 254 00:24:02,541 --> 00:24:05,411 ぼちぼち 行きますわ。 255 00:24:05,411 --> 00:24:10,249 勘当同然の身ぃで 長居するわけには いかんよって。 256 00:24:10,249 --> 00:24:14,153 (お梅)お帰りだすかあ。 257 00:24:14,153 --> 00:24:19,625 達者でな。 (お竹)へえ。 智ぼんさんも。 258 00:24:40,245 --> 00:24:43,182 <徳兵衛の死から ひと月半が過ぎ➡ 259 00:24:43,182 --> 00:24:50,456 四十九日の忌み明けが近づいても 富久の悲しみは癒えず…> 260 00:24:50,456 --> 00:24:53,826 わてが悪かったんや。 261 00:24:53,826 --> 00:24:59,298 甘やかして あんたを ダメにしてしもた…。 262 00:25:01,633 --> 00:25:04,770 (鉄助)お家さん。 263 00:25:04,770 --> 00:25:06,805 何や? 264 00:25:06,805 --> 00:25:11,944 (鉄助)桔梗屋の旦那さんから 跡目の件で お尋ねがございました。➡ 265 00:25:11,944 --> 00:25:16,281 忌みが明けたら お仲間に諮らななりまへんよって。 266 00:25:16,281 --> 00:25:20,552 そやな。 もう決めんとな…。 267 00:25:23,789 --> 00:25:29,661 もうじき 七七日だすな。 268 00:25:29,661 --> 00:25:32,931 早いもんだすなあ。 へえ。 269 00:25:45,077 --> 00:25:48,313 あ… あかん。 270 00:25:48,313 --> 00:25:50,282 ご寮さん…。 271 00:25:52,818 --> 00:25:57,322 夫婦らしいこと 一つもなかったわ。 272 00:25:57,322 --> 00:26:05,931 けど 商いのこと学べたんは 後添えにしてもろたおかげや。 273 00:26:05,931 --> 00:26:11,603 妻とは認めてくれへんかったけど 誰に何を教わろうと➡ 274 00:26:11,603 --> 00:26:15,774 いっぺんも 邪魔はしはらへんかった。 275 00:26:15,774 --> 00:26:18,043 そうだしたな。 276 00:26:24,950 --> 00:26:31,123 旦那さん おおきに ありがとさんでございました。 277 00:26:46,972 --> 00:26:51,143 (宝泉堂の主)結構だす。 これ うちから出させてもらいまひょ。 278 00:26:51,143 --> 00:26:56,014 よろしいか? へえ! 279 00:26:56,014 --> 00:27:00,252 そやけど よう好色本 書く気にならはったな。 280 00:27:00,252 --> 00:27:06,758 あんさんは 人情噺しか書かん 頑固なお人やと思てましたわ。 281 00:27:06,758 --> 00:27:09,928 なんぞ 金の要ることでも? 282 00:27:12,397 --> 00:27:16,768 実は こんまい店でも持とうかて 思てますのや。 283 00:27:16,768 --> 00:27:19,271 あんさんが 商いを? 284 00:27:19,271 --> 00:27:22,107 あかん 向いてへんわ。 285 00:27:22,107 --> 00:27:25,777 わてやありまへん。 商いするんは 別の者だす。 286 00:27:25,777 --> 00:27:30,949 あっ 分かった。 所帯 持つつもりでっしゃろ。 287 00:27:30,949 --> 00:27:33,986 商いは お内儀さんにやらせるのやな。 288 00:27:33,986 --> 00:27:36,121 ああ いや…。 289 00:27:36,121 --> 00:27:42,895 まだ決まったわけでは…。 ほんなら ようけ稼がなあきまへんなあ。 290 00:27:42,895 --> 00:27:46,131 よっしゃ これ 続き物にしまひょ。 291 00:27:46,131 --> 00:27:49,434 あと二冊は書けますやろ。 292 00:27:49,434 --> 00:27:55,107 へえ。 ほな すぐに取りかかります。 293 00:28:02,381 --> 00:28:05,150 これでええ…。 294 00:28:13,125 --> 00:28:16,395 <徳兵衛の四十九日を済ませた➡ 295 00:28:16,395 --> 00:28:19,164 その夜のこと…> 296 00:28:21,233 --> 00:28:23,702 お茶 お持ちしました。 297 00:28:34,413 --> 00:28:38,684 ええお月さんだすなあ。 うん。 298 00:28:41,620 --> 00:28:46,425 お家さん お頼み申したいことがございます。 299 00:28:46,425 --> 00:28:50,128 何や? 300 00:28:50,128 --> 00:28:56,902 わてを五鈴屋の奉公人として 改めて雇うておくれやす。 