1 00:00:05,820 --> 00:00:09,820 (結)あっ また取られてしもた。→ 2 00:00:09,820 --> 00:00:12,190 昔も こないして 遊んだね。 3 00:00:12,190 --> 00:00:15,210 負けて泣いたこと よう覚えてるわ。 4 00:00:15,210 --> 00:00:20,270 (幸)フフフ… あんた まだ 五つにもならん頃やったもの。 5 00:00:20,270 --> 00:00:25,310 兄さんも気が早いわ。 産まれるの みつきも先やのに→ 6 00:00:25,310 --> 00:00:29,360 もう おはじき 買うてきて。 7 00:00:29,360 --> 00:00:32,380 女子かどうかも分からんのにね。 8 00:00:32,380 --> 00:00:36,430 男の子に備えて 鍾馗さんの幟 買うてくる 言うてはったよ。 9 00:00:36,430 --> 00:00:39,430 あ…。 フフフ…。 10 00:00:41,140 --> 00:00:45,520 うちは… おはじきみたいや。→ 11 00:00:45,520 --> 00:00:49,550 津門村から はじき飛ばされて ここに来たんやもん。 12 00:00:49,550 --> 00:00:51,240 何言うてるの? 13 00:00:51,240 --> 00:00:54,600 (智蔵)幸 支度はええか? 14 00:00:54,600 --> 00:00:56,960 へえ。 15 00:00:56,960 --> 00:01:01,000 結ちゃん 勝負の途中ですまんな。 幸と安産祈願に行きますんや。 16 00:01:01,000 --> 00:01:03,000 気ぃ付けて 行っておいでやす。 17 00:01:07,740 --> 00:01:11,100 姉さんは幸せやね。 18 00:01:11,100 --> 00:01:17,840 兄さんは優しいし 奉公人からは慕われて。 19 00:01:17,840 --> 00:01:23,230 ややこが生まれたら もっと大事にされるやろ。 20 00:01:23,230 --> 00:01:29,950 姉さんは 何でも手に入れてしまうんやね。 21 00:01:29,950 --> 00:01:32,320 幸 行きますで。 22 00:01:32,320 --> 00:01:37,700 ほら 呼んではるよ。 ここは ええから。 23 00:01:37,700 --> 00:01:41,700 そうか? ほな…。 24 00:01:48,480 --> 00:01:52,840 <津門村から移り住んで半年。→ 25 00:01:52,840 --> 00:01:59,840 まだ天満の暮らしに慣れない 妹の胸の内が 幸には気がかりでした> 26 00:02:01,940 --> 00:02:14,940 ・~ 27 00:02:16,750 --> 00:02:21,140 幸 しんどいやろ? あ…。 28 00:02:21,140 --> 00:02:24,500 あっ そこで一息入れよか。 29 00:02:24,500 --> 00:02:25,850 あっ へえ。 30 00:02:25,850 --> 00:02:29,220 旦那さん えらい汗かいて。 31 00:02:29,220 --> 00:02:35,280 ああ… 何や 体が重うてな。 えっ? 32 00:02:35,280 --> 00:02:41,670 幸の身重が わてにも うつったんやろか。 そないアホなこと…。 33 00:02:41,670 --> 00:02:46,050 アハハ! いや 仲のええ夫婦なら ありそうなことやで。 34 00:02:46,050 --> 00:02:50,050 アハハハ! もう… てんご言うて。 35 00:02:52,780 --> 00:02:58,170 ややこのこと ようお頼みしたよって これで一安心や。 36 00:02:58,170 --> 00:03:00,530 どないした? 37 00:03:00,530 --> 00:03:05,580 あっ… 昔に比べて 帯の幅 広うなったな思て。 38 00:03:05,580 --> 00:03:08,950 帯が幅広になったんは→ 39 00:03:08,950 --> 00:03:13,990 上村吉弥いう女形が 吉弥結び はやらせてからて聞いてます。 40 00:03:13,990 --> 00:03:16,020 吉弥結び? 41 00:03:16,020 --> 00:03:20,720 それまで女帯いうたら 幅五寸やったのに→ 42 00:03:20,720 --> 00:03:23,430 吉弥結びには大幅の帯使たんだす。 ああ…。 43 00:03:23,430 --> 00:03:28,810 京の帯屋が 幅広の帯地売り出して えらい もうけたらしいわ。 44 00:03:28,810 --> 00:03:33,520 帯屋? 京には 帯だけ売る店がありますのんか? 45 00:03:33,520 --> 00:03:35,210 ああ あるで。 あ…。 46 00:03:35,210 --> 00:03:39,580 京は着倒れいうて 帯にも お金かけはるのや。 47 00:03:39,580 --> 00:03:41,580 はあ…。 48 00:03:44,300 --> 00:03:47,660 帯か…。 49 00:03:47,660 --> 00:03:59,450 ・~ 50 00:03:59,450 --> 00:04:03,490 (お竹)2階にしもうてあったもん これで全部だす。 51 00:04:03,490 --> 00:04:05,840 おおきに。 52 00:04:05,840 --> 00:04:09,880 夏帯だけで こないに… ぜいたくやなあ。 53 00:04:09,880 --> 00:04:15,610 着物一枚に帯三本て よう お家さんが 言うてはりましたな。 54 00:04:15,610 --> 00:04:20,990 同じ着物でも 帯替えたら違て見えますのや。 55 00:04:20,990 --> 00:04:25,050 何枚も着物こしらえるより よっぽど しまつがよろしおます。 56 00:04:25,050 --> 00:04:30,420 着物一枚に… 帯三本。 57 00:04:30,420 --> 00:04:32,110 これ みんな 絹やろか。 58 00:04:32,110 --> 00:04:38,840 へえ。 それが絽で こっちが紗だす。 59 00:04:38,840 --> 00:04:42,540 へえ~。 ああ これやら 結さんのお召し物にも→ 60 00:04:42,540 --> 00:04:46,540 よう合いますで。 そやろか。 へえ! 61 00:04:54,340 --> 00:04:56,690 あっ…。 62 00:04:56,690 --> 00:05:00,720 花や~ ワラビ~。 63 00:05:00,720 --> 00:05:02,720 ワラビは要らへんか? 64 00:05:04,770 --> 00:05:07,790 (鉄助)ご相談事て何でおます? 65 00:05:07,790 --> 00:05:10,830 帯のことなんやけどな…。 