1 00:00:06,773 --> 00:00:10,610 ウォルト・ディズニー 第2話 2 00:00:14,614 --> 00:00:19,119 ディズニー・スタジオに ある逸話があります 3 00:00:19,452 --> 00:00:21,788 1934年のある晩― 4 00:00:22,088 --> 00:00:25,458 ウォルトは 全従業員に告げました 5 00:00:25,558 --> 00:00:27,460 重要な会議のために― 6 00:00:27,560 --> 00:00:31,031 防音スタジオに 集まるようにと 7 00:00:32,031 --> 00:00:35,802 ざわめきの中 ウォルトは 真ん中に立ちました 8 00:00:38,238 --> 00:00:42,041 スタジオのウォルトに 照明が当たると― 9 00:00:42,609 --> 00:00:48,648 なんと彼はたった1人で 芝居を始めたのです 10 00:00:49,349 --> 00:00:51,518 演じたのは「白雪姫」 11 00:00:52,719 --> 00:00:58,291 頭の中で描いていた映画を 最初から最後まで再現し― 12 00:00:58,391 --> 00:01:04,063 すべてのキャラクターを 1人で演じきったのです 13 00:01:04,164 --> 00:01:08,735 女王や白雪姫 7人のこびとに動物まで 14 00:01:11,071 --> 00:01:13,073 ウォルトが提案したのは― 15 00:01:13,173 --> 00:01:17,243 誰もやったことがなく ストーリー性のある― 16 00:01:17,343 --> 00:01:20,480 長編アニメーション映画の 制作です 17 00:01:20,847 --> 00:01:23,817 兄のロイは難色を示します 18 00:01:24,117 --> 00:01:30,256 考えれば考えるほど 大失敗に終わると思えたのです 19 00:01:30,356 --> 00:01:35,228 映画は売れず 観客が集まらなければ 20 00:01:35,328 --> 00:01:39,365 スタジオが 破産する危険もあると考え 21 00:01:39,466 --> 00:01:41,734 断固として反対します 22 00:01:43,837 --> 00:01:46,206 しかし弟は諦めません 23 00:01:46,372 --> 00:01:50,343 19世紀にグリム兄弟が 発表した「白雪姫」 24 00:01:50,443 --> 00:01:55,782 プリンセスが継母によって 森へ追いやられる物語は― 25 00:01:55,882 --> 00:01:58,351 絶対にウケるはずです 26 00:01:58,885 --> 00:02:03,223 ウォルトは周囲に 何度も物語を語ったようです 27 00:02:03,523 --> 00:02:07,427 多くの人が呼び止められ 聞かされたと 28 00:02:07,527 --> 00:02:12,198 スタッフと自分自身を 盛り上げようとして― 29 00:02:12,298 --> 00:02:17,837 頭の中のイメージを 繰り返し聞かせたのでしょう 30 00:02:18,138 --> 00:02:19,906 相当な執着ぶりです 31 00:02:23,643 --> 00:02:28,214 ウォルトの熱意は次第に 周囲を巻き込みます 32 00:02:28,314 --> 00:02:29,883 あるアニメーターは― 33 00:02:30,216 --> 00:02:35,688 どんなに困難でも 実現しようという気になったと 34 00:02:37,257 --> 00:02:39,292 ロイはしぶしぶ 同意し― 35 00:02:39,392 --> 00:02:44,264 銀行から 何とか 必要な資金を借り入れます 36 00:02:44,764 --> 00:02:49,168 そしてウォルトに 銀行からの警告を伝えます 37 00:02:49,269 --> 00:02:54,240 “制作日程と 予算を守るよう求められた”と 38 00:02:55,475 --> 00:03:00,780 日程や予算 会社の借金など ウォルトには二の次です 39 00:03:00,880 --> 00:03:04,551 彼の頭を占めていた問題は たった1つ 40 00:03:04,684 --> 00:03:07,921 アイデアを どう映像化するか 41 00:03:08,488 --> 00:03:11,891 アニメーションでは 初となる方法で― 42 00:03:12,191 --> 00:03:14,961 観客を魅了するつもりでした 43 00:03:18,932 --> 00:03:21,868 短編作品は笑いが中心です 44 00:03:22,235 --> 00:03:26,873 基本的にジョークで構成され 観客を笑わせる 45 00:03:28,207 --> 00:03:30,577 ウォルトは問いかけます 46 00:03:31,678 --> 00:03:37,584 アニメーションで観客に 涙を流させることができるか 47 00:03:39,385 --> 00:03:41,387 成功の鍵は― 48 00:03:41,487 --> 00:03:45,858 リアルで自然な表現を 取り入れること 49 00:03:47,460 --> 00:03:52,298 ウォルトはそう考え 生きた動物を観察させたり 50 00:03:53,600 --> 00:03:57,870 アニメーターに ガラスが粉々に割れる様子を― 51 00:03:57,971 --> 00:04:00,673 分析させたりもしました 52 00:04:05,245 --> 00:04:09,515 また10代のダンサーに 白雪姫を演じさせ― 53 00:04:09,882 --> 00:04:13,753 アニメーターに 動きを観察させました 54 00:04:14,454 --> 00:04:16,623 さらに笑ったときの しぐさや― 55 00:04:17,290 --> 00:04:20,760 踊っているときの ドレスの動きまで 56 00:04:26,599 --> 00:04:31,804 アニメーターの前で俳優たちが さまざまな役を演じ― 57 00:04:31,904 --> 00:04:37,510 アニメーターは役の性格や 特徴をつかもうとしました 58 00:04:39,545 --> 00:04:45,418 時には演技をカメラで撮影し リアルさを追求しました 59 00:04:51,291 --> 00:04:53,660 ウォルトは アニメーションで― 60 00:04:54,794 --> 00:05:01,334 キャラクターの感情を自然に 表現することに心を砕いたのです 61 00:05:09,709 --> 00:05:11,544 彼はアニメーターに― 62 00:05:11,644 --> 00:05:15,648 演じる感覚を 持たせようとしました 63 00:05:16,416 --> 00:05:20,620 演技の授業を受けさせ 顔の筋肉の動きまで― 64 00:05:21,087 --> 00:05:23,056 研究させたのです 65 00:05:23,356 --> 00:05:28,361 例えば“V”と発音するとき 唇はどんな形になり― 66 00:05:28,461 --> 00:05:30,997 目はどう動くか 67 00:05:31,097 --> 00:05:33,866 決まりなどありません 68 00:05:33,966 --> 00:05:36,736 前代未聞の挑戦ですから 69 00:05:36,836 --> 00:05:41,641 何でも好きにできる 本能に従うだけです 70 00:05:46,646 --> 00:05:50,016 ウォルトは ストーリーの正確さを追求し 71 00:05:50,116 --> 00:05:53,119 細部にこだわり続けました 72 00:05:53,419 --> 00:05:57,090 そのため制作は 遅々として進みません 73 00:05:58,591 --> 00:06:01,861 キャラクターや背景は― 74 00:06:01,961 --> 00:06:07,734 従来とは全く異なる手法で 描かれました 75 00:06:07,834 --> 00:06:11,037 アニメーターにとって苦しく 76 00:06:11,137 --> 00:06:15,641 過酷で 耐え難いほど きつい作業でした 77 00:06:20,947 --> 00:06:23,983 「白雪姫」の原画を 描く過程で― 78 