1 00:00:01,900 --> 00:00:04,060 (せみの声) 2 00:00:04,060 --> 00:00:08,100 <宝暦3年 江戸市中に広まった麻疹は→ 3 00:00:08,100 --> 00:00:11,810 夏になっても猛威を振るい続け→ 4 00:00:11,810 --> 00:00:17,190 春先に華々しく 鈴の小紋を売り出した五鈴屋も→ 5 00:00:17,190 --> 00:00:20,190 客足は途絶えたままでした> 6 00:00:26,960 --> 00:00:30,330 ・あっ あった! あれだよ~! ・ちょっと…。 7 00:00:30,330 --> 00:00:33,350 (賢輔)おいでやす! (佐助)おいでやす。 8 00:00:33,350 --> 00:00:36,050 あの~…→ 9 00:00:36,050 --> 00:00:39,750 紫の鈴柄…→ 10 00:00:39,750 --> 00:00:45,130 少し… 売ってもらえるかい? 11 00:00:45,130 --> 00:00:49,180 (賢輔) へえ 切り売りもさせていただきます。 12 00:00:49,180 --> 00:00:54,180 (佐助)お子の着物だすか? 半反 お切りしまひょか? 13 00:00:55,580 --> 00:01:00,630 このくらい… 四寸ずつ売ってほしいんだ。 14 00:01:00,630 --> 00:01:05,000 ・(佐助)よ… 四寸だすか? 15 00:01:05,000 --> 00:01:07,700 (結)四寸て… これくらいやね。 16 00:01:07,700 --> 00:01:09,720 何にしはるのやろ? 17 00:01:09,720 --> 00:01:12,410 (お竹)ご寮さん…。 18 00:01:12,410 --> 00:01:19,140 この四寸を こないして縫いとじたら…→ 19 00:01:19,140 --> 00:01:21,840 鉢巻きだす。 (幸)鉢巻き? 20 00:01:21,840 --> 00:01:25,540 もういいよ。 ここは 私らが来るような店じゃないんだ。 21 00:01:25,540 --> 00:01:28,910 (佐助)あっ いや…。 待っとくれやす。 22 00:01:28,910 --> 00:01:33,960 ご入り用なんは 鉢巻き こしらえはる布だすか? 23 00:01:33,960 --> 00:01:35,980 お子のための麻疹封じだすな。 24 00:01:35,980 --> 00:01:41,370 (すすり泣き) 無理を言ってるのは 分かってるよ。 25 00:01:41,370 --> 00:01:46,080 けど… 子供の命が懸かってんだ。 26 00:01:46,080 --> 00:01:48,440 鈴には邪気を払う力があるんだろう? 27 00:01:48,440 --> 00:01:50,800 すぐに ご用意させていただきます。 28 00:01:50,800 --> 00:01:55,170 えっ… いいのかい? たったの四寸ぽっちで。 29 00:01:55,170 --> 00:01:57,530 へえ 何寸でも結構でございます。 30 00:01:57,530 --> 00:02:00,560 ああ… ありがとうございます! ありがとうございます! 31 00:02:00,560 --> 00:02:05,280 <紫色の染料 紫根が 生薬にも使われることから→ 32 00:02:05,280 --> 00:02:08,310 当時 紫の鉢巻きには→ 33 00:02:08,310 --> 00:02:14,700 病平癒の力が宿ると 信じられていたのです> 34 00:02:14,700 --> 00:02:17,700 (母親たち)ありがとうございます。 35 00:02:20,760 --> 00:02:26,490 お役に立って よろしゅうございました。 36 00:02:26,490 --> 00:02:30,490 どうぞ ご無事で。 37 00:02:32,550 --> 00:02:35,550 (鳴き声) 38 00:02:38,940 --> 00:02:52,410 ・~ 39 00:02:52,410 --> 00:02:58,130 <多くの人の命を奪った麻疹も 秋には ようやく収まり→ 40 00:02:58,130 --> 00:03:01,840 江戸の町に活気が戻ってきました> 41 00:03:01,840 --> 00:03:05,540 新しゅう売り出した藍鼠の鈴小紋だす。 42 00:03:05,540 --> 00:03:08,580 どの帯にも合わせやすい色でございます。 43 00:03:08,580 --> 00:03:15,310 <疫病禍の間 手間を惜しまず 四寸の切り売りに応じ続けた五鈴屋は→ 44 00:03:15,310 --> 00:03:21,710 一躍 名を上げ 江戸の繁盛店の一つに 数えられるようになっていました> 45 00:03:21,710 --> 00:03:26,750 (お浜)帯結びの稽古も久しぶりだねえ! へえ 半年ぶりだす。 46 00:03:26,750 --> 00:03:29,780 (お照)五鈴屋さんは どうなっちまうかと案じてたけど→ 47 00:03:29,780 --> 00:03:33,820 病鉢巻きのおかげで ますます評判が上がったねえ! 48 00:03:33,820 --> 00:03:36,520 まさか鉢巻きに使てもらえるとは 思いも寄らんことで。 49 00:03:36,520 --> 00:03:40,560 (お仲)四寸ばかり売ったって もうけには ならないだろうに→ 50 00:03:40,560 --> 00:03:43,590 五鈴屋さんは江戸っ子のかがみだよ~。 51 00:03:43,590 --> 00:03:46,950 江戸っ子って わてら 大坂もんだす。 52 00:03:46,950 --> 00:03:49,950 (笑い声) そうだった! 53 00:03:51,670 --> 00:03:53,690 (吉二)お邪魔しますよ。 54 00:03:53,690 --> 00:03:57,050 あ… 吉二さん おいでやす。 (賢輔 佐助)おいでやす。 55 00:03:57,050 --> 00:04:01,100 (吉二)今日は師匠の使いで参りました。 さあ どうぞ上がっとくれやす。 56 00:04:01,100 --> 00:04:03,460 ここで結構です。 すぐに失礼しますので。 57 00:04:03,460 --> 00:04:07,460 へえ。 ご用向きは何でございましょう。 58 00:04:09,520 --> 00:04:14,560 今月 十月二十日 恵比須講の日に 日本橋の小西屋さんに→ 59 00:04:14,560 --> 00:04:18,940 紫の鈴小紋を十反 届けていただきたいとのことです。 60 00:04:18,940 --> 00:04:20,630 まあ 十反も! 61 00:04:20,630 --> 00:04:24,340 小西屋さんは老舗の薬種問屋で 師匠のひいき筋なんです。 ああ…。 62 00:04:24,340 --> 00:04:27,370 今年は厄落としも兼ねて 盛大に祝うそうで→ 63 00:04:27,370 --> 00:04:32,070 私も呼ばれているんですよ。 ああ そうだすか。 