へえ… 帯が何か? 66 00:05:10,830 --> 00:05:13,520 反物をお買い上げになるお客さんに→ 67 00:05:13,520 --> 00:05:17,230 帯地取り合わせて 一緒にお勧めしたら どないだすやろ。 68 00:05:17,230 --> 00:05:19,580 お~… ほほほ…。 69 00:05:19,580 --> 00:05:21,930 お勧めする言うても→ 70 00:05:21,930 --> 00:05:24,970 着物と帯の組み合わせは 大抵 決まってるもんだす。 71 00:05:24,970 --> 00:05:28,970 (周助)お客さんが お手持ちの帯と お好みで合わせはりますし。 72 00:05:30,700 --> 00:05:35,080 これやったら どないな帯 合わせます? 73 00:05:35,080 --> 00:05:37,760 まず 黒麻だすな。 74 00:05:37,760 --> 00:05:40,460 どなたにも よう似合いますよって。 ええ。 75 00:05:40,460 --> 00:05:44,830 ホンマに そやろか。 うん? まあ 見てごらん。 76 00:05:44,830 --> 00:05:49,890 えっ? いや… えっ? えっ? ん?→ 77 00:05:49,890 --> 00:05:51,240 えっ 開け…? 78 00:05:51,240 --> 00:05:55,610 わあ! おっ。 79 00:05:55,610 --> 00:05:58,310 えっ? 80 00:05:58,310 --> 00:06:02,350 悪うはないけど 結ちゃんには地味やないかな? 81 00:06:02,350 --> 00:06:06,050 いや 落ち着いてて ええように思いますけども。 へえ。 82 00:06:06,050 --> 00:06:08,400 お竹どん 頼みます。 へえ。 83 00:06:08,400 --> 00:06:10,760 えっ? 84 00:06:10,760 --> 00:06:13,760 あれ? あ… 閉め… あっ。 85 00:06:15,810 --> 00:06:19,850 お~。 86 00:06:19,850 --> 00:06:22,210 ほほほ。 はあ~ ええなあ。 87 00:06:22,210 --> 00:06:25,570 そうだすな 華やいで見えます。 88 00:06:25,570 --> 00:06:28,570 お竹どん 次を。 (お竹)へえ。 えっ? 89 00:06:31,300 --> 00:06:35,670 おお~。 ああ…。 90 00:06:35,670 --> 00:06:37,370 なんとまあ かいらしい! ええ! 91 00:06:37,370 --> 00:06:40,060 お竹どん。 へえ。 92 00:06:40,060 --> 00:06:44,060 あっ! ああ… もう少し…。 ああっ。 93 00:06:46,450 --> 00:06:48,140 おほほ…。 94 00:06:48,140 --> 00:06:53,190 おんなじ紺の紬が 帯で こうも違て見えるとは。 95 00:06:53,190 --> 00:06:55,880 長い間 奉公させてもろて→ 96 00:06:55,880 --> 00:06:58,900 着物と帯の相性も分かってる気ぃに なってました。 97 00:06:58,900 --> 00:07:01,600 あ~ もう! お恥ずかしい限りでおます。 98 00:07:01,600 --> 00:07:05,970 こないして見比べたら 違いが よう分かりますな。 99 00:07:05,970 --> 00:07:08,000 へえ。 100 00:07:08,000 --> 00:07:14,730 そこでや うちは 帯に 力 入れようやないか。 101 00:07:14,730 --> 00:07:21,800 帯地やったら 五鈴屋にかなう店はない 帯の五鈴屋て言われるように。 102 00:07:21,800 --> 00:07:25,510 帯の五鈴屋… ああ それは よろしおますな! 103 00:07:25,510 --> 00:07:28,510 ほな まず 帯地の数 そろえなあきまへんな。 104 00:07:33,920 --> 00:07:36,950 わてを京に行かせておくれやす。 105 00:07:36,950 --> 00:07:39,650 桔梗屋が 代々仕入れに使てた京の巴屋は→ 106 00:07:39,650 --> 00:07:44,700 西陣の織屋に顔が利きますよって ええ帯地 ぎょうさん集めさせますわ! 107 00:07:44,700 --> 00:07:47,060 よっしゃ 周助どん 頼んだで。 へえ! 108 00:07:47,060 --> 00:07:52,110 待っとくれやす。 もう一つ 相談がおます。 109 00:07:52,110 --> 00:07:55,140 へえ…。 110 00:07:55,140 --> 00:08:01,530 お竹どんと結を 屋敷売りに 連れてってもらえまへんやろか? 111 00:08:01,530 --> 00:08:03,560 (周助 鉄助)ええっ!? 今と おんなじことを→ 112 00:08:03,560 --> 00:08:05,910 お客さんにもお見せするんだす。 (鉄助)あ…。 113 00:08:05,910 --> 00:08:10,620 着た時の姿や 帯に合う結び方 一目で分かりますやろ。 114 00:08:10,620 --> 00:08:13,330 めっそうもない! 堪忍しとくれやす。 115 00:08:13,330 --> 00:08:15,680 姉さん むちゃ言わんで。 116 00:08:15,680 --> 00:08:19,710 お言葉だすけど 屋敷売りに 女子連れていくなんて→ 117 00:08:19,710 --> 00:08:23,080 聞いたこともおまへん。 お客さんが どない思わはるか…。 なあ? 118 00:08:23,080 --> 00:08:26,450 へえ…。 忘れたらあきまへんで。 119 00:08:26,450 --> 00:08:30,820 五鈴屋は 銀一千貫の商い目指してますのや。 120 00:08:30,820 --> 00:08:34,530 お竹どんは ただの女衆やありまへん。 121 00:08:34,530 --> 00:08:36,880 お家さんに 長うお仕えして→ 122 00:08:36,880 --> 00:08:40,250 着物と帯のことを 誰より よう知ってはります。 123 00:08:40,250 --> 00:08:43,960 ご寮さん…。 124 00:08:43,960 --> 00:08:46,990 無理を承知で頼みます。 125 00:08:46,990 --> 00:08:50,360 五鈴屋のために 力貸しとくれやす。 126 00:08:50,360 --> 00:08:56,360 えっ ちょ…。 いや… え…? 