00:06:24,083 --> 00:06:29,689 白雪姫のアップに丸1日 費やすこともありました 79 00:06:30,723 --> 00:06:34,160 時計作りのように 緻密な作業で― 80 00:06:34,761 --> 00:06:38,765 線を1本 間違えたら やり直しです 81 00:06:40,166 --> 00:06:43,035 制作工程は従来どおり― 82 00:06:43,503 --> 00:06:47,073 まず主要なキャラクターを 描きます 83 00:06:49,809 --> 00:06:53,646 次に それらの間を埋める 絵を描きます 84 00:06:57,817 --> 00:07:00,820 そして絵に色をつけ― 85 00:07:00,920 --> 00:07:05,858 “セル”と呼ばれる透明な シートに転写し撮影します 86 00:07:06,959 --> 00:07:11,431 1秒24コマ さらに1コマが複数のセルに 87 00:07:11,531 --> 00:07:16,669 そのため「白雪姫」には 20万枚以上の絵が必要でした 88 00:07:18,104 --> 00:07:21,174 「白雪姫」を 創るスタッフは― 89 00:07:21,641 --> 00:07:28,448 単純作業をする者まで含めると おびただしい数となりました 90 00:07:33,820 --> 00:07:40,059 スタジオの敷地内に2階建ての 社屋を増築しても足りず― 91 00:07:41,227 --> 00:07:47,467 ロイは近所に新たな建物を 借りなければなりませんでした 92 00:07:47,567 --> 00:07:50,236 スタッフ数は なんと600人以上 93 00:07:51,237 --> 00:07:57,043 気の毒なのはロイです 当時 誰もが興奮していました 94 00:07:58,244 --> 00:08:03,983 一方 ロイは従業員の給料を どう払うかで頭を悩ませ 95 00:08:04,083 --> 00:08:09,021 制作費の予算オーバーで 銀行の対応にも追われ 96 00:08:09,121 --> 00:08:15,862 財務面で すべての帳尻を 合わせる役を担っていました 97 00:08:16,696 --> 00:08:18,130 ごはんよ! 98 00:08:23,603 --> 00:08:27,707 制作期間が2年 そして3年と長引いても 99 00:08:27,807 --> 00:08:30,910 ウォルトはこだわり続けます 100 00:08:32,078 --> 00:08:38,951 ようやくプレミア上映が 1937年12月に決定しますが 101 00:08:39,150 --> 00:08:42,621 制作は大幅に遅れていました 102 00:08:44,924 --> 00:08:46,726 上映まで あと10か月 103 00:08:46,826 --> 00:08:50,630 セル画はまだ1枚も 撮影されていません 104 00:08:51,564 --> 00:08:52,732 それでも彼は― 105 00:08:52,832 --> 00:08:57,670 急いで安っぽいものに すべきでないと主張します 106 00:09:06,579 --> 00:09:08,881 ウォルトは資金を使い続け 107 00:09:08,981 --> 00:09:13,753 制作費は当初の予定の 6倍にもなりました 108 00:09:16,155 --> 00:09:19,892 業界紙は制作の 遅れを記事にし― 109 00:09:20,226 --> 00:09:23,229 “「白雪姫」は ディズニーの道楽”と 110 00:09:24,196 --> 00:09:26,566 ロイは心配しました 111 00:09:30,570 --> 00:09:37,076 ハリウッドのスターたちが 豪華なイベントにお出ましです 112 00:09:37,176 --> 00:09:43,349 150万ドルを投じて制作された 「白雪姫」のワールドプレミアです 113 00:09:43,649 --> 00:09:47,887 映画のキャラクターたちが お出迎えするのは― 114 00:09:48,154 --> 00:09:51,657 マレーネ・ディートリヒを はじめ― 115 00:09:51,757 --> 00:09:53,359 大勢のスターたちです 116 00:09:53,993 --> 00:09:56,662 シャーリー・テンプルも― 117 00:09:56,762 --> 00:10:00,733 キャラクターが 気に入ったようです 118 00:10:02,868 --> 00:10:07,239 ウォルトは 観客の反応が想像できず― 119 00:10:07,340 --> 00:10:09,742 不安でいっぱいでした 120 00:10:09,842 --> 00:10:15,881 ウォルト この映画について 話していただけますか? 121 00:10:15,982 --> 00:10:20,219 映画づくりは とても楽しかったです 122 00:10:20,319 --> 00:10:26,993 観客の皆さんに 気に入って もらえるといいのですが… 123 00:10:27,093 --> 00:10:29,629 心配は要りませんよ 124 00:10:29,729 --> 00:10:36,035 「白雪姫」が受け入れられるか ウォルトには分からなかった 125 00:10:36,135 --> 00:10:37,770 反応が悪ければ 126 00:10:37,870 --> 00:10:42,141 自分は一巻の終わりだと 思っていたのです 127 00:10:52,685 --> 00:10:57,890 冒頭で女王の城が現れると 観客は息をのみます 128 00:11:04,263 --> 00:11:07,066 魔法の鏡の中の男よ 129 00:11:07,333 --> 00:11:11,103 はるかなる時空から― 130 00:11:11,203 --> 00:11:16,042 風と暗闇を抜けて 出てくるのだ! 131 00:11:19,712 --> 00:11:22,782 こびとのしぐさで観客は爆笑 132 00:11:28,154 --> 00:11:30,923 スープだぞ! やったあ! 133 00:11:47,206 --> 00:11:49,375 ちょっと待って! 134 00:11:51,243 --> 00:11:55,448 ブタの心臓じゃないか だまされた 135 00:11:59,185 --> 00:12:02,321 邪悪な女王には非難の声 136 00:12:03,722 --> 00:12:06,892 それでもウォルトは不安です 137 00:12:07,827 --> 00:12:10,062 さあ! 早くお食べ! 138 00:12:11,897 --> 00:12:15,101 ああ 何だか変だわ… 139 00:12:15,367 --> 00:12:19,738 観客席でウォルトは 妻の手を握りしめ― 140 00:12:19,839 --> 00:12:22,007 緊張した面持ちで― 141 00:12:22,108 --> 00:12:26,412 映画の成否を占う場面を 待ち続けます 142 00:12:34,854 --> 00:12:38,958 これで私が 世界で一番の美女だ! 