1 00:00:03,604 --> 00:00:06,940 (幸)旦那さんのお守り…。 2 00:00:06,940 --> 00:00:15,616 ♬~ 3 00:00:15,616 --> 00:00:18,285 旦那さん…? 4 00:00:18,285 --> 00:00:21,788 (安七)ご寮さん! 旦那さんが…!➡ 5 00:00:21,788 --> 00:00:25,492 旦那さんが 倒れはりました! 6 00:00:30,430 --> 00:00:32,432  心の声 旦那さん…! 7 00:00:37,638 --> 00:00:39,973 旦那さん? 8 00:00:39,973 --> 00:00:44,311 どないしたんだす? 旦那さん? 9 00:00:44,311 --> 00:00:46,813 (道善)あか~ん。 10 00:00:46,813 --> 00:00:52,986 もう こと切れてしもた…。 11 00:00:52,986 --> 00:00:56,657 えっ? (桔梗屋孫六)急なことやった…。➡ 12 00:00:56,657 --> 00:01:00,260 あ… あの木ぃのとこで…➡ 13 00:01:00,260 --> 00:01:05,132 ぎょうさん 血ぃ吐かはって…。 14 00:01:05,132 --> 00:01:10,270 積聚が悪さして…➡ 15 00:01:10,270 --> 00:01:15,609 滞った血が あふれたんや…。➡ 16 00:01:15,609 --> 00:01:18,312 すまん…。 17 00:01:22,382 --> 00:01:26,620 旦那さん…。 18 00:01:26,620 --> 00:01:31,291 なあ… 起きとくなはれ。 19 00:01:31,291 --> 00:01:33,961 旦那さん? (泣き声) 20 00:01:33,961 --> 00:01:38,632 旦那さん! 旦那さん 旦那さん! 21 00:01:38,632 --> 00:01:41,435 旦那さん… 旦那さん…。 22 00:01:41,435 --> 00:01:46,640 <寛延三年四月 三十三歳の若さで➡ 23 00:01:46,640 --> 00:01:52,312 智蔵は 一人 旅立っていったのです> 24 00:01:52,312 --> 00:02:04,324 ♬~ 25 00:02:05,859 --> 00:02:08,595 (2人)いて参じます。 26 00:02:08,595 --> 00:02:10,897 (豆吉)お早うお帰りやす。 27 00:02:40,961 --> 00:02:44,965 (鉄助)ご寮さん よろしおますか? へえ。 28 00:02:49,436 --> 00:02:53,640 二七日を済ましたとこで こないな話 しとうないんだすけど…➡ 29 00:02:53,640 --> 00:02:56,977 呉服仲間の月行事さんが➡ 30 00:02:56,977 --> 00:02:59,646 親旦那さんとこに お見えになったそうで。 31 00:02:59,646 --> 00:03:02,382 月行事さんが…。 32 00:03:02,382 --> 00:03:06,586 (周助)六代目の忌みが明けたら 誰に店継がせるか決めて➡ 33 00:03:06,586 --> 00:03:10,257 寄り合いで諮るようにとの お達しだした。 34 00:03:10,257 --> 00:03:15,395 (鉄助)五鈴屋の血筋を継ぐお方は 惣ぼんさん ただお一人だすけど➡ 35 00:03:15,395 --> 00:03:17,931 行方も知れまへんしな。 36 00:03:17,931 --> 00:03:23,270 子供のおらん家では 養子取って 跡継がせるて聞いてます。へえ。 37 00:03:23,270 --> 00:03:28,108 わては 鉄助どんに養子に入ってもろて➡ 38 00:03:28,108 --> 00:03:33,613 七代目 継いでもらうのが 一番ええ思てますのやけど。 39 00:03:33,613 --> 00:03:35,949 ご寮さん…。 40 00:03:35,949 --> 00:03:38,985 それは でけしまへん。 えっ? 41 00:03:38,985 --> 00:03:45,625 先代より年長の者は 養子になられへん決まりだす。 42 00:03:45,625 --> 00:03:50,430 (せきばらい) そこで差し出がましいようだすけども➡ 43 00:03:50,430 --> 00:03:52,966 周助どんを養子にされたら どないだすやろ? 44 00:03:52,966 --> 00:03:54,901 六代目よりは 年も一つ下で➡ 45 00:03:54,901 --> 00:03:57,804 周助どんなら奉公人たちも ついていくて思います。 46 00:03:57,804 --> 00:04:01,675 めっそうもない! わては 五鈴屋の主に なれるような器やおまへん。 47 00:04:01,675 --> 00:04:03,910 堪忍しとくれやす。 周助どん…。 48 00:04:03,910 --> 00:04:06,746 七代目にふさわしいお方は➡ 49 00:04:06,746 --> 00:04:09,783 ご寮さんのほかに いてまへん! 50 00:04:09,783 --> 00:04:13,520 皆 そない思てます! 51 00:04:13,520 --> 00:04:16,456 (せきばらい) けどな➡ 52 00:04:16,456 --> 00:04:21,595 大坂には 女名前禁止のおきてが ありますのや。➡ 53 00:04:21,595 --> 00:04:25,265 女子では 店主になられしまへん。 54 00:04:25,265 --> 00:04:29,769 (周助) けど… 抜け道があるのやおまへんか? 55 00:04:29,769 --> 00:04:32,606 親旦那さんから伺うたことがおます。 56 00:04:32,606 --> 00:04:37,410 お子のない船場のご寮さんが 店主を務めはったことがあるて。 57 00:04:37,410 --> 00:04:39,346 何ぞ 手だてがあるはずだす。 58 00:04:39,346 --> 00:04:43,116 そのご寮さんは…➡ 59 00:04:43,116 --> 00:04:46,419 婿を取らはった 家付き娘かもしれまへん。 60 00:04:46,419 --> 00:04:52,292 それか 実家が大店で 後ろ盾になったか。 61 00:04:52,292 --> 00:04:54,961 (周助)へえ…。 