301 00:28:56,902 --> 00:28:59,304 お家さんのお世話しながら➡ 302 00:28:59,304 --> 00:29:02,207 商いのお手伝いをさせていただきとう 存じます。 303 00:29:02,207 --> 00:29:07,579 奉公人やなんて… 何 言うのや! 304 00:29:07,579 --> 00:29:09,915 幸は まだ若い。 305 00:29:09,915 --> 00:29:15,721 いずれ ええご縁を探して 嫁がせる心づもりでいるんやで。 306 00:29:15,721 --> 00:29:18,090 ありがとさんだす。 307 00:29:18,090 --> 00:29:23,895 けど わては 五鈴屋のお役に立ちとおます。 308 00:29:23,895 --> 00:29:27,099 旦那さんとのご縁があって 授けていただいた知識➡ 309 00:29:27,099 --> 00:29:31,603 無駄にしたら 罰当たります。 幸…。 310 00:29:31,603 --> 00:29:35,107 ここで働かせてもらえるよう お家さんから➡ 311 00:29:35,107 --> 00:29:39,945 惣ぼんさんに お願いしてもらえまへんやろか。 312 00:29:39,945 --> 00:29:45,751 惣次のこと まだ迷てますのや。 えっ? 313 00:29:45,751 --> 00:29:52,658 伏見屋さん 今も婿に欲しいて お望みなんや。 314 00:29:52,658 --> 00:29:57,796 惣次には 五代目を継いでほしい。 315 00:29:57,796 --> 00:30:05,437 けど あの子には 人並み優れた商いの才がある。 316 00:30:05,437 --> 00:30:12,311 伏見屋さんの婿になれば きっと 大きな商いができますやろ。 317 00:30:12,311 --> 00:30:17,449 あの子のこと思たら どっちがええのか…。 318 00:30:17,449 --> 00:30:19,985 五鈴屋は どないなるんだす? 319 00:30:19,985 --> 00:30:23,855 のれんは 何としても守ります。 320 00:30:23,855 --> 00:30:28,694 やりようは いろいろあるさかい➡ 321 00:30:28,694 --> 00:30:35,467 もし 惣次が 婿入りを望むのやったら…。 322 00:30:35,467 --> 00:30:38,937 お家さん 迷うことありまへんで。 323 00:30:42,240 --> 00:30:49,047 わては 五鈴屋の五代目を 継ぐ気ぃでおますさかい。 324 00:30:49,047 --> 00:30:55,187 あんた ホンマに それでええのか? へえ。 325 00:30:55,187 --> 00:31:01,793 ただ 一つだけ どないしても 聞き届けてほしい望みがおます。 326 00:31:01,793 --> 00:31:06,131 何や? 何でも言うてみ。 327 00:31:06,131 --> 00:31:11,436 幸を… わての嫁に迎えとうおます。 328 00:31:11,436 --> 00:31:14,339 えっ! 329 00:31:14,339 --> 00:31:19,644 あんた 何 言うのや。 幸を嫁にて…。 330 00:31:19,644 --> 00:31:21,613 (盆が落ちる音) 331 00:31:27,319 --> 00:31:30,222 そない驚くことやありまへん。 332 00:31:30,222 --> 00:31:35,193 先代の跡を 女房ぐるみ継ぐいうだけのことだす。 333 00:31:35,193 --> 00:31:37,963 世間で ようある話や。 334 00:31:37,963 --> 00:31:41,166 けど なにも幸を…。 335 00:31:41,166 --> 00:31:46,838 幸やと あかんのだすか? それは…。 336 00:31:46,838 --> 00:31:49,474 この願いを聞いていただけるのなら➡ 337 00:31:49,474 --> 00:31:53,945 伏見屋さんには わてが 断り言いに行きます。 338 00:32:14,633 --> 00:32:17,302 あ…。 339 00:32:17,302 --> 00:32:20,305 ご寮さんが洗濯だすか? 340 00:32:20,305 --> 00:32:22,974 四十九日も済んだことやし➡ 341 00:32:22,974 --> 00:32:27,145 いつまでも ご寮さんやあらしまへんよって。 342 00:32:27,145 --> 00:32:30,448 待って! 343 00:32:30,448 --> 00:32:33,985 何で あんたなんや…。 えっ…。 344 00:32:33,985 --> 00:32:37,022 惣ぼんが 五鈴屋を継がはったら➡ 345 00:32:37,022 --> 00:32:41,726 ええとこの嬢さんとの縁談 なんぼでもあるんやで。 346 00:32:41,726 --> 00:32:44,696 お家さんかて それ望んではるわ。 