64 00:04:32,070 --> 00:04:34,770 鈴の小紋は 恵比寿様にお供えいたします。 65 00:04:34,770 --> 00:04:37,790 おおきに ありがとさんでございます。 66 00:04:37,790 --> 00:04:39,490 あっ それから 反物を届ける時は→ 67 00:04:39,490 --> 00:04:42,520 おかみさんも一緒にいらっしゃいと 申しておりました。 68 00:04:42,520 --> 00:04:46,520 へえ 伺わしていただきます。 69 00:04:51,270 --> 00:04:54,970 (歓声) 70 00:04:54,970 --> 00:04:57,970 アハハハ…。 71 00:05:01,030 --> 00:05:07,090 (佐助)賢輔どん 二十日は ご寮さんのお供 頼みますで。 72 00:05:07,090 --> 00:05:10,110 へえ。 73 00:05:10,110 --> 00:05:13,820 姉さん うちも一緒に行ったらあかん? 74 00:05:13,820 --> 00:05:17,520 えっ? 江戸の恵比寿講て どないなもんか見てみたい。 75 00:05:17,520 --> 00:05:19,220 あ… 何だすの 子供みたいに。 76 00:05:19,220 --> 00:05:23,220 そやかて… なあ ええやろ? 77 00:05:33,360 --> 00:05:35,710 (吉二)お見えになりました。 78 00:05:35,710 --> 00:05:37,730 ごめんやす。 (結)ごめんやす。 79 00:05:37,730 --> 00:05:40,080 (賢輔)ごめんやす。 80 00:05:40,080 --> 00:05:42,780 (栄次郎)呼びつけて悪かったが→ 81 00:05:42,780 --> 00:05:44,470 江戸の恵比寿講が どんなものか見ておくのも→ 82 00:05:44,470 --> 00:05:46,820 商いの役に立つかと思ってな。 83 00:05:46,820 --> 00:05:51,820 あ… お心遣い おおきに ありがとさんでございます。 84 00:05:54,570 --> 00:05:57,260 座敷に上がってもらうわけには いかねえが→ 85 00:05:57,260 --> 00:06:02,260 ここから見てごらん。 へえ! フフフ。 86 00:06:06,680 --> 00:06:08,680 ああ…。 87 00:06:13,080 --> 00:06:17,460 (栄次郎)あの段飾りに 鈴の小紋を供えるのさ。→ 88 00:06:17,460 --> 00:06:23,180 疫病退散に一役買った反物だ。 恵比寿様も 喜んでくれるだろうよ。 89 00:06:23,180 --> 00:06:25,180 へえ。 90 00:06:29,580 --> 00:06:33,290 ・なんと かわいらしい…。 91 00:06:33,290 --> 00:06:45,410 ・~ 92 00:06:45,410 --> 00:06:50,460 (小西屋)これはこれは 枡吾屋さん! ようこそ おいでくださいました。 93 00:06:50,460 --> 00:06:53,820 (枡吾屋忠兵衛) 本日は お招きにあずかりまして…。 94 00:06:53,820 --> 00:06:58,540 心ばかりの祝いの品でございます。 お納めください。 95 00:06:58,540 --> 00:07:01,560 (小西屋)ありがとうございます。 96 00:07:01,560 --> 00:07:05,280 枡吾屋忠兵衛 日本橋の本両替商だよ。 97 00:07:05,280 --> 00:07:07,630 引き合わせようか? 98 00:07:07,630 --> 00:07:16,710 ・~ 99 00:07:16,710 --> 00:07:19,710 いえ 結構でございます。 100 00:07:22,450 --> 00:07:25,480 賢輔どん そろそろ おいとましますで。 へえ。 101 00:07:25,480 --> 00:07:28,160 えっ もう 帰りますのん? 102 00:07:28,160 --> 00:07:32,870 お邪魔になったら あかんさかい ぼちぼち 行きまひょ。 103 00:07:32,870 --> 00:07:34,870 ありがとさんでございました。 104 00:07:42,970 --> 00:07:44,670 (お竹)・ 七草なずな 105 00:07:44,670 --> 00:07:46,350 ・ 唐土の鳥が 106 00:07:46,350 --> 00:07:50,390 (お竹 結) ・ 日本の国に 渡らぬ先に 107 00:07:50,390 --> 00:07:52,420 ・ ストトンが トントン 108 00:07:52,420 --> 00:08:00,140 <結に縁談が持ち込まれたのは 年が明けてすぐのことでした> 109 00:08:00,140 --> 00:08:04,860 日本橋の本両替商 枡吾屋忠兵衛様ですよ。 110 00:08:04,860 --> 00:08:07,560 えっ? 恵比寿講の日に→ 111 00:08:07,560 --> 00:08:08,910 妹御を見初めたそうなんです。 112 00:08:08,910 --> 00:08:14,300 アハハ まあ そこで この私が 仲人に立ったというわけでして。 113 00:08:14,300 --> 00:08:20,010 枡吾屋さんのような大店と うちとでは 釣り合いが取れてへんように思います。 114 00:08:20,010 --> 00:08:25,410 まあ そこはそれ あちらは 四十六におなりですから。 115 00:08:25,410 --> 00:08:31,470 二年前に おかみさんに先立たれて お寂しいようです。 116 00:08:31,470 --> 00:08:37,190 親子ほど年の離れた人の 後添えにいうお話だすか? 117 00:08:37,190 --> 00:08:40,890 十七~十八の娘盛りじゃあるまいし。 118 00:08:40,890 --> 00:08:46,290 二十歳を いくつも過ぎて 枡吾屋さんに望まれるなら→ 119 00:08:46,290 --> 00:08:50,290 後添えでも玉のこしですよ。 120 00:08:59,070 --> 00:09:00,760 お竹どん 結は? 121 00:09:00,760 --> 00:09:07,490 二階だす。 小西屋さん お声が大きいおますさかい…。 122 00:09:07,490 --> 00:09:09,850 (ため息) 123 00:09:09,850 --> 00:09:32,070 ・~ 124 00:09:32,070 --> 00:09:34,430 惨めやわ…。 125 00:09:34,430 --> 00:09:39,140 こない惨めな気持ちになるやなんて…。 126 00:09:39,140 --> 00:09:40,490 結…。 127 00:09:40,490 --> 00:09:47,230 姉さん… うち… しんどい。 128 00:09:47,230 --> 00:09:50,920 しんどうて かなんの…。 