62 00:04:54,961 --> 00:04:59,132 四十九日の忌明けまで まだ 間があります。 63 00:04:59,132 --> 00:05:03,570 どないしたらええか よう考えてみまひょ。 64 00:05:03,570 --> 00:05:40,574 ♬~ 65 00:05:42,275 --> 00:05:47,614 (すすり泣き) 66 00:05:47,614 --> 00:05:51,318 ⚟結 入るよ。 67 00:05:55,956 --> 00:05:58,258 (はなをすする音) 68 00:06:04,564 --> 00:06:07,567 おむすび 握ってもろたよ。 69 00:06:09,903 --> 00:06:12,372 食べなあかん。 70 00:06:12,372 --> 00:06:17,244 あんたが患うてしもたら どないするの? 71 00:06:17,244 --> 00:06:20,914 (結)姉さんは… 悲しゅうないの? 72 00:06:20,914 --> 00:06:25,585 えっ? 73 00:06:25,585 --> 00:06:28,488 何で そない平気な顔してられるん? 74 00:06:28,488 --> 00:06:32,926 結? 兄さんが のうなったのに➡ 75 00:06:32,926 --> 00:06:38,598 うち 姉さんが泣いてるとこ いっぺんも見てへん。 76 00:06:38,598 --> 00:06:41,501 みんなも おかしいわ。 77 00:06:41,501 --> 00:06:46,273 喪も明けんうちから 何もなかったみたいに働いて➡ 78 00:06:46,273 --> 00:06:48,208 何で そない 薄情なことができるん? 79 00:06:48,208 --> 00:06:50,143 何言うてますのや! 80 00:06:50,143 --> 00:06:53,413 五鈴屋を守るために 一所懸命 働いてくれてはるのやないの。 81 00:06:53,413 --> 00:06:55,782 悪う言うことは許さへんよ! 五鈴屋 五鈴屋て➡ 82 00:06:55,782 --> 00:06:58,285 商いのことばっかりや! 83 00:06:58,285 --> 00:07:00,987 姉さんには心がないの? 84 00:07:07,093 --> 00:07:11,898 お竹どんが案じますよって ちゃんと食べるんやで。 85 00:07:14,567 --> 00:07:17,570 (ふすまを閉める音) 86 00:07:19,239 --> 00:07:25,245 ⚟(結のすすり泣き) 87 00:07:27,580 --> 00:07:29,916 のけって…! (お梅)あんさん 誰だすのや! 88 00:07:29,916 --> 00:07:32,252 だから…! (お梅)あかんて! 89 00:07:32,252 --> 00:07:36,256 どないしたんだす? (お梅)ご寮さん うさんくさい男が! 90 00:07:36,256 --> 00:07:39,025 うさんて お前! あ~ あのな…。 91 00:07:39,025 --> 00:07:42,896 いたたたた! 足 踏んどる 足! 智やんのな 古いなじみや。 92 00:07:42,896 --> 00:07:46,399 ひょっとして…。 のけ! 93 00:07:46,399 --> 00:07:49,602 せや! 亀三や。 94 00:07:55,942 --> 00:07:57,877 (ため息) 95 00:07:57,877 --> 00:08:04,217 智やん… 遅なって堪忍やで。 旅回りに出ててな。 96 00:08:04,217 --> 00:08:09,923 せやけど… なんぼなんでも早すぎるで。 97 00:08:24,537 --> 00:08:28,908 急なことで どない言うたらええのか…。 98 00:08:28,908 --> 00:08:33,913 お参りいただいて ありがとさんでございます。 99 00:08:38,918 --> 00:08:43,390 そうか… ハハハハハ。 100 00:08:43,390 --> 00:08:49,195 あれ ご寮さんに合わせた 着物やったんか。 フッ。➡ 101 00:08:49,195 --> 00:08:54,401 桑の実色の着物に 黄檗の帯。 102 00:08:54,401 --> 00:08:57,937 あんさんが着たら さぞ似合うやろな。 103 00:08:57,937 --> 00:09:01,941 桑の実色に 黄檗…。 104 00:09:04,344 --> 00:09:11,117 ほんで 江戸の話は どないなったんや? 江戸に店出すんやろ? 105 00:09:11,117 --> 00:09:14,087 みつき前に会うた時 そない言うてたで。 106 00:09:14,087 --> 00:09:16,556 店出して あんさんと江戸に行くんやて。 107 00:09:16,556 --> 00:09:19,893 あ… 亀三さんに そないな話を? 108 00:09:19,893 --> 00:09:26,232 うん。 江戸には 女名前禁止のおきてがないから言うてな。 109 00:09:26,232 --> 00:09:28,234 えっ? 110 00:09:28,234 --> 00:09:32,038 江戸に行ったら 女子かて店主になれる➡ 111 00:09:32,038 --> 00:09:37,377 あんさんに思う存分 商いさせてやれるて。 112 00:09:37,377 --> 00:09:43,583 もし 我が身に何かあっても もう誰の女房にも➡ 113 00:09:43,583 --> 00:09:48,455 人形遣いにも ならんでもええんや。 114 00:09:48,455 --> 00:09:53,159 智やん そない言うてたわ。 115 00:10:03,603 --> 00:10:14,247 (泣き声) 116 00:10:14,247 --> 00:10:16,549 旦那さん…。 117 00:10:20,954 --> 00:10:23,656 旦那さん…。 118 00:10:25,625 --> 00:10:32,298 旦那さん 旦那さん… 旦那さん…。 119 00:10:32,298 --> 00:10:38,638 (泣き声) 120 00:10:38,638 --> 00:10:41,641 (智蔵)幸… 幸。 121 00:10:44,978 --> 00:10:49,449 何 泣いてますのや。 122 00:10:49,449 --> 00:10:53,987 二人で一緒に 江戸に行くんやろ? 123 00:10:53,987 --> 00:10:56,990 なあ? 