1 00:00:02,202 --> 00:00:17,618 ♬~ 2 00:00:17,618 --> 00:00:22,289 (惣次)仁左衛門さん 亮介さん➡ 3 00:00:22,289 --> 00:00:26,793 この度は 山崎屋の騒動で えらいご迷惑をおかけして➡ 4 00:00:26,793 --> 00:00:29,296 堪忍しとくれやす。 5 00:00:29,296 --> 00:00:39,940 ♬~ 6 00:00:39,940 --> 00:00:44,645 明日 波村に たつつもりで 支度してたとこだす。 7 00:00:44,645 --> 00:00:48,448 追加の金も 用意させてもろてます。 8 00:00:48,448 --> 00:00:54,988 五鈴屋さん おまん ようこんな 心ない仕打ちができたもんやのう。 9 00:00:54,988 --> 00:00:58,325 悪気があってしたことやないんだす。 10 00:00:58,325 --> 00:01:03,163 両替商が潰れるやなんて 思いも寄らんこっておました。 11 00:01:03,163 --> 00:01:08,001 思いも寄らんやと? ほな おまんはよ➡ 12 00:01:08,001 --> 00:01:15,609 山崎屋の手形 持ってやんのか? ん? 持ってへんやろ!➡ 13 00:01:15,609 --> 00:01:22,482 潰れると分かっててよ 山崎屋の手形 村に回したんちゃうんか! 14 00:01:22,482 --> 00:01:24,785 決して そないなことは…。 15 00:01:24,785 --> 00:01:28,422 (仁左衛門)ウソは もう結構や。 16 00:01:28,422 --> 00:01:33,293 お前はん 手形が紙くずになったらよ➡ 17 00:01:33,293 --> 00:01:39,800 また 貸したらええ思てたんやろ。 え? 18 00:01:39,800 --> 00:01:47,808 前貸しが増えたら増えるほど 村は言いなりになるさけ 好都合やて。 19 00:01:50,143 --> 00:01:56,650 まっとうな商人やったら こないなまねは しやんもんや。 20 00:02:00,153 --> 00:02:09,396 お前はん 店主の器やあらへんな。 何やて。 21 00:02:09,396 --> 00:02:14,935 (仁左衛門) 汚い手ぇ使う人と組むのは 御免や。 22 00:02:14,935 --> 00:02:23,110 五鈴屋に羽二重 納める話 なかったことにしてもらいます。 23 00:02:23,110 --> 00:02:26,980 約定 交わしてるもんを 勝手に反故にはできまへんで。 24 00:02:26,980 --> 00:02:28,982 こっちは前銀 払てますのや。 25 00:02:28,982 --> 00:02:34,421 金は どないなことしたかて 返したる。 おまんの言うままには ならんど! 26 00:02:34,421 --> 00:02:37,124 (一同)ほうや ほうや! 27 00:02:37,124 --> 00:02:40,794 (仁左衛門) 話は これでしまいや。 さあ いぬで。 28 00:02:40,794 --> 00:02:43,296 (一同)へえ! 29 00:02:43,296 --> 00:02:45,298 (鉄助)考え直しておくれやす! 30 00:02:45,298 --> 00:02:49,436 波村の羽二重を売り出すことは 五鈴屋一同の願いだす。➡ 31 00:02:49,436 --> 00:02:52,139 どうか もういっぺん どうか…! 32 00:02:52,139 --> 00:02:57,811 織らん言う者に 無理に織らすことはできひんがな。 33 00:02:57,811 --> 00:02:59,746 (幸)待っとくれやす! 34 00:02:59,746 --> 00:03:05,619 ここで終わりにしてしもたら あまりにも もったいのうおます。 35 00:03:05,619 --> 00:03:07,921 もったいない? 36 00:03:07,921 --> 00:03:11,758 波村には 上質な羽二重を織る技が➡ 37 00:03:11,758 --> 00:03:15,629 五鈴屋には それを売り広める力がおます。 38 00:03:15,629 --> 00:03:19,633 互いに手ぇ結んだら 村は 織った分だけ実入りが増えて➡ 39 00:03:19,633 --> 00:03:22,269 暮らしが楽になりますやろ。 40 00:03:22,269 --> 00:03:26,139 村が富むほどに 店も富みます。 41 00:03:26,139 --> 00:03:28,775 双方が末永う栄えますよう➡ 42 00:03:28,775 --> 00:03:32,946 どうぞ 波村の羽二重 売らせておくれやす。 43 00:03:32,946 --> 00:03:42,622 ♬~ 44 00:03:42,622 --> 00:03:48,962 (仁左衛門)お前はんの言わあることは よう分かります。 45 00:03:48,962 --> 00:03:53,300 筋道の通った 実のある話や。 46 00:03:53,300 --> 00:03:56,303 ほしたら 考え直していただける いうことだすか? 47 00:03:56,303 --> 00:04:00,507 ご寮さんは 店主の器やの。 48 00:04:06,379 --> 00:04:14,688 もし ここの主が お前はんやったら わしらも 手ぇ組んだやろに。 49 00:04:17,124 --> 00:04:25,732 (仁左衛門)ホンマに惜しいこっちゃの。 ほな いなせてもらいますわ。 50 00:04:25,732 --> 00:04:28,602 (鉄助)待っとくれやす! もうええ! 51 00:04:28,602 --> 00:04:31,938 (鉄助)旦那さん けど…。 52 00:04:31,938 --> 00:04:34,141 もうええ。 53 00:04:42,415 --> 00:04:46,119 <その翌朝のこと…> 54 00:04:46,119 --> 00:04:48,788 (富久)何やて! 惣次が おらん? 55 00:04:48,788 --> 00:04:52,425 暗いうちに 出ていかはったようだす。 