1 00:00:02,202 --> 00:00:04,137 (せみの声) 2 00:00:04,137 --> 00:00:08,141 <宝暦3年 江戸市中に広まった麻疹は➡ 3 00:00:08,141 --> 00:00:12,412 夏になっても猛威を振るい続け➡ 4 00:00:12,412 --> 00:00:16,950 春先に華々しく 鈴の小紋を売り出した五鈴屋も➡ 5 00:00:16,950 --> 00:00:20,754 客足は途絶えたままでした> 6 00:00:27,427 --> 00:00:30,964 ⚟あっ あった! あれだよ~! ⚟ちょっと…。 7 00:00:30,964 --> 00:00:33,867 (賢輔)おいでやす! (佐助)おいでやす。 8 00:00:33,867 --> 00:00:36,436 あの~…➡ 9 00:00:36,436 --> 00:00:40,307 紫の鈴柄…➡ 10 00:00:40,307 --> 00:00:45,145 少し… 売ってもらえるかい? 11 00:00:45,145 --> 00:00:49,449 (賢輔) へえ 切り売りもさせていただきます。 12 00:00:49,449 --> 00:00:54,154 (佐助)お子の着物だすか? 半反 お切りしまひょか? 13 00:00:55,989 --> 00:01:01,595 このくらい… 四寸ずつ売ってほしいんだ。 14 00:01:01,595 --> 00:01:04,932 ⚟(佐助)よ… 四寸だすか? 15 00:01:04,932 --> 00:01:08,802 (結)四寸て… これくらいやね。 16 00:01:08,802 --> 00:01:10,804 何にしはるのやろ? 17 00:01:10,804 --> 00:01:13,273 (お竹)ご寮さん…。 18 00:01:13,273 --> 00:01:18,946 この四寸を こないして縫いとじたら…➡ 19 00:01:18,946 --> 00:01:22,416 鉢巻きだす。 (幸)鉢巻き? 20 00:01:22,416 --> 00:01:26,286 もういいよ。 ここは 私らが来るような店じゃないんだ。 21 00:01:26,286 --> 00:01:29,623 (佐助)あっ いや…。 待っとくれやす。 22 00:01:29,623 --> 00:01:34,127 ご入り用なんは 鉢巻き こしらえはる布だすか? 23 00:01:34,127 --> 00:01:36,630 お子のための麻疹封じだすな。 24 00:01:36,630 --> 00:01:41,969 (すすり泣き) 無理を言ってるのは 分かってるよ。 25 00:01:41,969 --> 00:01:46,640 けど… 子供の命が懸かってんだ。 26 00:01:46,640 --> 00:01:49,676 鈴には邪気を払う力があるんだろう? 27 00:01:49,676 --> 00:01:51,812 すぐに ご用意させていただきます。 28 00:01:51,812 --> 00:01:55,649 えっ… いいのかい? たったの四寸ぽっちで。 29 00:01:55,649 --> 00:01:57,985 へえ 何寸でも結構でございます。 30 00:01:57,985 --> 00:02:01,388 ああ… ありがとうございます! ありがとうございます! 31 00:02:01,388 --> 00:02:06,760 <紫色の染料 紫根が 生薬にも使われることから➡ 32 00:02:06,760 --> 00:02:09,262 当時 紫の鉢巻きには➡ 33 00:02:09,262 --> 00:02:15,402 病平癒の力が宿ると 信じられていたのです> 34 00:02:15,402 --> 00:02:18,705 (母親たち)ありがとうございます。 35 00:02:21,608 --> 00:02:27,481 お役に立って よろしゅうございました。 36 00:02:27,481 --> 00:02:30,984 どうぞ ご無事で。 37 00:02:33,286 --> 00:02:36,089 (鳴き声) 38 00:02:39,426 --> 00:02:52,973 ♬~ 39 00:02:52,973 --> 00:02:58,445 <多くの人の命を奪った麻疹も 秋には ようやく収まり➡ 40 00:02:58,445 --> 00:03:02,315 江戸の町に活気が戻ってきました> 41 00:03:02,315 --> 00:03:06,186 新しゅう売り出した藍鼠の鈴小紋だす。 42 00:03:06,186 --> 00:03:09,589 どの帯にも合わせやすい色でございます。 43 00:03:09,589 --> 00:03:16,263 <疫病禍の間 手間を惜しまず 四寸の切り売りに応じ続けた五鈴屋は➡ 44 00:03:16,263 --> 00:03:22,602 一躍 名を上げ 江戸の繁盛店の一つに 数えられるようになっていました> 45 00:03:22,602 --> 00:03:27,407 (お浜)帯結びの稽古も久しぶりだねえ! へえ 半年ぶりだす。 46 00:03:27,407 --> 00:03:30,310 (お照)五鈴屋さんは どうなっちまうかと案じてたけど➡ 47 00:03:30,310 --> 00:03:34,114 病鉢巻きのおかげで ますます評判が上がったねえ! 48 00:03:34,114 --> 00:03:37,784 まさか鉢巻きに使てもらえるとは 思いも寄らんことで。 49 00:03:37,784 --> 00:03:41,288 (お仲)四寸ばかり売ったって もうけには ならないだろうに➡ 50 00:03:41,288 --> 00:03:44,191 五鈴屋さんは江戸っ子のかがみだよ~。 51 00:03:44,191 --> 00:03:47,427 江戸っ子って わてら 大坂もんだす。 52 00:03:47,427 --> 00:03:50,731 (笑い声) そうだった! 53 00:03:52,299 --> 00:03:54,301 (吉二)お邪魔しますよ。 54 00:03:54,301 --> 00:03:57,437 あ… 吉二さん おいでやす。 (賢輔 佐助)おいでやす。 55 00:03:57,437 --> 00:04:01,742 (吉二)今日は師匠の使いで参りました。 さあ どうぞ上がっとくれやす。 56 00:04:01,742 --> 00:04:04,778 ここで結構です。 すぐに失礼しますので。 57 00:04:04,778 --> 00:04:08,482 へえ。 ご用向きは何でございましょう。 58 00:04:10,383 --> 00:04:15,088 今月 十月二十日 恵比須講の日に 日本橋の小西屋さんに➡ 59 00:04:15,088 --> 00:04:18,925 紫の鈴小紋を十反 届けていただきたいとのことです。 60 00:04:18,925 --> 00:04:21,394 まあ 十反も! 61 00:04:21,394 --> 00:04:25,765 小西屋さんは老舗の薬種問屋で 師匠のひいき筋なんです。ああ…。 62 00:04:25,765 --> 00:04:28,668 今年は厄落としも兼ねて 盛大に祝うそうで➡ 63 00:04:28,668 --> 00:04:31,938 私も呼ばれているんですよ。 ああ そうだすか。 