幸。 124 00:10:58,858 --> 00:11:01,160 旦那さん…。 125 00:11:07,534 --> 00:11:20,613 (泣き声) 126 00:11:20,613 --> 00:11:24,484 一緒に 江戸に行きまひょな。 127 00:11:24,484 --> 00:11:33,960 ♬~ 128 00:11:33,960 --> 00:11:36,462 そうや…。 129 00:11:40,433 --> 00:11:44,971 旦那さんと一緒に…➡ 130 00:11:44,971 --> 00:11:47,774 江戸へ行くんや…。 131 00:11:53,646 --> 00:11:55,648 江戸へ。 132 00:12:03,923 --> 00:12:07,727 姉さん どこ行かはったんやろ? 133 00:12:16,269 --> 00:12:20,273 (佐七)ただいま 江戸から戻りました。 134 00:12:28,615 --> 00:12:30,550 賢吉っとん…? 135 00:12:30,550 --> 00:12:35,288 へえ。 お久しゅうございます。 136 00:12:35,288 --> 00:12:38,191 (佐七)ご寮さん…。 137 00:12:38,191 --> 00:12:40,393 佐七っとん…。 138 00:12:48,835 --> 00:12:53,640 まさか… こないなことに…。 139 00:12:53,640 --> 00:12:59,445 お帰りやす。 遠いとこ ご苦労さんだした。 140 00:13:01,447 --> 00:13:05,251 もうすぐ 旦那さんの四十九日でおます。 141 00:13:05,251 --> 00:13:13,459 法要が済んだら 誰が五鈴屋を継ぐか 呉服仲間に諮らななりまへん。 142 00:13:18,765 --> 00:13:22,935 五鈴屋の七代目…➡ 143 00:13:22,935 --> 00:13:25,972 わてが継がせていただこう思てます。 144 00:13:25,972 --> 00:13:30,410 (手代たち)えっ? 145 00:13:30,410 --> 00:13:34,947 女名前では 店は継がれへん決まりだす。 146 00:13:34,947 --> 00:13:39,819 けど 船場のご寮さんが 店主になったことがあるて聞いて➡ 147 00:13:39,819 --> 00:13:45,825 今日 高島店の親旦那さんに 詳しいこと 伺うてきましたんや。 148 00:13:48,494 --> 00:13:51,497 十年ほど前のことだす。 149 00:13:51,497 --> 00:13:55,968 お子がなく 養子の当てもない店で➡ 150 00:13:55,968 --> 00:14:00,573 足かけ三年に限って ご寮さんが店主を務めることが➡ 151 00:14:00,573 --> 00:14:03,910 許されたそうでおます。 152 00:14:03,910 --> 00:14:08,781 足かけ三年… 再来年の末まで二年半や。 153 00:14:08,781 --> 00:14:13,586 それだけあったら 江戸に店出す道筋がつけられます。 154 00:14:13,586 --> 00:14:20,093 ただ… 天満では 女名前で店継いだ ためしがおまへん。 155 00:14:20,093 --> 00:14:26,265 お仲間にお許しを得るのは たやすいことではありまへん。 156 00:14:26,265 --> 00:14:29,168 それでも…➡ 157 00:14:29,168 --> 00:14:32,772 これまで 誰も おらなんだら➡ 158 00:14:32,772 --> 00:14:38,277 わてが その初めの一人になろう思います。 159 00:14:42,115 --> 00:14:49,922 子もなく残された女房たちが 後に続く道が 開けるように。 160 00:14:52,425 --> 00:14:58,631 主をなくした店が 絶えることのないように。 161 00:14:58,631 --> 00:15:15,915 ♬~ 162 00:15:15,915 --> 00:15:23,256 ご寮さん 奉公人一同 皆 力合わせて➡ 163 00:15:23,256 --> 00:15:26,592 七代目をお支え申し上げます! 164 00:15:26,592 --> 00:15:32,265 ♬~ 165 00:15:32,265 --> 00:15:34,934 おおきに。 166 00:15:34,934 --> 00:15:39,405 ♬~ 167 00:15:39,405 --> 00:15:41,474 (有馬屋) ほんなら 七代目を➡ 168 00:15:41,474 --> 00:15:45,611 女名前で継ぐ 言わはるんだすか? 169 00:15:45,611 --> 00:15:51,417 足かけ三年に限って 中継ぎとして店預かることを➡ 170 00:15:51,417 --> 00:15:53,953 お許しいただきとう存じます。 171 00:15:53,953 --> 00:15:59,125 (入江屋)船場では そないな店があったかもしれんけどな➡ 172 00:15:59,125 --> 00:16:03,896 ここは天満だす。 その理屈は通りまへん。 173 00:16:03,896 --> 00:16:07,767 女名前なんぞ許したら お上から にらまれまっせ。 174 00:16:07,767 --> 00:16:10,570 せやな。 迷惑なこっちゃ。 175 00:16:10,570 --> 00:16:15,374 あんさんが五鈴屋の血筋や言うなら まだ分かりますで。 176 00:16:15,374 --> 00:16:20,913 けど… 言うてはなんやけど 元は女衆だすやろ? 177 00:16:20,913 --> 00:16:27,253 へえ。 六代目は 三人目のご亭主だしたなあ。 178 00:16:27,253 --> 00:16:33,593 いっそ 四人目の婿取って 店主に据えたら どないだす? 179 00:16:33,593 --> 00:16:35,928 何を…。控えなはれ。 (旦那衆の笑い声) 180 00:16:35,928 --> 00:16:39,799 商いを絶やすことなく あとに つないでいくための➡ 181 00:16:39,799 --> 00:16:42,602 中継ぎでございます。 182 00:16:42,602 --> 00:16:46,939 事情をお察しいただき お認めいただけまへんやろか。 