気ぃ付かんと 申し訳ありまへん。 56 00:04:52,425 --> 00:04:55,328 (富久)近所にでも出かけたんやないか? 天神さんにでも…。 57 00:04:55,328 --> 00:04:59,199 旅の支度と 包銀三貫が のうなってるんだす。 58 00:04:59,199 --> 00:05:02,569 (富久)えっ…。 その辺 捜すよう 手代たちに言うてきます! 59 00:05:02,569 --> 00:05:05,906 あかん! いつもどおり 店 開けなはれ。 60 00:05:05,906 --> 00:05:07,941 けど…。 (富久)騒いだら あきまへん。 61 00:05:07,941 --> 00:05:12,245 店主が出ていったて 世間に知れたら のれんに傷がつきます。 62 00:05:12,245 --> 00:05:16,249 はよ 店 開ける支度しなはれ。 へ… へえ! 63 00:05:18,051 --> 00:05:20,954 はあ…。 お家さん! 64 00:05:20,954 --> 00:05:26,660 どないしよう…。 惣次 どこ行ったんや。 65 00:05:45,779 --> 00:05:49,115 はあ はあ はあ…。 66 00:05:49,115 --> 00:05:52,986 波村に行ったんやろか。 はあ…。 67 00:05:52,986 --> 00:05:56,289 (お勢)おはようさん! 68 00:05:56,289 --> 00:06:00,560 朝 はよから ご寮さんまで どこ行かはるのん?えっ…。 69 00:06:00,560 --> 00:06:04,064 旦那さん また旅に出はったんやろ。 70 00:06:04,064 --> 00:06:10,570 暗いうちに天神橋 渡って 南の方に行かはるの 見かけたで。 71 00:06:10,570 --> 00:06:13,607 旦那さん どこ行く言うてはりました? 72 00:06:13,607 --> 00:06:17,611 さあ。 声かけてへんからな。 73 00:06:19,279 --> 00:06:21,481 なんぞ あったんか? 74 00:06:23,583 --> 00:06:28,455 いつもどおりの旅姿で 何も変わったとこ あらへんかったで。 75 00:06:28,455 --> 00:06:30,457 (鳴き声) 76 00:06:32,259 --> 00:06:48,608 ♬~ 77 00:06:48,608 --> 00:06:52,312 (お杉)旦那さん 出ていかはったんやな。 78 00:06:54,281 --> 00:06:58,118 あんたのせいやで。 79 00:06:58,118 --> 00:07:05,859 出過ぎたこと言うて 皆の前で 恥かかせたからや。 80 00:07:05,859 --> 00:07:10,764 大きな顔して あんた 何様のつもりや。 81 00:07:10,764 --> 00:07:15,568 五鈴屋を守ってきたんは あんたやないで。 旦那さんや! 82 00:07:17,370 --> 00:07:20,273 それは よう分かってます。 分かってへん! 83 00:07:20,273 --> 00:07:28,014 惣ぼんが どれだけ悔しい思いしてきたか あんたなんかに 分かるはずない。 84 00:07:28,014 --> 00:07:31,952 お杉どん…。 惣ぼんに 何かあったら➡ 85 00:07:31,952 --> 00:07:34,788 わては あんたを 一生許さへん! 86 00:07:34,788 --> 00:07:53,606 ♬~ 87 00:07:53,606 --> 00:07:57,277 (智蔵)おいでやす。 88 00:07:57,277 --> 00:07:59,279 兄さん…? 89 00:08:02,048 --> 00:08:05,552 先生 どないだすか? 90 00:08:05,552 --> 00:08:10,423 近頃 何や 息が切れますねん。 91 00:08:10,423 --> 00:08:18,732 (道善)ふ~む… 脈が少し 弱なってるようやなあ。 92 00:08:18,732 --> 00:08:26,473 まあ 年取ったら 誰かて どこか悪うなるもんや。 93 00:08:26,473 --> 00:08:31,444 案ずるほどのことは ないけども➡ 94 00:08:31,444 --> 00:08:36,750 無理したら あきまへんで。 ハッハッハッ…。 95 00:08:36,750 --> 00:08:39,452 へえ おおきに。 96 00:08:46,393 --> 00:08:52,766 お家さん 心の臓が弱ってはる。 97 00:08:52,766 --> 00:08:58,405 だんだん 悪うなってますなあ。 えっ…。 98 00:08:58,405 --> 00:09:09,716 すぐに どうこうは ないやろけど 何せ お年やさかい。 99 00:09:09,716 --> 00:09:15,355 むくみが出たら 気ぃ付けな あきまへん。 100 00:09:15,355 --> 00:09:21,227 お家さんに 気苦労かけんようにしなはれや。 101 00:09:21,227 --> 00:09:24,531 へえ。 ありがとさんだす。 102 00:09:31,805 --> 00:09:35,008 旅支度して どこ行かはるんだす? 103 00:09:37,377 --> 00:09:41,681 あんた 店出て 何年になるんや? 104 00:09:44,150 --> 00:09:46,152 九年だす。 105 00:09:48,388 --> 00:09:53,092 いつまで こないなもんに しがみついてんのや。 106 00:09:53,092 --> 00:09:59,399 あんたの本が 売りもんにならんこと よう分かったやろ。 107 00:09:59,399 --> 00:10:05,105 九年も好きにさせてやったんや。 もう 店戻れ。 108 00:10:06,773 --> 00:10:09,109 えっ? 109 00:10:09,109 --> 00:10:13,913 五鈴屋に戻って 商いせえ 言うてんのや。 110 00:10:18,785 --> 00:10:22,121 いや 急に何だす? 111 00:10:22,121 --> 00:10:26,626 わてに 商いの才がないのは ご存じだすやろ。 