64 00:04:31,938 --> 00:04:35,408 鈴の小紋は 恵比寿様にお供えいたします。 65 00:04:35,408 --> 00:04:38,111 おおきに ありがとさんでございます。 66 00:04:38,111 --> 00:04:40,781 あっ それから 反物を届ける時は➡ 67 00:04:40,781 --> 00:04:43,683 おかみさんも一緒にいらっしゃいと 申しておりました。 68 00:04:43,683 --> 00:04:46,887 へえ 伺わしていただきます。 69 00:04:51,958 --> 00:04:55,829 (歓声) 70 00:04:55,829 --> 00:04:58,131 アハハハ…。 71 00:05:01,635 --> 00:05:07,240 (佐助)賢輔どん 二十日は ご寮さんのお供 頼みますで。 72 00:05:07,240 --> 00:05:10,143 へえ。 73 00:05:10,143 --> 00:05:14,114 姉さん うちも一緒に行ったらあかん? 74 00:05:14,114 --> 00:05:17,884 えっ?江戸の恵比寿講て どないなもんか見てみたい。 75 00:05:17,884 --> 00:05:20,754 あ… 何だすの 子供みたいに。 76 00:05:20,754 --> 00:05:24,457 そやかて… なあ ええやろ? 77 00:05:34,267 --> 00:05:36,203 (吉二)お見えになりました。 78 00:05:36,203 --> 00:05:38,605 ごめんやす。 (結)ごめんやす。 79 00:05:38,605 --> 00:05:40,540 (賢輔)ごめんやす。 80 00:05:40,540 --> 00:05:43,109 (栄次郎)呼びつけて悪かったが➡ 81 00:05:43,109 --> 00:05:45,779 江戸の恵比寿講が どんなものか見ておくのも➡ 82 00:05:45,779 --> 00:05:47,814 商いの役に立つかと思ってな。 83 00:05:47,814 --> 00:05:52,319 あ… お心遣い おおきに ありがとさんでございます。 84 00:05:55,488 --> 00:05:58,358 座敷に上がってもらうわけには いかねえが➡ 85 00:05:58,358 --> 00:06:03,163 ここから見てごらん。 へえ! フフフ。 86 00:06:07,100 --> 00:06:09,402 ああ…。 87 00:06:13,840 --> 00:06:18,378 (栄次郎)あの段飾りに 鈴の小紋を供えるのさ。➡ 88 00:06:18,378 --> 00:06:23,250 疫病退散に一役買った反物だ。 恵比寿様も 喜んでくれるだろうよ。 89 00:06:23,250 --> 00:06:25,252 へえ。 90 00:06:30,390 --> 00:06:34,761 ⚟なんと かわいらしい…。 91 00:06:34,761 --> 00:06:46,373 ♬~ 92 00:06:46,373 --> 00:06:51,778 (小西屋)これはこれは 枡吾屋さん! ようこそ おいでくださいました。 93 00:06:51,778 --> 00:06:54,614 (枡吾屋忠兵衛) 本日は お招きにあずかりまして…。 94 00:06:54,614 --> 00:06:59,486 心ばかりの祝いの品でございます。 お納めください。 95 00:06:59,486 --> 00:07:01,888 (小西屋)ありがとうございます。 96 00:07:01,888 --> 00:07:06,359 枡吾屋忠兵衛 日本橋の本両替商だよ。 97 00:07:06,359 --> 00:07:08,295 引き合わせようか? 98 00:07:08,295 --> 00:07:16,903 ♬~ 99 00:07:16,903 --> 00:07:20,106 いえ 結構でございます。 100 00:07:23,576 --> 00:07:26,479 賢輔どん そろそろ おいとましますで。 へえ。 101 00:07:26,479 --> 00:07:28,448 えっ もう 帰りますのん? 102 00:07:28,448 --> 00:07:32,919 お邪魔になったら あかんさかい ぼちぼち 行きまひょ。 103 00:07:32,919 --> 00:07:35,722 ありがとさんでございました。 104 00:07:42,929 --> 00:07:45,398 (お竹)♬ 七草なずな 105 00:07:45,398 --> 00:07:47,467 ♬ 唐土の鳥が 106 00:07:47,467 --> 00:07:51,271 (お竹 結) ♬ 日本の国に 渡らぬ先に 107 00:07:51,271 --> 00:07:53,773 ♬ ストトンが トントン 108 00:07:53,773 --> 00:07:59,946 <結に縁談が持ち込まれたのは 年が明けてすぐのことでした> 109 00:07:59,946 --> 00:08:05,218 日本橋の本両替商 枡吾屋忠兵衛様ですよ。 110 00:08:05,218 --> 00:08:07,887 えっ? 恵比寿講の日に➡ 111 00:08:07,887 --> 00:08:09,823 妹御を見初めたそうなんです。 112 00:08:09,823 --> 00:08:15,562 アハハ まあ そこで この私が 仲人に立ったというわけでして。 113 00:08:15,562 --> 00:08:20,233 枡吾屋さんのような大店と うちとでは 釣り合いが取れてへんように思います。 114 00:08:20,233 --> 00:08:26,373 まあ そこはそれ あちらは 四十六におなりですから。 115 00:08:26,373 --> 00:08:32,178 二年前に おかみさんに先立たれて お寂しいようです。 116 00:08:32,178 --> 00:08:37,751 親子ほど年の離れた人の 後添えにいうお話だすか? 117 00:08:37,751 --> 00:08:41,621 十七~十八の娘盛りじゃあるまいし。 118 00:08:41,621 --> 00:08:47,761 二十歳を いくつも過ぎて 枡吾屋さんに望まれるなら➡ 119 00:08:47,761 --> 00:08:51,464 後添えでも玉のこしですよ。 120 00:08:58,938 --> 00:09:01,708 お竹どん 結は? 121 00:09:01,708 --> 00:09:07,881 二階だす。 小西屋さん お声が大きいおますさかい…。 122 00:09:07,881 --> 00:09:10,216 (ため息) 123 00:09:10,216 --> 00:09:32,238 ♬~ 124 00:09:32,238 --> 00:09:35,074 惨めやわ…。 125 00:09:35,074 --> 00:09:39,245 こない惨めな気持ちになるやなんて…。 126 00:09:39,245 --> 00:09:41,581 結…。 127 00:09:41,581 --> 00:09:48,254 姉さん… うち… しんどい。 128 00:09:48,254 --> 00:09:50,924 しんどうて かなんの…。 