183 00:16:46,939 --> 00:16:52,812 事情は事情 決まりは決まりだす。 184 00:16:52,812 --> 00:16:56,616 (松橋屋)ちょっと よろしおますか? 185 00:16:56,616 --> 00:17:01,587 松橋屋さん どうぞ 何なりと。 186 00:17:01,587 --> 00:17:07,560 皆さん 桔梗屋さんの件 もう忘れはったんだすか? 187 00:17:07,560 --> 00:17:12,064 お子に先立たれたばっかりに 真澄屋はんに つけ込まれて➡ 188 00:17:12,064 --> 00:17:15,101 えらい目に遭わはったやおまへんか。 189 00:17:15,101 --> 00:17:18,237 五鈴屋さんの今の難儀は➡ 190 00:17:18,237 --> 00:17:25,945 どこの店でも 誰の身の上にでも いつか 起きることかもしれまへんで。 191 00:17:28,881 --> 00:17:38,391 五鈴屋を百年続く店にすることが お家さんの望みでおました。 192 00:17:38,391 --> 00:17:45,264 百年のうちの三年だけ 中継ぎとして 五鈴屋の のれん守ること➡ 193 00:17:45,264 --> 00:17:49,936 どうぞ お許しいただきとう存じます。 194 00:17:49,936 --> 00:17:57,810 ♬~ 195 00:17:57,810 --> 00:18:02,114 (末七)ああ… もう戻らはってもええ頃だすけど。 196 00:18:05,351 --> 00:18:08,154 (広七)あっ ご寮さんや! 197 00:18:13,559 --> 00:18:19,899 よっしゃ 決まりや! アハハハ お帰りやす! 198 00:18:19,899 --> 00:18:24,370 <八分に開いた扇子は 幸が七代目を継ぐことを➡ 199 00:18:24,370 --> 00:18:28,174 呉服仲間が認めた しるしでした> 200 00:18:31,577 --> 00:18:34,480 真澄屋はんの江戸店は 日本橋の どの辺りだす? 201 00:18:34,480 --> 00:18:38,451 <江戸に出て一年 佐七と賢吉は➡ 202 00:18:38,451 --> 00:18:42,088 古手商 近江屋の江戸店に身を寄せ➡ 203 00:18:42,088 --> 00:18:46,392 出店に向けた下調べを続けていました> 204 00:18:46,392 --> 00:18:49,762 日本橋には呉服屋が ずら~っと並んでます。 205 00:18:49,762 --> 00:18:54,934 中には 年に銀一万二千貫の商いする 大店もありますよって。 206 00:18:54,934 --> 00:18:58,604 あっ あっ…。 一万二千貫! 江戸の商いは桁違いだすな。 207 00:18:58,604 --> 00:19:04,210 ああ… 真澄屋はんが 得意の策を弄しても 太刀打ちでけへんのかいな。 208 00:19:04,210 --> 00:19:08,547 日本橋の辺りは避けて ほかの土地を探しまひょ。 209 00:19:08,547 --> 00:19:13,886 人の流れがあって 近くに大きな呉服屋がない➡ 210 00:19:13,886 --> 00:19:17,356 そないな場所に ええ出物があればええのやけど。 211 00:19:17,356 --> 00:19:21,227 へえ。 江戸に戻って 五鈴屋にふさわしい店➡ 212 00:19:21,227 --> 00:19:24,130 きっと見つけてまいります。 213 00:19:24,130 --> 00:19:27,133 頼みましたで! (佐七 賢吉)へえ! 214 00:19:29,101 --> 00:19:33,239 フフッ 賢吉っとんは 絵ぇ上手やね。 215 00:19:33,239 --> 00:19:35,174 ただの覚書だすわ。 216 00:19:35,174 --> 00:19:38,911 また 文で江戸の様子 知らせてや。 待ってますで。 217 00:19:38,911 --> 00:19:40,913 へえ。 218 00:19:46,385 --> 00:19:50,256 母さん…? えっ? 219 00:19:50,256 --> 00:19:53,592 あ… 結。 220 00:19:53,592 --> 00:19:55,528 何してるの? 221 00:19:55,528 --> 00:19:57,930 勝手に入って堪忍。 222 00:19:57,930 --> 00:20:02,268 兄さんに謝ってたんや。 223 00:20:02,268 --> 00:20:08,407 うち 姉さんに ひどいこと言うてしもたて。 224 00:20:08,407 --> 00:20:12,278 心がないなんて言うて…➡ 225 00:20:12,278 --> 00:20:15,948 ホンマに ごめんなさい。 226 00:20:15,948 --> 00:20:17,950 結…。 227 00:20:20,820 --> 00:20:27,293 うちは… 何も分かってへんかった。 228 00:20:27,293 --> 00:20:32,965 姉さんは 店を背負うてはるのやね。 229 00:20:32,965 --> 00:20:36,302 荷の重さに耐えてはる。 230 00:20:36,302 --> 00:20:42,808 そやから みんな 姉さんを慕うて ついていくんやわ。 231 00:20:42,808 --> 00:20:48,614 この店で役に立ってへんのは…➡ 232 00:20:48,614 --> 00:20:51,984 うちだけや。 233 00:20:51,984 --> 00:20:55,654 甘えたの 泣きみそで…。 234 00:20:55,654 --> 00:21:06,599 (すすり泣き) 235 00:21:06,599 --> 00:21:09,301 もうええよ。 236 00:21:13,272 --> 00:21:18,611 これ 母さんと おそろいの着物やね。 237 00:21:18,611 --> 00:21:22,414 うん…。 238 00:21:22,414 --> 00:21:27,620 母さん… よう言うてたわ。 239 00:21:27,620 --> 00:21:34,793 木綿の着物は 夏は涼しいて 冬は暖かい➡ 240 00:21:34,793 --> 00:21:38,297 汗も涙も 吸い取ってくれるて。 241 00:21:41,567 --> 00:21:45,504 一つ 聞いてもええ? 