1 00:00:32,493 --> 00:00:36,514 〈高級料亭 花ずみに嫁いで20年〉 2 00:00:36,514 --> 00:00:40,501 〈上島通子は 女将のキクから のけ者にされてきた〉 3 00:00:40,501 --> 00:00:43,487 〈しかし キクが死んで1年後→ 4 00:00:43,487 --> 00:00:47,491 板長である夫の旬平の愛人 矢萩多衣の出現で→ 5 00:00:47,491 --> 00:00:49,510 人生は一変する〉 6 00:00:49,510 --> 00:00:52,513 (矢萩多衣)わたくし ご主人をいただきにまいりました。 7 00:00:52,513 --> 00:00:56,517 〈すでに 旬平のサインがしてある 離婚届を目の前に→ 8 00:00:56,517 --> 00:00:58,519 通子が出した条件は…〉 9 00:00:58,519 --> 00:01:03,507 (上島通子)私… この花ずみの 女将をやらせてもらいます。 10 00:01:03,507 --> 00:01:06,510 (上島旬平)妻なら 今の俺を振り返ったらどうだ? 11 00:01:06,510 --> 00:01:11,515 〈だが 花ずみは借金を抱え 倒産する事が決まっていた〉 12 00:01:11,515 --> 00:01:15,519 〈旬平は 借金を 通子に背負わせない事も理由に→ 13 00:01:15,519 --> 00:01:18,506 偽装離婚をする決意を していたのだ〉 14 00:01:18,506 --> 00:01:20,506 馬鹿にしないでよ! 15 00:01:22,526 --> 00:01:25,526 離婚届は 昨日 出してきました。 16 00:01:26,514 --> 00:01:30,514 その婚姻届 6000万円で買ってください。 17 00:01:33,521 --> 00:01:35,506 あっ…。 18 00:01:35,506 --> 00:01:38,509 ご主人を金で売ろうと おっしゃるの? 19 00:01:38,509 --> 00:01:41,529 まさか…。 20 00:01:41,529 --> 00:01:45,533 旬平を売る気なんて 毛頭ありません。 21 00:01:45,533 --> 00:01:50,521 離婚は あくまでも 借金のための偽装ですから→ 22 00:01:50,521 --> 00:01:53,507 本当に別れるわけではありません。 23 00:01:53,507 --> 00:02:00,507 ただ その婚姻届を担保に 6000万円 お借りしたいだけです。 24 00:02:02,533 --> 00:02:04,518 安いものでしょ? 25 00:02:04,518 --> 00:02:06,504 だって あなた 前に→ 26 00:02:06,504 --> 00:02:09,507 1億払ってでも 旬平を手に入れたいと→ 27 00:02:09,507 --> 00:02:11,507 おっしゃってましたものね。 28 00:02:12,510 --> 00:02:15,529 あっ… フッ。 29 00:02:15,529 --> 00:02:18,529 奥さん やっぱり商売上手だわ。 30 00:02:19,517 --> 00:02:22,520 そう言えば 私が払うと思ったんでしょ? 31 00:02:22,520 --> 00:02:24,505 でも 残念ながら→ 32 00:02:24,505 --> 00:02:28,505 6000万円も支払う価値は ありません。 こんな紙切れ。 33 00:02:30,511 --> 00:02:32,530 旬平さんとの結婚は→ 34 00:02:32,530 --> 00:02:34,532 お金に関係なく→ 35 00:02:34,532 --> 00:02:37,532 いつか 自分の手で つかみ取ります。 36 00:02:46,510 --> 00:02:51,510 ところで 一体 6000万も何に使うの? 37 00:02:52,516 --> 00:02:55,516 料理屋をやります。 38 00:02:57,521 --> 00:03:02,521 私が 新しい花ずみを始めます。 39 00:03:03,511 --> 00:03:05,529 花ずみを? 40 00:03:05,529 --> 00:03:08,532 それ 旬平さんは 知ってらっしゃるの? 41 00:03:08,532 --> 00:03:10,518 もちろん 承知してますよ。 42 00:03:10,518 --> 00:03:14,505 だって 板前として働いてもらいますから。 43 00:03:14,505 --> 00:03:23,514 ♬~ 44 00:03:23,514 --> 00:03:28,514 新しい花ずみのために 6000万円が必要なんです。 45 00:03:38,512 --> 00:03:40,581 わかりました。 46 00:03:40,581 --> 00:03:43,500 ただ 6000万円ともなると→ 47 00:03:43,500 --> 00:03:46,487 さすがに すぐに 手元にはそろいません。 48 00:03:46,487 --> 00:03:51,487 明日まで こちらで… 金沢で待っていただけますか? 49 00:03:52,509 --> 00:03:55,496 (堀口八重)長々お世話になり ありがとうございました。 50 00:03:55,496 --> 00:03:58,499 (矢場俊介)板長。 また 店やる時 絶対 呼んでくださいよ。 51 00:03:58,499 --> 00:04:00,501 すっ飛んできますから。 (八重)あら。 52 00:04:00,501 --> 00:04:03,504 その時は ちゃんと 私も呼んでくださいね。 53 00:04:03,504 --> 00:04:05,489 あっ… ああ もちろん。 54 00:04:05,489 --> 00:04:08,489 本当に ありがとうございました。 55 00:04:09,493 --> 00:04:12,493 (矢場)じゃあ 失礼します。 56 00:04:20,487 --> 00:04:26,493 〈その晩 私は 矢萩多衣の紹介で その宿に来ていた〉 57 00:04:26,493 --> 00:04:28,512 奥に お布団を用意してあります。 58 00:04:28,512 --> 00:04:30,514 どうぞ ごゆっくり お過ごしください。 59 00:04:30,514 --> 00:04:32,514 どうも。 失礼致します。 60 00:04:47,514 --> 00:04:49,514 九谷焼? 61 00:05:01,495 --> 00:05:06,500 お銚子の九谷焼に似た 派手なお布団でした。 62 00:05:06,500 --> 00:05:09,486 そのお布団の中で→ 63 00:05:09,486 --> 00:05:15,486 お互いのぬくもりを 分け合った時の幸せだった事…。 64 00:05:20,497 --> 00:05:29,497 (携帯電話の着信音) 65 00:05:32,493 --> 00:05:34,495 はい。 66 00:05:34,495 --> 00:05:37,514 「いかがです? 小さいけど いい旅館でしょ?」 67 00:05:37,514 --> 00:05:40,501 「気に入っていただけたかしら?」 68 00:05:40,501 --> 00:05:44,488 あの… この旅館…。 69 00:05:44,488 --> 00:05:47,488 お気づきになりました? その部屋。 70 00:05:50,511 --> 00:05:52,511 「お気づきになってるのね」 71 00:05:54,515 --> 00:05:58,519 そう。 そこ…→ 72 00:05:58,519 --> 00:06:01,519 私と旬平さんが いつも泊まっていた部屋です。 73 00:06:05,526 --> 00:06:07,511 「無神経だと お思いになる?」 