112 00:10:32,131 --> 00:10:34,934 店で なんぞ おましたんか? 113 00:10:42,141 --> 00:10:46,646 五鈴屋は 兄さんとご寮さんがいたら 安泰や。 114 00:10:46,646 --> 00:10:50,517 わての出る幕なんぞ…。 お前も五鈴屋の男やろ! 115 00:10:50,517 --> 00:10:54,020 己で のれん守ったるいう気ぃないんか! 116 00:10:55,989 --> 00:10:58,658 むちゃ言わんといておくれやす。 117 00:10:58,658 --> 00:11:04,764 わてがやりたいのは 商いやおまへん。 本を書くことや! 118 00:11:04,764 --> 00:11:07,267 このアホが! 119 00:11:09,636 --> 00:11:15,475 兄弟三人おったかて 上は道楽者で 弟はアカンタレや。 120 00:11:15,475 --> 00:11:21,281 わてが どないな思いで 店守ってきたか お前には分からんやろ! 121 00:11:24,117 --> 00:11:31,925 わてが… わてが おらなんだら 五鈴屋は とうに…。 122 00:11:40,967 --> 00:11:44,771 これ持って 五鈴屋に戻るんや。 123 00:11:47,740 --> 00:11:51,444 言うとおりにせえ。 ええな! 124 00:11:51,444 --> 00:12:12,098 ♬~ 125 00:12:12,098 --> 00:12:14,033 兄さん。 126 00:12:14,033 --> 00:12:27,413 ♬~ 127 00:12:27,413 --> 00:12:30,717 (富久)惣次が あんたんとこ行ったんか!? 128 00:12:33,219 --> 00:12:36,723 これを お家さんに渡すよう 言われたんだす。 129 00:12:46,432 --> 00:12:51,270 隠居…? 惣次が隠居するて! 130 00:12:51,270 --> 00:12:53,273 えっ! 131 00:12:56,809 --> 00:12:58,845 そんな…。 132 00:12:58,845 --> 00:13:04,617 同じもの 天満の呉服仲間にも届けた 言うてはりました。 133 00:13:04,617 --> 00:13:07,253 兄さん わてに店継げ言わはるんだす。 134 00:13:07,253 --> 00:13:09,255 一体 何がおましたんや? 135 00:13:09,255 --> 00:13:14,127 まさか 隠居やなんて…。 お家さん! 136 00:13:14,127 --> 00:13:18,631 あの子 もう戻ってけえへんつもりや…。 137 00:13:21,100 --> 00:13:24,604 ともかく しばらく待ってみまひょ。 138 00:13:24,604 --> 00:13:27,940 兄さんから なんぞ知らせがあるかもしれへん。 139 00:13:27,940 --> 00:13:30,843 隠居の届けまで出さはったんだす。 140 00:13:30,843 --> 00:13:34,647 旦那さんのご気性やったら もう ここには…。 141 00:13:38,584 --> 00:13:44,290 ひょっとしたら 江戸に行かはるつもりかもしれまへん。 142 00:13:44,290 --> 00:13:48,795 江戸へ? 江戸に店出す 言うてはったんだす。 143 00:13:48,795 --> 00:13:51,431 一人で江戸に出たかて どないもならへんやろ。 144 00:13:51,431 --> 00:13:53,800 銀三貫 持って出てはります。 145 00:13:53,800 --> 00:13:58,104 それだけあったら なんぞ商い始める元手になりますやろ。 146 00:14:01,541 --> 00:14:07,447 智ぼんさん 今は店守ること 一番に考えとくれやす。 147 00:14:07,447 --> 00:14:10,950 このままやったら 五鈴屋は…。 148 00:14:13,586 --> 00:14:22,795 すまんな。 どない考えたかて 店主の役は わてには荷が重いんや。 149 00:14:32,271 --> 00:14:36,976 旦那さん 江戸に行かはるんや。 150 00:14:38,611 --> 00:14:43,416 だいこ~ だいこ だいこ~。 151 00:14:45,284 --> 00:14:53,092 惣次は「店主の器やない」言われたことが よっぽど こたえたんやな。 152 00:14:54,961 --> 00:14:58,431 (治兵衛) そればっかりや おまへんやろなあ。 153 00:14:58,431 --> 00:15:01,234 ほな 何だす? 154 00:15:01,234 --> 00:15:05,238 江州者は 頑固だすさかい➡ 155 00:15:05,238 --> 00:15:10,943 惣ぼんが 店主のままでは 羽二重は 織りまへんやろな。 156 00:15:12,845 --> 00:15:16,582 隠居して 智ぼんに店譲ることで➡ 157 00:15:16,582 --> 00:15:22,088 五鈴屋が 波村との取り引きする道 残さはったのかもしれまへん。 158 00:15:22,088 --> 00:15:27,894 けど 智蔵に 店主が務まるやろか? 159 00:15:27,894 --> 00:15:35,401 長いこと商いから離れてた上に 店に戻る気もないのや。➡ 160 00:15:35,401 --> 00:15:41,774 店主にふさわしいのは 幸だす。➡ 161 00:15:41,774 --> 00:15:47,413 わてなあ 幸を養女にしよか思ってますねん。➡ 162 00:15:47,413 --> 00:15:53,119 幸を五鈴屋の養女に据えて よそから婿取って➡ 163 00:15:53,119 --> 00:15:57,990 店継がせるつもりだす。➡ 164 00:15:57,990 --> 00:16:04,063 けど 寂しいもんだすで。➡ 165 00:16:04,063 --> 00:16:11,370 五代続いた五鈴屋の血が 途絶えてしまうやなんて。 