1 00:00:07,007 --> 00:00:10,410 ウォルト・ディズニー 第1話 2 00:00:28,328 --> 00:00:30,563 ウォルトは 廊下を歩いてくると 3 00:00:30,663 --> 00:00:33,133 必ず咳払(せきばら)いをします 4 00:00:34,234 --> 00:00:37,537 近くにいると 知らせているのです 5 00:00:40,407 --> 00:00:42,742 映画 「バンビ」のセリフ― 6 00:00:43,042 --> 00:00:46,613 〝人間が森にいる〞は 危険ということ 7 00:00:46,713 --> 00:00:50,250 ウォルトの咳払いが 聞こえると― 8 00:00:50,350 --> 00:00:53,620 〝人間が森にいる〞と 言ったものです 9 00:00:54,821 --> 00:01:00,360 彼が部屋に入ってくると みんな 静まり返ります 10 00:01:00,593 --> 00:01:03,596 独特のパワーを 発していました 11 00:01:04,831 --> 00:01:08,268 無駄口もなく いきなり本題です 12 00:01:08,401 --> 00:01:10,437 “いい案が”と切り出すと 13 00:01:10,537 --> 00:01:14,808 “いい案かどうかは 私が決める”と言われた 14 00:01:16,142 --> 00:01:20,647 ウォルト・ディズニーは 30歳にして すでに有名人 15 00:01:21,481 --> 00:01:23,850 天才と もてはやされました 16 00:01:24,484 --> 00:01:28,087 ハーバード大学と エール大学からは名誉学位を 17 00:01:29,456 --> 00:01:34,794 エンターテインメント企業では 世界一の会社を起こしました 18 00:01:34,861 --> 00:01:37,163 この子は〝てれすけ〞 白雪姫が大好きなんだ 19 00:01:37,163 --> 00:01:39,499 この子は〝てれすけ〞 白雪姫が大好きなんだ 20 00:01:37,163 --> 00:01:39,499 誰よりも多く アカデミー賞を受賞 21 00:01:39,499 --> 00:01:40,467 誰よりも多く アカデミー賞を受賞 22 00:01:41,601 --> 00:01:44,571 アニメーション映画という ジャンルを確立 23 00:01:47,373 --> 00:01:51,411 家族で楽しめる テーマパークを創りました 24 00:01:53,546 --> 00:01:57,784 ディズニー作品は 熱烈なファンを獲得 25 00:01:58,685 --> 00:02:02,655 しかし一方では 感傷的で楽観的と指摘され― 26 00:02:02,755 --> 00:02:07,694 歴史を都合よく 書き換えているとの批判も 27 00:02:10,697 --> 00:02:13,266 ディズニーに対して人々は― 28 00:02:13,566 --> 00:02:16,469 好き嫌いが はっきり分かれます 29 00:02:16,769 --> 00:02:21,374 でも この男のエネルギーは 尊敬に値する 30 00:02:21,474 --> 00:02:24,344 彼の生涯は まさに全力疾走です 31 00:02:24,611 --> 00:02:27,881 “ベイブス・イン・トイランド”が 完成したからお祝いだ! 32 00:02:28,181 --> 00:02:33,720 大事業を成功させても “優しいおじさん”のままでした 33 00:02:34,320 --> 00:02:36,856 彼はイメージのとおり― 34 00:02:37,157 --> 00:02:42,195 温厚で親しみやすい人物で いたかったのでしょう 35 00:02:42,862 --> 00:02:44,464 実際は違いました 36 00:02:45,598 --> 00:02:49,736 ウォルトは心に闇を 抱えていました 37 00:02:50,470 --> 00:02:53,373 その闇と闘っていたのです 38 00:02:53,740 --> 00:02:57,377 光を求めて 闇と闘っていました 39 00:02:58,244 --> 00:03:04,183 彼は感受性が豊かで 人々に 共感してほしかったのです 40 00:03:04,417 --> 00:03:08,388 感じたことを スクリーンで表現すれば― 41 00:03:08,488 --> 00:03:11,257 共有できると考えました 42 00:03:12,191 --> 00:03:13,893 成功者といっても― 43 00:03:14,394 --> 00:03:17,730 成し遂げるのは 大抵 1つのことです 44 00:03:18,565 --> 00:03:22,602 ウォルトは あらゆることで 成功しました 45 00:03:23,736 --> 00:03:29,809 一体 この男は人の心理の 何をつかんでいたのでしょう 46 00:03:47,927 --> 00:03:53,399 ウォルトほど がむしゃらに 突き進む男はいません 47 00:03:56,502 --> 00:03:58,905 彼が本当に目指したのは― 48 00:04:00,340 --> 00:04:04,277 中西部で よく言う “名を上げる”こと 49 00:04:06,546 --> 00:04:12,785 野心家の彼は ともかく 大物になりたかったのです 50 00:04:18,791 --> 00:04:22,595 1919年 ウォルト・ディズニーは― 51 00:04:22,695 --> 00:04:27,333 第一次世界大戦が終わると フランスから帰還します 52 00:04:27,433 --> 00:04:33,273 200万人ほどの帰還兵の中で 彼はすでに裕福でした 53 00:04:34,574 --> 00:04:38,811 弱冠17歳で銀行預金が 500ドル以上もあり― 54 00:04:38,911 --> 00:04:44,684 父親が共同経営するゼリー工場に 働き口もありました 55 00:04:45,618 --> 00:04:49,889 労働者階級の若者には いい仕事ですが― 56 00:04:50,456 --> 00:04:54,594 彼は普通の若者では ありませんでした 57 00:04:55,395 --> 00:04:58,698 彼には発想力と 行動力があり― 58 00:04:58,798 --> 00:05:02,902 何か思いつくなり 即実行したのです 59 00:05:03,002 --> 00:05:04,737 社交的な性格で― 60 00:05:05,405 --> 00:05:09,509 注目されるのが 何より好きでした 61 00:05:11,010 --> 00:05:15,948 芸術家志望で 才能を使えば注目されると― 62 00:05:16,516 --> 00:05:20,053 早くから 気付いていたようです 63 00:05:20,920 --> 00:05:25,525 彼は時流に乗り 時代は刺激に満ちていました 64 00:05:30,897 --> 00:05:33,833 ウォルトは 幼いころから好きだった― 65 00:05:33,933 --> 00:05:38,971 絵を描くことを仕事にしようと 決めていました 66 00:05:40,373 --> 00:05:42,942 ゼリー工場の仕事を断り― 67 00:05:43,042 --> 00:05:47,714 少年時代を過ごした カンザスシティへ向かいます 68 00:05:49,982 --> 00:05:52,952 兄たちと家を借り 広告会社で― 69 00:05:53,052 --> 00:05:57,056 商業デザイナーの仕事を 見つけます 70 00:05:57,857 --> 00:06:04,831 すぐに流行の服や上等の葉巻 豪華な食事を楽しむ高給取りに 71 00:06:05,798 --> 00:06:10,737 そして毎晩のように 映画館に通い始めます 72 00:06:15,408 --> 00:06:20,146 映画のとりことなった彼が ひと晩で見たのは― 73 00:06:20,446 --> 00:06:24,584 最低1本の長編映画 シリーズ物の短編 74 00:06:24,684 --> 00:06:28,521 ニュース映画 そしてアニメーション映画 75 00:06:33,860 --> 00:06:37,630 アニメーションは 刺激的なジャンルでした 76 00:06:38,731 --> 00:06:40,633 業界は れい明期で― 