74 00:06:07,511 --> 00:06:11,532 「それとも 私が見せつけたがってるとでも…」 75 00:06:11,532 --> 00:06:13,517 そう。 76 00:06:13,517 --> 00:06:18,522 見せつけたがっているというのは あるかもしれませんね。 77 00:06:18,522 --> 00:06:21,492 だって あなた→ 78 00:06:21,492 --> 00:06:26,497 私と旬平さんとの本当の関係を 見ようとなさらないから。 79 00:06:26,497 --> 00:06:28,515 「私と旬平さんが→ 80 00:06:28,515 --> 00:06:31,518 一緒に くるまったかもしれない 布団で寝るのは→ 81 00:06:31,518 --> 00:06:35,506 元奥さんには 少し つらいかもしれませんけど→ 82 00:06:35,506 --> 00:06:39,510 どうぞ ゆっくり お休みになってくださいな」 83 00:06:39,510 --> 00:06:42,513 「じゃあ 失礼します」 84 00:06:42,513 --> 00:06:44,515 (電話が切れる音) 85 00:06:44,515 --> 00:07:02,515 ♬~ 86 00:07:17,548 --> 00:07:20,534 (矢場の声)けど 今でも信じられないですよ。 87 00:07:20,534 --> 00:07:24,521 あの旬平さんに愛人がだなんて ショックだよな~。 88 00:07:24,521 --> 00:07:28,525 相手は 「笹流れ」の やり手社長らしいからね。 89 00:07:28,525 --> 00:07:30,544 本当ですか? 90 00:07:30,544 --> 00:07:33,530 旬平さん 職人っていったって→ 91 00:07:33,530 --> 00:07:35,616 女将さんから溺愛された→ 92 00:07:35,616 --> 00:07:37,551 花ずみの3代目の お坊ちゃんだもん。 93 00:07:37,551 --> 00:07:40,521 ひとたまりも なかったんじゃない? 94 00:07:40,521 --> 00:07:45,542 いや… それにしたって 奥さんが気の毒すぎますよ。 95 00:07:45,542 --> 00:07:50,542 真面目な人ほど 女の沼に はまりやすいからね。 96 00:07:52,549 --> 00:07:56,537 矢場くんも気をつけなさいよ。 あんたも真面目くんだから。 97 00:07:56,537 --> 00:07:59,523 自分は そんな事…。 あら! 98 00:07:59,523 --> 00:08:04,545 男と女 何が起こるかなんて わかんないものよ~。 99 00:08:04,545 --> 00:08:06,545 いや…。 100 00:08:08,515 --> 00:08:11,515 あら? 目が赤くない。 101 00:08:12,536 --> 00:08:16,536 ええ。 とっても よく眠れましたから。 102 00:08:17,524 --> 00:08:20,527 あなた やっぱり ずぶとい人ね。 103 00:08:20,527 --> 00:08:22,529 フッ…。 104 00:08:22,529 --> 00:08:25,516 よその家庭を 壊す人ほどじゃありません。 105 00:08:25,516 --> 00:08:27,534 フフッ。 106 00:08:27,534 --> 00:08:30,534 それで お金の事なんですけど。 107 00:08:31,522 --> 00:08:33,507 はい。 108 00:08:33,507 --> 00:08:36,527 借りる算段は ついたんですけど→ 109 00:08:36,527 --> 00:08:39,513 先方も すぐには 現金を用意できなくて。 110 00:08:39,513 --> 00:08:44,518 それが今日中に入り次第 あなたの口座に お送り致します。 111 00:08:44,518 --> 00:08:48,505 ただし… 利子は いりません。 112 00:08:48,505 --> 00:08:52,526 この6年間の 私の慰謝料だと 思ってください。 113 00:08:52,526 --> 00:08:56,513 そうはいきません。 ちゃんと 利子はお支払いします。 114 00:08:56,513 --> 00:08:58,515 この お金の貸し借りは→ 115 00:08:58,515 --> 00:09:01,515 あくまでも ビジネスと考えてください。 116 00:09:03,520 --> 00:09:05,505 通子さん。 117 00:09:05,505 --> 00:09:07,507 あなた やっぱり甘いわ。 118 00:09:07,507 --> 00:09:11,511 そのビジネスに あなた 今 もう負けましたよ。 119 00:09:11,511 --> 00:09:13,513 えっ? 120 00:09:13,513 --> 00:09:16,516 私 先方から 利子はいらないと 言われてるんです。 121 00:09:16,516 --> 00:09:19,503 だから あなたにも いらないと言ったのに。 122 00:09:19,503 --> 00:09:24,524 あなたは つまらない意地で みすみす 得を逃したばかりか→ 123 00:09:24,524 --> 00:09:27,511 憎い私を 儲けさせる事になるなんて。 124 00:09:27,511 --> 00:09:29,513 別に 私は→ 125 00:09:29,513 --> 00:09:33,517 初めから 利子は お支払いするつもりでしたから。 126 00:09:33,517 --> 00:09:35,519 あなたが それで いくら儲けようが→ 127 00:09:35,519 --> 00:09:38,522 私の商売には関係ありません。 128 00:09:38,522 --> 00:09:44,528 ♬~ 129 00:09:44,528 --> 00:09:46,528 わかりました。 130 00:09:47,514 --> 00:09:49,514 利子も いただきます。 131 00:09:52,519 --> 00:09:57,519 甘くて 怖いもの知らず…。 132 00:09:58,525 --> 00:10:01,511 でも その素人考えが→ 133 00:10:01,511 --> 00:10:05,532 逆に強みになるかも しれないわね。 134 00:10:05,532 --> 00:10:10,532 あなた もしかしたら 化けるかも。 135 00:10:11,488 --> 00:10:14,488 上島通子…。 136 00:10:15,509 --> 00:10:20,530 この6000万の担保は あなた自身よ。 137 00:10:20,530 --> 00:10:23,530 あなたに賭けてみたくなったわ。 138 00:10:24,534 --> 00:10:28,505 それと 担保をもう一つ。 139 00:10:28,505 --> 00:10:35,529 ♬~ 140 00:10:35,529 --> 00:10:38,532 えっ…? 141 00:10:38,532 --> 00:10:46,532 ♬~ 142 00:10:48,525 --> 00:10:52,525 私 一つだけ嘘ついてました。 143 00:10:53,530 --> 00:10:55,549 この女将さんの帯→ 144 00:10:55,549 --> 00:10:58,549 本当は私がいただいたものじゃ ないんです。 145 00:11:00,520 --> 00:11:03,520 私に使ってほしいからって 持ってきてくださって。 146 00:11:04,524 --> 00:11:06,526 女将さんが亡くなる少し前→ 147 00:11:06,526 --> 00:11:09,546 お見舞いに行った時に 頼まれたんです。 148 00:11:09,546 --> 00:11:14,551 もし 自分が死んだら これを あなたに渡してほしいって。 