166 00:16:13,573 --> 00:16:16,075 智ぼんさん! 167 00:16:16,075 --> 00:16:18,744 幸 どないしたんや? 168 00:16:18,744 --> 00:16:22,548 今すぐ 五鈴屋に戻っておくれやす! 169 00:16:24,617 --> 00:16:28,921 お家さんが あまりにもお気の毒だす。 170 00:16:28,921 --> 00:16:31,390 口では どない言わはったかて➡ 171 00:16:31,390 --> 00:16:38,097 ホンマは 智ぼんさんが六代目を 継がはること願っておいでだすのや。 172 00:16:38,097 --> 00:16:42,401 どうか もう お家さんを 悲しませんといておくれやす。 173 00:16:46,806 --> 00:16:51,410 幸は どないなるんや? えっ? 174 00:16:51,410 --> 00:16:56,916 わてが店継いでしもたら 幸は もう 五鈴屋のご寮さんやなくなるのやで。 175 00:16:59,952 --> 00:17:05,558 お家さんにお頼みして また 奉公人として雇てもらいます。 176 00:17:05,558 --> 00:17:07,894 えっ…。 177 00:17:07,894 --> 00:17:14,367 会所宛てに 旦那さんから離縁状が届きました。 178 00:17:14,367 --> 00:17:17,570 帰る実家はありまへんよって➡ 179 00:17:17,570 --> 00:17:20,473 お家さんにお仕えして お許しがあれば➡ 180 00:17:20,473 --> 00:17:24,076 商いの手伝い させていただきたいんだす。 181 00:17:24,076 --> 00:17:27,880 奉公人に戻るいうのんか? へえ。 182 00:17:29,949 --> 00:17:36,956 智ぼんさん 六代目継いで わてに商いの知恵 絞らせておくれやす。 183 00:17:45,264 --> 00:17:52,939 幸は ホンマに商いが好きなんやな。 へえ 面白おます。 184 00:17:52,939 --> 00:17:54,941 わては違うのや。 185 00:18:01,747 --> 00:18:07,219 九年前に 本書いて生きていくて決めた時➡ 186 00:18:07,219 --> 00:18:11,724 店のことは 何もかも捨ててしもたんや。 187 00:18:11,724 --> 00:18:13,726 今更…。 188 00:18:17,229 --> 00:18:22,902 勝手や…。 えっ? 189 00:18:22,902 --> 00:18:25,805 店 放り出した旦那さんも➡ 190 00:18:25,805 --> 00:18:30,643 こないな時に 力になってくれへん 智ぼんさんも 勝手だす。 191 00:18:30,643 --> 00:18:34,246 お家さんが… 奉公人の皆が➡ 192 00:18:34,246 --> 00:18:36,248 苦労して 汗流して ようよう守ってきた店が➡ 193 00:18:36,248 --> 00:18:40,052 どないなっても 智ぼんさんは 知らん顔だすか? 194 00:18:40,052 --> 00:18:44,256 助けてくれへんのだすか? 195 00:18:44,256 --> 00:18:49,762 何で 「店戻る」言うてくれへんのだす。 196 00:19:01,540 --> 00:19:05,411 兄さんに言われたわ。 197 00:19:05,411 --> 00:19:09,115 「いつまで こないなもんに しがみついてんのや」て。 198 00:19:15,221 --> 00:19:25,064 けど こないなもんが➡ 199 00:19:25,064 --> 00:19:27,366 わてには大事なんや。 200 00:19:31,237 --> 00:20:13,813 ♬~ 201 00:20:13,813 --> 00:20:17,283 (お梅)荷物が のうなってます! (お竹)何やて。 202 00:20:17,283 --> 00:20:21,153 どないしたんだす? あっ ご寮さん。 お杉どんが! 203 00:20:21,153 --> 00:20:24,623 荷物持って いんでしもたんだす。 えっ! 204 00:20:24,623 --> 00:20:28,127 半刻前まで そこで鍋洗てたのに…。 205 00:20:28,127 --> 00:20:30,629 (お竹)お杉どん どこ行ったんや。 206 00:20:30,629 --> 00:20:38,304 あの子 火事で 家も親兄弟も亡くして 身よりもないはずやのに。 207 00:20:38,304 --> 00:20:41,207 店移る話でもあったんやろか。 えっ。 208 00:20:41,207 --> 00:20:46,178 そういうたら 昨日 佐七っとんに 江戸まで何里かて聞いてたけど。 209 00:20:46,178 --> 00:20:49,648 江戸? 江戸て…。 210 00:20:49,648 --> 00:20:52,685 まさか あの話 聞いてて…。 211 00:20:52,685 --> 00:20:56,155 外 見てきますわ。 裏 見てくるわ。 212 00:20:56,155 --> 00:20:59,458 <お杉は 五鈴屋から姿を消し➡ 213 00:20:59,458 --> 00:21:03,763 それっきり 消息は絶えてしまったのです> 214 00:21:12,138 --> 00:21:14,940 賢吉っとん。 お家さん いてはるか? 215 00:21:14,940 --> 00:21:18,611 (賢吉)へえ。 あっ…。 216 00:21:18,611 --> 00:21:22,114 智ぼんさん お帰りやす! 217 00:21:23,783 --> 00:21:28,654 今日は お家さんにお願いがあって 参じました。 218 00:21:28,654 --> 00:21:30,656 何だす? 219 00:21:36,362 --> 00:21:38,797 五代目徳兵衛 隠居につき➡ 220 00:21:38,797 --> 00:21:46,972 弟のわてが 六代目を 襲名させていただきとう存じます。 