129 00:09:50,924 --> 00:09:54,594 (泣き声) 130 00:09:54,594 --> 00:09:59,899 心配せんでええ。 すぐに断り入れるさかい。 131 00:10:05,238 --> 00:10:10,143 寒ざらし~ 白玉~。 132 00:10:10,143 --> 00:10:17,417 <その年の夏 五鈴屋が売り出した 新柄の小紋が またも評判を呼んで➡ 133 00:10:17,417 --> 00:10:20,120 手が回らなくなった五鈴屋には➡ 134 00:10:20,120 --> 00:10:25,125 近江屋から 二人の助っ人が 派遣されてきました> 135 00:10:28,294 --> 00:10:30,630 あっ どうぞ どうぞ 中でもご覧ください。 136 00:10:30,630 --> 00:10:33,433 (お才)新しい手代さん 入ったんですねえ。 137 00:10:33,433 --> 00:10:36,336 近江屋さんから 通てきてもろてるんだす。 138 00:10:36,336 --> 00:10:39,639 誰ぞ探そうにも なかなか その暇がのうて…。 139 00:10:39,639 --> 00:10:42,675 (お才)あ~ ご繁盛で何よりです。 140 00:10:42,675 --> 00:10:47,380 力造さんのおかげで 蝙蝠柄の小紋も 大層な人気だす。 141 00:10:47,380 --> 00:10:49,816 ホンマに 何とお礼を言うたらええのか…。 142 00:10:49,816 --> 00:10:52,452 型紙がいいからですよ。➡ 143 00:10:52,452 --> 00:10:58,258 彫りはもちろん 賢輔さんの描く下絵が そりゃ見事だもの。 144 00:10:58,258 --> 00:11:01,928 実はね 今日は ちょいと ご相談がありまして…。 145 00:11:01,928 --> 00:11:03,863 へえ 何だすやろ? 146 00:11:03,863 --> 00:11:08,101 知り合いの糸屋さんに 年頃のお嬢さんがいるんですよ。 147 00:11:08,101 --> 00:11:12,405 そのお嬢さん 賢輔さんに岡惚れして➡ 148 00:11:12,405 --> 00:11:16,276 婿に欲しい 口利いてもらえないかって 頼まれちまったんです。 149 00:11:16,276 --> 00:11:18,611 賢輔を婿に? うん。 150 00:11:18,611 --> 00:11:22,415 (湯飲みを落とす音) あっ すんまへん! 151 00:11:22,415 --> 00:11:25,318 大事ないか? 152 00:11:25,318 --> 00:11:28,288 お才さん 今のお話だすけど…。 153 00:11:28,288 --> 00:11:32,959 あっ いいんですよ。 大事な手代さんを 婿に出すはずないことくらい➡ 154 00:11:32,959 --> 00:11:36,629 分かってますから。 あ… 申し訳ありまへんけど➡ 155 00:11:36,629 --> 00:11:38,565 どうぞ お断り言うとくれやす。 156 00:11:38,565 --> 00:11:42,569 (お才)ええ 角が立たないように うまく言っておきますよ。 157 00:11:44,304 --> 00:11:46,806 よかった…。 158 00:11:48,641 --> 00:11:53,446 <この時 幸は やっと気付いたのです> 159 00:11:53,446 --> 00:11:56,983 すんまへん 麦湯 すぐにお持ちします。 160 00:11:56,983 --> 00:12:03,790 <結が 四歳年下の賢輔に 思いを寄せていることに> 161 00:12:11,264 --> 00:12:14,167 (結)二十六夜の月待ちて 初めてだすな。 162 00:12:14,167 --> 00:12:17,670 大坂では やりまへんさかいな。 163 00:12:23,276 --> 00:12:25,945 月の出まで 物干しで待っててもかまへんやろか? 164 00:12:25,945 --> 00:12:29,749 ええよ あんまり夜更かしせんようにね。 165 00:12:32,719 --> 00:12:38,424 佐助どん 賢輔どん 上で一緒に月待ちせえへん? 166 00:12:38,424 --> 00:12:42,962 (佐助)年に一度のことや ご一緒させてもろたらよろしいわ。 167 00:12:42,962 --> 00:12:48,635 けど…。 (佐助)わては まだ することあるさかい。 168 00:12:48,635 --> 00:12:52,839 ほな そないさせてもらいます。 うん。 169 00:12:57,143 --> 00:12:59,178 賢輔どん これ 運んでくれる? 170 00:12:59,178 --> 00:13:01,114 へえ。 171 00:13:01,114 --> 00:13:04,884 (お竹)ご寮さん わても 上へ行かしてもろて よろしおますか? 172 00:13:04,884 --> 00:13:07,587 へえ ご苦労はんだした。 173 00:13:13,259 --> 00:13:21,768 ご寮さん これ ご覧になっておくれやす。 174 00:13:21,768 --> 00:13:25,405 年末までの売り上げ こないなりそうだす。 175 00:13:25,405 --> 00:13:28,608 銀一千貫! ホンマだすか? 176 00:13:28,608 --> 00:13:32,278 店開いて三年で こない大商いさせてもろて➡ 177 00:13:32,278 --> 00:13:36,616 ありがたいことでございます。 ああ…。 178 00:13:36,616 --> 00:13:41,421 佐助どん… わてからも 話がおます。 179 00:13:41,421 --> 00:13:44,323 跡目のことだすか? 180 00:13:44,323 --> 00:13:48,294 誰を跡目に据えるか そろそろ決めなあきまへん。 181 00:13:48,294 --> 00:13:51,431 へえ。 182 00:13:51,431 --> 00:13:53,800 わては…➡ 183 00:13:53,800 --> 00:13:55,835 賢輔どんを養子にして➡ 184 00:13:55,835 --> 00:14:00,139 八代目 継いでもらうのが ええのやないかて思てますのや。 185 00:14:02,508 --> 00:14:07,246 わても それがええ思います。 186 00:14:07,246 --> 00:14:10,083 賢輔どんは 治兵衛さんによう似てる。 187 00:14:10,083 --> 00:14:14,387 いずれ 五鈴屋を支えていくやろ 思てました。 188 00:14:14,387 --> 00:14:16,456 佐助どん…。 189 00:14:16,456 --> 00:14:23,596 高島店の親旦那さんも 鉄助どんも きっと それがええ おっしゃいますやろ。 190 00:14:23,596 --> 00:14:26,632 あとは 本人の覚悟だすな。 191 00:14:26,632 --> 00:14:30,470 早いうちに いっぺん 話 してみます。 