242 00:21:45,504 --> 00:21:47,506 何? 243 00:21:47,506 --> 00:21:52,645 五鈴屋では 何で 木綿の反物は売らへんの? 244 00:21:52,645 --> 00:21:55,548 呉服屋が売るもんは絹物。 245 00:21:55,548 --> 00:22:00,920 木綿は 太物いうて 太物屋が売るもんて決まってますのや。 246 00:22:00,920 --> 00:22:07,226 仕入れ先から何から違て 手ぇ出すことは許されへん決まり…。 247 00:22:13,933 --> 00:22:17,636 江戸では… どないやろ? 248 00:22:21,807 --> 00:22:26,512 絹も… 木綿も…。 249 00:22:29,481 --> 00:22:33,619 <津門村の彦太夫が 五鈴屋を訪ねてきたのは➡ 250 00:22:33,619 --> 00:22:37,323 七夕も近い 夏のことでした> 251 00:22:40,492 --> 00:22:43,128 (彦太夫)ご寮さんの文にあったけど➡ 252 00:22:43,128 --> 00:22:47,967 津門村の木綿で小風呂敷こしらえたいて あったけど 何に使うんや? 253 00:22:47,967 --> 00:22:52,638 へえ。 秋に お上から 正式なお許しが下りたら➡ 254 00:22:52,638 --> 00:22:55,975 七代目の披露目に配りたいて 思てるんだす。 255 00:22:55,975 --> 00:23:00,579 えっ? 呉服屋が木綿て おかしいのとちゃうか? 256 00:23:00,579 --> 00:23:05,384 女名前の中継ぎだすさかい 万事 控えめにしよう思て。 257 00:23:05,384 --> 00:23:12,191 それに 津門村の木綿は やらこうて 丈夫で 上等だすよって。 258 00:23:15,394 --> 00:23:18,264 この鈴柄 染めたら➡ 259 00:23:18,264 --> 00:23:25,604 新しい門出を お家さんと母さん 二人に祝うてもらえる気ぃがしますのや。 260 00:23:25,604 --> 00:23:27,940 なるほど。 261 00:23:27,940 --> 00:23:31,810 …で 何反ほど要るんや? 262 00:23:31,810 --> 00:23:36,949 並幅で三十反 ご用意いただけまへんやろか? 263 00:23:36,949 --> 00:23:42,421 あ~ 三十か~。 264 00:23:42,421 --> 00:23:45,791 手が足りんのなら うちが手伝いに行きます。 265 00:23:45,791 --> 00:23:49,628 木綿のことやったら ちょっとは お役に立ちますよって。 266 00:23:49,628 --> 00:23:54,433 お~ しっかり物言うようなって! 267 00:23:54,433 --> 00:24:00,572 うちにおった頃は 泣きみそやった子が。 ハハハハハ! 268 00:24:00,572 --> 00:24:02,508 (膝を打つ音) よっしゃ! 269 00:24:02,508 --> 00:24:07,346 津門村の木綿三十反 必ず そろえますわ。 270 00:24:07,346 --> 00:24:11,750 披露目に使てもらえるなら 村にとっても名誉なこっちゃ。 ハハハ! 271 00:24:11,750 --> 00:24:15,054 おおきに よろしゅうお頼申します。 272 00:24:17,256 --> 00:24:20,159 ホンマに ええ出来やな。 273 00:24:20,159 --> 00:24:24,863 のれんと同じ色 きれいに染まってる。 274 00:24:30,402 --> 00:24:34,606 姉さん… きれいや。 275 00:24:34,606 --> 00:24:44,283 ♬~ 276 00:24:44,283 --> 00:24:48,587 (お竹)お家さんのかんざしも ようお似合いだす。 277 00:24:50,956 --> 00:24:57,629 お家さんと母さん 二人の月命日に お披露目できるやなんて➡ 278 00:24:57,629 --> 00:25:01,500 ありがたい巡り合わせや。 279 00:25:01,500 --> 00:25:05,371 (お竹) 結さん それ ちょっと貸しとくれやす。 280 00:25:05,371 --> 00:25:07,373 あっ へえ。 281 00:25:09,908 --> 00:25:16,081 (お竹)鈴の紋は 五鈴屋の主の証しだす。 282 00:25:16,081 --> 00:25:18,283 お竹どん…。 283 00:25:20,919 --> 00:25:23,389 (すすり泣き) 284 00:25:23,389 --> 00:25:28,227 お梅どん めでたい日やで 何を泣いてますのや。 285 00:25:28,227 --> 00:25:30,596 (お梅)そやかて…。 286 00:25:30,596 --> 00:25:35,267 うれしいて うれしいて。 (笑い声) 287 00:25:35,267 --> 00:25:54,420 ♬~ 288 00:25:54,420 --> 00:25:56,355 七代目! 289 00:25:56,355 --> 00:25:59,258 (一同)おめでとうさんでございます! 290 00:25:59,258 --> 00:26:09,234 ♬~ 291 00:26:09,234 --> 00:26:15,240 お家さん… 旦那さん…。 292 00:26:19,244 --> 00:26:22,448 ほな いて参じます。 293 00:26:26,118 --> 00:26:29,588 (一同)お早うお帰りやす! 294 00:26:29,588 --> 00:26:34,092 とんがらしの 根びきよ~。 295 00:26:34,092 --> 00:26:37,896 とんがらしの 根びきよ~。 296 00:26:39,598 --> 00:26:43,268 (鉄助)店構えが大きすぎたり 近くに大店があったり➡ 297 00:26:43,268 --> 00:26:46,171 「これ!」いうのは なかなか見つからんもんだすな。 298 00:26:46,171 --> 00:26:49,775 ご寮さん! 早飛脚だす! 江戸の佐七っとんから! 299 00:26:49,775 --> 00:26:52,978 早飛脚? 貸し。 300 00:26:59,952 --> 00:27:02,554 ああ…。 301 00:27:02,554 --> 00:27:07,359 (孫六)浅草田原町の白雲屋…。 