149 00:11:14,551 --> 00:11:17,521 私に? ええ。 150 00:11:17,521 --> 00:11:21,521 これは嫁の通子に 一番似合う帯だっておっしゃって。 151 00:11:22,542 --> 00:11:26,542 地味で… なんの変哲もない女だから。 152 00:11:36,540 --> 00:11:42,529 ♬~ 153 00:11:42,529 --> 00:11:44,548 きれい…。 154 00:11:44,548 --> 00:11:46,550 女将さんのお姑にあたる人が→ 155 00:11:46,550 --> 00:11:49,536 病気で 余命いくばくもなくなった頃に→ 156 00:11:49,536 --> 00:11:54,524 こっそりと喪服の帯の裏に この花を咲かせたそうです。 157 00:11:54,524 --> 00:11:58,528 大嫌いな姑の葬儀で 締めるために。 158 00:11:58,528 --> 00:12:01,548 義母が自分で刺繍したんですか? 159 00:12:01,548 --> 00:12:03,533 ええ。 160 00:12:03,533 --> 00:12:09,539 お姑さんの死ぬまでの時間を 一秒ずつ数えるように 一針ずつ。 161 00:12:09,539 --> 00:12:15,545 本当に その針が お姑さんの命に 一本ずつ突き刺さっていって→ 162 00:12:15,545 --> 00:12:19,533 私が姑を殺したようなもんだって。 163 00:12:19,533 --> 00:12:22,536 そんな冗談もおっしゃってたわ。 164 00:12:22,536 --> 00:12:26,536 義母は なんで これを私に? 165 00:12:27,541 --> 00:12:30,527 この菊が語っている言葉は→ 166 00:12:30,527 --> 00:12:33,547 あなたの耳で お聞きになってください。 167 00:12:33,547 --> 00:12:39,536 私には 「あなたを通子さん以上に かわいがってきたけれど→ 168 00:12:39,536 --> 00:12:43,523 しょせん あなたは 息子のただの愛人で→ 169 00:12:43,523 --> 00:12:48,528 花ずみも旬平も 通子さんのものだ」って言ってる→ 170 00:12:48,528 --> 00:12:51,548 女将さんの声に聞こえます。 171 00:12:51,548 --> 00:12:58,548 ♬~ 172 00:12:59,506 --> 00:13:03,527 この帯を この菊を→ 173 00:13:03,527 --> 00:13:05,512 もう一つの担保にします。 174 00:13:05,512 --> 00:13:08,532 もし あなたが 私に借金を返せなくなったら→ 175 00:13:08,532 --> 00:13:13,503 その時は この帯は私のもの。 176 00:13:13,503 --> 00:13:15,505 いいですね? 177 00:13:15,505 --> 00:13:18,508 〈この女は 帯を手に入れる事で→ 178 00:13:18,508 --> 00:13:20,527 旬平もお義母さんも→ 179 00:13:20,527 --> 00:13:23,527 自分のものにする というのだろう〉 180 00:13:25,515 --> 00:13:30,520 〈矢萩多衣は 旬平が 本当は自分のものでない事を→ 181 00:13:30,520 --> 00:13:32,520 知っている〉 182 00:13:33,507 --> 00:13:35,509 〈だからこそ あの女は→ 183 00:13:35,509 --> 00:13:39,513 愛の戦いを 商売の戦いにすり替え→ 184 00:13:39,513 --> 00:13:43,513 6000万の金に 自分の愛を賭けたのだ〉 185 00:13:46,520 --> 00:13:48,520 通子さん! 186 00:13:51,508 --> 00:13:54,511 よかった。 間に合った。 187 00:13:54,511 --> 00:13:57,514 はい。 これ 小切手。 188 00:13:57,514 --> 00:14:00,517 銀行から 振り込みの連絡があって→ 189 00:14:00,517 --> 00:14:03,517 やっぱり どうしても 直接渡したかったから。 190 00:14:04,521 --> 00:14:07,521 ありがとうございます。 191 00:14:16,516 --> 00:14:18,516 じゃあ これで。 192 00:14:19,536 --> 00:14:21,536 あっ あの…。 193 00:14:26,509 --> 00:14:30,513 私 なんだか さっき あの旅館で→ 194 00:14:30,513 --> 00:14:34,534 女2人が憎み合いながらも→ 195 00:14:34,534 --> 00:14:38,521 裸で抱き合ったような 不思議な気持ちがして…。 196 00:14:38,521 --> 00:14:42,509 でも そうだとしても私→ 197 00:14:42,509 --> 00:14:45,509 あなたと手は握りませんから。 198 00:14:49,532 --> 00:14:51,534 わかります。 199 00:14:51,534 --> 00:14:54,534 私も似たような気持ちだから。 200 00:14:56,506 --> 00:15:01,506 手はお貸ししますけど 決して握りません。 201 00:15:02,529 --> 00:15:14,524 ♬~ 202 00:15:14,524 --> 00:15:18,524 ここが 新しい花ずみになります。 203 00:15:24,551 --> 00:15:28,538 この店が駄目だとわかった時→ 204 00:15:28,538 --> 00:15:32,538 俺は花ずみとおふくろを 自分から捨てようと思った。 205 00:15:35,528 --> 00:15:38,665 でも お前が そうさせてくれないなら→ 206 00:15:38,665 --> 00:15:43,620 まずは おふくろの顧客名簿を使って→ 207 00:15:43,620 --> 00:15:47,620 以前の常連客を 頼るしかないだろう。 208 00:15:52,545 --> 00:15:56,545 そのためにも 料理人として 一つ頼みがある。 209 00:15:57,534 --> 00:15:59,534 何? 210 00:16:01,538 --> 00:16:03,540 一日に一組だけでいい。 211 00:16:03,540 --> 00:16:07,540 予約を取って ちゃんとした懐石料理を出したい。 212 00:16:12,549 --> 00:16:15,552 (笠井芯太郎)では そういう事で。 213 00:16:15,552 --> 00:16:18,538 あと くれぐれも…。 214 00:16:18,538 --> 00:16:20,540 わかってます。 215 00:16:20,540 --> 00:16:23,543 これでも今まで ずっとビジネスの世界で→ 216 00:16:23,543 --> 00:16:26,529 生きてきましたから 口は堅いです。 217 00:16:26,529 --> 00:16:29,529 失礼 そうでしたね。 218 00:16:34,537 --> 00:16:37,540 (上島一希)けどさ 本当にいいの? ここで。 219 00:16:37,540 --> 00:16:39,576 贅沢言ってられないわよ。 220 00:16:39,576 --> 00:16:41,528 ここより広いとこは 高いんだから 家賃。 221 00:16:41,528 --> 00:16:45,548 (一希)いや そうじゃなくてさ 偽装離婚なんでしょ? 