192 00:14:30,470 --> 00:14:34,107 それと…➡ 193 00:14:34,107 --> 00:14:40,413 跡目に決まったら 賢輔どんは 天満に戻ることになりますやろ。 194 00:14:40,413 --> 00:14:43,316 その時は…➡ 195 00:14:43,316 --> 00:14:48,621 結も 一緒に行かせるかもしれまへん。 196 00:14:48,621 --> 00:14:53,960 結さんと夫婦なる いうことだすな。 197 00:14:53,960 --> 00:14:57,830 へえ お似合いや思います。➡ 198 00:14:57,830 --> 00:15:01,768 江戸店は寂しなりますけど…➡ 199 00:15:01,768 --> 00:15:06,906 ご寮さんが お家さんに 結さんが ご寮さんにならはったら➡ 200 00:15:06,906 --> 00:15:10,209 五鈴屋は末永う安泰だすな。 201 00:15:16,249 --> 00:15:20,586 暑い盛りも じき終わりだすなあ。 202 00:15:20,586 --> 00:15:24,390 この夏は 蝙蝠柄が よう売れましたな。 203 00:15:24,390 --> 00:15:30,897 へえ。 また 何ぞ 新しい図案 考えなあきまへん。 204 00:15:32,598 --> 00:15:35,501 賢輔どん…➡ 205 00:15:35,501 --> 00:15:40,273 大事な話がありますのや。 206 00:15:40,273 --> 00:15:42,275 へえ。 207 00:15:51,417 --> 00:15:58,624 五鈴屋に嫁ぐ時 治兵衛さんから教わったんだす。 208 00:15:58,624 --> 00:16:04,831 商いは 川の流れのようなもんやて。 209 00:16:10,903 --> 00:16:15,575 ぎょうさんの人が汗流して 流れを作ってる。 210 00:16:15,575 --> 00:16:21,247 そやさかい 欲得ずくで汚したらあかん。 211 00:16:21,247 --> 00:16:27,954 その言葉を頼りに 五鈴屋の のれん守ってきましたんや。 212 00:16:31,891 --> 00:16:35,761 その役目を…➡ 213 00:16:35,761 --> 00:16:42,935 次は… 賢輔どんに託したいて思てます。 214 00:16:42,935 --> 00:16:44,871 えっ? 215 00:16:44,871 --> 00:16:49,408 八代目店主として 五鈴屋を継いどくれやす。 216 00:16:49,408 --> 00:16:54,113 な… 何を…? あきまへん。 217 00:16:58,150 --> 00:17:01,354 それは あきまへん! 堪忍しとくれやす! 218 00:17:01,354 --> 00:17:05,558 佐助どんも承知してることだす。 賢輔どんなら ふさわしいて。 219 00:17:05,558 --> 00:17:09,729 買いかぶりだす! わては そないな器や… あらしまへん! 220 00:17:09,729 --> 00:17:12,632 どうぞ 堪忍しておくれやす! 221 00:17:12,632 --> 00:17:14,834 賢輔どん…。 222 00:17:17,904 --> 00:17:20,740 すぐに決めんでもええ。 223 00:17:20,740 --> 00:17:24,076 九月には 鉄助どんに 江戸に来てもらいますさかい➡ 224 00:17:24,076 --> 00:17:27,280 それまで よう考えとくれやす。 225 00:17:30,249 --> 00:17:35,254 (せみとヒグラシの声) 226 00:17:38,925 --> 00:17:45,698 <枡吾屋が訪ねてきたのは それから間もなくのこと> 227 00:17:45,698 --> 00:17:51,270 妹のことでございましたら とうに お断りさせていただいておりますけど。 228 00:17:51,270 --> 00:17:55,608 お返事は 承っております。 229 00:17:55,608 --> 00:18:03,716 なれど… なんとか もう一度 お考え直しいただけませんでしょうか。 230 00:18:03,716 --> 00:18:05,751 実は 先日…➡ 231 00:18:05,751 --> 00:18:10,456 浅草寺さんの仲見世で 結さんをお見かけしまして。 232 00:18:16,228 --> 00:18:19,231 ⚟(お竹)結さん そろそろ…。 233 00:18:19,231 --> 00:18:21,567 へえ。 おおきに。 234 00:18:21,567 --> 00:18:26,272 (忠兵衛)かわいらしい姿が 目に焼き付いてしまい…。 235 00:18:29,241 --> 00:18:34,113 どうしても 思い切れないのでございます。 236 00:18:34,113 --> 00:18:39,385 後添えに迎えさせていただけますなら 正式に披露目もして➡ 237 00:18:39,385 --> 00:18:44,090 一生 何の苦労もさせぬよう お守りいたします! 238 00:18:44,090 --> 00:18:49,261 結さんを私に… このとおり お願い申し上げます! 239 00:18:49,261 --> 00:18:51,931 わてからも お頼申します。 240 00:18:51,931 --> 00:18:54,600 妹のことは忘れとくれやす。 241 00:18:54,600 --> 00:18:59,939 何べん 申し込んでいただいたかて お断りするよりほかございまへん。 242 00:18:59,939 --> 00:19:13,486 ♬~ 243 00:19:13,486 --> 00:19:17,356 では…➡ 244 00:19:17,356 --> 00:19:24,563 せめて… この紅を結さんに。 245 00:19:24,563 --> 00:19:28,434 こない立派なお品 頂くわけにはまいりまへん。 246 00:19:28,434 --> 00:19:35,641 哀れな年寄りに この上 恥をかかせないでくださいまし。 247 00:19:41,914 --> 00:19:45,751 では 今日のところは これで…。 248 00:19:45,751 --> 00:19:48,654 ⚟(結)アハハ…。 ⚟(お竹)てんごばっかり…。 249 00:19:48,654 --> 00:19:52,525 (忠兵衛)結さん! 250 00:19:52,525 --> 00:19:58,264 枡吾屋忠兵衛ですよ。 去年 恵比須講で…。 251 00:19:58,264 --> 00:20:00,933 あっ…。 252 00:20:00,933 --> 00:20:04,804 お目にかかれてよかった… フッ。 253 00:20:04,804 --> 00:20:10,609 結さん 何か困ったことがあったら いつでも訪ねていらっしゃい。 254 00:20:13,412 --> 00:20:17,950 きっと お力になりますよ。 255 00:20:17,950 --> 00:20:19,952 へえ。 