129 00:09:50,920 --> 00:09:53,620 (泣き声) 130 00:09:53,620 --> 00:09:59,620 心配せんでええ。 すぐに断り入れるさかい。 131 00:10:05,060 --> 00:10:10,110 寒ざらし~ 白玉~。 132 00:10:10,110 --> 00:10:16,850 <その年の夏 五鈴屋が売り出した 新柄の小紋が またも評判を呼んで→ 133 00:10:16,850 --> 00:10:19,880 手が回らなくなった五鈴屋には→ 134 00:10:19,880 --> 00:10:24,880 近江屋から 二人の助っ人が 派遣されてきました> 135 00:10:27,630 --> 00:10:29,980 あっ どうぞ どうぞ 中でもご覧ください。 136 00:10:29,980 --> 00:10:33,010 (お才)新しい手代さん 入ったんですねえ。 137 00:10:33,010 --> 00:10:36,040 近江屋さんから 通てきてもろてるんだす。 138 00:10:36,040 --> 00:10:39,070 誰ぞ探そうにも なかなか その暇がのうて…。 139 00:10:39,070 --> 00:10:41,440 (お才)あ~ ご繁盛で何よりです。 140 00:10:41,440 --> 00:10:46,480 力造さんのおかげで 蝙蝠柄の小紋も 大層な人気だす。 141 00:10:46,480 --> 00:10:48,840 ホンマに 何とお礼を言うたらええのか…。 142 00:10:48,840 --> 00:10:51,200 型紙がいいからですよ。→ 143 00:10:51,200 --> 00:10:57,260 彫りはもちろん 賢輔さんの描く下絵が そりゃ見事だもの。 144 00:10:57,260 --> 00:11:01,960 実はね 今日は ちょいと ご相談がありまして…。 145 00:11:01,960 --> 00:11:03,310 へえ 何だすやろ? 146 00:11:03,310 --> 00:11:07,690 知り合いの糸屋さんに 年頃のお嬢さんがいるんですよ。 147 00:11:07,690 --> 00:11:11,730 そのお嬢さん 賢輔さんに岡惚れして→ 148 00:11:11,730 --> 00:11:15,440 婿に欲しい 口利いてもらえないかって 頼まれちまったんです。 149 00:11:15,440 --> 00:11:17,800 賢輔を婿に? うん。 150 00:11:17,800 --> 00:11:21,830 (湯飲みを落とす音) あっ すんまへん! 151 00:11:21,830 --> 00:11:24,860 大事ないか? 152 00:11:24,860 --> 00:11:27,560 お才さん 今のお話だすけど…。 153 00:11:27,560 --> 00:11:32,270 あっ いいんですよ。 大事な手代さんを 婿に出すはずないことくらい→ 154 00:11:32,270 --> 00:11:35,980 分かってますから。 あ… 申し訳ありまへんけど→ 155 00:11:35,980 --> 00:11:37,330 どうぞ お断り言うとくれやす。 156 00:11:37,330 --> 00:11:41,330 (お才)ええ 角が立たないように うまく言っておきますよ。 157 00:11:43,720 --> 00:11:45,720 よかった…。 158 00:11:48,100 --> 00:11:53,140 <この時 幸は やっと気付いたのです> 159 00:11:53,140 --> 00:11:56,510 すんまへん 麦湯 すぐにお持ちします。 160 00:11:56,510 --> 00:12:02,510 <結が 四歳年下の賢輔に 思いを寄せていることに> 161 00:12:10,320 --> 00:12:13,350 (結)二十六夜の月待ちて 初めてだすな。 162 00:12:13,350 --> 00:12:16,350 大坂では やりまへんさかいな。 163 00:12:22,440 --> 00:12:26,130 月の出まで 物干しで待っててもかまへんやろか? 164 00:12:26,130 --> 00:12:29,130 ええよ あんまり夜更かしせんようにね。 165 00:12:31,870 --> 00:12:37,930 佐助どん 賢輔どん 上で一緒に月待ちせえへん? 166 00:12:37,930 --> 00:12:42,300 (佐助)年に一度のことや ご一緒させてもろたらよろしいわ。 167 00:12:42,300 --> 00:12:48,030 けど…。 (佐助)わては まだ することあるさかい。 168 00:12:48,030 --> 00:12:52,030 ほな そないさせてもらいます。 うん。 169 00:12:57,110 --> 00:12:58,470 賢輔どん これ 運んでくれる? 170 00:12:58,470 --> 00:13:00,820 へえ。 171 00:13:00,820 --> 00:13:04,520 (お竹)ご寮さん わても 上へ行かしてもろて よろしおますか? 172 00:13:04,520 --> 00:13:06,520 へえ ご苦労はんだした。 173 00:13:12,270 --> 00:13:20,360 ご寮さん これ ご覧になっておくれやす。 174 00:13:20,360 --> 00:13:24,730 年末までの売り上げ こないなりそうだす。 175 00:13:24,730 --> 00:13:27,760 銀一千貫! ホンマだすか? 176 00:13:27,760 --> 00:13:31,460 店開いて三年で こない大商いさせてもろて→ 177 00:13:31,460 --> 00:13:35,840 ありがたいことでございます。 ああ…。 178 00:13:35,840 --> 00:13:40,890 佐助どん… わてからも 話がおます。 179 00:13:40,890 --> 00:13:43,920 跡目のことだすか? 180 00:13:43,920 --> 00:13:47,620 誰を跡目に据えるか そろそろ決めなあきまへん。 181 00:13:47,620 --> 00:13:50,990 へえ。 182 00:13:50,990 --> 00:13:52,680 わては…→ 183 00:13:52,680 --> 00:13:55,030 賢輔どんを養子にして→ 184 00:13:55,030 --> 00:14:00,030 八代目 継いでもらうのが ええのやないかて思てますのや。 185 00:14:01,770 --> 00:14:07,150 わても それがええ思います。 186 00:14:07,150 --> 00:14:09,510 賢輔どんは 治兵衛さんによう似てる。 187 00:14:09,510 --> 00:14:13,550 いずれ 五鈴屋を支えていくやろ 思てました。 188 00:14:13,550 --> 00:14:15,240 佐助どん…。 189 00:14:15,240 --> 00:14:22,640 高島店の親旦那さんも 鉄助どんも きっと それがええ おっしゃいますやろ。 190 00:14:22,640 --> 00:14:26,010 あとは 本人の覚悟だすな。 191 00:14:26,010 --> 00:14:29,380 早いうちに いっぺん 話 してみます。 