221 00:21:46,972 --> 00:21:49,809 (富久)本心から言うてますのか? 222 00:21:49,809 --> 00:21:55,114 性根 入れ替えて 商いに励むつもりがおますのか。 223 00:21:57,149 --> 00:22:03,389 これからは 商い第一に精進いたします。 224 00:22:03,389 --> 00:22:07,092 智ぼんさん よう言うてくれはりました! 225 00:22:07,092 --> 00:22:12,898 お家さん よろしおましたなあ。 これで のれん 下ろさんで済みます。 226 00:22:12,898 --> 00:22:18,704 店をしょっていく覚悟が ホンマに おますのか? 227 00:22:18,704 --> 00:22:26,111 わてや鉄助が 助けてくれるやろと 甘い考えでいるのやったら➡ 228 00:22:26,111 --> 00:22:29,315 五鈴屋を任せることはできまへん。 229 00:22:32,418 --> 00:22:36,622 よう考えてのことだす。 230 00:22:36,622 --> 00:22:41,427 覚悟はできております。 231 00:22:41,427 --> 00:22:48,133 ついては 一つだけ お家さんに お許しいただきたいことが。 232 00:22:48,133 --> 00:22:50,436 二人だけで話を…。 233 00:22:54,440 --> 00:23:23,769 ♬~ 234 00:23:23,769 --> 00:23:28,941 着物並べて 何してますのや? 部屋空ける支度だす。 235 00:23:28,941 --> 00:23:31,944 離れは 智ぼんさんが お使いになりますやろ。 236 00:23:35,114 --> 00:23:40,619 智ぼんさん この度は ありがとさんだす。 237 00:23:44,123 --> 00:23:49,828 幸 ちょっと来てくれへんか。 へえ。 238 00:24:04,443 --> 00:24:09,281 九年前に 店出た時 ここまで送ってもろたな。 239 00:24:09,281 --> 00:24:11,750 へえ。 240 00:24:11,750 --> 00:24:17,556 あの時 幸を嫁にもろて 商い任せて➡ 241 00:24:17,556 --> 00:24:21,393 わては 好きな話 書いていきたい 言うたけど➡ 242 00:24:21,393 --> 00:24:23,929 それは かなわんことやった。 243 00:24:23,929 --> 00:24:41,780 ♬~ 244 00:24:41,780 --> 00:24:44,817 幸。 えっ。 245 00:24:44,817 --> 00:24:51,423 わての… いや 六代目徳兵衛の 嫁になってほしいんや。 246 00:24:51,423 --> 00:24:54,793 ええっ!えっ? えっ…。えっ? 247 00:24:54,793 --> 00:24:57,830 えっ な… 何言うてはるんだす! テンゴ言うたらあきまへん。 248 00:24:57,830 --> 00:25:01,367 テンゴやない。 お家さんのお許しかて頂いてます。 249 00:25:01,367 --> 00:25:04,236 あかん… あきまへん! 何で あかんのや? 250 00:25:04,236 --> 00:25:08,907 わ… わては 四代目の後添えに入って 五代目の旦那さんに添うた女子だす。 251 00:25:08,907 --> 00:25:11,810 よう分かってます。 そんなん構しまへん。 あきまへん! 252 00:25:11,810 --> 00:25:16,582 智ぼんさんが 人に笑われますやろ。 後ろ指 さされます。 253 00:25:16,582 --> 00:25:19,585 人が何言おうが どうでもええ。 254 00:25:27,760 --> 00:25:32,398 わてに 商いの才はあらしまへん。 255 00:25:32,398 --> 00:25:39,605 店主の器やないことは 己が 一番よう分かってる。 256 00:25:39,605 --> 00:25:43,942 けど 気付いたんや。 257 00:25:43,942 --> 00:25:48,113 人形になら なれるやろて。 人形? 258 00:25:48,113 --> 00:25:52,618 そや 人形浄瑠璃の人形や。 259 00:25:52,618 --> 00:25:57,790 幸いう人形遣いが 魂 吹き込んで 振りもつけてくれたら➡ 260 00:25:57,790 --> 00:26:00,759 わてのようなもんかて 店主の役 やり通せますやろ。 261 00:26:00,759 --> 00:26:04,363 奉公人としてお仕えして 振り付けでも何でもいたします。 262 00:26:04,363 --> 00:26:08,734 それで よろしおますやろ? あかん! 263 00:26:08,734 --> 00:26:10,669 幸が ご寮さんとして 腕振るうてこそ➡ 264 00:26:10,669 --> 00:26:15,974 五鈴屋は 日本一の呉服屋を目指せるんや。 265 00:26:24,082 --> 00:26:30,889 智ぼんさんは 大事なもん捨てて 人形になるやなんて。 266 00:26:33,759 --> 00:26:39,565 わてが一番大事に思てんのは あんたやさかい。 267 00:26:45,270 --> 00:26:50,275 住吉さんの初辰猫 商売繁盛のお守りだす。 268 00:26:55,914 --> 00:27:01,220 六代目のご寮さんになって 五鈴屋を繁盛させておくんなはれ。 269 00:27:01,220 --> 00:27:11,230 ♬~ 270 00:27:12,931 --> 00:27:15,133 へえ。 271 00:27:20,072 --> 00:27:24,376 ほうろく~。 272 00:27:24,376 --> 00:27:28,580 今日は 皆に 言うておくことがおます。 273 00:27:30,582 --> 00:27:33,619 呉服仲間のお許しを頂いて➡ 274 00:27:33,619 --> 00:27:40,926 五鈴屋の六代目を 智蔵が継ぐことに決まりましたんや。 