347 00:32:44,696 --> 00:32:50,435 それやのに 何で あんたを 嫁にもらわなあかんのや! 348 00:32:50,435 --> 00:32:53,839 惣ぼんに 何言うたんや! わては 何も…。 349 00:32:53,839 --> 00:32:56,741 あんたなんか 嫁にしたら 兄のお古をもろたて➡ 350 00:32:56,741 --> 00:33:01,012 惣ぼんが バカにされるのやで。 それで ええのんか! 351 00:33:02,647 --> 00:33:05,784 亡うなった旦那さんかて お気の毒や。 352 00:33:05,784 --> 00:33:09,621 後添えが あんたやなかったら あないに女遊びすること…。 353 00:33:09,621 --> 00:33:13,291 口が過ぎますで! 354 00:33:13,291 --> 00:33:17,963 あんさんに とやかく言われる筋合いはおまへん。 355 00:33:17,963 --> 00:33:22,634 己の身の振り方は 己で決めますさかい。 356 00:33:40,318 --> 00:33:44,789 そこまで つきおうてくれへんか。 えっ? 357 00:34:10,215 --> 00:34:16,988 惣ぼんさん わて…。 あんさん わての申し出 断るつもりやろ。 358 00:34:16,988 --> 00:34:19,791 へえ。 359 00:34:19,791 --> 00:34:22,127 何で あんなけったいなこと 言わはったんだす? 360 00:34:22,127 --> 00:34:24,062 テンゴにも ほどがあります。 361 00:34:24,062 --> 00:34:26,965 早う ええとこの嬢さんを ご寮さんに迎えて➡ 362 00:34:26,965 --> 00:34:30,635 お家さんを安心さしとくれやす。 ええとこの娘などいらん。 363 00:34:30,635 --> 00:34:34,439 えっ…。 364 00:34:34,439 --> 00:34:36,808 あんたや。 365 00:34:36,808 --> 00:34:39,277 幸やないと あかんのや! 366 00:34:43,315 --> 00:34:46,318 商いでは 誰にも負けとうない。 367 00:34:46,318 --> 00:34:53,825 五鈴屋を大坂一 いや 日本一の呉服商に育てるつもりだす。 368 00:34:53,825 --> 00:34:57,329 それには あんさんの力がいる。 369 00:34:57,329 --> 00:34:59,331 できることはさせていただきます。 370 00:34:59,331 --> 00:35:03,101 そやさかい 奉公人として置いてほしいて お家さんに お願いしたんだす。 371 00:35:03,101 --> 00:35:06,004 そやない! 372 00:35:06,004 --> 00:35:11,776 あんさんが嫁になってくれたら わては もっともっと 強うなれるのや。 373 00:35:11,776 --> 00:35:15,413 婿になんぞならんかて 伏見屋に負けんほどの➡ 374 00:35:15,413 --> 00:35:17,382 大きな商いしてみせる。 375 00:35:20,785 --> 00:35:26,424 幸。 わての…➡ 376 00:35:26,424 --> 00:35:31,963 五代目 徳兵衛の 女房になってくれ。 377 00:35:31,963 --> 00:35:34,633 惣ぼんさん…。 378 00:35:34,633 --> 00:35:37,302 商いのことしか知らん男や。 379 00:35:37,302 --> 00:35:41,806 女子として 幸せにしてやることは できへんかもしれん。 380 00:35:41,806 --> 00:35:45,644 そやけど 正真正銘のご寮さんとして➡ 381 00:35:45,644 --> 00:35:50,148 存分に商いの知恵 絞れるようにはしてやれる。 382 00:35:50,148 --> 00:35:55,320 それだけは 天神さんに誓うて約束する! 383 00:35:55,320 --> 00:36:18,543 ♬~ 384 00:36:18,543 --> 00:36:26,785  回想 (治兵衛)生きるか死ぬか 商い戦国時代だすのや。 385 00:36:26,785 --> 00:36:31,256 商いの戦 やってみなはれ。 386 00:36:33,658 --> 00:36:40,331 惣ぼんさんは そろばんで 戦しはるんや。 387 00:36:40,331 --> 00:37:06,925 ♬~ 388 00:37:06,925 --> 00:37:09,194 女房になってくれるんか? 389 00:37:12,597 --> 00:37:17,936 お心に沿えるよう 精いっぱい勤めさせていただきます。 390 00:37:17,936 --> 00:37:39,424 ♬~ 391 00:37:57,142 --> 00:37:59,978 (彦太夫)お房さん えらいことやで! 392 00:37:59,978 --> 00:38:01,913 (お房)どうしたんです? 393 00:38:01,913 --> 00:38:05,784 幸がな 惣ぼんの嫁になるそうや! 