192 00:14:29,380 --> 00:14:33,750 それと…→ 193 00:14:33,750 --> 00:14:39,810 跡目に決まったら 賢輔どんは 天満に戻ることになりますやろ。 194 00:14:39,810 --> 00:14:42,840 その時は…→ 195 00:14:42,840 --> 00:14:47,890 結も 一緒に行かせるかもしれまへん。 196 00:14:47,890 --> 00:14:53,280 結さんと夫婦なる いうことだすな。 197 00:14:53,280 --> 00:14:56,990 へえ お似合いや思います。→ 198 00:14:56,990 --> 00:15:00,360 江戸店は寂しなりますけど…→ 199 00:15:00,360 --> 00:15:06,740 ご寮さんが お家さんに 結さんが ご寮さんにならはったら→ 200 00:15:06,740 --> 00:15:09,740 五鈴屋は末永う安泰だすな。 201 00:15:16,170 --> 00:15:19,550 暑い盛りも じき終わりだすなあ。 202 00:15:19,550 --> 00:15:23,580 この夏は 蝙蝠柄が よう売れましたな。 203 00:15:23,580 --> 00:15:30,580 へえ。 また 何ぞ 新しい図案 考えなあきまへん。 204 00:15:31,670 --> 00:15:34,690 賢輔どん…→ 205 00:15:34,690 --> 00:15:39,410 大事な話がありますのや。 206 00:15:39,410 --> 00:15:41,410 へえ。 207 00:15:50,850 --> 00:15:57,930 五鈴屋に嫁ぐ時 治兵衛さんから教わったんだす。 208 00:15:57,930 --> 00:16:03,930 商いは 川の流れのようなもんやて。 209 00:16:10,720 --> 00:16:14,430 ぎょうさんの人が汗流して 流れを作ってる。 210 00:16:14,430 --> 00:16:21,150 そやさかい 欲得ずくで汚したらあかん。 211 00:16:21,150 --> 00:16:28,150 その言葉を頼りに 五鈴屋の のれん守ってきましたんや。 212 00:16:31,590 --> 00:16:34,300 その役目を…→ 213 00:16:34,300 --> 00:16:43,040 次は… 賢輔どんに託したいて思てます。 214 00:16:43,040 --> 00:16:44,390 えっ? 215 00:16:44,390 --> 00:16:48,770 八代目店主として 五鈴屋を継いどくれやす。 216 00:16:48,770 --> 00:16:53,770 な… 何を…? あきまへん。 217 00:16:58,190 --> 00:17:00,220 それは あきまへん! 堪忍しとくれやす! 218 00:17:00,220 --> 00:17:04,260 佐助どんも承知してることだす。 賢輔どんなら ふさわしいて。 219 00:17:04,260 --> 00:17:08,970 買いかぶりだす! わては そないな器や… あらしまへん! 220 00:17:08,970 --> 00:17:12,000 どうぞ 堪忍しておくれやす! 221 00:17:12,000 --> 00:17:14,000 賢輔どん…。 222 00:17:17,720 --> 00:17:20,080 すぐに決めんでもええ。 223 00:17:20,080 --> 00:17:23,450 九月には 鉄助どんに 江戸に来てもらいますさかい→ 224 00:17:23,450 --> 00:17:26,450 それまで よう考えとくれやす。 225 00:17:30,170 --> 00:17:35,170 (せみとヒグラシの声) 226 00:17:38,930 --> 00:17:44,660 <枡吾屋が訪ねてきたのは それから間もなくのこと> 227 00:17:44,660 --> 00:17:50,380 妹のことでございましたら とうに お断りさせていただいておりますけど。 228 00:17:50,380 --> 00:17:54,760 お返事は 承っております。 229 00:17:54,760 --> 00:18:02,840 なれど… なんとか もう一度 お考え直しいただけませんでしょうか。 230 00:18:02,840 --> 00:18:04,200 実は 先日…→ 231 00:18:04,200 --> 00:18:09,200 浅草寺さんの仲見世で 結さんをお見かけしまして。 232 00:18:15,970 --> 00:18:19,000 ・(お竹)結さん そろそろ…。 233 00:18:19,000 --> 00:18:20,350 へえ。 おおきに。 234 00:18:20,350 --> 00:18:25,350 (忠兵衛)かわいらしい姿が 目に焼き付いてしまい…。 235 00:18:29,100 --> 00:18:33,810 どうしても 思い切れないのでございます。 236 00:18:33,810 --> 00:18:38,530 後添えに迎えさせていただけますなら 正式に披露目もして→ 237 00:18:38,530 --> 00:18:43,580 一生 何の苦労もさせぬよう お守りいたします! 238 00:18:43,580 --> 00:18:48,300 結さんを私に… このとおり お願い申し上げます! 239 00:18:48,300 --> 00:18:51,990 わてからも お頼申します。 240 00:18:51,990 --> 00:18:53,680 妹のことは忘れとくれやす。 241 00:18:53,680 --> 00:19:00,070 何べん 申し込んでいただいたかて お断りするよりほかございまへん。 242 00:19:00,070 --> 00:19:12,540 ・~ 243 00:19:12,540 --> 00:19:16,240 では…→ 244 00:19:16,240 --> 00:19:23,320 せめて… この紅を結さんに。 245 00:19:23,320 --> 00:19:28,020 こない立派なお品 頂くわけにはまいりまへん。 246 00:19:28,020 --> 00:19:35,020 哀れな年寄りに この上 恥をかかせないでくださいまし。 247 00:19:41,820 --> 00:19:45,190 では 今日のところは これで…。 248 00:19:45,190 --> 00:19:47,220 ・(結)アハハ…。 ・(お竹)てんごばっかり…。 249 00:19:47,220 --> 00:19:51,930 (忠兵衛)結さん! 250 00:19:51,930 --> 00:19:57,320 枡吾屋忠兵衛ですよ。 去年 恵比須講で…。 251 00:19:57,320 --> 00:20:01,010 あっ…。 252 00:20:01,010 --> 00:20:03,720 お目にかかれてよかった… フッ。 253 00:20:03,720 --> 00:20:09,720 結さん 何か困ったことがあったら いつでも訪ねていらっしゃい。 254 00:20:12,800 --> 00:20:18,180 きっと お力になりますよ。 255 00:20:18,180 --> 00:20:20,180 へえ。 