275 00:27:42,928 --> 00:27:44,963 おめでとうさんでございます! 276 00:27:44,963 --> 00:27:47,766 (一同)おめでとうさんでございます! 277 00:27:50,402 --> 00:27:53,272 それと もう一つ。 278 00:27:53,272 --> 00:28:00,045 ここにいる幸を 六代目の嫁に迎え 商いを手伝うてもらいますさかい➡ 279 00:28:00,045 --> 00:28:02,948 皆で もり立てておくんなはれ。 280 00:28:02,948 --> 00:28:05,217 (一同)えっ! 281 00:28:05,217 --> 00:28:08,120 (佐七)まさか 三度目…。お前…! すんまへん。 282 00:28:08,120 --> 00:28:12,357 いや えっ でも… おっ えっ あっ おっ。 283 00:28:12,357 --> 00:28:15,260 わてが 無理言うて頼んだんだす。 284 00:28:15,260 --> 00:28:21,733 九年も店離れてた 頼りない店主やさかい➡ 285 00:28:21,733 --> 00:28:28,040 幸に ご寮さんでいてもらうのが 店のために 一番ええ思てのことや。 286 00:28:30,075 --> 00:28:32,110 鉄助どん。 へえ。 287 00:28:32,110 --> 00:28:34,580 佐七っとん。 (佐七)へえ。 288 00:28:34,580 --> 00:28:36,615 末七っとん。 (末七)へえ。 289 00:28:36,615 --> 00:28:39,251 広七っとん。 (広七)へえ。 290 00:28:39,251 --> 00:28:41,920 安吉っとん。 (安吉)へえ。 291 00:28:41,920 --> 00:28:43,855 辰吉っとん。 (辰吉)へえ。 292 00:28:43,855 --> 00:28:47,392 賢吉っとん。 へえ。 293 00:28:47,392 --> 00:28:51,096 お竹どんに お梅どん。 へえ。 294 00:28:53,198 --> 00:28:57,402 今が 五鈴屋の正念場や。 295 00:28:57,402 --> 00:29:01,907 皆に助けてもらわな 乗り切れるもんやない。 296 00:29:05,143 --> 00:29:08,347 どうぞ 力貸しとくれやす。 297 00:29:13,919 --> 00:29:16,555 智ぼんさんと添わせていただき➡ 298 00:29:16,555 --> 00:29:20,726 五鈴屋のお役に立つよう 働かせていただきとうおます。 299 00:29:20,726 --> 00:29:24,529 どうか お頼申します。 300 00:29:26,531 --> 00:29:30,435 旦那さん ご寮さん➡ 301 00:29:30,435 --> 00:29:35,574 ほんに… ほんに おめでとうさんでございます! 302 00:29:35,574 --> 00:29:38,076 (一同)おめでとうさんでございます! 303 00:29:43,749 --> 00:29:49,388 さすが 智ぼんや。 人 見る目あるわ。 304 00:29:49,388 --> 00:29:54,092 五鈴屋のご寮さんは ほかにいてまへん。 305 00:29:54,092 --> 00:30:00,265 皆 おおきに。 よろしゅう頼みます。 306 00:30:00,265 --> 00:30:03,769 (一同)へえ! ほな 早速だすけど➡ 307 00:30:03,769 --> 00:30:06,104 お披露目の日取り どないしまひょ? 308 00:30:06,104 --> 00:30:10,108 その前に 訪ねんならんとこがあります。 309 00:30:11,910 --> 00:30:17,716 幸 一緒に行きまひょか。 へえ お供させていただきます。 310 00:30:21,119 --> 00:30:23,055 (仁左衛門)なんちゅうこっちゃ。 311 00:30:23,055 --> 00:30:27,059 あの次の日に 店出ていきやったんかいな。 312 00:30:32,631 --> 00:30:36,935 兄は 過ちに気付いて 自ら身を引いたんだす。 313 00:30:39,137 --> 00:30:44,443 手形のこと ホンマに申し訳ございまへんだした。 314 00:30:50,849 --> 00:30:55,320 今日は 改めてお願いに参じました。 315 00:30:55,320 --> 00:31:01,927 波村の羽二重 どうか 五鈴屋で売らせとくれやす。 316 00:31:01,927 --> 00:31:06,598 手形で損が出た分は うちで肩代わりさせてもらいます。 317 00:31:06,598 --> 00:31:10,602 その上で ひとまず 銀二貫。 318 00:31:15,273 --> 00:31:18,610 前銀として 持って参じました。 319 00:31:18,610 --> 00:31:21,113 波村で織った羽二重を 残らず買い取り➡ 320 00:31:21,113 --> 00:31:26,284 「五鈴屋の浜羽二重」と名付けて 売らせていただきとうおます。 321 00:31:26,284 --> 00:31:31,289 どうか もういっぺん 五鈴屋と 手ぇ組んでおくれやす。 322 00:31:42,134 --> 00:31:45,837 五鈴屋さん。 (幸 智蔵)へえ。 323 00:31:48,006 --> 00:31:54,713 先代さんには 裏切られた恨みがある。 324 00:31:54,713 --> 00:31:59,718 ほやけど そればっかりでも あらへんのや。 325 00:32:02,921 --> 00:32:08,727 こない貧しい村によ 何べんも 足運んで➡ 326 00:32:08,727 --> 00:32:12,397 羽二重 織るよう勧めてくれたんは➡ 327 00:32:12,397 --> 00:32:14,766 あの人や。➡ 328 00:32:14,766 --> 00:32:21,273 信用してたさけ 欺かれたことが 余計 悔しゅうてな。 329 00:32:21,273 --> 00:32:25,777 すんまへん。 