302 00:27:07,359 --> 00:27:09,428 太物商いの店やな。 303 00:27:09,428 --> 00:27:11,897 浅草寺さんの近くだす。 304 00:27:11,897 --> 00:27:16,568 主夫婦が店畳んで ふるさとの伊勢に 帰らはることになって➡ 305 00:27:16,568 --> 00:27:19,071 居抜きで売りたい言うて。 306 00:27:19,071 --> 00:27:24,877 伊勢か… 確か白雲織いう木綿があったわ。 307 00:27:24,877 --> 00:27:28,080 五鈴屋の初代は 伊勢のお人だす。 うん…。 308 00:27:28,080 --> 00:27:32,951 江戸で伊勢にゆかりの店が見つかったんも 何かのご縁やないか思えて。 309 00:27:32,951 --> 00:27:38,257 けど… 間口二間半は ちと小さいんやないか? 310 00:27:38,257 --> 00:27:42,594 小さい方がよろしおますのや。 うん? 311 00:27:42,594 --> 00:27:50,936 小さい店から始めて 子を育てるように 手ぇかけて 大事に育てていく。 312 00:27:50,936 --> 00:27:54,806 それが 旦那さんの望みだすよって。 313 00:27:54,806 --> 00:27:58,810 うっ…。 あっ…。 314 00:27:58,810 --> 00:28:02,881 (孫六のすすり泣き) 親旦那さん。 315 00:28:02,881 --> 00:28:10,355 わては江戸に出たら 絹だけやのうて 木綿も商いたいて思てますのや。 316 00:28:10,355 --> 00:28:13,225 太物を? へえ。 317 00:28:13,225 --> 00:28:19,031 木綿は面白いもんだす。 値ぇは手ごろで 手入れがしやすうて➡ 318 00:28:19,031 --> 00:28:21,900 絹とは 違うよさがあります。 319 00:28:21,900 --> 00:28:27,239 江戸なら 呉服と太物 どっちも扱えるのやないかて。 320 00:28:27,239 --> 00:28:32,578 ほんなら お披露目で 木綿の小風呂敷配ったんは…。 321 00:28:32,578 --> 00:28:36,748 太物商いの手始めのつもりで。 322 00:28:36,748 --> 00:28:40,385 浜羽二重や五鈴帯は よう売れてますけど➡ 323 00:28:40,385 --> 00:28:45,924 江戸へ出たら それだけでは足らへんように思います。 324 00:28:45,924 --> 00:28:49,795 木綿が 活路を開くのやないかて。 325 00:28:49,795 --> 00:28:53,799 なるほど…。 326 00:28:53,799 --> 00:28:57,936 うん! これは ええ出物や! 327 00:28:57,936 --> 00:29:03,208 ご寮さん とうとう時が来ましたな! へえ! 328 00:29:03,208 --> 00:29:07,079 ほな 早速 江戸へ出て 店と その周り 確かめなあきまへん。 329 00:29:07,079 --> 00:29:09,348 文のとおりで間違いないなら➡ 330 00:29:09,348 --> 00:29:13,218 その場で買い上げの話 まとめてしまいとうおます。 331 00:29:13,218 --> 00:29:18,357 この役目を…➡ 332 00:29:18,357 --> 00:29:23,562 周助どんに お願いしたいのやけど。 333 00:29:23,562 --> 00:29:26,264 行ってもらえますやろか? 334 00:29:27,899 --> 00:29:30,369 へえ! すぐに たたせていただきます。 335 00:29:30,369 --> 00:29:33,905 ようやっと 周助どんの出番だすなあ! 336 00:29:33,905 --> 00:29:38,377 大役やで。 せえだいお気張りやっしゃ! 337 00:29:38,377 --> 00:29:40,379 へえ! 338 00:29:45,150 --> 00:29:47,919 ♬~ 339 00:29:47,919 --> 00:29:50,589 ごめんやっしゃ~! 340 00:29:50,589 --> 00:29:55,394 <周助の動きは素早く 大坂をたって ひとつき余りで➡ 341 00:29:55,394 --> 00:30:02,934 白雲屋を金百五十両で買い上げたことを 知らせる 早飛脚が届いたのです> 342 00:30:02,934 --> 00:30:07,272 路銀は なんぼほど要るやろ? 343 00:30:07,272 --> 00:30:12,978 <幸も 五月の末には 江戸にたつことが決まり…> 344 00:30:15,614 --> 00:30:18,517 (お勢) ご寮さん 江戸に行かはるんやてなあ。 345 00:30:18,517 --> 00:30:22,487 へえ。 今月の末に天満をたちます。 (お勢)そう。 346 00:30:22,487 --> 00:30:28,960 ほんなら 久々に… 運勢見てあげまひょか? 347 00:30:28,960 --> 00:30:32,831 江戸での勝負… はい 吉と出るか! 348 00:30:32,831 --> 00:30:35,434 懐かしおますなあ。 349 00:30:35,434 --> 00:30:40,305 初めて 天満に来た日 ええ卦が出て ほっとしたこと覚えてます。 350 00:30:40,305 --> 00:30:43,975 ああ… やっぱり やめときまひょ。 351 00:30:43,975 --> 00:30:48,447 えっ? いや あの時の卦な ホンマは➡ 352 00:30:48,447 --> 00:30:52,651 「柳が 水に もまれるがごとし」て 出てたんや。 353 00:30:52,651 --> 00:30:58,156 その悪い卦を あんさんが 自力で ええ運勢に変えはったんやで。 354 00:30:58,156 --> 00:31:00,759 あ… そうやったんだすか。 うん。 355 00:31:00,759 --> 00:31:04,596 江戸でも一緒や。 どないな運勢かて➡ 356 00:31:04,596 --> 00:31:08,900 ご寮さんなら 昌運に変えはるやろ。 357 00:31:11,770 --> 00:31:15,107 (お勢)早太郎! なあ? フフフ。 