256 00:20:33,000 --> 00:20:36,040 (結) 枡吾屋さんって優しそうなお人やけど→ 257 00:20:36,040 --> 00:20:41,040 年が行き過ぎてて 父さんのようにしか 思われへんわ。 258 00:20:42,430 --> 00:20:48,160 妹には もう決まった人がいるて 言うてくれはったらええのに。 259 00:20:48,160 --> 00:20:49,510 えっ? 260 00:20:49,510 --> 00:20:54,890 堪忍だす。 前に佐助どんと話してるのを 聞いてしもたんよ。 261 00:20:54,890 --> 00:20:57,920 うち… うれしいて うれしいて…。 262 00:20:57,920 --> 00:21:00,280 結 思い違いしたらあかん。 263 00:21:00,280 --> 00:21:04,660 跡目のことかて 縁組みのことかて まだ何一つ決まってへんのやで。 264 00:21:04,660 --> 00:21:08,020 分かってます まだ先のことやもんね。 265 00:21:08,020 --> 00:21:15,770 けど… 姉さんが そないなふうに 考えてくれてたことが うれしいて。 266 00:21:15,770 --> 00:21:19,810 ほな 台所 手伝うてきます。 267 00:21:19,810 --> 00:21:22,810 (ため息) 268 00:21:23,510 --> 00:21:29,510 菊~ 干し菊~。 269 00:21:33,280 --> 00:21:36,280 ご苦労はんだした。 へい。 270 00:21:41,690 --> 00:21:47,080 どちらからだす? あ… 呉服仲間の月行事さんや。 271 00:21:47,080 --> 00:21:49,440 明日 寄り合いやて。 272 00:21:49,440 --> 00:21:53,140 えらい急だすな。 273 00:21:53,140 --> 00:21:54,490 ご寮さん! 274 00:21:54,490 --> 00:21:58,200 周助どん! (周助)お久しゅうございます。 275 00:21:58,200 --> 00:22:02,570 <重陽の節句の日に 天満からやって来たのは→ 276 00:22:02,570 --> 00:22:07,620 鉄助ではなく 高島店の支配人 周助でした> 277 00:22:07,620 --> 00:22:12,670 ぎっくり腰だすか! ええ 長旅は無理や言わはって→ 278 00:22:12,670 --> 00:22:15,020 わてが代わりに。 はあ~。 279 00:22:15,020 --> 00:22:19,410 鉄助どんも お年やさかい 無理したらあきまへんな。 280 00:22:19,410 --> 00:22:22,770 これ 鉄助どんから預かってまいりました。 281 00:22:22,770 --> 00:22:24,770 おおきに。 282 00:22:31,860 --> 00:22:36,240 えっ? まだ早い? 283 00:22:36,240 --> 00:22:41,960 (桔梗屋孫六)賢輔どんに跡目継がせるの まだ早いやろか? 284 00:22:41,960 --> 00:22:43,980 (治兵衛)フッ…。 285 00:22:43,980 --> 00:22:49,980 その前に江戸でやることが ぎょうさん ありますよって。 286 00:22:51,730 --> 00:22:58,460 小紋染めには まだまだ 賢輔の手がいりますやろ。 287 00:22:58,460 --> 00:23:00,810 (膝を打つ音) ほな いっぺん…→ 288 00:23:00,810 --> 00:23:03,170 周助を江戸に やってみまひょか。 289 00:23:03,170 --> 00:23:06,540 へえ それが よろしおます。 290 00:23:06,540 --> 00:23:15,540 幸なら よう考えて 五鈴屋のために 一番ええ道 選びますやろ。 291 00:23:20,000 --> 00:23:24,000 一番ええ道…。 292 00:23:32,470 --> 00:23:35,500 ええ香りだすなあ。 293 00:23:35,500 --> 00:23:40,880 今日は 重陽の節句やさかい 菊の花の おつゆだす。 294 00:23:40,880 --> 00:23:44,920 天満でも 江戸店見習うて お膳に お菜つけるようにしましたんや。 295 00:23:44,920 --> 00:23:50,650 おお そら ええことだすなあ。 茶漬けに こうこだけでは 力 出まへんよって。 296 00:23:50,650 --> 00:23:54,010 やることが増えて お梅どんが えらいんやない? 297 00:23:54,010 --> 00:23:57,040 (笑い声) それで女衆入れましたんやけど→ 298 00:23:57,040 --> 00:23:58,730 嫁に行くことになってしもて。 ああっ! 299 00:23:58,730 --> 00:24:04,780 お梅どん また 先越されたて 悔しがってます。 (笑い声) 300 00:24:04,780 --> 00:24:07,150 (結)姉さん? どないしはったの? 301 00:24:07,150 --> 00:24:12,540 あ… ああ そや 明日 呉服仲間の寄り合いがおますのや。 302 00:24:12,540 --> 00:24:15,560 佐助どんと一緒に 周助どんも来とくれやす。 303 00:24:15,560 --> 00:24:18,600 へえ お供させていただきます。 304 00:24:18,600 --> 00:24:24,600 (佐助)こない急な呼び出し 初めてだすな。 何だすやろ? 305 00:24:29,020 --> 00:24:32,740 (鳥の鳴き声) 306 00:24:32,740 --> 00:24:39,120 (足音) 307 00:24:39,120 --> 00:24:41,120 (ししおどしの音) 308 00:24:48,900 --> 00:24:53,270 皆さん 遅うおますなあ。 どないしはりましたんやろ? 309 00:24:53,270 --> 00:24:56,980 (藤木屋)今日は ほかの方は おいでにはなりません。 310 00:24:56,980 --> 00:24:59,000 えっ? 311 00:24:59,000 --> 00:25:03,710 五鈴屋さんのお耳に入れておきたい 話がありましてねえ…。 312 00:25:03,710 --> 00:25:05,730 何でございましょう? 313 00:25:05,730 --> 00:25:11,120 今月の末 お奉行所から お呼び出しがあるはずです。 314 00:25:11,120 --> 00:25:13,480 お奉行所? 何か 落ち度でもありましたやろか? 315 00:25:13,480 --> 00:25:18,530 いいえ。 上納金のお申しつけですよ。 316 00:25:18,530 --> 00:25:25,260 上納金て… お上に 金銀 納めるいうことだすか? 317 00:25:25,260 --> 00:25:28,630 なんぼほど お納めすれば ええんだすやろ? 