商い広げることを せくあまり➡ 330 00:32:25,777 --> 00:32:29,481 周りが見えんように なってしもたんや思います。 331 00:32:32,651 --> 00:32:38,156 どやろな。 この話 受けてみようかいの。 332 00:32:41,259 --> 00:32:44,463 中庄さん 何とぞ。 333 00:32:51,903 --> 00:32:54,105 よう分かりました。 334 00:32:57,843 --> 00:33:04,916 ほんなら 約束してた初荷用の五百反 納めさせていただきます。 335 00:33:04,916 --> 00:33:08,386 五百反… ホンマだすか! 336 00:33:08,386 --> 00:33:13,592 村中総出で 足りん時には 近在の者の手ぇ借りてでも➡ 337 00:33:13,592 --> 00:33:17,462 きっと お納めいたします。 338 00:33:17,462 --> 00:33:22,601 ありがとさんでございます! よろしゅうお頼申します。 339 00:33:22,601 --> 00:33:29,474 ほや。 せっかくお見えになったんやし 織るとこ 見てもろたら どないや? 340 00:33:29,474 --> 00:33:35,981 ああ。 ご覧にならはりますか? へえ 是非 見せとくれやす! 341 00:33:40,986 --> 00:33:45,423 羽二重は 経糸を細い二本の糸にして 織るさけ➡ 342 00:33:45,423 --> 00:33:48,927 柔らこうて 艶のある布になるんです。 343 00:33:51,296 --> 00:33:55,433 今までは 反物しか見てまへなんだ。 344 00:33:55,433 --> 00:34:00,906 お蚕さんの糸から 反物になるまでには えらい 手がかかってるんだすなあ。 345 00:34:00,906 --> 00:34:04,576 へえ。 346 00:34:04,576 --> 00:34:08,380 ほう 手柄やなあ。 347 00:34:08,380 --> 00:34:10,582 手柄? (仁左衛門)ああ。 348 00:34:12,751 --> 00:34:18,089 ほれ。 機に 織り残しの経糸が ぶら下がってますやろ。➡ 349 00:34:18,089 --> 00:34:24,763 これが短いほど 糸を無駄のう使て 織ったいう証しになりますのや。 350 00:34:24,763 --> 00:34:29,634 ああ それで「お手柄や」と。 へえ。 351 00:34:29,634 --> 00:34:34,272 絹糸は お蚕さんの命を頂いて 紡いだもんやさけ➡ 352 00:34:34,272 --> 00:34:37,943 一つも無駄には できひんのです。 353 00:34:37,943 --> 00:34:41,413 これかて 捨てるわけやあらへん。 354 00:34:41,413 --> 00:34:44,282 わしらの着物 織るのに使てます。 355 00:34:44,282 --> 00:34:47,953 そない短い糸でだすか? 356 00:34:47,953 --> 00:34:53,124 こないしてよ 一本ずつ結んで➡ 357 00:34:53,124 --> 00:34:55,627 長い糸にしますのや。 358 00:34:58,930 --> 00:35:09,608 ♬~ 359 00:35:09,608 --> 00:35:14,913 ご寮さん お家さんがお呼びだす。 へえ 今 参ります。 360 00:35:17,749 --> 00:35:22,053 ⚟お家さん 御用だすか? (富久)お入り。 361 00:35:31,096 --> 00:35:33,031 これは…。 362 00:35:33,031 --> 00:35:36,267 (富久)あんたの花嫁衣装➡ 363 00:35:36,267 --> 00:35:41,773 波村から最初に届いた羽二重で 作りましたんや。 364 00:35:41,773 --> 00:35:47,646 ご寮さんが波村に行ってはる間に 縫わはったんだす。 365 00:35:47,646 --> 00:35:50,782 お加減が ようないのに そない無理しはって…。 366 00:35:50,782 --> 00:35:54,486 お竹どんに だいぶ助けてもろた。 367 00:35:56,121 --> 00:35:59,424 これ 縫うてる時なあ➡ 368 00:35:59,424 --> 00:36:04,929 あんたが初めて店に来た時のこと 思い出してましたんや。 369 00:36:06,564 --> 00:36:12,737 (富久)幸だけが 数字に惑わされんと 上等の選んで…。 370 00:36:12,737 --> 00:36:20,612 あの時から 五鈴屋を幸に託すことが 決まっていたのかもしれまへん。 371 00:36:20,612 --> 00:36:22,614 お家さん…。 372 00:36:28,219 --> 00:36:34,926 五鈴屋を 百年続く店にしておくれやす。 373 00:36:34,926 --> 00:36:38,797 百年続いたら 次の百年。 374 00:36:38,797 --> 00:36:43,268 それ超えたら また次の百年。 375 00:36:43,268 --> 00:36:46,104 人の命は尽きても➡ 376 00:36:46,104 --> 00:36:51,309 のれんに込めた思いは ずっと残りますやろ。 377 00:36:55,613 --> 00:37:01,419 幸 五鈴屋を頼みますで。 378 00:37:06,724 --> 00:37:08,727 へえ。 379 00:37:12,897 --> 00:37:17,569 (結)母さん 大坂に行かへんの? 380 00:37:17,569 --> 00:37:19,604 姉さんの祝言 あるんやろ? 381 00:37:19,604 --> 00:37:22,440 (お房)行かへん。 けど…。 382 00:37:22,440 --> 00:37:25,910 兄弟三人に 次々と…。 383 00:37:25,910 --> 00:37:30,782 それも 五代目さんには 離縁されたあげくや。 384 00:37:30,782 --> 00:37:33,651 何も めでたいことないわ。 