143 00:12:46,365 --> 00:12:53,205 白雪姫に死が訪れると 劇場は静まり返りました 144 00:13:08,154 --> 00:13:09,955 観客が泣き出すと― 145 00:13:11,457 --> 00:13:15,094 ウォルトをはじめ 皆が気付きました 146 00:13:16,395 --> 00:13:21,167 アニメーションだということを 観客は忘れていると 147 00:13:22,134 --> 00:13:28,374 「白雪姫」の世界に 引き込まれていたからこそ― 148 00:13:28,541 --> 00:13:31,076 涙を流しているのだと 149 00:13:33,412 --> 00:13:36,182 この映画が勝利した瞬間です 150 00:13:47,193 --> 00:13:51,063 クラーク・ゲーブルや キャロル・ロンバードまで 151 00:13:52,331 --> 00:13:54,066 涙を流しました 152 00:13:55,234 --> 00:14:01,473 彼らは現実世界を忘れ 心を震わせていました 153 00:14:01,607 --> 00:14:06,845 おとぎの世界へ 引き込まれていたのです 154 00:14:07,313 --> 00:14:10,049 ディズニーが道を開きました 155 00:14:11,150 --> 00:14:13,352 大人向けのアニメです 156 00:14:28,868 --> 00:14:30,236 幕が閉じると― 157 00:14:30,336 --> 00:14:35,207 観客は立ち上がり 拍手喝采を送りました 158 00:14:43,382 --> 00:14:47,887 ある映画プロデューサーは こう述べました 159 00:14:47,987 --> 00:14:51,357 “映画史に残る瞬間だった” 160 00:14:57,162 --> 00:15:01,567 “道楽が歴史をつくる” 161 00:15:01,667 --> 00:15:06,338 “漫画映画の奇跡” 162 00:15:07,273 --> 00:15:12,177 ニューヨークのラジオシティ・ ミュージックホールでは― 163 00:15:12,278 --> 00:15:16,348 1938年 5週間にわたり 上映されました 164 00:15:16,448 --> 00:15:20,319 この劇場で 3週間以上の上映は初めてです 165 00:15:21,420 --> 00:15:24,456 その後は全米と各国で公開に 166 00:15:24,556 --> 00:15:28,060 小さな町の映画館の前でも― 167 00:15:28,160 --> 00:15:31,530 どの州でも 長蛇の列ができました 168 00:15:32,331 --> 00:15:37,569 海外でもロンドン パリ シドニーで大ヒット 169 00:15:38,337 --> 00:15:42,041 公開1年目の興行収入は 800万ドル 170 00:15:42,207 --> 00:15:45,311 現在の価値で1億ドル以上 171 00:15:45,544 --> 00:15:47,613 新記録を打ち立てました 172 00:15:48,580 --> 00:15:53,252 映画の公開中に 230万ドルもの借金を― 173 00:15:53,352 --> 00:15:56,188 返済することができました 174 00:15:56,288 --> 00:16:00,192 ロイはキャラクターの商品化に 乗り出します 175 00:16:02,995 --> 00:16:07,733 白雪姫がプリントされた食器や ゼリーにスカーフ 176 00:16:08,033 --> 00:16:11,270 デパートでは 白雪姫のショーまで 177 00:16:11,370 --> 00:16:18,077 映画をさまざまなビジネスに 発展させたのです 178 00:16:18,344 --> 00:16:21,280 映画がヒットしただけでなく 179 00:16:21,380 --> 00:16:25,351 キャラクター商品の販売でも 大成功しました 180 00:16:27,219 --> 00:16:31,590 ウォルトの独創性は 高く評価されました 181 00:16:31,690 --> 00:16:36,762 “技術を駆使し 物語の力を 最大限に引き出した―” 182 00:16:37,062 --> 00:16:40,132 “芸術とビジネスに たけた男” 183 00:16:41,100 --> 00:16:45,637 ハーバード大学とエール大学から 名誉修士号を贈られ― 184 00:16:45,771 --> 00:16:50,776 “新しい芸術の創造者”と 呼ばれました 185 00:16:57,716 --> 00:17:02,654 パリやニューヨークでも 称賛を浴びました 186 00:17:03,389 --> 00:17:07,159 このときから 彼は恐れ知らずとなり― 187 00:17:07,259 --> 00:17:10,229 ためらいは一切 消えました 188 00:17:10,329 --> 00:17:15,267 “私は 私が夢みた男 そのものだ”と 189 00:17:15,467 --> 00:17:17,536 頂点を極めたあとは? 190 00:17:34,653 --> 00:17:38,223 外では 芸術家であるウォルトも― 191 00:17:39,258 --> 00:17:42,227 家庭では ごく普通の父親です 192 00:17:43,495 --> 00:17:48,067 毎日 自分の運転で 娘を学校まで送り届け 193 00:17:49,468 --> 00:17:52,738 家の周りで追いかけっこをし 194 00:17:54,673 --> 00:17:56,708 本を読み聞かせました 195 00:17:58,744 --> 00:18:03,115 ウォルトは2人の娘を 溺愛していました 196 00:18:04,249 --> 00:18:10,456 子供のころの遊び心を 持ち続けてもいたのです 197 00:18:11,256 --> 00:18:15,761 彼はとても家庭的で 子育てにも熱心で― 198 00:18:15,861 --> 00:18:21,333 まるで母親のような 役割を果たしていました 199 00:18:22,134 --> 00:18:25,737 妻のリリアンは 少し よそよそしく― 200 00:18:25,838 --> 00:18:29,374 子供に対してすら 冷めていました 201 00:18:29,475 --> 00:18:34,413 ウォルトは その反対で 熱意に満ちていたのです 202 00:18:34,880 --> 00:18:39,852 自分自身が厳しく育てられた 反動でしょう 203 00:18:40,152 --> 00:18:42,121 父親のイライアスは― 204 00:18:42,221 --> 00:18:44,790 とても厳格でしたから 205 00:18:44,890 --> 00:18:50,329 彼はよく言ったものです “子供たちを甘やかすんだ” 206 00:18:52,564 --> 00:18:58,237 カリフォルニアに越してから 両親とは疎遠でしたが 207 00:18:58,470 --> 00:19:01,540 ディズニーの商業的成功は 208 00:19:01,640 --> 00:19:04,743 再び家族を引き寄せました 209 00:19:05,511 --> 00:19:09,815 ウォルトとロイは 両親をロサンゼルスへ呼び 210 00:19:10,249 --> 00:19:14,620 結婚50周年のお祝いに 家をプレゼントしました 211 00:19:15,721 --> 00:19:21,160 2人の金婚式を祝う パーティーも開きました 212 00:19:22,861 --> 00:19:27,232 ウォルトは時に 強い思いに駆られました 213 00:19:27,900 --> 00:19:33,205 かつて彼の家族が味わった 苦労を語りたいと 214 00:19:33,939 --> 00:19:40,579 アメリカ中西部の貧困の中で 自分は形づくられたと― 215 00:19:40,679 --> 00:19:43,582 ずっと意識していました 216 00:19:45,918 --> 00:19:52,457 彼は自分のルーツである 中西部で体験したことを 217 00:19:52,558 --> 00:19:55,427 伝えたいと思っていました 218 00:19:56,295 --> 00:19:58,363 働くことの大切さを― 219 00:19:58,463 --> 00:20:04,703 誰に教えられなくとも よく分かっていたのです 220 00:20:06,905 --> 00:20:11,877 ウォルトが映画の世界に入って 15年以上がたち― 221 00:20:11,977 --> 00:20:14,546 有名になって10年近く 222 00:20:14,780 --> 00:20:20,319 それでもハリウッドでは よそ者だと感じていました 223 00:20:21,286 --> 00:20:23,388 アニメーション映画を― 224 00:20:23,488 --> 00:20:27,392 真の映画と認めない風潮にも 不満でした 225 00:20:27,893 --> 00:20:29,561 もっともです 226 00:20:29,795 --> 00:20:32,497 1938年のアカデミー賞で― 227 00:20:32,831 --> 00:20:36,835 ノミネートされた 10作品の中に― 228 00:20:36,935 --> 00:20:41,006 「白雪姫」はありませんでした 229 00:20:41,707 --> 00:20:45,911 ウォルトには 