394 00:38:05,784 --> 00:38:10,255 (お房)惣ぼんて…。 五鈴屋の次男坊や。 395 00:38:10,255 --> 00:38:16,060 もうじき 五代目継いで 幸をご寮さんに迎えるそうやで。 396 00:38:16,060 --> 00:38:18,963 (結)えっ! (お房)まさか…。➡ 397 00:38:18,963 --> 00:38:21,866 旦那さんが亡くなって まだ間もないのに。 398 00:38:21,866 --> 00:38:26,271 (彦太夫)後家になった兄嫁を 弟が めとるのは ようあることや。 399 00:38:26,271 --> 00:38:29,107 (お房)そないな身に過ぎた話➡ 400 00:38:29,107 --> 00:38:33,978 お家さんや お店の皆さんが お許しくださるやろか。 401 00:38:33,978 --> 00:38:39,617 不服な人も おったらしいがな 何としても 幸を嫁に欲しいて➡ 402 00:38:39,617 --> 00:38:44,122 惣ぼんが 周りを説き伏せたらしいわ。 403 00:38:44,122 --> 00:38:51,863 そこまで望まれるとは 幸は 大した女子や。 アッハハ…! 404 00:38:51,863 --> 00:38:55,133 (倒れる音) 母さん…。 405 00:38:55,133 --> 00:39:01,372 ありがたい ホンマに ありがたい…。 406 00:39:01,372 --> 00:39:08,746 よかったな。 お房さんも 一安心や。 ハッハッハ…! 407 00:39:08,746 --> 00:39:15,086 何で 姉さんばっかり ええことがあるの。 408 00:39:15,086 --> 00:39:29,934 ♬~ 409 00:39:29,934 --> 00:39:36,107 こんなん もう嫌や…。 410 00:39:36,107 --> 00:39:40,578 これ 稿料だす。 おおきに。 411 00:39:52,657 --> 00:39:59,130 「好色夢見草」 評判よろしいで。 どないだすやろ➡ 412 00:39:59,130 --> 00:40:03,801 あと二冊書いて 五巻続きにしまへんか。 413 00:40:03,801 --> 00:40:05,770 へえ! 414 00:40:31,663 --> 00:40:37,168 分家が かのうたら 幸を嫁さんにもろて…➡ 415 00:40:37,168 --> 00:40:39,837 商いは 幸に任せて➡ 416 00:40:39,837 --> 00:40:46,010 わては 好きな話書いて 生きていけんのやないかて。 417 00:40:55,019 --> 00:40:59,857 四代目が亡うなって 半年もたたんいうのに ようやるわ。 418 00:40:59,857 --> 00:41:05,963 元が古手屋やさかい 嫁も古手がええのやろ。(笑い声) 419 00:41:05,963 --> 00:41:07,932 何や…。 420 00:41:14,138 --> 00:41:18,910 え~ ご町内の皆様に 五代目のお披露目をさせていただきます。 421 00:41:27,151 --> 00:41:32,824 今日は 一段ときれいやなあ。 ホンマ べっぴんさんやで。 422 00:41:32,824 --> 00:41:35,727 五鈴屋の五代目でございます。 423 00:41:35,727 --> 00:41:39,163 今後とも精進してまいりますよって➡ 424 00:41:39,163 --> 00:41:44,669 夫婦ともども 何とぞ よろしゅうお頼申します。 425 00:41:44,669 --> 00:41:47,472 お頼申します。 426 00:41:47,472 --> 00:41:52,243 おめでとうさん。 似合いの夫婦やで。 427 00:42:01,619 --> 00:42:03,554 よ~っ! 428 00:42:03,554 --> 00:42:08,292 (歓声) どうぞ 祝うておくれやす。 429 00:42:08,292 --> 00:42:24,308 ♬~ 430 00:42:24,308 --> 00:42:26,644 智蔵…? 431 00:42:26,644 --> 00:42:34,986 ♬~ 432 00:42:34,986 --> 00:42:37,822 五年で 五鈴屋の新店を江戸に出す。 433 00:42:37,822 --> 00:42:39,757 チラシより ええもんがあります。 434 00:42:39,757 --> 00:42:41,692 こないなこと思いついたんは➡ 435 00:42:41,692 --> 00:42:43,694 幸やないやろか。 436 00:42:43,694 --> 00:42:47,331 二人だけの秘密にしといてな。 えっ? 437 00:42:47,331 --> 00:42:50,334 智蔵のこと ええように使うだけ使て…。 438 00:42:50,334 --> 00:42:52,470 お家さんおったら ややこしいさかい。 439 00:42:52,470 --> 00:42:55,239 惣次の味方なんやな。 えっ? 何だす?