222 00:16:45,548 --> 00:16:47,534 だったら お父さんと同じアパートの→ 223 00:16:47,534 --> 00:16:49,536 別の部屋 借りるとかさ。 224 00:16:49,536 --> 00:16:52,522 そうよ 偽装よ。 でもね 偽装だからこそ→ 225 00:16:52,522 --> 00:16:56,526 疑われないように きちんと ケジメつけておかないとね。 226 00:16:56,526 --> 00:16:58,526 (上島優美)馬鹿みたい。 えっ? 227 00:17:00,530 --> 00:17:03,533 自分が そう思いたいだけなんじゃないの。 228 00:17:03,533 --> 00:17:05,535 ちょっと 優美 あなた どこ行くの? 229 00:17:05,535 --> 00:17:07,604 コンビニ。 230 00:17:07,604 --> 00:17:10,523 (ドアの開閉音) 231 00:17:10,523 --> 00:17:12,525 もう…。 まあ いきなり→ 232 00:17:12,525 --> 00:17:14,525 いろいろあったから 混乱してるんだよ。 233 00:17:15,545 --> 00:17:17,545 (一希)そのうち落ち着くって。 234 00:17:21,618 --> 00:17:24,618 〈ここが 新生花ずみとなる場所〉 235 00:17:26,523 --> 00:17:29,709 〈いよいよ開店への準備が 動き出すと→ 236 00:17:29,709 --> 00:17:33,709 兄嫁の佐知子さんが 手伝いを買って出てくれた〉 237 00:17:35,548 --> 00:17:37,550 (笠井)こんにちは。 あっ いらっしゃい。 238 00:17:37,550 --> 00:17:40,520 (立石佐知子) あら 笠井さん お久しぶり。 239 00:17:40,520 --> 00:17:43,540 おお 佐知子さん 久しぶり。 何? 手伝いに来てるの? 240 00:17:43,540 --> 00:17:46,526 ええ。 旦那 元気? 241 00:17:46,526 --> 00:17:50,530 ええ。 相変わらず 元気だけが取り柄でございます。 242 00:17:50,530 --> 00:17:52,530 (2人の笑い声) 243 00:17:54,667 --> 00:17:58,521 近くまで来たから 見させてもらおうと思って。 244 00:17:58,521 --> 00:18:01,521 なかなかいい雰囲気じゃない。 でしょ? 245 00:18:02,525 --> 00:18:06,529 社長 最高の仕上がり 最低の料金で頼むよ。 246 00:18:06,529 --> 00:18:08,531 (渡辺)頑張ります。 247 00:18:08,531 --> 00:18:10,583 ちゃんと 正規で請求してくださいね。 248 00:18:10,583 --> 00:18:12,502 (携帯電話の着信音) あっ! 249 00:18:12,502 --> 00:18:14,504 ちょっと失礼します。 (携帯電話の着信音) 250 00:18:14,504 --> 00:18:16,523 (渡辺)もしもし。 (戸の開く音) 251 00:18:16,523 --> 00:18:19,509 けど やると決めたら 早いな みっちゃんは。 252 00:18:19,509 --> 00:18:21,511 あっ またフライングとか言う? 253 00:18:21,511 --> 00:18:23,513 もしかして あの運動会の? 254 00:18:23,513 --> 00:18:25,498 そうそう。 これが派手なフライングでさ。 255 00:18:25,498 --> 00:18:28,535 (佐知子)なのに 一度も止まらず ゴールまで一直線でね。 256 00:18:28,535 --> 00:18:30,503 私だって もう大人になりました。 257 00:18:30,503 --> 00:18:32,505 中学や高校の時と一緒にしないで。 258 00:18:32,505 --> 00:18:36,526 どうかな? 猪突猛進は 変わってなさそうだけどな。 259 00:18:36,526 --> 00:18:38,511 (佐知子)そうね。 260 00:18:38,511 --> 00:18:40,511 2人して もう! (3人の笑い声) 261 00:18:41,598 --> 00:18:43,598 あっ…。 262 00:18:44,534 --> 00:18:46,534 こちら 笠井さん。 263 00:18:47,504 --> 00:18:50,523 笠井です。 その節は どうも。 264 00:18:50,523 --> 00:18:52,523 こちらこそ。 上島です。 265 00:18:56,529 --> 00:19:00,533 土下座して心から謝れば きっと許してくれます。 266 00:19:00,533 --> 00:19:02,535 どうして あなたに そんな事→ 267 00:19:02,535 --> 00:19:04,521 言われなきゃ ならないんでしょうか? 268 00:19:04,521 --> 00:19:06,506 (佐知子) あっ お茶いれましょうかね。 269 00:19:06,506 --> 00:19:08,506 あっ お義姉さん すいません。 いいえ。 270 00:19:09,526 --> 00:19:11,528 あの… ちょっと いいですか? 271 00:19:11,528 --> 00:19:13,528 あっ… はい。 272 00:19:15,515 --> 00:19:21,515 ♬~ 273 00:21:23,493 --> 00:21:28,514 ♬~ 274 00:21:28,514 --> 00:21:32,502 〈それからの私は 店の開店準備に追われ→ 275 00:21:32,502 --> 00:21:36,502 その合間に 八重さんに頼んで 着付けを習い…〉 276 00:21:38,508 --> 00:21:42,508 〈女将への道を 手探りで進むのに必死だった〉 277 00:21:45,515 --> 00:21:48,534 あっ すいません ご苦労さまです。 278 00:21:48,534 --> 00:21:50,520 これ どっちに置きます? あっ じゃあ 奥にお願いします。 279 00:21:50,520 --> 00:21:52,505 はい。 280 00:21:52,505 --> 00:22:09,505 ♬~ 281 00:22:09,505 --> 00:22:14,505 〈そして 新生花ずみの開店を 翌日に控えた夜〉 282 00:22:23,519 --> 00:22:27,507 うん。 これも美味しい! 283 00:22:27,507 --> 00:22:29,509 よかった。 284 00:22:29,509 --> 00:22:31,511 ねえ 私 考えたんだけど→ 285 00:22:31,511 --> 00:22:34,497 2階で出す 懐石コースの中の一品を→ 286 00:22:34,497 --> 00:22:36,499 下のお客さんにも提供するって どうかしら? 287 00:22:36,499 --> 00:22:38,501 このお料理を食べた人が→ 288 00:22:38,501 --> 00:22:40,503 じゃあ 次は 2階で懐石料理をって→ 289 00:22:40,503 --> 00:22:42,472 思ってもらえるかも しれないじゃない? 290 00:22:42,472 --> 00:22:44,490 ああ いいね。 291 00:22:44,490 --> 00:22:47,493 うん 一品だけなら 宣伝だと思って→ 292 00:22:47,493 --> 00:22:49,495 値段は あんまり高くしないほうが いいかな? 293 00:22:49,495 --> 00:22:53,499 ああ… そうね。 まずは 食べてもらおう。 うん。 294 00:22:53,499 --> 00:22:55,501 やってみよう。 ウフフ…。 