長編アニメの先駆者として― 230 00:20:46,011 --> 00:20:48,013 特別賞が贈られました 231 00:20:49,414 --> 00:20:50,449 彼の夢は― 232 00:20:50,549 --> 00:20:54,820 長編アニメーション映画を 半年に1本 創ること 233 00:20:55,354 --> 00:20:58,924 ウォルトが題材に選ぶのは― 234 00:20:59,424 --> 00:21:05,364 観客がすでに知っている 童話や民話 人気小説でした 235 00:21:06,431 --> 00:21:10,535 「白雪姫」に続き 2つの企画を立ち上げました 236 00:21:10,636 --> 00:21:12,371 1作目は「バンビ」 237 00:21:12,471 --> 00:21:15,774 子鹿の成長を描いた小説が 原作です 238 00:21:16,508 --> 00:21:18,310 2作目は「ピノキオ」 239 00:21:18,410 --> 00:21:21,747 19世紀末の イタリアの人気童話で 240 00:21:21,847 --> 00:21:25,584 人間の子供になりたい 人形の話です 241 00:21:26,652 --> 00:21:29,488 「バンビ」は ストーリーが複雑で― 242 00:21:29,588 --> 00:21:34,593 時間をかける必要があると 判断しました 243 00:21:34,793 --> 00:21:37,929 そこで「ピノキオ」を 優先させますが― 244 00:21:38,030 --> 00:21:39,998 壁にぶつかります 245 00:21:40,766 --> 00:21:44,069 「ピノキオ」には 苦労したようです 246 00:21:44,369 --> 00:21:45,837 ウォルトが言うように― 247 00:21:45,937 --> 00:21:51,376 原作の主人公ピノキオは あまり性格がよくなく― 248 00:21:51,476 --> 00:21:54,346 物言いも生意気なのです 249 00:21:54,579 --> 00:21:57,816 そこで 何とか この主人公を― 250 00:21:58,016 --> 00:22:03,722 観客に好かれるキャラクターに する必要がありました 251 00:22:09,094 --> 00:22:14,499 1938年の秋 「ピノキオ」に 取り組むウォルトの元に― 252 00:22:14,599 --> 00:22:16,435 1本の電話が… 253 00:22:17,002 --> 00:22:20,472 両親が一酸化炭素中毒に なったのです 254 00:22:20,572 --> 00:22:26,078 両親のために買った家の 暖房装置が原因でした 255 00:22:27,646 --> 00:22:29,581 父イライアスは助かり 256 00:22:30,449 --> 00:22:32,451 母フローラは亡くなります 257 00:22:33,685 --> 00:22:37,656 ウォルトは葬儀に参列し 仕事に戻ります 258 00:22:38,423 --> 00:22:41,359 母の死を封印しました 259 00:22:52,571 --> 00:22:56,875 母親に対する思いを 誰とも分かち合わず― 260 00:22:58,009 --> 00:23:01,680 妻にも話さなかったと思います 261 00:23:03,381 --> 00:23:06,151 思いを封じ込めていました 262 00:23:06,651 --> 00:23:13,024 表に出せない感情を映画で 表現しようとしたのでしょう 263 00:23:23,902 --> 00:23:27,939 あるとき ウォルトは 会議中に声を張り上げ 264 00:23:28,039 --> 00:23:33,912 “我々は短編作品を 創っているんじゃない!”と 265 00:23:34,946 --> 00:23:38,517 「ピノキオ」は別物なのです 266 00:23:38,617 --> 00:23:42,888 ミッキーマウス物や ほかの短編シリーズとは違う 267 00:23:42,988 --> 00:23:44,656 彼は言いました 268 00:23:44,756 --> 00:23:49,094 “我々が創っているのは 芸術作品であり―” 269 00:23:49,661 --> 00:23:52,430 “より高い質が求められる” 270 00:23:52,697 --> 00:23:55,901 “質の高い映画は 感情に訴える” 271 00:23:56,535 --> 00:24:01,673 “観客に深い感動を 与えられるかどうかが肝心だ” 272 00:24:01,973 --> 00:24:05,777 芸術作品は 簡単には成功しません 273 00:24:06,044 --> 00:24:07,879 エンターテインメントも難しい 274 00:24:07,979 --> 00:24:13,819 観客の心を震わせるには 相当な努力が必要です 275 00:24:14,152 --> 00:24:17,222 笑わせたり 泣かせたり 歌わせたり 276 00:24:17,722 --> 00:24:20,892 どの要素も欠かせません 277 00:24:21,927 --> 00:24:25,564 「ピノキオ」は次の野心作です 278 00:24:25,664 --> 00:24:28,733 ウォルトは「白雪姫」で― 279 00:24:28,834 --> 00:24:34,639 アニメーションでも心の機微を 描けると証明しました 280 00:24:35,173 --> 00:24:38,877 彼は考え続け ひらめいたのは― 281 00:24:38,977 --> 00:24:44,049 後にディズニー映画の 特徴ともなる物語の要素 282 00:24:44,549 --> 00:24:50,021 孤軍奮闘する よそ者や 権威に立ち向かうヒーロー 283 00:24:50,589 --> 00:24:52,891 誘惑や敗北 284 00:24:52,991 --> 00:24:55,861 救い そしてサバイバル 285 00:24:57,229 --> 00:25:00,699 彼は物語の余計な部分を捨て 286 00:25:00,799 --> 00:25:02,868 本質を問います 287 00:25:03,201 --> 00:25:07,706 何の話か? どんな主人公か? 魅力は何か? 288 00:25:08,073 --> 00:25:12,544 「ピノキオ」は 人間であることの意味や 289 00:25:12,844 --> 00:25:18,683 どのように人間らしさを 手に入れるかを問う話です 290 00:25:19,584 --> 00:25:23,922 原作のタイトルと木の人形は そのままですが― 291 00:25:24,022 --> 00:25:27,292 内容は大胆に書き換えました 292 00:25:30,161 --> 00:25:33,198 ウォルトが 取り組んでいたのは― 293 00:25:33,298 --> 00:25:38,136 「ピノキオ」と「バンビ」の 制作だけではありません 294 00:25:38,770 --> 00:25:43,108 実験的な作品の制作も 進められていました 295 00:25:54,552 --> 00:26:00,225 交響詩“魔法使いの弟子”を 基にした短編作品です 296 00:26:00,325 --> 00:26:01,993 主役はミッキーマウス 297 00:26:02,093 --> 00:26:07,098 オーケストラの指揮は レオポルド・ストコフスキー 298 00:26:21,079 --> 00:26:26,985 ウォルトはこの短編を 長編映画にすることに決めます 299 00:26:28,119 --> 00:26:29,788 それが「ファンタジア」 300 00:26:30,255 --> 00:26:34,359 彼とストコフスキーは クラシック音楽を8曲選び― 301 00:26:34,659 --> 00:26:39,097 スタジオのチームが 音楽に合う映像を考えます 302 00:26:40,365 --> 00:26:44,736 ディズニー・スタジオには 音楽家やダンサーのほかに 303 00:26:44,836 --> 00:26:48,873 科学者まで 出入りするようになりました 304 00:26:49,374 --> 00:26:54,312 作曲家のストラヴィンスキーや バレエ振付師のバランシン 305 00:26:54,612 --> 00:26:58,650 彼らのような芸術家が いるかと思えば 306 00:26:58,750 --> 00:27:03,254 天文学者のハッブルが 宇宙について語ります 307 00:27:03,355 --> 00:27:07,926 さらには恐竜の研究者まで 集められ 308 00:27:08,026 --> 00:27:14,032 あらゆる分野の専門家が 作品づくりに関わりました 309 00:27:14,132 --> 00:27:18,269 ウォルトお気に入りの 壮大な実験箱です 310 00:27:18,870 --> 00:27:21,906 「白雪姫」の制作で こだわった― 311 00:27:22,340 --> 00:27:25,777 リアルな感情の 表現方法から― 312 00:27:25,877 --> 00:27:28,913 いったん距離を置きます 313 00:27:29,014 --> 00:27:33,118 それまでとは異なる 抽象的な表現でも― 314 00:27:33,218 --> 00:27:38,356 観客の感情を揺さぶれるか 試したのです 315 00:27:38,890 --> 00:27:43,261 ウォルトは言いました “偉業を見届けたい” 316 00:27:43,728 --> 00:27:48,166 “現代の偉大な 芸術家たちと共に―” 317 00:27:48,266 --> 00:27:51,836 “魅力を失わない芸術を 創りたい” 318 00:27:56,141 --> 00:28:00,345 ウォルトから湧き上がる エネルギーは― 319 00:28:00,445 --> 00:28:04,015 スタジオを限界へと 押しやります 320 00:28:06,051 --> 00:28:10,155 3つの大作を 同時進行させるために 321 00:28:10,255 --> 00:28:14,059 従業員の数は ほぼ2倍になりました 322 00:28:15,927 --> 00:28:20,965 1000人を超えるスタッフを 収容する場所が必要です 323 00:28:21,066 --> 00:28:24,803 敷地内の増築では 間に合いません 324 00:28:25,970 --> 00:28:29,374 当時 海外にいたロイに 相談もせず― 325 00:28:29,474 --> 00:28:32,710 ウォルトは土地を 購入しました 326 00:28:32,811 --> 00:28:37,749 ハリウッドのバーバンクにある 20万平米の広大な敷地に― 327 00:28:38,817 --> 00:28:42,353 理想のスタジオを 建てるのです 328 00:28:53,465 --> 00:28:58,369 新しいスタジオは 効率性を追求する一方で― 329 00:28:58,503 --> 00:29:03,141 従業員の間に連帯感を 生む意図もありました 330 00:29:03,241 --> 00:29:06,010 ウォルトはこう言いました 331 00:29:06,111 --> 00:29:11,416 “従業員用のアパートを 敷地内に建てれば―” 332 00:29:11,516 --> 00:29:14,919 “通勤の手間が省けて 最高だろ”と 333 00:29:15,120 --> 00:29:20,024 スタジオの従業員全員が 一丸となって突き進み― 334 00:29:20,125 --> 00:29:25,997 すばらしい 長編アニメーション映画を創る 335 00:29:26,097 --> 00:29:29,534 それこそが 新スタジオの目的です 336 00:29:29,968 --> 00:29:36,274 完璧な映画を創るための 完璧なスタジオでした 337 00:29:37,308 --> 00:29:42,447 どこからともなく 338 00:29:43,014 --> 00:29:49,154 運命の女神が現れ     助けてくれる 339 00:29:49,254 --> 00:29:55,493 「ピノキオ」は1940年2月に 封切られることになり― 340 00:29:55,794 --> 00:29:58,229 ウォルトは懸命に 売り込みます 341 00:29:58,329 --> 00:30:04,469 どんな夢もきっと 342 00:30:04,569 --> 00:30:07,338 ジミニー・クリケットの― 343 00:30:07,438 --> 00:30:10,208 歌を歌って聞かせたのです 344 00:30:10,308 --> 00:30:14,913 口笛を鳴らすんだ オーイ! 345 00:30:15,013 --> 00:30:18,583 いつも良心に従って行動しよう 346 00:30:19,317 --> 00:30:22,587 良心に従って行動する! 347 00:30:28,326 --> 00:30:33,531 そして優れたカメラ技術や 特殊効果を宣伝しました 348 00:30:34,032 --> 00:30:35,166 起きなさい 349 00:30:36,334 --> 00:30:38,603 命を授けましょう 350 00:30:41,840 --> 00:30:43,007 お父さん! 351 00:30:43,107 --> 00:30:47,078 ウォルトは こう触れ込みました 352 00:30:47,178 --> 00:30:49,380 “まるで本物の―” 353 00:30:49,480 --> 00:30:53,985 “水中映像のような場面を お見せします”と 354 00:30:54,085 --> 00:30:56,621 クジラはどこだい? 355 00:30:58,356 --> 00:31:01,326 そんなに怖いんだ 356 00:31:01,426 --> 00:31:05,296 観客は映画を 見ているうちに― 357 00:31:05,463 --> 00:31:08,633 作り物の 世界であることを忘れ― 358 00:31:08,933 --> 00:31:12,303 すべてが本物のように 感じてしまう 359 00:31:12,403 --> 00:31:18,243 それこそがアニメーターが 創り上げる究極の芸術 360 00:31:18,343 --> 00:31:22,614 観客が自然に受け入れる 創られた世界です 361 00:31:22,914 --> 00:31:24,482 お父さん! 362 00:31:26,517 --> 00:31:30,088 がっぽり稼いでもらうからな! 363 00:31:30,188 --> 00:31:33,258 「ピノキオ」には 豊かさと奥行きがある 364 00:31:33,358 --> 00:31:36,261 ほかのアニメーション映画とは 違います 365 00:31:36,561 --> 00:31:39,664 お前が老いぼれになったら 366 00:31:40,131 --> 00:31:43,167 まきにして燃やしてやる! 367 00:31:45,270 --> 00:31:48,539 クジラに のまれてしまうなんて! 368 00:32:01,953 --> 00:32:05,690 幾度となく 危険にさらされるのです 369 00:32:08,126 --> 00:32:11,396 おい その口を開けろ! 370 00:32:11,496 --> 00:32:17,669 そんな中 魅力的な ジミニー・クリケットの存在が 371 00:32:17,969 --> 00:32:23,241 とげとげしさを和らげるものの かなり暗い作品です 372 00:32:23,374 --> 00:32:27,979 ピノキオは人間になろうとする 木の人形です 373 00:32:28,079 --> 00:32:30,682 彼は間違いを犯して当然で 374 00:32:30,982 --> 00:32:34,185 欠点があっても 許されるのです 375 00:32:36,454 --> 00:32:41,492 正直で勇敢で 思いやりのある子は 376 00:32:41,993 --> 00:32:45,229 いつか人間の子供になれます 377 00:32:45,330 --> 00:32:50,435 最後の場面で自分が 生きていることを実感します 378 00:32:54,072 --> 00:32:58,509 生を実感できれば 私たちの生命を支えている― 379 00:32:58,609 --> 00:33:03,247 大きな力も 感じ取ることができるのです 380 00:33:04,549 --> 00:33:09,654 僕は生きてる 人間の子供になれた! 381 00:33:09,754 --> 00:33:13,458 本当だ! 