256 00:20:33,432 --> 00:20:36,635 (結) 枡吾屋さんって優しそうなお人やけど➡ 257 00:20:36,635 --> 00:20:40,940 年が行き過ぎてて 父さんのようにしか 思われへんわ。 258 00:20:42,975 --> 00:20:48,647 妹には もう決まった人がいるて 言うてくれはったらええのに。 259 00:20:48,647 --> 00:20:50,583 えっ? 260 00:20:50,583 --> 00:20:55,521 堪忍だす。 前に佐助どんと話してるのを 聞いてしもたんよ。 261 00:20:55,521 --> 00:20:58,324 うち… うれしいて うれしいて…。 262 00:20:58,324 --> 00:21:01,260 結 思い違いしたらあかん。 263 00:21:01,260 --> 00:21:05,397 跡目のことかて 縁組みのことかて まだ何一つ決まってへんのやで。 264 00:21:05,397 --> 00:21:07,933 分かってます まだ先のことやもんね。 265 00:21:07,933 --> 00:21:16,408 けど… 姉さんが そないなふうに 考えてくれてたことが うれしいて。 266 00:21:16,408 --> 00:21:20,613 ほな 台所 手伝うてきます。 267 00:21:20,613 --> 00:21:22,915 (ため息) 268 00:21:24,483 --> 00:21:30,790 菊~ 干し菊~。 269 00:21:34,160 --> 00:21:37,163 ご苦労はんだした。 へい。 270 00:21:42,301 --> 00:21:47,640 どちらからだす? あ… 呉服仲間の月行事さんや。 271 00:21:47,640 --> 00:21:49,975 明日 寄り合いやて。 272 00:21:49,975 --> 00:21:53,646 えらい急だすな。 273 00:21:53,646 --> 00:21:55,681 ご寮さん! 274 00:21:55,681 --> 00:21:59,451 周助どん! (周助)お久しゅうございます。 275 00:21:59,451 --> 00:22:03,088 <重陽の節句の日に 天満からやって来たのは➡ 276 00:22:03,088 --> 00:22:08,594 鉄助ではなく 高島店の支配人 周助でした> 277 00:22:08,594 --> 00:22:13,098 ぎっくり腰だすか! ええ 長旅は無理や言わはって➡ 278 00:22:13,098 --> 00:22:15,134 わてが代わりに。 はあ~。 279 00:22:15,134 --> 00:22:20,773 鉄助どんも お年やさかい 無理したらあきまへんな。 280 00:22:20,773 --> 00:22:23,409 これ 鉄助どんから預かってまいりました。 281 00:22:23,409 --> 00:22:25,411 おおきに。 282 00:22:32,418 --> 00:22:36,956 えっ? まだ早い? 283 00:22:36,956 --> 00:22:42,828 (桔梗屋孫六)賢輔どんに跡目継がせるの まだ早いやろか? 284 00:22:42,828 --> 00:22:44,830 (治兵衛)フッ…。 285 00:22:44,830 --> 00:22:50,135 その前に江戸でやることが ぎょうさん ありますよって。 286 00:22:52,504 --> 00:22:58,978 小紋染めには まだまだ 賢輔の手がいりますやろ。 287 00:22:58,978 --> 00:23:00,913 (膝を打つ音) ほな いっぺん…➡ 288 00:23:00,913 --> 00:23:03,749 周助を江戸に やってみまひょか。 289 00:23:03,749 --> 00:23:07,386 へえ それが よろしおます。 290 00:23:07,386 --> 00:23:16,395 幸なら よう考えて 五鈴屋のために 一番ええ道 選びますやろ。 291 00:23:19,932 --> 00:23:23,936 一番ええ道…。 292 00:23:33,479 --> 00:23:36,382 ええ香りだすなあ。 293 00:23:36,382 --> 00:23:41,120 今日は 重陽の節句やさかい 菊の花の おつゆだす。 294 00:23:41,120 --> 00:23:45,424 天満でも 江戸店見習うて お膳に お菜つけるようにしましたんや。 295 00:23:45,424 --> 00:23:51,797 おお そら ええことだすなあ。 茶漬けに こうこだけでは 力 出まへんよって。 296 00:23:51,797 --> 00:23:54,633 やることが増えて お梅どんが えらいんやない? 297 00:23:54,633 --> 00:23:57,536 (笑い声) それで女衆入れましたんやけど➡ 298 00:23:57,536 --> 00:23:59,505 嫁に行くことになってしもて。 ああっ! 299 00:23:59,505 --> 00:24:04,910 お梅どん また 先越されたて 悔しがってます。(笑い声) 300 00:24:04,910 --> 00:24:07,746 (結)姉さん? どないしはったの? 301 00:24:07,746 --> 00:24:13,385 あ… ああ そや 明日 呉服仲間の寄り合いがおますのや。 302 00:24:13,385 --> 00:24:16,288 佐助どんと一緒に 周助どんも来とくれやす。 303 00:24:16,288 --> 00:24:19,591 へえ お供させていただきます。 304 00:24:19,591 --> 00:24:24,897 (佐助)こない急な呼び出し 初めてだすな。 何だすやろ? 305 00:24:28,934 --> 00:24:33,605 (鳥の鳴き声) 306 00:24:33,605 --> 00:24:38,944 (足音) 307 00:24:38,944 --> 00:24:40,946 (ししおどしの音) 308 00:24:49,421 --> 00:24:53,959 皆さん 遅うおますなあ。 どないしはりましたんやろ? 309 00:24:53,959 --> 00:24:57,830 (藤木屋)今日は ほかの方は おいでにはなりません。 310 00:24:57,830 --> 00:24:59,832 えっ? 311 00:24:59,832 --> 00:25:04,603 五鈴屋さんのお耳に入れておきたい 話がありましてねえ…。 312 00:25:04,603 --> 00:25:06,605 何でございましょう? 313 00:25:06,605 --> 00:25:11,744 今月の末 お奉行所から お呼び出しがあるはずです。 314 00:25:11,744 --> 00:25:14,780 お奉行所? 何か 落ち度でもありましたやろか? 315 00:25:14,780 --> 00:25:19,385 いいえ。 上納金のお申しつけですよ。 316 00:25:19,385 --> 00:25:26,158 上納金て… お上に 金銀 納めるいうことだすか? 317 00:25:26,158 --> 00:25:29,395 なんぼほど お納めすれば ええんだすやろ? 