358 00:31:15,107 --> 00:31:18,410 (鳴き声) 359 00:31:28,620 --> 00:31:34,793 天神さんに ようお願いしましたさかい これで安心や。 360 00:31:34,793 --> 00:31:37,596 さあ 戻りまひょ。 361 00:31:43,268 --> 00:31:47,472 姉さん。 何? 362 00:31:47,472 --> 00:31:50,275 うち…➡ 363 00:31:50,275 --> 00:31:55,480 姉さんと一緒に江戸に行きたい。 えっ? 364 00:31:55,480 --> 00:31:58,150 江戸では 木綿も商うんやろ? 365 00:31:58,150 --> 00:32:02,587 それやったら うちかて ちょっとは役に立てる思うわ。 366 00:32:02,587 --> 00:32:05,624 お願いや… 江戸に連れてって。 367 00:32:05,624 --> 00:32:08,760 何言うてるの。 368 00:32:08,760 --> 00:32:12,597 うちを置いていかんといて。 369 00:32:12,597 --> 00:32:15,801 もう離れ離れになるのは嫌や。 370 00:32:17,769 --> 00:32:19,704  回想 (結)姉しゃ!➡ 371 00:32:19,704 --> 00:32:24,009 嫌や! 離れるんは 嫌や! 372 00:32:28,246 --> 00:32:33,084 まだ 西も東も分からへんのに…➡ 373 00:32:33,084 --> 00:32:37,923 あんたを連れていかれへんよ。 374 00:32:37,923 --> 00:32:42,127 江戸で商いのめどが立ったら きっと呼ぶよって。 375 00:32:42,127 --> 00:32:47,265 それまで 天満で 店 守っててほしい。 376 00:32:47,265 --> 00:32:51,469 はあ… 大きな なりして➡ 377 00:32:51,469 --> 00:32:54,673 もう泣きみそではあかんよ。 378 00:32:57,976 --> 00:33:05,083 お願いや。 きっと… きっと江戸に呼んでな。 379 00:33:05,083 --> 00:33:22,234 ♬~ 380 00:33:22,234 --> 00:33:26,037 ⚟(お竹)ご寮さん お茶 お持ちしました。 381 00:33:32,444 --> 00:33:37,749 どないしたんだす? 閉めきって。 風 入れまひょな。 382 00:33:42,454 --> 00:33:46,458 あっ ホタル飛んでますで。 383 00:33:54,065 --> 00:33:56,768 お竹どん。 (お竹)へえ。 384 00:34:09,214 --> 00:34:13,084 頼みたいことがあります。 385 00:34:13,084 --> 00:34:19,758 わてと一緒に 江戸に行ってもらえまへんやろか。 386 00:34:19,758 --> 00:34:21,693 このとおりだす。 387 00:34:21,693 --> 00:34:24,095 女衆に頭下げるもんやありまへん。 388 00:34:24,095 --> 00:34:28,099 苦労かけることは分かってるけど…➡ 389 00:34:28,099 --> 00:34:31,770 お竹どんの助けがいりますのや。 390 00:34:31,770 --> 00:34:35,240 女衆としてや ありまへん。 391 00:34:35,240 --> 00:34:40,946 わての右腕になって 商い手伝うてもらいとうおます。 392 00:34:43,949 --> 00:34:51,256 お竹どんの知恵と技と… その心根で➡ 393 00:34:51,256 --> 00:34:55,760 五鈴屋の江戸店 一緒に作ってほしいんだす。 394 00:35:01,399 --> 00:35:07,205 わてが… お役に立ちますやろか? 395 00:35:07,205 --> 00:35:10,075 年も年やし…➡ 396 00:35:10,075 --> 00:35:16,081 近頃は目ぇも薄なって 針の運びも 昔のようにはいきまへん。 397 00:35:17,749 --> 00:35:19,751 けど…。 398 00:35:23,221 --> 00:35:29,094 それでも ええて 言うていただけるのやったら…➡ 399 00:35:29,094 --> 00:35:32,964 わては どこまでも お供して➡ 400 00:35:32,964 --> 00:35:36,434 この寿命が尽きるまで➡ 401 00:35:36,434 --> 00:35:41,773 ご寮さんのおそばで 働かせていただきとうございます。 402 00:35:41,773 --> 00:35:45,243 お竹どん…。 403 00:35:45,243 --> 00:35:50,548 どうぞ 江戸へお供させておくれやす。 404 00:35:53,451 --> 00:35:55,787 おおきに。 405 00:35:55,787 --> 00:36:02,394 ああ… はあ…。 406 00:36:02,394 --> 00:36:07,265 一生 鍋の底 磨いて 暮らすだけや 思てましたのに。 407 00:36:07,265 --> 00:36:13,738 フッ… ああ… この年になって➡ 408 00:36:13,738 --> 00:36:18,076 こんな面白いことが あるやなんて。 409 00:36:18,076 --> 00:36:21,946 フフフ…。 フッ… アハハハ! 410 00:36:21,946 --> 00:36:30,455 (笑い声) 411 00:36:34,626 --> 00:36:36,628 はあ…。 412 00:36:40,331 --> 00:36:46,438 (治兵衛)明日は いよいよ出立だすなあ。 へえ。 413 00:36:46,438 --> 00:36:49,240 はあ~…。 414 00:36:49,240 --> 00:36:55,947 フフッ 昔 ここで 問屋は 何で お客に物を売らんのかて➡ 415 00:36:55,947 --> 00:36:58,983 聞かれたことがおましたな。 フフッ。 416 00:36:58,983 --> 00:37:09,060 その時 治兵衛さんから教わったんだす。 商いは 川の流れのようなもんやて。 417 00:37:09,060 --> 00:37:11,396 (鳥の鳴き声) 418 00:37:11,396 --> 00:37:16,067 あ… あれ ミサゴだすな。 