295 00:22:55,501 --> 00:22:59,501 やっぱり あなたがいてくれて よかった。 296 00:23:04,494 --> 00:23:06,479 ビール。 297 00:23:06,479 --> 00:23:09,499 明日のオープンの前祝いに ビールで乾杯しましょうか。 298 00:23:09,499 --> 00:23:11,499 あっ 俺が。 299 00:23:24,497 --> 00:23:26,516 こっちに… 来れば? 300 00:23:26,516 --> 00:23:29,516 いや 俺は ここでいい。 301 00:23:35,491 --> 00:23:37,491 ありがとう。 302 00:23:45,501 --> 00:23:47,570 〈その時 私は→ 303 00:23:47,570 --> 00:23:50,490 2人を隔てるカウンターが→ 304 00:23:50,490 --> 00:23:55,490 渡る事のできない深い川と 同じだと思い知らされた〉 305 00:24:01,517 --> 00:24:05,488 ねえ あの人とは会ってるの? 306 00:24:05,488 --> 00:24:09,492 いや あっちも忙しいみたいで…。 307 00:24:09,492 --> 00:24:15,515 ♬~ 308 00:24:15,515 --> 00:24:18,515 なんで 金を借りようと思ったんだ? 309 00:24:19,502 --> 00:24:21,471 あの人から? 310 00:24:21,471 --> 00:24:25,491 他にも 貸してくれそうな人は いたんじゃないの? 311 00:24:25,491 --> 00:24:29,495 あっ… それじゃあ 意味がないもの。 312 00:24:29,495 --> 00:24:33,499 私は あなたと あの人への恨みを バネに→ 313 00:24:33,499 --> 00:24:36,502 この店を成功させたいの。 314 00:24:36,502 --> 00:24:40,502 あとは 亡くなった お義母さんもかな。 315 00:24:41,491 --> 00:24:44,560 いったん 水商売に手をつけると決めた以上→ 316 00:24:44,560 --> 00:24:48,498 私は あなただって あの女だって 私自身だって→ 317 00:24:48,498 --> 00:24:50,500 利用し尽くすつもりよ。 318 00:24:50,500 --> 00:24:53,503 だから あの女にも 頭を下げる事ができた。 319 00:24:53,503 --> 00:24:56,489 私が頭を下げに行けば あの女は 絶対に→ 320 00:24:56,489 --> 00:24:59,489 得意がって お金をつくるって 計算したから。 321 00:25:00,493 --> 00:25:04,580 あっ 今のは あなたにじゃなくて→ 322 00:25:04,580 --> 00:25:07,517 私自身に投げつけた言葉よ。 323 00:25:07,517 --> 00:25:09,519 あなたとは もう 絶対に喧嘩しない。 324 00:25:09,519 --> 00:25:13,519 だって 今は 共同経営者なんですから。 325 00:25:15,508 --> 00:25:20,496 いや 社長と ただの板前だ。 326 00:25:20,496 --> 00:25:37,513 ♬~ 327 00:25:37,513 --> 00:25:39,582 ここの幅→ 328 00:25:39,582 --> 00:25:43,582 もう少し広くしてもらえば よかったかしらね。 329 00:25:46,505 --> 00:25:49,508 〈もし もう 私たちの間に→ 330 00:25:49,508 --> 00:25:53,512 埋められない距離があると いうのなら→ 331 00:25:53,512 --> 00:25:56,515 いっそ もっと離れてしまえばいい〉 332 00:25:56,515 --> 00:25:59,518 〈そう思う事が未練のようで→ 333 00:25:59,518 --> 00:26:02,518 どうしようもなく悔しかった〉 334 00:26:27,513 --> 00:26:29,513 よし。 335 00:26:31,517 --> 00:26:34,503 〈「笹流れ」の樽が届いていた〉 336 00:26:34,503 --> 00:26:38,624 〈旬平と多衣を繋ぐ きっかけを作った→ 337 00:26:38,624 --> 00:26:40,624 あの酒が…〉 338 00:26:42,528 --> 00:26:44,513 お前が注文したのか? 339 00:26:44,513 --> 00:26:46,515 まさか。 340 00:26:46,515 --> 00:26:48,515 (戸の開く音) こんにちは。 341 00:26:51,504 --> 00:26:55,504 よかった ちゃんと届いてた。 342 00:26:56,509 --> 00:27:00,513 本日は おめでとうございます。 343 00:27:00,513 --> 00:27:03,549 これ 私からのお祝いです。 どうぞ使ってください。 344 00:27:03,549 --> 00:27:05,518 送ってくるなら どうして 前もって…。 345 00:27:05,518 --> 00:27:07,536 ありがとうございます。 346 00:27:07,536 --> 00:27:10,573 今日から3日間 無料サービスなもので→ 347 00:27:10,573 --> 00:27:12,508 助かります。 348 00:27:12,508 --> 00:27:14,510 3日も無料? 349 00:27:14,510 --> 00:27:17,513 それ ちょっと むちゃじゃないかしら? 350 00:27:17,513 --> 00:27:21,484 いいえ。 花ずみを名乗る事を考えれば→ 351 00:27:21,484 --> 00:27:25,488 ゼロからの… いえ マイナスからのスタートですので→ 352 00:27:25,488 --> 00:27:28,491 いっそ 思い切った事をしないとと 思って。 353 00:27:28,491 --> 00:27:31,477 相変わらず 怖いもの知らずなのね。 354 00:27:31,477 --> 00:27:35,477 まあ 私は きちんと お金を 返していただければ それで。 355 00:27:37,500 --> 00:27:39,502 どうも。 あら! 356 00:27:39,502 --> 00:27:41,487 (笠井)あっ… 取り込み中だったかな? 357 00:27:41,487 --> 00:27:43,489 あっ いえいえ どうぞ。 358 00:27:43,489 --> 00:27:52,498 ♬~ 359 00:27:52,498 --> 00:27:54,517 ああ… あの こちらは→ 360 00:27:54,517 --> 00:27:57,486 金沢の造り酒屋の社長さんで 矢萩多衣さん。 361 00:27:57,486 --> 00:28:00,489 そして こちらは 私の昔からの友人で→ 362 00:28:00,489 --> 00:28:03,492 建設会社の 社長をやってらっしゃる→ 363 00:28:03,492 --> 00:28:05,494 笠井芯太郎さんです。 364 00:28:05,494 --> 00:28:07,496 はじめまして 笠井です。 365 00:28:07,496 --> 00:28:10,499 はじめまして 矢萩多衣です。 366 00:28:10,499 --> 00:28:12,501 〈この時 私は→ 367 00:28:12,501 --> 00:28:17,501 2人が初対面でないなどとは 思いもしなかった〉 368 00:28:18,557 --> 00:28:21,560 飲みに来られるの 来週辺りになりそうだから→ 369 00:28:21,560 --> 00:28:23,496 まず お祝いをと思って。 