77 00:06:41,868 --> 00:06:45,805 従うべき規則も 慣習もありません 78 00:06:45,905 --> 00:06:48,674 開かれた世界でした 79 00:06:49,776 --> 00:06:52,111 ウォルトは夢中になります 80 00:06:52,578 --> 00:06:56,783 絵の本格的な勉強は 美術学校で数か月と― 81 00:06:56,883 --> 00:06:59,585 美大の講座に通っただけ 82 00:06:59,952 --> 00:07:03,956 でも彼には自信がありました 83 00:07:06,025 --> 00:07:11,731 エドワード・マイブリッジの 「人体動作の連続写真集」と― 84 00:07:12,965 --> 00:07:15,535 アニメの基礎を解説した本で 独学します 85 00:07:15,535 --> 00:07:17,804 アニメの基礎を解説した本で 独学します 86 00:07:15,535 --> 00:07:17,804 「漫画映画」 87 00:07:17,804 --> 00:07:18,504 「漫画映画」 88 00:07:18,604 --> 00:07:23,443 物語のあらすじを考え キャラクターを決めたら― 89 00:07:23,643 --> 00:07:27,847 コマを白い紙に描くと 本にはありました 90 00:07:28,881 --> 00:07:34,220 本に従い絵を1枚1枚 くぎで留め 撮影すると― 91 00:07:34,520 --> 00:07:37,657 キャラクターが 動いて見えました 92 00:07:40,159 --> 00:07:45,765 彼はモダンカルチャーにはまり わくわくしたはずです 93 00:07:45,865 --> 00:07:50,102 映画やアニメーションの 将来に関わる喜びは― 94 00:07:50,536 --> 00:07:54,774 絵が描ける彼には たまらないものだったでしょう 95 00:08:00,513 --> 00:08:02,882 初めての短編作品は― 96 00:08:02,982 --> 00:08:08,654 広告会社の機材を借り 夜や週末を使って創りました 97 00:08:11,057 --> 00:08:13,626 「カンザスシティの 春の大掃除」 98 00:08:13,926 --> 00:08:16,762 ギャグで驚かせると いきまき― 99 00:08:16,863 --> 00:08:20,733 カンザスシティの劇場に 売り込みました 100 00:08:24,770 --> 00:08:26,072 “お前はクビだ!” 101 00:08:26,606 --> 00:08:29,175 契約料は安く赤字でした 102 00:08:29,275 --> 00:08:32,278 しかし彼にとって 大切なのは― 103 00:08:32,778 --> 00:08:36,816 カネより人々に 注目されることです 104 00:08:37,817 --> 00:08:41,087 “あそこで初めての 名声を手にした” 105 00:08:37,817 --> 00:08:41,087 〝映画は明日の夜 上映〞 106 00:08:41,087 --> 00:08:41,621 〝映画は明日の夜 上映〞 107 00:08:41,621 --> 00:08:43,856 〝映画は明日の夜 上映〞 108 00:08:41,621 --> 00:08:43,856 そう回想しています 109 00:08:43,856 --> 00:08:44,891 〝映画は明日の夜 上映〞 110 00:08:47,226 --> 00:08:51,063 20歳で昼間の仕事を辞め 自社を設立 111 00:08:51,163 --> 00:08:55,668 “ラフォグラム社” 社長ウォルト・ディズニーです 112 00:08:56,936 --> 00:08:59,539 社員は営業担当と営業部長 113 00:08:59,639 --> 00:09:02,174 4人の若い 見習いアニメーター 114 00:09:04,277 --> 00:09:10,750 若いウォルトはあれこれ 撮ろうとしたに違いありません 115 00:09:11,651 --> 00:09:16,656 自分を表現するためというより 自分探しです 116 00:09:17,290 --> 00:09:20,092 彼は とことん求めました 117 00:09:23,696 --> 00:09:25,831 ウォルトは有頂天で― 118 00:09:26,132 --> 00:09:30,770 何でもできると思い 壮大な計画も立てました 119 00:09:32,004 --> 00:09:34,073 世界制覇です 120 00:09:38,277 --> 00:09:42,248 ウォルトが業界で 影響力を持ち始めたころ― 121 00:09:42,348 --> 00:09:44,917 両親が越してきます 122 00:09:45,618 --> 00:09:50,790 父イライアスには息子以外 頼る人がいませんでした 123 00:09:51,190 --> 00:09:57,863 事業を潰し続けてきた彼は ゼリー工場も倒産させたのです 124 00:09:58,864 --> 00:10:02,602 母親は息子の仕事を 応援します 125 00:10:02,702 --> 00:10:07,206 しかし父親は息子の ちっぽけな名声をあざ笑い― 126 00:10:07,306 --> 00:10:11,344 “成功が続くと思うな”と 忠告します 127 00:10:11,911 --> 00:10:17,683 ウォルトは再び父親に こき使われることを恐れました 128 00:10:18,184 --> 00:10:22,321 彼には幼少時代 つらい経験があります 129 00:10:23,623 --> 00:10:25,324 働きづめでした 130 00:10:25,725 --> 00:10:31,664 父親は横暴でケチで ある意味 野蛮な性格でした 131 00:10:32,031 --> 00:10:35,835 “お前は働いて 私を助けるのだ” 132 00:10:36,068 --> 00:10:37,770 そんな父親です 133 00:10:45,911 --> 00:10:51,283 彼らほど似ていない親子も めったにいません 134 00:10:51,951 --> 00:10:55,121 それがイライアスと ウォルトです 135 00:10:56,222 --> 00:10:59,225 ウォルトは 楽しいことが好きで― 136 00:10:59,358 --> 00:11:01,794 悪ふざけばかり 137 00:11:02,294 --> 00:11:06,832 とにかく人が大好きな 子供だったのです 138 00:11:07,833 --> 00:11:11,804 父親のイライアスと 対極にあったのは― 139 00:11:11,971 --> 00:11:15,975 気性だけでなく 意志の強さもです 140 00:11:16,342 --> 00:11:20,246 “父とは違う人間になる” 141 00:11:20,446 --> 00:11:24,784 “父とは正反対の 人間になってやる” 142 00:11:24,884 --> 00:11:28,754 父親を見て そう誓っていました 143 00:11:28,854 --> 00:11:33,359 ウォルトは 子供らしい生活を奪われ― 144 00:11:33,459 --> 00:11:37,463 子供がすべきことを できませんでした 145 00:11:37,763 --> 00:11:40,766 遊んだり 楽しんだり 笑ったり 146 00:11:41,434 --> 00:11:45,771 実際に言ったかはさておき 大人になると― 147 00:11:46,172 --> 00:11:48,374 こう考えたはずです 148 00:11:48,474 --> 00:11:52,111 “何とか 埋め合わせをしよう” 149 00:11:52,211 --> 00:11:56,382 “子供のとき 得られなかったものを―” 150 00:11:56,482 --> 00:11:59,351 “どうしても手に入れたい” 151 00:12:08,094 --> 00:12:11,764 〝私は妖精〞 152 00:12:11,764 --> 00:12:12,098 〝私は妖精〞 153 00:12:11,764 --> 00:12:12,098 ラフォグラム社は― 154 00:12:12,098 --> 00:12:12,898 ラフォグラム社は― 155 00:12:12,898 --> 