へえ。 419 00:37:16,067 --> 00:37:19,571 (鳴き声) 420 00:37:22,740 --> 00:37:28,213 江戸に出たら ミサゴの目 持ちなはれや。 421 00:37:28,213 --> 00:37:32,751 ミサゴの目? 422 00:37:32,751 --> 00:37:38,423 高いとこから 川の流れを見るように➡ 423 00:37:38,423 --> 00:37:43,628 世の中の大きなうねりを読む目だす。 424 00:37:45,196 --> 00:37:49,000 いや… それだけでは足りまへん。 425 00:37:50,769 --> 00:37:53,104 アリの目も いりますわ。 426 00:37:53,104 --> 00:37:56,007 アリ? 427 00:37:56,007 --> 00:37:59,878 地べた はう アリのように➡ 428 00:37:59,878 --> 00:38:06,184 身の回りの小さなもんに 目を凝らすことだす。 429 00:38:06,184 --> 00:38:11,990 アリの目と ミサゴの目…。 430 00:38:16,194 --> 00:38:22,066 夕日は金色 川面は銀色や! 431 00:38:22,066 --> 00:38:26,571 神さんがくれた 美しい色だすな。 432 00:38:28,740 --> 00:38:31,643 ご寮さん…➡ 433 00:38:31,643 --> 00:38:39,951 江戸の商いの川 金色と銀色に 染めてみなはれ。 434 00:38:41,753 --> 00:38:43,688 へえ。 435 00:38:43,688 --> 00:38:54,098 ♬~ 436 00:38:54,098 --> 00:38:59,604 お竹どんまで行ってしまうやなんて… あんまり さみしいわ。 437 00:38:59,604 --> 00:39:05,043 (お竹)何べん おんなじこと言いますのや。 今生の別れやあるまいし。 438 00:39:05,043 --> 00:39:11,182 けど… わての花嫁姿も見てもらえんうちに…。 439 00:39:11,182 --> 00:39:16,988 あんたが嫁ぐの待ってたら いつまでたっても江戸へ出られへんわ。 440 00:39:16,988 --> 00:39:19,557 ひどい…。 441 00:39:19,557 --> 00:39:23,061 ほれ チャッチャとせな 間に合いまへんで! 442 00:39:25,730 --> 00:39:33,538 なあ… わての嫁入りの時には きっと戻ってきてな。 443 00:39:35,206 --> 00:39:41,579 へえへえ。 めでたい知らせ届くの 首長うして待ってます。 444 00:39:41,579 --> 00:40:01,432 ♬~ 445 00:40:01,432 --> 00:40:06,237 (菊栄)これは お守り代わりや。➡ 446 00:40:06,237 --> 00:40:13,444 幸は江戸で わては大坂で お互い 気張りまひょ。 447 00:40:13,444 --> 00:40:16,347 へえ。 448 00:40:16,347 --> 00:40:21,786 いつか一緒に 何ぞ面白いことをやりまひょな! 449 00:40:21,786 --> 00:40:50,815 ♬~ 450 00:40:50,815 --> 00:40:54,652 江戸の様子 確かめたら わては すぐ帰ってきますよってな➡ 451 00:40:54,652 --> 00:40:57,488 それまで 店 頼みましたで。 452 00:40:57,488 --> 00:40:59,424 (手代たち)へえ! 453 00:40:59,424 --> 00:41:01,359 待った 待った! ハァ…。 454 00:41:01,359 --> 00:41:04,595 ああ よかった! 間に合うたわ。 455 00:41:04,595 --> 00:41:08,099 亀三さん。 うん… ハァ… あんな…➡ 456 00:41:08,099 --> 00:41:12,437 江戸で 何ぞ 困ったことあったら この人 訪ねてみなはれ。 457 00:41:12,437 --> 00:41:14,472 きっと知恵貸してくれるはずや。 458 00:41:14,472 --> 00:41:18,776 ありがとさんでございます。 459 00:41:18,776 --> 00:41:23,247 ほな ぼちぼち。 へえ。 460 00:41:23,247 --> 00:41:27,118 留守の間 よろしゅう頼んます。 461 00:41:27,118 --> 00:41:29,120 (手代たち)へえ! 462 00:41:34,459 --> 00:41:39,330 智やん… 門出やで。 463 00:41:39,330 --> 00:41:43,167 打ちま~っしょ! 464 00:41:43,167 --> 00:41:46,137 もひとつせ! 465 00:41:46,137 --> 00:41:49,474 (一同)祝うて三度! 466 00:41:49,474 --> 00:41:52,276 お気を付けて行っておいでやす。 467 00:41:52,276 --> 00:41:57,815 旦那さん 一緒に江戸へ… 行きまひょな。 468 00:41:57,815 --> 00:42:01,219 打ちま~っしょ! よいよい! 469 00:42:01,219 --> 00:42:04,122 もひとつせ! よいよい! 470 00:42:04,122 --> 00:42:07,425 祝うて三度! よよいのよい! 471 00:42:07,425 --> 00:42:10,228 打ちま~っしょ! よいよい! 472 00:42:10,228 --> 00:42:35,787 ♬~ 473 00:42:35,787 --> 00:42:37,722 何でお止めせなんだんや。 474 00:42:37,722 --> 00:42:39,957 江戸て けったいなとこだすな。 475 00:42:39,957 --> 00:42:42,627 大坂の比ではございませんよ。 南無三。 476 00:42:42,627 --> 00:42:45,463 今は まず無事に江戸店 開くことだす。 477 00:42:45,463 --> 00:42:47,398 小頭さん。 アハハ! 478 00:42:47,398 --> 00:42:50,802 惣ぼんさんが江戸にいはって もし 五鈴屋を継ぎたい言わはったら…。 479 00:42:50,802 --> 00:42:53,104 店主が女?