127 00:08:59,440 --> 00:09:05,500 <四月半ば 着物と帯の組み合わせを 実演してみせるという→ 128 00:09:05,500 --> 00:09:10,560 常識破りの挑戦が始まったのです> 129 00:09:10,560 --> 00:09:13,580 (佐七)ほな 行きまひょか。 (裏返った声で)へえ! 130 00:09:13,580 --> 00:09:17,580 (せきこみ) 行きまひょ。 131 00:09:21,670 --> 00:09:26,380 春先から 時折 疲れた顔してはるんだす。 132 00:09:26,380 --> 00:09:30,090 寝汗も かいて…。 133 00:09:30,090 --> 00:09:38,840 (道善) 熱もないし 顔色も悪うないけど…。 134 00:09:38,840 --> 00:09:43,220 う~ん…。 ああ? 135 00:09:43,220 --> 00:09:47,600 手のひら 少し赤いわ。 136 00:09:47,600 --> 00:09:50,960 どこぞ悪いところが おますのやろか? 137 00:09:50,960 --> 00:09:54,330 積聚やな。 138 00:09:54,330 --> 00:09:59,050 腹の中で 悪い気が 滞ってる。 139 00:09:59,050 --> 00:10:01,050 えっ…? 140 00:10:04,430 --> 00:10:06,120 悪い気て? 141 00:10:06,120 --> 00:10:17,560 そう おびえんでも 命取られるようなことは めったにない。 142 00:10:17,560 --> 00:10:23,290 けど 薬のんだら パ~ッと治るいうもんでもない。 143 00:10:23,290 --> 00:10:26,320 ほんなら どないしたら よろしおますのやろか。 144 00:10:26,320 --> 00:10:30,020 無理せず よう寝て→ 145 00:10:30,020 --> 00:10:36,080 日々 養生を心がけるこっちゃ。 146 00:10:36,080 --> 00:10:38,080 うむ。 147 00:10:41,460 --> 00:10:44,500 いつも おおきに ありがとさんでございます。 148 00:10:44,500 --> 00:10:47,500 お大事に。 149 00:10:56,620 --> 00:11:01,000 先生の見立て 案ずるほどのことや なかったな。 安堵したわ。 150 00:11:01,000 --> 00:11:05,710 けど 無理したらあかんて 言うてはりましたやろ。 151 00:11:05,710 --> 00:11:09,410 一病息災や。 気ぃ付けて過ごしてたら→ 152 00:11:09,410 --> 00:11:11,100 丈夫な人より かえって長生きするもんだす。 153 00:11:11,100 --> 00:11:13,450 せやけど…。 154 00:11:13,450 --> 00:11:18,500 だんない だんない。 155 00:11:18,500 --> 00:11:21,200 もうじき ややこに会えるんや。 156 00:11:21,200 --> 00:11:25,910 積聚とやらに負けてられますかいな。 157 00:11:25,910 --> 00:11:27,930 旦那さん…。 158 00:11:27,930 --> 00:11:30,620 体 大事にしなはれや。 159 00:11:30,620 --> 00:11:33,620 へえ。 フッ…。 160 00:11:34,330 --> 00:11:37,360 あっ ここや! へえ! 161 00:11:37,360 --> 00:11:45,770 <五月半ば 周助が京の巴屋から 買い付けた帯地が届き→ 162 00:11:45,770 --> 00:11:50,490 二つの五鈴屋の蔵いっぱいに 帯地が納められました> 163 00:11:50,490 --> 00:11:52,490 転びなや。 164 00:11:57,220 --> 00:12:00,250 梅雨の間 湿気には くれぐれも気ぃ付けてな。 165 00:12:00,250 --> 00:12:04,960 (賢吉)へえ 用心いたします。 166 00:12:04,960 --> 00:12:06,980 お帰りやす! あっ ご苦労さんだす。 167 00:12:06,980 --> 00:12:11,360 ただいま。 あっ 賢吉っとん これ。 168 00:12:11,360 --> 00:12:14,060 お客さんに頂いた飴や。 豆吉っとんと お食べ。 169 00:12:14,060 --> 00:12:17,430 いいえ! そんな… 結構でございます。 170 00:12:17,430 --> 00:12:20,430 遠慮せんでええから。 171 00:12:22,810 --> 00:12:25,810 ほな 頂戴いたします。 172 00:12:27,520 --> 00:12:29,520 ありがとさんでございます。 173 00:12:34,270 --> 00:12:39,270 今日は蒸すねえ。 汗染み出来んうちに着替えてくるわ。 174 00:12:42,340 --> 00:12:46,050 結さん だいぶと変わらはりましたで。 175 00:12:46,050 --> 00:12:50,090 お屋敷回り 始めた頃は おずおずしてはったけど→ 176 00:12:50,090 --> 00:12:56,810 今は 帯が よう見えるようにて 立ち方も工夫してはります。 177 00:12:56,810 --> 00:12:59,520 あ…。 かいらしいって お客さんから人気だすわ。 178 00:12:59,520 --> 00:13:04,560 そう! フフフ…。 179 00:13:04,560 --> 00:13:09,620 <お竹が屋敷売りに出るようになって 手が足りなくなった台所には→ 180 00:13:09,620 --> 00:13:14,320 高島店の女衆が助っ人に来ていました> 181 00:13:14,320 --> 00:13:16,020 (お梅) おつるどん! チャッチャとしなはれや! 182 00:13:16,020 --> 00:13:19,380 日 暮れてしまいますで! へ… へえ! 183 00:13:19,380 --> 00:13:22,740 ハハッ…。 184 00:13:22,740 --> 00:13:27,800 あのお梅どんがな… フフフ。 185 00:13:27,800 --> 00:13:30,800 あっつ! おお…。 186 00:13:39,910 --> 00:13:42,940 佐七っとん 喜んでたよ。 187 00:13:42,940 --> 00:13:46,980 あんたと お竹どんのおかげで 帯地がよう売れるて。 188 00:13:46,980 --> 00:13:49,350 あ… うちは ただ立ってるだけや。 189 00:13:49,350 --> 00:13:52,040 お竹どんが ええ具合に帯結んでくれますのや。 190 00:13:52,040 --> 00:13:54,040 フフッ…。 191 00:13:58,440 --> 00:14:01,470 不思議やね…。 