318 00:25:28,630 --> 00:25:34,350 金高は その場で 切り紙にて申し渡されますが…→ 319 00:25:34,350 --> 00:25:36,380 恐らくは…→ 320 00:25:36,380 --> 00:25:39,740 千五百両かと。 321 00:25:39,740 --> 00:25:43,440 えっ… 千五百両!? そないな むちゃなことを…! 322 00:25:43,440 --> 00:25:47,440 (遠州屋)お上の御用だ。 口を慎みなさい。 323 00:25:53,210 --> 00:25:57,580 店開いて三年の五鈴屋に 何で そないな大金を…。 324 00:25:57,580 --> 00:26:00,280 (亀田屋) お上のお目に留まったのでしょう。 325 00:26:00,280 --> 00:26:07,010 役者のお練りで 派手に江戸中を沸かせましたからねえ。 326 00:26:07,010 --> 00:26:12,730 上納金は献金ではありません。 お借り上げいただくのですよ。 327 00:26:12,730 --> 00:26:17,450 ご償還の折には 年に三分の利が乗ります。 328 00:26:17,450 --> 00:26:22,160 ご償還があればの話だがな。 329 00:26:22,160 --> 00:26:27,210 私のとこは 二年前に千五百両をお納めしたきり→ 330 00:26:27,210 --> 00:26:30,580 いまだに ご返済はない。→ 331 00:26:30,580 --> 00:26:34,580 そうしたものと心得ておけばよかろう。 332 00:26:36,310 --> 00:26:42,020 もしも 払えなんだら どないなりますのやろ? 333 00:26:42,020 --> 00:26:52,800 ・~ 334 00:26:52,800 --> 00:26:57,520 その時は 呉服仲間から外れていただきます。 335 00:26:57,520 --> 00:26:59,870 ええっ? 336 00:26:59,870 --> 00:27:04,260 それだから こうして前もって伝えているのだ。 337 00:27:04,260 --> 00:27:12,260 江戸で商いを続けたければ 千五百両 借りてでも用意なさい。 338 00:27:16,380 --> 00:27:20,410 (お竹)千五百両も?→ 339 00:27:20,410 --> 00:27:26,130 まっとうに稼いだお金 何で 搾り取られなあきまへんのやろ? 340 00:27:26,130 --> 00:27:29,160 江戸のお仲間は薄情でおます。 341 00:27:29,160 --> 00:27:32,200 借りてでも都合せえ言うだけで 何の力にもなってくれまへん。 342 00:27:32,200 --> 00:27:38,260 こないな時に頼れる人 誰か いてへんの? 343 00:27:38,260 --> 00:27:43,310 お金は 両替商から借りるよりほか ありまへん。 344 00:27:43,310 --> 00:27:47,690 けど 金借りたら 利子も払わななりまへん。 345 00:27:47,690 --> 00:27:51,050 上納金は 年利三分や 言うてはりましたけど→ 346 00:27:51,050 --> 00:27:54,420 両替商に払う利子は ずっと高うおます。 347 00:27:54,420 --> 00:27:59,120 借りるにしても カタ取られるのやおまへんか? 348 00:27:59,120 --> 00:28:02,160 えっ 返せへんかったら 店取られてしまういうこと? 349 00:28:02,160 --> 00:28:05,180 そないなことにはなりまへん。 350 00:28:05,180 --> 00:28:07,210 はあ… あれこれ案じても しかたない。 351 00:28:07,210 --> 00:28:11,580 明日 蔵前屋さんを訪ねて 聞いてみまひょ。 352 00:28:11,580 --> 00:28:16,310 悔しおますなあ… 言われるまんま払わんならんのは。 353 00:28:16,310 --> 00:28:19,310 (ため息) 354 00:28:34,140 --> 00:28:37,850 (蔵前屋)五鈴屋様 お待たせして申し訳ございません。 355 00:28:37,850 --> 00:28:41,230 あいにく 本両替仲間との 先約がございましたもので。 356 00:28:41,230 --> 00:28:45,930 こちらこそ 急にお訪ねしてしもて…。 357 00:28:45,930 --> 00:28:50,320 仲間の一人が 是非 ご挨拶をしたいと申しておりますが→ 358 00:28:50,320 --> 00:28:52,670 お通ししても よろしゅうございますか。 359 00:28:52,670 --> 00:28:55,360 へえ どうぞ。 360 00:28:55,360 --> 00:28:59,360 (蔵前屋) 井筒屋さん お許しを頂きましたよ。 361 00:29:07,140 --> 00:29:09,140 (佐助)えっ…。 362 00:29:13,540 --> 00:29:17,250 井筒屋の三代目店主 保晴でございます。 363 00:29:17,250 --> 00:29:20,280 お初にお目にかかります。 364 00:29:20,280 --> 00:29:25,280 五鈴屋七代目の 幸でございます。 365 00:29:28,360 --> 00:29:31,360 (小声で)少し席外してもらえますか? 366 00:29:34,080 --> 00:29:38,460 お話が済みましたら 声をかけてください。 367 00:29:38,460 --> 00:29:48,890 ・~ 368 00:29:48,890 --> 00:29:52,600 借金の相談やったら やめときなはれや。 えっ? 369 00:29:52,600 --> 00:29:57,980 上納金なんぞ 金借りてまで払うもんと違いまっせ。 370 00:29:57,980 --> 00:29:59,330 何で ご存じなんだす? 371 00:29:59,330 --> 00:30:04,720 どこに白羽の矢が立ったかは すぐ耳に入ります。 372 00:30:04,720 --> 00:30:09,440 はあ… その金 用立てるのが 両替商の仕事だすよってな。 373 00:30:09,440 --> 00:30:14,820 言われたとおりに払てたら つけ込まれるばかりやで。 374 00:30:14,820 --> 00:30:18,860 けど 払わなんだら 呉服仲間から外されます。 375 00:30:18,860 --> 00:30:22,560 フッ… もっと知恵絞んなはれ。 376 00:30:22,560 --> 00:30:27,280 高い利のつく金借りんでも なんとかする手ぇはありますやろ。 377 00:30:27,280 --> 00:30:30,310 なんとかて… どないしたらええんだす? 378 00:30:30,310 --> 00:30:34,010 それ考えるのは あんさんの仕事だすわ。 379 00:30:34,010 --> 00:30:36,010 ほな。 