ああ…! 370 00:28:23,496 --> 00:28:25,498 わざわざ ありがとうございます。 371 00:28:25,498 --> 00:28:29,498 あの 表のお花も ありがとうございました。 372 00:28:30,486 --> 00:28:33,489 じゃあ 私は これで。 えっ? 373 00:28:33,489 --> 00:28:37,489 とんぼ返りの出張なんです。 新幹線の時間もあるので。 374 00:28:39,495 --> 00:28:41,497 そうやって締めたのね。 375 00:28:41,497 --> 00:28:45,497 ええ きれいに咲いていますから。 376 00:28:51,490 --> 00:28:58,481 ♬~ 377 00:28:58,481 --> 00:29:00,516 お先に失礼します。 378 00:29:00,516 --> 00:29:03,486 お気をつけて。 379 00:29:03,486 --> 00:29:09,625 ♬~ 380 00:29:09,625 --> 00:29:11,494 どうぞ おかけになってください。 381 00:29:11,494 --> 00:29:13,494 今 お茶いれますね。 382 00:29:19,635 --> 00:29:21,487 いい店になりましたね。 383 00:29:21,487 --> 00:29:25,491 いろいろ お世話になりまして ありがとうございました。 384 00:29:25,491 --> 00:29:28,491 いや みっちゃんのため…。 385 00:29:32,481 --> 00:29:37,486 かわいい妹分のためなら どんな事だってしますよ。 386 00:29:37,486 --> 00:29:42,486 ♬~ 387 00:32:03,515 --> 00:32:05,517 あっ どうもありがとうございます。 388 00:32:05,517 --> 00:32:07,503 どうぞどうぞ 中のほうに。 389 00:32:07,503 --> 00:32:10,506 〈こうして 新生花ずみは スタートを切った〉 390 00:32:10,506 --> 00:32:12,508 すいません。 (八重)はい。 391 00:32:12,508 --> 00:32:14,510 熱いの もう一本ください。 392 00:32:14,510 --> 00:32:16,528 八重さんと佐知子義姉さんも→ 393 00:32:16,528 --> 00:32:19,528 ボランティアで 手伝いを買って出てくれた〉 394 00:32:20,532 --> 00:32:22,534 〈初日を盛況で終えると→ 395 00:32:22,534 --> 00:32:25,504 2日目は さらに客が増え…〉 396 00:32:25,504 --> 00:32:27,504 (八重)どうぞ こちらに。 いってきます。 397 00:32:29,508 --> 00:32:32,511 申し訳ございません…。 あっ…。 398 00:32:32,511 --> 00:32:34,511 すいません 申し訳ございません。 399 00:32:35,514 --> 00:32:38,514 お待たせ致しました。 400 00:32:39,518 --> 00:32:41,503 すいません 鰆の竜田揚げは…? 401 00:32:41,503 --> 00:32:43,503 もうちょっと待ってもらって。 はい。 402 00:32:44,506 --> 00:32:49,506 〈3日目 旬平一人では 限界が見えてきた頃…〉 403 00:32:52,531 --> 00:32:54,531 あっ すみません ただ今 満席…。 404 00:32:55,517 --> 00:32:57,519 あなた…。 405 00:32:57,519 --> 00:32:59,505 矢場! 406 00:32:59,505 --> 00:33:02,491 こんなの 板長一人じゃ無理でしょう。 407 00:33:02,491 --> 00:33:04,491 すぐ着替えてきますんで。 408 00:33:05,511 --> 00:33:08,511 おう 急いで頼む! はい! 409 00:33:12,501 --> 00:33:15,504 板長。 おう。 410 00:33:15,504 --> 00:33:17,506 〈そして 開店4日目→ 411 00:33:17,506 --> 00:33:19,508 無料サービスの期間が終わり→ 412 00:33:19,508 --> 00:33:23,508 いよいよ この夜からが本番だった〉 413 00:33:24,496 --> 00:33:26,496 (通子・八重)いらっしゃいませ! いらっしゃいませ! 414 00:33:37,526 --> 00:33:40,526 お一人様でいらっしゃいますか? 415 00:33:46,502 --> 00:33:49,505 (前田秀治) 若旦那 お久しぶりです。 416 00:33:49,505 --> 00:33:51,490 (前田)お元気そうで。 417 00:33:51,490 --> 00:33:53,492 秀さんこそ お変わりなく。 418 00:33:53,492 --> 00:33:55,494 (前田)熱燗と→ 419 00:33:55,494 --> 00:33:59,498 料理は 若旦那のおすすめを。 420 00:33:59,498 --> 00:34:01,498 かしこまりました。 421 00:34:04,486 --> 00:34:06,488 (八重)あの人 花ずみで→ 422 00:34:06,488 --> 00:34:09,508 旬平さんの前に 板長やってた人です。 423 00:34:09,508 --> 00:34:11,527 ああ… だから 見た事ある気が…。 424 00:34:11,527 --> 00:34:13,495 旬平さんのせいで→ 425 00:34:13,495 --> 00:34:16,515 花ずみを追い出されたと 思ってるとこあって…。 426 00:34:16,515 --> 00:34:20,502 今は 確か 勝浪の銀座店の板長かな。 427 00:34:20,502 --> 00:34:22,502 勝浪って あの有名な? 428 00:34:25,491 --> 00:34:27,543 ありがとうございました。 ごちそうさまです。 429 00:34:27,543 --> 00:34:29,478 美味しかったよ。 よかったです。 430 00:34:29,478 --> 00:34:31,497 また来るから。 ぜひ またお待ちしてます。 431 00:34:31,497 --> 00:34:33,497 ありがとうございました。 432 00:34:37,486 --> 00:34:42,486 (前田)ああ… こりゃ 噂どおりだ。 433 00:34:43,509 --> 00:34:45,477 いやね うちの客が→ 434 00:34:45,477 --> 00:34:47,496 タダに釣られて 初日 ここへ来たら→ 435 00:34:47,496 --> 00:34:52,496 品書きも 料理の味も うちに そっくりだって言うんだよ。 436 00:34:53,485 --> 00:34:57,489 (前田)いや まさかと思って 確かめに来たんだが→ 437 00:34:57,489 --> 00:35:01,477 こりゃ そう言われても しょうがねえわ。 438 00:35:01,477 --> 00:35:03,495 ちょっと あんた…! 矢場 やめろ。 439 00:35:03,495 --> 00:35:07,583 まあ 勝浪の料理を食べて それをまねしてくれてたんなら→ 440 00:35:07,583 --> 00:35:11,487 俺の腕を認めてくれたって事で それは嬉しいんだけどね。 441 00:35:11,487 --> 00:35:13,489 秀さん…。 442 00:35:13,489 --> 00:35:16,475 料理人として それでいいんでしょうかね? 