192 00:14:01,470 --> 00:14:06,180 村にいた時は 一生に いっぺんでええから→ 193 00:14:06,180 --> 00:14:10,890 絹の着物に絹の帯締めてみたいて 思てたんよ。 194 00:14:10,890 --> 00:14:15,890 それが 今は こないして いろんな着物 着させてもうてる。 195 00:14:18,300 --> 00:14:21,660 結がかわいらしいて評判なんやてね。 196 00:14:21,660 --> 00:14:26,380 あっ そんなん お世辞やわ。 アハハハ! 197 00:14:26,380 --> 00:14:28,070 あっ… そや! 198 00:14:28,070 --> 00:14:32,070 あっ おはじき 置きっ放しやった。 199 00:14:36,810 --> 00:14:41,870 うちは おはじきみたいなもんやけど→ 200 00:14:41,870 --> 00:14:48,870 はじき出された先で 何が起きるか 分からんもんやね。 201 00:14:53,990 --> 00:14:55,990 そやね。 202 00:15:06,110 --> 00:15:08,110 あっ…。 203 00:15:10,820 --> 00:15:14,530 あっ… うう…。 204 00:15:14,530 --> 00:15:19,910 ああ! はあ… くっ…。 205 00:15:19,910 --> 00:15:25,300 はあ… まだ… あかん…。 206 00:15:25,300 --> 00:15:28,000 (結)姉さん? ああ…。 姉さん! 207 00:15:28,000 --> 00:15:33,000 (お竹)ご寮さん… ご寮さん! 208 00:15:37,420 --> 00:15:43,150 ・ ひとつ はじいたら ひとつ いでてく 209 00:15:43,150 --> 00:15:50,890 ・ ひとつ はじいたら ひとつ いでてく 210 00:15:50,890 --> 00:15:57,290 ・ ひとつ はじいたら ひとつ いでてく 211 00:15:57,290 --> 00:16:01,660 あの子…。 ・ ひとつ はじいたら 212 00:16:01,660 --> 00:16:05,030 ・ ひとつ いでてく あれは…。 213 00:16:05,030 --> 00:16:08,400 ・ ひとつ はじいたら わてやろか…? 214 00:16:08,400 --> 00:16:11,770 ・ ひとつ いでてく 215 00:16:11,770 --> 00:16:17,150 ・ ひとつ はじいたら ひとつ いでてく 216 00:16:17,150 --> 00:16:20,850 幸… 行ったらあかん! ・ ひとつ はじいたら 217 00:16:20,850 --> 00:16:23,890 幸 行ったらあかん! 218 00:16:23,890 --> 00:16:25,890 幸! 219 00:16:37,030 --> 00:16:42,400 幸… 幸 気ぃ付いたんか!? 220 00:16:42,400 --> 00:16:47,400 よかった… よう戻った! よう戻ったな! 221 00:16:49,810 --> 00:16:52,840 何や? 222 00:16:52,840 --> 00:16:56,840 や… や… こは? 223 00:17:09,340 --> 00:17:16,750 何も考えんでええ。 今は ゆっくり休むことや。 224 00:17:16,750 --> 00:17:18,750 なっ? 225 00:17:30,210 --> 00:17:35,210 何でやろ… むごいわ。 226 00:17:48,390 --> 00:17:55,390 (かぼそい声で)お竹どん…。 へえ… ここにいてます。 227 00:17:59,840 --> 00:18:04,560 教えとくれやす。 228 00:18:04,560 --> 00:18:10,560 ややこ… どないなったの? 229 00:18:17,690 --> 00:18:23,690 ややさんは… お寺さんに。 230 00:18:30,480 --> 00:18:34,860 (お竹)旦那さん 誰にも手ぇ出させんと→ 231 00:18:34,860 --> 00:18:38,860 お一人で お寺さんに運ばはったんだす。 232 00:18:44,960 --> 00:18:51,030 ご寮さん… 七日も 目ぇ覚まさんと…。 233 00:18:51,030 --> 00:18:56,080 お医者さんから もしかしたら このまま あかんかもしれんて→ 234 00:18:56,080 --> 00:19:02,140 言われてたんだすで。 235 00:19:02,140 --> 00:19:07,850 よう戻ってくれはりました。 236 00:19:07,850 --> 00:19:10,850 ホンマに よう…。 237 00:19:17,620 --> 00:19:21,660 わてが助かって…→ 238 00:19:21,660 --> 00:19:25,370 ややこが はじき飛ばされてしもた…。 239 00:19:25,370 --> 00:19:27,390 ・~ 240 00:19:27,390 --> 00:19:37,150 (泣き声) 241 00:19:37,150 --> 00:19:49,940 ・~ 242 00:19:49,940 --> 00:19:52,640 ほな いて参じます。 243 00:19:52,640 --> 00:19:54,990 (豆吉)お早うお帰りやす。 244 00:19:54,990 --> 00:19:59,040 <おなかの子を失い 命も落としかけた幸は→ 245 00:19:59,040 --> 00:20:05,040 ひとつき過ぎても 気力も体力も戻らないままでした> 246 00:20:08,130 --> 00:20:13,850 ・お~ ええんちゃうか? なあ? 247 00:20:13,850 --> 00:20:17,890 ・そっちは どうだす? 248 00:20:17,890 --> 00:20:20,580 ・悪うはないけど…。 ・うん うん うん…。 249 00:20:20,580 --> 00:20:26,310 ・ほかに合いそうなんは…。 ・これは どないだすやろ? 250 00:20:26,310 --> 00:20:30,020 ・ほう…。 ・でも ちょっと 地味なんと違いますやろか。 251 00:20:30,020 --> 00:20:32,020 ・ああ…。 252 00:20:38,770 --> 00:20:41,130 あれは…? 253 00:20:41,130 --> 00:20:46,510 ご寮さん お薬お持ちしました。 254 00:20:46,510 --> 00:20:54,920 お客さんやの? 旦那さん 寄り合いのはずだすけど…。 255 00:20:54,920 --> 00:21:01,660 ああ… あれ。 お客さんやありまへんで。 256 00:21:01,660 --> 00:21:06,050 店閉めたあとで 手の空いてるもんらが 集まってはるんだすわ。 