380 00:30:39,730 --> 00:30:45,120 ああ… もう一つ言うておきますわ。 381 00:30:45,120 --> 00:30:50,510 悪いやつほど アホのふりがうまいよって 気ぃ付けなはれや。 382 00:30:50,510 --> 00:30:54,510 悪いやつ? 誰のことだす? 383 00:30:57,250 --> 00:31:00,280 惣ぼんさん! 384 00:31:00,280 --> 00:31:05,330 五鈴屋に戻らはるおつもり おありだすやろか?→ 385 00:31:05,330 --> 00:31:08,360 お家さんも 智ぼんさんも のうなってしもて→ 386 00:31:08,360 --> 00:31:16,770 今では 惣ぼんさんお一人が 五鈴屋のお血筋だす。 387 00:31:16,770 --> 00:31:18,790 何の話だすやろ? 388 00:31:18,790 --> 00:31:23,840 わては 井筒屋の三代目だす。 389 00:31:23,840 --> 00:31:28,840 そちらさんとは 何の関わりもおまへん。 390 00:31:34,950 --> 00:31:39,330 (お竹)惣ぼんさん 両替商に…!→ 391 00:31:39,330 --> 00:31:45,050 そら なんぼ呉服屋探してみたかて 見つからへんはずだすわ。 392 00:31:45,050 --> 00:31:50,100 蔵前屋さんの話やと 潰れかけてた銭両替の婿に入って→ 393 00:31:50,100 --> 00:31:53,130 店立て直した上に 本両替の株買わはったんやそうだす。 394 00:31:53,130 --> 00:31:59,530 ああ… 己の才覚で はい上がらはったんだすなあ。 395 00:31:59,530 --> 00:32:03,240 へえ…。 金借りんで済む手ぇがあるて→ 396 00:32:03,240 --> 00:32:06,270 何のことだすやろ? 397 00:32:06,270 --> 00:32:10,650 姉さん 枡吾屋さんに頼んでみたらどないやろ? 398 00:32:10,650 --> 00:32:13,670 力になる言うてくれはったし…。 何言うてますのや! 399 00:32:13,670 --> 00:32:19,060 枡吾屋さんに借り作る方が よっぽど あとが恐ろしおます。 400 00:32:19,060 --> 00:32:27,130 ご寮さん 千五百両 江戸店だけで しょい込むことは ございまへん。 401 00:32:27,130 --> 00:32:30,510 本店と 高島店と 江戸店→ 402 00:32:30,510 --> 00:32:36,230 三つに分けて それぞれ五百両ずつ 受け持ったらどないだすやろ? 403 00:32:36,230 --> 00:32:40,940 ああ… 五百両なら なんとか都合つきます。 404 00:32:40,940 --> 00:32:43,970 そないしてもろたら 金借りんで済みますなあ。 405 00:32:43,970 --> 00:32:45,660 ほな すぐに大坂に 文…。 406 00:32:45,660 --> 00:32:50,030 今度のことは 江戸の商いから起きたことだす。 407 00:32:50,030 --> 00:32:53,070 本店や高島店に迷惑はかけられまへん。 408 00:32:53,070 --> 00:32:56,090 迷惑て…。 409 00:32:56,090 --> 00:32:57,780 何をおっしゃいますのや! 410 00:32:57,780 --> 00:33:03,170 三つの店は 皆 ご寮さんが束ねる 一つの五鈴屋やおまへんか! 411 00:33:03,170 --> 00:33:06,170 周助どん…。 412 00:33:10,240 --> 00:33:15,240 三つに… 分ける? 413 00:33:25,050 --> 00:33:28,750 この度 上納金を仰せつけられることと相成った。 414 00:33:28,750 --> 00:33:31,750 子細は書面をもって申し渡す。 415 00:33:43,570 --> 00:33:50,570 日限りは来月十五日 沙汰のとおり 遅滞なく納めよ。 よいな? 416 00:33:56,030 --> 00:34:03,090 恐れながら お役人様に申し上げます。 417 00:34:03,090 --> 00:34:08,150 私どものような小さい店では 一度に 千五百両をお納めいたしますのは→ 418 00:34:08,150 --> 00:34:09,500 難しゅうございます。 419 00:34:09,500 --> 00:34:17,910 用意できぬと申すか? では いくらなら納められるのだ? 420 00:34:17,910 --> 00:34:19,940 五百両が精いっぱいでございます。 421 00:34:19,940 --> 00:34:23,640 フッ 話にならん。 422 00:34:23,640 --> 00:34:27,000 その方ら 呉服仲間で 融通してやってはどうだ? 423 00:34:27,000 --> 00:34:28,690 め… めっそうな…。 424 00:34:28,690 --> 00:34:32,390 五鈴屋さん お上の御用ですよ。 425 00:34:32,390 --> 00:34:37,100 両替商に借りてでも都合するように お伝えしたじゃありませんか。 426 00:34:37,100 --> 00:34:40,480 けど 金を借りたら 利子を払わななりまへん。 427 00:34:40,480 --> 00:34:44,850 当たり前ですよ! 428 00:34:44,850 --> 00:34:47,210 この度 仰せつけられました上納金も→ 429 00:34:47,210 --> 00:34:51,580 ご償還の折には 利を乗せていただけると伺うております。 430 00:34:51,580 --> 00:34:54,580 さよう それにあるとおりだ。 431 00:34:56,970 --> 00:35:00,000 利は年三分…。 432 00:35:00,000 --> 00:35:05,050 では 改めて お願いがございます。 433 00:35:05,050 --> 00:35:09,770 お申しつけの千五百両 もし 三年に分けて→ 434 00:35:09,770 --> 00:35:13,470 五百両ずつ お納めさせていただけますなら→ 435 00:35:13,470 --> 00:35:19,860 この利子と同じ額を お上に献金させていただきとう存じます。 436 00:35:19,860 --> 00:35:21,550 これ! な… 何を申すのだ! 437 00:35:21,550 --> 00:35:23,240 両替商から借りて払う利子は→ 438 00:35:23,240 --> 00:35:28,950 ただ 両替商のもうけになるだけの 無駄な金にございます。 439 00:35:28,950 --> 00:35:33,670 同じ年利を払うのでございましたら お上に お役立ていただく方が→ 440 00:35:33,670 --> 00:35:38,720 私どもにとって はるかに誉れでございます。 