00:12:13,933 ラフォグラム社は― 156 00:12:12,898 --> 00:12:13,933 〝あなたの望みを かなえに来たの〞 157 00:12:13,933 --> 00:12:14,033 〝あなたの望みを かなえに来たの〞 158 00:12:14,033 --> 00:12:17,169 〝あなたの望みを かなえに来たの〞 159 00:12:14,033 --> 00:12:17,169 妖精を描いた短編6話を 制作します 160 00:12:17,169 --> 00:12:18,104 妖精を描いた短編6話を 制作します 161 00:12:19,071 --> 00:12:22,808 しかし配給会社は 未払いのまま逃げました 162 00:12:22,808 --> 00:12:22,908 しかし配給会社は 未払いのまま逃げました 163 00:12:22,808 --> 00:12:22,908 〝真夜中になると 服はボロきれに…〞 164 00:12:22,908 --> 00:12:24,810 〝真夜中になると 服はボロきれに…〞 165 00:12:24,810 --> 00:12:28,481 〝真夜中になると 服はボロきれに…〞 166 00:12:24,810 --> 00:12:28,481 その結果 給料も オフィスの家賃も― 167 00:12:28,481 --> 00:12:29,048 その結果 給料も オフィスの家賃も― 168 00:12:29,148 --> 00:12:31,517 払えなくなりました 169 00:12:32,017 --> 00:12:37,823 それでも起死回生の策があると ウォルトは豪語します 170 00:12:37,923 --> 00:12:43,462 そしてニューヨークの有名な 配給会社に手紙を書きました 171 00:12:44,296 --> 00:12:49,835 “アニメーションの斬新な 表現方法を発見した”と 172 00:12:50,269 --> 00:12:55,808 その方法とはアニメーションに 実写の少女を登場させ― 173 00:12:56,108 --> 00:13:00,479 「漫画の国のアリス」を 創るというものです 174 00:13:01,947 --> 00:13:06,485 “彼は自分の能力やアイデアに 楽観的だった” 175 00:13:06,785 --> 00:13:09,121 営業部長は述懐します 176 00:13:09,455 --> 00:13:14,160 “自分の試みが正しいと 信じきっていた”とも 177 00:13:16,829 --> 00:13:21,400 カネをかき集め 「アリス」を完成させました 178 00:13:22,067 --> 00:13:25,404 ほぼ1人で やり遂げたのです 179 00:13:25,504 --> 00:13:29,041 オフィスに寝泊まりし 駅で体を洗い― 180 00:13:29,141 --> 00:13:33,179 缶詰と食堂の施しで 食いつなぎました 181 00:13:34,280 --> 00:13:39,251 しかし映画が完成した 1923年の夏には― 182 00:13:39,351 --> 00:13:44,356 ラフォグラム社の倒産手続きは 始まっていました 183 00:13:44,523 --> 00:13:49,128 アリスは社の救世主に なれなかったのです 184 00:13:49,562 --> 00:13:53,966 ウォルト・ディズニーにとって 初めての挫折です 185 00:13:56,468 --> 00:14:02,241 彼はかばんに2枚のシャツと 残った絵の道具を詰め― 186 00:14:02,341 --> 00:14:04,410 ユニオン駅へ 187 00:14:04,610 --> 00:14:09,915 サンタフェ鉄道の窓口で 1等の切符を買い― 188 00:14:10,015 --> 00:14:12,551 ロサンゼルスへ向かいました 189 00:14:23,429 --> 00:14:28,000 1920年代のハリウッドは 未来ある希望の光 190 00:14:28,601 --> 00:14:32,071 夢がかなう 輝かしい場所でもある 191 00:14:32,371 --> 00:14:36,442 街はめまぐるしく 動いていました 192 00:14:36,542 --> 00:14:40,646 ウォルトは自分の居場所だと 感じたのでしょう 193 00:14:41,580 --> 00:14:45,551 アニメーションに 懲りた彼は― 194 00:14:45,651 --> 00:14:51,490 ハリウッドで映画監督に なろうと考えたのです 195 00:14:54,326 --> 00:15:00,299 チャップリンの撮影所周辺を うろつき 職を探します 196 00:15:02,201 --> 00:15:06,438 映画「ベン・ハー」の セットを見学したり― 197 00:15:08,207 --> 00:15:13,679 ユニバーサルの敷地に潜り込み 歩き回ったりもしました 198 00:15:15,614 --> 00:15:21,053 しかし何週間たっても 仕事にありつけません 199 00:15:21,620 --> 00:15:25,357 ロサンゼルスへ 移り住んでいた兄のロイは― 200 00:15:25,457 --> 00:15:30,362 監督を志望する弟に 我慢なりませんでした 201 00:15:31,497 --> 00:15:34,266 ロイはスターに目もくれず― 202 00:15:34,466 --> 00:15:38,103 訪問販売で 生計を立てていました 203 00:15:38,304 --> 00:15:43,309 堅実な仕事でカネを稼げと 弟を戒めました 204 00:15:46,979 --> 00:15:53,152 兄の忠告に従おうとしたとき 配給会社から連絡が入ります 205 00:15:54,153 --> 00:15:57,222 社長のマーガレット・ ウィンクラーは― 206 00:15:57,323 --> 00:16:00,659 ウォルトの売り込みを 覚えていました 207 00:16:00,960 --> 00:16:05,297 「アリス」がどうなったか 知りたがったのです 208 00:16:06,365 --> 00:16:09,101 「アリスの不思議の国」 209 00:16:09,468 --> 00:16:13,973 〝脚本・監督 ウォルト・ディズニー〞 210 00:16:19,511 --> 00:16:24,383 「アリス」のフィルムを ニューヨークへ送ってすぐに 211 00:16:24,483 --> 00:16:27,052 彼女から電報が届きました 212 00:16:27,219 --> 00:16:30,522 「アリス」の短編12話を 発注し― 213 00:16:30,990 --> 00:16:34,493 1話につき1500ドル 払うというのです 214 00:16:37,396 --> 00:16:42,735 電報を受け取ると 兄の元に駆けつけました 215 00:16:43,068 --> 00:16:46,038 そして電報を振りながら― 216 00:16:46,138 --> 00:16:49,608 “チャンスをつかんだぞ!”と 217 00:16:50,376 --> 00:16:56,115 しかしロイは いつも冷静で 一切の野望も持たず― 218 00:16:56,215 --> 00:16:58,217 極めて現実的 219 00:16:58,317 --> 00:17:04,123 でもウォルトは言いました “一緒にやれば成功する”と 220 00:17:05,758 --> 00:17:08,761 ロイは懐疑的な 性格でしたが― 221 00:17:09,060 --> 00:17:14,400 弟の情熱を愛し 生きがいにしているようでした 222 00:17:15,067 --> 00:17:21,173 弟の壮大な構想に参加できる 喜びを感じたのでしょう 223 00:17:21,272 --> 00:17:25,377 自分には到底 考えつきもしない構想です 224 00:17:26,111 --> 00:17:31,483 ロイは解放感を ウォルトは安心感を得ました 225 00:17:32,718 --> 00:17:36,522 ディズニー兄弟は 友人や親戚に借金し― 226 00:17:36,622 --> 00:17:40,793 2人だけの会社を 設立しました 227 00:17:41,260 --> 00:17:43,595 弟はアーティストで アイデアマン 228 00:17:43,695 --> 00:17:48,467 兄は資金調達と帳簿係 何でもこなす裏方です 229 