257 00:21:06,050 --> 00:21:10,080 高島店からも来てはります。 258 00:21:10,080 --> 00:21:16,140 こないな時こそ 皆で知恵出し合うて 帯の五鈴屋の名ぁ広めよう→ 259 00:21:16,140 --> 00:21:20,140 ご寮さんに安心していただこう言うて。 260 00:21:23,220 --> 00:21:28,220 さあ お薬のんで 早う休んでおくれやす。 261 00:21:32,630 --> 00:21:36,630 どないしはりました? どこか痛みますんか? 262 00:21:39,370 --> 00:21:41,370 そやないの…。 263 00:21:51,500 --> 00:21:56,870 おおきに…。 264 00:21:56,870 --> 00:21:58,870 おおきにな…。 265 00:22:06,980 --> 00:22:10,680 こっちの方が 着物が 引き立ちますで。 266 00:22:10,680 --> 00:22:13,710 おお おお… そうだすな。 267 00:22:13,710 --> 00:22:27,850 ・~ 268 00:22:27,850 --> 00:22:33,850 抱いてあげられんで… 堪忍してな。 269 00:22:35,670 --> 00:22:39,790 いつか お浄土行ったら…→ 270 00:22:39,790 --> 00:22:42,930 きっと あんたを見つけますよってな。 271 00:22:42,930 --> 00:22:56,400 ・~ 272 00:22:56,400 --> 00:23:02,450 もう… 前に進まんならん。 273 00:23:02,450 --> 00:23:11,220 ・~ 274 00:23:11,220 --> 00:23:16,590 <夏の盛り 天神祭が近づく頃には→ 275 00:23:16,590 --> 00:23:20,970 帯の五鈴屋の名も 次第に広がり…> 276 00:23:20,970 --> 00:23:24,000 安土町の奈良屋さんて 初めてのお買い上げだすな。 277 00:23:24,000 --> 00:23:27,700 (末七)へえ。 得意先の井筒屋さんに 口きいていただいたんだす。 278 00:23:27,700 --> 00:23:32,080 北野屋さんにも つないでいただきました。 (広七)どっちも船場だすな。 279 00:23:32,080 --> 00:23:34,780 船場の大店だす。 280 00:23:34,780 --> 00:23:38,810 まだまだ いけまっせ! (2人)へえ! 281 00:23:38,810 --> 00:23:42,860 鉄助どん いてはりまっか!? (鉄助)どないしたんや 血相変えて。 282 00:23:42,860 --> 00:23:45,860 これ 見とくなはれ! うん? 283 00:23:49,920 --> 00:23:52,960 周助どん どないしましたんや? 284 00:23:52,960 --> 00:23:55,990 (佐七)帯の真澄屋? これ 何だす? 285 00:23:55,990 --> 00:23:58,680 大坂中に ばらまいてるようだす。 286 00:23:58,680 --> 00:24:00,700 得意先で これ見せられて→ 287 00:24:00,700 --> 00:24:04,410 五鈴屋は帯の真澄屋の二番煎じやないかて 笑われてしもたんだす。 288 00:24:04,410 --> 00:24:07,440 もう わては もう 腹が立って悔しいて! 289 00:24:07,440 --> 00:24:11,140 ホンマに油断のならんお人や。 290 00:24:11,140 --> 00:24:12,490 けったくそ悪い! 291 00:24:12,490 --> 00:24:16,530 おのれに知恵がないさかいに 平気で 人の知恵 横取りするんや。 292 00:24:16,530 --> 00:24:20,570 猿や… 猿まねや! 293 00:24:20,570 --> 00:24:23,600 猿まね…。 294 00:24:23,600 --> 00:24:25,960 (真澄屋)ぐわ~! 295 00:24:25,960 --> 00:24:30,670 フフッ… ホンマだすなあ。 296 00:24:30,670 --> 00:24:34,370 「真澄屋」やのうて 「真似屋」に 屋号変えたらよろしいわ。 297 00:24:34,370 --> 00:24:36,730 真似屋? 298 00:24:36,730 --> 00:24:42,110 そら ええな。 ぴったりや。 へえ。 まねしいの真似屋はんだす。 299 00:24:42,110 --> 00:24:45,480 けど このチラシは あんまりや。 300 00:24:45,480 --> 00:24:47,840 この紙くず こっちに頂きまひょ。 301 00:24:47,840 --> 00:24:51,210 へっついさんのたきつけにしたら よう燃えますで。 302 00:24:51,210 --> 00:24:54,910 そうだすな。 メラメラ燃えるわ。 303 00:24:54,910 --> 00:24:57,910 アハハハハ そうだすな! アハハ! 304 00:24:59,960 --> 00:25:04,680 <しかし 大量にまかれたチラシの効果は絶大で→ 305 00:25:04,680 --> 00:25:11,680 帯の五鈴屋は 次第に 帯の真澄屋に はじき出されていったのです> 306 00:25:16,460 --> 00:25:19,500 (治兵衛) 今度ばかりは してやられましたなあ。 307 00:25:19,500 --> 00:25:25,550 へえ… 帯の真澄屋の名ぁが パ~ッと広がってしもて。 308 00:25:25,550 --> 00:25:29,260 (桔梗屋孫六)真澄屋は 店前現銀売りや。 309 00:25:29,260 --> 00:25:34,970 手っ取り早う 帯求めるお客さんが 向こうに流れたんやろ。 310 00:25:34,970 --> 00:25:38,350 へえ。 周助どんが ええ帯地 集めてくれて→ 311 00:25:38,350 --> 00:25:41,710 品ぞろえでは 決して負けしまへんのやけど…。 312 00:25:41,710 --> 00:25:47,780 まあ 新しいこと始めたら まねするもんが必ず出てきますわ。 313 00:25:47,780 --> 00:25:52,140 (ため息) まねされて負けるようでは→ 314 00:25:52,140 --> 00:25:56,530 五鈴屋の商いに まだまだ 力が足らんいうことだすな。 315 00:25:56,530 --> 00:26:02,920 けど 帯とは ええとこに 目ぇつけはったわ。 アハハ。 316 00:26:02,920 --> 00:26:07,300 帯は面白いもんや。 なあ 治兵衛はん! 317 00:26:07,300 --> 00:26:09,650 へえ。 