441 00:35:38,720 --> 00:35:45,460 五百両に 年利分の献金を足して 三度に分けてお納めすること→ 442 00:35:45,460 --> 00:35:51,850 お許しいただけますならば ありがたいと存じます。 443 00:35:51,850 --> 00:35:56,570 どうぞ よろしゅうお頼申します。 444 00:35:56,570 --> 00:36:11,390 ・~ 445 00:36:11,390 --> 00:36:16,090 ご寮さん…。 446 00:36:16,090 --> 00:36:19,460 よろしおましたなあ お許しが出て! へえ。 447 00:36:19,460 --> 00:36:23,830 わては寿命が縮む思いだした。 わてもだす。 448 00:36:23,830 --> 00:36:27,210 ご寮さんは肝が据わってはりますなあ お役人さん相手に あない堂々と! 449 00:36:27,210 --> 00:36:29,570 まだ 手ぇ震えてますのや。 450 00:36:29,570 --> 00:36:34,610 ほら…。 451 00:36:34,610 --> 00:36:39,990 はよ戻って 皆に知らせまひょ。 (佐助 周助)へえ! 452 00:36:39,990 --> 00:36:49,080 ・~ 453 00:36:49,080 --> 00:36:50,440 旦那さん…。 454 00:36:50,440 --> 00:36:54,440 わて… 間違うてまへんやろか…。 455 00:36:57,840 --> 00:36:59,840 ご寮さん。 456 00:37:02,560 --> 00:37:04,920 上納金のことも片づきましたよって→ 457 00:37:04,920 --> 00:37:08,620 明日の朝 天満に帰らせていただきとうおます。 458 00:37:08,620 --> 00:37:11,650 長いこと 引き止めてしもて 堪忍しとくれやす。 459 00:37:11,650 --> 00:37:17,710 いや… 江戸店の商い学ばせていただいて ありがたいことでございます。 460 00:37:17,710 --> 00:37:22,710 天満に戻りましたら まねできることは すぐに やらせていただきます。 461 00:37:31,850 --> 00:37:36,850 ・(鐘の音) 462 00:37:38,590 --> 00:37:46,330 明日 周助どんが天満に戻る前に 決めておきたいことがあります。 463 00:37:46,330 --> 00:37:51,330 五鈴屋の八代目のことだす。 464 00:37:56,770 --> 00:38:01,820 女名前が許されるのは 来年の一月まで。 465 00:38:01,820 --> 00:38:06,870 そのあとを…→ 466 00:38:06,870 --> 00:38:09,230 周助どんに託したいて思てます。 467 00:38:09,230 --> 00:38:11,230 えっ? 468 00:38:15,960 --> 00:38:19,330 賢輔どん…。 へえ。 469 00:38:19,330 --> 00:38:25,390 あんさんには 江戸で 新しい小紋 作ってもらいます。 470 00:38:25,390 --> 00:38:31,110 小紋染めが 一時のはやりで終わるか 末永う売れる品になるか→ 471 00:38:31,110 --> 00:38:36,160 ここからが正念場だす。 472 00:38:36,160 --> 00:38:38,160 へえ! 473 00:38:41,880 --> 00:38:44,580 周助どん。 へえ。 474 00:38:44,580 --> 00:38:50,980 桔梗屋を継ぎたいて望んではること よう分かってます。 475 00:38:50,980 --> 00:38:55,690 けど… 力貸してほしいんだす。 476 00:38:55,690 --> 00:38:59,730 五鈴屋を百年続く店にするために→ 477 00:38:59,730 --> 00:39:05,110 周助どんに 八代目を継いでもらいとうおます。 478 00:39:05,110 --> 00:39:14,210 ・~ 479 00:39:14,210 --> 00:39:20,210 わてには… 過ぎたお役目でございます。 480 00:39:23,970 --> 00:39:25,320 けど…→ 481 00:39:25,320 --> 00:39:29,320 それでもええと おっしゃっていただけますのならば…。 482 00:39:35,420 --> 00:39:40,420 跡目 継がせていただきとう存じます。 483 00:39:43,160 --> 00:39:48,160 五鈴屋の のれん守って しかるべき時が来たら…。 484 00:39:51,910 --> 00:39:58,910 しかるべき人を立てて 次の代に お譲りいたします。 485 00:40:03,370 --> 00:40:07,060 よろしゅうお頼申します。 486 00:40:07,060 --> 00:40:25,920 ・~ 487 00:40:25,920 --> 00:40:27,920 結…。 488 00:40:30,640 --> 00:40:33,670 さっきの話だすけどな…。 分かってます。 489 00:40:33,670 --> 00:40:38,670 周助どんが跡目継ぐのが順序や。 うちも そう思います。 490 00:40:41,070 --> 00:40:48,140 小紋の下絵描くのは 賢輔どんにしかできへん仕事やし…。 491 00:40:48,140 --> 00:40:53,200 跡目のことと あんたのことは 一旦 分けて考えることにしましたんや。 492 00:40:53,200 --> 00:40:55,890 へえ よう分かってますて。 493 00:40:55,890 --> 00:40:58,250 (風の音) 494 00:40:58,250 --> 00:41:01,950 中 入って話そか。 風邪ひくさかい。 495 00:41:01,950 --> 00:41:05,320 先入ってて。 すぐ行きますよって。 496 00:41:05,320 --> 00:41:19,800 ・~ 497 00:41:19,800 --> 00:41:21,800 (賢輔)わてが。 498 00:41:26,530 --> 00:41:30,230 天満の皆さんに よろしゅう伝えとくれやす。 499 00:41:30,230 --> 00:41:32,590 へえ。 500 00:41:32,590 --> 00:41:36,630 (風の音) 501 00:41:36,630 --> 00:41:41,630 (周助) 江戸も大坂も 同じ 一つののれんだすな。 502 00:41:48,750 --> 00:41:51,110 皆で 心一つにして→ 503 00:41:51,110 --> 00:41:57,170 五鈴屋の のれん 百年先まで掲げていきまひょな。 504 00:41:57,170 --> 00:41:58,850 (一同)へえ! 505 00:41:58,850 --> 00:42:19,730 ・~ 506 00:42:19,730 --> 00:42:41,610 ・~ 507 00:42:41,610 --> 00:42:57,610 ・~