318 00:25:29,395 --> 00:25:35,267 金高は その場で 切り紙にて申し渡されますが…➡ 319 00:25:35,267 --> 00:25:37,770 恐らくは…➡ 320 00:25:37,770 --> 00:25:40,406 千五百両かと。 321 00:25:40,406 --> 00:25:44,276 えっ… 千五百両!? そないな むちゃなことを…! 322 00:25:44,276 --> 00:25:48,580 (遠州屋)お上の御用だ。 口を慎みなさい。 323 00:25:53,952 --> 00:25:58,290 店開いて三年の五鈴屋に 何で そないな大金を…。 324 00:25:58,290 --> 00:26:01,560 (亀田屋) お上のお目に留まったのでしょう。 325 00:26:01,560 --> 00:26:07,232 役者のお練りで 派手に江戸中を沸かせましたからねえ。 326 00:26:07,232 --> 00:26:13,105 上納金は献金ではありません。 お借り上げいただくのですよ。 327 00:26:13,105 --> 00:26:18,377 ご償還の折には 年に三分の利が乗ります。 328 00:26:18,377 --> 00:26:22,247 ご償還があればの話だがな。 329 00:26:22,247 --> 00:26:28,053 私のとこは 二年前に千五百両をお納めしたきり➡ 330 00:26:28,053 --> 00:26:31,590 いまだに ご返済はない。➡ 331 00:26:31,590 --> 00:26:35,794 そうしたものと心得ておけばよかろう。 332 00:26:37,463 --> 00:26:42,234 もしも 払えなんだら どないなりますのやろ? 333 00:26:42,234 --> 00:26:53,412 ♬~ 334 00:26:53,412 --> 00:26:58,283 その時は 呉服仲間から外れていただきます。 335 00:26:58,283 --> 00:27:00,219 ええっ? 336 00:27:00,219 --> 00:27:05,557 それだから こうして前もって伝えているのだ。 337 00:27:05,557 --> 00:27:13,765 江戸で商いを続けたければ 千五百両 借りてでも用意なさい。 338 00:27:17,569 --> 00:27:21,373 (お竹)千五百両も?➡ 339 00:27:21,373 --> 00:27:26,245 まっとうに稼いだお金 何で 搾り取られなあきまへんのやろ? 340 00:27:26,245 --> 00:27:29,248 江戸のお仲間は薄情でおます。 341 00:27:29,248 --> 00:27:33,752 借りてでも都合せえ言うだけで 何の力にもなってくれまへん。 342 00:27:33,752 --> 00:27:39,558 こないな時に頼れる人 誰か いてへんの? 343 00:27:39,558 --> 00:27:44,263 お金は 両替商から借りるよりほか ありまへん。 344 00:27:44,263 --> 00:27:48,600 けど 金借りたら 利子も払わななりまへん。 345 00:27:48,600 --> 00:27:51,637 上納金は 年利三分や 言うてはりましたけど➡ 346 00:27:51,637 --> 00:27:55,474 両替商に払う利子は ずっと高うおます。 347 00:27:55,474 --> 00:27:58,944 借りるにしても カタ取られるのやおまへんか? 348 00:27:58,944 --> 00:28:02,347 えっ 返せへんかったら 店取られてしまういうこと? 349 00:28:02,347 --> 00:28:05,250 そないなことにはなりまへん。 350 00:28:05,250 --> 00:28:08,153 はあ… あれこれ案じても しかたない。 351 00:28:08,153 --> 00:28:11,890 明日 蔵前屋さんを訪ねて 聞いてみまひょ。 352 00:28:11,890 --> 00:28:17,763 悔しおますなあ… 言われるまんま払わんならんのは。 353 00:28:17,763 --> 00:28:20,065 (ため息) 354 00:28:34,146 --> 00:28:38,116 (蔵前屋)五鈴屋様 お待たせして申し訳ございません。 355 00:28:38,116 --> 00:28:42,754 あいにく 本両替仲間との 先約がございましたもので。 356 00:28:42,754 --> 00:28:46,625 こちらこそ 急にお訪ねしてしもて…。 357 00:28:46,625 --> 00:28:51,763 仲間の一人が 是非 ご挨拶をしたいと申しておりますが➡ 358 00:28:51,763 --> 00:28:53,799 お通ししても よろしゅうございますか。 359 00:28:53,799 --> 00:28:56,268 へえ どうぞ。 360 00:28:56,268 --> 00:29:00,072 (蔵前屋) 井筒屋さん お許しを頂きましたよ。 361 00:29:07,546 --> 00:29:09,848 (佐助)えっ…。 362 00:29:13,885 --> 00:29:18,056 井筒屋の三代目店主 保晴でございます。 363 00:29:18,056 --> 00:29:21,360 お初にお目にかかります。 364 00:29:21,360 --> 00:29:25,864 五鈴屋七代目の 幸でございます。 365 00:29:29,568 --> 00:29:32,771 (小声で)少し席外してもらえますか? 366 00:29:34,439 --> 00:29:39,578 お話が済みましたら 声をかけてください。 367 00:29:39,578 --> 00:29:48,920 ♬~ 368 00:29:48,920 --> 00:29:53,792 借金の相談やったら やめときなはれや。 えっ? 369 00:29:53,792 --> 00:29:57,929 上納金なんぞ 金借りてまで払うもんと違いまっせ。 370 00:29:57,929 --> 00:29:59,865 何で ご存じなんだす? 371 00:29:59,865 --> 00:30:05,404 どこに白羽の矢が立ったかは すぐ耳に入ります。 372 00:30:05,404 --> 00:30:10,776 はあ… その金 用立てるのが 両替商の仕事だすよってな。 373 00:30:10,776 --> 00:30:15,614 言われたとおりに払てたら つけ込まれるばかりやで。 374 00:30:15,614 --> 00:30:19,418 けど 払わなんだら 呉服仲間から外されます。 375 00:30:19,418 --> 00:30:23,288 フッ… もっと知恵絞んなはれ。 376 00:30:23,288 --> 00:30:28,160 高い利のつく金借りんでも なんとかする手ぇはありますやろ。 377 00:30:28,160 --> 00:30:30,962 なんとかて… どないしたらええんだす? 378 00:30:30,962 --> 00:30:34,833 それ考えるのは あんさんの仕事だすわ。 379 00:30:34,833 --> 00:30:36,835 ほな。 