318 00:26:09,650 --> 00:26:14,710 長い間には はやり廃りも ようけ おましたなあ。 319 00:26:14,710 --> 00:26:17,400 あったなあ! 320 00:26:17,400 --> 00:26:25,150 元禄の頃やったろか? 鯨帯いうんが 大当たりしたわ。 321 00:26:25,150 --> 00:26:27,170 鯨帯て何だす? 322 00:26:27,170 --> 00:26:37,270 黒天鵞絨に 白裏 縫い合わせて 表と裏 両方使えるようにした女帯だす。 323 00:26:37,270 --> 00:26:41,310 クジラは背中が黒で 腹が白うおますやろ。 324 00:26:41,310 --> 00:26:44,310 ああ… それで「鯨」。 325 00:26:48,040 --> 00:26:52,040 黒と… 白…。 326 00:26:53,430 --> 00:26:58,430 表と… 裏…。 327 00:27:02,520 --> 00:27:08,580 (孫六)体の方は もう大丈夫そうやったな。 (治兵衛)へえ。 328 00:27:08,580 --> 00:27:15,310 (孫六) 気強うしてたけどな さぞ術ないやろ…。 329 00:27:15,310 --> 00:27:23,050 今は どないな慰めより 商いの知恵絞ることの方が→ 330 00:27:23,050 --> 00:27:24,410 幸には救いになりますやろ。 331 00:27:24,410 --> 00:27:28,440 せやなあ…。 へえ。 332 00:27:28,440 --> 00:27:33,140 あ~ かわいらしいなあ…。 (赤ん坊の声) 333 00:27:33,140 --> 00:27:34,510 ええ子 ええ子…。 334 00:27:34,510 --> 00:27:41,570 (赤ん坊の声) 335 00:27:41,570 --> 00:27:55,040 ・~ 336 00:27:55,040 --> 00:27:58,070 (留七)いて参じました~! (お梅)ええ~っ!? 337 00:27:58,070 --> 00:28:03,120 ホンマかいな? 何やねんな お梅どん 大きな声出して。 338 00:28:03,120 --> 00:28:05,480 一大事や! えっ? 2人とも→ 339 00:28:05,480 --> 00:28:11,210 所帯持つことになったんやて! えっ 2人とも!? あらまあ! 340 00:28:11,210 --> 00:28:13,230 ほな… お相手は どちらさん? 341 00:28:13,230 --> 00:28:18,280 わては 伊勢の百姓の娘だす。 (伝七)わては 道中の茶屋の娘と。 342 00:28:18,280 --> 00:28:23,330 (お竹)いやっ! アハハ! 留七っとん 伝七っとん ご苦労さんだす。 343 00:28:23,330 --> 00:28:25,680 (2人)ただいま戻りました。 344 00:28:25,680 --> 00:28:29,040 旦那さんも 番頭さんも あいにく出かけてますのや。 345 00:28:29,040 --> 00:28:33,760 ご寮さん 2人が 所帯持つそうだす。 ホンマだすか? 346 00:28:33,760 --> 00:28:35,450 ああ おめでとうさんでございます! 347 00:28:35,450 --> 00:28:38,480 (2人)ありがとさんでございます。 348 00:28:38,480 --> 00:28:43,200 めでたいけど 先越されてしもて 何や 悔しいわ。 349 00:28:43,200 --> 00:28:48,240 お梅どんが嫁ぐん待ってたら だ~れも所帯持てまへんで。 350 00:28:48,240 --> 00:28:50,600 ひどい! 351 00:28:50,600 --> 00:28:56,660 (笑い声) 352 00:28:56,660 --> 00:29:00,030 もう丸二年になるのやねえ。 353 00:29:00,030 --> 00:29:07,030 風呂敷も すっかり 日に焼けてしもて… 2人が商いに励んだ証しだすな。 354 00:29:13,590 --> 00:29:16,890 おかげさんで 今回も売り切れでおます。 355 00:29:16,890 --> 00:29:20,230 どうぞ また 反物のお貸し出し願います。 356 00:29:20,230 --> 00:29:23,260 あ… それは こっちから お願いすることだす。 357 00:29:23,260 --> 00:29:26,960 そや! 大風呂敷 新しゅう作りまひょな。 358 00:29:26,960 --> 00:29:33,700 そんなら… もう一つ お頼みしたいことがございます。 359 00:29:33,700 --> 00:29:39,080 小風呂敷の方も なんぼか まとめて お譲りいただけまへんやろか? 360 00:29:39,080 --> 00:29:41,780 どこ行っても欲しい欲しい言われて→ 361 00:29:41,780 --> 00:29:44,130 もう 手持ちが のうなってしもたんだす。 362 00:29:44,130 --> 00:29:46,490 そう! (留七)鈴の紋が珍しいて→ 363 00:29:46,490 --> 00:29:49,530 かいらしいいうて 大層な人気でおます。→ 364 00:29:49,530 --> 00:29:56,530 鈴は邪気を払う縁起もんやし どなたにも喜ばれますわ。 フフフ。 365 00:29:58,950 --> 00:30:01,950 留七っとん ちょっと それ…。 366 00:30:04,340 --> 00:30:06,340 あった…! 367 00:30:10,730 --> 00:30:14,780 こないして 帯地二枚を縫い合わせるんだす。 368 00:30:14,780 --> 00:30:18,810 昔はやった 鯨帯の要領で。 369 00:30:18,810 --> 00:30:21,510 片面に鈴柄の帯地使う いうことだすか? 370 00:30:21,510 --> 00:30:27,240 そうだす。 組み合わせる帯地は お客さんに選んでもらいまひょ。 371 00:30:27,240 --> 00:30:32,620 なるほど 一本の帯で二本分の使いでがあって…。 372 00:30:32,620 --> 00:30:36,990 これは お得だすな! お店にとっても お得だす。 373 00:30:36,990 --> 00:30:40,700 一度に二枚の帯地 買うていただけるんやさかい。 374 00:30:40,700 --> 00:30:44,700 まさに「買うての幸い 売っての幸せ」やな。 375 00:30:46,430 --> 00:30:52,480 鈴の柄は のれんにも使てる 五鈴屋の印だすよって→ 376 00:30:52,480 --> 00:30:55,850 よその店は よう まねしまへんやろ。 377 00:30:55,850 --> 00:31:00,230 帯の名ぁは どないします? 