00:17:49,368 --> 00:17:54,473 しかし制作には ほかにも協力者が必要でした 230 00:17:54,773 --> 00:17:58,677 かつての仕事仲間 アブ・アイワークスを― 231 00:17:58,777 --> 00:18:02,147 ロサンゼルスへ 呼び寄せました 232 00:18:03,115 --> 00:18:06,718 ウォルトは絵で 注目を集めましたが― 233 00:18:06,819 --> 00:18:11,390 世界一のアーティストでは ありません 234 00:18:11,490 --> 00:18:15,427 数多くいた優秀な イラストレーターに― 235 00:18:15,527 --> 00:18:18,831 かなわないと 分かっていたのです 236 00:18:19,598 --> 00:18:21,867 アイワークスのような― 237 00:18:22,167 --> 00:18:26,305 超一流の人材を 常にウォルトは集めました 238 00:18:26,538 --> 00:18:30,742 自分より優秀な相手を 恐れなかったのです 239 00:18:34,546 --> 00:18:39,384 アイワークスは早速 「アリス」を手直しし― 240 00:18:39,485 --> 00:18:44,823 アニメのキャラクターに 重点を置く作風を確立 241 00:18:47,259 --> 00:18:49,895 配給会社は 変更を気に入り― 242 00:18:50,429 --> 00:18:54,900 もっと多くの作品を もっと早くと要求します 243 00:18:55,767 --> 00:19:00,239 そこでウォルトは かつての仲間を呼び寄せ― 244 00:19:00,339 --> 00:19:04,476 現地でも雇い 新会社は大所帯となりました 245 00:19:04,576 --> 00:19:08,547 ラフォグラム社と 新会社の違いはロイです 246 00:19:08,914 --> 00:19:12,217 ディズニー・ブラザーズには 彼がいます 247 00:19:12,317 --> 00:19:18,590 創設期にロイが新会社の 財務と経営の構造を整え― 248 00:19:18,857 --> 00:19:21,493 基盤を築いたのです 249 00:19:23,729 --> 00:19:28,267 ディズニー兄弟は 早くから成功を収めました 250 00:19:28,534 --> 00:19:30,736 ロイはセダンを買い 251 00:19:31,303 --> 00:19:33,839 ウォルトは ムーン・ロードスターを 252 00:19:34,907 --> 00:19:39,578 2人は隣り合わせの土地に 家を建てました 253 00:19:41,847 --> 00:19:45,851 1925年 ロイは エドナ・フランシスと結婚 254 00:19:45,951 --> 00:19:49,254 カンザスシティ時代からの 恋人です 255 00:19:59,865 --> 00:20:04,670 口ひげ姿のウォルトは 花婿の介添人を務め― 256 00:20:04,770 --> 00:20:07,873 リリアン・バウンズを 同伴しました 257 00:20:09,241 --> 00:20:10,876 恋人のリリアンは― 258 00:20:10,976 --> 00:20:14,880 ディズニー・スタジオの スタッフでした 259 00:20:15,781 --> 00:20:17,883 ウォルトのことを― 260 00:20:17,983 --> 00:20:23,555 “感情の赴くままに動く 自然体で面白い人”と 261 00:20:27,259 --> 00:20:31,863 ロイの挙式から3か月後 2人も結婚しました 262 00:20:34,700 --> 00:20:39,871 1926年 「アリス」シリーズは 16日に1話のペースで― 263 00:20:39,972 --> 00:20:42,441 制作されていました 264 00:20:42,541 --> 00:20:46,511 兄弟はシルバーレイク地区の 広い建物へ― 265 00:20:46,612 --> 00:20:49,448 スタジオを移す決心をします 266 00:20:50,382 --> 00:20:54,920 ハイペリオン通りの建物に 引っ越したとき― 267 00:20:55,020 --> 00:20:58,624 とても象徴的なことが 起きました 268 00:20:58,824 --> 00:21:02,494 ウォルトはロイに こう告げたのです 269 00:21:02,594 --> 00:21:07,866 “今後の社名はウォルト・ ディズニー・スタジオだ” 270 00:21:07,966 --> 00:21:10,736 “ディズニー・ ブラザーズではない” 271 00:21:10,969 --> 00:21:13,505 ウォルトは確信したのです 272 00:21:13,605 --> 00:21:17,743 独創性と娯楽性に富んだ 彼のアイデアが― 273 00:21:17,843 --> 00:21:23,448 会社の原動力であり それこそが商品だと 274 00:21:28,787 --> 00:21:32,924 1926年の暮れ ウォルトの頭の中は― 275 00:21:33,025 --> 00:21:35,527 ライバルのことばかり 276 00:21:36,495 --> 00:21:39,698 「アリス」が勢いを 失い始めると― 277 00:21:39,798 --> 00:21:44,369 映画館に通い 一流の制作者たちの作品を― 278 00:21:44,469 --> 00:21:46,738 必死に研究しました 279 00:21:46,838 --> 00:21:50,008 フライシャー兄弟や パット・サリバンです 280 00:21:51,410 --> 00:21:54,513 当時の大ヒット作品は サリバンの― 281 00:21:54,613 --> 00:21:56,848 「フィリックス・ザ・キャット」 282 00:22:01,353 --> 00:22:04,656 当時の作品は おおざっぱで暴力的 283 00:22:04,756 --> 00:22:08,560 ギャグ中心で とても都会的でした 284 00:22:11,930 --> 00:22:17,569 業界のベテランが創る そういった作風に対し― 285 00:22:17,669 --> 00:22:20,572 若いウォルトは考えました 286 00:22:20,672 --> 00:22:23,075 “彼らのやり方は分かった” 287 00:22:23,375 --> 00:22:27,946 “私なりの考えを加え 新しいスタイルにしよう” 288 00:22:29,681 --> 00:22:33,652 「フィリックス・ザ・キャット」に 対抗する鍵は― 289 00:22:33,752 --> 00:22:37,389 愛されるキャラクターを 生み出すこと 290 00:22:38,023 --> 00:22:41,526 配給会社は ウサギを提案します 291 00:22:41,626 --> 00:22:43,595 ネコは多すぎました 292 00:22:48,467 --> 00:22:54,539 そこで誕生したのが 「しあわせウサギのオズワルド」 293 00:23:04,683 --> 00:23:09,121 ユニバーサルの上層部は 下絵を見てほれ込み― 294 00:23:09,421 --> 00:23:12,491 全26話のシリーズ契約を 申し出ます 295 00:23:12,958 --> 00:23:16,428 ウォルトの会社は 好調に見えました 296 00:23:19,431 --> 00:23:24,069 しかし第1シリーズの 仕上げにさしかかるころ― 297 00:23:24,169 --> 00:23:27,806 アニメーターたちは 不満を募らせます 298 00:23:28,707 --> 00:23:32,544 昔からの仲間たちは 残業や週末出勤をして― 299 00:23:32,644 --> 00:23:36,948 新会社を支えたのに 給料が未払いのことも 300 00:23:37,048 --> 00:23:41,419 もうけや名声は ボスが独り占めしました 301 00:23:42,587 --> 00:23:46,424 ウォルトの二面性が 表れたのでしょう 302 00:23:46,825 --> 00:23:50,095 一方は人を鼓舞する男 303 00:23:50,862 --> 00:23:53,465 もう一方は強引な牽引(けんいん)車 304 00:23:53,732 --> 00:23:59,838 スタッフたちに労働と創造性 そして生産性を要求しました 305 00:23:59,938 --> 00:24:03,108 要求に応えられない者は― 306 00:24:03,208 --> 00:24:06,678 容赦なく どなりつけられました 307 00:24:08,914 --> 00:24:14,753 ウィンクラーの夫で共同経営者の チャールズ・ミンツは― 308 00:24:14,853 --> 00:24:20,826 「オズワルド」の版権は 自分にあることを知ります 309 00:24:22,160 --> 00:24:25,096 アイワークスは ウォルトに言いました 310 00:24:25,797 --> 00:24:29,034 “チャールズ・ミンツから 誘われた” 311 00:24:29,501 --> 00:24:33,972 “ウォルトの会社を辞めて うちで働かないかと” 312 00:24:34,506 --> 00:24:37,843 “アニメーター全員が 誘われてる” 313 00:24:37,943 --> 00:24:41,980 ウォルトは鼻で笑い 信じませんでした 314 00:24:42,080 --> 00:24:46,818 問題を指摘するアイワークスの 声を一蹴したのです 315 00:24:51,022 --> 00:24:54,259 1928年 ウォルトは 次の契約を期待して― 316 00:24:54,559 --> 00:24:57,128 ニューヨークの ミンツを訪ねます 317 00:24:58,597 --> 00:25:01,600 しかし アイワークスが 正しかったと― 318 00:25:01,700 --> 00:25:03,902 すぐに気付きました 319 00:25:04,703 --> 00:25:09,207 ほぼ全員のアーティストが ミンツに引き抜かれ― 320 00:25:09,808 --> 00:25:15,580 自分抜きで「オズワルド」を 制作すると宣告されたのです 321 00:25:16,681 --> 00:25:19,584 ある意味 当然の結果です 322 00:25:19,684 --> 00:25:22,754 ウォルトの考えは 甘すぎました 323 00:25:23,088 --> 00:25:27,759 周囲の不満に 気付きもしなかったのです 324 00:25:29,594 --> 00:25:31,897 構想の実現しか頭になく― 325 00:25:31,997 --> 00:25:37,969 こうした事業の失敗には 全く無防備でした 326 00:25:40,839 --> 00:25:46,044 帰りの列車でウォルトは 失意のどん底にいました 327 00:25:46,978 --> 00:25:49,748 仲間に見捨てられたのです 328 00:25:50,982 --> 00:25:54,686 配給会社も オズワルドも失い― 329 00:25:54,786 --> 00:25:57,155 銀行の預金もわずか 330 00:25:59,057 --> 00:26:03,161 オズワルドは いとも簡単に奪われました 331 00:26:03,995 --> 00:26:07,332 気付いたときには 去っていたのです 332 00:26:17,709 --> 00:26:20,812 国内を横断する長旅でした 333 00:26:21,746 --> 00:26:25,350 列車は途中 各都市に止まり― 334 00:26:25,884 --> 00:26:29,220 無数の小さな町を 通過しました 335 00:26:30,956 --> 00:26:34,159 その1つが ミズーリ州マーセリンです 336 00:26:35,627 --> 00:26:38,997 初めて訪れたのは 彼が4歳のとき 337 00:26:39,097 --> 00:26:41,766 シカゴから 父親に連れられ― 338 00:26:41,866 --> 00:26:48,173 母親と3人の兄 幼い妹と共に 農場に移り住みました 339 00:26:49,741 --> 00:26:52,944 決して忘れられない 場所なのです 340 00:26:59,617 --> 00:27:05,690 一家は町外れの家で 自然に囲まれて暮らしました 341 00:27:06,324 --> 00:27:10,762 森の中や野原を 走り抜ける日々です 342 00:27:10,862 --> 00:27:15,266 ウォルトは動物好きで 犬やブタやウシもいました 343 00:27:17,736 --> 00:27:22,340 マーセリンは彼の 幼少時代を象徴する場所 344 00:27:22,640 --> 00:27:26,711 子供らしく 自由でいられた場所です 345 00:27:26,945 --> 00:27:30,382 父親から 抑圧される前のことです 346 00:27:32,117 --> 00:27:37,822 マーセリンは彼にとって 幸福の地だったのでしょう 347 00:27:38,256 --> 00:27:42,394 軽やかで活気ある 町の雰囲気は― 348 00:27:42,694 --> 00:27:44,396 子供にも心地いい 349 00:27:45,030 --> 00:27:51,770 彼が普通の幼少期を楽しめた 最後の場所に違いありません 350 00:27:55,173 --> 00:27:58,376 ディズニー家の家業は 難航しました 351 00:27:59,277 --> 00:28:04,149 もうけはわずかで 父親は農業に不向きでした 352 00:28:05,283 --> 00:28:07,819 移住して わずか5年 353 00:28:07,919 --> 00:28:13,091 父親はシカゴへ戻ると 家族に言い渡しました 354 00:28:16,394 --> 00:28:21,332 父は農場を売り 家畜や農具を競売にかけました 355 00:28:22,033 --> 00:28:30,175 寒い冬空の下 ロイと私は あちこちの小さな町を訪ね― 356 00:28:30,408 --> 00:28:35,213 競売の告知を貼って回りました 357 00:28:37,749 --> 00:28:41,920 ウォルトはこう語っています “重要な経験は―” 358 00:28:42,020 --> 00:28:45,290 “すべて マーセリンで味わった” 359 00:28:46,157 --> 00:28:50,862 あの地を失った経験も 含まれるのでしょう 360 00:29:10,982 --> 00:29:16,921 1928年3月 ロサンゼルスに 到着したウォルトからは― 361 00:29:17,021 --> 00:29:22,527 生来の明るさや情熱は すっかり消えていました 362 00:29:23,328 --> 00:29:27,932 ひどく沈んでいたと アイワークスは言います 363 00:29:28,266 --> 00:29:34,038 何度も事業を潰してきた父親を 見て育ったウォルトに― 364 00:29:34,139 --> 00:29:38,877 自分の失敗が どれほど身にこたえたか 365 00:29:39,043 --> 00:29:42,947 ディズニー家にとって 失敗は一大事です 366 00:29:43,148 --> 00:29:48,253 失敗するたびに父親は やる気を失い 廃業しますが 367 00:29:48,353 --> 00:29:50,522 ウォルトは前進します 368 00:29:51,089 --> 00:29:56,961 “オズワルドより 面白いものを創ってやる”と 369 00:29:58,429 --> 00:30:01,866 スタジオに残った 忠実なスタッフと― 370 00:30:01,966 --> 00:30:05,236 毎日 アイデアを 出し合いました 371 00:30:06,171 --> 00:30:11,176 自分たちが版権を持ち カネを生む新キャラクター 372 00:30:11,376 --> 00:30:15,847 ヒントを求め 人気雑誌を読みあさり― 373 00:30:15,947 --> 00:30:20,018 意見を交わし イメージを描き続けました 374 00:30:20,118 --> 00:30:22,987 やがて ある形があらわれます 375 00:30:23,388 --> 00:30:29,394 アイワークスによると “洋なし形の体 丸い顔 細い脚” 376 00:30:29,994 --> 00:30:32,530 “長い耳ならウサギ” 377 00:30:32,831 --> 00:30:34,933 “短い耳ならネコだけど―” 378 00:30:35,033 --> 00:30:38,970 “鼻を細長くしたら ネズミになった” 379 00:30:39,537 --> 00:30:45,043 ウォルトは“モーティマー”と 呼ぼうとしますが― 380 00:30:45,143 --> 00:30:47,345 リリアンは“ミッキー”と 381 00:30:49,013 --> 00:30:50,281 オズワルドと同様― 382 00:30:50,381 --> 00:30:53,184 アイワークスが デザインを担当 383 00:30:53,384 --> 00:30:56,187 ウォルトが個性を与えました 384 00:30:56,287 --> 00:31:02,460 彼は経済的支援がなくても さらに大物になろうとします 385 00:31:02,560 --> 00:31:06,998 ネズミという選択は 実に象徴的でした 386 00:31:07,098 --> 00:31:09,634 ネズミのように 小さな存在で― 387 00:31:09,934 --> 00:31:13,571 巨大産業に 割り込むのですから 388 00:31:14,906 --> 00:31:21,112 ミッキーの初作品を引き受ける 配給会社探しは難航します 389 00:31:21,346 --> 00:31:24,582 しかしウォルトは諦めません 390 00:31:26,251 --> 00:31:30,321 買い手がつかないまま 3作目の制作が― 391 00:31:30,421 --> 00:31:33,358 進められていました 392 00:31:33,458 --> 00:31:37,629 突然 ウォルトが口走ります “音をつけよう” 393 00:31:38,596 --> 00:31:43,134 ほかの人より面白いアニメを 創るには? 394 00:31:43,234 --> 00:31:45,536 彼は常に新技術を求め― 395 00:31:45,637 --> 00:31:50,275 常にアニメーションを よくしようとしていました 396 00:31:50,475 --> 00:31:54,946 当時 スクリーン上の 動きに合わせた― 397 00:31:55,046 --> 00:31:59,317 サウンドトラックを創るのは 至難の業でした 398 00:31:59,984 --> 00:32:05,590 極めて複雑なプロセスで 慎重に検討せねばなりません 399 00:32:05,690 --> 00:32:09,627 興行収入だけで その制作費を― 400 00:32:09,928 --> 00:32:13,197 賄えるのかも 未知の世界でした 401 00:32:17,368 --> 00:32:21,105 ウォルトは 賭けに出るしかありません 402 00:32:21,439 --> 00:32:23,007 ニューヨークへ行き― 403 00:32:23,107 --> 00:32:29,080 最先端の音響システムを持つ スタジオと契約を結びます 404 00:32:30,548 --> 00:32:35,019 しかしレコーディング費用が 足りず― 405 00:32:35,119 --> 00:32:39,390 ロイに何としてでも 工面するよう頼みます 406 00:32:40,124 --> 00:32:44,629 ムーン・ロードスターを 必要なら売ってくれと 407 00:32:46,264 --> 00:32:51,669 ウォルトはニューヨークで 必死に配給会社を探します 408 00:32:52,403 --> 00:32:58,376 フィルムを抱え 3か月間 何社も訪ねますが 成果はゼロ 409 00:32:59,510 --> 00:33:02,046 しかし ついに2週間― 410 00:33:02,146 --> 00:33:05,717 ブロードウェイの劇場で 上映されることに 411 00:33:13,524 --> 00:33:15,727 初上映は 1928年11月18日 412 00:33:15,727 --> 00:33:18,296 初上映は 1928年11月18日 「蒸気船ウィリー」 413 00:33:38,716 --> 00:33:42,053 観客はとりこになりました 414 00:33:42,453 --> 00:33:46,424 見たこともないような トーキー映画で― 415 00:33:48,092 --> 00:33:51,496 音楽や効果音は ギャグの一部です 416 00:33:53,264 --> 00:33:57,201 ある者は“椅子から 転げ落ちそうになった”と 417 00:34:02,140 --> 00:34:04,042 観客の中には― 418 00:34:04,142 --> 00:34:08,612 もう一度 見せてくれと 言い出す人も 419 00:34:32,804 --> 00:34:39,310 「蒸気船ウィリー」の大ヒットで ディズニー・スタジオは― 420 00:34:39,409 --> 00:34:44,449 瞬く間に業界トップクラスに 躍り出たのです 421 00:34:44,549 --> 00:34:49,286 この新興企業と 驚くべきキャラクターは― 422 00:34:49,387 --> 00:34:51,322 注目の的でした 423 00:34:54,759 --> 00:34:57,428 ミッキーマウスは 多才な人気者で― 424 00:34:57,528 --> 00:35:00,465 歌って踊れるコメディアン 425 00:35:00,698 --> 00:35:04,102 アニメーションの 主人公でありながら― 426 00:35:04,202 --> 00:35:07,405 ハリウッドの スターとなりました 427 00:35:15,813 --> 00:35:19,784 1930年 大恐慌へ向け 景気が傾き始める中― 428 00:35:19,884 --> 00:35:23,387 ネズミの名声は高まるばかり 429 00:35:23,488 --> 00:35:24,856 ミッキーマウスは― 430 00:35:25,156 --> 00:35:28,593 “なせば成るの精神”の 典型でした 431 00:35:33,698 --> 00:35:37,702 ミッキーは負けず嫌いで へこたれません 432 00:35:38,169 --> 00:35:41,472 大恐慌の時代に 示してくれたのです 433 00:35:41,572 --> 00:35:48,679 大した技能や財産がなくても 最後は必ず勝てるのだと 434 00:35:51,315 --> 00:35:53,417 挑戦的な面もある 435 00:35:55,853 --> 00:35:58,589 こんな調子です “僕は賢い” 436 00:35:58,756 --> 00:36:02,593 “面倒を起こしても 切り抜けられる” 437 00:36:02,693 --> 00:36:08,332 “ちょっと反抗的で 好き勝手に生きてる” 438 00:36:09,300 --> 00:36:12,336 思春期の夢そのものです 439 00:36:12,503 --> 00:36:16,707 反抗しても憎まれない それがミッキーです 440 00:36:23,915 --> 00:36:27,251 ウォルトは 大恐慌のような問題を― 441 00:36:27,351 --> 00:36:31,222 深く考えるような人間では ありません 442 00:36:31,422 --> 00:36:33,658 では彼は何をしたか 443 00:36:33,758 --> 00:36:38,629 彼は社会の問題や 一般市民の希望を― 444 00:36:38,729 --> 00:36:42,733 本能的に 直感的に 捉えていたのです 445 00:36:42,833 --> 00:36:47,572 災難続きの ドタバタ喜劇が展開されます 446 00:36:51,509 --> 00:36:54,245 そして最後に勝利をつかむ 447 00:36:54,612 --> 00:36:56,214 もちろん恋人も 448 00:36:57,582 --> 00:37:01,252 もう一度 みんなで歌おう 449 00:37:04,689 --> 00:37:08,826 ミッキーマウス・クラブが 各地の映画館に誕生し― 450 00:37:10,661 --> 00:37:13,397 100万人以上の子供が入会 451 00:37:13,798 --> 00:37:18,536 クラブを後押ししたロイが 見いだしたのは― 452 00:37:18,636 --> 00:37:22,506 新たな収益を生む ライセンス・ビジネス 453 00:37:22,673 --> 00:37:28,446 おもちゃなどに肖像を使用する 許可を与えました 