380 00:30:40,305 --> 00:30:45,444 ああ… もう一つ言うておきますわ。 381 00:30:45,444 --> 00:30:50,982 悪いやつほど アホのふりがうまいよって 気ぃ付けなはれや。 382 00:30:50,982 --> 00:30:55,687 悪いやつ? 誰のことだす? 383 00:30:58,657 --> 00:31:01,560 惣ぼんさん! 384 00:31:01,560 --> 00:31:06,264 五鈴屋に戻らはるおつもり おありだすやろか?➡ 385 00:31:06,264 --> 00:31:09,267 お家さんも 智ぼんさんも のうなってしもて➡ 386 00:31:09,267 --> 00:31:16,908 今では 惣ぼんさんお一人が 五鈴屋のお血筋だす。 387 00:31:16,908 --> 00:31:19,611 何の話だすやろ? 388 00:31:19,611 --> 00:31:24,416 わては 井筒屋の三代目だす。 389 00:31:24,416 --> 00:31:29,221 そちらさんとは 何の関わりもおまへん。 390 00:31:35,627 --> 00:31:39,965 (お竹)惣ぼんさん 両替商に…!➡ 391 00:31:39,965 --> 00:31:45,437 そら なんぼ呉服屋探してみたかて 見つからへんはずだすわ。 392 00:31:45,437 --> 00:31:50,142 蔵前屋さんの話やと 潰れかけてた銭両替の婿に入って➡ 393 00:31:50,142 --> 00:31:53,445 店立て直した上に 本両替の株買わはったんやそうだす。 394 00:31:53,445 --> 00:31:59,985 ああ… 己の才覚で はい上がらはったんだすなあ。 395 00:31:59,985 --> 00:32:03,855 へえ…。 金借りんで済む手ぇがあるて➡ 396 00:32:03,855 --> 00:32:07,259 何のことだすやろ? 397 00:32:07,259 --> 00:32:11,596 姉さん 枡吾屋さんに頼んでみたらどないやろ? 398 00:32:11,596 --> 00:32:14,499 力になる言うてくれはったし…。 何言うてますのや! 399 00:32:14,499 --> 00:32:19,337 枡吾屋さんに借り作る方が よっぽど あとが恐ろしおます。 400 00:32:19,337 --> 00:32:26,945 ご寮さん 千五百両 江戸店だけで しょい込むことは ございまへん。 401 00:32:26,945 --> 00:32:31,783 本店と 高島店と 江戸店➡ 402 00:32:31,783 --> 00:32:36,955 三つに分けて それぞれ五百両ずつ 受け持ったらどないだすやろ? 403 00:32:36,955 --> 00:32:41,426 ああ… 五百両なら なんとか都合つきます。 404 00:32:41,426 --> 00:32:44,329 そないしてもろたら 金借りんで済みますなあ。 405 00:32:44,329 --> 00:32:46,298 ほな すぐに大坂に 文…。 406 00:32:46,298 --> 00:32:50,435 今度のことは 江戸の商いから起きたことだす。 407 00:32:50,435 --> 00:32:53,638 本店や高島店に迷惑はかけられまへん。 408 00:32:53,638 --> 00:32:56,441 迷惑て…。 409 00:32:56,441 --> 00:32:58,810 何をおっしゃいますのや! 410 00:32:58,810 --> 00:33:03,648 三つの店は 皆 ご寮さんが束ねる 一つの五鈴屋やおまへんか! 411 00:33:03,648 --> 00:33:06,151 周助どん…。 412 00:33:11,456 --> 00:33:15,961 三つに… 分ける? 413 00:33:24,936 --> 00:33:29,107 この度 上納金を仰せつけられることと相成った。 414 00:33:29,107 --> 00:33:32,310 子細は書面をもって申し渡す。 415 00:33:44,589 --> 00:33:50,896 日限りは来月十五日 沙汰のとおり 遅滞なく納めよ。 よいな? 416 00:33:56,635 --> 00:34:03,241 恐れながら お役人様に申し上げます。 417 00:34:03,241 --> 00:34:08,747 私どものような小さい店では 一度に 千五百両をお納めいたしますのは➡ 418 00:34:08,747 --> 00:34:10,682 難しゅうございます。 419 00:34:10,682 --> 00:34:17,923 用意できぬと申すか? では いくらなら納められるのだ? 420 00:34:17,923 --> 00:34:20,825 五百両が精いっぱいでございます。 421 00:34:20,825 --> 00:34:24,095 フッ 話にならん。 422 00:34:24,095 --> 00:34:26,932 その方ら 呉服仲間で 融通してやってはどうだ? 423 00:34:26,932 --> 00:34:29,401 め… めっそうな…。 424 00:34:29,401 --> 00:34:33,271 五鈴屋さん お上の御用ですよ。 425 00:34:33,271 --> 00:34:36,942 両替商に借りてでも都合するように お伝えしたじゃありませんか。 426 00:34:36,942 --> 00:34:41,780 けど 金を借りたら 利子を払わななりまへん。 427 00:34:41,780 --> 00:34:45,617 当たり前ですよ! 428 00:34:45,617 --> 00:34:48,653 この度 仰せつけられました上納金も➡ 429 00:34:48,653 --> 00:34:52,290 ご償還の折には 利を乗せていただけると伺うております。 430 00:34:52,290 --> 00:34:55,293 さよう それにあるとおりだ。 431 00:34:57,629 --> 00:35:00,532 利は年三分…。 432 00:35:00,532 --> 00:35:05,737 では 改めて お願いがございます。 433 00:35:05,737 --> 00:35:10,608 お申しつけの千五百両 もし 三年に分けて➡ 434 00:35:10,608 --> 00:35:14,379 五百両ずつ お納めさせていただけますなら➡ 435 00:35:14,379 --> 00:35:19,918 この利子と同じ額を お上に献金させていただきとう存じます。 436 00:35:19,918 --> 00:35:22,387 これ! な… 何を申すのだ! 437 00:35:22,387 --> 00:35:24,456 両替商から借りて払う利子は➡ 438 00:35:24,456 --> 00:35:28,927 ただ 両替商のもうけになるだけの 無駄な金にございます。 439 00:35:28,927 --> 00:35:34,399 同じ年利を払うのでございましたら お上に お役立ていただく方が➡ 440 00:35:34,399 --> 00:35:39,604 私どもにとって はるかに誉れでございます。 