人間の子供だよ! 382 00:33:14,092 --> 00:33:15,593 称賛の嵐です 383 00:33:16,094 --> 00:33:21,399 “ディズニーは我々の世代が 後世にたたえられるような―” 384 00:33:21,499 --> 00:33:27,438 “すばらしい作品を創った”と ある評論家は書きました 385 00:33:29,207 --> 00:33:34,145 “「白雪姫」と「ピノキオ」を 生み出した世代として―” 386 00:33:34,245 --> 00:33:36,481 “評価されるだろう” 387 00:33:42,653 --> 00:33:44,288 しかし「ピノキオ」は― 388 00:33:44,389 --> 00:33:49,494 ウォルトが撮影技術の革新に こだわったため― 389 00:33:49,594 --> 00:33:53,664 制作費は「白雪姫」の およそ2倍に 390 00:33:54,132 --> 00:33:57,468 興行収入は振るわず 赤字となります 391 00:33:58,102 --> 00:34:03,107 アメリカ国内でも 戦争が始まったヨーロッパでも 392 00:34:03,207 --> 00:34:04,575 不振でした 393 00:34:05,376 --> 00:34:11,081 「白雪姫」の純利益 200万ドル以上を使い果たし 394 00:34:11,181 --> 00:34:16,587 さらにスタジオの建設費を 借りる必要がありました 395 00:34:17,155 --> 00:34:20,190 ウォルトは追い詰められました 396 00:34:20,690 --> 00:34:24,262 「ファンタジア」と「ピノキオ」 397 00:34:24,362 --> 00:34:28,132 そして「バンビ」の制作費は 巨額です 398 00:34:28,565 --> 00:34:33,538 ヨーロッパ市場は 戦争で当てにできません 399 00:34:33,638 --> 00:34:36,641 巨大なマーケットを失い― 400 00:34:36,741 --> 00:34:41,379 資金をどう調達するか 悩んでいました 401 00:34:41,478 --> 00:34:46,083 半年に1本のペースで 長編アニメーション映画を― 402 00:34:46,184 --> 00:34:49,253 創るつもりでいましたから 403 00:34:50,721 --> 00:34:53,157 ロイが一計を案じます 404 00:34:53,324 --> 00:34:56,726 株を上場して 出資を募るのです 405 00:34:57,595 --> 00:35:02,366 ウォルトは映画づくりに 株主が口を挟むのを恐れ 406 00:35:02,467 --> 00:35:06,437 嫌がりますが 選択の余地はありません 407 00:35:08,206 --> 00:35:10,108 1940年4月 408 00:35:10,208 --> 00:35:14,112 新スタジオへの引っ越しが 完了するころ― 409 00:35:14,212 --> 00:35:19,550 ウォルトの会社は 優先株15万5000株を発行 410 00:35:19,650 --> 00:35:22,653 400万ドル近い資金を 調達しました 411 00:35:23,421 --> 00:35:28,392 株式公開の際 兄弟は スタジオと7年契約を結びます 412 00:35:28,493 --> 00:35:34,632 ロイは週給1000ドル ウォルトは週給2000ドル 413 00:35:35,500 --> 00:35:41,139 投資家を安心させるために 150万ドルの生命保険が― 414 00:35:41,239 --> 00:35:44,442 大事な資産ウォルトに かけられました 415 00:35:57,655 --> 00:35:59,557 「ファンタジア」の幕開けは― 416 00:35:59,657 --> 00:36:02,560 バッハの “トッカータとフーガ ニ短調” 417 00:36:02,660 --> 00:36:05,296 実に抽象的です 418 00:36:05,396 --> 00:36:09,867 キャラクターも 自然界のものも登場しません 419 00:36:11,269 --> 00:36:14,939 興味深い表現スタイルの 作品です 420 00:36:39,764 --> 00:36:42,934 とても意欲的な作品です 421 00:36:48,439 --> 00:36:52,543 どのシーンも大胆ですが ムラがある 422 00:36:59,850 --> 00:37:03,354 映画は心に響けば傑作となり 423 00:37:05,389 --> 00:37:08,526 響かなければ ただの駄作となる 424 00:37:12,496 --> 00:37:15,333 評価は真っ二つに 分かれました 425 00:37:15,433 --> 00:37:21,739 ある批評家は“ディズニーは 映像と音楽を融合させ―” 426 00:37:21,839 --> 00:37:24,642 “斬新な感動作を生んだ”と 427 00:37:27,378 --> 00:37:31,515 一方 完全な 失敗作だと言って― 428 00:37:31,616 --> 00:37:34,552 酷評する人たちもいました 429 00:37:34,652 --> 00:37:39,890 “クラシック音楽の伝統に 泥を塗った失敗作だ”と 430 00:37:43,794 --> 00:37:48,633 これまでインテリ層からは “実力相応”と評価されてきた 431 00:37:49,400 --> 00:37:53,037 でも「ファンタジア」を 創ったときの彼は― 432 00:37:53,604 --> 00:37:55,006 思い上がっていた 433 00:37:59,910 --> 00:38:03,914 疑問を呈した批評家も 多くいました 434 00:38:04,382 --> 00:38:07,551 “ディズニーは 背伸びをし過ぎでは?” 435 00:38:08,452 --> 00:38:12,290 “身の程知らずなのでは?”と 436 00:38:12,390 --> 00:38:14,692 彼には こたえたようです 437 00:38:14,792 --> 00:38:19,297 ウォルトは 批判を聞き流せないタイプで 438 00:38:19,397 --> 00:38:23,034 「ファンタジア」の評価に 傷つきました 439 00:38:24,935 --> 00:38:29,073 そしてインテリ層に対する 反発感情が― 440 00:38:29,373 --> 00:38:31,709 彼の中で 前よりも高まり― 441 00:38:31,809 --> 00:38:35,079 こう考えるように なったのです 442 00:38:35,379 --> 00:38:40,851 “批評家はインテリすぎて 庶民の気持ちが分からない” 443 00:38:40,951 --> 00:38:43,087 “連中など構うものか” 444 00:38:50,728 --> 00:38:54,832 「ファンタジア」の 経済的損失は「ピノキオ」以上 445 00:38:54,932 --> 00:38:59,470 上映に必要な音響システムを 備えた劇場が― 446 00:38:59,570 --> 00:39:02,707 少なかったのが原因です 447 00:39:04,575 --> 00:39:06,944 赤字を抱えた会社は― 448 00:39:07,044 --> 00:39:11,048 株主に配当を 支払えなくなります 449 00:39:11,749 --> 00:39:16,887 そして新スタジオは 足かせのような存在となり 450 00:39:16,987 --> 00:39:20,958 独創的な雰囲気は 感じられなくなります 451 00:39:22,593 --> 00:39:23,994 新スタジオは― 452 00:39:24,095 --> 00:39:28,566 “やり過ぎると失敗する”を 体現しています 453 00:39:28,733 --> 00:39:32,136 何かを生み出す場所には 思えません 454 00:39:32,837 --> 00:39:36,607 すべてが 合理化されていました 455 00:39:36,841 --> 00:39:42,079 創造性を刺激するような 空間や機能は― 456 00:39:42,380 --> 00:39:45,716 ほとんど 排除されていたのです 457 