鯨帯でも ありまへんやろし。 378 00:31:00,230 --> 00:31:02,230 名ぁは…。 379 00:31:08,640 --> 00:31:11,680 はあ~! 派手な幟やなあ! 380 00:31:11,680 --> 00:31:17,060 五鈴帯て何やろ? え~ 何やろ? 381 00:31:17,060 --> 00:31:21,100 あっ 丁稚どん! 五鈴帯って何やねん。 382 00:31:21,100 --> 00:31:23,800 新しゅう売り出す帯でおます。 ほう…。 383 00:31:23,800 --> 00:31:30,530 元禄の頃に はやった鯨帯のように 表も裏も両面使えて 重宝いたします。 384 00:31:30,530 --> 00:31:34,240 (2人)ほう~。 そや! 今日は師走十四日。 385 00:31:34,240 --> 00:31:36,930 赤穂義士討ち入りの日ぃだす! 386 00:31:36,930 --> 00:31:40,630 ハハッ 「忠臣蔵」やったら 道頓堀の小屋にかかってるで。 387 00:31:40,630 --> 00:31:44,340 満員御礼の大当たりや! ホンマや! (笑い声) 388 00:31:44,340 --> 00:31:50,060 (柝の音) 東西東西~! 389 00:31:50,060 --> 00:31:53,430 命を賭して 忠義を通す その姿→ 390 00:31:53,430 --> 00:31:56,790 見ずに年は越せませぬ! 391 00:31:56,790 --> 00:32:01,180 「仮名手本忠臣蔵」 塩冶判官を相務めまするは→ 392 00:32:01,180 --> 00:32:09,920 当代一の立て役者 嵐 三十郎でございまする! 393 00:32:09,920 --> 00:32:13,630 どこのご寮さんと嬢さんやろ? ええ姿やなあ。 394 00:32:13,630 --> 00:32:16,660 旦那見てみい。 得意そうな顔してはるわ。 395 00:32:16,660 --> 00:32:21,030 見て! 鈴の帯 かいらしなあ。 396 00:32:21,030 --> 00:32:24,060 裏が鈴の模様やで。 なあ? 397 00:32:24,060 --> 00:32:27,770 あっ… あ~ 表も裏も両方使えるんかいな。 398 00:32:27,770 --> 00:32:30,460 ええなあ! どこの帯やろか? 399 00:32:30,460 --> 00:32:36,520 よっ 五鈴屋! 五鈴屋の五鈴帯~! 初お目見え! 400 00:32:36,520 --> 00:32:41,570 本日売り出しの 五鈴屋特製 五鈴帯でございます。 401 00:32:41,570 --> 00:32:44,940 どうぞ ごひいきに 願います。 402 00:32:44,940 --> 00:32:48,310 (周助)よっ 五鈴帯! 大当たり! 403 00:32:48,310 --> 00:32:56,050 <師走十四日 赤穂浪士討ち入りの日に 売り出した五鈴帯は評判を呼び→ 404 00:32:56,050 --> 00:33:03,050 年明けの初荷では浜羽二重をしのぐほどの 売れ行きとなったのです> 405 00:33:07,500 --> 00:33:12,550 <発売から半年過ぎても 五鈴帯の人気は衰えず…> 406 00:33:12,550 --> 00:33:15,250 すっかり上がったなあ。 407 00:33:15,250 --> 00:33:19,620 雨ばっかりで洗濯物が乾けへんから 困るわ。 408 00:33:19,620 --> 00:33:21,980 旦那さん ご寮さん よろしおますか? 409 00:33:21,980 --> 00:33:26,690 へえ…。 えらいことでおます。 410 00:33:26,690 --> 00:33:32,420 三月と五月の掛け取り分だけで 去年一年分の商いを超えております! 411 00:33:32,420 --> 00:33:36,110 あ…。 なんと…。 412 00:33:36,110 --> 00:33:39,820 今年の売り上げ 銀一千貫を超えるのは間違いおまへん。 413 00:33:39,820 --> 00:33:45,820 いよいよ 江戸に出る地固め 始める時やと存じます。 414 00:33:51,940 --> 00:33:55,980 旦那さん ご寮さん。 415 00:33:55,980 --> 00:33:58,680 わてを江戸に行かせておくれやす。 416 00:33:58,680 --> 00:34:04,060 けど 支配人が江戸に出てしもたら 店が困りますやろ。 417 00:34:04,060 --> 00:34:07,770 半年… 半年頂けたら 下見して戻ってまいります。 418 00:34:07,770 --> 00:34:12,140 半年やったら わてが高島店も見ますよって→ 419 00:34:12,140 --> 00:34:14,500 江戸への下見 周助どんに 任しはったらどないですやろ? 420 00:34:14,500 --> 00:34:17,530 いえ… それでは あきまへん。 421 00:34:17,530 --> 00:34:19,220 えっ? 422 00:34:19,220 --> 00:34:23,590 わてでは信用ならんいうことでおますか? 423 00:34:23,590 --> 00:34:28,310 そやありまへん。 半年では足らんのだす。 424 00:34:28,310 --> 00:34:32,680 人の暮らしは 季節で変わるもんだす。 425 00:34:32,680 --> 00:34:41,100 下見には季節を一回り… いえ 二回り じっくり 二年は かけとうおます。 426 00:34:41,100 --> 00:34:42,450 二年も? 427 00:34:42,450 --> 00:34:47,830 そない長い間 周助どんが 店 空けるわけにはいかんな。 428 00:34:47,830 --> 00:34:51,210 鉄助どんも同じことや。 へえ…。 429 00:34:51,210 --> 00:34:53,560 旦那さん…。 430 00:34:53,560 --> 00:34:58,940 江戸へは 佐七っとんに行ってもろては どないだすやろか? 431 00:34:58,940 --> 00:35:00,630 佐七っとんに? (鉄助)ああ…。 432 00:35:00,630 --> 00:35:04,000 佐七っとんは実直やし 体も大きゅうて丈夫や。 433 00:35:04,000 --> 00:35:07,020 江戸に出すには もってこいかもしれまへんな。 434 00:35:07,020 --> 00:35:12,020 周助どん すまんけど 譲ったってくれるか? 435 00:35:13,430 --> 00:35:17,430 へえ… 承知しました。 436 00:35:21,840 --> 00:35:25,220 もう一人 江戸にやりたいもんが いてますのやけど。 437 00:35:25,220 --> 00:35:28,580 もう一人? へえ。 