454 00:37:28,546 --> 00:37:32,850 人気キャラクターの例に ならったのです 455 00:37:33,417 --> 00:37:38,489 しかし 場当たり的な契約で もうけはわずかでした 456 00:37:39,357 --> 00:37:42,026 そこにケイ・ケイメンが 現れます 457 00:37:42,326 --> 00:37:45,296 彼はマーケティングの 専門家で― 458 00:37:45,396 --> 00:37:48,799 ブランド戦略に たけていました 459 00:37:48,933 --> 00:37:52,470 ライセンス・ビジネスの 天才です 460 00:37:52,570 --> 00:37:55,673 全米の多くの会社が 自社製品を― 461 00:37:55,773 --> 00:38:00,578 ディズニーの成功と 結びつけたいと考えていました 462 00:38:03,381 --> 00:38:07,952 ディズニーはライセンス契約を ケイメンの手に委ねました 463 00:38:08,052 --> 00:38:12,990 ミッキーのほかに ミニーやプルートも対象です 464 00:38:14,025 --> 00:38:19,563 スタジオは特にミッキーの使用に 厳しく目を光らせ― 465 00:38:20,398 --> 00:38:22,667 高額の使用料を要求 466 00:38:23,701 --> 00:38:29,407 それでも喜んで提携する会社は いくらでもありました 467 00:38:38,849 --> 00:38:40,851 1930年代初め― 468 00:38:40,951 --> 00:38:44,855 街はミッキーのグッズで あふれていました 469 00:38:45,623 --> 00:38:50,461 中でも腕時計はアメリカで 最も人気の時計でした 470 00:38:57,034 --> 00:39:01,906 スタジオにミッキーマウスへの ファンレターが― 471 00:39:02,006 --> 00:39:04,842 全米各地から殺到します 472 00:39:05,476 --> 00:39:09,347 イギリスやスペイン フィリピンからも 473 00:39:09,447 --> 00:39:12,650 宛名はミッキーか ウォルトでした 474 00:39:17,021 --> 00:39:20,057 ミッキーは ウォルトの創ったもので― 475 00:39:20,358 --> 00:39:23,394 ウォルトは ミッキーの生みの親 476 00:39:23,494 --> 00:39:28,099 そのイメージが広がり 世界的スターとなりました 477 00:39:28,399 --> 00:39:31,102 前代未聞の現象です 478 00:39:41,579 --> 00:39:48,452 誰もが不況に苦しむ中 ウォルトはミッキーで大もうけ 479 00:39:48,753 --> 00:39:55,092 小さなネズミがディズニーに 大きな未来をもたらしたのです 480 00:39:59,930 --> 00:40:04,135 ウォルトにとって ミッキーは分身でした 481 00:40:04,835 --> 00:40:08,506 ミッキーと一番の仲よしは 自分だと 482 00:40:11,075 --> 00:40:12,777 プルート 彼女が来るぞ! 483 00:40:12,877 --> 00:40:14,879 通じ合っていました 484 00:40:17,448 --> 00:40:23,754 彼が声を担当したのは当然です ミッキーは自分ですから 485 00:40:24,822 --> 00:40:27,925 “ミッキー 気分はどうだい?” 486 00:40:28,025 --> 00:40:29,827 “上々だよ” 487 00:40:30,461 --> 00:40:35,666 “大変な1日だったけど 明日があるさ” 488 00:40:35,966 --> 00:40:39,537 “一騒ぎ 起こそう 君と僕とでね” 489 00:40:44,442 --> 00:40:48,179 ウォルト・ディズニーは 30歳を前にして― 490 00:40:48,479 --> 00:40:54,485 アニメーション業界から出た 最初の有名人となりました 491 00:40:56,187 --> 00:40:58,923 スタジオは 業界最大手となってからも 492 00:40:59,023 --> 00:41:02,827 ミッキー人気と共に 成長し続けます 493 00:41:03,461 --> 00:41:07,565 ミッキーの成功で 超一流の人材が― 494 00:41:07,665 --> 00:41:09,767 スタジオに集まりました 495 00:41:10,835 --> 00:41:15,840 しかし ウォルトは進行中の 全作品の最終決定権は― 496 00:41:15,940 --> 00:41:18,209 自分にあると主張します 497 00:41:18,776 --> 00:41:23,681 朝から晩まで 時には 真夜中過ぎまで働いても― 498 00:41:23,781 --> 00:41:26,116 追いつかないほどです 499 00:41:27,685 --> 00:41:31,789 強迫観念にとらわれ 一日中 タバコを吸い― 500 00:41:31,889 --> 00:41:36,527 いらだたしげに 指で机を叩(たた)き続けます 501 00:41:37,194 --> 00:41:41,899 スタジオの中で 彼の役割は変わりました 502 00:41:41,999 --> 00:41:45,603 作品づくりに 打ち込む姿は影を潜め― 503 00:41:45,703 --> 00:41:49,907 監督的な立場に なっていったのです 504 00:41:50,007 --> 00:41:53,677 作品を評価し 批判し 編集する 505 00:41:53,777 --> 00:41:56,914 現場から遠ざかったことで― 506 00:41:57,014 --> 00:42:00,985 居心地の悪さを 感じていたのでしょう 507 00:42:09,860 --> 00:42:14,231 ウォルトは昔から 大家族に憧れていました 508 00:42:15,566 --> 00:42:20,538 “子供は10人 欲しい 甘やかして育てるんだ”と 509 00:42:21,939 --> 00:42:25,676 でもリリアンは ためらっていました 510 00:42:25,776 --> 00:42:29,713 夫は職場に 入り浸りだったからです 511 00:42:30,748 --> 00:42:32,583 彼は妻を説得します 512 00:42:35,920 --> 00:42:39,056 兄夫婦には すでに子供がいました 513 00:42:39,156 --> 00:42:45,629 1931年の春 リリアンは妊娠し ウォルトは舞い上がります 514 00:42:46,230 --> 00:42:51,135 彼は大きな家を 早くも用意し始めました 515 00:42:52,736 --> 00:42:55,272 しかし リリアンは流産します 516 00:42:56,173 --> 00:42:59,944 ウォルトは 見舞い客を追い返し― 517 00:43:00,844 --> 00:43:03,314 再び仕事漬けの日々へ 518 00:43:04,148 --> 00:43:08,686 彼は平気だと言い張りますが 違いました 519 00:43:11,755 --> 00:43:17,094 私はひどい神経衰弱に陥り 自分を抑えられなくなりました 520 00:43:17,761 --> 00:43:22,066 ひたすら仕事に打ち込み 製作費は増えるばかり 521 00:43:22,166 --> 00:43:26,203 映画の予想収益より 経費が上回っていました 522 00:43:27,137 --> 00:43:32,743 心がボロボロで ひどく怒りっぽくなって― 523 00:43:32,843 --> 00:43:38,115 電話で話していると 泣き出してしまうほどでした 524 00:43:38,782 --> 00:43:42,820 ほんの些細(ささい)なことでも 泣いてしまうのです 525 00:43:50,194 --> 00:43:54,665 1931年10月 ウォルトは 医師の助言に従い― 526 00:43:54,765 --> 00:43:58,636 初めての 本格的な休暇を取ります 527 00:44:02,039 --> 00:44:05,342 ディズニー夫妻は 首都ワシントンを訪れ― 528 00:44:05,643 --> 00:44:09,113 フロリダを経て キューバで1週間滞在 529 00:44:10,814 --> 00:44:14,985 蒸気船でパナマ運河を抜け 戻りました 530 00:44:17,087 --> 00:44:21,925 “神経衰弱は 神からの贈り物だった” 531 00:44:22,159 --> 00:44:24,028 彼はそう語りました 532 00:44:24,361 --> 00:44:26,664 “仕事がすべてではない” 533 00:44:27,431 --> 00:44:30,034 健康のため運動を始め― 534 00:44:31,735 --> 00:44:34,838 リリアンと乗馬にも挑戦 535 00:44:36,807 --> 00:44:40,244 ポロを習い クラブにも入りました 536 00:44:41,078 --> 00:44:46,016 神経衰弱から回復し ライフスタイルを変えました 537 00:44:46,116 --> 00:44:50,220 でもウォルトが引退し 仕事を人に任せ― 538 00:44:50,320 --> 00:44:54,458 周りに従うということは ありえません 539 00:45:12,376 --> 00:45:16,847 ウォルトはスタジオの 資金繰りが厳しいときでも― 540 00:45:16,947 --> 00:45:19,983 作品づくりを優先させます 541 00:45:20,284 --> 00:45:24,188 ミッキーで稼いだ収益を すべて つぎ込み― 542 00:45:24,288 --> 00:45:28,759 短編シリーズ 「シリー・シンフォニー」を制作 543 00:45:45,476 --> 00:45:50,347 「シリー・シンフォニー」は 芸術性の高いアニメです 544 00:45:54,318 --> 00:45:57,454 「骸骨の踊り」や 一連の作品は― 545 00:45:57,754 --> 00:46:01,391 前衛芸術に近い映画と 評価されました 546 00:46:01,492 --> 00:46:05,062 音楽と踊りを 見事に融合させ― 547 00:46:05,162 --> 00:46:10,834 自然界のあらゆるものを キャラクター化し― 548 00:46:10,934 --> 00:46:13,904 斬新な映像を創ったのです 549 00:46:29,887 --> 00:46:31,855 この作品により ウォルトは― 550 00:46:31,955 --> 00:46:35,893 アニメーターの間で 神話的存在となりました 551 00:46:36,827 --> 00:46:41,265 偉大なるディズニーの下で 働くことを夢みて― 552 00:46:41,365 --> 00:46:45,135 世界中のアーティストが 集まりました 553 00:46:47,137 --> 00:46:51,008 スタジオのスタッフは 200人ほどに 554 00:46:57,047 --> 00:47:02,119 1930年代は どこの撮影所も 男性中心の社会 555 00:47:03,086 --> 00:47:08,892 女性の持ち場は色塗り担当と 限られていました 556 00:47:08,992 --> 00:47:14,998 低賃金ですが 大恐慌の中 文句を言う人はいませんでした 557 00:47:16,233 --> 00:47:18,235 憧れの職場でした 558 00:47:18,335 --> 00:47:24,241 ウォルトはアニメ制作を 立派な職業として確立し― 559 00:47:24,341 --> 00:47:29,046 “才能があるやつには いい給料を払う”と 560 00:47:29,146 --> 00:47:34,351 アニメーション産業の 開花期と言えるでしょう 561 00:47:34,618 --> 00:47:39,356 漫画ではなく 前代未聞の芸術を生んだのです 562 00:47:46,096 --> 00:47:52,970 「シリー・シンフォニー」では 多くの新技術が試されました 563 00:47:53,070 --> 00:47:55,339 マルチプレーン・ カメラを用い― 564 00:47:55,439 --> 00:48:00,210 アニメーションで初の 3次元効果を生み出しました 565 00:48:03,914 --> 00:48:07,918 ウォルトが 目指したスタジオとは― 566 00:48:08,585 --> 00:48:12,089 “偉大な芸術を 生み出す場”です 567 00:48:18,962 --> 00:48:22,199 それこそが ウォルトが考える― 568 00:48:22,599 --> 00:48:26,036 スタジオの あり方なのでしょう 569 00:48:26,603 --> 00:48:30,607 いろいろな意味において その強い考えが― 570 00:48:30,907 --> 00:48:36,313 スタッフを動かすうえで 最も重要な理念となりました 571 00:48:46,490 --> 00:48:49,326 “偉大な芸術を創りたい”と 572 00:48:49,493 --> 00:48:52,029 全員に思わせたのです 573 00:48:57,567 --> 00:49:00,671 彼は陽気で気さくでした 574 00:49:05,042 --> 00:49:09,346 周りには名字ではなく 名前で呼ばせました 575 00:49:10,047 --> 00:49:12,616 彼はボスではありません 576 00:49:13,050 --> 00:49:14,584 友達でした 577 00:49:15,052 --> 00:49:17,254 誰もが彼を“ウォルト”と 578 00:49:17,354 --> 00:49:20,724 そう呼ばない人はクビ同然です 579 00:49:23,460 --> 00:49:27,631 昼休みには庭でよく バレーボールをしました 580 00:49:27,731 --> 00:49:30,534 ウォルトも見に来ました 581 00:49:32,002 --> 00:49:34,571 “あまり手荒にやるな”と 582 00:49:34,671 --> 00:49:38,975 絵を描く手のケガを 心配したのです 583 00:49:39,142 --> 00:49:42,079 試合に勝つと拍手喝采で… 584 00:49:42,512 --> 00:49:45,248 父親のようでした 585 00:49:47,351 --> 00:49:50,287 スタジオ内で 美術教室を開き― 586 00:49:50,387 --> 00:49:54,391 プロの講師を呼んで 指導してもらいました 587 00:49:55,192 --> 00:49:58,295 さらに専門家を招いて― 588 00:49:58,395 --> 00:50:02,699 印象派や表現主義などの 講義も行いました 589 00:50:04,000 --> 00:50:05,335 目指したのは― 590 00:50:05,435 --> 00:50:09,639 アーティストが 安心して働ける場所です 591 00:50:09,740 --> 00:50:15,345 “安心”というのは 解雇を恐れず失敗できること 592 00:50:15,445 --> 00:50:19,516 そして 学べる場所という意味です 593 00:50:29,693 --> 00:50:33,196 ウォルトは スタッフを家族と思い― 594 00:50:34,431 --> 00:50:38,802 自分たちの小さな世界を 創ろうとしました 595 00:50:39,102 --> 00:50:43,507 彼の望みを実現した 守られた場所 596 00:50:43,607 --> 00:50:49,746 ディズニーの印が付いた 彼らだけのコミュニティーです 597 00:50:52,516 --> 00:50:59,089 ウォルトはジャックの魔法の 豆を持っているかのようでした 598 00:50:59,456 --> 00:51:06,096 彼のスタジオは暗い大恐慌の中 色鮮やかな虹でした 599 00:51:08,231 --> 00:51:14,304 家庭ではリリアンが 長女のダイアンを出産 600 00:51:14,404 --> 00:51:18,275 さらにシャロンを 養子に迎えます 601 00:51:19,776 --> 00:51:22,579 しかし 彼は満足しません 602 00:51:22,846 --> 00:51:25,749 求めたのは“新しい冒険” 603 00:51:25,849 --> 00:51:31,188 “インスピレーションや情熱を 揺さぶる強烈な刺激”です