00:39:47,485 --> 00:39:53,090 ウォルトがつくった理想の 職場は 実に機械的でした 458 00:39:53,958 --> 00:39:58,062 工場のようにスタッフは 作業別に分けられ 459 00:39:59,096 --> 00:40:02,600 社内の上下関係は厳しくなり 460 00:40:02,700 --> 00:40:06,036 経営幹部が徹底管理しました 461 00:40:06,971 --> 00:40:11,509 社内で高い地位の人々には 特権がありました 462 00:40:11,842 --> 00:40:16,847 レストランやサウナを完備した クラブの会員権は― 463 00:40:16,947 --> 00:40:21,519 トップクラスの脚本家や アニメーターのもの 464 00:40:22,420 --> 00:40:28,159 オフィスで快適に過ごすための 調度品も提供されました 465 00:40:29,894 --> 00:40:33,063 アニメーターの ドン・ラスクは― 466 00:40:33,164 --> 00:40:38,002 格下のスタッフの作業を 手伝うことがありました 467 00:40:38,102 --> 00:40:40,638 幹部は見逃しません 468 00:40:41,639 --> 00:40:44,875 ある月曜日の朝のことです 469 00:40:45,576 --> 00:40:48,446 部屋に入ると机と椅子だけ 470 00:40:48,913 --> 00:40:51,515 敷物が消えていました 471 00:40:51,749 --> 00:40:57,555 コート用のクローゼットも 折り畳み椅子もなかった 472 00:40:57,688 --> 00:41:01,125 部屋に残っていたのは 机と― 473 00:41:01,692 --> 00:41:02,893 椅子だけです 474 00:41:03,160 --> 00:41:06,997 “どうなっているんだ”と 聞くと― 475 00:41:07,097 --> 00:41:12,603 “アニメーターの仕事を しないなら敷物は不要だ”と 476 00:41:13,571 --> 00:41:15,840 昔に戻りたかったです 477 00:41:16,207 --> 00:41:19,477 スタジオは 大きくなり過ぎて― 478 00:41:19,577 --> 00:41:22,480 家庭的な雰囲気は 失われました 479 00:41:22,580 --> 00:41:24,882 会社が急速に成長して 480 00:41:24,982 --> 00:41:29,653 アニメーション制作に 携わるスタッフも増えました 481 00:41:29,854 --> 00:41:34,525 アシスタントの従業員は 直接ウォルトを知りません 482 00:41:34,892 --> 00:41:38,095 トップクラスの アニメーターと違い― 483 00:41:38,195 --> 00:41:40,965 給料も高くありません 484 00:41:41,532 --> 00:41:45,803 ウォルトは こう考えていたのでしょう 485 00:41:46,003 --> 00:41:50,274 “アシスタントの仕事は 誰にでもできる” 486 00:41:50,741 --> 00:41:54,612 “アーティストでない者に なぜ高い給料を?” 487 00:41:55,145 --> 00:41:59,283 社内のカフェテリアは とても高くて― 488 00:41:59,583 --> 00:42:02,186 普通の従業員のほとんどは― 489 00:42:02,286 --> 00:42:05,689 昼食を外で 買っていたようです 490 00:42:05,789 --> 00:42:08,192 給料の格差は大きく― 491 00:42:08,292 --> 00:42:11,295 週給300ドルの 高給取りもいれば― 492 00:42:11,595 --> 00:42:13,063 週給12ドルの人も 493 00:42:14,965 --> 00:42:20,104 1940年 一部の従業員たちが 不平を漏らし始めます 494 00:42:20,804 --> 00:42:23,240 会社の財務状況が公表され 495 00:42:23,541 --> 00:42:27,611 ウォルトの収入が 知れ渡ったからです 496 00:42:27,711 --> 00:42:30,614 トップアニメーターの およそ10倍 497 00:42:30,714 --> 00:42:35,019 色塗り担当の女性の 100倍にもなりました 498 00:42:36,186 --> 00:42:40,758 いまだ従業員に“ウォルト”と 呼ばせている彼は― 499 00:42:40,858 --> 00:42:43,994 不満の声に 気付きませんでした 500 00:42:44,895 --> 00:42:48,032 もはやスタッフと 雑談したり― 501 00:42:48,132 --> 00:42:52,236 議論する彼の姿は 見られなくなりました 502 00:42:52,903 --> 00:42:55,973 ウォルトは ほとんどの時間を― 503 00:42:56,073 --> 00:43:01,345 浴室や寝室まで備えた 執務室で過ごしていたのです 504 00:43:08,052 --> 00:43:12,289 ハリウッドで注目されるのは スターや監督たち 505 00:43:12,823 --> 00:43:17,161 しかし裏方がいなければ 成り立ちません 506 00:43:17,261 --> 00:43:22,232 大道具や照明係 アニメーターが必要なのです 507 00:43:23,701 --> 00:43:28,606 1935年 集団交渉を認める 法律が成立すると― 508 00:43:28,939 --> 00:43:32,209 舞台裏で働く人々は 労働組合を結成 509 00:43:33,177 --> 00:43:38,282 1930年代後半には労働条件の 改善などを求めて― 510 00:43:38,382 --> 00:43:42,119 いくつもの組合が 誕生しました 511 00:43:43,120 --> 00:43:46,223 その1つが “漫画映画家組合” 512 00:43:46,323 --> 00:43:49,893 アニメーション映画の 業界で働く― 513 00:43:49,994 --> 00:43:54,632 アニメーターたちを代表する 組織です 514 00:43:55,633 --> 00:43:58,035 漫画映画家組合は 1940年までに― 515 00:43:58,135 --> 00:44:03,641 ディズニー・スタジオ以外の 全組織で組合をつくりました 516 00:44:03,741 --> 00:44:08,646 しかしアニメーション業界の 最大手はディズニーです 517 00:44:09,246 --> 00:44:14,985 MGMやワーナーなど 大手のスタジオを合わせても 518 00:44:15,753 --> 00:44:19,189 労働組合員の数は 150人ほどでした 519 00:44:19,289 --> 00:44:22,292 一方 ディズニーの従業員は およそ600人 520 00:44:22,826 --> 00:44:26,797 組合活動のために ディズニーの従業員は必須です 521 00:44:36,840 --> 00:44:39,810 ウォルトは 信じきっていました 522 00:44:40,411 --> 00:44:44,148 “自分は他社の 傲慢な社長と違う” 523 00:44:45,082 --> 00:44:49,987 “アニメーターたちと 一致団結して働いてる” 524 00:44:56,927 --> 00:45:01,732 自分を父親のような存在と 考えていました 525 00:45:02,232 --> 00:45:07,271 そして従業員たちは 信念を持って仕事に臨み 526 00:45:07,371 --> 00:45:10,407 スタジオの一翼を 担っていることに 527 00:45:10,707 --> 00:45:14,211 誰もが誇りを持っていると 528 00:45:16,947 --> 00:45:21,752 “望むものは すべて与えてやっているのに” 529 00:45:21,852 --> 00:45:24,822 “なぜ労働組合が要る?” 