443 00:35:16,475 --> 00:35:21,475 花ずみの名に懸けたって 自分だけの工夫しないとね。 444 00:35:24,500 --> 00:35:28,554 まあ 花ずみっていったって→ 445 00:35:28,554 --> 00:35:33,554 雰囲気も… フフッ 客層も だいぶ違うようだけどな。 446 00:35:37,496 --> 00:35:41,500 あの… どのお料理が 似てるんでしょうか? 447 00:35:41,500 --> 00:35:43,635 似て当たり前でしょうが。 448 00:35:43,635 --> 00:35:47,573 秀さんも旬平さんも 先代の旦那さんの弟子なんだから。 449 00:35:47,573 --> 00:35:50,509 兄弟弟子の味が似るのは 当然じゃない。 450 00:35:50,509 --> 00:35:52,528 いや 俺は この店の事が心配でさ…。 451 00:35:52,528 --> 00:35:57,549 心配なら ご無用。 嫌み言うために来たんなら…。 452 00:35:57,549 --> 00:36:01,503 わかったよ。 今 帰るとこだったんだ。 料金。 453 00:36:01,503 --> 00:36:03,503 金は結構です。 454 00:36:04,506 --> 00:36:09,506 秀さんが ご自分で作れる味に 金をもらうわけにはいきません。 455 00:36:11,513 --> 00:36:14,513 (大角六扇)タダじゃないのか? 456 00:36:15,517 --> 00:36:19,505 (六扇)開店記念で 今日は 金 取らないんじゃないのか? 457 00:36:19,505 --> 00:36:24,510 ああ… すみません。 それは昨日までで。 458 00:36:24,510 --> 00:36:27,513 ああ… そりゃ困ったな。 459 00:36:27,513 --> 00:36:30,532 タダだと思って入ったから 金はない。 460 00:36:30,532 --> 00:36:32,518 えっ…。 461 00:36:32,518 --> 00:36:35,504 (前田)じいさん 俺が払ってやるよ。 462 00:36:35,504 --> 00:36:39,525 年寄りに無銭飲食させるほど この店は余裕なさそうだから。 463 00:36:39,525 --> 00:36:41,525 ハハハ…。 464 00:36:42,511 --> 00:36:44,530 いいんですよ おじいちゃん。 465 00:36:44,530 --> 00:36:46,532 今日 初めて来てくださったんですから→ 466 00:36:46,532 --> 00:36:48,534 開店記念で。 467 00:36:48,534 --> 00:36:51,486 前田さんも 同じ理由で→ 468 00:36:51,486 --> 00:36:54,523 どうぞ お財布はしまってください。 469 00:36:54,523 --> 00:36:57,509 本日は ありがとうございました。 470 00:36:57,509 --> 00:36:59,595 あっ… だったら ついでに→ 471 00:36:59,595 --> 00:37:03,498 あと5万ほど 貸してもらえんかな? 472 00:37:03,498 --> 00:37:06,518 えっ…? (八重)はあ? 何言ってるの? 473 00:37:06,518 --> 00:37:09,571 女将さん さっさと帰ってもらいましょう。 474 00:37:09,571 --> 00:37:13,508 あの… 5万円も一体 何に…? 475 00:37:13,508 --> 00:37:15,494 いや どうも→ 476 00:37:15,494 --> 00:37:20,499 来る電車の中に 財布を落としたらしくてな。 477 00:37:20,499 --> 00:37:25,504 時間も時間だし… タクシーしかないし→ 478 00:37:25,504 --> 00:37:30,492 湯河原まで まあ 5万もあれば なんとかなるんだ…。 479 00:37:30,492 --> 00:37:32,492 どうかな? 女将。 480 00:37:36,498 --> 00:37:52,497 ♬~ 481 00:37:52,497 --> 00:37:56,501 おじいちゃん これは 今日 来てくれたお礼だから→ 482 00:37:56,501 --> 00:37:58,487 返さなくていいです。 483 00:37:58,487 --> 00:38:01,490 その代わり 今度 来てくれる時は→ 484 00:38:01,490 --> 00:38:04,559 お財布を落とさないように 気をつけてね。 485 00:38:04,559 --> 00:38:07,496 じいさん そういじめてやるなって。 486 00:38:07,496 --> 00:38:09,581 素人同然の店なんだから。 487 00:38:09,581 --> 00:38:12,581 まあ 俺には関係ねえか。 はい ごちそうさん。 488 00:38:13,518 --> 00:38:15,518 ありがとうございました。 489 00:38:17,489 --> 00:38:20,492 お客さん もういいでしょ? さっさと帰ってください。 490 00:38:20,492 --> 00:38:23,495 いや 恵んでもらうわけにはいかんよ。 491 00:38:23,495 --> 00:38:25,480 うーん…。 492 00:38:25,480 --> 00:38:30,485 悪いが 墨と筆と なんか適当な紙はあるかな? 493 00:38:30,485 --> 00:38:34,489 あっ いえいえ 借用書だなんて…。 494 00:38:34,489 --> 00:38:38,489 墨と筆と… 紙。 495 00:38:42,514 --> 00:38:46,501 でも あいにく 筆と墨のご用意は…。 496 00:38:46,501 --> 00:38:48,487 うーん…。 497 00:38:48,487 --> 00:38:51,473 あっ じゃあ 醤油でいい。 498 00:38:51,473 --> 00:38:58,473 それから 食紅と料理用のはけと あと 紙…。 499 00:39:02,484 --> 00:39:04,503 あっ… あれ 外してくれ。 500 00:39:04,503 --> 00:39:06,503 えっ!? 501 00:41:43,512 --> 00:42:00,495 ♬~ 502 00:42:00,495 --> 00:42:17,495 ♬~ 503 00:42:19,514 --> 00:42:24,502 ああ… さっきの あの小切手代わりの書だが→ 504 00:42:24,502 --> 00:42:26,504 もしも気に入らなければ→ 505 00:42:26,504 --> 00:42:30,492 銀座の芳美堂という美術商に 連絡してくれ。 506 00:42:30,492 --> 00:42:34,496 「六扇の落書きがある」って言えば→ 507 00:42:34,496 --> 00:42:37,496 まあ 10万以上の値で引き取るだろう。 508 00:42:38,500 --> 00:42:44,500 あんたは 先代の女将よりも 肝が据わってるようだ。 509 00:42:47,509 --> 00:42:50,512 そんな まさか…。 まだまだ素人で。 510 00:42:50,512 --> 00:42:54,512 いや あんたには 持って生まれた華がある。 511 00:42:58,486 --> 00:43:01,489 そんな まさか…。 512 00:43:01,489 --> 00:43:06,494 どうだ? 私の絵のモデルにならんか? 513 00:43:06,494 --> 00:43:08,496 えっ? 514 00:43:08,496 --> 00:43:15,503 あんたの中の女を… 本当の姿を描いてみたい。 515 00:43:15,503 --> 00:43:18,490 まあ 考えておいてくれ。 