438 00:35:28,580 --> 00:35:31,940 若いうちに江戸の商い学ばせて→ 439 00:35:31,940 --> 00:35:38,940 十年後 二十年後に 五鈴屋の要石になってもらいとうおます。 440 00:35:40,690 --> 00:35:45,070 <梅雨明けすぐの よく晴れた朝→ 441 00:35:45,070 --> 00:35:49,460 二人の奉公人が 江戸に旅立つこととなりました> 442 00:35:49,460 --> 00:35:54,170 佐七っとん 賢吉っとん しっかり頼みましたで。 443 00:35:54,170 --> 00:35:56,170 (2人)へえ! 444 00:35:58,210 --> 00:36:00,900 遅なってしもて…。 445 00:36:00,900 --> 00:36:04,900 これ よかったら使うてくれる? 446 00:36:06,280 --> 00:36:08,640 ありがとさんでございます。 447 00:36:08,640 --> 00:36:10,990 (佐七)ありがとさんだす。 448 00:36:10,990 --> 00:36:13,360 賢吉っとん 水あたりの薬持った? 449 00:36:13,360 --> 00:36:15,380 遅れんように 佐七っとんについていくんよ。 450 00:36:15,380 --> 00:36:17,740 へえ! 451 00:36:17,740 --> 00:36:21,770 結ちゃん お姉ちゃんみたいやな。 ホンマだすな。 452 00:36:21,770 --> 00:36:24,800 ほな ぼちぼち…。 453 00:36:24,800 --> 00:36:27,800 行っといでやす! (2人)へえ! 454 00:36:31,530 --> 00:36:33,530 行こか。 へえ。 455 00:36:49,710 --> 00:36:51,710 はあ…。 456 00:36:55,100 --> 00:36:58,480 佐七っとんら もう枚方の宿に着いたやろか? 457 00:36:58,480 --> 00:37:04,480 へえ。 暑い盛りの旅で苦労かけますわ。 458 00:37:07,230 --> 00:37:11,270 なあ… 今から 夕涼みに行かへんか? 459 00:37:11,270 --> 00:37:15,640 ええ? どないしたんだす? 急に。 460 00:37:15,640 --> 00:37:18,340 ええやないか。 461 00:37:18,340 --> 00:37:21,370 さあ。 462 00:37:21,370 --> 00:37:23,370 行きまひょ。 463 00:37:32,480 --> 00:37:36,480 二人で歩くの久しぶりやな。 へえ。 464 00:37:39,560 --> 00:37:43,560 ちょっと そこ座りまひょか。 あ…。 465 00:37:48,650 --> 00:37:50,650 はあ…。 466 00:37:54,700 --> 00:37:56,700 ええ風や…。 467 00:38:01,780 --> 00:38:06,820 あのな 幸…。 へえ。 468 00:38:06,820 --> 00:38:11,820 いっぺんだけ つらい話 させてな。 469 00:38:19,950 --> 00:38:21,950 それ…。 470 00:38:31,060 --> 00:38:34,430 「けい」て読むんだす。 471 00:38:34,430 --> 00:38:36,430 あの子に付けた名ぁや。 472 00:38:40,150 --> 00:38:43,150 小さな女の子やったわ。 473 00:38:54,640 --> 00:39:04,060 その字… 経糸張った機と強い腕を 表してるそうや。 474 00:39:04,060 --> 00:39:07,770 わてらの子に よう似合う名ぁだすやろ? 475 00:39:07,770 --> 00:39:12,770 はあ… へえ。 476 00:39:28,970 --> 00:39:31,670 小さいお棺にな→ 477 00:39:31,670 --> 00:39:35,670 おはじき入れて持たせましたんや。 478 00:39:38,410 --> 00:39:43,410 してやれること それしか ありまへんよって…。 479 00:39:49,850 --> 00:39:54,230 この世では会われへんけど→ 480 00:39:54,230 --> 00:40:00,620 寿命終えて お浄土へ行ったら…→ 481 00:40:00,620 --> 00:40:05,340 わてら二人で あの子 育てまひょな。 482 00:40:05,340 --> 00:40:17,120 ・~ 483 00:40:17,120 --> 00:40:21,830 幸。 484 00:40:21,830 --> 00:40:25,830 江戸に店出したら わてらも 江戸に出えへんか? 485 00:40:29,250 --> 00:40:34,960 小さな店から始めて 幸と二人→ 486 00:40:34,960 --> 00:40:41,710 子を育てるように 手ぇかけて 大事に育てていきたいのや。 487 00:40:41,710 --> 00:40:47,430 ・~ 488 00:40:47,430 --> 00:40:53,150 (すすり泣き) 489 00:40:53,150 --> 00:40:59,210 ・~ 490 00:40:59,210 --> 00:41:03,920 二人で一緒に江戸に行きまひょな。 491 00:41:03,920 --> 00:41:25,920 ・~ 492 00:41:29,180 --> 00:41:32,210 ・お早う お帰りやす。 493 00:41:32,210 --> 00:41:35,240 <江戸に出た 佐七と賢吉からは→ 494 00:41:35,240 --> 00:41:40,240 様子を知らせる文が まめに届いていました> 495 00:41:49,710 --> 00:41:51,710 あれ? 496 00:41:57,800 --> 00:42:00,800 おはじき…。 497 00:42:11,600 --> 00:42:13,600 旦那さんのお守り…。 498 00:42:15,650 --> 00:42:31,800 ・~ 499 00:42:31,800 --> 00:42:33,800 旦那さん…? 500 00:42:35,170 --> 00:42:38,870 五鈴屋 五鈴屋て 商いのことばっかりや。 501 00:42:38,870 --> 00:42:40,900 悪う言うことは許さへんよ。 誰が五鈴屋を継ぐか…。 502 00:42:40,900 --> 00:42:43,920 江戸に行ったら 女子かて店主になれる。 503 00:42:43,920 --> 00:42:47,970 ハハハハ…! 七代目! おめでとうさんでございます! 504 00:42:47,970 --> 00:42:53,970 旦那さん 一緒に江戸へ… 行きまひょな。