441 00:35:39,604 --> 00:35:46,277 五百両に 年利分の献金を足して 三度に分けてお納めすること➡ 442 00:35:46,277 --> 00:35:52,617 お許しいただけますならば ありがたいと存じます。 443 00:35:52,617 --> 00:35:57,288 どうぞ よろしゅうお頼申します。 444 00:35:57,288 --> 00:36:12,771 ♬~ 445 00:36:12,771 --> 00:36:16,241 ご寮さん…。 446 00:36:16,241 --> 00:36:20,078 よろしおましたなあ お許しが出て! へえ。 447 00:36:20,078 --> 00:36:23,915 わては寿命が縮む思いだした。 わてもだす。 448 00:36:23,915 --> 00:36:28,753 ご寮さんは肝が据わってはりますなあ お役人さん相手に あない堂々と! 449 00:36:28,753 --> 00:36:30,789 まだ 手ぇ震えてますのや。 450 00:36:30,789 --> 00:36:35,393 ほら…。 451 00:36:35,393 --> 00:36:39,931 はよ戻って 皆に知らせまひょ。 (佐助 周助)へえ! 452 00:36:39,931 --> 00:36:48,940 ♬~ 453 00:36:48,940 --> 00:36:50,975 旦那さん…。 454 00:36:50,975 --> 00:36:55,780 わて… 間違うてまへんやろか…。 455 00:36:58,416 --> 00:37:00,618 ご寮さん。 456 00:37:02,887 --> 00:37:05,724 上納金のことも片づきましたよって➡ 457 00:37:05,724 --> 00:37:09,594 明日の朝 天満に帰らせていただきとうおます。 458 00:37:09,594 --> 00:37:12,497 長いこと 引き止めてしもて 堪忍しとくれやす。 459 00:37:12,497 --> 00:37:18,303 いや… 江戸店の商い学ばせていただいて ありがたいことでございます。 460 00:37:18,303 --> 00:37:23,508 天満に戻りましたら まねできることは すぐに やらせていただきます。 461 00:37:32,817 --> 00:37:37,222 ⚟(鐘の音) 462 00:37:39,591 --> 00:37:47,465 明日 周助どんが天満に戻る前に 決めておきたいことがあります。 463 00:37:47,465 --> 00:37:52,170 五鈴屋の八代目のことだす。 464 00:37:57,408 --> 00:38:02,714 女名前が許されるのは 来年の一月まで。 465 00:38:02,714 --> 00:38:07,218 そのあとを…➡ 466 00:38:07,218 --> 00:38:10,555 周助どんに託したいて思てます。 467 00:38:10,555 --> 00:38:12,557 えっ? 468 00:38:16,227 --> 00:38:20,565 賢輔どん…。 へえ。 469 00:38:20,565 --> 00:38:26,371 あんさんには 江戸で 新しい小紋 作ってもらいます。 470 00:38:26,371 --> 00:38:31,743 小紋染めが 一時のはやりで終わるか 末永う売れる品になるか➡ 471 00:38:31,743 --> 00:38:36,247 ここからが正念場だす。 472 00:38:36,247 --> 00:38:38,750 へえ! 473 00:38:41,920 --> 00:38:45,790 周助どん。 へえ。 474 00:38:45,790 --> 00:38:51,629 桔梗屋を継ぎたいて望んではること よう分かってます。 475 00:38:51,629 --> 00:38:56,401 けど… 力貸してほしいんだす。 476 00:38:56,401 --> 00:39:00,405 五鈴屋を百年続く店にするために➡ 477 00:39:00,405 --> 00:39:05,543 周助どんに 八代目を継いでもらいとうおます。 478 00:39:05,543 --> 00:39:15,053 ♬~ 479 00:39:15,053 --> 00:39:20,858 わてには… 過ぎたお役目でございます。 480 00:39:24,229 --> 00:39:26,564 けど…➡ 481 00:39:26,564 --> 00:39:30,768 それでもええと おっしゃっていただけますのならば…。 482 00:39:36,574 --> 00:39:40,878 跡目 継がせていただきとう存じます。 483 00:39:43,348 --> 00:39:48,152 五鈴屋の のれん守って しかるべき時が来たら…。 484 00:39:51,923 --> 00:39:59,230 しかるべき人を立てて 次の代に お譲りいたします。 485 00:40:04,269 --> 00:40:06,938 よろしゅうお頼申します。 486 00:40:06,938 --> 00:40:26,624 ♬~ 487 00:40:26,624 --> 00:40:28,626 結…。 488 00:40:31,296 --> 00:40:34,299 さっきの話だすけどな…。 分かってます。 489 00:40:34,299 --> 00:40:39,804 周助どんが跡目継ぐのが順序や。 うちも そう思います。 490 00:40:41,639 --> 00:40:48,146 小紋の下絵描くのは 賢輔どんにしかできへん仕事やし…。 491 00:40:48,146 --> 00:40:54,452 跡目のことと あんたのことは 一旦 分けて考えることにしましたんや。 492 00:40:54,452 --> 00:40:56,821 へえ よう分かってますて。 493 00:40:56,821 --> 00:40:59,657 (風の音) 494 00:40:59,657 --> 00:41:02,627 中 入って話そか。 風邪ひくさかい。 495 00:41:02,627 --> 00:41:06,264 先入ってて。 すぐ行きますよって。 496 00:41:06,264 --> 00:41:20,411 ♬~ 497 00:41:20,411 --> 00:41:22,613 (賢輔)わてが。 498 00:41:27,285 --> 00:41:30,955 天満の皆さんに よろしゅう伝えとくれやす。 499 00:41:30,955 --> 00:41:32,890 へえ。 500 00:41:32,890 --> 00:41:37,295 (風の音) 501 00:41:37,295 --> 00:41:42,300 (周助) 江戸も大坂も 同じ 一つののれんだすな。 502 00:41:48,906 --> 00:41:51,843 皆で 心一つにして➡ 503 00:41:51,843 --> 00:41:57,448 五鈴屋の のれん 百年先まで掲げていきまひょな。 504 00:41:57,448 --> 00:41:59,517 (一同)へえ! 505 00:41:59,517 --> 00:42:20,805 ♬~ 506 00:42:20,805 --> 00:42:42,293 ♬~ 507 00:42:42,293 --> 00:42:55,006 ♬~