530 00:45:24,955 --> 00:45:29,193 自分は寛大で 優しい社長のつもりでした 531 00:45:36,900 --> 00:45:42,840 しかしスタジオにはウォルトと 異なる考えの人が大勢いました 532 00:45:42,940 --> 00:45:45,876 その1人は トップクラスのアニメーター 533 00:45:45,976 --> 00:45:47,311 アート・バビットです 534 00:45:48,445 --> 00:45:54,017 バビットは10年間で 主要な作品すべてに貢献し 535 00:45:54,118 --> 00:45:58,856 人気キャラクター “グーフィー”を生みました 536 00:45:59,790 --> 00:46:03,794 最も給料が高い アニメーターの1人ですが 537 00:46:03,894 --> 00:46:09,800 クレジットタイトルに 名が出ないアニメーターや 538 00:46:09,900 --> 00:46:14,404 低賃金のアシスタントに 同情していました 539 00:46:16,406 --> 00:46:19,376 バビットは 度量が大きい男です 540 00:46:19,476 --> 00:46:22,779 ウォルトに こびることもなく― 541 00:46:23,313 --> 00:46:29,319 自分の考えに従って行動する 独立心の強い人物でした 542 00:46:29,419 --> 00:46:32,256 ウォルトには気に入りません 543 00:46:33,290 --> 00:46:38,462 バビットは週給16ドルで働く アシスタントの話をしました 544 00:46:38,562 --> 00:46:41,932 夫が姿を消してしまったので 545 00:46:42,032 --> 00:46:47,538 家族を養うために 昼食抜きで働いていましたが 546 00:46:47,838 --> 00:46:50,440 栄養失調で倒れたのです 547 00:46:52,509 --> 00:46:57,214 ウォルトは問題を直視せず 聞くのも嫌がりました 548 00:46:57,314 --> 00:47:01,018 そして彼の会社に 入り込もうとする― 549 00:47:01,118 --> 00:47:03,921 漫画映画家組合に激怒します 550 00:47:04,021 --> 00:47:08,926 私には会社を好きに 運営する権利があるのだと 551 00:47:09,927 --> 00:47:12,362 1941年2月 ウォルトは― 552 00:47:12,462 --> 00:47:17,201 直接 従業員に 訴えかけようと考えます 553 00:47:18,068 --> 00:47:21,605 全従業員1200人を 収容できる― 554 00:47:21,905 --> 00:47:25,609 唯一の講堂に 全員を集めました 555 00:47:28,478 --> 00:47:33,884 私がこの業界に 入ってからの20年は― 556 00:47:33,984 --> 00:47:36,420 順風満帆ではなかった 557 00:47:37,221 --> 00:47:43,093 苦難を乗り越えるために 信念を持って懸命に働き 558 00:47:43,193 --> 00:47:47,130 自分のことは二の次にしてきた 559 00:47:47,864 --> 00:47:51,902 この職場は 階級の差が激しいと― 560 00:47:52,236 --> 00:47:55,939 言う人たちがいる 561 00:47:57,140 --> 00:48:01,378 なぜ待遇がこんなに違うのかと 言う人がいるが― 562 00:48:02,512 --> 00:48:06,250 私はこう考えている 563 00:48:06,483 --> 00:48:11,421 組織に貢献した人には 敬意を表し― 564 00:48:11,521 --> 00:48:13,557 特権を与えるのは当然だと 565 00:48:13,957 --> 00:48:17,227 私は皆さんに こう提案したい 566 00:48:17,995 --> 00:48:20,130 文句を言う前に― 567 00:48:20,330 --> 00:48:25,402 “指示されるのを待つだけ” という姿勢を変えなさい 568 00:48:26,270 --> 00:48:28,538 不平を並べるのではなく 569 00:48:28,639 --> 00:48:32,909 自分が進歩するよう 努力しなさい 570 00:48:36,413 --> 00:48:40,450 多くの人は激怒して 講堂をあとにしました 571 00:48:41,418 --> 00:48:47,157 “年間に獲得する組合員より 多くの人を勧誘できた” 572 00:48:47,257 --> 00:48:49,693 ある雑誌は そう報じました 573 00:48:51,228 --> 00:48:55,098 バビットは 労働組合の必要性を確信し 574 00:48:55,198 --> 00:48:58,635 ついに漫画映画家組合に 加入します 575 00:48:58,935 --> 00:49:04,608 ウォルトに公然と盾ついた トップクラスの従業員となり 576 00:49:05,976 --> 00:49:10,347 ウォルトは個人的な裏切りと 受け止めます 577 00:49:10,447 --> 00:49:16,953 “君がどれほどたくさんの 絵を描こうが関係ない” 578 00:49:17,054 --> 00:49:19,456 彼はバビットに言いました 579 00:49:19,690 --> 00:49:23,060 “組合への勧誘を やめなければ―” 580 00:49:23,160 --> 00:49:26,296 “君を正面玄関から放り出す” 581 00:49:28,665 --> 00:49:34,371 1941年5月 ついにバビットは 組合活動を理由に― 582 00:49:34,471 --> 00:49:37,607 会社から解雇されます 583 00:49:39,209 --> 00:49:43,180 この知らせは瞬く間に 広がりました 584 00:49:44,514 --> 00:49:49,219 そして 次の日の夜 組合を支持する従業員たちは 585 00:49:49,453 --> 00:49:51,988 賛成315票 反対4票で 586 00:49:52,089 --> 00:49:55,759 ウォルトに抵抗することを 決めました 587 00:50:08,705 --> 00:50:13,543 1941年5月29日 ウォルトがスタジオに着くと 588 00:50:13,643 --> 00:50:15,512 すでにデモ行進が 589 00:50:17,781 --> 00:50:23,720 彼は200人以上の従業員の中を 通り抜けていきました 590 00:50:29,659 --> 00:50:33,497 アニメーション制作部門の スタッフ半数以上が― 591 00:50:34,531 --> 00:50:37,234 ストに参加しました 592 00:50:38,268 --> 00:50:43,206 中にはウォルトが信頼していた アニメーターたちも 593 00:50:45,542 --> 00:50:51,515 ほかのスタジオの従業員も 参加し 通りは人であふれ― 594 00:50:51,615 --> 00:50:56,219 理想のスタジオは 混乱に陥っていました 595 00:50:56,486 --> 00:51:01,158 “一丸となって働いている” という連帯感が― 596 00:51:01,258 --> 00:51:04,628 一瞬にして 失われてしまいました 597 00:51:05,729 --> 00:51:08,165 魔法が解けたのです 598 00:51:08,698 --> 00:51:12,636 ウォルトが情熱を 注ぎ込んだスタジオです 599 00:51:13,303 --> 00:51:18,175 自分の手で創り出したものに 背かれたのです 600 00:51:20,277 --> 00:51:24,247 ウォルトの中に ともっていた光が― 601 00:51:24,481 --> 00:51:27,284 暗くなったことは確かです 602 00:51:29,586 --> 00:51:35,759 ストの前と後で 全くの別人になっていました 603 00:51:37,327 --> 00:51:42,299 普通の人なら壊れた楽園から 立ち去ったでしょう 604 00:51:43,467 --> 00:51:46,536 でも彼は “やるべきことがある”と 605 00:51:47,337 --> 00:51:51,475 ウォルトの行く手には さらなる困難が…