385 00:37:33,651 --> 00:37:38,389 天満のご寮さんでいられるんやで。 ええことやん。 386 00:37:38,389 --> 00:37:40,325 余計 あかんわ。 387 00:37:40,325 --> 00:37:47,098 分不相応な暮らしがしとうて 店に居座ってるようや。 388 00:37:47,098 --> 00:37:51,402 そやろか。 (お房)えっ? 389 00:37:51,402 --> 00:37:54,939 誰かて ええ暮らししたいわ。 390 00:37:54,939 --> 00:37:57,442 ⚟(お房)結…。 391 00:37:59,410 --> 00:38:13,091 ♬~ 392 00:38:13,091 --> 00:38:18,229 お梅どん 手 止まってるで。 ちゃっちゃとしなはれ。 393 00:38:18,229 --> 00:38:26,104 せやかて 何や 目が曇って 手元が よう見えへんのだす。 394 00:38:26,104 --> 00:38:30,742 今から泣いて どないすんのや。 395 00:38:30,742 --> 00:38:33,778 祝言 これからやで。 396 00:38:33,778 --> 00:38:51,129 ♬~ 397 00:38:51,129 --> 00:38:55,400 真っ白な浜羽二重 よう似合てますなあ。 398 00:38:55,400 --> 00:38:58,603 お家さんのお気持ちが こもってますさかい。 399 00:39:00,238 --> 00:39:05,076 お竹どん これ ホンマに おいしいなあ。 400 00:39:05,076 --> 00:39:10,548 うん 出汁が ようきいてます。 さすが 年の功だすな。 401 00:39:10,548 --> 00:39:14,886 ありがとうさんでございます。 それ お梅どんだす。 402 00:39:14,886 --> 00:39:17,922 フッ…。 (せきばらい) 403 00:39:17,922 --> 00:39:23,228 お家さんには 長いこと苦労かけてしもたんや。 404 00:39:23,228 --> 00:39:27,065 これからは 心やすう暮らしてもらいまひょな。 405 00:39:27,065 --> 00:39:29,067 へえ。 406 00:39:31,903 --> 00:39:35,740 ホンマに美しいこと。 407 00:39:35,740 --> 00:39:41,913 <つつましいながらも 温かな祝言から五日後…。➡ 408 00:39:41,913 --> 00:39:46,584 富久は 床に就き 六代目夫婦に見守られて➡ 409 00:39:46,584 --> 00:39:50,388 静かに息を引き取ったのです> 410 00:39:59,264 --> 00:40:02,133 <富久の四十九日も過ぎ➡ 411 00:40:02,133 --> 00:40:05,403 年の暮れが近づいた ある日…> 412 00:40:05,403 --> 00:40:07,338 二人とも こっちや こっちや こっち。 へえ。 413 00:40:07,338 --> 00:40:10,241 足元 気ぃ付けなはれや。 へえ。 414 00:40:10,241 --> 00:40:13,278 ああ~ 旦那さん 旦那さん 大丈夫だすか? 415 00:40:13,278 --> 00:40:15,780 (一同)ああ~! ちょちょちょ…! 416 00:40:15,780 --> 00:40:18,483 ⚟だんない だんない! 417 00:40:21,653 --> 00:40:26,124 波村から 荷が届いたようだすなあ。 へえ。 418 00:40:26,124 --> 00:40:29,961 初荷で売る「五鈴屋の浜羽二重」 五百反のうち➡ 419 00:40:29,961 --> 00:40:32,163 最後の百反だす。 420 00:40:34,299 --> 00:40:39,804 よろしおましたなあ。 お家さんも これで一安心だすな。 421 00:40:42,440 --> 00:40:47,979 惣ぼんから なんぞ便りは? ありまへん。 422 00:40:47,979 --> 00:40:54,652 お家さん 惣ぼんさんのこと ずっと案じておいでやしたんだすけど。 423 00:40:54,652 --> 00:40:58,456 まあ 惣ぼんのこっちゃ➡ 424 00:40:58,456 --> 00:41:03,094 きっと 今頃 どこぞで商いしてはりますやろ。 425 00:41:03,094 --> 00:41:05,029 そうだすなあ。 426 00:41:05,029 --> 00:41:10,968 さあ こっからが勝負や。 五百反 売るのは 骨折れまっせ。 427 00:41:10,968 --> 00:41:13,972 皆して せいだい気張らしてもらいます。 428 00:41:17,275 --> 00:41:19,277 ああ…。 429 00:41:25,149 --> 00:41:31,956 ご寮さん 五鈴屋を よろしゅうお頼申します。 430 00:41:35,126 --> 00:41:37,628 へえ。 431 00:41:37,628 --> 00:41:43,434 百年続きますよう 精いっぱい 務めさせていただきます。 432 00:41:43,434 --> 00:41:58,816 ♬~ 433 00:41:58,816 --> 00:42:05,923 小さい頃 この川を 金と銀やて言うてましたな。 434 00:42:05,923 --> 00:42:11,729 夕日の輝きは 金色 川面のきらめきは 銀色。 435 00:42:11,729 --> 00:42:15,533 天がくれた 何より美しい色だす。 436 00:42:18,636 --> 00:42:22,340 金と銀は 商いの色や。 437 00:42:24,308 --> 00:42:29,147 尊い色を汚さんように ええ商いしていきまひょな。 438 00:42:29,147 --> 00:42:32,784 へえ。 439 00:42:32,784 --> 00:42:35,420 旦那さん。 440 00:42:35,420 --> 00:42:39,957 来年は きっと 五鈴屋の当たり年だす! 441 00:42:39,957 --> 00:42:50,268 ♬~