516 00:43:18,490 --> 00:43:21,576 じゃあ 失礼するよ。 ありがとうございました! 517 00:43:21,576 --> 00:43:29,501 ♬~ 518 00:43:29,501 --> 00:43:34,501 私の中の… 女? 519 00:43:37,492 --> 00:43:41,496 ♬~ 520 00:43:41,496 --> 00:43:46,501 〈あの老人は 著名な日本画家 大角六扇であった〉 521 00:43:46,501 --> 00:43:49,487 〈その 華の文字が 福を呼んだのか→ 522 00:43:49,487 --> 00:43:52,507 旬平の料理のおかげか→ 523 00:43:52,507 --> 00:43:55,493 初々しい女将 通子の人気か→ 524 00:43:55,493 --> 00:44:00,498 新生花ずみは 順調に客足を伸ばしていた〉 525 00:44:00,498 --> 00:44:03,498 大変お待たせを致しました~! 526 00:44:05,503 --> 00:44:07,505 今日も忙しかったわね。 527 00:44:07,505 --> 00:44:11,493 ああ。 大したもんだ。 お前が ここまでやるとはね。 528 00:44:11,493 --> 00:44:14,512 ううん。 あなたの料理のおかげです。 529 00:44:14,512 --> 00:44:17,515 皆さん 「美味しい 美味しい」って 食べてくださって→ 530 00:44:17,515 --> 00:44:19,501 私も 味見と称して→ 531 00:44:19,501 --> 00:44:22,504 あなたの美味しい料理が 食べられて 得した気分。 532 00:44:22,504 --> 00:44:24,506 お前のだって…。 533 00:44:24,506 --> 00:44:26,508 えっ? 534 00:44:26,508 --> 00:44:28,508 お前の料理は うまかった。 535 00:44:31,496 --> 00:44:35,517 やだ~! もう 何言ってんだか…。 あっ そういえば→ 536 00:44:35,517 --> 00:44:37,502 あれから来てくれないわね 多衣さん。 537 00:44:37,502 --> 00:44:39,504 ああ…。 538 00:44:39,504 --> 00:44:42,490 繁盛してるとこ 見てほしいのにな。 539 00:44:42,490 --> 00:44:45,493 酒の仕込みの準備やらなんやらで 忙しいんじゃないか? 540 00:44:45,493 --> 00:44:47,495 じゃあ 会ってないの? 541 00:44:47,495 --> 00:44:49,497 …ああ。 542 00:44:49,497 --> 00:44:51,499 ふーん…。 543 00:44:51,499 --> 00:44:54,502 まあ そうよね。 こっちも忙しいし。 544 00:44:54,502 --> 00:44:56,504 もう 上がっていいか? お疲れさま。 545 00:44:56,504 --> 00:44:58,623 お疲れ。 546 00:44:58,623 --> 00:45:03,661 ♬~ 547 00:45:03,661 --> 00:45:05,497 〈その日→ 548 00:45:05,497 --> 00:45:09,501 私は 1回目の返済金を 多衣さんに直接渡すために→ 549 00:45:09,501 --> 00:45:11,519 金沢に行くつもりでいた〉 550 00:45:11,519 --> 00:45:13,519 〈ところが…〉 551 00:45:14,506 --> 00:45:16,574 あっ… ありがとうございます。 552 00:45:16,574 --> 00:45:21,496 でも 驚きました。 てっきり 金沢だと思ってたから。 553 00:45:21,496 --> 00:45:25,533 おかげさまで 東京での取引も増えてきてて。 554 00:45:25,533 --> 00:45:29,504 ホテル代が馬鹿にならないから 借りたんですよ 事務所代わりに。 555 00:45:29,504 --> 00:45:32,490 場所も便利だし いいですね。 556 00:45:32,490 --> 00:45:36,511 ええ。 ここは使う者も限られてるので→ 557 00:45:36,511 --> 00:45:40,532 あまり事務所っぽくはないけど…。 どうぞ お茶。 558 00:45:40,532 --> 00:45:42,532 あっ その前に。 559 00:45:45,520 --> 00:45:48,523 これ 今月分です。 560 00:45:48,523 --> 00:45:51,509 どうぞ お確かめください。 561 00:45:51,509 --> 00:46:00,518 ♬~ 562 00:46:00,518 --> 00:46:02,520 確かに。 563 00:46:02,520 --> 00:46:04,506 頑張られたようね。 564 00:46:04,506 --> 00:46:06,508 ええ。 でも これも→ 565 00:46:06,508 --> 00:46:09,511 多衣さんが お金を 貸してくださったおかげです。 566 00:46:09,511 --> 00:46:12,514 本当に感謝しています。 567 00:46:12,514 --> 00:46:16,534 いい顔してる。 商売人の顔になってきた。 568 00:46:16,534 --> 00:46:20,505 あら…! それなら嬉しいんですけど。 569 00:46:20,505 --> 00:46:24,526 愛とビジネスを天秤にかけて ビジネスを取った人だもの→ 570 00:46:24,526 --> 00:46:26,526 当たり前よね。 571 00:46:33,535 --> 00:46:36,535 ただいま。 572 00:46:42,494 --> 00:46:48,494 ♬~ 573 00:46:50,585 --> 00:46:52,585 おかえりなさい。 574 00:46:56,491 --> 00:46:58,476 なんで…? 575 00:46:58,476 --> 00:47:00,495 さっき言いましたでしょ? 576 00:47:00,495 --> 00:47:03,498 「ここは限られた者しか使わない」 って。 577 00:47:03,498 --> 00:47:05,500 〈偽装離婚のはずだった〉 578 00:47:05,500 --> 00:47:09,504 〈本当の意味で別れたのではない と思っていた〉 579 00:47:09,504 --> 00:47:11,489 〈だが これが現実なのだ〉 580 00:47:11,489 --> 00:47:14,609 〈旬平と多衣は 「会っていない」と言いながら→ 581 00:47:14,609 --> 00:47:17,495 通子をだましていたのだ〉 582 00:47:17,495 --> 00:47:21,516 〈自分の胸の奥底に眠らせた 未練という名の火種が→ 583 00:47:21,516 --> 00:47:25,516 いずれ激しい炎となるのを 通子は 予感せずにはいられなかった〉 584 00:48:59,530 --> 00:49:02,530 〈このドラマの原作『隠れ菊』を 抽選でプレゼント〉 585 00:49:04,602 --> 00:49:06,504 花ずみも経営は崖っぷち。 (六扇)着てるものを脱いでくれ。 586 00:49:06,504 --> 00:49:08,489 金なら欲しいだけやる。 587 00:49:08,489 --> 00:49:10,591 死んだ親父の愛人だ。 588 00:49:10,591 --> 00:49:13,591 (吉岡鶴代)いいから酒持っといで。 得意がってるのよ あんた。 589 00:49:15,563 --> 00:49:17,563 逆恨みするなんて 愛人の風上にも置けやしない。